会議資料・開催案内等

政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(5月29日開催)議事録


  1. 日時  平成20年5月29日(木)16時00分から17時55分

  2. 場所  総務省 第1会議室(中央合同庁舎2号館低層棟1階)

  3. 出席者
            (分科会所属委員)
      金本良嗣政策評価分科会長、藤井眞理子委員、小峰隆夫臨時委員、高木勇三臨時委員、高橋伸子臨時委員、立花宏臨時委員、田辺国昭臨時委員、永瀬伸子臨時委員、八丁地隆臨時委員、吉野直行臨時委員、大竹文雄専門委員
      (オブザーバー)
      河野正男臨時委員
      (総務省行政評価局)
      関行政評価局長、伊藤審議官、新井審議官、若生総務課長、吉開政策評価官、羽室政策評価審議室長、新井調査官
     
  4. 議題
            1. 平成20年度予算編成等への政策評価の活用状況について
      2. 平成20年度機構・定員審査に当たっての政策評価結果の活用状況について
      3. 平成20年度地方税制改正に当たっての政策評価結果の活用状況について
      4. 各府省が実施した政策評価の点検結果について
      5. 平成19年度政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告(案)について
      6. 平成19年度における各府省の政策評価の取組状況について

  5. 資料(PDF)
            資料1−1   平成20年度予算編成等への政策評価の活用状況
      資料1−2 参考資料(政策評価の活用状況事例)
      資料2 平成20年度機構・定員審査に当たっての政策評価結果活用状況
      資料3 平成20年度税制改正(地方税)における政策評価の活用について
      資料4 政策評価の内容点検の結果について
      資料5 平成19年度における各府省の政策評価への取組状況

    【金本分科会長】 時間が参りましたので、ただいまから政策評価分科会を開会いたします。
     まず、「平成20年度予算編成等への政策評価の活用状況」につきまして、予算、国税、財政投融資への政策評価結果の活用状況や、今後の課題等につきまして、財務省の辻政策評価室長から御説明いただいた上で、質疑応答を行いたいと思います。
     それでは、よろしくお願いいたします。
    【辻政策評価室長】 ただいま御紹介いただきました財務省文書課政策評価室長の辻でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
     本日は、平成20年度予算編成等への政策評価の活用状況について御説明させていただきます。お手元に資料を二種類配らせていただいておりますが、資料1−1「平成20年度予算編成等への政策評価の活用状況」、資料1−2「参考資料(政策評価の活用状況事例)」ということで配らせていただいております。御説明につきましては、基本的に資料1−1に沿って行わせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
     それでは、まず予算編成における政策評価の活用状況につきまして御説明させていただきます。資料1−1の1ページを御覧いただきたいと存じます。
     委員の皆様方には十分御承知のことと存じますけれども、政策評価法で規定されておりますとおり、政策評価は各行政機関がその所掌する政策につきまして自ら評価を行い、財政当局はその結果を予算編成に適切に活用するという関係にございますが、これを踏まえまして、主計局におきましては、概算要求の時点で各府省から政策評価調書の提出を求めているところでございます。
     この政策評価調書には、評価の単位となる政策ごとに、その目標と事後的な評価の手法を明らかにいたしまして、さらに必要性、有効性、効率性等の観点から政策を評価した結果、並びにその概算要求への反映状況等を記載することといたしております。
     主計局におきましては、このような要求側の考え方を整理いたしました政策評価調書も含めまして、多種多様な資料を適切に活用しながら、財政当局としての考え方も示しつつ必要な調整を行いまして、メリハリのきいた無駄の無い予算とするよう取り組んでいるところでございます。
     ここで平成20年度予算における具体的な活用事例を一つご紹介させていただきますと、事例として挙げさせていただいておりますのは、国土交通省の観光立国を推進するという政策でございます。この政策ですが、名称からも明らかなとおり、我が国の観光振興のために、観光地の整備の促進ですとか人材育成、あるいは国際会議の開催・誘致といった各種の事業を行うものですが、要求側の国土交通省による必要性や有効性、さらには効率性の観点からの政策評価の結果に対しまして、財政当局といたしましては一定の理解を示しつつ、一方で、例えばより多くの旅行者数の増加に結びついているなど、政策の効果の高い事業に重点化を図るべきとの考え方も示しまして、そうした内容を前提に、平成20年度予算におきましては所要額を措置しているというところでございます。
     他の省庁の具体例は、お手元の資料1−2に何例か挙げさせていただいておりますが、本日は時間の制約もございますので、個々の説明は省略させていただきます。
     以上が予算編成における政策評価の活用状況ですが、本日はもう一点、政策評価との連携強化を通じた予算の効率化に向けた取組みといたしまして、平成20年度予算から実施しております予算書・決算書の見直しについて御説明させていただきたいと存じます。
     一枚おめくりいただきまして、資料の2ページを御覧いただきたいと存じます。今回の見直しでございますが、予算書・決算書の表示科目の単位と政策評価の単位とを原則として対応させる形に改めることによりまして、政策ごとの予算・決算が分かるようにするという取組みでございます。
     資料の下に見直しのイメージといたしまして、経済産業省の予算を例に、見直し前と見直し後を並べたものを紹介させていただいております。
     この資料の一番左側にございます平成19年度までの現行予算書、それから、この表の一番右側にございます政策評価体系を比べていただきますと、一つの政策の予算が予算書上は複数の科目に分散されて計上されていたり、あるいは逆に複数の政策の予算が、予算書上は一つの科目の中に整理されているなど、予算書を見ただけでは必ずしも政策ごとの予算が分からないようなフォーマットになっていました。
     平成20年度からは、これを一番右側の政策評価体系に合わせる形に予算書のフォーマットを改めまして、一つの政策の予算は基本的に予算書上でも一つの科目で整理することといたしております。今後、決算書につきましても、予算書のフォーマットに合わせる形で、平成20年度決算書から改める予定といたしております。
     このような予算書・決算書の見直しによりまして、予算書・決算書が国民の目に分かりやすくなるとともに、政策ごとに予算・決算とその成果の比較対象が可能となり、事後的な評価が行いやすくなることから、将来的な予算の効率化につながっていくことを期待しているところでございます。
     以上が予算編成関係でございます。
     3ページでございますが、税制改正における活用状況でございます。租税特別措置ですが、これは税制上の特例を設けることによりまして、一定の政策目的の実現を図ることを主眼としているものでして、政策目的や効果、政策手段としての適正性を踏まえて、常時見直しを行っていく必要があるものでございます。
     主税局におきましては、こうした租税特別措置を含めた税制改正を行うに当たりまして、各府省庁の政策評価の結果を活用しているところでございまして、この資料の一つ目の○のところに書いていますように、要望時において各府省庁に対し、政策評価の結果を記載した要望書の提出を求め、税制改正の立案に向けた各府省庁との議論の材料としているところでございます。
     また各府省庁からのヒアリング等においても、必要に応じて、参考となる資料の提出を求め、議論の材料としているところでございます。
     平成20年度の税制改正におきましては、二つ目の○に書いていますように、こうした議論を通じて、厳しい財政状況の中ではございますが、例えば中小企業に対して一層の措置の重点化を図ることが必要であるという考え方に立ち、詳しくは4ページ以下に記載していますが、例えば三点挙げておりますが、情報基盤強化税制につきましては、中小企業について情報基盤の投資を促進する観点から、投資下限額を大幅に引き下げる一方、大企業につきましては、対象となる投資額に上限を設けることとか、教育訓練費にかかる税額控除制度につきましては、その対象を中小企業に限定することといたしまして、大企業については教育訓練費が増加傾向に転換していることを踏まえ廃止する。あるいはエンジェル税制につきましては、起業期のベンチャー企業に対する資金を広く呼び込むために、出資について寄附金控除を適用する仕組みを創設する一方で、株式譲渡益を2分の1に圧縮する特例を廃止する等々の改正を行ったところでございます。具体的な内容は4ページ以下にやや細かな資料をつけさせていただいております。
     続きまして関税改正でございますが、7ページを御覧いただきたいと存じます。関税局におきましては、毎年度、関係省庁から関税改正要望を受けましてヒアリングを実施しつつ、関税率及び関税制度について見直しを行い、改正作業を行っております。
     平成20年度の関税改正につきましては、昨年8月末に改正要望を受け、関係省庁との協議等を経まして、昨年12月に関税・外国為替等審議会の答申をいただき、本年1月25日に法案を国会に提出、3月末に成立、公布され、4月1日から施行いたしております。
     関係省庁から出されます要望につきましては、政策評価制度の趣旨を踏まえて、従来から政策目的、施策の必要性、要望の措置の適正性等について説明を求めているところでございます。具体的には資料の中ほどに記載しておりますように、改正の要望において、新規施策と既存措置の延長に分けて説明を求めてきているところでございます。
     次に、政策評価の活用状況でございますが、関税改正の検討の際には、要望におきまして、措置の必要性などの内容が客観的事実に基づき、理論的に積み上げられているかといった点などを確認しつつ、ヒアリング過程において追加の説明を求め、改正作業に活用してきたところでございます。
     具体例としまして、加工再輸入減税制度の延長等を掲げておりますが、これは本制度の適用期限の到来に合わせまして、今般の年度改正の中で措置したものでございます。延長要望における効果やその必要性等について精査を行い、さらにその後のヒアリング過程における協議、検討の結果として、本制度の延長の必要性が十分認められたことから、適用期限を3年間延長しているところでございます。
     最後に、8ページの最後に記載しております今後の課題等ですが、各省庁から出されます要望の内容については、施策の目的、必要性等についての説明は充実したものになってきていると考えております。今後とも施策の効果を客観的基準に基づいて検証するための指標等の提示を求めつつ、その積極的な活用を進めるとともに、毎年度の改正作業をより精緻なものにしていきたいと考えております。
     また、関税局におきましては、各年度における関税率の設定、関税制度の見直しに当たりまして、生産者、消費者、利用者等の要望ですとか、諸外国の制度も踏まえて改正作業を行っており、平成20年度の改正においても、我が国の国際競争力の強化のために法令を遵守する体制を整えている事業者に対する特例措置の拡充等を行っておりますが、今後もこうした取組みを着実に実施していきたいと考えております。
     最後に財投編成における政策評価の活用についてでございます。9ページを御覧いただきたいと存じます。理財局においては、財投計画編成に当たり、要求時に各省庁に対して施策の意図、目的、施策の公益性、民業補完性等について政策評価を行うよう求めているほか、事業規模や制度改正等、要望事項についても、民業補完性、有効性、財務の健全性等の観点から政策評価を実施するように求め、これらの内容を記載した資料の提出がなされているところでございます。
     政策評価の活用状況のところに記載しておりますが、20年度財投計画においては、社会経済情勢の変化に即応し、真に政策的に必要な資金需要には的確に対応しつつ、対象事業の重点化・効率化を行った結果、総額は13.9兆円と前年度比2.1%減、ピーク時と比べますと3分の1の規模にまで縮減しております。
     財投計画編成過程におきまして、政策評価の結果を活用しておりまして、主な活用事例として二例挙げさせていただいておりますが、一つ目は、(1)の国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫で、これらは10月に株式会社日本政策金融公庫になる予定ですが、これらの行う企業活力強化貸付で企業立地の促進を行うための制度の追加でございます。
     この制度ですが、地域の強みを生かした企業誘致が重要な課題となる中で、地域における中小企業者の企業立地や事業高度化の促進等により、産業集積の形成を支援し、当該地域経済の活性化、地域における雇用の促進等を図るものでして、施策の重要性とともに民業補完性、有効性等を勘案した結果、制度の新設を認めることとしたものでございます。
     10ページでございますが、二つ目が(2)にございます独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の探鉱出融資及び開発資金債務保証でございます。レアメタルなど、我が国産業に不可欠な素材である非鉄金属資源が、国際的な獲得競争が激化しており、その安定供給の確保が急務になっております。このため民間における探鉱・開発活動に対するリスクマネーの供給を促進することの政策的必要性は大変高いものと考えております。
     今回、当該事業に産業投資出資を行うのは25年ぶりでして、リスクマネーの供給に伴ってどれだけのリターンが得られるのか見極めは困難ですが、今後、探鉱・開発活動の審査を適切に行っていくことが課題と考えております。
     このように政策評価の結果を編成に活用しながら、財投計画を策定いたしております。今後とも財投要求に関しましては、財投事業にかかる政策評価に加え、個別制度を要求ごとに民業補完性、有効性、財務の健全性への影響等の観点から検討した政策評価の結果の提出を求め、これを審査において積極的に活用してまいりたいと考えております。
     以上で御説明を終わらせていただきます。
    【金本分科会長】 どうもありがとうございました。
     それでは、御質問等ございましたら、どなたからでも結構でございます。小峰委員。
    【小峰臨時委員】 関税のことを聞きたいのですが、例えば日本はコンニャクに高い関税率を設定しているのですが、こういうものについても政策効果とか、必要性とか、そういうものを吟味した上でやっていると理解していいんでしょうか。またそうだとすれば、それは何を見ればそれはわかるんでしょうか。
    【鈴木鑑査専門官】 農産品の関税改正につきましては、基本的に農林水産省から要望が出されることになります。今回、コンニャクについては要望が来ていませんけれども、関税を下げてほしいというような要望が来れば、8月の時点でそのような要望を受け、農林水産省からのヒアリングなどをして、政策評価の結果も踏まえつつ、関税局で検討し、審議会に諮った上で、必要があれば下げるということになります。その一方で、国際的にWTOとの関係で改正することもありますけれども、基本的には、各省庁が要望してきたときに考えていくということになっています。
    【金本分科会長】 既にずっと前からあるものについて政策評価の結果を求めてというのはないと考えてよろしいですね。
    【鈴木鑑査専門官】 改正要望が出てきたときにするというのが、基本的なやり方になっております。
    【金本分科会長】 よろしゅうございますか。基本的にほとんどすべての政策評価についてそういった形になっておりますので、何も変わっていないところはほとんど政策評価をしていない、そんな感じかと思いますが。
     そのほかに何かございますでしょうか。河野委員、どうぞ。
    【河野臨時委員】 予算・決算の見直しのところですが、政策評価体系に合わせて予算書の見直しが行われています。これはたまたま経済産業省が出ていますが、全府省にわたって徐々にやっていくのか、20年度にもう全部やったということでしょうか。
    【副島課長補佐】 主計局の副島と申します。お答えさせていただきます。
     今回の見直しは、平成15年2月から主計局内におきましてPTを設けて、各省のヒアリング等を行いながら、5年間かけてやってきまして、骨太の方針の中にあるように、予算書・決算書の表示科目の単位と政策評価の単位とを対応させるということで、各省だけではなくて、オールジャパンで取り組み、政策評価の体系を項・事項で一致することによって、PDCAサイクルに活用できるような、決算書の数字も追えるような、そういった形で全省庁20年度予算から取り組んだところでございます。
    【金本分科会長】 大竹委員。
    【大竹専門委員】 3ページ目の20年度税制改正における政策評価の活用例で、教育訓練費のところがあるのですが、「大企業においては教育訓練費が増加傾向に転換していることを踏まえ廃止する」という文章だけを読むと、これはこの制度によって増えたわけではなくて、別の要因で増えたということが識別されているという前提なのですか。これだけ読むと、政策効果があるのに廃止したようにも読めないこともないので、細かくて申しわけないですが、教えていただけますか。
    【高宮課長補佐】 主税局の高宮と申します。お答えいたします。
     大企業の教育訓練費の増加がこの税額控除制度によって生じているかどうかというところは、そこの直接の因果関係はわかっていません。ただ、租税特別措置という税制上の特例を時代に合わせて見直しを常にやっていかなきゃいけないと。他方、必要な税制上の措置というものも行わなければいけない。今回、この教育訓練費にかかる税額控除制度について、中小企業への支援を拡充してほしいという要望がございまして、中小企業が使いやすいような制度改正をするとともに、大企業については教育訓練費も増加傾向にあるということで、こちらは廃止させていただくという改正を行ったところでございます。
    【金本分科会長】 政策の効果が高いから、あるいは低いからというところまではいっていない議論ではあります。
    【大竹専門委員】 はい。
    【金本分科会長】 吉野委員、どうぞ。
    【吉野臨時委員】 2つありまして、1つは、観光立国ですが、ここに成果目標というのが1)から5)と書いてありまして、細かいところですが、1)とか2)というのは外国人の旅行者数ですけれども、日本人の国内での旅行者数というのがなくて、3番目は消費額で書いてあるのですが、これは何かの理由があるのかどうか。
     それから、5番目の例えば国際会議といっても、何人ぐらい来られたとか、その会議がほんとうにこういうことで有効だったというのが重要であると思いまして、ただ会議数が増えたからというよりは、もう少し深くやっていただけたらいいんじゃないかと思ったんですが。
     それから、2番目は税制改正のところで、特別措置をするということは、税収が減るわけですけれども、税収がどれくらい減ったかということとこの効果を比べるべきではないかと思うんですが、それはいかがでしょうか。
     最後は、財政投融資のところで政策コスト分析というのをずっとやってきておりますので、それをこういうのにも反映できるようにぜひ考えていただきたいと思います。
    【金本分科会長】 順次お願いいたします。
    【副島課長補佐】 まず最初に観光立国の関係から答えさせていただきます。
     ここにあります成果目標というのは国土交通省が掲げている成果目標でありまして、これは基本的に政策評価自体が各省庁の自己評価という形になっておりますので、総務省も言われていますが、財務省としても、基本的にはすべてできるだけ定量的にきちっと行うようにということではお願いしているところですが、ここは国土交通省の成果目標でございまして、できるだけ先生の意見を踏まえて、担当者等に伝えたいと思います。
    【高宮課長補佐】 税収減と政策効果についてですが、個々の租税特別措置の見直しを行う場合には、それが国の歳入にどのような影響を及ぼすかということや政策効果について、総合的に検討しているところです。
    【岩元課長補佐】 理財局の岩元と申します。
     吉野先生から御質問のございました政策コスト分析の関係でございますけれども、政策コストというのは財投機関、我々は貸し付けをしておりますけれども、将来にわたってどの程度の補助金、出資金の機会費用等が発生するかというものを推計して、毎年公表しているものでございます。
     吉野先生から政策コストの観点もこの中で活用していってはという御指摘だったと思いますが、政策コスト分析は平成13年度、順次改善に努めてきておりまして、さらに政策コストを活用して財投計画に活用していこうということも、先生に会長をしていただいている分科会、基本問題検討会等でも御議論いただいているところでございますが、そういった財投計画の中で計画の編成過程において政策評価、さらには政策コスト分析といったものを活用していくということについて、御指摘も踏まえてさらに今後検討していきたいと思っております。
    【金本分科会長】 よろしゅうございますか。この前の論点について、大竹委員と同じような話で、ほかの国、特にイギリスあたりでは、政策評価について、政策がもたらした付加的な効果がどれだけかというアデショナリティをちゃんと見ましょうということがしばらく前からかなり議論になっておりまして、そのガイドラインとかがいろいろできていますが、まだ日本ではそこまでいっていないといった状況と思います。それをやらないと、政策評価も実はなかなか出てこないのではないかという気もしておりますので、よろしくお願いいたします。
     立花委員、どうぞ。
    【立花臨時委員】 私から2つほど質問させていただきたいのですが、1つは、御説明の中で観光立国の関連の施策ですね。予算ももちろん大事ですけれども、例えば中国の場合だとビザの取得を容易にするとか、あるいは為替の要因が、昨年、一昨年は円安ということもあって、韓国から日本に来る方が非常に増えた。かつては日本から韓国に行くほうが二百数十万だったのが、今はトントンになってきているんですね。むしろ韓国は非常に危機感を持っているということで、施策の効果といった場合には、予算を使った点もありますけれども、そういった規制改革による効果というのを、この場合は皆さん方どういうふうに評価しておられるのかという点が、観光に関連しての質問の1つです。
     もう1つは、観光に関連して、これは私も申し上げてちょっと自己矛盾しているかなということ思いつつも申し上げたいのですが、こういった非常に観光のもたらす幅広い地域に対する効果ですね。目に見えるもの、あるいは目に見えない人的な交流による刺激といいましょうか、そういった点もありますけれども、それを担う組織といいましょうかね。
     具体的に言うと、例えばJNTO、国際観光振興機構という、かつては特殊法人で、今は独立行政法人でしょうか。あそこの方たちも人数を減らしてかなり頑張っているということで、ただ一律予算カットの影響で管理費等々が非常に削られて困ってきているということで、私ども行革の観点から、どうしても改革する場合には一律カットというのはせざるを得ないという状況がありますけれども、もう少し施策のメリハリといいましょうか、これは単に観光の問題だけじゃないでしょうけれども、観光が大事だった場合に、それを担う民の組織、あるいは公的な組織、その組み合わせといいましょうか、それが一律的な歳出カットで、そのしわ寄せが民に来ているという話も実はあるんですね。
     その辺が私からすると課題かなという点が1つと、それから大きな2つ目が、ただいま吉野先生からの御指摘がありましたが、私はちょっと逆の意味で、もう少し税制の論議を深掘りする意味で、確かに減税により、租税特別措置のそれぞれの減税効果、あるいはそれによる政策効果というのが必要なわけですが、もう1つ、双方向で見るためには、減税による増収効果というのを役所はなかなか出したがらないわけですが、例えば住宅なんかについても、ローン減税という制度がありますけれども、租税特別措置の中では年間七、八千億円になるんでしょうか。
     ですけれども、一方では国税の所得税はそれだけ減税になるとしても、例えば消費税による増収とか、あるいは固定資産税とか、あるいは不動産の流通関係の税とか、トータルでそういった施策の効果を見るようなバランスを持たないと、取るほうからすると、これだけ減税になりますからとんでもないということでしょうけれども、もう少しボースウエイで、それによる増収効果を一体どう見るかという点も、もう片方の目もあけていただいて、バランスを持って政策評価していただくことも必要じゃないかなという感じがいたします。
    【金本分科会長】 どちらかというと国土交通省が答えたほうが適切な御質問かもしれませんが、お願いをいたします。
    【副島課長補佐】 お答えさせていただきます。
     先ほど、規制改革の関係とか、この辺においては一応1ページにも書いてございますが、今まではそういう観光のために展示会等の事業を頻繁に行っていた。そこによって集めてこようとしたところを、訪日外国人と旅行者が急増しているということを踏まえて、今度はツアーの造成の支援に向かっている。これは一つ言えることではないかなと思います。詳しくは国土交通省になるとは思うんですが。
     あと地域の組織の関係で、人手がそのままカットされているとか、そういうことがあるんですが、予算も限られた中でやっておりますので、そこは各省の政策の優先順位等々もあると思います。そこで国民のニーズとか、そういったものを踏まえながら、査定当局としては織り込んでいるつもりではありますので、今後もできる限り検討していきたいと思っております。
    【高宮課長補佐】 租税特別措置による増減収効果については、直接的な増減収効果を見ることが基本ですが、それを超えて間接的な効果まで見込むことについては、一般論として申し上げれば、間接的な影響の範囲や内容を特定するのがなかなか難しいことを御理解いただきたいと思います。
    【金本分科会長】 要求省庁の方でそういうことを計算されている例もあるのではないかと思いますが、やってみると難しいスタディにはなります。
     そのほかに何かございますでしょうか。田辺委員、どうぞ。
    【田辺臨時委員】 2点ほどお伺いしたいと思います。1つは、予算・決算と政策評価の体系をそろえたことによる調書の中身の問題であります。つまり従来、政策評価調書みたいなものを出していただいて、それを見て、ある意味で予算をつける、つけないというときには、新規事業レベルのものだとかなり役立つ気はするのですが、他方、これをそろえることによって施策レベルのものが出てきて、かつ指標等も施策レベルでバサッと大きな数値がついているものが多いんだと思うんですね。
     そうすると、施策レベルで全部やめろというのは、そんなことはあり得ませんので、ぼやっとした全体の数字の中で、個別の事業につけるかつけないかみたいな議論をやるのだろうと思うのですが、そのとき政策評価調書の方というのはどういう出され方をしているんでしょう。大分前のは見たことがあるんですけれども、最近、フォーマットがよくわからないので、施策レベルで出させて、その下に事業がずらずらと並んでいるというイメージなんでしょうか。それとも個別の事業ごとに並んでいるのか、それとも施策の大きなところが書いてあって、下の事業を全部参考資料とか附属資料でやっているのか、そういう出させ方の問題というのをお伺いしたいというのが1点でございます。
     それから2点目は似たような問題ですが、財投のところでお伺いしたいんですけれども、これまた紙の出させ方の問題ですが、いただいた資料の活用状況の中ですと、提出しているのがいわゆる財投機関が紙を出しているというイメージですけれども、例えば公庫等が出したときには民業補完性等々は見るということだと思うのですが、省庁のこれは財投でやりますよといったところの紙みたいなのは、具体的には出させているのでしょうか。どこにそもそも調書を出しているのか、私、ちょっと制度に通じていないのでわかりませんし、それを具体的に本省と財投機関との形でどういう使い方をしているのかといった点を、御説明いただけるんでしたらお願いいたしますというのが2番目の質問でございます。
    【副島課長補佐】 まず政策評価調書の出させ方ですが、基本的には政策評価単位ということで、各省の施策になると思います。その政策評価書もありますけれども、そこの要旨と政策評価調書のフォーマットを一致させる形にしております。その中でまた別途、予算の関係がありますので、施策における事務事業が実際どういったものが入っているのかを詳細に書かせております。
     そこは毎年、決算も出てきますので、そのとり方というのをどうするか今後検討しないといけないのですが、基本的には施策単位の中にどういう事務事業が入っているという書かせ方をしまして、それに対する予算額、今度20年度の決算が出てきますと、そうすると、その20年度の決算がどうであったとか、そういった形の調書になると思います。
     事務事業の調書につきましては、また別途、基本的な予算というのは全部事務事業の細かいレベルの積み上げになってきますので、そこは各担当がヒアリングをしながら、個別に事務事業に必要な書類をもらっているという形になっております。
    【田辺臨時委員】 補足のところですが、そうすると、いわゆる数値目標を出させるといったところは、施策レベルでつけていて、新規事業をやるときに、例えば5年後に何とかなるとかいう目標を立てろとか、そういうやりとりというのはやっていらっしゃるのでしょうか。施策レベルの全体に寄与するか否かの数字だけで検討しているというイメージなんでしょうか。
    【副島課長補佐】 そういう意味では、施策レベルだけといいましても、どうしても全体の予算の枠がありますので、まずどういった施策を重点的にやっていくかということも一つの課題になりますし、また下からの事務事業の積み上げというのも一つになってきますので、そういう意味では、数値目標を出させるといいましても、基本的には施策全体として、各省庁が成果目標を定量的にどういう形でやっていくかということに対して、限られた予算の中で優先順位をつけて、事務事業を見ていって、全体の施策ができ上がっていくという形になると思います。
    【田辺臨時委員】 わかりました。ありがとうございます。
    【岩元課長補佐】 財政投融資の御質問がございましたが、まず財投の要求につきましては、財投機関ではなくて、各省庁で要求を出していただくということになっておりますので、理財局の方で求めております財投要求における政策評価結果の提出も、各省庁の方から出してもらっているということでございます。
     中身につきましては、例えば9ページでは企業立地関連の施策が並んでおりますが、企業立地の関連で言えば、決算書でいろいろな政策のツールはあろうかと思いますが、その中でこういった中小公庫を活用して行う事業について、その施策の有効性、民業補完性といったものについて評価していただいて、それを出していただくという形になっております。
    【金本分科会長】 よろしゅうございますか。
     そろそろ時間ですが、何か特に御質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
     それでは、財務省の皆様方には、御多用のところ大変ありがとうございました。本日の御説明を今後の審議の参考にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
     続きまして「平成20年度機構・定員審査に当たっての政策評価結果の活用状況」につきまして、総務省行政管理局の箕浦企画官から、機構・定員審査への政策評価結果の活用状況や今後の課題等につきまして御説明をいただきます。
     その後、「平成20年度地方税制改正に当たっての政策評価結果の活用状況」について、総務省自治税務局の寺崎企画官から、地方税制改正における政策評価結果の活用状況や今後の課題等につきまして御説明いただいた上で、質疑応答を行いたいと思います。
     それでは、箕浦企画官からお願いいたします。
    【箕浦企画官】 行政管理局の箕浦でございます。よろしくお願いいたします。
     お手元に資料2ということで、「平成20年度機構・定員審査に当たっての政策評価結果活用状況」という資料がございます。資料に沿って簡潔に御説明申し上げます。
     行政管理局では毎年度、各省の機構・定員につきまして、その改定を伴うものについては、各省から要求をいただきまして審査を行っております。政策評価法におきまして、行政機関はその所掌にかかる政策について適時に政策効果を把握し、これ基礎として必要性、効率性、また有効性の観点、その他当該政策の特性に応じて必要な観点から自ら評価するとともに、その評価の結果を当該政策に適切に反映させなければならないということとされておりまして、また予算の作成等に当たり、その適切な活用を図るように努めなければならないということになっております。
     予算査定と並行して行われます機構・定員審査におきましても、この政策評価の結果をできるだけ適切に活用するということで、行政管理局といたしましては、毎年8月末に各省から要求を出していただいておりますが、その際に、各省の政策評価の結果が要求に関係あるものにつきましては、関係する評価書の添付をいただきまして、その該当箇所を明示いただいております。そういった評価書を添付いただくことによりまして、要求の内容を審査するに当たりましては、要求の内容が適切なのかどうかというのは、1つの参考資料として活用させていただいているところでございます。
     後に参考資料として幾つか各省の例を1つずつ抜き出してございます。細かい中身は御覧いただければと思いますが、課題ということで幾つか書かせていただいております。
     機構・定員要求に反映するということで、各省がこの政策評価が関係ありますということで、要求の段階でつけていただいているわけでありますけれども、政策評価というと、政策とか施策のレベルまでの評価ということでございますが、機構とか定員の審査に当たっては、もうちょっと細かい事務とか事業のレベルと要求の対象となっている機構・定員の対象を見ていくということでございまして、評価書では、全体の施策の進捗状況等は押さえられるのでありますが、それが実際に要求の対象となっている機構的な必要性を判断するに足りるだけの情報が、必ずしもそこから得られないという部分もございまして、あくまでも1つの参考にとどまっているという面はございます。
     例えば参考資料の11ページを御覧いただきますと、これは結構珍しい例でありますけれども、外務省の例を御覧いただきますと、ここ数年、外交力強化ということで外務省が相当力を入れてやっているところでございまして、これは珍しく機構・定員に特化して評価した部分がある例でございますが、この概要を御覧いただくとわかりますように、この評価の結果、それがどの程度体制の整備なり機構・定員の、例えば増員にどのくらい結びつくのかという、定量的な指標としては必ずしも使いにくいものになっておりますので、そういった部分については、むしろ評価の工夫という面もあるでしょうけれども、査定で実際に審査をしていくに当たって、実際にその機構・定員要求を認めた場合、どのくらいの効果が見込まれるのかといったようなことも含めて、今後の審査に当たってもきちんとそういうところを検証しながら、評価を活用していくということが必要なってくるのかなと思っております。
     それ以外のものにつきましては、各省は関係あるということではあるのですが、単に要求の背景となっている政策、施策についての評価であるにとどまっておりまして、必ずしもそれが体制の強化が必要だという判断の材料としてはなかなか使いにくいといったようなものもありますので、要求の時点で、さらに各省においても評価の活用ということで、今後一層よく検証していただくということが必要ではないかと考えているところでございます。説明は以上です。
    【金本分科会長】 ありがとうございます。
     続きまして寺ア企画官、お願いいたします。
    【寺ア企画官】 税務企画官の寺アでございます。お手元の資料3で御説明申し上げます。
     私ども自治税務局におきましては、毎年度、地方税制の改正作業に携わっております。予算と同様に、地方税制に関しましても、各省庁からいわゆる非課税等特別措置という形で御要望いただきまして、年末にかけて、これは与党が中心の作業になりますけれども、税制改正の大綱という形で決定していくという作業を毎年繰り返しております。
     私どもその地方税制を所管する立場から、各省庁から出されました要望事項につきまして評価をし、与党の税制のプロセスに反映させていくということをやっているわけですけれども、資料にありますように、政策評価の資料といたしましては、お手元2ページにいっていただきますと、代表的な例として、新築住宅に関する固定資産税の減額措置、これは住宅を新築されますと、3年間、税金が安くなるということで、良質な住宅の取得促進という観点から、比較的長くとられている措置でございますけれども、こういった形で、それぞれの要望理由でありますとか、さらにもう1枚おめくりいただきますと、これまで既存の税制については、その政策効果についてどうであったかということについて、それぞれ御検証いただいて、御報告いただくというやり方をしております。
     もちろんこのたった2枚でやっているわけではございませんで、これに関しまして補足の資料でありますとかやりとりを、政策評価を踏まえまして議論させていただいているところでございます。
     私ども難しいのは、租税原則から申しますと、公平・中立・簡素ということで、なるべく非課税等特別措置は少ないほうがいいと。ただ一方、経済社会情勢の変化によりまして、さまざまな政策ニーズが出てくるということで議論をさせていただいているところでございますが、基本的にはスクラップ・アンド・ビルド、あるいは非課税等特別措置をなるべく少なくしようという形で、自治税務局では毎年議論させていただいているところでございます。
     最後に、整備合理化、新設・拡充ということで件数をおつけしておりますけれども、新設・拡充する際には、さらにまた延長する際には、廃止であるとか縮減合理化といったことも合わせて議論をさせていただいているところでございます。
     ちなみに地方税の非課税等特別措置の件数は、今回、平成20年度の改正後の数字では209件となっているところでございます。説明は以上です。
    【金本分科会長】 どうもありがとうございました。
     それでは、御質問がございましたら、どなたからでもお願いいたします。
     最後の表ですが、20年度になって増えているというのは、ずっと廃止をたくさんして新設を少なくしておられるようですが、20年度にそれまでのトレンドとかなり大きな違いが出ているのですが、何か事情があるのでしょうか。
    【寺ア企画官】 20年度のどの部分でございましょうか。
    【金本分科会長】 新設が22あって、廃止が15で、差引プラスだと。それまでは差引マイナスがかなり続いていたというところです。
    【寺ア企画官】 この数で評価するのはなかなか難しいですが、平成20年度は抜本的税制改革の前ということで、数的には非常に多くの御要望をいただいて、その中で精査して、与党で御議論いただいて決定いただいたということなので、特段、今年緩くしたとか、そういうことではなかったのですが、ただ偶数年度が比較的、2年おきに延長するものが多いものですから、数的には多くなる。
     私ども廃止というのも、大きなものを廃止して、きめ細かなものを2つ新設するという内容もございますので、単純にこの数だけで評価するのは難しいですが、特段何かの事情があったということではございません。
    【金本分科会長】 そのほか何かございますでしょうか。吉野委員、どうぞ。
    【吉野臨時委員】 在外公館のところですが、最近アジアに行きますと、日本の在外公館の力がものすごく弱くなっている感じがするんですが、例えばいい意味でなんですけれども、ドイツとかフランスというのは、在外公館を含めていろいろなプロジェクトに入ってくるんですが、日本の場合にはその力がすごく落ちていて、どんどん受注率が減っているように思うんです。
     そういう在外公館の体制整備と、そのパフォーマンスというのをもうちょっと見ないと、ただ人がいればいいんだというふうにならないと思うんですが、どういう形でそれを見ていったらいいのかというのを、きちんと議論しないといけないと思うんです。
     それからもう1つは、こういう在外公館というのは、その現地の人との長いつき合いというのが必要なわけですね。そうすると、日本の場合のように何年間かで異動する制度がほんとうにいいのか、制度も含めて見ていかないと、本当の意味でのいい在外公館にならないんじゃないかという気がするんですが。
    【箕浦企画官】 パフォーマンスのお話がございましたけれども、私ども査定するに当たりまして、在外公館の体制としましては、大使のもとに私どもで査定している定員というのもございます。それ以外に予算で措置される現地のスタッフ、ローカルスタッフという人たちがおります。そういった全体の組み合わせの中で、今、公務員の数をすごく総量を抑制しようということでやっておりますので、そんなに軽々に増員というのはできないという中で、限られた資源をどういう形で配分していくかというときに、それぞれの公館の実情に応じて、定員という形での措置が必要なのかどうかという点で私ども見させていただいています。
     そのときに、要求はいただいておりますけれども、例えばパフォーマンスの面も含めて、実際にもっと、例えば各国にはJICAとか国以外の機関もございますので、そういうところときちっと適切な連携が図れているのかどうか、そういった連携が図れれば、必ずしも定員を措置しなくても求めようとする効果が得られるのではないかという、そういった機構・定員の査定のプロセスの中でも、できる範囲でパフォーマンスというのは見ながら査定しているところでございます。
     ただ一方で、全体の在外公館、今現在のパフォーマンスを考えるときに、ほんとうに何が必要なのかというのは、必ずしも私どもでやっている機構・定員の審査というプロセスだけで見れるものではございませんので、そこはむしろ評価というものとか、あるいは全体の在外公館の予算査定とか、そういったいろいろな資源管理のプロセスを通じて考えていくべき問題なのかなという気がいたします。
     あと、ある程度現地とのつき合いが必要なので、今みたいな日本の仕組みのように、何年かでかわっていくようなことが妥当なのかどうかという御指摘がございました。確かにある程度専門性をきちんと維持していくということと、現地との人間関係を構築しなくてはいけないということを考えたときに、大使館における在任期間というのはそれなりに考えなくてはいけない課題であるというのはもちろんでありますし、そこは在外公館の人事の実態については、私も残念ながら詳しくは承知しておりませんけれども、当然ながら外務省において適切な在任期間を設定するといったようなことについては、考えながら人事が行われているものと考えておりますし、例えば仮に人事異動で在外公館から転出してしまうというような場合であっても、例えば特定のその国の言語とか文化とかとかかわりの深いような人事ローテーション、キャリアパスの中で、そういった勤務経験をさせるというような工夫は適宜行われているのではないかと思われますが、そこも実際に外交を行っていく上でほんとうに十分なのかどうかというのは、むしろこういった各省の政策評価をする中できちんと見ていただくことなのかなと考えております。
    【金本分科会長】 大竹委員、どうぞ。
    【大竹専門委員】 資料3の3ページ目のこれまでの政策効果というところなんですけれども、これは固定資産税の減額措置によって、居住水準達成率が上昇したとか、建物の件数が増えたとかという数字ではないですよね。それとは無関係に上がったり、たまたま住宅が建ったというのと識別できないのですが、これを政策効果というふうに呼んでいいのかという気がするのですが、その点はいかがでしょうか。
    【寺ア企画官】 実はこの特例については、絶えず地方団体の現場からも見直し論が出ておりまして、ある意味で既得権益化しているのではないかという議論も実はございます。一方、御指摘のように誘導居住水準達成率なるものは、この特例によって成り立っているのかどうか、この部分の分析は不可能なので、私どももそれは重々議論させていただいたところでございます。
     ただ一方で、今、住宅市況が冷え込んでいるということ等から、今回、存続が決まった背景というのは、この政策背景そのものが効果があったというよりも、現状の住宅の状況を鑑みて、この新築住宅に対する特例措置を存続するのが適当であるという判断が強く作用したのではないかなというのが正直なところではございます。
    【金本分科会長】 そのほか。藤井委員。
    【藤井委員】 先ほどの吉野先生の御質問とも関係するのですが、機構・定員の関係の審査で各省の部分を拝見していますと、政策目的のところが政策のための体制を整備するというタイプのものと、例えば先ほどの外務省ですと、目的そのものが体制基盤の整備強化で、政策の概要といたしましても、実施体制を強化するということになっているものがございます。後者ですと、先ほどのそこからどういう外交上のパフォーマンスかという話につながるものとは少し違う視点かなという気もいたします。ほかの事例ですと、消費者行政の推進ですとか、ほかの政策調書でも出てきているような政策的なものの立て方もあるようなのですが、こちらで立てられている政策目的等というのは、通常の政策評価と同じものと理解してよろしいのでしょうか。
     また、実際に各省の機構・定員を御覧になっていく中で、どういうふうにしてもらう、先ほど課題のところで、直接扱っているものが少ないので難しいというお話があったのですが、どういう形での政策目的なり、それに対応する評価になるのか、この機構のためには別のものがあったほうがいいというお感じなのか、あるいはやはり政策評価一般と同じような形の中で機構部分をとお考えになっているのか、その辺がわかりましたら教えていただければと思います。
    【箕浦企画官】 外務省の例は、確かに目的のところに体制基盤の整備強化とありまして、率直に言うと、外務省はまさに体制基盤の整備強化が自己目的化したような取り組みがあって、我々もちょっと苦慮してきたところがあるのでありますが、冒頭御説明申し上げた課題の点について御質問いただきましたけれども、どういうのが使いやすいのかというのは、私どもも具体的にイメージを持っているわけではないのでありますが、政策評価自体は、こういう体制の強化みたいなものではない本来の政策ですね。政策があって、その政策をブレイクダウンして施策というレベルまできちっと評価をされて、方向性としてもっと力を入れていくべきとか、漫然とやっているものについて重点化を図るべきといったところについては、比較的評価の中で言及されているものが見られるのでありますが、さらにそれが具体的な事務事業のレベルで、こういう事務は今後不要とか、あるいはこういった点に力を入れていくべきというところまである程度具体的にブレイクダウンされたもの、さらにそれが体制の強化につながるような評価の言及があれば使いやすいということになるんだと思うのですが、実際問題としては、評価でそこまで細かくすべての政策について見ていくというのは相当難しい面があるので、そこは評価の面からもある程度限界があるのではないかというのが1つです。
     それから一方で、私どもがやっている査定の仕組み上の限界といたしましては、あくまでも政策評価結果をきちんと踏まえながらやっていくのですが、一方でほかの考慮すべき要素というものもございまして、例えば要求があったときに、実際に要求があった機構とか定員がやろうとしている仕事が、ほんとうに国がみずから直接やるべきなのかどうか、例えば地方との関係でいけば、これは地方の事務と位置づけるべきではないとか、あるいは独立行政法人という主体がございますので、そういう独立行政法人にやらせるほうがより効果的ではないか、あるいはこれは民間に任せたほうがより効率的ではないかとか、最近、市場化テストもございますけれども、そういったまず主体として国がやるべきかどうか、そういった価値判断もございます。
     あとは実際に政策自体は確かに必要性があるわけですが、実際に財源の問題もございますので、一方で政府としての全体の政策方針の中で、例えば国家公務員の定員については、5年で5%純減していくというキャップがかぶせられている部分があって、どうしてもその範囲内での査定になってしまうということがございます。
     そうすると、要求の段階でももちろん各省がプライオリティを判断して要求してくるわけですが、査定の過程でもそういうプライオリティをつけて、どうしても重要性はわかるけれども、優先順位が低いというものについては、査定の結果認めないといった判断もございますので、評価結果にきちんと機構・定員につながるような言及があったからといって、必ずしもそれに沿ったような審査が行われるということではないということは御理解いただければと思います。
     御説明になったかどうかわかりませんけれども、以上でございます。
    【高橋臨時委員】 資料3の2ページ目ですけれども、こちらについてお伺いしたいと思います。
     住宅の減税ですが、要望理由のところに、住宅取得の初期負担を軽減して居住水準の向上を図ることが必要だとあります。これは先ほどほかの委員の方の御意見もありましたが、なかなか検証できないんですが、「建築当初の負担を軽減することにより、住宅建設の促進等に対する支援措置としても効果がある」という書きぶりです。こちらの効果を期待して、いわゆる産業振興といいますか、そういう形で使われていると感じているのですが、個人の生活レベルの向上という問題と、それから、住宅建設による需要の喚起という点をきちんと分析しているのかどうか、お伺いしたいと思います。
     個人レベル、事業者レベルだけではなくて、この減税措置は、国として減税したことによって、何かプラスの経済効果があるべきだと私は思うのですが、そういう視点では評価なさらないのか。
     つまり新築住宅の促進を今後も続けていくことが、少子・高齢化の中で得策なのかという評価はいかがなのでしょうか。新築住宅に対しては、ローン減税とか、もろもろやっているのですが、一般の庶民は中古住宅を買うときにはものすごく苦労しているわけですね。新築にばかりこういうものがいくということが、果たして政策としていいのかどうか疑問に感じますので、少しお答えいただければありがたいと思います。
    【寺ア企画官】  御指摘をいただいたような議論を、まさしくしておりまして、新築住宅特例を3年間、買った後は、4年目について上がるわけですね。現場においてはそのクレームが大変多いという現状があって、見直し議論も多いというのがあります。
     おっしゃいますように、初期費用の負担を軽減するのは事実でありますから、トータルで見てプラスかマイナスか、取得に対してプラスに作用しているかマイナスに作用するかといったら、プラスに作用するのに決まっているのですけれども、住宅取得という大きな投資の中で、固定資産の軽減というのはどれだけのウエイトを持つのかという議論をさせていただいたところであります。
     ただ先ほど申しましたように、これを今回廃止するということになれば、少なくともマイナスのメッセージを送るということは事実でありましたので、さまざまな判断の中ではございますけれども、今回延長が決まっています。
     ただ御指摘のような議論、私どもまさしく要望官庁に対してさせていただいてところでありまして、この減税があるから住宅を取得しましたというだけの人というのは、なかなか抽出が不可能であるというのは実態であると思います。
    【高橋臨時委員】 まさに中古住宅の流通をうまくやっていくことが必要だと思うので、そちらのほうに税制を切りかえたらというところまではアドバイスはされないということですか。そこの辺を次の目標として考えたらということは、示唆なさらないのでしょうか。
    【寺ア企画官】 中古住宅は別途不動産取得税の軽減措置などがございますので、さまざまな流通課税に対する減免はやっているのですが、トータルの中でこういう要望をされてはどうですかということをこちらから持ちかけるということは基本的にはございません。ただおっしゃいますように、絶えず不断の見直しをしていただきたいと。特にこういう長く続きかつ額も大きいものについては、絶えず見直すということをやっていかなければいけないというのは、全く御指摘のとおりだと思います。
    【金本分科会長】 それでは、大分時間も超過しておりますので、ここまでにさせていただきたいと思います。
     箕浦企画官、寺ア企画官には、御多用のところ御出席いただきまして、大変ありがとうございました。本日の御説明を今後の審議の参考にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
     続きまして、各府省が実施した政策評価の点検結果につきまして、新井調査官に御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
    【新井調査官】 客観性担保評価担当室調査官をしております新井と申します。4月より参りました。今後ともよろしくお願いいたします。
     お手元の資料4でございます。こちらを御覧いただければと思いますが、政策評価の内容点検の結果についてという形で、この3月にも政策評価分科会にお諮りいたしまして、47事例を通知・公表させていただきました。これにつきましては御案内かと思いますが、各府省が行いました政策評価につきましては、当方として疑問を持ったという場合に、その事実関係の把握整理を通じまして、これを解明し、具体的な改善につなげていく。ただそれで整理がつかない場合には、最終的には政策評価分科会にお諮りした上で評価をやり直すという形の認定を行うということを内容とするものであります。
     その3月に引き続き検討するといたしておりましたもののうち、今回3事例につきまして御報告をするということになりました。
     2ページ目を御覧いただきますと、まず(1)比較の対象となる代替案の設定の妥当性に疑義があるというものが、ダムを水道水に利用するという厚生労働省の事業の関係の1件であります。下の(2)とありますのが便益算定の前提となる需要予測の妥当性に疑義があるというもので、国土交通省の道路関係の郷拡幅事業、それから、次のページの大峠バイパス事業の2件であります。
     3ページの下にその他とありまして、農林水産省の国営かんがい排水事業ですが、こちらにつきましては、前回も御紹介したとおり、農林水産省に便益の効果を積算するデータの提出を求めまして、先週の23日にようやく出てまいりまして、今、それを基に精査を行っておりますので、引き続きお時間をいただきまして、またしかるべく御報告をしたいと思っております。
     それでは、それぞれ3事例につきまして、その内容のポイントを御紹介させていただきたいと思います。
     まず厚生労働省のダムの水道水利用事業の件でございますが、これは大阪府が事業主体となっているものに対する厚生労働省の補助事業であります。事業期間は、安威川ダムという大阪北部に設けられておりますけれども、これが平成元年から28年までの計画、それから和歌山県の紀の川大堰、これが21年までの計画ということになっております。これらのダムを用いまして大阪市を除く大阪府全域をカバーしていくという事業ですが、今回の評価ではB/C4.43を見込んでいるというものであります。
     この大阪府内の水需要というのは、人口、産業ともに伸び悩んでおりまして、この予測値を17年に見直して、利水量の変更が行われております。全体で1日43万m3立方メートル必要だとしておりましたのが、約半分の21万m3立方メートルという形になっております。その際に、そのうちの12万m3立方メートルは工業水で転用して賄うということが決定されておりました。残りの9万m3立方メートルをどういうふうに賄うかということが、今回の評価の基となったわけであります。
     厚生労働省の評価の概要でありますけれども、代替案としまして2つのケースを想定して評価をしております。
     第1案は、安威川ダム、紀の川大堰、両方撤退しまして、大阪府の工業用水のみで9万m3立方メートルすべてを賄うというものであります。これは投資額が712億円、効果額2,289億円を見込んでいます。それに対しまして第2案は、7万m3立方メートルは工業用水で賄うのですが、残り2万m3立方メートルについて、安威川ダム、紀の川大堰それぞれから1万m3立方メートルずつ賄うという案でありますが、これは投資額が820億円となっており、ダムの分多いのですけれども、効果額としまして3,480億円、これは渇水被害回避という点では第1案と同様ですが、追加で非常時の飲料水確保という効果が1,191億円見込めるということであります。第2案の場合はダムの整備に伴いまして、耐震性を有する新たな浄水施設というものが建設されるということがありますので、既存の施設をただ活用するというよりは、その点で効果が見込まれるという点をうたっているわけです。
     これにつきましては、当方として2点疑問点を提示しました。
     1点目は、この代替案として提示されている二つの案ですが、これでは安威川ダムを造るというのがありきなのではないかという点です。安威川ダムはまだ本体工事が未着工でありまして、紀の川大堰は既に暫定運用まで至っておりますので、こちらを用いるというのはまだわかるのですが、安威川ダムというものを本当に利用する必要があるのかどうかという点の比較検討を行えるような、そういう代替案も加えて検討することが必要ではないのかというのが1点であります。
     2点目としまして、大地震発生時に府域全域に応急給水が可能であるという想定で、この非常時の飲料水確保効果は積まれております。これにつきましては、安威川ダムというのは大阪府の北部、茨木市というのにあるのですが、紀の川大堰は和歌山県にあるわけです。非常に離れておりますけれども、これら両方を用いて全域をカバーするという計画なのですが、そもそも大地震が発生した場合に、これらの施設から避難民に水を配るという給水車あるいはポンプ車というものが確保できる計画に現実的になっているのかという点につきましては、地理的に考えても非現実的、非合理的ではないのかと。これだけの規模の飲料水確保効果を積むというのは、いかがなものかということで、そもそもこれは各家庭においてペットボトルを備蓄しなくて済むということを便益に積んでいるのですが、これはいかにも多いのではないかということを2点目として提示したわけであります。
     これに対しまして、厚生労働省では、この代替案は確かに安威川ダムありきというふうに受け取られたという点については、その点は重く受けとめたいとしております。当初、ライフラインである水道水が災害時に確保されないというのは、やはり非常に厚生労働省としての責任が問われるということを強く主張し、大阪府としても防災計画でもこれを見込んで立てているということもありまして、相当強い抵抗があったのですが、最終的には当方が指摘するような代替案、すなわち安威川ダムはゼロで、紀の川大堰で2万m3立方メートルを確保するなどの代替案とも比較するということで改善するというのが1点目についての回答です。
     それから、先ほどの1,191億円の飲料水確保効果につきましては、改めて、安威川ダムは北部の届く範囲、紀の川大堰は南部の届く範囲ということで、ある程度合理的な範囲に絞って、便益も算出し直すということで、この評価をやり直すこととなりました。その結果では、1,191億円は495億円に圧縮されまして、結果B/Cは1ポイントダウンしまして、4.43から3.39ということになりました。事業は継続ということであるのですが、適正な指標を用いて評価をするという点では、改善ということになろうかと思います。
     また厚生労働省としまして、今後の事業評価に当たりまして、代替案との比較検討内容が適切かどうか確認を行うことに留意していくという意向が示されております。
     以上が第1の事例であります。
     次の道路関係につきましては、一つ目は郷拡幅という事業であります。高知県に郷という地域がありまして、そちらの道路を拡張するという事業で、これは全体事業費が61億円ということでありますけれども、費用対効果として、事業全体でB/C1.3ということを見込んでおります。
     四国の高知県と愛媛県の県境のエリアということになりますけれども、郷拡幅は国道439号の一部であり2.5キロの延長区間になっております。このエリアにおきまして、郷拡幅事業を含め439号の整備が行われますと、利便が向上して、その分移動に掛かる時間が少なくなり、他の道路から交通量が転換するということが便益となります。国道380号及び国道494号から、そこを経由するよりも早く目的地に行けるということで、交通量が転換するということで、1日当たりそれぞれ405台、850台が転換するという計算でB/Cを算出しております。
     ただし、その際の前提といたしましては、郷拡幅の評価を行いました際に用いました交通センサスは、国道380号、国道494号ともに平成17年度のものですが、それ以降は整備がなされていないという前提とされております。
     一方で、それぞれの転換元とされております国道380号及び国道494号におきましては、それぞれバイパス事業が実施されておりまして、この整備がなされますと、それぞれの国道における評価としては交通量が増すという評価が既に行われていたわけです。
     そうしますと、同じ国道の将来交通量に関しまして、一方では他の道路へ転換をするといい、他方では増えるということで、この整合性が確保されていない。同じエリア内で交通量が一定であるとすると、二重に計上がなされているのではないかというのが、当方の疑問点でありました。
     これにつきましては、国土交通省では、この国道439号、あるいは国道380号、国道494号は、中山間にあるものもあり、生活道路のものもあり、広域交通を担うものもあり、それぞれの特性に応じた評価をしているので、なかなか一概にそれぞれを単純に比較して整合性をとるということは難しいと当初主張していたのですが、当方としては、同種類似の再評価というものを見ますと、このように他の道路から交通量が転換するとしておきながら、その転換元の道路においても別途交通量が増えるというような整理をしているものは他に見当たりませんでしたので、これについては整合性を確保されたいということを強く申しました。その結果、国土交通省としても、再度評価を行い、その際には、総務省の指摘を踏まえ、競合する路線の将来交通量の関係について精査をして、整合性を相互に確保するという認識が示されております。
     なお、これにつきましては、御案内のように、国会におきまして、道路事業の需要推計の在り方について抜本的に見直しを行うという方針が国土交通省から表明されておりまして、秋に、その評価書の見直しを行った後に、この評価もやり直しを行うということとしております。
     二つ目は、高知県の大峠バイパス事業であります。現道は非常に歪曲しておりますが、この国道439号の約6キロの区間がバイパス化されるという事業になっておりまして、この区間を含む国道439号の便益が向上する。経由した場合の走行時間も短くなるということで、周辺にある国道33号から交通量が1日当たり1,256台転換するというのが、今回の評価であります。
     しかしながら、実はこれにつきましても先ほどと同様の論点ですが、この国道33号については、越知道路という高規格道路が別途、既に整備が進んでおりまして、こちらの事業では交通量が1日当たり4,292台増えますという評価だったわけですけれども、大峠バイパスの評価では、その越知道路の整備による効果を勘案せずに、越知道路から交通量が転換するとしておりますので、これらにつきましても整合性が確保されていないということで、先ほどと同様の疑問点を提示しまして、最終的に、大峠バイパスについても国土交通省として同様の判断で、この秋の見直し後に総務省の指摘を踏まえて見直しを行うという認識が示されましたので、今回この分科会にお諮りをいたした次第であります。
     以上が今回の追加報告ということになりますが、お諮りをしました後、この分科会終了後にしかるべく整理をしまして、公表してまいりたいと思っております。
     また、今後もこの認定関連活動を充実させていきたいと思いますので、御指導のほどをよろしくお願いしたいと思います。
     御説明は以上でございます。
    【金本分科会長】 どうもありがとうございました。
     それでは、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。田辺委員、どうぞ。
    【田辺臨時委員】 個別の事例を突いていくと、素人目というんでしょうか、明らかに矛盾しているものが多いので、それを突いていくという手作業を地道に続けていっていただきたいと思いますけれども、他方で、例えば、一番初めのダムの問題で出てきたところですと、1案と2案で、2案の方でポッと出的に非常時の飲料水確保みたいなのが出てくるわけですね。
     そうなると、これは一体マニュアルがどうなっているのだろうというのが気になりまして、例えばマニュアルどおりきちっとやっていないという指摘もあり得ると思うのですけれども、そもそもマニュアルが変であるとか、そちらの方まである意味では詰めていって、妥当なものに直していくという、こちらでその作業を全部引き受けると非常に難しいので、マニュアルの改正等を適切な方向に促すという作業というのが必要になるのだと思います。これの扱いはマニュアル上ではどうなっていたのでしょうかというのが、基本的な質問でございます。
    【新井調査官】 厚生労働省のマニュアルでは、こういった非常時災害に備えた便益を積むということ自体は認められています。その際には、便益の算定方法についてペットボトルの単価に人口を掛けて出すという規定はあります。ただし、それをどういう範囲で積むのかというところが明確にはなっておりません。そうしたこともありまして今回のような課題が、便益額が過大に積まれているということになっている面もあろうかと思います。
     我々も当初、本当に便益を積むこと自体が妥当なのかどうかというところから議論はスタートしているのですが、今回の整理としては額の過多でということになっております。ただし、同種類似のダム利水事業といったものもまた新たに出てくると思いますので、こういうものが目立つということになれば、そういう事例の蓄積の下にマニュアル自体の見直しについても議論していきたいと思っております。
    【金本分科会長】 小峰委員、どうぞ。
    【小峰臨時委員】 安威川ダムと紀の川大堰のコストとベネフィットのベネフィットの方に問題があるという御指摘があったのですが、コストのほうも、1案でダムを造らないという方が712億円で、2案で造る方が820億円で、ダムを造らない割には随分コストが下がらないなという印象があるんですね。ダムを造らないのに何でこんなにコストが掛かってしまうのかということを教えてください。
    【新井調査官】 これにつきましても、当方もそういう問題意識を持ちまして確認しますと、この事業は利水目的でダム建設に参画するというもので、水道事業については大阪府がその事業主体になるのですが、建設元はダムを治水目的の面から造っている主体、これは同じ大阪府がダムを建設する主体としての権利を持っています。その権利の一部を水道水に利用する者に渡している、水道事業者からみると権利を買い取っているわけです。
     そうしますと、今回、工業用水から賄う形ですと、その分、ダム建設から撤退をすることとなりますが、その際、撤退する分に応じた負担金が掛かってしまうので、その分がコストとして必要になるというのが厚生労働省の説明です。
    【金本分科会長】 いずれにせよダムは造るというのは基本的な前提かと思いますが。
     治水と利水とか、いろいろな用途にダムを使うので、それぞれをばらしてこういう評価をしていますけれども、そのばらし方が適切かどうかという、これは先ほど田辺委員から提起があった、マニュアルがオーケーなのかどうかという問題になるのだと思います。あまり議論されていないのですが、まじめに考えた方がいい問題ではあります。
     河野委員、どうぞ。
    【河野臨時委員】 マニュアルにかかわりのあることで質問があります。この2案ですが、大阪府工業用水から7万トン転用ができるということでありますが、このことを前提とすると、工業用水に余力があるということかと思うんですね。非常時の飲料水の確保で、もしダムを造れば、450億円というメリットが出るということですけれども、多分大阪府全体からいうと、淀川水系の水量が中心的だろうと思いますが、非常時というのはそんなに長い期間じゃないと思いますので、他の水系のネットワークを使っても確保できるのではないかと思うんですね。だとすると、紀の川大堰からの水だけを送り込んでいくという考えはちょっとわかりにくい。何か非常時のネットワークというのを考えているのであれば、紀の川大堰から送り込んでいくことだけを前提としたメリットは考えにくいかなと思います。
    【新井調査官】 確かに、同じ非常時の飲料水確保といっても、それこそ工業用水から持ってくるとか、いろいろできる可能性があるのではないかということで申し上げたのですが、厚生労働省では、工業用水の場合ですと水道水に転用する費用であるとか、あるいは既存の施設になりますので、耐震型のものにしないと大地震の際に役立たないものですから、その点を考えると、要は新たに造る必要もあるとしており、それならば、ダムを使うのが一番効果的である、それも今ある紀の川大堰だけではなくて安威川ダムも造り、複数水源を確保した方がより確実になるという発想となっています。
     しかし、このように言っているにもかかわらず、本当にそれぞれのダムから給水網といいますか、そういう計画が綿密にあるのかということを議論の過程で問い合わせますと、その点は必ずしも明確になっておりませんでした。裏付けとなる給水システムについてはまだ今後検討というところが厚生労働省としてはあるものですから、それであれば、最低限、非常時の飲料水確保の便益が及ぶエリアは絞ってくださいということで、北部と南部に絞るという議論となりました。その点の考え方が元々はっきりしていなかったという点が、評価のやり直しにつながったのではないかと分析しております。
    【金本分科会長】 吉野委員、どうぞ。
    【吉野臨時委員】 今回の3事例、大阪府の水道と高知県の道路ですが、全国でこういうものがあって、この2つが少しひどいとしても、あと何十件かこういうものがあるのだとすると、本当は全部やっていただかなくちゃいけないと思うのですが、どういう形でこれをもう少し、自動的にこういうことがないようにさせるには、地元負担を増やすとか、何かシステム自身を変えないと、どうしてもこういうことが起こるような気がします。ですから、これは極端な例であっても、ほかにもありそうなのか、この例だけが非常に悪くて、あとは大丈夫なのかどうか、その辺りを教えていただきたいのですが。
    【新井調査官】 19年度の点検活動の対象となる評価、それから、それ以前の数年間のある程度累積で考えますと、通常ですと、利水事業の場合には、必ずしもこういった形で比較検討すべき代替案を考えねばならないというものは少ないのではないかと思われます。
     特に大阪府の場合は、先ほど申し上げました工業水を転用する、水余りの状況というものもありまして、そういった状況であるとか、あとは先ほどの防災の観点というのを見込んで利水を考えねばならないというほど必要性が問われるものといいますか、というのは他に見る限りではあまり例は少ないのではないかという感触は持っておりますが、ただし、これはまた経年で出てくるものもあろうかと思いますので、その意識を持って、本当にこのケースだけなのかどうか、類例が出てこないだろうかというのは、引き続き見ていかねばならないとは思っております。
    【金本分科会長】 よろしいでしょうか。お答えはありましたが、必ずしも全体的にどうなっているかというのは、若干雲の中という感じではあります。
    【高橋臨時委員】 関連してでございますけれども、毎回こういう御報告を受けますと、やはり氷山の一角だなという感じがします。変更・見直しもなかなか容易でなくて、やっぱり一罰百戒といかないまでも、こうしたずさんな計画の抑止を考えなければいけないと思うのです。一つには今、吉野先生がおっしゃったようなこともあるでしょうし、私はジャーナリストですので、公表によるパブリックプレッシャーの効果を期待したいところですが、今回、資料4のこの文章を読んでもなかなか理解できないんですね。きちんとおかしいことを報道していただけるようなレクをしていただくことも私は重要だと思いますので、ぜひ実例をもっと詳しく出していただきたい。もっと新聞やテレビで報道してもらうような形に持っていったほうが、この政策評価の仕事そのものも評価されると思うのですけれども、いかがでしょうか。
    【金本分科会長】 過去の報道資料を見たことがあるのですが、わりとわかりやすいものにはしているようです。ですから、そのように多分おやりになるのだと思うのですが。
    【新井調査官】 最終的にはわかりやすい資料を用いて公表していきたいと思っております。
    【金本分科会長】 一つそれに関連して重要なのは、わりと詳細に各省から情報が公表されているものはこういった事例として出てくるのですが、あまり情報を公開していないケースがございまして、その辺はどちらかというと公開しないほうが得という感じになっています。その辺をもう少しきっちり打ち出していかれた方がいいのかなという気はいたします。まじめに出すとやっつけられるという感じになる傾向があるということであります。
    【立花臨時委員】 一つよろしいでしょうか。地方いじめ的な誤解を招かないためにも、まじめに議論をやっているわけですから、こういう政策評価の点検をする場合には現場を見て、実際の利用者といいましょうか、工事のケースにしろ、生活なり、あるいは医療とか、通勤とか、どの程度の切実性があるかどうかというのは、この資料だけからはわからなくて、数字面ではどうだという議論をしているわけですが、もう少し評価を点検する方々が現場に行って、実際に自分たちの目で見て、それからあと実際の利用者たちの意見も聞くとか、議論する以上はそういったきめ細かさがないと、東京の人たちはみんな地方ばかりをいじめていると、B/Cばかりで攻めているじゃないかと、そういう変な誤解を招いて不毛な議論にならないように、その辺はどうなのでしょうか。
    【新井調査官】 こういった認定関連活動で対象にしておりますのは、公共事業も含めまして数千件になりますので、その中からどれを選定していくかというところはある程度限られてはおりますけれども、我々もなるべくこうした活動をするに当たりましては、それぞれの地域でどのような問題点が報じられているのかとか、あるいはどのような要望があって事業が行われているのかという点はできる限り把握した上で、また、そういった情報を集める上でも、なかなか現場まで行くということは難しいのですが、できる限りそれぞれの地域に出向いて情報を得た上で疑問点を整理していきたいと思っております。特に問題が大きいような事例については、御指摘も踏まえて検討したいと思います。
    【立花臨時委員】 出先の行政評価局があると思うのですが、こういった事例の裏づけ的な感じでそういう組織は使っておられるのですか。
    【新井調査官】 これまでも問題となるような事例を集めて、報告してもらうということはやっておりますし、本年もそういう意味では、今までのそういう情報を得たものの蓄積がありますので、そういったものを活用して検証をしていき、また、場合によっては我々も直接出向いて、データを求めていくということも行いたいと思っております。
    【小峰臨時委員】 私は自分自身があまり現場派じゃなくて書斎派なものですから、現場に行って実情を見てくるというのは両面あると思うんですね。現場に行って、例えばお年寄りがこんなに困っているとか、そういうのを見てこなければ判断できないということなのか、それともこの各府省が実施した評価というものをチェックして、その範囲でここが整合性がないとか、そういう指摘をするのかという考え方なんですが、私はむしろ評価をチェックするということではないかと思います。もしこれでこの工事はメリットが少ないのではないかとなったときに、評価を実施する方が、現場でお年寄りが困っているんですよと言ったら、それをちゃんと評価に入れなさいという指摘をするという方法もあるのではないかという気がします。
    【金本分科会長】 これを論争すると大分時間がかかりそうであります。まだ1つ議題が残っておりますので、そういうことについてまた議論していただく機会もあるかと思いますので、この辺でこのテーマについては終わらせていただきます。
     続きまして残りの平成19年度政策評価等の実施状況、これらについて吉開政策評価官に御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
    【吉開政策評価官】 私から2点続けて御報告と御説明を申し上げたいと思います。
     まずは平成19年度政策評価の年次報告でございますけれども、これは政策評価法に基づきまして毎年報告しているものでございまして、政策評価等の実施状況、すなわち各省の政策評価と、私ども行政評価局の評価の実施状況、それから、その結果の政策への反映状況というものでございます。
     今年で6回目でございますが、6月に閣議決定、国会報告を予定しております。
     19年度の新たなトピックスとしましては、この分科会で御審議いただきました重要対象分野の評価の推進、それから、同じくこの分科会で御議論いただきました規制の事前評価の義務付け、この2点を新たなものとして紹介しております。
     重要対象分野につきましては、改めて御説明するまでもないかと思いますが、規制の事前評価の義務付けで1例紹介しますと、ガス瞬間湯沸器の事故を契機としまして、昨年、消費生活用品安全法の改正により導入されることになった、長期使用製品安全点検制度にかかる経済産業省の評価結果がございます。改正案に加えまして代替案を2つ評価しているとともに、便益と費用を両方とも定量化して評価しているというものです。
     19年度において各省が新たに行った工夫としましては、例えばということで、文部科学省の例でございますが、実績評価の結果を予算要求により的確に反映させるということで、実績評価の実施時期を1カ月程度早めて、8月初旬までに出してきていたものを6月下旬ぐらいに出すようにしたという取り組みが見られるところでございます。
     各省における評価結果の政策への反映でございますけれども、今回紹介しておりますのは、一定の成果が上がっているけれども、一部については想定どおり達成できなかったということで、そのような評価結果を踏まえて制度改正につなげた例です。公立の小中学校における学校評価の関係でございますが、これは外部評価、それから教職員による評価ということでございますけれども、この制度改正によりまして、学校教育法の施行規則を改正して評価の根拠となる規定を設けたとか、学校評価のガイドラインを改定したという取り組みにつながったというものであります。
     公共事業につきまして、事業採択から5年経過しても未着手であるとか、10年経過しても完了していない事業につきまして、休止ですとか中止につながった例を毎年御紹介しているわけですけれども、19年度は4省計13事業で630億円程度になっております。
     昨年が3,000億円程度でございましたので、金額的には若干少ないのですが、公共事業の事業量は毎年度異なりますので、単純に比較することはできませんが、今年もダム事業の中止ですとか、そういった形で公共事業の見直しは図られているところです。
     私ども行政評価局が行った統一性・総合性確保評価、それから、客観性担保評価の概要については、説明は省略させていただきたいと思います。
     最後に、平成19年度の評価実施件数は3,709件ということになっております。
     以上が年次報告の関係でございまして、引き続きまして資料5ということで、平成19年度における各府省の政策評価への取組状況というものでございます。これは各省の評価の実施体制を基礎資料として取りまとめたものでございます。幾つかかいつまんで御説明を申し上げますと、2ページ目をお開きいただきますと、総務省に有識者会議がございまして、これまでは政策評価会議という名前だったわけでございますが、昨年の10月から総務省の政策評価に関する有識者会議というふうに改組を行っております。
     設置の目的は、政策評価結果及びその政策への反映状況等について、学識経験者等の知見を活用するため開催ということで、これは変更はないのでございますけれども、設置要綱を新たに定めて位置付けを明確化しているということが新たな点でございます。
     13ページでございますが、真ん中のところに意見募集の実施というのがございます。これは私どもの行政評価局で、今年度の行政評価等プログラムからパブリックコメントを新たに実施したということを紹介しております。
     14ページでございますが、平成20年度を新たに開始の時期として策定された基本計画が幾つかございまして、その中で総務省、外務省、財務省、文部科学省におきましては、計画期間が3年から5年に変更されております。法律上は基本計画は3年から5年の範囲内と定めるとなっておりますので、その上限の5年に変更したわけでございますけれども、5年に変更した理由といたしまして、評価制度が導入されて6年が経過し、定着しているということと、今後評価に関して大きな方針の変更を予定していないということが挙げられております。
     私からは以上でございます。
    【金本分科会長】 どうもありがとうございました。
     それでは、御質問等ございましたら、お願いいたします。お願いします。
    【高木臨時委員】 本日御説明いただいた内容ということでは必ずしもないのですが、提案なんですけれども、3年前の見直しによって、実績評価を押しなべて行うということになったわけですが、実績評価は事業年度の始まる前に計画を立てるということになるわけですが、押しなべてやるようになったのが最近だということもあって、計画自体について取りまとめてみるという作業というのはこれまでなかったかと思うのですが、そろそろ計画段階から取りまとめてみておくという作業を行ってもよろしいのではないかなと思えますので、御検討いただけるというように思います。
    【吉開政策評価官】 評価の結果が出てきてから見るのではなくて、実績評価の計画段階からチェックをしろという御趣旨でございますか。
    【高木臨時委員】 したほうが効果が高いのではないかということです。
    【金本分科会長】 計画自体は、中身がないものですが。
    【高木臨時委員】 いや、よく指標の数がどうのこうのとか、年度の最後のところで指摘をされるわけですけれども、そういうのは計画段階で大体わかっている話でありますので、そういったところについては既に今の時点で見るのはいかがでしょうかという話なんですが。
    【吉開政策評価官】 政策評価制度の枠組み上、各省がこれからこういう評価をやりますという個別の計画を総務大臣に提出するという仕組みになっていないものですから、今、高木委員がおっしゃったようなことになりますと、かなり大きな制度改正をしてということになるんだろうと思います。各省の事後評価という原則をどういうふうに考えればいいのかという話になってくるのかなという気がいたします。
    【金本分科会長】 そのほか何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
     それでは、少し時間が超過しておりますので、ここまでにさせていただきたいと思います。
     最後に次回の日程について事務局から御連絡をお願いいたします。
    【吉開政策評価官】 今後、平成20年度の政策評価の重要対象分野の御審議をお願いすることになりますので、まずワーキンググループの先生方に御苦労いただくわけでございますけれども、7月2日、10日、16日にワーキングを予定しております。その後、7月22日に政策評価分科会の開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
    【金本分科会長】 それでは、以上をもちまして本日の政策評価分科会を終了いたします。2時間にわたって御議論ありがとうございました。


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