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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(3月27日開催)議事録

日時

平成21年3月27日(金)16時00分から18時10分

場所

中央合同庁舎第2号館 総務省第3特別会議室

出席者

(分科会所属委員)
森泉陽子分科会長代理、藤井眞理子委員、牛尾陽子臨時委員、大村昭人臨時委員、小峰隆夫臨時委員、齊藤誠臨時委員、佐藤主光臨時委員、白石小百合臨時委員、高木勇三臨時委員、高橋伸子臨時委員、田中常雅臨時委員、田辺国昭臨時委員、谷藤悦史臨時委員、永井良三臨時委員、中泉拓也臨時委員、中川雅之臨時委員、森田朗臨時委員
(国土交通省)
住宅局建築指導課建築物防災対策室 杉藤室長
(財務省)
大臣官房信用機構課 原田企画官
(厚生労働省)
医政局医事課 杉野課長、保険局医療課 佐々木課長補佐
(文部科学省)
高等教育局医学教育課 樋口課長補佐
(総務省行政評価局)
関行政評価局長、渡会官房審議官、松林政策評価官、羽室政策評価審議室長

議題

平成20年度重要対象分野の評価設計(案)に係る関係府省ヒアリング

資料

会議経過

【森泉分科会長代理】 それでは、時間が参りましたので、ただいまより政策評価・独立行政法人評価委員会政策評価分科会を開催いたします。
 本日は、20年度重要対象分野の地震対策及び医師確保対策の評価設計(案)について、関係府省ヒアリングを行うこととしております。
 金本分科会長がお仕事の都合でどうしても出席がかなわないということで、私が議事を進めさせていただきます。
 議事の進め方について、1点分科会長からお話がありました。前回のワーキンググループの折に、質疑応答の時間が短かったこともあるのですが、委員の方で発言できなかった方もいらしたとのことでございます。分科会の時間を延ばすということもなかなか難しいことでございますので、委員の皆様におかれましては、関係府省の評価設計(案)の良し悪し、前回のヒアリングの後、関係府省に示したワーキンググループの意見のうち、関係府省が取り上げなかった事項に焦点を絞った形で御発言をいただければと思います。
 それでは、ヒアリングの進め方について松林政策評価官から説明をお願いいたします。
 

【松林政策評価官】 ただいま森泉分科会長代理からお話がございましたとおり、前回3月5日のワーキンググループでは、評価設計(案)について関係府省ヒアリングを行いまして、その結果を踏まえてワーキンググループの意見として関係府省に示しております。本日の分科会では、関係府省がワーキンググループの意見を踏まえまして再検討した評価設計(案)について、それぞれ10分程度最初に御説明いただきまして、その後委員の先生の皆様方で40分程度の質疑応答を行っていただきたいと考えております。
 なお、医師確保対策の評価設計案につきましては、例えば1ページの中段を御覧いただきますと、最後のところにPとなっております。ペンディングのPでございます。こちらにつきましては、把握という一応仮説、前提を置きまして、ただ、その手法等いろいろ困難なものが予想されるので、まだこれは検討中という趣旨でございます。この点につきましても、今日関係府省から説明があると思いますので、御不明な点、あるいはここはやるべきだという御意見がございましたら、関係府省にお伝えいただければと思っております。
 事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

(国土交通省、財務省 入室)

【森泉分科会長代理】 はい。国土交通省と財務省の皆様には、本日は大変お忙しいところ御協力いただき、誠にありがとうございます。
 それでは、地震対策の評価設計(案)についてヒアリングを始めます。まず国土交通省、財務省の順に御説明いただきますが、時間が限られておりますので、こちらからお示ししましたワーキンググループ意見に係る論点について意見を取り入れ、追加修正していただいた部分についてその内容、意見を取り入れられなかった点についてその理由、この2点に絞って簡潔に10分程度で御説明いただければと思います。その後委員との間で質疑応答を行います。
 それではよろしくお願いいたします。
 

【杉藤建築物防災対策室長】 国土交通省住宅局建築物防災対策室長の杉藤と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、御指摘の点につきまして御説明させていただきます。まず、御指摘に従いましてデータ・分析方法を中心に、なおかつ御指摘のうち盛り込むのが難しいことに限って御説明させていただきます。
 データ・分析方法は、御指摘を踏まえまして、前回お示ししたものよりは基本的に全般的にかなり充実させていただいておりまして、1の(1)につきましては、中央防災会議で地震防災戦略といった被害想定の中でこれまでも様々な分析が膨大に行われております。こういったものの中から、御指摘いただいていますような死因と倒壊との関係でございますとか、過去の震災事例で発生した費用についてある程度の分析が可能と考えておりますので、それをさせていただきたいと思います。
 それから、1の(2)関係でございますけれども、この御指摘は地域、年齢、居住形態等のセグメント別に耐震化に関するデータをとれないかということでございますけれども、これもその後いろいろ私どもでもざっと見ましたところ、内閣府さん、あるいは自治体などで相当意識調査ですとか行われているものもあるようでございまして、それから住宅・土地統計調査といったものを活用して分析できる部分もあるのかなということで、こういったものを可能な限り活用いたしまして、具体的にはここに掲げてあるようなことにつきまして、可能な範囲で分析してみたいと思っております。
 それで、ワーキンググループのほうで御指摘いただいた点で、特に、耐震化率をセグメント別に把握できないのかということでございましたけれども、この中で例えば持ち家・借家別につきましては、住宅・土地統計調査で既に集計区分がございましたので一定の分析をさせていただきたいと思いますが、その他の区分につきましては、クロス集計をとり直さないと出ない部分がございますので、もし総務省統計局さんのほうで御協力が得られれば、そういった部分ももう少しできるようになるのかなと思っています。
 それから、事業用の建物について耐震化の状況を把握できないかという御指摘をいただいていたんですが、データ区分自体が統計上の制約がございまして難しいと考えております。
 それから、耐震化のボトルネックの原因として、借地借家法等の制約があるのではないかということでございますが、これは先ほど申し上げました持ち家、借家別のデータの分析ということで耐震化率の推計自体はある程度可能かなと思っておりまして、その線で少しできるところまでやってみたいと思っております。
 それから、地震リスクと建物オーナーのリスク認知とのギャップについて検討するために、地域別の耐震化率と地震危険度を比較できないかということでございますけれども、残念ながら、現在の耐震化率はあくまでマクロな統計を活用した数字は出るんですが、即地的なデータが出ないものですから、ミクロな土地柄別に耐震化率との関係をとるのが統計上の制約がございまして、これはなかなか難しゅうございます。ただ、例えば都道府県単位ぐらいの形でそういったものを比較することは一定範囲可能かと考えてございます。
 それから、御指摘いただいている点で、政策目標の設定等の上で建替えと耐震補強を切り分けて説明できないかということでございまして、これも一定の制約があるんですが、少なくとも現在私どもで定めております耐震改修目標におきましては、一応建替えと耐震改修を区分して、具体的に言えば建替え550万戸、改修約100万戸という内訳で平成27年度までに耐震化率9割という目標を掲げてございますので、そういった範囲で分析してみたいと思っております。
 それから、あと密集市街地における耐震化の状況を把握できないかということを御指摘いただいていたんですが、密集市街地に絞った耐震化率の統計というのは、耐震化率のかなり即地的なレベルのデータがないものですから、把握することが困難かなと思っております。
 なお、密集市街地の問題につきましては、私どもは密集市街地の事業をやっておりますけれども、密集市街地の事業は地震後の大規模火災による被害を防止、低減するということを目的にやっておるものでございまして、耐震化とは一応多少関連はしておるんですが、基本的にはそれぞれ別の政策目的でやっておりますので、密集ということでございますと、耐震化以外にも耐火性といったものを指標にして今政策を進めているところでございまして、その辺は考え方を分けさせていただければと思っております。
 それから、大きな1の(3)関係でございますけれども、被災者支援策に関する耐震化とインセンティブとの関係ということなんでございますが、ここにつきましては、被災者支援策を所管する省庁は具体的に言えば内閣府さんでございますけれども、こちらのほうの評価結果を活用するという形になろうかと思いますが、特に、耐震化を実施した人とそうでない人の被災者支援にどの程度の差があるのか明らかにできないかとか、もう少し分析できないかという御指摘をいただいているんですが、誠に恐縮ですが、ここは内閣府さんの所管制度の部分の評価にかかわることでございますので、内閣府さんのほうの協力がいただけないと、なかなか私どもで進めるのは困難かなと思っております。
 それから、(4)のほうはワーキングの意見を大体取り入れさせていただいております。ここに書いてございますとおり、見てみますと私どもの研究所、あるいは各自治体などでも従来いろいろな技術開発をしておりますので、こういったものをこの機会にしっかりと分析しまして、コスト面なども含めて作業してみたいと考えてございます。
 それから、(5)関係でございますけれども、耐震性に関する表示を行うことの効果ということにつきましては、耐震改修済みといった表示制度を近年運用する自治体さんが増えてきておりまして、こういった事例調査などによって進めてみたいと思っております。
 なお、ワーキンググループからの御指摘では、おそらく既存住宅の住宅性能表示制度の活用を通じまして、中古市場で耐震化の有無によってどのぐらい差がつくのかといった効果を分析してみたらどうかという御趣旨が含まれているのかと思いますけれども、こちらにつきましては、住宅性能表示制度自体が耐震、防火など全部で現在10項目から成る非常に複雑な評価を行っておりまして、これがマーケットでどのような評価をされているかということにつきましては、データの入手の問題から始まりまして、実際には定量的な分析をするのはなかなか難しいのではないかと考えてございます。
 それから、(6)につきましては、ここに書かれてございますとおり、普及・啓発の効果的なアプローチは、例えば教育の現場とかいろいろ取り組まれている事例もあるようですので、こういったものを是非分析して、調査を進めさせていただきたいと思っております。
 簡単ではございますけれども、以上でございます。
 

【森泉分科会長代理】 ありがとうございました。それでは、財務省のほうから10分程度でお願いいたします。
 

【原田信用機構課企画官】 財務省でございます。財務省(案)のほうでございますが、2番目の地震保険、「(1)地震保険の効果」というところでございます。地震保険について、政府が関与することの必要性を評価するために、被災者の生活支援のほか、社会全体の負担の軽減効果を具体的に想定または過去の地震から測定できないかという御意見をいただきました。
 こちらにつきまして、なかなか社会全体の負担というのをどうやって計測したらいいのかなと我々も実は悩んでおりまして、例えば考えられるのが、地震保険に入っている人と入っていない人が被災後にどのような生活再建の流れをたどっていって、その際どのようなコストの開きがあったかということを見ることによって、あくまでも一側面ではありますが、ある程度社会全体の負担の軽減を例えばモデルケースとして見るなんていうこともできるのではないかと考えているところでございます。
 それから、あと御意見をいただきました(3)でございます。保険内容が地震保険加入に及ぼす影響というところでございます。保険料の水準が保険加入へ及ぼす影響について、過去の保険料率改定と加入率の変化の関係から把握できないかということでございますけれども、こちらのデータをいろいろと何とか工夫すればできるかもしれませんので、データ分析をやっていきたいと思っております。
 それから、住宅の再建や修繕に要した費用と保険金額の間にどの程度の差があるか把握できないかということでございます。こちらにつきまして、実際の過去の事例、フィールドワークみたいなものがあるかどうかということもあるかと思うので、そういったものがあれば、そういったものに基づいてこういった把握ができないかどうか検討していきたいと考えております。
 それから、4番目の被災者支援策が地震保険加入に及ぼす影響でございます。政府の被災者支援などの事後対策が、事前対策である地震保険加入のインセンティブを削ぐ要因となっていないかをデータによって分析できないか。これは、データというものが手元にあるわけではないんですが、例えばアンケート調査、あるいはフィールドワークの調査といったものがあれば、それに基づいて分析なりを進めていきたいと考えております。
 ただ、この際にはおそらく内閣府さんとの連携なども必要になってくると思いますので、そういったところとよく連携できるように、総務省さんのほうにも是非そういった御配慮をいただければと思っております。
 いずれにしましても、こういった分析をするに当たって、損保協会さん、あるいは料率機構さんといったところにかなりデータがございますので、そういうところと連携しながら意義ある分析をさせていただきたいと思っております。
 簡単でございますが、以上でございます。
 

【森泉分科会長代理】 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に移りたいと思います。どなたからでも結構でございますから、よろしくお願いいたします。中川委員。
 

【中川委員】 国土交通省さんのほうに2点ほど、御質問といいますか御意見半分のものをお話しさせていただきたいと思います。
 1点目は、1の(2)のセグメント別に耐震化率とかを把握していただくということにつきましては、基本的に住調の特別集計とかが必要になるかもしれないけれども、総務省さんの御協力を得ながらやっていただけると私は解釈しましたが、それは是非お願いしたいと思います。
 その中で、基本的にセグメント別に実態を把握したというだけでは私どものお願いとは若干離れておりまして、多分おありになるんだと思うんですけれども、耐震化の全体的な戦略といいますか、例えば持ち借別、所有者の所得階層別、建物の年代別によって耐震化率の進捗の跛行性が多分あると思いますので、そういうものを把握した上で国土交通省さん全体として耐震化のための戦略をどう考えていて、それが現状と整合的なのか、具体的な政策が現状に合った戦略的な展開になっているのかということを是非御評価いただきたいと思います。
 その関連で、例えばリスク認知とのギャップ、地域別の耐震化率との関係、あるいは密集市街地の部分については、あまり細かい危険度、あるいは耐震化率のデータがないというお話だったんですけれども、これにつきましても、おそらく地震の危険度につきましては地方公共団体さんのほうでハザードマップを公表していて、あれは基本的にメッシュ、あるいは町丁目別に既に危険度は把握されているかと思いますし、住調の特別集計で町丁目別にある程度の耐震化率というか、年代別のものは多分わかると思いますので、これにつきましてもおそらく総務省さんとの連携が必要になるかと思いますが、できる限り把握に努めていただければありがたいと思っております。
 密集市街地についてもそういうことです。要するに、全国マクロの実態把握で戦略を立てるというのは、あまり緻密な政策は展開できないので、できれば地域ごとの実態を把握した戦略に沿って政策を展開していただきたいし、そういう展開状況になっているのかを御評価いただきたいというのが1点目のお願いでございます。
 それから2点目でございますけれども、表示制度との関係です。今の御説明で、なぜ性能表示制度につきまして把握できないかということにつきましては、必ずしも私は明確に理解できなかったんですけれども、私は当委員会で皆様方にあまり無理なことを申し上げているつもりはなくて、耐震性能、あるいは耐震化しているかしていないかについてマーケットの消費者に対して表示するということは、おそらく一つの政策としては有効なものではないだろうかと。
 それについて是非実態を把握して、戦略あるいは現在政策を展開していることの評価をしていただきたいというお願いでございまして、例えば性能表示制度についてどのくらいの普及状況にあるのかということにつきましては、おそらく新築と中古に分けた形では把握できると思うんです。
 性能表示制度自身民間がやっているものですから、あまり集約したデータがないという事情はわかるつもりなんですけれども、いろいろな機関の御協力を得ることによって、性能表示制度が中古、新築でどの程度の普及状況にあって、国土交通省さん全体として耐震化情報がマーケットにうまく伝わっているかどうかという評価は、おそらくできるんじゃないかなと思うんです。
 そういうことを前提にした上で、中古の既存住宅の性能表示制度全体の底上げを図る必要があるのか、それとも今室長さんがおっしゃったような、耐震改修済みとかいう地方公共団体の性能表示制度の支援をするほうがいいのかとか、おそらくそういう判断が出てくると思うんです。
 ですから、基本的には性能表示制度だけじゃなくて、耐震化の状況をマーケットに伝えるようなツールにつきまして、それがうまく使われているか使われていないかということについてできる限り情報を集めていただいて、やはりそれも戦略的な比較をしていただけないだろうかというお願いでございますので、是非性能表示制度も含めて御検討いただければと思っております。
 以上でございます。
 

【森泉分科会長代理】 今の件に関して国交省のほうから何かお答えはありますか。
 

【杉藤建築物防災対策室長】 ありがとうございます。まず、第1点目のセグメント別に戦略をもう少しきめ細やかに立てるべしという御指摘は、誠に御指摘のとおりで重要な指摘かと思いますので、それは是非御趣旨の線で考えさせていただきたいと思います。
 私どもも耐震改修目標を平成18年当初に設定して以降、フォローアップの時期を迎えておりますので、その中で景気動向等もありまして、必ずしも極めて順調に進捗しているという状況ではない中で、どうしたらもう一段の努力ができるのかというのはまさに課題として直面しておりますので、御指摘いただいたようなことにつきまして努力してみたいと思います。その際には、繰り返しではございますけれども、総務省統計局のデータに依存している部分がございますので、是非その辺は各方面で御協力いただけると、データのよりよい分析ができるのかと思います。
 ただ、もう一点だけ、ハザードマップのようなものは確かに各自治体、あるいは文科省の地震の推進本部などでかなりミクロなメッシュなり、連続性のあるデータが既に示されているんですけれども、耐震化自体のミクロな即地的なデータというのは我々探すのに非常に苦慮しておりまして、たまたま事業をやった事業地区だったらあるんですが、今先生に御指摘いただきました住調などで町丁目のデータを集計できるのではないかというのは、私どもそこまで頭が回ってなかったものですから、そういったことができるのかどうか総務省統計局さんのほうと御相談しながら検討してみたいと思います。
 それから、第2点目の表示制度につきましては、私どもが質問を勝手に取り違えていた部分もあったかもわからないので、かなり統計学的な膨大な作業で定量評価をするようなイメージで受け取ってしまいましたので、それだと少しどうしたらいいのかわからないという状況だったんですが、今御指摘いただきましたとおり、住宅性能表示制度の普及状況についてもう少し区分を細かくして、その上でそれぞれについてどんな課題があるのか、マーケットに対してうまくメッセージが伝わっているのかといったことにつきまして、さらに分析してみたらどうかということでございますので、それでございましたら是非検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 

【森泉分科会長代理】 そのほかに御意見はございますでしょうか。
 

【齊藤委員】 よろしいですか。
 

【森泉分科会長代理】 齊藤委員、どうぞ。
 

【齊藤委員】 中川さんの関連で重なるところなので申し上げます。地域別に住調などをとって、ミクロのデータからきめ細かく耐震化率をということはそのとおりで、できるだけそういう方向でデータをつくって、実態の把握をしていただきたいと思っています。
 その際に、全国ということはなかなか難しくなるので、幾つか地域を例えば東京都とかいう形でとって重点的に分析を進めるとか、あと、クロスセクションというか横断的な側面だけではなくて、これだけ耐震化の政策はかなり前からやっておられるので、異時点間で例えば5年前と直近とでどのぐらい進んだのか、進んでいないのかという時点の間の違いも分析を。これもすべてというわけではないんですけれども、代表的な地域について進められるといいと思います。地域を選ぶときに、先ほど言ったハザードマップとかが比較的整備されていて、データが入手しやすい地域、地方自治体等を戦略的に選択されればいいんじゃないかと思います。
 

【森泉分科会長代理】 いかがでしょうか。
 

【杉藤建築物防災対策室長】 承知いたしました。その方向で可能な限り作業していきたいと思います。
 

【森泉分科会長代理】 そのほかに御意見は。
 

【高木委員】 よろしいですか。
 

【森泉分科会長代理】 どうぞ。
 

【高木委員】 先ほどの住宅表示制度のところの調査に関して、提案といいますかアドバイスなんですけれども、民間の業者さんは何社かあるんですけれども、そちらのほうにヒアリングするというのがおそらく有効な方法だろうと思います。
 私も、これについてビジネスという観点から見るときにポテンシャルはあると思っているんですけれども、どうも現時点ではあまりビジネスになっていない…、なりつつあると言ったほうがよろしいんですかね。そういう状況なんですけれども、その理由が企業のほうから見たときに那辺にあるのかということが比較的簡単に捕まえやすいと言えますので、その辺の切り口を一応御案内しておきたいと思います。
 以上です。
 

【森泉分科会長代理】 いかがですか。よろしいでしょうか。そのほかにどなたか御意見はございますでしょうか。田中委員、どうぞ。
 

【田中委員】 今出たお話とほとんど一緒なんですが、データがないから判断できないということではなくて、特定の地域でもいいし特定のサンプルでもいいし、政策を評価するということが大事だと思うんです。その前に、やはり戦略が見えていないということも問題のような気がします。両方ともおそらく皆さんお持ちだと思うので、戦略と戦略の評価ができるエビデンスを何か用意する必要があるのではないかなと思います。
 

【森泉分科会長代理】 よろしいでしょうか。そのほかに御意見はございますか。
 

【高橋委員】 財務省の方でもよろしいですか。
 

【森泉分科会長代理】 結構でございます。
 

【高橋委員】 恐れ入ります。財務省の方に御質問します。「(3)保険内容が地震保険加入に及ぼす影響」のうち、保険料の水準がどう影響しているかということに関して、工夫すればできるのかもしれないとおっしゃいましたけれども、もう一つの課題のアンケートで依頼している損害保険料率算出機構の方で、毎月地震保険保有契約件数の都道府県別推移表をとっているわけなので、これを是非活用していただきたいと思います。
 平成19年秋の改定ですので、その前数年と19年と20年の状況はとれます。三等地から一等地に変わったところもありまして、これは結構劇的な変化だったんですね。値上げが14道県で値下げが33都道府県ということですので、この辺は是非詳しく分析していただきたいと思っております。
 それからもう一点、住宅の再建や修繕に要した費用と保険金額の関係に関しても、再建のための費用を何をもってやったかということをアンケートの中で聞いていただく。保険なのか、あるいは政府の被災者支援なのか、義捐金なのかというあたりの項目を立てていただきますと、(4)のほうで積み残している、政府の被災者支援などの事後対策がインセンティブを削ぐ要因となっていないかについての分析ができるのではないかと思います。できれば被災した方に関してどこで遭ったのかまで聞いていただく。奥尻のときにはかなり義捐金が出ましたし、阪神のときには出なかったということも事実としてわかっているわけですので、是非その辺から分析していただきたい。
 それから、アンケートの細かいところに入って恐縮なんですけれども、地震保険と一括りにしないで、住宅と家財を分ける必要があるのではないかと思っています。といいますのは、最近、政府の後ろ盾のある保険に入らない理由の一つに、免震マンション等の方が必要ないと考えているというお話をよく聞くんです。けれども、逆に免震マンションですと家財が相当に壊れるという認識もありまして、家財だけ入っているという傾向が出てくる可能性があると思うんです。ですから、住宅と家財を分けた聞き方にしていただきたいと思います。
 損害保険料率算出機構さんは5年ごとに調査して、たまたま今年が5年ごとの3回目ということで、既にいろいろ実績がおありなので、それに足していくという方法でよいかと思います。
 過去の項目を見てみたんですけれども、最初のところで地震保険と火災保険との関係等を聞いている中で、JAで建物更生共済、すなわち建更に入っていないかというのを聞いているんですね。
 以前のヒアリングのときにも建更を問題にしたんですけれども、機構さんだけだと民間の損害保険に特化した聞き方にどうしてもなっていってしまうんですが、地震保険の加入率といったときにいつも損害保険会社のものだけが出てきます。JAの地震保険付帯のものが出てこないわけで、多分加入率に十何%かは建更で実は上乗せできる状況だと思うんです。ですので、今回の調査ではいわゆる民間保険だけではなくて、JA共済のほうもプラスしていただくといいのではないかと思います。
 そうしますと、建更のほうは強制付帯になっているわけなので、この辺もきちん分析することで、地震保険を強制付帯した場合の効果の予測に必要なデータがとれるのではないかと思います。
 あと、地震保険を知っているかとか、幾らなら妥当と感じるかというところに関しては、アンケート項目の工夫をしていただきたいと思います。分析のところでは、先ほど免震マンションのお話を申し上げましたけれども、区分所有のマンション等と戸建ての場合は分けて分析していただくことで、いろいろなところが見えてくるのではないかと思います。以上です。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、財務省のほうから。よろしいですか。
 

【原田信用機構課企画官】 検討してみます。
 

【森泉分科会長代理】 そのほかに御意見、御質問はございますでしょうか。どうぞ。
 

【佐藤委員】 今アンケート調査の話が出たので、アンケートについてなんですけれども、1つ、サンプリングの問題だと思うので、これはどうやってやるのかなというのがまだわかっていないんですけれども、インターネットでやった場合だと高齢者だと思うんです。
 私も自分でやったので何となく経験論なんですけれども、年齢の高い方々が古い家に住んでいて、かつ地震保険に入らなくて、もちろん耐震化もしていなくて、結局被災したときに大変なことになるという状況があると思うので、もしやられるのであれば、サンプリングするときに高齢者の人数をある程度ちゃんと確保できるようにということだと思います。
 特に高齢者の中で、56年以前の古い住宅に住んでいる人たちの意識は何なんだ、さっきから出てきているように、リスク認知といいますか地震保険に対してどういう認識を持っているのかということを聞けたら、非常に有用な情報になると思いますので、是非お願いしますということと、新保険料なんですが、高いか低いかを聞くだけじゃなくて、何で高いか低いかというどういう理由かという。
 例えばカバレッジが30%から50%しかないのにこの保険料は妥当じゃない、あるいは地震なんて起きないと思っているとか、何で高いと思っているのか、あるいはもしかしたら何に比べて高いと思っているのか。例えば火災保険に比べて高いのか、もしくは自動車保険とか関係ないですけど身近な保険に比べて高いと思っているのかもしれないし、そのあたりも要因として重要だと思います。どうせみんな高いと答えるに決まっているので、絶対安いなんて言う人はいませんから、なぜ高いと思っているかというところのほうがむしろ大事だと思います。
 

【森泉分科会長代理】 いかがでしょうか。
 

【原田信用機構課企画官】 拝聴させていただきました。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、そのほかの御意見、御質問ございますか。高木委員。
 

【高木委員】 今の佐藤委員のアンケートの関係ですけれども、事前に事務局のほうからお伺いしたところによると、まずインターネットでこれをおやりになられると聞いているんですが、予定されている数はそれなりの数だとお伺いしているんですけれども、よく言われますように、インターネットを対象にしていますと、一般のものと偏った形で出てくる。この辺のところの是正をどうやるのかなというところを事務局なんかにお話ししていたんですが。
 さらに、質問の内容がかなりのボリュームになりそうで、結構暇な方でないとお答えする気にならないのではないかなと思うんですけれども、また、そうであると、対象とするサンプルのところがこれまた偏った話になってくる。この辺のところがうまく調整できるのかどうかという懸念がありますので、場合によってはインターネットに限らず、他の手法も用いることが必要なのではないかなと思うんですが、予算の関係もあるかと思うんですけれども御検討いただければと思うところですので。
 

【原田信用機構課企画官】 検討してみます。
 

【高橋委員】 関連してなんですが、損算機構の調査に相乗りするということになりますと、こちらのほうの調査のデータのとり方等はいいんですが、以前の調査では各世帯の保険内容に詳しい方に回答をお願いしているという形になっているので、その辺も少しバイアスがかかってくる可能性もあるんじゃないかなと思っています。
 ですから、先程の年齢に関しては、以前のものでいくと地震保険加入者47.8歳というところで、どのセグメントも50代の割合が多く3割を占めていると書いているので、その辺はあまり心配していないんです。ただ、これだけに乗っていくと知りたいことが知れないような気もしますので、できれば独自調査もおかけになったらどうかなと思います。
 

【森泉分科会長代理】 いかがでしょうか。
 

【原田信用機構課企画官】 検討してみます。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、御検討いただけるということで。
 

【谷藤委員】 このほかに、アンケートで地震保険制度に係る評価について聞くということですか。
 

【原田信用機構課企画官】 これは、まだ今あくまでも素案の段階ですので、皆さんの御意見を踏まえてどうやっていくのがいいのか検討していきたいと思います。まだあまり中身は固まっておりません。
 

【谷藤委員】 制度の認知を聞きたいということなんですか。
 

【原田信用機構課企画官】 はい。
 

【谷藤委員】 地震保険制度そのものに対するどのような認知、あるいは知識を持っているかについて聞こうと意図されたんですか。
 

【原田信用機構課企画官】 その辺も含めて、まだ検討中ということでございますので。
 

【谷藤委員】 そうですか。
 

【森泉分科会長代理】 まだまだ検討中ということでございますので、調査方法並びに調査項目についてもよろしくお願いしたいと思います。
 そのほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 

【谷藤委員】 耐震化のことについて、国土交通省に質問させていただきます。本日説明いただいたことよりもデータ・分析方法のところで、地方公共団体等の既往調査の結果を利用する、あるいは地方公共団体の政策評価等の結果を活用するという文章がたくさん見られます。これは、サンプリングして調査することを考えているわけですか。
 

【森泉分科会長代理】 国交省どうぞ。
 

【杉藤建築物防災対策室長】 各自治体とも地域によって関心度は多少あるんですが、今回もこれを受けていろいろ洗ってみたんですけれども、かなりやっているところがございますので、そういった最新のものをこの際全部レビューして、どういったものが使えるかといったことを検討していきたいと思っております。
 

【森泉分科会長代理】 そのほかに御質問ございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、大体この辺でよろしいでしょうか。
 それでは、私からも一言申し上げさせていただきたいと思います。米国の研究者が、災害の予防、軽減に1ドル使えば将来の経済的損失を7ドル節約でき、しかも、それ以上に人命を救うことができるということを試算しております。FEMAもこのような考え方に立って施策を展開しているそうです。
 建築物の耐震化は、まさに事前対策の中核的な施策ですので、その有効性をデータとして示すことができれば、地震対策についての共通認識の形成に大きく寄与することになるのではないでしょうか。また、耐震化を促進するためには、ボトルネックになっているセグメントを明らかにすることが重要です。限られた評価期間の中で難しい面もあるかもしれませんが、精度の高い住宅・土地統計調査の活用について少し踏み込んだ検討をしていただければと思います。
 次に、地震保険についてですが、今回の評価で行われる同一都道府県内の地震リスクと保険料率の関係の分析は、これまでに同種の研究がなく、この分野において重要な意味を持つことになります。この分析は、損害保険料率算出機構と日本損害保険協会の協力を得て行われると聞いており、当分科会として感謝の意を表明いたしたいと思います。財務省におかれましては、算出機構と損保協会によろしくお伝えくださるようお願い申し上げます。
 本日、言い足りなかったという委員の方がいらっしゃいましたら、後日事務局に意見を提出していただきたいと思います。事務局は、各委員の意見の取りまとめをお願いいたします。あわせて、欠席なされた委員からも意見を聞いていただきたいと思います。
 国土交通省、財務省の皆様には、本日のヒアリングの結果を踏まえて、後日分科会が追加の意見を申し上げる場合があります。その際には、分科会の意見を最大限踏まえて評価を行っていただくようお願い申し上げます。本日は、お忙しい中ヒアリングに御協力いただきまして、誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。

(国土交通省、財務省 退室)
 (厚生労働省、文部科学省入室)
 
 

【森泉分科会長代理】 本日、厚生労働省と文部科学省の皆様には大変お忙しいところ御協力いただき、誠にありがとうございます。
 それでは、医師確保対策の評価設計(案)についてヒアリングを始めます。まず、厚生労働省及び文部科学省から合わせて15分程度御説明いただきます。時間が限られておりますので、こちらからお示ししたワーキンググループ意見に係る論点について意見を取り入れ、追加、修正していただいた部分についてその内容、意見を取り入れられなかった点についてその理由、この2点に絞って簡潔に御説明いただければと思います。その後、委員との間で質疑応答を行います。それでは、よろしくお願いいたします。
 

【杉野医事課長】 厚生労働省の医事課長の杉野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。まず私のほうから、横長の評価設計(案)につきまして御説明申し上げます。
 最初に、医師数の決定方法のうちの必要な医師数はということでございます。御指摘いただいておりまして、いろいろ診療科別の医師数と患者数との対応関係、医師のその後の病院とか診療所の選択行動を考える、地域別の各診療科の休廃止状況について考えるといった貴重な御指摘をいただきました。ありがとうございました。
 真ん中の欄の下のほうのポツで一応関係のことを書いておきましたけれども、一言で言いますと、必要な医師数を求めるための基礎データが足りないのではないかという御指摘はそのとおりだと思っておりまして、御指摘の観点を踏まえて基礎データを集める努力をしたいと思っておりますが、正確で詳細な推計を行うのはなかなか難しいかなと思っております。一言で言えばそういうことだと思っております。
 それから、その下の医師の配置基準の考え方はどうかということで、前回のヒアリングの時に医師配置標準についての御指摘をいただいたと聞いております。医師配置標準は、そこにも書いておきましたけれども、法令的な意味で言えばこれは最低基準ではなくて標準ということになっているんですが、行政指導の対象にしてあったり、診療報酬上の減算の対象になっているということもありまして、事実上、医師配置標準は最低基準という位置づけになっているんだろうと思っております。
 前回のこれでは実態に合わない、足りないという御指摘もある意味ではそのとおりかなと思っておりますけれども、最低基準だからこそ見直しをするというのはなかなか難しいとも実は感じておりまして、最低基準を超えて各病院が配置できるような方向でのインセンティブをどう考えていくのかということがこれから問われるんだろうと思っております。インセンティブづくりがなかなか難しいという御指摘もありますけれども、そういう方向で考えていきたいと思っております。
 それから、その下に「これまでの医師の需給見通しの推計方法は?」となっておりまして、言ってみればなぜ医師需給推計が当たらないのかという御指摘かと思います。いろいろな要素を勘案すべしという御指摘かと思っております。そこの文章では、表現が十分行き届いていないんですけれども、必要医師数の算出方法が確立されていないから難しいんだということを書いてあったり、その一方で専門的な推計を行うべきとされていますと書いておりますが、過去の実情について書いておりませんけれども申し上げますと、おそらくいろいろな要素、例えば高齢化の動向といった要素については十分に勘案した推計をやったと思うんですが、これまでの一般的な推計では予想できなかった変化、例えば患者さんが大病院志向を強めて大病院に集中した、インターネットの普及もあって医療知識が急速に普及して患者さんへの説明でも医師の負担が増えてきた、医療訴訟の急増の関係もあって、一部の例えば産科とか、どうしても事故がつきものといってはあれですけれども、アクシデントが伴いがちな診療科を敬遠する医師が増えたとか、かつては予測し得なかった様々な状況があったことが、医師の需給見通しがうまくいかなかったことの一つの大きな要因ではなかったかなと思っております。そういったことではあるんですけれども、そういったことを考慮しながら今後考えていくべきだろうと思っております。
 それから、駆け足で申し訳ありません、次の2ページでございますけれども、「医師数の増加に伴う教育・訓練の充実への対応策と効果の見込みは?」と。これはむしろ文部科学省さんのほうのお話かもしれませんけれども、一応医学部定員を増員しておりますが、教育環境の整備のための措置もやっておりますし、カリキュラムの検討会も文科省でやられておられますので、医師数の増加に伴う教育・訓練への対応状況は今が十分かどうかということについては、いろいろ御意見なり御批判もいただくこともありますけれども、たちまちに今よりも状況が悪くなるということではないのかなと思っているところでございます。
 続きまして大きな2番ですけれども、医師の偏在を是正する施策ということで、もともとの設問は大学の医師派遣機能の低下でありますとか様々な要因があって、医師の偏在に及ぼしている影響はどの程度のものであるかとか、あるいはそういった様々な要因に対する対策はいかんということで、それに追加していろいろな御指摘なり御意見をちょうだいいたしました。ありがとうございました。
 一応ここのページの下半分のところを書き加えておきました。3ページの頭の部分にわたっていろいろ書いておりますけれども、要は例えば医師派遣の部分、医師の業務量の変化、患者の受診行動、女性医師、訴訟といろいろな要素について定量的な分析ができるかどうかということがポイントかなと思っております。一応この文章にもばらばら書いておりますけれども、定量的な分析が何とかできそうなものと、できないといいますか非常に難しいというものがいろいろあると思っております。
 例えば医師の業務量については、ある程度の調査のデータなどもありますので、それによる分析ができたりするかもしれませんし、あるいは女性医師の動向などについてもそれなりの分析はできるかなという気もいたしますけれども、その一方で例えば患者さんの受診行動をどうやって分析するか、あるいは訴訟が増えていることが医師の診療科選択の動向にどの程度の定量的影響を及ぼすといった分析は非常に難しそうな気がしますし、大学の医師派遣機能は非常に重要なテーマなんですけれども、そもそも派遣の定義がそう簡単ではないということもありまして、今回非常にクローズアップされてきておりますので、何とか派遣の定義を捕まえようとしておりますが、過去のデータまでさかのぼってというのはなかなか難しいところもありますので、これも大変かなと思っております。
 いろいろ申し上げておりますけれども、要は御指摘いただいた様々な要素についてできるだけ定量的な分析を試みたいと思っておりますけれども、できるところとできないところがあるんじゃないかなと思っているところでございます。
 それから、3ページの経済的インセンティブにかかわる問題でございます。経済的インセンティブにどれだけの効果があるのかといったことを御指摘いただいております。ここも御指摘いただいた事柄を受けながら細々といろいろ書いておりますけれども、大変恐縮ですが、要はできるだけの定量的な分析をやってみたいというつもりでおりますけれども、正直申し上げまして、いろいろなアンケートなんかを見ておりますと、医師の方々の例えば勤務地選択、あるいは診療科の選択に当たりまして、経済的な面はもちろん重要な要素ではあるんですが、そればかりではなくて、例えば医師としてのキャリアアップといいますか、技術、知識をさらに習得していく上で十分な環境にあるのか、言い替えますと、適切な指導医がいる地域であるか、御家庭を持たれている場合は子供の教育環境として適切かといったものが、実は非常に大きなウエートを占めているということもありまして、経済的インセンティブだけをとらえた分析もよほど工夫しなければいけないと思っておりますけれども、完璧なものではないにしても、何らかの形で定量的な効果の判定ができる努力をしていきたいと思っております。
 それからその下には、「特定の地域における一定期間の義務づけを可能とする諸施策の効果について」ということで、これにつきましては、4ページの最後の5行ぐらいをつけ加えさせていただいております。
 一定期間の義務づけというのはなかなか難しいかなとは思っておりますけれども、1つはこの2年間ぐらい奨学金をつけて、奨学金を受けた学生については一定期間僻地等の勤務を条件として採用するということを始めておりますので、こういったものについては将来的には効果を定量的に把握することも可能だと思っておりますが、何せこのあたりは取組として始めたばかりでございますので、直ちには難しいかなとは思っております。
 それから、その次の大きなテーマといたしまして、医療機関の役割分担の明確化・機能の集約化ということで、(1)から(5)までの設問がございます。新たにつけ加えましたのは(2)の中段の最後の1行、「診療所を含めた医療機関間の機能の分化・連携の事例について収集・分析を行う」ということ、それから(4)の部分について5行ほど書き加えさせていただいておりました。
 いずれにいたしましても、全体を通じまして、日本の医療システムこそ医療機関の機能の明確化、役割分担の明確化、連携がとても必要であると思っておりますし、それが医師不足対策にとって非常に有効であると考えておるのが私どもの基本的な認識でございます。
 よく指摘されておりますように、日本の場合は医師の数は少ないけれどもベッド数なり病院は非常に多くて、ある意味では患者さんからのアクセスに非常に配慮したシステムと事実上なっているわけでございますが、そのために、どちらかといいますと病院はたくさんあるけれども、担当の医師が場合によっては薄まきになっているという実態があろうかと思いますので、これを何とか急性期なら急性期、リハビリ期ならリハビリ期とか、それぞれの疾病にも応じてだと思いますが、病院の機能分化をし、場合によっては集約することによって、実は医師不足の大きな部分の解消に役立つだろうと思っておりますので、これにつきましては御指摘の点をいかしながら進めていきたいと考えているところでございます。
 前回永井先生から御指摘いただいた医師免許取得後経過年別の勤務先のデータを現在とりまとめております。医学部を卒業して何年経過していくと、一体それぞれの医師がどういったところに移っていくのかということについて経年でわかるもので、10年間の比較をしております。結構特徴的なところが見えたりするのかなと思っておりまして、貴重な御指摘をいただいてありがとうございました。
 とりあえず以上でございます。
 

【森泉分科会長代理】 ありがとうございました。それでは、文部科学省のほうからどうぞ。
 

【樋口医学教育課課長補佐】 先ほどの医事課長からの説明の中で網羅されております。お時間の関係もございますので、特につけ加えることはございませんので、質疑の中でお答えさせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
 

【森泉分科会長代理】 それで結構でございます。それでは、質疑応答に入りたいと思います。皆様方のほうから御質問をいただきたいと思います。どなたからでも結構でございますから、御発言をお願いいたします。それでは永井委員。
 

【永井委員】 医師免許取得後経過年別の勤務先のデータというのは、おそらく今まで全く出ていなかった資料だと思います。これでいかに激変が起こっているかということがわかります。
 まず卒後1年目、2年目ぐらいの大学に勤務している医師がすぽっと抜けたということです。でも、卒後5年目ぐらいの大学病院勤務者が増えています。それから病院の従事者ですが、卒後5年から10年ぐらいの医師が相当減っているように思います。これがおそらく今医師不足と言われている実態ではないかと思います。と申しますのは、医師が一番働き盛りで元気があって何でもやってくれるというのは、卒後5年から10年です。とにかく元気があって、徹夜しても仕事してくれるという世代が、病院の従事者のところで非常に減っていると思います。
 一方で、卒後35年から40年の病院勤務者が非常に増えています。ですから、全体としてそんなに変わっていないようですが、卒後35年とか40年というのは管理者であって、現場で患者さんを診るわけではない。そういうことまで含めると、やはりこの10年間病院勤務医の状況は極めて大きな変化が起こった。
 それから、新しい動きとしては、介護老人保健施設の従事者がこの10年間で非常に増えています。比較的若い世代、まだ40代後半から50代の医師もそちらに移行しているという感じがします。いずれにしましても、やはり臨床研修必修化で大学病院の若手医師を大学病院から引きはがしたことの影響が相当出ていて、これをどう考えるかよく分析しないといけないと思います。実際、卒後1年目の医師が病院に来ても、そんなに戦力になるわけではない。それを今まで大学が引き受けていたのが病院へ移行したために、ある意味では負担になっている部分もあるという気もします。そして、5年目から10年目の医師がかなり大学へ戻ってしまっているということで、この辺の教育の在り方をもう一回よく考えてみる必要があると思います。
 1年目に大学病院で勤務する医師の評判も悪かったんです。これは、実は大学病院側にも問題があって、抱えるだけ抱え込んで本当にきちっと教育していたのかというところの反省もあると思いますし、一方でその部分を大学から引きはがせばよいということでもないということです。文科省と厚労省は変化を総括する必要があるだろうと思います。
 

【森泉分科会長代理】 それについて厚生労働省、文部科学省のほうからいかがでしょうか。
 

【杉野医事課長】 1つ1つなるほどと思って今のお話は承っておりました。特にはっきりしておりますのが、卒後臨床研修制度導入以降のこの5年間の医師の動向の影響は非常に大きかっただろうと思っておりますし、それはただ単に医師不足という観点だけではなくて、医師の将来にわたる教育の在り方、キャリアパスの在り方としてどうとらえるかという点も含めて、しっかりと検証せよという永井先生の御指摘かと思いますので、そういう方向で考えていきたいと思っております。
 

【森泉分科会長代理】 永井委員、どうぞ。
 

【永井委員】 もう一言追加させていただくと、大学病院がなぜそれほど無理に1年目、2年目の若い人を集めないといけなかったかという点も考える必要があります。それは一言で言えば、勉強という名のもとに人手が欲しいわけです。そういうところが若い世代の反発を受けて、新しい制度のもとで市中病院に流れていったと考えられます。しかし、それが逆に今度医師不足を引き起こしてしまったということです。
 そうであるならば、やはり大学病院でも、あまり医療行為以外の業務がないように教育しないといけないということだと思います。ひとつには、医療行為以外の業務の多さをどうやって整理するかという問題です。場合によっては新たな職種をつくってでも、少し医療業務を分担する、あるいは事務的な仕事の負担を軽減することによってより充実した教育体制をつくれば、人の動きがあまり激しくならずに、もっとじっくりとそれぞれの病院でキャリアを積んでいけるような体制ができるはずです。そこがないと、研修医の動きが非常に大きな変動として全体に現れてしまうと思います。そういう意味では、今課長さんが言われたように、キャリアパスの設計、あるいは教育の在り方の設計が医師不足問題の本当に大事なところではないかと思います。
 

【森泉分科会長代理】 厚労省のほうからいかがでしょうか。
 

【杉野医事課長】ありがとうございました。多くの大学病院でいろいろな御事情からそういった面があったんだろうと私どもは思っておりますし、とはいえ大学病院というのは文字どおり教育病院であるわけでありますから、教育病院としての内実が伴うような方向での御努力をいただきたいと思っておりますし、そのための必要な国としてのバックアップも考えていきたいと思っております。
 例えば病院の様々な業務の中でも、必ずしも医師がやらなくてもその他の職種なり事務職員なりでこなせる仕事も多分あるでしょうし、そういった医療関係職種、あるいは事務職員も含めた病院の中の職員の連携体制の在り方、仕事の分担の在り方といったことも私どもとしては大きな検討課題と受け止めました。ありがとうございました。
 

【森泉分科会長代理】 続いて、文科省からいかがでしょうか。
 

【樋口医学教育課課長補佐】 先ほどの厚生労働省からの説明に尽きるところでございますが、永井先生からの御指摘にもございましたが、私どももこの10年間の経過を見ておりまして、卒後間もない人間の動向の変化をかなり注視しておるところでございます。逆に言いますと、年を追うごとに徐々に大学病院からその他の医療機関へシフトしていくということになりますと、どんどんパーセンテージが下がっていくということもあり得ないことではないという危機感は持っております。
 そういった意味で、私どもといたしましても、大学病院は卒前、卒後、それから生涯にわたる医師のキャリアを一貫して考えていけるところでもございますので、そうした役割を果たせるように私どもも財政的に支援してございますけれども、その点につきまして、また、先ほどコメディカルのこともございましたが、そういったことも鋭意検討してまいりたいと思っております。
 いずれにしても、教育プログラムの問題につきましては、御指摘のようなところがあることは事実でございまして、大学病院が魅力ある研修プログラムを立てるということが第一になることは確かでございますので、そういった意味からの指導といいましょうか、大学病院に対する働きかけは引き続き行っていく所存でございます。
 

【森泉分科会長代理】 ありがとうございました。そのほかに。どうぞ、佐藤委員。
 

【佐藤委員】 3点ほど質問させてください。1つ目は1の(2)の話なんですけれども、 聞いていてよくわからなくなってしまったので、もしちゃんと整理できるのであれば説明していただきたいし、評価として重要だと思いますので。というのは、医師数の需給見通しをつくるのは確かに難しいというのはわかるんですが、ただ、書きぶりとして必要医師数の算出方法が確立されていない。確立されていないものを、一体今までどうやって需給見通しを立てていたんですかというのが素朴な質問になってしまうんです。
 それは過去の話なので、いろいろとありますよねというのはわかるんですが、逆に例えば必要な医師数の推計として、その後の患者の診察動向云々という話は専門的に考慮するべきであるというのはそのとおりだと思うんですが、じゃあこれらを考慮して、もう一回昔の推計を戻してみたときに、以前の推計に比べて実際の需要との乖離は本当に是正されるのかどうか。
 つまり、同じ間違いを繰り返さないということが大事ですから、いろいろな思い込みでこんなパラメータを入れてみたらどう、あんなパラメータを入れてみたらどうとやっておいて、でも実際もう一回過去にさかのぼって同じようなことを再試したときに、本当に推計が改善しているのかどうかがわからないと、これからも本当にこの推計方法でいいのという議論は出てくると思うんです。そういうフィードバックといいますか、PDCAができていないような気がしたものですから、もしできるのであればそのあたりをお願いできればと思います。
 

【小峰委員】 それと同じ関連です。
 

【佐藤委員】 どうぞ。
 

【森泉分科会長代理】 小峰委員、どうぞ。
 

【小峰委員】 同じ場所ですので、あわせて意見を申し上げさせていただきたいと思います。需給推計の方法にかかわる部分ですが、御説明の文章ですと科学研究費の補助金で研究者に研究していただいているということなんですけれども、これは私は本来行政が責任を持って行うべき推計であると思います。
 本来行政が行うべきものと研究者が行うというのは、全く性質が異なっているのではないか。行政が行うべきものは、そもそも政策効果なども含めて継続的に、事後的な点検もできるような形で設計して行う必要がありますが、研究者の場合は当然研究でやるわけですから、創造性とか新規性というのが求められる。行政の推計と研究者の研究とは全然違うのではないか。
 私に言わせれば、これは行政がやるべき仕事の丸投げではないかという気がします。ですから、ここにも「需要と乖離の原因を分析することができない」ということが出てくるのですが、需要と供給の乖離が分析できないような推計方法をとること自体がそもそもおかしいのではないかという気がします。
 それから、最後も「専門的な推計を行うべきとされている」という書き方になって、人ごとみたいな言い方になっている。これも行政がやるつもりがないと読めてしまいます。その辺の手法そのものについての考え方を是非お聞かせいただきたいと思います。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、まず厚労省からお願いいたします。
 

【杉野医事課長】 御指摘ありがとうございました。御説明の文章としてはやや言葉足らずというか、書き方がどうかなと今反省しながらお聞きしておりました。
 まず先に、小峰先生の御指摘の点ですけれども、これは先生も御案内かと思いますが、科研費は科研費でも、文部科学省の純粋にアカデミックな科研費とは違って厚労省の政策的な科研費ですので、実はこれは研究費という性格で何を研究するかという、まさに医師需給の推計方法を研究しながら有識者の先生方に集まっていただいて、我々も参画して議論して推計したというもので、政策的な研究費を使わせてもらったということでございます。
 ですから、全く研究者に丸投げしているというイメージではないと御理解いただければと存じますし、そうはいいつつも、研究費で需給推計方法を模索しながら推計したものですから、ここで算出方法が確立されていないみたいなことを書いてありますけれども、その時点では研究者の御協力をいただいてベストの推計をやったということだったと思っております。ただ、今となっては予測し得ないような事柄が多かったということかと思っております。
 それから、最後の「専門的な推計を行うべきとされている」という書き方も、舛添厚生労働大臣の下に置かれた「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会の取りまとめの中でそう書かれたので、このような言い方を客観的に書いたわけですけれども、当然のことながら厚生労働大臣の検討会議での提言でございますので、私どもはこれを行政的な課題ということで受け止めているつもりでございますので、記述につきましては御指摘を踏まえて適切に書き直したいと思います。
 それから、戻りまして佐藤先生からの御指摘はごもっともと思っております。努力してみたいと思っておりますけれども、ただ、先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、私がなかなか難しいと思っておりましたのは、患者の受診動向の話、それから患者対応、患者さんへの例えばインフォームドコンセントの時間、その他医師の書類作成時間というのは膨大に急速に増えていると言われている問題、訴訟の問題。あるいは先ほど言いませんでしたけれども女性医師の問題。女性医師の問題はよくM字カーブと言われていますけれども、女性医師の場合はある特定の年齢のときに離職するという話がありまして、そこを勘案するという話はあるんですが、ただそれだけではなくて、最近は新卒で3人に1人は女性医師なんですけれども、例えば医師同士で御結婚なさる場合に、実態の話なんですが、いろいろな御事情もあって、本来の希望のところに行くというよりも、どうしても家庭を持った場合に女性のほうが肉体的に負担の軽い診療科を選び、結果的に医師全体として負担の重たい診療科に行く人が減ってきているという話でありますとか、先ほどの臨床研修制度による大学病院による医師の引き揚げの影響とか、定量的な測定が難しかったり、今となっては過去のデータが取り寄せにくい話でありますとか、いろいろな問題がありますので、どこまで御指摘に沿った分析ができるかというのは正直大変だと思いますけれども、御指摘の点につきましては全くごもっともな点だと思っておりますので、その方向で努力したいと思います。ちょっと長くなりました。失礼しました。
 

【森泉分科会長代理】 ありがとうございました。それでは、そのほかに。
 

【大村委員】 よろしいですか。
 

【森泉分科会長代理】 はい。大村委員。
 

【大村委員】 是非利用していただきたいのは、例えば全国医学部長病院長会議で医学部、医科大学の白書というのを1年あるいは2年おきに出しております。
 これは非常に膨大なアンケート結果を集積しておりまして、もちろん学生時代のいろいろな統計もあるんですが、卒業してどういう科を志望しているか、どの科がどれだけ減っているか、全体はどのくらいか、それから引き揚げの事実があるかどうかとか、大変詳細に聞いておりまして、平成7年、6年ぐらいからずっとやっておりますので、経時的な変化もよくわかります。是非御活用になっていただきたい。
 それからもう一つ、厚生労働省の御存じの国立保健医療科学院では、医師の労働時間といった統計も大変詳しいものを出しておられるので、これも私は参考になると思います。
 あと、今需給の問題が出ておりましたけれども、需給を全体的なマクロで見てもなかなか実際の現場が見えてこない。そして、そんなに役に立たない部分もある。非常に重要なのは、今現場で、特に産婦人科、小児科、救急医療が地方でほとんど破綻しているところが次々と出てきておりますので、この3つの診療科に絞って地域の需要と供給のバランスがどうなっているか、ターゲットを絞った需給環境を是非調査いただきたいというのが私の希望でございます。
 それからもう一点、医師派遣機能のことについてちょっとお話ししたいんですが、新研修制度で大学から人がいなくなっちゃったと先ほどからお話が出ておりますけれども、実際にこの研修制度の案の中には、いわゆる管理型といいまして、たすき型といいますか、大学と一般病院の間で研修を回すという。
 あれが本当のアメリカ的な研修でいいんですが、そういったことを盛んにやっておられるところもあるので、もしそういう大学病院と一般病院の連携がうまくいって幾つか回るという形でやりますと、大学にも人が残るし、一般病院にも人が行くという点で、どの程度管理型でやって、そこの実績がどの程度か、そういう大学で具体的にマンパワーがどのくらい不足しなかったか、研修医が大学と一般病院を合わせていい研修ができたかといった調査をしていただくと、先ほどの大学が医師派遣機能を失ってしまい、代わるものの構築がなかったことが今回の急速な医師の偏在なんかにつながったというあれがございますので、そういったところからいいデータが出てきますと、ただやみくもに古い大学の医師派遣機能に戻せというのも乱暴な話ですので、新しい型の医師派遣機能を再構築するということも一つ視野に見えてくるんじゃないかと思いますので、その点も是非調査いただくとありがたいと思います。それだけです。
 

【森泉分科会長代理】 ありがとうございました。それでは、厚労省からお答えください。
 

【杉野医事課長】 大村先生、ありがとうございました。いろいろデータをああいうデータがあると御指摘いただきまして、私も知らないものもありましたので、早速拝見したいと思っております。
 それから、産科、小児科、救急はまさに先生がおっしゃるとおりで、24時間体制で臨まなければいけない診療科はどうしても勤務がきついですし、訴訟のリスクが大きいですし、そういった意味でどうしてもこういったところが、小児は医師の数は増えているんですけれどもそれでも追いつかない、産科は減っているという状況で、マクロ的に見ても厳しい状況というのは十分わかっているつもりでございます。地域的にもさらにできるだけのことは調べていきたいと思っております。
 それから、最後の御指摘ですけれども、今まさに臨床研修制度の見直しをやろうとしているところなんですが、つくづく感じますのは、臨床研修制度を医師養成の教育論としてできるだけいいものにしたいという気持ちで関係の先生方も御議論され、私どももそういう願いでやっておりますけれども、ともすれば病院間の研修医の獲得競争といいましょうか、奪い合いといいましょうか、特に大学病院対市中病院という構図がちらちら見えるというところが、この問題をより複雑にしているかなと思っております。
 考えてみますと、一部大都市部を除きまして、地方に行きますとそれほど教育病院としての指導力なり内実を持った病院は多くはないと思います。むしろ各地域で大学病院なりその他の病院が連携し合って、より幅の広い、懐の深い教育体制をつくっていくということが本来あるべき姿だろうと私どもは思っておりまして、今回の見直しも実はあまり新聞は報道してくれないんですけれども、そういうことではなくて、臨床研修病院群を形成していくんだという大きい方向が出されておりますので、アンケート調査をせずにそっちの方向に走っておりますが、御指摘の方向で取り組みたいと思っております。御指摘ありがとうございました。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、文科省からはいかがでしょうか。
 

【樋口医学教育課課長補佐】 結構です。
 

【森泉分科会長代理】 よろしいですか。それでは永井委員、どうぞ。
 

【永井委員】 あと、医療崩壊は今本当に深刻な状況にあるわけですけれども、1つの理由は、1つの病院が閉鎖したときに患者さんが残った病院に集中します。そのときに、残った病院にスタッフも集約化されていきませんと、ドミノのように倒れるわけです。
 ですから、そこの政策誘導をかなりきめ細かく、残った病院が人件費を増やせるような手当を保険診療上行う必要があります。看護師や医師を増やせる加算をしないままに患者さんが残った病院に押し寄せているのが、医療崩壊の一つのメカニズムではないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
 それからもう一点は、病院の勤務者は減っていますけれども、診療所勤務者はほとんど変化していませんから、こういう人たちをいかに病院支援のために動員するかということも政策上重要だと思います。その辺についても御説明いただけますでしょうか。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、厚労省からお願いいたします。
 

【佐々木医療課課長補佐】 点数の関係でございますが、私のほうからお答えいたします。今、永井委員から御指摘がありましたような、正直データとしてつぶれた病院から患者さんがどう動かれているかという実態についてはよく存じ上げないところもあるんですけれども、保険診療は基本的に病床数と医師、看護師等の配置という形でやっておりますので、特に別途決まった法律といいますか、許可病床を超えて患者さんを入れるということを念頭に置いて点数設定はしておりませんので、許可病床の中でその病院が配置している医師、看護師さんに見合った点数をとっていただくという仕組みになっておるものですから、あふれた場合に加算するということについては、どのような形で想定していくかということはなかなか難しい面があるんじゃないかなと思っております。
 

【杉野医事課長】 追加しまして、2点目の診療所と病院の連携といいましょうか、診療所のマンパワーをどうやって活用していくのかということにつきましても、誠にごもっともな御指摘だと思っております。私どもも何とかそういう方向でと思っておりまして、例えば小児救急における診療所と病院の連携についての診療報酬上の評価、あるいは地域における病院と診療所の連携、全体に対する予算的な補助といった施策を少しずつ打ち始めておりますけれども、それで十分なのかどうか、その効果を検証しながらさらなる検討を進めていきたいと思っております。
 

【森泉分科会長代理】 そのほかの委員の方。
 

【齊藤委員】 よろしいですか。
 

【森泉分科会長代理】 齊藤先生、どうぞ。
 

【齊藤委員】 経済的インセンティブがあまり重視されていないような印象を受けたんですけれども、医師市場で供給と需要にミスマッチが起きて、産婦人科や小児科で医師不足が生じていて、なかなか医師になる人がその分野で少ないとなると、速やかに考えられるのは、そうした厳しい労働環境に対してのリワード、あるいは厳しい労働環境が背負っているリスクに対しての手当てがないということは、やはり重要だと思うんです。
 もしそうしたところになかなか医師が行かないとなると、重要さの度合いから言えば、経済的なインセンティブ、待遇、あるいは医師を守る体制がなかなかないから、そういう分野に行かないという側面はやっぱりあるんじゃないかと思うんです。そういうミスマッチが生じているところに対してのインセンティブや待遇の問題というのは、おっしゃられるよりはかなり大きな役割を占めているので、今回の部分でもでき得る限りのデータでそうしたところを埋め合わせていく、調査、分析していくことはやはり必要じゃないかという印象を受けました。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、厚労省からお願いいたします。
 

【杉野医事課長】 齊藤先生、すいません。文章の表現、私の説明が不適切なのかもしれませんが、経済的インセンティブは重要だと思っております。現に私どもは、診療報酬でありますとか補助金という形で何とか勤務医の負担の改善、あるいは産科、小児科などの特定の診療科に対する経済的なインセンティブといいましょうか、予算内での手当ては重要だと思ってやっておりますので。
 ただ、ここに書いておりますのは、実際の医師の行動を見ると、経済的インセンティブだけではなくて様々な要素があって初めて行動しているという当たり前の話を、検証という場面でちょっとしつこく書き過ぎちゃっておりまして、そういう意味で、経済的インセンティブによる効果の測定となりますと、技術的に相当工夫を要する部分はあるだろうと思っておりますけれども、経済的インセンティブということは重要ですし、現に進めておりますし、それが重要であると私どもが言う限りは、定量的なエビデンスを求める努力を続けたいというつもりで書かせていただいておるつもりでございます。御指摘ありがとうございました。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、そのほかに。高橋委員。
 

【高橋委員】 資料3の2ページ目のところですけれども、医師の偏在を是正する施策の中の(1)、平成20年度において医療リスクに対する支援体制の整備というのがあって、実際に行われていると思うんですが、2ページの下のほうに民事訴訟件数が増えているのと産婦人科が多いということが書いてあります。これに対しての医師確保策として、昨年度、社会保障審議会のほうで産科医療補償制度というのを発足させたわけなんですが、これに対する評価は今回行わないのかどうか教えてください。私は行ってほしいと思っております。
 

【森泉分科会長代理】 お願いします。
 

【杉野医事課長】 高橋先生がおっしゃるとおりでございまして、医療訴訟リスクについての対応として、いの一番にまず私どもが取り組むことができましたのが、産科医療補償制度でございます。これは当然のことながら検証する必要があると思っておりますけれども、始めましたのが今年1月からでございますので、それがどういう効果を上げるのかということにつきましては、いましばらくお時間をちょうだいする必要があるだろうと思っておりますが、適切な時期に検証したいと思っております。
 

【高橋委員】 3ページ目を見ますと、「『効果の把握を基礎として評価』については、例えば、『勤務医の負担軽減の実態調査』により平成20年の診療報酬改定の効果について調査しており」と書いてあるので、割に直近のものもやるのかなと読みました。
 それと、産科医療補償制度のほうは、昨年夏から加入率が上がらないので一生懸命加入率を上げる施策がされたと思うんです。昨日報道されていますように、今99.何%、ほぼ100%に加入は達したということなんですが、これが効果的な施策かどうかというのは、達したところで既に測られる状態になっているのではないかと思うんですね。これができたことで、現場の医師のほうが本当に安心して産科医療行為ができるのかということであるとか、医学部の学生さんが産科医になることのインセンティブになっているのかどうか。このあたりは、アンケート調査をとっていただければ比較的簡単にできるのではないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
 

【森泉分科会長代理】 厚労省はいかがでしょうか。
 

【杉野医事課長】 一応私どもは、基本的に平成20年度の政策についての評価でございますので、平成20年4月からの診療報酬改定の部分につきましては、当然フルスペックで評価の対象にしなきゃいけないと考えて原案を書いたわけでございます。
 それから、産科医療補償制度につきましては、先生の御指摘はなるほどと思いました。正直言って、最終的にはそれによって実際に産科に進んだ学生が増えたとか、医師が増加に転じたというところに着目すべきであろうと思っておりましたので、タイミングとしては21年度評価あたりからかなと思っておりましたけれども、御指摘はよく考えてみたいと存じます。ありがとうございました。
 

【大村委員】 よろしいでしょうか。
 

【森泉分科会長代理】 どうぞ。
 

【大村委員】 今のところに関連して、先ほどの医学部、医科大学の白書では毎年の産婦人科志望の人数がわかりますので、21年がこの間出たばかりですけれども、来年、再来年になったときにもしそこが増えれば明らかにその効果が出るので、改めて調査しなくても比較的簡単にわかるのではないかと思います。
 それから、先ほど永井先生がおっしゃったことは大事なことで、診療所、開業医の先生方と病院との連携です。病診連携という言葉は昔からあるんですけれども、実質的にはあまり機能していなかったけれども、最近いろいろなところで新しい試みが行われていまして、例えば今の麻生首相の弟さんがやっておられる麻生飯塚病院では、小児科がパンクしかけたときに周りの一般の開業のほうが毎日7時から10時まで病院に赴いて、そこで診療して病院小児科医の負担を減らしている。そのときに研修医の教育もする。
 こんな例がいろいろなところで出ていまして、例えば大阪では産婦人科の先生が、病院の名前はちょっと忘れましたけれども、月に1回ぐらいずつ当直して産婦人科医の負担を減らす。こういったいろいろな試みが今始まっていますので、例えば茨城県、熊本県、鹿児島県でもいろいろな違った形でやっておられると聞いておりますので、そういう実態調査をして、是非それがうまくいっているというメッセージを出してほしい。
 そうすると、そういうやり方もあるんだということでますますそういうことが広がりますから、調査して結果を是非我々にも教えてほしいし、日本全国に発信していただきたいというのがコメントです。どうもありがとうございました。
 

【森泉分科会長代理】  厚労省からコメントはございますか。
 

【杉野医事課長】 ありがとうございました。
 

【森泉分科会長代理】 そのほかに。谷藤委員、どうぞ。
 

【谷藤委員】 全体の政策評価をする際の設計を見まして、問題の抽出と問題の原因分析にやや焦点化されているような印象を受けます。政策効果や制度効果を把握するフレームにあまりなっていないということが少し気になります。その意味で、医師確保対策に対して行われた政策は何かということを少しずつ拾い上げていって、その政策効果を測る設計が必要ではないかなということが1つです。
 それから、前回も言いましたように、例えば医療機関の再編、合理化、患者のアクセス制限、開業医との連携などに関する優良な事例、ベストプラクティスを抽出していかないと、政策評価の1つの面だけ、問題点だけを抽出することにつながっていくのではないでしょうか。将来的な政策改善につなげるためにも、ベストプラクティスを抽出していくという方向性を設計の中に盛り込んでもらいたいというのが私の意見です。
 

【森泉分科会長代理】 ベストプラクティス、それから政策評価の観点からという点について、厚労省のお答えをお聞きしたいと思います。
 

【杉野医事課長】 ベストプラクティスを集めるということ、それからそれを広めていくということは、大変有効な手法だと私も思っております。不十分ではありますけれども、今日の資料にも書いておきましたけれども、幾つかそういう取り組みを始めておりますので、その方向で取り組みたいと思っております。
 それから、政策効果も谷藤先生がおっしゃるとおりでございまして、それぞれ1つ1つの政策がどういった効果をもたらしているのかということについて、正直役所が一番時間がなくて下手くそなところなんですけれども、努力していきたいと思います。こんな答弁で申しわけございません。
 

【森泉分科会長代理】 永井委員、どうぞ。
 

【永井委員】 長期的な問題と短期にできることといろいろあると思います。診療所と病院の連携という話が先ほど出ましたけれども、もう一つはアクセスの問題です。今医療崩壊と言われていますけれども、結局日本の病床数が欧米の3倍から4倍あって、1ベッド当たりのマンパワーが3分の1から4分の1になっているわけです。そこの体質を変えていかないといけないわけで、やはり先ほどお話ししたように、残った病院にきちんとマンパワーが集約できるような報酬、評価システムを作る必要があると思います。
 経済的インセンティブというのは別に医師の給料だけの問題ではなくて、自分の仕事をサポートしてくれる人の人件費が出るかどうかというという点もありますので、単にベッド数、あるいは患者数だけから診療報酬を考えるのではなくて、その病院が地域で果たしている機能を考える必要があります。医師が足りないのならば、医師の仕事を補う職員の人件費を出すようにしなければ、経営的に悪循環に入っていって、どんどん人手も少なくなっていってしまう。ですから、地域ごとにきめ細かい体制、すなわち医療評価、あるいは診療報酬の決め方があってもよいのではないかと思います。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、厚労省からお答えをお願いいたします。
 

【杉野医事課長】 永井先生がおっしゃられるように、私どもといたしましては日本の医療システムのアクセスのよさというところは捨てがたい、本当にいいところでありますので、そこは何とかできるだけ守りつつ、同時に医療の質、量のところで十分に国民のニーズに応えられるようにと考えますと、出てまいります結論は基本的には、表現は違うかもしれませんけれども、やはり医療機関の役割分担と集約化みたいなところに行くんだろうと思っております。
 具体的にどういった手法でそういうのをやるのかという話になりますと、現在私どもが進めておりますのは、診療報酬の面で機能分化なり、逆に言えば機能分化した後の医療機関の連携が進むような誘導を図るということが1つでありますし、より地域的な実情に配慮した取り組みということで言えば、これは始まったばかりでございますけれども、各都道府県の責任において地域の医療計画を策定して、その中で病院間の集約化なり機能分化を進めていくという手法がとられ始めたということで、この両者相まって永井先生が御指摘のような方向に持っていくんだろうと思っております。
 ただ、残念ながら、例えば医療計画につきましても、よく実態を見ますと都道府県ごとに取組の程度は相当幅がございまして、必ずしも全体的に十分ではありませんし、先進的に取り組まれている県であっても、より細部に分け入っていけばまだまだ不十分なところもあるんだろうと思います。ですから、より地域密着型で考えていく上での都道府県の責任でつくる医療計画を梃子に、それをバックアップする国としての診療報酬という形でありますけれども、それにとどまらず、どうしても主役は都道府県、自治体になると思いますけれども、各都道府県、自治体が集約化なり機能分化に取り組みやすいようなバックアップの手法をこれから検討していくことが必要だろうと思っております。
 

【森泉分科会長代理】 ありがとうございます。
 

【永井委員】 もう一点よろしいですか。
 

【森泉分科会長代理】 はい。
 

【永井委員】 アクセスの問題ですが、コンビニ受診をもう少し控えましょうという地域住民運動がありますが、こういう活動もベストプラクティスとしてどんどん取り上げて、地域と一緒に考えていかないといけないと思います。
 もう一つは、病院というのは公的な機関ですから、患者さんは処置が終わって一段落したら移っていかないといけないです。そこがなかなかできていなくて、全部若い勤務医のお願いベースで行っているがために、みんな消耗していくわけです。治療が一段落した患者さんが病院を退院して地域に戻るシステム、すなわち地域と一緒になったいろいろなベストプラクティスを推奨して是非つくっていっていただきたいと思います。
 

【森泉分科会長代理】 厚労省のお答えはいかがでしょうか。一言。
 

【杉野医事課長】 参考にさせていただきます。ありがとうございました。
 

【森泉分科会長代理】 高木委員、どうぞ。
 

【高木委員】 時間もないところなんですけれども、ちょっと厳しいことを申し上げさせていただこうかと思いますが、医師の不足という話は昨日今日言われた問題ではなくて、数年前から言われていた問題であるにもかかわらず、需給ギャップの推定はともかく、現状について把握されていないとは何たることかということで、非常に驚いたとともに唖然としたというのが正直なところです。
 これは、行政組織の体を成していないのではないかとさえ私などは思ってしまうんですけれども、もしそうであるならば政策評価以前の話であろうと思いますので、今回の評価に関しましてはそういう観点から見させていただきたいということをお伝えしておきたいというのが1点です。
 それからもう一つは、自身の反省ということもあるんですけれども、この10年の中で国立、公立病院において財務規律が喪失されているような状況の中で、財務規律を改めてきちっと保持する必要があるといわれていたわけですが、もしかすると、財務規律をより持たせるという要請の中で収支、採算のところにあまりに重点を置いて、その結果が適切でなかったということが今のような現状を招いた可能性があるのではないかとも思っております。
 公立病院の夜間診療を含めて38時間労働などという話は、一般企業で言えば絶対許されない、即、事業所閉鎖という状態と言えるわけですけれども、そういう状態がなぜ出現してしまったのかとも思いますので、今申し上げたような過去10年間の中での改革と言われていたような話も、改めて見直す評価をおやりになってもよろしいのではないかということを提案しておきたいと思います。以上でございます。
 

【森泉分科会長代理】 これは、厚労省のほうにお聞きしたほうがよろしいのですか。それとも、項目のところで、入っていないところを今御指摘いただいたのでしょうか。
 

【高木委員】 そのつもりです。
 

【松林政策評価官】 厚労省のほうからお答えできる範囲で。
 

【森泉分科会長代理】 そうですね。お答えいただきたいと思います。
 

【杉野医事課長】 厳しい御指摘をありがとうございました。先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、若干説明が舌足らずといいますか、文章的にもどうかなという表現だったと思っておりますが、実はこの中でも紹介されておりましたけれども、厚生労働大臣の検討会の中でも新しい医師需給の見通しの試算を出し、現段階における需給ギャップの試算などもしておりますので、決して手をこまねいているわけではなくて、その把握に努めております。それは公開されておりますので。
 そういうことをやっておりますけれども、これは需給推計がうまくいかなかったという反省を込めてのものですが、需給推計の方法が確立されていなくて分析がうまくいっていないということを書いておりますけれども、その点についてはお詫び申し上げて、改めて修正させていたければと思っております。御指摘の点については、しっかりと承って対応したいと思っております。ありがとうございました。
 

【森泉分科会長代理】 そのほかに。もう時間が過ぎてしまったのですけれども、どなたか簡単に御質問。では、高橋委員、簡潔にお願いいたします。
 

【高橋委員】 先ほどの産科医療のところでも、平成20年度のものだからとおっしゃったんですが、2006年、2007年とずっと検討していらしたわけですよね。それで、既に制度としてスタートしているものに対してやらないというのはいかがなものか。子供はすぐに生まれないと少子化対策にもなりませんし、後手後手に回らないでほしいんです。
 ですから、医師確保を大義名分として安倍内閣で100億円、福田内閣で168億円、麻生内閣で368億円という予算要求をしていらっしゃるわけなので、本当に国民としてはこれが有効に使われているのかどうか見ないと、次にまたどんどん膨らませていただくだけでは困るので、そういう視点で産科医療などは特に申し上げましたということです。以上です。
 

【森泉分科会長代理】 では、厚労省からお答えをお願いいたします。
 

【杉野医事課長】 せっかくこういう制度をつくったんだから、しっかりと検証してその効果を国民の方々にわかってもらうように努力せよという御趣旨だと思います。しっかり承りました。ありがとうございました。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、時間が参りましたのでこの辺でよろしいでしょうか。
 それでは、私からも一言申し上げたいと思います。今後医師の数を増加させていくことは必要ですが、医師の偏在の問題が解決されなければ医師不足問題に対応した有効な施策とは言えません。基本に立ち返りますと、ハイリスク、ハードワーク、ローリターンの医療に若い医師が来ない、あるいはそこから医師が逃げ出しているということが言われており、実際の医師の動きなどからそのような医師不足の実態を把握することが第一なのではないでしょうか。
 その次に、医師不足が深刻な地域、病院、診療科などに施策が効率的に実施されているか、されていないとすれば、その原因を検証する必要があります。また、地域の偏在については、キャリアアップ機会の有無が医師不足の大きな原因として挙げられますが、それに対する施策が具体的にどう働いているのかという説明が必要なのだと思います。
 評価では、このような基本線を押さえていただいて、今後の有効な施策展開に資する評価を行っていただくようお願いしたいと思います。
 本日は時間も短く、言い足りない委員もいらっしゃると思いますので、後日事務局に意見を提出していただきたいと思います。事務局は、各委員の意見のとりまとめをお願いいたします。あわせて、欠席された委員からも意見を聞いてください。
 厚生労働省、文部科学省の皆様には、本日のヒアリング結果を踏まえて、後日分科会が追加の意見を申し上げる場合があります。その際には、分科会の意見を最大限踏まえて評価を行っていただくようお願い申し上げます。本日は、お忙しい中ヒアリングに御協力いただき、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
 委員の皆様におかれましては、この後事務連絡がありますので、そのままでお待ちください。

(厚生労働省、文部科学省 退室)

【森泉分科会長代理】 それでは、事務局からよろしくお願いいたします。
 

【松林政策評価官】 先ほど分科会長代理のほうからございました意見につきましては、恐縮ですけれども、3月30日月曜日の正午までに事務局に提出をお願いしたいと思っております。
 次回の政策評価分科会でございますけれども、先日17日に分科会に御報告いたしました客観性担保評価、各府省の政策評価の検証結果につきまして、対立点が残ったものについて各府省からのヒアリングを予定しております。期日はまだ決定しておりません。日程調整を行った上で御連絡申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 

【森泉分科会長代理】 それでは、今松林政策評価官からもありましたように、言い足りなかった意見につきましては3月30日正午までに事務局に提出をお願いいたします。事務局は、欠席委員も含めて各委員の意見を取りまとめて報告してください。
 金本分科会長とよく相談して、各省に示す分科会意見を取りまとめたいと思います。委員の皆様には、関係府省に提示する分科会意見の取りまとめを金本分科会長に御一任くださいますようにお願いいたします。よろしいでしょうか。
 
 それでは、以上をもちまして本日の政策評価分科会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。

(以上)

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政策評価・独立行政法人評価委員会
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