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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(12月2日開催)議事要旨

−速報のため事後修正の可能性あり−

日時

平成21年12月2日(水)16時00分から18時10分

場所

中央合同庁舎第2号館 総務省第1会議室

出席者

(政策評価分科会所属委員)
金本良嗣分科会長、藤井眞理子委員、青山彰久臨時委員、牛尾陽子臨時委員、大村昭人臨時委員、齊藤誠臨時委員、佐藤主光臨時委員、高木勇三臨時委員、高橋伸子臨時委員、田辺国昭臨時委員、永井良三臨時委員、中川雅之臨時委員
(総務省行政評価局)
江澤審議官、松林政策評価官、羽室政策評価審議室長

議題

  1. 重要政策(「地震対策のうち建築物の耐震化及び地震保険」及び「医師確保対策」)の評価の結果等について
  2. 政策評価結果の平成22年度予算要求等への反映状況について

資料

会議経過

(1)議題に入る前に、松林政策評価官から、「重要政策の評価」の枠組みについて説明があった。
この取組は、「政策評価の重要対象分野」として進めてきたが、枠組みの中核をなす経済財政諮問会議の現状も踏まえ、政策評価・独立行政法人評価委員会の答申については、総務省の責任において、「重要政策の評価」として取りまとめることとしたい。

(2)重要政策(「地震対策のうち建築物の耐震化及び地震保険」及び「医師確保対策」)の評価の結果等について松林政策評価官等から説明。その後審議が行われ、金本分科会長から、本日の議論及び追加の意見を踏まえ、政策評価・独立行政法人評価委員会に提出する答申案を整理したいとの発言があり、答申案の整理については分科会長に一任されることが了承された。質疑等の概要は以下のとおり。

(建築物の耐震化)
○ 答申の指摘事項は、どのようにフォローアップしていくのか。政独委の指摘で終わりとはしないで進めてもらいたい。
○ 評価設計の段階では、「住宅・土地統計調査」のデータを用いて分析を行うはずだった。国土交通省の評価で使用されているデータは、規模の小さいアンケート調査結果と既存のデータとなっている。このような結果となった理由を整理して、今後に活かしてもらいたい。
○ 耐震化のための戦略がないのが一番の問題だと考えている。当委員会の問題意識は、耐震化政策を展開する上で、実態把握がないと戦略は立てられないということ。古いデータではあるものの、15年の「住宅・土地統計調査」を使った分析でも、何らかの戦略を立てるのは十分可能だったと思う。国土交通省へのリクエストには、耐震化の進捗状況を統計データで把握することに加え、ボトルネックの把握が必要であることを加えるべきではないか。フォローアップでは、国土交通省が戦略を立て、耐震化がシステマティックに進められているかを総務省がモニタリングする方針で臨んでもらいたい。
○ 国土交通省の評価結果では、被災者支援金に対する期待が耐震化を阻害している傾向は見られないと断定しているが、これでよいのか。評価で使用したアンケート調査は規模が小さい上に、国土交通省のモニターを対象としているので一定のバイアスがかかり、代表的なサンプルといえるかどうかが疑問。質問の仕方によっても結果は変わる。被災者支援策の存在と耐震化の関係については検証できなかったというのであれば理解できるが、当分科会がこの結果を受け入れてしまってよいのか。
○ 補助制度の存在を知らない人がいることは、補助制度が行き渡っていないことを示している。情報が行き渡らないボトルネックが何か。行政に問題があるのか。情報発信の仕方に問題があるのか。このような点に踏み込んで検証することが必要であり、答申で指摘してもよいのではないか。
○ ローラー作戦を実施しても耐震診断をしない人が7割いるというのはショッキングな事実。国土交通省がこの状況を放っておくこと自体が問題なのではないか。一宮市の職員にヒアリングを行った上で指摘してはどうか。
○ 実績として470億円で耐震化を促進するとあるが、予算額ではなく決算額は押さえているか。補助制度を使えない自治体もあるようだが、それが結果として耐震化の実績の8.7万戸につながっているのではないか。
○ 耐震化率90%の目標を達成できるように国土交通省には頑張ってもらいたいということなのではないか。5年後、10年後にも、耐震化は進んでいなかったということでは困る。今後のフォローアップでは、国土交通省が耐震化の進め方をどのように見直していくのかという点を確認しないのか。
○ 耐震化戦略を再構築すべきとの表現を入れるべきではないか。内閣の重要政策として取りまとめる以上、強く指摘する必要がある。
○ 現行の施策を加速化する必要があるという指摘をすべきではないか。
○ 評価は科学的なデータに基づく判断材料の提供であり、直接政策提言するのは望ましくないのでないか。
○ 全体的にいえることだが、答申に盛り込む事柄については、持って回った言い方はやめてもらいたい。

(地震保険)
○ 答申では、保険料の試算を行い、地震保険がどの程度割安に提供されているのかを明らかにすべきということを言うとのことだが、必要なことなのか。
○ 地震保険制度の長期安定的な運営が必要ということだが、法律の目的は保険の普及なので、安定経営まで当委員会が心配する必要はないのではないか。
○ 地震保険が政府の関与なしに成り立つというようなことがあるのか。
○ 自然災害起因の損害を補償対象から除いている日本のような国は例外的だ。世界では災害保険は多くあり、民間のキャパシティがないということにはなっていない。日本でも、地震起因の火災及び倒壊となっている点について、例えば火災のみであれば民間でもできる。
○ 地震保険の長期安定的な運営ということの意味が明確でない。リスクに応じた料率の細分化についての議論は後で出てくるが、責任準備金をもっと積み増せというようにも受け取れる。
○ 保険加入の阻害要因として国民の意識という点もあるかとは思うが、地震保険の普及では、保険会社にとっての魅力ということも必要だと思う。この点について評価書はまったく触れていない。
○ 保険料率設定の自由度を高めれば、民間でも商品開発の幅がもっと広がると思うが、財務省の評価はそこまで踏み込んでいない。
○ 民間のインセンティブがまったくないかと言えばそうではないと思う。地震起因の火災は火災保険では補償されないので、保険会社の中で加入を進めてきたところはある。委員会の提言で踏み込むとすれば、私は自賠責のように強制加入にするしかないと思う。リスクに応じた保険料の細分化を行えば、保険料が高くて入れない人が出てくるし、リスクが低ければそもそも入ろうとする人がいないので、長期安定的な運営にとってはマイナスになる。
○ この場は政策提言をするところではないので、そういう提言は避けるべきなのではないか。基本は、客観的なデータに基づく評価ができているかどうか。
○ 私の調査では、地震保険の加入と所得の関係性は認められ、所得の影響を除いても、地震危険度と加入の関係性も認められる。地震危険度に応じた加入行動はみられた。
○ 地震保険の付保割合は火災保険の半分なので、残り半分は民間でカバーしなければならないが、政府と民間とでは地域によっては保険料に3倍もの開きが出てしまい、民間としては売りにくい状況にある。もし民間にも保険を売らせようとするのであれば、保険料はもっとリスクに感応的にすべき。
○ 東京都内の地震危険度と加入率との関係という貴重なデータが示されているのだから、財務省はもっと掘り下げて分析を行うべき。
○ 地震保険の長期安定的な運営のところは、考え方がクリアになっていないので私としても検討したい。

(医師確保対策)
○ 今回の評価においては、科学的データがほとんどないため、検討のしようがないというのが私の結論である。
○ 文部科学省の評価では、学生1人当たりの教員数は増加している、共用試験の平均点は上がっているとされているが、テストの点数は何回かやっていくうちに上がっていくものだ。日本の医学部学生はレベルが低く、日本の現状や外部の人の指摘については触れられていない。
○ 臨床研修制度や大学院重点化による医師不足への影響に関する記述は無責任だと思う。
○ 臨床研修制度の施行を契機として、医師不足が顕在化したとの指摘があると記述されているが、厚労省自らの意見がない。
○ 病院勤務医の平均勤務時間は週61.3時間とされているが、病院の中には、超過勤務をタイムカードに反映させないようにしているところもある。もっと長時間勤務の実態が表れている調査結果もある。
○ 地方自治体は、独自に努力しており、厚労省や文科省は、こうした自治体のデータを使って評価を行うべきなのではないか。
○ 答申で言おうとしていることでは、物足りない。
○ 日本の心臓外科医数はアメリカの3倍、脳外科医数はアメリカの4倍というデータがある。また、手術件数は日本よりアメリカの方が多いという実態がある。こうした背景には、アメリカには医師を補助する者GP(ゼネラル・フィジシャン)等が存在していることがある。このような実態を踏まえる必要があるのではないか。
○ 厚労省は、2年ごとに医師について調査しているが、調査結果を集計して評価に使っていない。
○ 厚労省の評価では、必要医師数の推計は困難としているが、これに対してはその必要性を明確にコメントすべきなのではないか。
○ 産科医療補償制度については、何らデータが示されていない。産科医にとってこの制度が良い制度なのかどうかといったアンケート調査も行われていない。この制度は、民間に丸投げし、原則として「妊娠33週以上、出生体重が2000グラム以上」、「妊娠28週以上で所定の要件に該当した場合」に支払いが限られている。集められた保険料については多額の余剰金が発生するとの指摘が医者からも問題提起されている。こうしたことについて、答申に盛り込むべき。
○ 地域においては、専門医枠を持っているところもある。胸部外科学会が人口当たりの必要専門医数を調査している。こうした貴重なデータを活用すべきである。
○ 学会や各都道府県が一生懸命やっていることについて、厚労省は情報を体系的に収集して整理していない。
○ 各専門医療職種に必要な医行為を明確に定義して具体的な研修を義務付けると同時に、教育機関への財政的支援も行う必要がある。コメディカルの医行為拡大議論においては、こうした教育・研修の充実の議論が必要である。

(3)政策評価結果の平成22年度予算要求等への反映状況について、松林政策評価官から説明が行われた。

(4)次回の日程等について、事務局から報告が行われた。

以上
(文責:総務省行政評価局政策評価官室)


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