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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月8日開催)議事録

日時

平成21年9月8日(火)15時00分から17時15分

場所

法曹会館 高砂の間(2階)

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、黒田玲子委員、森泉陽子委員
浅羽隆史、阿曽沼元博、荒張健、稲継裕昭、梅里良正、岡本義朗、河村小百合、木村琢磨、黒川行治、黒田壽二、鈴木豊、田渕雪子、野口貴公美(※)、宮本幸始、山本清、山谷清志の各臨時委員
(※)を付した委員については、審議の一部に参画していない。

(総務省)
田中順一行政評価局長、江澤岸生官房審議官、讃岐建行政評価局総務課長、横山均評価監視官、細川則明調査官、平野誠調査官、高橋慎弥調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する府省ヒアリング(文部科学省、国土交通省)
  2. 役員の退職金に係る業績勘案率について
  3. 報告事項

配布資料

会議経過

【富田分科会長】  それでは、時間になりましたので、ただ今から、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。

 本日から3回にわたりまして、今年度の見直し対象となっております法人の見直し当初案に関する府省ヒアリングを行います。このヒアリングは、今後、当分科会として主要な事務・事業の改廃に関する勧告の方向性の検討を行っていく上で重要な意味合いを持つものと考えておりますので、委員の皆様の御協力を何とぞよろしくお願いいたします。

 なお、日本高速道路保有・債務返済機構につきましては、国土交通省から、見直し当初案を再度検討した上で再提出したいので、現時点での説明は控えさせていただきたいとの申し入れがございました。このため、今回のタイミングでのヒアリングは行わず、再提出された段階であらためて対応することとしたいと考えております。

 それでは、本日は、文部科学省所管1法人及び国土交通省所管4法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。また、その後「役員の退職金に係る業績勘案率について」の案件に関して事務局から説明を受け、御審議を願います。

 まず、文部科学省所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。文部科学省・箱ア審議官を始め御担当の皆様にお越しいただきました。

 それでは、日本原子力研究開発機構の見直し当初案につきまして、その主要なポイントについて文部科学省から御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係もありますので、5分程度で御説明をお願いいたします。

【箱ア審議官】  文部科学省研究開発局でございます。よろしくお願いいたします。

 資料につきましては、資料1−2の1ページ目でございます。私どものこの資料は、「独立行政法人の組織・業務全般の見直し方針」という文書が出ておりますけれども、この基本的な見直しの考え方4点、それから、2ページ目の業務類型ごとの主要な見直しの視点5点、それぞれについて要点だけまとめた資料でございます。

 それでは、基本的な見直しの考え方の4点につきまして申し上げます。まず、第1点は、業務の廃止・縮小・重点化でございます。重点化につきましては、高速増殖炉サイクル技術が第1点目、それから、高レベル放射性廃棄物処分が第2点目、第3点目としまして核融合研究開発、4点目が量子ビーム。この4点の事業への重点化を進めてまいりました。これまで予算額ベースでございますけれども、44%から54%と4年間で10%程度縮小・重点化をしたわけであります。重点化につきましては、引き続きこの方針で進めていきたいと思っております。

 それから廃止でございます。これにつきましては、整理合理化計画というものが平成21年3月に見直されておりまして、合計43施設の廃止計画が進められております。これに基づきまして着実に廃止を進めていきたいと思っています。御参考までに、これまでに廃止してきた事業は、ウラン探鉱、ウラン濃縮、新型転換炉、RI製造、こういったものでございます。

 時間もございませんので、2点目に移ります。経費の削減、業務運営の効率化でございます。まず、経費の削減について申し上げますと、これは法律等に基づきまして、引き続き人件費、一般管理費を削減したいと思っております。ちなみに、人件費につきましては504億円から473億円、管理費につきましては147億円から121億円へと削減を進めてまいりました。今後とも更に進めてまいりたいと思っております。

 申し上げましたように、事業の廃止・統合を進めておりまして、43施設において整理合理化を進めておりますので、業務遂行上、真に必要な資産を除いて廃止・売却を進めるということでございます。

 それから、随意契約を見直し、競争性のある契約への移行に取り組むということが業務運営の効率化にもつながると思っておりまして、随契の比率はこの3年間で大幅に減らしてございます。

 3点目は自己収入の増加でございます。これは、私どもの独法の性格から、自己収入というのは基本的には競争資金の導入というものがメインになるわけでございまして、これまでに30億円弱の自己資金の増加をみております。今後とも、もちろんこれはどれだけ大型公募事業が継続されるかということによりますが、そういったものを含めてこの5年間で何とか3%増を目指したい。もちろん売電収入があればもう少し大きな自己資金として計上できるというところでございます。

 それから、4点目、情報提供の充実でございます。これにつきましては、着実にセグメント情報、財務情報の作成・公開といったものを進めていきたいと思っております。

 2ページ目にまいりまして、業務類型ごとの主な見直しの視点、5点ございますけれども、これにつきましては、1ページ目の視点と若干かぶるところもございますので、要領よくやっていきたいと思います。まず、第1点目、所期の目的どおりに研究成果が上がり、それが有効に活用されているか。こういった見直しの視点でございます。これにつきましては、高速増殖炉サイクル技術、高レベル放射性廃棄物、民間への円滑な技術移転のための体制を整備しつつございまして、是非ともこういった国費を使った事業化のための事業でございますので有効に活用されるようにやっていきたいと思っております。

 2点目は、他の機関での類似性の高い研究開発プロジェクトを実施している場合、合理化、共同実施を図ることでございます。これにつきましては、先ほど申し上げました43施設の廃止計画、これがまさしく他の機関でもやっているのであればやめようと、あるいは民間でできるのだったら民間に移そうということで廃止を決めた43施設でございますので、ある意味インプールをされているのかなと思いますけれども、きちんと目配りしまして、合理化、共同実施を図るようにしたいと思っております。

 3点目でございますけれども、研究開発業務に関連して行われる情報収集業務提携、これも先ほど申し上げましたように、自己収入を増やしていくという方針にはもちろん変わりないわけでありまして、加速化できればと思ってございます。

 委員の皆様に原子力機構の施設を御視察いただいたこともあるのですが、そのときにも展示施設について御意見を賜っておりまして、できるだけ展示施設を電力会社とは別に造っておりますので、その特徴を生かしてきちんとした展示をやっていきたい。それが結局は業務の効率化につながると考えてございます。

 4点目は調査・研究開発に係る評価でございますけれども、これにつきましては、研究開発評価委員会を設けまして、事前、中間、事後追跡評価ということをやって反映しておりますし、今後もますますきちんと評価をしていきたいと思っております。

 それから、開発ステージから実用化に向けてのステージごとの評価も必要でございますので、要素技術の評価からトータルな評価へ移行していきたいと思ってございます。

 最後でございますけれども、政策の重点化ということなので、これは先ほど申し上げました43施設の廃止計画ということで御了解いただければと思います。

 簡単でございますが、以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。

 それでは、ただ今御説明をいただきました日本原子力研究開発機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

 どうぞ、宮本委員。

【宮本臨時委員】  まず、もんじゅに関連してお尋ねしたいと思うんですが、運転再開に当たって目指しておられた、これまで長期にわたって停止している原因となった幾つかのトラブルについて、技術面の原因、あと組織運営上の課題についての究明が十分尽くされていて、再度、重大なトラブルで計画が遅延することがないような十分な改善措置が既に図られてきたと言えるかどうか。あるいは残された重要な課題というのはないのかというようなことについて、国民に分かりやすい説明になっているかどうかということでお尋ねしたいと思います。

 機構の中でも、また外部からも種々の反省、あるいは評価が行われてきて、課題抽出がされ、組織の見直しを含む改善の措置というのはとられてきたと言われておるんですけれども、改善措置というのは実際に関係者に真に理解されて、実際に機能するようになっていると言えるのか。新たな潜在する課題はないのか。この辺、非常に国民の関心事だと思うんですが、そういうことに対して今現在も随時検証して、何か課題があれば、それを速やかに見直していく、あるいは更なる改善を図っていくというような、いわばPDCAのサイクルを回すような仕組みがきちんとできていると言えるのかどうか。それらの全体に関して国民に対しても分かりやすい説明がなされていると言えるのか。その辺の改善が必要ではないかというあたりについて、まずお尋ねしたいと思います。

【富田分科会長】  お願いします。

【箱ア審議官】  はい。ありがとうございます。もんじゅは確かに13年間、止まっておったわけでございますけれども、13年間、全く何もせずに呆然と立ち尽くしていたというわけではもちろんございません。ある意味、この13年間をかけて特に地元との信頼関係を醸成してきたとも言えるわけでございます。私どもとしては、信頼関係がなければ仕組み的にも、感情的にも、もんじゅは再開できないということが身にしみておりまして、地元の方々、あるいは国民全体に対してできるだけ分かりやすく御説明するということを繰り返してきたところでございます。もちろん、自画自賛ではしようがないのでございます。特に原子力安全・保安院につきましては、耐震といった技術的な観点だけでなく、組織の体制といった点からも、あらゆる面からチェックを受けておりまして、それを一つ一つクリアして再開まで持っていくというプロセスを踏んでおります。現在のところ、それが今年度末に向けて着実に進んでいるという状態でございます。

 したがいまして、福井県、あるいは敦賀市、そういったところと頻繁にやりとりを行いながら、必要に応じてやっていきたいと考えておるわけでございます。これにつきましては、万全を期してやるということが再開に不可欠だという気持ちは、もちろん私ども文部科学省も、この評価委員会の対象になっている独立行政法人も十分理解していると申し上げていいと思います。

【板倉課長】  若干補足をさせていただきますと、今、宮本委員に御指摘いただいたPDCAが回っているということが一番重要かと思っております。もんじゅ再開に向けては、昨年、様々なトラブルがございまして、技術面、組織面が規制当局であります原子力安全・保安院にも御指摘をいただきました。そのトラブル対策、技術面での対策、それから、今年の2月には大幅な組織改正も行いまして、組織面での改革も、保安院の目から見ても一定の改善がなされているという評価をこの7月30日に原子力安全・保安院の専門家の会議でもお認めいただいたところでございます。それも一過性ではなく、きちんと自ら改善をしていく仕組み、いわゆるPDCAサイクルが回っているかというところにつきましても、規制当局の厳しい目で御覧いただいても、PDCAサイクルが回り始めたという御評価をいただいております。

 ただし、御指摘ありましたように、これで満足することなく、我々は節目でしっかり改革の成果が上がっているかどうか、更なる改革が必要ではないかということについては不断の見直しをしていきたいと思っております。また、こういう改革をしたということは、もちろん原子力機構も、地元中心になりますが、様々な説明会等々の場もございまして広報しております。文部科学省も地元が中心でございますが、御説明する機会には、この改善について国民の方に分かりやすく伝えていきたいと考えておるところでございます。

【富田分科会長】  宮本委員、いかがですか。

【宮本臨時委員】  続いてよろしいでしょうか。

【富田分科会長】  どうぞ。

【宮本臨時委員】  ありがとうございます。もんじゅのいろいろな教訓もあったということを踏まえて、そもそもの機構の非常に重要なミッションとして、高速増殖炉サイクル確立のための研究開発をきちんと担うということがあるわけですが、そういう目的を達成するために、現在の機構のもんじゅに係る体制だけじゃなくて、全体としての体制や取組状況について、今までの長期停止を踏まえて文科省として総括的に評価をきちんとして、それに対して残る課題の確認だとか、あるいは必要な見直しというようなことについて整理を既にされているのか。その辺についてちょっとお尋ねしたいと思います。

【富田分科会長】  お願いします。

【箱ア審議官】  いろいろな御説明のやり方があるかと思いますけれども、一つは、別に外部に頼っているわけではございませんけれども、先ほど補足でありましたように、第三者的な評価をきちんと受けてございます。これは研究開発段階の施設であろうとも、安全に関しては実用炉並みであるというコンセプトで、原子力安全・保安院の専門家委員会でチェックを受けております。私どもは当然のことながら、そういったチェックの結果を原子力機構と共有いたしまして、全体としてシフトするようにと。御案内のように、二つの組織が一つになった組織でございます。

 したがいまして、もんじゅに重点化するということに当たっては、全体を統括するセクションが人間のシフトをきちんと見ないと、それも数人ではなくて、何十人単位でシフトしてございますので、そういったものはこの独立行政法人がきちんやるように、私どもからも強く指導してきております。当然そういった全体的な統括的な見直し、あるいは改善がないとこの話は進まないということは十分理解してございますし、原子力機構ともよく議論をしているところでございます。もちろんこういった安全というもの、安全に必要な組織はどうあるべきかという議論にゴールはなく、常に改善する、一歩でも前へ進む、一歩でも上に上がるということが必要不可欠でございますので、私どもはそう認識しておりまして、満足することなく、大変高かったハードルでございますが、7月の末に保安院からお墨付きをある意味いただきましたけれども、これで満足することなく、改善を進めたいと考えてございます。

【富田分科会長】  宮本委員、どうぞ。

【宮本臨時委員】  質問としましては、今回の見直しに当たって、文科省の当初案としては、そういう意味での組織の体制、あるいは取組状況について何らかの見直しが必要、行うということが明言されていないように思われるんですが、そういう意味では、既に必要な見直しが終わって、今現在、もう見直しは済んだというような意味になるのか。その辺をちょっとお尋ねしたいと思います。

【板倉課長】  もちろんこのもんじゅの教訓は、もう既に踏まえているところもありますが、私ども、このもんじゅの問題、平成7年の事故も、あるいは昨年度の様々なトラブルも、マネジメントのやり方が後手に回っていたのではないかという反省がございます。もんじゅで申し上げますと、長らくプラントが停止しておりまして、運転再開目前だという状況にもかかわらず、運転再開にふさわしいマネジメント体制を構築してこなかった、遅れたというところがございました。私どもは、もんじゅだけでなく、高速増殖炉の実用化のための研究開発を経済産業省との共同プロジェクトとして茨城県の施設で実施しております。これは今まで要素技術、個別の技術開発をやっておりましたが、原子炉というのはトータルのシステムでございまして、マネジメントもトータルシステムにふさわしい、全体をふかんして、ユーザーの意見も取り入れつつ進めていくという体制にしなければいけない。ここも遅れてはいけないということで、今年から着手はしておりますが、次期中期目標期間においては、こういう研究のフェーズに合ったマネジメントをいち早く行っていくということを徹底させたいと思っておりまして、これがもんじゅの教訓として一番重要なことと考えてございます。

【箱ア審議官】  補足をいたしますと、私どもにとって年度末の再開というのは、御視察いただいた委員の先生からも御指摘をいただいておりますけれども、これでうまくいかなかった場合、この事業自体の見直しに入るという認識は当然持っておりまして、その意味で、この年度末のハードルを超えるためのマネジメントということは万全を期してございます。ただ、これは中期計画、中期目標、あるいは中期目標の見直しに書くような話ではなくて、むしろ資料1−2の2ページ目の方の業務類型ごとの主な見直しの視点の一番最初、所期の目的どおり研究成果が上がり、それが有効に活用されているかというところで、今後、もんじゅの運転再開も踏まえた成果の活用というための体制整備という中で、今後、書き込むのかなと考えてございます。繰り返しになりますけれども、体制の整備というのは、当然この独立行政法人が担っているミッションは研究開発の進行に伴って変わってくるわけでございまして、その時々に応じたきちんとした体制が組まれていくことが当然肝要と思っていまして、安全を担う、あるいは信頼性を損なうと全く事業ができないようなものでございますので、体制はマスト中のマストでございますので、きちんとした仕組みをつくって、万が一にも問題が起きないことを目指してやっていきたいと考えてございます。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ、黒田委員。

【黒田(壽)臨時委員】  私の方からも、もんじゅについてお聴きをしたいと思うんですけれども、機構にとって、もんじゅの再開というのは国家プロジェクト、日本にとって最大の戦略だろうと思うんです。年度中に再開するということでありますけれども、今度事故を起こしますと日本から高速増殖炉もんじゅが消えてしまう。再び研究できなくなるという可能性も潜んでいるわけです。そういう意味で、安全には万全を尽くしていただきたいと思うわけですけれども、見直し当初案を読んでみますと、所管である文部科学省から機構に対してどういう指示を出して、どこが改善されて見直し案が出来上がったかということがこの見直し当初案の中にちょっと読み取れないんです。当初案を実行していくんだということしか書いてない。

13年間、止まっている間にどういう研究がされてきて、本体は停止していても、それにまつわる研究というのは進んでいるはずなんです。そのことが全く見えていないということです。そういうことをはっきり国民の目に留まるように説明をしていただくということが非常に重要だろうと思うんです。それが国民が安心して見守っていけるという姿勢になると思うんですが、もんじゅに対する見直し当初案の中で文部科学省としてどういう指示をしたかということ。それと、原子力安全・保安院から出ています安全確認の考え方というのがありますけれども、これでは相当多くの指摘がされており、こういうところを見直さなければならないとか、こういうことが必要であるということがいっぱい書いてあるわけですけれども、そういうことに対する対応がどうなっていたのか。おそらく対応措置についての検査を受け、通過したから再開が可能になったんだろうと思うんですけれども、そういうところの具体性が見えてこない。その辺について、まず1点お伺いをしたいと思うんです。

【富田分科会長】  お願いします。

【板倉課長】  もんじゅの安全面につきましては、すいません、資料1−2には安全確保強化と簡単に書いておりますが、実はこれも原子力安全・保安院、原子力機構、それから、文科省で様々な議論をして、その改善案を一部合格をして何とか運転再開のめどが立ち、議論をしております。

 大きな話は、先ほど宮本委員から御指摘のありました技術面のお話でありますと、施設の管理がしっかりできているかというところ、これももう私どもも原子力機構と一緒に、どういう改善をしていけばよいか、ものすごく技術的な面も含めて議論をしておりまして、その成果も一部上がっております。そのほかに、PDCAサイクル、自律的な品質保証の機能が回っていくということも、私ども現場の個々の人間と議論をしまして、ペーパーにしますとずらずらと長くなりますので、概要では1行になっておりますが、そういう議論を踏まえて現在に至っております。

 実際の中期目標を策定するときにはそのエッセンスをしっかり盛り込んでいきたいとは考えております。ちょっとこの紙面の都合もございましたので、簡単には書いておりますが、その裏に私どもの様々な指摘、コミュニケーションをとっているということでございます。

【富田分科会長】  黒田委員、どうぞ。

【黒田(壽)臨時委員】  今のことは非常に重要なことでして、これをやっておかないと国民の理解というのは得られないと私は思うんです。国民の目線で物事を発表していただくということが非常に重要だと思うんです。こういうような研究というのは、研究者同士では大した事故でもないと思われるんです。ですから、こんな事故でここまで発表しなきゃならないかということにもなりかねない。そういう意味では、しっかりとした対応を文部科学省としてもしていただきたいと思います。

 それから、再開したときにどんな研究をいつまでにやるのかというのもまだ見えていないですね。ナトリウムの取扱いの技術の確立をするとか、発電プラントで信頼性の実証をするんだということでありますけれども、この二つのことがどういうことを意味するのか、止まっている間にこういう技術の確立はできなかったのかということにもなるわけです。また、もんじゅの再開をしたときに、こういうところへ立ち戻ってやるということであれば、この技術研究というのは先に進んでいないのではないかという疑いを持たれる可能性があるわけでして、その辺のことをどのようにお考えになっているのか。

 それから、もう一つ、私が一番気になりましたのは、東海村を視察させていただきましたが、事故には技術的なミスと人為的ミスと二つあるんです。ヒューマンエラーの方が大きいんですね。本当の単純ミスでその機械が、原子炉が止まってしまうという事故が多い。その辺に対する技術的検証をどうしているのかというと、しっかりと講習会を開いてやっていますということですが、講習会をどれだけ開いても、こういうものは直るものじゃないです。ヒューマンエラーというのは必ず起きる。そういう前提に立った技術開発がどこまでされているのかということが重要なことだと思うんです。ですから、そういうところの社会に対する公表がされていない。技術者に対する講習はやっていますと言われるが、本当にそれで安全なのかなと。ちょっとボタンの押し間違いをしただけで原子炉が止まるということが起きるわけですから、それをどう防ぐのかということの公表がされていない。私はこの前視察に行って、その辺がちょっと気になったところなんですが、いずれにしても、13年間止めていたものが急に動くとは思えないんです。その間に経年変化によるいろいろな故障が起きていると思うんです。その辺のことを十分に保安院の方も検査しているんだろうと思うんですけれども、文部科学省としても、自信を持って再開していいんだという宣言ぐらいを出してもらえるような意気込みでやっていただきたいと思うんですが、その辺はいかがですか。

【板倉課長】  今、御質問いただいた中で、まず運転再開後の計画、確かに紙面の都合がございまして簡単にしか書いてございませんが、私ども、停止期間中も例えば高速増殖炉の様々なメンテナンス技術、例えばロボットで保全をする技術とか、あるいはナトリウムというものは非常にメリットもありますが、漏れると火災が起きるというデメリットもございまして、いかに安全に取り扱えばよいかということも別途研究はしてきております。

 ただ、もんじゅを動かして研究しなければいけないと思っておりますのは、実プラントでなければ得られないデータというものがございます。例えばまず実際に炉を動かしてみて、もんじゅの設計というものに経済的な観点も、今後、実用炉に向けては重要ですので、もっと削れる部分がなかったかどうかという設計構造の検証のようなものから始めまして、あとメンテナンス技術でございますとか、安全技術、これは実際に使い始めてみないと、どこでどういう劣化が進んでいくかというところも分からないところがございますので、そういうデータをとって実用炉に生かしていくという計画を立てておるところでございます。

 また、委員から東海村でも御指摘いただいたヒューマンエラーについて、あのときにお答えせずに申し訳ありませんでしたが、私も技術的に何とかヒューマンエラーを防止するということは重要だと思っておりまして、原子力機構でも昨年のトラブルの中で、ナトリウム漏えい検出器が人為的ミスで装置を深く差し込み過ぎ、曲がってしまって機能不良が起きてしまったというミスがございました。これは、マニュアルを幾ら整備してもそういうミスが起こりますので、突っ込み過ぎないようストッパーをつけて、同じ施工不良が生じないものに変えて、技術的にヒューマンエラーを防ぐ取組も行っておりまして、確かに委員御指摘のとおり、そういうことを積極的にアピールしていく努力が欠けていた部分もありますので、そういうところを今後、重視していきたいと考えております。

 あと、最後の13年間止めていたプラントが大丈夫かということにつきましては、これは地元の方々からも御指摘を受けておりまして、今、もんじゅでは、原子力安全・保安院からも同じことを言われているんですが、新しいプラントとしての合格点がもらえる、いわば厳しい基準で様々な原子力安全・保安院の使用前検査も受けておりますし、我々もその結果を吟味させていただいておりまして、この13年間の劣化というところはすべてクリアした上でこのプラントを動かしていくということとしたいと考えてございます。

【黒田(壽)臨時委員】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。野口委員、どうぞ。

【野口臨時委員】  もんじゅとはちょっと違う話なんですけれども、私が一貫して気になっておりましたのは、機構が独自に持っておられる展示施設の件なんですが、今日の冒頭の御説明にも、展示施設は必要なんだという御説明があったかと思うんですけれど、持っていることが必要であるとして、持っている施設を有効に活用し、そこで成果を上げていくことが大変重要であるかと思うのですが、これまでに頂いている資料を見ると、例えば展示施設の運営経費なんですが、これが6億円強かかっているにもかかわらず、利用料収入という点で見ると1,700万円ぐらいにとどまっている。果たしてこれで運営経費に見合うだけの成果が、資料からはなかなか見えてこないんですけれども、上がっているのかという点についてお伺いしたいというのが1点と、もう1点は、効率化の点なんですけれども、運営費を算出している資料がございまして、入館者1人当たりの運営費を見ると、ばらつきはあるんですけれども、高い施設だと1人当たり4,500円というデータもございますが、これで果たして効率化が進んでいるのだろうか。見直し当初案にもありますが、展示施設についてはアクションプランを策定して粛々と進めているという御説明なんですけれども、こういうデータをみてあらためて抜本的に見直す必要があるのかどうかというあたりについてお伺いできればと思います。

【板倉課長】  お答えいたします。この展示館につきまして、私ども原子力の研究を進めるに当たっては、地元の皆様の御理解がいただけないと進めないというところもございまして、この展示館の目的は、収益を上げるというよりも、原子力機構の活動についていかに地元の方々に御理解をいただけるかということを私どもは最重要の視点として事業を行っております。

 したがいまして、その費用も、有料にしても効果が上がるところは有料化しているところもございますが、無料にした方が多くの方々に原子力機構の活動について御理解がいただけるということであれば、そちらの方が合理的な部分もあるかなと考えておるところでございます。もちろん予算も厳しい中で、運営の見直し等々、競争入札なども入れて削減を図ってきておりまして、今後とも本当に費用の合理化と、いかに効果的に、いわば周辺の皆様に御理解いただけるかということを、日々、現状に満足することなく検討していくということを今後とも取り組んでいきたいと思ってございます。

 1人当たりの単価になりますと、実は立地条件で、人が簡単に来れるところと、サイトがいわばちょっと田舎にあるところとございまして、いろいろ不利な条件のところはございますが、それでも一つ一つ改善ができるように今後とも取り組んでいきたいと考えております。

 以上です。

【箱ア審議官】  一言だけ補足いたしますと、今、野口委員からおっしゃっていただきましたことは、その前の宮本委員、黒田委員からおっしゃっていただいたような国民に納得してもらって事業を進めるべきであるというところと非常に密接に関係してございますので、肝に銘じてしっかり見直しをして、できるところからきちんとやっていくということでやらせていただきたいと思います。

【富田分科会長】  ほかにもいろいろと質問させていただきたい事項はあるんですけれども、今日は時間の都合もありますので、日本原子力研究開発機構につきましてはここでいったん議論を打ち切らさせていただきます。御説明いただきました文部科学省におかれましては、御多用の中、大変御協力を賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後の主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。また、本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられると存じます。その場合には後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキング・グループで再度、ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。文部科学省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。

(文部科学省退席)

【富田分科会長】  続きまして、国土交通省所管4法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。

(国土交通省着席)

【富田分科会長】  本日は、国土交通省・若山政策評価審議官を始め御担当の皆様にお越しいただきました。

 それでは、早速でありますけれども、交通安全環境研究所、海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所、電子航法研究所の4法人の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、国土交通省から御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係もありますので、御説明は15分程度でお願いいたします。

【若山審議官】  国土交通省の政策評価審議官の若山でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 それでは、国土交通省所管の4法人に関する見直し当初案について御説明させていただきます。詳細な説明は後ほど担当部局より行いますが、まず冒頭、私から概括的な内容を御説明させていただきたいと思います。

 本日は、6月に閣議決定されました「経済財政改革の基本方針2009」において見直しを前倒しすることとされた、来年度に中期目標期間が終了する統合予定法人であります所管の四つの法人、具体的には交通安全環境研究所、海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所及び電子航法研究所という交通運輸関係の研究開発独法について、去る8月31日に総務省及び内閣官房に提出させていただきました見直し当初案の内容を御説明させていただきます。

 この4法人は、平成19年12月に閣議決定されました「独立行政法人整理合理化計画」を踏まえ、随意契約の見直し、給与水準の適正化、自己収入の増大などに取り組んでいるところでございます。4法人の統合後も、引き続きこれらの取組を進めてまいるとともに、事務・事業及び組織について必要な措置を講じていくこととしております。

特に独立行政法人整理合理化計画において、統合により新たに設立される独立行政法人は、「我が国の交通分野の研究開発を担う中核機関」となることを期待されていることから、業務の効率化を図りつつ、統合によるシナジー効果を発揮できるよう検討を進めていくこととしております。

 以上、概括的に御説明させていただきましたが、各法人の概要及び具体的な見直し内容につきましては担当部局から御説明させていただきます。

【安藤課長】  それでは、御説明させていただきます。現時点で研究所ごとに所管の部局が異なりますので、一方、時間も限られておりますので、総合政策局でまとめて御説明させていただきます。後ほどの質疑対応につきましては、各局の所管部局を含めて対応させていただきたいと思います。

 御説明の進め方といたしましては、まず冒頭、交通安全環境研究所について御説明させていただいて、残りの3研究所については共通、類似のところは割愛させていただいて、特記の部分のみ御説明するような形で進めさせていただきたいと思います。

 それから、お手元の資料2−2として、パワーポイントの資料を付けておりますけれども、所定の様式ですと文字ばかりですので、研究所のイメージがつかみにくいかと思いまして、添付させていただきました。適宜必要に応じて御参照いただければと思います。

 それでは、お手元の資料2−1の6ページ、交通安全環境研究所につきまして、始めさせていただきます。

 まず、沿革でございますけれども、昭和45年に設立されまして、平成13年に独法となり、平成23年4月に整理合理化計画に基づきまして他の3研究所と統合予定でございます。この際、自動車審査・リコール関連部署は自動車検査独立行政法人へ業務移管する予定でございます。

 中期目標の期間といたしましては、現在、第2期で、平成18年度から22年度ということになっております。

 役員数につきましては、4名、うち監事2名、常勤、非常勤の別はここに示してあるとおりでございます。職員の実員は101名。

 それから、予算の規模でございますが、支出予算の規模といたしまして、大体現状30億円程度ということで御覧いただければと思います。

 次の7ページにまいりまして、中期目標の達成状況ですが、まず、業務の質の向上に関する目標ということで、ここに記させていただきましたような数値目標を含めて設定しております。御覧いただきますように、既に達成済みのものを含めまして、中期期間終了時までには達成の見込みと考えております。

 また、そのページの下、効率化の関係の措置でございますが、設備の稼働率について、主要な設備は60%以上。業務経費は20年度実績で22.9%抑制。管理・間接業務の効率化ということですと一般管理費17.4%抑制。総人件費の改革の関連ですと3.54%削減ということで、いずれも順調に推移しておると考えております。

 それから、事務・事業の見直しに係る当初案ということで、9ページになりますが、ここで、この法人につきましては、リコール関係・自動車審査関係につきましては自動車検査独法に移りますので、残る研究関係の法人の規模といたしましては、ここに書いてございますような予算規模、あるいは職員数としては54人ということで考えております。

 真ん中あたりの事務・事業の見直しに係る具体的措置ですが、統合によるシナジー効果の発揮ということで、これはちょっとここに書かせていただいている下の方から御覧いただく方がストーリーが分かりやすいと思いますが、下にブラケットで整理合理化計画の中で指摘されておりますように、我が国の交通分野の研究開発を担う中核機関として、必要な研究に重点化する、その際、他の研究開発型の独法、大学及び民間との相違・役割分担等の明確化を図るということになっておりまして、これらの対応といたしまして、その上にございますように、重要政策課題への即応力強化ということで考えております。これは従来やっておりました運輸モードごとの技術の高度化を引き続き図るとともに、各研究所の知見の相互交流や研究成果の共有により新たな知見を創出・活用すること、また、運輸技術に関する最新の情報を常に収集・保有することにより、国交省と一体となって交通運輸行政を推進する機関、行政密着型研究独法として、行政に対する運輸モードごと及び運輸モード横断的に技術ソリューションを的確に提供し、行政ニーズにこたえるということで整理合理化計画への対応を図らせていただきたいと思います。

 その中でとりわけ一番上に書かせていただいている運輸モード横断の総合的研究開発機能、これは従来、モードごとの研究を進めるために最適化できるような組織形態ということで各研究所はできておったわけですけれども、統合することによって横断的な取組を新たにやっていきたいということでございます。ここに書かせていただいておりますのは、政策課題の解決に向けた道標たる技術研究開発ロードマップを作成・発信することにより、当該ロードマップに従って、国交省とともに産学との連携を含めて先導的に研究開発を推進する。少し具体的に申し上げますと、ここで「温室効果ガス削減等」と書いておりますけれども、例えば陸海空それぞれのモードで、今後どんなCO2の削減技術がどの時期に出てくるか、例えば50年とか、そういう長いスパンでみて、その促進のためにどういう支援策をいつごろ講じていけばいいか、日本全体で総量を減らすためのボトルネックはどこにあるかとか、そういったところを見極めながら、国として施策を講じていくための基礎的な研究開発としてこういうところに取り組んでほしいと。場合によっては、従来の陸空海の輸送の分担関係も見直すようなことも含めて政策を講じていくようなことが可能になると考えております。

 次の10ページにまいりまして、こちらは残る自動車審査・リコール関連の業務でございます。47人程度の規模で実施していきたいと考えております。

11ページにまいりまして、組織の見直しに係る当初案ということで、法人形態の見直しの方は先ほど申し上げたとおりですが、支部・事業所等の見直しのところでは、これは整理合理化計画で指摘されております施設の廃止、(1)については、既に19年度に廃止しております。また、(2)の設備につきましても、今年度中に廃止ということで計画しております。

 ページを進んでいただいて13ページですが、運営の効率化・自律化の見直しに係る当初案ということで、業務運営体制の整備に関しましては、統合を契機に各研究所で現在までやってきておりますいろいろな効率化努力の事例を研究所間で共有して、相互に導入できるものについては統合前から積極的に取り組んでいく、内部統制の関係につきましても強化を図るとともに、引き続きこの統合を契機として効率的、効果的な業務推進体制を確保していきたいと考えております。

 その横、随意契約の見直しですが、こちらは既に一般競争入札を原則としておりますけれども、更に、一般競争入札の場合でも競争性を高めるような取組をしていきたいと考えております。

 それから、給与水準の適正化ですが、こちらも既に公務員の給与体系に準拠しておりますけれども、引き続き適正化への対応を図っていきたいと考えております。

15ページにまいりまして、自己収入の増大の関係ですけれども、この交通安全環境研究所に関して言いますと、受託研究の収入は既に相当程度高くなっておりますけれども、統合後も引き続きその維持に努めていきたいと考えております。

 次に、海上安全研究所でございます。16ページです。こちら、沿革につきましては、大正5年に設立というので、古い法人でございます。役員は5人ということで、職員の実員数は211人、予算の規模は大体40億円強といったところになっております。

 次のページを見ていただきまして、中期目標の達成状況ですけれども、こちらも3年間実施しておりまして、順調に推移しております。上から5行目あたりに書いてあります柔軟かつ効率的な組織運営に関して申し上げると、18年度にシーズに対応した組織体制に見直しております。それから、昨年、国交省に運輸安全委員会という事故原因究明のための新たな組織が設置されましたけれども、それに対応する形で海難事故解析センターの設置となっております。

 それから、その下の各種数値目標に関しましても達成されております。

18ページ、戦略的な知的財産取得、成果発信につきまして、この法人は精力的に取り組んでいる状況でございます。

19ページにまいりまして、事務・事業の見直しの具体的な措置に関しまして、この統合によるシナジー効果のところは、先ほど交通研と同じ取組ということで当然考えております。

 それから、業務の重点化につきましては、平成19年に既に役割を終えた研究について廃止しております。

 ページを進んでいただいて、23ページですが、自己収入の増大の関係ですと、この法人の取組といたしまして、知財の専門家の採用でありますとか、プログラムの販売等に積極的に取り組んでいるということでございます。

 次に、港湾空港技術研究所でございます。25ページですが、この法人は、昭和37年に設立されております。職員の実員数は103人、出資予算の規模として35億円程度ということです。

 次の26ページにまいりまして、業務の質の向上に関する目標達成の措置ということで、現状でございますけれども、目標の中には重点研究課題の研究費への資源配分の目標ということも立てておりまして、こういったところについても既に高い比率で達成ができているということでございます。

 次のページにまいりまして、事務・事業の見直しに係る具体的措置ですが、統合によるシナジー効果のところについては先ほどの2法人と同じでございます。研究の重点化(2)のところですけれども、こちらにつきましては、津波・地震防災対策、国際基準の策定等の国際貢献に資する研究等について研究資源を重点化するということで考えております。

29ページにまいりまして、組織体制の整備のところで、整理合理化計画で指摘されております施工・制御技術部の廃止につきましても目標期間までに設定すべく、あるいは行政職員の2割削減につきましても既定の方法に従って取り組んでいきたいと考えております。

31ページにまいりまして、自己収入の増大の関係ですと、この法人におきましては、外部資金獲得のために所内のアドバイザー制度というのを設定しておりまして、こういったところで自己収入の増大の取組を行っております。また、知的財産の活用促進、寄附金についても募集の仕組みを工夫するなどの取組を実施しておるところでございます。

 最後に、電子航法研究所でございます。この法人は、主に航空分野が主体ですけれども、電子技術を使った航空の管制ですとか、そういった分野に関する研究をやっております。昭和42年に設立されまして、13年に独法化されております。職員の実員数としては60人、出資予算の規模としては20億円程度でございます。

 次のページ、33ページにまいりまして、業務運営の効率化に関する事項の真ん中あたりですけれども、特記すべき取組といたしましては、人材活用の関係で、国内外の研究機関や民間企業等と実施した人材交流が既に今期74人ということで、目標値を大幅に上回る交流を実施しておるところでございます。

 次のページでございますが、質の向上に関してですけれども、この法人といたしましては、中期目標期間よりも更にロングスパンでの「研究長期ビジョン」というようなものを設定いたしまして、中長期的な観点から戦略的に研究を実施しているというところでございます。

35ページにまいりまして、シナジー効果のところは前の3法人と同じでございます。(2)の重点的な実施に関しては、羽田や成田空港等の更なる機能強化、そういったところ、それから、将来を見据えた戦略的な研究開発ということで対応していきたいと考えております。

37ページにまいりまして、組織体制の整備の関係では、先ほどもございました外部人材の活用について、海外も含めて積極的に行っていきたいということです。

38ページにまいりまして、この法人では内部統制の強化に関して他法人に比べても先導的な取組をやっておりまして、内部統制委員会を立ち上げて、第三者の知見を活用して内部統制の取組を行っているというところでございます。

 以上、大変駆け足で御説明させていただきまして恐縮でございますが、御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【富田分科会長】  それでは、ただ今御説明いただきました4法人の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

 山本委員、どうぞ。

【山本臨時委員】  今の説明を私はちょっと勘違いしているかもしれませんので、2点ほど確認させていただきたいと思うんです。運輸モード横断的な取組でシナジー効果を上げる。これはおっしゃるとおりで、私、それができれば結構なことだと思うんですが、現行の4法人で、実質的にここでお書きになっている温室効果ガス削減等に係る研究を主要な研究領域とされているのは、4研究所のうちでは交通安全環境研究所と海上技術安全研究所が主たるものですね。そうしますと、運輸モード横断的な取組というのはこれ以外にも当然あるかと思うんですが、具体的にどういう領域をお考えかということと、現状の独法の4法人の体系を読ませていただきますと、港湾空港技術研究所を除くと、基本的には、この名称にもあるように、要するに交通の安全確保というのが主要な業務としてあるわけですね。そうすると、逆に言えば、今後、統合法人がより発展されていかれる場合ということを考えますと、従前の交通の安全確保なり、港湾空港技術の発展と新しいシナジー効果による運輸モード横断の研究をどういうふうにうまく調整されていかれるか。取り分けミッションとして、交通の安全確保というのが主要な、まさしく法律にもお書きになったようになっているわけですね。そうすると、新しい領域にチャレンジされるというふうにいかれるのか、今までの交通安全確保とどういうふうにすみ分けされるのか。あるいは逆に言うと、それを少し縮小してでも、新しい運輸モード横断的な取組によりシナジー効果が生み出されるのであれば、これもなかなか難しいんですが、今の財政状況下においては、あるものを切って、あるいは今おっしゃられたような運輸モード横断的な取組を、そちらにかなり人員を割いて、場合によっては、新しい政権課題により要請が増せば総額も増えるかもしれませんが、いずれにしても何らかのメリハリの見直しというのは必要だと思うんです。私は国土交通省の中の評価委員会の状況は知らないんですが、そういう議論をされて、8月31日の総務省と内閣官房に出された見直し当初案ができたのか。省内、あるいは国土交通省の評価委員会でそういう議論があったのかどうかということも含めて教えていただきたいと思います。

 取り分け、なかなかこれも言いにくいことなんですが、フランクに言えば、モード横断的と言って、港湾航空研究所はやや性格が違って、これは既に決まっているから仕様がないと言えば仕様がないんですが、これを含めてシナジー効果というのも、場所の立地から言えばなかなか難しい。正直言って、なかなかすんなりいくような話ではないことは確かだと思うんです。ただ、これは国土交通省の前身の関係上、こういうふうになったように聞いておりますけれども、そこら辺も含めて運輸モード横断的な取組とシナジー効果をどうやって新しい統合法人によって達成されようとされているのかということを分かる範囲で、当然まだ検討中のことだと思うんですが、これを最初に確認させていただきたいと思います。

【安藤課長】  はい。ありがとうございます。

 まず最初の温暖化の対応の関係なんですけれども、委員がおっしゃったように、交通安全環境研究所と海上技術安全研究所、これはかなりCO2削減の研究をやっています。

港湾空港研究所の関係では、例えば、船が港に停泊している間に、いわゆるバスなんかでいうアイドリングストップに近い、いわゆる港の給電施設で電気を供給する。船といいますのは、港に停泊している間も、船の中の発電機で船内に電気を供給しているんです。これは、効率は必ずしもよくないということで、港の設備で給電すれば、そこで大幅に効率が上がるということです。それから、これはちょっと先ほど私が申し上げたように、交通ネットワークまで視野に入れてCO2の削減を考えるということになりますと、例えば港をどこに配置するかというようなことも国全体のCO2の量なんかに影響してくるかもしれないと思っています。

 それから、電子航法研究所の関係でいいますと、これも航空の管制の仕方によって、そこを効率よくやると、いわゆる飛行ルートを最適化できるというか、短縮できるような管制の仕方がありまして、また、そういったところを今、現にやっております。

CO2削減という例で申し上げると、まさに4つの研究所はそれぞれノウハウを持ち寄れるテーマだと考えています。これは一例で申し上げましたんですけれども、ほかにも今、省内、研究所ともに検討しておりますけれども、例えば安全の関係ですとヒューマンエラーの防止のための技術。人はどうしてもミスを犯すものですから、そういうミスによって事故というのは起こるわけですけれども、例えば自動車の分野で開発された技術というのは、飛行機とか、あるいは船の運航においても活用できる素地というのは十分あるかと思いますので、そういったところも含めて対応するとか、あるいは、もう一つ、まだ世の中ではあまり手をつけられていないテーマで、国交省として是非ともやらなければいかんテーマと考えておりますのは、防災関係で、例えば首都直下地震が起きたときなんか、帰宅困難者対策みたいなことを今、昨年あたりから新聞でも言われておりますけれども、実際、交通ネットワークが麻痺した状態で緊急的な物資の輸送なり、帰宅困難者の方にどうやって対応するのがいいのかというあたりは、まさに陸海空の総力を結集して対応しなければならないテーマと考えておりまして、技術の面でそういうところに貢献できると考えております。申し上げたのはあくまで例示ですけれども、いろいろそういう従来できていなかったモード横断的な技術分野というのは幾つかあるのかなと考えております。

 2点目の、じゃ、リソースを、とりわけ人的なリソースをどうやって振り分けていくかということなんですけれども、これは御指摘のように、非常に難しいテーマではあるんですけれども、我々の気持ちとしては、統合によって何がしか効率化できる部分が出てくるでしょうから、そういうところの効率化できたリソースを新しい横断的な分野の研究に充てていきたいと考えています。

 ただ一方で、実は今日、お話しさせていただいたような方針は、省内、我々事務的にもそうですし、外部の先生方にもいろいろ御意見等を伺っておりまして、交通政策審議会等の場でも御意見を伺った形で、今、まとめさせていただいているところなんですが、一方で、そういう先生方から御指摘いただいていますのは、こういうシナジー効果を発揮するための横断的な研究というのは非常にいい話なので是非ともやりなさいと。ただ、一方で、従来やっていたモードごとの研究がおろそかになるような形でやるべきではない。そこのところの必要性というか、行政ニーズというのは変わらずあると考えておりますので、そういうところをおろそかにせずに、プラスアルファの取組としてこういう横断的なところを何とかうまくやっていきたいと考えております。

【富田分科会長】  山本委員、いかがですか。

【山本臨時委員】  基本はいいですけど。

【富田分科会長】  鈴木委員、どうぞ。

【鈴木臨時委員】  私からは、組織体制のちょっと区分的なことですけれども、二つお聴きしたいと思うんですが、21ページと、37ページに、これは開いていただいても、そこには書いていないということなんですが、組織体制のこういう支部・事業所等の見直しについて、私どもの問題意識として、例えば海上技術安全研究所の大阪支所だとか、電子航法研究所の岩沼分室、これはこういう統合化ということと同時に、今、山本委員の方からはソフト面の見直しですけれども、今度は組織の細分化したいろいろな効率化といいますか、効果的なものを行うというのは当然のことであるわけですから、そういう意味においても、大阪支所は常勤職員の方が5名と私どもは聞いておりますが、そういう小規模な組織がここで必要があるのかどうかです。西日本地区での技術支援ということもあるようですけれども、これもそのために支所として設置しているという必要性は薄いのではないかということで、必要ないのではないかなということもございますし、大阪支所についてどういうふうに考えているのか。そして、岩沼分室の方は、常勤職員が1名だけということですので、通常の組織の考え方からしますと、1名でどういうことが行われているのか分かりませんけれども、ただ、効率化とか、効果的に組織を運営するということであれば、そこは縮小とか、廃止とか、外部委託とか、そういうことを考えるべきではないかと思うんです。それについてはいかがでしょうか。

【赤星参事官】  私、海上技術安全研究所を担当している者でございます。説明させていただきます。

 船舶産業の中でも舶用機器の関連産業につきましては、大阪、神戸を中心として西日本地区に中小企業を中心に非常に多くの企業が集積しておりまして、現在、大阪支所におきましては、こうした主に中小企業を中心とする船舶関連の機器のメーカー方の船舶の材料ですとか、バルブ配管の流体解析、もしくはそうしたものの試験・分析といった業務を中心に行っているところでございます。いわば西日本地区、大阪、神戸以西における産業界と研究所の接点の役割を担っているところでございまして、我々としては、そういった事業者の方のニーズに直接、密着した形で窓口を設けておくということは今後も重要ではないかと考えており、大阪支所を運営させていただいているところでございます。

【加藤課長】  電子航法研究所の岩沼分室でございますけれども、電子航法研究所は航空管制システムの開発とかやっていまして、岩沼分室に実験用航空機がございまして、こちらで実際に開発した機材を使いまして飛行実験を行うという非常に重要な任務になっております。飛行実験を行う際には、実験に即したような飛行経路だとか、あるいは空港内施設の利用に関するいろいろな調整、あるいは実験の場合に航空機にいろいろな機器を取り付けますけれども、アンテナの位置だとか、あるいは実験機器の配置だとか、そういうことを細かく調整しております。そうなりますと、研究の中身を十分理解しないとどうしても研究の実験成果は進まないというのがございます。

 それと、電波を扱うものでございまして、無線局に関する総務省への届出とか、実験内容の説明等出てまいりまして、どうしても研究の中身をしっかり分かった人間でないとここはできないということで、最低限でございますけれども、1名の要員を配置しておるということで、これはどうしても研究所と一体のものでございまして、なかなか廃止は難しいと考えております。

【鈴木臨時委員】  大阪の方は窓口業務ということで、岩沼の方は実験のために1人というところは、ちょっと僕は理解できませんけれども、これはまたいずれ資料等で説明いただきたいと思います。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  時間がないので手短に2点、御質問させていただきたいと思います。場所的な配置を見ると、今回、統合予定の4研究所のうち三つが三鷹におありになって、一つ、港湾空港技術研究所だけが横須賀ということですけれども、統合ということであれば当然出てくる論点とは思いますが、いわゆる間接部門の合理化をどういうような規模で、例えば予算とか、人員の面であるとか、あと、急にということは当然できないでしょうから、どういうタイムスケジュールでやるかということ、どういうふうに進めていこうとお考えになっていらっしゃるかということをお尋ねしたいのが1点です。

 もう1点は、先ほど最初、山本委員からの質問に関係するんですが、どういう研究に取り組まれるかというところで、モード横断的な研究でシナジー効果を上げるということと、もう一つ、モードごとの研究も重要だという御説明があって、それはよく分かるんですけれども、大きく分けてみたときに、この両方、統合したモード横断的なものと、それから、モードごとというので、ちょっとうまくお答えいただけるかどうか分からないんですが、重要度というか、どちらが優越するのかというか、どちらが大体何対幾つとか、どのぐらいのウエイトというか、重きの置き方にそれがなっていくのかということをお尋ねできればと思います。

 あと、政独委としても、こちらの国土交通省の研究所にかかわらず、時々、議論になるんですが、独立行政法人として研究をなさるときに、運営費交付金でなさる研究と、国などからいろいろ委託をされて受託のような形でなさるような研究と両方あって、どちらが大事とお考えかなと、そういうような問題意識もありまして、先ほどおっしゃられたモード横断的なものと、それから、それぞれの分野についてということで、何かそのあたりの切り分けとかいうようなことがもしあり得るようであれば、今の段階でお教えいただける範囲でお答えいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

【安藤課長】  まず、最初の間接部門のようなところの効率化をどういうふうに進めていくかということなんですけれども、これも今、委員がおっしゃっていたように、今まさに検討中で、現時点で明確にどういうふうにとお答えしづらい内容であるんですけれども、一方で、当然、我々統合に際して先ほど資料でも御説明させていただいたように効率化を進めていかないといけないと考えています。

 ただ、そのときに御理解いただきたいのは、今回、この4つの研究法人、従来いろいろな独法の統合とかあったと思うんですけれども、我々の目から見ると、割と非常に大きい法人に小さい法人が吸収合併されるような形態が多かったんじゃないかなと感じています。今回の4研究所というのはそれぞれ運輸の中で専門分野は異なりますけれども、それぞれの専門分野ごとにきちんとした研究をやってきた、いわば対等合併だと考えておりまして、そういう対等合併に伴う調整の苦労というのがいろいろあると御理解いただければと思います。ただ、いずれにしろ、これは最終的には23年度の予算要求の際に当然クリアにすべき話で、新法人の中期目標の中でも明らかにしていかなければならないテーマではあると思っておりますけれども、現在、鋭意具体的な中身については検討しつつある状況でございます。

 それから、2点目の従来やっていた専門分野の研究と今後やろうとしているモード横断との比率といいますか、重きをどう考えるかということなんですけれども、これも先ほど山本委員からの御質問に対するお答えの中で少し申し上げたように、モード横断のところというのはプラスアルファでやっていきたいと考えておりますので、そういうことで言いますと、具体的な体制として、我々は今、イメージとして持っていますのは、従来の専門ごとの研究者の人たちは当然その専門性を生かした研究を引き続きやってもらいつつ、プロジェクト的に、モード横断の研究の必要性の高いところに人を一定期間集めてやるような体制で取り組んでいきたいと考えています。これはちょっと先ほど交通政策審議会などでの御指摘のお話も申し上げましたけれども、しっかりとした専門性があってこそシナジー効果は生まれてくると考えていますので、そういうプロジェクトチーム的な対応で、従来の研究をやりつつ、横断的なところにもプロジェクトとしてかかわっていくと、そのようなことでイメージとしては考えていました。

 具体的に比率というのは難しいんですけれども、新法人になった後の比率で申し上げると1対9とか、そういうぐらいの感じだと思います。1の方が新しい横断的な分野ということになろうかと思います。

 それから、運営費交付金による研究と受託研究とどちらが大事か。これも非常にお答えしづらいテーマではあるんですが、これは両方大事ですと言わざるを得ないんですけれども、独法になったときのセットアップがどうだったかというところに大きく依存しているんじゃないかなと考えています。

 我々4つの研究所とももともと国研だったわけです。その国研時代にいろいろな研究をやっていまして、ちょっと話が前後して恐縮ですが、運営費交付金で現在やっている研究というのは、いわゆる中長期的に成果が期待されるような、活用されるような基盤的な研究がテーマで、受託研究の方は、その時々の社会情勢に応じて短期的に必要となるテーマに対して対応していく。受託研究はほとんど国からの受託なわけですけれども、我々国交省としても毎年、重点政策みたいなものを設定しておりまして、その中で決めたテーマに関して受託研究をお願いしているということです。

 先ほどの比率の話で申し上げると、これは国研時代から両方の役割を担っていたんだと思うんですけれども、中長期的なテーマとその時々の短期的に必要になる研究開発、両方やっていたんだと思いますけれども、その運営費交付金で担うべき研究開発というのは、初期設定段階で、いわゆる中長期的な研究テーマと人件費の部分を運営費交付金で担うべきというようなことで、概念的にはそういう整理をされてスタートしたんだと理解しております。ですから、そういうことですので、両方のテーマをやっていくということが独法に課せられた使命だと考えております。受託研究の規模は年々、多少増減はしてくるものだと思います。

【富田分科会長】  はい。時間も押しておりますけれども、ほかに。山谷委員、どうぞ。

【山谷臨時委員】  23年4月以降、統合された以降の話をもう一度、しつこく伺いたいんですけれども、今おっしゃった中長期的なテーマを研究テーマとしてされていくということなんですけれども、四つあったものを一つにした。その中でどういう研究に重点化されていくのか。これについて、あまり具体的な話はないかもしれませんが、大ざっぱなイメージでもよろしいので伺いたい。これが一つ目の質問です。

 これに関して二つ目の質問でございますけれども、そういうことを考えた場合に、四つが一緒になっていろいろ研究をしていくということなんでしょうけれども、そのときに、研究テーマの企画立案、選定、それを実施するための資源配分、そして、研究テーマ、研究ですけれども、これを評価するという、いわゆる研究のプラン・ドゥ・シーをどうやって回していかれるのか。この仕組みをどういうふうにお考えでいらっしゃるのか。これについて伺いたい。

 以上2点、御質問でございます。

【富田分科会長】  お願いします。

【安藤課長】  まず、最初の重点化の方なんですけれども、これはちょっと御質問の趣旨を正確に把握できているかどうか心もとないんですけれども、資料で御説明させていただいたように、重要政策課題の即応力強化というところをこの法人として新しい法人になった後、やっていきたいということでございまして、例えば従来やっている陸海空のうちのどこかに集中するとか、そんなことは当然考えておりません。それはそれぞれ重要な分野だと考えておりますので、そういう意味で、重点化というところの方向性は、あるモードとかいうようなことでのイメージで御質問いただいているとすると、そういうことではなくて、あくまで行政ニーズ対応というところについて、従来以上に主体的に取り組んでいきたいということでございます。

 それから、企画立案、研究のPDCAはどういうふうにやっていくかということなんですけれども、ここのところは、具体的な新しい研究所内の組織作りとか、それから、最終的には理事長の経営判断というんですか、裁量によるところが非常に大きいのではないかなと思います。今も各研究所でそれぞれ工夫して取組をしておりますけれども、統合前にそういったところの情報交換を十分にやって、基本的なすり合わせはやっていきたいと思いますけれども、最終的に、ピンポイントでどういう仕組みをつくるかというのはまさに理事長の判断になってくるのではないかなと考えています。

 研究開発課題の選定とか、そういうところについて、もう既に御案内のとおり、研究分野に関しては国の評価に関する大綱的指針という総理大臣が決定されたものがございますので、その大綱的指針に基づいて今、各研究所で創意工夫してPDCAをちゃんと回してやっていると理解していますけれども、細部の制度設計については、まさに新しい理事長の判断によることになるんじゃないかと思います。

【富田分科会長】  よろしいでしょうか。阿曽沼委員、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  もう十分に議論がされていらっしゃるのかもしれませんが、四つの研究所を一つにされて、23年から新たなミッションとビジョンを持っておやりになるとお聞きしたんですが、資料2−2をいろいろ見ますと随分、国際基準に貢献するとか、何々に出席したとか、いわゆる世界規格として今後提案するとか、CO2の問題だとか、陸海空における国際化という問題は非常に重要だと思うんですが、例えば受託研究において、海外からの受託研究があるのかとか、それから、組織として海外の組織と共同研究が今までの実績があって、今後推進していくのか。会議というものでデファクトスタンダードをとっていくためには相当の努力が必要になってくると思いますが、国際化という問題に関して何か特にいろいろ御議論されていることがあったら、ひとつ教えていただきたいと思います。

【安藤課長】  ありがとうございました。まさに御指摘のとおり、国際対応というところは新しい研究所にとっても非常に重要な視点になると考えております。これまでの取組ということで申し上げると、いろいろあるんだと思いますけど、私の記憶で申し上げると、去年かおととしだったと思いますけれども、船の分野のルールというのは、国連の専門機関であるIMOというところで決められているんですけれども、そこのIMOで基準を作る前提となる調査・研究を海上技術安全研究所が受託しているというような例もございます。それから、バイラテラルの関係では、それぞれ各研究所、ちょっと今日のこのデータには載っていませんけれども、いろいろな海外の対応するような研究所と共同研究ですとか、いろいろなことをかなり今までもやってきております。そういうところは今後も進めていきたいと考えております。

【富田分科会長】  まだまだ議論したい点はあるんですけれども、本日のところは、時間の都合もありますので、国土交通省所管の4法人につきましてはここでいったん議論を打ち切らさせていただきます。

 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力賜りまして、ありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。また、本日は、時間の関係で十分な御質問ができなかった委員がおられます。この場合、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いすることがございますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。

 国土交通省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。

(国土交通省退席)

【富田分科会長】  以上で本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたします。

 続いて、役員の退職金に係る業績勘案率についての審議を行います。

 まず、前回の独立行政法人評価分科会におきまして私に処理を一任いただきました、財務省の独立行政法人評価委員会から通知された「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」について、事務局から説明をお願いいたします。

【細川調査官】  それでは、御説明させていただきます。資料でございますけれども、業績勘案率資料、資料3−1をごらんいただきたいと思います。去る7月29日の当分科会におきまして御審議いただきました日本万国博覧会記念機構の理事の退職金の業績勘案率でございますが、その後の措置の内容につきましては、既に先生方にメールで御報告させていただいておりますが、あらためてこの場で御報告をさせていただきたいと思います。

 7月29日の分科会におきましては、万博機構の理事の退職金の業績勘案率につきまして、財務省の評価委員会から通知されました0.9という数字、率そのものにつきましては、異議はないという結論をいただきました。しかしながら、財務省の独法評価委員会が0.9とした理由については釈然としないものがあるという御意見がございまして、その取扱いにつきましては分科会長に一任という結論となったということでございます。

 その後、速やかにワーキングの阿曽沼主査に御相談させていただきまして、そして、富田分科会長にも御相談させていただきまして、業績勘案率を0.9とした先方の理由に対する分科会での議事の内容につきまして、資料3−1にございますとおり、政独委委員長から財務省の評価委員会委員長あての文書に申し添えるということにさせていただきました。

 内容につきましては資料に御覧のとおりでございますが、通知のあった業績勘案率については意見はありませんとしております。なお書き以下、付言させていただきました。万博公園内のエキスポランドにおいて死傷事故という重大な事故が発生したことを勘案したとの説明を受けているが、当該事故の発生、それから、長期の病気休暇を余儀なくされたということ、それから、本人から退職金の一部返納の意向が示されたということに言及があった。ただ、それぞれについての貴委員会の評価が明らかではない。これが1点。

 それから、2点目としまして、退職金の一部を返納したいという本人の意向を尊重するという扱いについて妥当かどうか疑問がある。

 この2点につきまして意見があったということで、先方に対して文書で通知したということでございます。この文書は日付がございますが、7月31日に施行させていただきました。

 なお、その際でございますけれども、財務省の万博機構の担当課からは、次のようなお話がございました。政独委からの御意見につきましては、今後の業績勘案率の審議に際しまして、それも踏まえた審議が行えるようあらかじめ委員の方には御説明させていただきますという取扱いをしますので、そのことを政独委の委員にもお伝えくださいということでございましたので、そういう趣旨のお話があったということを申し添えさせていただきます。

 事務局からのこの件についての報告、説明は以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。

 ただ今の事務局からの説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら、どなたからでも御発言願います。

 よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、続きまして、内閣府及び総務省の各独立行政法人評価委員会から通知されました役員の退職金に係る業績勘案率(案)について、事務局から説明をお願いいたします。

【細川調査官】  それでは、御説明させていただきます。資料でございますけれども、先ほどの資料3−1の次、下にございます業績勘案率資料、資料3−2、総括表をまず御覧いただきたいと思います。対象案件でございますけれども、国立公文書館の館長及び情報通信研究機構の理事、2法人の2名でございます。

【平野調査官】  それでは、内閣府所管の国立公文書館の館長の業績勘案率について御説明させていただきます。資料は資料3−3を御覧ください。

 国立公文書館は、国の機関等から移管を受けた歴史的資料として重要な公文書の保存及び一般公開を行っている法人です。館長という役職は、法人の長であります。他の法人ですと理事長に当たります。当該館長は、平成13年4月1日の国立公文書館の独法化から今年の7月7日まで館長として在任しておられました。

 館長の業績勘案率につきましては、資料3−3の別紙にありますように、内閣府の独法評価委員会からは1.0と算定し、通知されてきております。

 館長の在職期間中、業績勘案率が適用されるのは平成16年1月からでございますが、この適用期間中の法人の業績につきましては中期計画の達成に向け業務が順調に実施されている、または満足のいく実施状況との評価を受けており、良好であったと考えられます。また、個人の業績等につきましても、特段の加算要因、減算要因もございません。

 以上のことを踏まえワーキング・グループの委員の皆様と御相談させていただきました結果、政独委の意見案としては、資料3−3にございますとおり、意見なしとさせていただいております。

 説明は以上でございます。

【富田分科会長】  続けてお願いします。

【細川調査官】  続きまして、情報通信研究機構の理事の案件について御説明させていただきます。資料3−4でございます。

 当該理事でございますけれども、研究系の業務を担当する理事でございまして、在任は、そこにございますように平成16年4月からの4年間でございまして、総務省の独法評価委員会の方から通知されました業績勘案率案は、そこにございますように0.9ということでございまして、当委員会の案も0.9ということにしております。

 意見案ですけれども、下にございますが、通知のあった業績勘案率0.9については意見はないという案とさせていただいておりますが、その理由でございますけれども、実は当該理事の在任期間中に担当であった研究所助成事業などに関しまして、会計検査院から助成、あるいは委託費が不当であるという指摘が2件ございました。時間の都合もありますので具体的な内容の説明はちょっと割愛させていただきますけれども、1件目が事業費全体で5,770万円ほどでございます。そのうちの助成金の交付額が2,800万円ほど。不当と認める事業費が1,800万円、最終的に932万円が不当であると指摘されております。

 それから、もう1件ございまして、こちらの業務委託費の支出について不当だという指摘がございまして、5,240万円ほどの金額が不当だということになっております。

 いずれも同機構によります審査・確認が十分ではなかったということでございますので、そういう案件が1件のみならず、2件も生じたということでございまして、これは当該理事の管理監督者としての責任から、業績勘案率につきましては減算要因として認めざるを得ないということでございます。

 総務省の独法評価委員会からは、向こうの算式に当てはめて法人の業績から算出したものの基準業績勘案率というものがございます。そこは1.3だということでございます。ただ、総合的に検討・審議した結果、1.0ということで、更にそこから先ほどの会計検査院の指摘事項2件を勘案して0.9という数字でいただいております。

 なお、ワーキングにおきましては、業績勘案率に係る基本的なチェックの結果ということで、所定の勘案手順に照らして検討した結果、当然減算要因もございますが、一応個人的に優れた業績もあったという説明も先方から、総務省の方から受けておりますので、その辺も勘案させていただきました。

 ステージ2におきまして、1.3という数字が総務省の独法評価委員会の数字でございますけれども、私どもの検討の結果、それは勘案手順に照らすと妥当ではないということで、基礎業績勘案率を1.0ということに置かせていただいたというのがステージ2の説明でございます。ステージ3で一応加算要因もワーキングにおいて慎重に審議したということでございます。

 結論的には、減算要因があると。管理監督責任があるということで、会計検査院からの指摘事項2件については減算要因に該当するということで、最終的に0.9という数字が妥当ではないかという判断でございます。

 以上が情報通信研究機構の理事に関する説明でございます。

 業績勘案率の事務局からの説明は以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。

 それでは、ただ今の事務局からの説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら、どなたからでもお願いいたします。いかがでしょうか。

 樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  今のNICTの理事の件ですけれども、別紙というのがございます。ちょっとここだと分かりにくいので、注に書いていただいたので分かるようになったのですが、この表を見ていただきますと、基準業績勘案率が、※1となっているところがあるんですけれども、1.3となっていまして、調整ありというので、業績勘案率が0.9になっている。これを一見すると、減算要因が認められるということも※2にアンダーラインで書いてあります。これを見ると1.3から0.9に下がって、この減算要因の数字は1.3マイナス0.9の0.4であると誤解されるんですが、そういうことではなくて、※1に書いてあります、まず、単純に計算すると1.3にはなるけれども、※1のところの2行目に、「1.」に基づいて算出したら1.3である。これに基づいて、あらためて申し合わせの「2.」に基づいていろいろなものを勘案していくと1.0ということで、1.0から0.9になったというような意味でございますので、そういうことだということで御理解いただきたいということであります。

【富田分科会長】  ほかに御意見、御質問等いかがでございましょうか。どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  すいません。ちょっと確認だけなんですけれども、会計検査院の指摘事項の2件目で、支払額が5,200万で不当と認められる支払いが5,200万というのは、不当であるということは、契約そのものが未成立、もしくは検収ができなかったということを意味するのか。これは結局、不当とされた場合にどういう処理になるのか、ちょっと分かりやすく教えていただけますでしょうか。

【細川調査官】  これにつきましては委託研究、こんな委託をした研究をやってください、業務をやってくださいということだったんですが、それについて、いわゆる人員の計算がございますね。それ自体が全く実際の業務の実施の内容とは違っていた。まるっきり全体が、要するにどれだけの人員がどれだけその業務に充当されたかということが確認できない。実態が本来委託した内容と違っていたということでございまして、全額が不当とされたということでございます、まず。

 それから、本件については全額、委託費は回収されているということでございます。

【阿曽沼臨時委員】  これは、委託費を回収されたということは、いわゆる作業実態がなかったと認定されたんですか。それとも、ここに成果物はあったんですか。成果物における、だれが何月何日に何時間働いたという作業日報、従事日報が、これは認識不足によって間違っていたのか、不当だったのか、ねつ造だったのかというのはどうなんですか。

【細川調査官】  実際のところ、事実として確認しているのは、労務費に係る経費発生額の算出根拠が全く実態に基づいたものではないということで、実態そのものが把握できないということで全額不当ということになりました。受託者側が作成した委託業務従事日誌そのものが事実と違うということでございました。ただ、一定の研究成果なりは、ここはちょっと十分承知していませんが、そこは出ているということでございます。

【黒川臨時委員】  それでは、今のことに関してちょっと勉強させていただきたいんですけど、5,200万円云々は、そうすると、支払われなかったと。研究の成果物は、そうすると、受託者からこちらの法人に移るんでしょうか。要するに、そうすると、成果物だけはただでもらっちゃったと。手続上の書類が不備だったから払わないと。そういうことで、成果物は移転するんですか。それとも、成果物ももう移転しないと。要するに始めから契約はなかったということになったんでしょうか。

【細川調査官】  すみません。正直申しまして、そこまで把握しておりません。

【富田分科会長】  ちょっと会計報告に出ていることでしょう。

【細川調査官】  はい。事実を確認して、報告します。

【富田分科会長】  国会に出ている話だね。

【細川調査官】  はい。事実は確認してお知らせしたいと思います。成果物の取扱いの関係でございますね。そこは事実関係を確認して別途お知らせさせていただきたいと思います。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。

 ちょっと質問ですけれども、先ほどのNICTの業績勘案率の検討過程で、個人業績の勘案というのがこの理事に対してあるわけですけれど、これはこういうふうに省ごとに異なっているんですか。つまり理事の評価をする際に、個人としてよくやったというのはあるんですね。我々としては組織の評価、つまりその理事のマネジメントの実績を評価することであって、個人の業績についてというのまで評価を加味しているのかどうか、普通。ちょっとこれはどうなんでしょう。あまりこれは今まで出てこなかったと思うんです。

【細川調査官】  それは各省の評価委員会でどのような算定方式を取っているかということではなくて、政独委としての考え方ということでしょうか。

【富田分科会長】  各省が、各省というか、これは少なくとも総務省ではこういうふうにやっているということですね。

【細川調査官】  これは3月30日に分科会で決定いただきましたフローチャート、勘案手順に沿った検討の結果を御参考までに御説明させていただいているということでございます。基本的には法人の業績をベースとしておりますが、加算要因、減算要因としてみるときに、担当役員の担当業務についての業績について加算すべきものがあるかないかということです。あるいは担当業務において減算要因、例えば不祥事等がないかどうかというチェックをさせていただいているという意味です。ここで説明させていただいているのは、実は総務省からは最初、1.0という業績勘案率で当方に相談がございまして、ただ、そのときに、不祥事についても減算要因としてみていないし、それから、特段加算要因もないということでございました。ただ、不祥事が2件ございまして、これは管理監督責任という減算要因であろうとしたときに、総務省から、実はこの役員は、担当業務につきましていろいろ優れた業績があるので、そのことも検討していただけませんかという話がございました。では、どういうような優れた業績と言えるものがあるのかということについて、ワーキングの先生方に資料をお示しさせていただきまして御審議いただきましたが、幾つか評価すべき点もあるというお話もいただきましたけど、加算するまでのものとは認められないということでございます。具体的にあげておりますのは、テストベッドネットワークというネットワークを整備する際に、その回線の調達の範囲を見直したと。

【富田分科会長】  私が疑問に思ったのは、個人の業績ということが加味されること自体、これが組織の業績に密接にかかわるような個人の業績だったら別ですけれども、個人で何かすごいことをやったからといったって、この独法の担当部署の業績に関係あるのかどうかというのは、僕は不思議なんです、こういうことが急に出てくるのは。つまり、ここであなたがおっしゃりたいことは、総務省から、つまり要求省からこういう実績もあるんですというのが出てきて、こちらで検討したけれども、加算に値せずということだったという説明ですね。

【細川調査官】  そうです。

【富田分科会長】  私がさっき言ったのは、そもそもそういうことを加算の対象として検討するのかどうかなんです。だから、個人のことでしょうと。

【細川調査官】  個人業績という言葉がちょっと説明が足りなかったと思います。申し訳ございません。例えば研究者の方でノーベル賞を取るような優れた個人的な研究をやっていることを評価するとか、そういう個人の業績を評価するということではなく、役員として担当業務についてどういう指導力を発揮したとか、それから、マネジメントを的確にやったとか、そういうことによって業務に非常に良好な成績をもたらしたとか、そういう意味での役員個人の業績という意味でございます。ですから、あくまで担当業務の実績として、それがいいものができているというようなことを新たな評価する点があるかということです。

【富田分科会長】  担当業務の実績だね。

【山本臨時委員】  個人の組織への。

【富田分科会長】  貢献だね。個人がノーベル賞をもらっていても、それは関係ないんだと。

【細川調査官】  そうです。おっしゃるとおりです。

【富田分科会長】  それだったら、よく分かります。

【細川調査官】  担当業務の業績にもたらした個人の貢献と説明させていただきます。

【富田分科会長】  はい。

【阿曽沼臨時委員】  ちょっとよろしいですか。しつこいようなんですが、会計検査院の指摘事項について、1件目は、事業費全体の中で不当と認められる金額があって、減額査定で、減額したから、減額分は返りました。だから、成果物があるし、作業実態もあるということが認められたと客観的にはみえるんです。

 指摘事項の2件目というのは、支払額が全額返済されているということが、これは根拠がないからということよりも、例えばこれは委託業務従事日誌というものが正当性を欠いたということ、それから、全額返したということは、この成果を評価しなかったか、もくしは検収というものの責任があるわけですね。これについて、何も認めていないから全部返したと客観的にはみえるんですけど、それがそうなのかどうか。もし支払い額が総額5,200万円に対してすべて返したということになると、これは通常、減額の案件よりも非常に大きい案件じゃないかという気はするんですが、そうではないという客観的な事実があれば、また後で教えてください。

【細川調査官】  その点につきましては、先ほどの件と含めまして事実確認の上で的確に御説明させていただきたいと思います。

【阿曽沼臨時委員】  お願いします。

【富田分科会長】  どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  私、ワーキング・グループの主査をさせていただいております。実はこれはいろいろ悩みまして、もともと1.0というものを、そういう減価を受けないかという話の中で、最初の分科会長からのお話もありましたように、個人業績という言い方がいいかは別として、個人として貢献したといいますか、非常に民間会社にいらっしゃったときのノウハウを用いて、6億ぐらいでしたか、相当の経費削減を行ったというのもあった。一方、こういう直接本人の責任かどうかは別として、管理責任として、2件こういうことを起こしてしまったという管理責任の問題があるということの中で、1.0がいいのか、0.9がいいのかという相当何回も議論をいたしました。その中で、もともと相当な業績であられたということは事実だけれども、そういうことを期待して民間から来ていただいたので、それは予定どおりというか、期待どおりの成果を上げていただいたということで、1.0じゃないかなということと、それから、もう一つは、2件の会計検査院の指摘事項の件なんです。この2件の中の2件目の方は、支払方は契約金額と実施に要した額のいずれか少なくない額ということになっているわけです、いわゆる実費か契約金額かで、実費の方の説明がおそらくできていないんじゃないかと思うんです。そこで、つまり従事日誌というのがあるんだけれども、しっかりした根拠のあるものではないので、結局、契約金額をぼんと払ってしまう。契約金額だけだったら払ってしまうことになると思うんですけれども、従事日誌がなくても。実費という部分での立証ができないので、結果的に、受託者は全額を返すことに同意したのではないかと思うんです。これはある意味では受託者がおそらくそういうことを説明する資料なしに請求してしまった。そこが一番の問題になったんじゃないかなと私は理解しました。違うかも分かりませんので、また、調べていただけたらと思います。

【富田分科会長】  よろしゅうございますでしょうか。今の点、まだ調べなきゃいかん点があるんですけれど、ここでいったんお諮りしなければならないという事情もございます。

 それでは、内閣府及び総務省の各独立行政法人評価委員会から通知された役員の退職金に係る業績勘案率(案)について、お諮りいたします。

 本件についての分科会の回答につきましては、(案)のとおりとさせていただくことで御異議ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【富田分科会長】  それでは、そのようにさせていただきます。

 なお、先ほど来の宿題のところは早急に調べていただきたく存じます。

 そして、事後の処理につきましては私に御一任いただくこととさせていただきます。

 本日の最後に、事務局から報告事項がございますので、説明をお願いいたします。

【横山評価監視官】  まず、先ほどの宿題については、しっかり調べたいと考えております。

 また、本日は長時間御議論いただき、どうもありがとうございました。更に8月末に見直し案が出て、たった1週間のタイトなスケジュールの中で御検討いただき、重ねてお礼申し上げます。明日、同じ場所で午後1時半から開催を予定しております。どうか明日もよろしくお願いします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。

 本日は、御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。


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