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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月10日開催)議事録

日時

平成21年9月10日(木)15時00分から17時15分

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第1特別会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
富田俊基独立行政法人評価分科会長 縣公一郎、浅羽隆史、荒張健、梅里良正、河村小百合、黒川行治、田渕雪子、玉井克哉の各臨時委員

(総務省)
田中順一行政評価局長、江澤岸生官房審議官、讃岐建行政評価局総務課長、横山均評価監視官、菅原希評価監視官、細川則明調査官、平野誠調査官、高橋慎弥調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する府省ヒアリング(内閣府、厚生労働省)
  2. 報告事項

配布資料

会議経過

【富田分科会長】  まだ委員の方お見えではない方もおられますけれども、時間となりましたので、ただ今から政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会を開会いたします。

 本日の分科会は、一昨日、昨日に続きまして、本年度の見直し対象となっております16法人のうち、内閣府所管1法人及び厚生労働省所管4法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。

 まず、内閣府所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。本日は、内閣府・武川政策評価審議官を始め御担当の皆様にお越しいただきました。それでは、国立公文書館の見直し当初案につきまして、その主要なポイントについて内閣府から御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係もありますので、御説明5分程度でお願いいたします。

【武川審議官】  御紹介いただきました政策評価審議官の武川でございます。よろしくお願いします。

 国立公文書館の見直しにつきましては、まず前提といたしまして、本年7月に国会で公文書等の管理に関する法律が新たに制定されております。その中におきまして、国立公文書館の新たな機能といたしまして、現用文書につきましては、各省庁が作る文書管理規則の同意、個々のファイルの管理状況、その重要性実地調査など新たに公文書管理を徹底するということで内閣総理大臣の権限が増えまして、それの補助を行うというような権限が新たに公文書館に課されたところでございます。また、中間書庫、あるいは行政職員の研修、国民の利用促進等の業務、あるいは公文書館が所蔵しております文書の公開についての不服審査の手続等が設けられております。それから、行政文書も、従来の行政庁のもののみならず、独立行政法人の文書も受託するというふうに範囲が掲げられております。したがいまして、法律に新たに事務・事業が追加されたということを踏まえまして、それをしっかり今後とも担って業務を行ってまいりたいというのが一つの前提でございます。

 それから、組織の見直しでございますが、組織につきましても、その国会におきまして、これらの業務を遂行するために公文書館の在り方、どういう形がいいかという議論がなされております。それで、国会におきましても、今の独法という枠組みではなかなか収まらないので、新たな特別の法人という類型を作って検討すべきというような御議論とか、あるいは、独法のままですとこの新たな機能を担うための人員、施設、予算整備が行えないのではないかということで、むしろ国に戻してはどうかというような議論がかなりございました。その結果、議論の収束として、当面は独法でいくけれども、5年後にはこれらの機能を見直して、組織形態についても十分再検討すべしというような議論を国会でいただきまして、全会一致で法律が通ったところでございます。したがいまして、私どもの今回の中期計画の終了時の見直しというのは、その法律と国会の議論を踏まえまして作ったところでございます。

 資料1では6ページと7ページを御覧いただきたいと思います。まずページ6でございますが、組織の見直しに係る具体的措置ということにつきましては、現状の特定独立行政法人形態を維持するということでございまして、法律の見直しは5年後でございますので、この中期計画中は独法の形態を維持するということを書いてございます。

 それから、支所の見直しに当たっては、右の欄でございますが、つくばに分館がございまして、その機能についても検討するというところでございます。それから、組織体制の整備につきましては、先ほど申し上げましたような新たな公文書館に付与された機能が十分できるような組織体制の拡充を図ってまいりたいと考えております。

 それから、続きまして7ページでございますが、IVの運営の効率化及び自律化の見直し案でございますが、まず運営の効率化、体制の整備につきましては、公文書管理法の制定に伴い機能が大幅に拡充されるということもございまして、組織あるいは定員の整備を図ってまいりたいと思っております。それから、随契につきましては、19年12月に策定した随意契約見直し計画を着実に施行したいと思っております。給与水準につきましては、国家公務員の給与構造改革を踏まえ、独法全体ですが、給与水準の適正化を図ってまいりたいと考えております。

 それから、保有資産でございますが、法律が施行されますと各省からの移管文書が格段に増えてまいります。それらを処理できるような施設整備等について今後考えていかねばなりませんが、当面は、現状を見ながら、将来の書庫拡充も視野に入れた資産の有効活用を講ずるということを考えております。

 私どもの見直しにつきましては以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。

 それでは、ただ今御説明いただきました国立公文書館の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。いかがでしょうか。縣委員どうぞ。

【縣臨時委員】  御説明ありがとうございました。それから、この前直接伺いまして、いろいろ御対応いただきましてありがとうございました。

 今日の審議官からの御説明で、まず、いわゆる公文書管理法が制定されたということは、情報公開法の前提を満たし、それから府省内の意思決定の質的向上を図る、ないし社会的な説明責任を果たす前提を確保する等、非常に重要なことであって、これは歓迎すべきだと思います。それに伴って公文書館御自身の任務が非常に拡大するということがよく分かります。したがいまして、今後も一層責任あるお立場として新しい任務を全うしていただきたいと心から望みます。

 それはよく理解できるわけですが、他方、現在まで実施されている任務について、業務についての見直しということについては今回頂いたお考えには何も入っていないと私は理解いたします。つまり、確かに新しい任務が増えて、暗示されましたように、今後、施設も人員も体制も拡充する必要があるということは理解できますが、その前に、まず、現在果たされている業務のどういうところに問題があり、どういうことを見直さなければいけないかということを自らもう一度分析していただきたいと思います。そうでないと、いたずらに新しい法律ができて任務が来るので拡大するのだというふうに社会的にとらえられてしまってはマイナスが大きいと思います。したがいまして、現状の業務についてもう一度見直した案、お考えをお示しいただきたいと思います。いかがでしょうか。

【富田分科会長】  いかがでしょうか。

【福井課長】  内閣府公文書管理課長の福井でございます。国立公文書館につきましては、今期中期計画が始まった段階での仕事に対応した運営費交付金の効率化や、あるいは職員の合理化については別途進めているつもりでございます。現在ある仕事については相応の効率化を図りながら進めているつもりでございます。併せて、移管手続の改善とか管理保存に関する費用の節減といったことも別途指摘をいただいておりまして、資料としてお出ししたかと思いますが、これについても対応しているつもりでございます。もちろん私だけでなくて、国立公文書館の館長以下で事業の効率化については年々取り組んでおりますので、求められていることはしているかなというつもりでおります。

【縣臨時委員】  現状、御自分で考えられては、もう求められている合理化は果たし切ったというお考えですか。例えば、現有しておられる文書の修復、保管、公開、それから新たに来ると予想されるものについての業務、一連のフローの合理化といった点で、もう何もなさることはありませんか。その点について、今日ここで明確にお示しいただくことは難しいかもしれません。そうであれば、是非もう一度文書で何かその可能性はないかということについてお示しいただきたいと思います。

 例えば、先日拝見いたしまして、外部委託の業務というものがかなり導入されているということはよく理解しておりますが、ほかに、逆に言えば今後拡大するであろう分野について、民間委託をこういう形で更に拡充できるのではないか、それによって今後拡大する任務を少しでもより効率的に処理できないかというような観点でお考えになって何か改善していただくことはないでしょうか。

【武川審議官】  民間委託につきましても、今後、人が整理された上でできる限りやりたいと思っておりますし、また、私どもの方では、内閣府にまた市場化テストという法律がございまして、そこの委員会からも、例えば広報業務等については民間委託を更に進めて市場化テストの対象にできないかというようなことをいただいておりまして、それを検討しているというところでございます。

 定削等もやっておりますし、基本的には、正直申しまして結構この移管されている文書が滞留しておる状況でございまして、それをもっと早く公開しろと。それで、かなり公文書館にある文書、まだファイルとかできていないのもございますし、それをとにかくファイリングを早くして、こういう文書があるんだということを世の中に示してほしいと。公開してほしいというのがございまして、まだ現在ある文書の整理も、先生行っていただいてお分かりのように、あの人数で、諸外国と比べて、向こうが800とか1,000人とかいるところを40何人でやっているんです。それで、現在保有している文書がまだ処理できない状況で、申し訳なくは思っているんですが、それが、今後その法律が通ったことで各省から更に、各省では廃棄せずに公文書館に歴史文書として移管しろということで文書がまいりますので、できる限り法律が施行される来年、再来年のとこまでに現在ある文書を処理したいなと思っているところでございます。何とかその部分の効率化を高めて、新しく来る文書がまた円滑に処理できるように考えたいと思っております。

【縣臨時委員】  つまり、公開対象になって、かつ公文書館に移管されている文書であっても整理も不十分であり、公開に至っていないという状況がどこに原因があるかということについてはよく解析されて、やはりそれをこちらにお出しいただいた方がよろしいと思います。

【武川審議官】  はい、分かりました。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。梅里委員どうぞ。

【梅里臨時委員】  デジタルアーカイブの整備とか、それから電子媒体で収集される資料についての対応、これらについては進展がかなりみられているのではないかと認識をしているんですけれども、もともと紙媒体で収集されている歴史的な公文書、これは現状ではマイクロで保存されていますけれども、この電子媒体化ということのメリットはかなり大きいのではないかと思うんですが、これについては見直し当初案等についても全く触れられていない状況のようにお見受けするんですけれども、どのような検討状況になっておられるんでしょうか。

【富田分科会長】  お願いします。

【福井課長】  まず電子文書につきまして、国立公文書館は基本的に役所の方から、要するに国の行政府から文書をもらってそれを保管して閲覧させるというのが基本的な仕事でございますので、国の方から電子文書を電子文書でもらうかどうかという問題が一つございます。一応平成23年度から国の政府の持っている電子文書を国立公文書館に電子媒体のままでいただいて、それをそのまま保管するということにしようということで現在仕事を進めているところで、各省とやり方の御相談とかをしているところですが、一つはそれを進めさせていただくということと、もう一つは、紙で入ってきました文書について、それをどう保存するかという問題があるかと思っておりまして、マイクロフィルムといわゆる電子媒体との保存については、現状ではマイクロフィルムの方が保存その他の効率はいいのかなという判断でマイクロフィルム化でやっております。これについては、いわゆる電子媒体での保存というのは研究課題かなと思っているのが現状でございます。

【梅里臨時委員】  よろしいですか。

【富田分科会長】  はい。

【梅里臨時委員】  そのマイクロと電子媒体のメリット、デメリットを比較検討されたような資料はございますか。どういう点がマイクロが優れていて、電子媒体では十分に機能しないのか。通常一般の産業界を見るとマイクロから電子媒体化という流れにあると思うので、マイクロフィルムを使っているところがどのくらい残っているのか私よく存じないんですけれども、通常考えるとそのように考えられるんですが、今マイクロを使っているということで、そのメンテナンスのためのクリーニング費用等も定期的に発生しておりますよね。そういうことも考えた場合、あるいは作業の効率、保存の問題とかそれを利用するときの閲覧の問題とか、電子化のメリットは計り知れないように思いますけれども、それが今のお答えだとマイクロの方が優れているという判断であるというお答えなんですけれども。

【福井課長】  比較としてマイクロとか電子媒体、我々の発想ですとPDF化したものということになるかと思うんですが、マイクロを一回撮っておけばそれを基にしたPDF化の対応もできるのかなということですし、一方で、国際的に見てもまだアーカイブ、いわゆる公文書館ではマイクロの方が主流であろうということでございます。

【梅里臨時委員】  諸外国がマイクロでやっておられるところの方がはるかに多いということですか。

【福井課長】  はるかであるかどうかはちょっと私も分かりませんけれども。

【梅里臨時委員】  では、それももしお調べになって比較の上でということであれば、諸外国の状況と、それから今お話しになっているマイクロと電子媒体の比較検討されている資料等ありましたら頂くことができますでしょうか。

【武川審議官】  はい、提出させていただきます。

【富田分科会長】  玉井委員どうぞ。

【玉井臨時委員】  同じようなことですけれども、既に電子化されている媒体についても何か平成23年度からと今おっしゃったと思うんですが、電子化されているものを電子媒体のままで入れるというのは極めて簡単なことだと思うんですが、今の状況ですとそれを一回アナログにして、マイクロにしてそれで保存するということをしておられるわけですか。それは大変無駄なことだと思うんですけれども。

【福井課長】  今の状況だと電子公文書をまだ頂いていないので…。23年度以降頂こうと思っているんですが。これで回答になっていませんでしょうか。

【玉井臨時委員】  ええ、なっていないと思うんですが、なぜ22年度でなく23年度なのか、あるいはもう今すぐにでもできることだと思うんですが。非常に簡単なこと。

【武川審議官】  これは法律の施行がそうなっていますから。

【福井課長】  要するに公文書館の方は将来的にもずっと文書を残さなければいけないということで、どういう格好の媒体で文書を残すべきかということを一応まだ検討中でございますので、それに合わせて各省から送ってもらわなければいけないということで、それを作業手順を踏んでいくと23年度になるということでございます。

【玉井臨時委員】  分かりました。マイクロと電子媒体の比較についていろいろ御検討しておられると思いますので、それについて、今の梅里委員の、同じことになりますけれども、資料を頂ければと思います。

【縣臨時委員】  確認しますが、23年度以降はボーンデジタルのデータはデジタルのまま移管していくということですね。

【福井課長】  はい。

【縣臨時委員】  それまでは、法律が成立したけれども、過渡的に在来型で移管されているためにデジタル化していないということですね。そうでないと。

【福井課長】  23年度以降ボーンデジタルの文書はデジタルで頂くというのはそのとおりでございます。

【縣臨時委員】  それ以降はもう完全にそれでしか保存しないということですね。それ以降もまたアナログ化していく可能性があるということですか。

【福井課長】  その可能性は否定できないと思っております。保存の仕方としてどういう形がいいのかという問題になってきますので。例えばPDF化になるかと思うんですが、サーバーに入れておくのがいいのか、一度そのサーバーから何らかの形で別のもの、例えばハードコピーなどをしておいたらいいのかどうかというのはちょっとまだ研究の余地はあると思っております。

【縣臨時委員】  それはセキュリティー的な意味で。

【福井課長】  という意味でございますが。

【縣臨時委員】  ですね。ええ。技術的には、最終的にセキュリティーとして紙媒体で残すということは別として、文書をいろいろな意味で利用する上ではデジタルで利用していけばいいわけですね。

【福井課長】  はい。

【縣臨時委員】  公開上もですね。

【福井課長】  はい。

【縣臨時委員】  もう一ついいですか。

【富田分科会長】  はい、どうぞ。

【縣臨時委員】  あとは審議官が言われた組織の移行の件ですが、これはまだはっきり決まっていないわけですが、そういったことはこの中期計画、今期の、今度の中期目標計画時にはそういうことを考えながら、織り込みながらいろいろ活動して、その次の中期目標、中期計画のときにそれが実現できるような体制をつくっていくということですか。

【武川審議官】  附則では今度の見直しは5年後なんです。それで、今度の中期計画は確か4年だよね。

【福井課長】  いえ、5年間です。

【武川審議官】  5年間。だから、その間が大体一致しますので、その中期計画中は独法でという感じになります。

【縣臨時委員】  それで、その間にその次の期にどのようにしたらいいかということについて十分本府とされてもお考えにならないといけないだろうし、実際公文書館としてもそれについては何らかの構想を持っていなければいけないと思いますが、そこはどうお考えですか。

【武川審議官】  この法律で付加された機能が始まりますのが来年、再来年ですので、それをやって、それからどうするかという話もございますし、それから後、国会等の文書、その辺の移管についてまだペンディングになっておりますので、その辺も見て組織形態というのは絡むのかなと。国会等の文書を、本当に独法で三権の文書を扱っていいのかというようなことも議論としては国会で出てきております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。黒川委員どうぞ。

【黒川臨時委員】  先日は本当にありがとうございました。それで、見せていただいたんですけれども、あそこの本部のところが地下にあんなに広がっているというのは私も驚いたんですけれども、さすがに時間もたっているのでしょうか、地下ということもあって非常に天井のことも、ちょっと低いような、圧迫感を受けるようなこともあったんですけれども、この後いろいろな文書の保管量も増えるだろうし、分館があるとはいえ、あそこの本部のところ、大規模な建替えとかそういうような計画はあるんでしょうか。

【武川審議官】  議論としては、本部のところがまず古いというのと、あと狭いというのがございます。それから、各省から今度移管をもっと進めるということになりますと、各省はどっちかというと文書を手元に置いておきたいんですが、それを移管していただくということになるとかなり大量のものを移管してもらうとか、あるいは中間書庫を設けるとかいうことがございます。その場所が、現在もつくばにはまだスペースがあるんですが、本当にそのものをつくばに持っていってしまうと、各省が何かあったときに霞が関からすぐ取りに行けないといけないということもございまして、確かに建替えというのはどうかという議論はございます。ただ一方で、もちろんお金がかかる話でございますし、それから、国の財政状況がこういう状況だというのと、それから、今の竹橋以上の施設で、かつスペースが、できたらもっと国会に近いところとか官庁街に近いところというような意見もあって、そこはまだまとまっておりません。

【黒川臨時委員】  そうですか。

【武川審議官】  はい。

【黒川臨時委員】  それを受けてなんですけれども、過去のものをフィルム化するというような作業を、アウトソーシングじゃないけれども、していただいておりますよね。そこも廊下か何か区切って、窓のないようなところで作業の方が一生懸命やっているんですけれども、とても作業環境としてはいいとは私は思えなかった。仕方がないわけですね。今の施設で、しかも大量の、どんどん入ってきて、前のものをこう動かしていかなくちゃいけない。

 そこで、新しい施設というようなことがもし仮にあるとするならばということも考えて、先ほどから現在の業務の見直しとかいろいろなことを総合的にやられているわけですよね。それは是非とも、もし仮にということがあったとしても、こういうような機能を持った建物にするとか、それから、フィルム化する作業はアウトソーシングしているところは毎年あるでしょうから、それももう少し作業環境がよくなるような、もし将来建て替えたならばそういうような部屋も要るだろうとか、そういうことまで考えて現在の業務というものをもう一回前向きに洗ってもらいたいなと、こういうことが一応希望です。

【武川審議官】  今、先生からいただいたフィルムをマイクロ化しているところ、僕もこの前行ってみまして、非常に何か暗いですね。地下で、申し訳ないような環境でやっていただいているんです。それで、もう一方、つくばの分館に行きますと、そこは土地が広うございますので、1階で、窓があって日が当たるところで、わりとスペースもお1人ずつ区切ってやれるようなスペースになっていまして、もちろんそちらの方が効率も上がると思っております。ただ、九段の場所でそういったスペースを取れるかというと、なかなか取れないということもございます。それで、新しい建物になった場合は、そういう作業スペースもしっかり確保するとともに、もうちょっと多くの人に、例えば国会見学に来るような中学生たちに憲法とかも見てもらいやすいような形にするとかそういうのも考えないといけないかなと思っておりまして、作業スペースと展示スペースと保存スペースというのがございますけれども、まだ法律改正がやっと終わったところでございまして、なかなか建替えまではちょっと頭がいっていない状況でございます。

【富田分科会長】  大体よろしいでしょうか。それでは、時間の都合もございますので、国立公文書館につきましてはここでいったん議論を打ち切らせていただきます。

 御説明をいただきました皆様におかれましては、御多忙の中、御協力を賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員もおられるかもしれません。その場合は、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。

 内閣府の皆様方には御退席いただきまして結構でございます。ありがとうございました。

【武川審議官】  ありがとうございました。

(内閣府 退席)

(厚生労働省 着席)

【富田分科会長】  続きまして、厚生労働省所管法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。

 本日は厚生労働省・谷口技術総括審議官を始め御担当の皆様方にお越しいただきました。それでは、国立健康・栄養研究所及び医薬基盤研究所の見直し当初案の主要なポイントにつきまして厚生労働省から御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思いますのでよろしくお願いいたします。御説明でありますけれども、全体の時間の関係もございますので10分程度でお願いいたします。

【谷口審議官】  厚生労働省の技術総括審議官の谷口でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。それでは、座って御説明させていただきます。

 お手元に配られておるかと存じますが、私どもの資料、厚生労働省所管独立行政法人の見直し当初案という資料2−2で御説明をさせていただきたいと存じます。

 国立健康・栄養研究所、それから医薬基盤研究所のまず概要についてでございます。1ページでございます。上の段、国立健康・栄養研究所の説明でございますが、これは確かに歴史が結構古うございまして、大正9年に内務省に栄養研究所として発足をいたしましてから、変遷を経まして平成13年に特定独法、それから18年には非公務員型の独法へという形で現在に至っておるわけでございまして、所管する業務といたしましては、国民の健康の保持、また増進に関する調査研究並びに栄養その他国民の食生活に関する調査研究ということを行いまして、結果といたしまして公衆衛生の向上及び増進を図るというのがマンデートになっておるところでございます。今後の見直しでございますけれども、下と同じですけれども、22年度末までに医薬基盤研究所と統合という形になっているところでございます。

 一方、医薬基盤研の方でございますけれども、もともとございました国立医薬品食品衛生研究所の大阪支所というところ、これを母体にいたしまして、国立感染症研究所、それから独立行政法人の医薬品医療機器総合機構、それぞれの機能の一部ずつを統合いたしまして平成17年4月にスタートいたしておるところでございます。その業務といたしましては、医薬品それから医療機器の規制とその振興ということの分離を図るということから、創薬支援にかかわる組織を一本化いたしまして医薬品・医療機器の開発支援を効果的に進めているというのがこの基盤研に与えられたマンデートでございまして、22年までに上の国立健康・栄養研究所と統合予定という形になっているものでございます。

 1枚おめくりをいただきまして、まず健康・栄養研究所の業務全般の見直し当初案、私ども省内での当初案でございますけれども、これまでもIに書いてございますような重点調査研究、それからIIの重点調査研究以外の調査研究、それからIIIの健康増進法に基づく業務の推進という形の大きな三つの分野を所掌いたしておりまして、まずI番の重点調査研究につきましては、(1)に書いてございますような生活習慣病予防のための運動、また、食事の併用効果に関する研究といったものを進めているということでございます。(2)番といたしまして、日本人の食生活も本当に最近多様化いたしておりますけれども、そういった問題と健康への影響に関するいわゆる栄養疫学的研究といったようなものを進めているところでございます。(3)番目でございますけれども、健康食品、これも、国民のニーズの多様化に応じまして様々な健康食品が出回っておるわけでございますけれども、そういったものを対象といたしまして、食品成分の有効性評価でございますとか健康影響評価に関する研究というのを進めているところでございます。

 それ以外の調査研究につきましては、若手研究者によります関連研究領域におきます基礎的な、独創的な研究をはじめまして、内閣府の方で所掌されております食育というものにつきまして、これは法律で推進の基本計画を定めることになっておりますけれども、それに資する調査研究の推進、情報提供というのがこの健康・栄養研究所に与えられた使命の一つでございます。それから、超高齢化社会を見据えました高齢者の食介護、食べること自体がお年寄りにとりましての大変大きな問題になっておりますし、介護問題の中でも食の問題は大変大きゅうございますので、そういったものについての調査研究をこういった分野の中でやっているという現状がございます。

 それから、もう一つは健康増進法に基づくものでございますけれども、これは、国の国民栄養調査というものがございます。これの集計業務というのをこちらの健康・栄養研究所の方で集計解析をしております。それから、特別用途食品、これも国民のニーズの多様化によって様々な用途食品というのが求められているわけでございますが、この表示許可に係る試験業務、表示許可そのものは消費者庁に移ることが決まっておりますのでそちらに行きますけれども、その許可に係る試験業務というのが今後もこの健康・栄養研究所の方に残りますので、こういったものの推進もやっていくということになっております。

 これまでこういう形のものを鋭意進めてまいりましたけれども、今後の話といたしまして、今申しましたIからIIIまでの大きなくくりのカテゴリーにつきましては、国の重要施策との関連性でございますとか、それから科学技術の基本計画に沿った関連の研究領域の基礎的・独創的研究への取り組み、また、先ほど申しました消費者庁の創設による行政ニーズの高まりに対しまして、健康・栄養研究所といたしましてはしっかりその責任を果たす必要がございます。また、国民の公衆衛生の向上及び増進を図ります観点から、省内の評価委員会の意見等を踏まえまして今後とも引き続きやってまいりたいと考えておるところでございます。

 1枚おめくりをいただきまして、医薬基盤研でございます。この基盤研につきましても大きな三つのカテゴリーに分けてございますので、1ページずつ御説明を載せております。まず一つ目の基盤的技術研究でございます。より効率的、効果的に画期的な医薬品の開発支援をやるところに対するサポートという意味で業務を行っておりますけれども、研究プロジェクトのテーマを再編するという意味でしっかりと重点化をして進めていきたいということを考えております。

 再編後の研究プロジェクトといたしまして、(1)から(3)に掲げてございますように、いわく次世代ワクチン開発、また、毒性評価構築に向けた幹細胞の基盤研究、更に難治性疾患治療に関する基盤研究といったものにターゲットを当てまして重点化を図りつつ業務を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

 これまでの成果という形で下の方に例示を挙げてございますけれども、ワクチン関係では、多価ワクチンの開発というものをはじめまして、毒性学的な遺伝子発現データベースの構築、更にはiPS細胞の方から脂肪細胞、骨芽細胞への分化誘導技術、これは高効率に行うための技術といったようなものを開発してまいったところでございます。そういった形のものを今後ともこの基盤技術研究の分野におきましても進めてまいりたいと考えているところでございます。

 4ページをお開きいただけますでしょうか。基盤研究所の二つ目の大きなパーツでございます生物資源研究というのがございますけれども、医薬品ですとか医療機器の開発研究に必要な生物資源というものがどうしても研究の中で必要になってまいりますが、その供給、品質管理、研究開発を行うということでございまして、そういったものを大学、企業の方に提供いたしまして大学、企業等で新たな医薬品の開発などに役立てていただくということの分野でございます。

 大きく、遺伝子バンク事業、それから霊長類医科学研究センターというのを業務として持っておりますけれども、まず遺伝子バンク事業につきましては、今後のことを踏まえまして見直し案の中では難治性疾患研究資源バンクという形に発展的に組み替えまして、遺伝子だけではなくて、細胞ですとか疾病たんぱくですとか、そういった部分も合わせた形の試料全体、全体と言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、もうちょっと幅の広い試料を中心に収集いたしまして、品質管理、標準化、それでその結果としての分譲を行っていきたいと考えているところでございます。

 霊長類の方でございますが、カニクイザルというのが医薬品の開発に大変重要なモデル動物になりますので、そういった形でこの猿を活用することによりまして、例えば新型インフルエンザに対する対応と、更にまた創薬研究、ワクチン検定等の今後の厚生行政に貢献できる事業を展開してまいりたいと考えておるところでございます。

 この分野のこれまでの主な成果といたしまして、パーキンソン病とかALSとか、こういった難病等のヒト疾患関連遺伝子の収集でございますとか、それから拡張型の心筋症霊長類モデル、感染症モデルの開発もしてきたといったようなことでございます。大きく御説明申し上げますと大体そんなところでございます。

 それから、5ページの研究開発振興という三つ目の大きなカテゴリーでございますけれども、この分野につきましては、厳正な研究評価に基づきまして研究資金の提供を行うということを通しまして、研究機関、また、企業における医薬品の研究開発の支援を行うというのがこの目的でございます。

 大きく四つに分けてございますけれども、基礎研究推進事業におきましては、大学等における画期的な医薬品の開発につながる可能性の高い基礎的な研究を支援するということでございますし、これまでやってまいりましたけれども、今後更に、医薬品開発に当たり特にリスクが高い分野、それから公的支援の必要な研究分野というふうなことにかなり特化といいますか、重点的に募集を行ってまいりたいと考えておるところであります。

 それから、希少疾病、いわゆるオーファンドラッグというようなものでございますが、こちらの開発振興につきましては、厚労大臣より指定をされました希少疾病用医薬品、それから医療機器の研究開発を促進するためにこれまでも助成金交付事業を行ってきたところでございます。この点につきましては正直ほかのところではとてもじゃないけれどもやっていただくところはございませんので、この点については基盤研におきまして引き続き努力をさせていただきたいと考えておるところでございます。

 実用化研究支援事業でございます。これはベンチャー企業における画期的な医薬品の実用化に向けた研究を支援するということでございます。この部分につきましては、その成果の実用化にどうしても一定期間を要しますために、それまでは委託相当額というのは欠損金という形で計上されてまいりまして、経理諸表上どうもあまり見た目はよくないのでございますけれども。その辺がつらいところでございます。見直し案の中でございますけれども、独法の整理合理化計画における欠損金に対する指摘等も踏まえまして21年度より新規の募集をいったん休止をいたしまして、既に採択された案件の指導・助言体制というのを強化いたしてまいりたいと考えておるところでございます。

 それから、承継事業につきましてですが、出資事業につきましては、旧医薬品機構、それから民間企業との共同出資によりまして設立された15の法人がございます。これの株式を承継したものでございますので繰越欠損金がございまして、収益最大化の指導をこれまでも行ったところでございます。この点につきましては、これは今やめるわけにいきませんので、出資法人に対しまして収益最大化のための指導を行い、解散整理等の措置が必要になった場合には速やかにそれを実施するという形での対応を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

 この分野につきましてもこれまでの主な成果の例を(1)、(2)、(3)と掲げてございます。一番大きなトピックといたしましては、ヒトiPS細胞の樹立という形で、京大の山中先生に大変サポートさせていただいているのではないかというふうに基盤研究所の方では自負を持っているところでございます。

 それから、次に6ページでございます。組織の見直しについてというところでございますけれども、東京にございます健康・栄養研究所、それから大阪の医薬基盤研究所、それぞれ異なる分野の調査研究等々を進めてまいりました。こういったところにつきまして、今後22年度末までに統合予定ということで事務的に今進めておるところでございます。基本的に違う分野を統合することによりまして、一方が栄養、いわゆる食品関係が強いということ、それから一方は医薬品でございます。このある意味中間と申しますか、健康に寄与するような食品と医薬品の中間というところ、これが今後の国民のニーズとして結構大きな話題になってまいると思いますので、そういったところそれぞれの強みを生かしまして新たな業務の展開を図っていくということが望まれるのではないかと私どもは考えておるところでございます。

 下の黄色のところに書いてございますけれども、これまで行ってきた調査研究に加えまして、今申し上げたようなそのそれぞれの強いところを補完するような形での分野の研究というのを推進いたすとともに、総務・経理業務の管理部門の合理化という形のものを志向するということが私どもの今の考え方でございます。

 ちょっと時間の関係上はしょりましたけれども、概要は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

【富田分科会長】  それでは、ただ今御説明いただきました2法人の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

【梅里臨時委員】  いいですか。

【富田分科会長】  どうぞ、梅里委員。

【梅里臨時委員】  今御説明をいただいた両研究所の統合ですけれども、御説明いただいた今の研究業務等の内容については現状ということでございましょうか。この両者を統合することによって効果が見込まれるような研究、これからなのかなという気もいたしますけれども、具体的にどういうことをお考えになっていらっしゃるのか、その辺についてお伺いできればありがたいんですけれども。

【谷口審議官】  若干これは今後というところもございますけれども、今我々で考えられるところを申しますと、最後にちょっと触れさせていただきましたが、片や栄養ということで食品がメインでございます。片や医薬品ということで、病気になった方々に対する薬、そちらをメインに研究しておるところでございますけれども、そのちょうど中間的なもの、いわゆる今はやりの言葉で言えばサプリメントとか、それから健康補助食品ですとか、そういったものに対してのある意味その有効性ですとか、場合によったらその安全性まで入るのかもしれませんけれども、そういったところの情報というのを国民の皆様に的確にお伝えをしていくと。その情報を基に、よりいいものがもしできるんであればその研究開発ということで、あえて申しますとそういう産業の育成といいますか、そういったところにも結びつくんであれば我々としてはその部分を志向していくべきではないかと考えているところでございます。

【梅里臨時委員】  それの関係で、そういたしますとそのための研究組織の構築のし直しとかそういったことも検討されているという理解でよろしゅうございますか。

【谷口審議官】  まだ実はその検討途上でございまして、具体的な絵姿というのはなかなかできておらないわけでございます。22年度の統合法案に向けましてその業務をどうしていくかという割と役所的な部分が先に先行いたしておりまして、具体的な中身についてはまだ本当に両所で検討しておる最中ということでございますので、ちょっとなかなかそこまでの絵姿にはなっていないところでございます。

【富田分科会長】  どうぞ、縣委員。

【縣臨時委員】  しかし、さりながらそのことにつきましては、まず今の本来業務である研究を、今後どういう内容についてどういう体制でなされるかということについてはできるだけ早く文書でお示しいただく必要があるんではないかと思います。まだなかなかその内容それ自体がまとまらないというお話はよく分かりますけれども、しかし、できるだけ早くそれをこちらにお示しいただきたいと思います。

【谷口審議官】  はい。

【縣臨時委員】  6ページに本来の研究を支える意味での組織の在り方について若干書かれていますが、総務・経理業務等の管理部門の合理化を行うということの具体的内容は何でございましょうか。

【谷口審議官】  研究部門につきましては、我々といたしましてはこの2つの独法につきまして、それぞれ有効な、国民に還元できるものをこれまでやってきたと自負をいたしておりまして、その部分はでき得ればそのまま存置をさせたいと思っております。

 片や、今御指摘のような総務・経理、こういった部門につきましては、もちろん精査は今後まだもうちょっと必要なんですけれども、いわゆる一般管理部門、それから、業務にいたしましても、どこかに外部委託がもしできるんであれば、そういったことについても積極的に、本来の研究に差し障りがないということが分かりましたら積極的にできるだけ外部委託とかそういった形で合理化を行っていこうというのが私どもの今の考え方でございます。

【縣臨時委員】  具体的になって恐縮ですが 書類を拝見しますと、一方46人の職員の方、それから片や83人の職員の方で、そのうちいわゆる間接部門、研究に携わっておられるわけではない方というのはそれぞれどれぐらいいらっしゃるんですか。11人と14人だということが今こちらで分かりましたので。

【富田分科会長】  大体で。

【縣臨時委員】  ですから、それをどうするかという数を出せとは申しませんが、大阪と東京で分置されているということで、管理部門をどうされるか、非常に重要な難しい問題だと思います。ですから、一つのアイデアは、どちらかに集中させて、情報のやりとりだけで管理部門の運営を行うということも一つの方法だと思います。この例えば129人ですか、この方々のうちの25人が管理部門だということが将来どうなるかということについて、今、審議官仰せのとおりで、精査していただいて具体的な案をお示しいただければと思います。

【谷口審議官】  申し訳ございません、今のところちょっと具体的なところまで至っておりませんが、早急にその辺詰めてまいりたいと、かように考えております。

【黒川臨時委員】  それでは、ちょっと細かいお話なんですけれども、実は大阪の方には夏に視察に行かせていただきたかったんですけれども、ちょっと日程が合わなくて残念な思いをしています。そこで、過日にもお聴きした、それで資料も少しいただいたんですけれども、そちらの方で霊長類、カニクイザルの事業、それを飼育、繁殖させて、それで、これは霊長類ですから実験用動物として大変重要なもの、それを外に、いろいろな研究目的のところに出すという業務を社団法人の予防衛生協会に委託していると。これについては委託料を法人から払っているわけですね。多分2億ぐらいでしょうか。2億2,000万円ぐらい毎年。そういう資料をいただいているんですけれども、大体それでよろしいですか。

 そうすると、まず、カニクイザルの飼育みたいなもの、委託料を払ってカニクイザルを社団法人の予防衛生協会がやると。そのカニクイザルはその後研究目的に拠出されるわけですけれども、それはその後どのように、そのカニクイザル自身は、その所有権というのは変ですけれども、その後はどういうふうな流れになるんですか。

【坂本企画官】  よろしいでしょうか。

【黒川臨時委員】  ええ。

【坂本企画官】  基盤研の霊長類センターはつくばにございまして、そこは基盤研の建物でして、あくまで予防衛生協会がやられているのはその中、動物舎の中の飼育業務、繁殖の管理業務、そこの委託になりますので、猿は基盤研のものです。実験動物の飼育管理等は非常にデリケートなところがございまして、まして猿ですのでそういうことができる業者に委託をしているところはございますが、そこは委託業務をしているのであって、実験については、基盤研の霊長類の研究者もおりますし、外部に出すときには基盤研の方でコントロールしておりますので、あくまでそういった作業の委託ということになります。

【黒川臨時委員】  なるほど。そのお猿さんを協会としては研究者向けに対して、これは有料で御提供されているんですか、それとも無料提供でしょうか。

【坂本企画官】  基盤研の方から料金を決めて経費を徴収するという形で行っておりますし、基盤研との共同研究については共同研究のときに取り決めて行っているはずでございます。料金等を決めて、こういう値段でというお話し合いをして、外部の研究者に提供する場合にはそういうルールでやっているということになります。

【黒川臨時委員】  年間大体どのぐらいの金額になるんですか。

【坂本企画官】  1回15万程度です。

【黒川臨時委員】  総額で幾らぐらいになっていますか。

【坂本企画官】  総額は確か、ちょっとお待ちください。収入見込みの試算といたしまして、猿の使用料として所外研究者として1,200万程度は平成22年度見込めるという試算がございます。

【黒川臨時委員】  実績としては。それは見込みですね。

【坂本企画官】  見込みです。

【黒川臨時委員】  私どもが頂いた資料だと、以前においては無料であったのかどうかはちょっと確認できませんけれども、監事監査において無料提供の見直しはどうかというような指摘を受けたと私どもは事務局から聞いているんですけれども、それは事実ですか。

【坂本企画官】  はい。それで、研究用猿の譲渡価格の増額などを検討して実施してきておりまして、平成21年度のこれも見込みになりますが、そこで霊長類の使用料として1,200万程度の収入を。

【黒川臨時委員】  21年度ですか。

【坂本企画官】  はい、21、22ということです。

【黒川臨時委員】  2年間にわたってですか。

【坂本企画官】  はい。

【黒川臨時委員】  20年度の監事監査で無料提供の見直しを指摘されて、その後、少し有料にしようということが始まった段階と理解すればいいですか。

【谷口審議官】  ちょっとお待ちください。

【坂本企画官】  1,200万ありまして。

【黒川臨時委員】  あったんですか。

【坂本企画官】  すみません、監事監査では国家検定用の方の指摘ということで、共同研究等の方は無料というわけではなく、そこの額の方を今見直しをかけているということです。ただ、共同研究の方も、いきなりお金を上げるとちょっといろいろトラブルもありえますので、その辺も含め、段階的に検討しているといったのが実情でございます。

【黒川臨時委員】  なるほど。分かりました。そうすると、ここでは私どもは会計検査院ほどの調査能力もないわけですけれども、最近新聞で指摘されている、皆さん御存じの家畜改良センター、これは処置要求の原文、会計検査院からのをちょっと読ませていただいたんですが、報道はちょっと言い過ぎで、有料であったら幾らぐらい、何十億円かもらえたんだけれども、もちろん経費がかかっていますから。ですから、どうだったのかというのはありますけれども、この場合も2億2,000万円ずつぐらい委託をしておいて、それで、いろいろな指摘があって今改善中だとはいっても1,000、2,000万の収入だと。こういうことがどのぐらい続いていたんですか。会計検査院じゃないから分からないんですけれども、この家畜改良センターだと同じようだと、過去何年かにわたってさかのぼれば同じようなことが起こっていたわけですね。実際に大体2億円ぐらいずつ委託料を払って、1けた以下の金額で収入があったと。

 もちろんそれがいい悪いということは言えないと思うんですけれども、この研究所の存在理由がそういう研究目的なんだから無料とか廉価で研究助成だということであれば、それはこの研究所の本来の業務かもしれません。だけれども、ただ、そうなると、監事監査で有料であるべきだ、無料はいかがかというのが出たときに、もしそうであれば、その監事の方に、いや、無料でやることがこの研究所の本来の役割なんだから、研究助成として。だから胸を張って、いや、無料でいくと、そういうことになったかもしれないんですけれども、指摘を受けたから有料にするということになると、これは有料の業務の性格でもよかったのかと。私どもはほんのちょっぴりしか、まだ入り口しか分からないですけれども、理屈をつければ、何かちょっと釈然としないというんでしょうか、胸を張って無料なら無料だと言えばそれはそれで筋が通ったのかもしれないし。その辺がよく分からないので、もう少し、今日は時間がないので、この問題については私どもは引き続きちょっと注目していると。

 それからもう一つ、今度は細胞ですね、これもヒアリングのときにお伺いして、その後、ヒューマンサイエンス振興財団、ここの資料を少しくださいよと言ったら少し頂いたんです。これについても、先ほど言いましたように会計検査院ほどの調査能力もないし権限もないので、詳しい本当のところは分からないですけれども、これは、細胞をヒューマンサイエンス振興財団に無償で供給し、それでヒューマンサイエンス財団はこの細胞を顧客の注文に応じて分譲、増やして、それで、分譲して販売していると。その収益がヒューマンサイエンス財団に入っていると、こういうことで事実認識は正しいですか。

【谷口審議官】  さようでございます。

【黒川臨時委員】  これは一体どのぐらいの、ヒューマンサイエンス財団の何か特会があるのか、何かよく。特別会計とか本当断片的な資料が私の方に回ってきているので私も推定しかねているんですけれども、どういう取引があったのかというのがこれだけの資料じゃよく分からない。この数枚しか私の方に入ってきていないので分からないんですけれども、一体どういう取引が行われているんですか。これは、要するにこれをヒューマンサイエンス振興財団に無償で供給し、そこから今度は料金を取っているということなんですけれども、これはどういう性質の事業なんですか。

【坂本企画官】  細胞を関係のところに分譲していくということに関しては、ヒューマンサイエンスの方が分担をしておりまして、基盤研は配るところではなくて、まさに細胞の維持管理、技術的な分野が得意なので、そういう役割分担の流れで来ております。

 もう少し詳細に御指摘の点については資料を出し直しさせていただくべきかと思います。当方からお出しした資料が不十分であったので申し訳なかったのですけれども。

【黒川臨時委員】  いえいえ。私は調査能力が不足しているのかもしれないので、全貌が分からない。

【坂本企画官】  基盤研の方では技術の支援をしているわけで、その対価はヒューマンサイエンス財団から基盤研の方にも入ってきているという整理で、分譲というか、配る行為はヒューマンサイエンス財団の方がやっているという頭の整理が一番実態に沿っているかとは思いますが、先ほどおっしゃられたような資金の流れとかの整理も含めて必要な資料等をもう一度確認させていただきます。

【黒川臨時委員】  ええ。1,000万円ぐらい技術支援料を支払われているということはそちらからの資料で分かったんですけれども、ヒューマンサイエンス財団がそれでは一体どのぐらい収入があるのかと。要するに、そのうちのコミッションとしてこちらには技術支援料1,000万円は入ってきていると。だけれども、ヒューマンサイエンス財団は販売と委託と培養のところだけれども、ノウハウはこの研究所の方が全部やっていると今お話しになりましたよね、技術的なものは。そうすると、その1,000万円の技術支援料が高いのか安いのか。ヒューマンサイエンス財団がどのぐらい収入があって、業務の両方の分担割合からいって1,000万円という金額は安いのか高いのか、これが私には判断できないわけです。

 だから、私どものこの政独委の限界かもしれないけれども、こういうことを本当に徹底的に調べるとすると会計検査院に入っていただくとか、そういうことになってしまうのかもしれませんけれども、もうちょっと全貌を教えてほしいと。それは、この間のワーキングのときにも言いましたように、表面的なことだけ見て悪いとかいいとは言えないと私は言ったと思うんです。全体的にこの独法の役割、さっきも言いましたように役割として研究の助成だとかそういうような名分があるということならば、それは必ずしも有料でないということも意味はあるわけです。ですから、いろいろなファクターを考えなくちゃいけない。

 それから、経費の問題、もちろんカニクイザルを飼育するというのも、研究所の方で直接手掛けるよりも、社団、そこに頼んだ方がむしろ、アウトソーシングじゃないけれども。

【坂本企画官】  アウトソーシングということです。

【黒川臨時委員】  ええ。そういう点で経費節減になるか、それから、この細胞の分譲についても販売とかそういう点を任せた方がいいんだとか、いろいろなファクターを考えないと最終的な判断はできないかもしれない。ですから、その辺を事実を断片的にお知らせいただくんじゃなくて全体像を教えていただきたいなと、このようにお願いいたします。

【梅里臨時委員】  ちょっと短く。

【富田分科会長】  ではどうぞ、短く。

【梅里臨時委員】  国立健康・栄養研究所の方の健康・栄養調査ですけれども、この調査の実施は外部に委託をされているんでしょうか。それとも自前でやられているんでしょうか。

【谷口審議官】  この調査につきましては、基本的に国の方から都道府県にお願いをいたしまして、自治体の方で完結をしていただいておるというのが原則でございます。その集計につきまして、今申し上げました健康・栄養研究所の方で集計分析までやらせています。

【梅里臨時委員】  調査票の配付とか収集は各都道府県で行っていて。

【谷口審議官】  はい。自治体の方に今御面倒をおかけいたしております。

【梅里臨時委員】  それが集まってきたものについての集計業務を研究所の方でやられている。

【谷口審議官】  はい。

【梅里臨時委員】  この集計業務そのものも外部でできるんじゃないかとも考えられるんですけれども。

【谷口審議官】  単純なる調査等でございましたら御指摘のようにかなり外部委託というのはできようかと私も思います。ですが、そもそもの調査の設計とかその辺につきまして、かなり栄養・研究所と、それから国の方で。

【梅里臨時委員】  調査設計は当然研究者がやらなければいけないと思うんですけれども。

【谷口審議官】  ええ。そういう形でやっておるものですから、その設計、デザインに応じた回答がちゃんとできているのかということのある意味チェック、この辺も健康・栄養研究所の方々がやっぱりある程度最後まで責任を持って集計しなくちゃいけないというポリシーの下にこれまでやってきておりまして、だからそこのところがなかなか民間の方々への委託ということにはなじまないという方向性で今まで来ているということでございます。

【梅里臨時委員】  逆にその調査票のデータのチェックに専門的な方の技術、知識が必要だということになると、見られる方によってデータの、要するに精度が変わってくるという話になりますよね。ですから、その辺のところは逆に一定のロジックでチェックをかけるなどということにしないと、見られた方によって、そのデータを変える、変更する、修正するというのが人によって変わってしまうということ、いろいろ細かいことはあろうかと思いますので、検討をする余地はあるんじゃないかと思われるんです。

 またもう一つは、特別用途食品の表示許可等についてですけれども、この試験業務についても登録の試験機関等に任せるという可能性もあるのではないかと考えておりまして、これら研究所の方では1次予防という非常に重要な業務がございますので、こちらの方にできるだけ特化をして、研究所でどうしても必要な業務に特化をするということでしょうか、そういうことについての検討をお願いしたいなと思うんです。それについてのまた検討結果をお知らせいただければというように思います。

【谷口審議官】  その点につきましても、特に試験業務については、検査の精度そのものの標準化ですとか、その辺が、ちょっと言葉を選んでしゃべらなくちゃいけませんけれども、登録検査機関の方で結構まちまちなんだそうです。

【梅里臨時委員】  だからそれを標準化するところが研究所の使命であるし、業務ではないかと思うんです。

【谷口審議官】  そこのところをしっかりとやらせていただいて、ある程度標準化をするための確認のためのある意味検査というのは一部はやっぱりどうしても残さざるを得ないだろうということで、どこまで登録検査機関とその辺がシェアできるかというところを今後検討していきたいということでございます。

【梅里臨時委員】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  では最後に黒川委員、手短に。

【黒川臨時委員】  では手短に。だらだらと長く話していてすみません。2点だけ。監事監査で何か薬用植物資源センター和歌山研究部について指摘されていると思いますので、その検討の結果をお示しいただきたいのと、それから、約54億円ぐらいですか、欠損金があります実用化研究支援事業、これについていろいろお考えのようでございますけれども、22年度以降、産業革新機構を活用した支援も視野に入っているということをお聞きしましたので、これは7月に発足したばかりということではありますけれども、その後の検討状況はどうなっているのか、これも教えていただければと思います。以上です。

【富田分科会長】  今日は時間も予定の時間を超えておりますので、事務局経由で今の点等をお知らせいただければと存じます。

 今日は時間の都合もありますので国立健康・栄養研究所及び医薬基盤研究所につきましてはここでいったん議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 また、本日は時間の関係でまだ十分な質問ができなかった委員もおられると思います。その場合、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には対応方よろしくお願いいたします。

 国立健康・栄養研究所及び医薬基盤研究所御担当の皆様方には御退席いただきまして結構でございます。ありがとうございました。

【谷口審議官】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  続いて、厚生労働省・平野労働安全衛生部長を始め御担当の皆様にお越しいただきました。それでは、早速でありますけれども、労働安全衛生総合研究所の見直し当初案の主要なポイントにつきまして厚生労働省から御説明いただき、その後質疑応答を行いたいと思います。時間の関係もございますので、御説明5分程度でお願いいたします。

【平野部長】  厚生労働省の安全衛生部長の平野でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、お手元に配られていると思いますが、資料の2−3、労働安全衛生総合研究所の説明資料の方で見直し当初案について御説明をさせていただきます。表紙をめくっていただきまして1枚目、1ページ目、総合研究所の概要についてまず御説明をいたします。

 発足は、平成18年の4月1日に産業安全研究所と産業医学総合研究所が統合して設立をされております。もともと産業安全研究所は昭和17年に当時の厚生省の産業安全研究所として、また、産業医学総合研究所は昭和24年に当時の労働省けい肺試験室として設立されてございます。現在の規模は、役員が5名、理事長1名と理事2名、監事2名、監事1名は非常勤という形でございます。職員につきましては、今年の9月1日現在109名という体制で業務を行っております。所在地は、本部の方は東京の清瀬市にございまして、これは旧産業安全研究所のあった場所でございます。もう一つ、旧産業医学総合研究所があった場所の川崎市登戸地区に分かれた形で現在は所在をしているという状況でございます。

 この総合研究所の特徴でございますけれども、労働安全衛生の分野を総合的にカバーする日本では唯一の研究機関だと考えております。諸外国で申し上げますと、アメリカで言えば国立労働安全衛生研究所(NIOSH)、イギリスですと国立安全衛生研究所(HSL)、そういうところに相当する研究所という位置づけを持っておりまして、こういう研究所とは研究協定を結んで、連携を密にして業務を進めているという状況にございます。そういうふうに我が国の唯一の総合的にカバーする研究機関でありまして、それで行政ミッション型の研究機関だというふうに位置づけてございます。

 要は、私ども安全衛生行政はいろいろな科学的な知見に基づいて行政を進めていく必要があるわけでございますけれども、例えば法令ですとか、そういう制定をする際の基礎となるいろいろな科学的知見を収集して行政の方に提供したりするということを主たる、主要な機能として期待されているという研究所でございます。

 そういうことを受けまして業務の概要といたしましては、事業場での災害の予防、あるいは労働者の健康の保持増進、職業性疾病の病因、診断、予防その他、職業性の疾病に係る事項に関するいろいろな調査研究を実施していると。それとともに、労働安全衛生法の96条の2という条文がございまして、これは、厚生労働大臣が労働災害が起きた場合にその原因の調査をこの研究所に命ずると、要請するという条文がございまして、これに基づいて事故が発生した事業場に対する調査、検査を実施しているという業務を行っております。

 次、めくっていただきまして、独立行政法人の整理合理化計画に基づきまして、それを踏まえましてこの研究所の事務・事業の見直しの内容について御説明をいたします。まず1点目といたしましては労働安全衛生研究の総合化と研究成果の活用の促進という点でございまして、先ほど申し上げました整理合理化計画を踏まえて、この研究所と労働者健康福祉機構との統合を平成22年度末までに措置をするということになっておりまして、そういうことを踏まえまして労働安全衛生に係る研究業務等の一層の総合化を図るということで、この研究所が実施している研究に際しまして、現在労働者健康福祉機構が実施しております労災疾病に係る臨床研究データ等を活用できるようにするということで、具体的には、例えば総合研究所の方が実施している腰痛ですとか、あるいは振動障害、メンタルヘルス、石綿対策等の研究について、労働者健康福祉機構の方で実施しております臨床研究との連携を推進していくということで総合的な労働安全衛生研究を進めていこうというふうにしております。

 それと、その研究した研究成果を活用すると。あるいはその活用促進の取り組みの実施という点でございまして、これまでも、総合安全研究所の方では、ホームページ等、あるいは技術講演会とかそういうものを催しまして研究成果とか作った技術指針について一般に、事業場ですけれども、企業に対してこれを広めてきていたわけですけれども、今回統合するということで、労働者健康福祉機構の方に産業保健推進センターという機能がございまして、これは各都道府県に1つありまして、事業場の産業保健関係者に対してこの推進センターの方でいろいろな支援をしていると。研修を実施したりとか相談に乗ったりとか情報を提供したりとか、そういう支援をしている機能を持っておりまして、そういうことを通じて、統合をした後、産業医や衛生管理者といった実際の労働現場で働いている人たちあるいは企業そのものに対していろいろな研究の成果を伝えて、それの活用の促進を図っていこうと考えております。

 次に、2点目といたしまして、労働現場における安全と衛生の一層の向上に資するための研究の推進ということで、先ほど申し上げました行政ミッション型研究所、そういう研究所としての性格をより一層明確にするために、現場ニーズですとか、あるいは労働災害の発生状況、そういう要因の把握方法、そういうことの充実を図りまして、研究課題の選定方法ですとか研究の評価方法、そういうものについて見直しを行って、ミッション型研究所としての機能を一層明確にしていきたいと考えております。

 3点目は、他の研究機関で実施している重複研究課題等の排除のための措置。これも先ほどの整理合理化計画の方で指摘されているわけでございますけれども、これにつきましては、平成19年度から学識経験者あるいは労働現場、医療現場等の事情に詳しい多方面の専門家から成る外部評価委員会を開催しておりまして、ほかの研究機関において研究体制の整備や研究実績の集積がみられるものではないかも含めまして事前評価を実施しております。そういうことを通じて重複研究課題の排除とか研究内容の精査に努めて、これを引き続き進めていくと考えております。

 以上でございます。

【富田分科会長】  それでは、ただ今御説明いただきました労働安全衛生総合研究所の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでも発言願います。いかがでしょうか。黒川委員どうぞ。

【黒川臨時委員】  大きな労働者健康福祉機構と合併をすると。これは規模において100対1ぐらいでしょうか。ですから、どのようにこれを評価していいのか。まず、大きな労働者健康福祉機構との統合のメリットというのは、双方になくちゃいけないわけですけれども、まずは本日は労働安全衛生総合研究所の方にヒアリングということなので、そちらの、言ってみれば吸収される方ですね。どういうメリットがあるんでしょうか。教えていただけますか。

【平野部長】  総合安全衛生研究所の方は、基本的に安全あるいは衛生面で職業性疾病ですとかそういうことを予防するための研究を実施しております。一方で福祉機構の方は、研究という面で申し上げますと、労災病院等を中心に、治療とか、あるいは臨床上のいろいろな研究を実施しているという違いがございます。そういう意味で、両方が一緒になることによって、研究所の方から申し上げますと、いろいろな衛生研究を進める上で、実際の疾病がどういうふうに起きているかとか、そういうデータは非常に役に立つものでございますし、予防のためにやった研究が今度また臨床の場でどのように生かされるかということをチェックできるということも大きいと思います。

 例えば、先ほど4分野ほど申し上げたと思うんですけれども、振動について言えば、振動障害の防止のための防振用の保護具を、どんなものがいいかとかいうことを予防という観点で衛生研究所の方は研究をしておりますし、それを、今度は臨床の場の方で実際の患者さんのデータが出てくるわけでございますから、それと突き合わせをするとか、そういうことによってまた、研究所の辺から申しますと、研究をもう一度フィードバックしてもらって充実をしていくということもあろうかと思いますし、腰痛なんかで申し上げますと、現在、介護の労働なんかでの腰痛というのが非常に大きな問題になっておりますけれども、その介護労働のための腰痛予防のいろいろな補助用具とか補助器具とか、そういうものの開発の研究ということが一つの大きな課題になっておりますし、そういうものを総合研究所の方で予防という観点から研究をして、それを実際の労災病院の方で試みに使ってみるとか、その結果をフィードバックするとか、それによってまた予防の研究も進むと思われますので、そういう観点で非常に効果があると私どもは考えております。

【黒川臨時委員】  大変丁重に説明していただきましてよく分かりました。それから、前回のワーキングのヒアリングでも、行政ミッション型の研究ということを目指されているので、是非とも研究者の業績評価というのも、単なる論文の量とかそういうことではなくて、その研究成果の社会への還元という点を勘案したらどうかということに対して大変そちらも答えていただきまして、そのようにしていくということでございましたので、今のお話とあわせればもっと具体的な研究テーマになり、具体的な改善案がどんどん出ていくんじゃないかということを期待を持って私どもは見守りたいなと思っております。以上です。ありがとうございます。

【平野部長】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  ほかによろしいですか。縣委員どうぞ。

【縣臨時委員】  今の点で、例えば二つございますが、先ほど、統合の効果について仰せになったことは、私は専門ではありませんから、伺っていると、研究のプロセスとか基盤についての共通性が高まるということだけをおっしゃっているように聞こえます。研究内容そのものについて、統合で研究分野に広がりが出るとか、それからそこに補完的な、新しい研究成果の期待があるとか、そういう側面はございませんか。それを是非お考えいただいて、こちらへお知らせいただきたいと思います。

【平野部長】  私の説明がちょっと不足したのかもしれませんけれども、そういう意味から申し上げますと、先ほどの腰痛の方で申し上げた、研究所の方で例えば予防のための器具を開発すると。でもそれが実用に使えるものかどうかというものが大きなポイントになるわけでございますけれども、それは今の研究所だけでやっていると、実用化するためにどう改善すればいいかとか、そういうデータがなかなか来にくい面があるわけでございます。ところが労災病院のそういう臨床研究なんかと一緒にやりますとそういう実用化などが非常に進むんではないか。そういう意味で、広がりとは言えないかもしれませんけれども、そういう面での研究の充実あるいは実用化に向けての進歩というんですか、そういうものは進むと考えております。

【縣臨時委員】  あともう一つ、この前のヒアリングでも出た点ですが、行政ミッション型ということを自らおっしゃっておられるので、社会にアウトカムとして出てくるものとしていえば、労働災害の減少とかそういう形だと思うんですが、こういう点で統合がどういう影響があるとお考えになりますか。具体的に社会に対するアウトカムとして統合がどういう効果を持ち得るか。

【平野部長】  なかなか難しいお話かもしれませんけれども、一つには、私が申し上げました、また腰痛で申し上げますけれども、そういう腰痛予防のためのいい器具が実用化されて、それは当然コストの問題とかいろいろなあれはあるわけですけれども、実用化されれば当然腰痛は減ってくると、そういう効果は当然出てくると思います。

【縣臨時委員】  そうしたことをできるだけ仕組みで言えば中期計画後、統合後にお書きいただいて、それを必ず満たさなければいけないということではないと思いますが、例えばアウトカムを計る指標としてはこういうものがあるということを示していただければ、その統合されたことの効果というのは我々により分かるようになりますから、この点をお考えいただきたいと思います。

【平野部長】  はい、分かりました。

【富田分科会長】  玉井委員。

【玉井臨時委員】  関連することですけれども、行政ミッション型の研究機関ということで、いわば行政の在り方がエビデンスベースドになって、事実調査に基づく行政になるというのは大変結構なことですから、大変望ましいことだと思うんですが、その一歩先というか、例えばこの研究成果を基にして法令あるいは通達について改善がなされたと。なされたつもりだったんだけれども、よく調べてみると例えばあまり労働災害は減っていないとか、あるいはもしかすると別にこういうやり方があったんじゃないかというようなフィードバックをかけて、それで更に行政をよくしていくという組織にしていただけると独法としてこういうものを持っているという意味が大変増すんじゃないかという気がしますので、是非お考えいただければと思います。

【平野部長】  実は、前に資料でも出しているかと思うんですけれども、そういう研究所の研究成果に基づいて、一つの例として、建築現場の足場の対策の充実を図りまして、今年の3月に規則を改正して6月から施行しているんですけれども、それにつきましても、施行後3年ぐらいをめどに本当にその効果があったのかを検証した上で、不十分であったらまた研究所の方に研究・検討してもらうとか、そういうことを通じて充実を図っていきたいと考えておりますし、今、玉井先生が言われた観点、私どもとしても非常に重要と考えておりますので、そういうふうに取り組んでまいりたいと思います。

【富田分科会長】  大体よろしいでしょうか。それでは、時間の都合もありますので、労働安全衛生総合研究所についてはここでいったん議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には、後日事務局を経由して照会したり、必要に応じてワーキンググループで再度ヒアリングを実施することがありますので、その際には何とぞよろしくお願いいたします。

 それでは、労働安全衛生総合研究所の御担当の皆様方には御退席をいただきまして結構でございます。ありがとうございました。

【平野部長】  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  続きまして、厚生労働省・二川大臣官房審議官を始め御担当の皆様にお越しいただきました。早速でありますけれども、年金積立金管理運用独立行政法人の見直し当初案の主要なポイントにつきまして厚生労働省から御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。時間の関係ございますので、御説明5分程度でお願いいたします。

【二川審議官】  年金担当の審議官の二川でございます。よろしくお願いいたします。それでは、資料に沿いまして御説明申し上げます。資料ナンバーは、資料2−4−1が概要資料でございます。併せまして参考資料、資料2−4−2を配付させていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。

 まず資料2−4−1、1ページを御覧いただきたいと思います。この年金積立金管理運用独立行政法人の業務でございますけれども、これは国民年金と厚生年金保険の積立金の管理運用ということでございまして、具体的には国内債券を中心として国内外の株式、債券に分散投資を行う基本ポートフォリオをつくる。それから実際に株式や債券の運用を行う国内外の信託銀行あるいは投資顧問会社といった運用受託機関の選定・管理運用を行う業務を行っております。

 それから、1ページ目の中段でございますけれども、現行の中期目標の主な内容を記載してございます。年金給付は基本的に賃金の動向に連動してまいりますので、中期目標におきましては賃金上昇率プラス1.1%、この利回りを確保するということが現在の目標となってございます。この賃金上昇率プラス1.1%と、こういう数字でございますけれども、これにつきましては、国民年金及び厚生年金の制度におきましては少なくとも5年ごとに財政の見通しを計算しなければならないと、こうなっておりまして、その計算に当たっていろいろな経済指標の前提が設定されておるわけでございますが、その前提におきまして、前回、平成16年の財政再計算におきまして賃金上昇率プラス1.1%という長期の運用利回りが設定されており、それを現在の運用目標としていると、こういったものでございます。

 1ページ目の下に実際の運用実績が記載してございます。この表におきましては平成15年度から20年度までの過去6年間の名目で年率2.0%と、こういった利回りが実際に達成されているということでございますけれども、この6年間の名目賃金上昇率が、上昇といいますか、マイナス0.16%ということでございましたので、このマイナス0.16%に1.1%を足した0.94%、これがいわばこの間の確保すべき利回りということになるわけでございましたので、2.0%と比較いたしますと上回っていると、こういったようなことでございます。

 それから、2ページ目でございますけれども、上の表はこの管理運用法人の中期計画に定められた基本ポートフォリオでございます。下の表は20年度末の現実の年金積立金の資産構成割合の実績でございまして、どの資産におきましても基本ポートフォリオの乖離許容幅の範囲に入っているというところでございます。

 それから3ページでございます。年金積立金管理運用独立行政法人の見直し当初案をまとめてございます。まず(1)といたしまして、長期的に安定した収益の確保に向けた取組が必要と考えてございます。その1点目といたしまして、(1)とありますけれども、2ページに現行の中期計画で定められました基本ポートフォリオがございますけれども、この見直しを行う必要があると考えております。また、見直しに当たりましては、先ほど申しましたように、現在は賃金上昇率プラス1.1%というのが運用目標でございますけれども、21年の財政検証を踏まえていただく必要があるかなと思っておりまして、21年度の財政検証におきましては、長期的な運用利回りの前提は賃金上昇率プラス1.6%というものを、私ども厚生労働省における年金の長期見通しにおいてはそういうものを扱っているということでございます。

 それから、この基本ポートフォリオの見直しにおきましては幅広い観点から専門的な検討を行う必要があると考えておりまして、管理運用法人におきましては、既に有識者から成る運用委員会が設置されておりますけれども、そういったところで検討をする必要があると思っております。

 それからまた、(2)にございますけれども、中期目標期間中の基本ポートフォリオの見直しにつきましては、これまで年1回検証を行っておるわけでございますけれども、運用環境が大きく変化、去年の秋以降そういったことが起きておるわけでございますけれども、長期的な観点から見て、基本ポートフォリオを策定したときに想定したリスク・リターンなどの数値が大きく変化をし、現実と大きく乖離した場合に基本ポートフォリオの見直しといったことも必要かと考えております。

 それから、3ページの下の方でございますけれども、リバランスとキャッシュ・アウトとございます。このリバランス、キャッシュ・アウトですが、3ページの注の方に書いてございますが、まずリバランスについては、基本ポートフォリオを維持するために資産構成割合を変更し、株式の割合が高くなり過ぎたら株式を売って債券を買う、そんなようなことでございます。それからキャッシュ・アウト、これは年金給付に充てるために株式や債券といった運用資産を現金化することでございますが、平成20年度までは、かつて旧資金運用部に預託されておりました預託金が順次償還されてきたことで、現金が入ってきたわけでございますけれども、これを各資産に配分することによりリバランスというものを行っていた。それから、償還金をまずは年金給付に充てるということで、資産を売却してキャッシュ化するということは基本的に必要なかったということでございます。しかしながら、今後はこういった償還金がなくなってまいりますので、次の中期目標期間におきましては、実際に株式や債券の売買を伴うリバランスあるいはキャッシュ・アウト、こういったことが必要になってくるということでございます。

 こういったリバランス、キャッシュ・アウトをいつどのように行うかということは収益に影響いたしますし、年金給付の原資である以上確実に行わなければならないと。それから、そういった売買をするということになりますと市場への影響といったこともございますので、そういった配慮も必要だということで、これらを適切に実施するためには市場の情報の収集・分析、あるいは資金の回収、配分計画の作成、そういった意味でこの法人の業務の機能強化が必要であろうと考えております。

 それから4ページでございます。ただ今御説明しました基本ポートフォリオの見直し、あるいはリバランス、キャッシュ・アウトと、そういったようなことを適切に実施していくために、調査研究の充実とか市場情報の収集・分析、こういったものを強化していかなければならないと思っております。また、金融分野におきます運用のあり方がいろいろ変化、多様化をしてまいっておりますので、運用手法の見直し、あるいは運用受託機関の選定・管理についてもしっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。

 それから、4ページの(2)でございますが、引き続き金融分野に精通した質の高い人を育成していかなければいけないと思っておりますし、運用手法の見直しへの対応といったことでの情報システムの整備、積立金の運用管理をより高度に行うための基盤の整備といったことが必要かと思っております。

 それから(3)、(4)でございますけれども、運用リスクの管理、コンプライアンスの確保、それから分かりやすい情報提供といったことで、広報の強化が必要と考えてございます。

 以上が、次期中期目標期間ではこの年金積立金管理運用独立行政法人において取り組む必要があると考えておるものでございます。

 5ページでございます。事務事業の民営化、他法人への移管・一体的実施といった点についてでございますけれども、こういった年金積立金の管理運用というのは、民間の運用機関のどこを選ぶかと、そういったようなことでございますので、今民営化をするということは難しいのではないかと思っております。また、こういった資金運用を専門的に行うという法人はほかにはちょっと考えがたいので、ほかの法人への移管も難しいのではないかと考えております。

 それから、最後でございますけれども、業務の効率化ということで、これは可能な限り効率化に取り組んでいかなければいけないと思っているわけでございますけれども、一方では、私ども厚生労働省の独法の評価委員会におきましても議論があったところでございますけれども、今後この法人におきましては、先ほど申し上げましたリバランスとかキャッシュ・アウトといった新たな取組を行っていかなければいけない、そういった強化していかなければならない業務があるといったこと、あるいは高度な人材の確保とかそういったことも必要だというようなこともございまして、人件費を含む一般管理費、業務経費につきまして一律にこれ以上削減していくということにつきましては慎重に検討していく必要があるのではないかと、こう考えておるところでございます。以上、見直し当初案の御説明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  それでは、ただ今御説明いただきました年金積立金管理運用独立行政法人の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。河村委員どうぞ。

【河村臨時委員】  御説明ありがとうございました。2点ほどお尋ねしたい点がございます。御説明くださった資料の3ページのところです。先日GPIFに私もお邪魔させていただいたんですが、そのときにもGPIFの方々からのお話もあったんですが、このリバランスの話、それからキャッシュ・アウトの話、要するに財投とのお金の流れの関係もあって新しいというか必要な機能の強化をしなければいけないということなんですけれども、具体的にどういったことが必要になるのかということと、それから、なかなかお答えが難しいのかなと思う、ちょっと難しい質問になってしまうかもしれないんですが、例えばマンパワーとかでみたときにどのぐらいの程度の業務のアップになるのかということで、非常に厳しい環境の中で運営されているということは重々承知はしているんですが、やっぱり情勢が変わってくるのに、どんな新しい仕事が必要になってくるのか、どの程度の質、量かということをお尋ねできればと思います。それをまずお尋ねしてからもう一つ質問がございます。

【八神参事官】  参事官をしております八神と申します。今2点ほど御質問をいただきました。リバランス、キャッシュ・アウトに関しましてどういった機能の強化、具体的な機能の強化が必要かという点だったと思います。新規の資金がない中でリバランスをするということになりますので、市場環境に合わせまして資産を売買する、キャッシュ・アウトであれば資産を市場から回収して年金給付に充てるために持っていくと。そのためにどういう資産を選択するか、あるいはどれだけの額をどこから持ってくるか。幾つものファンドに分かれて資産を保有しておりますので、どこから回収するのか。あるいは、巨額の資金を要しておりますので、1日当たりの資金の回収額というものを相当慎重に考えないと市場への影響もございます。

 こういった観点から、資金の回収あるいは配分に当たってきちんとした計画を立案するということがまず不可欠でございます。また、市場への影響を見るためには、市場に関する情報収集・分析というものを絶えずきちんと行っている必要があるということでございます。特に、もちろん金額によるわけですけれども、多数のファンドから資金を回収しますし、回収したものを一時的にでも短期の資産運用というのをまたしないとこれももったいない話でございますので、そういうことも必要になります。そうしますと、実務面でも今までに加わるような資金管理の事務がございますし、あるいは短期の資産運用をするためのインハウスの部分といったことも出てまいります。リバランス、キャッシュ・アウトに共通して、こういった計画をきちんと立てる、市場をきちんと分析して情報収集をする、それから短期で運用するというような実務、こういった面で相応の強化の必要があろうかと。

 実際にどれぐらいのマンパワーかというのが第2点目だったかと思います。ここは法人の方とも今相談しながら詰めております。具体的に何人というところまで現実に今持っておりませんので、申しわけございません。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【河村臨時委員】  すみません、続けてもう一つ。その上のところにお書きになられている基本ポートフォリオをどういう形にしていくかということも、財政再計算との関係もございますし、国のお金の流れにとっても非常に、大変大事な問題ではないかと思っているんですが、運用委員会でいろいろ議論されているところも公表されている資料等を拝見しているんですが、現段階でどういう方向でということで何かお伺いできることがあれば、お教えいただければと考えます。

【八神参事官】  続けてお答えをいたします。まさに現在、運用委員会、昨年の夏ぐらいから始めておるということで、順次いろいろな検討をしてございます。当然その基本ポートフォリオは中期目標を提示して、それに対する答えとしての中期計画の中で最終的に決まるものですので、これというものが今決まっているわけではございません。検討の中身、様々な検討をしていただいております。例えばポートフォリオの構築をする方法の問題であるとか、あるいは、基本ポートフォリオをつくるときに負債をどう考えるかということでありますとか、対象となる資産、今は伝統的な資産に限っておりますが、そのほかの資産を運用の対象に加えるのかどうか。もちろんいろいろなリスクの問題も含めて検討をする必要がある。あるいは運用手法、また、先ほども出ましたけれども、キャッシュ・アウトをするために、それも考えながらポートフォリオをつくらなければいけない、こういったさまざまな検討項目を順次検討しています。今結論が出ているという状況ではございませんが、随時幅広く検討していただいているというところでございます。

【河村臨時委員】  ありがとうございます。今後のいろいろな情勢等の影響もおありになるのかな、御苦労が多いんじゃないかとは思うんですが、そういったところも含めて今後事務局経由でちょっとお尋ねさせていただくことがあるかも分かりません。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。

【縣臨時委員】  今御説明いただいて、本来業務について基本的に機能を強化しなければいけないという必要性についてはよく理解できました。他方、こちらの数字ですと、今この法人にいらっしゃる職員の76人のうちの23人という方が間接部門にいらっしゃるということですが、その本来業務との兼ね合いにおいてこの間接業務の比率をどうみなしておられますか。

【富田分科会長】  お願いします。

【八神参事官】  お答えをします。間接部門、管理部門と申し上げたらいいと思いますが、管理部門が今23名おります。76名の職員で23名、これを多いと見るかどうかというところだと思うんですが、実際に管理部門といたしましては、当然、人事、経理ですとか監査あるいは内部統制といった業務をしてございます。そのために必要な人材を確保していると。法人の規模が、決してその職員数多いわけではないので、全体の職員数からすると管理部門の比率が高く見えるかもしれませんが、ほかの法人と比べましても過大な人数がいると私どもは考えてはございません。もちろん効率化ということも私ども考えなければいけないので、現行の業務を遂行する上で必要な陣容であるかどうかということは引き続き検証をいたしまして、効果的な実施ができるように必要に応じて組織の見直しをするというスタンスでいきたいと思っております。

【縣臨時委員】  恐縮ながら、算数をするとやはり決して低くはない割合です。これは我々の方では相対的に数字が分かります。それは絶対的に何%が基準だとかいうのはございませんから、特に今仰せのとおり、管理部門に入っていて、かつ本来業務にかかわるような業務がこの法人にはあるということは重要なことだと思います。

 しかしながら、5ページには、強化のために、必ずしも、一律削減について慎重を期すべきだと主張されるのであれば、やはり人員について基本的に見直していただくということをまずなさるのが先ではないかと思います。

【二川審議官】  もちろんおっしゃるとおりで、こういった業務の効率化とかそういった管理部門の見直しを常時やっていかなければいけないということは常に認識をしておるつもりでございますし、法人サイドにもそういう認識はあると思っておりますけれども、新しい業務が追加されるといったような部分もある中で、一律にということではなかなか厳しい面もあるのでということで記載をさせていただいたというようなところでございます。

【富田分科会長】  では、私から質問なんですけれども、二つあって、一つは、資料2−4−1の3ページの注で、本年の財政検証の経済前提としてここに紹介があるんですけれども、これはマクロ経済スライドを前提にして、所得代替率もこれでいくと50%は確保できるかどうかといった点、これをまずお聴きしたいということ。

 それから、今日は非常に要求、要請がいろいろあるんですけれども、ほかのところで全部経費削減、政府中やっているんですよね。そういう中において、金融分野における専門知識を有する人材の確保ということを言っておられるんだけれども、そもそもにおいて厚生省、今厚生労働省ですが、やっぱり福祉だとか介護だとか医療だとか、そういうことを目指しておそらく貴兄らも入省されたと思うんですけれども、そこから一番遠いところですよ。アメリカにおいても公的年金というのは全部非市場性国債で運用しているわけでして。そうすると、こんな、ここで要求なさっているような経費削減の適用除外とかいうことはなくて、そもそももっと効率的な体制でもって、国民をリスクにさらすことなく運用できるわけなんです。そういうことも含めてお考えなのかどうか。

 つまり、何を言っているかというと、大きく政府も変わる中において、依然として縦割り的に厚生労働省においても金融人材だというふうに、各省で、全部デパートメントのように、全くメインの業務とは関係ないところのいろいろな専門の人を雇うために経費が要るんだということについて堂々とこうやってここで要求なさっているんだけれども、その点についてどうお答えかということですけれども。お願いします。

【二川審議官】  まず、この財政検証でございますけれども、この財政検証ではこの運用利回りをまず設定したわけではありませんで、まずは人口、平均寿命の予測値とか、それから出生率の今後とか、そういったようなものが人口問題研究所とかそういったようなところから出されたものを使う。

 それから、今後の経済前提でございますけれども、経済前提につきましては、私ども社会保障審議会の年金部会に経済前提専門委員会というものを設けて、マクロの経済学者、そういったような方々に多数入っていただきまして、そこで今後の将来見通しをどう設定すべきかと。いわゆる経済成長をどうみるのかと。普通の場合、うまくいった場合、あまりうまくいかなかった場合というような形でそういったものを設定し、それを設定した場合にどういった長期の利回りが得られるのか。それを更に分散投資することによってどのくらいの利回りが得られるのか。それを置いて、その上で、会長から御指摘があったいわゆる所得代替率の将来見通しがどうなるのかと、これを推計したと。それはもちろん、経済前提をどう置くか、人口の見通しにおきましても幾つかあって、それがいろいろなそのマトリックスになって出てくると。そういった場合に、その経済前提、あるいは出生率、そういったものが中位、中位でいった場合にちょうど50.1%ぐらいになるというようなのを今年の2月に推計として公表させていただいたと、こういうようなものでございます。

 すなわち、経済前提専門委員会で検討していただいた前提を置いて計算するならばこんな数字になるということでございました。そのときに出てきた数字が、積立金の利回りにつきましては賃金上昇率プラス1.6%というのが中位の数字であったと、こういうことでございます。

 それから、2点目でございますけれども、まず金融人材ということでございますけれども、私ども、厚生労働省にそういった専門家が必要だと言っていることではなくて、こういった年金積立金の運用をしていくという法人におきましてはそういった専門家は必要であるというふうなことでございます。

 それで、また、そもそもこういった年金積立金の在り方として、こういったいろいろな市場で運用していくのがいいのかどうなのかと、こういったような御指摘かなと思います。この点につきましては、各国いろいろありまして、御指摘のように米国におきましては非市場性の国債のみを購入していると、こういった行き方の国もあると。また、スウェーデンとか幾つかの国におきましては、積立金をある程度保有し、それを市場で運用していくと、そういったようなやり方をされている国もあるといったようなことで、これまでにおきましては、割合たくさん積立金、年金給付に対しましてはまだ積立て度合いが高いのが我が国の公的年金の状況でございますので、その積立金につきましてはできるだけ安全かつ効率的にというのが現在の法律の要請といったようなことでございまして、それを前提にこういった市場運用をしていこうというふうな考え方に今はなっていると考えているところでございます。それを前提にいたしますと、先ほど申し上げたような、この運用する法人におきましては人材の確保が必要になってくると、こういったことでございます。

【富田分科会長】  私は前から、福祉を大事にし、市場を大事にするんだったらアメリカのような形だと。アメリカというのはだから、全然厚生省は説明しないんだけれども、年金の積立金は、公的年金の積立金を全部非市場性国債で運用をしているんです。それは御存じですよね。

【二川審議官】  はい。

【富田分科会長】  アメリカにおいても株で運用すべきじゃないかということはいろいろ議論はあったんだけれども、やはり国民をリスクにさらすわけにはいかない。また、政府が、あるいは政府の機関が株式で運用するということになると、やはりこれは政府が株主になるわけですから。という問題も当然発生する等々でやっていないんです。

 そういうことも当然厚生省の方は御存じだと思うんだけれども、何だか当時の議論は、自分たちで保険料を集めているんだからと。記録ミスとかいろいろな問題はあるんだけれども、自分たちで集めているんだから自分たちで運用するんだというふうな論法で、縦割りでいかれたわけでありまして、この問題というのはやっぱり結構大きな問題であると私は依然として思っております。そういう段階においてこうやって経費削減の適用除外ということを強く言われているということも極めて大きな問題かと私は思いますが。それは意見ですけれども。

【黒川臨時委員】  今、分科会長の御高説ということですけれども、直接担当する我々としては、調べさせていただくと、そのときそのときによってリスクを取る運用をもっとすべきだという意見もあるし、今、分科会長がおっしゃったような御意見もあって、なかなか、この委員会でそれをどうすべきということを言うべきかどうかというのはちょっと分からないので、今のは多分分科会長の、御自分の御意見だとも最後におっしゃったと思いますけれども、私どももそれについては、その運用の中身、ポートフォリオの中身については言うべきじゃないのかなと。言わない方がいいのかなと思っております。

 それで、大事なのは、ワーキングのときにも言いましたように、やはり今のいろいろな委員会を作られていろいろな議論をされている、それをどういう方々を選んでいるのかとか、そういうところはこの独法の一つの業績だろうし、また、同じ成果を上げるんであればコストはなるべく安い方がいい、低い方がいいんですから、そういうような問題とか、あるいは不祥事が起こらないようにするというような、そういう組織面のことについて一つ評価をしたいと、こう思っている。

 それからもう一つ、実はワーキングのときにも言った、この間も視察に行かせていただいて大変勉強になったんですけれども、これは私の私見かもしれませんけれども、いろいろなポートフォリオについての研究はこの法人でした方がいいんじゃないかと思っています。

 ですから、どうすべきだというんではなくて、例えばこの年金については例えば数十年先まで我々国民を食わせなくちゃいけない、計画だと100年先みたいなことを言ったり、そういうような運用をということまで考える運用の仕方かもしれないわけです。そうすると、僕の私見かもしれませんけれども、先進諸国の方はそんなに発展することはもうないと思っておりますので、いわゆる発展段階にある国の、何かそういうようなものに投資をするという国もありますよね。そういうようなこともあるかもしれません。

 ですから、研究はすべきだと思うんです。例えばこの10年間ぐらいこういう運用の仕方をどのぐらい、何兆円していればどういうことがあったのかとか、レトロアクティブ、元に戻すというわけじゃないけれども、そういう研究の仕方があってもおかしくはないんじゃないかと。そういうようなことをして、将来、分からないわけですけれども、検討するときに参考にすると。それをどこでやるかというと、せっかくここの法人があるんだからここでやったらどうかというぐらい私見としては思っている。

 そのときに、研究部門の充実ということをどうかなと思ったんですけれども、そうしたら何か、純増で人が要ると。もっと要るんじゃないかとそちらは言っていますよね。私のそのとき言ったのは、間接部門がほかの独法と比べるとやはり多いので、そこの人数、その辺を見直しをして、それで今言ったような研究とかそういうところを充実させていったらどうなのかしらというようなつもりで視察のときもちらっと言ったような気はしているんです。ですから、今、分科会長もおっしゃったように、単にすぐ人が増えるというように行くとやはりこれは大きな問題だろうと思うので、その辺を御検討いただきたいなと、こう思います。

【富田分科会長】  いずれにしても、極めて大きな基本問題を抱えたまま、国民全体を人質に取りながら、リスクを取りながら運用しているというところなわけですよね。これまでは何かいろいろなレクリエーション施設なんかにも投資していたりして、大きな改革の対象になってきたところなんです。だから、主務省としてはそういうことも十分踏まえながらの対応ということが求められるわけでして、ほかで全部経費を切っているときにここだけというのはやっぱりちょっとどうかなということもお考えいただきたいと思います。

 それでは、時間の都合もありますので、ここで年金積立金管理運用独立行政法人についてはいったん議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜り、ありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 また、本日は時間の関係で十分な質問ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。

 厚生労働省の皆様には御退席いただいて結構であります。ありがとうございました。

(厚生労働省 退席)

【富田分科会長】  それでは、最後に事務局から報告事項がありますので、説明をお願いいたします。

【横山評価監視官】  2点報告させていただきます。まず、皆様御存じのように、昨日、理化学研究所の主任研究員による架空取引事件が新聞各紙で大きく取り上げられました。昨日の分科会でも、分科会長、それから浅羽委員から、このような独立行政法人の不祥事が起きた場合には、その事実関係や問題の所在について判明したときに適時情報提供を願いたいという御意見をいただきました。今後、事務局といたしましては、こうした不祥事の事案について報道がなされた場合には、報道内容に関する事実関係や当該法人や主務省における原因究明の結果などの情報を入手した段階で適時ワーキング・グループの委員の方々に情報提供するようにしたいと考えております。今回の理化学研究所の事件につきましては、昨日早速文部科学省に照会をしております。

 それで、理化学研究所の公表資料によりますと、外部有識者を含む調査委員会というものを設置したとのことです。こうした状況でありますので、私どもとしましては、こうした原因究明の調査委員会が検討次第その情報を入手しまして、文部科学省御担当のワーキングの委員の方々に情報提供をしたいと考えております。

 二つ目でありますが、今後のスケジュールであります。委員各位の御都合をお伺いした上で後日分科会の日程等について連絡をさせていただきたいと考えております。以上です。

【富田分科会長】  大体次はいつごろの心づもりをしておいたらいいですか。

【横山評価監視官】  来月下旬ぐらいを考えております。

【富田分科会長】  ありがとうございました。

 それでは、これで3日間のヒアリングを終えることができました。以上をもちまして本日の政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会を終了いたします。御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。


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