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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会委員懇談会(11月27日開催)議事録

日時

平成21年11月27日(金)14時00分から14時50分

場所

中央合同庁舎第2号館 総務省第1会議室

出席者

(政策評価分科会所属委員)
金本良嗣分科会長、森泉陽子委員、小峰隆夫臨時委員、佐藤主光臨時委員、立花宏臨時委員
(独立行政法人評価分科会所属委員)
黒田玲子委員
(総務省行政評価局)
田中行政評価局長、江澤審議官、讃岐総務課長、松林政策評価官、杉浦評価監視官、羽室政策評価審議室長

議題

  1. 政策評価をめぐる最近の動向について
  2. 児童虐待の防止等に関する政策評価について

配布資料

会議経過

【金本分科会長】  ただいまから政策評価分科会を開会させていただきます。
 今日の議題は、「政策評価をめぐる最近の動向について」ということと、「児童虐待の防止等に関する政策評価について」の2点でございます。
 まず議題1の「最近の動向」に関しまして、行政刷新会議の「事業仕分け」について、田中行政評価局長のほうから御説明をいただけるということです。よろしくお願いいたします。

【田中行政評価局長】  先生方、本日はお忙しいところありがとうございます。行政評価局長の田中でございます。
 先生方、御審議のお時間を拝借して大変恐縮なんですが、今お話ございましたように、私から1件、お詫びかたがた、御報告をさせていただきたいと思います。あるいはマスコミ報道等で御承知かもしれませんが、行政刷新会議がやっています「事業仕分け」という話、今やっておりますけれども、その中で行政評価局の業務のうち、まさに先生方にやっていただいている政策評価、それから、行政評価・監視、これが事業の仕分け対象になってしまいました。選定理由等はよく分かりませんけれども、直前になりまして、追加的に項目として挙がりまして、結果、11月13日に、印刷局の体育館で仕分けていただきました。
 それで、お手元の資料1−1にそのときの、第1WGというところでやっていただいたんですが、評決結果の紙をお手元にお渡しをしてございます。評価結果は「抜本的な機能強化」ということで、お察しいただけますとおり、今回の一連の「事業仕分け」で、ちょっと変わった分類での御評価になったわけでございます。そういう格好で結論は出たわけでございますけれども、資料を御覧いただきますとおり、非常に厳しい御議論を頂戴いたしました。そもそもこの私どもの事業の目的に沿って、行政の改革や改善につながるような議論をすべきであるとか、抜本的な改善策を自ら提示すべきであるというふうな話とか、ありていに言いますと、これまでの取組が不十分であると。だから、抜本的に反省して頑張れということであるわけですけれども、座っておった私から言わせると、取組が不十分だからやめてしまえということとほぼ紙一重のように受けとめておりました。非常に重たい宿題を頂いたというふうに認識をいたしております。
 ただ、私どもといたしましては、この「事業仕分け」の機会、実はそれ以前から、この夏ぐらいから、政策評価のあり方とか、いろいろターニングポイントの時期ではないかということで、いろいろ改革の必要性を感じて議論してまいった折でもございましたので、これをいい機会に反省すべき点はよく反省をして、まさにお役に立つ仕事をやっていけるように改革をいたしてまいりたいというふうに思っております。
 大変御心配をかけて申し訳ございませんけれども、先生方、引き続きまして、よろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。
 以上でございます。

【金本分科会長】  はい。ということでございますが、黒田先生、何か御質問等ないでしょうか。

【黒田委員】  紙一重でどっち側に転ぶのか分からないけど。いろんなこと含めて大変だなと思っています。

【立花委員】  ちょっと一言。

【金本分科会長】  はい。じゃ、お願いします。

【立花委員】  私も「事業仕分け」の話、報道等で全部傍聴したわけでもないし、また、現場に行ったわけでももちろんありませんけれども、私もこれは始まる前からちょっと印象を持ったのは、やはり予算の話だけじゃなくて、事業をやる場合には当然、人と、それから、組織が必要なわけで、つまり、財務省の主計局の方々と、それから、この仕分け人のコメントが一部入っていますけれども、組織定員を管理する、この部局を持っている総務省、あるいは行政評価、こことの連携は当然必要だということは誰でも言うわけで、そういう意味で言えば、私は刷新会議の方々がどういう感じか分かりませんけれども、本来であれば、主計局の方々と主計官と行政管理局の管理官あるいは行政評価局が同席していて、予算の面からこういう問題提起がある。また、組織定員の面からこういう問題があるんだとか、全てについて、財務省は全部、予算については触っていますけれども、行政管理局あるいは行政評価局のほうは、それに全部は触れることはできないかどうか、あるいは能力的な問題があるかどうか分かりませんが、私はやはり本来であれば、予算の面からの指摘と、それから、組織、人員の面からの指摘というのはいろいろあいまって全体像がつかめるわけで、そういう意味からはむしろ田中局長も非常にやる気がおありになるわけですから、受け身じゃなくて、向こうの行政刷新会議のほうで、そういったことで作業が始まったら、むしろこういった面の蓄積あるいは組織定員管理の面から見た問題点といいますか、それも併せて問題提起できるような体制が必要かなということを、そういった印象を持った次第です。
 ちょっと御参考までに。

【金本分科会長】  はい。田中局長。

【田中行政評価局長】  どうも恐れ入ります。今ちょっとお時間をいただいて発言しようと思いましたのは、一般的にはまさにおっしゃるとおりだと我々思っておりまして、現に刷新会議とは現在も連携をしているつもりでもございますし、刷新会議のメンバーである原口大臣が刷新会議での議論に役立てようということで、いわゆる行政評価・監視の機能を使いまして、契約の適正化の調査を現在行っておりまして、大体取りまとまってまいりまして、直近の刷新会議の場で、原口大臣から当方の調査結果を報告していただく、そういう運びを考えております。
 それから、国家戦略室とも連携をやっていまして、皆さん方、これも御承知かもしれませんが、菅大臣御提唱の政策達成目標を明示せよという御議論がございますけれども、実はこれに今いろいろと協力をしている。さらには財政当局、主税局で租特の話を今御議論されております。租特の透明化に政策評価をどうやって組み込むかという御議論をされておりまして、実はこれもその制度設計に加わっているということで、おっしゃるとおり、そういう制度官庁との連携は必要ですし、現に私どもそのつもりで仕事をやらせていただきますし、せっかく評価を受けましたので、信用がいただけるような体制をとって、引き続き連携をとってやらせていただきたいというふうに思っています。

【金本分科会長】  はい。それでは、続きまして、今、出てきましたことに関係するんですが、予算編成のあり方に関する検討会の論点整理と、それから、租税特別措置にかかわる政策評価の制度化につきまして、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

【松林政策評価官】  それでは、御説明させていただきます。
 ただいま局長のほうからも御紹介させていただきましたけれども、新政権になりまして、政策評価に対する新たな課題といたしまして、予算編成のあり方に関し、政策達成目標明示制度と、租特の透明化における政策評価の活用が出てまいりました。これは政策評価を担当する私といたしましてもやはり政策評価に対する期待あるいは活用をすべきという方向性が大変強いものと受けとめておりまして、こういった期待にこたえていくべく、改善を積み重ねていかなければいけないというふうに思っております。
 それでは、具体的に御説明をさせていただきます。
 資料1−2、それから、1−4までが関連資料でございます。
 まず予算編成のあり方に関する検討会の論点整理につきまして、資料1−2及び資料1−3にお目通しいただければと思います。
 現内閣の発足後、菅国家戦略担当大臣や民間有識者からなります予算編成のあり方に関する検討会におきまして、複数年度の予算編成や予算編成執行プロセスの透明化などが議論されておりました。去る10月19日には予算編成のあり方に関する検討会における論点整理が取りまとめられまして、22年度予算から政策達成目標明示制度を試行的に導入するとされたところであります。これについて、10月23日に閣議決定がなされております。
 この政策達成目標明示制度につきましては、閣議決定において、政府として最優先の目標を厳選した政策達成目標というものを定めまして、あらかじめ定めた期間内に、達成する成果、アウトカムを具体的に明示し、政策達成目標の達成状況について、達成指標に照らして、事後評価を行う。予算が効率的、効果的に使われたかどうかといったことを、そういった取組を通じまして検証していくということとされております。これは政策評価の方式であります実績評価方式に大変近いものと考えられるところであります。
 また、論点整理におきましては、23年度予算以降からは、同制度の本格的な導入に併せて、政策評価のあり方や体制について抜本的な検討を行うということとされているところであります。当局としましても、今後これに対して適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
 続きまして、租特、租税特別措置に係る政策評価の制度化について御説明申し上げます。
 現在、政府税制調査会におきまして、租税特別措置の透明化が検討されております。透明化の一環としまして、租特に係る事前評価、事後評価の推進が課題になっているところであります。お手元の資料1−4を御参照いただければと存じます。
 本年の通常国会に民主党から提出され、廃案になりました租特透明化法案というものがございまして、御記憶の方もいらっしゃるかと思いますが、そこの法案における政策評価の関係事項をまとめたものでございます。このような内容を今後、法制化に併せて具体化していくことが求められております。
 政策評価の取組に関する具体化については、先般、財務省から当局に対して、具体的な検討要請がございまして、今後必要な制度改正の検討作業を連携をとりながら進めてまいりたいと思っております。
 具体的には、政策評価法の施行令とか、基本方針の改正などが必要というふうに考えておりますが、今後、分科会にもお諮りをしながら、取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上、簡単でございますけれども、政策達成目標明示制度と租特の透明化に係る政策評価制度の活用について御説明申し上げました。
 なお、政策評価結果の予算要求等への反映状況につきましては、取りまとめに少し時間がかかっておりますので、恐縮でございますが、次回、御報告をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【金本分科会長】  はい。ありがとうございました。それでは、御質問等、御意見ございましたらお願いいたします。
 よろしゅうございますか。租特の評価というのは、言うのはいいんですが、できるのかというのが。
 はい。どうぞ。

【佐藤委員】  半分、感想で、半分、質問みたいになってしまうんですけれども、租税特別措置に関して、その透明化というのであれば、通常は一番、透明化を促す手段というのはその租税特別措置をそもそも予算で計上してしまうことだと思うんですね。例えば、いわゆる実際どれぐらい減税に、減税になった部分を支出とみなして、例えば住宅ローン減税なども典型例ですけれども、住宅ローン減税というのを、今は税収減という形でしか表れてこないですけど、それを本来とってきた税収を横に出して、実際そのうち住宅ローン減税としてこれくらい使いましたよとか、法人税も本来は特別措置の部分を含めないで法人税を計上しておいて、そのうちこれくらいを法人に対する特別措置として支出しました。あたかも支出したかのように計上すれば、国民の目から見ると、要するに、何にお金を使ったのかというのが一番見えやすいということで、予算上、同じ扱いになりますので、逆に補助金との整合性もとれる。多分、今後、例の給付付き税額控除なども含めて、いわゆるこういう税額控除措置というのを考えてくるときに、おそらくそういう、いわゆる給付から税額控除に移るとなると、あれは税収減という形でしか出てこなくなってしまうので、予算上、今の制度だとやはり消えてしまうんですよね。したがって、そのあたり、むしろこういう事後評価とか事前評価というのはもちろん大事だとは思いますけれども、そういう予算制度での対応というのはある意味、前提条件のようには思うんですが、そのあたりは検討はされていないのか。検討してないのは理由があるのかということをちょっと。もし何かあればなんですけれども。

【松林政策評価官】  ありがとうございます。先生御指摘いただいた点につきましては、結論から申し上げますと、今後、制度の具体化の中で、財務省が中心になって検討を行われるものと承知しております。この間、決定されました骨子案によりますと、適用実態調査を行うということにされておりまして、適用額、租税控除額、特別償却限度額等々準備金、積立金額等といったことを記載させるということになっておるようでございます。
 それから、ちょっと付言させていただきますと、租特に関しまして、先行的に一部文部科学省とか経済産業省で、もちろん義務付けはされておりませんけれども、先行的に取組をやっている省もございます。先般、公表しました年次報告書の中でも、文部科学省において、特定扶養控除について、高校、大学の授業料を勘案した租特につきまして、事前評価をやっている例を挙げさせていただいております。

【金本分科会長】  はい。田中局長。

【田中行政評価局長】  先生、ありがとうございます。ただ、先生が先ほど、本来はとおっしゃった部分については、もちろんこれは税調での御議論を拝聴する限りではありますけれども、お察しのとおり、そういうことで透明化を図ろうとしていないと思います。今ここに資料1−4に載せてありますのは、民主党が議員立法で付された法案の骨子ができまして、現在の税調の段取りはここにも書かれているその法案の内容を、今度、閣法で出そうという作業なわけですけれども、やはり政策評価を組み込むことも透明化の一環ということでそういう名前になっていますし、例えば対象となる事業者を明示して、きちんと法律を書くとか、その種のことが透明化ということで御議論されておるわけでして、予算の計上の仕方は、根本のところの議論ではないというふうに我々は見ています。

【金本分科会長】  そのほかよろしゅうございますか。

【立花委員】  前にもちょっと私申し上げたことがあるかもしれませんが、租特による減税ということで、年末になると、今ちょっとお話に出た、例えば住宅ローン減税とか、それによって、年間数千億減税になりますというお話はよく出るわけですが、やはり政策評価、事前・事後ということで書いてありますけれども、財務省の立場から見れば、減収になると、租特によって減税になるんだということでしょうけれども、一方では、経済が回って、場合によっては増収になるということもあり得るわけで、当然のことながらですね。しかも、その税収は、国税で入ってくる場合と地方税で入ってくる場合もある。例えば住宅ローン減税で、それによって住宅の着工が増える。そうなると消費税も増える。あるいは固定資産税も増えるということになるでしょうから、そういった面で、とかく財務省は減税の規模を強調されますけれども、減税によって、逆に使い方がうまければ、増税じゃなくて増収になると、税金が増えると。収入が増えてくると。しかもそれは国だけじゃなくて地方にも入ってくる。そういったバランスのとれた見方を是非していただかないと、ちょっとあれですね。財政不如意だということで、減税、減税ということに対して非常にネガティブですが、それはもちろん分かりますけれども、やっぱり減税による増収効果という点もバランスをとって見ていくことが必要じゃないかなということを、ちょっと私としては申し上げたいわけです。

【金本分科会長】  はい。各府省、財務省以外はそういう計算をすると思いますので。その結果がどうなるかというのはまた見てからといった感じだと思いますが。
 そのほかよろしゅうございますか。
 それでは、次の議題に参りたいと思います。次の議題2の「児童虐待の防止等に関する政策評価について」、事務局のほうからまず御説明をお願いいたします。

【杉浦評価監視官】  はい。お手元の資料2及びその次の児童虐待の防止等に関する政策評価の参考資料、併せて御覧ください。
 まず資料2−1でございます。児童虐待の防止等に関する政策評価。総合性確保評価として、この度平成21年12月からこの政策評価に行政評価局として取り組みたいということでございます。
 参考資料の1枚目を開けていただきますと、全国の児童虐待相談の対応件数というのが年度ごとにグラフになって出ております。児童虐待防止法自体は、平成12年になって、それまでの児童虐待の相談件数の対応の増等を受けて制定されたものですが、平成12年に施行され、さらに平成16年に改正、19年に改正、さらに、21年には、本体のほうには書いてございませんけれども、児童福祉法の改正もされたということで、12年以来、法律の制定、改正が繰り返されているわけでございますけれども、この間、児童虐待に関する相談の件数というのは、残念ながらというか、今まで潜在化していたものが顕在化してきたものを含めて4万2,000件以上と、かなりの年間の相談件数になっていると。
 一方、参考資料の1ページの下側にございますとおり、児童虐待による死亡事件の被害児童数、警察庁の統計をもとにしますと、年間約50人前後で、あまり変化がない。児童虐待の件数自体は増えているにもかかわらず、死亡数がそれほど増えていないという見方もありますが、なかなか減っていかないと。
 それで、こういった現状から、何度か法律改正がされて、児童相談所の権限の強化であるとか、市町村を一時的な対応窓口にすることであるとか、そういった体制の強化が図られてきたんですが、そろそろまとめてこの児童虐待の防止に関する政府の政策、現場における政策効果の発現状況について総合的、統一的に評価を行ってみたいということでございます。
 資料2−2を御覧ください。「児童虐待の防止等に関する政策評価」スケジュールでございますが、今年度に入りましてから、資料収集、それから、児童相談所の現役の所長さんなり、かつて、児童相談所で働いたことのある学識経験者、さらにはNPOで現在、地元でこの児童虐待の防止に取り組んでいる方々、それから、小児医療の先生とか、あと、法律関係の専門家の方々といった、児童虐待にかかわる多くの専門家の方々からお話を伺いながら、児童虐待の防止に関する政策評価の計画というか、素案をつくってきたところでございます。
 本日に至るわけでございますけれども、今後のスケジュールの案といたしましては、12月に各省に実施通知を出して、本格的に開始をすると。まず本省から集められるデータを集めて、今年度中に実務者へのアンケート調査の設計と、それから、来年度から地方の出先機関を動員して、実際に現場でどのような政策効果が発現しているかを調べるための計画をつくって、来年の4月から本格的な調査、アンケートを行うと。最後、来年度中には結果を取りまとめたいと、このように考えてございます。
 資料2−3を御覧ください。児童虐待の防止については、各省の施策を並べた表は次に御説明しますが、各ステージごとにイメージができるように、ポンチ絵みたいなものをつくってみました。厳密に書こうとすると、どんどんどんどん線が増えてしまい、残念ながらすごく見やすいという図にはなっておらんのですが、大きく分けると、左下の発生予防の段階でのプレーヤー及びそこでできること、やっていること。それから、残念ながら家庭で児童虐待が起こってしまった状態。これをどこかが気付いて、それを児童相談所、警察の場合もありますし、近所から直接市町村の窓口に行く場合もございますけれども、上の早期発見・早期対応のところにあるように、市町村の児童福祉部門、または児童相談所、こういうところに通告が行くと。
 そうすると、当然のことながら、子供、場合によっては命の危険がある状態にあるわけですから、実際に調査をして、児童の安全確認をすると。児童相談所の職員等が行って、子供に会わせてもらえて、今すぐは保護しなくても大丈夫だな、お母さんがちょっと疲れてパニックになっているみたいだから、少し育児の相談とか、指導とかしてあげようという場合には、在宅でそのまま指導を続けるし、いや、これはもうこのまま置いておいては、子供の命の危険があるという場合には、児童相談所長の職権で一時保護を行うということになります。場合によっては、警察から身柄付きで児童相談所のほうに措置をされてくることもあると。これで児童相談所のほうで一時預かりをした後、少し頭の冷えた親御さんとゆっくり話し合って、いや、やっぱりちょっと今、自分の状態では子育てがちゃんとできそうもないと親御さんが同意する場合には、右側のほうの保護・支援というところにございます児童養護施設とか、あと、里親さんとかに一時的もしくは場合によってはかなりの長い期間、子供によっては18歳になるまで養護施設のほうに送ることもある。
 それからまた、親御さんが虐待の存在自体を認めていなくて、でも、もう子供の顔にあざがあったり、子供がえらい小さくて、1歳児未満とかで、明らかに親元に返すと命の危険がありそうだという場合には、裁判所に施設入所の申し立てをして、裁判所のほうで承認をして、親の同意がなくても児童養護施設のほうに入所する措置をするという権限が児童相談所にあります。児童虐待に関する相談は約4万件、年間あるようですが、とある児童相談所で実際に聞いたところによると、相談件数の半数ぐらいは、あまり心配しなくて大丈夫と。全体を10とすると、5はそういった形で、虐待まではいっていないというか、虐待じゃないと判断できると。残りの5のうち3ぐらいは、在宅の指導が必要。残りの2割が一時保護が必要。そのうちの半分が養護施設に送る措置が必要ということでございまして、4万件もあるので、年間4,000人以上が新たに児童養護施設に入所措置をされ、本来であれば、もしかしたら定員があれば、もっと多くの数の子供がそういった形で親子分離を継続しないと危ない状態に本来はあるということのようでございます。
 資料2−3の右側にございます要保護児童対策地域協議会というのは、児童福祉法の16年の改正のときに出てきたものでございまして、この図をつくってみたのでもすぐ分かるとおり、現場においても関係機関が多いと。過去の死亡事例を検証したところ、やっぱり関係機関の間で連絡、連携がとれてなくて、いや、警察は知っていて、処置しようと思っていたんだけど、児童相談所に送る前に、残念ながら、お子さんが亡くなってしまったと。市町村が一生懸命対応しようとしていたとか、学校が一生懸命対応しようとしていた。でも、ほかの機関が知らなかったとかですね。ないしは、児童相談所が最初かかわっていたんだけど、市内もしくは市外へ転居されてしまって、ところが、学校のほうは転校先がたまたま知っていて、追いかけようと思えば追いかけられたとかですね。そういうような事例もその関係機関の連携という意味で、もう少しやっておけば子供の命は救えた事例がたくさんあったようでございまして、地域の実務者の機関の間で、個別の子供のケース管理も含めて協働して行う。事務局は今、市町村がやることが一般的になってございます。重症なものについては、もちろん児童相談所が主に扱いますし、在宅で指導できるようなもので、児童相談所は、後ほど御説明しますけど、もうパンク状態でございますので、市町村や何かでフォローできるものは、市町村でフォローしていくと、こういった役割分担の仕組みは一応つくられているということでございます。
 それで、資料2−4を御覧ください。今の資料2−3は、やや現場の取材をしたのに基づいてポンチ絵をつくったわけですが、一方で、我々が政策評価をやるときには、国の政策として、あえて言えば各省がどのような事業、施策をやっているかというのをきちんと整理して、それが総合的に見てどのような効果を発揮し、もしくは発揮していないかというのを評価する必要もございますので、児童虐待の防止に関する政策の脈絡図というものを整理してございます。もともと関係法令は、昔は児童福祉法でやっておったわけですけど、平成12年からは児童虐待の防止等に関する法律ができてございますので、この2つに基づき、左下の各種指針でございますとおり、児童相談所の運営指針であるとか、文科省は学校の養護教諭のための児童虐待対応の手引きであるとか、警察の児童虐待対応マニュアルとか、こういった運用指針に従って、各省及びその下部機関が児童虐待に対する施策を行っていると。右側にございますのは、その各段階ごとに、各省の施策を、代表的なものを分けて、政策の脈絡が分かるようにしているものでございます。
 この脈絡図よりも多分分かりやすいと思ったので、資料2−3のポンチ絵をつくりましたので、説明が重複するので省かせていただきますが、最後は、一番右側にあるように、広く児童虐待の防止を図り、児童虐待により子供が命を落とすことがない社会と。これは子ども・子育て応援プランの中で立てられている目標でございますので、こういったものに向けて、どれだけ各政策がきちんと効果を発揮しているかというのを評価したいと思っております。
 資料2−5を御覧ください。具体的に、じゃあ、どのような視点で、どのような指標や設問をもとに評価をしようと考えているかでございますが、まず大きくは児童虐待防止法が制定されたことによる効果はどの程度発現されているかと。ストレートにはどれだけ死亡数が減ったか。相談の件数が増えたか、減ったか。それから、もう1つは、その児童虐待防止法ができて、各省が政策を講じたことによって、児童虐待というものについての認知度というのは多分上がっているはずで、それについても実務担当者等のアンケートを通じたりして、評価をしていきたいと思っています。
 あと、発生予防、それから、早期発見・早期対応、保護・支援の各段階ごとに、例えば発生予防の段階では、こんにちは赤ちゃん事業みたいに、保健師さんが実際に家庭訪問したり、親子の、母子・父子も含めますね、親子の関係をその目で見て、場合によっては虐待が疑われるケースをスクリーニングするという役割もあるわけですけれども、こういった事業をきちんと全人口に対してやっているかとか、そういった地域格差が出てくるような話。
 それから、早期発見・早期対応の評価の主な指標の2番目にちょっと書かせていただきましたけど、児童相談所の数とか運営体制とか、定員の問題でございますね。これは参考資料の2ページ目をお開きいただきますと、左側に「児童相談所と児童福祉司」と書いてございますけれども、児童相談所の数及び児童相談所のケースワーカーである児童福祉司、この数が見てのとおり、2,500人ぐらいと。年間、新規に発生する相談件数で見ると、4万件あるので、1人年間20件の新しい相談があって、当然のことながら、その対応をしなくてはならないのは、1回や2回では済まないので、これは現場でチラッと聞いてきたところによると、1人当たり80ケースぐらい抱えているという話があって、これは全国で割り直してもそういう研究をされた先生がいて、やはり日本の場合には80から100ケースぐらい、1人のケースワーカーあたり持っているんじゃないのかと。諸外国だと20ぐらいが上限、多くても20から30なので、明らかにケースワーカーの労働が過重だと。当然のことながら、対応する数が増えれば、どうしても対応の質が下がるので、そういった点に問題ないのかと。
 それからもう一つ、児童養護施設のほうも、右側に書きましたが、充足率、つまり、定員充足率は90%ぐらいで頭打ちになっているんですが、在籍児童数、入所定員を見ていただくと分かるとおり、3万ぐらいでほぼ頭打ち。増えていないわけですね。かつ、里親さんは少し増えて、増やすように努力はされているようですが、これをカバーできるほどは増えていないので、結果、現場でお聞きしていると、児童虐待が深刻化していますかと聞くと、少なくとも軽くはなっていませんと。件数のほうは増えているわけですから、本来であれば、施設に措置をしたい子供も児童相談所のほうで当然、優先度を決めて、定員の範囲内で我慢しなければならない。つまり、この子、本当は帰したくないんだけど、もうほかの子のほうが優先だからといって、やむを得ず家庭に帰している子供が出ている。実際、話を聞くと、あまり正直に、おおっぴらに認められるものじゃないけれども、確かにそういうことはあるというような話も聞くので、その児童養護施設のあり方、もしくはそこでの質というか、そういうものについてもきちんとチェックをしていきたい、また、これも地域によって格差があるはずなので、そういうところもきちんとチェックをしていきたいと。
 それから、最後、関係機関の連携等ということで、先ほど申し上げた要保護児童対策地域協議会ですが、先ほどの資料2−3で説明したのは、一番うまくいっているところのあり得るべき姿で、全市町村、特に全国津々浦々までああいう仕組みがきちんとできているわけではなさそうなので、ここらあたりの、できていないところをピックアップしてというのも大事なのかもしれませんが、DVの対応のときにもそうでしたけれども、自治体によってはうまくやっているケースを、限られた予算、限られた人員でうまくやっているやり方をベストプラクティスを紹介するような形もとりながら、地域間格差のところにも光を当てていきたいというふうに考えてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【金本分科会長】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問や御意見ございましたらお願いいたします。
 私はこういうのは全然素人なんですが、この手の評価はアメリカではプロセス評価とか呼ばれていて、私なんかがやっているパフォーマンス評価とかなり違うやり方でやっているようでございます。その関係については、教科書的なものとかいろんなものが出ているようでございます。もう既に勉強されているかもしれませんが、かなり長い、アメリカでプログラム評価の中でこういうもののいろんなインタビューをしながら、中に入って評価をしていくというのはあるようでございますので、御参考までにということですが。
 そのほか何かございますでしょうか。なかなか児童虐待に詳しい人には、その辺難しいかと思いますが。
 じゃ、お願いします。

【佐藤委員】  さっき、最終的に出てくるイメージなんですけれども、先ほど御指摘のように、この問題、いろいろな主体が絡んでいますので、あるいはいろいろな事業が絡んでいると思うんですけれども、評価をするときの軸というか、それはどうなる、例えば自治体はどう頑張っているか、あるいは頑張っていないか。学校はどう、警察はどう、そういう区切りなのか。あるいはそうじゃなくて、発生予防とか、一時保護とかその段階ごとに何か評価されるのか。どういう軸なのかということをお伺いしたいんですが。

【杉浦評価監視官】  今のところは大きく分けると発生予防、早期発見・早期対応、保護・支援というところで、それぞれのペア及び関係機関の連携ということで、資料2のほうでいうと、その評価の基本的な説明の例で分けたようなブロックを中心に答えが出てくるというやり方ができたらなと思ってございます。

【金本分科会長】  お願いします。

【森泉委員】  資料2−3を見ても、複雑というか、各省庁にまたがった施策がいろいろ講じられているのですが。例えば資料2−3、2−4を見ても、文科省の場合は、学校を中心にネットを張っているようですが、保育園というのは厚労省と文科省の両方にまたがるのですか。そのようなネットの張りようのある対象というのが存在すると思うのですが。最も発生の頻度が高い部分に対して、果たしてこれでネットが十分張られていると言えるかどうかということは重要ではないかと思います。もしそういう仕分けがある程度分かっているのであれば、そこを精査していただきたいと思います。
 新聞などを見るといろいろなケースがあると思いますが、不法滞在も含めて、一番このような事件が起こりやすいところに果たして手が届いているかというところをチェックして、評価していただきたいと思います。リスクの高い群団というのがあると思うので、そこの群団に果たしてこれらの政策が当たっているかどうかということです。

【金本分科会長】  何かお答えすることはございませんか。

【杉浦評価監視官】  はい。御指摘のとおり、リスクの高い群団というのは、予備調査でも何となく浮き彫りになっていて、おっしゃるとおり、学校とかに来てくれないとか、母子健診を受けてくれないとか、そのネットから漏れた部分がハイリスクだというのは一つのポイントのようでございますし、それから、これも残念ながら、死亡してしまった事例の検証というのが国レベルではもう5回ぐらい報告が行われていて、事例ごとにファクトが調べられているので、そういうのを洗いながら、今、先生の御指摘のネットから漏れてしまった部分にきちんと政策が届いているかどうかというのをチェックしていきたいと、こういうふうに考えてございます。

【金本分科会長】  そのほかございませんか。よろしゅうございますか。
 それでは、またあと何か御指摘の点があれば、事務局のほうにお願いするということでさせていただければと思います。
 それでは、この辺で何もなければ終わりにしたいんですが、最後に、次回以降の日程について、事務局のほうから御連絡お願いいたします。

【松林政策評価官】  それでは、御連絡申し上げます。次回、分科会は、12月2日水曜日16時から18時、この場所で行いたいと思います。議題は重要政策の評価について、答申案の御審議をいただく予定にしております。また、予算要求等への反映状況について御報告申し上げたいと思います。
 その次は12月9日に政独委で重要政策の評価について諮問を予定しております。
 16日水曜日3時半から、同じく重要政策の評価について答申を予定いたしております。日程が詰まってまいりますけれども、先生方、お忙しい中、よろしくお願いしたいと思います。

【金本分科会長】  はい。ということでございます。
 それでは、以上で本日の政策評価分科会、終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

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