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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(12月9日開催)議事録

日時

平成21年12月9日(水)10時15分から12時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(委員)
岡素之委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理(※)、森泉陽子委員
浅羽隆史、阿曽沼元博、荒張健(※)、梅里良正、岡本義朗(※)、河村小百合、木村琢麿(※)、黒川行治、黒田壽二(※)、田渕雪子(※)、松田美幸、宮本幸始、山本清(※)の各臨時委員
(※)を付した委員は、審議の一部に参画していない。

(総務省)
田中順一行政評価局長、新井英男官房審議官、江澤岸生官房審議官、讃岐建行政評価局総務課長、横山均評価監視官、菅原希評価監視官、羽室雅文政策評価審議室長、細川則明調査官、平野誠調査官、高橋慎弥調査官

議題

<政策評価・独立行政法人評価委員会>
  1. 中期目標期間終了時の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性(案)について
  2. 平成20年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見(案)について
<独立行政法人評価分科会>
  1. 役員の退職金に係る業績勘案率(案)について
  2. 報告事項

配布資料

会議経過

【岡委員長】  まだお一人の委員がお見えではございませんが、時間になりましたので、ただいまから第53回政策評価・独立行政法人評価委員会を開会いたします。本日は独立行政法人評価分科会と合同で、主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性及び平成20年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見を御審議・御決議いただきたいと思います。
 審議に先立ちまして、委員の皆様方には御多忙の中、大変精力的に評価作業に取り組んでいただきましたことについて、心から感謝申し上げます。
 それでは初めに、事務局から一括して説明をお願いいたします。
 局長、どうぞ。

【田中行政評価局長】  おはようございます。行政評価局長の田中でございます。事務局からの御報告の前に、冒頭貴重なお時間を拝借して大変恐縮でございますけれども、私どもの仕事の関係で一言お詫びかたがた、御報告申し上げたいことがございます。
 既に、分科会の方では同じようにごあいさつをさせていただきましたが、報道等で御案内のとおりかと思いますけれども、私どもの行政評価局の業務が一連の行政刷新会議の事業仕分けの対象となりました。業務の内容、タイトルは政策評価、行政評価・監視というタイトルでございまして、主として政策評価分科会、本委員会で取り扱っていただいている仕事の関係でございます。
 去る11月13日に、これも報道で御案内のような格好でいわゆる仕分けをしていただきまして、評決の結果は、抜本的機能強化という評決を頂戴しました。しかしながら、その際のやりとりにつきましては、一言で申しますと、これまでの取組が十分ではないという非常に強い御叱責をいただいた上での評決でございました。この点いろいろと御心配をおかけいたしましたけれども、私ども、いろいろ政策評価、独法評価、行政評価・監視、いろいろな意味で曲がり角に来ているという認識でおりましたし、その仕分けのときの御議論も踏まえまして、今、強化方策を検討している最中でございます。また整理できましたら、先生方にもお諮りをして御指導いただきたいと思っております。この点、御心配をおかけした点お詫び申し上げますとともに、引き続き、よろしく御指導いただきますようお願い申し上げます。

【岡委員長】  ありがとうございました。
 それでは、事務局からの説明に移りたいと思います。

【横山評価監視官】  それでは、まず、10月初めまで委員各位に御検討いただきました統合予定の9法人の取扱いについて報告します。当初、これらの9法人については独立行政法人整理合理化計画に基づきまして、来年度それぞれ統合される予定でありました。
 しかし、先月19日の行政刷新会議におきまして、整理合理化計画については当面凍結をして、抜本的な見直しを図ることが決定されました。委員各位におかれましては、5月からこれら9法人について真摯に御検討いただいたことに感謝するとともに、このようなことになったことについて、お詫び申し上げたいと考えております。
 それでは、見直しの結果としまして、資料1に概要という横書きの紙があります。この2ページ目を御覧になっていただけないでしょうか。
 それぞれ、今回の対象となる7法人について整理をしております。まず、内閣府の国立公文書館であります。公文書管理法の施行に伴う業務量の増加に対応するため、業務フローなどを見直していただきたいということであります。
 また、公文書の保存方法についてマイクロフィルムやデジタル双方のメリット、デメリットを技術的・経済的な面から、22年度末までに結論を出していただきたいということであります。
 次に、文部科学省の日本原子力研究開発機構であります。「もんじゅ」が約14年ぶりに運転が再開されることになっていますが、14年間の停止期間中の経費、研究成果などを国民にわかりやすく公表していただきたいということであります。
 また、展示施設等が9つありますが、こうした施設の運営の効率化を図っていただきたいということであります。
 また、青山分室については、その位置付けについて納得の得られる説明ができない場合は廃止をしていただき、東海や阿漕ヶ浦の両分室については、どちらか片方について廃止を含め、見直していただきたいということであります。
 厚生労働省の医薬基盤研究所であります。実用化研究支援事業について、繰越欠損金が54億円発生している状況にあります。このため、事業の在り方を見直していただきたいというものであります。また、培養細胞の提供について、特定の財団法人との提携関係が合理的な理由がなく継続していますので、こうした業務提携の在り方を見直していただきたいというものであります。
 薬用植物資源研究センターの和歌山研究部については廃止していただきたいというものであります。
 次の3ページをめくっていただきまして、前回、検討状況のみ報告をしました122兆円の年金積立金を管理運用している独法であります。
 まず、積立金の運用受託機関については、原則3年で見直すことになっています。しかし資産の中には、こうした運用受託機関については見直しが行われていないという状況にあります。このため、実績等を勘案しつつ、運用受託機関を適時に見直していただきたいというものであります。
 運用管理委員会というものがありまして、これが基本のポートフォリオの策定や、運用状況の監視などに重要な役割を果たしています。このため、市場への影響にも配慮しつつも、こうした運用委員会の議事録を公表していただきたいというものであります。管理部門について見てみますと、76人中20人も配置されているという状況でありますので、人員の配置を見直していただきたいというものであります。
 次に、経済産業省の産業技術総合研究所であります。基礎研究ではなく、実用化・製品化を見据えた研究開発に重点化をしていただきたいというものであります。また、省庁間の壁を越えて、実用化・製品化の結節点としての機能を発揮していただきたいというものであります。
 また、つくばセンターを除き地域センターが全国に8か所ありますが、こうした機能について大胆な見直しをしていただきたいというものであります。
 次に、国土交通省の日本高速道路保有・債務返済機構であります。今後、交通量は減少傾向になるため、新規の引受け債務の限度額を精査していただきたいというものであります。
 また、短期の債券の発行など、資金調達の多様化を図っていただきたいというものであります。そして、機構が高速道路の資産を高速道路会社に貸し付ける際に、管理費の見積りを厳格にしていただきたいというものであります。
 最後に、法務省の日本司法支援センターであります。民事裁判費用の立替金におきまして、毎年かなりの額のリスク管理債権が発生しております。このため、効果的な償還促進方策を実施していただきたいというものであります。
 また、東京23区内にあるコールセンターについては、地方移転を検討していただきたいというものであります。
 さらに、支部、出張所の廃止を含めた見直しをしていただきたいというものであります。
 今後の道行きでありますが、通年でありますと、こうした勧告の方向性を受けまして、主務大臣が行政改革推進本部の議を経て内容を決定するという段取りになっています。しかしながら、今年度は必ずしも行政改革推進本部が開催されるわけではないと伺っております。このため、本日付で事務連絡を各府省に出しまして、主務大臣の見直し案を今週金曜日までに提出していただくように依頼をする予定にしております。
 来年2月末から3月にかけまして、主務大臣が勧告の方向性に沿いまして、中期目標を定めたり、独法がそれに沿って中期計画を作成するという段取りになっています。したがって、2月末から3月にかけまして、政独委又は分科会を開催していただきまして、勧告の方向性が主務大臣の中期目標、独法の中期期間に反映されているかどうかチェックしていただこうと考えております。
 見直し結果については以上であります。

【岡委員長】  ありがとうございました。
 引き続き、お願いいたします。

【菅原評価監視官】  それでは、続きまして、平成20年度の業務実績評価に対する意見について御説明いたします。資料2という束のうちの、同じように概要を御覧いただければと思います。
 1枚めくっていただきまして、最初に二次評価についてと書いてございます。この枠囲みの中で、今回の二次評価の視点といたしまして、3月30日にお決めいただきました評価の視点、具体的取組に沿って二次評価を実施したということ。
 その下に、今回の新しい取組といたしまして、契約、諸手当及び法定外福利費については実態調査を実施して、二次評価に活用した、あるいは一次評価に活用していただくためにフィードバックをしたということを記載いたしてございます。今回の指摘事項は全部で241事項となってございます。
 次に2ページ目でございます。共通意見のうち、契約の適正化に関するものでございます。独法101法人と日本司法支援センター、私学共済事業団を含めた103法人中93法人について何らかの指摘をいたしてございます。
 調査結果の方で、大きく5項目ございます。
 まず、アの契約規程類の整備状況についてであります。これに関しまして、昨年、11月に会計検査院の指摘を踏まえまして、総務省の行政管理局からいろいろと具体的な措置を講じていただきたいという要請がなされているところでございます。そこで要請されている事項について、20年度に対応がとられたかどうかというところをチェックしたのがその5つの○でございまして、例えば、指名競争入札限度額が国の基準と異なっている法人がまだ1法人あるとか、包括的随意契約条項に係る基準が明確かつ具体的に定められていない法人が3法人ある等の、まだ対応がとられていない法人が見受けられました。
 これにつきましては、これらの法人のうち、評価結果において言及がなかった34法人につきまして、規程類の整備内容の適切性について厳格に評価すべきといった意見案にいたしております。
 次に、イの契約の審査体制についてでございます。調査結果に書いてある概要は記載のとおりでございますが、評価結果において、審査体制について言及がなかった66法人につきまして、法人の業務特性、契約事務量、及び職員規模などを勘案した上で審査体制が契約の適正性確保の観点から有効に機能しているかの検証結果を明らかにすべきという意見案にいたしてございます。
 次に、3ページ目でございますけれども、ウの随意契約見直し計画でございます。これは独法全体で申し上げますと、競争性のない随意契約が平成18年度、1兆877億円ございました。これを目標と書いてございますけれども、原則として平成22年度までに3,334億円まで引き下げようという計画でございまして、平成20年度時点で申し上げますと、4,256億円まで引き下げてきておりますが、まだ削減目標を達成していないという法人が37法人ございました。この37法人につきまして、随意契約見直し計画の実施・進ちょく状況等の検証結果を引き続き明らかにすべきという意見案にいたしてございます。
 エの特定委託契約の採択の状況でございます。特定委託契約につきましては、(注)を振っておりますけれども、試験、研究、調査、システムの開発・運用等の委託契約のことでございます。
 これにつきまして、一括再委託を禁止するとか、再委託をした場合に、その状況を把握するということについて、そもそも内部規程に定めを持っていないという法人が29法人ございました。
 再委託を行う場合には、委託先から法人に対して承認・届出等の手続をとる定めがあるにもかかわらず、実際にその手続がとられていなかった案件があった法人が5法人ございました。
 同様に、再委託の金額を把握することになっているにもかかわらず、実際に把握をしていない案件があったものが5法人ございました。
 そもそもこのような特定委託契約については、そこが正にそういう専門的な能力があるからということで随意契約で委託契約を結んだにもかかわらず、実際にはその委託先がさらに別のところに再委託を行っていたと。金額ベースで見た場合に、再委託をした割合が50%以上ある案件があったという法人が9法人ございました。
 このようなことから、これらにつきましては、意見の概要でございますけれども、特定委託契約における再委託の必要性について厳格な検証を行い、必要に応じ改善方策の検討を促すべきといった指摘にしてございます。
 最後のオの一般競争入札における1者応札の状況でございます。割合のところを見ていただくとわかりますけれども、平成19年度は44.5%でございましたが、平成20年度は48.8%ということで、1者応札の割合自体は前よりも増加をしている状況でございます。原因としてはいろいろなことが考えられるかもしれませんが、一般競争入札の案件自体が随契の見直しによりまして増えていることもその一因かなとは思っております。
 この1者応札の割合が平均48.8%ですが、50%を超えている法人が33法人。その割合が前年度よりも増加しているという法人が56法人ございましたので、これらの法人のうちに評価結果において、1者応札の時点で言及がなかった33法人につきまして制限的な応札条件が設定されていないかなど厳格な検証を行い、必要に応じ改善方策の再検討を促すべきという意見案にいたしてございます。
 なお、右側の下の方の枠外に※で書いてございますけれども、今回の調査結果も踏まえまして、政府といたしましては、今年11月に「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」というものを閣議決定いたしまして、競争性のない随意契約の見直しをさらに徹底して行って、これは新たな随意契約見直し計画を策定すること、一般競争入札についても、真に競争性が確保されているかという観点から、監事と外部有識者による契約監視委員会を設置して、点検、見直しを行うといった取組を行うことといたしているところでございます。
 次に、4ページでございます。共通意見のうち、諸手当及び法定外福利費でございますが、これにつきましては、独法101法人のうち84法人について指摘をいたしてございます。
 まず、アの諸手当のうちの(1)の給与水準に影響する諸手当についてでございますが、国より高い支給額を定めているもの、国とは算定方法が異なっているもの及び法人独自の手当を持っているものは、国家公務員と比較して給与水準が高い51法人のうち41法人で延べ103手当ございました。
 具体例を1つ申し上げますと、住居手当について、国は月額2万7,000円が限度額とされておりますけれども、沖縄科学技術研究基盤整備機構では代表研究者の場合で月額16万円まで、事務員の場合でも月額4万円まで支給できることとされておりました。
 このような諸手当につきましては、給与水準の適正化に向けて講ずる措置が十分なものとなっているかという観点から、適切性について評価すべきという意見にしてございます。念のため、先ほどの沖縄の手当につきましては内閣府の評価委員会でも速やかに適切な見直しが行われる必要があるという意見案となってございます。
 (2)の給与水準に影響しない諸手当については、同様に国より高い支給額を定めているもの、算定方法が異なっているもの及び独自の手当を設けているものは、全101法人のうち29法人の延べ65手当ございました。これも具体例を申し上げますと、通勤手当について国は月額5万5,000円が限度額でございますけれども、経済産業研究所等、経産省関係4法人では、月額10万円まで支給できることとされておりました。
 また、法人独自の手当ということで申し上げますと、水資源機構で事務所に勤務する職員が作業に従事した場合には日額490円を支給するという現場勤務手当がございました。これについては平成21年度限りで廃止することにしているそうですけれども、こういうものが調査の結果分かったということでございます。これらにつきましては、社会一般の情勢に適合したものとなっているかという観点から、適切性について評価すべきという意見にいたしてございます。
 イの法定外福利費でございます。これにつきましては、国におけるレクリエーション経費の見直しといったことを契機といたしまして、独法におきましても支出の見直しを行っている法人が多くなっております。ここに書いてありますとおり、互助組織への支出であれば、19年度に支出していた31法人中11法人は20年度以降廃止する予定になってございます。
 法定外福利費につきましては、一概にこれが悪いというものではありませんが、もともと支出を行っていない法人がある、あるいは、今後、支出をとりやめますという法人が多くなっている状況も踏まえまして、これらの支出を21年度以降も行うとしている81法人につきまして、国民の理解を得られるものとなっているかという観点から、その適切性について評価すべきという意見にしてございます。
 次をおめくりいただきまして5ページ目でございます。個別意見といたしましては、全部で64事項について指摘をいたしてございます。その内訳につきましては、(1)評定や評価の理由・根拠の説明が不十分なものが13事項。(2)の、既往の政府方針等で指摘した事項の取組状況に係る評価が不十分なものが28事項。(3)の財務状況、保有資産の管理・運用、関連法人、給与水準や総人件費改革等に関する評価の不十分なものが23事項となってございます。
 意見の具体例につきましては、時間の関係もありますので省略をさせていただきたいと思いますが、一つだけ御紹介をさせていただきたいと思います。
 12ページをお開きください。農業・食品産業技術総合研究開発機構の農業者大学校についてでございます。農業者大学校自体はかつては一つの独立行政法人でございましたけれども、18年度からこの研究機構に移管されてその一部の機関になってございます。ここの左側の下のところに入学者数の推移が書かれてございます。19年度は抜本的な見直しをする必要があるということで、一回お休みして入学対象者の変更であるとか入学定員の削減、就学年限の短縮、カリキュラムの大幅な見直しといったことを行って、20年度に新たな農業者大学校として再スタートをしたわけでございます。しかしながら、この20年度も見ていただくとお分かりのように、入学者数は31人と、定員の40人を大幅に下回っているという状況にございます。
 農水省の評価委員会では入学定員の充実のために、これまでの取組の分析及び入学者確保に向けた一層の努力が必要であるといたしておりますけれども、政独委といたしましては、農業の担い手の育成という目的の達成手段として、果たして農業者大学校が妥当かつ有効なものとなっているのかという観点から、費用対効果や存廃の必要性も含めた評価を行うべきという意見案にしてございます。
 私の方からの説明は以上でございます。

【岡委員長】  ありがとうございました。
 はい、どうぞ。

【横山評価監視官】  最後に、委員長談話について朗読させていただきたいと思います。
 資料1に「平成21年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人等の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」の本文の案がございます。これを1枚めくっていただきますと、表題が出てきます。それでは、朗読させていただきます。
 「「平成21年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人等の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」及び「平成20年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見」の取りまとめに当たって。
 平成21年12月9日 政策評価・独立行政法人評価委員会 委員長 岡 素之
 1 本日、当委員会は、平成21年度末に中期目標期間が終了する6の独立行政法人及び日本司法支援センターの主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性を各主務大臣に対し指摘いたしました。
 また、同日、独立行政法人等の平成20年度における業務の実績に関する評価の結果等についての意見を取りまとめ、各府省の独立行政法人評価委員会等に通知しました。
 2 これらの取りまとめに向けた検討・審議に当たっては、各主務府省から見直しの検討状況やその考え方について詳しくヒアリングを行うとともに、委員自らが現地に赴き実情の把握に努めながら、精力的に議論を行ってまいりました。本年5月以降、独立行政法人評価分科会、ワーキング・グループ等の開催回数は、延べ50回以上に及びます。
 3 「勧告の方向性」については、本年9月に新内閣が発足し、独立行政法人を抜本的に見直すとの政府方針が打ち出され、一部の法人を対象に行政刷新会議による事業仕分けが行われている中で、当委員会としても、独立行政法人については、なお、各方面から厳しい指摘がなされており、国民の不信感は払拭されていないとの認識の下、対象の7法人の主要な事務・事業を徹底的に見直す方針で取り組みました。
 その結果、事務・事業の重点化、具体的な目標の設定や成果の検証等による改善、保有資産の見直し等の指摘をしております。また、各法人に共通する事項として、給与水準の適正化、契約の適正化等の指摘も行っております。
 当委員会としては、これらの指摘が最大限に尊重され、適切な見直しが行われることによって、各法人の一層の効率的・自律的な運営に大きく寄与するものと確信しております。
 今後、各主務大臣におかれては、本年の予算編成過程において、今般の「勧告の方向性」の指摘の趣旨を最大限いかして見直しを進めていただくとともに、独立行政法人による国民に対しての一層効率的で質の高い行政サービスの確保のため、御尽力されることを期待します。
 4 「平成20年度における業務の実績に関する評価の結果についての意見」については、平成21年3月30日に取りまとめた「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」、同日に独立行政法人評価分科会において取りまとめた「平成20年度業務実績評価の具体的取組について」等に沿って、政府全体の評価の厳格性、信頼性の確保に重点を置き、横断的に評価を行ったところです。
 また、今年度は新たに、契約の状況のほか、給与の諸手当及び福利厚生の状況についても実態調査を行いました。調査結果については、各府省の独立行政法人評価委員会等の評価にも資するよう、調査データを提供するとともに、政独委による評価にも活用しております。このほか、評価の適切性を確保する観点から、事業の必要性を含めた評価を行うよう、指摘を行っております。
 各府省の独立行政法人評価委員会等におかれては、独立行政法人等に対する国民の厳しい視線を意識しながら評価に取り組んでいることと存じますが、今般の当委員会の「年度意見」を踏まえ、一層の評価の質の向上に向けた取組が行われることを期待しております。
 最後に、独立行政法人等の適正な運営には、国民の皆様の監視と御理解が不可欠であります。当委員会としては、独立行政法人等の適正な運営を確保し、その経営の質の向上を図るため、今後とも積極的な活動を行ってまいる所存でありますので、引き続き御理解を賜りますようお願い申し上げます。」
 以上です。

【岡委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、最初に富田分科会長から御発言をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  世界では100年に一度と言われるような金融経済危機、そして我が国では国債発行額が税収よりも多いという、明治の最初のときと敗戦後、そして今回、という、極めて異例な中でありましたけれども、私どもは独立行政法人通則法にのっとりまして、先ほどお話がございましたように、粛々と勧告の方向性、年度業務実績評価意見の作成に携わってまいりました。
 今日は、委員会において、この分科会の取りまとめ(案)をお諮りいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【岡委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、皆様方からの御意見、御質問などをいただきたいと思います。どなた様でも結構でございますので、よろしくお願いいたします。御発言の際には挙手をお願いいたします。
 はい、どうぞ、河村委員。

【河村臨時委員】  恐れ入ります。
 先ほど、御説明いただきました事務・事業の見直しの中の厚生労働省の年金積立金管理運用独立行政法人の指摘事項について、意見を申し上げさせていただきたいと思います。この法人については、今回、いろいろな経緯があって、必ずしもほかの法人と同じようなペースでは見直しが進まなくて、この指摘の方向性自体が分科会の場に上がってきたのが、多分今日が初めてだと思います。それで、今日、意見を申し上げさせていただきます。
 先ほど御説明いただいた資料の中で、3点御指摘があって、その3点のうち、真ん中のところ、議事録の公表のところなんですけれども、これは最初の1点目、一番下の3点目と比較すると質が違う問題なのではないかという気が個人的にはいたします。
 それは何かといいますと、この法人がやっている業務の内容等を考えると、金融市場に対して極めて影響が大きいものでありまして、独立行政法人という立場であれば、当然できる限り透明性を高めることは必要だと思います。さはさりながら、透明性を高めることは必要ではありますが、ここにも指摘事項の中には書いてはありますが、市場への影響が極めて大きいことが考えられる。
 議事録をどういう形でいつ公表するかというのは、運用委員会の在り方そのものにも大きくかかわってくることなのではないのかという気がいたします。
 今回、この法人に対して指摘をするに際しては、政独委の立場を考えて、運用委員会の在り方であるとか、もっと具体的な基本ポートフォリオの資産構成がどうのとかいうことには踏み込まず、政独委の立場として指摘できることをという方向で検討されていると伺って、それには私も全く賛成でありますし、その方向でいいと思うのですが、議事録の公表のところはどうなんでしょうか。これは運用委員会の在り方そのものに大きくかかわってくるところではないか。確かに透明性が高まればいいことではあるのですが、同時にマイナスの影響も考えられる。いつ公表するかによっては、実際に運用委員会のメンバーになられる方にあらぬところからプレッシャーがかかったりとかいうことがないとも言えない、マーケットへの影響もないとも言えない。だからこそこういうことを、なかなか比較できるようなものはないですが、強いて挙げれば、中央銀行の金融政策の決定会合をどうするかということなのかと思いますが、これはよその国の例を見ても、結論は一つではない。何か一つ正しい解があってということではなくて、それぞれの国でいろいろなマイナス面、プラス面を勘案しながら、どういうふうにするのがいいのかを決めているところがあろうかと思います。
 この問題について、政独委では残念ながら議論する時間もありませんでしたし、同時に、ここの法人については先月末から厚生労働省で検討会でまたいろいろ議論されているとも伺っているんですが、果たしてそこで十分に議論が今尽くされた段階だと言えるのかどうか。そういう段階で議論が尽くされてということであれば全く異論はないのですけれども、今の段階でここまで入れて、政独委として「発言者名を明らかにした議事録を一定期間を経た後に公表」とまで、決めつけると言っては大変失礼かもしれないんですが、まだ議論があり得るところでこういうふうに書いてしまって果たしていいものなのかと思いまして、今日、意見を申し上げさせていただきました。
 以上でございます。

【岡委員長】  ありがとうございました。
 はい、菅原評価監視官、お願いします。

【菅原評価監視官】  ただいま河村先生から御指摘いただきましたけれども、具体的な中身は概要の6ページに勧告の方向性(案)として書かれておりまして、「市場への影響にも配慮しつつ、一定期間を経た後に発言者名を明らかにした議事録を公表する」といたしてございます。
 先ほど、お話がありました、厚生労働省の検討会で議論が尽くされているのかということでございますけれども、厚生労働省では年金積立金管理運用独法の運営の在り方に関する検討会というのを、初会合でございましたけれども、11月30日、開催をいたしております。
 そのときの資料によりますと、議事録の公表に関しましては、日銀政策委員会の金融政策決定会合の議事録が10年後に公表されていることが一つの例として示されております。それに関して、日銀の方も委員になっておられまして、その方からなぜこれが10年になったのかという話で、委員の任期が5年であったと。任期である5年未満で公開されることになると、自由な議論が阻害されることになるのではないかということを踏まえて10年になったんだといった御説明があったと聞いてございます。
 したがいまして、そういう意味で、この一定期間を何年にするのかというところが検討会で結論が出たということではございませんけれども、そういう意味で言えば、自由な議論が阻害されるという観点からも、そういうことがないように検討がなされていると認識をいたしておりまして、そういう意味で言うと結論が出たわけではございませんけれども、そういう自由な議論が阻害されないこと、市場に与える影響を十分踏まえて検討がなされているものだと思っております。

【河村臨時委員】  ありがとうございます。この年金資金の運用という仕事と中央銀行の金融政策の決定と違う仕事だと思うんです。一緒にはできないと思うんですけれども、御参考までに。
 先ほど、日本銀行はそういう結論をとっていると。あくまで、中央銀行の場合ですけれども、よその国がどういうふうにしているかといいますと、アメリカのFRBは議事要旨公表、議事録は5年後に公表です。欧州中央銀行は、議事要旨も議事録も公表はしていない。それはEUというかユーロ圏の特殊な事情もあるかもしれない。イングランド銀行は、議事要旨は公表、議事録は非公表です。
 ですから、いろいろな考え方があり得るんじゃないかと。公表できれば、そういう合意ができればそれでもいいと思うんですが、ここでこういうふうに書いてしまって本当に大丈夫なのかという感じがしました。
 以上でございます。

【岡委員長】  今の件につきまして、ほかの委員の方、御意見ございますか。
 今、河村委員からの御発言の中で私が気になったのは、議論がまだ十分されていないステージ、段階で、ここまで言い切ってもいいんですかというところはちょっと気になりました。

【河村臨時委員】  委員長のおっしゃるとおりです。これで議論が尽くされて、マイナス面も踏まえて、十分に検討がされた上であれば全然異論はないです。今日の委員会の決定にも、私、当然従いますので、少数意見かもしれませんが、一応意見を申し上げさせていただく場が今回しかなかったものですから。前回の分科会ではこの話は、出てこなかったもので、今日のタイミングでということはあるんですが、申し上げさせていただければと思って発言させていただいた次第でございます。
 当然ながら委員長の御判断には従います。

【富田分科会長】  まず、黒川主査からお話を聞いて。

【黒川臨時委員】  この独法については、先ほど、事務局からもお話がありましたように異例でございまして、前回も全く話が進まなかったということです。ですから、我々、ワーキングの方もこの問題についてどこまで議論を尽くして言っているのかと言われると、その議論を尽くすということがですよ、1か月、2か月、ほかの独法と同じように議論を尽くしたのかと言われると、それはできなかったというのが事実です。
 ただ、主査としての判断は、この途中で事務局からも情報を随時入れていただきまして、10年経過後であれば、それは河村先生が御心配のようなことはないし、また、今日、122兆円とおっしゃいましたけれども、ついこの間まで130兆円の運用で、多分目減りして、いったん120兆円になって少し戻って122兆円ぐらいになったということかもしれませんけれども、これは国民の年金について運用をどうするかという議論をするに当たって、自由に発言するのも大事でしょうけれども、やはりそれなりの自分自身の意見については、ある程度責任を持って発言をされるべきだと思うわけです。
 ですから、10年か5年かは分かりませんけれども、10年後になったときに、御自分の意見はどうであったのかということをいろいろな国民が見ることは必要ではないかと私は判断いたしました。
 以上で終わります。

【岡委員長】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  透明性を確保するというのは独立行政法人の大前提でありますので、これはどういうふうな公表の仕方がいいのかということについて、まだここで十分議論をしたわけではないんですが、公表という方向は河村委員も同じだと思うんです。そういう意味で、私が直すことを言っていいのかちょっとあれなんですけれども、議事録公表の在り方を検討とか、そういうふうにするというのも一つの案だと思うんです。
 公表が前提なんですけれども、その具体的なことについて当委員会ではそこまで検討してということで、議事録公表の在り方を検討と言いたいのであれば、基本的には透明性確保という趣旨について主務省にも御理解いただけるのではないかと思います。
 どうでしょうか。

【岡委員長】  よろしいですか。

【河村臨時委員】  ええ、その方向であれば。そのように文言を書いていただけるのであればいいと思いますが。

【富田分科会長】  事務局、どうですか。

【岡委員長】  主査。ちょっと後退した表現にはなりますね。

【黒川臨時委員】  案を言っていただけますか。そうすると、どういう言葉になるんでしょうか。

【富田分科会長】  「市場への影響にも配慮しつつ、一定期間を経た後に、発言者名を明らかにした議事録公表の在り方を検討」。

【黒川臨時委員】  最後のところですね。「公表の在り方を検討するものとする」。

【富田分科会長】  「公表の在り方を検討する」。

【江澤審議官】  委員長、発言させていただいてよろしいですか。

【岡委員長】  はい、どうぞ。

【江澤審議官】  この文章自体、主務省、厚生労働省はこういうことで理解をしております。例えば、今、いくつかの案を言っていただいた中で、公表するものとし、その具体的在り方を検討するとかいったことではいかがかと思うのでございますが、「公表するものとし、その在り方を検討する」ということではいかがでしょうか。

【岡委員長】  公表するというところまで我々の結論として勧告の方向性を出すのであれば、私は原案と今の審議官のアイデアはあまり差がないように思います。
 ですから、むしろ、この勧告の方向性のポイントは、こういう一定期間を経過して、発言者の名前も入れた議事録を公表するということを指摘するのかどうかがポイントだと思います。あとは、それがどういう形になっていくかということは、多分当事者が考えていくのかと思いますから、そういう一定期間を経過したときに発言者の名前も含めた議事録を公表することはいかがなものかという意見がもしもあれば、見直さなければいけないと思いますが、そこまではいいんだというのであれば、原案でもいいのかという気もいたします。河村委員、いかがでしょうか。

【河村臨時委員】  私は富田先生がおっしゃられた表現の方がよい気がいたします。大分ニュアンスが違う気がいたします。このように「議事録を公表するものとする」というと、もう政独委として決めてかかるような感じを文章から印象を受けたものですから。検討を行うようにということを言うのであれば、全然それは差し支えないと思うんですが、もうこの「一定期間を経た後に発言者名が入った議事録を公表する」というのを決めて言ってしまって本当にいいのかという気がいたします。富田先生がおっしゃったような文面であればいいのかなとは思います。

【岡委員長】  違いますか。

【河村臨時委員】  ええ。私は、審議官がおっしゃられたのとはちょっとニュアンスが違う気がいたします。

【岡委員長】  そうですか。私は、公表することを検討してくれと言ったら、大分違うと思うんですけれども、「公表することとし」ということは、もう公表するという今の原案と同じですよね。

【河村臨時委員】  ええ、そうですね。

【岡委員長】  その公表の仕方の在り方等は検討してくださいというのを追加するわけですね。それで大分ニュアンスが変わるということでしょうか。

【河村臨時委員】  公表することを検討するものとするとか、そういう表現であれば、変わると思います。

【岡委員長】  主査、いかがですか。

【黒川臨時委員】  私どもは先ほど言ったとおりであります。これは大変大きな金額を、しかも国民から受託されているわけですから、しかも何年か経過後であれば、その委員がどういうことを言ったのかということは、国民として知りたいと思うのが当然だと思うんです。
 ですから、ここはやはり政独委としてはディスクロージャーという見地から、一定期間を経た後に発言者名を明らかにした議事録を公表するものとするということを、私どもは、担当のワーキングとしては思っております。

【岡委員長】  はい、分かりました。
 河村委員の御意見も考慮しつつ、また、今ワーキング・グループの御意見も聞きましたし、事務局からも代案が出ましたけれども、私は公表するところまで勧告の方向性として出すのであれば、あまり本質的な差がないように思いますから、原案のままでよろしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。

【河村臨時委員】  御判断に従います。

【岡委員長】  公表することが問題だという意見であれば、議論を深めなければいけないと思うんですけれども、公表するというところまではよろしくて、その在り方は、当然、今後、具体的に、一定期間が何年になるのか等々含めまして、当事者が検討していくことになるんだろうと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 局長、どうぞ。

【田中行政評価局長】  御参考まででございますけれども、河村先生が先ほどおっしゃった論点との関係で申しますと、厚生労働省、確かに今検討会をやっていまして、先ほど、事務局から紹介しました日銀出身の方の御説明があって、確かにこの件について、検討会としての結論は今出ている段階ではございません。これまでの経緯から申しまして、このこと自体は検討会を前提にしておりまして、おっしゃるように、もし検討会でこの点がこれから御議論があるとすれば、その在り方、まさに在り方。どういうふうに公表したらいいんだろうかという議論の流れだと私ども理解をしてございます。

【岡委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本件はそういう形で整理させていただきたいと思います。
 そのほかの御意見、ございましたらお願いいたします。
 よろしゅうございますか。
 それでは、本件についてお諮りいたしたいと思います。
 まず、「平成21年度に中期目標期間が終了する独立行政法人等の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」につきましては、政策評価・独立行政法人評価委員会及び独立行政法人評価分科会として本案のとおり決定するということでよろしいでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  ありがとうございました。
 本件につきましては、(案)のとおり委員会の決定とし、主務大臣あてに通知することといたします。
 なお、公表、事後の事務的な処理につきましては、富田分科会長と御相談の上対応させていただくことで御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  ありがとうございます。
 それでは、そのように取り扱わせていただきます。
続きまして、「平成20年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見」につきましては、政策評価・独立行政法人評価委員会及び独立行政法人評価分科会として、本案のとおり決定するということでよろしいでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  ありがとうございます。
 本件につきましては、案のとおり、委員会の決定とし、各府省の独立行政法人評価委員会等の委員長あてに通知することといたします。
 なお、公表、事後の事務的な処理につきましては、富田分科会長と御相談の上、対応させていただくことで御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  ありがとうございます。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
 局長、どうぞ。

【田中行政評価局長】  大変ありがとうございました。本当に精力的な御審議をいただきまして、感謝申し上げます。
 今、委員長に御指摘いただきましたように、今年の場合はこの勧告の方向性をそのまま主務大臣に通知するということでございます。その点で、先ほど事務局から申し上げましたように、今年は従来と手続が違いますのは、従前は行政改革推進本部の議を経て各省の主務大臣に届くということでございました。やや実務的な観点から申しますと、行革本部の議を経てということでもって、いわば実効性を確保するということであったかと思います。
 したがいまして、実効性確保の点が一番問題になろうかと思いますが、私ども関係方面といろいろ協議、調整をやってまいりまして、実は、いろいろと先生方お忙しい中、本日、この時点で勧告の方向性を出していただくというのも、財政当局から予算編成過程でこれを使いたいということであったものですから、まさにこの時期にお願いしたということでございまして、実効性については何ら従前と変わりないと、私ども心得ております。
 これまで精力的にやっていただきました独立行政法人の評価につきましては、昨年お騒がせ申し上げましたように、独法通則法の改正ということで、いろいろその取扱い、端的にいえば、当委員会の権限を強化するという方向での改正が検討され、御案内のとおり先の通常国会で廃案になったわけでございます。これも事務局が冒頭、御説明いたしましたように、独法の抜本的見直しの中で、この廃案になった独法通則法の取扱いをどうするかということも併せて議論になるはずでございます。
 私どもが現段階で得ている情報では、次期通常国会に独法通則法の関係で、基本的には従前のものは出さないということであろうかと思いますが、これ、また御案内のとおり自公政権下での補正予算、今、編成作業が進んでいます22年度予算でも、いわゆる国庫納付の話が当然出てまいりまして、その点については何らかの格好で廃案になった独法通則法のような規定の改正をしないと予算が仕上がらないという論点がございますから、その点限りでの独法通則法の提出があり得るのではないかと思います。
 そういうことから申しますと、独法評価の在り方につきましては、先ほどの繰り返しになりますが、抜本見直しの中で、その一環として独法評価の在り方も議論がなされるということではないかと理解をしております。
 以上でございます。ありがとうございました。

【岡委員長】  ありがとうございました。
  司会はこれから富田分科会長にバトンタッチいたしますので、その前に一言だけお話をさせていただきます。
 今、局長からもお話がありましたけれども、私どもがやっている、地道かつ大変情熱的な作業が、独立行政法人の事務、あるいは業務の改善を通じて、それぞれの独立行政法人の経営の質の向上につながっていくという信念でやっているわけでございますが、本日、皆さんの御了解をいただけました点につきましても、これが具体的に、それぞれの独立行政法人の業務の改善、あるいは経営の質の向上につながるように、きちんとフォローアップすべきところはフォローアップしていく必要があると思います。先ほど、横山評価監視官から御説明がございましたように、来年2月から3月にかけて我々の評価の結果、あるいは勧告の方向性等の提案がきちんといかされるかをチェックしていきたいと思います。
 また、冒頭でも申し上げましたけれども、あらためまして、先生方、各委員の皆様、あるいはワーキング・グループの皆さん方の大変な御貢献といいますか御尽力に対して、あらためて御礼を申し上げたいと思います。
 それでは、この後、富田分科会長お願いいたします。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、これより政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、財務省、文部科学省、厚生労働省及び防衛省の各独立行政法人評価委員会から通知されました「役員の退職金に係る業績勘案率について」の審議を行います。
 まず、事務局から御説明、お願いいたします。

【平野調査官】  それでは、役員退職金に係る業績勘案率につきまして御説明させていただきます。資料はお手元の資料3−1を御覧いただければと思います。今回、御審議いただく退職役員は4省10法人で、14名となっております。このうちの13名は業績勘案率は1.0となっており、防衛省の駐留軍等労働者労務管理機構の理事1名のみが0.9となっております。駐留軍等労働者労務管理機構の2名の業績勘案率につきましては、これまでの経緯等を含め、後で御説明させていただきます。
 現在ワーキング・グループで検討中の法人については、4省5法人、16名ほどございます。これは報告のみでございます。
駐留軍等労働者労務管理機構の役員2名を除く3省12名の役員の業績勘案率につきましては、それぞれの担当ワーキング・グループで御審議いただいた結果、いずれの法人役員も役員在職中の法人の業績は良好であり、中期計画等を達成していること。各役員の個人業績につきましても、特段の加算要因も減算要因もないとして、各省評価委員会から通知された業績勘案率1.0について、政独委の意見案としては資料3−2から3−4として、財務省から厚生労働省までの資料がありますけれども、政独委の意見案としては意見はないという(案)になっております。
 以上が財務省から厚生労働省までの意見(案)でございます。
 次に、防衛省所管の駐留軍等労働者労務管理機構、理事1名と監事1名の業績勘案率について御説明させていただきます。資料3−5を御覧いただきたいと思います。
 駐留軍等労働者労務管理機構でございますけれども、この機構自体の業務は在日米軍基地で働く、約2万5,000人の労働者の募集から給与の計算、労務管理、福利厚生などを行っている法人でございます。
 今回、御審議いただく役員のうち、理事1名でございますけれども、当該理事の在任期間は平成15年9月から20年3月で、この間、企画調整部を担当しておりまして、本部事務所の移転の担当役員でもありました。
 次の、監事1名ですけれども、在任期間は平成18年4月から20年3月となっております。両名の業績勘案率につきましては、防衛省評価委員会から理事0.9、監事1.0で通知されてきました。ワーキング・グループでは最終的には通知された勘案率について、異議はないとの結論になりましたが、この間の経緯等を機構の本部移転問題等を含め、御説明させていただきます。
 この機構自体は設立時、平成14年4月には、港区愛宕のビルに入っておりまして、年間の賃借料が約2億円となっており、経費節減等が財政当局からも強く求められておりまして、平成18年4月の中期目標におきましても、運営関係費について15%縮減が目標となっておりました。機構においてもこういう経費節減ということも言われた関係上、19年2月に横浜市への移転を役員等会議で決定して、4月には防衛省に機構の主たる事務所を東京都に置くとしている機構法第5条の改正を要望しております。しかしながら、9月に、防衛省の事務次官からは、理事長に対して法改正はしない旨の伝達等がございました。
 主務大臣が法改正はしないと言ったにもかかわらず、機構はここにありますように、11月には横浜市にある本部事務所の契約をしておりますし、20年の1月には大田区蒲田の事務所についても契約をしております。ここの大田区の事務所については登記簿上の本部事務所となっております。
 機構は20年2月には実質的に大田区の蒲田、及び横浜市に事務所を移転しております。その後、3月に機構の監事は19年の監事監査で「在日米軍施設が多数所在する神奈川県であれば行政サービスが低下するおそれもなく、中期計画に定める経費抑制が確実に図れ、機構法第5条の改正が行われることを前提に問題ない」という監査結果報告をしております。
 今回の審議していただく理事と監事は20年3月31日に退職しております。この両名の業績勘案率については20年7月30日に防衛省独法評価委員会で審議され、20年9月5日に防衛省の評価委員会から政独委に理事、監事とも業績勘案率1.0で通知されてきております。
 9月5日に業績勘案率の通知があったわけですけれども、その後、9月16日に防衛大臣から機構に対して、通則法第65条第1項の規定に基づく是正措置要求が発出されております。その内容といいますのは、機構を代表し、その業務を総理する理事長が、機構が主たる事務所として登記を行った東京都大田区蒲田の事務所に常駐していないことが認められ、これ、9月の前に1回防衛省で立入り検査をしたみたいなんですけれども、いわゆる機構の本部事務所に理事長が常勤していないことから、機構法第5条に規定する主たる事務所と、機構法第5条では主たる事務所は東京都に置くとしてあるわけですけれども、認められるだけの条件を備えているとは認め難いということで、是正措置要求が出されております。
 その後、この是正措置要求につきまして、出されたということで、私ども事務局では防衛省から是正措置要求の内容等を聴取した上で、今年の2月にワーキング・グループにおいて、この防衛省評価委員会から出されてきました両役員とも1.0という業績勘案率について御議論いただきました。その結果、ワーキング・グループにおいては是正要求が発出された問題について、当該理事及び監事の職責に照らして業績勘案率に十分に勘案されていないではないかという疑念が示され、2月のワーキングの時点では1.0の業績勘案率について、意見なしとすることはできない、9月16日に是正措置要求が出たことについて、十分審議されていないではないかという意見等が出されましたので、この旨を事務局から防衛省評価委員会の事務局へ文書で通知し、再検討を促したところでございます。その後、防衛省評価委員会では3月と7月に、それぞれこの件につきまして、再度審議いたしまして、8月7日に再度業績勘案率を出してきております。それが先ほど申しました、理事0.9、監事1.0というものでございます。
 防衛省評価委員会におきましては、理事については移転担当役員であったことから、防衛省と機構との調整が不調のまま、こういう移転を決行したことについて、移転担当の役員である理事については責任を有するということで業績勘案率を減ずる必要があるとして0.9としております。
 一方、監事につきましては、在職中本部事務所の移転について、臨時の監事監査も実施し、一応、その結果、移転先が東京都以外にある場合は、機構法第5条を改正しなければならない旨の指摘もしておりますので、監事については減算するに当たらない問題ではないかとして1.0ということで通知してきております。
 防衛省評価委員会から通知されてきました、8月7日の通知案文につきまして、ワーキング・グループでは合計3回、約7時間にわたり御審議していただきました。最終的には通知された業績勘案率については異議はないという結論に達しましたが、委員会として異議はないとの結論に至った理由等について、防衛省の評価委員会でも2回にわたり審議していることを考えると、通知案文において、こういう結論に至った理由を政独委としても明らかにした方がいいのではないかというワーキングの御判断から、意見(案)につきましては資料3−5を御覧いただきたいと思います。
 これが今回の意見(案)でございますけれども、まず、「貴委員会から通知のありました業績勘案率につきまして、別紙のとおり意見を申し上げます。」という形になっております。  別紙ですけれども、法人の業績については、いわゆる対象役員の任期中の法人の業績が良好であるかということでございますけれども、(1)で、防衛省が法改正をしないと言っているにもかかわらず、防衛省と十分な調整をしないまま神奈川県横浜市に本部事務所を移転したことは適切ではないこと。
 しかしながら、その後、機構においては、(2)、主たる事務所として登記した東京都大田区蒲田の事務所に理事長を含む役員が常駐するなどの措置が講ぜられていること。その後、本部事務所も蒲田の事務所も一応防衛省との間で家賃の負担のない、機構の横田支部というのがございますけれども、そこへの移転等について調整等が行われている状況にあること。
 (3)、今回の横浜移転等で年間賃借料、当時、愛宕で2億円だったのが約1億円削減になったということと、地域手当につきましても約3,000万円の削減がされたと。
 こうした(1)(2)(3)など、総合的に勘案すれば、機構の業績が良好でないとまでは言えないと考えたということ。
 理事及び監事の職責につきましては、担当の理事については、そういう機構と防衛省との調整が微妙であるにもかかわらずこういう移転を実施したことについて、責任を有する者の一人であるということから減算要因であると考えたということ。
 監事については、臨時監査等を実施しているということから、役員の職責に係る事項に関し、減算要因があるとまでは言えない。
 以上のことから、3.の意見でございますけれども、防衛省評価委員会から通知された理事の業績勘案率0.9、監事の業績勘案率1.0については異議はありませんと。
 なお書きですけれども、「機構の本部事務所移転問題に関しては、現在も機構と防衛省との間において、引き続き東京都内への本部事務所の集約化に向けた調整が進められていると承知していますが、できる限り早期に事態の収拾が図られることが望まれるところであり、貴委員会においても、その取組が着実に実施されるよう評価を行うべきものと考えます。その際、機構の収入の太宗が運営費交付金で賄われていることを念頭に、平成20年2月に実施した本部事務所移転に伴う経費削減の効果を後退させることのないよう厳しく検証されるよう申し添えます」という(案)のとおりとさせていただきたいということでございます。
 業績勘案率については、事務局の説明は以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。
 いかがでしょうか。

【樫谷分科会長代理】  コストを大幅に削減したという意味では非常に評価が出るけれども、法律違反をしたということですよね。我々民間企業に従事する者から見たら、これはある意味で非常に正しいこと、法律違反を除いてですね、非常に努力されて、賃借料だけではなくて、手当についても削減できるという判断。神奈川県の方が施設が多いので行政サービスも低下するおそれではなくて、むしろ向上するだろうという判断というのは極めて順当な判断だと思うんです。
 ただ、法律違反しているということで、一種の登記上、大田区に残しておいたということではないかと思うんです。これ、通則法なのか機構法なのか分かりませんが、本部を置くと書いてあるわけですか。

【平野調査官】  機構法第5条で、「機構は、主たる事務所を東京都に置く。」と規定されています。

【樫谷分科会長代理】  この文章を見ると、主たる事務所は理事長がいるかいないかで判断するということなんですか。

【平野調査官】  防衛省の方ではそう判断して是正措置要求を出したと聞いております。

【樫谷分科会長代理】  防衛省の方は逆に、都内に置いておいた方が合理的だと、より効率的に業務が安く執行できるという判断をしたということになるわけですか。なぜこの法律の改正をしなかったのかというのが、よく理解、まあ、法案の話ですからいろいろな流れがあって難しかったというのも何となく想像の範囲内ですけれども、しているんですけれども、むしろ、それなら法案を改正すればいいことだらけのところを何で改正しなかったのか。その辺は、特に、政独委の権限に属しているものではないと思いますけれども、その辺の状況は何か分かるのがあるでしょうか。

【黒川臨時委員】  私の方から。

【平野調査官】  はい。

【黒川臨時委員】  先ほど事務局からお話がありましたように、本当にこれは意を尽くして議論いたしました。私どものワーキングの委員全員で、忠臣蔵ではありませんけれども、実質をとるか形式をとるかということで大変悩みました。今、樫谷先生がお話しになったように、府省評価委員会の議事録を取り寄せまして、どういうことになっていたのかということも、それぞれ理事長の発言とかも見させていただきました。ただ、この場でそれを御紹介はなかなかできないとは思いますけれども、ともかく、大変高度なレベルで、我々から考えれば東京から移転すればいいじゃないかという、法律改正をしてもらえば、全部みんなハッピーだったのにもかかわらず、高度なレベルの判断で法律の国会提出はできないということだった。そこまででございます。
 実質的に、これだけ1億円とか3,000万円削減だというのも、事務局に精力的に仮定計算をしてもらって、こんなにいいことをしたんだというのも、このワーキングの事務局に宿題を出して、みんな一生懸命やってくださった成果でございます。そういう点では本当によかったんですけれども、ともかくその前に法律改正できないと言ったにもかかわらず実行した。さらに、形式を整えるために蒲田を借りた。ただ、蒲田の方は200万円ぐらいしか経済的には損失してないけれども、そこでいいじゃないかとまた開き直ったというか、そういうことなので、悩みましたけれども、府省評価委員会から0.9ということが出てきたわけです。それについては向こうも大変悩んだ結果として0.9にしたんだろう、我々も悩んだ結果として、0.9にしたのを認めましょうと、こういう結論でございます。
 ただ、異議なしと言うだけではなくて、我々も十分考えたと。考えた末しようがないということで、担当理事は0.9ということは大変不満に思うかもしれないと思ったんですけれども、我々としても意を尽くしてこういう結果になったんだということを示すと同時に、おそらく法律改正が進まないとすると、もう一回東京都内に戻すということになるかもしれませんけれども、そのときにまた元の愛宕のような高いところに戻されては困るので、ちゃんと1億円、3,000万円ぐらい安くしたのであれば、それをまた増やすということではなくて、その分はきちんとキープしたまま東京都内にちゃんと移ってください、そういう物件を探してくださいよということまでつけて意見書としたということでございます。

【富田分科会長】  はい。いかがでしょうか。

【樫谷分科会長代理】  非常に御苦労されたということはよく分かりました。そうだと思いますので、私もこれ以上、どっちを重視するのかということについては見解の問題だと思いますので、ワーキングの見解に賛成いたします。

【富田分科会長】  どうぞ、阿曽沼委員。

【阿曽沼臨時委員】  繰り返しになりますけれども、21年2月18日に意見なしにすることができないとしたときに、私は担当ワーキングにおりまして、これを差し戻しました。この時に、法律、ルールをきちっと守るというのが最低限の組織の基本動作であると考え、ルールを無視して結果さえよければいいかという点などを十分議論いたしました。
 先ほど言いましたように、我々も相当細かく府省の評価委員会などの議事録の、各個々人の発言を聞きながら、なかなか表現は難しいんですが、独法と主務省との間での人間関係の中で、天下りの問題も絡むのかもしれませんが、いろいろな議論がありました。そういうことを勘案してでも、やはり独法評価委員としてはルールを守るということが重要であり手順を守ることが重要であるということに重点を置いて一度差し戻しました。私どもも苦渋の議論を重ねて差し戻したということを付け加えさせていただきます。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、大体よろしゅうございますか。
 それでは、財務省、文部科学省、厚生労働省及び防衛省の各独立行政法人評価委員会から通知されました「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」についてお諮りいたします。
 本件についての分科会の回答につきましては、(案)のとおりとさせていただくことに御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【富田分科会長】  それでは、そのようにさせていただきます。事務の処理につきましては、私に御一任いただくこととさせていただきます。
 それでは、最後に、事務局より報告、連絡事項がございます。

【横山評価監視官】  資料4でございます。「独立行政法人評価年報(平成20年度版)の発行について」ということで、本日、この評価年報についてもあわせて記者発表を予定しております。
 この評価年報は、毎年度、独法の情報と評価の状況を取りまとめて公表するものであります。
 今後の委員会及び分科会の予定でありますが、先ほども申し上げましたが、来年の2月末ないし3月ぐらいに開催を考えておりますので、どうかよろしくお願いします。詳細な日程が分かりましたら、速やかに御連絡させていただきます。
 どうもありがとうございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。  それでは、ただいまの事務局からの説明及び連絡事項につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は、御多忙の中、御出席を賜りましてありがとうございました。

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