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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(2月25日開催)議事録

日時

平成22年2月25日(木)10時00分から12時00分まで

場所

経済産業省別館10階 1014号会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理(※)、黒田玲子委員、森泉陽子委員
縣公一郎、浅羽隆史、阿曽沼元博、稲継裕昭、岡本義朗(※)、河野正男、河村小百合、木村琢磨、黒川行治、黒田壽二、鈴木豊、宮本幸始、山本清の各臨時委員
(※)を付した委員については、審議・議決の一部に参画していない。

(総務省)
田中順一行政評価局長、江澤岸生官房審議官、横山均評価監視官、平池栄一評価監視官、細川則明調査官、平野誠調査官、高橋慎弥調査官

議題

  1. 平成21年度末に中期目標期間が終了する法人の新中期目標(案)等について
  2. 役員の退職金に係る業績勘案率(案)について
  3. 報告事項
    ・独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会について
    ・その他

配布資料

会議経過

【富田分科会長】  それでは、時間になりましたので、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 審議に入ります前に、第5ワーキング・グループの主査が黒川臨時委員から縣臨時委員に交代となりましたので、御報告いたします。また、事務局におきまして人事異動がありましたので、その紹介をお願いいたします。

【横山評価監視官】  はい。それでは、1月1日付で事務局に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。
 独立行政法人第2担当の評価監視官でありました菅原が、行政管理局の管理官に転任しております。その後任に、人事・恩給局総務課の企画官でありました平池が着任しております。

【平池評価監視官】  どうぞよろしくお願いします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、審議に入ります。本日は二つ案件がございまして、平成21年度末に中期目標期間が終了する法人の新中期目標(案)など、そして、役員の退職金に係る業績勘案率についての御審議をお願いいたします。
 まず、21年度末に中期目標期間が終了いたします法人の新中期目標(案)などにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【横山評価監視官】  はい。資料1を御覧ください。真ん中の方に、「勧告の方向性」における主な指摘事項と、新中期目標(案)等というものを書いております。勧告の方向性につきましては、昨年御議論いただきまして、12月9日に決定をしていただきました。分科会の前に順次ワーキングを開催していただきまして、その時点での新中期目標(案)が勧告の方向性に沿っているかどうかなどについて御審議いただき、幾つかの御意見をいただいているところでございます。御意見については主務府省に伝え、主務府省から基本的には反映するという方向で検討する旨の返答があります。いまだ調整中のものも若干ございます。本日の分科会の御意見をも踏まえまして、引き続き調整をしてまいりたいと思います。
 それで、私の担当の第1ワーキングと第2ワーキングを説明させていただきまして、第3ワーキングから国大ワーキングまでは平池の方から説明をさせていただきます。
 本年度につきましては、第1ワーキングについては該当はありません。
 第2ワーキングの経済産業省の産業技術総合研究所であります。これについては、第2ワーキングの委員から、目標が抽象的で、事後的に検証できるものになってないという御指摘をいただいております。これにつきましては、経済産業省に厳しく指摘された旨伝えまして、中期計画に反映させるべく、現在調整しているところであります。「勧告の方向性」における主な指摘事項を見ていただきますと、産総研の場合、様々な研究をしておりますが、実用化・製品化を見据えた研究開発に重点化していくべきであるという指摘をいただいております。これについては、経済産業省から、個々の計画において定量的・具体的な目標を明示しますという回答を得ております。例えば、計画案の中に、がん細胞の自動検出率を95%にしますとか、またコンピュータの待機電力を5分の1にするなどといった、非常に具体的な目標を定めるという方向で今検討をしているところであります。
 それから、二つ目でありますが、省庁間の壁を越えまして、研究成果の実用化・製品化の取組における中核的な結節点としての機能を発揮すべきであると、そうした指摘事項をいただいております。これにつきましては、経済産業省から、具体的な計画の中に、産総研が外部から受け入れを5,000名以上目指しますといったものを計画に盛り込むということで、検討しているところであります。
 それから、三つ目でありますが、つくばセンターのほか全国8か所に地域センターがあり、その在り方の見直しをするということを指摘させていただいております。これにつきましては、経済産業省から、各地域センターが一様に同一の機能を担うことを前提とはしない、例えば北海道であればゲノム・ファクトリーであるとか、四国であれば健康科学といった、そうした大胆な見直しを行いまして、研究開発戦略において具体的に定めていくという回答をもらっているところであります。
 続きまして、法務省の日本司法支援センターであります。これにつきましても、第2ワーキングの委員から、目標が勧告の方向性には沿ってはいる、しかしながら、勧告の方向性をそのまま引き写しているにとどまっていて、目標の具体性が十分ではないという指摘をいただいております。これも、法務省に伝えまして、中期計画に反映させるべく調整をしているところであります。
 それで、1番目の指摘事項でありますが、資力の乏しい方を対象とした民事法律扶助立替金において162億円ほどがリスク管理債権になっておりまして、こうしたものについて債権管理・回収計画を策定すべきであるということを指摘いただいております。これについては、法務省から、年度ごとに計画を策定して厳格な検証・評価を実施するという回答を受けております。
 それから、弁護士が管内に一人またはゼロのいわゆるゼロワン地域に司法過疎地域事務所を設置しておりますが、これについて不断の見直しをすべきであるという指摘をいただいております。これについては、法務省から、司法過疎地域事務所を設置する際に考慮する要素というものを明示しますという回答をもらっています。具体的には、その管内の法律事務がどのぐらいあるか、人口がどのぐらいあるか、また日弁連の公設事務所の設置状況がどのようになっているか、こうしたものを考慮要素として明示するという回答をもらっているところであります。
 それから、三つ目でありますが、東京23区内にあるコールセンターについて地方への移転を含めて検討すべきであるという指摘をいただいております。これについては、法務省から、次期契約の更新時において検討するという回答をもらっているところであります。
 第1ワーキング、第2ワーキングについては以上です。

【平池評価監視官】  それでは、第3ワーキングにつきまして、私の方からワーキングの検討について御説明させていただきます。
 まず、日本原子力研究開発機構についてでございます。勧告の方向性では、資料にありますとおり、主な指摘として3点、指摘しております。
 その1点目なんですが、「もんじゅ」につきまして、停止中の経費、研究成果等を国民に分かりやすく公表と。研究結果等については一応公表はされているんですけれども、なかなか国民に分かりにくいのではないかと、きちんと国民に分かりやすい形で公表すべきではないかということが、勧告の方向性での指摘でございました。これにつきましては、文科省は、基本的に受け入れまして、停止中の経費、研究成果等を国民に分かりやすい形で公表するという旨を新中期目標に盛り込む方向で、検討しているということでございます。
 それから、指摘の2点目でございますが、展示施設等以外の手段による地元理解の促進を図る方法の検討も含め、低コストで効果が上がる方策を検討と。地元理解ということが非常に重要なんですけれども、基本的に今は、地元住民の理解促進のための取組が展示施設等を運営することにより行われているんですが、なかなかこれはコストがかかる話であるため、それ以外の、もっとコストがかからないような方策を考えるべきではないかという指摘。それから、展示施設等についてはきちんとアクションプランで定めておるんですが、こういうものをきちんと見直しなさいと。特に、東海村に「テクノ交流館リコッティ」という大きな施設があるんですがなかなか稼働率が悪いということで、これについて在り方を見直しなさいという指摘でございます。
 文科省は、新中期計画において、展示施設等以外の低コストで効果的な方策の検討を進め、アクションプランを見直すとしております。なお、「テクノ交流館リコッティ」については、このアクションプランの中できちんと明示して在り方の見直しを進めますというのが文科省の回答でございました。
 さらに、指摘の3点目でございます。青山分室というのが港区の青山にあるんですが、これは、文科省の説明では、緊急時、何かあった場合に必要な施設として青山にありますという説明なんですけれども、万が一という場合でも、青山の近くに原子力機構の施設があるわけではございませんので、果たしてそのような必要性があるのだろうかという指摘。それから、東海、阿漕ヶ浦の2つの分室は近いところにありますので、一方の分室については在り方を見直したらどうかという指摘でございます。文科省からは、青山分室については廃止に向けて検討を行うと。それから、近接している東海分室と阿漕ヶ浦分室につきましても、一方は売却を含めてその在り方について抜本的に見直すという旨の回答をいただいております。
 続きまして、第4ワーキング、国土交通省の日本高速道路保有・債務返済機構についてでございます。勧告の方向性では、主な指摘として、資料1に挙げられた3点を指摘しております。
 1点目につきまして、道路資産の貸付料への影響が認められる場合、新規引受債務の限度額等を精査、返済計画を見直しするという指摘でございます。これに対する国交省の回答でございますけれども、新中期目標の方に、今後交通量が減少傾向であることから、高速道路料金収入の減少など、道路資産の貸付料に対する影響が認められる場合には、債務返済計画を見直すという旨を、勧告の御指摘した旨を盛り込むということでございます。
 それから、2点目でございます。資金調達の多様化という点を指摘しております。この法人は、基本的には10年債とか20年以上の超長期債とか、こういった長期債で資金を調達しているんですが、短期の債券の発行なんかも考えたらどうだということで指摘をしているところでございます。国交省の回答といたしましては、金利上昇リスクを軽減することとか支払い利子を圧縮する観点から、短期の債券の発行を行うなど、更なる調達の多様化を図るという回答で、その旨を新中期目標に盛り込むということでございます。
 それから、3点目でございます。道路が常時良好な状態に保たれるよう留意しつつも、計画管理費の算定を厳格化という点を指摘しております。そもそもこの法人が道路会社に対して道路資産を貸し付けているんですが、その道路資産の貸付料というのは、計画料金収入から計画管理費を差し引いたものを貸付料として徴収しているわけでございますけれども、この管理費の方が3年連続で3%から5%、計画よりも実績が下回っているということで、そこをきちんと厳格に算定する必要があるんじゃないかという指摘を行いまして、その旨、新中期目標の方にも盛り込みますということでございました。
 以上が第4ワーキングでございます。
 次のページに参りまして、第5ワーキングでございます。
 まず、内閣府の国立公文書館についてでございます。国立公文書館に対しましては、勧告の方向性、2点、指摘しております。
 1点目は、今度新たに公文書管理法が制定されましたので、また新しい業務が追加されますので、この施行までに既存の事務・事業について業務フロー等をきちんと見直ししましょうという指摘でございます。内閣府の方は、これに対しまして、公文書管理法が施行されるまでに従来の業務フローや事務処理手順を洗い出し、外部委託や非常勤職員の活用による一層の効率化、合理化の視点を入れ、無駄がないか徹底的な見直しを行うという回答でして、その旨を新中期目標に盛り込むということでございます。
 それから、2点目でございますが、紙媒体の歴史公文書の保存方法として、マイクロフィルムともう一つ、デジタル、両方あるんですけれども、この辺のメリット・デメリットを平成22年度末までに検討して結論を得るという指摘をしております。これにつきましても、内閣府の方は、そこにありますように、マイクロフィルム化して保存することとデジタル化して保存することによる技術面、経費面におけるメリット・デメリットを、22年度末に、民間の専門家等の知見を十分に活用しながら検討し、結論を得るという旨の回答で、新中期目標に盛り込むということでございます。
 続きまして、厚生労働省でございます。まず、医薬基盤研究所でございます。勧告の方向性では、3点ほど指摘しております。
 まず、一つは、実用化研究支援事業につきまして、有用性、有効性を検証し、事業の在り方を見直すべしという指摘をしております。この実用化研究支援事業につきましては、20年度末までに54億円の繰越欠損金を計上していると。そういう事業につきましてはきちんと見直すべきじゃないかという指摘でございました。厚労省としては、そういう事業につきましてはきちんと有用性、有効性を検証し、事業の在り方について見直すと。で、見直しが終了するまでは新規募集を休止するという回答で、その旨を目標に盛り込むということでございます。
 それから、2点目といたしまして、培養細胞の提供につきまして、特定の財団、これはヒューマンサイエンス振興財団という法人なんですけれども、と一緒に今、培養細胞提供という事業をやっているんですが、この法人との提携の在り方を見直して、必要な委託業務については一般競争で入札するべしという指摘でございました。この業務につきましては、今まではヒューマンサイエンス振興財団と共同してやっていたんですが、もう別に、法人自らが実施する形態とするという回答。それから、法人がどうしても他に委託するという場合は、きちんと競争入札でやりますという御回答でございました。
 それから、3点目でございますが、薬用植物資源研究センターの和歌山研究部について廃止すべしと。この和歌山研究部というのは、もう実際、研究というよりは薬用植物の栽培のみ利用しているというようなところでございます。これについては、厚労省といたしましては、本中期目標期間中に廃止するとともに適切な処分を行うという御回答でございました。
 続きまして、年金積立金管理運用独法でございます。勧告の方向性では3点ほど指摘しております。
 1点目は、運用受託機関を随時見直すということでございます。これにつきましては、運用実績を勘案しながらきちんと見直しますという回答でございました。それから、議事録の公表という点も、2点目として指摘しております。市場への影響というのがあるんですけれども、そういう影響も配慮しつつ、一定期間を経た後にきちんと議事録は公表しますというのが、厚労省の回答でございました。それから、3点目の指摘といたしまして、管理部門、調査研究部門及び運用部門の人員配置の見直し。特に管理部門。この独法は80人中20人ぐらいが管理部門なんですが、それについてきちんと見直しなさいという指摘でございます。厚労省といたしましても、効率的な業務運営体制を確立しますという旨を中期目標に盛り込みますということでございました。
 なお、この年金積立金管理運用独法、通称GPIFと言っておりますが、今、厚労省でGPIFの在り方検討会というものを開催しておりまして、これには総務省の政務三役、原口大臣、階政務官も参加して今議論している最中でございます。そういう意味では、この勧告の方向性の時も、この議論がある、まだ議論中であるということを前提とした勧告の方向性でございまして、この議論の動向をまた踏まえつつ、我々としても注意していかなければならないと思っております。
 以上が、第5ワーキングでございます。
 最後に、次のページでございますが、国立大学法人でございます。これにつきまして、昨年の5月に勧告の方向性の指摘をいたしまして、その勧告の方向性を受けまして、文科大臣から各法人に、中期目標の原案作成に当たりこうしなさいという指示を行っております。その文科省からの指示を踏まえて各法人が作成した原案について、現在、検討中という状況でございます。政独委といたしましては「勧告の方向性」で主な指摘として3点ほどを指摘しております。
 1点目は、国立大学法人の理念・目標の明確化。すべての大学が、東大と同じようなことをするとかそういうことではなくて、やっぱり各大学の個性や期待される役割を踏まえ大学の機能分化をきちんと進めるような中期目標・計画を作りなさいという指摘をして、今、各大学について、その勧告の方向性の指摘を踏まえて中期目標等の案を策定しているところでございます。
 続きまして、2点目の指摘といたしまして、大学共同利用機関法人の一体的運営に向けた取組の明確化ということでございます。これは、もともと大学共同利用機関、たくさんあったものを、法人化に伴い4法人に集約しているんですが、いまだに個々の法人としての一体的な運営というのがまだ弱いのかなということでございまして、このような指摘をいたしました。各法人について、正にこの指摘を踏まえながら、現在中期目標を策定しているということでございます。
 最後に、経営協議会の機能の発揮状況の明確化という点を指摘しております。この点につきましても、国立大学が法人化する際、正に経営面等の強化ということで経営協議会というのを新たに設置したわけでございますが、これについて、今ひとつまだ効果といいますか、その辺がまだ明確になっていないということで、そういう問題意識の指摘でございます。これにつきましても、その経営協議会の機能がどのように発揮されているかということをまず明らかにしましょうということで、その旨を文科省に指摘したところでして、現在、各法人についてその主旨を踏まえ中期目標等を策定するということでございました。
 説明は以上でございます。

【富田分科会長】  はい、ありがとうございました。それでは、本件につきまして御意見、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。いかがでしょうか。
 はい、どうぞ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  私、第2ワーキングに所属しているわけでございますけれども、産業技術総合研究所と日本司法支援センターしか見ていないという中で、あえてこういう言い方をするのはあれなんですけれども、実は結構フラストレーションがたまる議論であったと思います。
 そのフラストレーションがたまるという意味は、勧告の方向性で指摘された事項をどのように中期目標に反映するかということは議論されているんですけれども、そこで一つ問題になるのは、やっぱり中期目標でどれだけ具体的に定量化ということは結構議論されたと思います。ところが、中期計画に落ちますと、なぜ中期目標がこの中期計画をなすことによって達成できるのかというところが、意外と見えていないといいますか、その辺で結構議論をさせていただいた。それで、先ほどの監視官の御説明にあったということなんですね。
 したがって、今度、中期目標を議論するというのは非常に大事なんですけれども、あえて言うと、中期計画と併せて、特に定量化あるいは具体化というのを、中期目標を分析的に具体化したのが中期計画ではなくて、中期目標をどのように達成するかということを具体的に書いたのが中期計画だというふうに、私なんかは理解しておるわけですね。それでないと、おそらく主務省の評価委員会でも、なぜこの中期計画が達成できたら実績評価としてこういう評価ができるのかということが、やはり明確にならないのではないかなと思えてしようがないんです。
 だから、私は、文科省の主務省の評価委員会にも携わっているわけですけれども、いつもそこが議論になって、なぜここがこのような評価になるのかというのが分からないということがありますので、今後おそらく中期計画の議論になっていくんだと思うんですけれども、そのときにはぜひ総務省側から各省の方へ、もしも第2ワーキングと同じような状態の法人があるんであれば、ぜひともそういう観点で強く言っていただきたいなというのが、私の意見でございます。

【富田分科会長】  はい、非常に貴重な御意見、ありがとうございます。これにつきましては、事務局の方でまず御説明いただきたいのは、中期目標と中期計画について、現在の独法評価の中においてどういう定義になっているかですね。先ほど岡本委員の御指摘の内容が盛り込まれているかどうか等も含めて、それから、これから各府省にどう伝達していくかということを含めて、御説明をいただきたい。
 お願いします。

【横山評価監視官】  まず、目標でありますが、本来、目標というものは事後的に検証が可能であるべきものであります。それで、実際に、この制度を仕組んだ際にも、できるだけ定量的な目標を定めるべきであり、また、仮に定性的な目標であっても、それが達成されたかどうか、客観的に、国民の目で見ても判断できるような目標にすべきであると、そういった議論がなされたわけであります。実際に、政独委の議論でも、平成17年でありますが、「勧告の方向性のフォローアップについて」という形で意見が出されておりまして、できるだけ目標というのは数値目標にすべきである、定量的にすべきであるという御意見を出していただきまして、実際にそれを各府省に伝えたところであります。
 しかしながら、残念ながら、今回、産総研の目標を見てみますと、非常に抽象的なものになっていて、例えば具体的にこういうものをやります、これに取り組みますということが書いてあるんですけれども、それでは一体、目標が果たして達成されたかどうか、どの程度達成されたかどうか、評価できるものに必ずしもなっていないという現状になっていたわけであります。そうした問題意識を経済産業省の課長にも伝えましたところ、中期計画の方でより具体的に定めていくということになったわけであります。中期目標というものは主務大臣が定めまして、中期計画というのは産総研が定めて経済産業大臣が認可をするというものでありまして、中期目標に沿ってより手順を具体化したり、または更に具体的な数値目標を定めたり、そういうものであるべきだと考えております。
 それで、実際に産総研の中期計画の案については作成途上と承知しておりますが、80ページほどになるとのことですけれども、目標設定の妥当性も検証してみたところ、例えば、産総研の外部資金については、産総研が交付される運営費交付金の50%以上、すなわち半分以上を獲得するということを目指しますという目標があります。この目標が妥当なのかどうか検証してみたところ、産総研では平成20年度は659億円の運営費交付金を受けていますが、外部資金の獲得は206億円にとどまっています。すなわち運営費交付金の3割程度しか獲得されていません。
 外部資金について、過去5年間を見ても、運営費交付金の5割を獲得した年はなく、一番50%に近かったのが、18年度で、664億円の運営費交付金を受けて外部資金を276億円獲得しており、約4割強獲得したというのが、そういった目標に最も近づいたというものでありました。そうした過去の実績でできなかった目標を今回50%ということで掲げているということを見ますと、目標の設定としては高い目標を設定したものではないかなと検証しているところであります。
 以上の観点から、引き続き、こうした計画や、目標については注視をしていき、必要な場合には、主務省に伝えていきたいと考えております。

【富田分科会長】  岡本委員が御指摘になられたことの趣旨は、多分、目標というものを具体的に達成する計画を中期計画で盛って、執行部隊であるところの独立行政法人が策定して主務府省に承認を得るという、明確な区分けというかそういう問題意識を、もう一回原点に戻って持って見直すことはどうかという御指摘だと思うんですけれども、岡本委員、よろしいですか。

【岡本臨時委員】  はい、そのとおりです。

【富田分科会長】  ということで、「勧告の方向性のフォローアップについて」には目標設定の在り方はあるんだけど、計画の話はこの議論のときはなかったということであります。では、ほかの御意見、御質問等、ございませんでしょうか。

【山本臨時委員】  今の岡本委員の御議論はそのとおりだと思うんですけれども、今の通則法上では、あくまでも我々はそこ、権限が及ばないんですね、残念ながら。だから、これは、府省の評価委員会が中期目標・中期計画のときにチェックを入れるということになっていますから、府省の評価委員会に対して我々が何か間接的に物を言うってことはできますが、ここでもフォローアップと書いてあるのは、まさしくそのとおりだと思いますので、そこら辺はちょっと隔靴掻痒のところはしようがないんだというところ。あまりいい発言ではないですけど。

【富田分科会長】  ただ、各府省から出てきますものについて意見を申し述べるわけですから、その点は同じという理解でよろしいですね。

【山本臨時委員】  はい。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。

【阿曽沼臨時委員】  今、岡本委員がフラストレーションがたまったという御発言がありましたけれども、確かに、例えば法テラスで言いますと、実は中期目標を見たときに大変驚いたのは、勧告の方向性と全く同じような、オウム返しのような目標が書かれていました。これは我々の勧告の方向性が正しかったのか、若しくは何となく血の通った議論が先方でできてなかったのかの、どちらなのかというような議論がありました。そういう中で、いわゆる中期目標というものの達成を測るKPIといいますか指標が、文言の中に全く何もないと。本来は中期計画はその目標を達成するアクションプランに非常に近いものではないかというような議論があって、なかなか中期目標を議論する若しくは計画を議論する視点若しくは基軸みたいなものが非常にあいまいになって、我々委員の一人一人の意識も相当ばらばらになっているんではないかなという気もいたしました。
 山本委員の言われるように、我々の職務権限といいますか、そういったものも超えているのかもしれませんが、評価をする以上、目標の在り方、計画の在り方というものについて、勧告ではなく何か前向きな意見が述べられれば、そういったことを御検討いただくといいのかなと、第2ワーキング全体としてそういうふうに感じております。

【富田分科会長】  はい、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 この件、大体よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ただいまの委員の皆様からの御意見、御質問等につきましては、事務局において各府省から事情を聴取とともに、事務局から新中期目標等に反映するように伝えていただくことなど、適切な対応をよろしくお願いいたします。同時に、各ワーキング・グループにおかれましては、これらの法人の新中期目標等が勧告の方向性を十分に踏まえたものになるよう、引き続き注視をよろしくお願い申し上げます。その上で、分科会におけます審議等の対応が必要と考えられる場合は、私と樫谷分科会長代理及び各ワーキング・グループの主査で相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、次に、役員の退職金に係る業績勘案率についての審議に移ります。事務局より御説明、お願いいたします。

【平野調査官】  それでは、役員退職金に係る業績勘案率につきまして説明させていただきます。資料2−1の総括表ですが、今回御審議いただく退職役員は、8省33法人で56名となっております。このうちの53名は業績勘案率1.0となっており、文部科学省の放射線医学総合研究所の監事1名、国土交通省の水資源機構の副理事長1名、住宅金融支援機構の理事長代理1名の、この3名が0.9となっております。なお、現在ワーキング・グループで検討中のものが7省19法人33名ございます。これは紹介のみでございます。
 0.9で通知された3名の役員を除く53名の役員の業績勘案率につきましては、それぞれの担当ワーキング・グループで、業績勘案率に係る基本的なチェックの手順、フローチャートでございますが、それに沿って厳格な御審議をしていただいたところです。いずれの法人も、役員在職中の法人の業績は良好であり、中期計画等を達成していること、各退職役員の個人業績についても特段の加算要因・減算要因もないとして、各府省評価委員会から通知された業績勘案率1.0について政独委の意見案としては、意見はないという案になっております。
 次に、0.9になっている役員について、その事情等を御説明させていただきたいと思います。まず、文部科学省所管の放射線医学総合研究所の監事1名でございますけれども、資料2−5−1を御覧いただきたいと思います。放射線医学総合研究所は、放射線の人体への影響とか放射線による人体障害の予防等の研究開発を行っている法人でございます。この法人の監事1名、在任期間は平成15年4月から21年3月でございますが、業績勘案率の適用期間は平成16年1月から21年3月となっております。この間ずっと監事の職にありました。文部科学省からは、当該監事の業績勘案率は0.9と通知されてきております。ワーキング・グループにおいて、先ほど申しましたように、今後の業績勘案率の取組についてのチェックシートに沿って検討していただいたところでございます。文科省評価委員会の算定方法自体は、1.0が基本となっていないということなので、文科省評価委員会の算定方法により算定した率については政独委の審議を拘束しないものとして扱われるということからスタートしております。
 まずステージ1関係でございますけれども、法人の業績につきまして、法人の業務運営が良好かつ適正であると言えるかどうかという点についてでございますけれども、監事在任中の平成20年6月に、研究費の使用に関して架空の取引により研究費の支払いを実施し、それを預け金として管理させていた事実が判明しております。こうした架空取引は、平成14年4月の独法化以前から行われており、関与した職員も43人と、組織ぐるみの不正と言えるものでございました。このようなことから、ワーキング・グループにおいては、このような研究費の不正使用は研究所業務に対する国民の信頼を著しく損ねる行為であるとして、研究所の業務運営は良好かつ適正とは考えられないとして、法人の業績においては減算すべき要因と判断されております。
 この減算の程度につきましては、平成20年11月の独法分科会において、同じくこの研究所の研究担当の理事がこの不正経理関係で0.9とされておりますので、同じく減算の程度はマイナス0.1で、勘案率は0.9となっております。
 あと、個人の業績でございますけれども、監事としての個人業績につきましては、当該不適切経理を、この架空取引を監事監査で発見することは困難ではなかったのかということで、減算要因なしとなりました。加算要因も特にないということで、結果としてワーキング・グループにおける業績勘案率は、文部科学省評価委員会と同じ0.9となっております。
 したがいまして、文部科学省評価委員会から通知された0.9については、意見なしとなっております。
 しかしながら、資料2−5−1の別紙を見ますと、文部科学省評価委員会は、機関業績、個人業績は形式的なチェックに基づいて算定して出しておるんですが、この不祥事につきましては、この「その他、特段に考慮すべき事項あり」ということで、ここでマイナスとしております。
 あと、政独委としては、法人の業績は悪かったということで0.9としたわけですけれども、文部科学省は、個人の業績で減算したのか法人の業績で減算したのか不明確な面がございましたので、資料2−5−1の意見案では、政独委として、(1)でございますけれども、「平成20年6月に発覚した架空発注による研究費の不正使用は国民の信頼を著しく損ねる事態であり、研究所の業務運営は良好かつ適正とは考えられず、法人の業績において減算すべき要因と判断されること」と。あとは、「監事としての職責に係る事項に関し、加算又は減算する要因は認められないことから、特に意見はありません」という通知案文になっております。こうすることによって、この案件に関係する役員が今後出たときも、政独委としては法人業績で0.9とするということを文科省に対しても伝えたということになるかと思います。
 続きまして、国土交通省所管の水資源機構の副理事長1名の業績勘案率につきましてでございますけれども、資料2−8を御覧いただきたいと思います。水資源機構自体は、ダムとか水路の建設管理を行っている法人でございます。ここにおける副理事長1名についてですが、副理事長の在任期間は平成16年9月から平成21年3月で、副理事長の職務権限につきましては、「水資源機構の副理事長及び理事の職務に関する規程」によると、「副理事長は、機構を代表し、理事長を補佐して機構の業務を掌理する」とあって、機構全体の業務に責任を有することとなっております。
 それで、国土交通省評価委員会はこの副理事長につきまして、個人業績で0.1減算しております。これは、去年の7月も水資源機構の役員のことでいろいろ議論させていただきましたが、徳山ダム建設に係る2件の不祥事案がありました。一件目は土地取得に関する不適切事案で、いったん補償したものについて、財産管理会から更に要求があったところ、またゼネコンからお金を集めて支払ったということと、二件目の方は索道補償に関する不適切事案で、索道補償で、補償の対象外にあった索道について補償してしまったこと。これらについては昨年7月に議論していただいて、関係の理事が個人業績マイナス0.1として0.9としたことがございます。
 ワーキング・グループでは副理事長の在任期間中の法人業績は良好と判断されましたけれども、この副理事長の個人業績につきまして、不祥事案があったということと、それから、副理事長は機構全体の業務を所掌しているということで、マイナス0.1としました。減算の程度は、昨年7月の理事と同じ程度としておりまして、副理事長の業績勘案率について0.9ということになりました。
 したがって、国土交通省評価委員会から通知されたものと同じですので、意見案としては、意見はないということになっております。
 続きまして、住宅金融支援機構でございます。住宅金融支援機構の理事長代理でございますけれども、在任期間は19年4月から20年6月となっております。それから、理事長代理の業務は、コンプライアンス、法務室、審査部の所掌に関する事項となっております。国土交通省評価委員会から通知された業績勘案率は0.9となっておりますけれども、これにつきましては、機構の主要な業務である証券化支援業務の実績が当初計画を下回ったことにより減算となっております。
 ワーキング・グループでは、法人の業績についてあらためて検討しましたけれども、やはり国土交通省評価委員会が通知してきたように、証券化支援業務は良好でない状況でございますので、法人の業績としては0.9。それから、この減算の程度につきましては、一昨年の11月にこの支援機構の理事の勘案率を審議したときに、証券化支援業務が下回っているということでマイナス0.1として0.9としましたので、減算の程度も0.9ということになっております。
 それから、個人の業績につきましては、特に減算要因も加算要因もないということで、ワーキング内でもそういうふうな判断になっております。で、結果として、法人業績で減算し0.9となりましたけれども、これは国土交通省のものと同じですので、国土交通省から通知された0.9については意見ないという案になっております。
 事務局の説明は以上でございます。

【富田分科会長】  はい、ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。いかがでしょうか。
 はい、どうぞ、鈴木委員。

【鈴木臨時委員】  この放射線医学総合研究所の監事さんの件なんですけれども、もちろん十分に、我々のワーキングでもこういう件があって議論をしていたと思うんですが、この方がこれを発見するということは不可能だから、個人の業績は減算ではないということなんですけれども、ただ、やはり、一般的に考えると、研究費の不正使用とか、これ、会計とか経理にものすごく関係するわけなので、そこのところがどういう議論であったか。我々のところでもその辺のことはあったと思うんですけれども、法人の業績なのか個人なのかというのは、監事さんの業務自体が非常に判断が難しいんで、そのあたり。特にこの場合は、会計とか経理に関係するかなという感じがするんですけれども、この辺はどういう議論であったんでしょうか。

【富田分科会長】  いかがでしょうか。

【平野調査官】  この架空取引自体はなかなか監事監査では見つけるのは難しいのではないかということ、あと、文部科学省の指示を受けて、機構でも調査委員会を設置して調査したけれども、そこにおいてもやはり、業者にも調査しなきゃいけないということで、業者の調査もなかなか協力を得られなくて、結果としてアンケート調査などをやることによってこういう全体像が把握できたということでございまして、この件に関して監事さんの責任を問うというのはなかなか困難ではないかという議論になっております。

【富田分科会長】  はい。どうぞ、縣委員。

【縣臨時委員】  それから、加えて、この事例に関する直接の監督権は、既に退職された研究にかかわる理事の方の権限でありました。その方が退職されたときの業績勘案率は0.9という判断が既に、先ほど説明がありましたように、過去になされていたということが前提にありましたものですから、ワーキングの中でも、今、鈴木委員が仰せになった観点での責任追及ということについて議論いたしましたけれども、直接の理事の責任がそういう形で問われているということで、それ以上は問うべきではないのではないかという結論になりました。

【富田分科会長】  はい、ありがとうございます。ほかに、いかがでしょうか。
 はい、どうぞ、河野委員。

【河野臨時委員】  水資源機構のことですが副理事長が不適切事案の処理ということで0.9になったように承りましたが、このときの監事は、監事の役割というのがこの機構でどうなっているのか分からないんですが、確認できなかったというふうな理解でいいんですかね。

【富田分科会長】  いかがでしょうか、担当ワーキングあるいは事務局。

【平野調査官】  職員がジョイントベンチャーに補償させたようなことは監事監査で発見することは難しかったんじゃなかったかということです。あと、事後の措置は、きちんと監事監査等をやって事後のフォローはきちんとやっているということで、1.0ということになりました。

【河野臨時委員】  分かりました。

【阿曽沼臨時委員】  よろしいですか。

【富田分科会長】  はい、阿曽沼委員、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  前後の文脈がよく分からないんですが、これは不適切というよりも不正に近いんではないかという感触を持つんですね、完全なルール違反である。例えば、通常、契約そのものを差し替えてしまって補償金が支払われる、その差替えっていうのは組織決定をされて行われたのかどうなのかとか、それから一件目の方でも、支払いをしないという事案は、しないということをどういうプロセスで決定されたのかとか。なおかつ、ジョイントベンチャーに金銭面で協力を依頼するということを、不適切という一言で片づけていいのか。むしろルールそのものに違反しているんではないか。
 ルールがいいか悪いかというのはまた別の問題で、ルールがある以上そのルールに沿っていくという判断の基準がないと、例えばこういう不適切、不正な事例があったときの業績勘案率の考え方というのは、すべて違ってきたのではないかということなんですね。
ですから、私は、もう非常に不正に近いと、組織としては不正に近いというふうに思うんですが、この辺はいかがなんでしょうか。

【平野調査官】  この件につきましては、昨年の7月もこの事案が出たときに、これは、法人全体の業績は良好であるが、この事案に係る担当、用地担当の理事とかそこの責任が重大であるとして、個人業績を0.9としてあります。これについては、既に前回も個人業績で落とすということで、担当の理事等も0.9にしております。それで、この副理事長も、所掌としては業務全体を掌理するというのが副理事長の職務ですので、そういう副理事長の職責に照らして、副理事長の個人業績を落としたということです。

【阿曽沼臨時委員】  業績がいいのか悪いのかということをこの判断の材料に加える必要は全くないというふうに思うんですね、一般的に言えば。ですから、どういうプロセスにおいてこういう処置が行われてきたのかということをきちんと検証した上で、そこに組織での機関決定の在り方とか、若しくは、こういう事案が起こったときにルール違反として規範としてどういうふうに判断をするのかといういわゆる考え方とか、そういうことがやっぱりきちんと明らかになっておかないと、これに類するようなことは我々のワーキングでもいろんなワーキングでも同じようなことがあると思うんですが、そのワーキングごとに判断がもしぶれるとすると、今後いろいろなかなえの軽重を問われるのではないかということを、常にいつも思っているものですから、少し起承転結がはっきりできるといいかなと思って提案いたします。
 ワーキングの中で、これはもう全然、こういう不適切な事例で0.9だということであれば、もうそれはしようがないと、納得いたしますけれども、業績勘案率の中におけるこういった事例の取扱い方みたいなことを、少し我々の中もきちっと同じような価値観で判断ができるようにしたいなと思います。

【富田分科会長】  はい、どうぞ。

【岡本臨時委員】  個々の事案については、情報を何も持ってないので分からないんですが、監事監査というのは何なのかなということが素朴な疑問として、今のお話を伺っていてありまして、理解はよく分からないんですけれども、独立行政法人の監査は別に財務上だけではなくて業務の監査もやっていますよね。したがって、監事監査において、不適切あるいは不正なものを発見しないといけなくはないんだろうけれども、例えば今の水資源機構のような事例について、監事が分からなくていいのだろうかという気がするんですね。で、独立行政法人の監事監査が何をする仕事なんですかという質問に対して、どういう答えを用意するかということのように思うんですね、一般論として。その辺はすべての、今度、いろんな監事の方が多分退任されるんでしょうから、そこではやっぱりある程度共通の物差しがないといけないと、今、阿曽沼委員がおっしゃったのと私も全く同感でございます。

【富田分科会長】  どうぞ、山本委員。

【山本臨時委員】  この案件の議論のワーキングをやっておりまして、詳細については、途中から加わったものですから承知しておりませんが、私が事務局から聞いた範囲では、この不適切事案そのものが法に触れるとか、確かそういうものには該当しないということだったので、国交省も多分そういう処置をしたんですよね。確か新聞ざたになったんですけれども、そういう違法性自体はないということでしたので、確か用地部長さんなんかも文書厳重注意で。

【平野調査官】  そうです、はい。

【山本臨時委員】  そういう程度だったんですね。したがって、その科料から見て、副理事長なりあるいはその前の理事は、これぐらいの監督的な責任として0.1ぐらいの減算がせいぜいのところではないかという結論に至ったというふうに、私は記憶しておりますが、それでよろしいですか。

【平野調査官】  そのとおりでございます。

【富田分科会長】  はい、岡本委員、どうぞ。

【岡本臨時委員】  別にこだわっているわけではないんですけれども、放射線医学総合研究所の監事が0.9で、水資源機構が1.0と、この違いはどこにあるんでしょうか。

【平野調査官】  放射線医学総合研究所自体が、国研時代からこういう架空請求による不正経理が続いていたということと、それから、関係した人が、予算にかかわっている研究員百十何人のうち43人も関与していたということ。これはもう組織ぐるみの研究費の不正使用であったということで、この放医研につきましては、こういう不正経理によって国民から信用を失墜させたということで、法人の業績自体が良好とは言えないんじゃないかということで、法人業績のところでこれは0.9となっております。

【岡本臨時委員】  あえて言うと、文科省が機関業績を1.0にしたのは、ここでは1.0ではないよということですよね。

【平野調査官】  文科省は0.9としているんですけれども、その他のところで、不正があったということで0.9としていて、法人全体として法人業績で責任をとったのか、個人の業績にかんがみて全体を0.9にしたのか、そこは明らかになってないわけなんですね。ただ、不正行為があったから全体として0.9にしましたということなんです。

【岡本臨時委員】  で、水資源の方は、今のでいうと、それほど組織的ではなかったということですか。

【平野調査官】  そうですね。現場の事務所の人が、徳山ダムの工事事務所の所長がやったということですね。

【岡本臨時委員】  監事の職責というのは、本部というか組織全体と一事務所は、不正があったら、そこへ違いが生じるものなんですか。こういう公的な機関の独立行政法人の監事という職にあられる方が、やっぱり、組織全体に蔓延していたのと、一地方事務所がやったことで、それで違ってくるものなんでしょうか。

【平野調査官】  放医研の場合は、監事の職責というよりも法人全体の業績が良好でないという形で。

【岡本臨時委員】  いや、ですから、それは分かっているんです。監事の職責として、全然責任がないのかどうかということを確認させていただいていて、それが法人全体に及んでいる行為に対しては責任があって、一地方事務所の問題についてはあまり責任がないと、そういう理解をしたんですね。そういうことなんですか。

【河野臨時委員】  先ほどは、監事は経理をやって、行為には関係がないからということではなかったかな。

【岡本臨時委員】  その辺は、先生、私も確認はさせていただきたいのですが。

【河野臨時委員】  法人によって監事の在り方が違うとするとね。

【岡本臨時委員】  ええ。というふうに聞こえますよ。

【河野臨時委員】  こちらでの判断が変わってしまう。

【平野調査官】  今回の場合ですと、例えば徳山ダム関係ですと、索道補償に係る不適切事案というのは、発生してからこれが明らかになるまで1か月と短期間であったわけですね。ですから、そこにおいて、監事がなかなか発見するのは難しかったんじゃないかと、そこは個別の案件によって、水資源の場合は判断したということです。

【樫谷分科会長代理】  監事の責任というのは、ある意味では監事は監査することでオールマイティーになっているので、あらゆることをしなきゃいけないということがあるわけですが、実際上はやっぱり限界があるんではないかなと思うんですね。例えば、放医研の場合は組織ぐるみであるということで、組織ぐるみを発見できなかったというのは、やっぱり監事の責任であると。ただ、法人の責任に更にその監事の責任を加算してしまいますと、もうダブルで引くことになるのかなというふうに私は一瞬思ったんですね。だから、法人全体の問題なんだから、これはもう法人として、監事も含めて0.9です、まあ、0.9が適切かどうかは別として0.9ですと。
 ただ、この徳山ダムの場合、私は以前、担当ワーキングに参加させていただいておりまして、監事もいろんなところを、ダムを回ったりしていると思うんですが、やはりローテーションでやるということもあるので、理論上あらゆるものを発見すべきであって、何か起こったら全責任を監事が取らなきゃいけないということになりますと、私も会計監査を以前やっておりましたので、おそらくほとんど不可能だと。ただまあ、徳山ダムの建設現場にたまたま行って、その調査もしないで見ただけで帰ってきたとかいうようなことがあったら、これは確かに監査に落ち度があったということになりますので、おそらく何かの監事としての減点はあってもいいのかなと思うんですけれども。ましてや、今の平野調査官のお話のように、やったことと発見したことのタイミングが非常に近かったというようなこともあって、多分監事としてはなかなか発見が難しいんではないかなと。行ったとしても難しかったかも分からないし。
 かつ、あらゆることの不正、不適切事案について監事がその責任を負うということになりますと、おそらく監事になる人はいなくなるんじゃないかなということもありまして、会計監査の立場にいましたので、少し監事寄りの発言かもわかりませんが、組織ぐるみのものとやはり個別の、それも重要な案件ではあるけれども、全体から言うとそんなに大きな金額でもないということから見て、これを監事の責任と言い切るのは少し難しいのかなと、私、これを見ましてこのような判断をいたしました。

【富田分科会長】  はい。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【縣臨時委員】  今の御議論は、阿曽沼委員が最初におっしゃったように、この全体の表を国民が見たときに、かつ補足情報としてそういう不正のことが分かったときに、一方の監事についてはこういう判断をし、他方の監事についてはこういう判断をしている。かつ、意見書にはそういう説明がないということになったときに、我々の判断が本当に適正なのかと問われるのではないかということだと思います。ですから、今こういう議論をしていて、監事の本質をも議論した。その上でこういう違いが存在するということが、議事録を見てくれた方はお分かりになっても、一般的にはそこまで御覧になる方がいらっしゃらないだろうということになれば、この公表の仕方についても何か、たまたま同時にこういうことがあるとすれば、何か配慮をした方がいいのではないかということではないのでしょうか。

【富田分科会長】  はい。非常に難しい問題なわけですが、さはさりながら、業績勘案というもので各独法にそして国民にメッセージを送るという重要な役割を担っているんですけれども、ほかに。河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  今お話しになっている部分ですね、いろいろな省庁のものを一遍に出したときにどうかということで、ちょっと関連する別の観点かと思うんですが、今回のこの検討の過程でちょっと気づいたことというか意見を申し上げさせていただきます。
 今回、私が所属しておりますワーキングで担当している住宅金融支援機構の理事長代理の業績勘案率は0.9ということで先ほど説明があったんですが、同じような政策金融の仕事をしている機関で、日本学生支援機構の理事長というのが挙がっています。こちらの方は1.0ということで特に御説明はなかったんですね。それぞれどういう判断が各省でなされたのかということを拝見すると、学生支援機構の方は、資料2−5−2の別紙に出ているとおり、機関業績勘案率1.0、個人業績勘案率も1.0、そして結論1.0ということで、この御判断自体にも、ワーキングの御判断にも私は全く異論はございません。
 ただ、日本学生支援機構は、この分科会でもこれまで何度も話題になっていますように、奨学金の回収率が非常によろしくなくて、制度としてきちっと回っているとはとてもじゃないけども言えない状況にあるというふうに認識しております。そこのトップであった方について判断をするときの業績勘案率が幾らということよりも、むしろその機関の業績に対する評価に1.0がついている。片や、国土交通省所管の住宅金融支援機構の方は、基準業績勘案率という書き方になっていますが、要するに法人の業績に対する評価を0.9としてきている。
 今の制度上では、文部科学省は文部科学省で独自の基準をきちんとお作りになって、目標も設定されて、そして評価項目もたくさんお作りになられて、その上できちんと計算の式とかも決まっているように伺っておりますけれども、出してくると1.0になる。片や国土交通省が所管している住宅金融支援機構の方は0.9だと。ただ、そこには、確かに文科省とは評価の計算の手順であるとか項目の設定がやはり違うところがある、そういう事情も影響していると。それから、目標の立て方も多分影響しているんではないかと。先ほど平野調査官から、目標が達成できていないということからという御説明がありましたが、そもそも立てている目標の設定も違うのではないかと。
 今回私が申し上げたいと思いますのは、今回のこの業績勘案率の結論がどうかということよりも、それ以前の重要な問題として、このような類似したような業務を行っている機関の業務の評価をするときに、現在の独法評価の制度上、各府省が評価をなさって、それを政独委が2次評価するということで、今の枠組み上、本当に限界があろうかと思うんですが、実際にこういう違う結果が出てきてしまっている。これは、例えば政府の補給金が日本学生支援機構に幾ら出ていて、住宅金融支援機構に幾ら出ていてと、数字を独立行政法人総覧で確認すると、1けた、住宅金融支援機構の方が多いんですけれども、別にそういう問題でもないと思いますし、そういう点で、横ぐしを通した評価ができているかというと、やはりそこがまだ足りないのかなと。
 ただ、これは今の通則法というか現在の独法評価の枠組みの上ではどうしようもないことなのかなとは思いますが、やはり先々に向けての問題意識として、別に業績勘案率でたまたま同時に出てきたからということではなくて、機構の評価を毎年度毎年度やっているわけですけれども、そのときの問題として、今後考えていった方がいいんではないかと思いまして、申し上げさせていただきました。
 少し長くなってしまって申し訳ございません。

【富田分科会長】  はい、ありがとうございます。評価というのは非常に難しいものなんです。だからこそ、市場経済でできる部分というのは市場にゆだねているわけでして、これまあ、ある意味、神への挑戦みたいなことをやっているわけですけれども、そこにおいてできるだけ説明責任が果たせるようなものでなければならないと。多分、今日皆さんが御指摘になった点が、極めて重要なことだと思います。阿曽沼委員がおっしゃった、プロセスをきちんと踏んでいるかどうかという、プロセスについての責任という観点というのが、まずやっぱり必要だろうと思います。しかし、省庁を超えたものの評価についてはなかなか難しいように思います。目標設定の在り方というものも大きな影響があるというのは、今、河村委員がおっしゃったとおりでして、できそうもない目標であればやっぱり0.9になっちゃうという、この住宅金融支援機構の場合は多分そうなのかと思います。
 そのほか、いろいろ難しい問題があるんですけれども、そういうことを含めながら、独立行政法人がやはり国民に対してよりよい行政執行をしていただけるように、そういうメッセージになることが一番大事かなということで、現段階におけます最善の結果を通知したいと思います。
 それでは、各府省の独立行政法人評価委員会から通知されました、役員の退職金に係る業績勘案率(案)について、お諮りをいたします。本件について、分科会の回答につきましてはいろいろ御意見があるところではございますけれども、案のとおりとさせていただくことで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」との声あり)
 よろしいですか。御意見も多数あることは、これ、評価が難しいんで、あると思うんですけれども。
 それでは、異議なしということでそのようにさせていただきます。事後の処理につきましては、私に御一任いただくこととさせていただきます。
 続きまして、報告事項があります。まず、行政評価局長と行政管理局長のもとに置かれております、独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会が現在まとめております報告書(案)について、事務局から研究会の経緯等について説明の後、座長である樫谷分科会長代理から御報告をお願いいたします。

【平野調査官】  それでは、事務局の方から、独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会について、簡単に御説明いたします。
 研究会自体は、昨年1月の独法分科会において樫谷分科会長代理から、独法の内部統制といいますと、法令遵守ばかりが強調されておりますけれども、内部統制の本来の目的の中には業務の有効性とか効率性があり、こういうものは独法のマネジメントや評価にとっても重要であることから、独法の内部統制とは何かを今後勉強していったらいいのではないかという御発言や、当時、独立行政法人整理合理化計画において、独立行政法人の内部統制の在り方について第三者の専門的知見も活用し検討を行うとあったことなどから、独法評価を担当する行政評価局と独法制度を所管する行政管理局とで、樫谷分科会長代理を座長、鈴木委員を座長代理、独法の監事さんとか府省評価委員会の委員、そういう方々に集まっていただきまして、昨年の7月に研究会を立ち上げております。
 研究会では、10月以降、内部統制について先進的な取組を行っております民間企業や独法からもヒアリングを行いながら、独法の内部統制についての検討を進めていただいておりました。
 研究会の開催自体は先週の金曜日、19日で終了し、研究会終了後、その段階における報告書(案)を樫谷座長から階政務官に御説明したところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【樫谷分科会長代理】  それでは、樫谷でございます。独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会の座長をさせていただいておりますので、私の方からそのポイントをできるだけ短時間で御説明したいと思います。
 先ほど平野調査官の方からも御説明ありましたように、独立行政法人においても内部統制を導入する必要があるんではないかと私はもともと考えておりまして、そのような御提案をする中でこのような研究会を作っていただいたということであります。それは、企業に、公開企業と言ったほうがいいでしょうかね、公開企業については、内部統制を整備することが強制されている、チェックも受けるということになっておりますが、ただまあ、いろんな企業において、上場会社において、公開会社において、内部統制を導入はしたんですけれども、評価もいろいろありまして、少し重過ぎるんではないかとかいろんな御批判もあります。それをそのまま独立行政法人に入れることも問題であろうし、それから、独立行政法人と企業ではやはり目的が違うので、したがって、そのまま導入することも問題であろうということでございます。
 そこで、いろいろなところからヒアリングをさせていただきました。民間企業、住友商事ですが、政独委の委員長であります岡委員長の所属されているところでありますが、聞くところによりますと、岡委員長が当時、もう五、六年前、まだ内部統制云々といわれる前から相当研究を重ねられまして、住友商事で数年かけて、四、五年かけて、内部統制について本格的に導入しようということで議論されて、非常にいいものが出来上がったというようなお話でございましたので、それを聞きました。そのほか、独立行政法人から、国立美術館だとか製品評価技術基盤機構とかあるいは農業・食品産業技術総合研究機構とか国立病院機構とか水資源機構などについても、ヒアリングいたしました。
 聞いた上で、「独立行政法人における内部統制の意義等」として、まず、一番の問題の意識は、独立行政法人における内部統制というのはどんなものだろうということが一番のポイントになっておりまして、したがって、それは独立行政法人と企業とどこがどう違うんだろうと。企業が一応のベンチマークになりますので、どこがどう違うんだろうと。その違う部分について、少なくとも内部統制も違うんではないかなということでいろいろ議論いたしました。
 その上で、次に、「独立行政法人における内部統制とは」ということで定義をいたしまして、その定義を達成するために、内部統制の目的とか基本的要素、これはCOSOレポートのフレームワークをベースに若干アレンジをいたしまして議論したということでございます。それから「内部統制に関係を有する者に期待される役割と責任」として、法人の長だとか職員の方とかあるいは監事だとかあるいは評価委員会とか、そういうようなものに対して期待される役割と責任について議論しております。それから「内部統制の取組に関する留意事項」につきましては、取組をするときにどういうことに注意をしたらいいのかというようなことについて、住友商事さんなどにお聞きいたしましたことについて、なるほどと思われるようなことについて主に議論させていただいたということであります。
 それから、2点目として具体的取組というところで、内部統制といってもなかなかよく分からんというのがありますので、じゃあ具体的にどんなものなのかということを少し例示してみようと、様式例なんかも含めて示してみようということでございまして議論いたしました。
 3点目として、「独立行政法人における内部統制に関する監査及び評価の視点」ということで、内部者の視点として独法のマネジメントの内部の人の視点、あるいは外部の視点の監査・評価の視点を議論してございます。
 それから、4点目につきましては、「独立行政法人における内部統制の整備・運用上の課題」として、これをいろいろ検討しておる中で、今後、独立行政法人通則法を変えるという流れもあるようでございますので、それに向けて、整備・運用上の課題についても報告書に記載しようということで議論いたしました。
 このポイントのところをもう少し詳しく申し上げますと、「独立行政法人と民間企業とのリスクに対する考え方の相違と内部統制」として、つまり、内部統制の定義をするに当たって、民間企業と独立行政法人とはリスクに対する考え方が少し違うのかなということであります。どこが違うかといいますと、企業の目的は、様々でありますが、結果はやはり利潤を獲得することであると。最大の利潤、極大利潤というんでしょうか、そういうようなものを追求するということにあるわけです。一方、独立行政法人につきましては、公共上必要とされるサービスを効果的・効率的に提供するということであります。そういうことでありますので、つまり利益追求ではないということであります。そうすると、ここから相当、内部統制における考え方に違いが出てくるんではないかということであります。
 企業におけるリスクはどうなのかといいますと、企業というのは利益を追求するためにあるわけですね。したがって、利益を確保できない場合は存続することが困難となるということであります。これは、当然のことであります。そうすると、その構成員の活動というのは、ある程度のマネジメントが適正化されれば、おのずから利益を追求するという行動に向くであろうということであります。住友商事さんから聞いたときもそのようなことをおっしゃっていました。
 したがって、逆にそのリスクというのは何なんだということになりますと、つまり行き過ぎるというんでしょうか。企業の構成員が利潤の最大化を優先し過ぎる余り、法令違反とか不適正な財務報告を行うことによって企業の社会的信用をなくし、結果的に企業の存続を危うくするようなことがないように、利潤の最大化はもちろん考慮しつつ、このようなリスクに対応するための内部統制を充実・強化することが、民間企業については重要じゃないかということで、整理させていただいております。
 次に「独立行政法人におけるリスクの考え方と内部統制」として、独立行政法人におけるリスクとは何なんだろう、どういうリスクがあるんだろうということなんです。独立行政法人制度では、中期目標による管理等を政府が関与することが法律的には組み込まれておりますが、したがって、法律の枠内で、与えられたミッションを果たすために複雑で多種多様な目標・計画を効率的にあるいは効果的に達成することが、その目的になるんではないかなということであります。
 したがって、ここから考える独立行政法人のリスクというのは何なのかということなんですが、法令遵守とか財務報告の信頼性を阻害する要因もこのリスクでは当然あるんですけれども、今まで少し中期目標のところで、この会議の最初のところで議論されましたように、例えば「法人のミッションを果たすために与えられた中期目標を中期計画においてより高い水準で具体化させることや、法人内において高い目標を設定してもそれらを効果的かつ効率的に達成することを阻害する要因」というものがあります。これは何のことを言っているのかと言いますと、責任を不明確にするために目標をあいまいにするというリスクがあります。あるいは、目標・計画の達成を容易にするために高い目標を設定しない、こういうリスクもあるということです。また、せっかく設定した目標を効果的・効率的に達成しないというようなことも、独立行政法人におけるリスクとして考えられるのではないかなということであります。住宅金融支援機構のほうは逆に高過ぎてなかなか達成できないものが修正できないと、こういうようなこともリスクのうちに入るのかもわかりません。
 すなわち、目標とか計画そのものについて、合理性というんでしょうか、明確にするとか、あるいは高い目標をつくるとか設定するとか、そういうようなこともこの内部統制を考える上では大事ではないかなというようなことで、ここで整理をさせていただきました。
 で、整備されていれば、法人の長による強いリーダーシップの下に、各職員に法人のミッションの重要性と自らの役割を認識させた上で、具体的で高い目標・計画を効果的・効率的に達成するための阻害要因を組織として共有し、法人全体として前向きに対応していくため、独立行政法人の長によるマネジメントを強化するための有効な手段の一つとして、内部統制の充実・強化を行うことが重要である。そういう一つの手段として内部統制が存在するんだというように考えております。整備されてないといろんな問題が起こりますというようなことも、続いて議論しております。
 次に、独立行政法人における内部統制の定義でございますが、本研究会では、独立行政法人における内部統制とは、「中期目標に基づき法令等を遵守しつつ業務を行い、法人のミッションを有効かつ効率的に果たすため、法人の長が法人の組織内に整備・運用する仕組み」と、こういうように定義いたしました。必要性についても、内部統制の有用性の問題だとか、あるいは業務実績が複雑であるとか、あるいは職員のインセンティブなどについても議論していきました。
 それから、「内部統制の目的と基本的要素」として、これはまあ、COSOレポートのフレームワークを参考として、内部統制の目的と内部統制の基本的要素というんでしょうか、目的が、業務の有効性・効率性、法令等の遵守、資産の保全、財務報告等の信頼性に分類しました。財務報告「等」としたのは、企業にとっては財務報告がメインかも分かりませんが、独立行政法人にとっては、財務報告だけではなくて非財務情報というのも非常に重要であろうということで、「等」という表現の中で、情報の信頼性という意味で整理させていただきました。
 それが目的でございまして、それを守るための内部統制の基本的要素としましては、統制環境、リスクの評価と対応からICTへの対応まで整理させていただきました。
 それから、あとお話したいのは、具体的取組を整理させていただいたということであります。これにつきまして、統制環境など議論しているんですが、非常に分かりにくい表現でもありますので、一体どういうことを言っているのかというようなことについて、リスクの識別だとか評価とはどういうことなのかということについて、図表なども作成して整理しておりまして、ミッション、中期目標、それから外部環境・内部環境など、先ほど中期目標と計画との関係はどうなんだというようなお話も出ましたけれども、全体が大事なわけですね、ミッション、中期目標、中期計画、それから年度計画、それからこれがアクションプランになってなきゃいけない。つまり、これが全部整合してなきゃいけないわけですね。体系化してなきゃいけないだろう。で、体系化されることによって、長の意識と現場の部門あるいは現場の担当者が一体となって、現場の方の自分の全体の中の位置付けもはっきり分かるし、これをやることによって参加意識が非常に強まるということで、こういうようなことをやはりたな卸し的にやって、毎年見直していかなきゃいけないんじゃないかということでございます。
 住友商事さんにお聞きしたときも、業務のこのような全面的なたな卸しをやりましたと。そして整合性を全部取りましたと。そこが、非常に意欲が高まって、住友商事の一体感が非常に強まりましたというようなことで、内部統制を導入したことについて高い評価をされておりました。それをお聞きいたしまして、私どもも、研究会といたしましても、このことが重要じゃないかということであります。
 それから、もう余り時間もないのですが、課題について整理してございます。まず「適切なガバナンスの必要性」ということであります。これは、法人の長自身が適切に規律される仕組みだとか、法人の特性に応じたガバナンスだとか、あるいは、内部統制の取組から得られる情報の信頼性の確保の問題だとか、長がリーダーシップを発揮できる環境の整備だとかいうことであります。2点目として「目標の具体化、定量化等の必要性」ということの中で、具体的かつ定量的な情報に基づきモニタリングできる環境の確保が必要だとか、適切な評価指標の設定が必要だとか、あるいは、「中期目標の設定に係る独立行政法人の関与の必要性」ということで、これ、何を言っているのかといいますと、先ほども議論に出ましたけれども、中期目標につきましては大臣が、主務省が与えるものであり、そういう意味では、独立行政法人については何の権限もないわけですね。それをもらった上で、具体的な中期計画を書いていく、年度計画に落としていくということでございます。ところが、独法制度が導入されてもう9年もたっています。確かに、政策というんですか企画立案は主務省がやり、実施の部分は独立行政法人がやるんですけれども、9年もあるいはもう10年近くなりますが、やっておりますと、相当なノウハウも、企画立案の一部のノウハウもたまってきているんではないかと。むしろ、逆に、主務省の方が実施部隊を持ってないことによって、企画立案能力が下手したら劣っている可能性もあるんではないかという問題意識もございました。
 それから、もう一つは、主務省と独立行政法人が受注・発注の関係にあるわけですね。目標という形で発注をして受注を受けるという形になりますが、独立行政法人は受注責任もあるはずなんですね。特に、いろいろ評価を進めるに当たって、中期計画の見直しなどをしている上で、例えばある課題があったときに、これは目標に書いてあるからやらざるを得ないんだというような弁明もありますし、逆に言えば、あれは独立行政法人の問題だからということで主務省の方も逃げてしまうというようなこともありますので、当然、与えられたもので受注するからには受注責任もあるだろうと。そのためには、やはり、その一部を独立行政法人も目標に対して何かの関与をしていただく制度設計が必要なのではないかというような問題意識もあって、このように整理させていただいたということであります。
 ちょっと長くなりましたけれども、説明を終わりたいと思います。以上であります。

【富田分科会長】  はい、ありがとうございました。それでは、ただいまの樫谷座長からの御説明につきまして、御意見、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。
 はい、縣委員、どうぞ。

【縣臨時委員】  これだけの御議論をしていただきまして、また、こういう研究会を重ねていただきまして、まとめていただいたことに対しまして、委員の一人といたしまして心から御礼申し上げます。
 企業と独立行政法人のリスクについて根本的に相違があるという整理をしていただいたことは非常に重要だと思うんですが、一方で、企業については利潤が確保できないと存続できないという説明がございました。他方、独立行政法人については内在的なリスクについてかなり重きが置かれていると感じています。それに加えて、外在的に与えられているリスクということについてはどう考えたらいいか。つまり、ニーズが存在するので、たとえ利潤が上がらず赤字になっても実施しなければいけない任務というのが政府には与えられていると、私は認識しています。それはなぜかというと、市場にさらしても参入する者がないからかもしれない、あるいは、市場の原理で達成しようとすると、本来求められているニーズが充足されないかもしれないということがあると思います。
 この点を考えたときに、内部統制の体系に影響はないのでしょうか。

【樫谷分科会長代理】  樫谷でございますが、今の、つまり独立行政法人の目的というのは、採算性ももちろん考えなきゃいけないんですけれども、非常に複雑、多種多様であるということであります。したがって、採算性が必ずしも合わないようなところに対して一定の業務を、主務省としては、必要だからということで指示することがあるわけです。ただ、それが非常にあいまいな指示の仕方になっているわけですね。したがって、中期目標・計画についても非常にあいまいな受け方をするということになります。そうすると、せっかくそのように、ある意味では、財政の厳しい中、そのような配慮をして業務を実施する場合でも、本当にそれが有効かつ効率的に、効果的にできているのかどうかということについて、よく評価ができないということです。
 したがって、ここでは、目標・計画を具体的にしてくださいと。かつ、効果的にしてください。それも独立行政法人の長の責任ですと。言ってしまえば、目標についてのある程度注文をきちんと出すと。つまり、現場が分かっているはずですよね、独立行政法人は。そうすると、こういうやり方のほうがもっといいのではないかとか、そういうような注文も出せるはずですよね。そんなようなことで、より具体的、中期目標も計画的になるでしょうし、当然、中期計画は受注した責任としてさらに具体的に書いて、それも高い目標、具体的な目標を書いていただいて、それを有効かつ効率的、効果的に実施できるように仕組みを組んでいくのは、法人の長の責任であると。それを単にアクションプランまで最終的には落としていって、そして、現場まで参加意欲を持って、あるいは全体の中の位置付けも了解していただきながら実行していただくというような仕組みが、これが内部統制ではないかということであります。
 したがって、内部統制というのは、企業とは少し違うと言うとちょっと語弊があるかも分かりませんが、例えばINTOSAIという会計検査院なんかの国際的な組織があるんですけれども、そこでは、鈴木委員からお聞きした方がいいのかも分かりませんが、公的部門の内部統制というのは公的部門の経営管理そのものなんだというような定義に、どうもなっているということであるようです。
 回答になったかどうか分かりませんが。

【縣臨時委員】  今賜りましたお話のコンテクストで申し上げますと、目標をできるだけ明確にしなさい、そしてそれを具体化する計画を立てなさいということについて、全く異存はありません。ただ、立てた目標が、ニーズを充足するためには必ずしも達成できないという場合があり得るということを、どう捉えるかということだと思います。それによって、この法人が全く評価できないのだと言ってしまうと、利潤が上がらないことを覚悟で与えている任務そのものを否定することになる。そうすると、政府の存続そのものを否定すること、あるいは存在意義そのものを否定することになると、私は常々、この評価に加わりながら感じているわけです。ですから、その点をどう考えたらいいかということだけでございます。

【樫谷分科会長代理】  必要なことについて目標を設定するんだけれども、それを達成できないことがある場合、どうすればいいかということなんでしょうか。

【縣臨時委員】  それが達成できなかったと否定してしまうと、その法人の存続そのものも否定されてしまう。そうすると、その任務というのは政府しかできないからやっていることなのであって、もうそれは仕方がないじゃないか、というふうに言うことは許されないのかということです。

【樫谷分科会長代理】  達成できないこともあるかも分かりませんが、これはPDCAサイクルの話でありまして、じゃあなぜ達成できなかったのかということの、当然、つまり、アクションプランまで計画をするので、実は、なぜ達成できなかったか、あるいは計画がまずかったのか行動がまずかったのかという分析ができるんですね。ただ、今のような抽象的なものであれば、達成できなかったのはどういう理由で達成できなかったのか、これはまあ企業でも同じなんですけれども、抽象的であればあるほど、達成できなかった理由の分析ができないんです。具体的になっていれば、なるほど、どこがどう間違っていたので、計画が間違っていたということもあるかも分かりませんが、達成できなかったということも実は分かるんですね。したがって、次のプランに結びつけることができるというふうに、私は、企業のコンサルティングの経験からも、何となくそう思っておりまして、これはパブリックセクターである独立行政法人も同じであろうと。
 だから、できなかったからすなわちやめろということではなくて、必要なことならば、どういうやり方をやったらいいのかという、やるための分析が必要なんですね。で、分析をするためには、アクションプランまで落としていかないと、つまり具体性がないと、多分、分析をしても非常に抽象的な、いわゆる空中戦になってしまって、地に足の着いた議論が多分できてないんではないかなと思いますね。ということは、せっかくやらなきゃいけないようなことが、結果的にいつまでもできないということが起こってしまっているんではないかというのが、ちょっと回答になったかどうかわかりませんが、縣委員の御質問についてはそう思いますけれども、いかがでしょうか。

【富田分科会長】  はい、鈴木委員、どうぞ。

【鈴木臨時委員】  先ほどちょっとちらっと出ましたので。公的部門では、内部統制ということよりも、これは別に諸外国の例ということは必要ないんですけれども、やはり一般的には、財務報告については財務情報についての適正性の内部統制ということで、非常に狭義にとらえられているんですが、公的部門では、経営管理統制と同じ意味だと、業績管理統制と同じ意味だというのが、もうこれは大体一般化しているんですね。そこで、先ほどのようなお話が出たんですけれど。
 それと、今、縣委員から質問があったことについては、監査とか評価の視点として、「事前の計画や目標以外から得られた成果の内容は何であったか(得られたか/得られなかったか、どのようなものであったか)に対する評価」とか、「計画や目標は妥当であったか。妥当でなかったならば、どのように見直せばよかったか等に関する改善を目的とした評価」ということを、これは評価では行うわけですけれども、その評価ができるように、また逆に、ここでいう内部統制のいろいろな報告とか、業績測定という言葉もこの中に入っているんですけれども、そのようにやっていって、今おっしゃったようなことの改善を常にしていくと、こういうふうに考えております。

【樫谷分科会長代理】  それに追加して、ちょっとよろしいですか。
 ここは中期目標の達成ではあるんですけれども、今の通則法の体系はそうなっていますが、中期目標に基づき、基づくのは当然なんですけれども、法令等を遵守しつつ業務を行い、法人のミッションを有効かつ効率的に果たさないといけないんです。ただし、それは中期目標に基づくものですよというようなことを整理してございます。したがって、最終的にミッションを果たさない限り、目標だけ果たして、あるいは果たす・果たさないというだけの議論では、意味がないと言うとおかしいんですけれども、ないんではないかなということで、定義の方も、「目標を達成」と、あるいは「有効かつ効率的に」と最初は議論したんですけれども、やはり最終的にはミッションだろうというようなことで、このような定義にさせていただいたということであります。

【富田分科会長】  岡本委員、何か。お手が挙がった。はい、どうぞ。

【岡本臨時委員】  ありがとうございます。ちょっと幾つか御質問みたいなところと、確認をさせていただきたいんです。
 まず、座長の樫谷委員に確認させていただきたい点がございますのは、先ほど鈴木委員もおっしゃった、公的分野の内部統制は経営管理統制というふうに理解があるということなんですけれども、全体の御主張というのは、現行の通則法の枠組みの中で果たして実現することが可能なのかどうかという点です。特に、経営管理というところを強調するんであれば、指摘していらっしゃるようなことをどのように通則法に落とし込む必要があるのかどうか。というのは、今の通則法では経営管理のことはほとんど何も書いていないというのが私の理解なんですけれども、そこをどういうふうに考えていらっしゃるのかが、まず第1点。
 それから、二つ目は、ちょっと気になったんですけれども、独立行政法人の今の枠組みは長がオールマイティーの設計になっているかと思うんですが、長以外の役員というものに対してどのように考えていらっしゃるか。長についてはあるけれども、それ以外の役員についてはどうなのか。他方で、独立行政法人は長に権限が集中し過ぎているんではないかというような批判もあるように聞いておりますので、その辺りはどう考えていらっしゃるか。
 で、関連をするのは、目標管理のところで強調されていたのは、目標設定をするときに独立行政法人側の意見を聞くようにというような整理をされていると聞いていますが、これ、国立大学法人のイメージにも近いようなイメージだと思うんですけれども、これはどのようなことを適切と考えていらっしゃるのかどうかということです。
 で、これを踏まえて、事務方というか局長がいらっしゃいますので、局長がお考えになっていらっしゃる、この研究会の議論を受けて、今後、独立行政法人の制度の改革が行われるんであれば、どのようにこの研究会の議論を反映していかれるように現時点で思っていらっしゃるのかという御質問をさせていただきたいと思います。

【富田分科会長】  はい、お願いします。

【樫谷分科会長代理】  それじゃあ、私の方から。
 経営管理について、経営という概念は通則法ではなかなか難しいんではないかというようなことですよね。そういうこともあるのかなと思っておりますので、したがって、最後の課題のところに述べさせていただきましたように、完結するかどうか分かりませんが、やはり目標についてある程度発言権といいますか、一定の発言権がないといけないんではないかと。
 例えば、企業の場合でいうと、親会社と下請との関係であったとしても、やはり親会社の意向を受けるんですけれども、下請の意向もきちんと伝えた上で受注をしていくわけですよね。だから、経営と言う以上は、やはりある程度の完結性がないといけない。それにはやはり、中期目標が全く与えられてないものであれば、これは経営にはならない可能性が高いとは思っておりますけれども、ただまあ、運営というのか経営というのか、その辺は定義の仕方によってまた違ってくるのかなとは思います。
 いずれにしても、我々は、内部統制の全容の中で、中期目標がぽつんと切り離されていれば、確かに経営という意味ではちょっと遠いのかなという気はいたします。
 それから、長以外についてとか、長の権限が強過ぎるのではないかということでございますが、それは課題として、適切なガバナンスの必要性ということで、長自身が適切に規律される仕組みということを整理してございまして、これが株式会社とちょっと違うのは、取締役に相当する理事が長に選任されるということになりますと、長の監視機能というのが相当劣ってくる可能性が高い。もちろん監事がチェックをしたり、あるいは別にまた評価委員会があったりするので、それは代替されているのかも分かりませんが、ただ、中の長に対するガバナンスとしても、やはり、取締役に相当する理事の位置付けを明快にしなきゃいけないかなというのはありまして、役員会の権限強化など、法人の長を更に規律する仕組みについて検討する必要があるとの意見があると、そのように整理させていただいております。
 それから、あと、国大法人と似ているようなことを想定しているのかどうかということでありますが、確かに表面的には似ていると思うんですけれども、むしろ国大法人と違うのは、政策立案そのものはやはり主務省がやるべきで、そこに対して独立行政法人の何らの発言権というのはそれほどないんではないかなと思うんですけれども、ただ、達成しなきゃいけない受注責任というのはあくまでも独立行政法人にあるわけですね。受注して達成しなきゃいけない責任はあるわけです。そうすると受注の仕方の問題だと思うんです。発注にもこうしていただきたいという発注の仕方あるいは受注の仕方があるわけですから、そういうことについてあるいは具体的な目標についてあるいはやり方について、9年も10年もやっております独立行政法人にも、相当の知見がたまっているのではないかなというようなことから、そのようなことを報告書に書かせていただきたいということで、私、国大法人のちょっと誤解があるかも分かりませんが、国大法人の場合は、ある程度全体的に意見が言えるわけです。独法はそこまでする必要はないのかなとは今は思っております。

【富田分科会長】  はい、局長、お願いします。

【田中行政評価局長】  ただいまの岡本委員からの、この報告書を総務省としてどういうふうに活用するかというお尋ねの点でございますけれども、まずこの研究会は、先ほど御紹介もありましたように、独法通則法を所管します行政管理局長とそれから私、行政評価局長の決定でもって開催をお願いしているものでございます。この前、研究会の最終回におきまして、私はちょっと欠席しておったんですけれども、行政管理局長の方から、これを十分活用させていただきますという格好でお答えをしております。
 具体的には、一つは、今後、分科会長とも御相談をいたすわけでございますけれども、早速に今年度、通則法に基づいてやっていただきます年度評価、それから中期目標期間終了時の見直し時の評価で活用していただけないかということを考えております。それから、もう一つは、一言で申しますと、現在、枝野大臣のところで、いわゆる行政刷新会議の方で、独立行政法人の抜本的見直しという作業をやっていらっしゃいまして、ここに反映させたいと思っております。御案内のとおり、暮れに閣議決定で、抜本的見直しの方向性についてはお決めいただいておりまして、その一方で、昨年12月には、いわば向こうの会議の方でも内部統制的な御議論はしてはいただいておりますけれども、今後、その抜本的見直しの手順、段取りが具体化していくはずでございますので、その過程でこれを活用させていただき、検討していただきたいと。で、御参考までですけれども、原口大臣の方からも、刷新会議の抜本的見直しについては、よく連携を取って協力するようにと言われておりますので、そのような立場でやらせていただきたいと考えております。
 以上です。

【富田分科会長】  はい。どうぞ。

【平池評価監視官】  岡本委員が先ほど、国立大学法人と似ているかどうかということで、樫谷代理が答えられたことに補足的な発言といたしまして、制度的には、国立大学法人の中期目標というのは原案を法人自身が作ることになっておりまして、そういう意味では、大学の自主性・自律性、大学の自治という観点から、文科省が与えるというよりは、そもそもまず原案を法人が作るんだというスキームになっております。おそらく、そういう意味でいえば、本日御報告いただいたことは、どちらかというと、もともと主務大臣が作るものに対してどう関与させるかという意味で、独法の場合あくまでも主務大臣の方が主であるということだろうと思うので、制度的には一応そういうことになっているということを補足させていただきます。

【富田分科会長】  はい、ありがとうございました。
 もう既に局長からお答えいただきましたけれども、本日の御報告を踏まえまして、今後の業績・実績評価の視点などにつきましての検討を進めまして、次回の分科会でその検討状況について事務局から報告をお願いいたします。
 続きまして、事務局から、その他の事項の報告がございます。

【横山評価監視官】  はい。資料3を御覧ください。先ほど話題になりました独法の抜本見直しについて、年末、12月25日に閣議決定したものであります。これは行政改革推進本部事務局が総務省と協議して作成したものであります。
 1行目に書いていますように、この閣議決定というのは抜本見直しをする際の基本的な姿勢と見直しの視点について書いたものであります。(1)を見ていただきますと、国民の不信感というのは払拭されていないという基本認識に立った上で、すべての事務・事業について聖域なく厳格な見直しを行うとしております。それから、(3)の2段落目の「また」を見ていただきますと、独法制度自体を根本的に見直すということを含めて、制度の在り方を刷新するということは決められております。
 それから、次の資料4を見ていただきますと、この制度の抜本見直しに先んじまして、今月の9日に独法通則法の一部を改正する法律案が提出されたところであります。これについては、その改正目的のところを見ていただきますと、財政基盤の適正化と国の財政への寄与を図るといった目的で作ったものであります。1番目としまして、独法の不要財産を処分するということを義務付けまして、その処分計画を中期計画へ記載することを義務付けるというものであります。さらに、政府出資について、不要財産について、国庫への返納、またはその不要財産を売却して金銭に換えまして、それを国庫に納付するということを義務づけるというものです。これに伴いまして、減資規定を定めるというものであります。また、独法によっては民間出資に係る不要財産もありますので、民間に対する払戻し手続も規定するといったものであります。
 それから、資料5であります。行政評価機能の抜本的強化に向けた検討資料といったものであります。これは、先週の17日に大臣ら政務三役が有識者に検討していただきまして、行政評価機能を強化するための検討会を開催していただいたものであります。独法分科会の関係では、委員長、分科会長、分科会長代理に御出席いただいております。
 2ページを見ていただきますと、行政評価機能の全体像ということで、行政評価局の4本柱であります政策評価、行政評価局調査、行政相談、独法評価について強化をすると書いております。
 それで、飛んでいただいて12ページであります。ここに、独法評価に係る今後の取組の案を示させていただいております。今後の取組としまして、中期目標期間終了時の業務見直しとして来年度は43法人が対象になっているということであります。それから、先ほど分科会長から御発言がありました業務実績評価の重要視点ということで、独法通則法の改正にも関連していますが、保有資産の見直しについて業務実績評価の重要視点として記載することを検討しているというものであります。不要資産を売却していただくということ、それから、資産をできる限り有効活用していただくということを視点として設けたらどうかということであります。それから、先ほど分科会長代理から報告していただきました内部統制の充実・強化を盛り込みたいと考えております。
 それから、局長から申しましたように、こうした刷新会議との連携についても模索していきたいといったものであります。
 以上、この検討会の結果につきましては、3月31日に行政評価プログラムといったものに盛り込むことを予定している状況であります。
 それで、今後の独法分科会の日程でありますが、4月上旬をめどに開催をしていただきたいというふうに考えております。案件としましては、分科会長から御発言がありました、業務実績評価の視点について審議をしていただくというものであります。それから、5月上旬をめどに、この視点について決定をしていただくということを考えております。詳細な日時、場所については後ほど連絡させていただきたいと考えますので、どうかよろしくお願いします。

【富田分科会長】  はい。それでは、ただいまの事務局からの報告、連絡事項につきまして何か御質問ございますでしょうか。どなたからでもお願いいたします。

【樫谷分科会長代理】  ちょっとよろしいですか。

【富田分科会長】  はい、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  追加で少しだけ、内部統制のことなんですが一言だけ。

【富田分科会長】  手短に。

【樫谷分科会長代理】  独立行政法人については、その制度改革というのは非常に重要でありますけれども、それに踏まえてマネジメント改革が必要であると、こういうテーマから取り組んでいるというものであります。
 以上です。

【富田分科会長】  はい。それでは、以上をもちまして、本日の政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は、御多用の中、御出席を賜り、ありがとうございました。

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