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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(7月25日開催)議事録

日時

平成23年7月25日(月)13時30分から15時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、山本清独立行政法人評価分科会長代理、田渕雪子委員、森泉陽子委員、縣公一郎、浅羽隆史、石田晴美、梅里良正、岡本義朗、梶川融、河野正男、河村小百合、木村琢麿、柴忠義、鈴木豊、瀬川浩司、園田智昭、
木佳子、野口貴公美(※)、宮内忍(※)、宮本幸始、山谷清志の各臨時委員
(※)を付した委員は、議決の一部に参加していない。

(総務省)
田中順一行政評価局長、宮島守男官房審議官、三宅俊光総務課長、横山均評価監視官、北川修評価監視官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

(1) 平成23年度の事務・事業の見直しについて
(2) 役員の業績勘案率(案)について
(3) その他

配布資料

会議経過

【阿曽沼分科会長】  時間が早うございますが、委員の方々全員おそろいになりましたので、ただ今から政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会を開会したいと存じます。

 さて、審議に入ります前に、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をよろしくお願いいたします。

【横山評価監視官】  はい、紹介させていただきます。行政評価局の総務課長であった讃岐が、内閣府公益認定等委員会事務局次長に転任しております。その後任に、行政管理局の管理官であった三宅が着任しております。独立行政法人第二担当の評価監視官であった平池が行政管理局管理官に転任しております。その後任に行政管理局企画調整課企画官であった北川が着任しております。

 以上です。

【阿曽沼分科会長】  はい。ありがとうございました。

 それでは新任者を代表いたしまして三宅新総務課長より一言、御挨拶をいただきます。

【三宅総務課長】  御紹介いただきました、総務課長になりました三宅でございます。4年ぶりの評価局勤務でございまして、前任同様、また新任の北川監視官とともに御指導のほどよろしくお願いいたします。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。

 それでは審議に入りたいと思います。本日は平成23年度事務・事業の見直しについて、及び役員の業績勘案率について御審議いただく予定としております。なお、役員の業績勘案率の審議につきましては非公開とさせていただきます。最初の議題の審議終了後に休憩をとりまして、その間に傍聴者の方々には御退出いただくことになります。また、第5ワーキングの主査であります縣臨時委員におかれましては、所用のため14時に退出される旨、事前に御連絡をいただいておりますので、主査からのコメント等、順序が少し変わりますが、よろしく御承知おきいただきますようお願いしたいと思います。

 それでは今年度の事務・事業の見直し対象法人について議題に入ります。前回の分科会では震災を踏まえて、当面は事務局において対応可能な範囲で論点整理を行って、夏以降、復旧・復興対応状況を見ながら、可能な範囲で各省ヒアリング又は現地視察を行うとの説明が事務局よりございました。しかしながら7月に入りまして、原子力安全基盤機構という、大変厳しい状況にある法人も含めて、全てのワーキングで各省の担当する独法のヒアリングが行われ、論点の整理が進められております。

 原子力安全基盤機構に関しては、御承知のように、いろいろな今後の状況等々、まだまだ不透明なことがございますので、ワーキングでの意見交換は十分にしていただきましたけれども、まだまだ議論が今後深まっていくべきだということを感じたところでございます。

 まず、各ワーキングにおける議論について事務局から説明をしてもらい、各主査から追加の御説明をいただいて、その後、御議論をいただくこととさせていただきたいと思います。

 事務局、よろしくお願いいたします。

【横山評価監視官】  はい。資料1−2であります、A3縦長の「平成23年度見直し対象9法人の概要及び主な議論」と記載された資料であります。

 第1ワーキングと第2ワーキングについては私から説明させていただきます。第3ワーキングから第5ワーキングは北川から説明させていただきます。

 それでは、青いところの横軸を見ていただきますと左側から、ワーキング、主務府省、法人名、主な業務、常勤職員数、予算、それからワーキングにおける主な議論を整理しております。議論の下に赤字で書いていますが、基本方針とあります。これは昨年の12月7日に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を抜粋したものであります。

 それでは、第1ワーキングについて説明させていただきます。総務省所管1法人と外務省所管2法人であります。総務省所管の郵便貯金・簡易生命保険管理機構であります。業務としては、旧日本郵政公社から承継した郵貯と簡保を管理し、これに係る債務を履行することであります。平成19年9月末の郵政民営化前に預けられた郵貯と契約された簡保について管理をしているというものであります。

 ワーキングにおける主な議題の1)でありますが、ここは常勤職員40名でありますが、うち管理職が10名ということで、管理職の比率が高いのではないかということで、見直しを行うべきではないかという議論をしております。それから、ゆうちょ銀行又はかんぽ生命に業務を委託しており、さらに郵便局株式会社に再委託をしています。実際の業務についてはJPの方に委託をしていたり、再委託をしているという構造になっております。機構の方では、例えば郵便局、全国で2万軒ありますが、ここについて年30件ほど郵貯と簡保について、それぞれ監査をしているということで、なかなか焼け石に水の状態ではないかということで、システマティックにチェックすることはできないのであろうかということであります。さらに郵貯については、満期後20年過ぎますと権利義務が消滅します。簡保についても請求期限が過ぎると権利義務が消滅してしまうということで、こうしたことがないようにするために、効果的な広報活動を行うべきではないかということであります。

 次に外務省所管2法人です。まず、国際協力機構、JICAであります。ここは主に政府開発援助を行っている法人であります。もともと開発途上地域に対する技術協力を実施しておりました。それが平成2010月のJICA・JBIC法等の改正によりまして、JBICから有償の資金供与、それから外務省から無償の資金供与の業務が移管されております。論点の1)を見ていただきますと、まず政府開発援助事業については、今まで外国からの要請主義によって行っていたのですが、真に相手国のためになるように、国・地域ごとの開発課題の把握・分析を行って効率的に実施すべきではないかということであります。

 それから2番目でありますが、平成2010月の組織統合によりまして、理事長ほか役員が12名いたり、多くの事業部と多くの地域部が、いわばクロスチェックの体制になっているということで、これをもう少し整理する余地はないだろうかということであります。

 それから3番目として、前回の勧告の方向性で、現場主義を強化すべきである、在外の定員を増やすべきであるということを挙げましたが、実際は在外の定員が減って国内の定員が増えているという逆の状況になっています。これについては、やはり在外へシフトさせる、または現地の優秀な職員を採用するなど、できるだけ現場主義を徹底すべきではないかという議論をさせていただいております。

 それから4番目でありますが、海外事務所についてはワンストップにすべきではないかということであります。

 次のページであります。国際交流基金であります。国際交流基金の所掌事務は、国際文化交流を目的とした人の派遣や招聘を行うものです。また、日本研究に対する援助や日本語の普及を行っております。さらに、イベントの実施、援助等を行っております。赤字のところで基本方針の03というところを見ていただきますと、文化交流の促進ということで、昨年の基本方針で文化交流事業については原則として国内事業は実施しないとされました。論点の1)でありますが、こうした国内事業を実施しないということを踏まえて合理化や削減の余地があるのではないかということであります。

 2番目として、この国際交流基金は、例えばフランスの国立政治学院へ日本語講座の開設支援をしたり、上海万博にキャラクター展を出展したりといった業務を行っておりますが、これは文部科学省やJETRO、国際観光振興機構など、こうした独法とのデマケをはっきりすべきではないかということであります。

 3番目として、海外事務所についてJICAと同様にワンストップとすべきではないかということであります。

 以上、第1ワーキングであります。

 第2ワーキングについては経済産業省所管の2法人であります。まず日本貿易保険であります。所掌事務としては、貿易投資など対外取引において生ずる、通常の保険によって救済することができない危険を保険する業務を行っております。どういうものかというと、戦争や内乱や債務不履行といったものを想定しております。現行では保険と再保険の2本立てで行っております。独法が商社やメーカー等と保険契約を行い、貿易保険特会を所管する経済産業省が独法と再保険契約を結んでいるという2段階になっております。基本方針の06、赤字のところを見ていただきますと、昨年10月の事業仕分けの結果、特会を廃止することとされました。組織としては独法に一元化するという方針が出されて閣議決定をしたという経緯があります。論点の1)を見ていただきますと、こうした組織の在り方を検討するに当たっては、国が最終的なリスクを負うという仕組みが必要なのではないかということであります。それから、現在では200億円以上の案件については、経済産業省が行う政策的な判断と、それから法人が行う事業リスクの判断が食い違った場合に調整する仕組みがあります。こうしたものについて、同様に調整する仕組みが必要なのではないかということであります。さらに2つ目として、日本貿易振興機構や国際協力銀行と連携を図ることによって、保険だけではなくてパッケージとして国際協力を高める戦略を考えるべきではないかということであります。

 最後に原子力安全基盤機構であります。所掌事務としては原子力施設の検査、それから安全性の解析・評価、原子力災害の予防・拡大の防止・復旧、原子力の安全の確保に関する調査・試験・研究等を行っております。論点のところを見ていただきまして、分科会長から御紹介ありましたように、今後、原子力政策の見直しの検討が進められていく状況であります。こういった状況を踏まえますと、まずは中期目標期間における目標の達成状況について十分な検証を行う必要があるのではないかと。それから、組織の検討とは切り離して、まずは事務・事業の見直しの検討作業を行うべきではないかということであります。 2番目として、障害が発生した場合に被害を最小限にとどめるような工夫として、“fail safeの思想が重要なのではないかということを議論しております。

 それから3番目として、安全基準や指針に的確に反映できるように研究課題の選定方法と成果の公表方法等について検討すべきではないかということであります。

 4番目でありますが、年齢構成を見ますと、20歳から4歳刻みで右肩上がりになっております。56歳から59歳が最も多く、次いで52歳から55歳が多いということで、今後大量の退職が予想されております。こういう状況を鑑みますと、人材の確保と後継技術系職員の育成に取り組むことが必要なのではないかということであります。第2ワーキングについては以上です。

【北川評価監視官】  続きまして第3ワーキングでございますが、文部科学省所管の科学技術振興機構(JST)について御議論いただいております。科学技術振興機構は、科学技術基本計画の実施において中核的な役割を担うという位置付けでありまして、具体的には競争的資金の配分ということを業務の大きな柱にしております。年間予算のうちのほとんどが運営費交付金であり、ここを通じて競争的資金の配分を行っております。主な業務といたしましては新技術の創出に資する研究及び企業化に向けた開発がありますが、これはトップダウン型で研究領域、研究総括を定め、そのリーダーシップ・マネジメントの下に公募した研究員により研究開発を行うものであります。その他、科学技術情報の流通促進や科学技術に関する知識の普及啓発等をやっておられます。

 ワーキングで御議論いただいている主な点でございますが、まず1点目は研究領域や研究総括の選定についてでございます。この機構が定めますところの研究領域や研究総括の選定プロセスや理由について、一定のスキームの公表はなされておるようでございますが、それらを更に具体的に明らかにしていき、その選定が適切であったかどうかの事後評価の徹底を更に図っていくべきではないかという御議論をいただいております。

 2点目ですが、機構の保有する特許についてでございます。この収支を見ますと、費用が収入を大幅に上回っておりますので、特許収入につながる可能性の判断を厳格化して保有コストを下げるとともに、技術移転活動の活性化によって実施許諾収入の増加を図り、特許に係る収支の改善を講じていくべきではないかという御議論があったところです。

 それから3点目ですが、都内の7事務所の統廃合や各地方に設置しているイノベーションプラザ等の自治体等への移管、科学技術文献情報提供事業の民営化等々の事務・事業の廃止・縮小が基本方針でうたわれており、これらを具体化していくのにあわせまして、それに伴う人員の計画的合理化等を確実に実施すべきではないかという御議論をいただいているところでございます。

 次に第4ワーキングでございますが、国土交通省所管の2法人について御議論いただいております。まず自動車事故対策機構でありますが、これはいわゆる自賠責保険を財源として自動車事故の被害者の援護と自動車事故を防止するという観点からの事業を行っておりまして、具体的な事業は、自動車運送事業者の運行管理者に対する指導講習と事業用自動車運転者に対する適性診断の2つからなる安全指導の業務、並びに、自動車事故被害者の治療療護施設の設置・運用、介護料の支給及び事故被害者・遺児に貸し付けを行っておりまして、これらは自賠責を財源としている事業でございます。

 主な御議論は3点ございまして、まず1点目。安全指導業務ですが、これについて基本方針でも「民間への業務移管を進める」とありますが、民間参入、必ずしもまだ十分活性化されているわけではないということでありまして、民間参入をする障壁となる要因の分析を行った上で、参入を促進していくような民間事業者への支援を行うべきではないかと。

 それから2点目。職員数が300人強の法人でありますが、全国50カ所の支所を持っており、これを効率化・合理化できないかと。特に1点目の適性診断事業の電子化や安全指導業務の民間参入の進展により支所の業務内容が変わってくることを踏まえ、支所の組織・人員の効率化・合理化を進めるべきではないかということでございます。

 3点目、被害者援護の方ですが、自動車事故で遷延性意識障害になられた方専門の治療施設であります療護センターというものを全国4カ所で委託運営しておりますが、こちらで得られた知見・成果の普及促進に向けた取組を一層進めるべきではないかという御議論をいただいています。

 次のページに行きますが、住宅金融支援機構でございます。特殊法人の住宅金融公庫時代にはいわゆる財投機関として、財投のお金でもって、長期・固定の民間住宅ローンを直接融資していた機関であります。独法化してからは、民間金融機関が売る長期・固定金利住宅ローンを買い取り、それを証券化して市場から資金を調達するという証券化支援業務が中核になるというビジネスモデルで運営している法人であります。

 主な御議論は3点です。まず1点目ですが、証券化支援業務ですけれども、事業計画と実績が乖離しておりますので、こういった状況も踏まえ、業績の向上を図るための方策を検討すべきではないかと。

 それから2点目もこれに関連いたしますが、直接融資から証券化支援というふうにビジネスモデルの転換が図られましたので、それに応じ、現在、全国11カ所に支店がありますけれども、こういう業務体制を見直すなど、計画的合理化を実施すべきではないかと。

 それから3点目。証券化支援業務以外の業務でありますけれども、基本方針に記述が幾つかございますが、それぞれ廃止するとか、ただし経済対策関連ではこういうのを残す等とありますので、廃止される業務というのを更に明確化して、それに応じた要員の合理化というのを図るべきではないかということでございます。

 最後に第5ワーキングは厚生労働省所管の労働政策研究・研修機構について御議論いただいております。主な業務は、内外の労働に関する事情及び労働政策についての調査研究と研修です。この研修の部分であります労働大学校については、さきの基本方針におきまして国が実施するということが決められておりますので、ワーキングでは労働政策についての調査研究の部分について中心的に御議論いただいております。

 主な議論は2点ありますが、まず1点目。この機構の行う業務が民間企業や大学等の調査研究とどう違うのかということでありまして、一層、研究内容の重点化に取り組むために、いかに労働政策に成果が反映されているかということをもっと説明していく必要があるのではないかと。そういった面での調査研究の有効性の検証というのをすべきではないかということです。

 2点目ですが、職員114人の法人でありますけれども、うち79人ほどが事務職員ということでございます。こういった人員構成も踏まえ、簡素な管理部門、効率的な運営体制を確保する観点から、配置の見直し等による合理化の余地はないかということについて、更に見ていく必要があるのではないかという御議論をいただいております。以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。

 それでは、ただ今の事務局からの御説明につきまして、各ワーキンググループの主査から追加で御説明いただくことといたします。

 まずは第5ワーキングの縣主査から、続いて第1ワーキングから順にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【縣臨時委員】  ありがとうございます。恐縮でございます。

 第5ワーキングでございますが、今、御説明いただいた労働政策研究・研修機構を見直しております。これは第2回目の見直しになります。先週の20日、実地に調査に伺ってまいりました。全体2時間でございましたけれども、1時間半ほど議論することができましたので、かなり、いろいろな詳しいことを教えていただきました。

 それを踏まえまして、今御説明がありました2つの点が議論の中心ですが、特に研究成果と労働政策の関係ということについては、既に法人が実施しているプロジェクト研究と課題研究について詳細にデータをいただいておりますが、これが具体的に政策にどのように反映されているか、その場合に民間企業や大学との違い、それから厚生労働省が所管している他の研究機関との関係ということで、この機構がどの程度の役割を果たすべきなのかということについて更に議論を進めるつもりでございます。

 それから2点目につきましては、この機構には事務方に調査員という方が何人かいらっしゃいまして、調査員がかなり具体的なデータを集めていらっしゃるようです。他方、当然、研究者という方がいらっしゃるわけで、この機構における研究テーマによって研究者と調査員という方がどのように役割分担をして成果を出しておられるかということについて、かなり話をいたしましたが、さらにその点を慎重に検討したいと思っております。 そして、狭義の間接部門について合理化の余地はないか、研究員及び調査員の業務分担、それから職員の配置全体というものを見回しまして、人員配置と業務効率化について更に検討を加えたいと考えております。以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。

 それでは第1ワーキング、河野主査からお願いいたします。

【河野臨時委員】  第1ワーキングの河野であります。当ワーキングでは見直し法人が3法人ございます。まず総務省所管の郵便貯金・簡易生命保険管理機構でございますが、先ほどの横山監視官の説明の中でもございましたように、40名という非常に小さい組織でありますが、運用資産は、郵便貯金残高が平成22年度末で45兆円、簡保生命が1兆8,000億円という、かなりの規模の資産を持っております。これを全面的にゆうちょ銀行とかんぽ生命に運用を任せているということで、この法人の主たる業務は監査業務にあるというふうに個人的には思っています。そういうことで、組織全体が管理部門のような様相を呈しておりまして、したがいまして管理職比率も管理者が10名で25%と、高目の比率ではないかと思われます。今後ややもすると、この比率が組織の形態からいって高まる可能性もあるということで、不断の見直しが必要ではないかということが議論の根本としてございます。

 それから40名という組織で2万ほどの監査対象を監査しています。7月20日に視察に行きましたが、郵貯と簡保の両方で委託先15から25および再委託先20から30ぐらいずつ毎年監査しているようでございますが、組織的にうまく監査していく必要があるのではないかと感じているところであります。

 それから3番目でありますが、満期後20年を経過しても払い戻されずに権利が消滅している郵便貯金や簡易生命保険が数百億円の規模でございます。これを早期に貯金なら預金者に返すために広報活動を行っておりますが、この広報活動の費用対効果ということについて十分検証する必要があるのではないかと考えております。

 次に、外務省所管の2法人でございます。まず国際協力機構、JICAでございますが、この主たる業務は、資料にありますように、技術協力事業、有償資金協力事業、無償資金協力事業でございます。これらの業務については、先ほどの説明の中にもありましたが、効果的、効率的に事業を進めるために、これは会計検査院とか行政刷新会議の事業仕分けでも言われていることでもありますが、そういうために新たな取組といいますか、さらなる取組が必要ではないか。従来の要請主義から、国や地域ごとの開発課題の把握・分析ということを通じて真のニーズを把握して、プロジェクト、事業を進めるべきではないかと考え、そういう方向で検討を進めているということであります。

 JICAという組織は平成23年4月末現在で、31部・室・局145課体制という非常に大きな体制、かなり肥大化した体制とも考えられます。スリム化という観点から、検討すべきではないかと考えております。

 それから国内と在外の職員比率でございます。これは勧告の方向性でも指摘してきたことで、平成19年から22年まで国内と在外との比率が一定しております。国内と在外が3対1ぐらいの比率でございますが、現地主義といいますか、在外機能の強化という視点から、現地採用職員も含めて、在外職員の数を増やす必要があるのではないかということで検討を進めております。

 最後に海外事務所の件でございます。これは国際交流基金についても言えることですが、海外事務所は91カ所JICAにございます。交流基金は22カ所ございますが、交流基金やJICAばかりではなくて、JETROとか他の法人と共同利用を進めるべきではないか。これは、この分科会でも経費節減という視点からかなり言われてきたことでありますが、更に利用者の利便性を高めるワンストップサービスという視点から、共同利用の促進が望まれるのではと考えております。

 最後の件は国際交流基金も含めたJICAの論点ですが、国際交流基金については別途ございます。

 国際交流基金の事業でございますが、これにつきましては、文化庁あるいは独法の日本芸術文化振興会などにおいて、似たような事業が行われています。それぞれの事業の目的が違うということが言われるのですが似たような事業が進められておりますので、できれば重複排除も含めた業務の効率化という視点で、それぞれの機関の役割を明確化して、関係する機関全体において協力関係や連携を強化する必要があるのではないかと考えています。

それから資料の1番目に当たるところですが、基本方針では日本語に関する一部の研修の廃止など、複数の事業の廃止などが指摘されております。ところが、この廃止した事業などに関わる人員を新たな重点化政策分野である日本語教育分野に全て投入するというようなことがヒアリングでも言われております。これは基本方針に反するのではないかとも思われます。やはり事業廃止などに伴って生じた人員を重点分野のところに全て投入するのではなくて、人員の削減とか合理化とかいうことが必要であるのではないかと考えております。そういう方向で検討したいと思っております。以上であります。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。

 それでは、第2ワーキングから鈴木主査、お願いいたします。

【鈴木臨時委員】  第2ワーキンググループは経済産業省の日本貿易保険と原子力安全基盤機構でございます。ワーキンググループでは、業務の実施状況と今後の論点に関する審議と主務省のヒアリングを行いました。原子力関連では原子力安全・保安院が、原発事故の対応の中でございましたけれども、担当から出席をいただいてヒアリングを実施することができました。先ほど監視官からお話がありましたが、主要な論点について一、二、つけ加えさせていただきます。

 まず日本貿易保険でございますが、この法人の留意点としては、特別会計で国が自ら実施している再保険制度がありますが、事業仕分けで廃止ということになっております。そのため見直し作業というのが大きな留意点となりますけれども、先ほどお話がありましたように、この法人の組織、すなわち土台部分とか枠組みの部分について政独委とは別に検討されることになっておりますので、その状況を見ながら議論を行っていくところでございます。一方、この貿易保険制度の役割は、国際競争力を高めるという観点からも、ますます重要性を増すとも考えられます。したがいまして、この法人が行う事務・事業については、より効率的、効果的な業務運営ができないか。あるいは個々のカントリーリスクだとかバイヤーリスクの審査の充実をはじめとする総合的なリスク管理を向上、強化することが必要ではないかという点等で議論を行っているところであります。

 先ほどもお話がありましたけれども、一定額、200億円以上の引き受けに当たっては、法人が実施しているリスク審査と並行して国の政策上の判断が行われますので、そこで業務プロセスにおける本法人と国との分担、すなわちリスク分担がどのようになっているかというようなことについて今後検討し、特に国の関与、国家補償というような観点もございますし、負担と受益ということで、これは積立金との問題もありますので、そのような議論も深めてまいりたいと考えております。

 続きまして原子力安全基盤機構でございますが、福島原発事故の発生を受けまして、政策の見直しということが大きな留意点であろうと思いますが、政策や政府組織、特に原子力安全・保安院の見直し等については、この独法の事務・事業の見直しとは切り離して議論をすべきという観点の下で、いろいろな議論がございまして、一、二、それをつけ加えさせていただきます。まず原発事故関連では、オフサイトセンター、緊急事態応急対策拠点施設ということですけれども、これは全国16カ所に設置されておりまして、原子力安全基盤機構は施設の維持管理を行っているわけであります。福島では第1原子力発電所から約5キロ程度離れた大隈町に位置しているということでございましたが、震災で通信手段も途絶いたしまして、非常設備も使えなかったということで、3月15日には福島県庁内の会議室に移転しているということでございます。非常事態に対応するためのものですが、結果としては機能しなかったということでございますので、原因究明を徹底的に行って今後の対策を講じるべきではないかという議論がございました。

 また2つ目は、原発事故関連では法人としての現在の対応状況が、公表資料等を解読しても不明だということで、ヒアリングでは地震発生直後から最近までの法人の取組状況や具体的な支援活動等について経済産業省から説明がございました。

 3つ目として、先ほどこれもお話がありましたが、原子力安全基盤機構のコアの業務ですけれども、これは原子力関連施設の検査について、国、原子力安全・保安院自らが実施する検査、原子力安全基盤機構が国の指示で行うもの、分担して行うもの、事業者の申請に基づき行うものという4つの検査がございますけれども、これらの検査の内容の相違点、実施状況、特に質的な観点、これはリスク分担とか責任との関連とか法規との関連、そして量的な観点も含めまして詳細に検討したいというふうに議論をしております。

 原子力安全基盤機構につきましては、この原子力政策の見直し状況も踏まえまして、本来の業務でもある防災予防、あるいは安全性の調査研究体制、実施部門としての原子力安全・保安院としての関連等について、その体制の在り方等を含めて、今後ワーキンググループとして検討を深めていきたいと思っております。以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。

 それでは第3ワーキングから、柴主査お願いいたします。

【柴臨時委員】  第3ワーキングは、私の他4名の委員の方と御一緒に検討させていただいております。主な議論について事務局から説明があったところですが、少し補足説明をさせていただきたいと思います。

 今回の見直しの対象機関である科学技術振興機構、JSTでございますが、年間約900億の競争的資金を研究に投じている法人でございます。このかなり巨額の研究資金を配分するに当たって、JSTが決める研究領域や研究統括の選定の過程がやや分かりにくいのではないかということ、また、それらの選定は本当に適切であったかどうかということについての事後評価を厳格に行う必要があるのではないかという議論がございました。

 また、文部科学省が毎年定める研究に係る戦略目標の達成に資する十分な成果が得られなかったと評価された研究があるということでございますが、これらについて原因の特定や分析、組織的対応などが十分に行われていないのではないかという意見もあったところでございます。

 また特許についてでございますが、先週21日に東工大の細野教授が開発してJSTが保有する新型半導体技術に関する特許が、韓国のサムスン電子とライセンス契約するということが新聞報道されておりました。JST自身は、独法の中では特許の実施許諾率というのはある程度高いということでございますが、しかし単年度で見ると特許収入5億に対して、出願や審査、維持といった費用が約10億円という、収入の約2倍の費用がかかっているということがあって、こういう現状を考えるとコスト低減に向けた一層の努力、一方では収入の増加等の努力が必要ではないかという議論があったところでございます。

 そのほかには、昨年の基本方針にのっとった様々な業務の縮小に伴った人員の合理化などについて計画的に行う必要があるという議論がありました。JSTの場合には約1,500人の職員のうち、定年制の職員が500人、それから任期付きの常勤が約1,000人という構成になっておりますけれども、これらの職員の業務区分も確認しながら各々の業務内容を精査した上で、計画的な合理化を図る必要があるという意見がございました。以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。

 それでは第4ワーキングから、山本主査お願いいたします。

【山本分科会長代理】  事務局から御報告いただいたとおりなのですが、自動車事故対策機構は自賠責特会のお金を原資としているものですから、見直しの観点においても、結果的に指導講習や適性診断をどこまで機構としてやるべきかということも視野に入れないといけない。一番議論となったのは指導講習、適性診断を全国全ての都道府県、北海道は3カ所ありますけれども、基本的に各都道府県単位で実施しているということでございます。

 ただ実際の運行管理者でありますとか、自動車なら事業者の運転手の数というのは、都道府県下においてもかなりばらつきがあるのですが、現体制においては最小で3名体制で、多いところは5名体制なりもっと多くの人数ということになっている。そういった人員配置が、そのまま民間参入も可能な中で、適正な配置となっているかどうか、あるいは新規に行う事業があるとすれば、それに対して適正な配置、あるいは設置場所も、情報化が進んでいるものですから、事務所スペースはかなり節約したということがヒアリングの時に説明があったところですが、全ての支所に応じて人員とか業務内容の見直しが進められているかどうかということについて、更に精査に努めてまいりたいと思っています。

 2点目は、不幸にして事故被害に遭われた方のための療護センターというのがありまして、これは委託方式で行っているものですが、事故被害者が公平に利用できるかという観点からどうかという問題意識を持っております。今のところ、評価としては植物状態の方の回復を目的とした施設であり、その業務の内容自体は問題がないと思っておるのですが、全国的な配置の観点等から公平性が担保されているかどうかとか、あるいは成果の普及がどうであるかといったことについて、少し検討を進めて参りたいと考えております。

 2つ目の法人は、昔の住宅金融公庫、現在の住宅金融支援機構であります。この法人についても平成21年の当分科会において、その法人業績について御議論があったと思いますが、メイン業務の証券化支援については、金利を1%安くした新たな商品を緊急経済対策的なものとして打ち出した結果、当初はかなり目標計画に対してギャップがあったのですが、徐々に追いついてきております。ただ、直接融資から政府の方針として証券化支援業務に特化しているところだとは思うのですが、それに向けた体制作りが十分なものになっているかどうかということについては、我々としてはもう少し注意深く見守る必要があると考えております。現在のところ、この証券化支援の勘定自体が赤字なものですから、証券化支援業務に特化するということについて、更に精査をしておきたいということです。

 あと、合理化の面においては、いわゆるコールセンター等を埼玉県の大宮に設置・運営していますが、その業務内容は、いろいろ技術的で高度な相談から返済に関わる相談といった、非常に多様な範囲の相談を行っているものですから、機構としてどこまでやるべきものなのかどうか、あるいは機構職員と若干の委託なり派遣なりでかなりの人員を割いているということですから、その適正配置について見直す必要がないのかどうかということについて、もう少し深掘りをする必要があるのではないかというふうに考えております。以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  はい。ありがとうございました。

 それでは、ただ今の御報告いただきました9法人につきまして、各委員から御意見がございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。

 では、河村委員どうぞ。

【河村臨時委員】  JICAのところで御質問させていただきます。評価監視官からも御説明があったのですが、国内と在外の定員の問題で、前回の勧告の方向性で現場主義強化という観点から在外シフトということを言っているにもかかわらず、逆の動きになっていると。こういったあたり、年度評価でも当然引っかかってきているところではないかなと思うのですが。勧告の方向性できちんといろいろな交渉等をして指摘しているにもかかわらず、そういう逆のような動きが出ていることについて。これは緒方理事長も多分、現場主義ということをすごくあちこちで言ってらっしゃる方ではないかと思うのですが、それにも反するように見えなくもないのですが、そういったあたりは、外務省ないし法人からどのような御説明等されてますでしょうか。

【阿曽沼分科会長】  横山監視官説明をお願いします。

【横山評価監視官】  はい、お答えします。

 JICA・JBIC法等の改正によって、JICAがJBICの一部業務を承継したときに、JBICの国内要員が増えたということがありまして、当初は国外と国内が1対2だったのですが、さらに1対3になってしまったとされています。つまり、JBICの国内要員がJICAに来たために、JICAの国内要員が増えたということが1つの理由として挙げられます。

 あと、もう1つは、国外に人を出すと国内にいるよりも費用が余計にかかるということを言われております。JICAにおいては、国外に人を出す場合に、旅費のほかに、外交官と同じように在勤手当に相当するものがありまして、外交官の在勤手当の8割に相当する額を支給しているという実態があります。そのため国外に人を出すと非常に経費がかかってくるということを言っております。ただこれについては、第1ワーキングでヒアリングをした際に、外務省と議論になりました。外務省は、「今、JICAと議論をしていて、国内の人を減らしてでも、やはり国外を重視すべきである。」と言っています。それから外務省と同じような在勤手当というものは見直してもいいのではないかということを言っています。また現地でも優秀な人がいるので、現地職員を採用したらどうかと提案するなど、外務省としても、独法に対して非常に緊張関係を持って議論をしております。

 それから政独委の昨年の年度評価でありますが、やはりこの点も指摘していただいておりまして、年度評価においてきちっと海外シフトや現場主義になるような評価をすべきであるという意見を昨年の12月に出しております。以上です。

【阿曽沼分科会長】  よろしゅうございますか。担当部局も大変問題意識を持って独法と議論を進めているという御報告でございましたけれども、よろしゅうございますか。

【河村臨時委員】  はい。

【阿曽沼分科会長】  はい。それでは岡本委員どうぞ。

【岡本臨時委員】  これ、ちょっと素朴な疑問というのをさせていただきたいと思います。住宅金融支援機構なのですけれども、先ほど山本主査のお話で、もともとこれは政府の方針として証券化支援業務に特化していくということが前提になっておりますので、こういう議論になるかと思いますが、そもそも住宅ローンの市場といいましょうか、こういう金融市場で、ここが証券化支援業務を行うこと自体がそもそも必要なのかどうかというようなことが、素朴な疑問としてまずあるということです。先ほど実績と目標が乖離しているというお話があったのですが、その辺の分析からそのようなことが見通せるかどうかというお話と、そもそも住宅ローンをやっていた人たちが、証券化支援に変わっていくことによって、そういう業務的に転換できるのかどうか。基礎としての人員配置の計画・合理化ができるのかどうかということについて、どのようにお考えになっているかというのをちょっとお伺いしたいと思います。

【阿曽沼分科会長】  山本委員、お願い致します。

【山本分科会長代理】  それはワーキングにおいても議論があったところですけれども、勧告の方向性における見直しにおいても証券化に特化すること自体は否定するものでもないことから、あまり深くは言いませんでした。ワーキングにおける国土交通省からのヒアリングで一応の確認をしておりますが、国土交通省の理由が正しいかどうかは別にして、35年の長期固定金利型の住宅ローンの供給は民間ではとてもやるところがなく困難であるということであり、返済中の金利変動による負担増を回避するためには住宅金融支援機構でないとできないというふうに考えておるということを聞いております。ただ我々ワーキングとしてそれで全面的にその意見に同意しているわけではなくて、果たしてどうかということについても関心を持っております。

 それと、実績と目標の乖離については徐々に、経済対策の効果もあって、かなり目標に近づいてきておるわけです。昨年度まではかなり計画目標に対して2分の1とか3分の1だったのですけれども、ほぼ目標に近づいてきているわけですね。だからそのことだけでもって、だめだということは言えなくなってきております。これは当分科会では問題になることかもしれませんが、国土交通省の説明では、住宅金融支援機構の計画目標というのは、国民各層の住宅需要があった場合に、長期・固定金利でそういう住宅ローンの資金需要に応じられるだけの資金体制を整えておくという意味合いがあり、他の独法の計画・目標というのとは少し意味合いが違うものであると。それに応じるだけの目標を設定しているということでした。また、過去の実績は確かにご指摘のとおり低く、ようやく昨年22年度、今年度の途中までにはかなり計画・目標に近づいてきているということです。しかし、それをストレートに判断してもらったら困ると言われると、独法制度の基本的な目標管理の原則と違ってきますから、これは分科会で議論したらいいということだろうと思っております。ただ目標管理の考え方が違うということも理解できないわけではないことから、そこら辺は、事務局の方から補足をしてくれると思います。

【阿曽沼分科会長】  よろしゅうございますか。事務局、何か補足がありますか。

【平野調査官】  今、山本主査の言われたとおり、岡本先生の言われたような視点も念頭に置きつつ、今後ワーキングの方でも議論していただくことを考えております。

【阿曽沼分科会長】  よろしゅうございますか。

 特化する業務にふさわしい組織になっていくのかどうかというのを注意深く見守って、必要な指摘をしていくということだと思いますが、よろしくお願いします。

 ほかに何か。森泉委員どうぞ。

【森泉委員】  岡本委員と同様に、住宅金融支援機構に関してです。赤字が大分よくなってきたということですが、証券化支援業務はフラット35とかフラット35Sですが、かえって民間のMBSマーケットの発達を阻害するような面はないのかということについて、支援機構はどのように考えていらっしゃるのか。すなわち、デフォルトリスクの高い借り手を、民間の金融が支援機構に回すという行動は十分に考えられます。ですから大手金融機関が自力でMBS発行ということを抑制する懸念があるのではないでしょうか。支援機構の方はデフォルトリスクの高い借り手を引き受けているというようなことはないのでしょうか。要するに民間がきちっとデフォルトリスクを評価し、自分のところで民間のマーケットを、MBSマーケットを発達育成しようというようなインセンティブを抑えてしまうということを懸念しているのですが。支援機構の方たちはその辺をどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

【山本分科会長代理】  それは多分、正直に言うと、我々も同じような問題意識を持っていますが、現在のところマーケットの中でMBSを行っているのは、住宅金融支援機構だけなのですね。ですから判断は、なかなかつきづらいのですが、そういうおそれが、森泉委員がおっしゃるようなことはないとまでは言えないと思っております。今の森泉委員の御関心の点について、我々も同じ関心を持っておりますから、業務実績報告書に自らそういうマーケットについても調査研究をされていることが書いていますので、そこら辺について、資料を取り寄せてもう少し精査はしておきたいと思います。事務局から少し補足をお願いしたいと思います。

【平野調査官】  住宅ローンを買い上げて、それを証券化して、信託銀行に担保して、それをもとに証券化するという。これはまだ、そういう市場自体はまだそんなに大きくないのかなという感じはしております。ですから機構がやることによって、その市場に影響を与えるというか、私も個人的には、こういう機構がそれをすることによって、もうちょっとMBS市場を今後拡大していく方向にあるのかなという感じはしております。ですから、森泉先生のそういう視点等も踏まえてまた今後検討を引き続きやっていきたいと思っております。

【阿曽沼分科会長】  よろしゅうございますか。

 ほかに何か御質問ございますか。瀬川先生どうぞ。

【瀬川臨時委員】  科学技術振興機構の件で1つお伺いしたいのですけれども、2番目の項目で、機構の保有する特許について、費用が収入を大幅に上回っていることから特許収入につながる可能性の判断の厳格化を図るというようなことが書いてございます。けれども、そもそも基礎研究から出てきた特許については、その時点では将来的な特許収入につながる可能性の判断というのは相当難しいのではないかなと思います。基本的に、例えば、企業の場合には自己実施することによって特許で出費した分を回収するということがあるかと思うのですけれども、科学技術振興機構のような法人は、本質的に特許料収入のみですからそれだけで収支とんとんにするのはそもそも難しいのではないかと思うのですね。ここはもう少し幅広く、基礎研究からイノベーションにうまくつなげていくという観点で、特許の扱いは少し考えた方がいいのではないかと思いますけれどもいかがでしょうか。

【阿曽沼分科会長】  事務局から説明ございますか。

【平野調査官】  この特許につきましては、収入5億円に対して費用が10億円でマイナス5億円という状況から、これをもう少し少なくできないかということでございまして、収支とんとんにしろとか、これで収益を上げて黒字にしろというわけではありません。瀬川先生のおっしゃられたように、JSTの萌芽的というか、基礎的な研究における新技術を開発するというミッションの中で特許を取るに当たって、マイナスは仕方ないかとも思うのですけれども、それをできるだけ狭めてほしいというような趣旨でございます。

【瀬川臨時委員】  国際的な競争の中で、基本的な特許について権利を確保するための機能というのが非常に重要だと思います。その観点において、あまりに効率化あるいは収入収支ということにとらわれ過ぎてしまうと、リスキーだけれども将来大化けするような可能性のある日本発の技術が抜けてしまうのではないかという危惧がございます。むしろ後半にある技術移転活動の活性化等が重要で、例えば機構で保有している特許をパッケージにしていろいろなところに売り込んでいく方向が大事だと思います。先ほどサムスン電子の話も出てきましたけれども、むしろそちらの方向を主として進めていくようなことをお願いしたいと思います。

【平野調査官】  御意見も踏まえて今後検討していきたいと思います。

【阿曽沼分科会長】  今現在、JSTでは確か8,900件ぐらいの特許を運営管理されているということでありますが、サムスン電子の話なんかも非常に喜ばしいことではあるのですが、年間900億円という国費を投入して管理してきた多くのライセンスが、結果的に海外にライセンスアウトするとか活用される等して、成果を刈りとるのが海外企業ばかりであるとすれば、いかがなものかというような議論も一方であるわけでありますから、特許の管理、知財の管理というのは非常に重要なテーマになるということでございますので、大変重要な御指摘だったと思います。

 ほかに何か他の委員からの御質問はございますでしょうか。

 ございませんようですので、この辺で議論を終了させていただきたいと思います。

 それでは事務・事業の見直しについての議論はこの辺で終了させていただきたいと思います。各ワーキングにおかれましては、本日の議論を踏まえ、引き続き御検討を深めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 さてここで、参考資料の2について、事務局から御説明があると思いますので、よろしくお願いいたします。

【萬谷調査官】  それでは説明させていただきます。参考資料の2、A4の横の表です。「東日本大震災による各法人の被害状況等及び震災対応関係の業務内容」と書いております。この資料については前回4月の分科会の時にも御紹介させていただきました。今日お配りさせていただいているのは、その後入手した情報も含めてさらに整理をしたものということです。

 今回新たに追加した情報で主なものを簡単に説明させていただきますと、1ページ目に統計センターがありますが、こちらの方では震災対応として被災地における統計データ等々の関係情報の提供をしていると。2ページ目、財務省所管法人の酒類総合研究所を始め、造幣局、国立印刷局等についてです。酒類総合研究所に関しましては放射能の分析依頼が来るだろうということで、分析機器の整備をしていると。あとの造幣局、国立印刷局については、箱物の保有資産がいろいろありますので、節電あるいは要援護者の避難対応ということでやっておるということです。それと3ページ目の一番下段の国立科学博物館や5ページ目の国立美術館、国立文化財機構、6ページ目中段の日本芸術文化振興会など、こういった文部科学省の文化系のところについてですが、まず国立科学博物館については各地の地方公共団体の博物館等で被害を受けた物品についての応急措置あるいは一時保管と。あとの法人においてもやはり人が集まるということで募金箱の設置等々の対応をしておるということです。それと10ページ目になりますが、農林水産省の研究開発法人の関係です。10ページ目の2つ目の法人で、農業生物資源研究所を始め、あとその下3つ目の森林総合研究所のところまでなのですけれども、こういった法人においては、やはり放射能汚染あるいは津波による塩害といったものが土壌あるいは農作物に与える影響についての情報提供あるいは分析調査ということで、震災対応の取組を種々やっておるという状況です。

 それで現在ですが、こうした状況については各府省の方においても一次評価の取りまとめの時期、あるいは概算要求の取りまとめ時期ということもありまして、個々それぞれに整理をしていると聞き及んでおりますので、それとまた今後、一次評価書あるいは事業報告書が上がってきますが、そういった中でもこういった情報については何がしかの記載があると考えておりますので、そういった情報も入手した上でまた整理をしていきたいと思っています。それと各法人、今回の震災の関係で中期目標・中期計画の変更をしているか、していないのかと。現時点で事務局の方で確認するに、一部の法人でやっているところもありますが、その他の法人においても準備を進めておるということを聞いておりますので、今後もそういった動きについてはフォローしていきたいと思っています。説明は以上です。

【阿曽沼分科会長】  はい、ありがとうございました。

 これは一応、報告のみということにいたしておりますけれども、何か特別これだけは聞きたいということが各委員ございますでしょうか。

【岡本臨時委員】  あ、すみません。

【阿曽沼分科会長】  はい、岡本委員どうぞ。

【岡本臨時委員】  こういう震災対応のもろもろの業務という、個別に違いはあると思いますけれども、この独法通則法の現状の中で問題なく行われるものなのですか。

【萬谷調査官】  そこら辺も含めて中期目標を変更している、変更していないというところもありますので、各府省の方に今後聞いていこうとは思っております。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。

 委員各位はこういった状況を共有し、現状認識として持っていただきながら今後のいろいろな評価について議論を深めていただきたいと思っております。

 ありがとうございました。引き続き事務局において各府省、各独法等の状況の把握をよろしくお願いいたします。

 それではここで10分程度の休憩をとらせていただきたいと思います。2時50分から再開させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【阿曽沼分科会長】  それでは時間になりましたので審議を再開いたします。役員の業績勘案率案についてです。まず事務局から御説明をお願いします。

【平野調査官】  それでは役員の退職金に係る業績勘案率につきまして説明させていただきます。業績勘案率資料、資料2−1をごらんください。1ページ目の総括表ですが、今回御審議いただく退職役員は3府省3法人で7名となっております。このうちの2法人、造幣局と国民生活センターの2名は1.0で通知され、厚生労働省の雇用・能力開発機構の5名が0.9で通知されてきております。

 本日は、この0.9で通知されてきました厚生労働省所管の雇用・能力開発機構の退職役員5名について御説明いたします。対象となった役員は理事4名、監事1名です。本法人のワーキングにおける論点は法人業績に関して2点ありました。1つは全国的に行われていた不適正な会計経理。もう1つは法人の廃止と業績勘案率との関係。これらの点について第5ワーキングでは過去の同種類事案との比較検証など3回にわたり御審議していただきました。

 第1の論点でございますけれども、会計検査院が平成21年度決算で指摘した不適正な経理。具体的には、物品購入に際し支払い金を業者に預け金として保有させていたなど、こうした不適正な会計経理が全国114施設中25施設で行われていました。この点につきまして当初、厚生労働省独立行政法人評価委員会より、不適切経理について審議しないまま1.0で通知がなされたため、第5ワーキングでは全国の施設で少なからず不適正な会計経理が行われていた事実を踏まえると、担当役員の責任にとどまらず法人の業務運営が良好かつ適切であったとは言えないのではないかという懸念を示した上で再度審議するよう平成2212月に要請しました。なお、同様な事案として過去に、放射線医学総合研究所において研究員が多数関与した、預け金問題がありました。これは主任研究員100名のうち40名ぐらいが関与したということで、これはただ単に一研究部の問題だけではなく法人全体の信頼を損ねるものとして、放射線医学総合研究所では法人業績を0.1下げて0.9とした事案でありましたので、こういう事案等を参考にして第5ワーキングでは要請したものです。それを受けて厚生労働省独立行政法人評価委員会は再度審議を行い、これはやはり法人全体の問題だとして0.9で通知してきております。この点については法人業績マイナス0.1ということでワーキングでは特に問題はないのではないかということになりました。

 次に、もう1つのポイントでございます、法人の廃止についてですけれども、本法人は平成2012月の閣議決定で廃止ということになりまして、今年の10月に、職業能力開発業務を高齢・障害者雇用支援機構に移管し、高齢・障害・求職者雇用支援機構として発足するものでございます。この点について法人の廃止にまで至ったことに鑑みて、法人の業務運営が良好かつ適正とまでは言いがたいのではないかという懸念があり、2年前に同じような議論をさせていただきました。当時はこの法人の廃止になったという理由が主に、私のしごと館やかつてのスパウザ小田原などの施設設置、こういうことが特に問題になったわけなのですけれども、これについては、施設設置自体は厚生労働省が決めたものであって、法人自体はその後、目標計画に従って業務を粛々とやって目標計画自体は達成していると。そういうことで、特に法人の廃止ということで即、法人業績がマイナスになるということにはならないのではないかという整理が2年前にされております。よって法人の廃止については、今回も前回と同じく、特に減算要因ありということにはならないという結論になりました。

 また、個人業績につきましては、経理担当理事について個人業績においても減算すべきとの議論もありましたが、対象事案は法人業績において減算されており、過去の例と比較しても重複して0.1減算するほどまでではないということになりました。この点につきましては、過去の0.9の事案等を見まして、特に同じような事案でありました放射線医学総合研究所での事案においても、担当の理事については、法人業績で減算されているということで個人業績においては減算されておりません。

 最終的に、通知文案としましては、業績勘案率資料2−1とある資料の7ページ、資料2−4を見ていただきたいと思いますけれども、今回減算するのは不適切な会計経理によるものであると。「なお」以下は前回、厚生労働省独立行政法人評価委員会に対して通知したものと同様の文案となっております。法人の廃止については、法人の業績に係る現行の制度の規定、中期目標の達成状況を総合的に鑑みれば減算要因があるとすることはできませんが、目標や事務・事業の見直しの際には、国民への説明の視点から厳格な検証に配慮されるよう厚生労働省の評価委員会に対して、コメントをつけております。これについても2年前の平成21年の処理と全く同じものとなっております。事務局からの説明は以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは本件につきまして御意見、御質問等がございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。

 よろしゅうございますか。

 それでは財務省、内閣府及び厚生労働省の独立行政法人評価委員会から通知されました、「役員の業績勘案率(案)」についてお諮りをいたします。報告のとおりでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【阿曽沼分科会長】  それでは、そのようにさせていただきます。事後の処理につきましては私に御一任いただくことにさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは最後に事務局から報告がございます。よろしくお願いいたします。

【横山評価監視官】  はい。今後の予定等について御説明させていただきます。

 今後、各省は、独法の組織の業務全般の見直しについて見直し当初案を作成しまして、その実現に向けて概算要求を行うという仕組みになっております。仮に例年どおりのスケジュールでありますと、主務大臣から見直し当初案が8月末の概算要求の提出期限に合わせて提出されます。これを受けて各ワーキングにおいて論点整理をしていただいた上で、分科会においては9月の中旬に各省から見直し当初案のヒアリングを行うことが通例になっています。仮に、本年度も例年どおりのスケジュールであれば、9月中旬に2日程度の日程をいただきたいと思っております。しかしながら概算要求の締め切りについては9月末以降に延期されるのではないかという報道もあります。その場合、見直し当初案の提出期限も9月末以降に延期されることになります。いずれにしましても詳細な日程等につきましては、事務局から連絡させていただきたいと思います。以上です。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。

 ただ今の事務局からの連絡事項につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。

 よろしゅうございますか。

 それでは以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会を終了とさせていただきます。本日は御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。

 

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