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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(10月6日開催)議事録

日時

日時 平成23年10月6日(木)14時00分から16時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、山本清独立行政法人評価分科会長代理、田渕雪子委員(※)、森泉陽子委員、荒張健、石田晴美、稲継裕昭、岡本義朗(※)、梶川融、河野正男、河村小百合、柴忠義、鈴木豊、瀬川浩司、園田智昭、玉井克也、宮内忍(※)、宮本幸始の各臨時委員
(※)を付した委員は、議決の一部に参加していない。

(総務省)
新井英男行政評価局長、井波哲尚官房審議官、三宅俊光総務課長、北川修評価監視官、
平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

(1) 見直し当初案に関する各省ヒアリング(経済産業省、文部科学省)
(2) 役員の業績勘案率(案)について
(3) その他(報告事項等)

配布資料

会議経過

【阿曽沼分科会長】  それでは時間になりましたので、ただ今から政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開催いたします。

 審議に入ります前に、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をお願いいたします。

【北川評価監視官】  それでは前回7月25日の分科会以降、行政評価局幹部の人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。まず、行政評価局長でありました田中が人事・恩給局長に転任いたしまして、後任に評価局の審議官でありました新井が着任いたしております。

【新井行政評価局長】  よろしくお願いします。

【北川評価監視官】  また、評価局審議官であった宮島が関東管区行政評価局長に転任いたしまして、後任に中部管区行政評価局長であった井波が着任いたしております。

【井波審議官】  井波でございます。よろしくお願いいたします。

【北川評価監視官】  独立行政法人第一担当の監視官でありました横山が従前より内閣官房で独法の制度改革の方も兼務しておりましたが、いよいよ行政刷新会議の動きが本格化してきたということで、そちらの制度改革の方に専任になるということでございまして、私、北川が横山の担当していた分も引き継がせていただくことになりました。以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは、新任者を代表いたしまして、新井行政評価局長より一言ごあいさつをいただきます。

【新井行政評価局長】  この度、行政評価局長に新任いたしました新井でございます。よろしくお願いいたします。私、独立行政法人評価そのものにつきましては、今回初めて経験させていただくということでございますが、これまでもずっと長い間評価部門におりまして、政策評価その他の評価にいろいろ携わってきましたので、これらの経験も踏まえまして、独立行政法人評価の方も精いっぱい努力をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、ただ今、行政刷新会議の方では、独立行政法人制度そのものの在り方の見直しも議論しておりまして、評価も含め制度的な枠組みが、いろいろとこれから議論されていくと思っております。私といたしましては、やはりこれまで10年間、独法の評価をさせていただいた当分科会のこれまでの実績も踏まえまして、新たな制度作りにつきましても適切に対応してまいりたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。あいさつにかえさせていただきます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは審議に入りたいと思います。本日は「平成23年度の事務・事業の見直し」及び「役員の業績勘案率」について御審議をいただく予定としております。「平成23年度の事務・事業の見直し」については、本日と来週1014日の2回に分けて、今年度の見直し対象となっております法人の見直し当初案に関する各省のヒアリングを行ってまいります。このヒアリングは例年でございますと9月上旬に行っておりましたけれども、今年は御承知のように概算要求の締め切りが9月末になりましたために、この時期となりました。現在のところ、予算編成を年内で行う方針ということですので、来年度予算に反映させるためには、勧告の方向性を12月上旬までに取りまとめる必要がございます。例年より審議期間が1カ月短くなりますので、効果的・効率的に審議を進めることが求められております。委員の皆様の御協力を何とぞよろしくお願いいたします。

 本日は経済産業省所管の2法人及び文部科学省所管の1法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。なお、本日のもう一つの議題でございます業績勘案率の審議につきましては、非公開とさせていただいております。文部科学省のヒアリングの終了後に傍聴者の方には御退室いただくことになります。

 それでは経済産業省所管2法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。本日は、経済産業省、岸貿易保険課長をはじめ御担当の皆様にお越しいただいております。それでは見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。全体の時間もございますので、5分程度ということでございますので、時間厳守で御説明をお願いしたいと思います。

【岸貿易保険課長】  経済産業省貿易保険課長の岸でございます。よろしくお願い申し上げます。

 お手元の資料1−1−(1)という番号の横長の概要資料の方で、日本貿易保険、私ども、「NEXI」と呼んでございますが、見直し当初案の内容をご説明いたします。まず左上の「貿易保険制度の特徴」という下に、国際ルール上認められた輸出振興の政策手段である、諸外国の貿易保険も国がリスク負担している、あるいは各国企業の競争力を支える制度インフラである、こういった政策上の位置付けが述べてございます。貿易保険法という法律の中に貿易保険の種類、カバー範囲、保険金の支払いの要件、保険金額の算定方法などが法律の条文で詳しく書いてございます。NEXIは法律で内容が決まっている貿易保険制度についてリスク審査、引受けなどの専門的な実務を担う機関でございまして、貿易保険以外の事業は実施しておりません。国との関係について、詳細は省きますが、貿易保険制度は様々な点において国と一体で成立する事業構造です。ただ、逐一政府にお伺いを立てて単純に政府に言われたとおりにやるというものではありません。やはり客観的なリスク審査を専門家集団である独法で決定する、あるいは効率的な運営をするということも同じく重要ですので、10年前に独法制度ができたときに真っ先に手を挙げて利用し、法人の自律性と国の関与のバランスをとるように図ってきたところです。

 2段目の、「第3期における取り組み実績」でございます。サービスの向上、金融危機対応、政府の新成長戦略、震災関連、こうした対応などに力を入れる一方で、赤い部分ですが、効率化の徹底としまして、例えば独法として求められた各種削減目標の達成、支店の人員半減、随意契約の大幅な減少などを達成してございます。また、民間参入に制限はありませんけれども、より参入しやすい環境を整えるため、販売業務委託の倍増、あるいは昨年の12月から民間保険会社の海外現地法人と連携した新たな取り組みを導入するなどしております。財務面についても、過去、国でやっていた20年前に1年で3,400億円といった保険金支払いがあって、7,000億円の借入超過という時代もありましたけれども、現在は財務的に改善をしております。

 次に中段の緑のところで、最近の状況で特筆すべき点だけ申しますと、金融危機の後、例えばオバマ大統領の輸出倍増宣言など、官民挙げた受注競争が一層激化しております。一方で金融危機後、民間によるリスクテイクが世界的に減少したこともあり、各国が国の貿易保険を相次いで拡充しております。中国、韓国の貿易保険に至っては、それぞれ13兆円、9兆円規模と、新規引受け額が日本は年間8兆円台ですが、これを抜き去るというようなことも含めてアグレッシブな状況が生じてございます。翻って我が国は、(2)のところですけれども、政府の成長戦略を推進する中で、電力・鉄道・水などの海外インフラの受注や投資、あるいは中小企業の海外展開、資源確保などに、ファイナンス面がどうしても鍵となりますので、NEXIによるリスクテイクの補完が求められております。このほか、企業取引や金融の革新に応じた保険の制度・運用の見直しも求められております。

 以上のような状況を踏まえて、黄色い部分でNEXIの見直しの方向性として大きく3つ示してございます。一つ目の柱は、国際競争力を支える制度基盤という、貿易保険制度のベーシックな役割を踏まえまして、利用者の利便性や制度の安定性を損なったりしないように、あるいは各国との制度比較において遅れをとることがないように、制度・運用を不断に見直していくことです。具体的には利用者の視点に立った負担軽減、迅速化、制度改善ですとか、あるいは財務基盤の健全性、後ほど申しますが特別会計改革とも関連しますけれども、特に保険料の積立ての明確化について検討していく予定です。それから民間事業者の参入、事業機会の拡大のための更なる環境整備策、具体的には海外フロンティングと称する再保険引き受け、あるいは販売委託の更なる拡充といったことを含めて、利用者の認識や国際金融情勢を踏まえながら積極的に取り組んでいくことを考えております。

 二つ目の柱は、日本経済を新たな成長軌道に乗せるために政策的な役割を強化することです。インフラ輸出、国産航空機、中小企業、農業、資源確保、そうした重点政策、重点分野を最大限踏まえて、民間のリスク補完という役割を果たすということです。そのときに右下の「業務運営の適正・効率化」の中に「リスク管理の強化」と書いておりますが、今後、複雑で大きなプロジェクトファイナンスなどのリスクも数多く引き受けていく上で、客観的なリスク審査の徹底が一層重要となります。これまで業務の効率化やシステム活用に最大限取り組んでまいりました。他国の貿易保険機関に比べて少ない職員数で実施しておりますが、引き続きマニュアルの整備などをしつつ、また第三者評価など透明性を確保しながら、業務の特性、政策実施の必要性に応じて、専門性の高いリスク審査体制をしっかり整えていくことも課題と考えております。

 最後に、三つ目の柱は、特別会計改革を踏まえた大がかりな制度改正への対応です。実は昨年の事業仕分けでは、NEXIは呼ばれませんでしたけれども、特別会計について、現在NEXIの保険リスクを9割、再保険の形で国の特別会計に移転している仕組みなのですが、昨年全ての特別会計を対象とした仕分けの中で、この特別会計を廃止し、独立行政法人NEXIが勘定を一体的に管理する主体として位置付けられたところです。この場合に、政府自身が最終的にリスクテイクをしないと、各国の横並びがとれないという事情がありまして、特会の再保険をやめるかわりに、諸外国の例に倣ってNEXIに国家保証を付けるという形の制度に変える方針が示されております。特別会計改革の今後のスケジュールは政府全体でまだ固まってございませんけれども、NEXIの在り方についてはこうした特会改革の枠組みの制度設計の中で見直すという閣議決定がございます。次期中期目標期間は新制度の設計・移行時期と一部重なりますので、今後の法整備がどの年度になるか、移行期間がどのぐらいかかるかということはまだ未定ですけれども、NEXIにおいても事務処理、関連規定、システム対応、財務経理の在り方など、全般的な見直しは並行して進めながら、できるものは早期に着手して実施していく必要があると考えております。NEXIの見直し当初案について、説明は以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それではただ今御説明いただきました日本貿易保険の見直し当初案につきまして御質問がございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。それでは鈴木委員どうぞ。

【鈴木臨時委員】  先日の視察の際は御協力ありがとうございました。そのときにも御質問等はしたのですけれども、今日もお話の中に、国と一体でということで、しかしリスク審査についてはNEXIが独自にということではあるのですけれども、もう一度ちょっとその部分について、視察の時にスペインの太陽熱のケースでお話しいただいたのですが、そのプロセスの中で、例えばスペインという国と我が国の経済産業省と、いわゆる国と国との非常にリスクの大きな事業だと思いますので、そのときの関係だとか、あるいはその間における審査の最終的な、いろいろな国との政策的なものに関わるものについては、いわゆる役員会とかミーティングということで決定されていくということですが、例えばスペインの検討プロセスの中では役員会が出てくるのですけれども、そういうミーティングとか役員会等でどの程度国とのいわゆる、折衝ではないのでしょうけれども、どのような業務としてともに行われていくのか、その辺をひとつお聞きしたいのです。

【岸貿易保険課長】  プロジェクトファイナンスの引受についての国との関係について御質問がございました。国との関係につきましては、資料1−1−(1)の上の方に、国の事業、国の信用など、ビジネスモデルとして国と一体であることはここに書いてあるとおりでございます。

 さらに、個別案件について、国と協力をして、あるいは連携をして進めていくということも、いろいろございます。例えば、引受に当たって相手国との交渉が必要な場合に、通商貿易政策上も重要な案件ですので、国に協力を依頼し、あるいは国の判断によって、相手国政府とプロジェクトのリスクを引き下げられないかというような交渉をすることもございます。あるいは保険をかけた後に、例えばお金が返ってこないという事態が想定された時に、債権の保全、あるいは保険金を支払った後にNEXIが代位して回収をしますが、パリクラブで国と一体で回収するといったことがございます。ただこれはNEXIと国とが、上下の権限関係ということではなく、基本的にはNEXIと政府との日常の情報交換の中で連携をしております。

 それから、一定の個別案件の引受に関しては、全体で十数万件ある中の20件ほどですけれども、一定の高額な案件などについては、事前にNEXIの方から国に政策的な意義を確認するプロセスもございます。ただ、あくまでも客観的なリスク審査でリスク上大丈夫であることが引受けの前提ですので、リスク審査、そして最終的な引受判断はNEXIが行います。その際に、役員会についても御質問がありましたけれども、独立行政法人ですので、理事長の責任において決定するということですが、NEXIはリスク管理を担う法人ですので、案件の進捗に応じて、あるいは最終的な引受判断においては、役員会という非公式なところで様々な観点から討議しまして、ただ、迅速な経営判断という観点から最後は理事長の責任において決定をするといったプロセスを踏んでございます。

【鈴木臨時委員】  今の説明で大方は分かりましたけれども、実際のプロセスの中で、どういうふうに国との関係の業務が行われているか、例えばスペインの例、あるいはまた役員会とかミーティングの実際の中身など、具体的なことについては、また後日、お聞かせいただくということにしたいと思います。ありがとうございました。

【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。荒張委員どうぞ。

【荒張臨時委員】  先日の視察、どうもありがとうございました。視察の時にもお話がございましたように、NEXIは特にプロジェクトファイナンスという最先端の開発の部分で、民間金融機関では引き受けられない部分を担当されていくというようなお話で、岸課長のお話の中でも、「専門性の高いリスク管理の強化」という言葉が先ほど来から何度も出ておられるのですけれども、それを実現するためのリソースとしての人材の面でちょっとお伺いいたします。国策としてもインフラ輸出というのはいろいろなところで新聞紙上をにぎわしておりますので、そういう中で今後需要が増えてくるのかなと感じるのですけれども、その辺の人事の補強のプランというのはどうお考えなのかということと、それからその時に必要な人材の水準というのはどういったものなのか。デリバティブなどというような話ではないので、銀行のフロントで相場を張っているような人ではないとは思うのですけれども、プロジェクトファイナンス自体も非常に特殊性のある分野ということで、そこをカントリーリスクも含めてしっかりとリスクの切り分けができる人材というのは、このマーケットに一体どのぐらいいて、どういった給与水準の方を必要としているのか。また、そうすると次に気になってくるのが、NEXIは非公務員型の法人でありますけれども、一方で給与の面では独法としてはいろいろ制約も出てきているのが現実だと思うのですけれども、現在執行を任されている独法としての立場から見て、果たしてプランを現実的に実行できるものなのか、そういった点をぜひ御説明いただければと思います。

【岸貿易保険課長】  人材の量と質についてということだと思いますが、これまでも新しい業務に対応して、業務見直しを進めながら、業務の効率化、システム対応、システム投資といったものとを組み合わせてやりくりに努めてまいりました。そうした効率化努力を最大限徹底するというのが今後も大前提だと考えております。その上で、やはり業務の特性、政策実施の必要性に応じた、経営の機動性、柔軟性ということは、本来、ご指摘のありましたように、非公務員型の独立行政法人制度の下で想定されているものではないかと思います。昨今なかなか難しい状況はありますけれども、そういった点についても今後検討していかなければいけないと考えております。

 人材の質の方は、御指摘ありましたように、国際金融の専門性ということについては、デリバティブというようなスーパー社員を想定しているわけではなくて、例えば銀行であれば、邦銀、外銀をとわず、国際金融ですとか審査ですとか、こういったものを一定程度経験している、30代とか40くらいまでの社員を中途採用しております。民間金融機関あるいは商社、保険会社といったものが主たる人材のプールですが、そういったところからの中途採用と、一部出向者ということで、人材構成を図っております。大卒から一から育てていくということも今後あり得ると思いますけれども、やはり喫緊の業務にきちんとこたえるため、OJTなどで育てていくのに一定の期間がかかるものですから、基本的には現在は中途採用でやってございます。

 給与水準につきましては、公務員を100としたラスパイレス指数を実質で見ますと107と、若干高い水準ですが、今申し上げたような人材の給与水準としては、民間の給与水準からするとかなり低い水準でございまして、そのあたりは毎年、第三者評価委員会の定量的な検証を経て合理性について確認していただいております。独立行政法人にいて、あるいは他の特殊法人的な形態も含めて、人件費にいてはかなり厳しい規律がかかっている昨今でございます。本法人は、独立採算ということで回してございますけれども、引き続き全体の国の方針を踏まえて、人件費の適正確保に努めながら、片方で専門性のある審査体制をきっちり整備していく努力もしていきたいと考えております。

【荒張臨時委員】  そうすると今の給与水準ではちょっと低いけれども、実際にはリソースの調達というのは何とかやりくりできているという理解でいいのですかね。

【岸貿易保険課長】  今後の業務増大を踏まえると量的にはかなり厳しい状況になりつつあることは事実だと思います。諸外国の同じような貿易保険機関に比べて職員数が少なかったり、一人当たりの引受残高がかなり大きかったりする状況はございます。給与水準という点では、こういった人材のマーケットから、パーマネントな雇用として採用するわけですから、将来の人件費なども考えつつ、きちんと人材を見きわめて採用しなければいけない。そのあたりはかなり苦労している状況ではございますけれども、今、そういう努力をしてやっておるということでございます。

【荒張臨時委員】  個人的な意見としては、非常に国策としても大きなテーマを抱えられている中で、しっかりとした人材で処理をしていただきたいと思いますので、いろいろと耳を傾ける必要はあるとは思うのですけれども、ぜひ良い体制を維持発展させていただければなと願っております。以上です。

【阿曽沼分科会長】  よろしいでしょうか。他にどなたかございますか。岡本委員どうぞ。

【岡本臨時委員】  先日はありがとうございました。ちょっと今日の御説明の中にないのですが、NEXIの海外の事務所というのはどちらにありましたか。

【岸貿易保険課長】  ニューヨーク、パリ及びシンガポールです。

【岡本臨時委員】  海外支店から必要な情報というのはどういうものがあり、どういう役割を果たしていらっしゃるのかということと、また、先進国に保険をつけるというのはあまり想定されなくて、むしろ途上国等になると思いますが、そのあたりの海外事務所の必要性と考え方を教えていただけますか。

【岸貿易保険課長】  まず必要な情報ですけれども、NEXIはリスクを引き受ける機関ですので、リスク情報が主ですけれども、通常は被保険者、保険をかけてくれという側からの申告がベースになりますが、100%そこに寄りかかっていてはきちんとしたリスク判断はできませんので、現地情報を収集することが1つございます。それから最近はプロジェクトファイナンス、国家戦略上重要なプロジェクトなどは、結構、案件形成の早い段階から公的機関の関与あるいは顧客サポートが求められることがあります。そういった交渉にも入っていく。さらには、いろいろな貿易保険を巡る国際ルールなどもあるものですから、そういった交渉に参画する業務がございます。こういった情報をJETROなど関係機関と連携しながら収集しているわけですけれども、先ほど御質問ありましたように、NEXIの海外事務所というのは世界で3カ所ございまして、ニューヨークは北米・南米、パリは欧州からアフリカ・中東、それからシンガポールはアジアと、大まかにそういうところを見てございます。北米、例えばアメリカとかカナダにはあまり案件がなさそうに思われるかもしれませんけれども、資源確保の案件ですとか、鉄道のプロジェクトファイナンスですとか、それから物の輸出においても資本財など、やはりリスク補完のニーズというのが、途上国ほどではありませんけれども、ございますので、そういったところに対応しているところです。

【岡本臨時委員】  ちょっと気になったのは、カントリーリスクの情報といいましょうか、そういうものがどのように整備され、どのように活用されているかということになってまいりますと、ニューヨークとかパリとかという余裕があるのであれば、置くべき場所が違うのではないかなと。というのが、この間本部を視察させていただいたときに、カントリーリスクとは言いつつ、さほど陣容がたくさんいらっしゃるわけではないので、大丈夫かという感じを持ったということがあります。全体の人員配置等は、先ほど課長もおっしゃいましたようにJETROであるとか、あるいはJBIC等々の、もう少し展開の在り方があるのではないかなと思いました。

それから全然違う話なのですけれども、今回の東日本大震災を契機にして中小企業に対する貿易保険というものが今まで以上に増えたということで、中小企業政策と貿易保険という観点からの説明を非常に強調されたと思うのですが、果たして貿易保険がやるべき内容というのはそういうところなのかどうか。それほど中小企業というのを強調されたことに対して少し違和感を持ちました。

【阿曽沼分科会長】  何かお答えございますか。

【岸貿易保険課長】  では簡潔にします。いずれにしましても、人員配置などについては御指摘も踏まえまして今後も検討してまいりたいと思いますが、世界での情報のハブという観点から、例えば中南米などの情報もニューヨークに関係の機関ですとか金融機関など集まっている面がございます。それからヨーロッパであればパリかロンドンなのですけれども、パリには関連の国際機関などが多くございまして、そういった交渉対応というようなことも勘案して、世界的な3カ所の事務所配置を決めてございます。

 それからカントリーリスクの体制整備の充実の必要性については御指摘のとおりかと思いますが、これはいろいろな情報ソース、例えばOECDでのカントリーレーティングですとか、民間の専門情報機関の情報ですとか、あるいはいろいろな国際的なつてなども頼りながら総合的にカントリーリスクを判断しているものでございます。

 それからJETRO、JBIC等との連携につきましても御指摘のように進めております。保険の引受とか審査という本業は、保険特有のガバナンスというのが求められますが、それに付随した例えば情報収集ですとか、あるいは顧客対応といった部分については関係機関との連携を一層深めていきたいと思っております。

 最後に中小企業については、私どもの政策の面からは、中小企業の海外展開支援というのは、産業政策的にも、それから津々浦々に中小企業は東北も含めてございますので、こういった地域政策的な観点も含めて大変重要だと思っております。私どもも力を入れて年間5千億円、2万件程度受けてございますけれども、ただ大企業のウエイトに比べてまだまだ小さいところがございまして、引き続きNEXIあるいは関係機関との連携によって中小企業向けのアクセスの拡充には取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。では瀬川委員どうぞ。

【瀬川臨時委員】  では手短にいたします。本日御説明いただいた中で、組織・業務全般の見直しの方向性、三つ挙げていただきました。二番目の「日本経済の「新たな成長」に向けた政策的役割の強化」というところで、国の重要政策への対応強化、これは非常に大事だと思います。ただ、現在NEXIにおける重要案件の意思決定プロセスがどうなっているのか。そこに対して国の重要政策への対応強化というような点をどのような形で反映していくおつもりなのか、その方法論、組織論なのか業務全般なのか、そのことについて御回答をお願いします。

【岸貿易保険課長】  政策的な重要性につきましては、一定の案件については政府の方に確認をするということを仕組みとしてやっておりますが、大半については日頃からの政府と、公的機関たるNEXIとの情報共有の中で、あるいはいろいろな基準を当てはめることにより、NEXIにおいて自律的に処理をしているということでございます。その中で先ほど出てまいりましたような役員会もございますので、そこでいろいろな角度から討議して判断をするという仕組みになってございます。

【瀬川臨時委員】  ありがとうございます。自律と協調のバランスをどうとられるのかというところは非常に大事かと思います。よろしくお願いします。

【阿曽沼分科会長】  よろしゅうございますか。それでは河村委員どうぞ。

【河村臨時委員】  特会改革との関係のところでお尋ねできればと思います。これまでは貿易再保険特会が原則9割負担で、あとはNEXIの方でやられてきたということで、NEXIも何度も御説明されているようにリスクを負担する、そのための見極めをするというお仕事をなさっていると思うのですが、今回、国の方針として特会をNEXIの方に持ってくるということで、先ほど課長の方から、今度、NEXIに政府保証を付けるというような御説明があったのですが、その保証の付け方といいますか、行っている業務全体に付けるのか、それとも案件ごとに付けるのか、おそらく今後のNEXIの業務の運営のリスク管理の在り方にも大きく影響してくると思うのですが、どういう形になっているのでしょうか。

【岸貿易保険課長】  独法への政府保証の付け方ということですけれども、これは諸外国との対等性、イコールフッティングというところがスタートラインだと思っておりまして、諸外国では、いろいろなバリエーションはありますが、政府自身が直接、保険のリスクテイクをするというところと、それから政府100%出資機関、たとえば独立行政法人や特殊法人的なところが引き受けて、ただ最終的にはソブリン、政府本体がリスクを引き受けるために、そういった100%出資機関と政府本体との間を再保険あるいは保証という形でつないでおります。保証の対象は、保険ですので、保険料をもらって保険金を支払う。この保険金というのは時に極めて巨額になるわけで、本当にこの法人が払えるのかということがあるわけです。支払いを確実に行うために、この法人の保険金支払い債務に対して保証をするというのが基本でございます。いわゆるソルベンシーに対する保証でございますけれども、このほか、一時的な資金調達も必要となりますので、そうした流動性、つまりその法人の借入についても、保証して国の信用をバックに行うこともあわせて想定しております。

【河村臨時委員】  そうすると、その政府保証の仕組みは、案件ごと、保険金の支払い債務に対してというお話がありましたので、案件ごとの判断が国の方としてもあるということになるわけですかね。

【岸貿易保険課長】  引受案件に対して保証の効果が及ぶようにするわけですが、基本的には諸外国も全ての貿易保険の引受案件に対してソブリンの保証がかかるようにという仕組みでございます。裏返して言いますと、国が保証する必要がないものであれば、民間のマーケットでリスクテイクできるということにもなりますので、基本的には貿易保険で引き受けるべき保険についてはすべからくソブリン保証がかかるようにという仕組みを想定しておりますが、具体の設計については本邦初ですので、特会の仕分けを含めて、政府方針に基づいて今後詳細を検討していくということでございます。

【河村臨時委員】  分かりました。政府保証であれば、この国の一般的な制度からすると財投の枠内でということになると思うのですけれども、やはりそういう理解でよろしいですか。財投としての規律付けもかかるような形でということになると思いますが。

【岸貿易保険課長】  流動性借入に対する国の信用という面では、現在、特別会計は財投から借り入れたり、あるいは財投に預託をしたりしております。今、NEXIにはそういう機能はないわけですけれども、特会をNEXIに一本化するときには、そういったことも論点でございます。ただ、本質は、むしろ保険金の支払い債務そのものを政府が保証する点でして、借入ではなくて保険金の支払い債務そのものを政府が保証することについては、法律で特別な制度を作りまして、そういった保証の限度枠をどうやって財政的に管理するかといったようなことは、今後論点として詰めていきたいと考えています。何でそういう保証をつけなければいけないかというと、例えば貿易保険をかけると銀行融資のバーゼル規制上のリスクウエイトがゼロになるのですね。で、日本だけ政府保証をつけないということになると、ファイナンスの競争力の面で諸外国とのイコールフッティングが損なわれるというおそれがありますので、そういう対応を検討しているところでございます。

【河村臨時委員】  ありがとうございます。

【阿曽沼分科会長】  大体よろしいでしょうか。すみません、時間の都合がございますので、他の委員からの御質問もあろうかと思いますが、日本貿易保険については、ここで一たん議論を打ち切らせていただきます。今日は御多忙のところ御協力を賜りましてありがとうございました。

 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいります。引き続き御協力をお願いいたします。鈴木委員はじめ御質問のあった委員からも、時間の関係で十分に質問ができなかったこともあろうかと思います。文書での事務局からの質問というのがあると思いますし、またワーキングでの最後のヒアリングというものをお願いするということもございますので、その際はぜひ御対応よろしくお願いします。

 それから質問に対するお答えに関しては抽象的・包括的なものではなくて、より具体的・客観的にお答えください。特に制度改革との関連だとか国との一体事業の在り方、更にはリスク評価に関しても非常に難しい組織運営というのを求められているわけでありますので、今後はより具体的かつ客観的な御回答をお願いしたいと思います。

 それでは説明者の皆様方の御退席いただいて結構でございますので、本日はありがとうございました。

【岸貿易保険課長】  ありがとうございました。

(説明者入替)

【阿曽沼分科会長】  それでは続きまして、原子力安全基盤機構の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。本法人につきましては、本日、内閣官房、櫻田原子力安全規制組織等改革準備室副室長、それから経済産業省の原子力安全・保安院、片山企画調整課長をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。全体の時間もございますので、5分程度でお願いをしておりますので、簡潔な御説明をお願いいたします。

【片山企画調整課長】  それでは御説明をさせていただきます。原子力安全・保安院、企画調整課長の片山でございます。御承知のとおり、原子力安全・保安院は来年の4月を目途に環境省の外局として設置される、仮称でございますが、原子力安全庁に統合される。それに伴いまして、現在保安院の支援機関でありますJNESにつきましても、新組織の所管になるということでございまして、新組織の制度設計をしております内閣官房の準備室とともに御説明に上がらせていただきました。まずは現在所管をしております保安院の私の方から御説明をさせていただきます。

 お手元に資料1−1−(2)というのがございます。まずJNESをめぐる最近の状況でございます。御承知のとおり、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けまして、中ほどの欄の左側でございますけれども、政府として事故調査・検証委員会というのが5月に設置され、今、事故の検証作業が行われております。ここにおきましては、事故の技術的な問題のみならず、制度的な問題まで含めた検討を行うということにされておりまして、本年末に中間報告として取りまとめられると聞いてございます。したがいまして、そこでどのような御提言が出てくるのかということも踏まえた上で案を作成していかなければいけないのではないかと考えてございます。

 それから先ほど申し上げましたように、その右側でございますが、平成23年8月15日の閣議決定で、原子力安全・保安院が経済産業省から分離されて、原子力安全委員会の機能とも統合されて環境省に移行することになりました。その3日前に関係閣僚の了解ということで8月12日に、「実際の業務においては、JNES等の支援機関が重要な役割を果たしている。新組織の設置に当たっても、これら支援機関と一体的な運用体制を確立することが重要である。また、人材面での支援も期待される」「JNESを新組織の所管とする」ということが決まってございます。したがいまして、JNESの次の目標を考えるに当たっては、この新組織がどのような機能を持つ組織として設計されるのかということを十分踏まえる必要があろうかと考えてございます。

 それから次に、「行政刷新に向けた動き」ということで、独立行政法人の制度・組織の見直しの検討というのが開始されております。当然、JNESもその対象でございますので、そちらの御議論の影響も受けるということではないかと思ってございます。それから「国際動向」と書いてございますが、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、IAEAの方では原子力安全の基準の見直しの動きというのがございます。ここに当然、日本としてどのように貢献していくかというのは考えなければいけないということでございます。また、アジア諸国では新たに原子力発電を導入する動きというのが止まってございません。したがってこういったところへの対応というのも考えていく必要があろうかと思います。

 このような環境変化の中で、なかなか今の段階できちっとした目標案を設定するのは難しゅうございますが、基本方針といたしましては、今申し上げました原子力安全規制行政の検討状況を踏まえて、適宜見直しを行うということを前提にしながらも、JNESが担う技術支援機関としての役割の中で、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえた規制課題に対する支援業務に重点化をしていくということではないかと。

 それから2点目として、やはり今回の事故の最大の反省点といたしまして、原子力安全の確保には深層防護の追求が不可欠との原点に常に立ち戻る。その中で優先的に取り組むべき課題等に高度な科学的分析・評価に基づく提言活動を実施していく。また、安全規制を取り巻く環境変化に対し、一層の先見性、機動性をもって規制当局を支援していく。これはまさしくJNESが担っている機能を、国の指示を待つのではなくて、むしろ規制当局に対してどんどん新しい規制、こういうことをやるべきだということを提言していってもらう。こういう機能というのが大事になるのではないかという考え方でございます。 この基本方針の下で、現時点で今後の重点化課題として考えてございますのは、その下に書いてありますが、1つは東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえた課題への対応ということでございます。平成23年6月にまとめましたIAEAに対する政府の報告書の中で、事故の教訓として28項目掲げてございます。この中には、まさしくJNESとも関係の深い原子力の安全基準に関する話というのが掲げられております。こういったことを具体化していくための支援の実施、さらには東京電力福島第一原子力発電所事故自体、まだ収束の途上でございます。非常に長い道のりでございます。ここで中期的な課題というのがございますので、安全規制をしっかりとやっていく中でJNESとして適切な支援をしていくと。こういう業務に重点化していくべきではないかということでございます。それと、新組織の業務に対する支援。これは今後具体化されていくかと思いますが、ここに重点化をしていくということではないかと思っております。

 その隣の欄に書いてございますのは、第2期の達成状況を検証して取り組むべき課題ということで、1つ目にございますのは、この5年間の間で2回の検査での不備がございました。こういった点を真摯に反省して、品質マネジメントシステムというのをしっかりと機能させていくと。検査技術の徹底的な改善に取り組むというのが大事ではないかという点。2点目に、JNESが実施をした技術評価の結果、あるいは研究成果というものを積極的に公表していくと。これは東京電力福島第一原子力発電所事故の反省でもございますけれども、JNESがせっかく研究をしていたのに、それが十分世の中に伝わっていなかったのではないかという御指摘をいただいております。そういった反省を踏まえてしっかりと研究成果を外に発表していくということが大事ということでございます。3点目として、核燃料サイクル施設について技術的な根拠や解析評価方法をしっかりと整備していく。まさしく今回の事故で起きたようなシビア・アクシデントに対して、どういうふうに対応していくのかといったあたりというのが、核燃料サイクル施設の場合、まだしっかりとしておりません。このあたりをしっかりJNESでやっていくことが必要ではないかということでございます。最後に海外への情報発信をしっかりする。先ほど申し上げましたIAEAでの技術基準の見直しなどにしっかりと貢献をしていく。それから新規導入国の支援というものについても引き続き取り組むといった点が重要ではないかと考えてございます。

 最後に業務運営の一層の適正化・効率化でございます。次の5年間を見据えますと、JNESの職員構成からすると、大量の退職者が出てくることが予想されます。したがいまして、JNESの業務を着実にやる上で、技能の伝承といいますか、体制の整備というのをしっかりとやっていかなければいけない。それから業務の効率化についても引き続きしっかりとやっていかなければいけない。最後に組織運営の高度化ということで、先ほど検査での不備ということを申し上げましたが、品質マネジメントシステムやリスクマネジメントシステムの効果的な運用ということで、JNES全体の業務の質の向上に取り組んでいかなければいけない。こういった点を課題として掲げているところでございます。簡単でございますが、説明は以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。質問がございましたら、どなたからでも結構でございますので、御発言をお願いいたします。それでは、瀬川委員どうぞ。

【瀬川臨時委員】  非常に大変な状況の中で、いろいろな作業に当たっておられると思いますけれども、まず一番最初に確認しておかなければいけないのは、やはり過去の業務についてでございます。業務の範囲というのは五つありまして、一つ目が原子炉施設の検査、二つ目が設計に関する安全性の解析、そして三つ目が非常に大事で、原子力災害の予防、原子力災害の拡大の防止、原子力災害の復旧、こういった業務が非常に重要な業務として挙げられています。四つ目が原子力の安全確保で、それに関わって、先ほどお話のあった研究がある。五つ目が情報の整理・収集です。特にこの三番目の原子力災害の予防、それから拡大の防止、あるいは復旧ということについて、非常に重要な意味がある。機構には各年度の運営交付金を見ますと200億円以上が投じられている。一方で、福島の今回の事故があって以降、例えば福島の原子力発電所に隣接しているオフサイトセンターが全く使えていないという事実があると思います。こういった点について、まずはどういう認識でいらっしゃるのかというのを簡潔にお答えくださいますか。

【片山企画調整課長】  原子力防災業務、極めて重要というのは御指摘のとおりだと考えてございます。大熊町に設置したオフサイトセンターについては、御指摘のように、幾つかの要因がございますけれども、最大の要因としては、放射線の遮へい機能というのがしっかりしていなかった。そこにいるだけで被曝をしてしまうという状況になったということ。それから複合災害でございましたので、電気の供給あるいは水の供給といったインフラ、あと通信でございますが、そういったものが遮断、断絶をしてしまった。で、そういったことから移転をせざるを得なくなってしまったというところは、非常に大きな反省点だと思ってございます。

 したがいまして、そういった教訓を踏まえて、今まさしく政府全体で、これは今、原子力安全委員会の方で議論が進んでおりますけれども、防災指針の見直しということ、それをトリガーといたしまして政府としてどのような原子力防災体制をとっていくのかという検討に着手してございます。そのような中でオフサイトセンターの機能というのをどうしていくのか、場所は今のような場所でいいのかといったようなことも含めて、今、検討してございます。当然そういう検討を受けて今後具体的にJNESとしてどういうふうに取り組んでいくのかという答えが出てくるのではないかと考えてございます。

【瀬川臨時委員】  これまでの過去の業務の話とこれからの話が混同されているところが非常に不満です。要はオフサイトセンターというのは、当然事故が起こることを想定して、それに対応するために作られていなければならなかった。それが使えなかったということは、想定が不十分であった、あるいは装備が不十分であったということを、これはお認めいただかないと話が始まらない。

【片山企画調整課長】  はい。認めた上で議論をしているつもりでございます。

【瀬川臨時委員】  そうしましたら、次に先ほど高齢化の話が出てきましたが、この点について一つ質問させていただきます。あらかじめいただいております資料によりますと、平成15年にこの法人ができて以来、22年まで、極めてものすごいスピードで高齢化が進んでおります。検査業務というのは非常に重要なものであり、常勤のスタッフを中途採用のみに頼るのではなくて、きちんと機構の中で育ててこなかったのかがかなり問題ではないかと思います。平成15年度以降、21年までは少なくとも新卒採用が10%を切っている。22年からようやく10%を超えましたけれども、それでも2割にも満たない。こういう運営でよろしかったのですか。

【片山企画調整課長】  まず初めに、検査業務をしっかりやっていくというためには、おそらく検査員に求められる資質として、これまでの経験というのがかなり意味を持ってくるのではないかと思っております。新卒採用についてもJNESとして努力をしているつもりでございますけれども、一朝一夕に検査員というものが養成されるわけではないというところについては御理解を賜れればと思っております。引き続き努力というのは当然やっていかなければいけない課題だとは思っております。

【瀬川臨時委員】  もう一方では中途採用が多いという点で、その中途採用をする場合に、もともといらした所属の組織がどういうところであったのかということについての資料をお出しいただきたいと思います。

【片山企画調整課長】  はい。承知いたしました。どのような資料がいいのか、事務局とも相談をさせていただいた上で御提出させていただければと思います。

【瀬川臨時委員】  基本的に検査業務というのは、やはり検査される側、する側というのが明確に分かれている必要がある。一方、これは資料を実際に直接拝見させていただいてからと思うのですけれども、不適切な人事のやりとりがある形ではいけないわけです。けれども、そうでないことがあったときには、やはりいろいろなことをこれから考えていかなければいけないと思います。

【片山企画調整課長】  その点につきまして一点だけコメントさせていただければ、当然もとの組織を辞めてJNESに採用されるということでございます。したがって、当然JNES法の規律に服していただいた上で仕事をしていただくということになると思います。おっしゃることはものすごくよく分かるのですが、一方で目をつぶってもこのプラントが分かるという人が、そのプラントを検査するということもまた大事でございまして、そのあたりのバランスというのをどう考えるのか。ただ御指摘のような点に疑惑を持たれないように、どういうファイアウオールといいますか、倫理上の措置を講ずるのか、それは検証の積み重ねなのかもしれませんけれども、そういった点、両者のバランスの中でしっかりやっていきたいと思っております。

【瀬川臨時委員】  これはまた後で別の方が御質問されると思いますので、これ以上しませんけれども、検査ミスがかなり多発している。そういうミスが出てくるのは構造的な問題ではないのかというのを指摘申し上げているところでございます。

 次の質問をもう一つよろしいでしょうか。

【阿曽沼分科会長】  どうぞ、瀬川委員。

【瀬川臨時委員】  もう一つの問題はやはり研究業務のことに関してでございます。研究業務の業務費用に対する割合は4割を超えていて、かなり大きな割合が研究業務に当てられている。それについて、安全研究プロジェクト関係の一覧というのをあらかじめ提出いただいているところでございますけれども、同じ課題でかなり長期間にわたって継続をされている課題がある。もちろん安全についてここははずせないという基幹的な業務があるのは分かるのですが、プロジェクトの委託先が具体的にどうなっているのかというリスト委託先の代表者がどなたであるのかというリスト、それから三つ目にその成果報告、あるいはその成果発表を、これは今日直ちにお答えいただかなくても結構ですので、後日提出いただければと思います。

【片山企画調整課長】  はい。承知いたしました。

【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。鈴木委員どうぞ。

【鈴木臨時委員】  以前にも一つお聞きしたとは思うのですけれども、検査業務について4種類、国のみが行う検査、国の指示でJNESが行う検査、それから定期検査等の、国とJNESが分担して行う検査などがあると思います。これらのうち、JNESの関係する検査業務として、(1)国のみが実施する検査、(2)国からの指示に基づく検査、(3)国と分担して行う検査の三つがどういうふうに関係しているのか、そして検査の質的な管理ということも重要だと思うのですけれども、検査の品質についてどのようなレビューがどうなっているか、その二つについて、これは非常に長くなるかもしれませんけれども、とりあえず要点だけお聞きしたいのですが。

【片山企画調整課長】  まずはJNESにおける検査業務の品質管理というところでございますけれども、これは後ほど資料ででもお出しした方がいいのかもしれませんけれども、基本的には検査業務部の方で検査の工程管理を行うマニュアルを作って、しっかりと現場の判断だけで物事が進まないように品質管理体制を作ってやっていくということが基本だと考えてございます。実は、そういう中で御指摘の検査漏れとか検査の不備というのがあったというのは誠に遺憾だと思ってございまして、そういうことが再発しないように、より品質マネジメントシステムの改善をやっていかなければいけないという指示を保安院から出しているというところでございます。

【鈴木臨時委員】  検査ミスについてはまたどなたかが御質問すると思うので、私が聞きたいのは、四つの検査があって、そのうちの特に三つについて、それぞれが全く別々のものなのか、あるいは一連の検査のものを切り分けて行われているのか、まずそこをお聞きしたいのです。これら三つの検査というのは、全く別々のものなのですか、あるいは別々の時期のものなんですか。

【片山企画調整課長】  すみません。失礼しました。まず検査としては別物でございます。まず国のみが行うのは保安検査というものでございまして、これは例えば発電所ごとに運転管理をしっかりやるための保安規定というものを各電力会社が作ってございます。それがしっかりと保安規定にのっとって行われているかどうかを確認するのが保安検査でございまして、これは四半期ごとに国の検査官が行うものでございます。それから国の指示で行う検査というのは立ち入り検査でございまして、これは随時、何か問題が起きたときに国が立ち入り検査を行う。その際にJNESにも指示をして、あわせて立ち入り検査を行う。そういったものでございます。それから定期検査でございますけれども、こちらの方は、今で言いますと13カ月に1回の頻度で原子炉を止めて、定期的に決められた、主としてハードウエアの検査を行わせるというものでございまして、ここはJNESと国とで検査を行う部分を分けた形でやっております。

【鈴木臨時委員】  そうしますと、その保安検査と立ち入り検査、定期検査、それぞれ別々の時期に別にということですけれども、その検査の中身が相互に関係するということはあるのではないかと思うのです。全くないのかどうか、そこはちょっと一つまたお聞きしたいのですが、もしそこで関連するとすれば、どういう相互の検査業務のやり方で行われているのか。そしてまたそれについて品質的なものをさらにチェックするのは、それぞれ、その三つについてどういうふうに行われているのか。

【片山企画調整課長】  ちょっと整理をさせていただければと思います。

【鈴木臨時委員】  分かりました。

【瀬川臨時委員】  関連して補足質問をさせていただいてよろしいですか。あらかじめいただいている回答の中で、国とJNESの役割分担について、「定型的で裁量性が少なく、かつ国民生活への影響が比較的軽微である検査については・・・・が担当」という書き方をしてあるのです。これがあまりにも具体性がないので、もう少し技術的な中身に突っ込んで、具体的に区分けをして漏れがないということをきちんと示していただきたい。

【片山企画調整課長】  はい。検査項目ごとにきっちりと説明できるようにしたいと思います。

【阿曽沼分科会長】  荒張委員どうぞ。

【荒張臨時委員】  検査ミスのところをお聞きしたいと思うんですけれども、平成2310月3日付で、今回の関西電力の検査ミスについての報告についての保安院の評価というのが出ているのですけれども、その中の根本原因の分析の中で、現物・原図など技術情報に立ち返って検討するといった業務姿勢が確立されていないこと等が云々と書いてあります。先ほどの瀬川委員とのやりとりの中でもちょっと出ましたけれど、目をつぶってもそこの原発の状況が分かる方じゃないとチェックができないというのは、多分技術的にそういった方でなければという意図だと思うのですが、一方で、例えば専門家の相互レビューとかするときも、必ず独立した第三者がチェックするというのは基本でして、どうしてもセルフチェックになると、「できているはずだ」「大丈夫なはずだ」という、この「はずだ」の塊が結局不祥事につながっていくというのはよくある話でございます。その点でやはり技術的に難しいというのは何となく分かる一方で、検査ミスが出た背景というのは、先ほど課長がおっしゃったような考えがベースになると、何か起こるべくして起きているような気もしないでもないのですけれども、それはどう考えられているのでしょうか。

【片山企画調整課長】  すみません。言葉のあやだったかもしれませんけれども、御指摘のとおり、本当のプロフェッショナルというのが必要だと意味で申し上げたと御理解いただければと思います。ここで書いてございますのは、ある意味、書類をしっかりと、添付をされていた図面までしっかり見ていれば、要するに本来5本なきゃいけないものが4本になっていて、添付された図面には5本とあった。それをちゃんと現物を見ていれば、4本と5本の間違いは分かったはずなのに、それを見逃してしまった。ある意味、しっかりと1次資料に立ち返ってチェックをするという一番の基本が怠っていたというところが、まず原因としてあるのではないかという意味で書かれているものでございます。したがいまして、目をつぶって云々というのは、趣旨としては、技術的なプロが必要だと申し上げたかったと御理解いただければと思います。

【荒張臨時委員】  まあ、そうでないと逆に困るのですけれども、ただ先ほどの中途採用の話もそうなのですけれども、ポイントはそういったところだと思うのです。なあなあで、自分がやってきたところで、セルフチェックになるような体制があったのかどうか。その辺のところはぜひ、次にそういった過ちが起きないために必要な観点だと思いますので、その辺が分かるような資料にしていただければなと思います。もちろん、関係する人を中途で採用することがおかしいということではなくて、多分セルフチェックという観点が多分一番まずいのかなという気がするので、その辺も含めて補足いただけるとよろしいのではないかと思います。

【片山企画調整課長】  承知いたしました。おそらく検査の品質管理をしっかりやるということにもつながると思います。

【岡本臨時委員】  ちょっと追加的に。よろしいですか。

【阿曽沼分科会長】  岡本委員どうぞ。

【岡本臨時委員】  先ほど瀬川委員からの資料要求という形で申し上げた件なのですけれども、それに対して課長がお答えになった点で、ちょっと引っかかる点を申し上げますと、いわゆる中途採用者についてですが、一度前職を退職されて、この機構に入られると。だから大丈夫というようなニュアンスの御発言があったかと認識しましたけれども、多分世の中の原子力行政に携わっている方から見たら、その批判はそういうところにとどまっていないと思うのですね。いわゆる原子力ムラと言われている中でなあなあの検査をやっていたのではないかと。そういう目で国民は多く見ているのだと私は思います。そのときに、前職が例えば電力会社で一度辞めたから、こちらの機構のルールに従うのだというふうに言われても、それは「そうですか」という形で受けとめられないというのが多分正直な本音ではないでしょうか。ですからもしそういうことを言われるのであれば、どういうことを実際に教育されて、実際にどういうことが、先ほどの不祥事の話もありましたが、ないということを、ちゃんとされたというのをあわせて御説明いただかないと、「はい、わかりました」ということにはならないと思うのです。課長はそこまで考えておっしゃっているならいいのですけれども、単に形式的に辞めた、あるいは退職して採用されたからということで、もういいのだということにはならないということは、ちょっと肝に銘じておいていただかないと困ると思います。

【片山企画調整課長】  はい。当然そういう前提だと思っていますし、仮にそうなったとしても外部からの御批判はあるだろうということもあわせて申し上げたつもりでございます。今の御指摘も踏まえまして、しっかり考えていきたいと思います。

【岡本臨時委員】  よろしくお願いします。

【阿曽沼分科会長】  他によろしいでしょうか。瀬川委員どうぞ。

【瀬川臨時委員】  では最後に一つ。今年度について、基礎・基盤研究の課題の実施状況はどうなっていますか。平成23年度は、実際に設定された課題について満額、研究費として執行されているのですか。

【片山企画調整課長】  安全研究でございますか。

【瀬川臨時委員】  はい、そうです。

【片山企画調整課長】  そこにつきましては、事故を受けまして従来の原子力政策の延長線上でやっているような安全研究というのを、とりあえず執行停止いたしまして、それで緊急に今回の事故を踏まえておそらく必要になるであろうという安全研究分野に振り向けるといった工夫をさせていただいております。

【阿曽沼分科会長】  時間の都合もございますので、原子力安全基盤機構については、ここで一たん議論を打ち切らせていただきますけれども、私から1点申し上げます。原子力安全管理については、原点に戻る必要があるということを再度強く認識していただかなければならないと思います。原点に戻って、組織の改革、風土の改革、意識の改革が具体的にどう行われていくかを国民に分かるような形にしていくことが一番重要なのではないかと思います。先ほど来の御説明の中で、マニュアルの整備とか、意識とおっしゃってらっしゃいましたが、本来、安全管理の基盤は職員一人一人の日常業務のきめの細かさを維持していくということに尽きるわけであります。日々の日常業務の中で発生したインシデント、アクシデントがいかに表出化されて組織として共有できていいるかです。その仕組みや意識がないと、マニュアルの整備や定期検査の実施などの活動が生かされてこないというのが安全管理上の基本であります。組織としてはフェールセーフという概念を徹底して、具体的なアクションその方向性を示すということが非常に重要だと考えています。

 それから委員からの御質問でもございましたが、一つの研究が14年、15年、16年も続いているような研究が本当にあっていいのかどうかという点に関しましては非常に強い疑問があります。さらに、80億から100億円の予算が投入されていながら、外注先の精査を客観的かつ合理的にそれが行われ、その結果として本当にその成果があったのかどうかを厳しく評価すべきであります。この点については委員からも強く求められているわけでございますから、この点に関しましてはきちんと具体的に項目を掲げで反省し、それを踏まえて将来どうしていくのかを御回答いただくことが必要ではないかと思っています。

 それから委員からの御質問がございましたけれども、一つの研究が14年、15年、16年も続いているような研究が本当にあっていいのかどうか。さらに、80億から100億円の予算が投入されているが、外注先の精査を含めて本当にその成果があったのかどうか。これは委員からも強く求められているわけでございますから、ここの部分についてはきちっと具体的に反省を踏まえて将来どうしていくのかも含めて御回答いただくことが必要なのではないかと思っています。

 当分科会といたしましては、本日の議論を踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいります。必要に応じて各委員から再度ワーキングでのヒアリングをお願いすることもあろうかと思いますけれども、その際には御対応を何とぞよろしくお願いいたします。

 それでは、長時間でございましたけれども、御多忙のところ御出席をいただきましてありがとうございました。内閣官房及び経済産業省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

【片山企画調整課長】  ありがとうございました。

(説明者入替)

【阿曽沼分科会長】  それでは続きまして文部科学省所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行いたいと思います。本日は文部科学省、板倉基盤政策課長をはじめ御担当の皆様にお越しをいただいております。それでは、科学技術振興機構の見直し当初案につきまして、その主要なポイントについて御説明をいただき、その後、質疑応答をいたします。よろしくお願いいたします。

【板倉基盤政策課長】  それではお手元の資料2−1でございますが、1枚表紙をおめくりいただきまして、2ページでございますが、見直しのポイントを1枚で示してございます。これに基づきまして御説明申し上げたいと思います。

 科学技術振興機構は、現在第2期の中期目標期間中でございますが、この中期目標の前文の中に、科学技術基本計画の中核的実施機関として、その責務を果たしていくということが書かれてございまして、具体的にはこの資料の左上にありますように、イノベーション創出を志向した研究開発を推進する、さらにはイノベーション創出を促進する基盤整備に重点化して実施していくということが書かれてございます。具体的にはその下にございますように、「イノベーション創出の源泉となる知識の創出から研究成果の社会・国民への還元までを総合的に推進」「その基盤となる科学技術情報の提供、科学技術に関する理解増進活動、戦略的国際活動等を推進」するということが書かれているわけでございます。

 この間、国の基本政策の動向としまして、左下の枠に書いてございますように、今般、科学技術基本計画が新しく定められました。平成23年8月19日付の閣議決定ということでございますが、これは5年に1回改訂するものでございまして、先ほど言いましたように、科学技術振興機構はまさに基本計画の中核的機関という位置付けで事業を実施してございますが、この基本計画自体が大きく変わってきているということを踏まえまして、今回、第3期中期目標に向けて事業見直しをしていくということでございます。

 この科学技術基本計画の今回の大きなポイントでございますが、幾つかございますが、一番大きなポイントとしまして、まず基本方針として、これは、(1)になりますが、「『科学技術イノベーション政策』の一体的展開」ということが書かれてございます。今までも科学技術とイノベーションはどちらも重要だということなのですが、どちらかというと科学技術という視点から全てを見ていたわけでございますが、イノベーションという視点もあわせて一体的に推進していくということが記されております。それで、イノベーションを推進する中で、「課題達成のために科学技術を戦略的に活用し、その成果の社会への還元を一層促進」していくということが記されている、すなわち社会の課題を解決するために科学技術イノベーションというのを進めていくということが明記されているわけでございます。その他、人材育成の重要性や社会とともにつくり進める政策の実現を展開していくということが書かれており、これが大きなポイントでございます。その他、昨今の財政状況などを考えればガバナンスの強化や事業運営の効率化が求められていること、あとは震災復興の関連、こういったことが大きな状況の変化でございます。

 これを踏まえて、事業見直しの方向性を、右上の欄に書いたようなポイントに絞って考えてございます。具体的には事業の幾つかある柱を2本の柱に明確に整理をするということでございます。さらにその柱に整理した中で連携を強化していくということでございますが、1本目の柱は今までイノベーションということで整理しておりましたが、さらに科学技術イノベーションというふうに一体で扱って、これを創出するための活動そのものを1本目の柱とします。で、「JSTの強み、外部人材や研究機関等のリソースを活用し、オープンイノベーションを生かして基礎研究から企業化開発まで総合的に展開」していくということでございます。

 このJSTの強みですが、その下にございますように、柔軟性、専門性、つなぐ力と、三つの強みを持っているということが特筆すべき強みでございます。柔軟性というのは、人事や施設、設備というものにとらわれずに最適な研究チームを、研究の課題に応じて柔軟に構成できる。専門性ですが、これは内外の課題、特に政策課題、それから現場の状況、両方に精通していて、それらをうまく活用しながらこういったチームを作っていく専門性を持っている。あとはつなぐ力。これはネットワーク構築力ということでございまして、多様なステークホルダーの間をつなげていく力。こういったものを強みとして捉えた上で、このようなイノベーション創出の活動、この研究開発そのものを行っていくというのが1本目の柱です。

 2本目の柱は、科学技術イノベーション創出のための基盤の形成ということでございます。基盤といいましても、ハードのインフラではなくてむしろソフトのインフラということに特化していきたいということで、知識インフラ、人材インフラ、コミュニケーションインフラと、三つの観点からインフラ提供、ソフトインフラの提供を進めていくというようなことを2本目の柱に整理をするということでございます。

 こうした方向性につきましては、右下の欄の中に書いてございますように、各方面からこういった方向で進めていくべきという御指摘がございます。例えば業務実績評価、機構評価部会の評価の中では、「産学の対話の場を設けるとともに、その連携の領域を基礎研究まで拡大させていくべき」ということで、基礎研究から産業まで一気通貫で研究開発等を実施していくということなどを御指摘されてございます。その他、強みを生かした活動の強化ということ。あとは五つ目の丸になりますけれども、「JSTが「バーチャルインスティテュート」方式により、機動的かつ柔軟に事業を運営する現在のやり方を維持していくことを心より勧めたい」ということでございます。

 ファンディングという形で、外部に資金を提供するというよりも、むしろ外部のリソースを中に取り込んでいくと、それでネットワーク型のインスティテュートとして機動的に対応する。課題を解決するためのプラットホームを自ら形成していくということで、先ほど申し上げました1本目の柱を基礎から応用まで一気通貫で実施していくということを更に強化していきたいということが今回の眼目でございます。

 資料の3ページでございますが、事務及び事業の見直しにかかる当初案ということでございます。これは先般御説明したとおり、様々な行政改革課題に対応して、幾つかの改革をしてまいりましたが、そういうことを次期の中期目標にも盛り込みたいと考えてございます。

 さらには次のページ、4ページでございますけれども、「見直し後の事業の全体像」ということでございまして、先ほど来、繰り返して申しましたように、2本の柱に集約していくということをこのような図に示したものがこちらの内容でございます。左側が現行の目標期間における五つの柱に整理した業務でございますが、そのうちの上の2本の柱、「新技術の創出に資する研究」、これはどちらかというと基礎研究側でございますが、さらにそれと「新技術の企業化開発」、出口に近いところを一体的にシームレスでつなげていこうということで一つの柱にしていくと。さらには残りの三つの柱を1本に集約してソフトインフラの提供、科学技術基盤の提供ということで集約して、その三つの柱相互の連携を強化していくということで整理統合していきたいと考えているところです。説明、若干時間オーバーしましたが、以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは御質問ございましたら、どなたからでも発言をお願いいたします。柴委員どうぞ。

【柴臨時委員】  ありがとうございました。この第2期から第3期への中期目標の移行に当たってかなり大きく中身が変わるという印象を受けるわけですけれども、具体的にどのような形で変わっていくのか、具体的な内容について教えていただきたいというのと、もう一点は、競争的資金の配分の際にいろいろな形で情報等を得たり、あるいは外部の有識者からの意見を聞いた上で、研究主監会議でテーマ等を決めるということですけれども、実際に我々の目から見て、選定の過程や妥当性の評価方法等についてあまりよく見えないというところがあるように思われます。その辺についてどのようにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。

【板倉基盤政策課長】  それでは一つ目の質問につきまして、まずお答えいたします。資料の4ページですね、こちらに見直し後の事業の全体像というのを記してございますが、基本的にこれまでの五つの柱の中身、個々のプロジェクト、プログラム自体を大きく変えるというのではなくて、括り方、その構成を置きかえるということが眼目でございます。今まではこの2本の柱というのがあまり明確に打ち出されていなかったということ。さらにはこの2本の柱の要素としての、例えば左側でいえば上から一つ目と二つ目、「新技術の創出に資する研究」と「新技術の企業化開発」のように、入り口と出口が別々の柱として位置付けられておりましたものを一つの柱として統合してしまって、基礎から応用まで一気通貫で実施していくという色分け、運用方法を抜本的に変えていくということでございます。

 そもそもJSTは何のための組織なのかということを明確に打ち出すということが今回の眼目でありまして、冒頭に言いましたように科学技術基本計画の中核的実施機関ということが書いてありましたが、では具体的にどのような形でこの中核たり得るのかということなのですが、今回大きく整理した1本目の柱は、まさにこの課題解決もしくは課題達成に向けてドリームチームを作っていくという観点を強く打ち出しております。しかもそれが基礎から応用まで一貫して流れるような形で運用できるようにしていこうということ。他方、残りの三つというか、二つ目の柱につきましてですが、これは科学技術全体の下支えをするための共通基盤、JSTのためのみならず、オールジャパン、フォー・ジャパン、全体のための共通基盤をソフトの観点から提供するという目的を明確化していくということでございまして、個別具体的にどう変わったのかということにつきましては、個別のプログラムはそれほど大きく中身を変えるというよりは、プログラム間の連携を密にする、しかもそれを、目的意識をはっきりさせた形で連携させていくということに主眼を置いてございます。

 二つ目の御質問につきましては、担当の課長の方から。

【内丸基礎研究振興課長】  基礎研究振興課長の内丸と申します。今、御質問のございました、競争的資金の中の最も川上の方に位置しております戦略創造研究というものについて簡単にお話ししたいと思います。戦略創造研究はいわゆる基礎研究の領域を担当しております。先ほど来、板倉の方からお答えしてきましたように、JSTとして、出た成果をイノベーションに結びつけていくという意味で、例えば同じ代表的な基礎研究についての競争的資金制度ですと科研費というのがございますけれども、科研費は非常に研究者の方が自由に応募できるということでございますけれども、この戦略創造研究の場合は事前に研究領域というものを設定する、その中で、基礎研究につきましては、現場の研究者の方々の創造性が非常に大事ということで、皆様のアイデアを公募という形で応募していただきまして、それを審査・選定して課題を決めるということが行われております。その点、先ほど先生もおっしゃいましたのは、まさに競争的資金の代表的なものと考えております。この研究領域の設定でございますけれども、これはJSTの方で行っていただいておりますけれども、その時々の政策的な重要性、例えば科学技術基本計画、つい先日までの第3期計画ですと62個の戦略重点科学技術というものが全体で決まっておりますが、その中からそのタイミングでこれではないかというものを設定し、そこに至るときには多くの有識者、また様々な団体におけるワークショップ、シンポジウムを踏まえた形で、また国の科学技術・学術審議会での議論を踏まえた形で重要なものを選定し、それを実際に領域として公開してございます。実際に研究領域を決するに至りました経緯につきましても、これもホームページを御覧いただければ出ておりますし、また研究領域を、実際に課題を審査する方を選んだ理由についても、現在ホームページで公開して、わかるようにさせていただいております。

【板倉基盤政策課長】  先ほどの一つ目の御質問につきまして、若干補足させていただきますと、二つ目の柱である基盤の整備につきましては、さらに内容をより基盤的なものに集中していきたいということも今後考えていきたいと思っております。すなわち、日本の科学技術全体の下支えに資するものというものを重点的に今後JSTは行っていくのだというようなことを意識しながら業務の内容を徐々にそういった方向に重点化していくということを、この第3期の中期目標期間の中で実施していきたいと考えてございます。

【柴臨時委員】  もう一点お伺いしたいのですけれども、そういう研究領域を設定するに当たって、各府省や他の独法からも様々なお金が出ていると思うのですけれども、そういうものとJSTとの調整とかあるいは何かの話し合いとかは行われているのでしょうか。

【内丸基礎研究振興課長】  確かに今先生がおっしゃいましたような、様々な重複がないように、e−Radというシステムで現在、各省庁で行われているいろいろな研究活動ですとか、そういう情報が共通で見られるようになっておりまして、そういうシステムを使って、別にうちだけではございませんけれども、いろいろな省庁もしくは機関において重複が起こらないようなことを調整させていただいておるように理解しております。

【阿曽沼分科会長】  森泉委員どうぞ。

【森泉委員】  御説明ありがとうございました。今日の御説明はかなり抽象的だったという印象を持ったのですが、あまり具体的なことの御報告がなかったのですが、いただいた資料を参考に少し意見を述べさせていただきたいと思います。3点ほどございます。まず資料2−1の3ページのところの、「事務・事業の見直し」のところで競争的資金制度の括りを大きくしたということが見直しの一つのポイントであるということで、平成21年度から今年度にかけて12制度を三つに、去年は6制度だったのを三つほどに括りを大きくしたということなのですが、これまでにいただいた資料をよく突き合わせてみますと、実は中身は従来のものをただグルーピングを粗くしただけのような印象を受けました。それでまずお聞きいたします.資金制度を大きく括ったことのメリットというのをどのように評価していらっしゃるのか、また,そのメリットをどのように生かしていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。その主旨としては、この大括りにしたことで効率化がどのように高まったのか、例えば予算や配置人員について、効率性を高めることができたのかどうかということです。あるいは括りが大きくなったことによって、事業ごとの境界線に属するようなものもあると思うのですが、それに関して予算を弾力的に運用できるのかどうかというのが、まず第1点です。まずそのメリットをお聞きして、そのメリットをどのように生かしてらっしゃるかということを具体的に御説明いただきたい。

 それから、これも事前にいただいた資料では大括り化について、利用者の利便性の向上ということを念頭に置かれているということですが、それが例えば応募書類の共通化ということでは、あまりにも小さいのではないかと思います。これに関しても、応募書類というのは多分、科研費などを考えてもそうですけれども、かなり細かく、申請者にとっては大変な作業ではあるのですが、JSTの応募書類は、他の研究費助成金に比べてどのように利便性を高めたのでしょうか。この応募書類の共通化以外にも何か非常に利便性が高まったものがあるかどうか教えていただきたい。

 それから最後のポイントは、様々な業務の廃止や効率化に伴って、どのように人員削減を行っていくのかという点です.これについても,本日はあまり具体的なお話はなかったのですが、いただいた資料によりますと、例えば、従来、研究員としてポスドクの方たちを直接JSTが雇用・管理していたのを直接雇用・管理するのをやめて、大学も含めて各研究機関の所属のまま委託することにより,直接雇用の研究職員の大幅な削減になったということでした。それは研究職員に関してですが、一方,事務の常勤職員は470名で、定年制の常勤職員の数は全然変わっていなくて、研究員だけがJSTから各研究所属機関に籍が変わっただけのような印象を受けます。直接雇用から委託への変更に伴ってどの程度事務の常勤職員を削減することができたか、あるいはこれからできるとお考えなのでしょうか.お聞きしたいと思います。また、年齢別の職員数を提出いただいたのですが、それによりますと、確かに定年制の常勤職員は、60歳以上はゼロになっておりますが、それと同時に任期制の研究員以外の職員については60歳以上が一番多いのですね。資料をいただいたときに非常に不思議に思ったのですが、研究員以外の任期付きの常勤職員606名中60歳以上が265名とありますが、なぜ60歳以上が一番多いのでしょうか。これはもしかしたら定年でお辞めになった方をさらにここで再雇用しているという形になっているのかなとも思うのですが、要するに管理部門の合理化をどのように今後進めていかれるおつもりかをお聞きしたいと思います。業務の廃止、縮小、効率化に伴って、法人全体として、定年退職した職員を補充しないで合理化していくというようなことを含めて、次の中期計画ではどのようにお考えか、以上3点をお聞きしたいと思います。

【板倉基盤政策課長】  まず1点目の競争的資金の大括り化でございますが、これにつきましては、各制度を大きくグルーピングして括っているというのは事実でございます。ただその中で需要者といいますか、実際に応募する方々の、それぞれの研究形態によって、どうしてもメニューは幾つか違いは出てくるので、その異なるメニューといいますか、異なるメニューそのものを混ぜてしまって一体とするということまではしておりません。そういう意味では今、森泉先生がおっしゃったように、見かけは数が減っていないように見えるということだと思うのですが、ただ制度として括ったことによって、当然、例えば募集の時期が一緒になるとか、事務局は共通で作業ができるようになるとか、幾つかの間接部分の経費は当然コスト削減につながるわけでございまして、そういったところについては、職員の全体の数を順次削減する形でのメリットはこれから徐々に出てくると考えております。そういう意味では次期中期の、既に大括り化して部署を幾つか削減しているところもございますし、そういった効果が徐々に次期中期目標期間の中で出てくると考えてございます。

 それから二つ目の様式の利便性の向上につきましては、具体的なことはJSTからお答えできますか。

【阿曽沼分科会長】  すみませんが時間の制約もございますので、後日文書で御回答いただいても結構ですが。

【板倉基盤政策課長】  では、とりあえず宿題ということで、後日また改めて文書で御説明させていただきたいと思います。

 三つ目の任期制において、60歳以上の人が任期付き常勤職員で多いのではないかというお話でございますが、多くは企業のOBの方を任期付き職員として採用している、技術参事というような形で契約といいますか、技術参事ということで採用してございまして、まさにJSTの業務のかなり中核的な部分である橋渡し、技術の成果の産業界への橋渡しの部分に、ここは企業で実務を担当した方々の知見、ノウハウをフルに活用するという観点から、企業を退職した方々の再雇用というのを行っているために60歳以上の人数が多いということが主たる原因でございます。

【森泉委員】  よろしいですか。それでは,再度お聞きいたします。大括りのメリットが間接費用の若干の削減というのでは、大括り化ということからすると目的が矮小化されていると思います。もう少しメリットは何とお考えかということと、それで具体的に予算や人員をどの程度効率化、合理化できたのかという点を後ほど文書で結構でございますから、教えていただきたいと思います。

【板倉基盤政策課長】  ちょっとその点に関しては改めて申し上げたいのですが、この競争的資金といいますか、こういう公募型の資金につきましては、当然審査業務、課題管理の業務というのは、仮に大括り化して一つにまとめても発生するわけでございます。公募型の研究テーマを選定する際には、採択する課題はもちろんのことですが、落ちていく課題もちゃんと審査する必要があるわけです。ですから応募する数、さらには採択する数が変わらない限り、審査業務そのものが抜本的に減るということはないと考えております。他方、先ほど申しましたように、間接部門の経費というのは削減の余地があるということで、そこは一生懸命努力をするということでございますので、その辺につきましては改めて御報告、御説明させていただきたいと思います。

【森泉委員】  はい。それから科研費との比較はまた後ほどで結構ですが、任期付き職員については、60歳以上が年齢別に一番多いのですね。この仕事は産業界への橋渡しや特許の関係だと伺ったのですけれども、30代とか40代をもっと増やして、職員をもう少し育てるようなことを考えられてらっしゃるのでしょうか。60歳以上の方が中核をなしてらっしゃるというのは、ちょっと一般的に考えにくいです。それから本当に合計600名以上の方々が橋渡しや特許関係の職員として必要なのでしょうか。そのうちの3分の1以上が60歳以上ですね。これは外部の専門家の方に特許に関して審査していただいたり、様々な知見をいただくということにして、もう少し人員は削減できないものなのでしょうか。文書でも結構ですので教えていただきたいと思います。

【科学技術振興機構総務部 倉田次長】  失礼いたします。JSTの総務の次長をしております倉田でございます。ちょっと私の方から細かい点を御説明させていただきたいと思います。何点か御質問があったわけでございますけれども、まず人が減っていないではないかという御指摘を受けたわけでございますが、例えば国の施策である低炭素事業を新たに発足したことでありますとか、それから平成21年度に補正予算で各地域のネットワークづくりをするとか、そういうような事業が始まったというようなこと、それから直近では、事業仕分けで日本科学未来館を、今まで財団を通して運営していたものを直轄化し、その人数が約120名ほど直雇用という形になっております。いわゆるスクラップの方もあるわけでございますけれども、新たな国の施策や補正による事業が発足しているというビルドの部分もございまして、結果的には先生がおっしゃられたような、人数的には減っていないというような状況になっているというのが実態でございます。

 それからもう1点、年齢の点で御指摘を受けたわけでございますけれども、特許の話ということをおっしゃられているわけでございますが、私ども、イノベーションのために様々な事業を展開してございます。先生がおっしゃられたような、いわゆる知財の掘り起こしでございますね。大学に行って知財を掘り起こすような業務。これにつきましては、例えば民間企業で、特許部門に長くおられたような方、弁理士の資格を持っているような方を引っ張ってこなくてはいけないということがございまして、現実的に申し上げますとなかなかそれなりのキャリアを持った方が必要でございます。例えば大学の先生のところに行って御説明をして納得していただいてというようなこともございますので、やっぱりそれなりのシニアの方が中心になっていかざるを得ないと。それで実態論を申し上げますと、私ども1年更新の任期制ということでございますから、20代とか30代の若い方は実際にはなかなかいらっしゃらないというような側面も実はございます。

 それから、特許だけではなくて私どもいろいろな事業を展開しておりますので、例えば産・学・官の連携で各地方へ行って産学官ネットワーク作りをすると。地方のイノベーションをするような方、こういう方もやはりシニアの方が多くなってしまいますし、それから科学コミュニケーションの関係で、いわゆる学校の……。

【阿曽沼分科会長】  大変申し訳ございませんが、時間も大分押していますので、もしまだ御説明が続くようでございましたら文書で御回答をいただけますでしょうか。森泉委員よろしいでしょうか。

【科学技術振興機構総務部 倉田次長】  わかりました。

【阿曽沼分科会長】  ほかに委員で御質問をされたい方がいらっしゃいますので、よろしくお願いいたします。

【科学技術振興機構総務部 倉田次長】  承知いたしました。趣旨としては今のとおりでございます。

【阿曽沼分科会長】  それでは宮本委員からどうぞ。

【宮本臨時委員】  恐れ入ります。質問だけということで、回答は後ほどで結構だと思います。一つは、新技術の創出を企業化へ結びつけるということについて、そこが非常に大事だということを認識された意味で新しい方向性が打ち出されているということは非常に納得性があるのですが、ただ内容的には第2期中期目標でも基本的には同じことをうたっていたはずだと思います。言葉としては「シームレス」だとか、「切れ目なく」だとか、あるいは「総合的につなぐ」という、そういう表現はあるのですけれども、より具体的にどういう仕組みを考えていかれるのかをお教えください。先ほどドリームチームという言葉もありましたが、例えば基礎研究の部分だけの総括という責任ではなくて、最後の実用化のところまで一人の方が総括的なことを見るというようなことも考えておられるのかとか、その辺、より具体的なものがないと言葉だけ書きかえたようにも思われます。どなたがやられても橋渡しという部分が非常に難しいということはわかっていると思うのですが、そこをどう解決されるようになっているかというところをぜひお聞かせいただければと思います。

 もう一つ、関連して、知財の話がございましたけれども、特許が象徴的に捉えられて、特許の数はある程度はあるけれども、実施率が低いから云々という話に、あまり矮小化されないようにしていただきたい。まずは役立つであろう知財をいかに増やすかというのが当然のことなのでしょうから、いかに創造して、それを管理するというか、保護ですよね。創ったとしても、それがまねされているだけでは国費が海外に出ていっているだけのことにもなりますから、国家戦略とあわせてでしょうけれども、知財戦略そのものとして、どういうふうに保護し、どう活用するのかという戦略性、単に特許を取ればいいということではなくて、ある部分については当然ノウハウで取得するということを含めてお考えだと思うのです。法人の内部で知財の委員会提言もされているようですけれども、そういう方針に沿った適切な管理が、より実効的に動くようなものとして、従来よりもどう変わっていこうとしているかということをお伝えいただければと思います。後日で結構でございますが、よろしくお願いいたします。

【阿曽沼分科会長】  御説明されることがあればどうぞおっしゃってください。足りない部分がございましたら、後ほど文書でいただければと思います。

【板倉基盤政策課長】  そういう意味では、具体的な内容につきましては、むしろ中期目標というよりも中期計画の中に、さらには実際の運用の中で理事長の裁量によって実現していく中にも多々あるかと思います。JSTの場合には、理事長がまさに平成2310月1日に交代したばかりということもございますので、今後、新理事長の下で、国が出す目標、達成すべき目標に対してどのようにそれを実現するかという中期計画、さらには毎年度事業計画の中でいろいろと実現できることを工夫していくことになるかと思いますが、他方、どんなアイデアがあるかというのは少し考えて、お答えできる範囲でお答えしたいと思います。知財戦略につきましても、どういったことがあり得るのかということについては、できる範囲で御回答申し上げたいと思います。

【阿曽沼分科会長】  それでは時間の都合もございますので、科学技術振興機構については、ここで一たん議論を打ち切らせていただきます。各委員の御指摘、大変重要な点を含んでおります。文書でということが多々ございましたけれども、事務局の方からまた再度お願いをしますのでよろしく御回答のほどお願いを申し上げます。また、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることもあろうかと思いますので、その際には御対応のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、文部科学省の皆さん方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 以上で、本日予定の見直し当初案に関する府省のヒアリングを終了いたします。ここで傍聴の方につきましても、退席をお願いいたします。

(説明者・傍聴者退室)

【阿曽沼分科会長】  それでは次の議題である「役員の業績勘案率」について審議に入りたいと思います。まず、事務局から説明をいただきたいと思います。

【平野調査官】  それでは役員の退職金に係る業績勘案率につきまして御説明させていただきます。お手元の業績勘案率資料3−1を御覧いただきたいと思います。1ページ目、総括表ですけれども、今回の退職役員は、文部科学省の国立特別支援教育総合研究所、これは障害のある児童生徒の自律の支援などについての研究を行っている法人です。ここの理事長をはじめとする6法人6名、それから厚生労働省の勤労者退職金共済機構、中小企業向けの退職金共済の運営を行っている法人ですけれども、ここの理事長ということで、厚生労働省の1法人1名、合計2省7法人の7名について文部科学省の評価委員会、厚生労働省の評価委員会から通知されておりますけれども、いずれも1.0となっております。それぞれの担当ワーキンググループで御審議いただいた結果、いずれの法人も役員在職中の法人の業績は良好であり目標を達成していること、それからまた各役員の個人業績についても、特段の加算要因も減算要因もなく、1.0とすることに特段の問題はございませんでしたことから、通知された業績勘案率1.0につきましては、政独委員会の意見案としては2ページ、4ページにございますように意見はないということになっております。簡単ではございますけれども、事務局からの説明は以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  本件につきまして、御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは文部科学省及び厚生労働省の独立行政法人評価委員会から通知されました役員の業績勘案率についてお諮りを申し上げます。本件につきまして、分科会の回答につきまして、案のとおりとさせていただくことで、御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【阿曽沼分科会長】  それではそのようにさせていただきます。事後の処理につきましては私に御一任させていただくこととさせていただきます。

 本日は、3法人についてヒアリングを行いました。本日は欠席されておりますが、川合委員が科学技術振興機構のさきがけ研究統括をされておられます。川合委員からは科学技術の分野に深い実務経験を有する方として有益な御意見をいただいておりますが、審議に際しましては国民の目から見て中立・公正性に疑念を抱かせることがあってはなりませんので、現在、独法評価に係る審議及び議決に際しましては、評価の中立・公平性を担保するために、平成17年の申し合わせ等に基づきまして、評価対象の独法等との間で一定の関係を有する委員の皆様につきましては原則として当該法人の審議には参加せず、議決にも参加をしないということにいたしております。委員の皆様におかれましては、中立・公正な審議を行っていただいているところではございますけれども、こうした事項についてはファイアウオールを設けてしっかりやっているということを対外的に十分に説明できるようにしておくことが重要と考えております。そのため、申し合わせ対象になる方々と対象法人について一覧表を、今回から机上資料の一つとしてお手元にお配りしております。委員の皆様方におかれましては御確認の上、引き続き申し合わせ等に基づく会議運営に御協力いただければ幸いに存じます。なお、申し合わせ等の詳細に関しまして不明な点がございましたら、適宜事務局へお尋ねをいただければと考えております。よろしゅうございますか。御確認をぜひお願いいたします。

 それでは事務局から報告事項がございますので、説明をお願いします。

【北川評価監視官】  時間の関係で、恐縮ですが簡潔に御報告させていただきます。行政刷新会議の方の御報告でございます。

 平成23年9月に新内閣が発足しまして、蓮舫行政刷新担当大臣の下で事務・事業見直しに続く独法改革の第2弾として制度と組織の見直しが本格的に動き出したところでありまして、分科会及び分科会の下の三つのワーキング・グループが、資料4の2ページと4ページにあります委員構成で動き出しております。行政刷新会議の方の分科会ワーキングでは10月から各府省・各法人からのヒアリングに着手しており、まずは組織論としてゼロベースの見直しを行い、廃止・民営化あるいは既存の枠にとらわれない統廃合ということを議論しています。

 そういった組織見直しと並行しまして、現行の制度、仕組みも根本から刷新して新たな制度として構築するということをうたっております。ただし、まだ議論がスタートしたばかりでありまして、資料4でお配りしております基本的考え方と論点が公表されているものの全てでございます。基本的には、103ある多種多様な独立行政法人を一律に捉えるのではなくて、事務・事業等の特性等に応じて何らかの合理的な類型化をして、それぞれの類型に応じた制度設計というのを考えていくべきではないかという方向です。その中で法人評価の在り方についても改善をしていくというようなことを、これから検討していくということであります。

 事務局としましては、引き続き動向を注視いたしまして、随時御報告させていただきたいと思います。特に今年の見直し対象の9法人につきましては、行政刷新会議の方の検討と必要な整合というのも図っていかなければいけないということも留意いたしまして、連携をとって進めてまいりたいと思っております。

 それから次回の当分科会の日程でございますが、1014日金曜日1330分から1715分、10階第1会議室にて、9法人のうちの残りの6法人についてのヒアリングを予定しております。以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。事務局からの報告につきまして、何か御質問、御意見がございますでしょうか。我が分科会からも岡本先生、梶川先生と、それから前分科会長、富田先生が御参加でございますし、各ワーキングには玉井先生、稲継先生、園田先生が御参加をいただいております。ぜひ、職務、役割をお互い認識しつつ連携をして、整合性のとれた議論が進んでいければと思っておりますので、委員になられた方は適宜また御発言をいただきながら情報共有をしていきたいと思っております。先生方もぜひよろしくお願いをいたします。ほかに何かございますでしょうか。

 長時間に及びまして、また御質問がまだまだ不十分な委員の先生方いらっしゃったかと思いますが、お許しくださいませ。

 それでは以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了させていただきます。本日は御多用の中御出席を賜りましてありがとうございました。

 

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