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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(10月14日開催)議事録

日時

平成23年10月14日(金)14時00分から17時45分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、山本清独立行政法人評価分科会長代理、田渕雪子委員、森泉陽子委員、縣公一郎、石田晴美、稲継裕昭、梅里良正、岡本義朗、河野正男、河村小百合、木村琢麿、柴忠義、鈴木豊、瀬川浩司、園田智昭、木佳子、玉井克也、宮内忍、山谷清志の各臨時委員

(総務省)
新井英男行政評価局長、井波哲尚官房審議官、北川修評価監視官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

1 見直し当初案に関する各省ヒアリング(厚生労働省、国土交通省、総務省、外務省)
2 その他(報告事項等)

配布資料

会議経過

【阿曽沼分科会長】  それでは時間になりましたので、ただ今から、政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を開催いたします。

 本日は、先週に引き続きまして、今年度の見直し対象法人9法人のうち、厚生労働省、国土交通省、総務省及び外務省所管の合計6法人の見直し当初案に関する各省ヒアリングを行いたいと思います。

 前回申し上げましたが、今年度は、概算要求の期限が1カ月遅れた関係で、例年より審議時間が1カ月短くなっております。効果的・効率的な審議に委員の皆様の御協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、厚生労働省所管1法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを開始いたします。本日は、厚生労働省の中野政策統括官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。

 それでは、見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後、質疑応答とさせていただきます。時間の関係もございますので、5分程度の御説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【中野政策統括官】  それでは、資料1−1に沿いまして御説明申し上げたいと思います。

 労働政策研究・研修機構の業務は、一つは労働問題や労働政策に係る調査研究の実施、もう一つはハローワークや労働基準監督署等の行政職員の研修でございます。

 それでは、まずは1ページの中期目標の達成状況等の概要について御説明申し上げたいと思います。

 左側が主な取組内容、右側が主な成果でございます。

 1番目の労働政策研究につきましては、プロジェクト研究のテーマ数を9テーマから6テーマに絞り込むとともに、厚労省の政策ニーズに迅速に対応するため、昨年度から3〜6カ月程度で結果を出す緊急調査を実施しております。また、次年度の研究テーマの決定に当たりまして、機構幹部と厚労省幹部がハイレベル会合を開催するなど、労使関係者を含めました労働政策のニーズ等を踏まえまして機動的な調査研究を実施しております。

 その結果、右側でございますが、平成22年度は外部評価でA以上の評価の割合が数値目標の3分の2以上を大きく上回る90.5%となっております。また、22年度における調査研究の成果の活用件数は、審議会、研究会等の行政機関等において253件、専門図書・雑誌等において441件、いずれも第一期の4年間の年平均値を上回っている状況でございます。

  次に2番目、行政職員の研修の実施につきましては、厚労省や研修生などのニーズを踏まえまして、新たなコースの設定などの改善を図りながら、体系的・効果的な研修を実施しました。その結果、平成22年度は3,386名の研修生に79コースの研修を実施しまして、アンケートにおきまして「有意義」とする評価が98%となり、これも中期目標の85%を大きく上回ったところでございます。

 それから、3番目の業務運営の効率化でございますが、平成18年度と比較した経費・人員の削減率が、中期目標におきましてそれぞれ定められておりまして、一般管理費は15%以上削減、業務経費は25%以上削減、人件費は14%以上削減、人員は19名削減と、他の法人と比べましても相当大幅な削減目標となっておりましたが、業務の重点化・効率化、あるいは部課の統廃合、管理部門の合理化等によりまして、それぞれ目標値を上回る削減となっております。このように大幅な経費、人件費の削減という中期目標の要請を満たす一方、調査研究、研究の質の向上を図ることによりまして、労働政策の企画・立案や実施に大きく貢献してもらっているところでございます。

 今申し上げました予算や職員数の削減につきましては、2ページにグラフでその推移を記載しておりますので、御参照いただければと思います。

 続きまして、3ページをお開きいただきまして、事務・事業の見直しに係る当初案の概要でございます。

 労働政策に係る調査研究等の実施でございますが、まず、労働政策研究につきましては、民間企業や大学等の他の研究機関の調査研究との重複を排除するとともに、ここに書いてございますような(1)から(3)に掲げた取組を実施することによりまして、重点化することを考えております。

 まず、(1)を御説明いたしますと、第1に新成長戦略(雇用・人材戦略)など労働政策の基本方針の実現に役立つプロジェクト研究をテーマとして設定しまして、戦略的な調査研究を重点的に実施することとしたいと考えております。

 第2に、研究部門を横断したプロジェクトチームを設置することにより、非正規雇用問題等、労働政策全般にかかわる政策課題につきまして、総合的かつ柔軟な調査研究を実施することとしたいと考えております。

 第3に、昨年度から実施しております緊急調査を第3期中期目標では明確に位置付けまして、本格実施することとしたいと考えております。さらには調査対象国につきまして、アジアを含めて強化することを考えております。

 次に、(2)でございますが、政策担当部門との連携強化につきましては、研究テーマごとに厚労省の窓口担当者の登録制を設けて行いたいと考えております。

 (3)でございますが、評価の関係では、事前・中間・事後の各段階で評価を行うことで外部評価制度を見直すことを考えております。

 それから、(2)政策提言機能の強化につきましては、「政策提言レポート」というものを新たに行ってもらおうと考えています。また、情報発信機能の強化は、今まで以上にわかりやすい情報発信に努めてもらおうと考えております。

 大きな2つ目の労働行政担当職員に対する研修の実施につきましては、研修を重点化して、引き続き、新たな行政ニーズに迅速・的確に対応したコースの設定を進めることによって実施していくことを考えておりますとともに、評価制度につきましては、研修生の上司等の研修効果の評価を新たに導入することを考えております。

 5ページの組織・運営の見直しに係る当初案の概要でございますが、まず、1の(1)にございますように、組織・人員体制につきましては、効率的・効果的な業務運営を図る観点から、管理・研究支援・成果普及部門の組織体制の見直しを図ってまいりたいと考えております。

 それから、内部統制の強化につきましても、コンプライアンス推進者の設置などによって強化してまいる考えです。

 さらに(3)にございますように、出版物等の成果物の販売促進によりまして自己収入を拡大することを考えております。

 最後に、2、労働大学校の国への移管につきましては、昨年の事業仕分け、それから、閣議決定方針を踏まえまして、労働大学校を国に移管し、この機構を調査研究を中心とした組織へとスリム化することとしますが、機構が実施する調査研究と労働大学校で実施する研修との相乗効果を維持するための取組については、引き続き推進することを考えております。

 以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは、御質問などございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。梅里委員どうぞ。

【梅里臨時委員】  御説明ありがとうございます。こちらの研究・研修機構については、一番のポイントは、研究の成果が実際にどのように活かされているかというのが一つのポイントだろうと考えますが、御説明の中で253件という数字が上がっておりましたけれども、この数字は、これまでのトータルの数と認識してよろしいでしょうか。

【荒木労政担当参事官】  この253という数字は、これまでの累積ということでございます。

【梅里臨時委員】  わかりました。それで、括弧内が平成1518年度の平均となっているのですけれども、直近の状況がここに入っていないのはどうしてでしょうか。18年までの平均をとっているというのは何か意味があるのでしょうか。

【中野政策統括官】  比較の対象ですから、これは平成22年度が253件で、1518年度のそれぞれの年においては括弧内の状況であったということで、比較をしているわけでございます。

【梅里臨時委員】  そうすると、253件というのは、単年度ということでしょうか。

【中野政策統括官】  平成22年度です。ただ、これは単年度ではありますけれども、過去の研究も含めてという意味で含まれているということです。要するにその年々に引用された件数を比べているということです。

【梅里臨時委員】  平成22年度に253件が引用されたという理解でよろしいでしょうか。

【中野政策統括官】  はい。審議会等で活用されたと、そういうことです。

【梅里臨時委員】  以前に、平成1921年度までに公表された研究成果物として見ると115件という、253件とはかなり隔たりのある報告を受けているのですけれども、これは公表された成果物ではないということですね。

【荒木労政担当参事官】  そこはおそらく数字の取り方の問題で違ってくるのかと思います。

【梅里臨時委員】  そちらの機構の中には、研究者と調査員がいらっしゃるかと思うのですが、この件数というのは、全ての件数ということですか。研究者の行った研究で取り上げられた件数という理解でよろしいですか。

【荒木労政担当参事官】  両方でございます。

【梅里臨時委員】  研究者分について、切り分けてお示しいただくことはできますか。

【荒木労政担当参事官】  研究者と調査員と共同でやっているものもございますので、その取り方によりますけれども、ちょっと工夫してみたいと思います。

【梅里臨時委員】  前に伺った話では、研究者と調査員が協力しているものもあるけれども、基本的には独立して動いているというふうに私は理解しておりますが。

【荒木労政担当参事官】  多くはそのとおりでございますので、そういう形で集計できると思いますので、そのような整理について検討していきたいと思います。

【梅里臨時委員】  ありがとうございます。研究者の方の中で、研究論文、研究報告等を出されていない方はいらっしゃいますか。

【荒木労政担当参事官】  毎年ということであればちょっとわかりませんけれども、複数年にわたっての研究でございますので、出してないという方はございません。

【梅里臨時委員】  わかりました。では、行政での活用状況を、研究者分について後でお示しいただければありがたいと思います。ありがとうございます。

【阿曽沼分科会長】  他にございますでしょうか。玉井委員どうぞ。

【玉井臨時委員】  どれほど労働政策に成果が反映されているかということがこの法人の存在理由を問う肝になると思うのですけれども、件数に数えている中で、参考資料として活用されたとか、他の文献で引用されたとか、そういうものが入っておりますが、これは、文献として引用されるというのは、ある意味で当たり前のことであって、そうではなくて、法令が改正されたとか、せめて指針とかガイドラインとか、そういう政策に活かされたということが必要だと思うのですけれども、法令の改正に至ったものが8件というのは非常に少ないわけですね。政策研究に係る独立行政法人を専門に抱えていて、どうしてそんなに少ししか成果が上がらないのかというのが非常に不思議な気がします。

 それから、法令の改正に至った8件というのが、ここでこういう研究成果が上がったので、それが審議会の審議でこういうふうに反映されて、その結果として法令、例えば何法の第何条のここの条文になったというように具体的に教えていただかないと、評価のしようがないという気がいたします。

 それから、先ほど梅里委員もおっしゃったことですけれども、この調査員というのは一体何をやっているのかについては、幾ら説明を聞いてもよく分かりにくいところがありまして、研究を主たる目的にする組織において、事務部門と調査員を合わせるととても数が多く、研究者の数が非常に少ないというのは、この法人の特徴だと思います。研究者でもない、事務職でもない調査員という人は一体何をやっているのか、そこもぜひ具体的に教えていただければと思います。2件よろしくお願いします。

【中野政策統括官】  まず、今おっしゃいました法令の改正に結びついたのが8件というその数値の取り方については、ちょっと我々も、どこからそういう数字が出てきたのかと思いますので……。それから、もう一つ、指針やガイドライン、法令という理念の中には、例えば指針の中には、通常法令に分類されている告示となっているものもございますので、ちょっと取り方については、また検討させていただきたいと思いますが、労働政策の手法は様々なものがございまして、もちろん最終的には法律改正が一番重いものですが、必ずしもそれだけではなく、予算措置によります助成金とか、支援措置とか、あるいは周知啓発事業とか、いろいろなものがございますので、幅広く捉える必要があるということが挙げられるかと思います。

 それから、単に文献に引用されるのは当たり前と言えば、もちろんそれはおっしゃるとおりだと思いますが、いろいろな意味で、労働政策に関わる議論に貢献するという広い意味では貢献していると思いますが、直接的な政策形成に結びつかなくては意味がないというのは我々も思っているところでございますので、その方向に研究を重点化させていく必要があろうかと思います。

 それから、具体的にどう反映させているかということでございますが、今、思い浮かぶのは、例えば平成21年に育児・介護休業法が改正されておりますが、その前に、この機構で研究をしておりました成果物の中に、女性が出産の前後で継続就業の割合を高めるためには、単に育児休業制度だけではなくて、その後、働きに出たときの労働時間の短縮措置、あるいは父親の育児への参加等が重要であるとか、そういう指摘をしておりまして、それも反映するような形で、育休については、父親も参加した場合にはパパ・ママ育休プラスということで、育休の期間が伸びるとか、それから、勤務時間短縮措置についても、そういう措置制度が3歳未満の子については法改正によって導入されたとか、そういうことに結びついた例もございます。

 さらにもう1点、調査員のことでございますが、その前に、事務職は調査員も一定人数おりますが、それと同時に労働大学校で行政職員の研修に当たっている職員、これも20数名おります。これも基本的に事務職でございますので、そういう人たちもいるということです。

 それから、調査員について申し上げますと、調査員は、ある意味で連合等の中央の団体、業種別の団体、地方の労使団体、さらには個別企業、そういうところにヒアリング調査を行ったり、あるいはいろいろな動きの状況を聞きに行ったりして、レポートにまとめたりするような仕事を行ったりするわけでございます。それから、また、海外部門、国際部門では、各国の労働政策の動向とか、労働法制の変化、改正等があった場合はその調査とか、そういうところを、日本のこの機構と似たような研究機関でありますドイツやフランスの機関、あるいは韓国等にもございますが、そういうところと長い付き合いがございますので、連携しながら調査するなど、そういう業務に当たっておりまして、いわば研究員とはまたちょっと違った分野、労働事情の変化とか、いろいろな動向を把握する役割を果たしてもらっているものでございます。

 研究員の方は、ある種の労働政策の課題について、一定の仮説を立てて実態調査をしながら、どこに問題があるのか、あるいは政策の意図は何かというような形で行っておりますので、両者が共同して行う場合がありますが、基本的にはそういう意味で役割が異なっているものでございます。

【玉井臨時委員】  調査員の業務の件について、研究者と別に調査員というものがいて、それがインタビュー調査に行くということがどうして必要なのか、それがよく分からないわけです。研究者というのは、当然、研究の一環としてそういうことはやるべきことですから、その手足となって働いているというのであれば、業務の説明としては分かりますが、別個独立にどうしてそういうものが要るのかよく分からない。

 また、手足としてやるというのであれば、アウトソーシングでいいのではないかということになると思います。

 それからもう一つ、定点観測をやっておられるとか、独仏韓の組織と密接にお付き合いがあるということですけれども、そうすると、その調査員の方は、ドイツ語、フランス語、韓国語に大変堪能な方をそろえておられると、そういうことでございますか、そこで研究者とは少し違うと、そういうことでしょうか。

【中野政策統括官】  国際部門を担当している者には、そういう語学等についても堪能な者もおりますし、調査員の中には、例えばアメリカの調査をしている者は、最近も「エコノミスト」にもアメリカの労働者の動向をまとめたものを発表しておりますが、一定の水準を持った者が当たっているというふうに考えております。

 それから、そもそもどうして必要かというようなことが今、御指摘があったかと思いますが、労働政策を立案していくには、何度も申し上げてきたことかと思いますが、労使が政策決定に参画するということがILOの原則で定められておりますから、労使が政策決定に関与しています。したがって、その議論は、時としてかなり対立することがありますが、その前提として事実認識、あるいは事情の変化について共通のものを持ってこないと議論も深まらないし、良好な労使関係も築けないということがございまして、この労働事情の問題については、このような調査員という形が、これもずっとやっていることでございますが、労働事情の変化とか、いろいろな状況をレポートとして労使関係者に提供することによって、現在の良好な労使関係に役立っている面もあったと思いますし、今後もその役割は重要なものであると考えているところでございます。

【玉井臨時委員】  それでは、調査員の中でそういう特殊な語学についての専門能力を持っている方がどれだけいらっしゃるのかということを後日で結構ですから教えていただけますか。それから、大学にも労働経済とか労働法という講座がたくさんありますが、それだけ能力が高くて、調査能力をお持ちの方が、そういうところに引き抜かれないとすると大変不思議なことなのですけれども、どうして雇用の流動性がないのかということを教えていただけますか。

【荒木労政担当参事官】  調査員で大学などに引き抜かれている人はいませんけれども、調査員の方でも博士課程の方もいますし、修士課程を卒業された方もおられますので、決して調査員だからといって能力が低いということは我々としては考えておりません。

【玉井臨時委員】  いや、そういうことを言っているのではなくて、それだけ能力の高い方が雇用の流動性がないのが不思議だというふうに申し上げたのです。これは時間の都合もありますので後日で結構です。

 それから、先ほどの業務の政策への反映のところで例を出されましたけれども、育児休業をとった後で女性が復職するのに、男性が協力するのが大事だというような研究成果は、正直申し上げまして、それが研究成果だと言われても、それは誰の目にも明らかなことであり、目標そのものであって研究成果として提示するようなものではないと思います。実はもっと深い研究成果があって、今の説明ではそういうふうに要約されただけだろうと思いますので、その点はもう少し細かいものを出していただければと思います。

【阿曽沼分科会長】  河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  続けてお尋ねさせていただければと思います。私の主な問題意識も玉井委員がおっしゃられた調査員のところでして、私も民間の調査研究畑の人間ですけれども、政独委の委員として、様々な省庁の研究所というものに実際にお邪魔させていただいたこともありますし、見させていただきました。その中には、理系の研究所も文系の研究所もたくさんあって、研究員という方ももちろんいらっしゃるし、アシスタントの方もいらっしゃる。ところが、この調査員という、事務職員でそのような立場の方を置いているところというのは、あまりほかに例がないようなのです。どうしてそういう立場の方がわざわざいるのかなというふうに思います。

 問題意識の発端は、玉井委員も今おっしゃいましたけれども、私も民間の人間ですが、研究の仕事をするときは、当然ながら、諸外国の情勢とかというのは自分本人で調べないと、誰か他の人にやってもらって報告書を作ればできるというものではない。研究員と調査員がなぜ連携してもっとやらないのかというのが不思議です。実際に機構にもお邪魔させていただきまして、そこでよくわかったことは、研究員と調査員が一つのテーマごとに同じフロアで一つのブロックを作ってやっていらっしゃるのかなと勝手に想像していたのですけれども、現実は違いました。実際にいらっしゃる階は全然別で、研究者は広いスペースを与えられて、資料もたくさん置けるところで、それぞれ個別のブースで、アシスタントがついて研究していらっしゃる。一方、調査員がいらっしゃる階は研究員とは別の階で普通の事務職員の扱いのようでした。そういう中で、どのように連携していらっしゃるのかというのがちょっとよく分かりにくいし、なぜなさらないのかなというのも分からないです。

 ですから、その調査員がやってらっしゃるお仕事が要らないとかというふうに申し上げるつもりは全然ないのですけれども、中には外に委託するような形でできるものもあるのではないかとか、それから、研究者本人がやれば済むというものもあるのではないかと。人数もすごく多いですよね。労働政策研究所77名中、研究職は35名、調査員23名、それ以外の普通の事務の方が19名と伺っております。この事務職員の多さも後ほど問題にさせていただければと思いますけれども、この研究職35人に対して調査員23人というのは、そこまで置く必要があるのかと。

 配置の問題についても、語学に堪能な方、それから、博士号や修士号をお持ちの方もいらっしゃるというふうに伺っております。後で細かく伺わせていただければと思うのですけれども、聞いたところによりますと、フランスと中国をお一人の方が担当していらっしゃる。フランス語も中国語もおできになるのですか。それとも2次資料だけ、英語になっているもの、日本語になっているものを一遍にやってらっしゃるということなのですか。つまり、どうしてそういうことになっているのかとか、なぜここまでして調査員を置かなければいけないのかということがよくわからない。そういったあたりを御説明いただければと思います。

 あともう一つ、研究成果のところなのですけれども、いろいろな新しい枠組みをお考えになられて、今回の見直し当初案では研究の評価をやっていこうということでお考えになっていらっしゃると思うのですが、言葉の問題かもしれませんけれども、今日御説明いただいた資料1−1の3ページでも、「労働政策の企画・立案に貢献する調査研究の推進」、下の(1)も「戦略的かつ効果的な調査研究の推進」で、調査と研究を並べて書いていらっしゃるのですね。その下の(2)(3)のところもそうですけれども、タイトルには「調査研究」と入っているのですが、下の実際になさるところを見るといずれも「研究テーマごとに」「研究テーマごとに」と出てきているのですけど、例えば厚生労働省と担当者を決めて密に連絡をとって本省の政策に活かすとか、外部評価するというのは研究テーマだけなのでしょうか。調査員の仕事を今後どう位置付けていくかにもよるとは思うのですけれども、それなりのウエート、これだけの人数を揃えてやっている仕事であれば、きちんと外部評価の目にさらすというのは、研究者のなさっている研究テーマだけではなくて、当然、調査員の方がお出しになられる調査の分野でのアウトプットについても同じようになさったほうがいいのではないかと思いますが、どのようにお考えになられますでしょうか、よろしくお願いいたします。

【阿曽沼分科会長】  時間もありませんので、これで最後の質問とします。よろしいでしょうか。では、簡潔にお答えください。それで、もし時間が足りないようでしたら、後でまた文書で御報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【中野政策統括官】  時間の関係があるようですので、簡潔に申し上げたいと思いますが、まず調査員の、先ほど例としてフランス、中国を1人で担当したという例を挙げられましたが、それぞれ副担当がおりますので、その辺は分担しながら当たっているということと、調査員は、いろいろ関係者とネットワークを基に定点観測ということも申し上げておりますが、それとあわせまして「ビジネス・レーバー・トレンド」という毎月発行している雑誌を編集して外部に収集した情報等を提供する、成果の普及の活動とか、そういう業務にも当たっております。単に情報を集めてくるだけではなくて、収集して提供する、成果を知ってもらう。この辺は法律にもその役割は明記されているところでございまして、労働政策にはそういうものが必要だということで行ってきていると、こういうふうに考えております。

 それから、3ページの調査研究、担当部門との連携強化と評価制度の見直しは、研究と調査とで書き分けているのではないかということをおっしゃいました点について申し上げますと、研究については長期にわたるもの等もございますので、始まり、中間、終わりについて、きちっと評価しませんと、いろいろなずれが生じやすいわけでございますが、調査については、こちらから依頼するのは単発的といいますか、年度をまたがるものはほとんどございませんので、そういう意味では評価の仕方というのはやはり異なってくるのではないかと思います。

 それから、調査は個々人というよりも組織として行っている面が強くて、1人の調査員が独自に活動するのを、主任調査員がいろいろチェックしながら集めているという、組織としていわば一定の質を保っているという面もあることも御理解いただきたいと思います。

 以上です。また、足りない点は資料をお出ししたいと思います。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。委員の御質問をまとめてみますと、研究員と調査員のパフォーマンスは一体どのように評価がされているのか、そして合理的かつ適切なインディケートがきちんと設定されているのかという疑問に基づいています。資料2ページに書いてある成果という点が委員の方々に響いてこない訳です。これが本当に成果と言えるものなのか、そもそも成果とする上で比較する対象そのものにも疑問があるということを先生方はおっしゃったのだと思います。

 もう1点は、労働政策上の研究において、調査員がいるほうが研究の成果があるというような明確な結果があればまだしも、調査員がいるということが本当にこの組織において効率的な組織運営になっているのかという点に関して、御納得をされていないということでありますから、抜本的な改善を真剣にお考えになるべきなのではないかということが、今日の数々の委員からの質問から言えると思います。再度御検討いただく方がいいのではないかなと思います。

 最後と申し上げましたが、懸委員がご質問がございますので、それでは、最後にどうぞ。

【縣臨時委員】  申し訳ありません。少し長くなってしまうのですが、質問だけさせていただきます。

 基本的に間接部門が大きいのではないかという問題意識が我々にはあります。その中で3点伺います。

 労働大学校が国に移管されることによって、どういう合理化が図れるかということを明確にお示しいただきたいということが1点。

 それから、組織構造として、いただいた資料を見る限り、専任職員がいらっしゃらない課が設定されている場合が二つあります。そうした兼務の方だけの部署を作っておられるのを見ると、これまで組織のマネジメントをどういうふうに考えられてきたのかということについて、基本的なお考えを伺いたいということ。

 それから、三つ目は、職員の方の構図を見ますと、非常に管理職の方が多い。具体的に数を申し上げるのは控えますけれども、明らかに他の複数の組織のイメージから受ける三角形的な構造ではなく、課長補佐以上の方が非常にたくさんいらっしゃる。こういうマネジメントになっていることについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、今後どういう見通しをお持ちかということを書面でお答えいただければと思います。

【阿曽沼分科会長】  それでは、時間の都合もございますので、ここで一たん議論を打ち切らせていただきます。本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用中御協力いただきましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえまして、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。ただし、時間の関係で御質問ができなかった委員もおられると思いますので、更に質問がありました場合、後日、事務局を通じまして御照会をさせていただきます。また必要に応じてワーキング・グループでの再度のヒアリングもお願いすることがございますので、その際には御対応をよろしくお願いいたします。

 厚生労働省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

(説明者入替)

【阿曽沼分科会長】  続きまして、国土交通省所管2法人の見直し当初案につきましてヒアリングをさせていただきます。

 本日は、国土交通省 藤田審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。

 それでは、自動車事故対策機構の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、御説明をいただきと思います。時間の関係もございますので、5分程度での御説明でお願いいたします。

【藤田審議官】  国土交通省で政策評価審議官をしております藤田でございます。委員の先生方には平素から大変お世話になっております。

 この後、早速、担当の方から各法人について説明をさせていただきますけれども、国土交通省所管の独立行政法人は20法人ございます。そのうち今年度で中期目標期間が終了しますのが自動車事故対策機構と住宅金融支援機構の2法人でございます。この2法人につきましては、中期目標期間におきまして、効率化に向けた様々な取組を行いながら業務を推進してきたところでございます。

 毎年、国交省独立行政法人評価委員会からの評価をいただいておりますが、平成22年度の評価につきましては、両法人とも総合評定として中期目標の達成に向けて着実な実施をしてきたと評価されたところでございます。今回の見直し当初案の提出に際しましては、昨年12月に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」、あるいは行政刷新会議における「事業仕分け」の結果などを踏まえながら、全体の検討を行ってきたところでございます。

 それでは、時間も限られておりますので、担当の方から御説明をさせていただきます。

【後藤保障制度参事官】  それでは、自動車事故対策機構につきまして、御説明をいたします。私、自動車局保障制度参事官の後藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 お手元の資料の中に自動車事故対策機構の見直し当初案に係る整理表という資料2−1−(1)があるかと思いますが、それに沿いまして御説明をさせていただきます。

 まず、1枚目、法人の概要でございます。沿革としては昭和48年に認可法人の自動車事故対策センターが設立されておりますが、この組織が平成15年に独立行政法人に移行しております。

 業務の内容といたしましては、自動車事故の発生防止及びその被害者の援護という目的の下に、大きく三つの業務を実施しております。一つ目が運送事業者向けに、運行管理者等の指導講習、運転者適性診断、これは安全指導業務というふうに申しております。

 それから、二つ目でございますが、被害者援護業務、具体的には介護料の支給でございますとか、療護施設の設置・運営、あるいはその育成資金の貸付等の業務を行ってございます。それから、三つ目が自動車の安全性能につきまして衝突試験を実施して評価を行い、その結果を公表する、自動車アセスメントと申しておりますが、こういった業務を行ってございます。

 予算でございますが、左に平成23年度の当初予算がございます。収入が134億円あまり、支出が141億円あまりとなっております。収入のうち運営費交付金、施設整備費補助金、政府補助金、この三つが国から出ているお金でございます。全体で107億円ございますが、財源としては自動車ユーザーの支払いました保険料を財源としてこちらに支出しているわけでございます。

 真ん中に「中期目標期間における支出額の推移」というグラフがございます。毎年、国からの支出額、合計額に対して効率的な運営を行っております。

 人員・組織でございますが、役員が6名で職員が334名であります。本部に加えまして地方にブロック単位で主管支所、基本的に各都道府県単位で支所というものを設けております。

 それから、下でございますが、第2中期目標・中期計画の達成状況の主なものでございます。まず、業務運営の効率化に関する事項として幾つか挙げてございます。自己収入比率でございます。これは、安全指導業務について事業者から料金をとって行ってございますので、数値目標として最終事業年度において50%以上という目標を掲げておりますが、平成22年度において、既に61%と達成しております。それから、一般管理費、業務経費、人件費、それぞれ削減目標がございますが、既に目標は達成していると、こういう状況でございます。

 それから、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項として、ここでは療護センターにおけるものを挙げてございますけれども、非常に重い症状から一定の機能の改善を示す、脱却者と言っておりますが、この数について5年間で75人という目標を立てており、平成22年度までに75人と達成しております。また、この療護施設で得られた知見・成果を対外的に普及していくという研究発表でございますが、これも年15件以上という数値目標に対しまして、所要の達成状況でございます。

 次、2ページ目をごらんください。見直しに係る具体的措置でございます。

 まず基本的な考え方として、上の緑色の枠の中にございますが、昨年10月の行政刷新会議の事業仕分けの評価結果と昨年12月に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を踏まえまして、まず安全指導業務についてはユニバーサルサービスを確保しつつ民間に移行するという考え方、それから、先ほど御説明しました3つの業務のうち自動車アセスメント業務につきましては他の独法への移管を進める、さらに、被害者援護のうち重度後遺障害者の支援に集中する、こういった観点によりまして中期目標期間終了時における組織業務全般の見直しを行うという方針でございます。

 以下具体的に御説明してまいります。

 まず一般業務でございます。安全指導業務でございますけれども、これにつきましては、民間の参入を促進するということでございます。ユニバーサルサービスの確保に留意しながら、民間参入を積極的に支援するということでございます。民間が入ってまいりますので、その民間の実施するものと一体的、総合的に全体として安全指導を盛り上げていこうというふうに考えてございます。それから、機構が実施いたします安全指導業務については、ニーズに適切に対応して実施するということでございます。

 次に介護料の支給でございます。重度後遺障害者への介護料の支給等につきましては、自賠責制度のセーフティーネットの一環ということでございますので、介護料支給とともに個別訪問を量的・質的に充実させていくということ、それから、個別訪問や被害者団体との交流等によってネットワークが得られておりますし、あと療護施設での知見・成果がありますので、こういったものを活用していくということ、それから、こういった被害者の救済対策につきましては、総合的・一体的に実施するということ。被害者の立場から見ますと、これは継ぎ目のないものである必要がございますので、ニーズに即した支援を実施していくということでございます。

 それから、自動車アセスメントにつきましては、独立行政法人交通安全環境研究所への移管ということが決まってございますので、これに向けて所要の取組を実施するということでございますが、移管が行われるまでの間は、引き続き、当該法人において業務を実施するということでございます。

 次のページを御覧ください。療護業務でございます。交通事故によりまして脳機能の損傷を受けて、非常に重篤な意識障害にある方を遷延性意識障害というふうに申しておりますけれども、この被害者を専門に受け入れる治療・看護の施設でございます。全国に6カ所設けておりますけれども、この療護施設につきまして、公平な治療機会の確保を図りつつ、質の高い治療・看護を実施していくということ、それから、このセンターで得られた知見・成果を他の医療機関においても活用していくということ、かつ、この委託業者につきましては、被害者の御家族から見ますと自宅に近いところのセンターに入りたいという希望もございますので、量的拡大について行うとともに、必要性を検討するということでございます。

 それから、貸付業務でございます。育成資金の貸付ということで、生活困窮家庭の交通遺児等に対しまして、中学卒業までの間でございますが、生活資金の貸付、それから、それにあわせた友の会という精神的な支援の活動を行っております。これにつきましては、より適切な債権管理、債権回収を進めていくということでございます。

 右側の組織・運営の見直しに係る主な具体的措置ということでございますが、こういった全体としての業務の見直しにあわせまして、事業所等の見直しを進めるということでございます。具体的には、安全指導業務につきましては民間におろしていくということでございます。一方、機構といたしましては被害者救済対策を充実させていくということで、こういった考え方で業務の集約化・効率化を行うということ、それから、人件費につきましても、引き続き厳格なチェックを実施するということでございます。

 以上であります。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは、御質問などございましたら、どなたからでも御発言をいただきたいと思います。山本委員どうぞ。

【山本分科会長代理】  今お話しいただいたことで、確認も含めて内容的なことを3点ほどお尋ねしたいと思うのですが、基本的に昨年の事業仕分け、あるいは「基本方針」では、被害者援護業務を中心に特化して、他は徐々に民間移管を進めていきなさいという指摘があったわけですね。それで、安全指導業務についても、若干、民間参入については御努力をされているということなのですが、見直しに当たって具体的にどれぐらいの民間参入を認めていけば、ユニバーサル化と、あるいは全国的なネットワークを維持しつつ、なおかつ民間にもっと積極的にやってもらって、しかも、ここの機構としてはもう少し重点分野に特化していけるような業務をどういうふうにお考えかというのが1点です。

 それと、重点化せよと言われている療護業務について、今御説明の中でまさしくあったとおり公平感ということは非常に重要だと思うのですが、よく分かりにくいのは、こういう療養施設、療護センターに入りたいという希望は非常に多いのだろうと思うのです。それで一定の審査機関を設けておられるというのはそのとおりだと思うのですが、それが認知されてないとその審査機関に上がってこないですよね。そうすると、幾ら審査機関で公平的な審査がなされても、本当に被害者に対して療護サービスができるだろうかということについて、行政刷新会議でもこれについてはかなり議論があったようですから、そこについてどういうふうにお考えなのかということです。

 それと、育成資金の貸付については、いろいろ議論があるところなのですが、我々が一番心配しておりますのは、非常に貸し倒れが増えてきているのですね。もともと生活保護を受けておられる方等が対象になっているわけですから、そういう方に対して就学期間中の資金を貸し付けるということで、多くが不良債権化するのはやむを得ない点はよく理解できるのですが、政策的にこのままやっていくことがいいのかどうかという点、あるいはどういうふうにしてこれをもっと拡大していくのか、徐々にむしろ貸付件数は減っているような感じなんですが、これについてはどういうふうにお考えなのかという、この大きく3点です。あと、他の委員から御質問の追加があると思うのですが、これについてまず簡単にお尋ねしたいと思います。

【後藤保障制度参事官】  それでは、御質問にお答えをいたします。

 まず1点目の御質問は、安全指導業務につきまして民間参入を促進するということですが、どれぐらい入ってくると見ていて、どういう役割分担になるのかという趣旨だと承りました。私どもとしては、まず民間の参入を促進するといたしましても、参入するかしないかというのは、ある部分、民間の方の御発意といいますか、こちら側が入れと言って入るわけではございませんし、当然、採算収支等も考えておられるわけでありますので、一体どこまで入ってくるのかという、その辺の動向を推計するのは難しい状況にございます。

 しかしながら、現在、特にこれは事業者向けでございますので、私ども運送事業者に近い立場にございますので、そういうところに積極的に周知をしているとともに、どれくらい入るのかという感じを、今つかもうとしているところでございまして、それを踏まえて対応してまいりたいということでございます。

 2点目の御質問は療護施設の関係でございまして、希望者の方が入れるかどうか、公平感が大事だというお話とともに、周知されているのか、入りたい方が入れるような形で広報等はどういうふうにしているのかと、こういう御趣旨だったと思います。これにつきましては、機構において療護センター等でこういうことをやっておりますという周知広報にも努めておりまして、それによりまして御希望される方がこういうものの存在を知った上で対応できるようにということで、努めておるところでございます。

 それから、貸付業務につきまして、貸し倒れが増えているということで、このままこういった制度が維持可能なのかどうか、今後どうしていくつもりなのか、こういう御趣旨の御質問であったと思います。まず、育成資金貸付制度の趣旨としましては、交通事故の被害者の中でも生活が困窮している家庭の児童を対象としたものであります。かつ、生活維持のための必要最小限の資金を貸し付けるということで、ある意味ではセーフティーネットとしての役割を果たしているというふうに考えてございます。そういう意味で、貸付につきましても、返済につきましては、20年という長期間に渡って少しずつ返していただくというシステムでございますので、セーフティーネットとしての役割を十分認識した上で、きちっとニーズがある以上は対応していきたいというふうに思っております。

 以上です。

【阿曽沼分科会長】  山本委員、よろしいですか。

【山本分科会長代理】  ちょっとよく分からないのですが、他の方からも質問をどうぞ。

【阿曽沼分科会長】  それでは、田渕委員どうぞ。

【田渕委員】  今お答えいただいたところに対して、さらにお伺いします。

民間参入で、民間の動向を集計するのは難しいということですけれども、将来的に可能ということであれば、安全指導業務から機構は撤退するという認識でよろしいか、ということをまず1点お伺いしたい。

 2点目、自動車アセスメントに関して、交通安全環境研究所へ移管ということなのですが、この移管について、いつを予定されていて、それに向けてどういった対応、例えば工程表ですとか、そういったものを検討されているのか、もう一度確認させていただきます。

 3点目、これが最後なのですけれども、事業所の見直しについて、「基本方針」では支所の合理化というふうに掲げられていると思うのですけれども、見直し当初案の方では、「支所業務の集約化・効率化」となっているかと思います。支所業務の効率化ということになると、支所ありきということですよね。今の50カ所はすべてそのままというように見えるのですけれども、現存の50カ所についてゼロベースで検討した上で支所の合理化を進めるという認識でよいのかどうか、その3点についてお聞かせください。

【後藤保障制度参事官】  御質問にお答えをいたします。まず1点目が、民間参入が進んでいくと安全指導業務につきまして機構が撤退するのかと、こういう御質問だったと思います。安全指導業務の見直しにつきましては、昨年末の「基本方針」におきましては、ユニバーサルサービスを確保しつつ民間への業務移管を進めるということでございますので、ユニバーサルサービスの確保ということが前提になっておるというふうに認識をしておるところでございます。

 それから、3点目の事業所の見直しについてお答えいたしますと、支所についてはどうなのかと、こういう御質問でございますけれども、全体の方針の中で、確かに安全指導業務については民間の参入を増やしていくということでございますが、一方で被害者の援護業務ということもございますので、そういった援護業務を充実していくという観点を見ながら考えていく必要があるというふうに思っております。

【和迩技術政策課長】  技術政策課長の和迩と申します。2点目のアセスメントの件でございますけれども、試験の技術的な実施可能性、それから、評価結果等への施設の影響などの課題について今、調査検討しております。交通安全環境研究所の施設改修の要否について、このような検討を踏まえて結論を得る予定としておりますので、これらの状況を踏まえて交通研への移管に係る体制整備について所要の取組を行ってまいりたいということで進めておりますが、時期については、現時点ではまだ決まってございません。

【田渕委員】  それに向かって何をしていくのかというのがそこから見えてくると思いますので、その辺はなるべく早目に御検討された方がいいと思います。

 事務所の見直しで、援護業務を見ながらということなのですが、結局、支所の合理化に関しては、検討されるのですか、されないのですか。

【後藤保障制度参事官】  今回、全般的に見直しということでありますので、どういう業務が必要なのかということを当然踏まえて検討することになると思っております。

【田渕委員】  支所の合理化も含めてということでよろしいですか。

【後藤保障制度参事官】  それは全体として検討することになると思っております。

【阿曽沼分科会長】  石田委員どうぞ。

【石田臨時委員】  療護センターについて2点ほど質問をさせてください。

 療護センターなのですけれども、平成22年度の事業報告書を見ますと、病床数が269床に対して、23年の3月末は244人ということで病床利用率は90%、満床になっていないのですね。今まで質問させていただいた中で、なぜ満床にならないのか、高度な医療と介護をしているのに、療護施設が自宅から遠くて入院を断念している人が多いということで、今度、近畿地区と関東地区にも2カ所作ろうとなさっていると伺っているのですが、療護センターの病床数26926億円かかっていますので、一人当たりの1年間の業務経費だと974万円、それに対して介護の支給は30億円で、4,697人なので、一人当たり64万円なのです。あまりにも差が大きいですよね。これからいろいろな地区に療護センターを作るにしても、全員の方の分が用意できるわけはないので、見直し当初案の具体的措置のところにも、「被害者救済対策を総合的・一体的に実施し」とあるのですが、同じ重度後遺障害であっても、入所されている方と、されてなくて自宅で介護されている方であまりにも差が大き過ぎますよね。その辺についてはどのように差を埋めようというふうに今後お考えになっていらっしゃるかというのが1点目。

 それと、療護センターは、各センターを医療法人等に委託されていますが、委託費の内訳が公表の財務諸表だとよく分からない。さらに病床数当たりにしても、療護センターによって全然金額が違うということで、できれば、具体的にどのように経費削減をされているのかということを、一般の病院で用いられている経営指標、例えば医業収支比率とか、医業収益に対する給与費の比率とか、後発医薬品の品目、費用率、金額、採用率、その他、一般的にわかるものでぜひお示しください。

【後藤保障制度参事官】  まず1点目の御質問でございますけれども、療護施設で療護を受けている方と、介護料の支給を受けている方との差が大きいのではないか、そこの考え方ということでございますけれども、療護施設におきましては、遷延性意識障害という最重度の後遺障害者、特に重い方について療護をしております。一定の要件はございますけれども、そういう方につきましては、養護施設で療護できるようにということで今やっているわけでございますけれども、そこに至らない方については、在宅介護というケースにおきましては介護料を支給するということでございます。

 先生がおっしゃいましたとおり、自宅から遠いということで、要件に当てはまっているけれども、非常に重い方でも療護施設には希望してもなかなか入れない方がいらっしゃる。そういう潜在的な需要は私どももある程度把握してございますので、そういう意味で地域を広げられないかという、そういった検討は今、しているところでございます。

 それから、委託費の内訳につきましては、どんなことができるかどうか、ちょっと検討させていただきたいと思います。

【石田臨時委員】  今の遷延性意識障害の方については、家族会の方のホームページを見たのですけれども、自宅療養の方が実は圧倒的に多い感じなのですね。なので、今の話だと、要件には至ってない人たちは、介護料を支給してという話があったかと思うのですが、本当に重いのに遠くて行かれない方と、この療護センターに入っている人の差が歴然とあるわけで、そこを今後どういうふうに埋めていくのかということをぜひ、後日で結構ですので、教えていただければと思います。

【阿曽沼分科会長】  園田委員どうぞ。

【園田臨時委員】  貸付業務について伺いたいのですけれども、その役割から返済できない方がある程度いるかもしれないというのは、ある程度理解できるのですが、そうはいっても、貸与されているわけですから、返してもらうところはきちっとしなければいけないと思うのです。まず議論の前提として伺いたいのですけれども、貸付金残高が幾らあって、そのうちの何%ぐらいが貸し倒れ懸念債権かについて、お答えいただきたい。

【後藤保障制度参事官】  お答えをいたします。平成22年度でございますが、債権残額が全体で約1169,200万円でございます。このうち貸し倒れの懸念のある債権、あるいは破産更生債権が約553,100万円でございます。

【園田臨時委員】  そうすると、割合としては。

【後藤保障制度参事官】  失礼しました。47.3%でございます。

【園田臨時委員】  116億円貸していて、約半分が貸し倒れ懸念というのはかなり多いと思うのですけれども、この原資は確か借入でしたよね。

【後藤保障制度参事官】  はい。借入金でございます。

【園田臨時委員】  そうしますと、将来的に借り入れたお金を返済できないという、そういう懸念があると思うのですけれども、そこら辺はいかがお考えでしょうか。

【後藤保障制度参事官】  そこら辺は今後の推移をよく見ながら、対応を考えていきたいと思っております。

【園田臨時委員】  これだけ貸し倒れ懸念が多い理由としては、先ほどの理由以外に何かあるのでしょうか。

【後藤保障制度参事官】  繰り返しになりますけれども、制度そのものが生活に困窮されている家庭の児童の方を対象としておりますので、そういう状況になっているものと見ております。

【阿曽沼分科会長】  石田委員、どうぞ。

【石田臨時委員】  関連して生活資金貸付業務なのですが、最初の御説明の中に、貸付業務はニーズがある以上、対応したいというふうにおっしゃっていたのですが、ニーズは本当にあるのでしょうか。平成22年度新規の借り入れ申込者は69人です。69人というのは1都道府県当たりだと1.5人に満たないのですね。各県で1.5人しか手を挙げないものを独法でやる必要があるのでしょうか、ここにニーズはあるというふうに思われるのでしょうか。

【後藤保障制度参事官】  この制度は義務教育終了時までを対象として、生活困窮の家庭に貸し付けをしている。こういう制度は、交通事故の関係では他にございません。そういう意味では、ここがなくなってしまいますと、その部分がすぽっと抜けてしまいます。基本的にセーフティーネットの位置付けとしてはきっちり対応していく必要がある、こういうふうに考えております。

【石田臨時委員】  非常にお優しい行政でいらっしゃるというふうに思ったのですが、でしたら、貸付ではなく給付の方がいいのではないですか。膨大な貸付金の回収業務が発生しているにもかかわらず、貸付にしているのは、給付にすると生活保護費に調整されてしまうからというお話があるのですが、でしたら、奨学金関係については生活保護費に調整されないように例外規定で法律改正とか、そちらを考えた方がいいのではないでしょうか。あまりにも貸付金の回収業務にお金がかかり過ぎているのですね。これを見ると、生活保護費で調整されてしまうから貸付しているのですと言いながら、実は貸付業務に従事している方々の雇用の維持と確保のために行っているのではないかという疑念を持ってしまうんですが、いかがでしょうか。

【後藤保障制度参事官】  経済的な支援の方法としては、御指摘のとおり給付という方法も当然あると思っております。要は限られた財源をどう有効に使っていくかということだと思うのですけれども、貸付と給付と比べると、貸付の方が元本は戻ってくると、こういうことでございますので、有効な制度であると、こういう認識でございます。また、この貸付制度につきましては、返済については20年間の長期、少額というやり方でやっておりますので、通常の貸付とは性質が異なるものと思っておりますし、平成22年度まで回収率が90%を超えているという事実もございます。

 また、この育成資金の貸付業務は、単にお金を貸すということだけではなくて、こういった業務を通じまして被害者の御家庭の精神的な支援もあわせて行っております。具体的には、先ほど先生のおっしゃった友の会というものでも同じような境遇に置かれております御家族の方々にお集まりいただいて、いろいろ情報交換をしたり意見交換をしたり、そういった精神的支援も一緒にやっておりますので、全体として考えていく必要があるのではないかと思っております。

【阿曽沼分科会長】  よろしいでしょうか。

【山本分科会長代理】  最後に一言。

【阿曽沼分科会長】  それでは、山本委員、どうぞ。

【山本分科会長代理】  いずれにいたしましても、いろいろな問題が出てきている背景は、特別会計とも関連があるのですが、いろいろなことをやりたいにしても、入ってくる金はかなり限られていて、そこがネックになっているのですが、だからこそ効率的に、なおかつ公平にやるということが重要ですから、そこについて、今後、新たな中期目標の時には、今申し上げたような具体的な目標の数値設定をぜひお願いしたいと思います。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。大体よろしいでしょうか。それでは時間の都合もありますので、ここで一たん議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆様方には御多用の中、御協力賜りましてありがとうございました。

 当分科会といたしましては、本日の議論を踏まえ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。

 時間の関係で十分な質問等ができなかった委員もおられるかと思います。その場合は、後日事務局を通じて照会、もしくは再度、ワーキングでのヒアリングをお願いすることもあろうかと思いますので、その際には御対応のほどよろしくお願いいたします。

 説明者の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

(説明者入替)

【阿曽沼分科会長】  それでは、引き続き住宅金融支援機構の見直しの当初案、その主要なポイントについて御説明をいただきたいと思います。

 住宅金融支援機構につきましては、共管省庁であります財務省からも大臣官房政策金融課の堀田企画官にお越しいただいております。

 それでは、5分程度での御説明をよろしくお願いいたします。

【松本民間事業支援調整室長】  国土交通省住宅局の民間事業支援調整室長の松本でございます。よろしくお願いいたします。

 お手元にパワーポイントで資料2−1−(2)「住宅金融支援機構について」を配らせていただいておりますので、こちらで御説明申し上げたいと思います。

 住宅金融支援機構、その前身は昭和25年に設立いたしました住宅金融公庫でございます。これが平成19年から独立行政法人住宅金融支援機構という形になっておりますが、今回、第2期に向けた初めての見直しということでございます。その基本的な考え方ということで、3点ほどこちらに載せていただいておりますけれども、1点目は、昨年の事業仕分けの結果及び12月に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を確実に実施していくということが第1点でございます。

 それから、2点目でございますけれども、経営に関しまして、第2期中期目標期間終了時までに、既往債権管理勘定、これは住宅金融公庫時代に貸し付けたお金でございますが、これについては以前、財政投融資から政策金利を国の方で決めまして、それでその差分を国で補給金という形で埋めたものですから、それ以外の勘定のところにつきましての繰越欠損金、これを解消することを目標として第2点目で書かせていただいているところでございます。

 それから、3点目でございますが、住宅金融公庫時代にやっていた直接融資から証券化支援事業に変えてきたわけでございますので、この証券化支援事業、このメインの事業の充実なり重点化、あるいはその他の業務も含めまして業務の変化に応じた適切な組織・人員というものを実施していきたいということでございます。

 最初の1点目でございますけれども、昨年12月の閣議決定を踏まえた見直しということでございますが、一つは証券化支援事業につきましては、特に事業の見直しという言及はございませんで、不要になった出資金を返納するということが閣議決定されたところでございます。これにつきまして、平成23年度の歳入予算の方にも既にALMリスク対応出資金480億円のうち113億円が不要になったということで整理をいたしまして歳入を計上しておりますし、同様に金利変動につきましても106億円を国庫返納することで歳入計上しているところでございます。

 それから、2点目でございますが、住宅融資の保険事業というものをやってございます。これにつきましては、一たん廃止をした上でフラット関連のものとか、民間による代替が可能となるまでの措置ということで限定をして実施をするということが閣議決定されております。右側でございますが、フラットというのは証券化支援事業でやっております商品でございますが、フラット35の関係の商品と、リバースモーゲージというもの、これにつきましてはそのままやらせていただきまして、一般の住宅ローンを広く対象にしていたものにつきましては、子会社の保証会社を持たない中小金融機関、どこにもその保証を頼めないというようなところを対象としたものに限定するというようなことをさせていただくということでございます。

 それから、出資金の返納というのは、不要になったものを返納するということでございますが、いずれもこれは、経済対策をまだ本年度は行っているものですから、来年度から実施ということでございます。

 次に、住宅資金の貸付事業ということでございますが、これにつきましては、直接融資という形で賃貸住宅融資とまちづくり融資、それから、災害の融資をやってございます。災害の融資につきましては、特に指定はございませんが、賃貸住宅融資につきましては、右側の方にございますように、高齢者向け賃貸住宅というのは、新たな制度としてサービス付き高齢者向けの賃貸住宅というのを、法律を作りまして1020日から施行していきますけれども、それに限定をしていくというような内容、それから、子育てというものにつきましては、省エネ性能の高いものに限定していくというような内容でございます。

 まちづくり融資につきましても、こちらに書いてございますような市街地再開発事業とか、あるいはマンションの建てかえとか、民間が出ないようなところの融資をやっておりますけれども、これにつきまして、下線を引いてあるような共同建てかえ事業につきましては、防災性の重要なエリアに限定をするというようなことでやっていく。あるいは、そもそもの事業者を中小事業者に限定するというようなことを対応としてやっていくことにしております。いずれも閣議決定に沿った対応でございます。

 それから、2番目の経営の安定の話でございますけれども、繰越欠損金の解消ということで書いてございますけれども、既往債権管理勘定、先ほど述べましたような住宅金融公庫時代以来の勘定につきましては、別途補給金というようなことで今年度まで措置したもので、将来的に解消していく予定でございますので、それ以外の勘定のところを第2期中期目標、平成28年度までに繰越欠損金を解消するということで目標を立てていきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、次のページ、3点目でございますけれども、証券化支援事業の充実とか重点化、あるいはその業務に見合った組織とか人員という関係でございますけれども、1点目は、まずメインの事業である証券化支援事業につきましての利便性の向上とか、業務運営の効率化を図りながら適切に実施していくということが一つの話でございます。

 二つ目でございますけれども、これにつきましては、見直し当初案でまだ取りまとまっていないものですから、明確にはしておりませんけれども、このように業務の一層の効率化の観点から、当然、支店機能も含めた組織の在り方というものの機動的な見直しを実施していきたいということでございます。

 それから、二つ目の○ですが、証券化支援勘定は今、どんどん大きくなっているわけでございますけれども、他のところにつきましては、事務・事業の見直しとか、既往債権については、債権を回収していくだけなので、縮小していくわけでございますので、それに対応した適切な対応というのをしていくべきではないかということでございます。

 それから、(2)人件費の見直しということでございますが、人件費につきましては、ラスパイレス指数、学歴が機構の場合、81.5%は大卒というようなことがございまして、地域も東京が多いものですから、ラスパイレスが地域・学歴勘案でも高くなってございます。公庫時代の平成17年度を見ますと地域・学歴勘案で126でございましたけれども、現在までに22年度実績で114まで10ポイント以上下がってきてはおりますが、まだ高いわけでございますので、国土交通省独立行政法人評価委員会、あるいは大臣の方からも、更なる改善に抜本的に取り組むべきだというようなことで、こちらに書かせていただいているところでございます。

 それから、(3)事務所・職員宿舎等の見直しということで、これにつきましては、閣議決定等でも書いてございますけれども、しっかりした計画を立てて適切な見直しに対応していきたいと考えているところでございます。

 あと、資料2−2の21ページ以下にワークシート個票がございます。2、3点だけ御説明申し上げたいと思います。まず21ページのワークシートのところでございますが、平成24年度要求ということで、一般会計の国費要求が23年度1,000億円だったのが、24年度は2,000億円になっているということで、随分増えているではないかという点があろうかと思いますが、実はこれは東日本大震災の関係で災害対応の融資をやっておりまして、それの関係の経費が1,300億円程度入っておりますので、それを差し引きしますと減っているという状況でございます。その他につきましては、御質疑の中で対応させていただきたいと思います。

 以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明に関しまして御質問などがございましたら、どなたからでも結構でございます。では、山本委員どうぞ。

【山本分科会長代理】  証券化支援事業の充実・重点化を進めるということについて、基本的に、住宅金融支援機構の証券化支援事業について国交省では、MBS証券のマーケットが充実してくれば民間に移行するという決まったものがあるようなのですが、そうすると、これはその状態が来るまでの間の過渡的な業務だというふうにお考えなのでしょうねという確認と、それと、一部にはフラット35がとりわけ民業を圧迫しているのではないかという御意見もあるようなのですが、それについての御意見を一回確認させていただきたいというのが1点です。

 それと、重点とされておられる証券化支援事業の一種の金利部分の機構の事務運営経費の部分なのですが、これは、例えば平成22年度ですと、全体のフラット35の金利が2.790%、そのうちの機構の事務運営経費が0.65%ということで、民間企業の受取相当額というのは0.25%、投資家が1.89%となっているのですが、住宅金融支援機構自身の0.65%というのはずっと変わってないのですね。他の部分はかなり変わっているのですが、この部分には固定経費的なものもあるわけですから、これについて、ぜひ次の中期目標に当たっては、この部分の効率化を進めるべきではないかと我々は思っているのですが、それについての御見解、この2点をまず確認させてください。

【松本民間事業支援調整室長】  まず1点目に、証券化市場が成熟化した段階でどうするのかというような御議論かと思います。また、それはいつぐらいを念頭に置いているのかという御質問かと思いますけれども、これにつきましては、実は住宅金融支援機構の組織の在り方につきまして、二度ほど有識者の方に集まっていただいて、検討をしていただいたところでございます。

 それで、まず成熟段階にあるか否かという点につきましては、今現在はまだ育成段階にあると。これは、アメリカの制度を私ども職員を出して勉強して取り入れてきているわけでございますけれども、アメリカの方でいいますと、モーゲージの残高は国債の残高を超えるのに30年ぐらいかかっているという状態でございまして、我が国の場合ですと、まだモーゲージをこの機構が出して残高は9兆円ぐらいでございまして、国債残高と2けた違うというような状況で、セカンダリーマーケットも非常に小さいと。一方で、アメリカの場合はそのような状況になっているということでございます。

 そういうような大きなマーケットの段階になったら、公的関与をどうするのかというところにつきましては、公的関与は成熟した段階になれば見直しをした方がいいのではないかというような御議論はいただいているところでございます。ただ、見直しをするという際に、どういう見直しがあるのかというようなことで、これはいろいろな御意見があるのですけれども、アメリカの場合、ファニーメイとか、フレディマックというところは同じような業務をやっておりますけれども、民間資本が入って、結局、ハイリスク、ハイリターン系に入ってしまいまして、それでこの前、サブプライムの時に公的資金を注入するというような対応がされたわけでございまして、そこについては、学者さんの中では、むしろ民間資本ではなくて、機構の業務の範囲を縮小した方がいいのではないか、そうすると民間が入りやすいと、そのような御議論があったところでございます。ただ、いずれにしろ、今の段階では成熟段階には至ってない、育成段階だということで対応させていただいているところでございます。

 それから、2点目に、機構の事務費について、65ベーシスポイントにつきましてどういう考え方なのかということでございます。基本的には、35年間のフラット35という商品でございまして、その間の期間の事務費を平均化して取っていくというようなことでございまして、私どもも、当然、政策目標といたしましては、長期固定を国民に比較的安い金利で出していくというのが目標でございます。ただ一方で、そのために赤字になっていいのかどうか、これは独法制度の議論としてあるわけでございまして、そこのところにつきましては、適切な経費をということで、安くなっていくことは当然いいわけでございますけれども、この65を幾つにというような案は、今の段階ではちょっと持ち合わせておりませんけれども、御指摘の趣旨としては私どもも同じような考えでございます。

【阿曽沼分科会長】  よろしいですか。それでは園田委員どうぞ。

【園田臨時委員】  繰越欠損金について伺いたいのですけれども、第2期の中期目標期間の最終年度までに回収をするとはおっしゃっているのですけれども、現在の繰越欠損金は3,720億円ですよね。それを5年間でというと、年800億円ぐらいずつ利益を上げていかないとできないのですけれども、その見通しについて、本当に大丈夫なのでしょうかということをちょっと確認したいのですが。

【松本民間事業支援調整室長】  私の説明が至らなくて大変申し訳ございません。先ほどのパワーポイントの2ページ目のところでございますけれども、繰越欠損金の解消で、園田先生がおっしゃるように、法人全体としては三千数百億の繰越欠損金が平成22年度決算でございます。おっしゃるとおりでございます。それで、そのうちの既往債権管理勘定以外の勘定全体ということで、しかも、実は保証協会承継管理業務というのは、保険の積立金があるものですから、プラス3,000億円ぐらいあるという状況なのですけれども、何を言っているかといいますと、既往債権管理勘定のところで約7,000億円弱の繰越欠損金がございます。これは別としましてということで目標を立てておりまして、なぜ別としましてということのお話をしているかといいますと、既往債権管理勘定というのは、冒頭にも触れましたけれども、旧住宅金融公庫が財政投融資からお金を借りると。そして、それを政策的に低い金利で国の方から出し、その差は国費で入れるというような仕組みでやらせていただいていたのですけれども、それの補給金というものもきっちりちゃんと整理していかなければいけないのですが、それを入れていくということをやらせていただいております。

 今の段階で、実は財政投融資の繰上償還なんかも若干させていただいた関係もありまして、今、順ざやになり始めたところでございまして、これが平成52年度までかかるのですけれども、52年度までの金利につきまして、国際決済銀行のバーゼル2の2%上がるというストレスをかけて計算いたしまして、52年度までに解消できるというような国費を23年度予算に措置をいたしまして、将来的に解消するというめどをそちらの方は立てております。ですから、それ以外の勘定についてのものでございますので、3,000億ということではございませんで、もっと小さい額になります。実際には証券支援勘定の方の額になると思います。

【園田臨時委員】  具体的にはどれぐらいになるのでしょうか。

【松本民間事業支援調整室長】  具体的には、今、証券化支援勘定は500億円程度の欠損金の額でございますので、そちらの方の額ということに相成ってくると思います。

【園田臨時委員】  法人全体の方の話でもう一つ伺いたいのですけれども、ずっと赤字が続いていますよね。その原因の大きなものが貸倒引当金繰入の計上だと思うのですけれども、今年度も東日本大震災の影響によりというふうに書かれているのですが、まず確認ですけど、貸倒引当金繰入の計上金額自体は1,800億円強ということでよろしいのですか。

【松本民間事業支援調整室長】  おっしゃるとおりでございます。法人全体のですね。

【園田臨時委員】  はい。そのうち東日本大震災が791億円ということですから、残り1,000億円ぐらいが別の原因だと思うのですけれども、これはどういう原因なんでしょうか。

【松本民間事業支援調整室長】  全体の整理といたしましては、平成22年度決算で繰り入れた額が1,806億円でございます。おっしゃるとおりでございます。東日本大震災の関係で791億円ということで、残り約1,000億円ございますが、これは、不良債権のランクが変わったりとか、そういうようなことで発生していく額でございます。ただ、その傾向でございますけれども、21年度、実はリーマン・ショック後の年だったものですから、延滞等が出てきまして、貸倒引当金の繰入額が1,762億円というような状況で、これは震災とは関係ない状況で1,762億円ということでございまして、それよりは22年度の方は繰入額は大分減ってきております。今後の話ということになってくるのかと思いますが、今、機構から聞いている限りでは、とてもよくなっているというわけではないのですけれども、22年度の段階から悪化しているという状況でもないというふうには聞いております。ちょっとまたこれは決算をしてみないとわからない話だと思いますが。

【園田臨時委員】  今伺ったのは、先ほどの話にも関係しているのですけれども、繰越欠損金の解消で既往債権以外は大丈夫だというお話しなのですが、ここで貸し倒れが来年度以降、それ以外のものについても効いてくると本当に大丈夫なのかなというふうに心配しているわけなのですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。

【松本民間事業支援調整室長】  委員がおっしゃるように、リスク管理債権が増えていくというのは、当然、金融機関として望ましいことではございませんので、そこら辺につきましても、実は第1期中期計画の中で、目標として国から設定するという形ではないのですけれども、中期計画において機構側の方でそういう指標を設定いたしまして、例えば今、先生がおっしゃいました証券化支援勘定につきましてはリスク債権比率1.5%以下を目標とするというようなことで、今の中期も運営をしているという状況でございます。したがいまして、そういうようなところにつきまして、今の足元の状況なんかも含めまして、議論をさらに進めていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

【園田臨時委員】  わかりました。ありがとうございました。

【阿曽沼分科会長】  田渕委員どうぞ。

【田渕委員】  3点お伺いさせてください。

まず、住宅融資保険業務について、説明資料の1ページ、1の(2)で、現行の事業を廃止した上で平成24年度から実施、現行の事業については代替可能になるまでは実施していく措置をとるという見直し当初案になっているようですけれども、代替可能になるというのはいつごろを想定していらっしゃるのか、本当に民間による代替は可能と考えているのか、というのがまず第1点です。

 2点目は、組織の合理化です。事務所等の見直し、資料2−1−(2)の3ページ目の一番下ですが、平成23年度中に見直し計画を策定とあるのですけれども、現在の策定状況についてと、検討している中で支店の統廃合を含めた議論はなされているのか、なされていないのか、をお伺いしたい。これが2点目です。

 3点目は、内部統制に関して確認させていただきたいのですが、5月でしたか、機構から逮捕者が出たと認識しているのですが、それに対してどういう対応がなされているのかについて見直し当初案に何も触れられていないのですね。その辺どうお考えなのか。

以上、3点についてお聞かせください。

【松本民間事業支援調整室長】  まず1点目、住宅融資保険が民間で代替可能というのはいつまでの話なのかというような御指摘だと思います。この点につきましても、昨年、事業仕分けのときに、行革推進室なり、あるいは政務の方まで含めて御議論いただいて、こういうような形でできないところをやっぱりやっていくということなのですけれども、現状、大きな金融機関というのは、子会社、保証会社というのをお持ちになっているところが多いのですけれども、それ以外のところでやっているというのは、保証会社は2社しかないというような状況でございまして、実は過去はもうちょっとやられていたんですけれども、大分撤退をしてきているというのが保証業界の現状でございます。

 ですから、そういうような中で、民間で対応できないところ、要するに中小の金融機関、そういうところの意見などもその当時お伺いして、例えば機構の融資保険が出れば、BISの基準でもリスクウエートは10%になるのですけれども、通常の住宅ローンでは35%とか、そういうような形になります。そういうようなことで死活問題というか、なかなかそれができなくなってしまうというようなこともありまして、私ども住宅局としては、全国あまねく住宅取得のできる状況というのは作っていかなければいけないと思っておりますので、そういう意味で中小に限定をしてやらせていただきたいと思っているところでございます。

 それから、2点目で事務所の見直し計画の進捗状況及びその中で支店の統廃合というのはどういう議論になっているのかということだと思います。この点については、組織の見直しというのは不断に当然やっていかなければいけないことですし、今度の中期目標の策定において、いろいろな御指摘もいただいておりますので、事務所の見直しをする際に、その手前といたしまして、支店の在り方をこちらのパワーポイントにも少し書かせていただきました。そこのところをした上で事務所の見直し計画を立てなければいけないのではないかということで、今、機構に検討をいただいているところでございます。

 3点目、内部統制の点で不祥事があったということで、その点につきましては、本当に私ども、指導監督が至りませんで申しわけございません。この点につきましては、実は資料2−2の33ページに「管理運営の適正化」という欄がございまして、ここの下の段でございます。第1期中期目標期間中に、職員による不祥事が発生したことを踏まえて、機構において第三者委員会を設置して再発防止策を検討いたしましたので、それをちゃんと実施をして再発することのないような組織体制の整備・見直しを行うというようなことを私どもとしては考えているところでございます。

【田渕委員】  もう一つの観点なのですけれども、再発防止策を作って終わりではなくて、それをチェックする仕組みについてもしっかり対応いただきたいと思います。

 以上です。

【阿曽沼分科会長】  大体よろしいでしょうか。時間の都合がございますので、住宅金融支援機構につきましては、ここで一たん議論を打ち切らせていただきます。

 本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用中御協力いただきましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえまして、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。

 また、本日、時間の関係で十分な御質問もができなかった委員もおられると思いますので、その場合は、後日、事務局を通じて照会をさせていただきます。また必要に応じてワーキングを開催いたしまして、ヒアリングをお願いすることがございますので、その際には何とぞまた御協力をお願いいたします。

 国土交通省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

(説明者退室)

【阿曽沼分科会長】  では、ここで10分間休憩をさせていただきます。10分後に再開いたしますので、委員の方、よろしくお願いいたします。

( 休  憩 )

【阿曽沼分科会長】  それでは、時間になりましたので、ヒアリングを再開したいと思います。

 次に、総務省所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。

 本日は、総務省 福岡郵政行政部長をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。

 それでは、郵便貯金・簡易生命保険管理機構の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。時間の関係もございますので、5分程度での御説明をお願いいたします。

【福岡郵政行政部長】  総務省の福岡でございます。それでは、早速でございますが、お手元の資料3−1に基づきまして御説明をいたします。

 この機構はちょっと特殊な業務を行っておりますので、恐縮でございますが、最初に4ページに郵便貯金・簡易生命保険管理機構の概要という参考1という資料がございますので、まずこれでざっと御説明を申し上げます。

 この機構は、平成1910月1日、いわゆる郵政民営化と同時に設立されたものでございまして、枠に書いてございますように、民営化の前、公社時代以前に預入されました定額貯金等のいわゆる定期性の貯金、それから、民営化前の契約の簡易生命保険、これらは御案内のとおり、当時、政府保証がついておりましたので、これらを公社の方から引き継ぎまして、これを管理する。そして債務、貯金の引き落とし、保険の支払い等でございますが、これを確実に履行することを目的として設置されたものでございます。

 役職員はここに書いているとおりでございます。なお、理事長と監事2名につきましては、平成23年9月30日に任期が参りましたので、公募によって選任されたところでございます。

 主な業務でございますが、旧契約による郵便貯金、あるいは保険の管理業務を行うということでございます。したがいまして、業務としては、当然のことながら個別のお客様、預金者からの引き落としや保険料の納入などの事務を行わなければいけないわけでございますが、当然のことながら、そういったものを機構が新たにやるわけにはいきませんので、これらの個別の業務につきましては、運用も含めましてゆうちょ銀行とかんぽ生命保険に委託をして行っているということでございます。したがいまして、機構自体はこの委託先の個々の業務の監督、あるいは旧契約につきまして訴訟などが行われますので、それに対応、その他苦情処理等々、そういったものを行っているということでございます。もちろん通則法に基づく業務を行っているということでございます。

 参考にございますとおり、現時点、平成22年度末での資金規模でございますが、郵便貯金残高が約45兆円、それから、保険につきまして約3,500万件、約100兆円の管理を行っているということでございます。

 5ページ、6ページはそのイメージでございまして、御覧いただければおわかりかと思いますが、5ページは、貯金につきましては、この機構がゆうちょ銀行に特別貯金という形で旧契約分を預けまして、個々の預金者への払い戻しがあった場合、実際は郵便局等の窓口で支払いが行われ、この特別預金の部分からその分が引き落とされる、そういう仕組みでやっているということでございます。

 保険につきましては、6ページでございますけれども、契約期間、保険料収入が毎月、あるいは毎年入ってまいりますので、その収入と、それから、満期時におきます支払い等につきまして、これは、かんぽ生命保険に機構が、保険でございますので再保険契約をするという形でやっていると。貯金・保険も、先ほど申し上げましたように、運用業務は、他の貯金等と含めてゆうちょ銀行、かんぽ生命が運用を行っているという形でございます。

 それで、恐縮でございますが、1ページにお戻りいただきまして、今般の見直しの当初案につきまして、御説明を申し上げます。

 ポイントでございます。まず1番目、国民に対して提供するサービスの質の維持・向上、この機構の場合には、預金者等に対するサービスをしっかりやっていくということでございます。これまでの総務省独立行政法人評価委員会の分科会等による御指摘事項等を並べて書いてございますが、ポイントは黄色の番号のところを御覧いただければと思います。

 まず、顧客情報管理の徹底につきましては、委託先及び再委託先、委託先はゆうちょ銀行等でございますし、現在の郵政民営化の構造上、郵便局会社は別会社で、ゆうちょ銀行等から窓口業務が郵便局会社に委託されておりますので、郵便局会社が再委託先ということでございますが、こういうところに対しまして、この委託先等が実施いたします内部監査の態勢とか、監査の結果につきましてモニタリングを行うとともに、不適切な事例の発生が起きた場合は、その発生原因等の分析、再発防止策の実施、指導等の取組を強化し、改善結果の検証を行うということにしてございます。

 それから、その下の■の二つ目でございますが、貯金につきましては、10年という一定の期間、預金者が一切貯金の引き落とし等を行わなかった場合には、睡眠貯金という形になりまして、それからさらに10年たって一定の手続を経た後で権利消滅という形になります。したがいまして、保険の場合にも時効が完成すればそういった取り扱いになるわけでございますので、預金者等がそういうことを忘れないように、しっかりと周知することが必要でございます。そういった権利消滅金額などが結構高い水準でございますので、これらの貯金や保険の早期受取を促進するために積極的な広報活動等を行い、またその効果の検証・分析を行い、必要に応じて見直しを行うということを書いてございます。

 二つ目の効率的かつ効果的な業務運営ということでございますけれども、これらにつきましても、管理部門の簡素化等により業務運営コストを縮減する、特に一般管理費については、経費節減の余地がないか自己評価を厳格に行った上で適切な見直しを行うということにしてございます。

 次の2ページでございますが、その他ということで、まず給与水準の適正化等ということでございます。これも全体の御指摘等に従いまして、国家公務員の給与水準を十分考慮し、適正化に取り組み、その検証結果や取組状況を公表するということにしてございます。

 契約関係でございますが、随意契約の適正化、一者応札・応募の改善に向けた取組等を継続して行っていき、コストの削減等を行っていく。少額随契につきましても、複数の業者から見積もりを徴することを徹底し、経費の効率的使用を図るとしてございます。

 内部統制の関係につきましては、日常的なモニタリング、それから、当然、監事監査、内部監査を通じて内部統制の更なる充実・強化を図るという表現で書いてございます。

 3ページ目でございます。保有資産の見直しという点でございます。独法の利益剰余金についての扱いについてでございますが、本機構につきましては、利益剰余金というのは、実際的には先ほど申し上げましたような権利消滅金といったものが積立金として積み上がってきております。これは、法律に基づきまして、中期目標期間の最終年度、つまり本年度末に決算整理を行った後、その積み上がった積立金につきましては、次期の中期目標期間への繰越積立金として総務大臣の承認が行われる金額を控除した残余の金額を国庫に納付する。残余の金額を国庫に納付するということは法律に明記されてございますので、それをなぞらえる形でございますが、そういうことを明記しているということでございます。

 それから、最後に、個別業務といたしまして、国際ボランティア貯金寄附金の配分完了というのがございます。これは一番下のピンクの枠に書いてございますように、これも民営化の後に終了したものでございますが、通常貯金の利子の一部を、寄附金として、海外関係のNGOに寄附をするということでやってきたものでございます。民営化前までは公社がやっていたわけでございますが、これを機構が引き継いだ形になっております。この上の点線の枠のところに、参考として書いてございますように、約21億円を寄附金額として引き継いだわけですが、現時点で約1.6億円ほど残っているということでございますので、今なお配分をしなくてはいけないわけでございますが、あと僅かでございますので、次期中期目標の期間中にこの寄附金の配分を完了するということを明記させていただいたところでございます。

 簡単ではございますが、説明は以上とさせていただきます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明に関しまして御質問などございましたら、どなたからでも結構でございます。御発言をお願いいたします。河野委員どうぞ。

【河野臨時委員】  総務省担当の第1ワーキングの河野でございます。よろしくお願いいたします。

 当独法につきましては、私ども第1ワーキングで検討しまして、幾つか課題が見出されております。一つは組織の効率化・合理化ということであります。つぎに、膨大な委託先、再委託先があり、これらを監査しているわけですけれども、非常に数少ない監査しかできてないのですが、この監査態勢をどういうふうに効率的にやるかというような問題があろうかと思います。

 それから、今御説明がありました積立金をどう処理していくのか、さらに、定額貯金等の権利消滅額が増えておりますが、これを減らすためにどう広報していけばいいのかというようなことが課題というふうに考えております。まず私の方からは、効率的な業務運営ということで質問させていただきたいと思います。

 今の御説明の中にもありましたが、郵便貯金残高は平成19年度末の109兆円あまりから22年度末には45兆円ぐらいに減っており、さらに28年度末は8.7兆円ぐらいに減る見込みであるという資料をいただいております。それから、簡易生命保険契約件数は、19年度、当法人の設立時には6,174万件であったのが、22年度末では、資料では3,549万件とあります。これも28年度末には1,619万件と機構が管理する資産が減っていっております。当然、この減ることにあわせて、比例的ではないだろうと思いますが、日常業務が減少するのではないか。それから、さらに今御説明がありました国際ボランティア貯金・寄附金の配分事業の完了ということが見込まれております。こういうことを考えますと、業務および組織のスリム化ということが必要なのではないかということで、質問が二つあります。

 一つは、見直し当初案において、管理部門の簡素化等により業務運営コストを縮減するということがありますが、具体的にはどういうことを考えておられるのか。貯金部と保険部の統合、あるいは企画役というようなものの見直しは考えられないのかということが1点であります。

 それから、国際ボランティア貯金・寄附金の配分事業が完了するということで、業務の見直しをするということでございますが、これは具体的にどういうような見直しをするのか、この2点について質問させてもらいます。

【福岡郵政行政部長】  まず、今御指摘のございました、全般的に郵便貯金残高等が減っていく中で業務量も減少があるのではないかということでございます。私どももその点につきましては、否定をするつもりはございません。ただ、例えば現時点におきまして、45兆円ですとか、3,000万件、あるいは4,000万件というのは、民間の銀行等の実際の預金量等々を含めまして、大きなものでございますので、契約者に対する社会的責任というのは、それなりに大きなものが引き続きあるだろうというふうに思っております。

 それから、実際に行いますのが、いわゆる管理・監督業務ということでございますので、これは今の御指摘でも、比率的ではないというふうにおっしゃっていただきましたように、実務の場合であれば多少そういった面があろうかと思いますけれども、管理・監督業務ということでございますので、郵便貯金残高等が相当程度減ったといたしましても、適正な業務が行われているかという意味でのモニタリングですとか、あるいは実地監査でございますとか、そういう管理・監督業務としてそれほど減るものではないと思っております。

 それから、訴訟対応でございますとか、御指摘がございましたが、睡眠貯金対策などの広報などにつきましては、これは、対象が割と昔からのものでございまして、特に睡眠貯金等は20年、30年かけて発生していくわけでございますので、その根っこの部分はずっと残っているということから、いわゆる広報業務というものは、数が減ったから、金額が減ったから減らしていいというわけではもちろんないだろうと思いますし、訴訟も実態を見てみますと、事案が起きてから大体4年半程度たってから訴訟が行われるということでございますので、そういう部分のものというのは、業務が減ったからといって、なかなか減るものではないと思っておりますし、しっかり対処していかなければいけないということで、そういう御指摘もいただいているかと思います。

 そういう意味から申しまして、今、具体的にお話がございました貯金と保険の部を統合するといったようなことにつきましては、今の私どもの念頭では、それぞれ非常に専門性を持った分野でもございますし、何しろ委託先のゆうちょ銀行とか、かんぽ生命というのが非常に大きな組織で、実際にはそういった組織の執行役員クラスと、いろいろと指導等をやっていかなければいけないということでもございますので、部長クラスの者は必須だと思っておりますので、部の統合とか、部長を減らすとかというのは、基本的には次の目標期間中でも大きなドラスティックなものはなかなか難しいのではないか、そこまでやると大きな弊害があるのではないかと思っております。

 ただ、個別の業務の中でその時々の判断も出てこようかと思いますけれども、できる限り経費の削減を含めたものはやっていかなくてはいけませんし、その中で具体的に業務量の変化というものが実態的に見られるようなものであれば、随時その見直しはやっていかなくてはいけない、そういう趣旨で考えております。

 あともう1点、ボランティア貯金につきましては、確かに貯金がなくなってしまえば、これは本当になくなる業務でございますので、ボランティア貯金に現在携わっております人員は、この業務が終わった段階で、その段階での検討にはなるかと思いますが、その部分を縮減していくということは、具体的に今の段階で人数とかというのは申し上げにくいところがございますけれども、その分は出現していくことになるだろうと考えております。

【河野臨時委員】  貯金部と保険部については、部長が交渉役として必要だということなのでしょうけど、交渉役ということであれば、別にお二人要らなくて、兼ねていても特段問題はないのではないですか。以前の御説明では、銀行業務と生命保険業務を一緒にするということは問題があるということでしたが、一方、機構は例外的に機構法13条の規定により、郵便貯金、簡易生命保険、両方の業務を行うこととされていますという説明もありますので、部長職が一つにまとまって、部長ポストが一つ減っても、具体的な業務は担当課長がやるというようなことも考えられるのですが、こういうようなことについてはいかがお考えでしょうか。

【福岡郵政行政部長】  先ほどの私のお答えは多少省略したところがございまして、まさに先生の方から御質問いただきましたように、分科会の方でも、いわゆる金融関係の法令におきまして、銀行業と生命保険業は厳密に区分されているというようなことについては念頭に置かなければいけないというふうに考えております。例えばそういう関係で申し上げますと、当然、個人情報を扱っておりますので、それの目的外利用を防止する観点からも、なるべく組織はきちんと分けていく必要があるのではないかと思っております。

 それから、先ほどプラスの話だけ申し上げたわけでございますけれども、やはり銀行業務と生命保険業務と大きく言えば金融ではございますが、釈迦に説法ではございますけれども、それぞれに専門的な業務というのは相当量ございます。したがいまして、組織として二つの部を統合いたしましても、実態上は効率化にはなかなか結びつかないのではないかということ、それから、部長という点につきましては、若干、先ほどのお答えと重複する部分があろうかと思いますけれども、部長クラスにおきましても、やはりそれぞれ銀行と保険の専門性を持って、ゆうちょ銀行、かんぽ生命と丁々発止ができる、そういう専門性を持った責任者の選任が必要なのではないかというように、現時点におきましては考えているところでございます。

【阿曽沼分科会長】  よろしいでしょうか。

【河野臨時委員】  時間もありませんので。

【阿曽沼分科会長】  ほかにどなたか。それでは、山谷委員どうぞ。

【山谷臨時委員】  広報についてお伺いしたいのですけれども、郵便貯金の権利消滅額とか、簡易生命保険の時効が完成したものとか、随分あると思うのですね。民間であれば、それは放っておいてもいいのかもしれないですけれども、やはり公の機関でございますので、できる限りゼロに近づけるという努力は必要だろうと思うのですね。でも、拝見していると、その努力があまり成果を生んでないような気がしまして、例えばWebとか、ホームページでとか、高齢者はほとんど見ませんので、そこら辺のところで、今、あるいはこれから何か努力されるとか、いろいろな取組をされるという予定はございますでしょうか、1点お願いいたします。

【福岡郵政行政部長】  まさに私ども総務省といたしましては、そこは非常に悩んでいるところでございますし、また、これまでも何回も御指摘をいただいているところでございます。

 これも御案内のとおり、責任としては機構でございますけれども、機構が直接やれることというと、今御指摘のございましたホームページですとか、新聞広告、ラジオ広告ということでございますので、限界がございます。そうなるとやはり足回りでございます。委託先も、それはゆうちょ銀行よりもさらに郵便局会社になってくるわけですが、やはりそこの窓口で、もちろん今でもポスターにも書きますし、お客様に個別に案内をする時に、眠っている貯金はありませんかというようなことをやってはいるわけでございますけれども、できれば、私どもとしては、機構を通じてでございますけれども、委託先の方で、その部分をもっとローラー的にやっていただくとか、その部分の充実を図るのが一番かなと思っておりますし、そういうところは総務省としても、今後なおやっていただけるように、十分念頭に置いてやっていきたいと思っております。

 ただ、最近になって急激に膨れ上がっておりますのは、これも御案内のように、過去の高金利の時のものが、ちょうど平成22年、23年あたりに、20年、30年という時期を迎えるものが多くなりますので、その睡眠部分なり権利消滅部分が増えてきているという事情が背景にあるのも事実でございますし、あと、そういった広報の結果の検証というのは、なかなか量的に把握しにくいのですが、そこも今、アンケート調査などをやっているのですが、そういう部分をもう少ししっかりできるように考えていきたいと思っております。

【徳永貯金保険課長】  広報のやり方について少し補足しますと、福岡が申し上げたように、広報活動が具体的にどれだけ権利消滅の金額の減少に効果があったかというのは、毎年の権利消滅額が10年以上前の預金の量に左右されますので、なかなか検証は難しいのですが、アンケート調査などによって広報の効果というのは検証しておりまして、それを踏まえまして、例えば具体的にどういうことをやっているかと申しますと、特に中高年層への広報効果が高いとされるラジオ広告の実施、こういった当初あまりやっていなかったものを増やすというような形で、どういったメディアを使うかといったことについて、いろいろ工夫してやっているというふうに聞いているところでございます。

【阿曽沼分科会長】  宮内委員どうぞ。

【宮内臨時委員】  ちょっと補足すると、実際に権利行使をされた人たちが、何によって認知したのかということについての実態調査もあわせてやられたらよろしいのかなと思っております。

 私は、監査の件についてお伺いしたいと思います。郵便貯金、簡易生命保険とも委託先、再委託先、それぞれ2万3,000件を超えるところが相手になっているわけですね。これに対して機構の方におられる方、常勤職員は40名という状況を考えてみると、平成19年、20年、21年、22年でそれぞれ両方合わせて18件、70件、76件、94件と増えてきて、御努力の跡は見えるのだけれども、それでは94件やれば、2万3,000件を超えるところの監査のカバレッジとして十分なものであるのかどうか、これで大丈夫という論証が果たしてできるんだろうかということを考えると、焼け石に水のような気がしてならないわけです。この辺は、1つは外部リソースというか、それぞれの有する内部統制の機能を活用しながら、機構としてはそこから間接的に確証を得ていくというような方法をとることも考えられないのかどうか、効率化のためには重要なことになるのではないかと思っているのですけれども、その辺はいかがなものでしょう。

【徳永貯金保険課長】  先生のおっしゃるとおり、委託先自身がどういった監査態勢、管理態勢をとっているかというような仕組みのチェックは非常に重要だと思っています。実際、現在でも機構の方でどういった形で監査をやっているかと申しますと、実地監査のみをやっているわけではなくて、委託先、再委託先の内部管理態勢、監査態勢、こうしたものについて具体的に報告を受けたり、ヒアリングを受けたりという形で態勢整備状況についてチェックを行うということ、それだけだとまだ十分ではないかもしれないということで、個別の支店などをピックアップして実地監査すると、こういう二本立てでやっております。決して実地監査だけでやっているというわけではございません。

 この点につきましては、総務省独立行政法人評価委員会の方でも、態勢整備状況のチェックをさらに充実・強化しなさいという御指摘は受けておりまして、今回の見直し当初案の中でも、委託先、再委託先に対して態勢整備を含め、対応状況のモニタリングを行うという形で具体的に当初案の中に書き込ませていただいたところでございます。

【宮内臨時委員】  それからもう1点、3ページにございます、中期目標期間の積立金の整理については、「総務大臣の承認が行われる金額を控除した残余の金額を」というふうに書かれている。これは、形式的に当然こういうことなのだろうと思うのですが、その多くが、先ほど言われた睡眠貯金並びに時効の成立した益で計上したものであるということを考えると、ほとんどのものがここの部分に回されなければならないのではないかと思われるのですが、その辺の方針というのはどのようになされる予定でしょうか。

【福岡郵政行政部長】  おっしゃるとおりでございまして、その枠組みの中で、具体的にはこれから機構の方から、今回の中期目標期間の終了に当たって、今後、機構として運営を行っていく上で、どれだけのものを積立金として更に必要であるかということをまず申請いただいて、それで総務省として検討していく。また、それにつきましては、手続上も総務省独立行政法人評価委員会の了解というものをお諮りすることになってございます。

 それで、なぞらえただけかもしれませんけれども、私どもとしては、機構から上がってまいります積立金として残す部分、繰り越す部分につきましてのその経費の必要性ということについて十分審査をして、お諮りをしていきたいと思っているわけでございます。

 したがいまして、基本的には、権利消滅金等につきましては、もともと国が債務を負ったものがその債務が消えたということでございますので、法律に書かれていますように国庫に戻すのが方針だと思っております。

 ただ、そうは申しましても、例えば、先ほど申しました訴訟関係費用でございますとか、それから、保険で申し上げますと、これも御案内のとおり、一応民間の生保業界でも、時効は完成いたしましても、実際に契約者の方から、5年、10年たっても、明確に証書が残っていて支払い要請があれば、実態上は支払っているということでございますし、かんぽ生命もそれに従っているわけでございます。したがいまして、それに充てる部分といったものは、合理的な判断の中で残しておかなければいけないという部分がございますので、基本的にはそういう必要な部分、他にもいろいろあろうかと思いますが、そういう部分を残した上で、その他については、という考え方で臨んでいきたいと思っております。

【阿曽沼分科会長】  よろしいでしょうか。それでは木村委員どうぞ。

【木村臨時委員】  時間超過で恐縮ですが、見直し当初案の補足説明において、管理部門の簡素化、効率化の一環としてアウトソーシングの活用等が掲げられていますが、これは具体的にどういう取組を考えておられるのかというのが1点でございます。

 それから、人件費の削減に関しまして、常勤職員の大半が出向者で占められているという現状をどう考えておられ、改善の余地があるというふうに考えておられるのか、その2点を質問させていただきたいと思います。

 また、おそらくこういう出向者が大多数を占めているから、横並びの人事でポストを高く配置したりとか、そういうことがあるのではないかと思うのです。以前のヒアリングの時も、機構は銀行で言えば本社に当たるという、そういう御説明をされてちょっと驚いたところがあるのですけれども、この機構の業務の実質は監査業務であるとするならば、小規模な監査法人的なイメージで、少数精鋭で内部監査等も活用しながら効率的にやっていただきたいと考えておりますが、その辺、いかがでしょうか。

【徳永貯金保険課長】  アウトソーシングの活用の具体例というのは、総務省というより、機構の方で具体的に考えていただくことで、ちょっとこの場ですぐに御回答することは難しいのですが、これは、基本的には政独委の方から、勧告の方向性における共通の指摘事項として、アウトソーシングの活用というのが指摘されていますので、それに対応して今回の見直し当初案の方にも入れさせていただいたところでございます。

 具体的にどういったものが活用できるのかできないかということについては、機構の方などで検討していってもらいたいと思っております。

 それから、出向者の件ですが、郵便貯金、簡易生命保険につきましては、もともと郵便貯金法、簡易生命保険法という法律がございまして、一般の生命保険サービス、あるいは銀行サービスとはいろいろ異なる点がございまして、こういったものについての専門知識を持った者ということになりますと、やはりなかなか、もとからそういうものについて知識、ノウハウを持っている者が対応しないと、効率的な業務ができないということがございまして、どうしても出向者が多いというような状況になっているのではないかと考えているところでございます。

【阿曽沼分科会長】  追加の質問はよろしいですか。それでは、時間の都合がございますので、郵便貯金・簡易生命保険管理機構につきましては、一たんここで議論を打ち切らせていただきます。

 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用な中、御協力いただきまして、ありがとうございました。

 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえ、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいります。引き続き御協力のほどお願いいたします。

 時間の都合で、まだまだ質問等が不十分だと感じられている委員もおられるかと思いますので、その場合は、後日事務局を通じて照会をさせていただきます。また、必要に応じては、ワーキング・グループで再度ヒアリングということの御協力をお願いすることもございますので、よろしくお願いいたします。

 総務省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

(説明者入替)

【阿曽沼分科会長】  続きまして、外務省所管2法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行いたいと思います。

 本日は、外務省 藤原審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。

 それでは、国際協力機構の見直し当初案の主要なポイントについて御説明をいただき、その後質疑応答をさせていただきます。5分程度の時間でございますが、御説明をお願いいたします。

【藤原審議官】  外務省国際協力局審議官の藤原でございます。よろしくお願いいたします。時間も限られておりますので、私の方から簡潔に国際協力機構、JICAの御説明をさせていただきます。

 お手元の資料4−1−(1)に基づきまして簡単に御説明いたします。

 まず1ページ目でございますけれども、JICAの役割について、JICAは我が国のODAの実施機関として外交政策に基づきまして、開発途上国、地域、政府等の関係者とともに、その国が抱える課題の解決に資する事業を展開しております。この地図の中にも幾つか代表的な例を書いてございますけれども、例えば過去30年間で、47カ国で小・中学校の3万4,000教室を整備したといったような成果がございます。JICAが世界各地でこういった開発事業を展開することによりまして、途上国地域の経済社会発展に貢献するとともに、我が国が世界で果たすべき役割の一翼を担っているものでございます。

 次のページ、JICAの国内事業の関係でございますが、ここに図示しておりますとおり、地方の知恵と経験、人材を生かしまして途上国の課題解決につなげるとともに、地元中小企業、自治体、大学等の国際化、途上国支援の展開にもつなげるなど、国際協力を通じて地域のニーズに貢献するという循環型のサイクルを推進してございます。多くの方が国際協力に参加できる場を提供すること、これらについての理解増進はJICA法に規定されております業務でございまして、全国をカバーした展開が必要になっております。

 次のページにまいりまして、今中期目標期間におきますJICAの戦略的・効果的な援助実施の取組としまして、プログラム・アプローチの強化について御説明します。

 JICAは平成20年の組織統合を機に、技術協力、有償資金協力、無償資金協力の3スキームを扱い、我が国の二国間ODAを一元的に担う援助機関となりました。その特性を生かしまして、途上国との政策協議を通じて開発課題解決に向けた開発目標をまず設定しまして、そこから具体的な援助対象、いわゆるプロジェクトを導き出していくプログラム・アプローチに移行しております。このプログラムに沿いまして三つの援助手法を有機的に組み合わせ、体系的にプロジェクトを形成する。そういうことでプロジェクト間の相乗効果を上げまして、全体としての成果の向上を図ってきております。

 一番下に書いております「コメ増産プログラム」のイメージを示しておりますけれども、灌漑施設を整備して植えるだけではなくて、農業普及員への技術指導によって、灌漑を活用した二毛作の普及などにも取り組む、あるいは現地に適切な品種開発に従事する稲研究者を日本で研修するなど、施設、技術指導、研修を適時・適切に組み合わせまして、コメ生産増というプログラム目標の達成を目指しております。

 最後に、次のページでございますけれども、次期中期目標策定に向けましたJICAの組織、業務全般の見直しについて御説明いたします。

 「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」や、昨年6月に当省にて策定しました「ODAのあり方に関する検討 最終取りまとめ」などを踏まえまして、JICAの組織面、事業の大幅な改革に取り組んできたところでございます。

 次期中期目標におきましては、外務省独立行政法人評価委員会における指摘も踏まえまして、取組の更なる加速化・徹底が肝要と考えております。援助の戦略性強化としましては、先ほど申し上げましたが、事業効果を一層向上させる観点から、国・地域の開発課題の把握・分析に取り組み、分析に基づいて技術協力、有償資金協力、無償資金協力の三つの援助手法を有機的に組み合わせた戦略的なプログラムの策定・実施を一層促進します。その際、研修員受け入れ事業も、このプログラムに則して実施してまいりたいと考えております。

 ボランティア事業につきましては、抜本的な見直しの結果を踏まえまして、効果の最大化及び日本社会への貢献という観点から、国別の分析を通じて把握した開発課題の解決に資する事業の実施や、JICAの他の事業、民間企業、NGOとの連携を通じまして事業の質を高める取組を促進していきます。また、帰国ボランティアによる社会還元活動の支援や情報発信などを推進することで、ボランティア事業価値の向上を進めてまいります。

 最後に、JICA組織全般の見直しの方向性を御説明いたします。次のページでございますが、海外の現場機能の強化の方策としまして、各国の状況をよく見ながら、現地職員に対する研修強化による一層の活用や、JICA事務所にてそれぞれ行うことが非効率な業務の本部への集約、安全対策の強化といった本部からの支援強化等、総合的に取り組んでいきたいと考えております。

 国内拠点につきましては、第三者により行った各拠点の機能・役割、利用状況、運営コストなどに関する検証結果を踏まえまして、地域特有の経験やネットワークを活用し、開発途上国における課題解決への貢献のみならず、地域における国際協力の結節点として、その役割の強化に努めていきます。

 契約の適正化については、契約監視委員会による点検や随意契約の見直しなど政府方針に基づく取組を着実に実施していきます。その上で業務運営の効率化を図る所存でございます。特に企画競争の競争性、透明性を向上するために、引き続き調達制度の改善を適切に進めてまいります。

 最後に、参考として日本語研修の見直しの内容をつけてございますが、平成18年の勧告の方向性にて指摘されました海外10事業の見直しにつきましては、調査統計事業、移住等融資事業、営農普及事業は既に廃止しております。加えて国内で実施しております事業のうち、移住者の子弟や日系人に対して行われております日本語研修事業につきましては、国際協力機構で実施する必要性を検証した結果、国際協力基金のプログラムで実施可能なものについては、同基金で実施することにより事業の効率化を図り、24年度予算概算要求に反映したところでございます。

 以上、簡単ですが、私からの説明にさせていただきます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。それでは、御質問等ございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。河野委員どうぞ。

【河野臨時委員】  外務省を担当しております第1ワーキングの河野であります。

 ヒアリングと、それから、横浜国際センターの視察等に行きまして、JICAについては、私ども幾つか課題を見出しております。例えば最初に御説明のありましたODAのあり方について、それから、JICAはかなり大きな組織というふうに見ておりますが、組織の合理化ということが考えられるのではないか。さらに、国内定員と海外定員が固定しているという問題がありますが、在外機能を強化したらどうかということがございます。これらの他、海外移住者のこととか、人件費、在勤手当等々、こんなことが多々あります。

 私の方からは、組織の効率化ということでお尋ねしたいと思います。先ほど申し上げましたが、JICAは大きな組織と認識しております。JBICとの統合ということがございましたが、この統合に伴いまして、組織上どのような効果が出ているのかというのが第1点でございます。

 それから、2番目は組織のスリム化ということでございます。3番目が休職者に関わることです。

 組織のスリム化につきましては、細かに二つぐらいあります。平成23年4月現在で31部室局、145課あるというふうに聞いておりますが、例えばこの145課について、財務とか資金ということで見れば、財務部、資金・管理部、資金協力支援部、調達部、債権管理部等については、外から見れば似たような仕事もあるのではないか。それから、開発関係では経済基盤開発部、あるいは産業開発・公共政策部等についても、似たような業務があり重複しているということが考えられますが、こういう重複部分を削るというようなことで統合が考えられないかということが質問の一つであります。

 それから、もう一つ、JICA研究所の総務課のことです。「基本方針」に基づく本部機能の一部のJICA研究所への移転に伴って総務課は廃止できるのではないか、これについてお考えを伺いたいということであります。

 大事なことがもう一つ、休職者であります。いただいた資料で見ますと、休職者が平成20年度あたりから定員の10%ぐらい、120人とか、130人の規模で発生しております。これはどういう理由でこれだけの数の休職者がいるのか、本部職員で見ますと、1,200人ぐらいについて1割以上でございます。1割以上休職しているということでありますので、人事管理の上、あるいは業務運営の上で何か問題があるのではないか、こういうことについて2番目でお聞きしたいと思います。

 それから、この休職者の扱いですが、休職者について数を見直す、より削減するというような方向で見直すということがあれば、在外機能の強化、これは後ほどまたお聞きすることがあろうかと思いますが、在外機能の強化にも役立つのではないかと思います。そういう意味で休職者について見直すということは必須ではないかと思いますが、この点についてお伺いしたいと思います。

【鈴木政策課長】  外務省の国際協力局政策課長の鈴木でございます。答えられるところから順次御説明していきたいと思います。

 まず第1にJBICとの統合でございますけれども、これは、既に繰り返し御説明しているかと思いますが、有償資金協力、無償資金協力、技術協力の3スキームを効率的に一体的に運用することが可能になったということで、様々な課題について、私どもが言っているプログラム・アプローチ、一定の保健の分野なら保健分野でこの国については重点的に取り組んでまいりましょうというときに、この3スキームを効率的に運用して、それぞれが持っている長所を生かしながら援助の仕組みを作っていくことができた。従来は、JBICはJBICでやる、JICAはJICAでやるということで別々にやっていたことが、一つの援助課題を目標に一緒にやっていくことができたということだと思います。

 2番目のスリム化のところにつきましては、統合時の35部室局、168課体制から31部室局、145課体制に改編されたということで、引き続きスリム化の作業は、私どもとしても更に奨励していきたいと思っております。御指摘のあった財務部と資金・管理部の重複の問題につきましても、これも再編を推進して管理部門の合理化を通じた本部の戦略性の向上を図っていきたいと思っておりますし、経済基盤開発部の平和構築・都市・地域開発グループの3課体制を2課体制にする等、スリム化を図っているところでございます。

 それから、JICA研究所の機能につきましては、私どもとしては、いろいろな意味で研究機関としての役割と、それから、まさにそういう意味で学術研究者の一定のコントリビューション、それから、その中にいる、いろいろな援助の実証経験をした職員のコントリビューションという両面の部分がありまして、いろいろな形での他の研究所との研究成果のすり合わせと申しますか、他の研究機関との提携とか、協力とか、JICA研究所の組織としての連携というような作業も行っており、それは幅広く、例えばアジア経済研究所とか、他のいろいろなところとも連携しておりますし、海外のブルッキングス研究所とか、そういうような機関との連携をやったりというような作業がございますので、マネジメントに関わる総務的な機能というのは引き続きあった方がいいのではないかというのが私どもの意見でございます。

 最後の休職者のことについて、わかる方。

【JICA 井倉総務部次長】  休職者についてお答えさせていただきます。時点によっても異なりますけれども、30名から40名程度の育児休業者というのがおりまして、その方々もこの休職者の中に入ってございます。それに加えまして、世界銀行やアジア開発銀行、こういったところの国際機関に出向している職員もございます。さらには、在外強化の一環ではございますけれども、JICAの職員が途上国のプロジェクトの現場に専門家として派遣をされています。こういう人々も休職者のカテゴリーでございます。さらに、外務省をはじめとして、関係省庁と人事交流をさせていただいておりまして、そういう方も含めて休職者になっているということでございます。

【河野臨時委員】  業務への影響はないということでしょうか。

【JICA 井倉総務部次長】  現時点におきましては、大きい影響はないのではないかというふうに考えてございます。

【阿曽沼分科会長】  他にございますか。山谷委員どうぞ。

【山谷臨時委員】  私から2点質問いたします。

 まず第1は、独立行政法人になるときに、緒方理事長がおっしゃっていたのは、在外機能を強化するというお話で、その方向でいくかと思ったら、全く逆の方向で、なおかつ再度、緒方理事長がまた理事長になられると。理事長御自身は、この人員配置に関して御納得いっているのかどうかというのが1点です。

 それから、もう1点、ここは先ほどおっしゃられた戦略的なプログラムの策定に関しての質問ですけれども、戦略的なプログラムの策定というと、一般的に考えると、特にJICAの前の名称が国際協力事業団ですから、事業レベルで何かをするということであればわかるのですが、JICAが戦略的なプログラムを企画・立案するというのはどういうことなのか。その場合には、外務省本省、特に政策課との役割分担はどういうふうになるのか。さらに、PDCAサイクルというのがございますから、評価をやってその評価結果を反映させるといったときに、プログラムの評価を外務省本省がやるのか、あるいはJICAがやるのか、あるいは両方がやるのか、やるのであれば中身が若干違ってくるのではないかという気もするのですが、戦略的なプログラムにおける外務省とJICAとの役割分担というところを中心に、評価も含めてお話を伺いたい。

 それから、追加でもう1点。外務省は機能局と地域局がありますけれども、JICAの中にも似たような仕組みがあるのですね。地域局はおいておきまして、機能局に相当するようないろいろなところがございますが、あれを固定化しているがために、いろいろなところで屋上屋を架すことになるのではないかなと。仮に今おっしゃったような戦略的なプログラムということであれば、JICAの地域局以外の部分は、かなり柔軟に、機動的に運営できるのではないかなという気がするのですが、それについてお答えいただきたいと思います。

 以上です。

【鈴木政策課長】  追加で補足があるかもしれませんが、まず、戦略的、効果的な援助について、外務省が基本的な大きな戦略の図柄を書くということで、企画・立案は外務省の国際協力局の政策課、開発協力総括課、こういうところでやっているということでございまして、そういう図柄を作った上での実施について、現地のいろいろなタスクフォースや、外務省とJICAとの間で協力をして最も効果的な実施の在り方はどうかということで、3スキームを一体化して、その書いた戦略の図柄の目標を達成すべく実施を進めていくというのが私どもの現在の方針です。すなわち戦略の政策企画・立案は外務省で、それを効果的に実施していくのは実施機関であるJICAという区別になっているということが1つあると思います。

 2番目の人員配置、人員の削減の件につきましては、人件費の制約が非常に厳しい中で、私どもとしては、在外のJICA職員の数はできる限り増員を図ってきているところでございます。ただ、そこにも人件費等の制約がありますので、足りない部分については現地職員、ナショナルスタッフの一層の効果的な活用を図って対応していくというようなことでやってきておりますし、その点について、そういう現状であるということについては、緒方理事長も御同様の認識であるのではないかと思います。

 それから、機能局の御指摘がありましたけれども、地域局と機能局をマトリックスのような形にして、それぞれ援助にはスキームがありますので、そういう形で私ども、対応するのが基本であるのかなというふうに思っているところでございます。

【本清総括課長】  国際協力局開発協力総括課の本清でございます。PDCAサイクルについて御質問いただきましたので、その点について簡単に御報告申し上げたいと思います。

 まさに我々、PDCAサイクルは非常に重要だと思っておりまして、この評価の部分については、JICAもプロジェクトの終了ごとに事後評価というのをやっておりますけれども、我々も当初のプロジェクトの開発目的に照らして、適合していたのかどうかという評価を行って、問題があった件も含めてリストにして公表させていただいているところでございます。その結果を今度プランニングに生かそうということで、来週第1回目の会合が開かれますけれども、開発協力適正会議というNGOや民間の6名の委員からなる会合を持ちまして、新しいプロジェクトについて、この教訓をどう生かすのかということを評価した上で、新しいプロジェクトを議論していく、こういう形をとりたいと思っております。

 以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  木村委員どうぞ。

【木村臨時委員】  先ほどの在外強化の関連で、見直し当初案におきましては、先ほどもおっしゃっていたことだとは思うのですが、各国の状況に応じた現地職員の活用を促進すること、それから、本部からの在外支援体制の強化等を含め、在外現地機能の総合的な強化に取り組むというふうにありますけれども、在外定員の増加について触れられていない理由は何なのか、現時点でどの程度在外職員を増加させようとしているのか、その辺の御見解をいただきたいというのが第1点でございます。

 それから、在外職員の増加が人件費の増加につながらないようにするためには、在勤手当の見直しが必要になるはずなのですが、その見直しの状況について具体的に御説明いただきたいと思います。とりわけ平成24年度の予算要求に反映させるのかどうか、御見解をいただきたいと思います。

【JICA 井倉総務部次長】  まず、在外事務所の職員の数でございますけれども、平成19年度におきましては368人、20年度以降は413人、それから、23年度は増やしまして433人にさせていただいております。

 在外強化につきましては、総人件費がございますのと、もう一つはアフリカの強化、それから、治安等に不安のあるアフガニスタン、イラク、それから、南スーダン、こういった国々での仕事を強化するということになりますと、航空賃も高いというようなこともありますし、人件費的にも多くかかってしまうというようなところも踏まえながら対応をさせていただくということではないかと考えてございます。

【鈴木政策課長】  2番目の御質問の在勤手当につきましては、現在、JICAの中で有識者の意見なども聞きながら、見直しの検討作業を進めているということでございます。大きな柱としてありますのは、海外に駐在される日本の民間企業の方々、あるいはグローバルに国際機関の職員が海外に駐在する場合の給与の手当水準の決め方を参考にするということでございまして、これは、基本的には購買力補償方式、要するに東京、あるいは日本の国内の主要都市でもらっている給料水準と同じだけの購買力を現地で補償するためにはどれだけの追加的な手当が必要なのか、それは現地の物価水準、それから、初めて任地に赴く場合の家財だとか、そういうのを平均的な家族で計算して、どれだけの家財がないと東京都におけるのと同じ生活水準を維持することはできないかということについて保障をするという方式が、これは今、国際的にも、日本のみならず世界の大多数の企業でやっている方式でございまして、これについて、専門とする民間の調査機関に依頼をして購買力の補償方式でどういうような形で手当を設定したらいいかということについて、検討してもらっているということでございます。かなり複雑な計算や調査が必要でございまして、まだ、この見直しの結果は出ておりませんので、引き続きこれは検討させていただきたいということになっております。

【阿曽沼分科会長】  他にございますか。宮内委員どうぞ。

【宮内臨時委員】  一つは、先ほどと重複する件ですが、資料4−1−(1)の3ページに、イメージとして「コメ増産プログラム」というのがあるのですが、プログラム・アプローチの強化という点からいくと、例えばここに示されているものを左側から順番にやっていくのかどうかわかりませんが、これが全部終わると、これで終了と。要するにODA卒業国という言葉があるように、プロジェクトでやっていった場合に、そもそもどこがエンドになるのかということについてのメルクマールがはっきりしてないと、事業が常にエンドレスになっている。そういう意味で、今後のプログラム・アプローチの中で、そのことも意識されているのかどうかということが1点。

 それからもう一つ、運営費交付金債務がJICAにおいてずっと金額がかさんできている。かなりの額になっているわけですが、結果的にそれは、財務諸表上の説明としては、援助するべき相手にいろいろな政変等が起きて、できないためにこれが起きているのだという御説明であろうかと思います。それは単年度で見ると適切なのかもわかりませんが、毎年毎年ずっと増えている。ということは、予算が多過ぎるのではないかという話にもつながりかねない。御説明では、他のものに転用できるものは他のものに転用するということですが、政策の成果として他のものに転用することがそもそも適切なのかどうかという問題もあわせてあろうかと思います。その辺についてのお考えというのは何かございますでしょうか。

【本清総括課長】  プログラム・アプローチについての御質問にお答えしたいと思います。

 イメージで書かれておりますところのプログラム目標、3行目になりますけれども、XX年までにコメ生産量増Y%達成、これがプログラムの目標で、これが達成できれば一応このプログラムについての使命は終えたと、このように考えて、その国がこのプログラムを達成したことによって、すぐ卒業するわけではないので、DACリストから卒業するというところまでは見ていかなきゃいけないとは思いますけれども、プログラム・アプローチについてのエンドについての考えというのは、以上のような考え方に基づいてやっているということでございます。

【JICA 木之本財務部次長】  運営費交付金債務の件につきましては、御指摘いただきましたとおり一定の金額に達しておりますけれども、JICAの事業の性格としまして、途上国側の要因により他動的になり、事業が必ずしもJICAの想定どおりに動かないという面もあり、どうしても事業自体が後ろ倒しになる傾向がございます。ただし、これにつきましては、適切に執行を重ねてまいる所存でございまして、特に他の目的に流用するということはございません。また、運営費交付金債務の中には、特別業務費という性格の経費もございますので、例えば緊急援助隊の派遣経費などにつきましては、余ったものは国庫にお戻しするという形になっておりますので、これはそういった方向でしかるべく中期計画の終了時点で処理をするということになろうかと思います。

【阿曽沼分科会長】  よろしいでしょうか。それでは、河野委員どうぞ。

【河野臨時委員】  質問だけさせてもらいます。冒頭で海外移住事業についての話をしましたが、これに関わって三つ質問させてもらいたいと思いますが、移住者団体に対する助成金の交付実績が減っております。平成19年度は1億5,000万円で、22年度が9,000万円ぐらいになっていますが、この事業をどこまで縮小するのか、廃止も含めて縮小をどのようにお考えになっているのかというのが1点でございます。

 それから、日系個別研修関連でございますが、見直し当初案では、日系社会のニーズを踏まえつつ規模の縮減を行うということがうたわれておりますが、次期中期目標期間中にどの程度までの縮減を考えておられるのか。

 3点目、日本語研修事業関連の見直し当初案ですが、国際交流基金で実施し得る日本語教授法に係る研修を、同基金に移管し、事業効率の向上を図るとしていますが、具体的に移管する内容はどういうものを移管し、残るものについてはどういうものを実施するのかということについて、後ほど書面で結構ですのでお願いしたいと思います。

 以上です。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。今の河野委員の3点の御質問を含めて、まだ質問もあろうかと思いますので、事務局を通じて照会をさせていただきますので、御回答いただきたいと思います。

 国際協力機構につきましては、ここで一たん議論を打ち切らせていただきます。本日、御説明いただきました皆様方には御多用中、御協力をいただきましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論を踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいります。引き続き御協力をお願いいたします。

 また、ワーキング・グループでの再度のヒアリングもお願いすることがあろうかと思いますが、その際には、また御対応のほどよろしくお願いいたします。

 説明者の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

(説明者入替)

【阿曽沼分科会長】  続きまして、国際交流基金の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただきまして、質疑応答を行いたいと思います。

 本法人につきましては、本日は、外務省広報文化交流部、米谷文化交流課課長をはじめ、御担当の方にお越しをいただいております。

 全体の時間の関係もございますので、5分程度の御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【米谷文化交流課長】  ありがとうございます。外務省の文化交流課長をしております米谷と申します。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、国際交流基金について御説明させていただきます。お手元の資料4−1−(2)を御覧いただきながら御説明させていただければと存じます。

 まず、基金の概略について、簡単に申し上げますけれども、その資料の2ページにございますように、我が国の外交政策の四本柱、安全保障、対外経済関係、経済協力と並んで、文化その他の分野における国際交流という、いわゆる文化交流についての外交政策というのが一つの柱だと考えてございまして、その実施機関として重要な役割を果たしている組織だと考えております。特に国際社会における我が国への信頼を確保し、外交力の基盤を作る、そういう役割を果たしていると考えておりますが、昨今は、震災後の状況の中で、日本国民、文化の担い手としての日本人が、どのようなことを体験し、考え、活動しているのかということを諸外国の国民との交流を通じて共有し、相互理解を深めて発展させていくことが、世界の中で生きていく日本の開かれた復興を実現していく上で非常に重要だと、このように考えております。

 次に、資料の3ページ、基金の現状について申し上げます。今、申し上げましたように、外交政策を踏まえて相手国との交流の状況やニーズに基づきまして、大きな柱といたしまして、3ページの真ん中にございますように、日本語教育、文化芸術交流、そして海外における日本研究及び知的交流の促進、この三つを柱に国際文化交流事業を総合的かつ効率的に実施することに取り組んでおります。予算規模は、平成23年度予算で約160億円、うち運営費交付金は約130億円となってございます。大ざっぱに申し上げますと、国民一人当たり約100円の国費をちょうだいいたしまして、世界百数十か国の国民に対する文化交流事業を通じて外交的な投資を行っているということができると考えております。

 次の4ページ目、他の主要国と比較させていただきますと、ドイツ、イギリスの同様の文化交流機関の例をグラフに書かせていただいておりますけれども、国民1人当たりの年間予算額というもので見ますと、イギリスのブリティッシュ・カウンシルの約13分の1、ドイツのゲーテ・インスティテュートの約4分の1という予算規模になってございます。

 時間を節約するために5ページは飛ばさせていただきまして、6ページに移らせていただきます。基金は、世界百数十か国の多くの地域に対して幅広い事業を実施しておりますけれども、求められる事業の質及び量の確保に努めつつ、なかなか容易ではございませんけれども、工夫や努力を行うことで、この第2中期目標期間に設定された目標以上の効率化を達成してきてございます。御覧のとおり、一般管理費、事務所借料、人件費等について、それぞれ中期目標を上回る削減が見込まれてございまして、外務省独立行政法人評価委員会においても高い評価をいただいております。

 また、事業仕分け・「事務・事業の見直し」の閣議決定の対応につきましても、着実に進めております。また、そのような中期目標における経費削減目標ですとか、事務事業の見直しにおいて求められました、いわば外から御指示を受けた事項に対する着実な対応に加えまして、基金自身の独自の経営上の取組といたしまして、自己点検に基づく業務の整理を行い、新たな政策的要請や事業の効果を高める、そのような機動性を確保していくといった努力を行っております。

 例を幾つか述べさせていただきますと、本部事務所ですとか、京都支部の移転、あるいは海外拠点の幾つかにつきましては、移転や面積縮小により経費の削減を進める一方で、今後の新たな事業展開上重要な幾つかの拠点を整備してまいりました。また、主要な事業の分野でございます文化芸術交流、日本語、日本研究、知的交流といった分野におきましても、従来の比較的細分化されておりました事業プログラムの整理を進めまして、今期中期目標期間内におきましてプログラム数を以前の82から半分の42まで整理いたしまして、新たな時代の政策的ニーズを的確にくみ上げることのできる大括りの分野、プログラムにおいて、ニーズを的確に吸い上げて、その中で戦略的な、パッケージ的な投入を図っていくという取組を進めております。

 資料の1ページに戻らせていただきまして、次期中期目標期間における方針につきまして、現在考えております私どもの基本的な考え方を申し上げさせていただきます。

 第3期中期目標期間に向けた基本方針といたしましては、中長期的な外交の基盤整備としての事業を着実に引き続き実施する一方で、新しい政策的要請に応えるべく、例えばEPA経済連携協定関連の事業を含みます日本語事業を更に強化していく必要があろうかと考えております。地域・国別戦略を更に充実させて、各種スキームを効果的に組み合わせて総合的な国際文化交流事業を強化してまいりたいと考えてございます。

 1ページに分野別に要点をまとめさせていただいたわけですけれども、その中でもポイントだけ触れさせていただきます。文化芸術交流の分野では、より大きな事業効果を得るために、国内外の機関・団体との協力・連携を強化、推進してまいりたいと考えております。また、冒頭にも申し上げましたように、東日本大震災を踏まえた体験や経験を文化交流を通じて共有するとともに、復興に向かう日本の力、魅力を理解していただいて、震災で傷ついたジャパンブランドの復活・強化に貢献したいと考えております。

 次の日本語教育関連につきましては、日本語の海外普及のための長期的な事業だけでなく、EPAにかかわる日本語研修事業の政策的要請に的確に応えていくための予算、人員体制を確保して、一方で、もちろん業務効率化努力を継続してまいりたいと考えております。

 日本研究・知的交流の分野におきましては、特に米国を中心といたしまして、日本研究支援、共通の関心のテーマに沿った知的交流を実施してまいりたいと考えております。また、この分野におきましても、震災後に高まった日本に対する関心、連帯意識をより深い日本理解につなげ、長期的な取組といたしまして、震災の経験を国際社会と共有し、防災、災害復興面での国際貢献に資するようなものを含めて、対話交流事業を進めてまいりたいと考えております。

 国際交流情報の収集・提供等につきましては、文化交流の意義と重要性について幅広く国民に提示し、交流の担い手としての民間セクターの参画を促すといった努力を、ITメディアの活用を含め効果的・効率的に広報等を含め取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に、海外拠点につきましては、機能の明確化・効率化に向けた取組を継続するとともに、引き続き外交上の必要性に応じた展開に必要な拠点の在り方について検討してまいりたいと、このように考えております。

 冒頭の説明を申し上げました。よろしくお願いいたします。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは、御質問がございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。それでは、河野委員どうぞ。

【河野臨時委員】  外務省所管法人担当の第1ワーキングの河野といいます。よろしくお願いします。

 私どものワーキングにおけるヒアリング、それから、埼玉の日本語国際センターへ視察に行きまして、当法人につきまして幾つか課題が見出されました。

 一つは、文化芸術交流の内容についてでございます。それから、他の機関との連携の在り方、組織の見直しや運営費交付金債務、あるいは京都支部等々、こういうことについて、いろいろ議論してまいりました。私の方からは、組織の見直しということについて質問を幾つかさせてもらいたいと思います。

 これは、ワーキングでのヒアリングの時であったかと思いますが、「基本方針」で幾つかの事業を縮減・廃止することに伴って人員の削減等を行い、その人員は新たな重点事業の方へ振り向けるというような説明がありまして、その折に、自助努力によって事業の見直しをして、削減した人員等を新しい重点政策へ投入するというのであれば、よく理解できるけれども、「基本方針」や勧告の方向性に従って削った人間を他に回すということであれば、これは人員削減はしないということではないかと考えられるとの意見を申し上げました。「基本方針」に伴う人員削減以外に、先ほど自助努力ということをおっしゃっていましたけど、例えば真に国際交流基金が実施する必要がないと考えられる事業の廃止とか、他機関との連携強化とか、組織の再編、嘱託職員の活用等を行って、人員を削減する可能性があるのではないか、この点についてどういうふうにお考えかということが1点でございます。

 それから、見直し当初案で、「外交上の必要性に応じた事業展開に必要な海外事務所設置について検討する」ということがありますが、一方で、見直し当初案で合理化に努めるという案もございます。今申し上げた「外交上の必要性に応じた事業展開に必要な海外事務所の設置について検討する」ということは、これは新たな海外事務所の増設を考えている、そういう含みで入れているのかどうか、これが2点目でございます。

【米谷文化交流課長】  ありがとうございます。まず第1点目の事業の見直し、その他いろいろな方法を含めた取組による人員の削減の可能性についてでございますけれども、従来から御指摘をいただいて廃止、あるいは整理することになった事業の量に対応する人員を削減しておりますが、一方で新たに生じてくるニーズに対応する人員が増えるので、結果としては振り向けた形になるということだけではなくて、全体としましては、いろいろな過去の御指摘により事業を整理あるいは廃止した以上の人員を内部での再配置といいますか、ニーズの高い分野への再配分を行っております。

 特にニーズが高まっている分野は、日本語教育分野でございまして、政策的要請による業務量の増大が著しく、人員増の必要性が高い状況にございます。平成23年度予算におきまして、元気な日本を復活する特別事業ということで、政策コンテストを経て海外日本語教育の拡充ということで約10億円の事業予算をちょうだいいたしまして、基金の海外日本語教育の拡充、その中にはEPA関連の日本語研修も含まれているわけですけれども、それが上乗せになってございまして、以前より行っておりました日本語教育分野の基金の事業規模としまして、事業予算の規模で考えますと、従来取り組んできた人員にその比率を掛けますと、実は日本語教育部門というのは正職員で8名、嘱託で3名ほどの増加がこの新しい事業ニーズに対応するために必要であったという試算になります。

 一方、文化芸術交流事業、国内事業を廃止いたしました部分について、それに伴う事業規模の減を計算いたしますと、人員にして0.9名の正職員の減ということになりまして、その他にも幾つか関西国際センターにおける日本語研修の廃止ですとか、日本語国際センターにおける日本語教師の博士課程の新規採用の中止等もございますけれども、それらを足し合わせても1名をやや超えるぐらいの減にしか達しないという状況にございます。

 したがいまして、そこで減になった人数を新しいニーズのところへ振り向けるというだけでは到底追いつかないわけでございますので、そこはいわば自助努力によって組織内の業務の効率化等によって対応している部分が相当ございます。実際、最近でも文化芸術交流部門から日本語事業部門に正職員2名を異動させたということがございます。ですから、事業削減以上の人員を振り向けたけれども、更に足りないといった状況がございます。

 それから、今期の第2中期目標期間の全体の流れで申し上げさせていただきますと、いろいろ予算の厳しい状況がある一方で、今のような新規の事業ニーズもありますので、平成19年度が第2期中期目標期間の初年度でございますが、19年度を100といたしまして、23年度の事業規模は実は減っていないという状況がございます。一方、人件費の方は、先ほどの資料で御説明いたしましたように、効率化によって、設定された目標以上に削減をいたしまして、人件費につきましては8.6%の削減の見込みになってございますので、その人件費は目標を上回る削減を達成しながら、事業規模においては、ほぼ同等の事業規模を効率化して実施しているという状況がございます。もちろん今後につきましても努力を重ねてまいりたいと思っておりますけれども、そういう状況にあるということは御理解いただければと思います。

 それから、見直し当初案の海外事務所についてのお尋ねでございますけれども、御指摘にありました「外交上の必要性に応じた事業展開に必要な海外事務所設置について検討する」というのは、まさに現在の事務所の配置によっては、将来、事業を充実させていかなくてはいけない、そういった地域に対する対応が必ずしも十分にできない部分があるのではないかと考えておりまして、もちろん増設するということを今の段階で判断しているわけではございませんけれども、全体の財源の状況等を見ながら、あるいは既存の拠点から広域的にカバーするといった対応がどこまでできるのかといったことも考えつつ、ただし、新しいところも設けなければいけないのではないかといったことも含めて検討してまいりたいと考えております。

【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。山谷委員どうぞ。

【山谷臨時委員】  若干細かな話になりますけれども、今のところとまた関わるのですが、我々は、全ての省の独法を拝見していまして、その中での意見でございますので、その中で重複しているものも見えてきますし、これが果たして外務省所管の独法でやるべきことなのかみたいなものも見えてくる、そういう立場からの質問でございます。

 例えば公募プログラム、平成24年度というのがございますね。そちらからいただいたものを拝見させていただいている中で、有形・無形文化財の保存・修復・継承とか、柔道・空手・剣道等の専門家の派遣・招聘とか、こういうのがどんどん出てくるわけですけれども、例えば有形・無形の文化財の保存・修復・継承というのは、どうなのでしょうか、外務省出身の文化庁長官がいらっしゃるところでやっていただく方が、よりリーズナブルなのかなとか、あるいは日本の文化芸術の紹介を目的とした展覧会を行うため、美術館、博物館に関して経費助成を行っているというのですが、こういうものは、本来は外務省がやるというよりは、むしろ民間でやっていただいた方がよろしいのではないかという印象を持つのですけれども、これに関してはいかがでしょうか。

【阿曽沼分科会長】  時間の関係がございますので、簡潔にお答えください。よろしくお願いいたします。

【米谷文化交流課長】  恐れ入ります。今お尋ねの文化財の保存・修復等が具体的にどういった部分を御報告したものに該当するのか、即座に定かではございませんけれども、もちろん文化庁、文部科学省の方でも、あるいはその関連団体の方で遺跡の修復・保存等にかかわる事業というのは、国内、海外でもあろうかと思います。もちろんそういった意味で無駄な重複がないかというようなことは、私ども文部科学省と基金のいろいろな個別の事業について調整させていただいておりまして、年次計画の作成、あるいは新規の要請が来たときに、重複しないかということを随時確認させていただいております。

 一方、予算の配分については、私ども外務省の方は、相手国との関係、あるいは世界的な配分等を含めて外交的な観点から検討させていただくということでございますので、文部科学省とは少し違う視点から検討して、なおかつ重複がないように連携も含めて考えさせていただくといったことでございます。

 展覧会の助成等につきましても、民間の資金で実施していただける部分は、もちろん私どもも民間のそういう活力を通じた交流が外交的に見ても意義あるものであるというふうに考えておりますので、そういった取組に対する外務省としての後援名義の付与ですとか、在外公館を通じたいろいろな御支援といったものをさせていただいております。

 一方で、必ずしも民間の資金、あるいは組織やノウハウといったものでは十分ではない部分、民間の資金というのはどうしても規模も限られておりますし、行き先も主要国中心に限られてまいりますので、それで足りない部分を、世界全体を見渡して、日本の外交上もう少しここの国で日本のこういう分野のことを知ってもらう必要があるといったようなことを、在外公館等からの情報や要望を踏まえつつ考えて、足りないところを補って実施させていただいていると、そのようなことでございます。

【阿曽沼分科会長】  よろしゅうございますか。それでは宮内委員どうぞ。

【宮内臨時委員】  運営費交付金債務の件についてお伺いしたいと思います。国際交流基金の場合、運営費交付金債務の総額が平成22年度末で約33億円、当該年度の交付額との関係でいくと25%ぐらいを占める額になっております。発生理由としては、現地情勢の悪化等により当初予定した事業が実施できない状況となったということで起きているということなのですが、しかし19年から22年まで着実にというか、毎年増加してきているということを考えると、例えば最初の19年において原因であったものがなくなって、20年に新たに出てきたものがあるのだと、こういうロジックでいくと、今回、22年で25%のものが、説明されているもので全部がこの中に入っているがゆえにそうなったというふうにも、ちょっと理解できない金額になっているという感じがいたします。そういう意味では、事業の適正な執行という観点から、的確に予測して遅延等をなくすための措置としてどういうようなことをお考えなのか。

 それから、他のものに振りかえるというような話がありましたけれども、当初優先度が高いとして実施することとしていた事業以外のものに振り分けるということ自体、事業実施効果の上で疑問があるのではないかとも考えられるところでございますので、その辺のところを御説明いただければと思います。

【米谷文化交流課長】  ありがとうございます。交付金債務がこれだけの規模になって、御指摘のように増える傾向にあるということにつきましては、私どもも大変懸念をしておりまして、改善を図ってまいりたいと思っております。要因はいろいろございますので、その中で予見して、あらかじめ対応を考えられるものについてはそのようにするということを徹底してまいりたいと思っているのですけれども、どこまで抑えられるのかというのは、予見できない事態、例えば大きな文化紹介行事の大会のようなものが実施されるところに参加しようと思っていたところが、その大会本体そのものがその国の事情によって延期されてしまうというようなこともございますので、どうしてもそういう不可能な部分が残ってくる部分はあろうかと思いますが、今の水準は改善の余地があろうかと思っております。

 なぜこのような大きなものになっているかというのは、いろいろなことがあるのですが、一つは、先ほど申し上げました非常に厳しい人員体制の中で、いろいろな事業の企画・立案・計画をやっているという部分もございまして、求められる事業に対して組織の人員体制がなかなか効率化、努力等々を重ねても厳しい状況にあるということもあろうかと思います。

 それから、他に振り替えるのは優先度が低いものに回すということになって適当でないのではないかという御指摘につきましては、もちろん、本来実施する必要がないものに充てるというようなことはあってはならないと思っておりますので、そういう意味で振りかえる適当なものが見つからなかった分が積み重なっているというところがございます。

 一方で、本来実施したい候補があったけれども、予算上そこまで当初採択できなかったという場合において、できるようになったら対応を改めて考えるという部分がございましたので、そういったものを御報告したということでございます。

【阿曽沼分科会長】  では、最後に木村委員どうぞ、時間の関係もございますので、簡潔に御質問いただいて、もし十分な応答が出来ないようでしたら、後日文書でお答えいただくことがあるかもしれませんが、よろしくお願いします。

【木村臨時委員】  簡単な確認的なことですが、日本語教育の充実を図るということで、見直し当初案におきましては、必要な人員体制を確保するということをお書きになっていますが、これによって法人の人員が増加することにならないのかという確認をさせていただきたいと思います。

 それから、法人の内部で人員のシフトを推進して日本語教育を充実させているという、それは理解できるのですが、そういうシフトが簡単にできるような業務であれば、民間委託を推進してもよろしい感じがいたしますけれども、その辺はいかがですか。

【米谷文化交流課長】  ありがとうございます。人員増につながらないかという1点目は、私どももなるべく人件費は今後とも抑えてまいりたいと、それは国全体の財政状況を見ればそういうことなのだろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、現状の事業量に鑑みて非常に厳しい状況にあると。十分な質を確保しつつ求められた量の事業を行うことが難しいと。特にEPAの分野においては、インドネシア、フィリピンからの看護・介護師候補者の受け入れという部分で、訪日前の研修を担当するということになってございますけれども、日本滞在中の国家試験の合格率が非常に低い状況の中で、政治的に日本国内、あるいは相手国において問題視されている中で、今の研修の充実によって成果を上げることが強く求められている状況で、しっかりした体制で取り組んでもらいたいというのが政府の側から見た状況ですので、そのための体制というものをきちんと検討して、そういう意味で今少な過ぎるところを、本当にどれだけの体制が必要なのかということを考えて、次の中期目標期間が始まるスタートのところで、適正なるレベルというのも一たん設定する必要があるのではないかと。もちろんその後も継続的な効率化努力を図っていく、そういうことを考えさせていただければと思っております。

 2番目は……。

【阿曽沼分科会長】  もし詳細なお答えが必要なら、文書でお答えいただいても結構だと思います。申し訳ございませんが、本日は多くの独法の議論がありまた多くのご質問もございましたので時間が大分押しておりますので、申し訳ありませんがいかがでしょうか。

【米谷文化交流課長】  すみません。一言だけ。簡単に振りかえできるのであれば民営化できるのではないかという、そういう御指摘でございましたけれども、国際交流基金は、文化芸術、日本語教育、日本研究の支援と、この三つの柱を総合的にインターリンクする形で文化交流、人的交流、そのことによる相互理解促進ということに取り組んでいるものでございますので、そういった意味での企画分野の部分における基金の専門性というのはこの三つの分野の間での共通性はあると考えておりますので、そういった意味である程度のシフトはできると。もちろんそれぞれの事業において民間ができる部分は、委託契約等も活用して合理化しているということでございます。

【阿曽沼分科会長】  大体よろしいでしょうか。時間の都合もありまして、申し訳ございませんが、国際交流基金については、これで一たん議論を打ち切らせていただきます。

 ただ1点だけ申しあげます。企画がたくさんあって、身の丈に合わないものもいろいろあるので運営費交付金債務があるというようなやり取りがあり、アイデアはいっぱいあるのだけれども、こなし切れないというようなお話がありました。そういう意味では、適切な予算計画、予算執行及び効果的な事業実施の観点で事務事業の在り方をもう一回見直す必要があるのではないかなとことを感じました。また委員の御質問に対して十分に答えられなかった点もあろうかと思いますので、後日、事務局を通じて照会しましたり、必要に応じてワーキングで再度ヒアリングをするということもございますので、引き続き御対応のほどをよろしくお願いいたします。

 当分科会といたしましては、本日の議論を踏まえつつ、事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりますので、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。

 本日は御多忙のところをありがとうございました。

 外務省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

(説明者退室)

【阿曽沼分科会長】  それでは、委員の皆さまには報告事項が幾つかございます。まず東日本大震災関係について、報告を事務局の方からお願いいたします。

【萬谷調査官】  それでは説明させていただきます。東日本大震災の関係の情報の整理ですけれども、7月25日の分科会でお示しさせていただいたホームページベースの情報に今、各省から上がってきている各法人の業務実績報告書、あるいは財務諸表にどんなことが書かれているのかというのも抽出して、整理の作業を現在しているところです。整理の方法ですけれども、財務諸表の財務上でどんな処理がなされているのかということ、業務の中止、業績の低下やマイナスの影響がどれほど出ているのかということ、被災支援復旧・復興対策についてどんな取組をやっているのかという3種類について、整理しております。

 最終的には各省の方にも確認をした上で、漏れのないような形にしようと思っておりますが、事務局の方で、現時点で整理した段階、まだ生煮えではございますが、大体の傾向といたしますと、財務上では工事の遅れ等に伴って予算の繰り越し、債務負担、運営交付金債務の増加、あるいは災害損失引当金や減損認識のようなことについて記載されているというのが主なものです。

 それと、約半分以上の法人で何らかのマイナスの影響が出ているということと、災害復旧・復興の関係の取組については、90%以上の法人で何らかの取組をしているという状況でございます。いずれにしましても、今後はこういった事実関係に対して、一次評価でどんな評価がされているのかということを引き続き精査していこうと考えております。

 それと、業務実績報告書を見るに、3月11日に震災が起きた時にどう対処したのか、よく言われるのは災害対策本部を立ち上げてというのがありますが、こういった情報というのは、法人のリスク対応・危機管理ということを今後いろいろ検討していく上での重要な情報だと思っておりますので、そういった情報をあわせて整理をしようと思っております。

 それと、以前にいろいろ御指摘がありましたけれども、今回の震災の関係で、法人において中期目標、中期計画の変更がどれほどされているのか、されてないのかということなのですが、今の作業の中身では、網羅的にきちっと把握できないものですから、今後、各省の方に、先ほどのマイナスの影響とか、復旧・復興対策の取組についての事実関係の確認をする際に、中期目標の変更をしたのか、してないのか、どういう内容なのかということもあわせて取材しようと考えております。

 この震災関係の情報の収集・整理については、ワーキング等の場で先生方に、こんな方向で整理しようと思っている、こんな状況ですということを御報告、御意見をいただきながら進めようと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。何か御質問ございますでしょうか。もし何か御意見等ございましたら事務局の方までいただきたいと思います。

 それでは、引き続き報告事項、行政刷新会議の動向、今後の予定等につきまして、北川評価監視官の方から御報告をお願いします。

【北川評価監視官】  行政刷新会議の動向ですが、時間がありませんので、簡潔に御報告いたします。

 先週と今週にわたり、刷新会議の方の独法分科会の下、三つのワーキング・グループで103独法について、各法人のヒアリングをおおむね一巡いたしまして、刷新会議側からは、組織の統廃合等がなぜできないのかと、その反論の立証を相手に求めるという形で議論されておりますが、各省・各法人の側からは、おおむね現状維持的な意見が多くなっているようでございまして、ミッションが違う法人を統合してもシナジーが出ない、コストカットの効果はあまりないなどといった反論がなされており、引き続き議論していくという状況であります。

 本日の午後、刷新会議の分科会が開催されまして、こういった三つのワーキング・グループでの検討状況についての中間報告がありました。

今年度の九つの見直し対象法人に関係しますところでは、郵貯・簡保管理機構につきましては、郵政改革法施行後3年目途の解散の検討について前倒しの可能性はどうか、解散の見通しというのはどうなっているのかということが議論されております。JICAと交流基金につきましては、貿易振興機構、国際観光振興機構も含めた統合の可能性について検討すべきであるということになっています。原子力安全基盤機構につきましては、法人の形態等については、新たな原子力行政の在り方を踏まえ引き続き検討、日本貿易保険につきましては特殊会社化を検討、科学技術振興機構につきましては、文科省は、これを研究開発法人とカテゴライズしておりますが、研究開発法人の統合という議論があります。 自動車事故対策機構につきましては、被害者援護系の業務と安全系の業務を分けまして、被害者援護系は国の直接委託を含めた形態が考えられないか、一方、安全系の方は、車検独法への移行の可能性を検討となっております。住宅金融支援機構につきましては、特殊会社化の検討をすべきだということです。労働政策研究・研修機構につきましては、中小独法の一般論として、間接部門が大き目であるという問題意識があり、国への移管も含めて最も効率的な形態を検討していく必要があるということです。いずれも各省の主張とまだ平行線の状況ではありますけれども、更にヒアリングを進めていかれるようでございます。

 それから、制度の在り方についてですが、基本的な論点が示されまして、これも今後、11月後半にかけて数回議論して、年内の取りまとめを目指してやっていかれるそうでございます。いずれにしましても、これから私ども各ワーキングでもう少し細かく状況をお話ししながら、整合をとるべきはとり、連携を図っていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 次回の私どもの分科会は11月7日(月)の1530分から2時間、この場所で予定しております。既に御連絡させていただいているかと思いますが、「勧告の方向性」と「22年度業務実績評価に関する二次評価」の取りまとめに向けた中間報告をいたします。この時に、分科会長に御相談の上ですが、刷新会議の方の状況をもう少し時間をいただいて御説明できればと思っております。

 以上でございます。

【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。今の事務局からの連絡事項等、御報告について、何かコメントなり、追加の御発言ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 今日は質問も大変多く、活発な議論となりましたが、時間の関係もありご質問がまだまだ足りないと感じておられる委員も多かったと思います。各ワーキングで御相談の上、事務局の方で何か文書で追加の質問があるようでございましたら、取りまとめて提出をいただきたいと思っております。

それでは、大体よろしいでしょうか。長時間にわたりましたけれども、ありがとうございました。

 以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了させていただきます。本日は御多用の中御出席をいただきましてありがとうございました。

 

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