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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(平成25年9月30日)議事録

日時

平成25年9月30日(月)15時30分から18時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館(総務省)8階 第一特別会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
 梅里良正分科会長代理、森泉陽子の各委員、浅羽隆史、有信睦弘、梶川融、河井聡、河村小百合、瀬川浩司、山谷清志の各臨時委員

(総務省)
 濱西隆男官房審議官、吉開正治郎評価監視官、平野誠調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する各府省ヒアリング(文部科学省)
  2. その他

配布資料

会議経過

【梅里分科会長代理】  それでは、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、先週に引き続き、今年度の見直し対象14法人のうち、文部科学省所管4法人の見直し当初案に関する各省ヒアリングを行います。
 それでは、文部科学省所管4法人についてのヒアリングについて、本日は、文部科学省の常盤大臣官房審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。
 それでは、まず日本学生支援機構の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係がありますので、5分程度で御説明をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

【常盤大臣官房審議官】  ただいま御紹介いただきました文部科学省大臣官房審議官の常盤でございます。説明は着席して行わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元に資料をお配りさせていただいていると思います。その資料に即しまして御説明させていただきたいと思います。
 資料をおめくりいただきまして、右下にページが打ってございますが、1ページは概要でございますので省略させていただきまして、2ページ目から御説明させていただきたいと存じます。
 日本学生支援機構は、我が国唯一の学生支援ナショナルセンターといたしまして、国の施策と密接に連携しつつ、奨学金貸与事業、留学生支援事業及び学生生活支援事業を総合的に実施しております。
 奨学金の充実、留学生交流の促進、学生への支援、これらの重要性につきましては、今般策定されました日本再興戦略、あるいは教育振興基本計画においても指摘されているところでございます。
 次の第3期中期目標期間は、事業を成熟させ、安定的に実施することが目的であり、事業方針に大きな変更はございませんが、一方で、近年の厳しい経済状況や格差の拡大、グローバル化の進展、就業構造の変化等の社会環境の変化によりまして、学生、あるいは留学生の修学環境に生じる問題が複雑化していることに留意する必要があると考えております。
 次に、3ページ目をお開きいただきたいと存じます。第2期中期目標期間中に実施した主な取組でございますが、左側、奨学金貸与事業でございます。真に支援を必要とする者への貸与が行われるよう貸与基準を厳格化、回収率向上のための取組により、その回収率の目標値を達成、所得連動返還型の無利子奨学金制度の導入というようなことがございます。
 また、留学生支援事業でございますが、留学生30万人計画の達成に向けまして、日本留学に関する情報提供や日本留学試験の利用促進等を推進いたしております。また、日本留学生の経済的負担を軽減する仕組みを検討しているということがございます。
 次に、右下のほうですが、学生生活支援事業でございます。大学等ごとの取組には限界がある課題に厳選いたしまして研修事業を実施する。あるいは障害のある学生等、固有のニーズのある学生への重点化・集中化というようなことを図ってございます。
 これらの取組によりまして機構の目的はおおむね達成できておりまして、第3期に向けて更に事業を成熟させ、安定性を追求したいというのが基本的な考え方でございます。
 一方で、第2期中期目標期間中に見えた課題もございますので、対応が必要だと考えてございます。回収が困難な長期延滞債権が総回収率を引き下げておりますので、各債権の状況に応じた手法を設定して、適切な対策を実施することが必要であるとか、所得の捕捉等が可能となることを前提とした、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入に向けた検討と準備が必要だというようなことを考えてございます。
 次に、4ページ目でございます。第3期の見直し当初案のポイントでございます。
 奨学金貸与事業でございますが、真に奨学金が必要な学生等へ支援するために、学生等の採用状況等を踏まえつつ、貸与基準等の不断の検証を継続する。
 大学等との一層の連携によりまして、奨学生としての資格を確認するとともに、奨学金の必要性等を自ら判断させるための指導を行うなど、厳格な適格認定の徹底をするということ。初期延滞において督促の集中的実施を行うほか、中長期延滞においてもサービサーの活用などによりまして返還金の回収に努め、単年度の実績がより明確になるよう新しい手法を設定し、評価を実施する。
 所得の捕捉等が可能となることを前提といたしまして、柔軟な所得連動返還型の無利子奨学金制度の導入に向けて、事務の見直しを含めた準備を行いまして、適切に実施したいということがございます。
 右側にまいりまして、留学生支援事業でございます。我が国のグローバル化に資するように、外国人留学生と日本人学生等との幅広い交流を充実させるため、大学等の枠を超えて日本人学生と外国人留学生が互いに生活をともにしつつ、相互に交流するための中核的な留学生交流の場を構築したい。意欲と能力のある若者全員に留学機会を与えるため、留学生の経済的負担を軽減するための官民が協力した新たな仕組みを構築したいということがございます。
 学生生活支援事業につきましては、学生生活の実態把握や学生支援の取組状況等の情報収集、調査・分析を充実し、大学等に対する情報提供を強化する。障害のある学生など、固有のニーズのある学生の支援に資する情報の収集・提供を支援する。
 そして、一番下でございますけれども、事務・事業の効率化という点では、外部委託の効果的な活用、契約の透明化のさらなる確保、情報システム化の推進によりまして、業務の効率化を着実に推進したいと考えております。
 さらに、組織全体といたしまして拡大する事業規模に合わせて業務実施方法を見直しまして、適正な人員配置の実施等によりまして業務体制を確保するとともに、的確で効果的な事業実施体制を構築いたしまして、一層効果的な学生支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 概略でございますけれども、以上、御説明とさせていただきたいと存じます。

【梅里分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました日本学生支援機構の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでも御発言を願います。

【河井臨時委員】  よろしいですか。お伺いしたい点が何点かございます。
 今御説明があった奨学金貸与事業の貸与基準について、真に奨学金を必要とする者への貸与が行われるように貸与基準を厳格に実施するという方向性は非常に正しい方向性なのではないかと思うのですが、その前提となる基準について3点ばかりお伺いします。
 ワーキング・グループで議論した時に、もともと基準が昭和59年当時に制度として制定されて、それを消費者物価指数等によっていろいろ修正して、これまで使ってこられたということだったのですが、昭和59年というと30年近く前になっておりますので、30年前に決めたことを加減修正みたいな形で使用すること自体に問題がないのかという点が1点目。
 2点目は、貸与基準の中で、特に第二種の方で言うと、絶対額がたしか給与所得世帯で1,200万円ぐらいと資料で拝見したのですけども、4人家族の世帯の年収としていろいろな調査があるかとは思います。家計調査であるとか、全国消費実態調査であるとか、いろいろな調査がある中で、1,200万円というのは平均値よりはかなり上のほうの数字ではないかと思うのですが、文科省として、その点についてはどのようなお考えなのかというのが第2点目。
 第3点目は、第一種でも第二種でも、家計基準の中の給与所得世帯と給与所得以外の世帯との差や、第一種だと半分ぐらい、第二種でも6割ぐらいになっているかと思います。これは合理的な差としてその差があるとすると、税務上の捕捉率の差を念頭に置かれたのかなと思ったのですが、確かにクロヨンとか、トーゴーサンとかと言われていた時代もあったと思うのですけれども、最近、捕捉率について、そこまでの差はないのではないかというのが実感としてございまして、給与所得者と給与所得以外の世帯で、ここまでの差をつけることが合理的な区別と言うだけのものがあるのか。独法がやるわけですけど、一応、政府の行政執行として行う際に、そういう捕捉率の差であるとすると、それを前提とした制度設計自体に合理性があるのかないのか、これが3点目でございます。よろしくお願いいたします。

【渡辺学生・留学生課長】  お答えいたします。まず、最初の所得の基準でございます。確かに御指摘のように現行の奨学金貸与の際の家計基準、基本的な考え方は昭和59年当時に考えてきたものでございますけども、御指摘のとおり現在の基準におきましても、学校種別、国公私の別、自宅・自宅外通学の別、様々な指標に基づきまして細かく設定しております。そうしたことを踏まえながら、各家庭が置かれた状況を適切に反映できるようにということで制度設計しておりますし、御指摘のとおり、これまで物価上昇率や所得の分布等については見直しを行ってまいりました。
 それに加えまして、これは平成23年でございますけども、特に最近、少子化ということがあって、共働きの世帯、そうした点についても考慮すべきではないかということがありましたので、平成23年度末に業務方法書を変更いたしまして、従前は主たる家計支持者1人のみの所得で見ておりましたけども、もし御両親いらっしゃれば父母の収入を合計した額を世帯収入として、その世帯収入にお子さんの数であるとか、実際の大学に通うときの授業料の額であるとか、本人の就学者としての控除、こうしたものを足して設定しております。
 加えて、所得分布に基づいた見直しの事例ということで申し上げましても、平成11年度にその時の収入状況等を勘案しまして、10%収入基準という額について厳格にしておりました。
 こうした修正をしてきて、より実態に合うように見直してきたわけでありますので、現状においては適切な形でできているのではないかと考えておりますけれども、これは毎年見直しを行っていますので、更に大きな変動がありましたら、そうしたことを踏まえて修正していきたいと考えております。
 それから、特に第二種について先ほど御指摘いただきました1,200万円。これも、私立であるのか、国立であるのか、あるいは自宅か自宅外かに応じて基準は異なってまいります。例えば第二種の場合でも、私立の自宅外が一番高くなっておりまして、国立の自宅であれば、大体、100万円ぐらいの差があります。私立の自宅外ですと、今年度で有利子、4人家族の場合で全額1,250万という額ですが、国公立の自宅であれば1,159万円、そのような基準になっております。
 御指摘のように今現在の社会全体の収入の平均値ということに照らし合わせますと、確かに高い水準設定になっています。ただ、これは、あくまでもその所得を超えない限りにおいては希望する方に対して奨学金を貸与することができるという基準でありまして、決して平均的なものとか、そういったことで設定しているわけではありません。
 奨学金については、あくまで経済的な理由による就学が困難な学生に幅広く支援を行うと。基準で言うと1,200万円の人はどうかという話はあるかと思いますけども、これは保護者ではなくて御本人が借りるわけですので、そういった家庭においても、学生さん御本人が自ら大学に行って、その後で自分で返済するという制度でありますので、単純に家計調査の水準との比較は難しいと思うのですけれども、極力多くの学生さんに貸与できるようにしていきたいと考えております。
 それから、3番目。

【田中学生・留学生課課長補佐】  失礼いたします。3点目、給与取得者、それと給与所得者以外の者についてでありますけれども、委員から、捕捉率についてクロヨンとかトーゴーサンとか、そういうようなお話を今いただいたところでありますが、捕捉率の前提といたしまして、あくまで控除については国税庁の考え方をベースにしてやっているものでございます。
 委員のお考えとして、やっぱり実感として離れているのではないかというところは真摯に受けとめるべき必要があるかと思っておりますけれども、財務省と相談しながら、しっかり対応していきたいと考えてございます。

【河井臨時委員】  今おっしゃった控除というのは、給与所得控除とか、それ以外の自営業者の各種の控除、そんなにないと思うのですけど、そのことを指しておられるということですか。

【田中学生・留学生課課長補佐】  そのあたりのディテールについては、今、手元に資料がございませんので、明確にお答えすることは困難ですので、持ち帰って改めて御回答ということでよろしいでしょうか。

【河井臨時委員】  分かりました。お願いします。

【梅里分科会長代理】  はい。浅羽委員。

【浅羽臨時委員】  同じく奨学金事業について質問を2点ほどさせていただきたいと思います。
 真に奨学金を必要とする者への支援、これはまさにそのとおりということで、貸与基準の重要性等は当然だと思いますが、同時に貸与額の見直しというものも時に必要なのではないのかなと考えております。第一種、第二種それぞれの制度設計そのものについて、できれば第一種をもっと大きくしてほしいとか、私は大学の教員ですので、そういう個人的な思いはあります。ありますが、それでも財政制約等ありますので、そこをここで論じるつもりはありません。
 ただ、これまでもいろいろと議論させていただいている中で、第一種と第二種があまりに区別された議論が多いのかなというような印象を私は持ちました。実際、大学で貸与事業等を学生と相対してやっている中で出てくるケースで、この第一種と第二種の併給者の問題が私どもとしても結構目につくようになっています。それは、もともとの考え方として、御存じのとおり第一種では、先ほども言ったように少し足りない。それなので、第二種を併給して上乗せでというような形で借りる学生が結構います。
 ただ、第一種に上乗せされる金額が、第二種が例えば国立の文系であっても、私立の文系であっても、あるいは私立の理系であっても、同じように12万円を上乗せすることができる。もちろんロースクールとか医学系等はもっと行きますが、そういうのを除けば併給ということでも基本的に制限なく、もちろん所得制限はありますけど、一種はクリアしているので、大学の枠の中で推薦基準等を超えられれば、かなりの金額を借りることができてしまう。
 それが適切な金額と言えるのかどうかといったことについて検討なされているのかどうか。あるいは、そこで何らかの制限を掛ける必要はないのかといったことが質問の1点目です。
 特に所得の基準を満たすと、その後は何でもオーケーと。ぎりぎりの金額の人でも、全然足りない人でも同様に貸せるというような形に現状なっていますので、それが適切なのかどうか、お考えをお聞きしたい。あるいは御検討なされているかをお聞きしたいのが1点目。
 それから、私が先ほど第一種と第二種が区別されている印象があると申し上げたところからもくる質問なのですが、これはデータの問題なので、この場で答えられなければ後ほどでも結構ですが、第二種の12万円、通常の一般的な学部等での12万円を満額借りている者と、二種だけ単独で借りている者と一種と併給で借りている者、この両者の間の延滞率の違いや、あるいはそれを文系と理系で区別できればもっと良いと思うのです。
 なぜそれを言うのかというと、国立大学以外は基本的に文系と理系で学費が全然違いますので、理系ではある程度高くても、それが必要なのかなと。あるいは在学中の金額も実験等、特には工学系でしょうけれども、実験器具等かなり掛かるケースがあります。一方それに対して私立文系で、そこまでのものが必要かどうかということもあります。ただ、前提として、特に延滞等が問題になっていないというのであれば、考えなくてもいいのかもしれないとも思いますので、そうしたデータがあるのかどうかというようなことについて、2点目として教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【渡辺学生・留学生課長】  まず第1点でございます。真に必要な者に対する貸与、これは来年度の概算要求におきましても、下村大臣の御指示のもとで、有利子から無利子へということで、現在、有利子から無利子事業の方にシフトするような概算要求を行っております。そうした中で、極力第一種のほうにシフトしていきたいというのが我々の考えであります。
 そうした中で、御指摘の併給者の存在、それから上乗せ、これはあくまで併給する場合の上限が12万円ということで、実際は12万円借りている方、率としては必ずしもそんなに多くないのですけれども、2番目のデータと合わせてデータとして提出したいと思います。
 御質問の、最終的に1人当たりにお貸しする金額についての上限が必要ではないかという御指摘であります。確かに現在、私立の自宅外で無利子8万8,000円、プラス有利子の12万円、足しますと毎月20万円を超える金額になります。ただ、御本人が自宅外で、一人でお住まいになって、なおかつ授業料についても賄うということを考えた場合には、これが年間240万円になりますので、私立の理系であればかなり高い数字になります。そうした場合には、恐らくそれに加えてアルバイトもしなければ、その人は就学できない状態になります。
 したがいまして、そうした方々に対しても、現在の状況においては就学の機会を与えるということで金額を設定させていただいております。
 それから、学部4年間だけでなくて、加えて大学院の修士、博士まで行って、全てを奨学金だけで賄おうとすると莫大な金額になりますので、現在、文科省でも経済的な支援の在り方について検討会をまさに今、立ち上げて検討を行っていますので、最終的に一体どこまでお貸しするのが奨学金の事業として適切であるのかということについては少し掘り下げて議論していきたいと思います。

【浅羽臨時委員】  今の点でちょっといいですか。

【梅里分科会長代理】  どうぞ。

【浅羽臨時委員】  今、私立理系の話をサンプルとしてお話しいただいたのですけれども、私は、私立理系の学生をもっと削れとか、あるいはもう少し低くてもいいと言いたいのではなくて、自宅で、かつ私立文系で、それに対して一種プラス最大12万円といったような形が果たして適正なものなのだろうかというようなことで、私立理系はある程度基準としてこれぐらい、もっと必要かもしれないですけれども、それに対して自宅、国立文系とか、自宅、私立文系で12万円上乗せすることが果たしていいのかどうか。
 このような場で申すことではないのかもしれないのですが、確かに12万円、実際私も奨学金の面接、あるいは取りまとめの責任者をやっていますので、どれぐらいの率いるかというのは実感として分かります、そんなに多くはないというのは。ただ、その多くないケースにおいて何が起こっているのかということで、将来の延滞につながるのではないのかと私は非常に危惧しております。
 とりわけ自宅、一種二種併給で、所得が結構低い、最大12万円上乗せしているような学生がどういった行動をしているのだろうか。大学院まで行かなくて学部で卒業するのであってもすごく危惧していて、そういう学生に対してそこまで借りられるから借りていて、そのお金が果たしてちゃんと学費だけで行っているのかどうか。これは本人の問題と言ってしまえば、それまでなのですけれども、適正な金額なのかどうか、ほかに回せてしまうぐらいの金額になっていないのかどうかというような認識がありまして、それで何か検討できないのかというような質問をさせていただいたのです。

【渡辺学生・留学生課長】  もちろん、これはあくまで上限であって、そのまま貸すということではなくて、あくまでも御本人が無利子奨学金に加えて有利子を選択する場合には、金額として3万円から12万円の間でお借りになるということですけれども、今、私の手元に国公立で、自宅で有利子と併給している方がどういった分布で借りているかという数字がないものですから正確にお答えできないのですが、御指摘の点よく分かりますので、そのあたりの正確なデータも含め調べてみたいと思います。

【浅羽臨時委員】  どうぞよろしくお願いします。

【田中学生・留学生課課長補佐】  延滞率のほうですけれども、これも手元に資料がないので後ほどの御回答になってしまうのですが、ちょっと参考までにお話させていただきます。既に十分御案内のこととは思いますけれども、学生の適格認定をする際に奨学金を含めた収支差が大きな奨学生に対しては、学校が、その額で本当に妥当なのか、の指導をしているものでございます。指導を受けた上で、やっぱり必要だ、あるいは、そのような指導を受けるのだったらもう少し奨学金を削って、アルバイトなりほかの手当てで財源を、ということは文科省としても、あるいはJASSOとしても指導をしっかりしているところでございます。

【浅羽臨時委員】  今のお話でいいですか。まず、アルバイトに関しましては、大学の側として、そんなに強く勧められません。やはり学業中心で、夏休み等でないとだめだというのが前提です。
 それと、私どもとして借り過ぎではないのかということは、併給に限らず、そもそも第一種を借りる段階から大丈夫かというのは言っていて、その上で申請してきます。でも、そこから先、何に使うかまでは言えませんし、一定の基準がクリアぎりぎりであっても、それはクリアしていれば、もう何もできない。大学等で枠が余っていればということですけどね。枠がぎりぎりなら別ですけど、昨今の事情から言いますと、特に二種のほうは比較的枠は余裕があるケースが多いと思います。そういった中での質問だというように理解していただければと思います。
 詳しくは資料をまたいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【田中学生・留学生課課長補佐】  はい。

【梅里分科会長代理】  浅羽委員、よろしいですか。
 では、森泉委員。

【森泉委員】  浅羽委員の質問の延長上にもあると思いますし、真に奨学金を必要とする者への支援というところから発するものですけれども、今日は、そこの点には余り触れられておりませんでしたが、適格認定についてのことでございます。
 不適切な認定が行われたということを文科省で調査されたようですけれども、5%弱不適切なケースが認められたということで、それに対して見直し当初案において、厳格な適格認定の実施を図るとおっしゃっておりますが、まず厳格な認定とはどういうものか。いただいた御回答のところから見ますと、今までのことを一層周知するというように端的にお答えいただいたのですけれども、周知だけでは5%弱の不適格な認定の件は改善されないのではないかということに危惧いたします。
 厳格な認定というのをもう少し具体的に、周知だけではなくどのようなことをお考えであるかということと、時系列的に調査なさったかどうかをお聞きしたい。すなわち、毎年なさっているかどうか分からないのですが、何度も不適切な認定が行われているような大学に関しては奨学金の採用数を減らすとか、公表を行うとか、そのようなある種のペナルティーも必要ではないか。
 今、浅羽委員が実際に携わっていらっしゃって、学生と対応したことでいろんな御疑念もおありのようでしたけれども、大学でも適格認定の審査が難しいということであるならば、それに対する処置、そういうことをお聞きしたいと思います。

【渡辺学生・留学生課長】  お答えいたします。現行の適格認定でございますが、廃止、停止、警告、激励、継続、5段階ありまして、そのうち御指摘ありました点についてはちょうど真ん中の警告、警告が一歩進めば停止とか廃止になっていくのですけれども、一昨年度、警告ということでJASSOに報告が上がってきた案件について、JASSOがもう一回精査したところ、警告とされた約1万2,000件のうち500件ほどが実は停止状態であるということが分かったものですから、それに対しては大学において適切に判断なされていなかったということで指摘させていただいたものです。
 ただ、その確認は一昨年度行っていることで、昨年度分については現在まさに確認中でございます。したがいまして、昨年度分についての適格認定がどの程度適切に行われたかというのは、もう少し時間をいただければデータとしてお示しできると思います。
 したがいまして、一昨年度分について行ったものが、JASSOが各大学の適格認定について確認した初めてのものということですので、それに対しては、JASSOから各大学に対して適切に適格認定が行われていたところはいいのですけれども、行われていなかったところに対しては、具体的に何が良くなかったかということを全部通知で示しているところです。
 これは、まだ1回しかやっていないものですから、昨年度分について、今回やっているものに対して、JASSOが作った基準がどの程度きちんと守られているかどうかというのを確認します。
 今、JASSOのほうでは、現行の適格認定の手続について、5%正確でないものがあったということであれば、より具体的に基準を見直して、本当に警告なり、廃止、停止ということができるように見直しを行っています。
 最終的に、ペナルティーとしてその大学を公表するかどうかというところなのですけれども、一昨年度分については昨年度に大学に対して指摘しています。今年度もまた同じような適切な認定をしていないことがあれば、公表することが果たしていいのかどうかというのはあるのですけれども、単純に文書で通知ということではなくて、具体的な指導をしていくとともに、適格認定が本当に適切にできるように必要な改善は継続して行いたいと思っています。
 間もなく昨年度分の適格認定の結果が出ますので、それを踏まえながら、また必要な対応を行っていきたいと思っています。

【森泉委員】  この調査に関しては、今後、毎年おやりになる予定ですか。

【渡辺学生・留学生課長】  やります。

【田中学生・留学生課課長補佐】  平成23年度については警告文のみ調べておるのですけれども、24年度、先ほど御説明しました今やっている適格認定の調査については、警告だけでなくて、一つ前の段階の激励のところまで多少広げて調べているところでございます。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。

【森泉委員】  はい。

【梅里分科会長代理】  ほかにございますか。有信委員。

【有信臨時委員】  回収策について、審議官からは債権の種類ごとに対応するとか、本文中にはサービサーを利用するとか、様々な対策を言っておられましたけども、具体的に回収目標、目標額とか、回収率の目標値というのを設定されておられれば、それを教えていただきたい。

【渡辺学生・留学生課長】  今期については、最終的に全ての回収率82.1%。来期については現在検討しておりますが、少なくとも現状の回収率よりも高い数字。現在、延滞者の動向等を確認しておりますと、3か月未満債権と3か月を超える債権というところで随分差がございます。今、全体としては延滞者の数が増えているのですけども、3か月を超えるような債権の数については減っています。
 したがいまして、当該年度に新しく返還を開始する方の回収率、それと日本育英会時代から継続して10年以上になるような方の回収率というのは、まとめて計算してしまうと正確でないと思われるので、それについては区別して、特に回収を強化しているときの回収率と過去の分がどのように乖離があるのかということも含めて設定したいと考えています。

【有信臨時委員】  ありがとうございます。

【田中学生・留学生課課長補佐】  すみません、少し補足でございますが、現行中期目標期間中でございますが、一応、目標として82.0%というのを設定させていただいているところであります。

【梅里分科会長代理】  梶川委員、どうぞ。

【梶川臨時委員】  直接この見直し当初案にお書きになられている話ではないのですけど、機関保証についてお聞きしたいと思います。機構に伺ったときも質問させていただいたのですが、機関保証の枠組みなのですけれど、基本的に公益財団法人でいらっしゃるし、収支相償を前提として財団法人としては成立していると思うのですが、こういう保証業務という基本的にある意味ではリスクキャピタルが必要な業務を公益財団法人という組織で行われることが、所轄官庁としてどのように見られていらっしゃるのでしょうか。運営上なかなか難しさがおありになるのではないかと思うのですけれども、この点について少しお聞かせ願えればと思います。
 また、少し違う制度的な立て付けというのも何か御検討される余地はないのかという部分で、より民間との協力であったり、逆に言えば機関保証自身を内製化してしまうというようなこともあり得るのかなという気がいたします。
 一番危惧するのは、これは、あくまでも財団自身の将来予測に基づく収支の話ですから、財政的に厳しくなった折に閉じた世界でやる場合には、保証料なども含めて少し難しさが出てくる、奨学金を借りる方の負担が少し不公平になってくることも考えられますので、そういったことを含めて少し教えていただければと思います。

【渡辺学生・留学生課長】  現状は、御指摘のとおり、機関保証については公益財団法人で行っております。そもそも機関保証を導入する際に、より低廉な保証料でサービスできるような公益法人が行うことが有効であるという御指摘が国会審議においても行われたという経緯がございます。そうした中で、御指摘のとおり、今、収支相償ということで行っておりますし、前回、7月に議論した際にも財務諸表上で債務超過になっているという御指摘もいただきました。
 他方で、財務諸表上、債務保証の損失引当金とか、求償権の償却引当金というのをかなり高い率で設定しているために、実際のキャッシュフローとは異なった形で財務諸表に出ているので、そういった面から御覧になるとどうしても債務超過というように見えてしまいますけども、キャッシュとしての健全性については、毎年、JASSOにおいて健全性について検討する会議を設けております。そこで外部のコンサルタントにも委託して、それが本当に適正であるかということについても確認しております。
 そうした中で、現在の水準、0.7%以下の保証料率で行っていく上においては、現在のスタイルでも今後少なくとも25年程度は問題ないということで、これは昨年度確認しています。これは毎年度確認いたします。
 以前にも住宅金融公庫関係の話も伺いましたけども、毎年度の実際の債務保証の実施の状況等も加味しながら、健全性については確認していきたいと考えておりますので、現状においては、現在の体制の中で大丈夫ではないかと我々は考えております。

【梶川臨時委員】  おっしゃられることは理解できますが、これはキャッシュフローの問題ではなくて、将来予測を含まれる収支ですので、むしろ貸借対照表のほうが重要な財務情報で、結局、見積もりで大体決まってくることなのですけれども、これを公益財団法人という形で閉じた中でおやりになるくらいであれば、別に機構本体でやられても、それほど違いはない話に近いものでございますから、機会があれば一度御検討いただければと思います。

【梅里分科会長代理】  御検討いただけますか。

【渡辺学生・留学生課長】  そうしますと、機構本体の中で見るということは、求償権は当然行使するわけなのですけども、どの段階で保証のほうから支払ってもらうのか。現在、かなり厳格に運用されておりまして、結局、機関保証が増えてくると、機関保証の財源というのは奨学生御本人が負担しているわけですので、JASSOが回収をサボって、機関保証のほうから回収すればいいやとなってしまうと、最終的には奨学生御本人の保証料率が上がっていくことにもなりかねませんので、そのあたりも加味して、本当に公平性の観点からどういった制度が適切であるのかということについては、JASSOが毎年検証を行っていますので、そういった場で継続的に検討は行っていきたいと思います。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。

【梶川臨時委員】  今ここで議論しても難しいので。

【梅里分科会長代理】  それでは、時間の都合もありますので、日本学生支援機構につきましては、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、説明者の皆様は御退席いただいて結構でございます。

(説明者等入替え)

【梅里分科会長代理】  次に、国立高等専門学校機構について、引き続き御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もありますので、5分程度で御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【常盤大臣官房審議官】  それでは、資料に基づいて私のほうから御説明いたします。
 国立高等専門学校機構につきまして、この右下で言いますと2ページになろうかと思います。2ページ目のところで国立高等専門学校機構の現状と課題ということを示してございます。
 まず(1)の部分でございますけれども、高等専門学校は、制度創設以来50年の間、地域や産業界のニーズに合った実践的な職業教育を行い、我が国の製造業を支える優れた技術者を育成してまいりました。高い求人倍率、あるいは良好な就職状況、こういう状況を維持しております。
 高等専門学校教育、あるいは卒業生に対する産業界からの評価も極めて高いものがございます。また、海外からも高い評価を得ているところでございます。最近でも、ここに書いてございませんけれども、産業競争力会議などでも、高等専門学校の拡充が提案されるなど、各方面から多くの期待が寄せられていると考えてございます。
 (2)でございますけれども、このように優れた実績を上げて、高い評価を受けている高等専門学校ではございますが、やはり近年、急速なグローバル化に伴いまして産業構造、就業構造の変化、科学技術の高度化によりまして、海外の生産拠点でリーダーシップをとって活躍できる技術者、あるいはイノベーション創出に貢献できる技術者等、新たな人材育成ニーズに柔軟に対応していく必要があると考えてございます。
 (3)でございますけれども、第2期中期目標期間中において高専機構といたしましては、モデルコアカリキュラムの策定、導入や学科等教育組織の再編など、様々な教育改革に取り組んでまいりました。第3期中期目標期間におきましても、高専教育の充実、高度化に向けまして、高専機構がリーダーシップを発揮して、全国51校の国立高等専門学校の個性を生かした教育改革を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
 事務・事業の見直しにつきましては、ここの下のほうに書いてございますけれども、五つの丸がございます。一つ目の丸のところでございますけれども、やはり中長期的視点のもとに産業構造の変化等に対応した教育を行うという観点から、新分野への対応も視野に入れた学科再編等を行うということでございます。本年6月に閣議決定されました日本再興戦略におきましても、高等専門学校については、地域や産業界との連携を深めつつ、社会や企業のニーズを踏まえた学科再編などを促進すると記載されているところでございます。
 二つ目の丸でございますが、全高専が利用できる教材の共有化を進めるとともに、学生の主体的な学びを実現するICT教育環境を整備することによりまして、モデルコアカリキュラムの導入加速化と質保証を推進するということでございます。モデルコアカリキュラムにつきましては、第2期中期目標期間中に作成したわけでございます。それぞれ分野や到達目標に対する教材等の教育資源の整理・集積を図りますとともに、あわせて学習到達度を管理するポートフォリオシステムであるとか、アクティブ・ラーニング環境の整備というようなことを考えてまいりたいということでございます。
 三つ目の丸でございますが、海外の教育機関との相互交流を推進するとともに、優れたグローバルエンジニアを養成するためのモデル校を開発、実施、検証するということでございます。先ほども申しましたように、やはりグローバル化への対応ということは非常に重要な局面に入っておりますので、英語力、あるいは国際コミュニケーション力の向上を図りますとともに、学生や教員が海外の連携校等との交流を進めまして、英語によるカリキュラムの開発、あるいは教育環境の整備等によりまして、海外からの留学生、教員を重点的に受け入れまして、グローバル化への対応ということを検討、実施してまいりたいということでございます。
 四つ目でございますが、積極的な広報、入試方法の改善及び学生寮の整備等を推進することによりまして、優秀な入学者を獲得するということでございます。
 五つ目でございます。従来より実施してまいりました耐震化に加えまして、PCB汚染物の廃棄処理等、安心・安全な教育研究環境の確保、それから、産業構造の変化、技術の進展に対応できる教育環境の充実ということでございます。高専の耐震化につきましては、現在、約97%まで実施しているわけでございますので、平成27年度を目途に完了させるということを考えてございます。
 2の組織の見直しでございますけれども、理事長のリーダーシップを発揮できるよう本部の業務及び組織体制を改善し、ガバナンスを強化するということでございます。
 高専機構における法人運営及び学校運営を円滑に行うため、迅速かつ責任ある意思決定を行うことができるよう、機構内に設置されております各種運営委員会を課題に応じて機動的に編成するなど、業務や組織見直しを図るとともに、スケールメリットを生かした戦略的、かつ計画的な資源配分を行ってまいりたいと考えております。
 三つ目の運営の効率化及び自律化ということでございますけれども、一つは、全高専を通じた共通の教育基盤を構築するとともに、技術科学大学等との連携を強化したいということでございます。先ほどポートフォリオシステムということを申しましたけれども、共通の教育研究基盤を整備いたしまして、高等専門学校の教育環境を効率化、高度化するということ。そして、長岡と豊橋の両技術科学大学等との連携を深めまして、高専の教育研究活動の活性化、教育の質の向上を図りたいということがございます。
 二つ目の丸のところでございますけれども、産業界や地方公共団体等の連携を強化し、共同研究、受託研究等を推進することによりまして、国立高専の持つ知的資源等の社会的活用・発展するとともに、外部資金の獲得に努めてまいりたい。産学官連携の一層の推進を図って、共同研究、受託研究、寄附金、科学研究費補助金などの外部資金の獲得によりまして、自己収入の増加を図りたいということでございます。
 以上、今申し述べてまいりましたように、事務・事業の見直しを実施することで、国立高等専門学校機構といたしましては第3期中期目標期間において、地域や産業界のニーズに応える優れた実践的、創造的技術者の育成機関として、更に発展を図りたいと考えております。
 以上でございます。

【梅里分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました国立高等専門学校機構の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでも発言をお願いいたします。梶川委員、どうぞ。

【梶川臨時委員】  今、御説明いただいている部分と少し重複するような形になるのでございますけれど、高専設立以来随分時間が経つ中でいろいろ見直しを行われてきているとは思うのです。あえてお聞きしますけれども、社会的ニーズとか、地域のニーズの変化の中で、高専のミッションというのもかなり大きく移り変わられていると思うのですが、現在における工業系の大学であったり、工業高校であったりとは違う、こちらのミッションというのをもう一度少し具体的に教えていただければなと思うのですけれども、よろしくお願いいたします。

【内藤高等教育局専門教育課長】  専門教育課長の内藤と申します。それでは、お答えいたします。
 まず、ミッションでございますけれども、大きなミッションについては、高専機構法のほうで書かれてございます。職業に必要な実践的、かつ専門的な知識及び技術を有する創造的な人材を育成するとともに、我が国の高等教育の水準の向上と均衡ある発展を図るという基本的なミッションを持ってございまして、この基本的な部分については、これまでの社会の変化にかかわらず、大きく変わるものではないと考えてございます。
 一方で、今、工学部、それから工業系の高校と言われました。まず、工学部、工業系についてでございますけれども、政府として経済成長の原動力というのは、理工系の人材育成について20〜30年後の経済社会の姿を見通した戦略を作ることが必要であるというようなことを考えてございまして、先般出ました日本再興戦略においても、そのような戦略作りが言われてございます。この再興戦略の中でも、高等専門学校について学科の再編等について検討するように言われておりまして、改めて理工系人材という大きな中での重要な役割を担うと考えてございます。
 それでは、通常の6・3・3・4制の学校との関連でございますが、こちらにつきましても、教育振興基本計画というのが6月に閣議決定されたのですけれども、ここの中で6・3・3・4制の在り方というのが非常に大きな検討課題になってございます。この6・3・3・4制の在り方とあわせて、中学卒業後からの5年一貫の特色ある専門教育により、すぐれた物づくり人材の養成を行う高等専門学校について機能強化を図る必要があるとされておりまして、一つは、理工系人材自体を底上げしていく必要がある。もう一つは6・3・3・4制という通常のルートとは違う、高等専門学校について改めて着目していく必要がある。
   これは、当然、政府として検討を進めなければいけないわけでございますが、そうした新たな要請を各高専、もしくは高専機構としてどう捉えて、それは産業のニーズ、社会のニーズを踏まえて、高専自ら変わらなければならないということでもありますので、こちらの教育研究の充実も、政府の検討を待つまでもなく、やっていただく必要があると考えてございます。

【梅里分科会長代理】  梶川委員、どうぞ。

【梶川臨時委員】  そういう意味で、ミッションという点で言えば、今言われた教育振興基本計画ですか、こういった6・3・3・4制の在り方というところの一つの意見の出方によって、高専の在り方というのも非常に影響を受けるという形でしょうか。

【内藤高等教育局専門教育課長】  今、高校と中学を一つにした中等教育学校というのは既に制度としてあるのですけれども、小学校と中学校をくっつけるとか、6・3・3・4自体のくくりをどう考えるのかということが改めて議論になっておりますが、50年前から6・3・3・4制の例外として仕組みができているのが、この高専制度でございますので、その役割について、改めてこういった議論の中で着目され改めて高専の在り方について意見が出る可能性はございます。

【梶川臨時委員】  ありがとうございました。

【梅里分科会長代理】  では、森泉委員。

【森泉委員】  今日御説明いただいたところにもうたわれておるのですが、この高専は高度成長期の頃に、そういう産業構造、就業構造のもとで各都道府県に1校以上作られてきたと理解しております。
 先ほどから御説明いただいているように、今は産業構造が変化して、当然、就業構造が変化して、グローバリゼーションに対応するとおっしゃいましたけれども、逆のグローバル化もあって、就業機会が失われるみたいなグローバル化も当然あるわけですね。
 そういう状況において、学校の配置の在り方を見直すとおっしゃっていらっしゃるのですけど、やはり印象としましては、都道府県のところに幾つかあったりという感じで、もう少しスピードアップしたほうがいいのではなかろうかという気はいたします。
 それはなぜかといいますと、今、高い求人倍率と就職状況は良いとおっしゃっていましたけれども、今、私が申し上げたようにグローバル化というもののマイナスの面もあるわけです。その面を考えますと、こういう状況が今後10年、20年続くかどうかというのは全く予測できないわけですから、そういうことを考えますと、こちらももうちょっとスリムになっておいたほうがいいのではないかという気がいたします。
 機構本部がイニシアティブをとって、リーダーシップを発揮してとおっしゃいましたけど、たしか平成21年度にも高度化再編を1回おやりになった。そうしますと、基準のようなものはもう既にでき上がっていて、あとは機構本部がリーダーシップを発揮しておやりになればいいということなのでしょうか。テンポに関してお聞きしたいと思います。

【内藤高等教育局専門教育課長】  御指摘のように、非常に急速な社会状況、産業構造の変化に対応した高専の在り方の見直しというのは非常に重要な部分だと思ってございます。昨年の4月に高専本部として、今後の国立高等専門学校の在り方についてまとめてございます。例えば、求められる能力も変わってきておりまして、単に知識だけじゃなくて、それを使うようなエンジニアリングデザイン能力、こういったものを目的とした教育内容の充実を図る必要があるのではないか。それから、御指摘のような社会・産業ニーズへの対応を目的とした学科等の教育組織の再編、国際的に活躍できるようなグローバル化への対応、地域産業への貢献についての、高専の今後の方向性、具体的な事例、各高専で既に取り組んでいるような事例、こういったものを各高専に示しているところでございます。
 こういったものをもとに各高専において地域社会や産業界のニーズを踏まえた、教育の内容の見直しももちろんですけれども、例えば、学科の見直し、化学分野がない地域について化学分野を作るというような取組をやっている高専も既に出てきてございます。このような積極的な見直しを進めてまいりたいと思っております。
 高専機構としては、そういった方向性というか、観点を示した上で、各高専のほうで実際の地域社会や産業界のニーズを踏まえて具体的な教育の高度化、研究の高度化が図れるような状況を検討していただくような方向で進めてまいりたいと思ってございます。

【森泉委員】  平成21年度に4校を再編したわけですね。その時基準をお作りになって再編なさったと思うのですけども、その基準は、今回は見直しされたのでしょうか。例えば山口県とか福岡に複数あるのは、どのようにお考えなのでしょうか。
 要するに、今までのように各高専に任せておいて自主的というのはなかなか難しいと思うので、機構本部が、かなり強力なイニシアティブをとって行わないと、それはなかなか難しいのではないかと思うのです。その辺はいかがでしょうか。

【内藤高等教育局専門教育課長】  平成21年の場合は、厳密には基準という形ではないのですけれども、高専機構の理事長から各校長に近年の産業構造の高度化、学生のニーズの多様化、15歳人口の減少、高等教育のユニバーサル化、こういった様々な課題への対応が必要だという認識をお示しした上で、他高専との再編、高専内の学科再編、地域連携の推進といったものについて、各高専において自主的な検討を要請した。観点をお示しした上で検討を要請したという形になってございます。
 この大きな観点については、先ほど申し上げた基本的な高専の在り方について、基本的な方向性は同じですけれども、より詳細に具体的に示してあると考えてございます。
 各高専においては、これを踏まえて、例えば2高専を統合する場合に、こういった教育資源の集約によって得られるシナジー効果というのがあるわけですけれども、それから、教員、学生の相互交流によるメリット。一方で、一人の校長が複数のキャンパスを管理することによる校務管理上の課題、例えば、その場合は距離とか移動時間というのが問題になってきますけれども、そういったものについて検討を行い、平成21年度のときは別に8高専だけにお願いしたわけではないわけですが、そういったシナジー効果等のメリットを踏まえれば、課題を乗り越えても進める必要があるということで、8から4高専への再編統合を進めてきたところでございます。
 このような考え方で引き続きほかの高専にも、例えばそういった再編等も含めた教育内容の高度化によるメリット、それから、課題を乗り越える方法等について引き続き検討を進めていただきたいと考えているところでございますけれども、一方で、4校の高度化再編を行った際には、国会のほうから高度化再編に当たっては、各地域のニーズや入学志願者の動向、卒業生の進路等を踏まえ、個々の高専の自主性、自立性、教職員間の議論に基づく学内合意を十分尊重し、教育研究の個性化、活性化、高度化がより一層進展するよう配慮するというようなことを附帯決議で言われているところでございますので、それに沿って十分な議論を踏まえた上で、より良いものとなるような検討をしていただければと思ってございます。

【森泉委員】  もう一度付け加えますけども、本部がもう少し強力なイニシアティブをとらないと、再編はなかなか難しいのではないかと思います。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。

【内藤高等教育局専門教育課長】  法人本部としましては、先ほど申し上げました今後の国立高専の在り方についての趣旨を十分に各高専のほうに御説明していきたいと思っているところでございます。

【梅里分科会長代理】  ほかには何かございますでしょうか。では、浅羽委員。

【浅羽臨時委員】  商船高専の就職の問題について御意見を賜ればと思います。
 これまでもヒアリングの際などで、海洋基本計画等いろいろと教えていただきました。その中で日本人外航船員を増やしていく、1.5倍増やす。あるいは内航船員も不足しているので、そこも大切である。それぞれ理解しているつもりではいるのですけれども、事務局を通じていただいたデータを拝見させていただきますと、外航船員が最も大事なのかもしれないですが、内航の船員も含めて考えてみましても、船員に就職している人の比率が、年によってアップダウンがあるのは仕方ないと思うのですけれども、6割〜7割ぐらい、ざっくり言えば3分の2ぐらいかなというような感じで推移していると認識しているのですが、まず、この水準というものをどのように評価されているのか。
 その評価に対してですけれども、何となく私は十分ではないという認識を持っているのですが、だとしたら、どうすればいいのか。あるいは、もうこれで十分であって、このようになっているので何の問題もないですというのであれば、二つ目は必要ないですけれども、もしも国策等とも絡めて、もうちょっと引き上げる必要があるということであれば、どう具体的に方策として考えていらっしゃるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。

【内藤高等教育局専門教育課長】  商船学科の学生が就職する船舶の分野は外航船、内航船という2種類に加え、これは国交省さんの分類なのですけれども、カーフェリー・旅客船を合わせて、御指摘のように7割ぐらいの商船学科の卒業生の就職の状況になってございます。
 これについて、まずどう考えるかなんですけど、商船学科へ、今申し上げたような船の3分野については、卒業生大体170人に対して384人の求人があるところなのです。しかしながら、それ以外の分野も含めた全体の求人数は2,139人ございます。高専卒業生には非常に多くの求人がある中で、学生に対してそのほかの道もかなり示されているわけでございまして、船員としての求人が全体の2割程度であるのに、就職を希望する学生の7割が船員として就職している状況でございます。
 では、その7割で十分かどうかというのは、もちろん政府の海洋基本計画の外航船員1.5倍にしなければいけないというような要請がございますので、船員として必要な高度専門職業人としての知識を身につけさせているわけでございますので、学生が船員としてのキャリアにより関心を持つようなキャリア教育に力を入れる必要はあると考えてございまして、実際に例えば五つの高専で共通の教材を使ったり、船員組合にお願いして奨学金制度を設けたりとか、今後、外航船社等を含めた連携・協力が非常に重要だというような指摘も国交省の委員会のほうでいただいておりますので、そういった取組も進めてまいろうと思っているところでございます。
 また、今、7割と申し上げましたけれども、残りの3割についても海運に関わる仕事についている者も一部ございまして、つまり、高度専門職業人としての商船教育を受けた人間の進路として、完全に船員だけに絞り切ってしまうというのもなかなか難しいのかなと思ってございますが、先ほど申し上げましたようなキャリア教育には力を入れてまいりたいと考えてございます。

【梅里分科会長代理】  梶川委員。

【梶川臨時委員】  先ほどの森泉委員のお話に少し戻るのでございますけれども、先ほど本部機能のお話が出たのですが、見直し当初案でも理事長のリーダーシップを発揮できるよう本部の業務及び組織体制を改善し、ガバナンスを強化するということなのですけれども、見直しの観点を示して自主的に各高専に見直しを依頼するというような御説明などもあったのですが、本部機能が本当に強化されているのか。理事長のリーダーシップ、組織の長のリーダーシップというものは、組織再編の権限そのものだと思うのですね。この辺に関しまして、今回、見直し当初案に書かれた業務、組織体制、ガバナンス強化は、具体的に組織とか権限を動かされるということを含んでおられるのか、その辺を教えていただきたいのですけれども。

【内藤高等教育局専門教育課長】  ガバナンスの強化の中で、各高専での教育研究がいかに良くなるかというのは、各校長が一義的にいろいろ努力するべき話ではありますが、それを支援する、あるいは方向性をはっきり見せてあげるようなことはしなければいけないと思ってございます。
 例えば、その際どのようなことを考えているかというと、機構内に今も様々な委員会を設けてございます。例えば先ほどグローバル化が重要だというようなことを申し上げましたけれども、グローバル化については様々な課題に応じて特に力を入れなければいけないと思ってございますが、高専機構が優先的に取り組むべき課題として、例えば国際交流の推進強化などについて委員会等を設けて進める場合、機動的な再編成を行ったり、様々な教育改善を行う際に特異な学科、例えば化学系の学科を新たに作ったような取組について高専ごとの教員に対する研修活動、FD活動を、今まで本部の職員が中心になってやってきているところでございますが、高専の教職員の関わりをより強くして、高専と本部職員、特に優れた先進的な取組を行っているような高専の教員も一緒になって横断チームを編成し、教育内容の改善について検討を行ったりというようなことを進めてまいりたいと考えております。

【常盤大臣官房審議官】  少し補足しますが、先ほど御説明いたしましたように、平成21年度の再編のときにもイニシアティブは、高専機構の理事長のほうから考え方を示して、その上で各高専に検討させた。
 ただ、その際に、先ほど出ましたように国会での議論などでは、やはりイニシアティブも重要だし、一方で、各高専側の状況もいろいろ違うので、そういうところのくみ上げと両方が相まってということになると思いますので、その点は御理解いただきたいと思っております。

【梶川臨時委員】  その平成21年の時とこの中期目標期間での権限等について、少し立て付けを変化させるようなことはないのでしょうか。もちろん民間でも、内部組織単位を超えた再編等は、内部組織単位ではなかなか発想し切れないものであって、上位の意思決定機関において、当然、事情は踏まえた上ですが、お決めになる。事業部の中の再編ならいいのですけれども、事業部間を超えた組織の効率化などは、当然、トップマネジメントのほうでリーダーシップを、現実に権限等含めてとられると思うのですが、権限等の立て付けに変化がおありになるのかなということが、この目標に入っているのかということです。

【常盤大臣官房審議官】  ここに書いてあるのは、今、内藤課長が説明したとおりでございますけど、権限の立て付けとしては、先ほど申しましたように、平成21年の再編に向けても理事長にイニシアチブというのはあって、それと各高専側の議論とのかみ合わせの中でできているという、その立て付け自体は、基本的には継続されるものだと思います。
 今回の中期目標に書いてあるのは、基本的に先ほど内藤課長から御説明したとおりということでございます。

【梶川臨時委員】  分かりました。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。それでは、時間の都合もありますので、国立高等専門学校機構については、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日御説明をいただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、説明者の皆様方は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【梅里分科会長代理】  次に、大学評価・学位授与機構について、引き続き御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もありますので、5分程度でよろしくお願いいたします。

【常盤大臣官房審議官】  それでは、大学評価・学位授与機構について、御説明いたします。
 資料1ページ目の一番上のところでございます。大学評価・学位授与機構は、大学等の教育研究活動等の状況についての評価等を行うとともに、大学以外で行われる高等教育段階での様々な学習の成果を評価して学位の授与を行うことにより、我が国の高等教育の質の確保、多様な学習の成果が適切に評価されるための枠組みとして大きな役割を果たしているということでございます。
 2ページ目でございますけれども、第3期中期目標期間を迎えるに当たりまして、事務・事業の見直しの方向性として四つの基本方針を据えて取り組むこととしております。
 まず、基本方針の背景となる動きでございますけれども、左手のほうに記してございます平成22年に閣議決定されました独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針に即して、ここに記してございます。認証評価事業につきましては、機構及び民間認証評価機関からなる認証機関連絡協議会を設置いたしました。また、機構の評価手数料も民間認証評価機関に準じて引き上げるなどのイコールフィッティングを図っているところでございます。
 それから、二つ目に国立大学法人評価がございますけれども、民間の認証評価機関から機構の国立大学教育研究評価委員会の委員に就任していただくなどの参画を実施しております。  それから、三つ目の学位授与事業でございますけれども、省庁大学校の課程修了者に対する学位授与について国費を投入しない形での事業実施を実現しております。
 それから、調査研究事業の効率化やデータベースの廃止、事務所の集約化等もそれぞれ実施してございます。
 それから、政府の動きといたしまして、一つは、教育再生実行会議が今年の5月に第三次提言というものをまとめておりますが、その中でグローバル化や学び直しなど、大学の特色に応じた教育機能の強化を提言しているところでございます。
 閣議決定されました第2期教育振興基本計画でございますけれども、大学情報の積極的な発信、大学評価の改善、国際的な高等教育の質保証の体制や基盤強化ということが盛り込まれてございます。
 国際的な動向としましては、一つは、国境を越えた大学間交流や学生交流が活発に行われている中で、ユネスコやOECD、あるいは関係諸機関によりまして、質保証のための枠組みの構築というものが、今、国境を越えて進められている状況にございます。アジアにおきましてもASEAN諸国の枠組み構築など、質保証のための活動が積極的に行われております。
 こういう意味で、高等教育の質保証、各国共通の課題となっております。各国政府も枠組み構築に積極的に関与しているというような状況がございます。
 また、機構では、第3期中期目標期間を迎えるに当たりまして、機構自身が実施いたしました機構の外部検証というところでございますけれども、自己点検評価の結果を第三者によって検証するために産業界関係者などを含めました外部検証委員会の検証を受け、機構が行う業務の重要性とともに、戦略的、重点的に業務の充実・強化させることについての提言をいただいたところでございます。
 こうした背景を踏まえて、第3期中期目標期間に向けた事務・事業の見直しについて、四つの基本方針を掲げているところでございます。
 一つは、効率的な業務の実施ということで、我が国の高等教育の発展に資するため評価事業、学位授与事業、質保証連携事業の質を維持しつつ、不断に事務・事業の見直しを行うということ。
 二つ目、効果的に業務を展開するということでございます。国内外の学生移動に伴う単位、学位、資格等の相互認証及び質保証に係る国際通用性ということを視座に置きまして、戦略的な資源集中により実現したいと考えております。
 三つ目の質保証、国際通用性の向上に資する大学等連携業務を強化ということでございます。先ほど来申し述べておりますように、多様化、グローバル化する社会において我が国の高等教育の質向上を図るということが急務となってございます。
 四つ目、調査研究業務の一体的実施というところでございますけれども、国際的にも信頼される評価事業、学位授与事業、質保証連携事業の継続的な展開のために、それら事業の基盤となる調査研究業務を一体的に実施したいということでございます。
 次の3ページ目に進んでいただきたいと思います。この四つの方針を基にいたしまして、事業体系の再構築を図りたいということでございます。具体的には従来から行ってきている評価事業、学位授与事業に加えまして、近年重要性が高まっております質保証、国際通用性の向上に資する大学等連携業務を質保証連携事業と位置付けまして、機構が実施する事業3本柱として位置付けていきたいということでございます。
 評価事業におきましては、機構が認証評価において先導的な役割を果たせるよう留意しながら事業展開をする。国立大学法人評価が第3期を迎えるに当たりまして、効果的な実施を検討する。
 学位授与事業につきましては、学位の質を保証しつつ円滑な学位授与を実施する。
 質保証連携事業につきましては、後ほど申しますが、大学ポートレート事業など大学等の内部質保証支援、国内外の機関横断的な質保証業務、質保証に関わる人材育成などを実施する。
 調査研究については、今の三つの事業の基盤を提供するため、一体的に実施するということに留意したい。
 特に大学ポートレート事業でございますけれども、国内の大学全体の情報を提供する共通の仕組みを設けることによりまして、各大学の情報公表を促進するとともに、大学進学希望者の適切な進路選択の機会の確保や、大学教育全体の質の保証向上を図るというものでございます。
 諸外国におきましても、公的機関が大学情報データベースを運営しておりまして、我が国の高等教育の国際通用性を確保するためにも重要な事業であると位置付けてございます。
 最後、4ページ目でございますけれども、高等教育の質保証の観点から、機構の役割はますます重要になっていくものと認識しております。一般管理費や事業費、人件費についても削減を行ってきており、ぎりぎりの体制でありますけれども、新たな課題を受けとめつつ事業展開を図っているところであります。
 第3期中期目標期間における事務・事業の実施に向けては、本委員会の御意見も頂戴しながら、更に効果的な実施を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。

【梅里分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました大学評価・学位授与機構の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでも発言願います。浅羽委員、どうぞ。

【浅羽臨時委員】  御説明ありがとうございました。認証評価事業について質問させていただきたいと思います。
 本日の資料の中でも、認証評価に関しましては先導的な役割を果たされるというようなことがうたわれておりました。これは、もうまさにそうしていただきたいとに思います。
 ただ、先導的な役割という際に、これまでもいろいろヒアリングさせていただいて、議論等させていただいたのですけれども、その時にも伺ったことで、またしつこくて申し訳ないのですが、個別の大学の評価というのは、新しい第3期中期目標期間にも行うのかどうか。もし行うというのであれば、従来のような規模で行うのか。あるいは行わないようにしていくのであれば、それをどのようにして小さくしていくのか。あるいは先導的役割というのはもっと違う意味なのか。こういったところをまず教えていただきたいのですけれども。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】   この先導的役割でございますけれども、基本的には大学評価・学位授与機構が行う大学評価というのは、おっしゃるとおり先導的役割に収斂していくのだろう思っております。
 ただ、現時点では、我が国の認証評価制度自体の質をこれからまだ上げていかなければいけないということで、諸外国でも大学の評価というものは当然あるわけですけれども、そういった状況も当然研究しなければいけないし、そういったところとの連携も図りながらやっていかなければいけないということがございます。そういう面での機構の役割というのが一つあるということ。
 もう一つ、将来的には民間の評価機関がもっと大きなウエイトを占めていくべきだと思っています。そのために、例えば新たな評価機関を育成するとか、育てるとか、あるいは既存の評価機関が現状よりも多くの評価を行えるようにするとか、そういったことが必要だと思っていて、これまでも新たな団体を作ろうと検討しているところの御相談に応じたりとか、そういったことはしてきました。
 現時点では、新たに入ろうというところはなく、既存の機関についても、これまでもいろいろ意見交換してきましたけれども、やはりすぐに機構なしでやれるかというと、現状としてはそうではないというお話もいただいているところでございます。
 したがって、今、私が申し上げたような努力というのは、機構というより、我々として引き続きやっていかなければいけないと思っています。
 ただ、大学評価自体の質を高めるためには、最小限の評価をしつつ、それを検証し改善につなげていくということは、ある規模では必要なのだろうと思っております。

【浅羽臨時委員】  関連してよろしいでしょうか。

【梅里分科会長代理】  どうぞ。

【浅羽臨時委員】  今の関連で、二つ更に教えていただきたいのですが、一つはスケジュール感です。将来的にということでおっしゃられたのですけれども、やはり、ここは中期目標期間という設定の中での議論ですので、その辺りのスケジュール感を、今この場で何年というのは言えないと思いますが、何らかのスケジュール感はあってもいいのかなと思います。これが一つ。
 もう一つ、最小限という意味なのですけれども、先導的役割という場合に数の問題もあると思いますし、同時にどういう評価をするかも大事なのかなと考えております。例えば世界ランキングを目指すような大学の評価をある年にやったりとか、逆に定員割れで苦しんでいる大学を評価したりとか、今、国立が圧倒的に多いですけれども、地方の私学を何らかのものでピックアップできないかとか、どこかの認証機関にのるような形でとか、いろいろとアイデアはあると思います。そういったようなものも、今度の中期目標期間の中で考えていくというものもあるのかなと思っているのですが、その辺り、浅田課長、いかがでしょうか。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  まずスケジュール感につきましては、見通しが具体的に立てば、そういうことも言えるのですが、今の時点では、いつまでに必ずというめどがないので、まだその努力を当分の間続けますというのが率直なところでございます。
 それから、最小限、先導的な役割というのはおっしゃるとおりで、当然、ほかの評価機関にもよりますけれども、やはり基本的に機構が最も重視するべきなのは、どういうところの評価を機構として重視していくのか、そういった問題意識を持ってやるべきものであるとは思っています。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。では河井委員、どうぞ。

【河井臨時委員】  認証評価事業について分野別認証評価、特にロースクールの評価について、前回、ワーキング・グループヒアリングの際に、機構も赤字でやっているけども、民間でも赤字なんだと、多分、そんなお話があったかと思うのですが、文科省さんとして機構の赤字が継続していくことを是としているのか。それとも是としないのであれば、何らか対応策等を検討されておられるのかをお聞きしたいのです。
 というのは、まさに認証評価業務としてのリーダーとしてあるべき存在だという機構の位置付けからして、逆に機構のプライス水準が民間の経済活動で言うとプライスリーダー的な立場にあると思うので、そこが低いままで赤字が増えて、最後、国費で補填するという発想だと、恐らく民間団体としては、同じ競争状態でやる限り、そっちも赤字になるということになりかねない。一つの懸念で杞憂かもしれないのですけど、その点について、御説明いただきたいと思います。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  まず、分野別の認証評価の中でも法科大学院というのは、ほかと少し違ういろんな要請がございまして、現状としては、評価が重くなっているというのは事実でございます。そもそも大学全体を見ると、機関別に比べて分野別というのはより細かく見るのですけれども、その分野別の中でも法科大学院というのは、御存知のとおり、新たな法曹養成制度の一環として位置付けられたものですので、ほかの評価にはない項目がございます。例えば、入学生の多様性をどう確保するかとか、法学既修者・未修者、両方の受け入れ等あって、現状としては、ほかの評価に比べるとやや重いコストが掛かってしまっているということであります。
 したがって、今の時点で、これを全部手数料で賄うのができていないのは御指摘のとおりでございます。将来的には、基本的には手数料で賄える形になるのが望ましいと思っています。
 一方で、法曹養成制度自体、内閣にまた新たな組織もできて、引き続き見直しが続いていくということになっております。そちらの動向も見ながら考えていかなければいけないのですが、少なくともコストの削減や評価手数料の段階的な引き上げについては検討していかなければならないと思っています。

【河井臨時委員】  分かりました。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。では、森泉委員。

【森泉委員】  学位授与事業の中の単位積み上げ型についてお聞きしたいと思います。
 いただいた資料を見ますと、単位積み上げ型だけが依然として国費が7割ぐらい占めておるわけですね。さらに、その割合が平成26年の概算要求では3%ちょっと増加しているということなのですけれども、これの御努力はどの程度なされる予定なのでしょうか。御回答では、国費の負担割合の縮減に努めたいといただいたのですが、具体的なものが見えてこない。
 認定専攻科修了者に新たな審査方式を提示したということで、審査方式もいろいろ新しいことをなされているようなのですが、手続は確かに簡略化になったかもしれないのですけれども、この新たな審査方式によってどの程度費用が削減されるのかということをお聞きしたいということ。それから、先ほども申しましたように、平成26年度の概算要求が増えているということを少し危惧するのですが、削減目標みたいなものを設定して、目標に挙げることはできないのでしょうか。あるいは間接経費を節減するなどして、国費負担の割合を縮減するということはお考えではないのでしょうか。
 以上、お聞きいたします。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  まず、間接経費については、これまでもコスト削減の努力をしてきております。いろんな委員会の経費を削るとか、試験の会場を減らすなど、それを重ねてきているので、これ以上の縮減というのはなかなか難しいと思います。
 それから、認定専攻科修了者に対する新たな審査方式につきましては、おっしゃるとおり、これによって経費の削減というのはできると思っていますが、具体的に学習成果とか、小論文試験にかわる新しい審査方式の具体的な内容というのは今検討中でございますので、それによって具体的にどのぐらいの間接経費の削減ができるかというのは、今の時点では算出が難しいと思っています。
 そのために見直しの当初案では、今の時点で算出できるものということで、小論文試験の作題審査の直接経費の1,200万円のコスト削減、現時点では、それをお示しするにとどめているということでございます。
 それから、見直し当初案の学位授与事業の予算増でございますけれども、これは、公務員と同様に、給与臨時特例法の終了に伴うものが一つ。それから、学位審査体制の整備充実のために修士とか博士の審査担当委員を増員する分などでございます。物件費については、学位授与業務の支援システム経費の見直しで減ということにしておるところでございます。

【森泉委員】  個別のことは今のお話で分かったわけで、ある程度、審査の充実を図るために少し増えてきたということですが、具体的にもう少し全体としての目標みたいなものは挙げられないのでしょうか。今の段階では、まだ1,200万円程度の削減しか分かっていないということですが、もう少し具体的に目標をお立てになってやらないと、いつまでたっても国費の負担割合を減らすことができるかどうか、危惧いたします。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  そうですね。

【森泉委員】  御回答いただいた中には、こういうことをおやりになるということは、いろいろお書きになられているわけですが、それに伴ってコストの削減というのもあるのではないか。したがって、今の段階でどの程度削減できるかというのは推計できるのではないかと思うのですね。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  先程御説明させていただいたような状況や例えば審査手数料をどうするかについても、検討していきたいと思っていますけれども、例えば手数料一つとっても収支バランスだけではなく、目的とか、相手方から見たときの過度な負担にならないかとか、いろいろなことを考えなければならないと思っています。
 率直なところ、いろいろな観点から検討はしていきたいと思っていますけれども、今の時点で、具体的な削減目標をお示しするのは厳しいと思っています。

【梅里分科会長代理】  今の時点とは、ここではという意味ですか。少し検討して、そういったものを設定することは可能ですか。
 委員のほうからの質問は、そういうものを設定しないと節減が具体的に進まないのではないかという趣旨での質問ですけれども。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  今、この場で必ずというお約束はなかなか難しいですが、検討いたします。

【梅里分科会長代理】  ほかに。梶川委員、どうぞ。

【梶川臨時委員】  大学ポートレートについてお聞きしたいのですけれども、役員との懇談も含めて、実際にある程度、枠組みとしては大学コミュニティですか、こういったところの運営委員会で意思決定されるということをお聞きしたのですが、この大学コミュニティというのは、そもそもどういう機関でいらっしゃるのかということと、それから、運営を委託されるであろう機構との関係、責任分担のようなものをお聞かせ願いたいということ。
 もう一つ、責任分担によってどんな成果指標というか、そういうものを設定されるおつもりなのかという、その2点なのですけど。前段が予定、後ろのほうの成果指標というのは変わられると思うのですが。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  分かりました。まず、そもそも大学ポートレート、名前は仮称ですけれども、これ自体、国全体の大学に関する共通的なデータベースということで想定しています。実は、こういったものは大概の国で同じように整備されていまして、普通は国の費用負担で整備されているというのが通例でございます。そういうこともあって、今回、大学ポートレートの運営に掛かる経費については機構の運営費交付金として概算要求に盛り込んでいるということであります。
 大学ポートレートの運営体制ですけれども、これは、準備段階というところで検討中ですけれども、基本的な方向性としては、機構が事業の実施主体としての責任を持ちつつ、具体的にどのように運営していくかというところについては、幅広い大学関係者の参画を得て決定していく仕組みが適当であるということで議論が進んでいるということであります。
 もともと大学は公的機関ですから、各大学が説明責任を果たすという意味での情報提供に加えて、国全体として高等教育政策の観点から、大学全体の情報を一定の共通的な枠組みで集約して発信するようにしようというのが、この大学ポートレートであります。
 ただ、先程申し上げたように、具体的な運営方針、例えば共通的にどういう項目を載せるのか、そういったようなことについては大学関係者が自ら決めていく形が望ましいと思っていまして、そこでおっしゃる大学コミュニティというのが出てくるわけでございます。その大学コミュニティの関係者による運営委員会を作って、そこで基本的な運営方針を議論して、その方針のもとに機構が運営していく。そういう形が望ましいであろうと思っています。
 では、大学コミュニティって一体何かということでございますが、端的に言えば、例えば大学の団体とか、評価機関も含めてですが、大学の運営とか、教育研究とか、評価に直接関わる関係者のことでございます。そういった方々が主体的に基本的な運営方針を決めて、それに沿って運営していく。そういうイメージでございます。
 あとは成果指標ですが、いろいろ考え得ると思いますけど、例えば大学ポートレート、今、原則として参加は各大学にということになっていますが、我々、準備する側としては、当然、全大学の参加という形が望ましいと思って、そういう説明、働きかけもしております。
 だから、すごく単純なことですが、一つには大学の参加率というのが当然問われることになるだろうと思っています。あとは情報発信、あるいは情報の活用ということが大学ポートレートの機能として期待されていますけれども、例えば情報発信については、利用者、実際にこの情報を利用していただく方からのアンケート調査、例えばどういう方が使っているか、属性とか、利用目的とか、満足度とか、あるいはもっとこうしてほしいという要望とか、そういったものを継続的に調査していく必要があると思っています。
 そういったことをシステムの運用開始後に、状況を見ながら適切な目標設定をしていくことが必要と思っております。
 活用状況のほうは大学が対象ですけれども、これも継続的にアンケート調査的なものをやって、どういう目的で活用し、満足度がどうであったか。あるいは、こうしてほしいという要望がどうであるか。そういったことをとっていきつつ目標設定をして、更に高めていく、そういうことかなと思っています。

【梶川臨時委員】  今の御説明をお聞きしても、主体的にコミュニティがお考えになられるというところと機構が一義的には実施するのだという、その関係が聞いていてちょっとよく分からない。裁量権の問題であったり、コストを掛けるわけで、そのコスト自身の掛け方みたいなものは機構に責任があるのか。
 ただ、その大きな運営方針が出てしまうと、コストは自動的にある程度は制約されてしまうと思います。そういったことを含めて、指標も影響してくると思いますので、また追加的にお聞きできればということもあるとは思います。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  はい。

【梶川臨時委員】  一だけ、先ほど来ほかのことも含めて、目標について立てづらいというお話が多くあったのですけれども、独立行政法人の制度立て付けとしては、最初に主管部署から明確な目標をお示しにならないと、独立行政法人の行動の指針というのは非常に作りづらい話になられると思うので、少し無理な部分もおありだとは思うのですが、できれば中期目標の明確化というテーマは何とか御腐心していただければと、私、このワーキング・グループの主査として、そう思うところでございます。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  おっしゃることはよく分かります。検討努力をいたします。

【梅里分科会長代理】  それでは、大体よろしいでしょうか。時間の都合もありますので、大学評価・学位授与機構については、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。  本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な質問等できなかった委員がおられるかもしれません。その場合には後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、説明者の皆様方は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

【浅田高等教育局高等教育企画課長】  どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【梅里分科会長代理】  次に、国立大学財務・経営センターについて、引き続き御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もありますので、5分程度で御説明をお願いいたします。

【常盤大臣官房審議官】  それでは、資料に基づきまして御説明いたします。資料開いていただきまして、まず2ページ目のところで御説明をしたいと考えてございます。
 国立大学財務・経営センターでございますけれども、国立大学法人等の施設の整備等に必要な資金の貸付、交付、それから国立大学法人等の財務、経営に関する調査研究などの業務を行うことにより、国立大学法人等の教育研究環境の整備充実並びに財務及び経営の改善を図り、もって国立大学法人等における教育研究の振興に資することを目的とする機関でございます。
 第3期中期目標期間を迎えるに当たりまして、事務・事業見直しの方向性について御説明いたします。
 現在、実施しております主な事業といたしまして、施設費貸付事業、施設費交付事業がございます。この点につきまして、左側のほうに記してございますけれども、昨年度、平成24年度に財務省の理財局の実地監査、それから、会計検査院の実地検査におきまして、法人の事業について、ここに書いてあるとおり御指摘がなされたところでございます。
 財務省理財局からの指摘といたしましては、将来にわたって財政融資資金の償還確実性等を確保する観点から、現在行っている取組の精度を高める必要が認められるため、所要の検討・改善を求める。
 会計検査院の実地検査におきましては、施設費貸付事業については、貸付けの適否を十分に判断できる審査が実施できるよう、個々の附属病院や国立大学法人の収支状況等に即した適切な審査基準等を定めること。施設費交付事業については、同事業の趣旨に沿って、限られた財源の有効活用が図られるよう、国立大学法人等の自己収入等の獲得額の格差等を考慮した営繕事業費の配分方法について、本省と協議しつつ検討するとともに、今後の財源の見込みについて十分に検討すること。
 こうした状況も踏まえまして、第3期中期目標期間に向けた事務・事業の見直しについて、二つの方向性を掲げてございます。
 施設費貸付事業につきましては、貸付業務の充実ということで、国立大学附属病院の収支状況等、実態に即した審査基準の実施と、国立大学附属病院としての公的使命・役割をフォローアップする。審査機能の充実では、民間の金融機関と同様な審査体制の構築。国立大学附属病院としての公的使命・役割の在り方を検証する。
 施設費交付事業につきましては、交付業務の充実という観点から、安定的な交付財源の確保、資産規模や自己収入等の差異に影響されない支援の実施を行う。
 これらの方向性をもとに事務・事業の見直しを進めまして、ひいては国民の安心・安全につながるものとして施設費貸付事業、施設費交付事業のさらなる充実に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 説明は以上でございます。

【梅里分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました国立大学財務・経営センターの見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでも御発言お願いいたします。では、有信委員。

【有信臨時委員】  事業見直しの中で、二つの大きな方向性の中の施設費貸付事業の充実という点で、国立大学附属病院について随分規模の大きな貸付けが行われているということですが、現実的に今の国立大学病院の経営状況を見ると、経営状況そのものについては相当程度改善されているというか、実際には経営的には回るという状況に至っているケースがほとんどだと理解しています。
 そういう中で、貸付事業を続ける観点というと、2番目の公的使命・役割をフォローアップするという観点なのだろうと思うのですけども、実際に、それぞれの国立大学病院が、例えば自分たちの必要な資金を調達するに当たり、現実的に言うと、民間からの資金の借入れで回せるような状況に来ているような気もします。この辺について、本当に必要性をどういう基準で考えておられるかということについて、もう一度お聞かせいただければと思います。

【豊岡高等教育局国立大学法人支援課長】  、地域医療における特定機能病院、高度先進医療機関としての機能を維持・向上していく必要がある国立大学附属病院の施設設備の整備ということで、一般に大規模で多額の資金が必要になってまいります。
 したがいまして、御指摘のように、病院の診療収入というものがある程度大きくなっているというのはあるかと思いますが、こういう大規模整備を自己財源で賄うのは困難というのが実情と思ってございます。このために長期・低利・固定で、全大学が全国同一で資金調達が可能な財政融資資金からの借入は引き続き必要だと思ってございまして、この事業を継続していくことは、これからも必要と思ってございます。

【有信臨時委員】  もちろん、そういう地域についての役割、特定の先進医療を実施する役割というのは理解できるのだけど、現実的に言うと、国立大学附属病院というのは病床数から言って経営的には十分成り立つところがほとんどだと思うのですよ。
 そうすると、その地域にほかにも様々な中小の病院があって、そことの競争関係等々を考えたときに、大学病院に対して特別に優遇するというだけの、いわば先進医療なら先進医療についての具体的な方針というのがあってしかるべきだと思うのです。

【常盤大臣官房審議官】  そこは、まさに財政融資資金を活用し、長期・低利・固定で資金を投入していますので、委員のほうからもお話がありましたような、まさに公的使命をしっかりと遂行していくことが重要だと考えております。
 その中で、あくまでも借りたお金は、診療で得られた収入をもって返していくわけでございます。そういうことを考えますと、今は経営状況が非常に改善しているとはいっても、そのところにはやはり診療収入を獲得する努力ということが続いているわけで、その努力の中で、研究と診療と教育とのバランスということも考えたときに、本来、国立大学附属病院として果たすべき使命というものがバランスよく、しかも、財政融資資金を得て運営していくのに必要な状況になっているかどうかということは、我々としてしっかりと確認していきたいという趣旨でございます。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。では、続けてどうぞ。

【河井臨時委員】  施設費貸付事業の質問の次に施設費交付事業についても確認させていただきたいのですが、次期中期目標で交付事業の充実ということで、安定的な交付財源の確保を図る、これ、努力するということなのだろうとは思うのですが、会計検査院の御指摘もあるように、もともと限られた財源というか、要するに国立大学の中の不稼働資産というか、不要となった資産を処分して得られたものについて半分交付する。たしかそういう仕組みだったと思うので、もちろんセンターさんがいろいろ努力されるというのは、それはそれで努力を否定するつもりもないのですが、そもそも不要な資産がどれだけあるのかということを考えると、むしろ、安定的に確保することに努めていくというよりは、いずれ無くなることを前提として、その後の姿について、最後、財源がなくなった場合にどうなるのかということを考えるのが次期中期目標期間にはふさわしいのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

【豊岡高等教育局国立大学法人支援課長】  御指摘のとおり、大学から納付されるお金など、自己財源でもってこの交付事業をやっているわけでございます。
現在、国から承継している財産を処分して財源に充てるという計画については、売却収入が見込まれているものもございますし、今後そういったものが出てくるであろうものもあると思っております。
 それだけではなくて、御指摘のように、私どもも各大学に対して保有財産を不断に見直していただくとか、資産の処分に努めていただくよう促しはさせていただいているところでございまして、そういった各国立大学に向けて不要資産の処分を促すことを通じて交付財源も確保してまいりたい、そのように考えております。

【河井臨時委員】  それは各大学に、本当はもう少し売れるものがあるのではないかということの督促をする、そういうことでございますか。

【豊岡高等教育局国立大学法人支援課長】  はい。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。ほかには何かございますでしょうか。

【梶川臨時委員】  先ほど審査の基準等々のお話があったんでございますけれども、これ、組織的に見ますと、この貸付行為等について最終的な意思決定をされている部分というのは非常に少ないわけですよね。
 実態として、もともと組織規模はすごく小さいのですけども、管理部門も多く、また、プロパーの方はまさに4名しかおられないというようなことで、従来、独法の見直しの都度、組織統合という話題が出ているのですけども、もちろん見直し案に出る話ではないのですが、その点、所轄部署としまして組織統合についてどのようにお考えでしょうか。何度かこういう話は独法改革という話題の中でも出ておられると思うのですが、その辺について教えていただきたい。

【豊岡高等教育局国立大学法人支援課長】  最初におっしゃいましたところは、国のほうで決定しているということが、まず前提としてございます。
 その上で、この国立大学財務・経営センターでございますけれども、もともと設立の経緯からいたしまして、支援対象が国立大学法人等に限定されております。また、法人が実施する事業も、先ほど御説明申し上げたような貸付、交付など、ほかの独立行政法人には例のないようなものであろうと思います。
 そういうこともありまして、統合による相乗効果は限定的ではないかというふうに考えてございまして、また、この法人は過去にもいろいろ事業の見直しについて指摘されてきた経緯もございます。それを受けて、既存事業を徹底して見直してまいりました。
 そういった徹底した事業の見直しを実施することによりまして、組織、人員ともスリム化しております。また、現在の体制は、今の事業規模に対して最小限の規模、効率的な体制になってきておると思いますし、この事業に対するノウハウも有してございます。
 そういうことからいたしますと、この組織で引き続き支援を行っていくことがいいのではないかと思ってございます。非常にスリム化して、非常に効率的な体制もとられていると思ってございます。

【梶川臨時委員】  よろしいですか。

【梅里分科会長代理】  どうぞ。

【梶川臨時委員】  シナジーというのは限定的かもしれないのですけれども、逆にどこかと合わさったときに不都合、デメリットというのはあるのですか。

【豊岡高等教育局国立大学法人支援課長】  これまでに2回にわたりまして他法人との統合を促されたことがございます。それは事実でございます。
 ただ、かつて統合相手とされていた法人は、その後、今の内閣におけます最重要課題の一つである教育再生の動きの中で、一つは大学評価・学位授与機構が、グローバル化の進展によって我が国の高等教育の国際通用性が非常に重視されている中で、質の保証機関としての国際的役割を果たすための業務というものが求められております。また、大学入試センターにつきましても、今、教育再生実行会議などにおいて、大学入試センター試験の在り方自体をどうするかという検討が行われておりまして、その検討を踏まえて今後の在り方を考えないといけないということになってございまして、従来、統合相手とされていた法人側にも、新たな業務の在り方を見きわめる必要性が生じているというのが1点。
 一方、先ほど申し上げましたように、センターに非常に厳しい御指摘もあり、現在、非常にスリム化した効率的な体制で行っているため、今まで指摘された相手のところでも事情がちょっと変わってきているということ、センター自身も非常にスリム化しているということがありまして、統合によって、より効率的になるということはあるのだろうかということでございます。
 また、非常にスリム化されて効率的になってきたと申し上げておりますけれども、平成25年度の文科省独立行政法人評価委員会におきましても、このセンターの事業につきましては、国立大学法人ときめ細かく連携し、的確に業務を遂行している。各業務の品質の向上、効率化に役員及び職員一丸となって取り組んでいるという御指摘。また、運営体制においては理事長のリーダーシップが発揮しやすい、懸案事項に対しても自主的に対応できているという評価もいただいてございます。
 それは、先ほど申し上げたスリム化した組織で、最小限の規模、効率的な体制になっておりますこと。しかも、そのことで業務の質の低下が起こってはいないということの一つの現れと受けとめてございます。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。では、森泉委員。

【森泉委員】  私は、公的使命の確認ということについてお聞きいたします。今日の御説明にも次期中期目標期間における事務・事業の見直しの方向性の中に、新たに国立大学附属病院としての公的使命・役割をフォローアップしたり、役割を検証するということが書かれておるわけなのですが、これが新たに書かれました。先日お尋ねしたときにも、こういうようなお話があったかと思って、少し違和感を拭えなかったのですけれども、このセンターが、こういうことをやる意義というのが、私には余り理解できなかったのですね。
 というのは、文科省とか国立大学法人の検討会なり、いろんな委員会で評価、検証も既にしていると理解しているのですけれども、新たに、このセンターがわざわざこのような公的使命の検証を打ち出さなければいけない理由はどういうことなのかということです。
 少しうがった見方をすれば、ここがもう一回念押しでやらなければならないほど、国立大学病院は公的使命を果たしているかどうか分からないという、そういうことなのでしょうか。よろしくお願いします。

【豊岡高等教育局国立大学法人支援課長】  そこは、冒頭に御説明申し上げましたけれども、財務省、あるいは会計検査院のほうから審査の厳格化を指摘されているということが一つございます。
 また一方で、国立大学附属病院でございますが、民間病院と異なり、国立大学附属病院整備に財政融資資金を活用することをお願いしているわけでございます。そういう中で、民間病院と違うと申し上げましたのは、国立大学附属病院には教育、研究、診療、もう少し申しますと、教育の側面は将来の医療を担う医療人の教育養成という役割がございます。また、研究面では、臨床医学の発展と医療技術水準向上への貢献ということも求められております。当然ながら、診療ということで地域の中核病院としての質の高い医療の提供ということも求められてございます。
 これが一つの公的使命だと思うわけでございますけれども、こういった国立大学附属病院ならではの使命というものが一方ではあるかと思います。こういった国立大学附属病院に関しまして、センターは単なる金融機関ではなくて、貸し付けたお金を確実に償還してもらうことは、当然のことでございますけれども、一方で、国立大学附属病院がもともと担っている役割がきちんとその中で果たされているかどうかということを、センターにおいて、財政融資資金を投入するに当たりまして、きちんと見ていくということが、国立大学附属病院に財政融資資金を投入する機関としての審査の性格としても求められるのではなかろうかということでございます。
 一旦お金を借りれば、もちろん、それは確実に返すわけでございます。これまで一度も滞ったことがなく、きちんと償還していますが、ややもすれば、お金を返さなきゃいけないということで、診療に走ってしまう、そのため教育、研究がおろそかになってはいけないというのは言うまでもないのですが、当然の要請としてございますので、この政策的必要性があるからこそ、財政融資資金を活用して国立大学病院の整備を支援している法人としては、その役割、使命が適切に果たされているかどうか、これを確認していく必要があると考えて、このような確認をするということにしているものでございます。
 また、このような取組は、国立大学附属病院がこうした公的使命を果たしているのだということを社会に対して発信することを通じて、国民の国立大学附属病院に対する信頼とか、安全・安心にもつながってくるのではなかろうかと思っております。
 そういう趣旨で、この公的使命を確認するということをセンターとして担っていくということでございます。

【森泉委員】  随分壮大なお話なので、少し分からないところがあるのですが、それは文科省で既にやられていることであって、そこのミッションというのは独法の前提になるような話で、公的使命があるということは当然のことですよね。その後のフォローアップとか検証まで行うというのは、もう既に別のところでやっていることをもう一回やり直しているのではないかというイメージを持ったのですけれども。

【常盤大臣官房審議官】  そこのところはまさに御指摘のとおりで、国立大学の医学部の教育等について、もちろん国立大学医学部を設置している国であったり、国立大学法人が、説明責任を果たしていくということで評価等も行われているわけですけれども、ここの場面は、まさに課長から説明しましたように、財政融資資金を投入するという局面になりますと、民間病院には、それは投入されていないので、国立大学附属病院に投入されているということに着目して、その部分について、やはり公的な使命があるということをしっかりと説明していく、説明責任が生じるということがありますので、特に今回、財務省のほうから25年間を見通して、より精緻な枠組みをしっかり設けるようにという御指摘があったものですから、そういうところについてしっかりと審査して評価していく、フォローアップしていくということをしていく必要があると考えて盛り込んでいるということでございます。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  少し補足なのですけれども、また一方で、病院の機能強化のために施設整備を行うのですが、その金額はかなり大きいものでございます。冒頭にございましたように、数百億円という規模で整備していきますので、そうしますと毎年の返済する額もかなり大きくなってくると思われます。
 そういった大きな額を返済していかなくてはいけないということが発生するときに、例えば病院の経営状態とか、大学の財務状態とかは変化していきますので、その変化をしていく中で、例えば教育、研究、診療という3つの公的使命がありますけれども、それぞれの機能が、確認する指標に大きな狂いがないかとか、変動がないかとかいうのを毎年定期的に調べていくという意味合いも位置付けております。

【森泉委員】  では、もう一度最後にお尋ねしますけど、そういう検証、別のところでも既にやっていることだと思うのですけども、ここで新たに次期中期目標では貸付業務の充実とか、審査機能の充実の中にフォローアップとか、検証が入っているので、そこでもう一度、それらと同じようにいろいろな基準を設けておやりになると。教育、研究、診療ですか、それら三つのことをおやりになるということなのでしょうか。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  基準を設けるということではなく。

【森泉委員】  基準を設けなくてもいいのですけれども。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  指標を設けて確認していくということです。

【森泉委員】  では、指標はどこかで作っているのですか。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  例えば教育面であれば、教育経費にどれぐらい配分されているか、研究面であれば臨床試験の件数とか、そういったものを指標として整理してお示ししていく、確認していくということです。

【森泉委員】  ですから、新たに指標みたいなものをお作りになって、それをフォローアップしたり、検証したり、ここでまた最後おやりになると。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  定期的に確認していくということを考えております。

【森泉委員】  ということなのですね。

【梅里分科会長代理】  いいですか。河井委員。

【河井臨時委員】  どちらにせよ、公的使命については設置主体の国立大学法人も同じように見るわけですよね。それをこのセンターでももう一回見るということなのですか。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  貸付事業を行うに当たって、貸付機関であるセンターがそこを見ていくという考え方でございます。

【梅里分科会長代理】  ということは、公的使命を十分に果たしていないと考えられる場合は貸し付けないということですか。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  基本的には、その判断は文科大臣がするルールになっていますので、センターから文科省側にそういう指標を提示してもらい、文科省として、そこをどのように判断するかという話になっていくと思います。

【梅里分科会長代理】  もう一点、教育、研究、診療が公的使命というふうに言われましたけど、民間の大学医学部等でも教育、研究、診療しているのだけれども、そうすると全部、公的役割を持っているということになりますか、それらも含めて。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  私立大学ということですか。

【梅里分科会長代理】  私立大学ですね。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  私立大学もそこは同様だと思います。

【梅里分科会長代理】  そうすると、公的使命というのは、そこの国立大学附属病院だけに融資を投入する……。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  私立大学のほうは私学事業団というものがございまして、そちらのほうで同様の貸付制度を持っておりますので、そちらのほうで対応しているということでございます。

【梅里分科会長代理】  ということで、公的な役割については、こちらのセンターがという考えということですか。

【豊岡高等教育局国立大学法人支援課長】  こちらは国立大学病院だけを貸付対象にしております。

【梅里分科会長代理】  河村委員、何かありますか。どうぞ。

【河村臨時委員】  関連してお尋ねしますが、今の御説明ですと、財務省理財局のほうから財投について、要するに実地監査からの指摘があった。私、ここちょっと細かくは把握していませんので、こちらの御説明資料に書いてあるところからということで理解させていただきます。それから、会計検査院のほうからも指摘があった。だから、今回新しく、こういった形で国立大学附属病院の公的使命・役割をフォローアップするというような御説明だったかと思うのですが、ちょっとしっくり来ないのですね。
 財務省からの指摘は、財政融資資金の償還確実性を確保する。それから、会計検査院からは、貸付事業についても、それから交付事業についても、特に交付事業のほうであれば限られた財源の有効活用が図られるようにとか、それから、貸付事業についても適否を十分に判断できる審査が実施できるよう収支状況等に即した適切な審査基準と書いてあるので、これは、あくまで大学病院でいらっしゃるので、病院だけやっていらっしゃるわけではなくて、もちろん教育、それから研究と不可分一体で、そして地域での診療もなさっていると、それは分かるのですけれども、公的使命があるから償還確実性が上がるのですかとか、適切な貸付けができるのか、そこは、必ずしも結びつかないと思うのですね。
 公的な使命があるのは当然なのですけれども、あればということが結びつくのではなくて、逆にこういう二つのところから御指摘がきているのは、財投の資金をそちらのセンターが間に入って各国立大学病院に貸付けをされるときに、お金だって限りがあるわけですよね。国がこれだけ財政状況が厳しいのに、果たしてどれだけの財政状況を本省全体として認識しておられるのかなと。先ほどから議論を伺っていて、正直言って心もとないところもあるのですけども、そういう中で、どこにでも要求してきた病院にはお貸しになるというのではなくて、やっぱり真に必要なところに、あと、確実にできるようにということで、そこの精査をしろ、といわれているのではないですか。病院にはもちろん教育、研究のお仕事もおありだとは思うのですけれども、ほかにもいろいろあって伺っていると、いろんな診療報酬の制度の問題であるとか、お金のことで医療のことを言うのは余りよくありませんけれども、診療科とかによって、その後の収支の見通し、どういう地域にあるか、競合する大きな病院があるかとかで違ってくると思うのですね。
 各国立大学病院からこういう形で新しく大学病院を作り直したい、これこれの診療科について設備を増強したいと言ってきたときに、それが償還確実かどうかというのは、そういう意味でのお金を貸すときの間に入る機関として、そこを精査しろという指摘がきているのではないのですか、財務省と会計検査院から。
 何か国立大学法人の病院だけ取り出して公的使命・役割と言われても、別に国立大学、医学部だけじゃないわけで、ほかの学部ももちろん教育、研究やっていらっしゃるわけですし、何でそこの附属病院だけ取り出されるのかなとか。先ほどから指摘があるように、本省のほうでも、もちろんそういうところは見ていらっしゃるはずで、ここで急に指摘があったからということで、次期中期目標の見直しの方向性で、急にぽっと降って湧いたように、こういう形で出てくるというのは全くに納得できない。
 ですから、理財局の御指摘とか、会計検査院の御指摘の細かい原文まで全部拝見させていただいたわけではないのですけど、お取り組みされる方向性が御指摘とはずれていないですかという感じでお尋ねできればと思います。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  言葉を補足させていただきますと、まず、検査院と理財局から指摘があったことにつきましては、国立大学法人の財務状況を確認していくということで、基本としては、年間の債務償還額の確認ということで、債務償還可能額を計算して、それによって病院の経営状態等を確認して、例えば債務償還額が債務償還可能額を上回っているかいないかと確認をしていきます。その上で、例えばどれぐらいの年数をかけて返済していけるかという分析もしてまいります。
 そういった財務状況の確認をした上で、それに加えて、先ほどから議論になっている公的使命の指標を見て確認していくという状況になっておりますので、まず第一に公的使命の状況はどうであるかということではなくて、まず第一はきちんと大学の財務状況を確認した上で、順番としては、その次に公的使命がどうなっているのかというデータも確認していく、そういうような作業になると思います。

【河村臨時委員】  今伺っていると、最初の御説明というのは、要するに償還計画の計算間違いがないかをチェックするぐらいと理解できてしまうのですけど、そうではなくて、例えば、どういう内容の大学病院の施設なりを新しく増築するなり、建て替えるなりしようとしているのかとか、そういうところに踏み込んだ分析をもっとしろという、そういう趣旨ではないのですか。こういう御時世ですから、国立大学病院、もちろん有利ならそれは財投資金からということでお借りになるかもしれませんけれども、民間が、そういう長期の融資とか全然できない時代では今ないわけで、そういうところからの調達の可能性がどの程度あるか、病院によって開きがあるかとか、そういうところを検討する、そういう必要こそがあるのではないのですか。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  国立大学附属病院自体、特定機能病院ですとか、高度先進医療機関という機能を持っておりますので、そういった部分で、例えば、その国立大学附属病院が考えている施設整備の計画や、どういった部分の機能を強化していくかといった部分は、当然、大学に説明を求めて確認した上で、財務全体の状況についても確認していくというようなことになると思います。

【梅里分科会長代理】  少し公的使命という言葉が出てきたのでややこしくなっているのではないかと思いますね。大学の附属病院ということで、ある意味では大学の役割なのかもしれないですね。公的ということだと私立大学も入りますので、教育、研究ということが公的役割と言われるとちょっと違和感があって、委員のほうの頭が混乱しているという形になっているので、そこで少し見直しを。

【常盤大臣官房審議官】  また整理をして御説明させていただければと思います。

【梶川臨時委員】  確認したいのですが、これ基本的に判断、評価されるのは本省でいらっしゃるわけですよね。ここは、要するに情報を集約するか、ないしは再計算を含めた償還可能期間と基本的に大学から出てきた数字に関して再確認されて、本省につながれるということで理解は間違ってございませんか。

【鎌塚高等教育局国立大学法人支援課課長補佐】  はい。

【梅里分科会長代理】  よろしいですか。それでは、時間の都合もありますので、国立大学財務・経営センターについては、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。  また、本日、時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、文部科学省の皆様方は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

【常盤大臣官房審議官】  長時間ありがとうございました。

(説明者等退席)

【梅里分科会長代理】  以上で本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたします。
 最後に、事務局から報告事項がありますので、説明をお願いいたします。

【吉開評価監視官】  3回にわたりましてヒアリングを実施していただきまして、どうもありがとうございました。お疲れさまでございました。
 このヒアリング結果につきましては、事務局のほうで整理いたしまして、また先生方にお示ししたいと思います。それを踏まえして、各ワーキングで議論を深めていただきますようお願い申し上げたいと思います。
 次回のこの分科会でございますが、11月1日金曜日の午前中、10時から12時を予定しております。場所につきましては、また追って御連絡申し上げたいと思います。
 以上でございます。

【梅里分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日は、御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。

(以上)

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