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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(12月1日開催)議事録

日時

平成26年12月1日(月)13時30分から15時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第1特別会議室

出席者

(政策評価分科会所属委員)
 谷藤悦史分科会長、藤井眞理子委員、森泉陽子委員、牛尾陽子臨時委員、
 小野達也臨時委員、門脇英晴臨時委員、小峰隆夫臨時委員、佐藤主光臨時委員、
 田中常雅臨時委員、中泉拓也臨時委員、前多康男臨時委員、森田朗臨時委員


(総務省行政評価局)
 渡会行政評価局長、新井官房審議官、岩田官房審議官、白岩総務課長、荒木企画課長、
 箕浦政策評価課長、明渡評価監視官、佐分利評価監視官、菅原評価監視官、生沼評価監視官、
 松田評価監視官、川村評価監視官、永留評価監視官

議題

  • 「食育の推進に関する政策評価」の方向性について
  • その他

資料

会議経過

(谷藤分科会長) それでは、時間になりましたので政策評価分科会を開催したいと思います。本日は、委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。本日は食育の推進に関する政策評価の取りまとめにつきまして、大体の方向が出てまいりましたので、それについて審議したいと思います。
 それではまず最初に、食育の推進に関する政策評価につきまして、佐分利評価監視官から説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

(佐分利評価監視官) 大変お待たせいたしました。ちょっとプロジェクターの調子が良くないので、お手元の資料に基づきまして説明させていただきます。
 食育基本法に関する政策評価ということで御説明させていただきます。お手元の資料1を御覧いただけますでしょうか。今回の食育の推進に関する政策評価に関しましては、行政評価局として行う基本法の全体の評価ということで、過去約10年間の食育推進状況に関しまして、我々のほうで評価を行うものでございます。
 評価のポイントが三つありまして、一つ目が目標と施策の妥当性、それから二つ目がインパクト評価、すみません、大変失礼しました。やっとプロジェクターが映りましたので、ここからプロジェクターを御覧いただきながら説明させていただきたいと思います。
 冒頭に御覧いただきますのが、今、食が結構大変な問題になっているということを示す、NHKクローズアップ現代の動画でございます。沖縄と言いますと、日本の中でも最も長寿の県として有名でございますが、この沖縄の食が変わったことによって問題が起きているということでございます。


(沖縄における若い世代の短命化等に関する動画をNHKホームページより紹介)


 こういった問題もございますし、過去10年の間には、当初問題とされておりました狂牛病の問題であったり、食の安全に関する議論がありまして、その後で見られることと言いますと、例えば放射能問題、あるいは実は子供の貧困というのが大変問題になっておりまして、6人に1人が貧困家庭と言われる統計もあったりするようでございます。給食を食べられないと子供が食事をとれなくなっているような状況があったり、食の貧困と言われておりますが、あるいは震災においては、いかに食料が大事なものかということを自覚された方もいます。
 あるいは塩分の摂り過ぎというのは世界的にも問題になっておりまして、そういった塩分の摂り過ぎを防ぐために、例えばイギリスなどでは政府とメーカーとが協力をして、国民に気が付かれないように食塩を減らしていこうというプロジェクトを行っているそうです。それで塩分摂取量が3年間で10%下がって、医療費も年間2,600億円減ったという報道もあります。
 あるいは食べ物が生きがいであって、ホスピスで末期ケアを受けている方が、食べたかったバッテラ寿司を食べることができて、これでもう本当に幸せに死ぬことができるといった話があるなど、様々な食に関わる問題というのが最近大きく取り上げられております。
 あるいは民間の動きの中では、食育インストラクターというようなものが現れたり、あるいは給食を変えることで学校の非行がなくなったり、あるいは弁当を子供たちが自ら作ると、学校に持ってきてみんなと交換したりする。これで大変子供たちが元気になったり、お父さんお母さんが食べ物の大事さに目覚めたりというようなケースがございます。この弁当の日というのは、今、全国で1,400以上の学校に広がっているというふうに言われております。
 こうした中で、食育をこれからどのように進めていくのか、過去10年を振り返りながら考えていくというのが私どものテーマとなっております。
 もちろん、こちらの分科会の皆様方が、政府全体の政策評価の要でございますので、本日の皆様方の御意見を、ぜひ我々としても参考にさせていただいて、残りの期間、3月までの政策評価に生かしていきたいと考えております。
 「食育とは」ということですが、こちら食育基本法の前文にあり、食育白書などにも取り入れられておりますけれども、食育とは何かと言いますと、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの、ということでございます。様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることとされております。
 こうした食育基本法の制定の背景には、先ほど見ていただきましたような「いただきます」とか「ごちそうさま」という挨拶を言わない、「いただきます」「ごちそうさま」の意味を知らないという家庭がみられたり、あるいはその栄養バランス、BMI、あるいは過度の痩身傾向、若い女性の痩せすぎなど、あるいは食品の安全の問題、あるいは自給率の問題、あるいは食文化の問題など、様々な問題が背景にございました。
 こうしたことを受けて、約10年前に小泉内閣の際に食育基本法ができたわけですが、食育の政策評価をするということは、我々としては基本法全体を評価する初めてのことでありまして、あるいは日本で基本法といわれるもの、大体40以上、45ございますが、その半分以上がこの食育基本法からあとに出てきたものでございます。そういった意味では、新しく出てきた基本法の評価のモデルとなるような形に取りまとめていけたらと考えております。
 基本法というのは申し上げるまでもなく、憲法と法律の間に位置するということで、法律であったり様々な施策を方向付けるものであります。そういった意味では、その基本法をこれからどのように評価していくかというのは、日本政府にとっても大事な問題ではないかと考えております。
 評価のポイント、三つございますが、一つはプログラム評価、食育基本法という新しい基本法ができたことによって、これまでの取組及びそのあとの取組がどのように体系化されたか、あるいはどのような目標設定がなされて施策が束ねられているのかというところを評価するのが一つ目のポイントでございます。
 そこの部分に関しましては、評価委員会の皆様には申し上げるまでもないことですが、政策を実施するというのは、物差しを決めてゴールを決めるということが大変重要になっておりまして、逆にこの物差しという評価を測るべきゴールがないまま政策を行っていては、我々としても仕事ができませんし、日本の全体にとっても、何がどう進んでいるのかというのが分からないという状況かと思います。
 科学というのは物差しとともに発展をいたしました。様々な自然現象であったり社会現象というのを、物差しを作ることによって測ることができる、制御できるようになったということでありますので、そういった物差しをどう作るかというのは大変重要だと我々としても考えております。
 そういう意味で今回の食育というものに関しては、基本法の目指すあるべき姿、これは基本法の基本理念という、2条から8条のところに書いてありますが、こちらの基本理念がどのように今指標化されて測られているか、実現に向けて取り組まれているかというのが私どもの観点でございます。
 二つ目のポイントがインパクト評価ということで、ビフォア・アフターで何が変わったのか、定性的、定量的にどう変わったのかというのをみております。
 三つ目として、個別施策の評価ということで、それぞれの施策でどのような取組がなされており、インパクトがあるのかないのかというのをみていくと、そういうような3本柱で評価を進めております。
 食育政策の妥当性に関しましては資料の中にもございますように、現行11指標というものがどのようなカバーをしているのか、7つの基本理念というのがございますが、基本理念をどれくらいカバーしているのかというのをみていく必要があると。実際みてみたところ、国民部分に関してはかなり詳しくカバーしておりますが、一方、それに対して地域であったり家庭であったり学校に関する指標というのが十分とれていない、ウォッチできていないのではないかということが見えてまいりました。
 あるいは、その物差しそのものに関して問題があるのではないかと。例えば、指標の取り方として、農林漁業体験を経験した国民の割合が、平成27年度30%を目指そうということのですが、このアンケートをよくよくみてみますと、家族の中で誰か1人体験した人がいるということだと、それがイエスと。それが例えば4人家族で1人いれば、アンケート上は100%の回答になるわけですが、実際には4人のうち1人であれば25%であるといった指標の取り方の問題があったりいたします。
 あるいは食育政策の妥当性に関して、インパクトをどのように考えているのか。きちんとロジックツリーを作って、単に実施すればいいというものではなくて、目標に対して本当にインパクトがある施策になっているのか。例えば日本再興戦略というものでは、目標値を35%、当初農林漁業体験を経験した国民の割合を3割にすると言っていたのを今35%という高い目標にしておりますが、1%上げるというのはどの程度大変なことなのか。1%上げるためには日本の人口の1%に新しく経験してもらわなければいけませんし、新しく生まれてくる人たちも含めて経験を増やしていかなければならないので大変なことなんだと、そういったことに対して、ちゃんとインパクトのある施策を行っているのかということでございます。
 以上のようなことをざっくりみていきまして、結論のほうを御覧いただきたいと思います。この辺りは施策が、食育基本法ができたビフォア・アフターでどのように制度が変わっていったのか。定性的にみていった場合はどうなのか。あるいは定量的にみていった場合はどうなのかというところも表の方にお示ししております。実際の目標に対して数字が上がっていったのかどうなのか。横ばいのものが非常に多いという状況でございます。
 11指標に関して見るとこのとおりでありまして、△というのが、良くはなっているけれども横ばいなので目標達成しそうにないと。×に関しては、当初値よりも更に悪化しているのではないかと。11指標に関してもこのような状況でございます。11指標以外の部分に関して見ますと、またこれは様々な指標があり得ますが、それも調べてみる限りにおいてはほぼ横ばいでありまして、評価に関しても、悪化している、ちょっとは改善しているもののほぼ横ばいというようなことが全体的なインパクトに関する我々の見解でございます。
 以上、そのような体系に関する話、インパクトに関する話及び個別施策に関する食育施策の効果に関して分析を行っておりまして、現在アンケートも進めているところでございます。
 まとめといたしましては、数値目標に関して言いますと、ほとんどの指標が目標には達していない。もちろん改善しているものもございます。一方、当時の食育基本法制定時の問題意識であったところの指標が世の中的にこの10年で本当によくなっているのだろうかというところを見ますと、そこに関してはほとんど改善が見られていない。
 そうしたことから、食育の推進に向けた政府全体としての具体的な目標の取り方、施策の関連付け方、体系化に関してもう一度見直す必要があるのではないかと考えております。
 このようなことに関しまして、3月末に向けて報告を行うべく作業中でございますので、先生方、皆様方からぜひこういった観点を見るべきではないか、あるいは食育施策に関しては例えばこんな問題が今挙がっているのではないか、漏れているのではないかというところをお示しいただけたら幸いでございます。
 以上、よろしくお願いいたします。

(谷藤分科会長) どうもありがとうございました。今、大変簡潔に御説明いただきました。それでは、ただいまの説明につきまして御質問、あるいは御要望、あるいはまた分からない点などがございましたら御発言ないしは御質問をお願いしたいと思います。それでは各委員からどうぞ、発言をよろしくお願いします。
 佐藤委員、どうぞ。

(佐藤委員) ありがとうございました。非常に上手なプレゼンテーションで感銘を受けました。
 何点かあるのですが、まずそもそもこの数値目標についてなんですけれども、達成可能な目標であったのかということ自体がちょっと問われるかと。やはりどう押しても、どうやっても結局は無理だというのは、ロジックツリーがないからだと思います。だからそこはもうロジックツリーがないということで分かってくるとは思うのですが、やっぱり元々この目標値自体に根拠があったのか、達成可能なものだったのか、それに達成、実現可能な手段を果たして持っていたのかということはやはりそもそも論ですが問われるかと思います。
 それから、観点というところですけれども、やはりこの食育政策というのを聞いていても、これは健康増進の話をしているのか、それからある種の教育、給食なんかがそうだと思うのですが、まさに教育的な効果を狙ったものなのか、とすると効果はもう少し中長期的になるので。それからやはり何となく、市町村食育推進計画とか農林漁業体験もそうかと思いますが、産業政策というか産業振興といいますか、いろいろな観点が混じり合っていて、それがおそらくお互いに矛盾し合っているわけではないのですけれども、ただ、総花的な計画にしてしまっているのだろうとは思います。
 ですから、そもそも食育政策という時に、どういう次元で我々はこの問題を理解するべきだったのかということを改めて整理するべきかなという気がしました。

(谷藤分科会長) 今の御質問に対してどうですか。

(佐分利評価監視官) ありがとうございます。二つ御質問いただきました。1点目に関しまして、目標がそもそも達成可能なのか。もちろん将来的には、例えば朝食を食べない子供をゼロにしたいと。これは全体国家ではないので、命令できないのでゼロにすることは難しいですが、政府として高い目標を掲げてそれに対してチャレンジをしていくという意味において、科学的に達成可能なのかどうかという部分と、政府の方向付け、言ってみればイニシアチブ、あるべき姿を示すという意味において達成可能かどうかはともかく、頑張って目指そうというものが混じっているというのは、おそらく佐藤委員のお考えのとおりかと思います。
 そういう意味では目標値そのものを、どのような目標として考えるかと。実際にロジックツリーがあって、何年で何人増やせるからこれを目標とするというような、現実的な根拠に基づいたものなのかと。あるいは、あくまでこれは目指すべき姿、ビジョンであって、そのビジョンに向けて頑張るんだというようなものなのかというような形で、目標に関しても様々な性格を持っておりますので、そこは我々としても引き続き検討してまいりたいと思います。
 それから二つ目の、そもそも食育というのがどういう観点から行われるかというのは、大変おっしゃるとおりの指摘でございまして、つまりこれは科学なのか倫理なのか教育なのか、どこの部分が科学で、どこの部分が教育的な配慮なのか、例えば食に対する感謝というのは科学なのかと言われれば、道徳モラルに当たるところであります。先ほど説明の時に端折っておりましたけれども、「いただきます」というのは命をいただくことであり、「ごちそうさま」というのは、私もこれは食育を担当するまで知らなかったのですが、「ごちそうさま」という意味は、「馳走」というのが、馬偏の也(なる)のはせるという、走り回るという意味で、「走」(ソウ)、まさに走ることです。だから、そもそものところの「ごちそうさま」という意味は、食べ物を用意してくれる人が、自分の時間をあなたにあげる、そのために走り回ってあなたのために準備した。それに対して感謝をして「ごちそうさま」というと言われて、そうだったのか、こんなに生きていて知らなかったのですが、そのような教育的な配慮の部分がどうなのかと。
 あるいは、メタボが問題だと。糖尿病にかかって、例えば人工透析を毎週3回やらなければいけないとすると、年間幾らかかるのかと。大体500万とか言われているそうです。そうなると、今の国民の平均の収入が500万ぐらいだと言われている中で、稼いだ金を全部人工透析に使わなければいけないという、料金的な負担も大変なことになるということです。
 政府にとって問題である、あるいはその人にとって、実際は高額医療費は免除されるもので、病気になることが本人にとって問題だということを、科学的な根拠をもってどうアピールするかというところが、食育施策に関しては混じっておりますので、その辺の科学と倫理、道徳というような部分に関してもそれぞれ別の評価軸が必要になるかと感じました。ありがとうございます。

(谷藤分科会長) 前多委員、どうぞ。

(前多委員) 今の意見と重複しますが、要は基本法の評価ということなので、内容として非常に幅広いわけです。それを資料3−1「食育政策の妥当性(1)」で最初に分ける時に、日本社会、国民、地域、家庭、学校と、何ていうか場所でこう分けているのですが、そもそもこの基本法の内容を見ると、おそらく食文化、それから健康・安全、それと食の安全保障、これは海外依存とか自給率とか、この三つぐらいの視点でまず大きく捉えて、それぞれについてロジックツリーのようなものを作るというやり方のほうが、もう9年経って、それを今から評価するということなんですが、そもそも非常にこういろいろな内容が入っているものを、最初に切り口を文化、健康などに分けて、例えば健康であれば、先ほど若干話が出ているように、海外の例で塩分を減らして、それで医療費が2,600億円減ったとか、それから今お話があったメタボで、透析で幾らとか。これは割りと費用対効果が出るようなところです。また、日本文化というのはなかなかそういうのは出にくいわけで、自給率というのはわりと数字として出る。
 そういうふうに、最後の定量評価のやり方またはその結果の出し方まで考えつつ、最初の切り分けやロジックツリーというのを考える必要があったのではないかと思いました。以上です。

(谷藤分科会長) 今の点に関してはどうですか。

(佐分利評価監視官) ありがとうございます。前多委員のおっしゃるとおり、基本法というのは、様々な人の思いがぐっと詰まったものですので、そういった中でどの物差しを具体的に使うべきなのか、そのカテゴリ分けそのものが一つの問題になったりするわけなんですが、そういった意味では分かりやすく、そもそも国民運動という形で食育を進めようとしているわけですので、分かりやすい形で大きな目標を作り、それに向かって前進をしていくというのは、先生のおっしゃるようにあるべき姿かとは思います。
 そういった意味で、文化、健康・安全、食の安全保障と、それぞれに関してどうなのかと。そしてその文化、健康・安全、食の安全保障に関して、食育という切り口で何が実現できるかというところも、本来であればロジックツリーを作ってアプローチしていかなければいけない分野だと思います。
 例えば、食育で本当に食の安全保障が実現できるのか。例えばパン食を米食に変えれば食料自給率が100%になるのか、残念ながらそうはならないわけなので。では具体的には流通なのか、その中で、食育で何を変えることができるのかといったようなことを一つ一つ考えていきながら、もう一度目標を整理し、それに対する施策も整理するというような形にしていくべきだというのは御指摘のとおりだと思いますので、ぜひ我々のほうの検討の中でも、そういったカテゴリを含めた観点を取り上げていきたいと考えております。ありがとうございます。

(谷藤分科会長) そのほかに、小野委員どうぞ。

(小野委員) 御説明を伺って感じたこと、これは意見あるいは提案ですが、十分に結果が出ていないという指摘ができるとともに、やはり伺っていて強く思いますのは、それ以前にそもそも食育推進基本計画を作る段階でなすべきことがなされていないということは、もう非常にはっきりしているのではないかと思います。
 これから第3次食育推進基本計画が作られるということになると思いますが、ぜひそこを強調した指摘をしていただいたほうが良いかと。そもそもロジックが何らかの形であれ描かれていない。あるいは指標の設定についても十分に妥当性のある指標が立てられているとも思えない。目標値も十分よく練られたというか、考えられたとも思えない。私はちょっと詳細を見ていないので御説明を伺った範囲での話ですが。あと、評価をどのように行うかということも全然設計という観点がなく、計画を作る段階でどのように評価しようかという検討が全くなされていないのではないかと。
 複数の省庁にまたがるようなこういうプランの、ある意味ではひょっとして陥りがちというか、起きがちな状況なのかもしれませんが、基本法という重要な位置付けで初めての指摘をするケースということであれば、ぜひその辺りを強調していただきたい。計画を作る段階できちんとある程度詰めることを詰めておかないと、そのあと評価する意味が失われてしまうことにもなると思います。

(谷藤分科会長) ただいまのは御意見だと思いますので回答はいりません。そのほかに委員の方から。門脇委員どうぞ。

(門脇委員) 一つ質問をさせていただきたいと思います。資料に予算執行額がありますが、平成17年からの時系列で、20年がピークで140億円、その後減少し、26年には15億円となっています。この過程を見れば、近年、金額が大きく減少しているわけですが、その要因は何でしょうか。既に重要な施策は施行されていると考えて良いのでしょうか。

(谷藤分科会長) 回答お願いいたします。

(佐分利評価監視官) はい、ありがとうございます。今の門脇委員の御質問に関しましては、お手元の参考資料4「関連省庁食育関連予算額の推移」というものがございます。別冊になっておりますが。
 こちらに、今御指摘いただきました予算額の推移があります。そういう意味では委員の御指摘のとおり、平成20年に一番大きくなりまして、その後現在に至るまで漸減しているというのが数字の上では出ております。ただ、こちらの数字ですが、内数、つまり様々な施策にまとまってバスケットでお金を出しているというケースの中で、そのバスケットの中で食育に幾ら使ったのかというところを含んでおりません。内数関係の予算というのは一切排除して数字を積み上げております。これは各省庁にも一体内数のうち幾らかということを聞いたのですが、これは都道府県のほうで執行しているので我々のほうで情報をとっておりませんというような形で、分からないということでしたので、内数は排除しております。
 そうした中で、やはり食育基本法設立当時は様々な方々の関心、あるいは国会における議論などもありまして、予算がたくさんついたり、各省庁がこれも食育だと言って支えようとしたところがあるものの、その後時間の経過とともに関心が薄れたのか、予算額に関しては減っているというのはおっしゃるとおりであります。

(谷藤分科会長) 門脇委員、何か追加ありますか。

(門脇委員) 何と言いますか、熱意や関心が薄れたというようにも受け止められますが、そういう状況の中で、さらに食育基本法を推進していくとすれば、きわめて遺憾に思わざるを得ません。改めて、方向性や具体的施策をちゃんとしていただかないと困るのではないかと思います。
 数値目標が改善をしてないので、その改善のために、同じような施策で更にコストをつぎ込むとすれば問題です。

(谷藤分科会長) 回答願います。

(佐分利評価監視官) ありがとうございます。実際に問題を解決していく上で様々な手法があります。まさに国民運動として、食育基本法成立当時から人々の力でこれを支えていこうという話がある中で、国がお金をかければいいのかというところに関しても、別に税金を使わずに行う方法があると。NPOの取組を支えたり、様々な手法がありますので、そういう意味では予算額を一つの物差しとするのは、政府としてはウォッチをしていかなければいけないと思うのですが、そのような予算以外の部分での取組をどのように考えるのか。
 例えば、国民全体に対するアピールとしては、やはり食育白書にも出ておりますが、テレビ、メディアの効果が非常に大きいので、メディアとタイアップして何をするかとか、予算をかけずに様々な取組を行うことは可能ではないかと思われますので、予算が減ったことをもっても各省庁の関心が下がっているのか、それはちょっと担当それぞれの思いがあるので分かりませんが、そのような予算以外の物差しに関してもよくみていく必要があるのではないかと考えております。

(門脇委員) 施行された法律を方向転換させるというのは、非常に何か難しいとことだということは、この委員会に参加してみてよくわかりました。しかし、方向転換をさせることがもし現実に必要であるならば、はっきり議論していただきたいと思います。
 それから、食育基本法というのは、確かに基本法ですから、これに盛り込まれているものを網羅的に、実現させるということでしょうが、しかし中でも現在日本にとってより喫緊の課題となっていることに、焦点を絞っておやりになるということが重要なのではないかと。
 一つ重要なことは、子供と大人との分け方もあるのではないかと。子供に対しては例えば教育というのは非常に重要だと思います。そもそも学校教育が前提です。しかし、大人は既に、自己責任の世界ではないでしょうか。
 大人も子供も同じような形で施策を進めていくことには、非常に疑問を感じます。
 また、食育基本法は全体を包括するものといっても、それをいわゆる食糧自給までも含めて考えるというのが良いのか悪いのか、そのようなことも考えていただければと思います。以上でございます。

(谷藤分科会長) それでは御意見としてお伺いしてよろしいでしょうか。

(門脇委員) はい。

(谷藤分科会長) 中泉委員、どうぞ。

(中泉委員) 2点ほどあります。まず今までの委員の先生の議論、特に門脇先生がおっしゃったことですが、資料4「食育政策のインパクト」に、実際に内閣府のほうで評価されたものと行政評価局のほうで評価されたもの、両方の指標が載っておりますが、今までの議論にもありましたように、アウトカム指標とアウトプット指標両方にとれるものが、かなりまちまちにあると思います。
 また、基本法では非常に難しいと思うのですが、今の門脇委員の話にもありましたように、行政関与の必要性が高い部分ということで色分けをしていただくというのも重要かなと思います。
 やはり情報提供ですとか教育という、実際に本当に必要な部分と、むしろ個人(民間)に任せる部分、グレーな部分というのはあると思いますので、そういうところを整理して、指標の重要度の指標にしていただくということは重要かなと思います。
 実際にかなりここではアウトプットに近いもの、例えば市町村食育推進計画がどれぐらい進むかなどと、本当に肥満、BMIを下げるというような、アウトカムでもかなり行政関与でどこまでできるのだろうかというのもありますので、そういうのを整理していただきつつ、ロジックモデルもしっかり考えていただければと思います。
 次に、実際にデータとして参考資料5「第2次食育推進基本計画における目標値と実績値」に、評価指標と実際の結果が載っておりまして、これも非常に興味深い資料を出していただきましてありがとうございます。特に1点気になったのは、これも門脇委員の発言とも関連しているのですが、先ほど申し上げたアウトプット指標ですね、例えば市町村食育推進計画の策定割合の増加ですとか、例えば農林漁業体験をした国民の割合の増加というのは、何か比較的順調に伸びているのですが、真ん中で伸びが鈍化しているものもあります。更には、朝食または夕食を家族で一緒に食べる回数の増加ですとか、逆に減少している指標もあると。
 何となくどちらかというと、一時期ちょっと伸びたけれども最終年度で見るとやや低迷しているというのもあって、ここら辺、予算との関係もあると思うのですが。特に最近になって低迷しているというのをどのように伸ばしていくかについて、お教えいただければと思います。以上です。

(谷藤分科会長) ありがとうございます。では最後のところだけ御回答を願います。

(佐分利評価監視官) ありがとうございます。数字に関しましては、これは例えば参考資料5「第2次食育推進基本計画における目標値と実績値」にあります共食回数に関して言いますと、これは内閣府が行っております調査でありまして、インターネット調査になります。そういった意味で大事な指標をインターネット調査でいいのかとか、サンプルバイアスはどう考えるのかとかいった根本的な問題がありますし、バッと一時その数字が振れるのもどう見たらいいのか、統計的な処理はどうなのかというところも併せてみていく必要があると思います。
 ただ、実際に数字を上げる時に何が効くのかというところに関しましては、中泉先生が冒頭におっしゃいました、「知らせる」と、つまり問題の共有、問題が知られてないことが問題解決の第一歩のハードルですので、いかにその問題を知っていただくのかという意味においては、メディアを通じたような、様々な情報公開、情報提供というのが即効性があるのではないかと考えております。以上です。

(中泉委員) 1点だけ補足ですけど、先ほどのような予算の関係と、この指標の達成度合いのようなものの分析というのはどれくらいされているのでしょうか。

(佐分利評価監視官) 実際に政策がどの程度指標に対してインパクトを与えたかというのは、様々な外部要因を排除しないと本当は出ないわけですが、委員の御指摘のとおり、単純なアウトプット指標を目標としているもの、あるいはアウトカム指標だけれども、これはほかにいろいろな影響があって、とてもこの施策だけでは説明できないという部分も含めた、非常にざっくりとした目標であったりするものですから、その辺はロジックツリーを作る中でこの政策というのが、この目標に対してどの程度効いているかということを、きちんと整理して評価する必要があるのではないかということも含めて、3月に向けて準備をしていきたいと思っております。ありがとうございます。

(谷藤分科会長) 田中委員、どうぞ。

(田中(常)委員) 今までお話に出ているとおり、課題に対してロジックツリーを整えて検討していくということをおやりになっていると思うのですが、それに対して食育がどういう分野なりどういう役割を持つかというのが明確になってこないと、食育だけで全部解決はしないですよね。主要因がほかにあることも、先ほどおっしゃったとおり流通であるとか、それから働き方の問題とか、全部絡んでいる問題だと思うので。
 それがもう少し浮き彫りになってくると、食育の役割が見えてくるかと感じます。
 それからもう一つは、数値目標、指標というのが、割とすごく感覚的でない数字が出てきて、それをクリアすれば良いのかという問題と、もう一つ食育として大事な分野である、おいしく食べる、楽しく食べるということについて、今の生活に対してどういう価値観を持っていくのかというのがなかなかないように思います。
 例えば朝を食べない人はカロリーメイトを食べてくれということを言うのか、それが大正解なのかどうなのかということが、なかなかこう今の食育として、どう教えていくかというのがよく分からない。特にここ数日来、大阪で給食にふりかけをどうするとか、給食がまずくて食べないとか、栄養が十分にあると言うけど冷たいとか、ふりかけは塩分が多いから駄目だとか、これを食育はどのように考えているのかということについて大変疑問に思うところがあったので、もう少し整理がついて、今のライフスタイルに対して食育がどういうことを指標としてメッセージを発信していくのかというのがはっきりしてくるといいと思います。

(谷藤分科会長) 御意見としてお伺いしておけばよろしいでしょうか。

(田中(常)委員) はい。

(谷藤分科会長) それでは森泉委員。

(森泉委員) 2点とちょっとございます。皆さんが今までおっしゃられていたように、目標値についてです。例えば参考資料5「第2次食育推進基本計画における目標値と実績値」を見ますと、一番の食育に関心を持っている国民の割合の設定値について、この赤い線が設定値で、実績値とものすごいギャップがあるわけです。これはもう設定値そのものが間違っているわけで、こういうものの決め方もやはりもう少し詰めるようにと思います。今まで御意見ありましたが、私も同様に思いました。
 それで大きな点としては、まず調査に関することですが、インターネット調査であってもバイアスをある程度除けることもあると思うので、私はインターネット調査で、その点を考慮すれば構わないと思いますが、何よりも総務省統計局が身近にあるわけですから、ぜひ総務省統計局のデータをお使いになって、もう少し細かい指標の設定を検討なさってほしいと思いました。
 要するに、隔靴掻痒の指標になっているのではないかということです。御担当の方は十分御存じのようでしたが、数量的にそういう評価をやろうとする時は結構難しいわけですが、それでも1番や2番に関しては、私はもうちょっと突っ込めたのではないかなという気がいたします。ですから、平均的なものだけを見るのはもちろん重要ですが、それ以上にもう少し政策評価の数量的な分析手法をお使いになって、それをなおかつ既存の統計局が持っているデータをなるべく利用する必要があると思います。現存のものしかなければ仕方がないし、今後こういうことをなさる時には統計調査に一つ二つ入れてもらうということをお願いするということがいいのではないかと思いました。
 何よりも、標本数がある程度ないと、1,000とか2,000あってもいいのですが、すごく誤差の範囲が大きくなってしまいますから、やはりサンプルサイズを確保できるようにとなると、既存のデータを利用するということになると思います。
 それから、もう1点は先ほどの参考資料4「関連省庁食育関連予算額の推移」ですか。予算が出ていましたが、時系列的に波があって、断絶的に、漸近的に減っているような気もします。省庁別に見ますとどうやら農林水産省が一番たくさん予算を使っているのではないかという気がするのですが、その辺りの予算を効率的に使っているかというようなことは御覧になったのでしょうか、というのが第2点です。
 それから最後は、これはちょっとした統計的な話ですが、この表も、表だけだとイメージになってしまっています。表の取り方によってだいぶイメージが違うので、たくさん標本があれば、これを一つ一つ、例えば33と41の数値が同じかということ。それから、例えば参考資料5「第2次食育推進基本計画における目標値と実績値」の(7)の69.4%と73.0%が同じかどうかというようなことの検定なども、標本数がある程度あればできるので、見た目だけでやらないで統計的に上がっているとか下がっているとか、何も言えない、というようなこともできれば行っていただけると、より明確かと思いました。以上です。

(谷藤分科会長) はい、ありがとうございます。ほとんど要望に近いものばかりが出たというふうに思いますけれども、何か回答はございますか。

(佐分利評価監視官) ありがとうございます。先ほど、共食のところでインターネット調査と申しましたが、別のところの調査と混乱しておりまして、共食の部分に関しましては調査員調査になっています。失礼しました。
 今の森泉先生のお話にありましたとおり、様々な指標の設定に関して、あるいは予算に関しても、今まさに政府全体の中で食育の担当をどうするかというところの議論が、例えば党のほうでなされておりまして、場合によっては食育担当省庁も農林水産省のほうに代わるという議論も報道では出ておりますように、食育に関しては冒頭の先生が言われたとおり、来年度27年度までで第2次食育推進基本計画が終わりますので、そこから先の第3次食育推進基本計画を28年度以降どのようにするかというのが、27年度に行われるということを見据えて、そこにどのような形で各府省が何をすることが必要かというところを考えていければと思っています。
 そこを指標にどう反映していくかというのも非常に重要かと思っています。ありがとうございます。

(谷藤分科会長) それでは藤井委員、どうぞ。

(藤井委員) どちらかと言うと質問に近い点が一つと、それから細かい点が一つです。
 質問の方は、先ほど基本法の評価というのは最初であるというお話がございまして、資料1「「食育の推進に関する政策評価」の取りまとめの方向性」の左下の基本法というところで説明もなされております。そこには、他の法律や行政を指導誘導する役割を果たすものとなっておりまして、これまでの議論でも出ておりますが、いわゆる特定の施策に対して手段や手法、あるいは指標があって、その成果を測るかというものとは少し違う側面を持っておられるということですが、お話を伺った限りでは11の指標が立てられ、これに沿って評価されています。質問は、それが基本法としてのいかなる役割なり成果につながっているのかということです。
 資料の3−1「食育政策の妥当性(1)」のところでも、妥当性というところのタイトルは食育政策の妥当性なのですが、具体的には調査の時点で11指標に絞られているということだと思います。基本法として見るという視点をもし加えるのであれば、それだけでいいのかどうか、つまり法律や行政を何らかの形で誘導する部分があったのか、具体的に何か施策につながったのかとかいうような視点はなくてもいいのかどうかという点が質問であり、少し気になる点です。先ほどの参考資料5「第2次食育推進基本計画における目標値と実績値」の成果などを見ましても、市町村食育推進計画を作りなさいという役割においてはかなり成果が上がっているけれども、最終的なほかのものとも関連する、あるいは個人の行動とも関連する分野ではなかなか難しいというのは、恐らくほかの施策もあってということだと思います。
 そういう意味で、まさにおっしゃっておられる指標が妥当かということもあると思いますが、では基本法を評価する時にはどういう視点を付け加える必要があるのか、できるのかという点について、もし何か既に方向性をお考えであれば教えていただきたいというのが1点目でございます。
 それから、先ほど森泉先生からもお話のありました、グラフだけで見るというのは、やはりかなり印象に頼る部分が多いですし、具体的に拝見しましても目盛の取り方が図によってだいぶ違いますので、印象を左右するというところもございます。サンプル数を明記していただいて、コメントされる時に統計的な知見を多少加えてみていただければよりよいのではないかと思います。その中で11の指標についても、全部が同じ役割ではないということが既に御議論でも出ておりますので、基本法との関連でどう見るべきかということとあわせて評価していただければいいのではないかというふうに思います。

(谷藤分科会長) 最後のほうは御意見だと思いますので、第1番目のほうのいわゆる基本法そのものと言われるものが、法律なり計画なりを誘導というような性格を持つと。そこの評価というものを今後どのようにするのかということが質問として出されたと思いますので、そこのところだけ御回答願います。

(佐分利評価監視官) 貴重な御意見ありがとうございます。おっしゃるとおり、単純に指標を見るだけだったらこれは普通の政策評価ですので、かつ内閣府もこれは彼ら自身も言っておりますが、指標が全てではない。指標が変わることだけが食育政策ではないということは彼ら自身もよく分かって施策は進めております。
 そうした中で、先生の言われるような、食育基本法によって世の中が変わったのかということを、この指標以外で見る方法を考える必要があるかと思っております。
 そうした中で今回一つ示させていただいたのが、主語を見た上で、その指標が誰にとっての指標なのかと。あるべき姿というのを実際に実現していくためには、誰がどう変わることが求められているのかというところを見ていく必要があるのではないかと思って、今回資料3−1「食育政策の妥当性(1)」を作らせていただいたわけです。これに関しても各府省は当然いや違うだろうとか、こんなことは法律に書いてないとか、いろいろな意見もあると思いますので、そういったところも調整をしながら、食育基本法が指標以外の部分でどのように評価されるべきなのかというのを、残りの期間で詰めていきたいと考えております。ありがとうございました。

(谷藤分科会長) どうもありがとうございます。もっと議論すべきことがたくさんあろうかと思いますが、誠に申し訳ありませんが、ほかに御意見がございましたら、追って事務局へお伝え願いたいと思います。その意見を踏まえまして、3月までに最終的な取りまとめに持っていきたいと考えております。
 本日は審議事項がいろいろございますので、一旦食育につきましてはこれで議論を閉じさせていただき、続きまして、事務局から若干の報告がありますので、それに基づき各委員から御意見をいただきたいと思います。
 それでは箕浦政策評価課長から御説明をよろしくお願い申し上げます。

(箕浦政策評価課長) 政策評価課長の箕浦でございます。私から政策評価・独立行政法人評価委員会の組織改編に向けた状況について御説明申し上げます。
 本日資料は特段お配りしておりません。口頭での御報告になりますが、皆様御案内のように、本年6月に独立行政法人改革の関係で、独立行政法人通則法の一部を改正する法律という法律が成立をいたしました。この法律に基づきまして、今現在は同じ政策評価・独立行政法人評価委員会の中で、政策評価と独立行政法人を見ていただいておりますが、来年4月からは、独立行政法人の目標や評価につきましては、新たに設置をされます独立行政法人評価制度委員会という新しい委員会の下で審議されることになります。
 これに伴いまして、現在政策評価と独立行政法人評価のそれぞれについて審議を行っていただいておりましたこの政策評価・独立行政法人評価委員会につきましても、来年3月末に活動を終えるということになります。先ほど独立行政法人評価の部分については御説明申し上げましたが、現在、私ども行政評価局では、同様にやはり政策評価につきましても、引き続き有識者の先生方から御審議を賜りたいということで、そのための新たな審議会につきまして、来年4月の発足を念頭に予算要求、また内容の検討の具体化を進めているところでございます。
 また、そういった検討状況につきましては、予算の検討状況も含めまして、次回の分科会において御報告させていただきたいと考えておりますのでよろしく御承知おきいただければと存じます。事務局からは以上でございます。

(谷藤分科会長) ありがとうございました。今、説明がありましたように、来年度から政策評価・独立行政法人評価委員会の制度が大きく改編されるということでございます。政策評価・独立行政法人評価委員会の活動というものを、法律の改正によりまして終えなければなりません。終えるに際しまして、実は岡委員長から、委員会としてきちんとしたこれまでの活動の総括を行いたいというような意向が出されております。
 したがいまして、政策評価分科会でも、これまでの活動の成果と今後の課題について、少しばかり検討しておきたいと考えます。最終的には次回の分科会で少し議論したいと思いますが、私も政策評価分科会として成果と課題に関わる各委員の御意見を集約して提言につなげていくということは大変重要であると考えておりますし、将来の政策評価にとっても大変意義深いと考えております。
 次回の分科会の中で少し議論をいただきますが、本日は意見集約のための素材といたしまして、資料6を配布しております。この資料にとらわれることはありませんが、これまでの活動の総括並びに今後の課題、残された課題、あるいは新審議会への期待などについて、委員から御発言をいただければ幸いでございます。
 本日は、可能な限り全ての委員から御意見を賜りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。これに基づいて資料を作りまして、次回議論をしていただくという手続で、箕浦政策評価課長、よろしいでしょうか。

(箕浦政策評価課長) はい。そういうことでお願いいたします。

(谷藤分科会長) それでは各委員から、突然のようで大変申し訳ないですが、御意見をいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

(森泉委員) 私は、政策評価の大きな視点ではなく、その手法について、思っていることを述べさせていただきたいと思います。先ほども申しましたが、やはり、政策評価については、アメリカでは盛んに数量的な分析が行われています。政策評価に当たって、そろそろ日本でも、いろいろな統計的手法がありますので、是非それぞれを使って、いろいろなメジャーに関してその効果を数量的に測っていただきたいと、ずっと携わっていて感じておりました。
 それに対して、先ほども申し上げましたが、ただ平均を比較しても、いろいろな要素でもって政策の結果が出ているので十分ではありません。法律のビフォア・アフターという考えは全くそれでよろしいのですが、ビフォア・アフターで比較しますと、例えば先ほどの食育の例でしたら、基本法以外の隠れた変数とでも言うのでしょうか、そういうものがたくさんあるわけです。その隠れた変数の影響をできるだけ除いて、基本法の影響だけを見るというようなことができる環境を、是非次は目指していただきたいと思います。
 私は、委員になりもう今年で10年になるわけですが、当初からこういうことを申し上げてきました。当初余りそういうことは反映されていなかったように思いますが、ここ数年びっくりするほど皆さん努力なさって、ロジット回帰分析といったようなことまでしてくださって、私自身は非常に感激しております。
 さらに、そういった意味では、政策評価に数量分析を取り入れていただきたいのですが、先ほども申し上げましたように、統計調査にチェック項目を一つ入れていただくだけでも大分違って、統計局のデータはインターネットのデータよりもずっとデータ設計もきちんとしていますし、それに何と言っても標本数が多いわけですから、それを一つ入れていただくということをしていただきたいと思います。官庁統計というのは、ある種の業務統計だと思いますので、もう少しオープンに利用させていただいてもいいのではないかと思います。当然、一つの項目を入れるとほかのものを外せと言われることもあるか思いますが、例えば、チェックを入れるくらいのものでしたら、大した負担ではないと思いますので、その辺りは是非交渉して、これから官庁統計をもう少し積極的に利用して、数量的メジャー、数量分析を是非利用、活用していただきたいと思います。以上です。

(谷藤分科会長) ありがとうございました。それでは一番遠いところにいますが、森田委員何かございますか。

(森田委員) 今までの活動ということで、10年間で試行錯誤をしてきたところだと思いますし、結論的には今森泉先生がおっしゃったようなことになろうかと思いますが、私自身、評価に関して少し考えていることを述べさせていただきます。やはり数量的な分析手法もそうなのですが、本来評価と言いますのは、事前のプログラム評価と言いましょうか、ある目的、ある課題を解決するために何をどうすればいいかということについて、あらかじめあるデータを使ってきちんと調べてみる。そうして評価をしてみて有効ならばその政策を採択すると。公共事業の場合には、そうしたことがかなり入ってきたと思います。先ほどの朝食を食べないとどうなるのかということは、本当にそこに因果関係がないとは申しませんが、朝食を食べることがそれほど効いているというエビデンスがあったのかという疑問を持ちます。
 数量的な分析手法をまず取り入れていって、そこをクリアしないと。先ほどの話に戻りますと、基本法は基本的な方向を示すものですからいいのですが、そこから先の施策に結び付くようなものについては、しっかりとしたチェックをした上で、政策に結び付けていくことが重要です。そういう役割というのは、新しい評価委員会でこれから果たしていく必要があるのではないかと思っております。

(谷藤分科会長) ありがとうございます。それでは、お隣の前多委員お願いいたします。

(前多委員) 私は、この委員会では恐らく新参者だと思いますが、ここ数年この委員会でいろいろな評価を見てきて、やはり数量的というか、指標を統計的にするということは、統計的ということは客観的ということですが、それぞれの委員の方がかなり積極的に発言してきたと思うのですが、恐らくここ数年、私の印象では方向性としてはかなり改善してきたのではないかと思っています。
 ただ、今回の食育の推進に関する政策評価等を全般的に見ると、その方向性には来ているが、まだまだ不十分ではないかと思っています。そもそも、政策評価は国民の税金を使って国が政策を行って、それによってどのように国民の生活が向上したかということを、客観的に示す非常に重要な役割を持つものだと思いますので、そういう形で是非これからも客観性というものを重視して、手法を向上していっていただきたいと思います。以上です。

(谷藤分科会長) ありがとうございました。それでは中泉委員、どうぞ。

(中泉委員) 森田先生のお話に補足させていただきます。やはり、政策評価の最大の目標は、いかに評価結果を政策決定に反映させて、いかに政策を改善するかだと思っています。そういう意味で、実は欧米ですと、例えば政策評価書がもうドラフトの段階でレビュー当局がチェックし、パブリックコメントにも出て、その結果政策自体が改善していくというプロセスができており、それが非常に良く見えるようになっています。ところが、日本の場合はなかなかそれをインプルメントする手段がなくて、結局最終的に規制も全部出来上がった後に、すばらしい評価書が出てくる。しかしながら、時すでに遅しという感が否めず、ではこれを何に使うのかという状況になります。それが、一部のところから聞かれる評価疲れというようなことにもつながってくると思います。
 そういう意味で、いつも申し上げている反面、非常に難しいことではあるのですが、可能な限り政策決定に反映できるように、できるだけ初期の段階でその政策を評価も含めて分析をする方向に是非誘導していただきたいと思います。もう本当に、個人的には、例えばその審議会の資料をまとめてそれをドラフトにするということでも、国民としては非常に有益で重要ですし、その方が政策に反映できると思います。そういう意味で、政策決定にいかに反映させるかということを是非考えていただきたいと思います。
 また、私は、実は元々特に政策評価の中でも、規制の事前評価を専門にしておりまして、そうするとOECD各国を見ていつも悲しいのは、ほかの国は規制の事前評価がむしろ政策評価のメインであるということです。いかに規制を入れる時に事前に分析をして評価をすることが重要であるかが、特に英米では非常によく理解され、政策評価のメインになっています。ところが、日本ではなかなか規制の事前評価が浸透しない。実際に評価書などはすばらしいものも出ていますし、一部のところでは恐らく世界トップというような評価書もたくさんあるのですが、やはり政策決定に反映させるという意味では、我が国は少し弱いかと思います。
 そういう意味で、例えば予算の場合は主計局でしたり、人員に対しては内閣人事局でしたり、そういうある種の司令塔みたいなところがあるのですが、なかなか規制の場合、最終的に統括するような司令塔のような組織がない。非常にチャレンジングで、本当に願望なのですが、そういう司令塔の組織作りから、規制の事前評価というものを考えていただければと思います。以上です。

(谷藤分科会長) ありがとうございました。それでは田中委員どうぞ。

(田中(常)委員) 私は政策評価の専門家ではないので、いまだに素人のような発言かもしれませんが、まず政策評価をする時に、要因分析がきちんとできていないものが多いように思います。要因分析ができていなくて政策評価をしているとなると、ほかの要因を拾っていることが多く、よく分析ができていないように思います。
 特に、例えば、出生率の問題を、何度かいろいろなテーマで随分議論をしたと思うのですが、その時に感じたのは、要因分析をしていないために、なかなか政策の効果が見えないということです。一番大きなファクターは景気だったりするにもかかわらず、そういうことがよく分析できていない。その時に要因分析をしたらいいのにと思うのですが、遠慮してしまって、その統計分析をしない。収入であるとか地域であるとかを要因のファクターとして分析をしていないというようなこともあって、もったいないと思いました。
 その辺りをもう少し、政策評価の領域ではないかもしれませんが、今後の政策に活かすにはそこまで踏み込んだ方がいいと思います。と同時に、もう一つは、予算との関連で、やはりコストとのつながりも避けて通れないのではないかと思いますが、ここではなかなか、ここで評価する範疇ではないかもしれませんが、やはりどこかで要因分析と予算との関連といったものは考えておかないといけないのではないかと思います。以上です。

(谷藤分科会長) ありがとうございました。それでは引き続きまして佐藤委員、お願いします。

(佐藤委員) それでは3点ほどです。
 私のバックグラウンドは経済学者ですが、一つ目として、なかなかこの政策評価というものが経済学の分野で普及しないというか、熱心に研究される方が余り多くないというのは、一つはやはりデータがないからだと思います。
 例えば、今回の食育についてもアンケート調査をされたり、先ほど森泉委員からもありましたが、ロジット回帰分析、ワークライフバランスの時だったと思いますが、ああいう形でアンケートをとったりしていろいろとデータを集めていらっしゃると思います。
 恐らく、総務省として行った分析の仕方もありますが、同じデータを使うまた違う分析手法もあるかもしれないので、せっかく集めたデータは可能な限りオープンにして、いろいろな人に分析してもらいましょうという、そういう環境を作ってみると、我々学者も助かりますし、我々が思いつかないようないろいろな分析の仕方が出てくると思います。それは一つのアイデアかと思います。
 それから、ここ数年、私も政策評価に関わって長いですが、ここ数年やはり大きく動いているのは、標準化というか、ほかの省庁の政策評価について横串を刺すということは非常によくできてきていると思うのですが、やはりいまだに少し頭の整理がつかないのは、私は行政事業レビューにも携わっているので、政策評価と行政事業レビューという縦の関係というのは、いまだにきちんとつながっているのかというところは、やはりなかなか悩ましいところがあると思います。先ほど食育の話がありましたが、これは恐らく行政事業レビューでも議論があり、幾つかは廃止か予算縮減があったと思いますので、そういったところの関係も、本当はもう少し意識されたほうが良かったように感じました。
 最後ですが、やはり先ほど、PDCAとはよく言ったものですが、なかなかアクションがないということで、せっかく良い評価をしても、それが次の予算にきちんと反映されているのかというところは、なかなかそうではないと言うしかないと思います。やはり政策評価を発表するタイミングもそうだと思いますが、もう一つ、予算というものは、ここでも何度か議論になりましたけど、事業ベースで出て行くのに対して、政策評価の評価単位は政策なので、これを出してもなかなか予算要求にすぐにつながらないところがあり、予算の制度を変えないといけないのか、評価の仕方を変えないといけないのか何とも言えないのですが、やはりもう少し、予算要求とつながるような仕組みにしていく必要があると思います。具体的には、やはり政策コストをきちんと明示して、例えば、こういう食育にしても、もう少しブレークダウンをしないといけないのかもしれませんが、やはりきちんとそれぞれに政策コスト、それは人件費も減価償却も本来は入れるのですが、これを明示して、予算としてきちんと要求される、あるいは予算としてカットされるという、何かそういう環境をきちんと作っていくことが必要だと思いました。
 あとすみません、最後に1点だけ。これも蛇足になってしまいますが、結局こうした政策評価をいつもやっていても、地方にお金が回ると何をやっているのかよく分からないという、先ほどの内数などはそうだと思います。ただ、ここは総務省なので、良くも悪くも地方自治体とはお付き合いがあり、地方の実態を把握できる良い立場にいらっしゃると思いますので、もう少しこれからの政策評価を行う時には、地方の実情も踏まえた形での評価につながればよろしいかとは思いました。以上です。

(谷藤分科会長) ありがとうございます。それでは小峰委員、お願いいたします。

(小峰委員) 先ほどの中泉委員の発言とかなり似てしまいますが、私も基本的には政策評価が重要だという認識があちこちで非常に強まってきたということは大変な進歩だと思います。ただ、それが本当に期待に応えられるだけの成果を挙げているかという点については、やはり政策評価の最終目標は、実際に政策がそれによって効率化する、または従来のやり方が変わっていくというところにありますので、そこまで達しているのかという点については、まだまだ改善すべき余地があるのではないかと感じます。
 その例として、これも中泉先生がおっしゃった規制の事前評価に私も一番期待をしていて、建前としては新たな規制を導入する時には事前評価を出して公開するということになっているのですが、実際は、例えば、雇用規制で非正規雇用者は3年以上で正社員になるという規制を導入する時に、経済学者は、大体そういうことをすると、3年より前にクビになってしまうため、かえって非正規の身分が不安定になるという副作用をかなり強調していて、この時一体どういう評価書が出るのかと思っていたら、本当にもう閣議決定の数日前にぽろっと出てきて、恐らくほとんど誰も見られない上に、見ようと思えば見られますが、見ても今さらというようなタイミングで出てくるというようなことなので、この辺りは、規制についてはやはり実際にそれを実施しようとする企画段階からこういった事前評価についての情報を公開して広く議論するということを行っていかないと、せっかく制度を作ってもなかなか効果は出ないということになるのではないかと思いました。以上です。

(谷藤分科会長) ありがとうございます。それでは門脇委員お願いいたします。

(門脇委員) 私は、実業の世界の人間でございますが、その観点から見て、この政策評価委員会は、なかなか難しい議論をされているように思っております。
 我々の世界では、一つ仕事の方針を決定する場合には、試行錯誤を含めまして、悪い結果が出た、または予想されるようなら、すぐに方針や手段を変えます。もちろんその結果の分析は重要で、それを次に生かすことを最も重要視します。当然、企業の中でも議論はありますが、それはそれで決着をさせて先に進む。そうして試行錯誤をする。試行錯誤が、ある意味では、プラン、ドゥ、チェック、アクションの実行につながります。
 ここでのお話をお聞きしていますと、正直申し上げまして、なかなかアクションまで行かないだろうなと思います。民間の場合には、なぜプラン、ドゥ、チェック、アクションがまわるのかというと、毎期毎期、赤字か黒字か、増益か減益か、結果がはっきり出てくるから、アクションまで持っていかざるを得ない。行政の場合には、結果に出にくいわけですから、それゆえに民間と同じようにPDCAを徹底させることに万能を求めるのではなく違った方法も考えてみる必要があるように思います。より多くのデータを整理して分析をされるなど、先ほどおっしゃいましたが、規制の事前のデータ蓄積のようなものが必要なのではないかと思います。
 この会議で、かつて法曹人口を大幅に増やす政策が実施され、その結果の議論をしたことがあったと思いますが、あれは極めて私にとっては印象深い議論だったと思います。現実に、しかもあれほどの結果が出ると、実際の政策も法律に裏打ちされていたとしても、調整せざるを得ないという方向に動いたと思いますが、そのことが非常に印象深い思い出です。
 今後に生かしていただきたいことを考えますと、過去ここで議論されたものの中で、そのように何らかの形で政策の決定や政策の施行に関して、非常に大きな変化を与えるような分析や議論をされたことがあるのかどうか、もしあったとすれば、そういったものをまとめて総括をしていただきたいと思います。いわゆる政策評価でありますので、基本的には法律をベースにされているのだと思います。立法府と行政府の関係というのは非常に難しいものでありますが、法律の中にはもう時代にそぐわないような法律もあるあと思われます。行政の結果をフィードバックするかたちで、行政府から立法府に対してなんらかの影響を与えられるような仕組みや制度を議論していただければということが私の希望でございます。
 民間から来ている人間が、大変的外れな議論をしているのかもしれませんが、それはお許しいただきたいと思います。

(谷藤分科会長) ありがとうございました。それでは小野委員、どうぞ。

(小野委員) 私からは2点申し上げたいと思います。これまでの活動の総括というか、感想のようなものと、それからそれを踏まえた今後への期待といいましょうか、課題のようなことになろうかと思います。
 まず1点目は、私は、ここ数年間関わらせていただいた中で、目標管理型の政策評価を導入するワーキング・グループに加えていただいて、いろいろな議論をさせていただいたのですが、その前後も含めて、今でもそうですが、やはりそこで使われている、基本的なツールである指標と、そこで出てくる数字、目標値であれ実績値であれ、その数字の信頼性のようなものも含めて、やはり課題が依然としてあると感じます。
 その2〜3年前に、自分の仕事として、中央省庁の政策評価制度の中で使われているいろいろな数字の品質のようなものを調べまして、論文にも書きましたが、やはり省庁間でかなり差が大きいです。全体として良くなってきていることは間違いがないと思いますが、そういう意味ではまだまだで、なかなか一朝一夕にはいかない話だと思いますが、この点については引き続き、これからより一層、品質を向上させるためのいろいろな方面での努力や仕掛けが必須なのではないかと思っています。それが1点目でございます。
 それから2点目が、これも目標管理型の政策評価の時も少し議論に出たと思いますし、そのほかにも時々出ていると思いますが、総合評価なり、あるいは欧米流の、今日の各委員の方のお話にも出てきていると思いますが、プログラムエバリュエーションのようなものを、いかにきちんと実行するか、あるいは少しでもそれに近いものにできるかという話です。
 それに関連して少しお話ししたいのは、例えば、私の学生の卒業論文の指導やゼミなどで、学生が関心を持っている、あるいは勉強しようとしている、調査している政策について、それが地域の政策や取組でも、そのほとんどが国の政策が元にあるというものですから、機会があるごとに学生に、政府の政策評価を見て、政府がその政策についてどのように評価をして、説明しているのかということを調べさせるというか、勉強させるのですが、その時の学生の反応と言うか、感想と言いましょうか、報告といったものを見ていて、やはり多くの場合、なかなか学生も納得できるようなものを得られておりません。
 恐らくは、私のところの学生は多少予備知識があって、多少関心がある国民というものの代表的な姿かと思うのですが、そういう人たちが政府の政策評価の評価書や関連情報を見た時に、知りたい、関心がある政策について政府がどのように評価しているのかということが明確に分かるようなものになっている必要があります。評価対象になっていなければ仕方がないですが、評価対象になっている場合も、なかなかそうなっていないという現状があるように思います。
 では具体的にどのような課題があるのか、たくさんあって今ここでは挙げきれませんが、やはり、そもそもの大きな目標として、国民への説明ということもあると思いますので、その辺りの観点から言ってもまだまだ、取り組むべき課題はたくさんあるということも申し上げて、2点目としたいと思います。以上です。

(谷藤分科会長) ありがとうございます。それでは牛尾委員、どうぞ。

(牛尾委員) これまでの活動の総括ということで、私はやはり政策評価を行ってきた中で、一番の大きな成果は、政策評価の「見える化」だと思います。その中でも特に評価させていただきたいのは、ポータルサイトを作られたことです。それによって、政策評価に係る全省庁の情報公開が、一国民の目からもわかりやすく見ることができるようになりました。作業的には非常に大変だと思いますが、やはりこれは大きな前進だと思います。
 2点目は、各府省間、あるいは担当者間で、資質の差というか、担当者次第で政策や事業などをされていた面があったところが、ある意味では、その質のバラツキが減っていくという効果もあったと思います。第1点の、情報公開でやはり一番大きな成果は、皆さん御記憶にあると思いますが、復興庁の予算が、実は他事業に使われていたということが、事業シートのチェックからわかったような部分もありましたし、そういった意味でも、国民に対して政策評価をすることで、どういう政策がなされているかということが、まだ端緒ではありますが、見えるような形になってきたということは、私は大きく評価したいと思います。
 今後の希望ですが、ほかの委員の方が地方の実情ということをおっしゃっていたのですが、地方でお金がどう使われているかわからないという側面以外に、地方の実情を反映していない施策が、霞が関で政策として作られ行われているということも非常に大きいです。
 例えば、現地を一度も見たことがない人が霞が関である事業なり政策なりを立案して、予算を付けて事業を行ってしまう。ところが対象とされる地域の実情を反映していないために、全くそれが効果的でなくて、最終的に地方がその帳尻合わせをさせられるという事態もあります。そういう意味では、今後の新しい審議会には、やはり地方の実情を反映できるような形での意見の聴取というものを取り入れていただきたいと思っております。以上です。

(谷藤分科会長) ありがとうございました。それでは藤井委員、どうぞ。

(藤井委員) 簡潔にいたします。ここ2、3年を振り返りますと、行政事業レビューとの関係の整理なども含めまして、全体の枠組みの見直しや整理ということを進めてきたかと思います。標準化・重点化が重要だということ、あるいは見やすくするということで、ポータルサイトも含めて、最初はなかなか難しいのではないかという印象を持った部分につきましても、かなりの程度、枠組みとしては標準化あるいは重点化ということで、いろいろできてきたのではないかと思います。
 要望といたしましては、そういったものが、実施時期の重点化ということもありまして、単年度で回っていく仕組みにはなっていないので、想定においても3年とか4年かかるというサイクルを26年度に設定しているという状況です。したがいまして、それがきちんと使われるようにしてほしいということ、この場でも議論してきたものが実際に実効ある形で進むように、今度はその中身といいますか、うまく使うというところに重点を置いて進めていただければと思います。
 先ほど来、予算への反映といった意味で、使われる、役に立つということが重要だという御指摘が出ておりますが、そのとおりだと思います。そのためには、枠組みなり指標なり手法なりを使いながら良くしていくということも不可欠の要素になるのではないかと思いますので、総務省においては、評価が上手にできるかということだけではなくて、それをうまく次の施策なり政策なり、あるいは事業なりにつなげていくということが、どう成功裏にできているのかということもフォローしていただければ、大変良いのではないかと思います。
 先ほど来、統計や定量的データの話が出ております。佐藤先生がおっしゃられますように、公開していただければ使いたいということで、分析はその時点だけでなくても良いわけですので、それは広く関心を持つ者に委ねるということにしつつも、先ほど申し上げた直接の評価の結果は、次の政策にとうまくつなげていけるように見ていただきたいと思います。
 最初のプレゼンテーションの中で、測れないものは成果にならないという御指摘があって、私どももそういうことをよく申し上げておりますのでそのとおりなのですが、測れるものをきちんと測るということはしてきましたし、重要だと思いますが、測れないものをいかにうまく扱うかということも、もちろんおろそかにされないとは思いますが、忘れないでいただければと思います。以上です。

(谷藤分科会長) どうもありがとうございました。ほかにも御意見があるかと思いますが、時間になってきましたので、この辺りで終えたいと思います。
 これまで10年間の中で、私たちが一生懸命標準化や重点化、あるいはもう一つは見える化といった体制を作ってまいりましたが、それについてまだ十分な、いわば成果が上がっているわけではなく、先ほどから各委員が指摘されておりますように、予算にそれが十分反映されているのか、新しい政策開発に十分それがつながっているのかというようなPDCAの、いわば体制の在り方というものをもう一度ここで改めて見直しをしていかなければならないのではないか、そういう段階に来ているのではないかと思います。
 それから、もう一つございます。PDCAのCのチェックのところですが、政策評価制度の導入から10年以上も経ちまして、政治学、行政学、経済学の中でも、評価の手法やモデルが随分変わりつつあります。
 そういういわば変わりつつある評価モデルというものを、今後の政策評価にどのように反映していくかといったことも、恐らく今後の課題であると思います。残された課題がたくさんあると思いますので、どうぞこれからも御検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。ほかに御意見がございましたら、追って事務局へお伝え願います。
 以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の政策評価分科会を終わります。

以上

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