会議資料・開催案内等


政策評価・独立行政法人評価委員会(第29回)議事録
(政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会の合同)


1.日時  平成16年3月12日(金)10時00分から12時30分

2.場所  中央合同庁舎2号館 第1特別会議室

3.出席者
  ( 委員)
村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫委員
縣公一郎、浅羽隆史、阿曽沼元博、梶川融、河村小百合、黒川行治、黒田玲子、島上清明、鈴木豊、武田尚仁、田渕雪子、玉井克哉、新村保子、山本清の各臨時委員
事務局)
田村行政評価局長、関官房審議官、橋口総務課長、讃岐評価監視官、
秦評価監視官、安治川政策評価審議室長ほか

4.議題
(1)  臨時委員の任命について(独立行政法人評価分科会関係)
(2)  新設独立行政法人の概要等について(経済産業省・総務省)
(3)  独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率について
(4)  報告事項

5.配付資料(PDF)
(1)  独立行政法人一覧
(2)  新設独立行政法人(経済産業省、総務省)の概要
(3)  経済産業省所管の新設独立行政法人について
(4)  総務省所管の新設独立行政法人について

6.参考資料(PDF)
(1)  独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率について
(2)  独立行政法人教員研修センター主要な事務及び事業の見直し関係資料
(3)  年報(平成15年度版)の構成(イメージ)







○村松委員長
  これより、政策評価・独立行政法人評価委員会の第29回会合を開会いたします。まず始めに委員の異動についてご報告いたします。席上の名簿をご覧ください。島上清明さんが新たに臨時委員にご就任されましたので、ご報告いたします。一言ご挨拶いただければと思います。

○島上臨時委員
  島上でございます。どういうことでお役に立てるか、まだ自分自身イメージがわいておりません。ご迷惑を掛けることもあるかと思いますが、ひとつよろしくお願いします。

○村松委員長
  引き続きまして、委員会令第5条に基づきまして、新任委員の分科会への所属について私の方から指名させていただきます。島上臨時委員につきましては、独立行政法人評価分科会にご所属いただくこととさせていただきます。宜しくお願いします。ご専門の分野における実践的な知見や知識を基に幅広くご意見をいただけたらありがたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
  それでは引き続きまして、独立行政法人評価分科会の案件として、経済産業省と総務省からのヒアリングを行います。議事進行につきましては、独立行政法人評価分科会の富田分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○富田分科会長
  それでは、独立行政法人評価分科会の案件といたしまして、経済産業省、総務省それぞれの所轄の新しい独立行政法人の概要等につきまして、まず事務局から簡単に説明をいただいたうえで、両省から順次説明をいただき、質疑応答をお願いしたいと思います。何分にも経済産業省は五つの新設法人についての説明ということで、時間も限られておりますのでできるだけ有効に使いたいと思います。それでは、まず事務局、讃岐評価監視官よりお願いします。

○讃岐評価監視官
  今日は大変多くの資料を用意させていただいております。まず、資料の中の資料2の1枚紙があると思います。この資料2が本日のヒアリング対象の法人の一覧でございます。これをごく簡単にご説明したあと、詳しい内容は各省の担当者からヒアリング、またご質問をいただければと思います。経済産業省については5法人ございます。いずれも先般の特殊法人等改革に伴って独立行政法人となったものでございまして、前身は基本的には特殊法人あるいは認可法人でございますが、真ん中の原子力安全基盤機構だけは公益法人改革の流れの中で行政委託的な仕事をしているものについては国の独立行政法人とするということで新たに独立行政法人となったものでございます。
  特徴的なことをもう1点申し上げます。財源措置のところでございますが、先行独立行政法人はほとんどが運営費交付金で仕事をしていたわけですが、これらの法人については補助金が財源に占める割合が非常に高くなっているということであります。5法人とも昨年10月以降に設立されたものでございまして、今年3月31日に最初の事業年度が終わるということで、これから最初の評価に取り組んでいかなければならないものです。一番下の石油天然ガス・金属鉱物資源機構は2月29日に設立されたものですが、最後の事業年度は1か月ということでございますが、これについても最初の評価に取り組んでいくということでございます。
  もう一つ総務省につきましては、平和祈念事業特別基金ということでございますが、これは戦後処理の中で、戦後の恩給欠格者に対する慰藉事業を行う認可法人として設立されたものが独立行政法人に移行したものでございます。時間の関係等ございますので、詳しい内容等についてはヒアリングの場にできるだけたくさん時間を使っていただければと思いますので、私の説明はこれだけにとどめます。

○富田分科会長
  それでは所管の省庁のヒアリングを行う前に事務局にぜひとも聞いておきたいということについて、どなたからでもお願いいたします。

○富田分科会長
  では特にないようですので、経済産業省からのヒアリングに移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。経済産業省の担当者が入室されますので少しお待ちください。

○富田分科会長
  本日は経済産業省の内山政策評価広報課長にご出席いただきましたので、経済産業省所管の新設独立行政法人の概要等についての説明を5法人合計20分ほどお願いした上で、私どもから質問をお願いしたいと思います。それでは内山課長からよろしくお願いいたします。

○経済産業省大臣官房政策評価広報課 藤野企画調査官
  本来、内山が出席する予定でしたが、昨日から急遽体調を崩しました。恐縮ですが、代理で藤野と申します。企画調査官でございますが、代わって説明させていただきますので、よろしくお願いします。
  お手元の資料、経済産業省所管新設独立行政法人の概要ということでございまして、昨年秋以降新たに当省所管の五つの法人が設立されました。その法人について簡単に概要だけご説明申し上げます。
  1ページ目でございますが、各法人の概要といたしまして五つの法人が並べて掲げてあります。上から順番に申し上げますが、1番目が新エネルギー産業技術総合開発機構。既にNEDOとしてご案内かと思いますけれども、前身は特殊法人時代のNEDOでございます。2番目は独立行政法人、日本貿易振興機構でございましてJETROとして既に特殊法人時代からご案内かと思います。3番目は独立行政法人原子力安全基盤機構でございますが、これはもともとわが省の組織である原子力安全・保安院の一部をコアといたしまして、関連する業務を公益法人に委託しておりましたが、それをこちらに統合する形で新しく発足した独立行政法人でございます。下二つはいずれも今年の年明けから設立されたばかりの法人でございまして、上が情報処理振興機構で、かつては認可法人情報処理振興事業協会、IPAという名称で活動しておりました。一番下が石油天然ガス・金属鉱物資源機構でございますが、これは特殊法人時代、金属鉱業事業団と石油公団の二つの独立した法人でございましたが、それらが統合されて新しくできた法人でございます。
  1ページめくっていただきまして、個別の法人ごとにポイントを説明させていただきます。2ページ目はNEDOでございます。基本的考え方のところにこの法人の主な理念、ミッションが掲げられています。(1)産業技術政策及び新エネルギー省エネルギー政策の中核的実施機関として位置づけるというのが一つのポイントです。(2)産業競争力の強化に資する研究開発の実施ということで、成果を上げるNEDOということと企業や大学が取り組みやすい事業実施体制の構築ということで、利用しやすいNEDOということを社会的にメッセージを発してその活動を充実していきたいと考えております。(3)重点4分野、いわゆるIT、ライフサイエンス、ナノテク、環境を中心として産業技術の開発に関する事業の実施を重点化すると共に研究開発プログラムと称しておりますが、当省の産業技術開発政策とも整合性を図って政策当局との緊密な連携を行うということを考えております。
  中期目標期間でございますが、昨年の10月1日から始まったものですから、中途半端な数字ですが4年6か月ということで5年間を基本的なベースとしております。業務運営の効率化については昨年8月閣議での小泉総理の発言を踏まえて、当時の石原行革担当大臣からご指示がありました目標期間中1割あるいは2割といった目に見える削減を目指すということでございます。したがいまして、一般管理費につきましては2行目にありますように15%を上回る効率化を目指すことを考えております。また、これと併せて事業費については特殊法人時に比べて5%上回る効率化を達成するということを目標に銘記しております。
 具体的にどのような業務をどのような目標を掲げてやるのかという例でございますが、2ページほどページをめくっていただくと4ページに別添という表がございます。これは具体的な目標の例でございますが、上の表の左側に事業の類型というのがございます。主に大学等のより基礎的な所から、上から下に行くに従ってより実用化、企業化を目指した事業などいくらかの種類、フェーズがございます。例えば、「成果を上げるNEDO」の欄をご覧になっていただくと、提案公募事業については不必要な重複や特定の研究者への集中を排除するなど効率的な分配に努めると共に、査読済み論文発表1,000本以上として、括弧内は特殊法人時代の数字でございますが、1桁上を目指した目標を掲げております。
  その下、中長期ハイリスクの研究開発事業ということでございますが、その下のグラフをご覧ください。中長期的な規模で行う比較的大きなプロジェクトについては、プロジェクトの期間の途中で中間評価を行うことにしております。例えば、プロジェクトが始まってから3年から5年ぐらいしたところでございます。その時の評価の尺度として右横下にありますように、研究開発の成果ともう一つはNEDOはあくまでも産業化・実用化を目指す組織ですので、左上にあるように実用化の見通しという二つの尺度で評価いたします。それぞれ点数付けをして、それぞれがある一定の点数以上になるように、右上にある点線の範囲内に入ることを目標として、仮に入らないものについては中間評価の段階でアウトにして後半に進めないようにするということで、そこで厳正な評価を行っていくというような取り組みをしようと考えています。
  あと、「成果を上げるNEDO」と並んでもう一つのセールスポイントである「利用しやすいNEDO」でございますが、これは上の表の右側をご覧いただくと縷々書いてございますが、例えばこれまでは提案を年1回受け付けていたものがほとんどですが、それを随時受け付け、複数回採択を実施する。あるいは、公募が締め切られてからある一定の日数以内で採択を決定するというように、より使う人に使いやすい制度を充実していきたいと考えております。
  次は2番目の法人、JETROでございます。お手元5ページに掲げられております。基本的考え方としてそこに三つあります。(1)貿易振興及び開発途上国調査研究の中核となる実施機関というのが法人の理念です。(2)事業の重点化ですが、アンダーラインの部分でわが国経済の活性化に寄与する事業への重点化、特に対日直接投資の促進及び中小企業の輸出支援を図るということで、これまで輸入促進に重点を置いてきたところを、国の政策を踏まえた方向転換を図ってこういったところに重点を置くことを考えています。あと、顧客満足度調査の活用ですとか、適切な受益者負担ということで、そのサービス、質の向上を図っていきたいと考えています。(3)については特に通商上の政策的な必要性も踏まえて、東アジア地域にネットワークを重点化することなどによってメリハリをつけていきたいと考えております。
  1.中期目標の期間は3年6か月で、平年ベースでは4年を目指しています。2.業務運営の効率化でございますが、先ほどもありましたように一般管理費については1割をミニマムとして特殊法人比で10%以上の効率化を達成します。3.国民に提供するサービスの質の向上ですが、先ほど申しましたように(1)対日直接投資の促進ということで、ア)にあるようにワンストップサービス体制を整備して対日投資の案件発掘件数の大幅増大を図る。具体例でございますが、平成14年度まで旧特殊法人時代のJETROにおいては年間300件の実績しかなかったものを1,000件程度に増やすなど野心的な目標を掲げております。
  対日直接投資と並ぶ重点課題が(1)中小企業等の輸出振興でございます。これも輸出商談を中心として中小企業の輸出をサポートしますが、具体的な計画としては年間平均8,000件程度の輸出商談件数という、特殊法人時代の5,000件程度に比べて相当野心的な目標を掲げております。このほかに満足度調査を実施いたしまして、商談に来られる中小企業の方等にJETROのサービスの質やコストパフォーマンスについていろいろアンケートを取って、その満足度調査がある一定以上になるように質の充実に努めていくことも考えております。(2)貿易投資円滑化のための基盤的活動ということで、これまでもJETROとして特に海外事務所を中心とした情報の収集、分析、発信などを行っておりました。これにつきましても、先ほど申し上げましたように東アジアにネットワークの重点を移すなどといった体制整備も踏まえて充実していきたいと考えております。(3)アジア経済研究所の活動でございます。昨今のイラク問題が起こって以来、酒井さんという方が非常に有名になっておられますが、こういった開発途上国の経済研究活動も今後引き続き重点化していきたいと思っております。特に、ア)にございますように東アジア域内の経済発展に向けた調査と、イ)にございますように、一方でいわゆるODAなどの経済協力政策をやっておりますけれども、そういったものに有効に活用するための調査を行うということを考えております。(4)はこれまでJETROがいわゆる現業として行ってきた現場の相談業務等と、今申し上げましたアジア経済研究所の調査研究業務をより効率的に融合させることによって、いわゆるシナジー効果を図っていきたいということを法人として考えております。
  4.の(1)にありますように、今後は民間・地方自治体等からの受託を拡大するということで、資金体質の改善とユーザーの拡大を図るということが一つ。もう一つはこれまで往々にして無料でやってきたのですが、受益者負担を導入すると共に、顧客に提供するサービスの負担内容をいろいろメニュー化することによって、相手のニーズに応じたきめ細かなサービスを提供していきたいと考えております。
  続いて、原子力安全基盤機構でございます。略称はJNESと申します。これについては基本的考え方の(1)、(2)に集約されております。(1)原子力安全行政の基盤的業務を実施する専門機関として原子力安全基盤機構が創設され、原子力安全確保に関する知見の集積活用を図るということが一つ。もう一つが(2)専門家集団として、安全規制にかかる業務を公正中立に実施すると共に、原子力安全規制の高度化に貢献するということを理念として置いております。
  1.中期目標期間は3年6か月でございます。2.業務運営の効率化の(4)にございますが、これについても一般管理費については機構設立時比で10%を上回る効率化を達成することを明記しております。3.業務の質の向上でございますが、原子力安全行政にかかる基盤的業務の実施機関として規制に係る業務を的確に実施すると共にその能力を総合的に活用して安全規制の高度化に貢献する。また、原子力の安全確保に関する情報を積極的に提供、発信する。その結果として原子力の安全確保。あとは国民の信頼の構築に寄与するということを質の目標として掲げています。
  具体的な業務については8ページにございます。やや技術的・専門的になるかもしれませんが、この法人の性格上、国の法律に基づいて安全規制を行う組織であって、したがって法的に義務づけられた立入検査、安全検査等を行います。その検査の中で特に裁量性が少なく、更に専門性が高いものを国の体系から切り出して、この独立行政法人に行わしめるということになっています。したがいまして、具体的にみずから営業ですとか顧客を広げていくという形の業務に馴染まないものですから、なかなか定量的な目標には馴染まない面があります。一方で、例えば(1)検査等業務にございますが、法律に定める検査等を的確に実施するということが強く求められます。また、より効果的で実効性の高い検査等、業務の在り方を検討して原子力安全・保安院に提言するなど積極的に発信していきます。(2)原子炉施設等の設計の妥当性を評価するために、原子炉を作るにあたって事業者が安全性をチェックすることが法律上求められていますが、そのチェックと併せて二重チェックすることをこの独立行政法人が行うことによって、その安全性チェックの精度確度を高めるという業務を担います。事業者が行う安全解析のクロスチェックを的確に実施することやトラブル時の解析を行うことも考えています。(3)防災支援業務でございますが、万が一の場合原子力施設が立地されている地域の安全性確保、あるいは住民の避難等を行うための拠点施設を整備したり、あるいはその維持管理や実際に現地に赴いて訓練、研修を行うことをサポートするなど現場に根ざした業務を充実するところでございます。(4)試験研究業務は、国が策定する安全規制などに必要なバックデータや技術知見を収集して、国の安全規制に活用されるようにそれを提供していくという業務も行うことを目標に掲げております。
  続きまして4番目でございますが、情報処理推進機構、IPAと称しております。基本的考え方でございますが、皆さんご案内のようにソフトウエアや情報処理システムというのは21世紀の知識、経済を支える基盤となることが期待されております。そこで(1)にありますように、まずはわが国経済の競争力強化という観点から産学官の連係拠点としてソフトウエア戦略を具体化する。あとは技術、人材の両面で戦略的な公的基盤を整備する。更には、独創的技術開発を支援するなどとして貢献することを考えております。(2)にその理念が三つのキーワードで掲げられています。「創造」「安心」「競争力」でございます。(3)にアンダーラインを引いておりますが、その創造を具体化するのがそのソフトウエアの開発。安心が情報処理システムの信頼性、安全性にかかる基盤整備。競争力が高度なIT人材の育成で、この3本の柱がこの法人の主要な業務になります。
  2.中期目標のポイントで、中期目標の期間はこの法人が発足したのが今年の1月5日なものですから第1期は4年3か月という半端な期間になりますが、平年ベースでは5年を念頭に置いております。業務運営の効率化は(3)にまとめてあります。一般管理費などについては認可法人時に比べて12%を上回る効率化ということで、野心的な目標を掲げていただいております。
  3.業務の質の向上ですが、先ほどの「創造」を具体化するソフトウエアの開発分野というところでございます。具体的な活動として、下のところに「具体的には」と書いております。かなり専門的な用語が出てきますが、1)ソフトウエア開発支援については、開発成果や実施体制について厳格な評価とフォローアップを図りながら、オープンソフトウエア開発など先進的、独創的なソフトウエア開発等の支援を行うということ。もう一つは特に2)にありますように、中小企業やITベンチャーが有する先進的技術やビジネスモデルに対する評価をきっちり行って、ベンチャーキャピタリストが投資する土壌を作るためのマッチングを図るということを考えております。先ほどの理念のキーワード「安心」に対応する業務の柱が(2)にある情報システムの信頼性、安全性にかかる基盤整備の分野でございます。具体的な活動として、「具体的には」と書いてありますが、1)にありますように、情報セキュリティー対策で、コンピューターネット上のウイルスや不正アクセスが非常に横行しているかと思いますが、そういうものが起こった時に迅速な情報提供を行う。対処方針を伝える。あるいは国際標準に基づいた情報セキュリティーにかかわる評価、認証の実施や暗号技術、認証技術等の調査等を通じてセキュリティー技術の向上に貢献することなどを目指しております。例えば、これは中期計画に書いておりますが、ウイルス不正アクセスの照会に対する応答の自動化などを図ったり、あるいはこういう安全対策に対するセミナーを実施して、そこのCS、満足度調査でより高い得点を目指すことを目標に掲げております。
  (3)が三つ目の理念、競争力を実現するためのIT人材の育成です。IT人材については、各層、各分野で多様な人材が求められて、トップを極める方からベースを支える方などいろいろいらっしゃると思います。具体的な活動の代表事例を挙げさせていただきますと、3)にありますが、独創的な技術やアイデアを有する優れた人材を目標期間中に50人発掘と書いてありますが、スーパークリエーターと称して、いわゆるソフトウエアを創る天才を、特に若手を中心として発掘する。将来のビル・ゲイツを目指すような人を積極的に発掘して育てるということをやる一方で、4)にあるように、中小企業経営者や特に地域のIT化支援を図るための普及啓発や、そこの計画にあるようにコーディネーターとの交流会などをきめ細かく全国でやっていきたいと考えております。
  最後になりましたが、石油天然ガス・金属鉱物資源機構でございます。これは石油公団と金属鉱業事業団という二つの異なる法人が独立してできた法人でございます。一方は石油というエネルギー資源、一方は金属資源という原材料につながる鉱物資源を扱っている法人で異なるものではありますが、双方共に(1)、(2)、(3)に掲げてあるように、まずはわが国企業による資源の探鉱と開発する事業を支援する。あるいはご案内かと思いますけれども、これ以外にも石油ガスの備蓄も行っておりますし、あるいは非鉄金属、分かりやすい例で言いますと、自動車の燃料電池などの触媒に使われる白金、プラチナがございますが、こういったものも非常に世界的に希少な金属でございまして、こういうものの確保を図って、必要な時に適宜放出するという備蓄業務を行っていますが、こういう国家備蓄統合管理業務を行います。3番目はやや特殊な業務でございますが、金属鉱山などを開発するとそこから有害な金属を含んだ廃水が漏れ出したり流れ出したりしております。そういったものを鉱害と申しますが、こういった鉱害は開発が終わった後も数十年続いて起こる被害ですから、こういったものを地域住民の方に影響を与えないように防止することも重要な業務でございまして、こういった業務も担うことを考えております。
  特に、石油等の資源探鉱開発の推進においてということで、これはわが国の石油供給に関わる根幹でございますが、これについてはI1、II2、III3とありますように、中核的企業により行われる効率的な海外権益獲得、エネルギー供給の実現と、あとこの新独立行政法人によるリスクマネー供給と開発支援、そして政府が推進する資源外交ということで、民間の企業及びこの独立行政法人、そして政府の三者が一体となって行うことによってわが国のエネルギーセキュリティーを高めていくことを考えております。
  中期目標の期間でございますが、この法人はつい先日2月29日に発足したばかりでございます。初年度は1か月しかございませんが、平年ベースは5年間の中期目標を考えております。業務運営の効率化でございますが、特にこの法人は二つの法人が統合してできたものですから、特に一般管理部門の削減は他の法人以上に可能であるということで、特殊法人比で18%というかなり高い目標を掲げて取り組んでいるところでございます。
  具体的な業務は次のページになります。3.業務の質の向上でございます。(1)まず資源の探鉱開発支援については、資源探鉱開発プロジェクトへの出資、融資、債務保証等の業務を行いますが、これについては過去の経験等を踏まえ、公正、透明、かつ効率的な業務運営を確保するために審査基準等を明確化する。更には、それらを定期的に見直すことによって、より効率的かつ投資効果の高いところを支援したいと考えております。計画のところにありますが、この法人につきましても、特に情報提供などについてCS調査をやることでより高い評価を得るように頑張っていきたいと考えております。
  (2)資源国家備蓄の効率的な推進でございますが、これもこの独立行政法人が能動的にやる業務よりも、世の中の状況がそうなってこの法人に資源の備蓄の放出が求められた時にやるという業務なものですから、この法人としてはそういう事態が発生してからある一定期間内に速やかに石油なりレアメタル、希少金属の放出ができるような日数の数値目標を掲げ、迅速にやるためのマニュアル等を整備して、なおかつコストも削減しながら頑張るという、非常に重要な任務を負っております。
  おおむね、ポイントのみですが以上でございます。

○富田分科会長
  ありがとうございました。ただいまのご説明について質問などがありましたら、ご発言をお願いいたします。山本委員。どうぞ。

○山本臨時委員
  原子力安全基盤機構についてお尋ねします。
 ご説明で触れられなかったことですが、試験研究等で固定的な施設等を使わないということがどこかに書いてあったと思いますが、そうするとどこかの研究機関等の設備をお使いになるということですが、そうすることによって原子力安全行政等に問題が生じないかということが1点あります。
  隣の玉井先生のご専門だと思いますが、最近、工学部内で原子力工学という名称自身も変えるという話があるのですが、高い専門性のある人材の確保、育成を中期目標等にも掲げておられますが、これの具体的な内容等についてお分かりであればご説明いただきたいと思います。
  私が一番分からないことは、もともとのパンフレット等におきましても、多分よく見ればどこかに書いてあることでしょうが、原子力安全・保安院がみずからやる検査等もあるようですし、独立行政法人原子力安全基盤機構が従来から公益法人等もやっておられた検査等も一元的にやるということですが、これはどういう場合に原子力安全・保安院の検査をやるのか、独立行政法人としてやる検査との区分はどうなっているのでしょうか。また、業務の一元化がなったということは、従前民間がやっていたというものは全くなくなって、ここ以外にはできない独占的な業務であると理解していいのかどうか。おおむねこの3点をお尋ねしたいと思います。

○富田分科会長
  お願いいたします。

○原子力安全・保安院企画調整課 斎藤機構業務班長
  経済産業省の原子力安全・保安院で原子力安全基盤機構の担当をしております斎藤と申します。
  ただいまのご質問の件でございますが、まず試験施設の関係につきましては、従前国が委託業務等で行っていたのと同様な問題がございます。要は、施設をみずから抱えますと施設の維持と人の問題が固定的な問題として生じてしまう。ところが試験をしなければいけない対象については、その時々によって内容が変ってくるということがございます。実は、多度津に大きな耐震試験施設を以前委託事業で整備した経緯がございますが、これにつきましても、当初目的とした事業が終わりますとそれの維持に固定的な経費がどうしても発生してしまう。それに対して、それを利用する試験は数年後には生じても、その年度には必要がないということもございます。こういった問題がございまして、この反省からJNESにおいては、固定的な施設を持つことは極力排除して、ただし当然試験研究の内容から相当大型のものも必要になってまいりますので、これについては最近国際協力等が進んでおりますので場合によっては海外の施設も活用しつつ対応していくということで、いろいろな予備的な検討からは既存の国際協力なり、また国内の他の研究所、国の研究所等が持っている施設を活用することで対応が可能であろうという判断をしております。
  2点目の専門性の高い人材の確保と育成という問題でございます。これはご指摘のとおり、原子力安全基盤機構を設立した際に、外部から人材を中途採用で手当てしたということがございますが、これにつきましてはなかなか若手の人材がいないということもございまして、結局メーカーや関連機関から約100人前後の方を中途採用いたしまして、これにつきましてはメーカーでの実績等を踏まえた方ですので年齢的にはかなり高めになっております。ただ、当然そういった方だけでは今後の育成にはつながりませんので、今後JNESとして設立したあとには新しく若い人間を採用していくことを考えております。また、教育訓練につきましては、検査や試験研究に対して必要な人材を育成していくことを中期目標に掲げております。
  3点目の検査関係の議論ですが、これは説明しますとなかなか難しいところなのでパンフレットには簡単になっておりまして誤解を招いたかもしれません。これにつきましては、原子力安全基盤機構は昨年10月にできたのですが、当初今年4月に設立予定でございました。これは多分今回の独立行政法人化の中では唯一だと思いますが、前身がない法人でございます。基本的に公益法人改革が出自でございまして、国が委託事業なりでやっていたものについて、こういった国民の安全を確保しなくてはいけない業務については、みずから直接すべきではないかということがございまして、今回の独立行政法人の一連の改革に併せてこの基盤機構を設立したわけです。
  その設立が半年早まったというのは、実は東京電力の原子力発電所の関係で問題がございまして、原子炉等規制法及び電気事業法の規制関係の法律の強化拡充を図りまして、この実施機関と位置付けられてJNESが当初の予定から半年、その作用法の施行の関係で半年早まって設立されました。その際に電気事業法と原子炉等規制法の規制強化拡充を担うということでJNESが業務を行うわけですが、国がみずから行う従来の検査の一部の工程をJNESが担うという検査と、それからこの強化拡充とは流れが関係ないのですが、従前電気事業法なり原子炉等規制法の中において指定検査機関制度というものがございます。これは概念的には、定型的で裁量性の少ないものについては国が直接行わずに指定検査機関等の制度を法律の中に構築して、指定した検査機関に国に代わって行政処分の権限も含めて与えるという形でこれまで運用してきた制度でございます。この場合、基本的には最近の登録機関的なものとは異なりまして一つを認定して、認定した場合は国はしないというような制度になっております。ここをJNESを設立した際に原子力の部分についてはJNESが一元的に担うという形で、これまで財団法人の原子力安全技術センターが担っていた業務をJNESに移管したという形になっております。このように申請受付から合格処分まで含めて行うものについて、従前のそういう指定検査機関が行っていたものについてはJNESが一元的に行うこととなりました。先ほどの法律の強化拡充の関係で国が従来行っていた部分について、また強化拡充されて新たに行うことになった部分について、JNESが国の指示によって国が行っていたものの一部を行うというものがご指摘の二つある記述になっております。以上でございます。

○富田分科会長
  山本委員、よろしゅうございますか。ほかに。樫谷委員、どうぞ。

○樫谷委員
  NEDOについてお聞きします。ここに「成果を上げるNEDO」と書いてありますが、この成果にはいろいろな成果が考えられます。研究開発がうまくいったという成果もあると思うのですが、実際は実用化されて製品化されて事業がうまくいくのが最終的な成果ですよね。この辺について評価をするためにちゃんとトレースできるような仕組みになっているのでしょうか。その審査基準はどのようになっているのでしょうか。これを教えていただきたいと思います。

○経済産業省産業技術環境局 豊國技術振興課長
  NEDOを担当しております技術振興課長豊國と申します。先ほどの資料の中の4ページの別表をご覧いただきたいと思います。二つございまして、一つは中長期ハイリスクの研究開発事業については、まさに下にグラフの形で示してありますが、横軸の研究開発成果は主として学者の方に評価していただいた結果でございます。それと共に実用化見通し、これは例えばベンチャーキャピタルなどは事業化の専門家に評価していただきまして、研究としての成果のみならず実用化するかどうかというところを見ているということでございます。
  もう一つ上の表の実用化、企業化の促進事業という欄がございますが、これはより直接的に事業化を目的とした事業でございますので、研究成果というよりも事業化できたかどうか。具体的に言いますと、試作品一つでも売り上げが立つかどうかということの基準のみで評価することにしておりまして、その事業化が40%以上ということでございます。更に3類型共通でございまして、そこに「実用化、事業化状況を追跡調査」と書いてございます。これは中長期の研究については終了後、5年あるいは10年たった時点で振り返ってみて、その研究成果が実用化されているかどうかということをトレースいたします。それから実用化、企業化の促進事業については事業終了後5年間にわたって実際に事業化できたかどうかを実施者から聴取するという仕組みを取っております。こうしたことで研究成果のトレースをするという仕組みも組み込んでいるということでございます。以上でございます。

○富田分科会長
  樫谷委員、よろしゅうございますか。

○樫谷委員
  追加ですが、トレースするということだと思うのですが、その辺は目標や計画との関係で、どのように中期計画に落とされているのですか。

○経済産業省 豊國技術振興課長
 今申し上げました追跡調査につきましては、その後の政策実施に反映させると、やや抽象的でございますが、そういう形にしております。ただここはこういった追跡調査は今回初めて取り組みますので、その状況を見ながらもう少し具体的なフィードバックができるのであれば、そこは今回この計画の実施を通じて検討して参りたいと考えております。

○樫谷委員
  ぜひ具体化していただきたいと思います。

○富田分科会長
  阿曽沼委員、どうぞ。

○阿曽沼臨時委員
  NEDOとIPAの関係でお伺いします。NEDOが中心としている新しい斬新な機器の開発と、IPAの開発の対象としているような情報処理は切っても切れない関係になりますね。そういう意味では、一つの目標に対してNEDOとIPAが役割分担をして一つのプロジェクトに無駄のないような投資といいますか補助支援ができるのかどうか。
  もう一つは、それに関連していくと団体によっては補助金などの費用費目が実態的にはお金を使う内容と齟齬がある。例えば人件費にしか使えないとか、機器は買えないとか、備品のいろいろな関係があって補助金の費用費目が実態の開発にそぐわないようなアンバランスな部分もあるのですが、そういったところについて改善されていくのかというのが少し気になります。
  2点目は、e-JapanII2というものがあります。情報化ということがありますが、それにおけるNEDOなりIPAの役割というようなものは今後どうなっていくのか。
  3点目は少し論点が違いますが、優秀な人材を50人発掘するというのは立派なことですが、発掘してどうするのか。そこを何かお考えがあればお聞かせください。

○富田分科会長
  お願いします。

○経済産業省商務情報政策局 嶋田情報処理振興課長
  IPAを所管しています情報処理振興課長の嶋田と申します。
  まず一番目のIPAとNEDOの役割分担の件でございますが、基本的にハード主体のもの。ただ、ハード主体といっても当然ソフトの開発も伴うわけですが、これは基本的にNEDOの技術開発でやっております。IPAの方はむしろソフト主体のものについてやっております。基本的に重複するケースはこれまでほとんどないと認識しておりますが、今後はその可能性もありますので、よく調整を取りながら対応していきたいと思います。
  二つ目に機器がある団体では買えて、ある団体では買えないなどという補助費目についての不整合性については、事務的に両団体でも今までも打ち合わせをしていますし、今度もそこは十分にやっていきたいと思います。
  二つ目のご質問のe-JapanII2でございますが、このポイントは一言で申し上げると利活用についての先進的なモデルを作るということでございますので、システムないしソフトウエアの部分が相当大きなウェイトを占めると思います。したがって、ソフトウエア開発というのが一つのIPAの事業の柱になっておりますが、この柱の中でもe-JapanII2の戦略に合ったようなものについて重点的に支援するという方針を中期計画の中でも打ち出しており、その方向でご支援をしていきたいと思います。
  三つ目のご質問の50人の天才を発掘してその後どうするのかというご質問ですが、実はこの天才発掘については、日本でこの分野で非常に権威があるというか、第一人者の方にプロジェクトマネジャーとして発掘から技術指導までやっていただいております。現実にそれを発掘してある程度製品化する目途を立てるところまで指導している例も出ており、実際に自分で会社を作ったり、あるいは企業に売り込んでそれを商品化していくということについても、今後、IPAとして支援していく方向でやっていきたいと思います。また、IPAの制度に中小企業とかベンチャーのソフトウェア開発の支援措置がございますので、こういうものも整合的に適応して、一貫した支援ができるよう体制を整えていきたいと思います。以上でございます。

○富田分科会長
  よろしゅうございますか。では、縣委員どうぞ。

○縣臨時委員
  二つお伺いします。一つは14ページに今日ご説明いただいた5法人の機構の削減割合が一覧になっておりますが、これにそれぞれ差があるということはそれぞれに判断されたということで良いことだと思います。石油天然ガス・金属鉱物資源機構について18%になる理由は若干のご説明がありましたが、これからこの目標が中長期的に達成されるのか否かと考えると、現時点でそれぞれの機構の削減割合の目標がどういう背景で立っているのかということを何らかの形でお示しになっておいた方が今後評価する上でよろしいのではないかという気がしております。今日ご説明いただくかどうかは別としてそういうことをどこかに書かれておいた方がいいと思います。
  もう一つは、各機構において、「5.その他業務運営に関する事項」というところで、廃止なり統廃合ということが書かれている機構が今日の中で二つありました。例えば、石油関連の最後のところで鉱害防止支援について融資を廃止するということは、今後の鉱害防止がどういうふうに保たれていくのか、本当に業務を廃止してしまって鉱害防止の後退にならないのかということが考えられるのですが、そういったこともどちらかに書いておられるのでしょうか。他方、廃止統合が書いていない機構については、逆に言いますとそういうお考えは現在ないのでしょうか。

○経済産業省 藤野企画調査官
  まず1点目でございます。この場でご説明申し上げられる点としては、基本的考え方として年間で3%を一つの目標として一般管理費を削減することを考えております。それによって、期間が長ければそれよりも多くなるということでございます。それを基本として多少の増減はありますが、石油天然ガス・金属鉱物資源機構につきましては、繰り返しでございますが、2法人の統合による効果ということで更に深堀りできるのではないかということで掲げた数字でございます。今後の説明の仕方については、総務省さんの事務局の方とも相談させていただいて、どういうふうに説明するか、事務的に相談させていただければと思います。

○資源エネルギー庁資源・燃料部 澤政策課長
  鉱害防止についてご説明をします。資源機構を担当しております資源エネルギー庁の澤でございます。中期計画の中で鉱害防止事業につきましては融資以外にも技術コンサルだとか事業基金を運用するなど、基本的には今後は融資主体の事業からノウハウ、調査、自治体に対する技術コンサルといったところに軸足を置き換えていくというようなことを考えておりますので、できるだけ独立行政法人の効率化という趣旨から廃止できるものはしていこうということで廃止のところに載せている次第でございます。そういう意味では鉱害防止の政策自体の重要性を減らしたということではなくて、どういう形でそれを実現したらいいかという取捨選択の問題だと思っております。

○経済産業省 藤野企画調査官
  他法人の例でございますが、他法人も特殊法人等改革の時に組織業務の見直しについては徹底して検討いたしました。例えば3ページでございますが、NEDOの例では5.にありますように(1)は先ほどは金属鉱害でしたが石炭でも同じような鉱害がありまして、それについては同じような考え方で効率的に整理する。(2)で工業用のアルコールを製造する業務をやっておりましたが、これは速やかに完全民営化するということでNEDOの業務から切り離すことを考えております。JETROを例に挙げますと、6ページの一番下の5.にありますように、JETROの施策の柱としてこれまで輸入促進に重点を置いてきましたが、今後対日直接投資、中小企業輸出振興に軸足を移すことによって、(1)にあるように輸入に関する普及啓発を目的とした施設がいくつかありますが、こういうものは順次縮小閉鎖するということで、政策的必要に応じたところに資源が行くように重点化することを考えております。

○富田分科会長
  よろしゅうございますか。浅羽委員、どうぞ。

○浅羽臨時委員
  一般管理費の効率化と物価変動の関係について、技術的なことで申し訳ありませんが教えていただきたいと思います。例えば、NEDOの例で言いますと詳細な資料の26ページ右側に中期計画の案で運営費交付金のルールが書かれていますが、この中で一般管理費を全体で最終的に15%削るという効率化の目標が課されておりますが、その算式の中で、その他一般管理費に消費者物価指数を掛けて、それに最終的に一般管理費の効率化の係数を掛けると、年間3%というお話でしたので、恐らく0.97などを毎年掛けていくのではないかと思いますが、これですと例えば物価が非常に上昇した時などは効率化係数の前に物価が入っていますから、この目標が実質的に厳しいものになってしまうのではないかと読めますが、そうした読み方でよろしいのでしょうか。

○経済産業省 豊國技術振興課長
  その点につきましては、むしろ物価の変動で人件費が減ったとかいうことにならないように、消費者物価指数で調整をしているという考え方でございます。

○浅羽臨時委員
  人件費の部分は、別の人件費調整係数というもので掛けられると思いますが。

○経済産業省 豊國技術振興課長
  正確に説明いたしますと、要するに一般管理費についてはそういった物価の変動の影響を排除するためにこういう形にしてあります。人件費につきましては、国の人件費の扱いに準じるということになっておりまして、実はその中で物価の関係の調整は既に内包されているので、分析の中では出てこないという整理でございます。

○浅羽臨時委員
  どうもありがとうございます。

○富田分科会長
  よろしいですか。武田委員、どうぞ。

○武田臨時委員
  初歩的なところで申し訳ありませんが、資料2を拝見しますと資本金について「なし」とか、「未定」といった記載もありますが、資本金に関する基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

○資源エネルギー庁 澤政策課長
  石油天然ガス・金属鉱物資源機構の「未定」でございますが、現在は特殊法人の石油公団が業務を限定して、もともと石油公団が持っていた資産処分をあと1年かけてやることになっておりまして、その結果、来年3月めどに公団が廃止された時に残っている資産などをもう一度整理しなければいけないので、資源機構に移すような分があればまたそれが資本金になるというようなこともありまして、そういう意味でその額を中期計画全体の期初として示すにはまだ「未定」と書いたのだと思います。

○経済産業省 豊國技術振興課長
  NEDOにつきまして、資本金の考え方を簡単にご説明します。特殊法人から独立行政法人に移る際に、これは独立行政法人の会計の考え方でございますが、資産から負債を引いた額を資本金とするというのがまず第一にあって、ただし、当然のことながら独立行政法人としての事業の実施に必要のない部分については国庫に返還するという考え方で整理したわけでございます。詳細は省略いたしますが、NEDOについては、独立行政法人移行に伴って廃止した業務、例えば海外の探鉱に対する貸付業務などについてはそれに対応した資本金について国庫に返還しております。それから、資本から負債を引くという計算をいたしますと剰余金という形で、例えば利子収入等が蓄積されたものがございましたが、これも精査いたしまして不要といいますか、その後の独立行政法人としての業務の運営に必要ないと見なされた部分について返還手続きを取った結果としてこの表に示してあるような資本金額ということで確定しているということでございます。以上でございます。

○原子力安全・保安院 斎藤機構業務班長
  独立行政法人の原子力安全基盤機構ですが、資本金「なし」と書いてございます。これは先ほどご説明しましたように新設法人ということでございまして、特段前身から引き継ぐような不動産とか、これは設置法上は国が出資できるということになっておりますが、現時点では出資がございません。運営費交付金のみで運営するかたちになっております。ただ、先ほどの指定検査機関から引き継ぎました検査の関係につきましては、収入勘定を設け区分経理をしておりまして、その検査手数料で回るようなかたちで法人の予算が組まれています。

○富田分科会長
  河村委員、どうぞ。

○河村臨時委員
  原子力安全基盤機構についてご質問します。ごく一般的な国民の目線からすれば、この機関が成果を上げていただけるとすれば、それは原子力関連施設が結果的に安全に操業を行えたかどうかということではないかと思います。とりわけ、近隣に居住されている住民等にとってはその思いが強いと思います。そういう観点に立って見た時に、原子力安全基盤機構は国の法律に基づく安全規制などの検査を実施するというご説明がございまして、いくつかほかの原子力安全委員会等との間で役割を分担してなさるということだと思うのですが、さはさりながら、その最大の成果は安全の確保を求められるということから考えますと、何とかして例えば中期目標の中、ないしはその期間が終わったあとの評価の中で、結果として事故等がなかったのかどうか、不幸にして起こってしまった時に、この検査等の業務運営で何か少し改善すべき点がなかったのかどうかということを、ぜひ勘案するような形にしていただければという感じで考えておりますが、この点に関してどのようにお考えになっていらっしゃるかをお尋ねさせていただければと思います。

○原子力安全・保安院 斎藤機構業務班長
  まず、その活動が原子力施設の安全に直結したのかどうかというご質問ですが、これは、実は誠にご指摘のとおりでお答えが非常に難しいところでございます。
  なぜならば、個々のトラブルに関しましては、従来の国の規制において、規制の実効性の根本的な問題になるかと思うのですが、検査をどこまですれば原子力の事業者が行う保安に対して効果的に何らかの問題点の解決につながるのかという点で、これは常に国も考えているのですが、なかなか実態から申しますと、原子力のトラブルの推移と国の検査、その規制がどこまで1対1の関係において安全の向上につながったのかというところがなかなか評価しづらいというところがございます。原子力安全基盤機構としては、的確に検査を行うことによって信頼を得ていくということに尽きるのではないかというふうに考えています。
  中期目標については、既に中期目標の中に検査の高度化につながることを国に提言をしていくということで規定してございます。やはり検査手法は不断に見直しをいたしまして安全性の実態の向上につながるような形でよりいいものにしていくということで、原子力安全基盤機構としては国に対してその検査の手法等についての、例えば技術的な検討または制度そのものの検討を行い、国に対して提言していくということを目標の中に掲げております。

○河村臨時委員
  実際に評価なさる時にはどんなふうに考えていけばよろしいのでしょうか。

○原子力安全・保安院 斎藤機構業務班長
  先ほども申しましたように、アウトプットとの関係で明確な安全性の向上というところを評価するのはやはり非常に難しいということもございますので、検査の問題点等に対してJNESが提言する内容につきまして、やはりそのプロセスそのものと具体的な提言の内容について検討して、それに対しての評価をするという形になっております。これにつきましても具体的な定量的な評価というものはやはり難しいかなと考えております。

○富田分科会長
  では、鈴木委員何かありますか。

○鈴木臨時委員
  参考資料の中に書いてあるかもしれないのですけれども、お教えいただきたいと思います。この共通的にいろいろな目標、計画でしょうか、例えばそれぞれ新エネルギー・産業技術総合開発機構ですと1,000本の査読済み論文発表を目標とするとか、あるいはその次の日本貿易振興機構等では1,000件程度とかそういうようにいくつか計画が出ておりますけれども、先ほどお話の中に「野心的な目標」だというふうな表現がございましたけれども、このような計画を立てる時にはどのような水準でお立てになっているのかを、全部に共通してお聞きしたいと思います。
  もう一つは、石油天然ガス・金属鉱物資源機構での11ページの真ん中にございます戦略的なリスクマネー供給と研究開発支援が推進されるということですが、これについての評価の方法と言いましょうか、何か測定尺度というようなものがその中のどこかに説明があるのかどうか、それを教えていただきたいと思います。

○経済産業省 藤野企画調査官
  まず最初に、「数字について野心的」という表現についての基本的考え方ですが、目標を定める際には、前身となる組織があるものについてはその時の実績をベースとして、最低限でもそれを上回るような目標をすべてにわたって設定するように試みております。
  「野心的な」というのは大変抽象的な表現で失礼いたしましたが、それまでの実績に踏まえて、例えば1桁以上上回るものについてはやはり相当な法人としての努力をしていかなくてはいけない目標なものですから、そういうものについては「野心的」という言葉を申し上げましたけれども、基本的には過去の実績に照らしてみてどのぐらいより高いハードルを掲げているかということで目標設定し、それを評価しているところでございます。

○資源エネルギー庁 澤政策課長
  資源機構の場合は、中期計画の中の特に一番大きなポイントというのは石油開発の案件について出資をしていくとか、あるいは債務保証していくという点でございます。それで、わが方の独立行政法人の評価委員会がございますけれども、そこでも評価基準について随分議論していただきまして、今日は配られていませんけれども評価基準そのものについても承認いただいたものがございます。
  石油公団の時代にいろいろご批判があったのは、審査が不十分なまま出資をしているのではないかとかそういう点でございまして、ある意味で審査のプロセスをきっちりやっているかという評価も今回やらなければいけないと。案件それぞれについて成功した失敗したということについての評価もございますけれども、中期計画に随分ページを割いたのはそういうプロセスについての透明化でございますので、評価委員会ではそういう点もご覧いただきたいということでご説明している次第でございます。

○富田分科会長
  では、田渕委員。

○田渕臨時委員
  今、鈴木委員がご質問されたところと1点目はかなり共通するところだったのですが、ちょっと確認させてください。NEDOの事前・中間事業について、中間事業に関してはプロジェクト評価を実施されていると。事前評価についてはどういう形で具体的にやられているかということをお聞きしたかったのですが、今お話の中でもかなり出てきておりましたのでこの部分に関しては先ほどのご説明でよろしいかと思います。例えば目標水準をどうするかとか、そういったものについては今のご説明で分かりました。
  もう1点、NEDOについてお聞きしたいのは、「成果を上げるNEDO」ということで、「成果」というふうに使われているということで、先ほど樫谷委員がご指摘のところともまた共通するところかと思うのですが、成果というものに関してもNEDO全体の成果、あるいは3類型での成果、個々のプロジェクトでの成果、それぞれあると思うのですが、その「成果」というものをレベルでどうとらえていらっしゃるのか、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。

○経済産業省 豊國技術振興課長
  私どもがこの目標を設定する時にまさに今の議論をいたしました。NEDOの最終的な目標は産業競争力の強化ということでございます。しかしながらこれではあまりに抽象的になって、なかなかその目標の達成具合が測定できないということを考えまして、それをブレークダウンするという意味において、例えば今申し上げましたように、4ページで申し上げますと一番基礎的な部分について言えば、やはり論文を書くということが測定可能な目標であろうということで1,000本という目標を立てました。それから中長期の研究開発事業については、それぞれのプロジェクトに対する専門家の評価がどうであったかということ。もう少し数値的な目標として特許というものが、必ずしもイコールではありませんが、研究というものと産業化というものを結び付ける測定可能な指標であろうということで特許というものの件数を目標に立て、あるいは事業化の研究であれば事業化率ということを目標に立てて、そういう数値を測定することで最終的な産業競争力の強化というところを、やや間接的ではありますが目標の達成度合を測定していきたいという考え方で目標、それから計画を策定しております。

○富田分科会長
  時間もだいぶ押してまいりましたので、あとの質問は事務局を通じて紙でさせていただくということで、ひとまず経済産業省からのご説明を終わりにしたいと思います。
  今日ご説明いただきましたこれらの独立行政法人につきましては、特殊法人等改革の中で独立行政法人に移行したわけですけれども、国民からするとそれが単なる看板の掛け替えで終わってしまうのではないかという懸念もあるわけでございまして、是非とも明確な目標と厳正なる評価という制度の中で、より効率的な運営がなされるよう評価手法等の積み上げをよろしくお願いしたいと思います。
  今日は経済産業省の藤野企画調査官、皆さま、ご多用中のところをご説明いただきましてありがとうございました。
  それでは、引き続き総務省からのヒアリングを行いたいと思います。担当者が入室されますので少しお待ちください。

○富田分科会長
  本日は、総務省の井波特別基金事業推進室長にご出席いただきましたので、総務省所管の新設独立行政法人の概要等についての説明を5分ほどお願いしたうえで、質問等があればお伺いしたいと思います。
  それでは、井波特別基金事業推進室長からよろしくお願いいたします。

○総務省大臣官房管理室 井波特別基金事業推進室長
  総務省特別基金事業推進室長の井波でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは恐縮ですが座ってご説明をさせていただきます。
  資料の4をご覧ください。一番最初にございます「独立行政法人平和祈念事業特別基金」という資料に沿ってご説明を申し上げたいと思います。
  概要でございますけれども、設立目的は書いてございますとおり恩給欠格者の方々、戦後強制抑留者、これはシベリア、モンゴル、旧ソ連に強制的に抑留された方々でございますが、それから引揚者といった方々の労苦について国民の理解を深めるということ、それから関係者に対して慰藉の念を示す事業を行うということを目的として設立されたものでございます。
  設立までに若干の経緯がございまして、簡単にご説明をいたします。それまでにも例えば引揚者に対する特別交付金の支給とかといったことで、戦後処理と言いますかそういった問題について政府は取り組んできたわけでございますが、昭和50年代に入りまして恩給の欠格者から、われわれの軍歴もちゃんと評価して措置してほしい、あるいは戦後の強制抑留者からは抑留中に強制労働させられて大変苦労した、そういったものに対して補償してほしい、それから海外からの引揚者につきましては、財産を全部失ってしまったのでそういう財産を補償してほしいといったような旨の要望が強く出されました。
  与党であります自民党からの強い後押しもありまして、政府におきましては戦後処理問題懇談会という懇談会を設けまして、一体どうすればいいかというようなことで検討を重ねたわけでございます。
  昭和59年にその懇談会の報告がございました。いわゆる戦後処理問題については、これ以上国において措置すべきものはないが、関係者の心情には深く心をいたし、今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、かつ、永遠の平和を祈念する意味において、政府において相当額を出捐し、事業を行うための特別の基金を創設するのがいいのではないかというような報告が出されたわけでございます。この報告を受けまして、昭和63年7月に認可法人としてこの平和祈念事業特別基金が設立されております。随時資本金出捐額を増加いたしまして、平成8年に400億円の目標額で造成を完了しております。その後事業を続けてきたわけでございますけれども、特殊法人等整理合理化計画に従いまして、昨年10月に独立行政法人として新たな発足をしたということでございます。
  具体的にどういう業務を行っているかにつきましては、恐縮でございますけれども、お手元の基金のパンフレット「事業案内」をご覧いただければ幸いでございます。業務内容というところがございますが、資料の収集保管でありますとか、特に資料の展示、特にこれは新宿の住友ビルに平和祈念展示資料館という常設の展示館を設けまして、こういったものを展示することによって、国民の皆さまに過去にこういう歴史があって皆さまの苦労の上に今のわれわれがあるのだというようなことをお示しするという意味で展示資料館というものを常設しております。そのほか個別の展示会の開催、講演会あるいは出版物等を作成頒布するといったような事業をいたしております。
  右側の方でございますけれども、個別に恩給欠格者の方々、あるいは引揚者の方々、それから強制抑留者の方々に対しまして、そこの写真にございますような書状でありますとか、あるいは銀杯、慰労の品といったようなものを請求に応じて差し上げております。
  元の資料に戻っていただきますと、役員が4名、理事長、理事、非常勤の監事が2名、職員が19名という比較的コンパクトな体制で事業を行っております。
  予算規模はそこに書いてございますとおり20億円でありまして、基本的には400億円の基金の運用益で事業を行うということにいたしておりますが、低金利の時代でございまして11億円を国からいただいております。
  昨年15年の10月から独立行政法人化いたしまして、中期目標、中期計画等を決めてございます。中期目標の期間は発足時から平成20年3月ということで4年6か月間ということでございます。業務運営の効率化ということで、認可法人の最後の事業年度の経費総額に対して平成19年度末における経費総額の割合を85%以下とするというような目標にいたしております。
  そのほか、国民に対して提供するサービス。次のページに「その他、質の向上」ということで、ある意味で業務実施型の法人でございまして、定性的な業務を行っておりますので難しいところがございましたけれども、なるべく数値目標を掲げようということで、例えば資料の収集等を平均500件程度収集するとか、電子データ化を3万点以上やる、あるいは先ほどの平和祈念展示資料館への入館者数を20万人以上にするといったようなことを決めております。
  それから、財務内容の改善でございますけれども、出資金は先ほど申しましたとおり400億円ということで、元本保証のある債券とか預金で運営しておりまして、移行時において評価損は出ておりません。これを健全に運用していくということでやろうかと思っております。
  参考資料というのがありますけれども、そこの頭のところに総務省における独立行政法人の評価委員会、どういう体制で評価をしていただくかということで載せておりますけれども、昨日、評価委員会が開かれまして平和祈念事業特別基金における評価の考え方でありますとか、評価基準あるいは評価指標というものを決めていただいたところでございます。評価基準、評価指標につきましては今の資料の次に付けてありますので、お時間のある時にご覧いただければと思います。
  大変つたない説明でございましたけれども、私からの説明は以上でございます。

○富田分科会長
  ありがとうございました。ただ今のご説明についてご質問などがございましたらご自由にどうぞ。河村委員。

○河村臨時委員
  この400億円の基金のところについてお尋ねいたします。
  資本のようなことだと思いますけれども、まず第1点の質問は、これはどこの会計から出ているものかということをお尋ねしたいことが1点です。もう1点は運用について先ほどちょっとお話がございましたが、これは預託先というのはどこなのか、民間なのかそれとも財政投融資資金なのか、その辺をお尋ねできればと思います。

○総務省 井波特別基金事業推進室長
  これは、一般会計から、一遍に400億円ではありませんけれども、年度予算で出していただいているものであります。
  運用先でありますけれども、これは国債とか社債とかいったものを中心に運用しているということでございます。

○富田分科会長
  大体よろしゅうございますか。どうぞお願いします。

○村松委員長
  中期目標、管理費など85%以下とするとか、そのほか活動の目標についても数値が一応出ているわけですが、それらについては前身があるということで過去のデータもあるわけですね。

○総務省 井波特別基金事業推進室長
  数値目標につきましては、実績に対してあまり低い目標では甘くなると言いますか、そういったことで過去の実績を勘案しながら、しかし過去の実績を若干上回ることを念頭に作っているということでございます。

○富田分科会長
  大体よろしゅうございましょうか。どうもご説明ありがとうございました。この独立行政法人平和祈念事業特別基金につきましても、やはり国民納税者の理解が得られるよう効率的な運営を実施していただきたく、その際にやはり評価というこの仕組みのレベルアップを図っていただくようお願いいたします。

○総務省 井波特別基金事業推進室長
  承りました。

○富田分科会長
  井波特別基金事業推進室長におかれましては、ご多用中のところをありがとうございました。
  それでは、議事進行を村松委員長に戻させていただきたいと思います。

○村松委員長
  引き続きまして、次の議題に入るわけでございますけれども、本日、玉井委員がご出席でございますのでご紹介したいと思います。一言お願いできますか。

○玉井臨時委員
  玉井でございます。前回、教授会で欠席いたしまして誠に申し訳ございませんでした。専攻は知的財産権でございまして、微力を尽くさせていただきますのでよろしくお願い申します。

○村松委員長
  次の議題は、「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率について」ということですが、本日は、独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率について、これまでの経過等を事務局から報告をいただきまして、その後、委員の皆さまからご質問、ご意見をいただきたいということでございます。
  それでは、事務局から説明していただきたいと思います。

○讃岐評価監視官
  それではご説明いたします。独立行政法人の役員の退職金について昨年12月に「独立行政法人の退職金について」が閣議決定されましたが、これから退職される役員に関しては、平成16年以降の在職期間についてはひと月につき俸給月額の100分の12.5を基準とする。そして、その基準に対して0.0から2.0の範囲内で業績勘案率というものを各府省の評価委員会が決めて、それを掛け合わせて決める。そして、各府省の評価委員会がそれを決めるに当たっては、あらかじめこの委員会に通知をして、この委員会から意見を述べることができるというふうになっているものでございます。
  100分の12.5ということでございますが、この閣議決定がある前までは100分の28.0という業績勘案率でございました。したがいまして、一言で言うと基準を半分以下に下げた上で、業績が上がれば100分の25.0まで上げてもいいという考え方でございます。
  業績勘案率のイメージでございますが、昨年の閣議決定に合わせて内閣官房の事務局から各府省に示された業績勘案率当てはめの、あくまでも一例ということでございますが、こういう考え方を基本とするというモデルケースを付けております。業績勘案率1.0、ここを基準とするということでございますが、それは何かというと、在職期間を通じて総合的に勘案して中期目標どおりの実績となった場合、中期目標を的確に実施していれば1.0であるけれども、それより低ければ0.0までありますし、また総合的に勘案して中期目標以上の実績となったということが分かれば1.0から1.5でありますし、更に著しく高いということであれば2.0まで上げることができる。
  ただし、手続きといたしまして、この1.5を超える水準になりますと、主務大臣に報告をし、主務大臣から内閣官房長官に報告をしなければいけない、そういう手続きがかかっているということで、その手続き的な縛りが非常に厳しいというものとなっております。1.0から1.5の範囲であれば、これは各府省の評価委員会で決定をし、そのまま支給することができるということでございます。下の方についても0.5を下回れば同じように内閣官房長官に報告するという手続きが必要であります。
  この業績勘案率についてですが、現在、いくつかの府省の評価委員会で、業績勘案率の考え方を整理している最中のようでして、その中には、例えば、独立行政法人の機関の業績と役員個人の業績とに分けて勘案率を出し、その値について、例えば、1対1のウェイトを付けて足し合わせることをもって役員の退職金に係る業績勘案率とすることを検討しているところもあるようでございます。
  また、機関の業績勘案率については、例えば、毎年毎年の評価結果を基に、A評定の数に応じて業績勘案率の具体的な値を定めるといった方法が検討されているようでございます。
  個人業績評価については、役員の具体的な業績を掲げて業績勘案率の具体的な値を定めるということを検討しているようです。
  次に、事前に委員からいただいた意見等を整理した「論点メモ」がありますのでポイントだけご説明します。
まず頭書きのところですけれども、客観的な資料に基づき十分な審議ということですけれども、やはり関係役員からきちんと話を聞くとかそういったことを踏まえて審議を行っているのかどうか。そこは十分確認をした上で、またこの委員会でも審議をいただかなければいけないと思います。
  また、二つ目のパラグラフですけれども、決定に至った事由と併せて支給額、支給率を公表する、世の中に問うというプロセス、これは閣議決定にも書かれておりますので、それが必要であろうということであります。
  そして、個別の論点です。まず一つ目の論点ですけれども、業績評価というのは事後的に行うもので、もう既に15年度はここまで来ているわけですが、15年度の評価というのは16年の夏から秋までに行うことになるわけです。ただ、15年度中に退職された役員については、15年度の在職期間の業績も勘案率の算定で考慮されることとなるわけです。15年度の評価の終了後に業績勘案率を算定するのでなければ、そこは15年度の業績について何らかの推定というものが必要でしょうけれども、合理的な推定というものが行われているのかどうか。まあ客観的にこれまでのトレンドのままできているというふうに主張するのであれば、それが合理的に客観的に確認されているのかということが必要であろうということであります。
  二つ目は、中期目標・中期計画について。この設定は主務大臣に任されているわけでございますけれども、やはり最初の段階ということもあり、難易度というものは相当のばらつきがあるのは評価をしていて直感的に感じるところであります。業績勘案率の算定をするに当たっては、目標・計画が淡々とこなせば誰でもAが取れるというものであるのか、非常に努力を要するものであるのかといったことも、これはきちんと見ていく必要があろう。そうでないと誰がやっても1.5に近い水準、下方硬直的になったり、逆に目標・計画が非常に困難なところ、まじめに設定したところは上方になかなかいかないというそういうことが起こるということになりますので、そこはやはり一定の調整というものが行われた結果、算定されているということはきちんと見てもらわないといけないだろうということであります。
  三つ目ですけれども、通常の業績であれば基本は1.0という率であり、これを上回る率とするのであれば、そこをきちんと立証してもらった上で、それでは上回った幅というものはどうであるのか。通常の業績を上回ればすぐに業績勘案率が1.5になるということなのか。通常の業績を大幅に上回り1.5とするのにふさわしい業績であればいいのでしょうが、そこは果たしてどう考えたのかということをよく審議してもらわなければいけないということでございます。
  また、業績勘案率に個人の業績を反映する場合には、これが1.0となる業績の水準というのは一体どの位か。役員は大変頑張ったというと高い水準を付けるということになるわけでしょうけれども、ただ、役員というのは通常それだけ献身的に努力をするということが当然の前提とされているということであるのならば、それは当然のものだろうということとなります。業績勘案率が1.0となる個人の業績は何なのか、それと比べてどれだけ業績が上がったのかということを立証してもらう必要があるだろうということでございます。
  最後のポツですけれども、もし非常に立派な業績を上げたというのであれば、これまでの勤勉手当等の中で例えばプラス10%の加算というものがなされているのか。もし、これまで加算されていなかった人が急に退職金の時だけ高くなるというのは不整合ということになるだろうということであります。
  最後に、下から三つ目のポツでございますけれども、これは独立行政法人の制度の中には、経営努力と認められた剰余金については目的積立金として積み立てて次の期に事業に使えるという仕組み、国の単年度予算を乗り越えるような仕組みをつくったわけでございます。言ってみれば、民間企業であれば利益をどれだけ上げたのかということにも相当するようなことであろうと思いますけれども、これをそのまま退職金に充てるという仕組みにはなっていないわけですけれども、一つの判断の要素として業績勘案率を1.0より積み増す、特に1.5より高い値をつける時には目的積立金を積んでいるのかどうかということを判断要素にせよというのは、内閣官房から各府省に指示がなされているわけですけれども、そこに近い値をつける時にはやはり一つの判断要素として見ていくということも必要なのではないか。目的積立金をあまり積んでいないということであれば退職金の額の一つの縛りということにもなるでしょうし、また、目的積立金を積むインセンティブがわきづらいという状況を改善することも期待されます。自己収入のある組織であれば比較的積みやすいのですけれども、運営費交付金だけで仕事をしているところは経営努力が何であるのか。当初の見積もりが甘かったからお金が余ったのか。そうではなくて当初の見積もりをきちんとした上で経営努力をしたのかというところを立証するのはなかなか難しい。それは当初の見積もりを業務ごとにきちんと立てていない。官庁会計的な発想を変えなければいけないということに相当エネルギーを使わなければいけないのですけれども、そこがまだ十分なされていない。目的積立金の積立が役員の退職金の業績勘案率にも反映されるということになると積立てるインセンティブにはなるかもしれませんし、また、これは歯止めということにも使えますし、さまざまな意味合いを込めてということでございますけれども、これも一つの判断要素と考えるということでどうであろうかということであります。
  少々長くなりましたけれども、初めてのことでございますので、ご意見を賜れればと思います。

○村松委員長
  今の事務局からのご説明でございますけれども、ご意見をいただきたいと思います。どうぞ、縣委員。

○縣臨時委員
  最終年度の業績評価と退職金の支給時のタイムラグの問題があるようですが、これはおそらく今後どなたにも生ずることだと思いますので、この機に何か原則をつくるべきだと思います。
  論理合理的には実績評価が出るまで退職金の支給を止めるというのが合理的だと思いますが、慣行的にはそれは合理的ではないと判断されるだろうと思います。したがいまして、最終年度の評価をどう扱うかということについて類推という形で1件1件説得的な説明を求めるということにするのか、あるいは何かルーチン的な形で原則を立てるのか。原理原則を立てるべきではないかと思います。

○村松委員長
  はい、どうぞ。河村委員。

○河村臨時委員
  先程の御説明で、機関の勘案率と個人の勘案率を分けて、それらにウェイトを付けて足し合わせたものとするとお考えのところもあるとのお話ですが、しかもそのウェイト付けを1対1の割合でいくということを検討されている評価委員会もあるようで、ここはかなり重要なところではないかというふうに思います。
  民間の感覚からしますと、この機関の勘案率と個人の勘案率を分けて足し算にするというのは大変な違和感がございます。私どもの感覚からするとまず退職金、退職金はちょっと別かもしれませんけれども、要するに機関が、会社がまず業績を上げることが大事であって、その中で部門ごとの割合というものが考えられて、その中で更に個人の貢献がというのが考えられるのが普通の民間の場合のケースです。例示であげられた方法ですと要するに機関の実績があまりはかばかしくなくても個人の貢献が大変いいというふうに認められれば、それなりに50%でしょうか、高い評価を得られる余地があるということだと思うのですが、ちょっとそれはどうなのかなと。まあ、退職金ということでありますけれども、やや違和感があるような気もいたします。ですから本当にここが足し算でいいのかということが一つ疑問としてあります。
  それから機関の勘案率と個人の勘案率の配分を1対1とすることについては、やはりこれもきちんと合理的な理由を説明できなくてはならないと思います。1対1にするのであれば、役員にすべて共通になるのか、それとも役員といっても監事の方とか別の役職の方もおいでになられるでしょうし、そういう場合も全部1対1でいいのか。あまりきちんと理由も示さずに、これだとよその府省が所管される独立行政法人の退職の方がお出になられた時にも影響が残りますので、そのあたりを私の意見として申し上げたいと思います。

○村松委員長
  縣委員とお二人で、同じポイントも言っておられると思うのですけれども、事務局として今まで検討してきたことが何かありましたらお願いします。

○讃岐評価監視官
  まず河村先生のご意見ですが、機関と個人の業績勘案率が1対1というのは、各府省から話を聞いている中で、そのような考え方も検討されている旨を耳にしているというレベルであり、よく詰めてみたいと思います。
  それから、タイムラグが生じるということは必然ということでございまして、あるところでは、実績評価が終わるまで業績給の部分は支給を止めるというやり方ができるのか、できないのかといったことも検討しているようではございますけれども、そこはまず、基本的には各府省にやり方は任せるということであるわけで、これからいろいろ事例をまた見ながらきちんとルールになり得るようなものを抽出していくということだと思います。
  また、やはりタイムラグをどう考えるのか極めて重要な問題だと思いますので、縣先生のご意見も踏まえながら、評価がまだ行われていない期間の業績の推定について、どういう立証の仕方があるのか、それは合理的なのかということについて考えて、詰めてみたいと思います。

○村松委員長
  そのほかはいかがですか。どうぞ。

○樫谷臨時委員
  2点ありまして、一つは個人の業績評価。これは誰の責任で業績を評価したのかというのが全く分からないようなことではよくない。誰が評価したのか、はっきり分からないようではよくないと思いますので、これは明らかにしておく必要があると思います。
  それから、昨年、一昨年と評価に携わった者としての感想ですが、13年度、14年度の評価書を見ますと、定性的なものはほとんどAですが、定量的なものにBとかCがけっこう多いところもあります。そういう意味では、機関の業績評価が本当にAなのか。定性的なものはあまり勘ぐってはいけないですけれども、まあどうにでも言える。ところが、定量的なものはどうにでも言えないわけです。そのような法人の役員の評価を、評価書の評価区分ごとの評価の結果をみて、それでAの比率が高いとだけ単純に見ていいのかどうか。
  これは、実は今の問題ではなくて年度評価の時に本当は言わなければいけない話なのかも分かりませんが、そういう退職金の支給という目でずっと見ていますと、どうもおかしいなという感覚を印象として受けましたということを申し上げたいと思います。

○村松委員長
  どうぞ。

○山本臨時委員
  複雑な問題なのですが、基本的には事務局がおっしゃるように、これの決定は基本的に府省なり、府省の評価委員会にお任せするほかはないと思います。いかようなルールであったとしても、基本方針を守っている限りにおいては何対何がいいかというのは、かなりデータが集まらない限りは、なかなか当委員会としては申し上げにくいというのが1点です。
  ただ、一番問題なのは事務局からもお話がありましたように、要するに役員の退職金の原資が問題なのです。それは払うことによって、結局、当該独立行政法人なりスタッフの人件費が削減されることになるということがあっては、本来業務がおかしくなるわけです。理事の多いところはその可能性はかなりあるのです。
  仮に事務局長兼理事のような場合であれば、そういう意味においてはその要素は少し勘案してあげないとかわいそうなところは実はあるわけです。多くの場合は事務局長が別途いて、理事も何人もいるわけです。一番問題なのは、こういう役員の賞与は、当初中期目標なり中期期間にどれぐらいみてあったのかということと、それによって次期の中期目標の期間で一般のスタッフの人件費が割を食うということがあると、それは全体のモチベーションの問題になって、本来の独立行政法人のダイナミックな制度というのは役員を増やすためにあるだけではないわけです。ですからそのあたりをやはり考えないと。移行独立行政法人も含めて役員の職務というのは少数激戦でそのかわり高い報酬を払うというのが本来のあるべき姿だと思います。
 
○村松委員長
  武田委員、どうぞ。

○武田臨時委員
  組織の業績あるいは個人の貢献というのは最近ペイナウの考え方で、年度年度と言いますか、その時その時精算すると言いますか、そういう考え方が最近は原則的なところだと思うのです。そうしていかないと、これでいきますと、組織の業績をずっと積み重ねていってそれが個人に還元されるということになると、独立行政法人の評価自体に対してもバイアスがかかってくるというようなことも考えられると思うのです。その都度精算していくという考え方がないと難しいなという気がしているのが正直なところです。
  ただ、退職金がかなりダウンしているというところで、業績勘案率がどうしても上擦るのではないかというのが、推測ですけれどもそういう感じを持っています。非常に難しいというのが印象です。できればペイナウの考え方を踏まえつつ、業績勘案率は1.0が原則ではないかと考えます。

○村松委員長
  富田分科会長、どうぞ。

○富田分科会長
  退職金というと非常に生々しい話のように感じるのですけれども、われわれの評価委員会としての評価の視点というのは、結局中期目標を達成したかどうかというのがわれわれが主張すべき最終的な評価になるわけです。
  それは、ここにある先ほどの内閣官房の資料のように、結局は総合的に勘案して中期目標どおりかどうかというのが評価として一番最後に出てくるものであるわけです。
  したがって、役員の退職金というものもそれを反映したものになることは当然なわけでして、われわれは個人の退職金をうんぬんしているのではなく、やはり突き詰めればこういう機関の業績というものを見るのであり、また個人の勘案率というものも、役員のご担当の部門の中期計画に対するその実績はどうかということを見るものだろうなというふうに、私は自分で納得させてちょっと生々しい問題なのでそういうふうに考えるわけです。
  それともう1点は、ではおおむね中期目標どおりの実績となるというのはどういうことかというと、仮に、業績勘案率1.5という数字が出ているとすれば余計感じるのですけれども、これはやはりなかなか容易なものではないはずなのです。だから普通にやって1.0というのはおかしくて、やはりその中期目標というのは大臣から与えられた目標であって、それは優秀な方が一生懸命やってようやく達成できるのが1.0だと思うのです。それ以上独立行政法人がすごい業績を上げるというのはどういうことかというのはなかなか理解も難しいわけですね。ましてや倍の2.0にするのは難しい。その半分以下というのも難しい。だから、やはりこれからの独立行政法人の評価というのは中期目標に対しておおむね目標どおりだったかどうかということが基準になるべきだと思います。
  だから、それは個々の役員の方の退職金ということに換算すると、16年からは評価は大きく退職金に影響するわけで、結局1.0というのは一体何なんだということをやはり改めて確認しておく必要があると思います。そう容易に達成できるものではないのが中期目標であり、それに向けてそれぞれの役員、職員が努力目標としてやっていくのは、やはり中期目標だろうと思うのです。またそうではない中期目標だったら、それはやはり所轄の大臣が適当に独立行政法人に仕事をさせているだけだというふうに思わざるを得ない。
  したがって、われわれとしてはやはり中期目標・中期計画というものに対して評価しているのだという姿勢でこの問題にも取り組みたいと思うのです。だから、例えば、仮に個人の業績を推薦文のような文章で判断しろと言われても、それはどう読んでいいか分からない。これは悩ましい問題なのだけれども、われわれとしてはやはりその機関と各独立行政法人のセグメントと言いますか部門の実績を評価するということが重要でありますので、やはり中期目標がその場合の評価の基準になって、そういうことをより具体的に言えば、やはり1.0というのが基準になると私は思います。

○阿曽沼臨時委員
  よろしいですか。

○村松委員長
  どうぞ。

○阿曽沼臨時委員
  私は、かつて企業にいて16〜17年間目標管理制度というのをやって感じまして、自分も評価をし評価もされてきたのですが、その経験から申し上げますと評価項目が多項目に及びそれぞれに具体的な施策が付いているものを、例えば1年の中で評価をするということは不可能だと思います。項目があまりにも多いとこれはもう評価してないということにも通ずるぐらいです。
  ということは、これは歴史的に見てほかの人がやってきたことがただ続いている項目と、新たに組織が変わった時に自らの発想で何かやったことがほとんど分からない。また、仮に、評価項目が更に中項目と小項目などに分かれ、それに対するウェイト付けが分からないような区分立てになっているものなどは、これは非常に、基本的には評価できない評価指標というふうに率直に感じます。
  それから、先ほど来挑戦的な目標とかチャレンジャブルとかいろいろな評価があるのですが、そのいわゆる意味するところというものが書いていないと、やはり客観的な評価はとてもできない。だから、文章を見ても、項目を見ても具体的にどうだというのは言えない。仮に多項目に評価区分を分けて行っているようであれば、それはあえて客観的な評価を言わせないようなものであると率直に思います。
  これは、過去の歴史の中でやむを得ないと思う部分がありますけれど、時間をかけてやはり少し絞り込んでいく必要があるのではないかというふうに思います。

○村松委員長
  12時という予定がちょっと超過しておりますけれども、その辺お許しいただきまして、島上委員、梶川委員、鈴木議員でしたでしょうか、よろしくお願いいたします。

○島上臨時委員
  ありがとうございます。まず、レベルを1.0として、中期計画を達成して1.0にくるというのは私も大賛成で、富田分科会長の意見に賛成いたします。
  それで、退職金のレベルでどうなのかというのを見た上で判断しなくてはいけないと思います。その上で、世の中すべて成果主義の時代ですからアップダウンが当然あるべきだと思いますけれども、0.0か2.0かというのはちょっと大きすぎると思います。0.0というのはやはり懲罰的なケースで、余程何かがあった場合のことであります。業績評価の中で0.0というのはちょっとこれはないだろうと。また2.0というのもないのではないかというので、私はこの0.0から2.0という幅そのものに少し疑問があります。
  それからもう一つのポイントは、仮に、1.0の次はもう1.5にすぐいくように業績勘案率を区分した場合、やはり1.1、1.2、1.3があってしかるべきで、もう少し段階的なポイント制というか、そういうシステムを組まないといけない。1.0の次はすぐ1.5だ。その次は2.0だとするようであればちょっと大き過ぎるという疑問があります。

○村松委員長
  梶川委員、どうぞ。

○梶川臨時委員
  私も今のご意見とほとんど重複しますので、現実的には機関の業績も個人の業績も1.0と1.5という間にある種の収束が行われるのではないかと思うのですが、ここに関する具体的尺度について少し不明確なのではないかという気がいたします。
  また、仮に、個人業績も、その方の業績をこと細かに具体的に縷々述べたとしても、1.0と1.5の間に何を意味して当てはめているのかよく分からないものや本来の業務の性格にからませて、どなたにも当てはまるようなものもあると思いますので、まとめて言いますと、1.0と1.5との間にもう少し具体性のある尺度を、機関の業績及び個人の業績と分けたとしても、共にもう少し検討していただけなければという気がいたします。それが、国民に向けての説明にもなるのではないかと思います。

○村松委員長
  鈴木委員お願いします。

○鈴木臨時委員
  特に個人の業績勘案率が0.0から2.0というのは確かに大きいわけですが、逆に言えば0.0から2.0できちんと評価をしなさいということでもあるわけですし、それが世の中一般の企業でもそうであるわけですから、こういう評価はきちっとやった方がいいと思います。
  一つ聞きたいのですけれど、最後にこういう評価をするわけですけれども、例えば5年とか10年とか長い方などは5年10年経った時にぱっと評価するということなのか、それとも毎年毎年役員の方に対しては、その個人的な評価というものが行われているのでしょうか。

○讃岐評価監視官
  いくつかまとめてお答えしたいと思います。まず、閣議決定の趣旨なのですけれども、1.0から1.5の幅は別に1.1でも1.2でも1.3でも全く問わないということです。ある府省の評価委員会でも当初1.0の次は1.5という議論もあったようですが、やはり同じような議論が出ているということも聞いております。
  それからもう1点、島上先生、鈴木先生から、前に0.0から2.0の幅が非常に大きいとのご意見がございましたが、これは閣議決定でこのように決めているということではありますけれど、やはり従前の100分の28.0の支給率をいったん100分の12.5に引き下げたので、ものすごく頑張れば元の水準に近い所までに回復できるというので2.0という上の方の幅が決まり、それと同等で下の幅も決めているというそういう趣旨であろうと思います。
  それから、鈴木先生のご質問ですけれども、まず、この考え方の適用ということについてなのですけれど、これも閣議決定で平成16年1月以降の在職期間についてこの業績勘案率という考え方で算定をする。それ以前の在職期間については各法人によって決めるのですが、基本的には100分の28.0という数字が自動的に適用されるということになっておりますので、評価とこれを明確な形で連動させるのはこの1月からの業績ということになります。
  そうしますと、ご疑問にあったとおり理事なり理事長の評価というものをどのようにしてきたかというと、これは初めてこの仕組みが出てきてから、もっと厳しくやらなければいけないと認識するところがほとんどなのかもしれません。ただ、これまでのプロセスはどうであったのかということをよく確認するということは重要であろうと思います。
  全体を通して、中期目標をきちんと達成した時は1.0であって、それを上回るのであればそこをきちんと立証しなければいけない。立証するに当たって、各府省の評価委員会に挙証責任があるわけですけれども、何を立証してもらわなければいけないか、そこに何が欠けているのかということについて、この委員会からきちんと意見を言うということが重要だと思います。今日のご議論も踏まえて、次回以降、府省から役員の退職金に係る業績勘案率案について当委員会に意見を求めてきた場合に備え、論点を整理していきたいと思います。

○村松委員長
  先ほど河村委員がご指摘のあった組織と個人の業績のウェイト付けを1対1というあたりについては。

○讃岐評価監視官
  ウェイト付けは、主務省がどのように考えるのかというところをまず聞いた上で、そこに何らかの合理的でないという理由があると考えるならば、そこをきちんと挙証していくこととなると考えます。仮に1対1と考えるならばなぜそのように考えるのかという考え方をよく聞かないといけないと思うのですけれど、それを踏まえて民間に準拠したらどうかというふうに、なかなかストレートには言えないかもしれませんけれど、どのように考えたらいいのかという合理性というものを立証してもらう必要があろうということだと思います。

○村松委員長
  数式のようなものは、一度どこかが採用されて円滑に進行するとなった場合は、以後、参考にするところが出てくるかもしれないと思うのですが。

○縣臨時委員
  ちょっとよろしいですか。

○村松委員長
  はい、どうぞ。

○縣臨時委員
  組織の評価と個人の評価ですけれども、理事長の場合は分けることができるのでしょうか。われわれのイメージでは、ある意味では独立行政法人の評価制度というのは理事長の評価だと、マネージメントの評価だという意識がありましたので、確かに理事長が優秀でも下の方があまりうまくできないということもあり得るかも分かりませんが、それは結果的に組織の評価になってきますのでね。
  理事長個人は頑張ったが、ただ組織は駄目だということで、また調整されてしまいますと、やはり問題があるのではないか。だから、あくまでも理事の方はそのご担当の範囲内で頑張ったということはあると思うのですが、それは具体的な年度評価、客観的な第三者の評価と結び付けて評価する必要があるというふうに思います。

○村松委員長
  それではどうぞ。

○新村臨時委員
  だいぶ時間が経ってしまって申し訳ないのですが、気になっているところで、機関の評価。各独立行政法人の評価書を去年見せていただいた結果から見ますと、やはりAという評価に、上方に片寄る傾向があると感じます。
  そうしますと、仮に機関評価でA評価が70%以上Aとし、そのランクを業績勘案率1.5に該当するといたしますと、A評価が多い法人は自動的にもう1.5は担保されてしまう。そうすると、どうしても全体に評価はそういうふうになってきたので、ここで独立行政法人の各項目の評価についてその平均をどのぐらいに考えるのかということを考え直す必要があるのではないのでしょうか。それとも、全体としてA評価が多いことから、やはり平均が1.0になるように、例えば所管法人全体でA評価が平均的にみんな7割ですと言ったら、その7割のところが業績勘案率1.0になるような。本当は逆なのですけれども、何かそういうことをしないと、最初から業績勘案率1.5が保証されてしまっている仕組みのようでは国民も納得されないのではという気がするのですね。
  その時に、先ほど山本先生がおっしゃった退職金に関する予算措置がどういうふうになるのかというのがよく分かってないので、1.0が原則で予算措置がなされていれば、誰かが1.0以上取れば必ず他の役員・職員の人件費が減りますよね。だからそういうふうになっていれば、どこかでブレーキが効くと思うのですが、それに対応して例えば次の年の運営費交付金、次の計画の時にまた増えたりすると困りますので、何かそういうふうな所管法人の中で、Aというのはもうそちらの評価でいちいち立ち入れないのだったならば、「平均的にはこのぐらいあります。では、その底が1.0です」というような、逆の縛りをかけるようなことも考えられるのではないでしょうか。

○村松委員長
  参考になるご意見をありがとうございました。

○讃岐評価監視官
  原資等の関係でどこまで詰められるのか、運営費交付金は使途を特定しないという意味でその算定に当たって細目に分けられていないので、それとの関係、どのように詰められるのかという点があります。また、1.0というのが平均でなければいけないというご指摘であろうかと思いますが、ただ、みんなが本当に頑張れば平均は1.1とか1.2になることも考えられなくはないですし、1.0を中心として正規分布でなければいけないかというと必ずしもそうならないようなところなどもあるかもしれません。
  また、個人業績ということに関しても、個人へのインセンティブなり、あるいは逆の意味でディスインセンティブ、懲罰的な意味などをどこまで含ませるのかとか、あるいは理事長について機関の業績と個人の業績は分けられるのかなどについても、さまざまな検討要素を本日たくさんいただいたと思いますので、よく詰めていきたいと思います。
 
○村松委員長
  今の勘案率の話ですけれども、府省から勘案率の案の通知があり次第、今いただいた委員のご意見等を踏まえ、当委員会にお諮りすることになります。通知のタイミングがどうなるのかよく分からないのですが、次回予定しております3月30日の分科会の際までに、業績勘案率案について当委員会に意見を求めてくれば、そこで引き続き審議したいと思います。それが困難な場合には、時間の関係上委員及び臨時委員の皆さんに持ち回りで決裁をお願いしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし。)
タイミングが非常に問題になってきます。では、よろしくお願いします。
  また、先ほど、皆様のご指摘のとおりなのですが、役員の退職については恒常的に発生するということになりますので、われわれの決定の手続きについてお諮りしたいところがあります。
 それは、政策評価・独立行政法人評価委員会令第5条第6項と政策評価・独立行政法人評価委員会議事規則3条なのですが、これらに基づきまして、本委員の3分の2以上の多数の議決を行うことにより、次回以降の業績勘案率についての意見は独立行政法人評価分科会の議決をもって政策評価・独立行政法人評価委員会の議決とするというふうにすることが可能になりますが、それで、今後そのような手続きをもって決定していきたいと考えるわけですが、よろしいでしょうか。
(異議なし。)
  どうもありがとうございました。では、本日ご出席の私委員長を含めた3人の委員の皆様には後ほどご決裁いただき、また、ご欠席の委員の皆様につきましては、後日、持ち回りで決裁をお諮りすることといたします。

○讃岐評価監視官
  もう二つご説明しなければいけないことがあって、10分程お時間をいただければというふうに思います。
  一つは、教員研修センターでございますけれども、参考資料に沿ってですが、中期目標期間が今年度末で終了するということで、その見直しについて昨年勧告の方向性を当委員会から示したわけですが、その勧告の方向性に沿って新しい中期目標・中期計画が策定されているのか、その策定状況を見守ってきたわけです。そこで、今度4月に新しい中期目標期間がスタートするに当たり、新しい中期目標・中期計画の案の内容についてご報告をするというものであります。
  資料1ページ以降、これは中期目標・中期計画そのものではないのですけれども、これまでの研修内容について48のプログラムを25に削減、集約したものでございますが、そのうちの最初にあるのは校長、教頭の研修ということですけれども、基本的に当委員会の示した演習、討論に重点化する、効果の上がるようなやり方でやるという形で一応のカリキュラムというものをつくっているということでございます。
  これは、以下の資料、全てのプログラムについてどのような目的でどのようなカリキュラムで研修をするのかということについて、1本1本抜本的にすべて見直しを行っている。また国の喫緊の課題として位置付けられるものについては、どのような喫緊の課題のためにどのような研修をするのかということを位置付けたうえで、見直しの期限を設けて地方でできるようになったものについては地方で行っていくということで、期限を付けて、そういう見直しを行うということで考え方を全て整理しております。
  1点、研修の日数、個々の日数についてですけれども、一番長い校長、教頭の研修で21日なり32日あったものを2日から3日程度削減しているということです。また、その他については3日から5日程度の日数ということになってございます。
  校長、教頭の研修などにつきましては、更に、次期中期目標期間中、地方でできるようになってきているものについて地方に更に移管できないかというようなことを、今後の評価の過程の中で見ていくということが必要であろうということでございますが、少なくとも今の段階としては、このような研修を国としてどうしてもやらなければいけないものとして位置付けてきたということで、これで一応のスタートを切る。今の段階ではこのような形でスタートしますが、今後については評価の中で見直していこうという方針でのぞむ必要があろうかと考えられます。
  もう1点、海外研修につきまして、この委員会でもいろいろ議論がございましたけれども、人数を大幅に削減し予算規模を削った上で、やる気のある人をきちんと選抜してリポートをきちんと書かせて成果を蓄積していくと、そういうやり方に抜本的に改めるということでございますので、これもこの期間このように進めていこうということで中期目標をスタートさせようとしているものでございます。
  教員研修センターにつきましては、中期目標・中期計画が決まりました後の、4月に入って初めての委員会で正式にご審議いただいて最終的に勧告をするのか、あるいは、これについては基本的にこの委員会の示した勧告の方向性のとおりであるということで、今後の評価で見守っていくのかということについて、当委員会として正式に意思決定をするということになるわけですけれども、本日経過報告をさせていただくものであります。
  もう1点ですけれども、これは年報についてということで、昨年初めてのものを作りました。今年新たに昨年の活動の実績を取りまとめるということでございまして、基本的には昨年度の例を踏襲しつつ新しい要素を盛り込むということでございまして、線が付いている所が新しい要素ということでございますけれども、第1部として独立行政法人の状況の中には、評価結果の予算あるいは役員報酬、退職金などを含めてですけれど、反映状況について書くとともに、役職員の状況に関して、職員の給与水準について、今回新たに政府として公表の基準をまとめましたので、それに基づく初めての公表が6月に行われるということで、それを踏まえて記載をするということで考えてございます。
  第2部、2ページでございますけれども、評価についての活動状況ということで、1として当委員会の活動等について、昨年の主な活動としては勧告の取り組みの方針等を策定したということを書くということであります。
  2として、評価結果についてですけれども、これは、昨年の例にならって見開き1ページ程度で法人ごとに評価結果の概要を分かりやすくまとめるということでございます。 
  もしご意見がございましたら、今でも、あるいはメールなどでもいただければと思います。

○村松委員長
  時間が随分経っていますけれども、何かご意見があれば。はい、どうぞ。

○縣臨時委員
  前から制度的に気になっているのですが、私、今年から委員になったものですから伺いたいのですけれども、中期目標・中期計画が一般的に第1期から第2期に移るに当たって、第1期の最終期の、最終年度の評価が第2期にどう反映されるかという、このタイムラグについては今回どのように解消されているのですか。

○村松委員長
  タイムラグがうまくないという、詰まっているということですね。

○縣臨時委員
  最終年度の評価は、実は第2期の最初の年度と連続しているわけですね。それをどうされているのですか。

○讃岐評価監視官
  実は、その議論は昨年来委員会でも行われてきておりまして、まず、最終年度に何が起こるかというと、次の年度にどのようにするのかということについて、主務大臣が抜本的に組織、業務全般にわたる見直しを行わなければいけないという規定が一つあって、もう一つは最終年度まで含めた中期目標期間全体の実績を評価するという二つがあるわけです。
  それで、教員研修センターを例にとりますと、中期目標期間全体の評価というのはまだこれから行われる段階でありますけれども、ただ、新しい期間、次の期間に組織が存続するのかも含めて、何をするのかフレッシュスタートを切るためには、前の年度の予算編成の段階から次の期に向けての抜本的な見直しをどのように進めるのかについて、この委員会が勧告の方向性を示し、それを踏まえて、主務大臣は見直しを行うということで、そのプロセスについての考え方をあらかじめきちんと示すため、組織、業務の全般にわたる見直しについてのスキームを昨年8月1日に閣議決定しています。
  ただ、中期目標期間の評価を、それではどのように活用するのかということですけれども、これは、またよく考えないといけないと思います。例えば、細部にわたる評価の結果について、これを何か反映をさせて見直しをしていかなければいけないようなことがあれば、それは業務運営の改善などに結び付けていくということは考えられると思います。そこは中期目標期間が終わっていても次の期間においても評価結果を踏まえて改善できるということになるわけです。新たな中期目標期間のスタートを切るに当たっては、中期目標期間全体評価が終わっていないけれども、中期期間終了までにどの程度業務を達成状況、見込みがあるのかということも含めて判断した上で、既に組織、業務の全般にわたる見直しを行ったということでございます。
  まだこれから中期目標期間評価が出てくるわけですが、それをどのように活用するのかということについては、よく議論をしなければいけないと思います。

○富田分科会長
  今の、急に中期計画期間全体を評価するというよりも、年々の年度計画に対する実績評価というものをわれわれやはり積み上げていますので、例えば4年間だらだらやっていて急に良くなるはずもないし、やはり評価というのは毎年の積み上げだという認識でもいるのです。

○縣臨時委員
  その最終年度の前の年度までの積み上げを次の中期目標に反映していくというのがまずあって、そして今ご指摘のように、最終年度および全体の評価は、今度できあがっているという第2回目の計画にまた反映して修正を加えると。

○讃岐評価監視官
  反映し得るべき点があればということだと思いますが、まあそうならないように包括的に常に見直しは行おうと思っているわけですが、ただ、事後的に出てくるものも当然あろうと思いますけれども、それをどのように扱うのかはよくご審議いただければと思います。

○村松委員長
  そこはまだ初めてのことですね。
  それでは、ありがとうございました。以上をもちまして終わります。日程の問題がありますね。

○橋口総務課長
  はい。先ほど委員長からご発言いただいたとおりでございまして、次回3月30日火曜日でございますが、15時半から17時半ということで、委員会または分科会のいずれかの形で開催させていただきたいと思っております。
  議題でございますが、先ほどご義論のございました独立行政法人の役員の退職金に係るものの正式の通知があれば審議するということと、それから、本日は経済産業省、総務省でございましたけれども、それ以外の府省からのヒアリングを予定しております。それが独立行政法人の関係でございます。
  それから、政策評価分科会の関係では、来週木曜日3月18日1時半から3時半までということで、平成16年度の行政評価等プログラムの取りまとめについて等の議題でお願いしたいと思っております。以上でございます。

○村松委員長
  それでは、政策評価独立行政法人評価委員会第29回の会合はこれで終らせていただきます。どうもありがとうございました。
〔了〕




ページトップへ戻る