会議資料・開催案内等


第30回政策評価・独立行政法人評価委員会議事録
(独立行政法人評価分科会との合同)


1.日時 平成16年4月23日(金)  1300分から1600

2.場所  日本消防会館5階 大会議室

3.出席者
  ( 委員)
村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫の各委員、
縣公一郎、阿曽沼元博、稲継裕昭、梶川融、河村小百合、黒川行治、黒田玲子、島上清明、鈴木豊、武田尚仁、田渕雪子、山本清、山谷清志の各臨時委員、
木村陽子専門委員
事務局)
田村行政評価局長、関官房審議官、橋口総務課長、若生評価監視官、秦評価監視官、安治川政策評価審議室長ほか

4.議題
(1)  臨時委員の任命について(独立行政法人評価分科会関係)
(2)  独立行政法人教員研修センターの主要な事務及び事業の改廃に関する勧告について
(3)  新設独立行政法人の概要等について(財務省、国土交通省、農林水産省)
(4)  報告事項
・独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率関係
・横断的研究会の当面の日程等関係

5.配付資料(PDF)
 (1) 独立行政法人一覧
(2) 新設独立行政法人(財務省、国土交通省、農林水産省)の概要
(3) 財務省所管の新設独立行政法人について
(4) 国土交通省所管の平成15年度設立独立行政法人について
(5) 農林水産省の新設・統合独立行政法人について
(6) 教員研修センターに係る主な事務・事業の改廃に関する勧告について






○村松委員長
 これより政策評価・独立行政法人評価委員会の第30回会合を開会いたします。
 まず初めに委員の異動をご報告いたします。席上の名簿をご覧ください。山谷清志さんが新たに臨時委員にご就任されました。帰ってこられたということだと思うのですけれども、ご報告したいと思います。一言ごあいさつをいただきたいと思います。

○山谷臨時委員
 山谷でございます。こちらの委員会は1年8か月ぶりで戻ってまいりました。外務省で政策評価と独立行政法人の評価のシステムをつくってまいりましたが、うまく実務と理論とつながっているのだろうかというところで、まだまだ懸念がございまして、今後とも皆様方にいろいろ教えていただいて、自己検証なるものをやりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

○村松委員長
 引き続きまして、委員会令第5条に基づきまして、新任委員の分科会への所属につきまして指名させていただきます。
 山谷臨時委員には独立行政法人評価分科会に所属していただくことにいたします。よろしくお願いいたします。ご専門の分野における実践的な知見・知識のもとに幅広くご意見をいただきますようお願いいたします。
 また、これまで政策評価分科会と独立行政法人評価分科会に所属されておりました新村臨時委員が政策評価分科会のみのご所属となりましたので、これもご報告いたします。
 新村臨時委員におかれましては、昨年秋の独法評価以降、大変にご尽力を賜りまして厚く御礼申し上げたいと思います。
 4月1日付で事務局に異動がございました。独立行政法人第一担当評価担当監視官に、新たに若生評価監視官が着任され、前任の讃岐評価監視官は行政管理局の管理官に異動されましたのでご報告いたします。
 若生さん、一言ごあいさつをお願いします。

○若生評価監視官
 ただいまご紹介いただきました若生でございます。独法の評価につきましては、これからいろいろと大変な時期を迎えることになるかと思いますけれども、事務局として、当委員会の補佐が十分できますよう努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

[独立行政法人教員研修センターの主要な事務及び事業の改廃に関する勧告について]

○村松委員長
 それでは引き続きまして、中期目標期間終了時における組織及び業務全般の検討の対象となる初の独立行政法人であります独立行政法人教員研修センターの主要な事務及び事業の改廃に関する勧告についてご審議をお願いしたいと思います。
 まず事務局から説明をお願いします。

○若生評価監視官
 それでは教員研修センターに係る主な事務・事業の改廃に関する勧告についての取り扱いについてご説明させていただきます。資料6をご覧いただきたいと思います。
 お手元の資料にありますとおり、教員研修センターにつきましては、昨年の11月に当委員会として、勧告の方向性を指摘しております。それ以降、一連の措置が講じられてきておりまして、最初の段階としまして、中期目標期間終了後に勧告を行うかどうか、というところが残されております。
 これにつきましては、前回の分科会におきましてご報告させていただいたとおり、これまでの文科省における措置はおおむね勧告の方向に沿っていると認められると思いますので、改めての勧告は行わないことにしたいということでございます。
 ただし、条件としまして、新中期目標期間中に見直すこととされた事項が着実に実施されるように、そうした趣旨を文科大臣及び文科省の独立行政法人評価委員会の委員長あてに改めて通知を行うということにしたいと考えております。
 通知案につきまして、担当から読み上げますので、後ほどご審議をお願いしたいと思います。

(通知案[※資料6参照]読み上げ)

○富田分科会長
 ありがとうございました。それでは審議に入らせていただきたいと思います。
 本案につきまして何かご意見等がございましたら、どなたからでもご発言ください。

○山本臨時委員
 細かい字句のことで恐縮でございますが、独立行政法人制度の根幹にかかわる問題でありますので、あえて問題提起をさせていただきたいと思います。
 案1の最後の表現でございますが、「貴省所管の独立行政法人における運営の一層の効率化」という文章でございます。
 これについてはそのとおりだと思うのですが、通則法の第3条第1項あるいは第29条第2項を読みますと、少なくとも独立行政法人を、効率化のみを目的としているような誤解を与えかねないような表現は、評価委員会としても的確ではないのではないかと思います。
 ですから、効率化は当然必要なことでありますが、効率化以外の目的、たとえば法第3条ですと適正化という表現がありますし、あるいは中期目標・中期計画ですと、サービスの質の向上、サービスというのはやめてもいいと思いますが、質の向上ということがありますので、効率化がトップに来ても私は全く異存はないのですが、これですと、効率化のみを、当然、効率化は重要ですが、そういう誤解を与えないのではないかということが、私の個人的な意見です。
 案2につきましては、言わんとするところはこのとおりだと思うのですが、一番気になりますところは、内閣並びに小泉総理がおっしゃっている文章のところはこれでいいと思うのですが、「また、地方、民間、国立大学法人等と連携し」というところの「地方」という文言につきましては、地方にも民間があるわけでございまして、ここはたぶん、総務省用語で言えば地方公共団体、われわれの言葉で言えば地方自治体なり地方政府ということだと思いますので、前段のスローガンは経済財政諮問会議でもお使いの言葉ですからいいとは思うのですが、少なくとも当委員会が使う文言としては、「また」以下につきましては、やはり「地方」という言葉はやや誤解を与えかねないと思います。地方分権の時代でございますから、そこらへんは少し個人的には申し上げたい点でございます。
 以上でございます。

○村松委員長
 今の地方の部分については、より具体的におっしゃるならば、どういうふうにおっしゃると。

○山本臨時委員
 総務省用語であれば地方公共団体という言葉だと思います。

○村松委員長
 そういう意味ですか。
 今、案の1と2についてそれぞれご意見が出ましたけれども、その点に焦点を当てて、ご意見ございますでしょうか。

○富田分科会長
 一層の効率化という表現について、今山本委員からご指摘があったわけですけれども、われわれ適正化なり質の向上ということも当然議論してきたわけですけれども、通常一般に使う言葉で、これらを総称して言えば、効率化と言っていいのではないでしょうか。
 確かに法律でそう書かれていると言っても、適正化なり質の向上ということについて、それも含めて当然重要ですけれども、なかなか容易には理解しがたく、そういう意味で、ここで「一層の効率化」という表現でどうかなと思ったわけですけれども。

○山本臨時委員
 富田分科会長のご指摘はわかっていて、私も別に効率化に反対しているわけじゃないのですが、制度のもともとの法律自身が効率化以外のことも書いていまして、たぶん教員研修センターのメニューを変えるのは効率化というよりも、より効果が上がるような方向に変えていけという勧告見直しの方向もあったと思っております。
 いずれにしても、これは私の個人的な意見ですので、皆様のご意見には当然従いますが、そういうことでございます。

○縣臨時委員
 私も効率化だけでは少し誤解を生むように思います。質的な部分についての表現を何らか加えるほうがよろしいのではないかと個人的には思います。

○黒田臨時委員
 私も同じ意見でございまして、どうしても効率化というと、富田分科会長のおっしゃった広い意味での効率化ではなく、狭い意味での効率化という意味がひとり歩きをするような気がいたしますので、ここには「質の向上を」と入れていただくほうがよろしいのではないかと思います。

○田渕臨時委員
 私も最初に読ませていただいたときに、効率化ですと、コスト削減というところにイメージがいってしまうので、やはり「質の向上」という文言は入れていただいたほうがよろしいのではないかと思います。
 広い意味での効率化と真っ直ぐに解釈してくださる方はいいんですけれども、狭い意味でもとられがちになってしまうので、「質の向上」と入れられたほうが間違いがないかなというような気はいたします。

○村松委員長
 法律にも書いてあるし、実際、独立行政法人にわれわれが期待しているのは、確かに質の向上もある。これなしでは困るという面もありますので、原案的には効率化ということがまず重要であるということが、今のコンテクストではあったと思うのですが、どうでしょうか、分科会長、ご意見もかなり出ていますので……。

○富田分科会長
 特にこだわるわけではないのですけれども、普通、経済学でエフィシエント(efficient)とかエフィシエンシー(efficiency)と言った場合には、当然、質も量も入ってくる概念であって、あまりにここを適正化なり質の向上なりということを入れると、「こういう面で質の向上を図っております」とか、いろんな弁解が立ってしまうという問題もあって、こだわるわけではありませんけれども、要はやはりエフィシエンシー(efficiency)ということの重要性、なぜ法人にしたかということの重要性、つまり政府部門から切り離した、そういうことの意味合いをもう少し、独立行政法人制度の導入とこれからの拡大の中で出していかないとだめだなという若干の意図を込めた表現なわけですけれども。

○山本臨時委員
 効率化に反対しているわけじゃなくて、「及び」ということでつけ加えさせていただけないのか、という要望であって、当然、経済学ではそういう概念も入っているということは私も承知しておりますが、これは経済学の文書ではございませんから、むしろ法律に的確に従ったほうが、当委員会としては、そのもとに置かれる委員会でございますから、より適正ではないかということなのですが。

○村松委員長
 富田分科会長のおっしゃられることが、今の日本の中で重要であるという認識は持たなければいけないと思うのです。
 ただ、公式文書ですから、法律もあるということも重要だと私も気づいたものですから、この点は、「効率化及び質の向上」と書いたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
 このあたり、そういうふうな提案をしますけれども、ご一任いただけませんでしょうか。
 次に案2ですけれども、ちょっと悩むところですね。どうでしょうね。事務局、意見がございますか。

○田村行政評価局長
 そちらのほうが正確だと思います。

○村松委員長
 地方公共団体としましょうか。ほかのところは短いのだよね。コンセプトだからいいのかな。

○関官房審議官
 今法律を眺めさせていただいておりましたけれども、3条のところに、「適正かつ効率的に、その業務を運営するよう努めなければならない」という表現がございます。
 それから、2条の定義のところで、独立行政法人の目的が書かれているわけですけれども、そこでも、「1の主体に独占して」、中途からで恐縮ですが、「独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設置される法人」というような表現がございます。
 また、29条に「中期目標においては、次に掲げる事項について定めるものとする」ということで、1号から5号までございまして、1号で中期目標の期間、2号で業務運営の効率化に関する事項、3号で国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、4号で財務内容の改善に関する事項、5号でその他業務運営に関する重要事項という文言がございます。
 ですから、目的、2条、3条あたりの文言、それから、中期目標として定めることとなっている今申し上げました文言、これらを総合して言葉を選んでいただくのが適切ではないかと思います。

○村松委員長
 ありがとうございました。適切という言葉はちょっとあいまいなところがあります。効果的にというのがいいかなと思うんですが、ここで効率性と言っているときに、もう一つ柱を建てるとしたら、今の言葉の中では「質の向上」ということではないかと、改めてそう思っておりますので、先ほどのご提案と同じ趣旨で、もう一回申し上げますけれども、そういう方向で、分科会長と私にご一任いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
 もう一つ、地方ということですけれども、地方公共団体と書くのが正確かということだろうと思うんですが、そうしましょうか。

○樫谷委員
 その前の文章で、「民間にできることは民間に、地方にできることは地方にゆだね」るという文章の流れからいくと、ここも地方公共団体にできることということではないですよね。

○村松委員長
 これはみんなよく理解されている、政府の……。

○樫谷委員
 そういう意味では、勢いからいうと、地方、民間、国立大学法人等でもいいのかなと思ったりするんですけど。

○田村行政評価局長
 実際、そういう使い方で来ている例も結構あるので、この文章になっているんだと思いますけど、厳密に言うと山本先生のような感じですけれども、今までの使い方は地方、民間という流れになっています。

○村松委員長
 これも、今の流れからいえばそれでいいじゃないか、わかるじゃないかということもあると思います。地方公共団体と言ったほうが正確かもしれないとも思います。
 これも分科会長と私にご一任いただけないでしょうか。

○山本臨時委員
 そこはご一任いたします。

○村松委員長
 よろしくお願いいたします。
 ヒアリングもございまして、このあたりで一応内容的には触れていただいたのかなと思うわけですが、分科会長からご発言ございますでしょうか。

○富田分科会長
 特にございません。

○村松委員長
 では、今の点はそういうふうに取り扱わせていただくとして、当委員会としても新中期目標期間中に具体化することとされた研修内容の見直し、これが文科省でできているわけですが、研修期間の短縮等が実際に具体化されているか、研修日数等の適切な指標を用いて、注目・注視していきたいと考えているわけでございまして、この点も今後ともよろしくお願いしたいということでございます。
 それでは引き続きまして、独立行政法人評価分科会の案件として、財務省、国土交通省及び農林水産省からのヒアリングを行います。
 議事進行につきましては、独立行政法人評価分科会の富田分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

[新設独立行政法人の概要等について]
○富田分科会長
 それでは引き続きまして、独立行政法人評価分科会の案件といたしまして、財務省、国土交通省及び農林水産省それぞれの所管、新設独立行政法人の概要等について、前回に引き続きましてヒアリングを行います。
 まず事務局から簡単な説明をいただいた上で、財務省及び各所管から順次ご説明をいただく。そして、質疑応答をお願いしたいと思います。
 まず事務局から簡単に、これら3省の所管する法人の説明をお願いいたします。

○秦評価監視官
 財務省と国土交通省、農林水産省の新設法人でございますが、財務省関係として、独法通関情報処理センターにつきましては航空貨物、海上貨物の通関の情報処理システムの管理運営を行っております。
 特徴は、政府出資が3分の2ございます。システム使用料収入がございますので、自給自足、政府財政負担なしということでございます。 
 万博記念協会につきましても政府出資3分の2で、3分の1は地元出資でございます。ここも公園利用料収入がございますので財政負担はないということでございます。
 国土交通省所管新設独法でございますが、鉄道建設・運輸施設整備支援機構については、鉄道建設業務、鉄道事業への助成、船舶共有建造業務等を行っておりますが、助成額が相当にのぼっております。
 国際観光振興機構でございますが、これは外国人客の来訪促進事業で、すでに日本人海外旅行者対策事業を中止しております。
 水資源機構でございますが、国の水資源開発計画に基づきまして、法人が事業実施計画を策定する。そうした施設の建設管理を行うということですが、新規開発の中止は行っております。
 自動車事故対策機構でございますが、自動車事故防止と被害者保護のための運行管理者の指導講習、重度後遺障害者のための療護センターを設けております。療護センターについては民間委託を指摘され、いま民間委託を行っております。
 空港周辺整備機構でございますが、大阪国際空港と福岡空港の周辺整備を行っております。空港周辺整備計画、これは地元で知事がつくりますけれども、その整備計画に基づきまして、緑地帯の造成とか、あるいは代替地造成を行っております。これまでやっておりました共同住宅事業の廃止処分等の事業も行っております。
 それから、海上災害防止センターでございますが、ここは海上保安庁長官の指示あるいは事故船舶の所有者からの委託に基づきまして油等の防除措置を行う。あるいは大きな施設、防災訓練所等を持っておりまして、防災訓練あるいは消防訓練を行っております。
 農林水産省関係でございますが、農畜産業振興機構は畜産補助、それから野菜、砂糖、蚕糸の価格安定でございますが、野菜供給安定基金につきましては国が3分の2、県と生産者が3分の1の出資、基金分担ということでございます。これにつきましては各種事業の縮小といいますか、助成事業の縮小ということが言われております。
 農業者年金基金でございますが、これは基金の運営の合理化、資金運用体制の合理化ということが指摘されております。
 農林漁業信用基金でございますが、これは県に置かれます農業信用基金協会あるいは漁業信用基金協会が保証した債務の保険、あるいはその地方の協会に対する原資の貸付を行っております。これについては採算性が問われております。
 次に緑資源機構でございますが、ここは水源林造成あるいは大規模林道の関係でございますが、大規模林道については新規採択を抑制することになっているということでございます。
 農業生産系特定産業技術研究機構、これは作物、果樹、花き、野菜、茶、そういった地域の農業研究センターを集めた法人、以前、そういう研究センターであったものを集めた法人でございます。
 もう一つ、生物系特定産業技術推進機構という認可法人も一緒になっております。
 ここの生物系につきましては民間研究を促進するということで、研究開発会社への出資を行っているということでございます。
 研究評価の問題と、新たに出資をする場合には、収益の可能性がある場合に限定せよという指摘がございます。
 水産総合研究センターでございますが、これは北海道、東北、瀬戸内海、そういった地域ごとの研究所と栽培漁業センター、これらを合わせた法人となっております。これにつきましては独法と認可法人、社団法人が一緒になった特殊な法人ということでございます。
 以上でございます。

○富田分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明についてご質問あるいはご確認しておきたい点がございましたら、ご発言を願います。
 なければ、所管府省よりヒアリングを行いたいと思います。
 それでは財務省からヒアリングを行いたいと存じます。担当者が入室されますので、しばらくお待ちください。


(財務省担当者入室)

○富田分科会長
 本日は財務省の小野大臣官房文書課政策評価室長にご出席いただきましたので、財務省所管の新設独立行政法人の概要等についての説明を10分ほどお願いいたした上で、ご質問があればお願いしたいと思います。
 それでは小野政策評価室長、よろしくお願いいたします。

○財務省小野政策評価室長
 財務省大臣官房文書課政策評価室長の小野でございます。本日は財務省所管の新設独立行政法人の概要、それから、財務省独立行政法人評価委員会の評価の取り組みについてご説明をということでございますので、財務省独立行政法人評価委員会の事務局を担当させていただいております私の方からご説明をさせていただきます。
 お手元にございます資料に基づきまして順次ご説明を進めさせていただきたいと思います。
 まず、独立行政法人通関情報処理センターと独立行政法人日本万国博覧会記念機構の2法人についてということでございますが、まず、その概要をそれぞれご説明させていただきます。
 まず通関情報処理センターの概要からでございますけれども、資料3の1ページを御覧いただきたいと思います。
 通関情報処理センターでございますが、法人の作成したパンフレットも配付させていただいておりますので、併せてご参照いただけましたらと思います。
 まず沿革についてですけれども、通関情報処理センターは当初、認可法人といたしまして、昭和52年10月に設立されております。
 平成13年12月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画におきまして、組織形態を独立行政法人とすべきとされましたことから、平成15年10月に、認可法人であるセンターは解散いたしまして、独立行政法人通関情報処理センターが設立されたというところでございます。
 その業務の概要でございますけれども、国際貨物業務を電子的に処理するシステムであります通関情報処理システムを英語でNippon Automated Cargo Clearance Systemと申し上げています。その頭文字を取りましてNACCSといいますけれども、この運営を行っているということで、一般にこのセンターをNACCSセンターと略称されている次第でございます。
 現在、航空貨物通関情報処理システム、これをAir-NACCSと略称しております。海上貨物通関情報処理システム、これをSea-NACCSと言っておりますが、これが稼働しておりまして、全国で航空会社、船会社、混載業者、保税蔵置場、通関業者、銀行及び税関等が利用しております。平成15年の実績では輸出許可件数の99.2%、輸入許可件数の97.0%がNACCSによって処理されているという状況でございます。
 NACCSセンターの資本金でございますけれども、1ページの真ん中あたりに書いておりますが、9,000万円ということでございまして、そのうち政府による出資が6,000万円、民間企業による出資が3,000万円となっています。
 年間の予算規模でございますけれども、114億円ということでございまして、これについては国が約55億円、民間が約52億円と、それぞれからの利用料収入によって賄われているということでございます。
 役職員についてでございますけれども、理事長以下、理事3名、監事2名の合計6名の役員と、128名の職員で構成されているということでございます。
 本部は東京にございまして、全国に14カ所の地方事務所が置かれているということでございます。
 NACCSの特色でございますけれども、後ろのほうに図もつけておりますけれども、NACCSでは、輸入にありましては、船舶・航空機の入港から貨物の取卸し、輸入申告・許可、国内への引取りまで、輸出にあっては、貨物の保税地域への搬入から輸出申告・許可、船舶・航空機への貨物の積込み、さらには出港までの一連の税関手続、それから、これに密接に関連する民間業務を処理しているものでございます。
 NACCSにおきまして一度入力された貨物情報はシステム内のファイルに蓄積されまして、官民あるいは民間利用者間で相互に利用できるということで、利用者間において重複している貨物情報を二重入力する必要がなく、入力作業の簡素化ということに寄与しているというところが特色としてあろうかと思います。
 また、NACCSを導入したことによりまして、税関における輸入申告の審査事務のうち、計算、確認、照合、検索等、形式的あるいは機械的な事務につきましては電算機で処理されるということになりまして、省力化が図られております。
 さらには、過去の輸出入通関実績などの各種情報を審査基準に反映させることによりまして、税関ではハイリスク貨物とローリスク貨物を選別しまして、ハイリスク貨物についてより重点的なチェックを行うとともに、ローリスク貨物に関する通関手続を迅速に処理するということを同時に達成することができるシステムということが特色としてあろうかと思います。
 輸出入通関につきまして、ワンストップサービスの推進ということが全体として課題でございます。
 輸出入に関しましては、税関への申告以外に、関係省庁への手続が必要な場合がございます。
 例えば果物を輸入する場合には農林水産省の植物防疫法、厚生労働省の食品衛生法に基づく手続が必要でございますけれども、NACCSでは、政府全体としての輸出入手続の迅速化、簡素化を図るという政策を受けまして、平成9年2月以降、他の省が所管する輸出入に関する手続を処理するシステム、これと逐次接続を進めることによりまして、利用者はNACCSの端末から、各省庁の手続の同時並行処理を行うことが可能となっているという状況がございます。
 これをワンストップサービスと呼んでおりますが、さらに15年7月にはNACCSと港長、港湾管理者に対する手続を処理します国土交通省の港湾EDIシステム、それから入国管理局に対する手続を処理する、法務省の乗員上陸許可支援システムと相互に接続、連携しまして、貨物の輸出入、船舶の入出港にかかる行政手続につきましてシングルウィンドウ化を実現いたしております。
 これによりまして利用者は1回の入力・送信で、すべての関係行政機関への手続が行えるようになったというところでございます。
 こういうNACCSの特徴、最近の流れがございますけれども、今度独立行政法人化したことで、後ろのほうに資料として添付させていただいておりますけれども、中期計画におきましては、業務の効果的かつ効率的な業務運営、システムの安定的な運営と機能の向上、利用者サービスの向上、情報セキュリティの強化及び危機管理体制の整備・強化、そういった主要な施策につきまして目標、計画を設定しまして実施することにしている状況でございます。
 続きまして日本万国博覧会記念機構の状況につきましてご説明させていただきます。
 資料の3ページに、機構の概要ということで1枚紙をつけさせていただいております。こちらにつきましても、法人の作成した万博公園のパンフレット、部数の関係でコピーということで配付させていただいておりますので、これも合わせて御覧いただきたいと思います。

 組織の沿革でございますけれども、昭和45年、半年間開催されました日本万国博覧会、開催当時におきましては財団法人日本万国博覧会協会が運営を行っておりましたが、万博終了後につきましては、その成功を記念する事業を実施することを目的としまして、昭和46年9月に認可法人の日本万国博覧会記念協会を設立しまして業務運営を行ってきたところでございます。
 この協会でございますが、通関情報処理センターと同様に、平成13年12月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画におきまして、組織形態を独立行政法人とすべきということがございましたので、平成15年10月に認可法人の協会を解散いたしまして独立行政法人日本万国博覧会記念機構が設立されたということでございます。
 この業務の概要でございますけれども、日本万国博覧会、これは人類の進歩と調和ということをテーマに開催されましたけれども、その理念と資産を長く後世に承継することのため、万博の跡地を、緑に囲まれた文化公園として整備運営をしまして、広く国民に提供するとともに、万国博覧会の剰余金をもとに日本万国博覧会記念基金を設けまして、文化的活動、国際相互理解の促進に資する活動に助成を行う事業を実施しております。
 日本万国博覧会記念機構でございますが、中期計画におきまして、業務の効果的かつ効率的な業務運営、公園事業では、利用者に対するサービスの向上、環境保全あるいは地域社会への積極的な貢献、基金事業におきましては効果的な助成金の交付、基金の管理及び運営における客観性及び透明性の確保、選考手続等における客観性及び透明性の確保などの主要な施策を掲げているということでございます。
 この万博の機構でございますが、資本金約1,220億円でございまして、そのうち政府による出資が約650億円、大阪府による出資が約570億円ということでございます。
 年間の予算規模でございますが、約45億円ということでございまして、公園事業における支出が約41億円、基金事業における支出が約4億円となっておりまして、公園事業の収入約39億円、基金の運用収入約6億円によって賄っております。
 役職員についてでございますけれども、理事長以下、理事2名、監事2名の合計5名の役員、51名の職員で構成されておりまして、事務所は大阪にございます。
 2法人の概要につきましては以下のとおりでございます。
 4ページに、「財務省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価についての基本方針」を添付しておりますが、財務省関係の独立行政法人につきましては、4ページ以下にあります資料のとおり、平成14年6月に基本的な方針を定めております。これに基づきまして、各法人の業務の特性を踏まえまして、具体的な法人の評価基準を作成しまして、これに基づいて評価を実施することにしております。
 この基本方針の概要でございますけれども、独立行政法人評価委員会が行う評価が、独法通則法第32条に基づきます法人による次年度以降の業務改善に資するための各事業年度の評価、それから、第34条に基づきます法人による次期中期目標期間の業務改善、財務大臣による次期中期目標の検討、法人の組織業務の全般にわたる検討に資するため、中期目標期間終了後に行う中期目標に関する評価があるわけでございますけれども、この事業年度評価、中期目標評価につきまして、それぞれ項目別評価、全体評価の二つの方法から成り立っているということでございます。
 項目別評価につきましては4段階評価を基本にしておりますけれども、法人の業務の特性、評価項目、性格に応じまして段階を追加することも可能となっております。各項目別評価を踏まえまして、全体評価につきまして評価を行っていくという枠組みになっております。
 時間の関係で、概略の概略ということで恐縮でございますが、これが2法人に対しての概要と、評価の考え方の概要でございます。
 以上で説明を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○富田分科会長
 ありがとうございました。ただいまのご説明についてご質問などがありましたら、ご発言いただきたいと思います。

○武田臨時委員
 2法人とも、資本金が政府だけじゃなくて、民間、府等の出資を受けているということで、特に民間の出資を受けているということで、評価上注意しなければいけない、あるいは運営上注意しなければいけない点が出てくるのではないかという気がするのですね。
 といいますのは、施設費等で、減価償却の関係等で、一般の民間企業とやり方が違ったと思っているのですが、そのあたりちょっと勉強不足ですけれども、特にその辺の注意点等がございましたら教えていただきたいのですけれども。

○財務省 山村事務管理室長
 通関情報処理センターのほうですけれども、会計基準は独法会計基準でございますけれども、基本的には企業会計基準にのっとってやっているということでございますので、そんなに留意する点は特にないと思っております。

○富田分科会長
 武田委員、よろしいですか。

○武田臨時委員
 私なりに勉強してみます。

○樫谷委員
 財務諸表の公表のことですけれども、開始貸借対照表について、聞くところによると作成はされているのでしょうけれども、一般に公表されていないと聞いているのですけれども、あるいは資産委員会の資料が公表されていないと聞いているんですが、何か特別な理由があって公表しないというお考えなんですか。ほかに何か理由があるのでしょうか。

○財務省 小野政策評価室長
 何か特別のことがありまして公表しないということではございません。
 いわゆる公表というものは、独法の通則法におきましていわゆる公表するという規定があるものについては、いわゆる世の中に公表ということを、オープンにすることをそれぞれやっているということでございまして、当然独法の透明性という観点がありますから、その内容等に応じまして、世の中からニーズ等がありましたら、独法の方で対応するべきものにつきましてはそういうニーズを踏まえてということになるんでしょうし、財務省の部分につきましては、個別のものにつきましてニーズ等を調整しながらということでございますので、いまの時点でこれは絶対公表しないとか、そういう透明性の世界に対して逆行することを何か、例えば財務省から独法のほうに指示しているとか、そういうことはございません。

○樫谷委員
 できましたら、これは任意提供になると思うんですけれども、非常に重要な書類だとわれわれ思っておりますので、積極的に情報提供してもらうといいと思いますので、ぜひご検討いただけたらと思います。

○財務省 小野政策評価室長
 多分これから財務省の評価委員会などでいろいろな評価をするときにも、今までの状況等の関係で必要性みたいな話は、多分そちらのほうでも出てくるかと思います。
 今日そういうお話がありましたということにつきましては、独法の方にも伝えられるような形で対応したいと思っております。

○河村臨時委員
 通関情報処理センターについてお尋ねしたいのですけれども、このシステムが包含する範囲が、他省庁への輸出入の許認可等にまで入って、ユーザー側からすれば大変利便性の高いシステムで大変結構なことだとは思うのですが、この手のシステムは、利便性が上がるときには、金融なんかでよく言えることですけれども、同時に安全性の面をいかに確保するかということが非常に重要になってくるのではないかと思います。
 ですから、バックアップの体制とか、何か災害が起こったときの対応とか、そういったところを万全にしていただくことも、独法の一つの意義でありますサービスの質の向上になるのではないかと思うのですが、そういったあたりどのような対応をされているか簡単にお尋ねできればと思います。

○財務省 山村事務管理室長
 現時点におきましては、Sea-NACCS、Air-NACCSそれぞれ二つシステムがございますが、システムの置く場所を一応分けております。
 それから、Air-NACCSの近くに試験機ということで、サブセンターというちょっと小さめのマシンがございまして、これが、いざというときにはバックアップの機械として使えるという形に現時点ではなっております。
 将来的には、できるだけ利便性を落とさずに、いかにしてコストを下げるかということを今年度財務省で行う税関システムの刷新可能性調査の中で検討することになっております。

○鈴木臨時委員
 資料を見せていただいていてお聞きしたいのですが、24ページに「基金の実質的価値を維持するため」と書いてあるのですけれども、実質的価値はどのようにお考えになっているのでしょうか。

○財務省 豊岡国有財産業務課長
 万博が行われましたのが1970年ということで、当時の物価価値からしますと、そのときの剰余金が195億あったわけですが、現在価値に換算しますと、あれから34年もたっているということで、そこは将来的に繰り入れられるものが出てきたら基金に厚みを増して実質的価値を維持しようじゃないか、そういう基本的な考え方に立っているものでございます。
 基金自体の実質的な経済価値という意味でございまして、34年前の貨幣価値を実質的に確保しておこうという意味でございます。

○山本臨時委員
 1点だけご質問ですが、例の通関情報処理システムは、たぶん独占的なことがされているからと思いますけれども、利用料は国が払われているということもあるらしいのですけれども、利用料を下げるということは目標にされておられるのでしょうか。

○財務省 山村事務管理室長
 基本的には通関情報処理センターは独立採算ということで、国と民間がそれぞれの受益に応じて費用を負担しているということですので、全体のコストを下げて、利用料を下げるということは、当然、常に利用者の方からも要望がございまして、利用者の方と検討会をやって、適切な利用料金の設定を行うということは、この法人の中期計画の中にも記述しております。数値目標ということではございませんけれども、できるだけ公平に安く提供できるようにするということは常に目標にしているということでございます。

○富田分科会長
 山本委員、よろしいですか。

○山本臨時委員
 事実ですから、事実として確認させていただきました。

○樫谷委員
 日本万国博覧会記念機構ですが、中期目標のところに「日本万国博覧会の
成功を記念するにふさわしい文化的活動とか国際相互理解の促進」と書いてありますね。
 頭書きに「成功を記念するにふさわしい」となっているのですが、これは、例えばどういうものなら対象で、どういうものは対象でないのか、文化事業活動とか国際相互理解の促進であればすべて入るのでしょうか。頭にあるのと、ないのとではどう違うのでしょうか。

○財務省 豊岡国有財産業務課長
 基本的には34年前の日本万国博覧会が「人類の進歩と調和」というテーマで行われて、その結果、6,000万人を超える方々が来られて、195億にものぼる剰余金が発生しまして、これをどうやって使うかということになりまして、やはりメインテーマである「人類の進歩と調和」に見合ったような事業に資するべきであるということで、中期計画を、独法になりました万博機構のところへ具体的にブレークダウンして、一体どういうような事業がふさわしいのかを決めまして、決めたところで広く世間一般に公募いたしまして、そこで、民間の第三者機関からなる選定委員会できちんと透明性、説明責任を持ってやっていく。
 一般的に言いますと、これは機構になる前からの基本的な考えですけれども、一つには技術文明の高度な発展に伴って生じたような問題の克服とか、あるいは世界の地域間の交流とか、地域間の不均衡の是正を通じた民族間の調和といったことを内容としておりますので、それにふさわしいような国際交流とか文化交流とか、そういった事業に対して交付金を助成するという考え方に立っております。

○黒川臨時委員
 2点ございます。
 一つはNACCSネットワークに関連する質問ですが、あまり適切な質問ではないかもしれませんけれども、最近よく盗難があって、不正なものが輸出されるとか、そういうことを新聞等で目にするのですけれども、このネットワークシステムに、例えば警察の盗難物の調査といいましょうか、特に自動車などは、新聞等で8万台以上盗まれているとか言われていますけれども、そういうところを警察が調べるなど、そういうところと連携しているのかどうかということが、まず1点お聞きしたかったことです。
 2点目は、先ほども質問がありましたが、実質価値を維持するという、この実質というのは会計上、非常に難しい概念ですけれども、実質というと、購買力を維持するとか、いろいろ考えてしまうのですけれども、実質とは何か、もう少しご説明をお願いしたいと思います。

○財務省 山村事務管理室長
 最初のNACCSに関する盗難自動車の取締りの関係でございますけれども、盗難自動車の不正輸出に関しての情報交換は、実質的には税関と警察がかなり密にやっております。
 そういう情報交換自体は行政当局でやっているということでございますけれども、自動車が輸出される場合には、日本における登録が抹消されていなければならないこととなっており、現在はある程度書面で確認されている状況にございます。NACCSとの関連ではそういうことをシステム的にチェックするために、今年度、国土交通省の自動車の登録に係るシステムと接続いたしまして、登録の抹消がされたかということを税関職員がシステムでチェックできるようにすることを予定しております。

○財務省 豊岡国有財産業務課長
 実質的価値のところでございますけれども、独立行政法人になりましたときに、万博機構法という法律がありまして、その中に条文がございまして、基金の取り崩しはこういうときにしかできないという規定がございます。
 それは一つには大規模な災害が起こった場合、それから、予想しなかったような大きな事故が起こった場合など、日本万国博覧会の跡地の整備等に支障が生じたときに限って基金は取り崩すことができる。逆に言いますと、そういったことがなければ基金は法律上取り崩してはいけないのだと。
 そこの基本的考え方が、先ほども申しましたが、6,000万人を超えるような、海外も含めて多くの方がお支払いになってくださった入場料収入が残って、それを未来永劫にわたって万博の人類と調和に合うような基金事業にしていくためには、よほどのことがない限り基金は取り崩してはいけませんよという基本的な考え方がございまして、実質的価値の維持は、そういう意味からして、会計法上のギリギリいった話というよりは、万博の基金のあるべき姿を、基本的な哲学というところで考えれば、より積極的に言えば実質的価値の保存であり、ネガティブに言えば、よっぽどのことがない限りは取り崩してはいけないよという考え方に立っているものと理解しております。

○富田分科会長
 予定の時間が参りましたので、まだご質問のある委員の方もいらっしゃるのですが、ここで財務省所管の新設独立行政法人の概要等に関する質疑応答を終了させていただきたいと思います。
 なお、ご質問の残っておられる委員は、事務局にご連絡いただきまして、その内容を財務省に照会し、回答をいただくことで対応させていただきたいと思います。
 本日ご説明いただきました、特殊法人等改革に伴い特殊法人等から移行した独立行政法人につきましては定期的な評価等を通じて、これまで特殊法人等として出されていた問題点が克服されることが期待されております。
 単なる看板の書きかえとなっていないかどうか、国民から厳しい目が注がれています。法人における真に効率的な運営の確立に向けて、厳格かつ的確な評価が実施されるよう、評価の手法、評価基準等のレベルアップを引き続き図っていただくようお願いいたします。
 小野政策評価室長におかれましては、本日はご多用中のところありがとうございました。


(財務省説明者退室)

○富田分科会長
 それでは引き続き国土交通省からのヒアリングを行いたいと存じます。


(国土交通省説明者入室)

○富田分科会長
 国土交通省の政策統括官付与田政策評価官にご出席いただきましたので、国土交通省所管の新設独立行政法人の概要等についての説明を30分ほどでお願いいたします。

○国土交通省 与田政策評価官
 国土交通省政策評価官の与田と申します。日ごろは私どもの独立行政法人に対しましてご指導、ご鞭撻をいただきまして、この席をかりまして厚く御礼を申し上げます。失礼とは存じますけれども、座りましてご説明させていただきます。
 私どもの資料として、「国土交通省所管平成15年度設立独立行政法人について」という冊子があると思いますけれども、私ども、平成15年度の10月に設立いたしました法人が六つございまして、それぞれにつきまして法人の概要と中期目標、中期計画のレジュメを添付いたしておりますので、その資料に基づいてご説明申し上げたいと思います。
 まず1ページ目でございますけれども、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の概要ということでございます。
 これは従前の日本鉄道建設公団と運輸施設整備事業団を合体いたしまして昨年の10月に発足したものでございますけれども、その前に、運輸施設整備事業団につきましては、鉄道整備基金と船舶整備公団といった二つの特殊法人あるいは認可法人が合体したものでございますし、日本鉄道建設公団につきましても、平成10年に日本国有鉄道清算事業団を吸収いたしましたので、業務につきましても、これら合体したものを吸収しているといった形となってございます。
 業務の概要でございますけれども、(1)が新幹線鉄道等の鉄道施設の建設、貸付等でございますが、これは従前の日本鉄道建設公団が行っていた事業でございまして、整備新幹線の建設あるいは常磐新線の建設、貸付は整備新幹線、たとえば長野新幹線とか九州新幹線につきましては機構のほうで保有いたしまして、これをJRに貸付いたしてございますので、その業務でございます。
 2番目の船舶の共有建造でございますけれども、これは従前の船舶整備公団が行っていた事業でございまして、海運事業者の方々と、これは内航船と旅客船でございますけれども、共有の形で建造させていただいて、それを15年といった長い共有期間の間で貸付料をいただいて、その中で元本償還いたしまして、最終的には所有権を全部事業者さんに移して、私どもの共有に基づきます負担につきましては貸付金で償却するといった制度のものでございます。
 3番目と4番目は、船舶技術あるいは運輸分野に関する基礎的研究等につきまして助成を行っているものでございまして、従前行った調査でいいますとテクノスーパーライナーとか、あるいはメガフロートとか、あるいは無人飛行機による滞空観測といったものの支援を行ってございます。
 それから、鉄道施設整備を行う鉄道事業者等に対する補助金等の交付といったことでございまして、これは鉄道整備基金が行っていた事業でございますけれども、国土交通省のほうで国庫補助ということで、地下鉄につきまして、たとえば市とか第三セクターに補助を行っておりますけれども、その交付事務をこの整備支援機構が行っているところでございます。
 最後に旧国鉄職員の年金等の給付に関する費用等の支払いでございますけれども、これは従前の国有鉄道清算事業団が行っていた事業でございまして、JR株式を売却したり、あるいは国鉄の跡地を売却しまして、そういった業務を行ないながら、売却益あるいは補助金等をもとにいたしまして、旧国鉄職員の年金の給付を行っているところでございます。16年4月1日現在の職員数が1,861人でございまして、中期目標の期末に1,770人を予定いたしております。役員数は13人以内、予算規模は約2兆900億程度でございます。
 次のページをめくっていただきまして、中期計画、中期目標でございますけれども、この法人につきましては、今申し上げましたとおり、たくさんの法人が一緒に、もともとが分かれていたこともございまして、この業務統合のメリットをどう生かすかというのが非常に大きな課題でございます。
それから、鉄道に関するいろいろな技術を持っていますので、それの業務の質の向上と、あるいはコスト削減といったようなことを中期計画で掲げているところでございます。
 中期目標の期間は4年6か月、平成15年10月1日から平成20年3月31日までということでございまして、業務運営の効率化、まず業務統合のメリットを生かしていろいろなことに的確に対処できる体制の整備ということで、共通管理部門の統合ということで、総務部あるいは経理部門はそれぞれ一つの部にまとめましたし、技術支援、施設管理等の政策課題に対応した機能別組織ということで、技術支援部、施設管理部を創設したところでございます。
 また、管理費につきましては、これはほかの法人も同じでございますけれども、4年6か月の法人ということで13%削減を予定してございます。
 鉄道建設に関する総合的なコスト縮減ということで、15%の総合的なコスト縮減ということでございますけれども、これは国土交通省の公共事業コスト改革プログラムがございまして、これは政府全体におきましては公共事業コスト構造改革プログラムという名前を変えまして、関係省庁の連絡会議で合意をされているものがあるわけですけれども、この中で、5年間で15%の総合的なコストを縮減するということをうたっておりますので、これに平仄を合わせたところでございます。
 業務の質の向上ということで、鉄道建設事業の投資効果の向上ということで、いろいろ技術的な進歩もございますので、工法、スペック等を常に見直していくといったことと、内航の海運活性化に資する物流高度化船舶、これは船舶を新しくするときには速力とか積載能力は大きいものにする、あるいは政策的効果のより高い船舶、たとえばバリアフリー船とかモーダルシフト船、あるいはダブルハルタンカーといった船を重点的に採択することによりまして、右に書いておりますとおり、そういった船の建造比率を80%以上にするといったことを目標といたしてございます。
 総合的な技術力を活用した技術支援、調査研究開発、国際協力業務等の積極的推進ということで、いままで培いました技術を、世の中あるいは、自分たちの仕事もそうですけれども、そういうことに生かしていくといったことでございます。
 最後でございますけれども、資金調達コストの抑制、抑制効果の検証ということで、後ろのほうの財務の表を見ていただければ、いろんな勘定があるものですから、そういったことに対しまして、流動性管理の一元化を行いますとともに、短期及び長期資金の柔軟な調達等による資金調達コストの抑制、抑制効果の検証を行ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に独立行政法人国際観光振興機構の概要でございますけれども、これは従前、国際観光振興会と言っていたものが改組いたしまして独立行政法人国際観光振興機構といたしたところでございます。
 業務は、端的に申し上げまして、外国人観光旅客の来訪を促進するといったことでございます。
 第1点は外国人観光旅客の来訪を促進するための宣伝ということで、政府全体では、たとえばグローバル観光戦略、あるいは観光立国の計画とか、あるいはビジット・ジャパン・キャンペーンといったことをやっておりまして、2010年には外国人観光客の方が日本に1,000万人来ていただくということを一つの目標といたしているところでございます。
 国際観光振興機構におきましては、海外に12の観光宣伝事務所、そのうち2カ所は支所でございますけれども、さらに1カ所、現在、上海に観光宣伝事務所を設立中でございますけれども、こういったものを利用いたしまして宣伝いたしますとともに、次は外国人観光旅客に対する観光案内所の運営ということで、これは東京と京都に観光案内所がございまして、これで案内申し上げてございますが、次のページに書いてございますけれども、京都につきましては3月31日で閉鎖させていただいたところでございます。
 通訳案内業試験事務の代行でございますが、通訳案内業務の中で、国際観光振興機構がこれの代行機関になってございますので、これを代行いたしているところでございます。
 4番目でございますけれども、国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律、これは通称コンベンション法でございますけれども、コンベンションとインセンティブ旅行を誘致するということで、この法律に基づきまして、国際会議観光都市が49カ所認定されてございますので、これらの都市に対してコンベンションあるいはインセンティブ旅行を誘致するべく活動いたしているところでございます。
 職員数は102名、役員数7名以内、予算規模は22億4,300万円となってございます。
 中期計画、中期目標、4ページ目に移らせていただきますが、先ほど申し上げましたビジット・ジャパン・キャンペーンにおいて、この機構の持っております豊富な経験、ノウハウを生かして、戦略的かつ効果的な訪日外国人旅行者の増大のための取り組みに貢献するということが大きな目標でございます。
 中期目標の期間につきましては、鉄道のほうと同じでございまして4年6か月でございます。
 中期目標につきまして、本部組織及び海外観光宣伝事務所の業務実施体制の整備ということで、本部を改組いたしましてマネージャー制を導入したり、あるいは海外観光宣伝事務所も、先ほど、2カ所支所化したと言いましたけれども、そういったいろいろな体制整備を行っているところでございます。
 職員の意識改革及び業務への取り組み意欲の向上といったことでございまして、外部人材の登用、あるいは海外事務所の現地で採用した職員がおりますけれども、その本部職員への登用といったようなことを行っているところでございます。
 それから、適切な事業評価により、常に効果的な事業へ資源を重点的に配分するといったことで、国内2カ所のツーリストインフォメーションセンターの見直しが中期計画では示されておりまして、これに基づきまして、京都の事務所を3月末に閉鎖したところでございます。
 一般管理費につきましては、中期目標期間が4年半ということでございますので13%削減ということでございます。
 業務の質の向上ということで、旅行を目的としての日本の認知度の向上ということで、正直な話、国際観光振興機構、もちろん海外で新聞とかテレビにどんどん宣伝が打てればいいんですけれども、なかなか予算的な面が苦しい面もございますので、そういったことではなくて、むしろ日本を積極的にメディアに取り上げていただくということを主なターゲットにいたしておりまして、そういった意味で、メディアの方にどんどん日本をアピールしていくといったような活動をいたしております。
 それから、海外事務所において、特に旅行会社と連絡をとり合ったり、あるいは国内の団体あるいは関係者との間を取り持ったりいたしまして、日本への訪日ツアーを要請いたしておりますけれども、これにつきましては、14年度に比べまして年間の設定本数を50%以上増加したいといった目標を掲げてございます。
 さらにコンベンションにつきましても、現在、年間70本ほど、これはコンベンションの開催誘致とインセンティブ旅行両方を合わせた件数でございますけれども、現在そういった誘致状況になってございますが、これを50%程度増加して、70件に年間35件ほど加えた数字に持っていきたいということでございます。
 財務の内容の改善でございますけれども、自己収入の増加ということで賛助金、これは地方公共団体さんとか、あるいは民間事業者さんからいただいているのですけれども、これの増加を図るとともに、受託事業あるいは補助事業等を行うことによって自己収入を増加していく。さらに賛助金をいろいろいただいているわけですけれども、やはり相手の、しっかり出していただくためには、やはりしっかり受益について説明責任を果たしていかなければいけないということで、受益と負担の関係についてしっかりと賛助会員の方々にお示ししていくということといたしております。
 次に水資源機構の概要でございますけれども、これは5ページでございまして、水資源機構は従前の水資源開発公団が改組いたしまして水資源機構ということになったわけでございます。
 水資源開発促進法によりまして、水資源開発基本計画が日本の中で7水系について立てられております。
 たとえば荒川、利根川水系、木曽川水系、筑後川水系等々でございますけれども、こういった水系につきまして水資源の開発を行う、具体的にはダムを建設して、あるいは用水路を建設して、それを管理していくといったことを主な業務といたしているところでございます。
 業務の概要は今まで申し上げたとおり、水資源開発基本計画に基づきまして、ダムの建設あるいは水路の建設ということで、中期計画中は、あとの中期計画にも申し述べてございますけれども、滝沢ダムと徳山ダム、それから房総導水路、愛知用水二期といった、この期間中に完成することが目されております事業について集中的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 また、いままでつくったダム、あるいはいままでつくった用水路、あるいはこれからつくるものにつきましては、この管理も水資源機構が行うことといたしてございますし、これと一体的に管理したほうがいいもの、水系といいましても、全部が水資源機構が開発したものではございませんで、この7水系の実績を見ますと、水資源機構が開発した水資源量は大体88%ですけれども、あと12%程度は県が単独でやったもの等ございますので、その中で管理を一体的に行えば合理的なものがあれば、水資源機構のほうで管理させていただくこともあるといったことでございます。
 委託に基づく水資源に関する調査でございますけれども、これは、この後書いてございますけれども、水資源機構といいますのは、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び当省の4省の共管でございますけれども、それぞれの省庁から委託をいただいたり、あるいは関係の地方公共団体からもいままで委託調査を受けているところでございます。
 役職員数でございますけれども、職員数は1,828人、16年4月1日現在では1,790人で、期末には1,579人を予定いたしてございます。役員数は9人以内、予算規模は2,935億2,300万円ということでございます。
 中期計画でございますけれども、国民生活のライフラインである水道、農業及び工業用水を、安全で良質な水を安定して安くお届けすることを理念といたしまして、民間企業的な経営理念を持って、効果的かつ自立的に遂行することを目的といたしてございます。中期目標の期間は4年6か月でございます。
 事業運営の効率化ということで、機動的な組織運営と職員のインセンティブ確保による資質向上ということで、能力や実績を適正に反映した新人事制度を導入したところでございます。
 また、情報化、電子化等を活用した効率的な業務運営ということで、電子申請システムの導入とか、あるいは本社、支社、局、事務所の役割の明確化と業務の一元化を行っているところでございます。
 事務費と事業費についてでございますけれども、事務費につきましては、4年半の独立行政法人でございますので13%節減、事業費につきましては、公共事業の関係でございますので、業務の質の向上ということで、総合的なコストの削減を15%行うとともに、事業費自体については10%削減ということでございます。
 次に業務の質の向上でございますけれども、計画的で的確な事業実施と的確な施設管理といったことで、先ほど申し上げました4施設を集中的に行っていきたいということでございます。
 水資源の開発、施設の改築、管理等にかかる総合的なコスト削減ということで、公共事業15%は総合的なコスト縮減ということでございます。
 さらに業務実施に当たっての環境保全への配慮、関係機関との連携や国民への説明責任の向上を果たしていきたいと考えているところでございます。
 その他の重要事項でございますけれども、人員の適正配置による業務運営の効率化の実施ということで、人員を14年度末に比べまして315人削減することといたしております。
 建設負担金を前払いする方式を可能な限り活用ということで、これまでダム等は、建設するときに前払いということは考えられなかったのですけれども、用水路等の改築、改修におきましては、利水者にお金が入ってくるものですから、利水者から前払いしたいということが時折ございましたので、今後は、そういった要請には基本的に対応するといった運用改善を行いたいと思っているところでございます。
 次に自動車事故対策機構でございますが、これはご存じのとおり、昭和40年代に交通戦争が非常に大きく社会問題になったところでございます。
 これを踏まえまして、自動車事故の発生の防止と被害者の保護を目的といたしまして、昭和48年に認可法人で自動車事故対策センターが設立されたところでございまして、これを今般、独立行政法人化いたしたところでございます。
 事業の概要でございますけれども、これは二本柱がございまして、自動車事故の防止対策と、自動車事故による被害者の保護対策がございます。
 事故の防止対策といたしましては3点ございまして、一つは運行管理者等の指導講習ということでございまして、いわゆるタクシー、バス、トラック事業者、それぞれ運行管理者を置くことが義務づけられてございまして、そうした運行管理者に対しまして講習を行っているところでございまして、年間延べで約10万人の方の実績がございます。
 次に運転者の適性診断でございますけれども、これはたとえば動体視力を見るとか、あるいはあなたはこういったときにカッカするので気をつけなさいといったような心理及び生理の面から安全運転に役立つようきめ細かな診断をするものでございまして、これも年間延べ30万人ほどの方に受けていただいているところでございます。
 それから、これは新しいものですが、自動車の安全情報の提供ということで、年間約20車種、昨年度は19車種だったのですけれども、これにつきまして5種類の、たとえば前面の衝突実験あるいは側面の衝突、あるいはブレーキ性能、こういった5つの安全側面から、それぞれ星をつけまして、一番いいのは六つ星で、一番下が一つ星でして、これを国民の方々に、この自動車の状況はこうですよということをお示しして参考にしていただくといったものでございます。
 次に自動車事故による被害者の保護対策でございますけれども、自動車事故にあいますと重度な障害をこうむる方がおられますので、その療護センターを現在、千葉、岡山、東北、中部、東北は宮城、中部は岐阜でございますが、それぞれに1カ所ずつ持ってございます。その4カ所を設置運営していくということでございます。
 介護料の支給ということで、これは補助金から支給させていただいてございますが、年間約3,000人ほどの実績がございます。
 交通遺児に対する貸付ということで、これは現在約2,000人の方を対象にいたしておりますけど、こっちは過去に貸したものがございますので、還流式で運営してございます。
 役職員数は職員数340名、役員数6人以内、予算規模133億5,000万円ということでございます。
 自動車事故対策機構の中期目標でございますけれども、厳格な目標管理と外部評価の実施によりまして業務運営の効率化を図っていくということでございます。
 この法人は、ほかの5法人と違いまして、中期目標の期間が3年6か月でございまして、1年短うございます。
 その結果といたしまして、先ほど、ほかの法人は一般管理費の削減目標が13%でございますが、この法人につきましては3.5/4.5ではないのですけれども、管理費の削減目標は10%という形に設定させていただいてございます。
 業務運営の効率化ということで、指導講習、適性診断における経費の削減や自己収入の増加、療護センターの運営経費の節減、自動車アセスメントにおける適切なコスト管理等の効率化を推進するということでございまして、まず一つは指導講習、適性診断におきましては自己収入比率、今まで大体30%ぐらいだったのですが、それを5%ほど向上させていくということでございます。
 療護センターと自動車アセスメントにつきましては経費を4%削減していく。効果的、効率的な債権回収を行うことによりまして、回収費を20%節減していくということを節減目標といたしているところでございます。
 業務の質の向上ということで、これは目標管理的な考え方でございますけれども、療護センターにおきましては、意識障害からの脱却者数を、この3年半の間で30人以上になるように頑張る。学会における年平均10件以上の研究成果の発表、高度先端医療機器の年間9,000件以上の検査受託を実施することを目標といたしてございます。
 さらに、こういったアウトプットというかアウトカムというか、そういった指標だけでなくて、各事業について受益者のニーズをしっかり反映させなくてはいけないということで、それぞれの事業につきまして、ユーザー等の利用者の満足度調査をアンケートで行うことにいたしておりまして、それの目標といたしまして、5段階評価で平均4.0以上の評価を取得いたしたいと考えているところでございます。
 その他の重要事項でございますけれども、職員の能力開発を促進するとともに、適正な要員数とするよう努力といったことで、期末の定員は336人を予定しているところでございます。
 次に空港周辺整備機構の概要ですけれども、航空機騒音防止法に基づきまして、大阪国際空港及び福岡国際空港に、昭和49年と51年、それぞれ周辺整備機構を立ち上げたところでございまして、昭和60年にこれが、認可法人でございますけれども、統合されまして、それを今回独立行政法人に改組いたしたものでございます。
 大阪国際空港と福岡空港、この2空港につきましては、当時非常に航空機の騒音問題が厳しゅうございまして、その関係でいろんな事業を行ってまいりました。
 航空機騒音防止法の主な事業は三つございまして、一つは騒音レベルによって違うのですけれども、WECPNLというむずかしい指標があるのですけれども、これの75以上を第一種区域といって、ここにつきましては民家防音工事を行う。WECPNL90以上、さらに音が大きなところですけれども、ここにつきましては住居の移転補償を行う。さらに第三種区域でWECPNL95以上の非常に騒音レベルの高いところについては緩衝緑地帯等を整備するといった法律的な業務の構成になってございまして、それを受けまして空港周辺整備機構におきましては、資料の(4)が第一種区域における民家防音工事の助成、(5)がいわゆる第二種区域における移転補償、(1)がいわゆる緩衝地帯の整備ということでございまして、(2)と(3)はこれに付帯する業務でございまして、(3)は移転補償を受けた方々に、代替地あるいは代替住宅を提供しなければいけませんので、代替地の造成、管理、譲渡を行う。
 騒音がある程度大きくても、騒音整合施設、住宅はまずいのですけれども、たとえばショッピングセンターとか物流センターにあっては、空港の周辺で、立地的にも悪くないところもあるものですから、そういったところに再開発事業といったことが一つ立てられてございまして、移転補償跡地を借り受けて、ショッピングセンターなり物流施設といった騒音整合施設を整備して貸し付けるという事業を行ってございます。
 最後の(6)は、空港は大阪と福岡だけではございませんので、ほかの飛行場においても、緑地帯をつくるときには受託しても構わないといった業務が付加されてございまして、過去、認可法人の時代には、高知、松山、宮崎でそれぞれ緑地帯の整備を受託いたしてございます。
 役職員数の数は92名、役員数7名、予算規模178億6,000万円でございます。
 中期目標、中期計画でございますけれども、この機構につきましては独立行政法人発足時に大胆な見直しを行いまして、部長クラスポスト3割、職員数を1割、すでに発足時に削減いたしてございます。中期目標の期間は4年6か月でございます。
 業務運営の効率化ということで、航空機騒音対策にかかる社会的ニーズに迅速かつ的確に対応するとともに、責任体制を明確にするために必要な体制の整備ということで、先ほど申し上げました経理部、周辺整備推進室並びに東京事務所といった、部長クラスのポストを三つ廃止、東京事務所は事務所自体を廃止いたしましたけれども、それとともに課の統合を実施いたしてございます。
 共同住宅については新規建設を廃止することが一つと、代替地の保有につきましてもできるだけ制限的にやっていくことといたしてございまして、特に共同住宅につきましては処分ということで、小中島住宅については、期間中に6戸以上を処分するということといたしてございます。
 一般管理費につきましては、先ほど申し上げましたとおり4年半でございますので、13%の予定となってございます。
 業務の質の向上ということで、航空機騒音対策事業と地域整備事業を一元的、効率的に実施するための体制、制度を構築、空港と周辺地域の共生に資するための措置を講ずるということで、機構の出資者でございます国、県、市及び関係自治体等との定期的連絡会を最低年2回以上開催することを予定いたしてございます。
 財務内容の改善を図るために、欠損金の圧縮等の適切な措置を行うということで、先ほど申し上げました再開発事業、あるいは家賃の欠損金とか未収金が若干ございますので、欠損金については期間中に30%圧縮、未収金については40%圧縮することといたしてございます。
 その他の事項といたしましては、業務運営の効率化を図ることにより計画的な人員の抑制ということで、独法化時点で職員を1割すでに削減いたしてございます。
 最後でございますけれども、海上災害防止センターでございまして、これは昭和51年の10月に同じ名前の海上災害防止センターという認可法人が設立されまして、これを今回、独立行政法人に改組いたしたものでございます。
 業務の概要でございますけれども、第1点目は海上防災措置実施業務でございまして、これはありていに申し上げまして、タンカー等の事故が起きたときに油の除去や、被害が及ぶのを防止するといったものでございまして、第1番目は海上保安庁長官の指示による排出油特定防除措置の実施業務で、端的に言えば、ナホトカ号のときがこの事務でございまして、当該船舶所有者が何も動かないときに、長官からの指示を受けまして油防除を行うものでございます。
 そのほかに船舶所有者自体が直接委託してくる場合もございまして、2番目の、船舶所有者その他の委託による排出油防除、消防措置の実施業務でございますけれども、過去、たとえばファルヨーロッパ号といいまして、大島沖で自動車専用船が座礁いたしまして火災を起こしたときには、私どものセンターに受託していただきまして措置をとらせていただきました。
 機材業務でございますけれども、海上防災措置に必要な資機材を保有し、船舶所有者その他の者の利用に供する業務でございまして、これは海防法上、タンカー等の船舶所有者あるいはタンカーそれ自体に、たとえば東京湾に入るようなときには、オイルフェンスとか、あるいは油回収船の設置義務がございますので、これをかわりにセンターが、そういったものを東京湾の中にしっかり配置いたしまして、当該船舶所有者に証明書を発行いたしまして、それを代替的に行うものでございます。
 海上防災訓練業務につきましては、横須賀に研修所を有してございますし、東京湾の真ん中に、火災のときの演習場を所有いたしてございまして、そういうところで実施いたしているものでございます。
 調査研究業務ということで、過去、これは受託が多いのですけれども、油処理材とか資機材、LNG対策等の調査を行ったところでございます。
 職員数は30名、役員数が5名以内、予算規模は21億3,300万円ということでございまして、国等の関係では、防災基金が11億、そのうち政府が3億2,700万積んでございます。
 これはナホトカのときもご存じかと思いますけれども、お金がすぐ返ってくるものではございませんし、そういったときに対して常にある程度体制を整えておかなければいけないということで、そのための基金を積んでいるものでございます。
 中期計画でございますけれども、すでに独立行政法人化に先行して神戸支所を廃止いたしましたし、職員数も1割減を実施いたしました。
 そういったことで、効率化、スリム化を実施していくということで、今年度につきましては16年の4月1日付で函館支所を廃止いたしております。中期目標の期間は4年6か月ということでございます。
 業務運営の効率化ということで、業務規模、事業実態の変化に対応して組織、定員の見直し等を実施するということで、もうすでに定員の1割削減をさせていただいてございます。
 管理費につきましては一般管理費を、4年半でございますので13%程度削減させていただく。事業費につきましても5%程度削減するといった目標を打ち出してございますが、事業費のうち防災費につきましては、どんな事故があるかわかりませんので、削減対象からは除かれてございます。
 業務の質の向上ということで、防災措置実施時に油回収装置を迅速かつ効果的に運用するためのシステムを構築、海防法で規定する基準に適合する資機材の配備体制を確保するとともに、事故発生時に迅速に運用するための措置を実施といったことで、油の回収装置を全国10基地に、排出油防除機材を全国33基地に配備いたしまして、防災部と機材部が協力してシステムをつくるとともに、訓練を最低毎年度1回は実施するということにいたしてございます。
 また、訓練参加者に対しましてアンケート調査を実施いたしまして、70%以上の参加者から、有益な訓練であるとの評価を受けていきたいと考えているところでございます。
 財務の内容でございますけれども、業務の範囲内において受託業務収入により自己収入の確保を図るということで、収入は、この法人につきましては出資金以外は自己収入ですべて賄われてございますので、今後とも自己収入の確保を図り、自立的な運営を行うといったことでございます。
 その他の事項といたしましては、施設設備に関する整備計画を策定し、機能の適切な維持、補修を実施するということでございます。
 私どもからの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○富田分科会長
 ありがとうございました。ただいまの説明についてご発言願います。

○黒川臨時委員
 それでは2点、内容について教えていただきたいと思います。
 1点目は観光に関連する法人がございましたね。ご説明を受けまして、ビジットジャパン、日本が政策として非常に打ち出されているわけですけれども、これに関連しましては国土交通省だけじゃなくて、経済産業省や外務省との、省庁だけ見ても連携が必要だろうと思いますし、観光地の都市計画とか、細かいことを言ってしまいますと、目玉となるような寺院とか美術館とか、いろいろ特色があると思うのですが、そういうところとの連動というのでしょうか、連携が図られなければならないと思いますけれども、そういう横並びというのでしょうか、そういうところとの連携についてどの程度なされているのかという点が1点です。
 2点目は自動車事故防災で、病院が4つございます。
 この病院を拝見しておりますと、パンフレットの6ページですけれども、それぞれ療護センターという名前にはなっておりますけれども、運営委託ということになっているということは、どちらかというと、われわれとしては、施設設備をこの法人は持っているというよりも、むしろ補助をしているというんでしょうか、そういうふうに理解していいのかどうかという点です。
 それから、4つの医療センターを持っているのは、自動車事故による脳障害が重度だということに特化されているように承っていたのですけれども、これは僕の聞き間違えかもしれませんけれども、年間で3,000人ぐらい年間こういう方がいらっしゃったということですが、この療護センターを合わせると200床ございます。
 200床で3,000人ということは、15回転ぐらいしているわけですから、平均20日から25日ぐらい入院されているということで、重度の脳障害ということで、そのぐらいの回転をしてよろしいのかということを教えていただきたいことと、3,000人ぐらいというのは、日本全国の脳障害の発生件数の中でどの程度意味があるというか、どの程度の割合になっているのか。
 仮に、この独立行政法人でやるのであるとすれば、パンフレットを見ますと、自動車の安全装置みたいなもの、自動車アセスメントというものがあるのですけれども、この法人が必要であるとするならば、脳障害とか、自動車事故特有の障害の出方と自動車の安全性という問題についての研究というのでしょうか、発生原因とそれを防止する対策というのでしょうか、そこが一般の病院に入院された方じゃなくて、ここがやるのであれば、そういうところが大切だろうと思うのですね。両方やるというわけで、自動車のほうも目配りするということであれば。そういうことがどのようになっているのですか。そこを教えていただきたいと思います。

○富田分科会長
 関連するご質問があれば。

○木村臨時委員
 今の質問に関連するのですが、療護センターというのがありますが、これを持つことの意味はどうなのか。全国でいろんな病院があるのに、なぜここで必要なのかがわからないというところがあります。
 2番目の点は、民間委託している定形的単純作業についての見直し等、これは非常に重要なことで、これをきちんとしないと、民間委託というのはかえって高くなる可能性があると思うのですけれど、これは今までやってこられなかったのかという点と、どういうふうに見直されるのかという点です。
 3番目の質問は、自分たちの目標としていることを、これまでどの程度、自動車事故の防止、被害者救済とありますが、特に自動車事故の防止等にどれだけ貢献があったのかということは、どういうふうにして測られるのかということです。
 それから国際観光振興機構に関して、これは自治体でも民間でも国際的に観光客を誘致したいということがありますけれども、この機構の強みは何なのか。
 働きかけて35件、国際会議等ができたのが50%程度とありますが、これはいろんなコンベンションの会社がある中で、どのような機構が機能を果たして、どれぐらいのかかわった会議が、日本で行われた国際会議のシェアを持っているのかということが1点です。
 2番目は「業務経営の効率化、効果的な業務運営の促進」のところで「業績評価制度を導入し、適切な事業評価により効果的な」と書いてありますが、これはあまりにも漠然とした表現でありすぎるのでは、目標として書くときに漠然としすぎているのではないかという印象を私は持ちます。
 ここも、どれだけ国際観光振興に貢献されたのかということを示す指標をお持ちなのかどうか。以上です。

○富田分科会長
 では、お願いいたします。二つの法人に質問が集中しておりますけれども。

○国土交通省 与田政策評価官
 まず国際観光につきましては、いま政府全体の取り組みになってございまして、先ほど申し上げました観光立国行動計画といったものも、関係省庁の閣僚会議の合意した計画になってございますし、たとえば副大臣会議等で観光について、ビジットジャパンキャンペーン等について議論いたしてございまして、そういった意味で、政府全体として、現在、外務省さんとか経産省さん等も含めて力を入れているところでございます。
 それから、地方におきます景観等の面につきましては、今回、国会に景観法等も上程させていただいておりまして、そういった中で観光地の景観を守っていきたいと考えているところでございます。
 コンベンションは大きいものから小さいものまでいっぱいありますから、シェアが何%かというのはちょっとむずかしいのですけれども、どういったことを行っているかといいますと、コンベンションを開くときにそれぞれキーパーソンがおります。学会であれば学会の理事とかがおりまして、特にヨーロッパ関係が理事の数が多いものですから、理事さんに働きかけて、たとえば5年に1回の総会を今回予定しているということであれば日本でどうですかといったことをお願いするのが1点と、もう1点は、国内でコンベンションビューロでやるときに、寄附金を集めてやることが多いんですけれども、寄附金について私ども非課税措置をいただいてございますので、それをコンベンションビューロに流すといったような仕事をいたしているところでございます。
 事故対センターの話については担当のほうから。

○木村臨時委員
 機構でしかできない強みというのは何ですか。

○国土交通省 与田政策評価官
 直接海外事務所等を通じまして、当該理事さんに直接働きかけるといったようなことです。
 あるいは日本にも、大学の先生等で非常にお強い方がおられるので、そういった方にも接触いたしまして、そういったことを全体的に形成していく。学会あるいはコンベンションにおける合意を形成していくことのお手伝いをする。
 民間はこういったことについて、取った後は民間の方は行くのですけれども、事前のものは民間企業ではむずかしいものですから、それは私どもとしてやらせていただいているところでございます。

○黒川臨時委員
 私も政府全体の取り組みは知っているので、この機構がどのように具体的に連携をしているのか、そのことを具体的に教えていただければと思います。

○国土交通省 与田政策評価官
 政府全体の取り組みを受けてそれぞれ、これについてはこういったところでやるということになってございまして、そういった中で、主に外国人観光旅客の来訪を促進するための宣伝とか、そういったことを在外事務所とか、あるいは本部を通じて行っているということでございます。

○縣臨時委員
  いま学会のことをおっしゃったので、黒川先生に付言しますと、国際交流基金とか文科省関係の交流とそういうものと、この法人とのかかわりはどうなのかということが非常に重要だと思いますが、そのことをお聞きしたいと思います。

○国土交通省 与田政策評価官
確かにそうでございます。私どもとして、機構のほうから文科省さんとかにもお願いに行ってございます。そこらへんにつきましては政府全体でやってございますので、国土交通省だけのつき合いで仕事をいたしているという意識はございません。文科省さんの当該部局にお願いに行ったりということもいたしてございます。

○阿曽沼臨時委員
 報告書を見ると、2,683件のコンベンションの中で280件の中央型がありました。そのうちの51件は国土交通省さんで、貢献度大であると書いてあるんですが、18%ぐらいですね。
 ところが、コンベンションの収入金とか協賛金で自己資金をふやそうということになると、それが16億円ぐらいですが、これは貢献度が大だったという51件に見合う収入なのか、見合わない収入なのか。
 もう一つ、文科省とかいろんなコンベンションの、ほか省庁との連携の中で、役割の貢献度はどのぐらいと見ていらっしゃるのか、そのへんについてのお考えをお聞かせいただければと思います。

○国土交通省 小関国際観光推進課課長補佐
 観光部でございますけれども、そこの貢献度自体、申しわけございません、正直申し上げて、そこまでの分析をやっておりません。
 ただ、50数件ということで挙げさせていただいておりますけれども、先ほど評価官が申し上げましたように、誘致の第一歩の宣伝から始まりまして、日本に誘致するまでの活動といいますか、それについては十分な効果を上げていると評価しております。

○国土交通省 清水保障課専門官
 自動車事故対策機構について、お答えいたします。
 療護センターは全国で200床ございますけれども、実際に療護センターに入院される方は遷延性意識障害者の方たちで、外から見て意識のない方たちだけを扱う特化した部門でございます。3,000人とは、介護を必要とする方に対する介護料の支給者数です。
 療護センターができました当時、遷延性意識障害者を専門で扱う病院がございませんで、いわゆる「たらい回し」にあった状況の中で、そういった方たちが意識を取り戻す事例もなかなかない時代でございましたが、ここ10年以上の間に、かなりの方が意識を取り戻すという事例もございます。
 事故にあった直後は一般の病院に入院して、症状が固定して、ここからは一般の病院の治療では難しいなというところで、療護センターを希望される方に入院していただいて、意識が回復するような治療を特化して行っているということでございます。
自動車アセスメントと療護センターの研究の関係ですが、直接リンクしたような研究はごさいませんが、療護センターでの研究については学会等で発表しているところでございます。
 自動車アセスメントにつきましては、15年度から、頭をボンネットにぶつけたときにどういう状況になるかというテストを始めておりますので、今後自動車事故と脳障害との関係について明らかになってくるのではないかと思っているところでございます。
 もう1点、自動車事故対策機構が実際に事故防止等をやって、どの程度事故防止に貢献しているかということにつきましては、自動車事故対策機構が行った施策でこれだけ事故が減ったということはなかなか説明しづらいという部分がございまして、いろいろな施策が複合的に絡み合っているものと認識しております。そこで具体的な指標を開発しようということでいろいろ考えておりますが、現在のところなかなか有効な指標がございませんので、適性診断とか指導講習といった事業について、実際に受けた方に対して、安全に寄与しているかというあたりを評価していただこうということでやっているところでございます。

○木村臨時委員
 民間委託はどうなっていますか。

○国土交通省 清水保障課専門官
 民間委託につきましては、地元の病院、医療法人に一緒に経営してもらうということで、当初、千葉療護センターのみが直営でやっていたのですが、やはり専門の方たちに運営していただくほうが効率的というご指摘等を受けまして、民間委託を行ったところございます。
 実際に自動車事故対策機構としては、中期目標期間中に4%委託経費の削減を図っていこうと考えております。

○木村臨時委員
 定形的単純作業の見直しの施策はどういうふうにされるのですか。

○国土交通省 清水保障課専門官
 一応例示として単純作業とありますけれども、全体について細かくチェックして、なるべく委託をしないで、たとえば運営委託している先がさらに掃除とかを再委託している、そういう委託のあり方とか、警備体制を見直すとか、委託方法を見直します。15年度の実績が間もなく出ると思いますけれども、委託経費の削減はそれなりに進んでいると聞いています。

○縣臨時委員
 政策医療として、この関連の重度の患者さんに特化したというのはわかるのですが、ほかの機関では、こういうことについてケアをしていないんですか。事故対策機構の病院だけで、ほかの医療機関ではそれはできないのか。

○国土交通省 清水保障課専門官
 自動車事故に対しては療護センターだけだと思っております。ほかの病院でこういった治療をやっているところがあるかどうかは存じ上げません。

○富田分科会長
 二つの新しい独立行政法人、ここでも非常に議論があるのですけれども、世の中も非常に注目しておりますので、引き続き、明確な中期目標と、具体的評価、定期的評価を通じて、特殊法人から独立行政法人に看板の書きかえで終わったということにならないように、今後とも評価の手法、評価基準等のレベルアップを引き続き図っていただくようにお願いいたします。
 与田政策評価官ほか、ご説明いただきました方々におかれましては、本日はご多用中のところありがとうございました。

(国土交通省説明者退室)

○富田分科会長
 農林水産省からのヒアリングを行いたいと思います。

(農水省説明者入室)

○富田分科会長
 本日は農林水産省から、所管の新設独立行政法人を担当されている各課の課長にご出席をいただきましたので、独立行政法人の概要等のご説明を30分ほどお願いした上で質問させていただきたいと思います。
 それでは順を追ってご説明をよろしくお願いいたします。

○農林水産省 伊地知畜産企画課長
 私、農林水産省畜産企画課長でございます。私から、まず農畜産業振興機構につきましてご説明を申し上げたいと思います。
 「農林水産省の新設・統合独立行政法人について」という資料がございます。その1ページでございます。
 農畜産業振興機構につきましては、農畜産業振興事業団と野菜供給安定基金が統合いたしまして、昨年10月1日で独立行政法人農畜産業振興機構という形で発足をしているところでございます。
 主な業務といたしまして、畜産の関係の業務、野菜の関係の業務、砂糖の関係の業務、蚕糸関係の業務等を行っております。常勤役員数は10名でございます。
 続きまして、これらの業務を実施いたしまして、わが国の農畜産業、関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定に寄与することを目的としているところでございます。
 中期目標、中期計画についてご説明いたしたいと思います。
 参考資料の1ページをあけていただきまして、中期目標の期間でございますけれども、平成15年10月1日から平成20年3月31日までの4年6か月ということになっております。
 2の業務運営の効率化に関する事項でございますが、事業費の削減・効率化。
 事業費につきましては、補助事業の効率化を通じまして、中期目標の期間中に、平成14年度、これはBSE、平成13年にわが国で発生いたしました牛の海綿状脳症というもので、これの関連の補助事業を除いた14年度の予算の事業費の9割以下の水準に抑制することにしております。
 ただ、この場合、経済情勢、農畜産業をめぐる情勢、国際環境の変化等を踏まえた政策的な要請により影響を受けることについて配慮するということになっております。
 業務運営の効率化による経費の削減につきましては、一般管理費につきまして、中期目標の期間中に平成14年度比で13%削減をすることにしております。
 3点目の業務執行の改善ということで、機構みずから業務の点検・評価を行うとともに、外部の専門家・有識者等からなる第三者機関等による業務の点検・評価を行いまして、その結果を業務運営に反映させるということになっております。
 4番目は業務運営能力の向上となっています。
次のページですが、5番目が機能的で効率的な組織体制の整備でございます。
 6番目が補助事業の効率化等ということで、補助事業につきましては、事業の効果を適切に評価できる手法を開発して順次導入をすることにしております。
 3ページでございますが、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」が第3でございます。
 これにつきましては、3ページは畜産関係の業務、7ページに野菜関係業務、同じく7ページの3番目に砂糖関係業務、8ページに蚕糸関係業務となっています。9ページが情報収集提供業務となっております。
 時間の都合でポイントだけを述べさせていただきたいと思いますけれども、食料・農業・農村基本計画に掲げる農業生産に関する課題の解決に資するような各種業務、先ほど申し上げた各分野の業務を推進することとしておりまして、1点目は業務の迅速化にかかる数値目標の設定。
 これは価格安定業務、輸入調整業務、生産者補給金の交付につきまして、機構業務の根幹をなすものでありますが、これらの業務につきましても事務の迅速化が求められていることから、交付申請を受理してから交付までに要する期間を、現行よりも1割から3割程度短縮をするということで、それぞれの業務について1割から3割ということになっております。
 補助事業と価格安定業務関係でございますけれども、機構が行う補助事業につきましては、国の補助事業を補完するためのものということと、諸情勢の変化に対応して緊急に行うものを対象として、国などが行う事業、施策との整合性を確保して、機動的、弾力的に実施するとともに、セーフティネット業務を実施をするという形でやっております。
 情報収集提供業務でございますけれども、望ましい食料消費の姿とか、食品の健康に果たす役割等の理解の促進、食品安全にかかるリスクコミュニケーションの充実等に資するよう実施することとしております。
 このため、情報利用者のニーズに応じた的確かつ迅速な情報収集提供を行うことと、消費者の要望に応じたわかりやすい情報の積極的な提供を実施することとしております。
 12ページ、財務内容の改善に関する事項が第4でございます。第5がその他業務運営に関する重要事項でございます。
 「その他業務運営に関する重要事項」の中で、13ページの中期計画のところでございますけれども、人事に関する資料といたしまして、期末の常勤の職員を期初の95.6%、227名を217名にするという形でやることといたしております。
 簡単でございますが、以上が農畜産業振興機構の概要、中期目標・中期計画の概要でございます。

○農林水産省 今井経営政策課長
 続きまして農業者年金基金についてご説明させていただきたいと思います。
 まず法人の概要の資料の2ページ目でございますが、農業者年金基金につきましては、独立行政法人化の前後で業務内容についての変更はございませんで、業務内容につきましては、そこに大きく二つ書いてございますように、14年に新しい農業者年金制度がスタートしておりますので、新しい農業者年金制度の運用と、もう一つは、制度改正をする前の旧制度の加入者に対する年金の給付、この二つが農業者年金基金の業務でございます。
 参考資料の25ページからが、農業者年金基金の中期目標・中期計画になってございまして、まずそのポイントについてだけ、特に独立行政法人になって新たに設定いたしました目標等で重要なものに絞りましてご説明をさせていただきたいと思います。
 25ページの第1の中期目標の期間ですけれども、15年10月1日から4年6月ということにしております。
 第2のところに書いてありますが、業務経費の抑制といたしましては、一般管理費について、中期目標の期間中に14年比で13%抑制、事業費につきまして、これは年金給付費等を除いたものでございますけれども、14年度比で13%以上抑制ということにしております。
 第3のところですけれども、組織運営の合理化といたしましては、組織の見直し、常勤職員の適正な配置ということで、右側にあります中期計画の中におきまして、まず組織の見直しといたしましては、15年度中に1課削減を明示しまして、これは実施済みでございます。
 常勤職員数につきましても、中期目標期初87人を、中期目標の期間の終了時には82人にするということで、数値も明示した計画にしております。
 26ページですけれども、中期計画の第3の「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項」のポイントといたしましては、27ページの3にあります「年金資産の安全かつ効率的な運用」ということでございます。
 新しい農業者年金制度につきましては積立方式の年金としておりますので、特に資産の運用が重要になります。
 そうしたことから、中期計画のところにございますように、運用につきまして、役職員と外部の専門家から構成されます資金運用委員会を設けまして、運用状況、運用結果の評価・分析を行うこと。それを毎年4回以上やるということ。あとは、資産の構成割合について毎年検証して、必要に応じて見直しをするということ。その結果につきまして、資産の構成割合とか運用成績の結果について四半期ごとにホームページで対外的に情報を公開する。さらには加入者に対して毎年6月末日までに、前年度末の結果を通知するというようなことを明示している計画にしているということでございます。
 ポイントは以上でございます。

○農林水産省 平尾金融調整課長
 続きまして農林漁業信用基金についてご説明をいたします。法人の概要書の3ページでございます。
 従来、認可法人でございました農林漁業信用基金が独立行政法人化して独立行政法人農林漁業信用基金となっております。主な業務でございますけれども二つございます。
 一つは、農業者あるいは漁業者が資金の借り入れを行うとき、信用基金協会が債務保証を行っております。この債務保証について保険ということでリスク負担をするということでございます。
 もう一つ、林業者が同じように、林業経営の改善に必要な資金の借り入れを行うとき、これは直接債務保証を基金がしているということでございます。
 もう一つの事業といたしまして、災害補償関係の業務がございます。
 これは農漁業の共済団体が共済事業にかかる保険金を支払うときに必要となります資金を、この基金が貸し付けるという業務でございます。
 以上が概要でございます。
 次に中期目標・中期計画についてご説明をさせていただきたいと思います。お手持ちの資料の51ページをごらんください。
 まず目標の期間でございますけれども、他の法人と同様でございまして、平成15年10月1日から平成20年3月31日までの4年6か月ということになっております。
 第2の「業務運営の効率化に関する事項」でございます。
 まず1番の事業費の削減・効率化につきましては、ここに書いておりますとおり、事業費につきまして、中期目標の期間中に平成14年度比で5%以上削減するということでございます。
 ただし、この場合、貸付事業は計算できませんので、その部分は除いております。
 2番目の「業務運営体制の効率化」でございます。
 先ほど申しましたように、4分野あるわけでございますけれども、この事務所を、いままではバラバラでございますけど、これを統合するということ。さらには、前倒しで定員を削減するということで、右側の中期計画に書いておりますけれども、独立行政法人化時点ですでに3名の定員削減を実施しているところでございます。
 52ページでございますけれども、経費の支出の抑制でございます。
 一般管理費につきまして、目標期間中に同じように平成14年度対比で13%以上抑制するということでございます。
 第3「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」でございます。
 まず事務処理の迅速化でございます。利用者の負担を軽減する観点から、保険引き受け審査等々の事務処理につきまして、目標となる標準処理期間を設けまして、その期間内に案件の8割以上を処理するという目標を立てております。
 具体的な計画としまして、右側に、それぞれの事務処理に必要となる現行の実績値が括弧内にあります。標準とする目標期間を左側につけております。こういうふうな標準処理期間に8割以上処理するということでございます。
 引き続きまして3番目でございます。適切な保険料率、保証料率、貸付金利の設定ということでございます。
 まず保険料率、保証料率につきましては、農林漁業の特性を踏まえまして、リスクを勘案した適切な水準に設定するということでございます。
 計画をごらんいただいて、3の(1)の1)に書いておりますように、保険料率及び保証料率の算定委員会を設定しまして見直しをルール化するということでございます。
 54ページをごらんいただきたいと思います。第4の財務内容の改善に関する事項でございます。
 健全な財務内容が確保できるよう、業務の収支の均衡を明記しているわけでございます。
 業務収支の均衡のために、1の1)でございますけれども、中期目標期間中に契約を締結した案件につきまして一定の目標を設定しております。
 まず林業の信用保証業務につきましては代弁済率を2.98以下にする。さらに農業信用保険業務あるいは漁業信用保険業務につきましては、それぞれ事故率を目標として設定しまして、農業につきましては0.13以下、漁業については事故率を1.15以下にするというふうに設定をいたしております。
 55ページでございます。計画でございますけれども、人事に関する計画でございます。
 (2)でございますが、人員に関する指標といたしまして、管理部門の常勤職員を削減するということ。期末の常勤職員は期初を上回らないということで、ここに書いてありますように、期末が123名、おおむね7名を削減するということでございまして、先ほど3名を前倒しで削減しておりますので、この期間中に10名を削減するという内容になっております。
 以上でございます。

○林野庁 沼田整備課長
 林野庁の整備課長でございますが、緑資源機構につきましてご説明をさせていただきたいと存じます。概要の4ページでございます。
 ここに書いてございますように、緑資源機構でございますが、特殊法人でございました緑資源公団が昨年の10月、いわゆる特殊法人等整理合理化計画に基づきまして事業の見直しを行いましてできた独立行政法人でございます。
 ここでごらんいただけばおわかりのように、公共事業の実施を主体といたしました独立行政法人でございます。主な業務といたしましては水源林造成事業、緑資源幹線林道事業、特定中山間保全整備事業、農用地総合整備事業、海外農業開発事業ということでやっております。
 こういったものはいずれも水源のかん養とか、二酸化炭素の吸収によります地球温暖化防止等の機能の発揮とか、山村地域の生活環境の向上、農林業の振興等に貢献するものと考えております。
 予算等につきましては概要のペーパーの下に書いてございますが、ごらんいただけるとおりでございますが、独立行政法人化を機といたしまして、役員数を9名から8名にしております。
 それでは中期目標・中期計画についてご説明をさせていただきたいと存じます。60ページでございます。
 私ども緑資源機構の関係で申し上げますと、中期目標の前文で、いまご説明いたしましたような事業の内容を紹介いたしますとともに、「整理合理化計画において定められた講ずべき措置の確実な達成に向けた取り組みを推進するとともに、独立行政法人制度の趣旨にのっとり、中期目標や事業の状況等に基づく的確な中期計画を策定し、適正かつ効率的で透明性の高い運営を確保するものとする。」ということで明記しております。
 61ページでございます。業務運営の効率化に関する事項でございます。
 この項につきましては、業務運営の効率化による経費の抑制というところで、一般管理費、退職給付引当金繰り入れを除くものでございますが、これにつきまして14年度と比較して13%の削減を明記しております。また事業費につきましては10%の削減ということでございます。
 62ページをごらんいただきたいと思います。第3「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」でございます。
 これにつきましては、昨年の7月の参与会議でも、特殊法人等整理合理化計画をきちんと反映しなさいというご指摘もございましたので、それぞれの事業ごとに閣議決定の内容をきちんと書くようにしております。
 中期計画をごらんいただきたいと思います。
 一つには水源林造成事業の中で(1)でございますが、水源かん養機能の強化を図る重要性が高い流域内の箇所への植栽の重点化ということで、数値をもって記載しております。
 (2)のアでございますが、たとえば針広混交林と申しまして、針葉樹と広葉樹がまじり合ったような多様な森林の造成を積極的に進めていくことを記載しております。
 63ページの下のほうでございますが、水源林造成事業に関しまして、事業実施コストの縮減ということで、中期目標期間の最終年度に、14年度比で15%の総合的なコスト縮減を図るということを記述しております。
 続きまして64ページでございます。
 林道関係の事業でございますが、事業効果の早期発現という観点から、完成間近な区間に投資を重点化することで事業管理を促進して、中期目標期間中に10区間を完成する。
 同じように、大規模林道事業の整備のあり方検討委員会の検討結果を踏まえ、必要な実施計画の変更を確実に実施する。限度工期の設定もしております。
 ここで補足させていただきますと、大規模林道事業の整備のあり方検討会が一昨年の8月から開かれておりましたけれども、ことしの2月に委員会報告をいただきまして、3月に林野庁として最終決定をしたところでございます。具体的には、建設予定区間、全く事業に未着手の区間が20区間ございまして、そういった区間につきまして七つの区間を取りやめにして、13の区間を、線形の変更とか、幅員の縮小とか、そういったもので、すべてにわたって計画を変更するというような報告をいただいておりまして、その報告どおり対応するということで決めております。
 これから、いただいたものを踏まえて、事業実施計画の変更をしていくことになっております。
 65ページの下でございますが、同じようにコスト縮減のことを明記しております。
 特定中山間保全整備事業でございますが、66ページでございます。
 事業実施計画の策定に当たって、第三者委員会による外部評価を踏まえる、限度工期を設定するということで明記しております。
 67ページの真ん中あたりですが、同じようにコスト縮減のことを明記しております。
 農用地総合整備事業でございますが、これは廃止されました農用地整備公団から承継した残事業をやっているということでございますが、これにつきましては、中期目標の真ん中あたりですが、平成16年度以降採択は行わないということを明記をさせていただいております。
 68ページの下から海外農業開発事業を記述しておりますが、69ページの(2)でございますが、海外農業開発事業につきまして外部委員による事業評価の実施と結果の公表を定めているということでございます。
 第4に財務内容の改善に関する事項ということで、造林勘定、林業等勘定ということで、緑資源機構法に基づき区分された二つの勘定で、それぞれの取り組みを明記しております。
 最初の造林勘定につきましては、いわゆる財投借入金から段階的に脱却して、補助金方式に切りかえていくこととか、それぞれの勘定において収支相償を図るというようなことを記述しております。
 70ページの第7のところでございますが、人員に関する指標がございまして、その中で期首と期末のいわゆる常勤職員数、795名から720名に縮減することを明記しております。
 緑資源機構に関しましては以上でございます。よろしくお願いいたします。

○農林水産技術会議事務局 長谷川技術政策課長
 5ページをごらんいただければと思います。
 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構についてでございますが、この新しい法人につきましては、平成13年度に発足いたしました、上の左にございます独立行政法人農業技術研究機構と、従来、認可法人でありました生物系特定産業技術研究推進機構、これが昨年10月1日に統合されてできた法人でございます。
 業務につきましては、両法人の業務を合わせて行う形になっておりまして、真ん中の四つの枠がございますが、従来、農業技術研究機構が行っておりました農業技術研究業務、農作物の品種開発とか栽培技術の改善、あるいは最近でいいますとトリインフルエンザの病性鑑定診断業務というふうなものをやっております農業技術研究業務のほかに、従来、生物系特定産業技術推進機構がやっておりました民間研究の促進業務、基礎的研究業務、農業機械化促進業務、この四つを合わせて行う法人として発足いたしております。
 中期目標・中期計画のところでございますが、資料で申し上げますと77ページからでございます。
 中期目標の第1のところにございますが、先ほど申し上げましたような経過から、中期目標の期間は平成13年4月1日から18年3月31日までの5年間ということになっておりまして、統合されました旧生物系特定産業技術研究推進機構につきましても18年3月31日までのものとして設定をされているわけでございます。
 中期目標、そういう意味で、もう一つは農業技術研究機構の業務につきましては今回変更はございませんで、従来、農業技術研究機構について定められておりました中期目標の中に、統合されました生物系特定産業技術研究推進機構の業務を追加するような形で、基本的には定められております。
 内容でございますが、77ページの第2、業務運営の効率化に関する事項でございます。
 これにつきましては、従来の農業技術研究機構で行っておりました業務、前年度比1%経費削減を行うもの、それから運営費交付金で行われていない民間研究促進業務、いずれも業務に関することでございますけれども、それにつきましても同様に前年度比1%の経費節減を行うほか、「また」以下にございますが、生物系特定産業技術研究推進機構から継承した業務の、人件費と一般管理費につきましては、この中期目標の期間中2年半になりますが、平成14年度比で10%の経費節減を行うこととされております。
 合わせまして、79ページをごらんいただけますでしょうか。国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項の中で、その後新しく定まりました食料・農業・農村基本法及びその理念や政策の基本方向を具体化した食料・農業・農村基本計画並びに農林水産研究目標等に示された研究開発を推進するため」というくだりを入れまして、法人としての方向性を明確にしております。
 具体的な研究の中身、これは旧農業技術研究機構のものが続いておりまして、恐れ入りますが、121ページまで飛んでいただけますでしょうか。
 真ん中のほうにございます民間研究促進業務にかかる出資事業、ここから以降が新しく加わったものでございます。
 民間研究促進業務にかかる出資につきましては、(2)でございますけれども、外部の学識経験者からなる選考評価委員会により事前評価、中間評価、終了時評価を実施して、まず事業からの収益の可能性がある場合等に限定して行うとともに、資源配分等に適切に反映するということが書いてあるほか、目標といたしまして、一番最後でございますが、「成果については実施許諾件数2件以上を確保する」と、定量化して示しているところでございます。
 次に、民間研究促進業務にかかる融資事業、122ページの下のところでございますけれども、これにつきましては、次のページの(3)にございますけれども、わかりやすく情報公開を行う、あるいは広報を行うようにということを定めております。
 基礎的研究業務につきましては、その効果を最大限に発揮させるためにきちんとした評価を行うとともにということで、124ページの(2)でございますが、評価の公正さ、透明性を確保していくために、評価指標や外部の専門家・有識者を積極的に活用する。あるいはできるだけ計量的手法を用いて国民にわかりやすい形で情報提供を行うということがあるほか、研究成果については、研究論文発表のほか、できるだけ計量的手法を用いて、わかりやすい形で情報提供を行うことにしておりまして、これにつきましては、中期計画の(3)「成果の公表等」の1)で、論文発表数を1,380報以上確保するということを定めているところでございます。
 農業機械化促進業務につきましては、具体的な研究内容につきまして125ページ以降、その目標あるいはそれに基づく計画を定めているところでございますが、128ページ、機械化促進業務にかかる検査、鑑定等につきましては、検査鑑定実施から成績書提出までの期間を5%短縮するということで、より効率的な運営を図ることを明記しているところでございます。
 最後に財務内容の改善に関する事項ということで、130ページでございますけれども、収支の均衡を図るということで、新しくここをつけ加えておりまして、民間研究促進業務にかかる出資事業について、収益の可能性がある場合等に限定して実施する、あるいは新規採択に当たっては、応募課題について重要性、波及性等を適正に評価するとともに、収益の可能性についても審査することになっております。
 四つ目のパラグラフでございますけれども、今後の収支見通しにおいて収益を確保する見通しがない場合等には整理を行う、あるいはその下のパラグラフで、収益が確保される率を50%以上とすることを目標とするということも定めているところでございます。
 その他のところ、132ページでございます。
 民間研究促進業務における融資事業につきまして指摘をいただいたところでございますけれども、これにつきましては、「融資事業については近年実績が乏しいことから、廃止を含めて抜本的見直しを行うこととされている。このことを踏まえ、中期目標期間中の経済情勢を踏まえた融資実行件数・相談件数の増減を、事業廃止の是非の基本とし、合わせて企業等の意向等も把握した上で、中期目標終了時までに、事業のあり方について抜本的見直しを行う」と具体的に示したところでございます。
 ご説明は以上です。

○水産庁 井貫研究指導課長
 続いて、6ページにございます独立行政法人水産総合研究センターについてご説明します。
 独立行政法人の水産総合研究センターにつきましては、平成13年の4月に、従来の水産庁水産研究所、9研究所をまとめまして独立行政法人としたわけでございますけれども、昨年の10月に海洋水産資源開発センターという認可法人、それから日本栽培漁業協会という公益法人を統合したものでございます。
 ちなみに海洋水産資源開発センターにつきましては、国庫補助金プラス調査実証事業をやっておりますが、その水揚げ金額を充当して事業をやっているものでございまして、特殊法人等の整理合理化の中で廃止をして水産総合研究センターに統合するということで結論づけられたものでございます。
 また、日本栽培漁業協会につきましては、都道府県等の会員の会費と、ほとんど国の委託費をもとに、国有財産になります栽培漁業センターという施設の中で公益法人として、栽培漁業の技術開発を行うということで事業をやっていたものでございますが、補助金依存型の公益法人の整理合理化の中で、栽培漁業の技術開発事業については独立行政法人で実施するということで統合したものでございます。
 したがいまして、海洋水産資源開発センターにつきましてはいわゆる統合でございますけれども、日本栽培漁業協会につきましては解散して、職員も一たん退職をして、新たに水産総合研究センターに雇用される形で統合してございます。
 主な業務でございますけれども、従来の水産に関します総合的な試験研究、調査と、試験研究のための種苗、標本の生産、配布に追加しまして、栽培漁業に関する技術の開発、旧日本栽培漁業協会分の業務、それから別途、海洋水産資源開発関係業務、海洋水産資源の開発及び利用の合理化を図るための調査、情報または資料の収集提供という、旧海洋水産資源開発センターの業務を追加してございます。
 ちなみに海洋水産資源開発センターから来ました業務につきましては、水揚げ金額と国費といいますか、運営費交付金で運営するわけでございますけれども、相当額の繰越金を抱えながら、水揚げの増加、減少等にあまり影響されないように業務を実施するためにやってございますので、ここの運営費交付金等の部分につきましては別勘定としてやってございます。
 続きまして中期目標・中期計画の説明に移ります。
 138ページからでございますが、もっぱら追加変更された部分を説明したいと思います。
 第2の業務運営の効率化に関する事項でございますけれども、従来分につきましては毎年1%の経費削減という目標を立ててございましたけれども、「また」以降にあります、追加された業務につきましては、平成14年度比で業務費について5%の経費削減、一般管理費については10パーセントの経費削減という目標を掲げてございます。
 ちなみに中期目標の期間につきましては旧水研センターと同様に、13年4月から18年3月までの5年間にしてございます。
 139ページでございますけれども、5の管理事務業務の効率化ということで、追加された業務にかかわります管理事務業務については重複を整理し、法人全体を管理事務部門に集約化すること等により業務の効率化を図るということで、右の計画にありますように、5の第一文節の最後、「さらに所要の条件整備を行ない、事務所の統合を図る」ということで、いまだに水産総合研究センターについては、横浜の中央水産研究所の中にございますし、海洋水産資源開発センターにつきましては、紀尾井町にまだ事務所がございます。日本栽培漁業協会部分につきましては神田に事務所がございますが、これをこの8月をめどに、横浜のみなとみらい地区に本部だけを統合して移転するということで、いま計画を立てているところでございます。
 140ページでございますけれども、(2)に栽培漁業に関する技術の開発ということで、沿岸漁場整備開発法に基づきます、大臣が定めます基本方針、水産動物の種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成に関する基本方針に基づきまして、栽培漁業に関する技術を開発するということで立ててございます。
 147ページでございますが、栽培漁業に関する技術の開発ということで追加してございます。
 重要な海産魚介類についての技術開発をやるわけでございますが、数値目標として、平成17年度までに、現時点の採卵成績なり生存率等の技術の指標となります数値について、平均実績と比べて10%以上向上させるということで努力するようにしてございます。
 (イ)「資源添加技術の開発と放流効果の実証」ということで、育成しました種苗を実際に効果のあるような放流をするという技術開発をやるわけでございますけれども、特に放流効果の実証のためのモニタリング手法を開発するということで重点づけてございます。
 また、(ウ)におきまして、希少水生生物の増殖技術の開発ということで、漁業生産に寄与するわけではございませんけれども、希少水生生物についての増殖技術の開発ということで、現在、タイマイ等のウミガメ類の増殖技術の開発に取り組むことにしてございます。
 2の海洋水産資源の開発及び利用の合理化のための調査ということで、旧海洋水産資源開発センターの業務について掲げてございます。
 まず開発及び利用の合理化のための調査ということで、200海里内、それから公海域におきまして資源の持続的利用並びに生態系の保全に配慮しつつ、新しい漁場の漁業生産等における調査を行いまして、企業化の可能性を評価する。
 また、わが国周辺海域におきましては、中層型浮魚礁を利用した漁場造成などを行いまして、経済的な効果等を評価する。
 さらに海洋水産資源の動向に即しつつ、漁業経営の改善を図るための、いわゆる漁業生産システムの企業化を掲げてございます。
 (2)におきまして、情報及び資料の収集及び提供ということで、こういった成果なり情報につきましてはすべからく公表するということで、調査航海分につきましては、終了後2か月以内に取りまとめて公表することにしてございます。
 150ページでございますが、(6)に行政施策への協力ということで、「また」以降を追加してございまして、行政機関が推進する放流効果等の実証について、栽培漁業に関する技術の開発業務の成果等を活用し協力する。さらに必要な会議等に出席するということで掲げてございます。
 151ページの4「成果の公表、普及・利活用の促進」につきましては、旧水研センター分についても数値目標が立たなかったということで、特に平成17年度において云々の論文発表公表数、技術報告の数、調査報告の数、特許等についての目標を掲げてございます。
 152ページに移っていただきまして、(2)におきまして、成果公表の目標件数、ホームページによります成果の公表の件数、年間アクセスの目標を掲げてございます。
 154ページでございますが、右側の計画におけます人員計画についてでございますけれども、旧水研センター分につきましては、13年の初めが783名のところ、18年の3月に向けて757名まで削減するということで目標を掲げてございます。
 追加されました旧開発センター並びに旧日栽協分につきましては新たに126名を追加する。
 ただし、統合に先立ちまして44名の削減を実施しているということで、当面中期計画中はこの人数でいくことになってございます。
 以上でございます。

○富田分科会長
 ありがとうございました。これから質問に移りたいと思いますけれども、時間も押しておりますので、お一人だけ質問をしていただきまして、残りは事務局のほうにご連絡いただきまして、それを農林水産省のほうにご照会いただくということで対応したいと思います。

○稲継臨時委員
 信用基金についてお尋ねしたいのですけれども、53ページに、利用者の利便性の向上ということから数値目標を設定しておられます。
 このことは独立行政法人の制度を評価からしますと大変結構なことだと思いますので、その点は十分評価させていただきたいと敬意を表しつつも、ちょっとお尋ねしたいのですが、この目標数値、どの程度大変なものなのか。
 たとえば標準処理期間、30日から10日、3分の1に短縮されていますよね。
 たとえば民間の貸付審査業務あるいは保険審査業務の場合は平均どれぐらいであって、類似業務に比べてどのくらいの数値目標なのかという点についてお尋ねしたいと思います。

○農林水産省 平尾金融調整課長
 いまの標準処理期間についてお答えを申し上げます。
 私どもが目標として置いておりますのは、先ほど申しましたように、括弧内の実績値をもとに、おおむね1割ないし2割程度を前提に考えております。
 また、こうした処理期間でございますけれども、そういう意味では、農林漁業の関係の保証ないし保険をやっている類似の民間がございませんで、私ども直接は比較するものがないものですから、基本的には実態を見て、できるだけ短期間に行うということで、特に融資などにつきましてはできるだけ民間といいますか、農漁協の融資の処理日数等を勘案してやっているわけでございますけれども、それがどの程度かというのは、いま手元に持っておりません。

○富田分科会長
 本日ご説明いただきました六つの法人につきましては、定期的な評価を通じて、これまで特殊法人としてさまざまに指摘されていた問題点が克服されることが期待されております。
 この改革が単なる看板の書きかえに終わらないように、法人におけます真に効率的な運営の確立に向けて、厳格かつ的確な評価がなされますよう引き続きご努力をよろしくお願いいたします。
 ご説明をいただきました皆様におかれては、本日はご多忙ところありがとうございました。

(農水省説明者退室)

○富田分科会長
 引き続きまして事務局より報告事項がございます。

○若生評価監視官
 時間も押しておりますので簡単に2点ばかり報告させていただきます。
 1点は、役員の退職金にかかる業績勘案率の関係でございますが、これは各省の独立行政法人評価委員会が業績勘案率を決定するに当たって、あらかじめ当委員会に通知がされるというしくみになっているわけですけれども、いままでのところそうした通知はまだ来ておりません。
 文科省をはじめ幾つかの省において、実際に役員の退職されるケースが出ているようでございますけれども、一つは各省の委員会内部で慎重な審議が行われていること、あるいは省によっては、年度の実績評価の審議に合わせて、行政機関が三つの審議をするということになっているところもあるというような事情から、これまでのところまだできていないということであろうと思います。
 この件につきましては、幾つか通知が行われた段階で改めてご審議をお願いしたいと思っております。
 2点目は、横断的な研究会の当面の日程等でございますが、これまで五つの横断的な研究会を開催しておりまして、当面日程が入っておりますのが研究開発関係業務の関係で、4月28日に有識者ヒアリング、振興助成関係の研究会で、5月25日にフリートーキング、公共用物の研究会で4月27日、有識者ヒアリングということで、当面こうした日程が入っております。
 いずれの研究会も6月中に、評価に当たっての関心事項を取りまとめることにしておりますので、そうした研究会の取りまとめが一段落した段階で、分科会においてご審議をお願いしたいと考えております。
 以上です。

○富田分科会長
 ただいまの事務局の報告に対しましてご質問、ご意見等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは最後に、次回の日程につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○橋口総務課長
 まずは委員会でございますけれども、日程等については未定でございます。また後日ご案内させていただきたいと思います。
 分科会でございますが、独立行政法人評価分科会は、先ほど若生監視官から申し上げましたとおり、各府省の委員会から、役員の退職金にかかる業績勘案率の通知がございますので、その状況を踏まえて日程を調整させていただきたいと思っております。
 政策評価分科会は来週の金曜日、4月30日の13時半からということでございまして、政策評価に関する当面の課題等についてご審議を賜りたいと思っております。
 以上でございます。

○富田分科会長
 ありがとうございました。以上をもちまして本日の会議を終わります。本日はご多用中のところ、ご参集いただきましてありがとうございました。

〔了〕


 委員会終了後、委員から財務省所管独立行政法人、国土交通省所管独立行政法人及び農林水産省所管独立行政法人の概要等に関する追加の質問があり、その内容と財務省、国土交通省及び農林水産省からの回答を委員に報告したので、本議事録に掲載する。

   財務省所管独立行政法人の概要等追加質問及び回答(PDF))
  国土交通省所管独立行政法人の概要等追加質問及び回答(PDF))
  農林水産省所管独立行政法人の概要等追加質問及び回答(PDF))




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