会議資料・開催案内等


  第36回政策評価・独立行政法人評価委員会議事録
  
(政策評価分科会との合同)


  
  1.  日時 平成18年7月18日(火)10時から12時

  2.  場所 総務省第1特別会議室

  3.  出席者
    (委員)
    丹羽宇一郎委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、金本良嗣政策評価分科会長、樫谷隆夫、新村保子の各委員
    縣公一郎、浅羽隆史、阿曽沼元博、稲継裕昭、井上光昭、梅里良正、岡本義朗、小幡純子、河野正男、河村小百合、黒川行治、黒田壽二、黒田玲子、島上清明、田渕雪子、松田美幸、丸島儀一、宇賀克也、翁百合、高木勇三、高橋伸子、谷藤悦史の各臨時委員
    田中常雅、吉野直行の各専門委員

    (総務省)
    福井行政評価局長、蝶野官房審議官、伊藤官房審議官、渡会行政評価局総務課長、新井評価監視官、濱西評価監視官、村上評価監視官、松本政策評価審議室長

  4.  議題
    (1)  平成18年度における独立行政法人の組織・業務全般に関する見直し方針(案)について
    (2)  行政評価局が行う政策の評価について
    ア)  調査の状況について
    (少年の非行対策に関する政策評価)
    イ)  調査計画について
    (自然再生の推進に関する政策評価)

  5.  配付資料(PDF)
    (1)資料1 「平成18年度における独立行政法人の組織・業務全般の見直し方針(案)」
    資料1−11−21−31−4
    (2)資料2 「少年の非行対策に関する政策評価」説明資料
    方向性(案)参考資料参考資料(別冊 アンケート調査結果)
    (3)資料3 「自然再生の推進に関する政策評価」説明資料
    評価計画(案)参考資料(P1〜6)参考資料(P7〜15)
    参考資料(P16〜22)


 丹羽委員長
 おはようございます。それでは、ただいまより第36回の政策評価・独立行政法人評価委員会を開会いたします。
 本日の会議は、平成18年度における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについての御審議をいただくものであります。その後、引き続きまして政策評価分科会に移りたいと思います。
 それでは、議事に入ります。
 本日の議題であります見直し方針につきましては、これまで独立行政法人評価分科会において精力的に審議が重ねられまして、去る6月26日の分科会で同案が決定されたところであります。
 それでは、平成18年度における独立行政法人の組織・業務全般の見直し方針につきまして、新井評価監視官から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 それでは、平成18年度における独立行政法人の組織・業務全般の見直し方針について御説明申し上げます。
 御手元の資料1−1から1−4に沿いまして御説明させていただきたいと思います。
 資料1−1にございますが、平成18年度の独立行政法人の組織・業務全般の見直しにつきましては、従前、いわゆる先行独法と言われております国の研究機関等から切り出されてきたものが対象であったのに対しまして、本年度から特殊法人等改革により、特殊法人等から移行したいわゆる移行独法といったものが初めて見直しの対象となったところでございます。
 それによりまして、昨年度は、事務・事業の見直しを行いつつ、統廃合であるとか、非公務員化であるとか、そういうことをやってまいりましたが、今回見直し対象となります、いわゆる移行独法につきましては、もともと平成13年の特殊法人等整理合理化計画で1回スクリーンにかけ、更に職員の身分もすべて基本的には公務員ではないということでございますので、統廃合や非公務員化といった視点ではなく、国の予算の縮減といったところを主眼に行わなければならないというところでございます。
 それを踏まえまして、1ページめくっていただきますと、平成18年度以降の見直しにつきまして、昨年の12月に閣議決定された行政改革の重要方針の中に明記されたところでございますが、ここにございますとおり、移行独法が初めて対象となるということで、「官から民へ」の観点から、事務・事業の必要性を厳しく精査し、その廃止・縮小・重点化等を図ることはもとより、法人の事業の裏づけとなる国の政策についても、その必要性にまでさかのぼった見直しを行う、これによって国の財政支出の縮減を図るということが決められました。
 「ウ」の最後のところでございますが、「これらの法人の見直しに当たって、平成18年夏を目途に、政府としての基本的な考え方を取りまとめる。また、政策評価・独立行政法人評価委員会としての見直しの方針を取りまとめる」ということが決定されたところでございます。
 資料1−4を御覧いただきますと、これは先日、7月7日に閣議決定されたいわゆる骨太の方針というものでございます。これが先ほどの重要方針で申しますところの「政府全体としての基本的な見直しの考え方」ということで、そこにございますとおり、歳入・歳出一体改革の中の「(3)改革の原則と取組方針」でございますが、原則3の中で、「特別会計、独立行政法人等を含め、聖域なき歳出削減・合理化を実行する」、こういったことが言われております。
 また個別の見直しに関しましては、「2.「簡素で効率的な政府」への取組」の中で、「政策金融改革については「行政改革推進法」等に基づき、平成20年度の新体制への移行に向けて着実に進める。独立行政法人については、「当面の独立行政法人の見直しの基本的方向について」を踏まえつつ、業務・組織全般の見直しに取り組む」、こういうことが決定されたわけでございます。
 これを受けまして、先ほどの重要方針に戻っていただきまして、本日の政策評価・独立行政法人評価委員会におきまして、本委員会の見直しの方針を取りまとめるということでございます。
 資料1−1に戻っていただきまして、1ページめくっていただきますと、今年度見直しの対象の法人でございます。平成18年度の見直し対象が9法人、それに加えまして、先ほどの重要方針の中でもう1つ書いてございました、いわゆる政策金融類似の業務を行う法人につきましては、特殊法人の政策金融関係の業務の見直しが昨年来行われていることを踏まえまして、今年度見直しを行う。こういうこともございまして、資料の3ページ目にございます下線を引いた法人ですが、平成19年度、20年度に見直し期限が到来する法人についても見直しを行うこととし、計23の法人、ここで黄色で塗ってあるところを今回見直すということになっております。
 2ページほどめくっていただきまして6ページでございますが、先ほど委員長からもお話がございましたが、このために本年2月から政策金融ワーキング・グループを立ち上げまして、あるいは各見直し対象法人についてヒアリングを行いまして検討を行い、内閣の行政減量・効率化有識者会議に中間報告を行ったところでございます。
 そして、行政減量・効率化有識者会議の総理への指摘事項が5月23日に出まして、更に先ほどの骨太の方針を踏まえまして、今回の政策評価・独立行政法人評価委員会としての見直しの方針を決定するという流れになってございます。
 それでは見直し方針でございますが、資料1−2を御覧いただきたいと思います。1−3というのが本文になってございますが、長うございますので、この1−2を使って御説明申し上げたいと思います。
 基本的な見直しの考え方というところですが、先ほども申し上げましたとおり、今回移行独法が対象になるということで、国の歳出削減を図る観点から、業務の廃止・縮小・重点化、経費の縮減・業務運営の効率化、自己収入の増加といった視点を基本とするとともに、ディスクロージャーの充実を図るべきというところでございます。
 以上のものについて共通的な見直しの視点として、「2共通的な見直しの視点」に書いてありますところの、国の施策の重点化・効率化に対応した独法の業務を重点化・効率化してくださいと。あるいは独法の収支改善、国民負担の縮減を図るということもございまして、行政サービス実施コストの改善のための取組が重要ということを言っております。その個別の廃止・縮小・重点化なり経費縮減なりということをそれぞれについて記述しているものでございます。
 1ページめくっていただきまして、自己収入の増加についても言っているところでございます。
 それからディスクロージャーにつきましても、セグメント情報の詳細化等について、できるものについてやっていくということでございます。
 そうしてもう1つ、「3業務の類型ごとの主な見直しの視点」ということで、今回、融資等業務について横並びで見るということがございましたので、それについてまとめております。その他の業務につきましても、今まで培ってきた成果をいかしながら検討を実施していくというところでございます。
 融資等業務につきましては、次のページを御覧いただきまして、政策金融改革の基本方針の趣旨を踏まえた見直しを行うということでございますが、独立行政法人につきましては、融資等業務についても様々な形態のものがありますので、以下のような基本的な視点を持ちつつ個別に検討していくということでございます。共通的な基本視点としては、国としてその融資等の政策を行う必要があるか、そういった政策との関連、あるいは融資等の手段を採るのが適当かどうか、あるいは当該独立行政法人で行うのが適当かどうか、こういったところを見ていくとともに、出資、直接融資、債務保証、利子補給等々、それぞれの融資等の業務の類型ごとの視点を示したものでございます。
 以上が見直し方針案の概要でございますが、この方針案の取りまとめに当たりまして、4ページ目にございますとおり、丹羽委員長名でいわゆる談話のようなものを発表することとしております。
 これにおきましては、基本的な方針を取りまとめたということ、それから今までの経緯、こういったものを記述いたしました上で、最後の段落ですが、「本年9月以降、本方針に沿って個別の法人ごとに審議を行い、年内に主要な事務・事業の改廃に関する「勧告の方向性」を取りまとめることとしています」ということを申し上げて、各主務大臣、各府省の独立行政法人評価委員会に対して、この方針を踏まえた積極的な検討が行われることを期待するとともに、国民各層におきまして も、当委員会の活動についての御関心、御支持、御支援といったものを願うものでございます。
 今申し上げましたとおりでございまして、この方針が取りまとまりましたところで各府省に通知いたしまして、各府省において8月末までに、先ほど申し上げた23法人についての見直し当初案を取りまとめていただくということになっております。各府省の検討の過程において、この方針を尊重していただいて、できる限り実のある当初案を出していただくということが、我々が願っているところでございます。
 さらにそれを受けまして、9月以降、独立行政法人評価分科会、ワーキング・グループ、こういったところを中心にいたしまして、個別の法人の個別の事務・事業についての見直しを行う予定でございます。その際にもこの見直し方針に基づきまして、この見直し方針にそぐわないではないかと、こういうことを言いながら詰めてまいりたいと考えております。
 説明は以上でございます。

 丹羽委員長
 ありがとうございました。
 それでは、これを取りまとめていただきました富田分科会長からも一言御発言をお願いしたいと思います。

 富田分科会長
 丹羽委員長から御指名を受けましたので、一言申し上げます。
 独立行政法人評価分科会では、従来からの各府省別のワーキング・グループに加えまして、今年2月には横断的な政策金融ワーキング・グループを、森泉委員を座長といたしまして新たに立ち上げました。各府省別のワーキング・グループと合わせて、延べ29回ワーキング・グループを開催いたしまして、精力的な議論を行ってきたところであります。
 また4月には、分科会におきまして4回にわたって各省からヒアリングを実施するとともに、行政改革推進本部の行政減量・効率化有識者会議とも連携をとりながら議論を深めてまいりました。
 こうした審議の結果、去る6月26日の独立行政法人評価分科会において本案を取りまとめるに至りました。この間、各関係委員におかれましては大変御尽力をいただき、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 なお、本案は、分科会におけるこれらの審議を踏まえまして、一部字句の修正の上で、26日の分科会決定とし、本日の委員会にお諮りしております。

 丹羽委員長
 ありがとうございました。
 それでは、本案につきまして、御意見、御質問ございましたら、どなたからでも結構です。お願いをいたします。
 
 金本分科会長
 一つだけ。自己収入の増加というのが非常に大きなものとして取り上げられているんですが、自己収入が増えると交付金が減らされるといった傾向がいまだに残っているということで、そのインセンティブがないということを時々聞くんですが、この辺の対応状況はどんなものでしょうか。

 富田分科会長
 まず政府全体といたしまして財政支出の削減という、これは決して一律になされるものではないわけですけれども、そういう大きな流れの中で、自己収入の拡大を図ることによって、その法人の活動を維持、機能させるというインセンティブは独立行政法人の運営として存在すると解釈しております。ただ、それも財政支出の削減という大きな流れの中における自己収入増加という基本精神であります。

 金本分科会長
 私の御質問は、もともと独立行政法人化の意図がインセンティブの仕組みをちゃんと作って自己努力でというのが本来で、上から自己収入を増やせとかいう、そういったタイプの指令を出すというのは、もともとの意図ではなかったように思うんですが、その辺、法人のインセンティブが維持されるような仕掛けになっているかというところを御質問しているんですけれども。

 富田分科会長
 これは制度ができて5年という時期がたつわけですけれども、依然として、下からのインセンティブということの一方で、独立行政法人に対しましては、年間3兆3,000億円の国民の税金が投入されている。そういう認識を踏まえた上で、決してこれは上からどうのこうのという話ではなく、国民の税金によって活動が支えられているという現状の中で、独立行政法人における活動を維持するという意味においては、インセンティブを完全に削いでしまうという話ではなく、インセンティブを基本としつつ様々な工夫による機能の維持拡大を図ると考えるべき問題であると思います。

 丹羽委員長
 資産の有効活用、売却によって法人の自己収入の増加を図っていこうというのがどうも骨子にあるように思いますが、いかがですか。

 富田分科会長
 いえ、この自己収入は民間に対して資産を売却するということもさることながら、これまで税金で売上を立てていた部分を、可能な限り国民のニーズに合ったものにするという意味において、市場へ成果物、活動のアウトプットを売却するということであります。

 丹羽委員長
 ほかによろしゅうございますか。
 それでは、「平成18年度における独立行政法人の組織・業務全般に関する見直し方針(案)」をお諮りいたしますが、当委員会としては、本日示されました案については、これを適当と認めるという決定をさせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

 丹羽委員長
 それでは、そのように決定いたします。
 なお、公表などの事後の処理につきましては、私、委員長に御一任いただくということで異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

 丹羽委員長
 ありがとうございます。
 それでは、そのように取扱いをしたいと思います。

 縣臨時委員
 この見直し方針の正式決定と各府省の評価委員会の評価活動のタイミングですが、各府省でもあるところでは検討が相当進んでしまっております。実際、総務省からこの案は事前に内示されているわけですけれども、受け取った府省の方はまだ正式決定ではないということで、評価活動の際には、特に今回幾つも細かい論点が出ているのですが、それを必ずしも評価の場に付さない場合があって、今日初めて決まったのでというニュアンスがあります。ですので、評価の自主性を上げるためには、この見直し方針の決定の時期と各府省の評価委員会の評価活動の開始時期の兼ね合いというものを、考えていただく必要があるのではないかなと思います。

 丹羽委員長
 ありがとうございました。十分参考にさせていただきたいと思います。
 それでは、最後に富田分科会長から何か御発言ございますか。

 富田分科会長
 独立行政法人評価分科会といたしましては、この方針に基づきまして、9月以降、個別の法人について見直し作業を実施していきたいと考えておりますので、委員の皆様におかれましては、引き続き御協力をよろしくお願いいたします。

 丹羽委員長
 ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会関係の議事を終了いたします。
 この後、引き続きまして政策評価分科会を開催いたしまして、金本分科会長に議事進行役をお渡しいたしますが、準備のため、ここで10分程度休憩をいたします。









<政策評価分科会>

 金本分科会長
 それでは、政策評価分科会に移らせていただきます。
 本日は、「少年の非行対策に関する政策評価」の調査の状況について及び「自然再生の推進に関する政策評価」の調査計画についての2案件について御審議をいただきたいと思います。
 まず、「少年の非行対策に関する政策評価」の調査の状況について、濱西評価監視官から説明をお願いいたします。

 濱西評価監視官
 それでは、「少年の非行対策に関する政策評価」の方向性につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 「少年の非行対策に関する政策評価」につきましては、平成17年3月の政策評価分科会に付議の上、同年4月から本省調査を、8月から11月まで現地調査を行ってまいりましたが、このたび方向性を取りまとめましたので、御手元の資料2に沿いまして御説明を申し上げさせていただきます。   
 まず、対象政策の範囲ですが、国の少年非行対策のベースとなっております青少年育成施策大綱における少年非行対策を取り上げています。
 評価対象府省ですが、国の少年非行対策を担当しております内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省の5府省です。
 対象政策の目的は、少年の非行ないしは再非行の防止であり、政策効果としては、少年の非行の減少であります。
 続きまして、少年非行対策の体系ですが、青少年育成施策大綱の少年非行対策以外にも関連する国の政策として、「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」と「薬物乱用防止新五か年戦略」があります。
 評価の観点、把握方法ですが、本政策評価は、総合性確保評価であり、今回、国、26都道府県に所在する関係機関に対する調査に加えて、少年非行対策に携わる実務者約1万人に対するアンケート調査も行いました。
 分析・評価手法ですが、別紙の脈絡図を御覧ください。
 少年非行対策につきましては、ここに見られますように、国、地方公共団体の関係施策が多岐にわたり、その体系が明確でなかったことから、関係府省と協議の上、総務省でここに掲げていますように施策群という形で整理しまして、分析・評価を行いました。
 資料2のA3判1ページにお戻りください。今申し上げた6施策群ですが、 1)薬物乱用防止対策、 2)いじめ防止対策、 3)初発型非行に関する対策、 4)再非行(再犯)の防止対策、 5)逸脱行動、問題行動、不良行為のみられる少年への対応の5施策群につきましては、少年の非行の減少という政策効果に照らして、すべて平成12年と16年の少年人口1,000人当たりの罪種別検挙・補導人員等を基本指標として、その増減を測定しまして、分析・評価を行いました。
 サポートチーム等による連携につきましては、関係機関の連携によって特定の少年の非行・再非行の防止を図るものでありまして、指標の増減では政策効果の測定ができないことから、効果的な取組事例の報告により分析・評価を行いました。
 また、「少年の非行対策に関する政策評価」に係る研究会を開催して、分析・評価手法、アンケート調査の設計等に学識経験者の知見を活用させていただきました。
 続きまして、効果の把握結果ですが、最初に警察庁の犯罪統計等の全国データによる少年非行全体の動向分析結果です。御手元の資料2の中に参考資料という目次がついてある一固まりの資料があろうかと思います。こちらの参考資料の8ページをお開きいただきたいと思います。
 冒頭、この政策評価で言う非行少年の定義を載せております。この政策評価で言う非行少年とは、犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年の総称であり、世間一般では非行とされている深夜はいかいや喫煙、飲酒を行う不良行為少年は非行少年には含まれないことに御注意いただきたいと思います。ただし、今回の政策評価に当たっては、こうした不良行為少年も含めて政策評価を行っております。
 次の9ページの図1を御覧いただければと思います。非行少年の検挙・補導人員の年次推移です。この図では昭和31年からになっておりまして省略されていますが、終戦直後の昭和2526年を第1のピークとして増減を繰り返していますが、平成9年から第4のピークに入り、高水準で今も推移しています。
 下の図2を御覧ください。刑法犯少年が全体の約8割を占めています。
 次の10ページをお開きいただきたいと思います。10ページの上の図3を御覧ください。刑法犯では窃盗犯に分類されている万引き、その他刑法犯というのが次にありますが、それに分類されている占有離脱物横領が多く、これら初発型非行が全体の約7割を占めており、増加傾向を示しています。
 他方で、図3の下のほうにありますように、粗暴犯や凶悪犯は減少しておりますし、薬物事犯、いじめ、校内暴力等による検挙人員も近年減少傾向を示しています。
 同じページの下の表の最後の欄の再犯者率を御覧いただければと思います。再犯者の占める割合は約3割に近づいており、増加傾向を示しております。
 次の11ページの下の表を御覧ください。いわゆる学職別に見ますと、中学生と高校生が全体の約7割を占めており、生徒・学生以外の無職少年がそれに続いているのが分かるかと思います。
 大変恐縮ですが、もう一度、資料2のA3判1ページにお戻りいただければと思います。右側の中ほどの中段に少年非行に携わる実務者の現状認識についてアンケート調査結果を取りまとめています。
 非行の主な原因としては、家庭のしつけに問題ですとか、社会における思いやりや人間関係の希薄化、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミの影響、あるいは子供の規範意識の低下が上位を占めております。
 続いて、最近の少年の性格・資質の問題としては、感情をうまくコントロールできない、忍耐力がなく我慢ができない、相手の立場や気持ちを理解できないが上位を占めております。
 次に、施策群の効果の発現状況等について、順次、6施策群につきまして施策群ごとに御説明をさせていただきます。
 最初の薬物乱用防止対策ですが、効果の発現状況について、「全体としては一定の効果を発現しているものとみられるが、学職別、薬物法合別にみると課題がある」と評価いたしました。薬物事犯の検挙・補導人員を基本指標として、平成12年と16年を比較してみますと、全国ベースで35%の減少、9割以上の都道府県で減少していることからです。
 ただし学職別に見ますと、有職少年と無職少年の割合が71%と高水準にあること、薬物別に見ますと、大麻と合成麻薬が増加傾向にあることから、更に効果を発現するための主な課題として、有職少年と無職少年の薬物乱用防止、増加傾向にある大麻等の乱用防止を挙げています。
 第2のいじめ防止対策ですが、効果の発現状況について、「全体としては一定の効果を発現しているものとみられるが、小中高生別にみると課題がある」と評価いたしました。いじめに起因する事件の検挙・補導人員といじめの発生件数を基本指標として、平成12年と16年を比較してみますと、いずれの指標も全国ベースで20%以上の減少、7割以上の都道府県で減少していることからです。
 次のページをおめくりいただきたいと思います。
 ただし、小中高生別に見ますと、中学生の割合が73%と高水準にあること、いじめの発生件数が中学1年生の段階で小学校6年生の3.7倍と急増することから、更に効果を発現するための主な課題として、中学生、特に中学1年生になる段階におけるいじめの防止を挙げています。
 第3の初発型非行に関する対策ですが、効果の発現状況について、「地域によっては効果を発現しているところもみられるが、全体としては効果を発現しているものとはみられない」と評価いたしました。初発型非行少年の検挙・補導人員を基本指標として、平成12年と16年を比較してみますと、全国ベースで20%の増加、7割以上の都道府県で増加していることからです。
 その上で学職別に見ますと、中学生と高校生の割合が74%と高水準にあること、罪種別で見ますと、万引きと放置自転車盗等の割合が76%と高水準にあること、全国万引実態調査結果でも、店舗側の対策が十分とれていないとされていることから、効果を発現するための主な課題として、中学生と高校生の規範意識の向上などによる初発型非行の防止、万引き等をさせにくい環境づくりを挙げています。
 第4の再非行(再犯)の防止対策ですが、第3の初発型非行に関する対策と同様、効果の発現状況について、「地域によっては効果を発現しているところもみられるが、全体としては効果を発現しているものとはみられない」と評価しました。刑法犯少年、触法少年の再犯者数を基本指標として、平成12年と16年を比較してみますと、全国ベースで20%の増加、8割以上の都道府県で増加していることからです。
 その上で再犯者の前回処分状況を見ますと、審判不開始、不処分、保護観察終了者の割合が60%を超え、その中でも保護観察終了者の増加が顕著と、地域社会の支援により立ち直りを必要とするものが大半ですが、地域社会において立ち直りを支援する取組が不十分なところが多数見られることから、効果を発現するための主な課題として、施設処遇、保護観察に付されない非行少年や、保護観察等が終了した者の立ち直りを挙げています。
 第5の逸脱行為、問題行動、不良行為のみられる少年への対応ですが、これも第3、第4の施策群と同様、効果の発現状況について、「地域によっては効果を発現しているところもみられるが、全体としては効果を発現しているものとはみられない」と評価いたしました。刑法犯少年、触法少年の検挙・補導人員を基本指標として、平成12年と16年を比較してみますと、全国ベースで12%の増加、7割近くの都道府県で増加していることからです。もう一つの基本指標の不良行為少年の補導人員のほうで見ましても、更に増加しています。
 なお、不良行為少年の補導人員の大幅増加の大きな要因としては、近年、警察が補導活動を強化していることがあります。
 その上で学職別に見ますと、中学生と高校生の割合が70%と高水準であり、次いで無職少年が13%と無視できない割合であること、深夜はいかい等の不良行為の背景として、居場所がないことや少年に悪影響を与える社会的環境などがあることから、効果を発現するための主な課題として、中学生、高校生、無職少年の家庭を含む居場所の確保などによる問題行動等の段階での対応を挙げています。
 以上、薬物乱用防止対策から逸脱行為、問題行為、不良行為のみられる少年への対応まで、平成12年と16年のデータの対比をもとに御説明をしてまいりましたが、ここには書いてございませんが、17年以降のデータの動向を見ますと、低下している傾向も伺われますので、最終的な評価の判断に当たっては、可能な限り17年以降のデータの動向も加味してまいりたいと存じます。
 次に、第6のサポートチーム等による連携ですが、サポートチームとは、問題行動等を起こす個々の少年に対して、学校、児童相談所、警察等の関係機関が連携して支援を行うものです。
 効果の発現状況については、「一定の効果を発現しているものとみられる」と評価いたしました。調査したすべての都道府県において効果的な取組事例が見られることからです。
 その上でアンケート調査結果を見ますと、非協力または拒否的態度をとる保護者がいること、会議が単なる情報交換の場にとどまって、具体的な対策まで立てられないことがあることから、更に効果を発現するための主な課題として、対象少年の保護者の協力確保、サポートチームを単なる情報交換の場に終わらせないことを挙げています。
 以上のような分析・評価結果を踏まえて整理しますと、
 まず、少年非行の防止は、なかなか難問なわけでありますが、地域によっては少年非行が減少しているところが見られますように、政策によって非行少年を減少させることが可能であると考えております。
 次に、今回の政策評価を実施するまで、少年非行対策の施策群ごとの政策目的、測定指標等が未整理であったこと、個々の施策群ごとのフォローアップは行われているわけでありますが、それが全体としてのフォローアップとしては不十分と見られる施策群があることから、少年非行対策の施策群ごとの政策目的や測定指標を整理した上で、施策群の単位等で関係指標の動向等に基づき、定期的に見直すことが必要ではないかと考えております。
 若干説明が長くなりましたが、私の方からの御説明は以上です。

 金本分科会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問をお願いいたします。

 吉野専門委員
 御説明どうもありがとうございました。
 1点目は、どういう対策を立てたらいいかというところで、地域の連携とか、これが非常に明らかになったということはいいことだと思いますが、せっかくですからもう少し具体的に、さっきの地域と警察の連携とかいうよりも、最後にまとめていただくときには、もう少し詳細に、こういうところがよかったんだというのを入れていただければと思います。
 2点目は、関連ですけれども、非行対策がうまくいっている地域は、都市と地方という区別なく、こういうやり方をやっていればうまくいっているのかについて、わかれば教えていただきたいと思います。
 3点目は、この非行の原因の中に居場所がないなど、幾つか共通点があったと思います。この居場所がないというのは、よく文部科学省の会議でやるのですが、8時から3時までしか学校は子供たちを見ないわけですね。ですから、その3時から6時とか7時ぐらいまで、親御さんが帰ってくるまでの間の居場所がないというのが1つ大きな問題だと思いますので、是非そういう点も含めて、今後考えていただければと思います。
 4点目は、少年非行の数が大きく増えたということで、先ほどの2ページ目の一番下のところに補導活動の強化が挙げられています。警察官の数とか補導活動が増えたから大幅に補導人員が増えたんじゃないかということですけれども、補導人員の説明にはいろいろな変数があると思いますので、その中の1つが補導活動の強化ということだと思いますから、幾つか変数を見て、その中からどれくらいこれが貢献度があるのかを計量的に見ていただければいいと思います。

 金本分科会長
 何か。

 濱西評価監視官
 今、吉野先生から御質問なり御意見がございましたので、それについて今の段階でのお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、うまくいっている事例につきまして、もう少し具体的に掘り下げて評価書を作成してもらいたいという御指摘であったかと思います。この点につきましては、おっしゃられるとおり、評価書の作成に当たりましては、より具体的な詳細につきましても御紹介をするような形で評価書を作成してまいりたいと思います。
 2番目が都市と地方の傾向が違うのかどうかというお話であったかと思います。比較的うまくいっている事例は、やはり地方部のほうでございます。ただ地方といいましても、県単位でとらえていますので、当然県庁所在市とかそういうのを含めての傾向でございます。
 ただ都市部におきましても、例えば東京都のように、最近、初発型非行のうちの万引き対策等といったところに力を入れているところもあり、そうした万引き等を見ますと、成果が出ているようなところもあります。したがいまして、地方部ではうまくいくけれど、都市部ではうまくいかないということが必ずしも言えないところがあろうかと思っています。そういう意味で、比較的対策がとりやすいのは地方部であろうということは推測しておりますが、都市部でも効果を上げることがある程度可能かなと思っております。
 2点目につきましても、評価書の作成に当たりましては、もう少しそのあたりについて分析を深めて書き加えていきたいと思っております。
 3点目の居場所がないという問題なんですが、おっしゃられるとおり、学校が終わった後というのが大きな問題ですし、居場所がないといった場合には、学校に行っていないような無職少年という場合に、とりわけ大きな要因ではないかと思います。小学生というよりむしろ中高、それから無職少年、高校生とか無職少年あたりがなかなか家庭に居場所がないという、そのあたりが大きな問題としてはあるのかなと思っております。
 4点目の補導活動ですが、これももう少し詳細に調べたいと思っているところですが、補導をする人間の数というのは、平成12年と16年でほぼ同数程度です。したがいまして、今まで補導活動でそこまでやっていなかったような問題行動等まで、できるだけ補導活動をしようとしている。警察がそういう面での補導活動の強化をしてきているということが、数字に大きく反映されているところが大きいのかと思っております。
 ただ先生がおっしゃられるような、この増加が補導活動の強化だけによるものかというと、必ずしもそうも言えないと思います。と申しますのは、問題行動等を起こしている少年が増えているということだけではなく、非行少年の数自体が増えていますので、非行少年の中には補導歴を持っている方が結構多いわけです。したがいまして、そうしたことも加味しながら、どこまで分析を深められるかわかりませんが、これももう少し分析できるところまで分析をしてまいりたいと思っております。
 以上、取りあえず現段階でのコメントでございます。たびたび申し上げましたが、評価書の作成に当たりましては、できる限り御指摘を踏まえて深めていきたいと思っております。

 金本分科会長
 では、新村先生、どうぞ。

 新村委員
 意見ですが、1つは、今、吉野先生のおっしゃったことと近いですが、施策群でまとめて分析なさっておられて大変興味深い結果なのですが、その施策の中身が見えないんですね。ところどころに、例えば、「いじめ」だとスクールカウンセラー等の対応が解決した。スクールカウンセラーは有効だったんだなというのは分かりますが、ほかにどんなことをやっているのかというのが見えないので、評価書の中には、おそらく非常に多様な取組があるので、全部は挙げられないと思いますが、少なくとも典型的な取組、そしてどれが効果があって、どれが効果がなかったかというところまで書いていただくと、このスクールカウンセラーが有効だったというところが非常によく分かるのではないかと思いました。だから、施策群の中身でございますね。具体的な施策が、典型的にはこういうことをやっていて、それが効果はどうかというところがわかったらいいなというのが、意見の部分でございます。
 もう1つは、これも意見なんですけれども、こういうことに人とお金がどのくらいかかっているのかというところが分かるといいなと思いました。おそらく人的な要因が非常に有効なんだろうと思います。だから、そういうところも含めて、お金で解決できる部分と、それから地域の人とのネットワークというようなお金では解決できない部分、そういうところの重要性がうまく出てくるといいなというのが私の感じでございます。

 金本分科会長
 何かレスポンスありますか。

 濱西評価監視官
 今、先生のほうから2点ほど御意見があったかと思います。これにつきましても、取りあえずの私のコメントということで御理解いただければと思います。
 まず、今回少年非行をやりまして一番難しかったことが、施策とその効果というつながりが非常にとらえづらい、この施策をやってどれだけ少年非行が減っているのかというのがよく見えない、それぞれの施策との関係でどれだけ相乗効果をもたらしているのかもよく見えないというところで、非常に難しい調査でございました。
 それで、今の御指摘にきちんとした形で検証というのができるかというと、正直言って難しいという気がしています。ただ私ども実態調査を行いまして、成果を上げているような事例はあがってきています。どういうものをやって成果を上げていると、特に自治体とか国の出先の関係者が考えているのか、そうしたデータはありますので、できるだけ詳細に評価書に書き込むことによって、先生の御意見には十分こたえきれないかもしれませんが、少なくともそこまではやってみたいと思っております。
 次に、2点目ですが、人的資源の投入と予算のお話だったかと思います。公共事業等と大分違いまして、少年非行の問題はなかなか難しくて、予算を増加すれば、それだけ少年非行が減少させられるのかどうか、このあたりも非常に検証が難しい分野だなと、担当としては実感しております。
 ただ今、先生から御指摘もありましたので、もう少し予算とか、そういうある程度人みたいなところも一部調べて、全部は調べきれないわけですが、少し傾向を調べて、何か有意なものが出てくればと考えております。予算とか人的資源が非常に重要な要素であることは、我々もそのとおりだと思っておりますので、調べて反映させられるものは評価書に反映させていきたいと思っております。

 金本分科会長
 谷藤委員、どうぞ。

 谷藤臨時委員
 私も今の新村先生にも関係するんですけれども、やはりどのような政策がどのような効果につながったかという因果関係を検証していくということは大変難しいと思います。この点でかなり苦労されたということはよくわかりますけれども、実はここに大変重要なことが明らかにされていると思うんですね。地域によってかなり大きなばらつきがあるということなんですね。これは吉野先生もおっしゃいましたように、都市か地方かという問題ばかりでなく、そこにも大きなばらつきがおそらくあるんだろうと思います。
 そうすると、例えば、イギリスでは、地域によってかなり犯罪の発生率に大きなばらつきがあるということを契機として、やがてそれが地域のハザードマップであるとかいうものが作成され、最終的にはカメラの設置にまでつながりましたよね。
 そうすると、このようなアプローチから来ますと、どこの地域で非行が多いのかということを類型していって、そこからどのような対策がとられているところが、非行が少ないのかを明らかにするというように、逆に類推するような形で、有効な対策についてアプローチすることも可能であると思うんですね。
 その意味では、都道府県単位がいいのか、あるいは市町村単位がいいのかわかりませんけれども、ある種の地域の様々な発生に関する地域類型といいますか、地域分類ということをしていく。そういったところから、各地域についての成果の発現に関する政策評価をやっていくという手法が、私は必要ではないかなという印象を持ちました。

 金本分科会長
 何か。どうぞ。

 濱西評価監視官
 今、谷藤先生がおっしゃられたとおりだと思います。私どもそんなに例をつかんではいないのですが、実は例をつかんでいないというのは、少年非行対策が効果に結びついているといえる事例が比較的少ない傾向があるからなのですが、山形県と申し上げていいかと思いますが、山形県の事例では、ある非行が多い地域、中学校区単位ですが、そこで、第1期として、2、3年かけてまず8校区を選んで、そこで非行を減らすということやっています。それが全体にもある程度影響を与えています。
 それでまた2期になると、今度は次の問題のあるところをやっていくという形で、重点的にやって、だんだんと減らしていくという取組をやっている県もあって、それは、ある程度全体に影響を与えているということがありますので、なかなか地域的な問題まで調査結果であがってきておりませんが、できるだけ地域の状況もとらえ、そういったところも加味して評価書の作成に当たっていきたいと思っております。

 金本分科会長
 高橋委員、どうぞ

 高橋臨時委員
 質問させていただきたいんですけれども、今の地域の問題は私も大変重要だと思っているんですが、子供たちというのは年齢とともに移動するということもあると思います。例えば14歳とか16歳の子供の問題というのは地域でかなりとらえられると思うんですけれども、その子供たちでも夏休みなどは都市部に移動していて、地域から都会へと、またいずれ帰ってくるという傾向もあるはずです。例えば資料2の42から44ページあたりのデータを見ていますと、今御説明がありました山形県が非常に減っており、それと同時に東京や大阪なども減っていますが、この総務省が作成したデータの基となった警察のデータというのは、犯罪あるいは補導を子供たちの住所地で区分しているのか、あるいは発生地で区分しているのか、その辺を教えていただけますか。
 それと子供が移動するという問題をどういうふうにとらえて、それに対する対策を評価していくのかというのも、今後の方向性として私は必要ではないかなと思っています。せっかく施策群でとらえているわけですので、広域的な対応というのも採らなくてはいけない。地域ももちろん重要なんですけれども、大体子供たちの非行というのは、地域の問題もあるけれども、大都市発で、それがだんだん伝播していくとか、横に広がっていくという問題もありますので、その辺をどうとらえるのかという視点、何かもう既にお考えのところがあったら教えていただきたいと思います。

 濱西評価監視官
 今、幾つか御質問、御意見がありましたが、まず、統計データの点ですが、これは住所地でとらえています。
 次に移動の問題の点ですが、渋谷とかを見ていますと、東京都だけとも思えませんし、あちこちから集まってきているんだろうと思います。夏休みなんかは渋谷、原宿あたりはいろいろいるんだろうと思っております。
 確かに大都市特有のちょっと難しい問題があるんだろうと思いますので、そのあたりも私自身そこまでの分析データは今、頭にないのですが、もう一度洗い出して、そうした分析データ等があれば、これも評価書に反映させていただきたいと思います。検討課題とさせていただきたいと思います。

 金本分科会長
 田中さん、先にどうぞ。

 田中専門委員
 少年非行対策の脈絡図という中ではよく整理されていると思っているんですが、これを見ると施策群によっては課題が残っている。これについてうまく当てはまる施策がないというのが事実のような気がするんですね。これをよく見ると、社会教育ができていないんだという本質論なんじゃないかなと。初発型非行をした人に対しての再非行の防止ということについても、再教育もできていないという。すごく重要な問題だと思うんですね。これが一番の問題のような気がするので、ぜひ掘り下げていただきたいと思います。

 濱西評価監視官
 今、おっしゃられたとおり、やはり非行少年の心の問題と申しましょうか、できるだけそういうことのないように意識を養っていくことは重要な課題だろうと思います。
 学校等におきましても、啓発等をやるようにはなってきておりますが、少しそれが形骸化していないかと。もう少し少年の心にしみ入るような工夫ができないかとか、そうした課題はあるだろうと思います。やっていないかと言われればやっているわけですが、まだ、それが不十分な部分もあるのではないかということも我々の調査結果で上がってきていますので、そうしたことも評価書作成に当たりましては、書き加えていきたいと思っております。

 金本分科会長
 高木さん、どうぞ。

 高木臨時委員
 皆さん地域の話をおっしゃっていますけれども、私もこの問題を行政としてかかわるという観点から考えたときの単位は地域だと思います。地域といっても、更に言いますと、おととし、地制調のほうで出したペーパーの中での単位としての地域、自治体でしたか、あの程度の単位、すなわち町内会を幾つかまとめたぐらいの単位の地域というところでの対策というのが重要ではないかと思います。
 資料2の参考資料の中の9ページのところで、時系列的に見た場合の1,000人当たりの発生率があるんですけれども、その前のページでそれなりの分析をされているんですけれども、これを見ますと、20年サイクルで波が大きくなっていると思います。私、子供というのは常に親の反映だという見方をしていて、その見方からすると、20年サイクルというのはちょっと短くて合わないんですけれども、何らかの社会学的な要因がここに反映されていると思うんですね。この波を考えていくと、これから更に分析していって、平成18年、20年になると、このカーブの仕方からいくと減少してしまうのかもしれない。それは施策が有効に機能したから減少するのではなくて、単に社会的な状況から減少するのかもしれないということも言えるかと思いますので、また平成10年から16年の上昇というのは、これは施策がうまくいっていないから上昇しているということなのではなくて、先ほど言ったような社会的な問題から上昇しているのかもしれないということも言えるかと思いますので、この辺の波についての分析をもう少ししていただくと、さらに立体的、科学的な調査になるのではないかなと思います。

 金本分科会長
 手短にお願いします。

 濱西評価監視官
 先生のおっしゃられるのは、20年サイクル、大体そのぐらいの波があるということまでは押さえていたのですが、なるほどと思いました。それぞれのピークのときの中身というか、要するに非行の中身ですね。そこが違っている側面もありますので、そういったことも加味して、単純に20年ごとに繰り返しているというわけでもないものですから、そのあたりを少し加味して評価書に反映させたいと思っております。

 金本分科会長
 じゃ、高橋さんは後で、翁さんが先にお願いします。

 翁臨時委員
 資料2のA3判1ページに少年非行に関するアンケートが真ん中に出ていますけれども、これで主な原因というのを見ると、家庭のしつけとか、そういうことが取り上げられているわけですが、非行対策ということで、ここでは例えば教育相談所とか、そことの連携というところに、例えば家庭のしつけとか、そういうことについて相談するとか、そういうより根本的なことに取り組むことによって効果が出ているという例があるのかどうなのか。8割の人が主な要因として考えているのであれば、ここについてよりアプローチするようなやり方というのをもう少し考えられないのかなと思うんですけれども、実際にそういう具体例があったのかどうかということについてお伺いしたい。
 次に、学校ごとの取組によって、かなり効果を上げている学校とそうでない学校というのがあるのかどうか。地域よりもさっき8校区とおっしゃっておられましたけれども、学校の取組によってかなりこういう改善が見られたということが具体例としてあれば、より参考になるのではないかと思います。
 最後にデータですけれども、例えばいじめの発生件数とか、30ページに載っているのは全部公立高校とか公立中学のデータになっていますけれども、東京などは私立学校がすごく多くなっていて、これがどの程度地域によって有意な意味を持つのかというのが、特に東京はそういった要因があるので、注意して見ておく必要があるんじゃないかと思います。

 金本分科会長
 手短に。

 濱西評価監視官
 時間の関係がありますので、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 まず、家庭の問題ですけれども、地域で取り組む場合に、家庭教育をしっかりしようというある程度基本がありますので、そうした保護者も入って、それで取り組んでいて成果を上げているという例があがってきています。やはり必要なことだと思っています。ただそこで問題となるのが、まさにその家庭の保護者の協力が得たいのに、なかなか得られなかったりする。そのあたりの問題があるのではないかと思っています。
 次に、サポートチーム等による連携は、個別の、ある程度家庭の協力も得るような形で、非行少年を立ち直らせるといった例で、まさにこうした例があります。
 スクールカウンセラーもいじめ等が発生しますと、家庭も含めて話し合いを行っており、また、教育相談所もそうした問題を扱っています。
 最後に、統計データの問題なんですけれども、私立学校まで含めたような統計データがないそうです。

 金本分科会長
 宇賀さん、どうぞ。

 宇賀臨時委員
 資料2の別紙のところに出ている学校と警察の連絡なんですけれども、私の聞いている範囲では、それぞれの教育委員会は非常に対応に悩んでいて、一方で情報を共有することの有用性と、他方で生徒の個人情報の問題があるので、それをどう調和させるかということで協定まで結んでいるところもあるし、協定は結んでいないけれども、事実上情報の交換をしているところもあるし、警察からは情報をもらうけれども、学校からは基本的に出さないという対応をしているところもあって、かなり自治体で対応が分かれていると認識しています。
 一方で個人情報の要請があるけれども、しかし情報を共有することによって非行防止ができるのであれば、そこはそちらのほうを優先すべきだけれども、果たしてこういう制度がどれだけ効果があるのかということで悩んでいる自治体が多いんですね。ですから、そこのところで有意なデータを抽出していただけると、それぞれの自治体の教育委員会にとっても非常に参考になると思いますので、有意なデータが出てくるのであれば、是非報告書にも書いていただきたいと思います。

 濱西評価監視官
 今、先生がおっしゃられたとおりの状況が私どもの今回の調査結果からも出てきています。関係機関の連携は重要なわけですが、個人情報保護をどうするのか。要するに警察から学校に通報すると、その生徒がそれによって退学とか停学とか、そういう処分を受けかねないこともあって、個人情報の取扱いを危惧することが課題として挙げられております。
 一番大きな課題としては、実務家のアンケート調査結果において、連携上の課題として個人情報保護が挙げられており、やはり連携のルールづくりが必要だろうと思っています。

 金本分科会長
 高橋さん、どうぞ。

 高橋臨時委員
 高木臨時委員のご発言のサイクルの問題は、私もこのデータを見てずっと気になっていました。この20年サイクルぐらいというのは、ある程度この子供たちが親になっている、非行を起こした子供たちが親になる年齢、例えば15歳の子供が20歳ぐらいで結婚して、その子が15歳ぐらいになると、わりにヤンママとか、そういう傾向が非行の場合多いと思うんですけれども、何らかの家庭の教育力というか、再発というか、再非行とも言えるような、子供に伝わっているような部分がどうしてもあるような気がして仕方がないんですね。     
 ですので、人口比で見て、団塊の世代と団塊ジュニアみたいなサイクルも読めるのですけれども、そういう追跡といいますか、家庭をどうするのかという問題を含めて考えていかないと、再発防止というのはとても難しいんじゃないかと思っています。
 自治体などでも、例えば生涯学習の場で親業などをかなりやっている地域があったり、昔の母親学級が今は両親学級になって、夫婦一緒に生まれてくる子供たちの教育からやっているという傾向も出てきていると思うんですけれども、子供にだけ何をするではなくて、将来その子たちが親になるということを前提の施策を打っていかないと、多分このサイクルというのはずっと繰り返してしまうと思うんですね。ですから、その辺の何か手だてというものをこの評価に入れながら解決していったらいいのではないかと感じました。

 丹羽委員長
 私も一言だけ申し上げたい。この議論はみんな親のほうから子供をどう教育するかとか、親のほうから何をするかという議論がほとんどで、今、横浜の教育委員をやっている義家さんが「不良少年の夢」という本を書いております。この間お会いしたんですけれども、子供のほうからすると親も教育してくれ。あるいは指導員の教育です。親の対応が悪い。
 例えば家庭環境といったときに、これは経済環境しか書いてありませんけれども、非常に難しいデータが要りますけれども、その家庭は離婚をしている家庭なのか、家族構成はどうなのかとか、あるいは教育の現場でも教師のクォリティーは非常に問題があるわけですね。幾らルールを作っても、実際に動かしているのは教師であり親なんです。親が全く子供のことをわかっていないまま、子供に対応していることがどんどん不良化を進めていく。
 本来であればほんのわずかなところで終わったのに、親の対応、おじいちゃんの対応、あるいは家庭環境、あるいは指導員の対応がまずかったためにますます悪くなるとか、そういうことがあります。親をどう教育するかということを考えないと、子供を教育しようとしても、これは簡単には直らないなと思うわけです。
 我々もそうですけれども、子供がなぜこういう不良に走るかというと、自分を認めてほしいんです。自分の存在がほとんど無視されたり、自分が認められていないし、だれもかまってくれないから、目立とうとしてどんどん不良化して、髪の毛を黄色に染めたり、いろいろ目立ちたい。だれも見てくれないからそうしたいんだ。どんどん不良化する。
 そういうことから言うと、マクロのデータというのは非常に難しいかもしれないけれども、もう少しち密なデータが要ると思う。家庭環境といったときにいろいろな環境、これもデータをとるのは非常に難しい。最も大事なことは、行政として親の教育を、例えばシンポジウムをやるとか、親の教育を真剣に考える必要があると思います。

 金本分科会長
 大体よろしいでしょうか。
 まだこれから作業されるということなんですが、いろいろ難しい課題が出てきましたけれども、基本的に因果関係をどう見るかというところで、高木先生が言われたサイクルも、これは大阪大学の大竹先生が少年非行は経済状況でかなり説明できる、不況時に増えるとか、そういった研究もしていますので、そういういろいろなものを総合的にということをお願いしたいというのと、もう1つは、政策効果の発現というのを、指標が単によくなったということと同値にとられているんですが、これが政策によるものなのか、単に景気がよくなったためかというがわからないわけで、それをきちっとやる必要があるんですが、なかなか実際には難しい。
 これについては最近、イギリスのものを少し調べていたんですが、イギリスのガイダンスがかなり充実している。イギリスではこの辺の問題というのはアディショナリティーという、政策によって付加的に出てきた効果ということで、アディショナリティーに関するつかまえ方、あるいはそれをいいかげんな書き方をしない、表現の仕方とか、そういうのがわりと詳しく出ていますので、参考にしていただければと思います。
 それでは、ただいまの委員の御意見等を踏まえ、引き続き評価の取りまとめに当たっていただきたいと存じます。
 次に、「自然再生の推進に関する政策評価」の調査計画について、村上評価監視官から説明をお願いいたします。

 村上評価監視官
 村上でございます。よろしくお願いします。
 「自然再生の推進に関する政策評価」について御説明したいと思います。資料3でございます。本件につきましては、今年度2期、8月から調査を開始する予定になっております。本日はそれに先立ちまして政策評価計画をお諮りするということでございます。
 資料3の1枚目に政策評価計画(案)がございます。これを御覧いただきたいと思います。
 自然と共生する社会の実現は現在重要な課題になっております。平成5年に生物多様性条約が締結されまして、それを踏まえて平成14年に新・生物多様性国家戦略を我が国も決定しております。これを実現する基本的なツールといたしまして、自然再生推進法が平成14年に制定されまして、平成15年1月から施行されております。
 この自然再生推進法におきましては、各地域で自然再生協議会を組織いたしまして、ここが中心となって自然再生のための取組を行うという形になっております。自然再生は具体的に申しますと、御案内のとおり、湿原でありますとか干潟、森林、里山等、生物多様性の確保のために重要な地域において自然環境が失われている場合に、これを再生していこうという取組でございます。
 この自然再生推進法は施行後5年経過時点で見直しをするということが明記されておりまして、これが平成20年の1月でございます。したがいまして、その前に政策評価を行いまして、施策の見直しに反映させていこうということでございます。
 資料3の政策評価チャート(案)は、現段階の政策評価に関する私どものイメージを整理したもので、これに基づきましてポイントを御説明したいと思います。
 評価の対象とする施策は自然再生推進法に基づく施策でございまして、この法律は目的が大きく3点ございます。
 まず自然再生に関する施策を総合的に推進する。すなわち各省縦割りばらばらではなくて、総合的に推進していこうと。それで生物の多様性の確保を図る。あわせて地球環境の保全に寄与する。こういう大きく3つの目的が定められております。
 さらに、それを実施していく際の基本理念が幾つか定められております。
 まず地域の多様な主体が連携して自主的に取り組む。すなわち官主導ではなくて、地域住民の方々でありますとか、NPOの方々等を主要なプレーヤーとして位置づけている。そういう意味で画期的な法律だと言われております。
 それから地域の特性を踏まえて、科学的知見に基づいて、あくまでも科学的観点から実施していく。
 さらに、順応的な方法と書いてありますが、一度決めたとおり5年10年やっていくというのではなくて、常に状況をモニタリングしまして、それをフィードバックしてやり方を随時修正していくという形で進める。
 さらに、自然再生事業が自然環境学習の場として活用されるように配慮する。国や地方公共団体は必要な協力を行うということになっております。
 さらに、国土の保全、その他の公益との調整にも留意しなさいということになっております。
 国・地方公共団体の支援につきましては、これはいずれも訓示規定ではございますが、相談体制の整備を図りなさいとか、許認可等については配慮しなさいとか、財政上の措置を講じなさいというような規定が定められております。
 さらに、環境省を中心に農林水産省、国土交通省等関係省庁が集まりまして、自然再生推進会議が設置されております。ここで施策の総合化のための連絡調整を図る。
 さらに、自然再生専門家会議、これは専門的知見を有する方々にお集まりいただいている会議でございますが、ここが推進会議に対して意見を述べるという形になっております。
 各地域におきましては、先ほどの自然再生協議会を地域住民やNPO、さらに国の出先機関や地方公共団体が集まって設立いたしまして、ここがマスタープランであります全体構想を作成する。  
 この全体構想を実施するために各主体、NPOとか地方公共団体、国の出先機関等がそれぞれ実施計画を作成しまして、これに基づきまして自然再生の取組を進める、こういう形になっております。
 現在の状況でございますが、現在全国で18協議会が設置されておりまして、そのうち11協議会で全体構想が作成されている。さらに3協議会で実施計画が作成されている、こういう状況でございます。
 これにつきましては、参考資料の6ページを御覧いただきたいと思いますが、ここに18協議会の一覧表が掲載してございます。
 例えば、湿原の乾燥化を阻止して湿原を再生するために、一度直線化した川を再蛇行させるような取組でありますとか、あるいは森林におきまして広葉樹林がだんだん失われて竹林が侵入している場合に、その竹林を取り払って広葉樹林を再生させる取組でありますとか、そういう取組が各地で進められているということでございます。
 先ほどのチャート図に戻っていただきたいと思います。私どもが政策評価を行うに当たりまして、大きく2つの観点、すなわち有効性及び効率性の観点から評価を行っていきたいと考えております。
 まず有効性でございますが、これはこの自然再生推進法に規定されております3つの目的及び基本理念がどれくらい実現されているか、これを検証していこうということでございます。
 まず最初に施策が総合的に推進されているか、すなわち関係省庁及び地方公共団体との間で、ちゃんと連携をとって総合的に施策が推進されているかという観点でございますが、まず先ほどの自然再生推進会議や専門家会議の活動状況はどうなのか。また、各省それぞれ自然再生に絡みまして、様々の予算事業を実施しております。この参考資料集の12ページを御覧いただきたいと思いますが、ここに環境省、国土交通省、農林水産省等が実施している主な事業一覧がございます。
 ただ、これらの事業が実際に現場でどの程度この自然再生推進法のスキームと連携して実施されているのか、法律は法律、予算は予算でばらばらに行われているのではないかという懸念もございますので、その辺の実態がどうなっているのかを検証していきたいと考えております。
 次に、生物多様性の確保を通じた自然と共生する社会の実現が図られているか。これはまず、先ほどの自然再生協議会の設立状況、運営状況はどうかという点でございます。法施行後3年経過して、全国で18件という数が多いと見るか少ないと見るかは意見の分かれるところかとは思いますが、ただ1つ言えますことは、自然再生の取組は全国各地でいろいろな取組が行われておりまして、この法律のスキームに乗って協議会が設立されているのはそのごく一部でございます。
 例えば、参考資料集の9ページを御覧いただきたいと思いますが、現在、環境省が把握している限りでも、協議会の設置が検討されているけれども、まだ設置に至っていないというものが2つ掲げられておりますが、これ以外にも実際はもっと様々な取組が全国各地で行われているようでございます。
 したがいまして、協議会の設置に至っていないところはなぜなのか、この法律のスキームに何か足らない点あるいは支障となる点があるのか、そういう点を実際に現地を調べることによって把握していきたい。
 さらに、協議会が設立されている地域においても、全体構想や実施計画の作成に至っていないというものがかなりございます。そこについてはどういう点が問題で進んでいないのか、例えば意思決定のやり方とか、経費の負担方法とか、そういう点で問題はないのかという点も中心にして調べていきたいと考えております。
 さらに、法律上、基本理念として定められております科学的知見に基づいて、順応的な方法により実施するとか、他の公益との調整を図る、さらに自然環境を学習の場として活用する、このようなことが実際に現場でどれぐらい実現されているのか、何か問題はないのか、そういう点も調べていきたい。
 最終的な目標であります生物多様性の確保につながっているか。これは生物多様性確保のための科学的な目標及びその達成状況がどうなっているのか、これを把握していきたいと考えております。
 3番目の地球環境の保全に寄与しているか。これは具体的には地球規模で移動する野生動物、渡り鳥等の保全や、地球温暖化対策、CO2低減のための森林管理への配慮でありますとか、そういう配慮が現場で実際にどれぐらい進められているのか、これを把握していきたいということでございます。
 2番目が効率性の問題でございます。これはコスト・ベネフィットの問題でございます。この点につきましては、こういう環境絡みの施策でコスト・ベネフィットというのは、端的に言いまして、従来あまり考慮されてこなかったというのが実態かと思いますので、かなり難しい点はあるかと思います。しかしながら、現時点で実際のこの施策、各省の意識といたしまして、このコスト・ベネフィットをどう考えているのか、まず現状を把握するとともに、どのようなやり方でこのコスト・ベネフィットを算出していくのが適当か、トライしてみたいと考えております。

 金本分科会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問などありましたら、どなたからでも御発言をお願いします。
 では、吉野先生、どうぞ。

 吉野専門委員
 意見ですが、こういう解決のスキームとして自然再生協議会を中心にやっていかれるのが現在のやり方だと思うんですけれども、こういうやり方が本当に最適なのか、あるいはもう少し違ったスキームのほうがいいのかというのは、是非御検討いただきたいと思います。
 それから、地域によって自然再生協議会がうまくワークしているところとワークしていないところがあるというお話でしたが、先ほどのリストを見ていますと、やっぱりどこかの省庁なり市町村が音頭をとっているような雰囲気のところが強く見えておりまして、そういう場合にどういう予算の枠組みか、実際に協議会の会合において実質的な議論をされているのかどうか、そういうこともきめ細かく見ていただければと思います。
 それから、NPOと行政機関、地方公共団体、この3つのうまい整合といいますか、それが書かれているんですけれども、これまでやられてきたいろいろな例を見て、それがうまくワークしているところ、していないところをもう少し細かく分析していただければと思います。

 金本分科会長
 何かありますか。谷藤さん、どうぞ。

 谷藤臨時委員
 科学的知見に基づいた長期的視点というのはすごく難しいと思うんですね。例えばここの政策評価の段階で、活動状況については評価することは可能だと思うんですね。その活動からもたらされる成果というか、コスト・ベネフィットと言われるようなものをどのように測るか、その長期的視点と言われるものをどのように設定するかはすごく難しくて、取り分け自然再生というものは時間軸が大変長いので、効果の発現というものにうまくつながっていけるのかどうかということを、若干僕は懸念しています。この点についてどのようにとらえていますか。

 村上評価監視官
 現時点で私どもが考えておりますのは、まず第1に、現状がどうなっているのか。各地域で行われている事業や各省がどういうふうに考えているのか、まず現状を把握したいと思います。
 2番目に、専門的知見を有している有識者の方々、それから地方公共団体、実際に事業を行っているNPO、さらに地域住民の方々等に大規模なアンケート調査を行いたいと考えております。それによって関係者の意識がどうなのか、それを把握したい。さらに諸外国で先進的な取組も行われておりますので、その状況も把握したいと考えております。
 そういう形で状況を把握して、その中からある程度うまくいっている事例とか、あるいは有益な考え方を抽出して、ある程度こういうやり方が望ましいのではないかという、今の時点でこれだという1つのものを打ち出すというのは多分難しいだろうとは思いますが、例えば幾つかこういうやり方が考えられるというものを提起できればなと考えております。

 金本分科会長
 高木さん、どうぞ。

 高木臨時委員
 質問ですが、この法律はどうもよく理解できないんですけれども、何か壊しておいて、後で修理するといった内容のように感じますが、どの程度まで壊れていると直すという法律なのでしょうか。

 村上評価監視官
 この法律は要は先生御指摘のとおり、自然の破壊が進んでいるということを踏まえて、その再生を図っていこうと。ただその具体的なやり方は各地域の判断、各地域の自主性に任せるというスキームになっております。

 高木臨時委員
 これはお答えいただかなくて結構だと思うんですけれども、現在実施されている施策自体で疑問な施策というものがあると思うんですけれども、例えば、国有林野に関しては滋養かん養という目的が変わっても、相変わらず杉を植林しているわけですが、近年の研究によって杉は自然に対してはむしろマイナスを与えるということが言われている。自然再生の推進をやる一方でそういった施策が行われているという、この現状をどういうふうに理解すればいいのかということを意見として申し上げておきます。

 村上評価監視官
 先生御指摘の点はよく私ども認識しております。この法律のスキームはあくまでも地域の自主性を尊重する、それに基づいて進めるということになっておりますが、各地域で実際に協議会がつくられてうまくいっている例を見ますと、まだ本調査の前ではございますが、いろいろ文献等を見ておりますと、どうも実際は官主導、各省主導、あるいは県主導のところが結局うまくいっているというのではないかという様子も見えます。
 したがいまして、そういう実態を調べまして、各地域に全く任せて、官は横で見ているというのではうまくいかないというのであれば、ある程度、官が責任を持ってグランドデザインを描くべきではないかと、そういうことも念頭に置きながら調査を進めていきたいと考えております。

 丹羽委員長
 この問題も今までと同じ行政のやり方だと思うのですが、4つの省が絡んで、各々ばらばらに予算を立てて施策を行っているということが問題だと思います。こういう自然再生という問題であれば、この垣根を取り払うことができないかどうかですね。
 連絡調整というものを作っても、実質的にはワークしないということになるので、例えば、自然再生推進室というものを内閣府などに置いて、そこに予算を分けてやるというようなことをしないと、例えば、環境省はこれをやろうとし、逆に国土交通省のほうはやらないと、やらないというならいいんだけれども、邪魔をするというか、地域に任せれば任せるほど中央との関係が微妙になるのではないでしょうか。政策評価分科会としては、このような方向に持っていく必要があるのではないかと思います。

 村上評価監視官
 まだ本調査前ではございますが、丹羽先生からも御指摘になったような点を1つのポイントといたしまして、評価を行っていきたいと考えております。

 金本分科会長
 田中さん、どうぞ。

 田中専門委員
 今、委員長が言ったのはそのとおりだと思うんですね。官主導でやるならばそういうふうにやらなければいけないし、民主導でやるならば、もっと民が自立できるような予算をつけた団体にするようなことをしないと、これを見ていると事務局は全部官の中にあるような気がするし、事務局運営費も多分ないのだろうと思いますから、それでは民主導ではできないですよね。
 ですから、どちらにしても問題点を浮かばせて、どちらかについて検討すべきだと思います。先ほど言ったように、官に戻したほうが効率的だという話もあるでしょうし、民に純粋に戻すにはどうしたらいいのかという本質的なこともあるでしょうし、その2つは両方の視点で考えていただきたいと思います。

 村上評価監視官
 分かりました。この事業を効果的に進めるには、官がもっと責任を持つか、民にもっと力をつけさせる。何らかの形で民を支援して、もっと民に力をつけさせる。2つの方向性があるという御指摘だと思いますが、両方を念頭において調査してみたいと思います。

 金本分科会長
 そのほか何かございますでしょうか。
 費用対効果についてはごくごく初歩的なんですが、慶応グループが翻訳したヒールさんの一般向けのわかりやすい本がございますので、前提条件としてそういうのをお読みいただいて、それですぐ何ができるわけでもないんですが、評価を行う上でのベースとしてお読みいただければいいなと思います。

 新村委員
 皆さんのおっしゃったことと大体同じだと思いますが、最終的に自然再生にこれが役立ったかどうかで評価するというのは、多分ものすごく難しいことだと思うので、2つの段階に分けて考えることだと思います。
 まず、第1段階として、このスキームが日本の社会に適しているかどうか。それから、今機能しているかどうか。おそらく法律を作ったときはもっとたくさんの協議会が出ることを想定しておられたのではないかと思うので、18協議会というのは小さいという評価になるのではないかと思うので、むしろこのスキームがうまくいかない理由みたいなところに焦点を絞っておやりいただくのがよいのではないかと思います。
 次に、第2段階として、要するにこれは自主性を重視するものなので、自然再生に対する効果というのは、各地域の協議会の結論次第になるわけですよね。だから、むしろ国の施策としては、こういうスキームについての評価に重点を置いたほうがいいのではないかという感じを持っております。

 金本分科会長
 環境関係のNPOの方々も資金不足、人材不足で苦労されておられるようでありまして、民間のほうに担える人がいるかというと難しい状況がございます。そういったことは大規模なアンケートをしてつかめるかというと若干危惧がありますので、もう少し丹念に個別にそういう人たちとお話をして、つかんでいただいたほうがいいのかなという気がいたします。
 大体よろしいでしょうか。
 ただいまの委員の御意見等を踏まえ、評価に取り組んでいただきたいと存じます。
 それでは、次回の政策評価分科会の開催につきまして、事務局から連絡をお願いします。

 渡会総務課長
 まず御礼と御紹介からさせていただきます。
 政策評価国際シンポジウムに行政評価局として初めて取り組みましたけれども、成功裏に終了いたしました。御登壇いただきました先生、あるいは会場にお越しいただきました先生方に、この場をおかりしまして御礼申し上げます。
 当日の模様につきましては総務省のホームページに掲載いたしますが、御手元にも紙ベースでお配りしております。後ほどお目通しいただければと思います。
 シンポジウムにお越しいただいた方々には配布いたしましたが、政策評価Q&Aというのを行政評価局のPRの一環として作成いたしました。これも御手元にお配りいたしております。このQ&Aにつきましても総務省ホームページに既に掲載しております。皆様お目通しいただきまして、お気付きの点がございましたら事務局までお申し付けいただきますと、内容を適宜更新してアップ・ツー・デートにしていきたいと思っております。
 最後に次回の政策評価分科会の日程でございますけれども、現在のところ未定でございます。後日個別に御連絡させていただき、日程を調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 金本分科会長
 以上をもちまして本日の政策評価分科会を終了いたします。本日はありがとうございました。
(了)






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