会議資料・開催案内等

政策評価・独立行政法人評価委員会 (第4回) 議事録

(政策評価・独立行政法人評価委員会、政策評価分科会及び独立行政法人評価分科会の合同)


  1. 日時  平成13年4月20日(金)  14時00分から16時20分

  2. 場所  東海大学校友会館

  3. 出席者
    (委員会)
      委員  村松岐夫委員長、丹羽宇一郎委員長代理・政策評価分科会長、
    富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、竹内佐和子、竹中平蔵
      臨時委員  宇賀克也、高木勇三、田辺国昭、新村保子、雨宮肇、大田弘子、
    黒川行治、黒田玲子、宮脇淳
      専門委員  翁百合、木村陽子、中山正邦、吉野直行、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、
    山本清、山谷清志
    (総務省)

    塚本行政評価局長、熊谷官房審議官、
    鎌田行政評価局総務課長、新井政策評価官、高野評価監視官ほか

  4. 議題
    (1)今後の委員会の進め方について
    (2)独立行政法人会計基準等について
    (3)その他




村松委員長
    それでは、これより政策評価・独立行政法人評価委員会の第4回の会合を開会いたします。
  本日は2つ議題がございます。1つは、今後の委員会の進め方についてということですが、もう一つは、独立行政法人会計基準等ということで、会計基準に関する御説明をいただいて質疑をするということでございます。
  それでは、初めに今後の委員会の進め方についての議題に入りたいと思うわけですが、この件につきましては、前回鎌田課長からも御紹介がありましたけれども、丹羽・富田両分科会長と私と一度もこれまでは一緒に話をしたことがなかったんですが、いよいよ4月に入りまして本当のカレンダーが始まるということで、一度種々の御相談をする必要があるということで、鎌田課長に日を煩わせてセットアップをしていただいたわけでございます。それで、過日、事務局を交えましていろいろな御相談をいたしました。それを踏まえていろいろな資料の整備等カレンダーの見通しといたしましたので、これを鎌田課長から御説明いただけますでしょうか。
鎌田総務課長
    それでは御説明申し上げます。委員長、両分科会長の御指示を踏まえまして、資料1ということで資料を整理させていただいております。枝番になっておりまして、内容を簡単に御紹介しますと、まず資料1−1が政策評価・独立行政法人評価、この委員会の活動の範囲を定める組織、所掌事務、それから総務省の評価活動の御説明をしようということで資料を整理しております。
  それから資料1−2でございますが、これまで3回、政策評価・独立行政法人評価委員会を開かせていただきまして、その中で種々運営に関する御議論をいただいておりますので、それを政策評価の場面、それから独立行政法人評価の場面と2つに分けて論点を整理させていただいております。これを踏まえまして、いろいろ委員長、両分科会長に今後の方向について御議論をいただきまして、進め方につきましては、資料1−3の左側が中心になりますけれども、審議の方向ということで御指示いただいております。これは定性的な説明でございまして、具体的なスケジュールに落としましたものが資料1−4ということで、既に御決定いただいております本年度の各月1回の政策評価・独立行政法人評価委員会の開催予定日に即しまして、具体的に何をやっていくかということをプロットしたものでございます。
  それでは、最初に資料1−1を御覧いただきながら、この政策評価・独立行政法人評価委員会の活動の土俵について御説明したいと存じます。
  1ページ目にございますように、この委員会は2つの分科会、政策評価と独立行政法人評価の分科会に分かれておりまして、左側の方、政策評価の方は2つ事項が書いてございますが、政策評価に関する基本的事項、制度問題、それから2つ目は行政評価局が行う政策評価活動、我が局は各府省の政策についての統一的あるいは総合的な評価、それからもう一つは、各府省の評価結果の客観性を担保するための評価を行いますが、こういった事柄に関する事項について調査審議しあるいは総務大臣の諮問において答申を出し自主的に意見を述べるという権能がございます。
  それから独立行政法人評価、右側の方でございますが、これは独立行政法人通則法の方に規定がございますけれども、各府省に置かれます独立行政法人の活動を評価する委員会の行いました評価の結果につきまして、この委員会がさらに各府省の独立行政法人評価委員会に対して意見を述べるというのが1つ目でございます。2つ目は、独立行政法人それぞれ、主務大臣から示されました中期目標を達成するために、目標達成期間を設定しておりますが、大体それは4年、5年になっておりますけれども、それの終了時に主務大臣に対しまして、法人の主要な事務事業の大半に関して勧告するという権能がございます。
  それで2ページ目をお開きいただきますと、まず政策評価の方のテーマについてでございますが、これは総務省の行う評価活動についての重要事項の調査審議ということがございまして、それにつきましては2つポンチ絵を描いております。我々の評価活動は統一的・総合的な評価、それから客観性担保の評価と大きく2類型ございまして、この上の方の評価は府省横断的あるいは複数府省にまたがる評価でございます。この絵の趣旨は、下にある麻雀牌のようなものが、各府省の個別の政策だといたしますと、それぞれの政策というのは、所管の省が評価するわけでございまして、我々はそれを府省横断的に、あるいは複数府省関連のものを評価するということで、上にかぶさっています長方体のような視点からの評価を行うわけでございます。いわば、各府省の政策の2階部分をとらえまして、束ねて評価するというのが統一的・総合的評価の機能でございます。それから、客観性担保の評価でございますが、府省の政策、左の方に黒いマルがございますが、この府省の政策については、この政策評価は、政府全体の制度としては府省が事後評価をする。その内容につきましては、総務省がこれの客観性を担保するための評価を行うということで、府省の評価結果を評価するという作用を持つわけでございます。ということで、府省の政策評価を通じまして、各府省の政策についての評価を間接的ながら行い得るという権能があるわけでございます。
  政策評価全体の仕立て方につきましては、3ページを見ていただきますと、もちろん政策評価の大目的があるわけでございまして、1番上の方に書いておりますが、いずれも、国民に対して行政がどのような責任を果たすべきか、という観点からの目的があるわけでございます。3つございまして、1つ目は説明責任の徹底、2つ目は効率的で質の高い行政の実現、3つ目が成果重視の行政への転換、こういったことを目的として、今回の政策評価制度の設計がなされております。
  政策評価制度では各府省という左側の方を見ていただきますと、政策の企画立案、実施、評価、さらには、それを企画立案に反映させるという、いわゆるPlan-Do-Seeのサイクルの中で評価を行うことによって、その評価結果を政策の次の立案に反映させるという作業でございます。これに対しまして、総務省は府省が行い得ない府省横断的あるいは複数府省関連の評価を行ったり、府省の評価結果について客観性を担保するための評価を行っていくわけでございまして、一番右側に総務省に置かれます政策評価・独立行政法人評価委員会、この委員会と総務省の評価活動との関係が書いてございます。この政策評価・独立行政法人評価委員会というのは、総務省が行います政策評価活動、こういう場面を通じまして、各府省の政策の立案・実施について、このサイクルに何らかの形で関わっていくということになるわけでございまして、総務省が行う政策評価活動をいわば一つのツールとして、最初に掲げました大目的の実現に資するような活動を行っていく。何でもできるというわけではありませんが、我々が行い得る活動の範囲内において、いろいろ工夫をしながら政府全体の企画立案・実施が円滑に進むような活動が期待されているわけでございます。
  4ページ目がもう一つの作用でございます独立行政法人評価についてのフローチャートでございます。これも第1回目のときにお配りしたものでございますが、この図におきましては、左側から独立行政法人、その主務大臣、それから各府省単位に置かれます独立行政法人評価委員会、一番右側がこの政策評価・独立行政法人評価委員会でございまして、一連の独立行政法人の業務の流れの中で整理してございますが、まず主務大臣が中期目標を独立行政法人に対して指示する。これを受けまして、その目標をこなすための中期計画というのを独立行政法人が定め、さらに各年度単位の年度計画というものを作って事業を行うわけでございます。事業につきましては、本日御説明いたします会計基準に従いまして、財務諸表等を整備していって、さらに実績の報告書を各年度ごとに作成する。その実績の報告書に基づいて業務実績を、府省の評価委員会が年度ごとに評価をしていく、あるいは中期目標終了時には全体像を評価していくということになります。この政策評価・独立行政法人評価委員会は、各府省の評価委員会が行いました評価結果について吟味して意見を述べるという機能があるわけでございます。
  それから一番下の欄に中期目標期間の終了時とございますが、主務大臣は、その際、法人の組織業務の全般にわたりまして検討いたしまして、所要の処置を講じていくわけでございますが、この評価委員会は各年度の評価結果等も踏まえまして、この法人の主要な事務事業の改廃に関して、この機会に主務大臣に勧告することができるわけでございます。なお、この評価委員会の欄の上の方に、点線の枠囲みで「中期目標等の公表資料の取りまとめ・公表」とございますが、これも中央省庁等改革の方針の中で、この政策評価・独立行政法人評価委員会の業務として位置づけられておりまして、詳細につきましては後ほど詳しく御説明いたします。
  以上がこの評価委員会の2つの機能の活動の土俵になるわけでございます。
  それから、これまで3回の御議論の運営に対する御意見でございますが資料1−2でございます。1枚目に政策評価、2枚目に独立行政法人評価という形でまとめてございまして、こちらの方で表側の方、左側を見ていただきますと、政策評価であれば、政策評価に関する基本的事項の調査審議と行政評価局が行う政策評価に関する基本的事項の調査審議として、御意見を所掌事務の類型別に分類させていただいております。順次見てまいりますと、まず政策評価に関する重要事項の関連でございますが、各府省の政策について評価をどのような枠組みで行っていくのが適当か今後議論すべきであるという御意見をいただきました。これにつきましては、我々の行う活動のテーマの選定ないし活動政策論といいますか、そういったことも関わるものと思っておりまして、来年度以降テーマ選定の中期的な方針を考える際に御議論をいただければと思っております。
  それから2つ目ですが、行政評価法案の中で定める事項がございまして、政令で定める事項の重要なものというか、それしかないわけでございますが、府省に事前評価を義務づける政策、そういう義務づけるベき政策について政令で定めることにしております。これについて当委員会が関与していくべきであるという御意見をいただいておりまして、これについては当然のことながら議論の土俵にもしていくということかと思います。
  それから3つ目ですが、各府省の評価は甘くなるので、評価結果だけではなくて、その手法、それから評価の基準を報告させるべきであるという御議論をいただきましたが、これは既にそういう方針で政策評価制度自体が動いておりまして、前回説明した行政評価法案の中でも担保済みのことであります。
  それから4つ目、新たな政策評価制度は各省がマニュアルを整備してやっていくわけですが、そのうち公共事業の事前評価につきまして各府省のマニュアルを全部集めて、それを専門家が分析して精査するような体制がとれないかというお話でございました。マニュアルを集めるということにつきましては、政策評価・独立行政法人評価委員会としての資料収集なりヒアリング活動を通じまして当然進めていくべきかと思っております。その上でどういうふうにそれを精査していくかということでございますが、事前に強い関与を行いますと、一方では御墨付きを与えてしまうということにもなりかねませんので、それはどういう状況になっているかということを見る中で、さらに御議論が深められていけばと思っております。
  それから、運営的な論点として整理させていただいておりますが、我々が行う評価活動に対する御意見を種々いただきました。1つ目が評価の内容についてきちんとしたフレームワークをつくってやっていくべきであるという御意見でございまして、これは個別テーマの御説明を前回したわけでございますけれども、その資料の整備が若干不十分であったという反省を踏まえまして、次回以降はもう少し詳しい調査設計をお示しするということで対応させていただきたいと思います。
  2つ目の御意見も個別テーマに対する御意見かと思いますが、評価の対象をもう少し絞り、重点的に行った方がいいという御意見でございます。
  それから3つ目ですが、政策評価に使用したデータの公開が必要ということですが、これも当然やっていくわけでございます。
  フォローアップにつきましても、これまでの行政監察でも2回にわたって勧告に基づいてとった措置について所管の大臣に報告を求める等フォローアップしておりまして、この精神は政策評価においても引き続き当然実行していくということでございます。
  それから最後の御意見ですが、政策評価計画をどのようにやっていくのか、スケジュール、リソース、具体的な手法等を示していく必要があるということで、これも前回の個別テーマの説明資料の不十分さということで、その辺りは今後きちんと対応させていただきたいと思っております。
  それから一番右側の所掌事務に関わる論点でございますが、先ほど大前提として御説明いたしました土俵の上に乗っているかどうか若干怪しいものというところで整理させていただいておりますけれども、各府省が定める基本計画、実施計画について関与していくべきであるという御意見がございました。これについては、直接的に各府省の基本計画等に関与するということはなかなか難しいわけでございます。しかしながら、その内容を把握いたしまして、場合によりましては、その内容の不十分等を一つの契機として、客観性担保評価の発動ということも考えられますし、それから全体を俯瞰する中で、政策評価制度そのものの設計議論に発展していくという可能性もないわけではないということで、どちらにしても各府省がどのような実施要領等を定め、あるいは法律整備の方は基本計画、実施計画をどのように定めていくかということをきちんとフォローしていく必要があろうかと思っております。
  それから2ページ目、独立行政法人評価についての論点でございますが、これも左側の方を見ていただきますと、2つの仕事、すなわち各府省におかれる独立行政法人評価委員会が行った独立法人評価結果に対する意見の表明と、中期目標期間の終了時における主務大臣への主要事務事業に関する勧告と2つ分けてございます。
  便宜上、下の方から先にコメントをさせていただきますと、独立行政法人の主要な事務事業の改廃に関して勧告したときは、その後のフォローアップをきちんと行っていくべきだという当然の御議論をいただきまして、これはやっていくわけでございますが、今回の中期目標期間の設定状況を見ますと4年、5年となっておりますので、いずれにしても、活動としては相当先の話になるということで、当面、府省におかれる独立行政法人評価委員会の評価結果についての関わり方が問題でございます。これも仕組み的・制度的な論点と、運営的な論点及び所掌事務に関わる論点ということで、土俵設定との関係でそこからはみ出すかと思われるような論点を3つに分けてございます。
  制度的な論点ですが、1つはメタ評価を行っていくに当たり、客観的な評価の基準項目を明確にしていく必要があるとか、2つ目は評価の客観性を高めるために、定量的数値の設定に努力することが重要である。3つ目は定量的な目標を設定し、それをいかに担保していくかということが重要であるという、基本的には同じような問題意識の御意見をいただいております。これらはいずれも評価ということを進めるに際しては、やはり基準ということが一つのよりどころになりますので、方向としては重要な御指摘かと思っております。しかしながら、独立行政法人の業務内容に相当幅がありまして、直ちに具体的な目標とか指標などということになるかというと、そのスタンダードについて早急に議論を進めることについては非常に困難な面もあろうということで、いわゆる、そういったものを模索していく第一歩として、府省ヒアリング等によって、独立行政法人の中期目標であるとか、彼らが定める計画であるとか、そういったものの実態を把握していくことをきちんと進めることが先決かなというふうに御相談いただいておるわけでございます。
  それから、運営的な論点につきましても基本的な考え方が背景にあると思いますが、府省の独立行政法人評価委員会の評価結果を評価していくことについて、きちんとした2次評価が可能となるよう、府省の独立行政法人評価委員会にきちんと評価をやれというふうに呼びかけるということを考えたらどうかという御意見でございます。いずれにしても、呼びかけるということであれば、その背景に評価のあるべき姿ということが念頭になければならないと思いますが、そういうことであれば、先ほどのような話で中身からどういうことが考えられるのかということを少し考えていくべきなのではないかと思っております。
  それから一番右側の方ですが、独立行政法人の運営に関しまして、主務大臣が定める中期目標について関与していくべき、あるいは2つ目の御意見にありますように、中期計画に関与していくべきというような御意見があります。これにつきましては、これまでも御説明しましたように、直接的にということであれば非常に難しくて、我々の評価活動を通じて間接的にこれらについて影響を与え得るというふうに思っております。
  それから、最初の御意見に戻りますが、中期目標のほかに年度実績評価、中期実績評価、これについての関与、これは権能のうちに入っているわけでございまして、これは当然のことながら、その評価結果が出る都度きちんと審議していくということかと思います。いずれにしても、各府省評価委員会の評価結果への関与ということを基軸として我々の活動を進めていく外ないわけでございますが、先ほど申しましたように、効果的にそういったものにかかわるために今からどういう準備が必要かということについての見極めのためにも、府省ヒアリング等によって、様々な情報を収集し議論を深めていくことが先決かなというふうに考えるわけでございます。
  ということで、資料1−3がそういう気持ちを基本的に書いているわけでございまして、右側の方に今御紹介しましたような論点を大ざっぱに整理しまして、それについての対応関係を矢印で書いてあるわけでございます。左側を読ませていただきますと、まず政策評価に関する調査審議の今後の進め方でございますが、まず所掌事務の1つ目であります政策評価の基本的事項等に関する点につきましては、行政評価法案の中で「政策評価に関する基本的方針」というものを閣議決定することになっておりますが、これにつきましては、この委員会の意見を聞いて総務大臣が案を策定し閣議決定を求めるといった規定になってございます。ということで、当然のことながら、この基本方針の審議ということが外せないわけでございまして、これについては、その立案方針の段階及びその取りまとめの段階に関しまして、その在り方の御審議をお願いしたいと思っているわけでございます。
  それからもう一つ、政令で事前評価を実施する義務づけの対象の範囲を定めるわけでございますが、これにつきましても予め早い段階で、その在り方に対して審議を行う機会を設けるべきかと思っております。
  それから、総務省が行う政策評価の活動に関しましての審議でございますが、最初の会合で御紹介しましたように、我々の政策評価評価の活動というのは、向こう3年間の中期的なプログラム、ここに書いてあります「行政評価等プログラム」によりまして進めているわけでございます。これは毎年度改定しておりまして、14年度プログラムは平成14年の4月に公表されるわけでございますが、これの策定に向けて、この秋口と14年の念頭ぐらいに、この委員会として検討審議すべきではないかという御議論になっております。秋口には大まかなテーマ選定の方向性の審議、年頭の議論ではそれを確定する審議という段取りになろうかと思います。
  それから4)に書いてあります個別の政策評価テーマ及びその調査設計につきましては、国民生活に影響が大きい等の主要テーマについて御審議いただくべきかと考えております。
  それから、これらと並行しまして、各府省の取組状況についてヒアリング等を進めまして、それは例えば各府省がどのような実施要領を準備しているか、どういう指標でもって評価をしようとしているか、あるいは予算要求に際して、どのような評価を検討したか、各府省の評価結果がどうか、そういった幅広い情報収集、ヒアリング等を進める中で、この委員会としての効果的な関与の在り方を探っていくという活動もあろうかと思います。
  それから、独立行政法人評価の方でございます。2番目でございますが、やはりいろいろな幅広い御意見をいただいているわけでございますけれども、1)にありますように、やはり各府省の独立行政法人評価委員会の評価結果について意見を述べるという定められた所掌事務の基本に沿って活動をするということが重要なのではないか。他方、言わずもがなでございますが、独立行政法人評価自体はまだスタートしたばかりで未成熟なわけでございますので、この委員会が各府省の独立行政法人評価委員会も巻き込んだ評価活動の中で指導的役割を担うことも非常に重要である。しかしながら、さらに一方では、事前に評価のスタンダードを示すというようなことになると、いわば事前に御墨付きを与えてしまうようなデメリットも生じますので、その辺の取り扱いについては、どうすれば一番適合的な選択になるのかということを考えていかねばならないのではないか。
  それから4)でございますが、中期目標とか、中期計画とか、年度計画とか、この評価委員会で議論するべきものでないものについては、関わりの度合いというのは間接的にならざるを得ない。先ほど言ったように評価のガイドライン的なものをつくるということも若干利害得失はあるわけでございますが、どちらかと言えば、後者の方が、この委員会としては重要視すべきなのではないかという感じでございます。
  ということで5)が結論でございますが、そういった諸々の御指摘、検討すべきような方向性も踏まえながら、まずは法人の類型ごとに中期目標、中期計画、年度計画等を把握すること、それから主要府省からのヒアリングをすること、有識者等からの御意見を伺うことなど評価に向けて必要な準備を進めるということが第一段階ではないかというふうに考えているわけでございます。
  ということで、そういった方向性を踏まえまして、資料1−4でありますが、今後の審議の段取りの案ということで、この平成13年度において、どのようにそれをプロットしていくかということを考えさせていただきました。独立行政法人評価の方は一本で書いてございますが、政策評価につきましては、事柄の審議事項の性格に応じまして、政策評価に関する基本的事項、総務省が行う政策評価、それから各府省の取組状況ということで3つに分けてございます。
  まず政策評価に関する基本的事項の方ですが、先ほど申しましたように閣議決定する予定になっております「政策評価に関する基本的方針」につきましては、9月に立案方針に関する御審議をお願いする。さらにその結果を踏まえて、我々が各府省と調整作業をしていくわけでございますが、最終的な取りまとめの方向について、12月の委員会で取りまとめ方針に関して御審議をいただく、この2段階の機会を設けたいと思っております。それから政令で定める事項であります事前評価を実施する範囲につきましては、11月に立案のあり方に関する御審議をいただければなと思っております。それから総務省が行う政策評価でございますが、これにつきましては、7月、11月、それから3月に、これは業務サイクルで1年間を3回調査着手時期によって分けてございますが、それぞれの時期に開始します政策評価について、その調査計画を御審議いただきまして、評価のスタンス、視点であるとか、重点事項であるとか、評価項目あるいはどういう手法で評価すべきか、取りまとめの方向はいかに考えるべきかというような御審議をいただいてまいりたいと思っております。
  それから中期戦略の方ですが、10月に平成14年度の行政評価等プログラム、3年間の計画でございますが、その政策評価の在り方に関する審議ということで、幅広い御審議をいただきたいと思っております。今日的な社会経済情勢の下で、何が見直すべき政策評価テーマか、評価に投入し得る資源とか時間的制約もあるわけでございますが、そういう中で、どのような効率的な評価戦略が組めるかというような御審議をいただけたらなと思っておりまして、それを踏まえまして、個別テーマの在り方について私ども事務的に詰めさせていただいて、14年の1月に取りまとめ方針について最終的に御議論をいただく。その結果を総務大臣にも御報告し、14年3月末には公表する段取りとさせていただきたいと思っております。
  それから2月のところに、各府省による政策評価結果の客観性確保のあり方に関する審議とございます。これは後ほど説明いたしますが、予算作成作業に関わりまして、各府省が行う政策評価等についての情報がこの段階では得られ、次第に各府省が新しい制度の下で行った政策評価の結果も出てくる時期であるということで、そういった状況も踏まえながら、今後各府省による取組が、どういう客観性等の観点からどういう状況になっているかということで、それについてどのような関わりを持つべきかという御審議をお願いしたいと思っているわけでございます。
  それから、各府省の取組状況につきましては、例えば5月、6月に実施要領、評価指標等の作成準備がどういうふうになっているか、あるいは6月の各府省の取組状況、先行的分野と書いてございますが、公共事業分野とか経済協力、あるいは研究開発といった分野、先進的分野におけるこれまでの取組状況について把握し御審議をいただく。それから9月には、8月末に出されております各府省の概算要求、これに評価書が添付されるということが想定されておりまして、どのような評価書を提出したか。2月には、当然この時期には予算が提出されていることと思いますが、それがどのように活用されて、政府予算案とどういう関係になったかということについて御審議いただく機会を設けてみたいと思っております。
  それから独立行政法人評価の方でございますが、5月の次回には諸外国の関連するような制度の御紹介、それから6、7月には主務大臣が示します中期目標、それから独立行政法人の方で準備します計画についてヒアリング等を行いまして、9、10月にはこれらとそういうことを踏まえてどのような視点でもって独立行政法人評価を進めるべきか御議論をいただき、11月になりますと、今年の4月に独立行政法人制度が発足していますので、半年間を経過しており、この制度下でどのような活動がなされたかということについて把握する機会を設け、そういった一連の把握を前提としまして、今後の独立行政法人評価の進め方に関する審議を12月以降に進めていくというような段取りを考えておるわけでございます。
村松委員長
    どうもありがとうございました。今御説明いただきました今後の委員会の進め方についてですけれども、これは既に3回を使って、主として制度に関する規定などについて事務局から御説明いただいたり、意見交換をしながら理解を深めてきていることですけれども、それをもうちょっと整理して、絵にしてみたり、カレンダーにしてみたりということで大分整理されたということと、私どもの意見がどういう意見であったかについての分析的なことが資料の1−2にあったわけですけれども、そういうことで、私どもの理解が進んでいるわけでございます。こういうふうに今のところ今後の見通しを立てているわけですけれども、こういうことは欠けていないかとか、これをやる場合には、注意事項としてこういうことがないかとか、さまざまな観点から御意見があろうかと思います。いつものようにどなたからでも御意見をいただけたらというふうに思います。よろしくお願いします。
樫谷委員
    これは独立行政法人評価の方でやってみたらどうだろうかと思うんですが、まず評価というと、どっちかというと問題点を指摘するみたいなところが多いわけですが、評価ですから良いという評価と悪いという評価とまあまあという評価とが考えられるわけですね。そうすると、独立行政法人の中に非常に頑張ってやったというところについては、よかったという評価を、表彰するのかどうか分かりませんが、そのような評価のアプローチというんでしょうか、評価をするということも頭の中に入れたらどうか。また、悪いところはもちろん悪いという形で指摘するとか、悪いところだけ指摘するのではなくて、よくやった、つまり良い目標ができた、あるいは良い計画ができた、あるいは良い実績ができたというところについては、褒めるということもあわせて考えていかないと正しい評価ができないのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
村松委員長
    独立行政法人評価の方は、今こういうガイドラインがありますということで考えているのではないんですね。ガイドラインのある政策評価の方については、そのガイドラインに従って、その観点あるいは基準と言ってもいいと思うんですけれども、それがあって、数値目標ということで定められた目標にどれだけ達成したかという客観的な事実認識をして、それが公表されるということで、その結果が悪ければ自然に予算にも反映されるし、廃止というようなことだってあるし、あるいは、より充実するという方向の政策提案になったというふうに自然に動くことが理想的には期待されているんだと思うのです。独立行政法人評価の場合には、会計基準ということがはっきり決められていること以外には、会計基準以外の評価があるわけで、それについて今後検討すべきだという御意見が過去3回とも出ていて、これからだんだんにそういう基準が出てくるということだろうと思うんですけれども、その場合でも、やはり会計基準の中で考えれば、努力した成果が剰余金になって、それが自由に使えるとかというようなことが出てくるので、後でまた出てくることだと思うんですが、独立行政法人の会計以外のところで、良い悪いというのも、何らかの客観的なデータが出てそれが公表されて、当該政策機関において善用されるということなんだろうと思うんです。だから、できる得る限り客観的な評価がまず各府省の独立行政法人評価委員会で行われるのでしょうが、それに対して我々も同じような客観的な基準による認識をして、それを公表するということなんだろうと思うのです。私も独立行政法人評価の方は、実は会計学的な側面があって勉強している最中で難しくて困っているんですが、何か事務局の方からコメントがあったらお願いしたいのですが、高野さんどうですか。
高野評価監視官
    評価に当たりまして、ネガティブな面のチェックだけではなくて、よいものは褒めていくべきであるというのが評価の在り方として重要な論点だろうと思います。まさにこの委員会として独立行政法人への評価をしていくに当たりまして、どのような考え方、視点でやっていくのかということですから、委員の間の意見交換で議論を深めていただきたいと思いますけれども、一つ府省の独立行政評価委員会というものがございまして、個々の独法についての業績の第1次的な評価、どれぐらいよくやっているのかというものを、いわば直に見るという役割が府省の独立行政法人評価委員会にございますので、それとの役割分担をどのように考えるかという点が一つあろうかなと思います。ただ、評価の視点でございますので、まさに委員の間で御議論をいただきたいというふうに考えております。
吉野専門委員
    ひとつ質問させていただきたいんですが、この評価のときに、利用者とか国民の立場からの評価というのは入らなくていいのかということなんですが、例えば、いろいろな国民が独立行政法人からある程度のサービスを受けている。この評価というのは、省庁から見ているサプライサイドとしての評価が強いような気がいたしまして、例えば利用者の立場ですとなかなか定量的にできませんが、そこをアンケート調査などでやりまして、それを数量化するような手法も出ておりますので、そういう形での使っている人のニーズとか、それに関するものを一つ質問させていただきたいと思います。それをどうやって考えるかということです。
  2番目は府省横断的に見ていただく場合に、例えば、こことここの府省のやっていることはどうも同じようなことである。それから国と地方でもあると思うんですが、そういうことも含めた数量評価というのもぜひ考えていただきたいというふうに思います。
  以上2点です。
鎌田総務課長
    評価に当たりまして、利用者サイドの視点ということでございますけれども、政策評価の場合は、先ほど大目的を3つ御説明しましたが、いずれの大前提も国民の立場に立ったとか国民重視の視点に立っておりまして、評価の観点も公平性という観点も当然入っております。独立行政法人評価に利用者の立場をどのように入れるかについては、政策評価活動は我々の活動としては、政策の効果の発現状況、いろいろな数量化した指標で把握したり、あるいは現場の状況なんかも把握して、その中にアンケート調査も、もちろん入っておりますし、そういったことでやっていくわけですが、独立行政法人評価にどの程度調査量を割けるかというのは、ちょっとまだ検討していませんが、そこのところは委員の評価の在り方の御議論をいただく中でさらに深めるべきあるいは調査活動によって担保すべきものがあるか否かという御議論を踏まえた上で検討させていただきたいと思っております。
  それから、府省横断的な評価に関しましては、視点としては府省の評価制度というのがまず前提にありまして、それと重複は排除するということでございますので、府省横断的な統一的な視点であるとか、複数府省にまたがる総合的な視点であるということで説明できるということが、各府省による事後評価と重複していないというところが各府省との関係では重要な論点になっておりますので、ちょっといろいろ抽象的に答えるには難しい面があるんです。御指摘のようなお話というのは、当然考えていかねばならないのかなとは思いますが、それは個別のテーマを設定して、どのように調査を進めるかという中で、また改めて御議論、御示唆いただければなと思います。
村松委員長
    今日の資料にもありますけれども、国民本意のということが目的にうたってあって、それをどういうふうにデータとして入手できるかというのはすごく難しいだろうと思うのです。あらゆる行政活動について国民にサーベイをして評価をしてもらうということもなかなか困難なことだと思うし、十分な情報がないままに国民の調査的なデータ的による情報が本当に国民の情報になっているかというのはかなり分析を要するだろう。どこかで何かやらなければいけないということは確かだと思うのですけれども、調査というのは、コストとか信頼性とかいろいろな観点があるということを、私も自治体の満足度調査とかそういうのをしていたんですけれども、なかなか難しいなという感じがするんですね。どうやってやれるのかというのは検討していきたいというふうに思います。
高野評価監視官
    ちょっと補足をさせていただきます。独立行政法人評価に関する限りでございますけれども、実際にこの委員会、ないしはこの委員会の指示を受けて行政評価局が満足度調査等のアンケートをするかどうかにつきましては、まさに今総務課長が申し上げましたような問題があると思いますけれども、後ほどの第2部の方で御説明を予定しておりましたけれども、独立行政法人会計基準に基づきまして、独立行政法人が作らなければいけない財務諸表の中の一つに行政サービス実施コスト計算書というものがございまして、これはまさに納税者たる国民の視点に立って独立行政法人の業務がどのぐらいコストがかかっているのかトータルコストを把握するために作る書類でございます。それが財務諸表ということで独立行政法人は作成が義務づけられておりますから、それも一つの材料として府省の独立行政法人評価委員会の評価が行われる。それを含めて評価委員会が行った評価結果をこちらの方で受け取るわけですから、当然この委員会の評価対象の中に、そういった書類も入ってくるというのが1点でございます。
  それからもう一つ、独法の仕組みの中におきまして、中期目標というのを設定することになっておりまして、その中期目標の中には国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、どのようなことを達成するのか目標を設定しなさいということになっております。ただ、この中でいろんな中期目標の立て方がございますので、それが本来の趣旨どおりの目標ばかりかどうかは御吟味いただきたいと思いますけれども、それがどの程度達成されているのかというのが一つの評価の視点として仕組み上入っておりますから、当然そういった視点では、この委員会が受け取る評価の材料としては、そういった書類が入ってくる。それを見ることは、当然この委員会の所掌事務の範囲といいますか、仕事の範囲であるというふうに考えられます。
村松委員長
    大田さん、山本さん、竹中さん、その順序でお願いします。
大田臨時委員
    独立行政法人に関して、私、最初2回ぐらい欠席いたしましたので、もしかすると最初で出た議論かもしれないんですが、独立行政法人の評価をするときに、この法人はもう民営化した方がいいのではないか、つまり独立行政法人としての事業をする必要はないという判断はどこで、その評価はどこでするんでしょうかというのが1点です。
  それからもう1点、政策評価の方ですが、前回も本四連絡架橋を例にとって質問させていただいて、ちょっと納得できなかったのでもう一度質問させていただきますが、実績評価、これが多分事後評価のようなものだと思うんですが、最初の需要予測と余りに違ったと。つまり事前評価に明らかに誤りがあったというときは、実績評価のやり方ですけれども、事前評価を誰がどういう手順で作ったのかというところまで遡って、そのような事前評価の誤りがもうないような形をとるというところまでなされると見ていいのでしょうか。つまり、ここの実績評価のこのパンフレットで見ますと、目標に対する実績を定期的・継続的に測定をする。それで達成度合いについての情報を提供し、随時関係する施策等の改善、見直しを行いますということで、どうも目標だけですと、本四連絡架橋もいつかは車が通るようになるかもしれないという目標になると、余り事後評価にならないと思うんです。つまり、最初の需要予測の誤り、これをチェックする機能というのは、どの時点でどうやってなされるのだろうかということを聞きたいんです。
村松委員長
    その次は山本さんでしたか。
山本専門委員
    まず最初に、事務局が答えるべき話のことを申し上げたいと思うんですけれども、吉野委員から御指摘があった顧客の視点というのは、私は非常に問題もあるし、メリット、デメリットがあると思うんですが、お手元の資料の独立行政法人農業者大学校の中期目標の中に学生に対する満足度調査をするというのがあります。これは農水省のホームページにも議事録が公開されていまして、これの満足度を5段階のうちの3.5 にするというのが目標になっているそうでして、そういう意味で気張ってやっているところもございます。この委員会としては、そういった顧客満足度的なアプローチをとった場合に、むしろ、こういった調査方法をとるべきであるとか、こういったことをするとバイアスが出るとかといったアプローチを監視役としてすべきではないかというふうに思っております。それと政策評価との絡みもあるんですが、基本的には、樫谷委員もおっしゃったように、やはり評価の場合に基準というのが独立行政法人評価の方で作りにくいというのは確かにそのとおりだと思うんですが、そのベストプラクティスのようなものは当然作り得るわけです。そして既に先行の自治体であるとか、あるいは特殊法人等においても行政評価の蓄積があって、その後で行政評価局としても関与された中で、明らかなこういった留意すべき点というのは蓄積があるわけです。そういった意味で優良的な、模範的な事例なり、少なくともこういったテーマは避けるべきだというリスト的なものは作って、基準としてではなくて、留意事項等として政策評価のガイドラインを補足するという意味で参考資料的に整理する必要があるだろうと私は思っております。
村松委員長
    竹中さんどうぞ。
竹中委員
    これまでの会議を欠席していまして大変申しわけありません。一つだけ施策を勉強している立場から。要するに一言で言えば政策評価を行う場合に、政策を行わないという政策手段に対する評価を行うのかという質問です。つまり政策イシューを発生している。しかし今回も何もやらない。つまり事態を放置するという政策があり得るので、何かためにする質問のようで、意外と重要な質問なのではないかと。行政に対して何が不満かということをお聞きいただいたらいい。遅さというのが一番出てきていますね。例えば、1週間でしなければいけないのに今回見送ったと、そういう政策判断に対する政策評価を行う余地があるのかどうか。
村松委員長
    鎌田さんからお答えをお願いします。
鎌田総務課長
    まず、大田先生の御質問の独立行政法人の民営化のことですが、これは主務大臣が中期目標終了時に今後の組織形態のあり方も含めて検討するので主務大臣が行うということと、この委員会は評価活動を通じて得られた知見によって、それを主要な事務事業の改廃、廃の場合は、その経営形態として民営化という選択肢もあり得る。ただ主要な事務事業なので、すべて含めて経営形態ということになると、若干ぶれはあり得るんですが、それに近いことがほとんど言うことができるかと思います。
  それから実績評価、特に本四架橋のような見込み違い、これについては、まず実績評価という仕組みを各府省が導入してやった場合、達成度が低いということで政策そのものの見直しとなるという面と、それから我々が各府省の評価の客観性を担保するために、その中でそういう実績評価の仕組み自体がおかしいのではないかと指摘することは大田先生が御指摘のようないき方だと思うんです。ただ話としては、特殊で小さいので、我々は政府全体の各種の評価活動を見た結果、何について客観性担保評価として関わっていくことが必要かということとの兼ね合いもありますから、それを必ずやるということでもないんですけれども、そういう権能はあるということかなと思います。
  それから政策評価については、標準的ガイドラインから一歩出て、今までの知見を活用して詳細な参考資料的なものを作っていくべきではないかという御意見ですが、確かに傾聴に値する御意見で、我々もそういうものは手元に置いておきたいわけでございます。ただ、我々が手元に置いておきたいと言ったのは、我々の手の内情報としては、我々のいろいろな行政監察の50年の知見等でありますし、ベストプラクティスなんかも今回の政策評価でも一つの評価の物差しにしようとは思っておるわけでございますが、そういったものを公開することによって全府省的な評価の質を高めるという面と、いわば手の内情報を予め明らかにしてしまうという面と両方ありましてなかなか悩ましい問題と思われる。内部資料的には当然整備できるような話なんですが、その取扱いについては少し考えさせていただかねばならんなと思います。いずれにしても、手の内情報だから当然秘匿するんだということでもなくて、やはり結論としては、評価活動全体の質を高めていくということが重要ですので、それに資するようなまとめ方がどういうふうにできるという点も含めて、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
  それから、竹中委員がおっしゃった、いわば政策評価を行わないことについての評価でございますが、これは我々の活動の中の客観性担保評価の中で、当然社会経済情勢の変化の中で行うべき評価が行われていないということ、その場面をとらえて、我々が担保評価をやるということでございまして、それは予め、各省に注意を喚起して、彼らがそれでもやらない場合には我々がやっていくということが予定されているわけであります。
竹中委員
    政策を行わないということについてはどうか。
鎌田総務課長
    政策を行わないと。それは行うべき事前の評価を行わないという形でできるかどうかというとらえ方が可能かどうかと思うんですが、私どもはまず政策を評価する、それは既存の政策を評価するんですけれども、ただ、最初の企画立案についての関与の仕方というのは難しいとは思うんです。難しいと思うけれども、やり方によっては全くできないかというと、そうではないと思うので、そこは具体的なテーマの中で構築できるのかなと。全く白地の政策で何もないところから出てくるような政策というのもないと思うので、ほかとの関係で説明できるような場面もあるのではないのかなと思います。
村松委員長
    ここで議論していますけれども、僕もそこのところは、すごく微妙だと思うんです。基本的に政策のイニシアチブをとる責任というのが、国会と省庁の内閣提出の法案があるわけですから省庁にも責任があるけれども、評価機関がやれという形では、私の理解では、そういう今のような露骨な言い方をすればできないんじゃないかと思うんです。ただ、おっしゃられたように、環境変化にもかかわらず、ほとんどの政策というのは何らかの形を既に持っていて、それが十分でないという評価をなさらない省庁があった場合に、そういう評価が必要じゃないでしょうかという議論はあり得るのかというふうに、私は伺いながら思ったんですけれども、自分でイニシアチブをとりますという感じのことになれば、これは多分法律で認められていないんじゃないですか。
丹羽分科会長
    国民へのアカウンタビリティからいったら、これは事後評価の段階になるかもしれませんけれども、こういう政策はやめるべきじゃないのか、途中で来年度はやめるべきじゃないのかという意見は、当然ここの意見として出していってもいいんじゃないでしょうか。そういう形の反映の仕方というのは当然あってもいいと思います。
竹中委員
    100 %それは排除しないというような合意がある方が、日本のためにはよろしいのかと。確かに微妙な問題だと思います。
村松委員長
    新村委員、お手が挙がっているんですが、どうぞ。
新村委員
    今の論点に関してなんですけれども、政策を評価するときの政策をとらえるレベルの問題だと思うんです。この間のように本四架橋がいかんというような話だと今の話は出てこないと思うんですけれども、例えば高齢者対策の中で、要介護高齢者をどうするかみたいな大きな話になって、そしてこれが抜けているぞということは、この委員会でできるんじゃないか。やっていないところがあるよということができないとおかしいような気がして、今の御議論は、おそらく政策を行うときにどのレベルでこの評価委員会でものを議論するのかということと関連しているのではないかと思うのですが、その辺が実はこの間、具体的な評価の対象が出たときも気になっていまして、どのレベルで何を評価するのかということをどこかで議論して、ある程度高いレベルでの評価ということも考えれば、今の話は入ってくるのではないかというふうに思います。
村松委員長
    田辺委員。
田辺臨時委員
    この委員会もしくは各省の政策評価に関わる部分の活動を分解しますと3つぐらいからできていまして、1つは、計画でどういうふうなものを作っていくかという部分、2番目は、出てきた結果がどうなっているのかという部分、それから3番目は、それをどういう形で利用しているのかという部分だと思うんです。おそらくチェック事項は、どういう計画をやっているのか、それからどういう結果が出ているのか、どう利用しているのかというのを中間に行政評価局を置きながら攻めていくというふうになると思うんです。それを考えますと、この資料の1−4で書いてあるところ、本年度はまだ結果のところが出てきませんので、計画の部分をぎしぎしとやろうというところなんだと思いますけれども、今の新村委員等のお話から考えますと、2つぐらいできそうかなというところがないわけではないと思います。
  1つは、今年出てくるかどうかは分かりませんけれども、行政評価局がその評価をして、それを省庁に対して勧告するというものが出てきます。その勧告に対してこの委員会がコミットする。逆に言いますと、行政評価局と各省がバーゲニングをしがちだとは思いませんけれども、する可能性がないわけではない。それに対して、ある意味ではこっちの方がもうちょっときちっと言えというような構造を担保しておくというのがあり得るんではないかというのが第1点でございます。
  それから第2番目は、これは基本事項の部分ですけれども、基本方針ができ上がったときに、どうやるのかという部分は余りこちらが言うべきことではないかとは思うんですけれども、基本方針の中で対象がどういうふうなものをとるのか、その対象に関してやっていないというのもあり得るわけです。例えば価格補助なんていうのは間違いなく悪い政策であることは、ほかの条件がなければですけれども、推定されるわけですけれども、それを外すというようなときがあったら何でやらないんですかというような、つまり、基本方針との関係で各省の基本計画の穴を埋める。それはここで出てくるところの行政評価法上の仕組みに関する重要事項として扱うことは可能なのではないかと思いますけれども、以上の2点についてお伺いしたいと思います。
村松委員長
    この御意見も多分ボーダーラインのケースについて、かつ、やり得るかもしれないサジェスチョンであるというふうに私も皆さんの御意見を伺いながら感じていましたけれども、ただ、微妙なことは確かでありますので、局長なり課長の御意見があれば伺って、ここで休憩にしたいと思っているんですけれども、どうでしょうか。
  よろしいですか。とにかく今のは参考になりますから、どこまでやれるかというのは、もう一回整理してみたいと私自身も思いました。
丹羽分科会長
    事務局の方に一つお願いをしておきたいと思うんですけれども、この評価制度の目的がさっき出ていましたようなアカウンタビリティとか、質の高い行政とか、成果重視とか、また、観点からいっても公平性とか、優先性とか、客観性とかいろいろな観点があるし、評価制度における反映も予算への反映とか、法令とか制度への反映とか、あるいは、この委員会の声の反映ということがうたわれているわけです。それを実際にやっていく上におきまして、本当に真面目に考えると、まず一つは府省横断的とか、総合的・統一的な評価というものをやるためには、我々の理解がまず木を見て森を見ずというようなことになってはいけない、かなりオーバーオールに我々の理解が必要です。
  もう一つは、やはり客観的であるためには、定量化をできるだけしていかないと困るわけでありまして、非常に抽象的な一般論に終始してしまっても困る。おまけに時間的な制約もあって、我々が事細かに全部定量化とか、実際に実地検分ができるわけでもございませんし、そういうことになると、できるだけ時間的制約の中でこの委員会でやっていくためには、我々の意見もできる限りストライクゾーンのところに通した議論をしていかないと、ゴルフで言うとOBを打ったり、あちこちに球が飛んでいくと収拾がつかなくなる。
  以上2つを考えますと、私は民間人ですので、とりわけ私企業ですから、我々の行政評価というのは、アローAとアローEとか全部そういう形で、客観的にできるだけ評価をするということを心がけるんですが、官庁の事業計画とか施策というものはどんなものなのか、もっと総合的に我々は理解をする必要があるのではないか。そうしないと、これから議論をする場合において、ストライクゾーンを全部外れた議論があちこちに飛び散るのではないか。そういう懸念を持っていまして、そういう意味から言いまして、できるだけ事務局にお願いしたいのは、一度官庁の事業政策とか具体的な施策とか、あるいはそれはどういう形で予算化されてくるのかというようなことを一度レクチャーをしていただく必要があるのではないかと。そうすると、この政策評価・独立行政法人評価委員会というのが、どういうところに議論をしていったらいいか、何をしていったらいいかというイメージがかなり明確になってくるのではないか。今の段階ですと、皆さんは知りませんが、私自身はどうもイメージが湧かない。どんなようなものが計画として出ていて、どういう過程でこういう計画が詰まってきて、さっき竹中さんがおっしゃったように、政策というものがどういう形で出きて、それがどういう形で予算化されてきて、こういうふうに評価の対象になってくるのかということがどうもはっきりしないということで、一度私はそういうことをレクチャーする会をこの委員会でやっていただくと、後々の議論が割とストライクゾーンを通っていくのではないかということでお願いをしたいなと思います。
村松委員長
    この点についてのお答えをお願いします。
鎌田総務課長
    評価委員会もさまざまな分野の方の参画を得ておりまして、今、分科会長がおっしゃったように行政の基本的な仕組みとか流れとかについて、必ずしも知見が十分でないという方もいらっしゃると思いますので、5月以降は各府省の取組状況について審議する活動に入ってきますので、その前にそういう機会が持てたらと思いました。日程調整させていただきますが、御希望がある方には、ただいま丹羽分科会長から御提案のあったような内容につきまして御説明させていただく機会を設けたいと思います。正式なものではなくて勉強会ということでやらせていただきたいと思いまして、別途個別に御案内を差し上げまして、日程等をお聞きしまして、それから勉強会ですので、聞きたいことなんかも予め出していただければ、幅広い勉強会が可能なんじゃないかと思います。詳細はまた。
村松委員長
    それでは、事務局の方にそういう御準備をいただくということでよろしくお願いいたします。ここで5分だけ休みということで、3時15分から再開したいと思います。よろしくお願いします。
(休  憩)
村松委員長
    それでは再開したいと思います。
  前回もそうでしたけれども、非常に刺激的なというか、新しく考えなければいけない論点がたくさん提起されているものですから遅れ遅れになっておりまして、4時に終わるという御案内だったと思いますけれども、やや遅れるかもしれませんけれども、その辺、御容赦いただきたいというふうに思います。
  それでは、続きまして、第2の議題でございます独立行政法人会計基準等について事務局から御説明いただきたいと思います。
高野評価監視官
    独立行政法人評価担当の高野でございます。資料は2−1以下でございます。ダブルクリップで綴じてございますが、お外しいただいて資料2−1を使って説明をさせていただきます。本日の御説明は独立行政法人の財務会計面の仕組みなどについてでございまして、その中心がまさに独立行政法人の会計基準ということになります。資料2−1で幾つか会計基準のポイントが整理されております。
  まず1番目、企業会計原則の導入による効率化とサービスの向上、従来の会計、つまり官庁会計におきましては、当該年度における現金の出入り、これがその情報の中心であった。これに対しまして独法の会計基準では、企業会計の複式簿記を導入して、財務諸表を体系的に作成させるということになっております。これによって独法の保有する資産や負債の状態の一覧化ということが可能になりますし、どのような費用を使って、どのような収益を上げたのかというのを明らかにさせるということになります。(2) のところに書いてありますとおり、このような複式簿記、財務諸表の作成ということを通じて、法人の業務の正しい評価を行う。それを通じて効率化、サービスの向上につなげていくということが目的になっております。
  2番目、行政サービス実施のための必要なコスト全体の情報についても提供するということになっております。企業会計原則の財務諸表だけでは、独法の特殊性からしまして、最終的に納税者たる国民が負担するコストというのは、必ずしも分からない、分かりにくいということになっておりますので、これに対応するため、通常の財務諸表に比べまして、独法の会計基準では行政サービス実施コスト計算書の作成を義務づけまして、これによって独法の業務に伴う納税者、国民のトータルコストを把握するという仕組みがとられております。
  3番目、独法の特性に応じた会計処理の工夫の一つとしまして、ポイントの2ページ目の方をお開きいただきたいと思いますが、特に独法の主たる財源である国から交付される運営費交付金の扱いにつきまして、そのお金の性格として、独法は公共的な事務事業、業務を行うべき責務があるのであるから、運営費交付金を受けた時点では、その交付金をいったん全額負債として計上した後に、実際の業務の進行に合わせて収益化の扱いをしていくという特徴的な取扱いがされております。
  最後4番目、独法の会計基準におきましては、民間でも最近導入されたと思いますけれども、キャッシュフロー計算書の作成を義務づけるなど国際会計基準の動向にも対応するような内容になっている。これがごくごく簡単な独法会計基準のポイントの説明でございます。
  その次に目次がわりにもなりますように、会計基準の構成を示しておりますので、本体としてつけております会計基準報告書とともに、後ほど御参照いただればと思います。説明の方はこれ以降、資料2−2を中心に御説明をさせていただきます。
  なお、資料2−2の別紙としまして別紙を2つつけておりますが、別紙1が財務諸表のうち中心的な書類と思われます貸借対照表、損益計算書、そして独法特有の書類でありますが、行政サービス実施コスト計算書、これのひな型ないしはイメージのようなものを別紙1としてつけております。別紙2の方は独法通則法の財務会計部分に若干関連の条文等の注釈をつけ加えました通則法の抜粋でございます。必要に応じて御参照いただければと思います。
  資料2−2の1ページを開いていただきますと横長になっておりますが、国の会計制度と独法の会計制度の相違点、ポイントの中でも先ほど簡単に触れたところではありますが、国の会計は当該年度の現金の出入り、具体的には予算配分をするために組まれている会計である。仕組みとしましては財政法、会計法等の基本的な方針がございまして、現金主義に基づく単式簿記がとられておる。また予算の執行上といいますか、各機関におきましては、会計年度独立の原則というのが適用されまして、また、お金の使い方という意味でも、費目間の移用、流用というのは基本的に禁止されておるということでございます。これに対して独法の会計におきましては、決算の評価をするための会計という基本的な目的が導入されておりまして、仕組みとしては独立行政法人通則法、あるいは独立行政法人会計基準などに基づきまして、発生主義に基づく複式簿記が取り入れられている。行政機関における会計年度独立の原則との対比でいいますと、まず毎事業年度決算を行うわけですけれども、その決算におきまして、利益または損失が発生した場合、必要な手続を経て次年度に基本的に繰り越すという制度が取り入れられております。また、費目間の移流用の禁止という官庁会計の特徴に対しまして、独法の主たる財源である運営費交付金は、使途を特定しない、渡し切りの交付金であるという扱いがされておる、こういうところが大きな違いでございます。2ページ目はその関係の条文を抜粋しております。
  3ページ目をお開きいただきますと、時系列の要素も踏まえまして、独法における企業会計原則の適用の経緯を整理しておりますが、二重枠で囲んでおります真ん中ほどの枠2つの左側を見ていただきますと、独法通則法の37条で具体的には主務省令、それぞれの法人ごとの主務省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるのだというのが法律の規定でございます。この原則としてという意味合いが右側の方針の3つ目のマルでございますが、企業会計原則によることを原則とするが、独立行政法人の特殊性というものを考慮して必要な修正を加えるというのがその意味でございます。その修正点を含めまして、独法に適用されるべき会計原則というのを整理したのが、具体的には、今で言えば総務副大臣が主催者になりました独立行政法人会計基準研究会でございます。この中には、この委員会の委員の方々の中でも、樫谷先生、高木先生、宮脇先生、梶川先生などが参加されていたと承知をしております。この研究会は、平成12年の2月に、独法会計基準及びその関係基準そのものにつけ加える注解、これで一つの文章になっておりますが、先ほどの資料2−1の本体でございますが、それをまとめております。また、その後もこの研究会は活動を続けまして、13年3月、今年の3月に「独法に対する会計監査人の監査に係る監査基準の報告書」というのを出されております。これは本日直接の御説明は申し上げませんが、資料2−3として配布をしているものでございます。一番左端のところを見ていただきますと、法令上独法会計基準の位置づけはどうなのかということですが、会計基準は省令に準ずるものとして適用する。各主務省令でそれぞれ定められておりますので、こういった形で会計基準が法令と接合しているということになります。
  資料4ページは、特殊法人の会計基準なども含めまして、特徴的な点を、ポイントだけを相違点として整理した表でございますので省略をいたします。
  資料5ページですが、独法会計基準その1のところで目的を改めて整理させていただいていますが、1.独法の業務の遂行状況、これは業務の運営状況と財務、財政面のものと2つあろうかと思いますが、その的確な把握に資すること。それから2番目としまして、独法の業績の適正な評価に資すること。この委員会の関係では2という点があるわけでございます。
  恐縮ですが、次の6ページを開いていただきますと、一番上のところでどんな財務諸表を作るのかというのを整理しております。一番上の左の初めの表ですが、貸借対照表、損益計算書、利益の処分または損失の処理に関する書類、キャッシュフロー計算書、行政サービス実施コスト計算書、そしてこれらの附属明細書、これらが独法におけます財務諸表ということになります。このうち◎が法律で定められている書類でございますが、○は具体的には主務省令で名前が挙がってきております。
  ちょっと戻っていただきまして、5ページです。3の独法会計基準の主な特徴ということで何点か整理をしております。まず独法の特殊性、そもそも公共的な性格を有して、公共的な事務事業を行い、独立採算性を必ずしも前提としておりませんし、利益獲得を目的としているものでもない。したがいまして、その支出は国の公共的な事務事業を実施するためにあるものでありますので、先ほど会計基準のポイントのところの説明でも出てましたとおり、国による財源措置である運営費交付金につきましては、法人に渡された時点ではいったん負債とし、法人が実際の業務を行っていく、その業務の進行に応じて収益化を図るという取扱いがされております。
  恐縮ですが、これにつきまして9ページをお開きいただきたいと思いますが、独法会計基準上、この運営費交付金はどのように収益化していくのかという3つのやり方が書かれてございます。ちょうど真ん中ぐらいに注解34の2のというところで書いているやり方でございますが、業務等と運営費交付金との対応関係が明らかにされている場合には、まさにその業務等の達成度に応じて収益化を図る。これがある意味では一番望ましい形かなと思いますが、そのほかに2つ類型が示されていまして、真ん中が、必ずしもその達成度そのものを引けない場合には、機関的な対応関係でもって業務の進行を図る、収益化を図るというのが2番目。おそらくそのいずれにも寄りがたいという場合に用務のための実際の支出額を限度として収益化を図るという最後のやり方も示されております。ただ、この点は逆にいいますと、支出イコール収益、収益イコール支出でございますから、とりあえずは何ものも表示しない、その時点では何ものも表示しないということになるわけでございます。
  ちょっと戻っていただきまして5ページですが、2番目の特徴である独法独自の意思決定というのも必ずしも完結し得ない面がある。これは逆の意味でいいますと、独法は法律に基づいて設立されるものでありますし、業務内容も法律で基本的に決まっております。具体的に達成すべき目標についても主務大臣が中期目標というものを設定して渡すということになっておりますので、独法の業務の活動すべてについて独法が完全な自由意思を持っているわけではないというわけになります。そのため、独法の行政を評価する基本的な書類であります損益計算書につきましては、独法の業務の活動全部が入ってくるわけではない。独法の意思決定に係る部分のみを損益計算書に反映させるということが必要になってくる。その反面におきまして、ポイントのところでも出てきましたが、独法の業務全般にかかる最終的に納税者、国民が負担することになるコストの全貌を別途把握する必要がありますので、これについては行政サービス、実施コスト計算書を作成することを義務づけているということになろうかと思います。
  これにつきまして、サービスコスト計算書の関係の説明が8ページになりますので、恐縮ですが、8ページをお開きいただきますと、行政サービス実施コスト計算書の趣旨については上の方で説明しておりますので、ここは省略をいたしまして、下の方ですが、具体的にどのようなものをコストとして取り扱うのかというのが4区分挙げられております。業務費用、それから損益外減価償却相当額、引当外退職手当増加見積額、そして4番目に機会費用というわけでございます。この1.の業務費用といいますのは、運営費交付金から賄われているような損益計算書上の費用のうちから手数料収入、入場料収入、受託収入等の自己収入というものを控除するわけでございます。これは毎年、結局運営費交付金という形で国民が負担しているというコストになろうかと思います。2、3、4に対しましては、これは直接毎年措置がされているお金といいますよりは、やがて国民が負担することになるコスト、あるいはほかに国有財産等、あるいは国の出資等を使っていれば得られたであろう、そういう機会費用を計算するというものだと思います。ですから、2、3、4の方のコストは、広い意味で最終的に国民の負担に期すべきコストを発生時点である当該年度において把握する努力をするという性格のものであると思います。
  5ページの方に戻っていただきますが、最後の2つの項目ですけれども、繰り返しということになりますが、独法は利益の追求を目的とする存在でないということで、毎事業年度決算をするわけですけれども、そこで生じ得る損益計算上の利益というものは、出資者に対して配当するということになりません。具体的には、積立金として整理をするということになります。ただ一方で、独法を自律的な存在として運営の裁量を与えるわけでありますので、その独法に対するインセンティブ、動機づけの観点が必要になります。他方で独法の主たる財源は、国から交付される運営費交付金ということになりますので、財政上の観点との調整を要するということになると思います。
  その観点で12ページをお開きいただきたいと思うんですが、利益の処分、損失の処理方法ということですけれども、毎事業年度における処理としては、次年度への繰り越しが可能な存在でございますので、損益計算において利益を生じたときには、繰り越した損失を埋めた後、残余があれば積立金として整理をする。また逆に損失を生じた場合、積立金がそれまでにあれば、そこから減額して整理した後、なお不足がある場合には繰越欠損金として整理をする。毎年基本的にそのような整理がされますが、積立金としての整理のその下に、目的積立金として整理という項目を立てております。これは積立金ではございますが、特定の目的のために積み立てることをある範囲で認めている制度、これが組織としての独法にとってのいわば動機づけ、インセンティブの仕組みになっておりますが、主務大臣の承認を受けて、剰余金の全部または一部を予め中期計画に定める剰余金の使途に充てることができるという仕組みがとられております。この主務大臣の承認に当たりましては、府省評価委員会の意見を受けるということになっております。そこの注のところに細かい字で書いてございますが、主務大臣の承認を受ける額ということの意味合いですけれども、これは会計基準上の文言を引いておりますが、独立行政法人の当該事業年度における経営努力により生じたとされる額である。経営努力の認定というのが主務大臣、あるいは主務大臣に対して意見を言い得る府省評価委員会のチェックのもとで一定の手続、一定の範囲のもとで独法に認められる。これが独法の組織にとってのインセンティブになり得るということだと思います。
  下は中期目標期間の最後の事業年度における処理の話をしていますが、目的積立金等をすべていったん積立金に振り替えました後で、個々の個別法で規定する手続に従いまして、次の目標期間、次期の中期期間における業務の財源に充てるということが可能になっております。一つの例外として、日本貿易保険はこの目的積立金という整理がございません。保険事業体でございますので、準備金という形で繰り越すということだろうと思います。
  それで、説明でございますが、ちょっと途中を省略させていただきまして、7ページをお開きいただきますと、会計監査人の監査の範囲ということで、後ほど資本金のデータを見ていただきますが、2つ目の◎の注のところで、資本金の額が100 億円以上の法人については、財務諸表について監事の監査に加えて、会計監査人の意見を付す必要があるということになっております。また、財務諸表につきましては、法律の規定に基づいて、官報公告、事務所への備え置き等により一般の閲覧に供するということで公表が義務づけられております。
  途中飛ばさせていただきまして14ページを見ていただきますと、ちょっと話は変わりますが、独法に関する諸税の取扱いを整理しております。ここに掲げてありますような所得税、法人税等の国税、あるいは都道府県民税、市町村民税、事業税、固定資産税等の地方税、これらにつきましては個別法の根拠に基づきまして、独法について非課税の処置がとられております。逆に課税されるものとしては、下に書いてございますが、一例として消費税、地方消費税、あるいは自動車重量税等は課税扱いということになっております。これはこれまでの国の機関等と同じ扱いということでございます。
  その次のページ以降、若干法令の根拠を示しております。18ページ、中期計画と入手した公表資料に基づきまして種々のデータを整理しておりますが、資本金の額は、全体で見ますと57法人で1兆6,000 億ぐらいになっております。大きなものとしては、産業技術総合研究所の2,860 億円、農業技術研究機構の2,385 億円などがございます。それから、各費目ごとの中期計画における予算を示しておりますが、その右隣に中期計画の期間というものを一欄で示しております。ちょっと見づらいのですが、57法人のうち52法人、9割以上が5年でございます。5法人につきまして4年または3年、3年というのは教員研修センター1法人のみですが、そういう中期計画の期間が定められております。中期計画における予算を中期計画の期間で割り戻しまして、単年度当たりを平均で出しましたのが一番右の欄ですが、これによりますと、平均では4,741 億円ほど事業規模があるということになります。
  18ページの収入の関係のデータでございますが、19ページをお開きいただきますと、これが支出額のデータでございます。19ページの一番右下の欄を見ていただきますと2兆2,265 億という金額が出ておりますが、実はこれは18ページの中期計画における予算、収入の方のトータルと合っております。今時点でこれが何を意味するかといいますと、このとおり施行すれば損益計算上ゼロになるということでございまして、まさにこれからの業務の効率化の努力によって、初めてそれにふさわしい損益計算上の利益が出てくる仕組みである。業務がとんとんとできるような、収支がとんとんとなるような予算措置がなされておって、そこを出発点として効率化を図っていくというスキームになっているわけでございます。
  20ページ以下、資本金等のデータに基づきまして、前回までの委員会でも御紹介させていただきました業務分類の仮分類ごとなどに種々のデータを見やすく整理したものでございます。
  22ページを見ていただきますと、上の図の全体の方ですが、運営費交付金が約75%ぐらい、施設整備費が5%ぐらい、計8割方が国からの予算措置による。受託収入及び自己収入、広い意味ではこの2つが自己収入だと思いますが、これがあわせて2割ぐらいというのが費目の比率のイメージでございます。これは資料2−2でございますが、資料2−3は、先ほど言いました会計監査の基準の報告書でございますので省略をさせていただきます。
  資料2−4は、3月23日の閣議で配布された資料でございますが、各独法につきまして、理事長等の法人の長の名前が提示されている資料がございましたので、参考までに23日の閣議における関係閣僚の発言とともにお配りをさせていただきました。
  資料2の方をちょっと置きまして、参考資料を2つつけてございますが、そのうちの厚い方が独法の中期目標の例ということで、9法人について公表された中期目標をいわば見本として提出をさせていただきました。法人の規模あるいは業務の類型、また中期目標が比較的ページ数も少なく簡潔なもの、長いもの、ある程度バランスをとりながらサンプルとして選んだつもりでございますので、ごらんをいただきたいと思います。
  これとも関係いたしますが、資料2−5に戻っていただきますと、1に書いてありますとおり、11年4月27日の中央省庁等改革推進本部決定におきまして、この委員会にやっていただきたいということの決め事が一つございます。独立行政法人に関する公表資料を取りまとめて、この総務省の委員会として公表するブックレット等を作成して定期的に発行していただきたいという趣旨が書かれてございます。いずれかの時点でこれをやっていかなければならないわけでございますが、その関係で2点とりあえず事務的な御提案をさせていただきたいと思っておりまして、2の方ですが、まず刊行物の発行としては、独法の概要を示すようなハンドブック、ガイドブックのようなものが必要なのではないだろうか。また、これは今年の話ではありませんけれども、この委員会として独法の評価をしていった暁には、それがどういう内容であって、どういうデータに基づいたものであるのかという評価年報的なものを次年度以降は刊行していくことが必要なのではないだろうか、これが刊行物の関係でございますが、もう一つの話としまして、独法の中期目標等、ページ数ではボリュームが大きくなりますけれども、それが各独法ともホームページを持っておりまして、ここに順次掲載されていくものと考えられます。刊行物の発行だけではなくて、そういったホームページの充実、具体的には、総務省のホームページの中の委員会のページなどに各独法のホームページのリンク先というようなものを作って、国民からのアクセスがより容易になるようにするような措置をこの委員会としてもお考えいただいてはいかがだろうかという一つの提案でございます。
  それから、参考資料の最後の薄いものでございますが、今月、橋本行政改革担当大臣の下の事務局が整理いたしました特殊法人等の事業見直しの論点整理でございます。
  1ページをお開きいただきますと、下から10行目ぐらいのところに書いてございますが、特殊法人等の政府における見直し作業としては、廃止、民営化、あるいは政策実施主体として残すべきものについては、例えば独法などの組織形態の見直しなどを進めるというのが昨年末の閣議決定でも見直しの方針として示されているところでありまして、それに沿って、この時点で論点整理が取りまとめられ、公表されたものでございます。76項目ほど論点が整理されておりますが、その76の中には、これは独法化にふさわしいのではないかといった論点は直接は出てきておりません。参考資料として配布させていただきました。
  以上でございます。
村松委員長
    どうもありがとうございました。この議題につきましても説明をいただいたこと、直接は触れられなかったことも資料で随分出ておりますので、御意見や御質問をいただきたいと思います。どなたからでもお願いいたします。
樫谷委員
    質問というよりも、この委員の宮脇先生とか、高木先生、梶川先生は独法の研究会のメンバーでございますので、ちょっと会計の話というのはなかなか馴染みがないということだと思いますので。
  今度の独立行政法人会計基準というのは、パブリックセクター、いわゆる公的部門における会計です。企業の会計と大分違うわけです。特に独立行政法人会計基準については、通則法に、原則として企業会計原則によるという文章が入っているわけです。独立行政法人会計基準を作るに当たって、原則として企業会計原則によるということになっておりましたので、我々、実は非常に戸惑ったんです。なぜ戸惑ったかといいますと、企業会計原則というのは企業の仕組みを前提として成り立っている原則なわけです。企業の仕組みというのは、御存じのように利益を追求する、あるいは財産を増やそうと、もちろん、それがすべてではございませんが、基本的にそういう仕組みになっておりますので、会計基準もそういう構造になっているわけです。
  どういう構造になっているかといいますと、努力をしました、努力をしました結果、成果があがりましたということです。努力は経費なわけです。費用がどんどん出ていきます。それに対して成果があがります。これは売り上げ等の収益というわけです。その差額が、努力と成果の差額が結果、つまり利益、結果的には損になることもあるわけですが、収益から費用を引いた差額である利益、それを計算するという損益計算構造というんですけれども、そうなっているわけです。そのパブリックセクター、独立行政法人もそう書いてありますが、公共的な性格を有し利益の獲得を目的としない、つまり独立採算性を前提としないんだといっておるわけです。そこの会計、つまりパブリックセクターの会計はどうなんだということになるわけですが、当然独立行政法人も努力をするわけです。成果があがりますでしょうということなんですが、企業と違いますのは、努力をするということは、ある程度お金を使っていかなきゃいけないということはあるわけです。
  ところが成果は何かというと、例えば入場料をたくさんとろうとかということが少なくとも目的ではないわけです。どうせ赤字なわけです。あるいは、もっと税金をたくさんとろう。例えばパブリックセクター全体を見ますと、努力をするのは税収をたくさんあげるために努力をするわけではなくて、お金を使って努力をしますが、それはあくまでも行政目的を達成するために努力をします。行政目的というのは、お金の世界、会計の世界ではないわけです。ところが費用の話は、これは会計の世界なわけです。企業は収益も費用も会計の世界なんですが、パブリックセクターについては、費用は会計の世界なんだけれども、成果は会計の世界から外れている。ただし努力をするためにはお金がかかります。お金をどうやってやるかというのは財源という形で、これは税金等で賄っていこうということで、企業とパブリックセクターでは大分成り立ちが違うわけです。したがって、企業会計原則でやるんだというふうに書いてあるんだけれども、しかし、パブリックセクターに対して企業会計原則をそのままに当てはめますと大変な矛盾がいっぱい出ます。その矛盾を改善するためにいろんな手当をしたというのが、この独立行政法人会計基準のポイントであるというのがまず1つ。
  それから、このときにどうなのということですが、先ほど御説明いただきましたように、資料2−2の5ページに財務報告の目的というところがあるわけです。つまり、目的は2つあるいは3つありますということなんです。すなわち、5ページの一番上に書いてございますように、運営状況とか財政状態の把握ということがまず1つ。それから、独立行政法人の適正な評価に資するということが2つ目。その下に注として書いてございますが、44条にいう利益または損失を確定するため、つまり、インセンティブの条項がありまして、利益が上がれば、それを経営努力と認められれば、中期計画の範囲内、使途の範囲内で使ってもいいというインセンティブの問題があります。これも計算しなきゃいけない。こういう3つの目的がございます。
  この目的を達成するためには、今までの官庁会計というんでしょうか、現金の出入りの会計だとか、あるいは単式簿記での把握システムというんでしょうか、帳簿体系というんでしょうか、それではとても不服である、できない。単式簿記というのは小遣い帳とか家計簿の世界という、表現は余りよくないんですけれども、そういう部分でありますから、このようなものは同時に把握することは、不可能ではないかもわかりませんが、非常に難しいし厄介であるということで、複式簿記を導入しましょう。
  それからもう一つは、現金の出入りでやるのではなくて、発生主義でやりましょうということで企業会計的な手法を活用しましょう。つまり、目的は大分違うんだけれども、努力と成果との対応関係が違うんだけれども、企業会計的な手法、つまり複式簿記とか、あるいは発生主義とかという手法を使う。それから作成する書類も予算の収支だけではなくて、いわゆる財務諸表という貸借対照表とか、ここで言う損益計算書とか、あるいはキャッシュフロー、あるいは行政サービス実施コストなどの財務諸表をつくって、そこで国民に対する説明責任が果たせるようにしましょう。そんなようなことを考えながら独立行政法人会計基準を作ったということでございますので、今の御説明に、ちょっと前の話になりますけれども、つけ加えたいと思います。
  以上でございます。
村松委員長
    どうもありがとうございました。
竹内委員
    今のお話で大体のことは分かったんですけれども、私も十分把握していないんですが、実態と今おっしゃっていることはどのぐらい対応しているのかという問題、例えば、今運営費交付金の会計処理は業務の進行に応じて収益に変わると。要するに、国立大学の教員が一生懸命本を読むとその時間数は収益に変わるとか、あるいはさっきの産業経済研究所ですか、2,400 億円使っている研究所がございましたね。3,200 人を要する研究所、ここが研究していると、その研究に応じて収益に変わるというか、これは単なるコストであって収益じゃないんじゃないかと思うんです。その辺の何が収益なのかというのは、要するに経費が発生していればお金を使ったということになるんですが、次年度それに対応してどういうことが起こるかといったら、本年度これだけの経費を使ったから来年度もお願いしますということで何のインセンティブにもならない。経費を下げようというインセンティブはどこから生まれてくるのか、あるいは最小のコストで最大のインパクトのある研究成果を出そうということが、それがまさに本来の収益であって、お金を使ったということ自体が、どこがプラスの意味を生じているかというのは甚だよく分からない。
  それから、これは政策をやるための偉大なる下請機関であって、下請機関と政策目的を依頼しているというか、そこが契約関係ではなくて下請関係にある。つまり、下請機関としてはいったんもらったものは使うのが当然、あるいはそこに請求権が発生していて常に請求することができるという、そういうふうな関係が出てきているのではないか。本来エージェンシーというのはインディペンデントなわけです。ということは、これは理想的な話ですけれども、自分がやった業績に対して、政府に対してこれだけやったからお金をもらえるという契約関係になって、初めてそこに一つの緊張関係が生まれてきて、自分たちの業績に関してキャッシュフローが政府から払われるというのなら分かるんですけれども、例えば、下請機関が自分たちのやっている政策は要らないのではないかという発議というのはおそらく出てこないのではないか。つまり、主務官庁が自分たちの政策に問題があると言わない限りはずっと続くというような意味では、偉大なる下請が毎年毎年行われていて、誰がそれに対して本来的な意味で評価を加えていくことができるのか、あるいは、まさにこの中には仕事上要らないものはたくさんあるわけです。要らないということを誰が決定するのかということも疑問に思いますし、会計上は当たっていると思うんですけれども、この考え方は私は今聞いていてえらく違和感があります。つまり、パブリックというのは偉大なる無駄なんですから、パブリックが大きくなることをどうやってコントロールするかという発想に立たないと、パブリックはお金を使うコストセンターですから、コストセンターとして正しいかどうかということを常に吟味していく必要がある。公的という名の下に、天下りも含めて何万人の人をそこに雇うという考え方が出てくるというのは非常に危険だし、現実上、天下りの方は物すごく多いわけです。あるいは一時天下りとかいろんなものがあって、何のためにこういう機関が存在しているかということを、会計上と離れて見ていくと甚だ疑問な部分があるので、ちょっとまとまらないんですけれども、これはちょっともう少し根本的な議論をさせていただいた方がいいんじゃないかと思います。答えを要求しているわけではございません。
村松委員長
    パブリックが全部無駄だというわけにはいかんと思うんです。それは一生懸命効率よくするということだと思いますが……。
竹内委員
    悪いと言っているんじゃなくて。
村松委員長
    趣旨は分かります。一種のレトリックだと思いますけれども、御質問のところ、御意見のところいろいろあって、しかし、私が十分理解していないという感じがあります。それで今の御発言に関連して御意見をいただける方があったら、山本さん、どうぞお願いします。
山本専門委員
    竹内委員とは、半分ぐらいは意見は同じなんですが、半分は違うということで、実は独立行政法人会計基準は、今、竹内委員がおっしゃられたパブリックセクターを縮小するメカニズムというのは一応あるんです。であるからこそ問題であるというところもあって、要するに成果が当初100 だとします。成果が100 億円金銭換算で可能だとします。コストも100 億円の中期目標の期間で設定しております。それがもし80億円というふうに2割コスト削減なれば、その2割はとりあえずは利益となって、場合によっては剰余金の措置になって、一定部分は国庫に入るということになっているわけです。その場合は利益ということで損益計算書上の利益となりますから、業績評価としてはプラスとして評価されるわけです。そういった意味においては、コスト削減のインセンティブを会計基準は内在している。こういう意味においては非常によくできた制度であるわけです。
  問題はパブリックがすべて非効率で無駄だということではなくて、パブリックであるがゆえに、コストは100 億円なんだけれども、もし120 億円の成果を出した場合においては、これはQ&Aにも明確に書いていますけれども、これは全く利益が出てこないんです。利益はゼロなんです。この問題が実はあるということです。ですから、もともと無駄な事業を廃止したり、それについて中期目標の期間において、これは余り拡大してもらっては困る。官としての業務をどんどんやってもらっては困るというようなものは、これは会計基準としては非常に有効に機能するわけです。ですから、私は会計基準そのものがいかんという持論を展開しているわけではなくて、そこの切り分けをしておかないと非常にまずい事態が場合によっては起こり得るということを、前もって指摘しておきたいと思います。
  したがって、業績評価をするということから言えば、損益計算書上のテクニカルなことでやるということでなくて、むしろユニットコストとか、そういうところでやった方が正確に出るわけですから、サービスコストの基本的なコスト低減の目標を中期目標でうたうとか、そして質に関する制約の歯止めをつけるということをしておいて、中期目標の終了期間において、この評価委員会等も含めて、中止とか民営化も含めた選択をやっていくということでしないと、余り会計基準にすべてを期待するというのが多過ぎたような感じがしているんです。だから一説によると、財務省の財政等審議会においても、独法の会計基準の見直しという意見もあるやに聞いていますものですから、そこら辺は慎重に独法の評価委員会としても、会計基準だけで業績評価をするというふうにはいかないようにすることが重要だと思います。
梶川専門委員
    私も多少作るのに携わった立場として、樫谷委員の御説明、竹内委員の御疑問は、もっとなものだと思います。これは先ほどの御説明にあったように、また、今、山本先生がおっしゃられたように、実際にこの会計ですべての独法の効率性等が評価できるものではないと、この点をむしろ皆様に初めに御理解をいただくことが望ましいと思います。先ほど樫谷先生がおっしゃられたように、普通の企業というのは、収益とコストというものが両方とも市場のメカニズムに基づいて金銭に換算される、市場経済にのっとって売上高という成果が、金銭という一本の数字に出てくるわけでございます。それに対して独法はコストは金銭というものに変わってくるのでございますが、個々の事業体においては、その収益は、もちろんベネフィットはトータルとして公共的にあるんですけれども、それが市場経済に基づいて金銭の値に変換されないという基本的な事業の性格があるんだと思うんです。
  こちらの中期目標、計画等を見せていただいても、基本的には定性的なものが多く、これがある意味では売上高の意味にあたるベネフィットを表現するものなのでございます。基本的にかなり定量的にと言っていても、ある意味では定性的にどうしてもならざるを得ない部分がある。これが多分定量的な目標になったとしても、それは必ずしも金銭としての定量性ではなくて、物理的であったり、ある種の研究の成果、特許であったりという、そういう意味の定量性というものの目標が入ってくる。その次の段階でそれを金銭としての一本値に換算するということが、そもそもさっき申し上げたような市場というメカニズムがないと、そこを誰かが評価として考えていかないと、先ほど樫谷委員がおっしゃられていたようなコストという金銭値と、今言った定性ないしは金銭でない定量性のものをバランスさせることになり、評価の難しさがあります。今回そういう意味で言えば、企業会計というか、むしろ私は複式簿記だと思うんですけれども、従前国の制度にはバランスをさせるという概念がやや欠けていたものであり、バランスをさせるということに意味があると思います。そこでバランスをさせるんですが、ただバランスさせる一方は、そういう公共財、外部経済効果を持つ財として、今申し上げたような市場メカニズムによって一本で金銭に評価されて出てこない。結局そのボトムラインの数字が、もちろん会計もある部分までは機能すると思うのでございますが、むしろ収益に関するかなりの部分というのは、まさにこの評価委員会であったり、府省の評価の中でどのようにベネフィットをコストというものに結びつけて相対的なバランスで評価をしていくかを考えていく必要があると思います。私自身も府省の評価委員会に参加させていただいている中で、実際にベネフィットに対して絶対値での評価という話題は、いろいろな意味で研究の成果とかというのが出るんでございますが、トータルとしては難しさを感じています。例えば10億をかけてこれだけの成果が上がるのか、100 億をかけてこれだけの成果が上がるか。そのバランスというものについては今非常に難しさがあり、もちろん府省も言わなければいけないことなのですが、今後この評価委員会も含めて、それを検討していっていただくということが、もちろん自身もそうなんでございますが、こちらにおられる委員の皆様に、ぜひそこの部分を御検討いただければという気がいたします。
大田臨時委員
    質問なんですが、公務員型と非公務員型は会計基準上はどうなるのか。先ほど来事業を廃止していくとか、あるいは民営化ということまで考えると、公務員型というのはかなり硬直的で、後の見直しを阻害する面は多いと思うんですけれども、非公務員型にしていくメリットといいますか、それが会計基準の中にあるのかどうか、そこまであわせてお教えいただければと思います。
村松委員長
    事務局でも結構ですし、ここに会計士の先生方がたくさんいらっしゃるのでお願いしたいと思います。
樫谷委員
    そこまで知っているわけではございませんが、この会計基準は、前提といたしましては、ここに書いてありますように独立採算制を前提としないということなっているわけです。したがって、民営化というのは100 %できないだろう。ただ、貿易保険などはひょっとしたら条件によってはできるかもわからないということです。したがって、あれは多分非公務員型になっているんでしょうか。それ以外は公務員型がほとんどだと聞いておりますが、それは結局運営費交付金、つまり財源手当をされて初めてやっていけるという仕組みになっておる。この場合、独立行政法人会計基準も運営費交付金型を前提とした会計基準になっております。したがって、よく特殊法人を独立行政法人化するという話も出ておりますが、それはある意味では、ものによっては独立採算制型のものもあるわけです。そうすると、この独立行政法人会計基準をそのまま適用して果たしていいのかどうかという議論もありますので、これはあくまでも運営費交付金型を前提としたものであって、それに書いてないことは原則に戻りまして、企業会計の原則基準がございますので、それで判断するということになるのではないかと思います。それで判断しきれないものはパブリックセクター、企業会計、公会計というのがございまして、公会計の原則という、実はその原則がないんですが、公会計原則というのを本来作って、そして一般会計、特別会計、独立行政法人、特殊法人、そういうものを合わせた首尾一貫した原則が必要なんです。
  ところが、それがないために特殊法人は特殊法人のやり方で、独立行政法人は独立行政法人のやり方のような、ある意味では首尾一貫しない部分も実際出てきておりますので、去年12月の行革大綱に公会計の見直しとか、改善というのが出ておりますので、そういう全体を、つまり企業会計原則に相当するようなものを、公会計原則で作っていただくとその辺の整理が非常にしやすくなる。つまり、こういう運営費交付金型はどうなのか、独立採算制ができるようなものはどうなのか。そういうような整理をきちっとした上で議論をしないと、これがオールマイティということが、つくった方の立場としても考えておりません。
  それからもう一つ、運営費交付金、竹内委員がおっしゃったように、これが収益というふうな言葉で読んでいるわけです。運営費交付金が収益かと言われると、本来収益じゃないと思います。単なる財源手当であって収益じゃないんです。なぜ収益と呼んでいるかというと、非常に悩みがあって無理やり言い切っちゃったわけです。といいますのは、ここでいう通則法に、損益計算の結果を出せと。それはインセンティブがあるよといっているわけです。そうすると、無理やりに収益にしないと損益が出ない。つまり絶対赤字ということを出してしまって、インセンティブがこうですといっても、多分そんな仕組みをつくっても、誰も使えないじゃないかということがございまして、そういうインセンティブ条項が邪魔になったというと語弊がありますけれども、そのために運営費交付金を無理やり収益を通して考えないと、つまり損益の計算ができないというような自己矛盾を起こしているというのが一つ。
  それから収益化の問題です。収益化の問題は確かに非常に難しい問題があります。本当は非常に管理会計的なというんでしょうか、そういう手法で非常に厳密にブレークダウンしたような積み上げ式でやっていったようなやり方でないと、本当は収益化という問題は非常に難しい基準なんです。したがって、そのような難しいのはなかなか扱えないんじゃないかということで、支出を限度としてというか、簡便法的なものをつくっているわけです。ただ、簡便法でしかできないものもあるかもわかりませんが、管理のやり方によりましては、原則的なやり方を使えると私は思っておるんです。したがって、できるだけ原則的なやり方で、つまり管理レベルを上げていけば、いろんな収益化のルールもできると思います。ただ聞いておりますと、余り財務会計的な発想は別として、いわゆる管理会計的な基準をつくっておやりになっている独法は現在のところ余り見られないということで、少し残念なことではあると、こういうふうに思います。
村松委員長
    どうぞ。
富田分科会長
    一つ質問で、一つはお願いなんですけれども、質問の方は、今お話になった運営交付金の収益化ということで、9ページにある3つのうちの一番下のものが今多そうだということなんですが、可能な限り上に上げていくということですね。これで具体的にどの程度いくかということをどういう御感触を持っておられるか。つまり、より企業会計的なものにしていく努力ですね。それをお伺いしたいということです。これは独法の会計原則、これまでよりもエージェンシーとしてやっていく場合には、インセンティブを高め、エフィシェンシーを高めるという意味での効果というのはあるし、またガバナンスとしても行政サービス実施コスト計算書ですか、これを出していって国民負担との関係を見るという意味でも大きな前進と思うんですけれども、恐らくこれだけじゃないと思うんです。マーケットじゃないので評価できないということなんですが、最低限、昨日の自分自身より今日の自分自身の方がパフォーマンスが上がっているかどうかとか、そういった見方ですね。ゆっくりしたカメみたいなものかもしれませんですけれども、そういうものも当委員会として入れていく必要があるんじゃないかと思うんです。
  2点目のお願いなんですが、先ほど事務局より御提案ということでお話があった独立行政法人関係資料の公表等についてということで、2−5の資料の2番のところに、ホームページの充実を図るということで提案があったわけですけれども、独立行政法人については来年から各府省の委員会が評価を始める。それに対して当委員会は事後評価という形なわけでして、議論の前半で大田委員、そして竹中委員、新村委員も御指摘の事前評価に近づけて、より影響力を持っていこうということに対して、事後評価だけに限定すると力が弱いわけでして、やはり早いうちから可能なことを一歩始めようというふうに思いまして、ホームページの充実というところから、つまり多くの独立行政法人のホームページに対して当委員会のホームページからリンクができる。できれば各府省の独立法人評価委員会にもリンクができるような形のもので、やはり事後評価がメインとはいえ、そうした影響力がこの委員会ができた最初からある程度誇示できるんだというふうな期待と、あるいは各府省にそういう意識もお持ちいただけるということで、事務局にはホームページの充実を是非ともお願いしたいと思います。
村松委員長
    時間が大分きております。その御質問、御意見を伺って、お答えすべきことで残っていることがあるのと、その前に一つだけ忘れるといけないので、今の御提案をぜひ御了解いただきたいということですが、今のような趣旨で当委員会のホームページがあってリンクがある。そういう形で当委員会の活動の一環として、そういうものを設置していきたいということ。それから先ほど高野さんの方から、事務局の立場からガイドブックと評価の内容の年報の話が出ておりましたけれども、これもぜひ当委員会でやったらいいんじゃないかと思いますので、この2つの御提案、やっていくということで御了解は得られますでしょうか。
  どうもありがとうございました。そうしたら黒川委員の御意見をいただきたいと思います。
黒川臨時委員
    私は、企業会計審議会のメンバーとして営利企業の会計に、また今日の午前中は梶川委員などと一緒に特殊法人の会計基準の見直し作業に携わっておりました。そこで、先ほどからの委員の方々が抱いているイメージと私の経験とを重ね合わせてみますと、まず企業会計の基準を参考にするという、斟酌するというようなことがあったと思うんですけれども、そこで一番重要なのは、個々の勘定科目というか、会計取引というものが企業会計原則、今までの営利企業と同じような会計基準の処理方法で処理されていくというイメージを持たれれば、そんなに問題はないんじゃないか、こういうふうに思っております。
  さて問題は、個々の会計処理を集めて集計計算したときに損益計算書を作るかどうかという、そこの問題になったときに、営利企業の法人と非営利でどう違うか、そういうふうに理解しておけば差し当たっては分りやすい。そういうことだと思います。
  それから評価という面になったときに、この独立行政法人についてもそうですが、毎年毎年期間計算をするわけです。これは企業会計の方もそうなのでございますけれども、評価ということになったときには、毎期毎期の期間計算というものと、長期におけるプロジェクト予算に対するプロジェクト評価が非常に大きな問題です。先ほど大田委員が本四架橋の問題を取り上げられたんですけれども、あれは実は行政監察局で梶川委員と私とで、あそこの財務調査を課長さんから頼まれてちょっと見た経験があります。そのときに典型的にプロジェクト評価で分かってくるというんでしょうか、あれはプロジェクトとして独立しているのでよく分りやすいんですけれども、長期の計画で長期にどれだけ回収できるかという長い目で見ると分かってくる。しかも、これから30年先まで毎期毎期赤字が増えていくかもしれないということが分かってくる。そういうようなプロジェクト評価ということになりますと、将来のキャッシュフローに対してどのぐらい投下資本が対応するか、将来のキャッシュフローで回収できるか。こういうようなプロジェクト評価のやり方になってきますので、毎期毎期の評価でもある程度は分かるのでしょうけれども、それは一部でありまして、やはり長期のプロジェクト評価というやり方になるわけです。
  それからもっと大事なことは、先ほど梶川委員や樫谷委員がおっしゃいましたけれども、パフォーマンスの方、どんなことをしたのか、こういう点で財務会計上は、繰り返しになりますけれども、一応収益が上がればということになっているわけですけれども、非営利企業はそうではない、目標が違うわけでございます。ですから、パフォーマンスについては会計は全く語っていないといってもいい、極限すればそういうことなんです。ですから、パフォーマンスをどのように評価するかは各当事者が考えることでしょう。その当事者のパフォーマンスといっている目標に対して、1次的あるいは2次的にでも、それが妥当であるかどうかということを考えていって、そのパフォーマンスというものがある程度定量化できれば、それに対してインプットとして、あるいはそのパフォーマンスを得るためのコストがどれぐらいかかったのかという、行政サービスコストの総額との対比で効率性が測れる。だから、我々としては、そこで非常に重要なのはパフォーマンスの評価、これの定量化、ここが大事だと思います。
  それから第4点は、先ほど本四架橋の問題が出てきたんですけれども、もうこれは作ってしまったらもう終わり。後から言っても無理でございます。これから先、赤字がどれぐらい増えていくかといっても、初めの投資決定の段階が大事だったんです。だから、大田委員がおっしゃっていたところは非常にわかります。要するに、計画段階でそもそも3本作ったことが妥当であったかどうか。ここは大変難しい。後知恵かもしれないんですけれども、今現在作られてしまった後のパフォーマンスを見れば、少なくとも通行量とかを見れば、いかに計画段階のものが本当に妥当であったのかどうかということについては甚だ懐疑的に思えるようなものなんですけれども、これが後知恵なのか、あるいは、そもそもの計画段階でも分かっていたのかそこが問題でございます。そこを防ぐためには、やはり我々としても事前の計画段階にいかにコミットしていくか、こういうことが大事で、そのときにはガバナンスという議論が必要になってくるんだろうと思うんです。要するに、営利企業であれば、意思決定するときの取締役会等々に対して、どのぐらい社外の取締役が入るかとか監査役が入るか、これはガバナンス論議であります。ですから、この委員会が事前評価というときになったときには、ガバナンスの仕組みという点でも一つ考えておく。要するに、どういうふうにコミットするか、そこを一つ明らかにする必要がある。だから、先ほどから委員長もおっしゃっていましたけれども、これから事前のところにどれぐらいコミットできるか、あるいは竹中委員がおっしゃったように、やらないものをどういうふうに評価するか。これもどのぐらい意思決定に参加できるかというところにかかってくるけれども、ガバナンス論議として、仕組みとしてどういう位置づけになるのかということも、当たっていないかもしれませんけれども、私としては感じた次第です。
  以上、ちょっと長くなりました。
村松委員長
    どうもありがとうございました。まだ、十分に問題提起されてお答えできていないものもあると思うんです。例えば非公務員型・公務員型ということもあるんですが、この独立行政法人については新しいものでありますから、いろいろな角度から検討を続けますので、今のことも念頭に置いて、資料などをそろえたり、議論を次回いたしますので、時間が非常に超過してしまったものですから、恐縮でございますけれども、ここで今回は閉会とさせていただきたいと存じます。次回以降もしばらく独立行政法人については勉強会ということになるかと思いますので、御勘弁いただきたいというふうに思います。どうも本日はありがとうございました。
  事務局から何かございますでしょうか。
鎌田総務課長
    次回でございますが、5月25日に開催させていただきます。今度は総務省にて行います。政策評価の実施要領等の各省庁ヒアリング等を予定しております。
村松委員長
    それでは、今日はこれで終わります。どうもありがとうございました。
(了)

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