会議資料・開催案内等
第40回政策評価・独立行政法人評価委員会議事録
(政策評価分科会との合同)
- 日時 平成19年3月23日(金)13時00分から16時08分
- 場所 中央合同庁舎第2号館 総務省第一特別会議室
- 出席者(委員)
|
丹羽宇一郎委員長、金本良嗣政策評価分科会長、新村保子政策評価分科会長代理、富田俊基委員、森泉陽子委員、高木勇三臨時委員、高橋伸子臨時委員、田辺国昭臨時委員、谷藤悦史臨時委員、黒田玲子臨時委員、牛尾陽子専門委員、田中常雄専門委員 |
|
(総務省)大臣官房政策評価広報課岩田課長 |
|
(文部科学省)大臣官房政策課評価室木村室長 |
|
(厚生労働省)中島政策評価官 |
|
(経済産業省)大臣官房政策評価広報課波多野課長 |
|
(国土交通省)鈴木政策評価官 |
|
(総務省行政評価局)熊谷行政評価局長、伊藤官房審議官、新井官房審議官、若生総務課長、吉開政策評価官、横山評価監視官、桜井政策評価審議室長 |
- 議題
<政策評価・独立行政法人評価委員会>
<政策評価分科会>
○ |
政策評価に関する各府省の取組状況について |
○ |
平成19年度行政評価等プログラムにおける政策評価テーマ等について |
- 配付資料(PDF)
- 会議経過
<政策評価・独立行政法人評価委員会>
○ 丹羽委員長
それでは、時間が参りましたので、金本分科会長、もうすぐ来られると思いますが、これから第40回の政策評価・独立行政法人評価委員会を開会いたします。
本日の委員会におきましては、規制の事前評価に関しまして、政策評価に関する基本方針の一部変更について、総務大臣から諮問をいただいております。本件に関しまして、まず吉開政策評価官から説明をお願いいたします。
○ 吉開政策評価官
それでは、お手元の資料1を御覧ください。
規制の事前評価につきましては、平成18年3月の規制改革・民間開放推進3か年計画等で、今年度中に義務付けのための必要な措置を講ずることが求められております。このため、今月末に評価法施行令を改正し、規制の事前評価を義務付けることとしております。この政令改正によって事前評価を義務付けるのは、法律又は政令によって規制を新設改廃する場合であります。さらに、義務付け以外の規制、すなわち、省令以下によるものについても、規制改革・民間開放推進3か年計画などを踏まえ、各府省が積極的かつ自主的に事前評価を行うよう、政策評価に関する基本方針に書き込む必要がございます。
したがいまして、基本方針の変更案といたしましては、義務付け対象以外の規制、具体的には、省令以下によるものについても、積極的かつ自主的に事前評価を行う旨の記述を追加いたします。それから、政策評価一般のガイドラインに加えて、規制の事前評価の実施に関するガイドラインを新たに制定する旨を記述いたします。この2つを予定しております。
この基本方針の変更案につきまして、総務大臣から政独委に対して諮問がなされておりますので、本変更案について御審議いただき、答申をいただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
なお、今後のスケジュールにつきましては、施行令改正、基本方針変更とも、3月末の閣議決定を予定しております。
以上でございます。
○ 丹羽委員長
ありがとうございました。
それでは、審議に入りたいと思いますので、どなたからでも結構でございますが、発言をお願いします。
○ 金本分科会長
私が聞くのも変なのですが、ガイドラインの策定に関するスケジュールは、どんな感じになっていますでしょうか。
○ 吉開政策評価官
3月末にこの閣議決定が終わりました後、逐次、総務省令の策定、それからガイドラインの策定に取り組んでまいりたいと思っておりますので、10月1日の施行に向けて、速やかに取り組んでまいりたいと思っております。
○ 丹羽委員長
田辺さん。
○ 田辺臨時委員
いただいた諮問のとおり委員会として対応するということで私は結構だと思います。規制の事前評価に関しましては、諸外国で一般的に行われておりまして、日本に関しては、かなり欠落した一章だったので、これを埋めたということは非常に大きな前進だと思います。
ただ、実際の運用において、きちっとこれが運用されて、ある意味では不必要な規制というものを事前に排除できるように、きちっとこれから運用していくということが課題になろうかと思っております。その体制づくりは、実際にもう少し細則その他、運用等で固めていかなければなりませんので、より一層の努力が必要だと思っております。
○ 丹羽委員長
ありがとうございます。
よろしゅうございましょうか。
それでは、先ほど総務大臣から諮問がありましたが、政策評価に関する基本方針の一部変更について、お諮りしたいと思います。異議はございませんか。
それでは、本件につきましては、当委員会として、本日示されました一部変更案について、これを適当と認めるということで決定をさせていただくこととしてよろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
○ 丹羽委員長
それでは、そのようにさせていただきます。
なお、事後の処理につきましては、私、委員長に一任いただくということで、異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○ 丹羽委員長
それでは、そのように取り扱わせていただきます。
答申につきましては、委員会終了後に、事務局から総務大臣に届けるようにしたいと思います。
以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会関係の議事を終了いたしますが、最後に、私から一言申し上げたいことがございますので、お聞きいただきたいと思います。
この政策評価制度が導入後5年目を迎えまして、政策評価結果の予算要求への反映とか、あるいは、政策目標の数値化の進捗など、わずかではありますが、着実に成果が発揮されてきていると思っております。
一方で、いろいろな問題も出ているかと思います。
1つは、政策評価制度の導入によって行政を効率化して、国民本位の行政を実現するという所期の目的が達成されていないのではないかということも考えられます。
また、2つ目は、国民に密着し、国民生活への影響が大きい政策に関する評価をできるだけ取り上げていくべきではないか。特に安倍政権においては、施政方針演説等で多くの重要な政策が打ち出されてきておりまして、こうした新しい取組についても、いずれは政策効果の実効性が上がっているかどうか、これをフォローするのも評価の役割ではないかという声も出ております。
3つ目に、各府省が行った評価のチェックに際して、今後はもう少し政独委としても主体的に取り組んでいくような形も必要ではないかという議論も出ております。
こうした議論があることを踏まえまして、例えば、重要な対象分野については、各省庁だけで決めるのではなくて、政府全体を見渡せる諮問会議で取り上げ、PDCAを着実に実行していく仕組みを構築することが必要であると考えるわけであります。その際には、もちろん、政独委及び総務大臣の役割が大変に重要になるかと思います。この件につきましては、諮問会議、総務省、政独委、各府省がよく連携を図っていくことが必要であると思っております。
本日、各省も委員会の場に来ていただき、重要政策に関する評価について御説明をいただくことになっておりますが、政独委の皆さんにおいても、このような問題意識を持っていただき、審議をお願いしたいと思います。
それでは、引き続きまして、金本分科会長に議事進行役をお願いしたいと思います。それでは、どうぞよろしく。
<政策評価分科会>
○ 金本分科会長
それでは、政策評価分科会に移らせていただきます。
本日は、政策評価に関する各府省の取組状況についてということと、それから、行政評価等プログラムにおける政策評価テーマ等についてという、この2つの案件の審議を行います。
まず、政策評価に関する各府省の取組状況について審議を行いますが、進め方といたしましては、冒頭に事務局から重要政策に関する評価についての政府全体の取組状況を俯瞰的に御説明いただいて、その後、個別省における政策評価の取組状況について、担当の省の方々から御説明をいただいて、その都度、各省についての意見交換を行いたいと思います。
本日は、経済産業省、文部科学省、厚生労働省、総務省及び国土交通省の5省の担当者にお越しいただくことになっております。
では、まず吉開政策評価官から御説明をお願いいたします。
○ 吉開政策評価官
それでは、ヒアリングに先立ちまして、お手元の資料2に基づきまして、政府全体の政策評価に関する取組状況について御説明を申し上げたいと思います。
1ページおめくりいただきますと、重要政策に関する評価について、これまでの経緯をまとめております。政策評価法の見直しの際に、総理から内閣の重要政策に関する政策評価を徹底するようにという指示があったことを踏まえまして、基本方針の中に、内閣の重要政策に関する評価の徹底ということを盛り込みました。この基本方針の改定を受けまして、各府省はそれぞれ基本方針等の改正を行っております。
その状況をまとめたものが、2ページ目、それから3ページ目でございますが、各府省とも、内閣の重要政策を踏まえて評価を行うという旨を基本計画等の中に記述をしているところでございます。
次に、これを踏まえました各府省の評価の実情でございますが、4ページを御覧いただきますと、これは昨年の9月に政策評価結果の予算要求等への反映状況ということで、私どもで取りまとめた資料がございますが、その中で、政策評価の結果を平成19年度予算要求に反映したと各府省から報告があった1,103件をベースに整理をしたものでございます。
マトリックスになっておりますが、実績評価のところを御覧いただきますと、13省庁で461件の実績評価が行われておりますが、このうち、内閣の重要政策に関するものというのは、12省庁、242件ということになっております。
それから、政策決定前の事業評価、これは10省庁で201件の評価が行われておりますが、このうち内閣の重要政策に関するものは、7省庁、123件などとなっております。
トータルでは、1,103件のうち、484件、率で申しますと、44%が内閣の重要政策に関する評価であるという整理になっております。その多くは実績評価方式によるものでございます。
また1枚おめくりいただきますと、これは、各府省の評価と施政方針演説等との関係について説明した資料でございます。
施政方針演説では、地球温暖化対策、食の安全と安心の確保、外国人犯罪への対処などの重要政策が列挙されているところであります。各府省は、それぞれの所掌事務の中でこれらの重要政策に関連した施策を実施するとともに、実績評価等の業績測定を中心とした評価を行っているところであります。
この関係を、施政方針演説を大文字のABCで表しておりまして、各府省の評価を小文字のabcで表しております。重要政策のパーツパーツを複数の府省が実施評価しているという関係になっています。例えば、Aの地球温暖化対策で言いますと、それに対応するピンクのaというのが、複数の府省に現れているというふうになっております。中には、Dの教育のように、単独の府省が対応する評価を行っている例もございます。さらに、その下のE、男女共同参画の推進の場合ですと、単一の省が総合評価で対応しているという例もございます。
それから、施政方針演説以外の重要政策といたしまして、ア、イで骨太方針、△△基本計画と書いてありますが、それぞれ、これも対応する施策を所管する府省において評価が実施されているところであります。
それから、最後のページでございますが、これは、各府省の実績評価書において、重要政策との関係がどのように表現されているかということをパターン分けして表現したものでございます。
Aは、施策の上位計画となる○○計画との関係を明記しているものでございます。それから、Bは、施政方針演説、閣議決定等との関係を一覧表形式で整理しているものであります。それから、最後のCは、評価書に特記事項欄を設けて、重要政策との関係を記載しているものであります。いずれも、所掌する政策と重要政策との関係を明記するとともに、掲げられた目標の達成状況を評価しているという形になっております。
資料についての説明は、以上でございます。この後のヒアリングにおきまして、各省のより詳しい実態についてお尋ねをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○ 金本分科会長
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見ございましたら、お願いいたします。
○ 富田委員
政策評価が全省庁で約1万件ほど毎年なされているというのをどこかで、見せていただいたんですけれど、予算要求に反映したのは、ここにある件数だという理解でよろしいんでしょうか。
○ 吉開政策評価官
この1,103件は、平成18年のおおむね4月から予算要求までの8月までの間に出てきた評価をベースにして整理しておりまして、1万件という数字は、この後、年度末にかけて個別公共事業の評価が出てまいりますので、それを含めますと約1万件ということでございます。
○ 富田委員
はい。
○ 金本分科会長
そのほか質問か何かございますでしょうか。
○ 新村委員
各府省の評価書のイメージのところなんですけれども、一応この前の見直しを受けて、重要政策との関係を明記されているようでありますが、そのときに、個別政策の目的と、その重要方針に対する貢献度というんでしょうか、そんなところまで書いてあるんでしょうか。実際の評価書をよく見て、各省に伺おうかと思っているんですが。要するに、上位目標みたいなものが、個別の、幾つかの省庁にまたがっているわけですよね。その個別の政策の評価というのは、有機的に結びついているのでしょうか。感想で結構でございます。
○ 吉開政策評価官
すべて見ているわけではございませんけれども、各省は、自分の所掌事務の中で、重要政策に関連する施策を実施して評価しておりますので、必ずしも自分の実施している施策が上位計画に対してどれぐらいの貢献をしているかというような観点では分析していないように思われます。
○ 新村委員
ありがとうございました。
○ 金本分科会長
よろしゅうございますか。
○ 谷藤臨時委員
評価書の中では、各省庁の政策を並列し、その中でこれこれの政策が施政方針演説などにかかわる重要政策として位置付けられているというような書き方になっているわけですか。それとも、全体的にプライオリティを明確にされておりますか。つまり、政策の優先順位がつけられておりますか。
○ 吉開政策評価官
政策の優先順位付けまでは、評価書の中では明らかになっていないと思います。
○ 谷藤臨時委員
そうですか。わかりました。
○ 金本分科会長
そのほか、ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
○ 高橋臨時委員
素朴な質問で恐縮なんですけれども、この重要政策に関する各府省の評価なんですけれども、同じようなことを複数の省庁でやっているというような重複感のチェックはできるようになっているのか教えていただきたいのですけれども。
○ 吉開政策評価官
私どもとしましては、各府省からそれぞれ出てまいりました評価書について、内容の妥当性ですとか、そういったことについてチェックをすることはできますけれども、ほかの省の施策との重複について、そこまでものを申すというふうにはなっていないと思います。
○ 金本分科会長
それは、言ってもいいんだけれども、まだやっていないという、そういうことだけでしょうか。
○ 横山評価監視官
実際に、例えば、地球温暖化対策を見ますと、環境省が中心になっているんですけど、例えば、経済産業省であるとか、国土交通省であるとか、いろんな省庁にまたがっています。ただ、その評価書を見ると、それぞれの省庁の所掌事務に限る部分だけでやられています。そういう意味で、ほとんど重複感はないんですけれど、1つ問題点として、地球温暖化対策のような大きい問題として、本当はそれぞれの省庁だけで見ていいんだろうかという、そういう問題点はあります。
そういう意味で、重複感はないんですけど、では総合的に見たらどうなんだろうかという問題意識は持っております。
○ 金本分科会長
その辺は、地球温暖化対策ですと、目達計画というのが全体であって、その評価は最終的に全部取りまとめてがっちゃんこみたいなことになっていたりしますし、またがるものを全体でやりますという仕掛けになっていると、内閣府の中に取りまとめの部局ができてがっちゃんこをするという仕組みになっているような気がしますが、いかがでしょうか。
○ 横山評価監視官
そのようになっております。ただ、評価書自体は、それぞれの省庁が評価書を作るので、どうしてもその省庁の所掌事務に係る部分だけしか出ておりません。
○ 丹羽委員長
私の感想を申し上げますと、本当は法的にはできると思うんですけど、やっぱりいろいろな事情があって、自己評価ですから、各省庁がこれを評価したいということで自己評価してくるということなんですね。本当から言いますと、誰かが政府として、この部分をチェックをしてほしい、評価してほしいということをやはり言っていく必要があるだろうと。それをやりますと、自己評価を各省庁がやるということで、嫌々でも重要なものはこれをやりなさいというようなことをどこかから言えば、これが、先ほど申し上げました、国民生活に密着した問題とか、非常に重要なものというものが評価対象になってくると思うんですが、現在はそれが必ずしも評価対象として、自らが出さない限りはなかなか出てこないという状況にあるのではないかと思っております。
これは、おそらく今後、そういう方向へ向かっていくべきだと思っておりますし、おそらく大臣もそのつもりでおられると思いますし、内閣府というか、経済財政諮問会議でもそういう問題を取り上げて、PDCAをやっていきませんと、自己都合で非常にやりやすいものを評価していくと、必ずしもそういうことばかりではないでしょうけど、そういう危惧があるということでございましょうから、そういう意味で、この評価委員会の役割ももっと重いものになっていくのではないか、あるいは、そうすべきではないかというふうに思います。
○ 金本分科会長
事務局から御説明があったのは、内閣の重要政策に関する評価をするということであるんですが、今、委員長がおっしゃられたのは、これでは必ずしもなくて、評価が必要だと思われるものについて評価をする。これは、過去に政府が重要施策だと言ってやったものではない、これからの重要施策のための評価という、そんな雰囲気もあるのかなと思いますが、いかがですか。
○ 丹羽委員長
両方ですね。
○ 新村委員
ただ、今この資料を見ても思ったし、日本の縦割り、各省庁の独立性を前提に考えますと、重要政策、これについて評価しなさいといって、やっぱり断片的に各省は自分の所管だけやるということになるわけですね。それを有機的に再構成した、この政策に関する全体的な評価というものは、今欠如しているような気がするんです。それは、今総務省がやっている総合性確保評価は、各省にまたがるものをやっていますけれども、それを一からやるのではなくて、やっぱり各省のやられた評価を再構成して、果たしてこれは全体としてどうなっているのかという評価をどこかでしないと、というか、そういう仕組みをうまく作らないと、どこまでも自分の所管に捕らわれてしまうのではないかなという感じを持っておりますので、今、丹羽委員長のおっしゃったように、やっぱり国民が関心を持っているのは、例えば、この男女共同参画ですとか、地球温暖化対策という大きいまとまりですよね。それ自体がうまく各省の個別の断片的な評価と結びつくような仕組みが要るのかなという感じを持っておりますので、是非それは諮問会議でも支援をお願いしたいと思います。
○ 丹羽委員長
宿題をいただきました。
○ 高木臨時委員
そういった意味では、私も丹羽委員長に是非お願いしたいところがあるんですけれども、骨太方針等で決定するに際しまして、あらかじめ事業政策につきまして、定性的な目標のみならず、数量的な定量的な目標も明示するということが必要なのではないか、重要なのではないかと思いますし、各省にまたがるような政策に関しましては、それぞれの下位政策をある程度明示して、そこにおいても定量的なものを明示するというようなことをおやりいただきますと、各省は嫌でもやらざるを得ない。しかも、定量的なものがあらかじめ設定されておるという構図になりますので、極めてスムーズに進むのではないかと思いますので、そのようなことを是非お考えいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○ 丹羽委員長
考えることはいつでもできますけど、実行に移せるように。今、そういう方向で、できるだけ数値化できるものを数値化して骨太方針にも出すという方向で検討はされていると思いますし、そういう要望は我々の中からも出ております。それから、この評価委員会をベースに、やはりPDCAをもっと、特にプランに反映させるところとか、予算に反映させるというような形で評価が進むようにということと、やはり、法的にはできるんだけれどやりにくいという問題が各府省にありますので、そこの壁を破るということが、経済財政諮問会議のような役割だろうと思っております。努力をいたします。
○ 金本分科会長
そういう目標を設定するにも、下からの情報がかなりの程度ないと設定できないということがありますので、いざとなるとなかなか情報をとれないというんで、難しい状況になるんですが、政策評価というのはそういうことにうまく使う、普通ではオープンにされない情報、キーとなる情報をうまく出していくというために使うというふうな方向が必要なのかなと思いますが、これはかなり中身をわかっていないと仕組めないといったところで、両側からの、評価側の取組と政策決定の側の取組と両方必要なのかなという気がいたしますが。丹羽委員長にも頑張っていただくということで、よろしくお願いいたしたいと思います。
○ 丹羽委員長
私、宿題をいただきまして、ここで失礼させていただきます。どうもありがとうございました。
○ 金本分科会長
そのほか、何かございますでしょうか。よろしいですか。
○ 田中専門委員
大方のお話が出ているんですけれど、上位計画ごとにまとめて横並びに評価をするというような視点も要るのかなと思います。今出ているように、個別に単独に出ているけれど、それに比べてほかの政策を見たときにどうなのかというようなこともチェックをする1つのポイントだと思いますので、どうやるのかは別としても、そういう考え方が必要ではないかなと思います。
○ 金本分科会長
やるとすると、行政評価局の仕事になるかなという気がいたしますが、検討していただいてということだろうと思います。
そのほか、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
経済産業省の方も来ておられるそうでございますので、そろそろヒアリングに移りたいと思います。よろしくお願いいたします。
経済産業省からは、波多野政策評価広報課長においでいただいております。それでは、御説明を、よろしくお願いいたします。
○ 波多野政策評価広報課長
政策評価広報課長の波多野でございます。お配りさせていただきました資料に基づきまして、簡単に御説明をさせていただきます。
まず、お手元に、「経済産業省における政策評価の取組について」という資料をお配りしてございます。1ページをめくっていただきますと、全体の体制図がございます。まず、経済産業省で、これは平成18年度から政策評価と予算の体系の整理ということで、34の施策に整理をさせていただきまして、新しく再スタートした体系でございますけれども、まず夏の行程、大体5月の末から8月ぐらいまでにかけてございますが、事前評価というものを実施いたしてございます。ちょっと分厚い資料ですので、回覧してございますけれども、濃い赤色の資料が事前評価書でございまして、経済産業省におきましては、34の施策につきまして、そのすべてにつきまして、実績評価といたしまして事前評価を実施いたしてございます。あわせまして、1億円以上の新規予算についてでございますけれども、個別の事業評価を実施いたしてございます。
そういった評価のシステムでございますが、これは経済産業省、ちょうど省庁再編の平成13年ごろからでございますけれども、予算要求にあたりましては、予算の査定部局であります会計課長及び政策評価の担当部局であります私、政策評価広報課長が合同で予算要求ヒアリングを実施するという形をいたしてございまして、その結果といたしまして、8月の末に事前評価書を取りまとめてございます。
それから、34の施策がございますが、秋に、事後評価といたしまして、これはすべての施策を3年から5年に1回ずつ実施するという形で実施いたしてございますが、施策の事後評価を実施いたしてございます。これも分厚いものですので、回覧してございますが、クリップどめをしておりますのが、これは昨年の秋に実施いたしました「平成18年度事後評価書」でございます。
実施体制につきましては、私の上におります政策評価審議官を筆頭に、官房の各担当課長が合同でヒアリングを実施するという形で実施いたしてございます。それから、今年からでございますけれども、最後に書いてございます「年次報告書」、これは「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」、いわゆる「骨太」の中で、平成18年度から各省庁において連結財務諸表、成果目標の達成状況及び財務状況が一覧できる年次報告書を公表することということでございますので、これは今年初めてつくったものでございます。3月30日に公表する予定の資料でございますが、年次報告といたしまして、34の施策の進捗状況について、各施策2ページずつに整理をいたしてございます。これもかなり分厚いものでございますので、今お机のほうを回覧させていただいておりますファイルの中に入っておりますのが、その年次報告書でございます。
1ページめくっていただきまして、経済産業省の政策評価の体系でございますが、これは、予算と政策評価の体系の一致ということで、平成18年度に組み替えたものでございますが、経済産業政策、対外経済政策、モノ作り・情報・サービス産業政策、中小企業・地域経済産業政策、エネルギー・環境政策、原子力安全・産業保安政策、6つの政策に、その中を34の施策で分けてございまして、これに基づいて評価を実施いたしてございます。内閣の重要政策との関係でございますが、一番右側に丸印をつけてございますけれども、34の施策のうち、今のところ33については、内閣の重要政策として位置付けられているというふうに認識いたしてございます。
それから、もう1ページめくっていただきますと、これは経済産業省で政策評価を導入した当初行っておりましたのが左側の体系でございまして、これはかなり細かい施策ごとに評価をいたしておりました。これを、政策評価と予算の体系の統一化ということで、右側の6政策34施策に再編成いたしましたのが本年でございます。これは、従来の細かい施策体系でございますと、この施策をやるかやらないかということで、評価の実施の結果、施策がなくなるということがございまして、それは対外的に非常にわかりやすかったわけでございますが、一方、予算と一致させますと、予算の項がなくなるというのは、事務的に非常に難しい問題が生じますので、したがいまして、右のような体系に今年から直したということでございます。
過去の例でございますが、次のページでございますけれども、2つ取り上げさせていただいておりまして、1つが、これは平成16年度の事後評価で実施いたしました「民間能力の活用による産業インフラの整備」、それから、もう1つ、平成17年度の事後評価で実施いたしました「産業再配置」、これはそれぞれ法律を最終的には廃止するということで評価をしたものでございます。
評価書が2つお配りしてございますので、これはごく簡単に御説明をさせていただきたいと思いますが、まず1つ、縦長のA4の紙でございますが、「民間能力の活用による産業インフラの整備に関する中間評価書」と書いた紙でございます。
こちら、昭和61年、1986年でございますが、当時、中曽根総理大臣のもとで民活の推進が提唱されたときにできた政策でございます。公共的な施設を民間の能力を活用して整備を推進していくということで、1986年以来実施してきた政策でございますが、そういった政策につきましても、その後の政策の流れ、特にPFIあるいはPPP、そういった官民の協調した政策をほかに実施する法律がたくさんできてきたといったようなことを背景といたしまして、これは平成16年度の事後評価書でございますが、最後から4行目ほどのところにございますが、「平成18年5月の法期限の延長を行わない方向で検討を進めることが適当と考えられる」というのが評価書でございまして、これを出したのが平成17年の夏でございまして、その後、18年の通常国会に廃止法を提出して、廃止をしたという経緯でございます。
それから、もう1つの評価書でございますが、「『産業再配置』に係る事後評価書」というのをお配りいたしてございます。これはもう少し時代をさかのぼる政策でございまして、1ページ目の冒頭にございますが、昭和47年、1972年、これは田中通産大臣の時代でございますけれども、工業再配置促進法、これは東京、名古屋、大阪、こういった大都市圏から工場を地方に移転をしていく、その促進のための法律でございましたが、その法律につきましての評価でございます。
これは、結果といたしまして、工場を大都市圏から地方に移転していくという政策がそれなりに進展したというのが1つの背景、それから、もう1つといたしましては、日本国内だけではなく、日本の工場の立地状況と海外との競争が始まっているという、そういった時代背景を踏まえまして、これは6ページ目にございますけれども、今後の施策の見直し方向ということで、中止ということで結論を出したところでございます。この報告書とあわせまして、平成18年の通常国会に廃止法を提出いたしまして、本法律についても廃止をいたしてございます。
私からの説明は以上とさせていただきます。
○ 金本分科会長
どうもありがとうございました。
それでは、意見交換に移りたいと思います。どなたかからでもお願いいたします。
○ 高木臨時委員
施策の数が大分減ったということで、款項目の項と施策との同一化というふうなところの効果なのかなと、非常に望ましく思いますし、また、年次報告書で、省庁別の連結財務諸表と一体となるような形のものを用意されているということ、私、2年ほど前からその意義について主張していましたので、個人的に非常にうれしく思っているというところでありますけれども、重要政策に関して何点か御質問させていただきたいと思うんですが。
まず1つは、重要政策ということで、政策評価の中において取り上げるということになっているわけですけれども、その重要政策の経済産業省における推進のために、戦略的にこの政策評価制度を活用したことがあるのかということが1点ございます。
それから、その重要政策のところをいろいろ評価を進めていくにあたって、その中でもいろいろ施策といいますか、事務事業といいますか、そういったところがいろいろ分かれてくるわけですけれども、そのところについて、重点的な分野というふうに特定されたりして進められておられるのかどうか。
それから、さらに、今後の重要政策そのものの見直しや新たな政策立案の際に、各省庁でやられている政策評価、これを十分に活用していくということも必要なのではないかと思うんですが、どのような工夫が必要とお感じになられているか、このような点を教えていただければ幸いですので、よろしくお願いします。
○ 波多野政策評価広報課長
まず、第1点目でございますが、重要政策の推進のためにどのように活用しているかということでございますが、経済産業省におきましては、まず全体的なトラックが大きく分けて2つございまして、1つは新政策と言いまして、新しい政策を作るほうのトラック、それから、政策評価と言います、これは今の政策を評価し、それを変える、あるいはやめる、そういったもののトラック、そういうふうなものがあると認識いたしてございます。したがいまして、どちらかというと、政策評価担当部門が担っておりますのは、新しい事業に資源が振り向けられるように、古いものがきちんと終わっていくということを、どちらかというと重視をしているというのもございます。あと、もう1つは、これは新政策の担当部門と政策評価の担当部門が、さまざまな重要政策のヒアリングを合同で実施するということをたび重ねてございますので、そういった中で、1つの施策の中である、あるものはやめ、ほかの分野に移っていくという、そういうものを中の作業として充実をしているということはできると思います。
それから、2つ目、特定のやり方なんですけれども、これは、今経済産業省でやっておりますのは、まず、先ほど申し上げましたとおり、事前評価として、とりあえず予算を要求するものについては全部総ざらい実績を評価する。あと、重点的に、これは3年から5年に1回、重点的な総合的な評価をするということになっておるわけでございますが、これはその年の政策の置き方、特に見直しの法律、あるいは政策の見直し時期が来たものについては、その政策評価のタイミングをうまく当て、なおかつ、重点的にやるということで、若干3〜5年の事後評価のサイクルを少し前倒しをしたり後倒しをしたりということで、政策評価のリソースをうまく充てるようにしているということでございます。
それから、重要政策の見直しに対する工夫ということでございますけれども、これは、もともと経済産業省では、どちらかというと新政策という新しい政策をつくるというところが非常に力を充ててやってきたという歴史がございまして、そういった中で、政策評価をうまく使って、時代に合わなくなったものをうまくやめていくというふうに、省内のプロセスとしては使っているという感じでございます。
○ 金本分科会長
よろしゅうございますか。
○ 高木臨時委員
今御説明いただきましたのは、省の中においてのプライオリティをつけるという意味合いでお話しいただいたのかなというふうに思うんですが、あと、内閣の重要政策との関連ということではいかがかということなんですが。
○ 波多野政策評価広報課長
内閣の重要政策との関係で申し上げますと、今のプロセスで申し上げると、経済財政諮問会議の骨太の作成過程、あるいは、その中で議論されているもの、こういったもので重点的だと言われているもの、あるいは、そういうところで重点的でないと指摘されているもの、こういうものは、その議論と併せて、経済財政諮問会議は経済産業大臣も常設メンバーとして出席しておりますので、そういったことで、かなりフィードバックは早いと思います。したがって、そこに精力を集中するために、かなり時代に合わなくなってきたものについての、やめるという圧力もかなり強く受けているというふうに認識いたしております。
○ 金本分科会長
よろしゅうございますか。では、牛尾委員、どうぞ。
○ 牛尾専門委員
今回、政策評価に関わる政策体系の整理・見直しということで、26政策が6政策、107施策が34施策という形に整理がされたというふうになされているんですけど、どういう視点でされましたか。つまり、重要施策とか時代に合わないものを切り捨てましたよというお話はされていますけど、これを見ますと、17年度分というのはかなり具体的な細かい項目が入っていて、それをただ単に大項目に落としただけではないかというのが一見した感想なんですけど、いかがでしょうか。
○ 波多野政策評価広報課長
これは、はっきり申し上げまして、107が34に、3分の1に減りましたということではございませんで、集約化したということでございます。以前の政策評価のプロセスで申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、107の施策のうち、この施策を1つ丸ごとやめるかどうかというのを大議論をしていたというのが従来のプロセスでございまして、それを、もちろん施策がなくなったというのは、外向けには非常にわかりやすくて、これは過去、経済産業省が平成14年に設定したときに130ございまして、それが若干の見直しの中で、107まで減っていったんですけれども、毎年幾つか施策として消えていくものがあるという、これは外向けには大変わかりやすかったんですけれども、一方で、予算とその施策、項と政策評価を一致させるというプロセスを考えますと、項が毎年なくなっていくという予算体系というのも非常に考えづらいものでございますので、そういったことで集約化をしたというのが1つでございます。
併せまして、集約化したというのは、大体3つが1つぐらいになったというイメージでございますが、その中で、今度は施策の中でプライオリティ付けをして、この中で、この部分はやめる、あるいはこういった部分は延ばすという、完全にやめるかやめないかという議論ではなくて、中のリシャッフル、あるいは集約化、そういったようなことに議論が少し移ってきているというのが、今回の政策の体系を見直した結果でございます。
○ 金本分科会長
では、新村委員、どうぞ。
○ 新村委員
関連で。私もそこに、評価の単位をちょっとお伺いしたいと思ったんですけれども、要するに、34にしますと、1つの施策の中に事業がたくさんあるわけですね。そのときの評価の単位というのは、施策のレベルでまとめて、今おっしゃったリシャッフルというのを、その中でのプライオリティをつける形で評価をしている、そして、実際の評価は、個別の事業を全部評価しているという理解でよろしいでしょうか。
○ 波多野政策評価広報課長
まず、実際のプロセスを申し上げますと、事前評価の段階で、これは単年度予算でございますので、すべてが施策単位で出てまいります。お手元のほう、部数が足りなくて恐縮でございますが、事前評価書というものの中に、施策の全体の目的のほかに、後ろのほうに付表がございまして、個別予算が全部列挙してありまして、なおかつ、終期を設定してございます。したがいまして、その終期が来たものについて、個別の審査にかかっていき、終わるものは終え、必要なものが出てくるという形でございまして、どちらかというと、古いものが倒れていき、必要な分野で新しいものが生まれていくという、そんなスタイルになってございます。
○ 新村委員
期限が来たものは、その予算の単位で評価をすると。
○ 波多野政策評価広報課長
はい、そうなります。
○ 新村委員
そのときに、評価する基準というのが、施策の単位での目的、目標という理解でよろしいですか。
○ 波多野政策評価広報課長
そういうことでございます。
○ 新村委員
わかりました、ありがとうございます。
○ 金本分科会長
それでは、谷藤委員、どうぞ。
○ 谷藤臨時委員
高木委員の質問に関連いたしますが、ここで挙げられている重要政策は、例えば、内閣における施政方針演説、骨太の方針とどのようにかかわるのか。それとも、それらとは関係なく、経済産業省自体が重要施策として位置付けたものなのか。つまり、重要政策の振り分けは、どのように行われているか。もう1つは、それに関連しますが、重要政策として位置付ける際の対象選定作業はどのようになっているのか。その際の目標設定作業はどこでどのようになされていますか。この2つをお聞きしたい。
○ 波多野政策評価広報課長
まず、前者でございますが、重要政策は、経済産業省の重要政策か内閣の重要政策かということでございますが、基本的に経済産業省というのは、極めて予算、特に一般会計予算の小さな役所でございまして、内閣の重要政策で位置付けられないものについて、基本的に億単位の予算がつくということはほとんどあり得ない世界でございまして、実際、私も既に2回ほど事前評価作業をやっておりますけれども、その段階で、閣議決定に記載があるかどうかというのは、事前評価書の中でチェックをいたしてございまして、そこで明確な記載のない、もちろん何らかの将来の施策の勉強代のようなものはございますけれども、大きな予算としては設定してこれない、したがって、評価としては内閣の重要政策、閣議決定レベルで見ているということでございます。
それから、2つ目のは、重要政策の選定方法ということでよろしゅうございますか。
○ 谷藤臨時委員
はい、主に対象選定作業と言われるものですね。
○ 波多野政策評価広報課長
まず、施策としては、一応担当部局に施策の自分の目標、それから指標を設定させて、官房の会議に持ってこさせております。そこで、査定側といいますか、会計部局、それから政策評価部局で過去の政策の継続性、それから、現在の経済の状況を踏まえて、その指標が適切であるかどうかというのを逐一チェックをして、修正指示を出し、意味のないものは取り下げさせ、意味のあるものが再提出があれば、それを入れてやるということで、目標設定も、当然ながら、一緒に見てございます。
○ 金本分科会長
田中委員、どうぞ。
○ 田中専門委員
今までのことに関連するんですけれど、その評価の対象選定はどのようにしているのか、そこに大臣等によるトップダウンによる指示があるのかといったことをお聞きしたいんですが、例えば、工場等規制法なんかは、もっと早い時期に見直してもよかったのではないかと思うんですね。そういったことに対しての、優先順位なり、見直しについての、どこかでそういう指示がトップダウンで来るとか、チェックが必要なのか、下から上がってくるのか、その辺をお聞きしたいんですけれど。
○ 波多野政策評価広報課長
まず、評価の対象といたしまして、いわゆる要求ものですね。予算、税、財と、こういった要求ものについては、すべからく査定段階で審査を経ることになっていますので、もちろん重点というのは、特によく見るというのがございますが、漏れがあるということではなく、全部見ているというのが体制でございます。
それから、もう1つ、トップダウンの指示があれば、当然、実施をするということでございます。それから、予算要求を伴う政策ですと、これは要求というプロセスを経て、評価に極めて早く引っかかってくるんですけれども、予算に必ずしも関係しない法規制のようなものは、今の実施体制の中では必ずしも早い段階でチェックが来るということにはなってございません。これは今後の課題だと思っております。
○ 金本分科会長
よろしゅうございますか。そろそろ時間でございますが。
○ 新村委員
重要政策との関連なんですけれども、評価をするときに、多分、他省庁にまたがるような大きな目標が重要政策として掲げられているものがあると思うんですね。ITでございますとか。そういうときに、大目標に即した評価みたいなところまで評価書で踏み込んでおられるかどうかを、伺いたかったんですが。
○ 波多野政策評価広報課長
政府の中で、ITでありますとか、そのほか幾つか、いわゆる政府レベルの閣僚会議に係るようなものというのは、経済産業省の独自の予算財政制度だけでは、必ずしもその全部が評価はできませんので、経済産業省の中の体制として実施しておりますのは、経済産業省が実施している部分、それが大目標に沿っているかどうかという目で評価はしておりますけれども、それによって大目標が全部できるかどうかというのは、これは内閣で別途閣僚会議などありますので、そちらで御評価いただいているということだと思っております。
○ 新村委員
省内での評価では、どの大目標にどれだけ貢献するかというような視点で、明示的には評価をなさらないということでよろしいですか。
○ 波多野政策評価広報課長
大目標に資しているかどうかという意味では、大目標は、当然、経済産業省の施策の目標に掲げてございますので、そういった目では評価をしてございます。ただ、経済産業省の施策だけで大目標が達成できるかどうかというのは、残念ながら、そこまでは評価ができません。
○ 新村委員
1つ、私、よくわからなんですが、主計局が今評価調書を要求していますね、予算査定のときに。そういうときに、その大目標との関わりを、エンに対する説明責任というんでしょうか、そういうようなものを要求されておられるでしょうか。
○ 波多野政策評価広報課長
今、実務的に、財務省に提出いたしますときに、これは若干重複感があるんですけれども、総務省に提出いたします事前評価書を、今まで予算と政策評価の体系が違うもので、若干加工したものとして、いわゆる事前評価の中身を財務省に届け出るという形で、そこに記載をして、提出をいたしております。
○ 新村委員
そのときに、要するに、政府全体の目標というものを考えることを要求されるかどうかというのを知りたかったんですけど、そこまではいかないのでしょうか。
○ 波多野政策評価広報課長
趣旨としては、要求されていると思います。実務としては、政府全体の目標のその部分が、経済産業省の各施策の目標に入っていますので、そこに合っているかどうかという観点で事前評価書を作成いたしますので、結果的には同じことになっていると思います。
○ 新村委員
ありがとうございました。
○ 金本分科会長
そろそろ時間でございますが、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、波多野課長、ありがとうございました。
あと、追加の質問がございましたら、文書等でさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○ 波多野政策評価広報課長
はい。
○ 金本分科会長
それでは、引き続きまして、文部科学省の木村政策課評価室長から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○ 木村政策評価室長
木村でございます。御説明申し上げたいと思います。
文部科学省における政策評価の取組について、まずお手元の配付資料に基づき、御説明申し上げたいと思います。
文部科学省の政策評価の基本計画の概要というのがございます。これは政策評価法に基づきまして、文部科学省の政策評価の基本計画として策定しているものと、これに基づいて、我が省では、その政策評価について着実な推進を図っていこうというものでございまして、この基本計画のもと、毎年度の実施計画を定めて評価を行ってございます。
計画期間につきましては、3年間ということでございまして、政策効果の把握につきましては、できる限り定量的に把握することとして、これが困難であるような場合については、定性的に把握する手法を用いるということでございます。
評価にあたりましては、学識経験者等を構成員といたします「政策評価に関する有識者会議」を開催し、助言を得ているところでございます。
評価結果につきましては、予算要求、あるいは法令等における重要な情報として活用して、政策に反映するとともに、インターネット等を使って公表しているという状況でございます。基本計画のおおよその概要でございます。
そして、その次の3ページ目でございます。政策評価の実施体制についてでございます。意思決定の機関といたしまして、事務次官をヘッドといたします政策評価会議というものを設置してございます。そして、先ほどもお話しいたしました政策評価に関する有識者会議ということで、助言機関として設置しておるところでございます。また、日常的な実施体制といたしましては、政策評価審議官というのを中心といたしまして、官房の政策課の評価室において処理をしているというような実施体制となっているところでございます。
そして、4ページ目でございます。具体的な政策評価のあり方についてということで、政策評価の3方式ということで、これらを組み合わせて、政策評価を我が省では実施しておるところでございます。
1ポツにある実績評価方式というところで、「文部科学省の使命と政策目標」というペーパー、これは5ページ目にございますが、9つの政策目標と45の施策目標を定めておるわけでございますが、こういった政策目標の実現に向けて、前年度に取り組んだ施策全般を対象として評価を行っておるということでございまして、当省では実績評価方式ということで、当省のほぼすべての施策を網羅して評価を行っているという状況でございます。
また、事業評価方式ということでございます。これにつきましては、次年度予算において新規拡充事業というもののうち、社会的影響または予算規模の大きいものを対象とするということでございまして、これも予算主要事項に記載するようなものは必ず事前評価を実施するということでございまして、事業ベースにおきましても、当省では主要事業はほぼすべて政策評価を実施しているという状況でございます。
さらに、総合評価方式という形で、深掘りをして評価を行うべき課題を選定いたしまして、実施計画においてテーマを定めて評価を行っているものでございます。
これらの政策評価の方式を相互に連携させて、有機的に機能させていくことが重要であろうということで、4ページの下に書いておるように、実績評価を行った結果、機動的に対応すべき事項・課題等が抽出されれば、事務事業として具体化するための事業評価を行うということとともに、より精緻な分析を要する問題が抽出された場合、総合評価を行うということで、問題点の所在と原因の特定を行うというような、そういう実績評価、事業評価、総合評価と、この3つの方式を連携させて政策評価に取り組んでいるというところでございます。
5ページ目につきましては、先ほど申し上げたところでございます。
それで、今回、6ページ目でございます。特に総務省からお問い合わせがございました、重要政策に関する評価ということについてでございます。
これにつきましては、来年度の計画におきまして、実績評価として、18年度の政策評価を行うということを予定しておるわけでございまして、その中でも、この重要政策に関する評価ということも実施する予定でございます。また、社会的影響の大きい政策につきましては、事業評価方式においても事前評価を実施するということをしてございますので、この中で、重要政策についても評価を行うという予定でございます。
それと、評価対象の選定のプロセスでございますが、これにつきましては、重要政策以外のものも含めまして、次年度の政策評価の実施計画を策定する際に、有識者会議において御意見をいただいて、また、先ほどお話ししました政策評価会議におきまして実施計画の内容を審議し、最終的には文部科学大臣が決定するというプロセスを経て、選定対象を決めているというところになっている状況でございます。
次に、具体例のことでございますが、7ページ目でございます。重要政策に関する評価についての具体例として、一昨年、162回国会において総理の施政方針演説にございましたスポーツの振興についてでございます。こちらにつきましては、実績評価におきまして、生涯スポーツの社会の実現というものと、我が国の国際競技力の向上ということについて評価をいたしました。特に国際競技力の向上というものにつきまして、さまざまな角度から分析を行う総合評価という形で実施いたしまして、これらの評価結果を踏まえまして、当省で5年ごとに定めておりますスポーツ振興基本計画、これの見直しにも反映をさせたということで、具体的には一貫指導システムの早期構築でございますとか、ナショナルトレーニングセンターの整備推進といったものにも反映をさせているところでございます。
また、関連施策として、事業評価におきまして、ナショナルトレーニングセンターの競技別強化拠点施設高機能化事業というようなことで、19年度新規・拡充事業といたしまして、評価を実施し、予算等への反映を行ったというところでございます。
このような形で、実績評価、事業評価、あるいは総合評価ということを、特に重要政策について連携させて行う、そういう例もあるところでございます。
それで、8ページ目、最後のページでございますが、政策評価を進めていく上での課題といいますか、政策評価のマネジメント・サイクルということでペーパーを用意してございます。マネジメント・サイクルの着実な定着ということを考えた場合、プラン、ドゥのところはもちろでございます。従前、ともすれば、自戒を込めて考えると、役所はプランとかドゥの部分に専念してきたというところで、最近、やっとチェックの部分も充実してきたのかなと思っているところでございますが、特にCからAに向かう部分というところ、まだ課題もあろうかというふうに感じてございますが、この表でも書いてございますように、CからAのところに向かうところ、評価結果の分析、あるいは目標の見直し、あるいは結果の公表等ということを通じて、評価結果を見直しに不断につなげていくことが重要なのかなと。各省ごとの取組結果でございますが、この評価委員会の先生方の御指摘も賜りながら、取組を進めていきたいと思ってございます。
以上、非常に簡単でございましたが、概要でございました。
○ 金本分科会長
どうもありがとうございました。
それでは、意見交換に移りたいと思います。どなたからでもよろしゅうございますので、お願いいたします。
○ 谷藤臨時委員
それでは、基本的な情報を知りたいのですが、平成17年度ないしは18年度に重要政策として位置付けられたものは、どれぐらいの数になっておりますか。
○ 木村政策評価室長
政策の数でございましょうか。
○ 谷藤臨時委員
はい。
○ 木村政策評価室長
今現在において手元に資料がございませんが、当省関係でございますれば、先ほど言いましたようなスポーツでございますとか、あるいは文化でございますとか、あるいは教育の問題、教育再生の問題もそうでございます。そういったものが幾つかございますので、そういったものを評価をして、推進を図ってまいりたい、そういうふうに考えてございます。
○ 谷藤臨時委員
重要政策の選定作業の際に、例えば、内閣における施政方針演説、あるいは、例えば、骨太の方針の反映状況というのはどのようになっているのでしょうか。さらに、文部科学省が独自に重要政策として位置付ける場合の、選定作業のプロセスはどのような形でなされておりますか。
○ 木村政策評価室長
当省におきまして、まず反映状況を調べる際に、網羅的にすべてやっておるところでございまして、先ほどの文部科学省の使命と政策目標という紙、5ページ目にございましたように、非常に網羅的となってございまして、その中で、施政方針演説でございますとか、骨太の方針というところで御指摘いただいたものも多々ございます。また、相互に関係するものもございますので、そういったものを、特に実績評価という形を中心といたしまして、評価を行って、なおかつ、政策への反映状況ということも調べるわけでございまして、今回、まさしく評価の反映状況も取りまとめておるところでございますが、すべての施策において反映をしているという状況になってございます。そういうことで、施政方針演説、あるいは骨太の方針等での指摘事項については、そういった対応をさせていただいているところでございます。
また、独自の重要政策という形でございますが、全く施政方針演説、あるいは骨太の方針と離れるというよりも、むしろ、先ほど言いました教育再生でございますとか、あるいは文化芸術でございますとか、あるいは新健康フロンティアの関連のようなスポーツであるとか、食育であるとか、いろんなものを御指摘いただいて、当省に非常に関係するものばかりでございまして、そういうものもございまして、全くそういったものと離れた独自政策を決定しているということは必ずしもないのかなというふうには考えてございます。
○ 谷藤臨時委員
重要政策の政策評価を行う場合に、目標設定が大変重要になると思います。重要政策の場合の目標設定は、どのような形でなされていますか、その際に、政策評価を、どのような形で活用しておりますか。
○ 木村政策評価室長
これはまさしくいろいろでございます。重要政策の目標設定におきまして、例えば、教育の分野であれば、まさしく今般、教育基本法が改正されまして、今後、教育振興基本計画というものを策定しようという形になってございます。これはまだこれからでございますので、まだ具体の目標は設定されておりませんが、そこでその目標が設定されれば、当然それに応じて政策評価を行い、また、その実績はどうなっているのかということを調べないといけないだろうというふうに考えてございます。
また、当省において科学技術の分野を所管しているわけでございますが、これについては、御案内のように、科学技術基本法に基づく科学技術基本計画もございます。この中で5か年の計画の目標内容が示されておるわけでございまして、その中でも当省関係のものというものを取り出してきて、それを特に実績評価という先ほどの政策体系に沿って評価をさせていただいている。その中では、具体の達成目標もすべて判断基準を置いて、その上で、現在アイウエという形で、この4段階で評価をしているところでございますが、具体的にはそういったところでみているというところでございます。
また、当省の所掌範囲でいけば、文化ということであれば、文化も基本方針というものを、文化芸術振興基本法に基づいてつくってございますし、スポーツも、スポーツ振興基本計画を定めてございます。そういったところにある基本計画上の目標、あるいは数値目標もございますが、そういったものを踏まえて、当省関係分のものについて抽出をし、先ほど申し上げた実績評価の中で目標を具体に設定して、政策評価に取り組んでいるというところでございます。
○ 金本分科会長
よろしゅうございますか。では、牛尾委員、どうぞ。
○ 牛尾専門委員
実は、私、昨年の6月まで県の教育委員をやっていたんですけれども、やっぱり今国民にとって、文部科学省がカバーする範囲が、国民の興味あるいは関心が非常に高い分野だと思うんですね。その中で、政策評価会議をやって、選定プロセスにおいて内容を審議しているという話がありましたし、あと、政策評価に関する有識者会議をやっているというのは、これは別個の別立ての組織ですか、それとも、一緒のものですか。
有識者会議があって、あともう1つ、政策評価会議という事務次官が議長の会議があるのでしょうか。
○ 木村政策評価室長
別でございます。
○ 牛尾専門委員
別立ての組織。
○ 木村政策評価室長
はい。要は、その政策評価会議というのは、文部科学省内に置かれている組織でございまして、そこで意志決定を行うと。もちろん授権している範囲については、文部科学大臣決定の基本計画ないしは実施計画で定めてございます。おろしているものについては、例えば、政策評価の反映状況などは、政策評価会議で決定する。あるいは、基本計画、実施計画は、大臣まで上げて決定をするというような、いわば内部の処理機関でございまして、もう1つ、有識者会議につきましては、外部の有識者の先生の方、教育の分野であれば、いろいろ教育関係の方であったりとか、あるいは、科学技術・学術の関係であれば、大学の研究者の方であったりとか、あるいは、民間の経営者のような観点から見ていただいたりとか、そういった外部の有識者の方にお集まりいただいておりまして、そういった基本計画、実施計画を御審議いただく際に、御意見をいただいて、こう直したほうがいい、こういうのを目指したほうがいいのではないか、こういう目標設定の仕方がいいのではないかとか、いろいろ御意見をいただいているところでございまして、具体の基本計画や実施計画の策定の際にも御意見をいただきますし、なおかつ、実績評価、あるいは事業評価の評価書を取りまとめるというときにも、有識者の御意見をいただいた上で、必要な修文なりをして取りまとめ、公表している、そういうことでございます。
○ 牛尾専門委員
そういう形で外部の方の意見を取り入れていると。では、そうなった場合、政策評価をして、文部科学省では、その政策が改善されていく、あるいは変わっていく場合、その改善の状況とか変化の状況というのを、特に国民の関心の高い分野だということで、どういう形で国民にわかりやすくその結果を示す努力ないしは工夫をなさっているかというのをちょっとお聞きしたいんですが。
○ 木村政策評価室長
先生に御指摘いただいたのは、非常に重要な点だと思っております。当省におきましても、特に教育、文化、科学技術、スポーツ等非常に国民に近い行政だと思っておりますので、これまでも政策評価をした際に、その結果を報告書という形で取りまとめて公表させていただいておりましたが、今後、できるだけ国民にもわかりやすいような情報提供が必要だろうということを省内でも議論しておりまして、意思決定をまだしている状況ではございませんが、今後は、よりわかりやすいような評価の概要なり、そういったものを作って、インターネットや、あるいはプレスリリース等も活用しながら、できるだけ、教育についてはこういう評価をして、こういう項目を政策への反映方針というようなことも評価書には書いてございますので、そういったことが国民に伝わるような形でできるだけ公表をしていきたいと思ってございます。
○ 金本分科会長
よろしゅうございますか。では、新村委員、どうぞ。
○ 新村委員
評価の御担当者として、率直に言って、政策評価というのが、先ほどお示しいただいたマネジメント・サイクルの中で極めて枢要な地位を占めるようになってきたかと思われていますでしょうか。5年経ちまして、たしか3年ぐらい前にもヒアリングをいたしまして、そのときに何となく評価と意志決定が別立てになっているような感想というのが、特に評価担当の方にあったと思うんですね。その辺のところを率直にお教えいただけないか。省内での意志決定において、この評価結果が、これを土俵にして皆様が議論されるというような場があるのかどうか、されているのかどうかというようなところをお教えいただけますでしょうか。
○ 木村政策評価室長
これはまさしく我々が強く問題意識を持っているところでございます。評価を幾ら精緻にしても、もちろん評価すること自体も非常に重要なのでございますが、やはりPDCAという中で見ると、それがやはり見直しというところに、政策に反映していかないと、どうしてもためにするといいますか、評価のために評価をしているというような形になってしまいますので、そこは我々もいろいろ改善を図っていかないといけないと考えるところでございます。
省内におきましても、例えば、予算、あるいは機構定員要求、いろんなことがございますが、そういった策定作業におきましても、できるだけそういう政策評価の結果ということを反映させようということで、従前はあまりやっていなかったのですが、今は官房ヒアリングということで、官房の総務課、あるいは会計課、あるいは、まさしく評価を担当しているこの評価室というところが一緒になって、新規事業等につきましては、主要事項をすべてヒアリングをして、内容を聞いています。その上で評価をして、具体の予算要求等への反映に当たっての改善ポイントについてお示しをしたりするなど、省内でもそういう予算策定作業にあたって、政策評価が活用されるという体制は大分できてきたのかなと思ってございます。
そういう意味で、先ほど3年前に文部科学省からそういう話があったということでございますが、若干は進展しているのかなと思っておりますが、それは十分かと言われると、十分とも思ってございません。まだまだ、やはり政策評価という枠組みの中で、必ずしも結果がダイレクトに反映されるところと、そうでないところもやはりございます。そういったことについて、予算の、例えば省内での策定作業はまだしも、一方で査定作業があったりとか、一歩外に出て、また制度官庁、あるいは査定官庁の中でいろいろそういう議論があるところでございますので、そういったところでの政策評価ということを十分御活用いただくというような、政府全体の中でのそういう環境醸成もしていく、といいますか、そうなれば我々も非常にありがたいなとは思っているところでございます。
まだまだ完全だとは思ってございませんので、まさしく御指摘等いただきながら、お教えいただきながら、改善していきたいなと思ってございます。
○ 新村委員
関連してではございますが、文部科学省も、中教審とかいろいろ審議会を抱えておられまして、そういうところで大きな基本方針をお決めになるような仕組みをとらえていると理解しているわけでございますが、そういうときに、例えば、過去の政策の評価というようなものを、資料としてレビューというようなものを提供なさったりというようなことはやっておられますでしょうか。
○ 木村政策評価室長
個々の審議会の中での資料の扱い方は、そこはまさしく各担当課においてやられてございますので、評価担当の方からまとめて、こういう資料を使ってくださいという形でやっておりませんが、基本的に政策評価を行う際に、先ほど言いましたように、基本的に網羅的にやってございます。例えば、初等中等教育の分野でございましたら、例えば、たしかな学力向上という観点について政策評価をやってございます。それについても、例えば、国際的な学力調査の中で、我が国子供たちの学力の低下の傾向があるのではないかとか、そういうようなものも評価もしてございます。そういったことも踏まえながら、では学力向上に向かって、あるいは意欲の向上に向かってどういったことをやっていくのかということを、中教審においても御議論いただいているので、その意味で、政策評価をダイレクトに素材にしているかどうかは別といたしまして、政策評価で扱っている内容を踏まえて中教審で御議論いただいて、その改善策ということを、まさしく今でも御議論いただいている最中でございますが、そういうことをしていただいているのかなというふうに考えてございます。
○ 金本分科会長
高木委員、どうぞ。
○ 高木臨時委員
確認ですけれども、資料の4ページに、事業評価には事前評価としか書いてないんですけれども、事後評価もやっていらっしゃるんですよね。
○ 木村政策評価室長
恐縮でございます。御指摘いただいたとおりでございまして、ちょっとこれは簡略化しすぎでございまして、事業評価の場合は、事前評価を中心としてございます。ただ、それ以外にも、達成年度到来事業でございますとか、いわゆる骨太方針で言うところの政策群というようなものについて、一部事業評価という形でやっているものも、今年度であれば3事業ほどございました。基本的には事前評価を中心に事業評価をさせていただいているという形になるかと思います。
○ 金本分科会長
よろしゅうございますか。
○ 谷藤臨時委員
やや具体的なことになりますけれども、重要政策の見直しということに関して言えば、これまで、「ゆとり教育」ということが文部科学省で実施されてきたんだろうと思います。そうした重要政策の見直しにあたって、「ゆとり教育」そのものについての政策評価、総合的な政策評価は実施されたのでしょうか。さらに、そうした政策評価が、中教審などの政策形成に反映されているのでしょうか。
○ 木村政策評価室長
そこにつきましては、政策評価というトラックでもちろんやってございますが、政策評価の中でも、先ほど言いました、例えば、ゆとり教育というような切り口では必ずしもないかもしれません。そのゆとり教育自体が、文部科学省として使っている言葉ではございませんでしたので、学力の向上とか、豊かな心であるとか、健やかな体の育成という知徳体の育成を図るというのが、我が省における言い方であろうかと思いますけれども、そういった中で、例えば、学力の面で言えば、国際的な学力調査の成績が下がっているだけではなくて、意欲も各国と比べて非常に低いとか、そういったところが問題であるということを検証した上で、ではどういうところを改善していくのかということも検討しておりますが、一方で、中央教育審議会の中におきましても、そういったさまざまなデータに基づいて、まさしく有識者の方々ではございますが、御議論いただいて、ではどういったところを改善していくのかということ、もちろん、教育再生会議というような場も今ございますが、そういった中で、そういったデータに基づいて御議論いただいていると認識しております。
○ 金本分科会長
よろしゅうございますか。
そろそろ時間でございますが、何かよろしゅうございますか。では、田中委員、どうぞ。
○ 田中専門委員
政策目標と施策目標との間にかなりギャップがあるというような感じは、担当者として感じられますか。実は、スポーツの振興ということの中で、施策が3つ出ているんですけど、これでスポーツの振興が図れるんだろうかというふうに私は単純に思うんですけど。
○ 木村政策評価室長
なかなか難しい御指摘をいただいたと思いますけど、もちろん大きな政策目標は今9つ設けて、その下に合計45の施策目標を設けておりますが、基本的には、それぞれの政策目標を実現する上での、当省として、具体に細分化された目標として、政策目標ということがある程度網羅されているという形で置いているつもりではございます。
御指摘いただいたスポーツの振興というところについては、1つ大きく分けると、競技力の向上という、競技スポーツという、ある意味、頂点のところを高めていこうというところと、もう1つは、子供から大人まで裾野の広い生涯スポーツの振興を図っていこうという、そういったところが2つあるだろうと。その上で、もう1つは、学校教育の中でやっていく学校体育があるでしょうということで、この3つに分けておるところでございます。
ではスポーツの振興をこれで全部図れるのかどうなのか、今のところ我々は図れると思って一応置いているわけでございますが、今後またその政策評価体系も見直していきますので、そういった中で、いろいろな御指摘を踏まえながら、ギャップがあるのかないのか、もちろん、あれば埋めていくような作業は必要だと思ってございますので、この表現も含めて、詳細にいろいろ考えていきたいと思ってございます。
○ 田中専門委員
個人的な意見ですけど、スポーツ、今日本には興行と体育会しかないな、すき間が随分空いているなというのが私の実感です。そういう声もあったと思ってください。
○ 金本分科会長
時間も過ぎておりますので、これまでにさせていただきたいと思います。
木村室長、御出席いただきまして、大変ありがとうございました。本日の御説明、今後の審議に生かしたいと思います。あと、今、時間の関係で御質問ができなかった委員がおられると思いますので、後日、事務局を通じて御質問させていただきたいと思います。その場合は、文書で御回答をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
続きまして、厚生労働省の中島政策評価官から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○ 中島政策評価官
こんにちは、厚生労働省の政策評価官の中島でございます。よろしくお願いいたします。
私どもからは、厚生労働省における政策評価の流れについて、概要を御説明申し上げた後、重点評価課題をどのように選定しているのか、そして、重点評価をした結果をその後の政策にどのような形で反映しているのかということについて御説明いたします。
お手元にお配りしております資料1、資料2、資料3でございます。説明にあたりましては、参考資料1と参考資料4も適宜御参照いただきながら御説明いたします。
まず資料1でございます。「厚生労働省における政策評価の流れについて」ということで、私どもの政策評価官室におきまして、厚生労働省の政策評価の取りまとめをさせていただいているということでございます。政策評価官室は、今回議論になっております政策評価と独立行政法人の評価、それから、私ども社会保険庁を持っておりますので、実施庁評価というもの、いわゆる広い意味での政策評価全般と、あと、厚生労働白書、それから、人文科学・社会科学にかかわります厚生労働科学研究費というものを所管しているということでございます。
私どもの部屋におきましては、基本的に5か年の基本計画と単年度ごとの実施計画を策定し、省内各部局に自己評価の評価書を作成させ、それを適宜フォローアップ、アドバイスをしていくということでございます。この度予算、決算との連携を強化するという方向でございますので、私どもの大臣官房会計課とも密接な連携をとっていくということでございます。そして、私どもの省の政策評価にかかわりましては、参考資料4の2ページでございますけれども、真ん中より右に「有識者会議」と書いておりまして、そこに書かせていただいております先生方から成ります有識者会議で、大所高所からの御意見をいただいているところでございます。
私どもの政策評価に関する基本計画は、本年度をもって第1期の5か年が終わるということでございまして、この4月から新しい第2期の基本計画ということでございます。簡単に第2期の基本計画のポイントだけ御説明いたします。参考資料1、政策評価の第2期計画のポイントということでございます。
1つが、政策体系を再整理するということでございまして、近年、この5年間のもろもろの制度改革を政策体系に反映させていくということでございます。(1)の2つ目の丸でございますけれども、近年、私どもの省におきます政策につきましては、政策そのものの中にプラン・ドゥ・チェック・アクションというサイクルを織り込むという形での政策手法をとった政策が増えております。今般の医療制度改革につきましても、医療費の適正化、医療機関の連携、それから生活習慣病対策、それぞれ計画で目標値を設け、それを5年間で実施していき、適宜ローリングして、そして、第2期の計画につなげていくというような形になっております。そういうものと整合性をとっていくということでございます。
それから、(2)でございます。施策目標ごとの指標設定ということで、3ページをお開きいただけますでしょうか。これまでの私どもの政策評価につきましては、ここに書いてございます個別目標ごとに目標を設定していたのが第1期の計画でございましたが、この4月からの計画では、その上位概念であります施策目標のいわゆる枝というものについても、可能な限り、これらをどれだけ具現化しているのかを表せる指標を設定するということに努めたところでございます。
それから、(3)でございます。達成水準の数値化というところでございます。私どもの行政、なかなか政策目標を数値化するということになじみにくい分野も多々あるわけでございますが、総務省の行政評価局から、各省庁の政策評価結果を比較すると、厚生労働省は、数値化の割合が低いのではないかという御指摘もいただいたものですから、今回の新しい計画では数値目標を可能な限り設定する、そして、それについてもアウトカム指標を設定するようにということで、各局と調整をして設定したということでございます。ここに数値を掲げてございますけれども、現行計画では数値化できているものが42%、アウトカム指標で目標を設定しているものが32%といったものが、それぞれ80%、50%になったということでございます。
それから、(4)でございます。これは各省と共通でございますけれども、予算・決算との連携強化ということでございます。
2ページでございますけれども、評価書様式の見直しやホームページというところで、いわゆる厚生労働省の政策体系及びそれにつながる政策評価結果の全体像を、国民の目から見てわかりやすく理解できるようにという形で、評価書の作り方、書式、さらにはホームページにおける掲載のやり方等について工夫をさせていただこうと思っているところでございます。
それでは、資料2でございます。重点評価課題に関する評価をどのようにしているのかということでございます。
資料2の右上でございますけれども、現行の基本計画におきましては、規定の書きぶりとしましては、事後評価の実施に関する事項というところで、各行政分野における計画などの改定や法律改正など主要な制度の変更を行う場合は、事後評価を実施するという形になっているわけでございます。これは13年に作成した計画そのままでございます。ただ、その後、17年末に閣議決定や省庁共通のガイドラインにおいて、内閣の重要政策に関しては評価を徹底するようにという政府全体の方針が出されたものですから、18年度より重点評価課題というものを選定して、評価を実施してきたところでございます。今年の4月からの新計画においては、この重点評価課題を基本計画の中で位置付けております。
すなわち、左の欄でございますけれども、事後評価の対象とする政策のうち、特に重点的に評価を行うべきものを重点評価課題とし、課題の選定及び評価にあたっては、審議会の答申や白書等による分析結果を積極的に活用することとしております。これにあたるものとして、施政方針演説等で示された内閣としての重要政策、骨太方針に基づき定められる政策群に位置付けられた政策、それから、我が省における主要な制度の新設・改定等を重点評価課題としているということでございます。
具体的には、その下でございます。ここについては、これまでもこのようなやり方でやらせていただきましたけれども、2月下旬に新年度における重点評価課題の選定を行い、所管部局と協議をし、そして、3月に入り、有識者会議におきまして、委員の先生方から御助言をいただいて、3月下旬に、新年度の実施計画として決定して、総務大臣に通知をさせていただいているということでございます。
19年度の重点評価課題を何にするかについては、現在取りまとめているところでございます。過去の重点評価課題につきましては、ここに書いているような形で、16年度、17年度、18年度、こうしたものを重点評価課題として、総合評価方式等で評価をさせていただいたということでございます。
資料3でございます。こうした重点評価課題、重要政策評価の結果が、具体的にどのような形でその後施策に反映されたのかということでございますけれども、基本的には、制度を大きく変えようとするときには、総合評価方式で、改めてこれまでの施策の総括をするというやり方で評価をしておりまして、政策評価をしたから何か新たな課題が出て、新たに何か制度改正をしなければいけないことになったという事例は、過去にはございません。ただ、この辺のテーマが大きな法改正を要するであろう、または、こういうところで大きく予算等を拡充していかなければならないだろうというものについては、データ、考察を深めて評価をした上で、法改正への反映、または予算要求への反映ということでやってきております。
ここには10ほど挙げさせていただいたところでございます。介護保険制度について、感染症について、それから公的年金制度についてが16年の評価でございます。介護保険につきましては、介護予防が重要だということが、要介護度の軽度な人が増えてきているということから浮かび上がりますので、介護予防に力を入れた法改正をしております。それから、2の感染症につきましては、高齢者等の発病しやすい人、さらには医療に従事される方で、その方が感染症に罹患すると患者さんに移るという2次感染のおそれがあるものについての施策が重要だということが浮かび上がってまいりましたので、結核予防法の一部を改正したということでございます。
17年度につきましては、男女雇用機会均等の政策評価、精神障害者問題の政策評価、その2つでございます。男女雇用の機会均等につきましては、新しい問題として、いわゆる女性の職場とされたところを中心に、逆に、男性であることを理由にして採用が拒否される例が出てきたことを踏まえて、改めて男女双方に対する差別的取り扱いの禁止を盛り込んだ法律案を策定したということでございます。精神保健福祉につきましては、精神障害者の方々の就労移行割合が低いということが浮かび上がってまいりましたので、障害者自立支援法の中で、就労支援を大きな柱としたということでございます。
18年度は、食の安全、アスベスト、感染症、公的年金、さらには確定拠出年金等でございます。食の安全につきましては、BSEの罹患の問題、さらには中国産の冷凍野菜に大量の農薬が残留していたということもございますので、そうしたことについて改めて点検を行い、輸入食品の検査費を拡充したということでございます。アスベストにつきましても、石綿を使用した建築物の解体工事につきまして、マニュアルを策定する、相談窓口を設置するといった対策につなげております。それから、また感染症が出てまいりますけれども、現在、感染症のワクチンについては、ニワトリの卵を培養基としておりますが、鳥インフルエンザの問題があり、また、ニワトリの卵にはある程度コストもかかる、さらには、開発に時間がかかるということでございますので、組織培養を用いた手法でワクチンを作成できないかという方向での予算要求が、感染症対策を政策評価する中で出てきたところであり、こうした制度改革、予算の拡充に努めてきたというところでございます。
以上、私からの説明でございます。
○ 金本分科会長
どうもありがとうございました。
それでは、意見交換に移りたいと思います。どなたからでも、お願いいたします。
○ 田辺臨時委員
何点かお伺いしたいんですけれども、第1点目は、こちらの重点評価課題に関する評価の点なのでございますけれども、17年度までは総合評価方式をとっていて、18年度以降、ほとんど重点評価というのは、これは実績評価方式で行っていると考えてよろしいんでしょうか。
○ 中島政策評価官
ここで書いているものは、基本的には、制度改革に伴うものについては総合評価方式で評価しております。ただ、既に施策としてやっていて、国会等における総理大臣の施政方針演説に取り上げられたものについては、実績評価方式で評価しているものもございます。そのような形で、事実上使い分けているところでございます。
○ 田辺臨時委員
その方針は、新しい基本計画の中でも変わらないと。
○ 中島政策評価官
基本的には、変えるつもりはございません。制度改革のときには、総合評価方式で評価していきたいと思っております。
○ 田辺臨時委員
わかりました。
2点目は、それとの絡みなんですけれども、他方で、実績評価は毎年着実にやっていて、制度改正があるときは総合評価という、ある種のレポートをばっとつくらないといけないとなると、かなりの負担で、現場からかなりある意味ではクレームが来ると思うんですけれども、そこら辺はどういう形で対応なさっていらっしゃるんですか。
○ 中島政策評価官
優しく説き伏せるということで対応しておりますけれども、実はそこが大きな悩みでございます。正直言って、先生がおっしゃるとおりでございます。特に制度改革を、厚生労働省はこの5年間やり続けてきたものですから、かなり評価を総合評価方式で評価しておりました。しかし、一方で、実績評価もコンスタントに実施していかなければならないので、政策評価疲れというものが各局にございます。したがいまして、今後はある程度政策評価の重点化を図りたいと思っておりまして、第2期の計画においては、当然、重点評価課題については、しっかりした評価、総合評価方式または実績評価方式で評価していきますけれども、そうでないものについては、2年に1度の評価という形で、評価の事務作業の負担軽減を図れないかということを考えております。
○ 田辺臨時委員
わかりました。
3点目は、この重点評価課題の選定プロセスの問題ですけれども、主要な制度の新設化が厚生労働省の場合には多いというのは、そのとおりだと思うんですけれども、ところで、こちらで基本計画の中での規定で、内閣としての施政方針演説等で示されるというのと、骨太方針で定める政策群に位置付けられるとかいうのになりますと、大体ほとんど政策を、ある意味では、自分のところが大切だというので、施政方針演説の中に押し込もうとするので、ほとんど置いちゃうと思うんですけれども。他方、重点評価の件数なんかを、過去の例を見ますと、そういうのはかなり絞り込んでいるという印象があるんですけれども、内閣の施政方針演説のこのアンブレラの中から重点方針のところをきゅっと絞り込んでくるというプロセスみたいなところは、どういう視点で――やり方は評価官室で選ぶということにはなっていると思うんですけれども、どういう視点で行っていらっしゃるんでしょうか。
○ 中島政策評価官
お答えになるかどうかわかりませんけれども、内閣の施政方針演説に盛り込まれる施策というのは、私どもは2パターンあると理解しています。既に施策としてしっかりしたものがあるものを強力に推進していくというパターンと、それから、こうした懸案があるので、制度の見直しを総合的に進めていくというやり方の、おそらく2パターンだろうと思います。
それで、既にある政策を強力に着実に推進していく場合については、実績評価方式で、こうした課題があるので、制度のあり方を抜本的に見直していくというものについては、総合評価方式で評価していくという形で、これまでは整理をしてきていたのではないかと思っております。
○ 田辺臨時委員
最後、私からもう1点なんですけれども、どの省庁でも、特に総合評価方式なんかを採用すると、コスト負担がかなり増えますので、それと審議会の議論というのを何とかしてうまく組み合わすことができないかというのを考えるんだろうと思うんですけれども、具体的には審議会の議論で、そこで提出された資料というのと、それから、総合評価で書いているデータとか資料とか一連の記述のベースになっているものとはどういう関係にあるんでしょう。全く別個の作業として行っているんでしょうか。
○ 中島政策評価官
基本的には、実施しなければいけない各部局から見ると、別個の作業でやっていたと思いますが、政策評価としてのレポートをまとめるにあたっては、おそらく審議会等での資料も適宜活用していたと思います。しかし、基本的には審議会は審議会の方法で、政策評価は政策評価としてのレポート作成をやっていたと思います。そこについては、第2期の基本計画の中で、どのような形で審議会と連携をして政策評価を実施していくのかということをある程度考えていかなければと思っております。その過程においては、資料2に書いてございますけれども、審議会の答申や白書による分析結果を積極的に活用して、ある程度政策評価の主要な部分が代替できるようなことにならないかと思っているというのが1つでございます。
それから、2つ目が、根本的には、政策評価が独立して存在するということではなくて、各局の施策の中にプラン・ドゥ・チェック・アクションがインボルブされているということが重要なんだろうと思っております。今の政策評価は、各局忙しい中で施策をやって、また別途政策評価官室から膨大な作業が来る、もう本当に疲れてしまうということが実態ですから、そういうことのないように、そもそも政策の中に計画を位置付け、それを確実にフォローし、そして評価をして、新たな計画や制度改正に結びつけていく、そういうサイクルをとれないかと思っております。
ですから、介護保険制度の見直し、それから、今度の医療構造改革についても、基本的な計画を国・地方が策定し、それをフォローし、見直していく中で、それをやることがいわゆる政策評価そのものになっていくのではないかと思っておりますので、今後そのような政策手法を、可能な限り採用していきたいと思っているところでございます。
○ 金本分科会長
そのほか、ございますでしょうか。
○ 牛尾専門委員
最後に1つだけ。御説明の中で、いわゆる定量化して業績評価するのは難しい分野が多いというような御説明があったと思うんですが、差し支えなければ、具体的な例をちょっと挙げていただければ。あるいは、重要施策の中で、この分野が難しいんですというようなお話だけいただけると。
○ 中島政策評価官
大変難しいのが、例えば、年金や生活保護という所得保障に関するものがございます。生活保護については、今後見直しをしていかなければなりませんけれども、生活保護制度をどういう観点から評価するのかということでございます。保護率の適正水準というものが果たして設定できるのかということがございます。生活保護の申請に対して、生活保護の受給要件に合致する方々に対して、効率的に正確に事務処理が行われるということは1つの評価にはなりますけれども、生活保護制度そのものがうまくいっているのかということを何らかの手法で出せと言われたときに、生活保護の受給率がこの程度を目指しますというものでもないんだろうし、ここまでに抑えますというものでもおそらくないんだろうというところもございます。
それから、年金についても、いろいろ御迷惑をおかけした案件はありましたけれども、裁定請求が出てきて、それを迅速に事務処理していくということは、数字として、特に社会保険庁の実施庁評価では評価していますが、年金そのものが国民の安心にどれだけつながっているかを数値で出せと言われても、これは難しいところがあるというところでありまして、ある意味で、政策そのものがうまくいっているという部分の評価指標と、政策を実現していく際の国民の皆さんとの関係の事務処理が円滑にいっているというところを、どのように評価できるのかというところに苦慮しております。
○ 牛尾専門委員
ありがとうございました。
○ 金本分科会長
そのほか、何かございますでしょうか。
○ 富田委員
資料3のところでも御説明があり、また、評価疲れというふうなお話もあったんですけれども、資料3のところでは、評価の結果を踏まえというふうにして、全部同じように書かれているわけですね。やはり5年間やってこられて、当然、この政策評価を導入したことによって、政策の変更とかがあり得るわけだし、また、そういうことがあったはずなんだと思うんですけれども、そういうことについて、評価担当官として、省内及び納税者である国民に対して、いろいろと御説明なさっていくことも大事だと思うんですけれども、そういう工夫はどのようになさっておられるのでありましょうか。
○ 中島政策評価官
実は、ここに書いているのは、「評価結果も踏まえ」でありまして、政策評価をした結果、何か新たな課題が出て、予想しなかった形で法改正や予算の拡充をしなければいけないという事例というのは、少なくとも、私の省ではこれまでなかったということでございます。政策評価作業の前の段階で、何らかの形で、制度改正が必要だということが、国会での審議、審議会等での御意見、統計調査、さらにはマスコミ等での論調で浮かび上がってきたということがございます。
したがいまして、基本的に今のままの制度で政策評価をすることで、新たな行政の課題が発掘されていくには、まだまだ時間を要するのかなと思っておりまして、先ほど申し上げたように、そもそも政策の中に政策評価のシステムを入れていくということをやっていかなければいけないのではないかと思っております。
○ 富田委員
さっきから標語のようにPDCAサイクルということをよく言われているわけでして、そのチェック・アクションというところに、やはり基本的に政策評価というのが果たすべき役割はあると思うんですけれども、そうすると、厚生労働省におかれては、あえてこういう仕組みを作らなくても、中の自浄作用と言ったらあれですけれども、いろんな評価のというか、仕組みがあって、うまく動いていたんだと。5年間は評価疲れであったと。そういうのでもあるんじゃないかという御指摘なんでしょうか。
○ 中島政策評価官
それは、もしそういう御理解を与えたのであれば、私の説明不足でございまして、決してそういうようなことではございません。ただ、大きな制度改革につきまして、チェックからアクションに行くところにおいては、やはりここは、チェックした結果をどのように評価をして、何を講じないといけないのかということは、私はやはり、関係する審議会でしっかり議論をいただくということを、これまでの厚生労働省においてはやっていたのだろうと思います。年金の改革、医療制度の改革もそうでございます。
ただ、政策評価というのは、実はそういう派手派手しいといいますか、抜本的な改革だけを対象としているものではございません。本当に地味な、またはルーティン的な作業が本当に確実に行われているのかということについては、私はやはり政策評価をすることによって、関係局も国民に対する説明責任なり、また、透明性が高まる意識なり、結果として出てきたのんだろうと思いますから、この5年間政策評価をやってきて、決して評価疲れだけで終わったというような認識ではございません。
○ 富田委員
大きな、大事な、極めて本質的な問題のような気が私はするんですね。例えば、政策評価の体系の中に、基本目標、施策目標、政策体系とある中に、例えば、今お話のあった生活保護を例に取れば、我が国民、どこに住んでいても同じような基準で生活保護が受給できるはずだというのが、多分、そういうのも政策の目標の中に入っているとすれば、例えば、よく言われる西高東低現象というか、そういうのはやっぱり問題だとして、政策評価で、なぜそこに問題があるんだろうかとか、そういうことは検討なさるとか、例がよかったかどうかは別にして。つまり、何もやったけど何も出てこなかったというのは、ちょっとどうかなと。
つまり、新たなことを決めるのは、それは審議会であり、国会であるとしても、やはり代替案をいろいろ比較するなり、あるいは地域ごとのことを比較するなり、やっぱり客観的に、これで本当に、この政策体系、我が省の業務はいいんだろうかということを自問自答するプロセスの中において、自己評価ですから、そういうのにもっと活用できたような気もするんですけれども、それはあまりないんですかね。
○ 中島政策評価官
そこは、実は、私どもに置いております政策評価に関する有識者会議において、いつも同じ議論が出ており、委員の先生方が大きく2タイプに分かれられるわけでございます。1つは、この政策が正しいのかということを議論するべきだということでございます。生活保護制度が本当に国民の安心に結びついているのかということ、このままでいいのかということを議論するべきだとおっしゃる先生方がいらっしゃいます。それから、そうではないんだとおっしゃるのが、東大の森田先生でございまして、政策評価に政策の正しさや適否を問うのは違うのではないかということでございます。決められた政策が、いかに正確に効率的に行われているのかということこそ議論すべきなので、今の生活保護制度の立て方がいいのかどうかということについては、それはまさに民主主義プロセスで決せられることではないかということでございます。我々事務局としては、どちらのおっしゃることも一理あると思うわけでございます。
○ 富田委員
ちょっと長くなってすいませんけれども、僕は、今、森田さんがおっしゃったようなことだと僕自身も思うんですよ。ただ、その際に、行政というのはやっぱり公平に行うことが大前提にあるわけですよね。では、地域間格差というのがどこに原因があるとか、それは政策評価をしなくてもいいのかもしれないですけれども、例えば、そういうときに使えるのではないかということね。
それと、担当官になられたら、これは絶対我が省のために何かいいことになるはずだと思って、いろいろ頑張られると思うんですよ。だから、そのときに、多分、何代かやってこられて、それでも何もないというのはちょっと。
○ 中島政策評価官
何もないと申し上げていると受け取られるのであれば、私の説明不足でありまして、何もないと申し上げているのではなくて、まだまだ政策評価については手法の確立というものがいるのであうし、まだまだ我々自身慣れないところもあるということでございます。それから、そもそも政策評価が一体何を評価するのかについて、少なくとも私どもの有識者会議等においても御議論があるということでございます。
ただ、政策評価をしっかりしていくということが、制度改革に向けて、自分たちの考察を深め、現状を客観的に認識するという点では役に立ってきておりますし、そして、国民に対する説明責任や透明性にも貢献してきたということについては、私どもしっかり認識しているつもりでありますが、やっていてもうひとつしっくりいかない部分があるという本音の部分を少し申し上げたということでございます。
○ 金本分科会長
大分時間を超過しておりますので、これまでにさせていただきたいと思いますが、政策評価という言葉は、日本ではかなり大ざっぱに使われておりまして、いろんな意見が全部入り得るものかと思います。政策評価の中にいろんなやり方、いろんな目的のためにやるものがあって、それぞれをどういうふうにうまく使っていくかというところは、御指摘のとおり、まだこれからいろいろ改善の余地はあろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
どうもきょうはお時間をいただきまして、大変ありがとうございました。
○ 中島政策評価官
どうもありがとうございました。
○ 金本分科会長
あと、時間の関係で御質問できなかった委員の方々から追加の御質問が出るかと思いますので、その際はよろしくお願いをいたします。
では、どうも、大変ありがとうございました。
○ 中島政策評価官
どうも失礼いたします。
○ 金本分科会長
続きまして、総務省の岩田政策評価広報課長から御説明をいただきます。よろしくお願いをいたします。
○ 岩田政策評価広報課長
総務省の政策評価広報課長の岩田でございます。いつも先生方には御協力いただきまして、ありがとうございます。
お手元の資料3−4を御覧ください。
本日の説明でございますけれども、総務省における実績評価を中心に説明させていただきます。最初にお断りしておきますと3年か計画で政策評価をやっておりまして、19年度までが2クール目ということでございます。20年度から新しい政策評価のまた基本計画を作らなければいけないということで、今、全体的な見直しをやっている過程でございます。本日説明したものから変わっていくということを前提として、御説明させていただきます。
総務省の実績評価でございますけれども、17年、18年評価につきましては、5つの重点分野の下に26の主要な政策を立てまして、この単位で政策評価をやっています。26という単位に大くくりしております。平成14年から16年にかけましては、その評価対象政策は80単位ぐらいの課のレベルぐらいでやっていたのを、局の数の倍ぐらいの単位でやるようにしております。そういう意味では、施策の大くくり化を先駆けてやってきたということでございます。
もう1ページめくっていただきますと、実績評価対象政策一覧ということで、5つの重点分野と26の政策分野となっております。御覧いただきますと大体おわかりかと思いますけれども、最初のところは行革関係の政策で、行政管理局、行政評価局、人事・恩給局の政策、2つ目が地方分権、3つ目がユビキタス、郵政事業、それから安心安全ということで、消防庁関係の政策というふうな形になっています。
総務省の政策の特徴と申しますと、御覧いただいてわかりますように、本日のテーマでございますが、内閣の重要政策と非常に絡んでいる、どんな内閣であろうとも、かなり内閣の重要政策に絡む政策が多いということでございます。どういう数え方がいいかはわかりませんけれども、例えば、行政評価局から、重要政策に関わる評価はどのぐらいあるのかと問われますと、例えば、この26を分母にしますと、3分の2とか4分の3の政策が重要政策に関わりますという御報告をするところでございます。
1ページおめくりいただきまして、我々がやっています実績評価の特徴でございますが、基本的な内容につきましては、当然、基本方針とかガイドラインに沿っておりますので、それは省略いたしまして、特に特徴的なことを御説明いたします。平成18年度の実績評価、昨年の7月までに提出いたしました評価書をモデルにいたしますと、基本計画を16年の4月に作りまして、この基本計画が17年度以降3カ年の基本計画ということでございまして、これについて毎年度実施計画を定めて評価するわけです。18年度にお出ししました政策評価結果というのは、右端の箱のところになるんですけれども、それに関わります目標設定についてですが、とかく評価書を書く段になって目標を設定しているんじゃないかとか、都合のいい指標を使っているんじゃないかというようなことがございまして、我々としましては、政策評価対象となります政策実施年度、すなわち、この場合でいくと、17年度の政策が始まる前に、17年度の4月には目標設定表という形で指標とか目標値というのをあらかじめオープンにしておくという取り組みをしております。その目標設定上のイメージは、その次のページから、小さい字で恐縮でございますけれども、資料をつけております。指標、あるいは目標値をあらかじめ定めて、内外にオープンにしておくことにしております。
これを設定する過程で、政策評価会、これは民間有識者をメンバーといたします、大臣官房長主催の会議でございますが、そこで議論していただく。あるいは、パブリックコメントによって、民間の方々、一般の方々の意見を聴くということをします。さらに、省内委員会、これも官房長が主催でございますけれども、大臣官房の総括審議官、あるいは政策評価審議官、官房5課長、各部局の主管課長というところに上げまして、目標設定表をまず設定して、あらかじめ目標値、指標というのを確定しておく。それで、政策を実施した後で、評価書を取りまとめるという形になってございます。
それで、評価書を取りまとめるにあたっては、今までの実施計画について、省内委員会で審議をしておりますし、また、評価書策定に当りましては、政策評価会の場で学識経験者の意見を聞いたり、あるいは、省内委員会で審議するというようなプロセスをたどっています。
なお、18年度に出しました評価書を踏まえまして、19年度予算の概算要求に向けまして大臣も出席する省議を2回にわたって省議を開きますが、政策評価書もその省議の資料として提出しています。
23ページ、資料2というのがございます。これは、先ほど申しましたとおり、総務省の政策が内閣の重要政策とどういう関係になっているかというのを、例えばということで、平成18年度の実績評価に含まれる重要政策について、18年の1月の施政方針、これは小泉内閣の施政方針、それから、真ん中の欄が19年1月の施政方針等で、安倍内閣の重要政策として拾ってみたものですが、ざっと開いていただきますと、ほとんどの政策について、施政方針、あるいは骨太方針等々で関連があるということで、それを拾っていっているということでございます。
一昨年、総理の指示、あるいは閣議決定で、内閣の重要方針を示した施政方針で示された目標あるいは目標値については重点的に評価するようにということですので、そういうものを拾っていくということです。ただ、総務省に関して言いますと、例えば、目標値が数字で示されるというイメージでいくと、23ページの、例えば、5年間で5%で公務員を減らしますよというような目標値に関わる部分と、もう1つは、例えば、29ページ、3兆円の税源移譲、これは18年度予算書の中で、予算的にセットされた数字が入ってくるというようなものです。同じ数値と申しましても、いろんなものがございますので、達成目標との関連で言うと、その数値を用いて評価するかどうかというのは、その政策によるということでございます。
それから、本日のヒアリング項目で申しますと、あとは事業評価、総合評価でございますけれども、総務省の場合、先ほど申しました実績評価でほとんどの政策をまずカバーするという方針です。それから、総合評価につきましては、これまでの経験で申しますと、2つの総合評価がございます。1つが、総務省の統合したときの統合官庁としての政策、統合効果というのをやっています。それから、もう1つが、行政相談についてやっております。現在、総務省の政策評価の在り方というのを考える上での総合的な評価を、進行中でございます。
それから、事業評価につきましては、当省は本日のヒアリング対象のお役所、他のお役所とはちょっと違いまして、いわゆる事業はあまり所管してございません。16兆円の予算を持っておりますけれども、うち15兆円が地方交付税交付金で、目の前を通り過ぎていく。9,000億円が恩給費で、これも目の前を通り過ぎていく。あとは、選挙の執行経費で、600億円が目の前を通り過ぎていく。ということで、毎年自前で使えるお金というのは、多分2,000億円ぐらいなものですから、大きな事業というのはそれほどありません。また、新しい事業を起こすということも、例えば、公共事業と比べるとありませんが、それでもどうにか毎年10件ないし20件ぐらいの事業評価を実施しているところでございます。例えば、最近であれば、ユビキタスネット社会ということで、重要政策を踏まえてやっていくというようなことを考えてやっております。
それから、もう1つ、ベストプラクティスを示せということであったんですけれども、イメージがなかなかわきませんで、資料としてお出ししてございません。重要政策について、評価の結果をアクションにつなげた事例を示せということであったのでございますけれども、総務省の政策、政策評価を当然踏まえることは踏まえるわけでございますけれども、例えば、三位一体改革であるとか、あるいは交付税改革というような話につきましては、政策評価というステージ以外にも、経済財政諮問会議の、例えば骨太方針の議論、あるいは今後できます地方分権改革推進委員会等々、いろいろなステージで審議をしてまいります。そういう過程で、いろいろな評価類似の機能を果たしているわけですけれども、それらと一体となって、評価を政策に結びつけていくということを、多分、今後もやっていくんだろうと思います。あるいは、行政改革につきましても、行政改革推進本部というようなステージもございますので、そういうところとあわせてやっていくということで、政策評価プロパーでここでお示しできるようなベストプラクティスはなかったということで、御容赦いただきたいと思います。
さしあたり、御説明は以上でございます。
○ 金本分科会長
どうもありがとうございます。
それでは、意見交換に入りたいと思います。どなたからでもお願いいたします。
○ 田辺臨時委員
まず1点目は、特に重点という絡みではないんですけれども、予算と評価のリンクということでお伺いしたいんですけれども、施策の単位に評価の方を落として、それで予算書の方もそちらで作成するという、紙の上のすり合わせはできていると思うんですけれども、具体的に予算のいわゆる会計課と、それから、評価の担当の官房の部局というのは、どういう連携をとっていらっしゃるんでしょうかというのが第1点目の質問でございます。
○ 岩田政策評価広報課長
御指摘のとおり、現在、今年の夏の予算要求には予算書の項と政策の単位を合わせる方向で作業を進めております。まだ進行中でございますので、確たることは申し上げられませんけれども、基本的に、現在実施しております政策評価の単位と項を合わせていく作業をしております。項の数と政策の数が若干変動する可能性はありますが、基本的には、現在やっております政策評価の単位でやっていくとすると、イメージといたしましては、1局で1つないし2つの政策評価を行って、それに基づいて予算要求をしていくということになっています。これにつきましては、官房会計課、それから現局、政策評価広報課で打ち合わせをしつつ、財務省当局と調整をしております。
ただ、先ほど申しましたとおり、総務省の予算16兆円のうち15兆円と申しました地方交付税交付金というのは、これは一般会計から交付税特会に移しかえるだけの項でございますので、それを除く。それから、恩給費の恩給支給の項を除く。それから、例えば、地方に所在します港湾など、要するに、固定資産税を払っていない施設に対する市町村への交付金とか、単純な移しかえの部分がかなりありますので、そういうものを除く政策経費というのはかなり単位が小さくなるということは、他の役所とは違うかなと思っております。
○ 田辺臨時委員
2点目ですけれども、こちらの特に重要政策ということで、首相の施政方針演説等のところ、もしくは、骨太方針等でうたわれているというのを重要だという定義をいたしますと、ここで出てくる幾つかの政策の中を、ほとんどある意味では全部覆ってしまうという形になるんだと思うんですけれども、これをさらに絞り込むといったときに、簡単に言うならば、絞り込んだ途端に、当たった原課のほうが、「何でおれのところが対象になって、残りのところは対象にならないんだ」という、一悶着とは言いませんけれども、いろんな問題が出てくるとは思うんですけれども、その絞り込みみたいなことというのは、さらに省の中の評価担当部局というものはできるものなんでしょうか、それとも、そこはなかなか省内バランスが難しいので、外から言ってもらったほうが楽というような感じなんでしょうか。
○ 岩田政策評価広報課長
まず、施政方針演説に少しでも触れられていれば、ちょっとでもかすっていれば重要政策なのかというような問題もあろうかと思います。そういう意味で言えば、総務省のほとんどの政策は、施政方針演説にかすりもしないなんていうことは多分あり得ないだろうと思います。
ただ、その内閣において、どういう重点を置くかが重要であって、それを総務省としてどう受け止めるかということかと思います。基本的に、施政方針で後押ししていただければ、それは予算を要求する原課としては、これは一生懸命評価をして、良い評価を付けて予算要求したいというインセンティブはあろうかと思いますけれども、問題は、施政方針の文言はかなり抽象的でありますし、先ほどもちょっと申しましたけれども、予算でセットされた数字が書いてあるだけのところと、将来何年度までにこうしたいというものがあり、同じ数値と言っても意味が違います。あるいは、各省によっても受け止め方が違うと思います。そこのところが全体的に見えない中で、自分の省の自分の課の目標としてそれをそういうふうに引っ張っていいものかどうかというところが、いまひとつわかりづらい。自分のところだけの判断で書いてよければ幾らでも書くんでしょうけれども、本当にそれが内閣全体として重要政策に光を当てたことになるのかどうかというところは、もうひとつわかりません。
本日、せっかくこういう機会でヒアリングの機会を設けていただきましたので、我々としてもこういう資料を出しましたけれども、他の省庁でどういうふうになっているかというのは、正直言ってわからないです。例えば、三位一体改革の中で一昨年、義務教育費や生活保護費を補助金から交付金にするかどうかというので大問題になったわけですけれども、我々としては交付税制度所管の立場、あるいは地方財政の円滑な確保という観点から評価いたしますが、それが例えば厚生労働省の生活保護政策の評価としてどういうふうに採り上げられているか。内閣の重要政策であることは確かなんですが、そこが見えないと。したがって、我々としては、確実に確保しました、円滑に運用していますという評価をいたすんですが、それがオールジャパンで生活保護費、あるいは義務教育国庫負担費のパフォーマンスとして評価できているかというところの悩みはあろうかと思います。そこは何らかの形でベクトルを示していただければ、評価はしやすいと思っております。
○ 田辺臨時委員
あと、3点目なんですけれども、制度官庁特有のとは言いませんけれども、制度をつくって、それを必要に応じて改正していくというプロセスの中で、毎年毎年数値目標というのを掲げる実績評価というのは、ある意味では非常にやりづらい――公共サービスみたいなものを提供しているんでしたら、具体的な数値目標というのはかなり意味があろうかと思うんですけれども、制度の枠の管理で、かつ、その下に都道府県があり、市町村がありという構造のほうが多いようなときというのは、実績評価でこれを動かしていくというところは、どういう問題点をお感じでしょうか。
○ 岩田政策評価広報課長
まさに現在、その総合的な評価をしているというところでの論点でございまして、総務省の実績評価で26をやっていると申しておりますけれども、その中には、目標数値を設定できている政策と、目標とは言わないけれども参考的な数値であるとして定点観測をしているというものがございまして、特にその後者の定点観測をしているものについて、本当に実績評価と呼べるものなのかという議論はございます。ただ、定点観測をするということも、これも行政運営の上では重要でございますので、そのことと、それから、制度を大幅に改正するというときに必要な評価、例えば、プログラム評価のようなものかもしれませんけれども、そういうものをどういうふうに組み合わせていくかということで、今、中で議論をしておりまして、例えば、実績評価と総合評価をもう少し組み合わせていくとか、あるいは、実績評価も毎年必ず指標を測定して評価という作業までするのか、あるいは、指標の測定で一旦止めておいて、3年とか5年の単位で評価をする、あるいは、制度改正がある場合には総合評価、あるいはプログラム評価でもやるかという組み合わせを考えていったらどうかということで検討を進めておりますが、まだその途上でございます。
○ 金本分科会長
よろしゅうございますか。そのほか何かございますでしょうか。
○ 森泉委員
総務省というのは、政策が非常に幅広いので、確かに数値目標とか指標というのは決定しにくいということはよくわかります。
まず80程度の政策から26に大くくりをなさったというところが、一番はじめのお話にあったと思うんですけれども、それは重要政策の見直しとどういう関係にあるかというのが、私、あんまりはっきりわからなかったんですが、これは次の見直しのときに、またこの大くくりというのを大幅に変えていかれるという、そういう非常にフレキシビリティの高いものなのかというのを、まず第1点でお聞きしたいと思います。
それから、次に、第2点なんですが、きょう、実はビジネスモデルを御提示いただかなかったのは非常に残念なんですが、このような政策評価をやっているところとして、重要政策見直しとか、いろんな政策をつくるときに、どのようにこの政策評価というのを活用しているかという意味も含めて、重要政策の見直しということに関して、今日は政策の見直しということに関してはなかったように――御説明を私が漏らしたかもしれませんけれども、どのように利用されたかというか、見直しに関してそもそもがなかったように思うんですけれども、そこについてひとつお聞きしたい。ビジネスモデルをきょうは持っていらっしゃらなかったというので、ちょっと難しいのかとは思いますけれども。
要するに、政策評価は難しいということは十分理解できますけれども、これを活用して重要政策見直しとか、いろんな政策立案をしていくわけですよね。それに関して、どうも各省庁のお話を聞いていますと、評価疲れがあったりとか、そういうことで、必ずしも十分活用されていないなというイメージも今日は持ったんですけれども、総務省自身としては、これを活用するためには工夫が必要であるというふうに思いになっているか。例えば、アンケートを17年におやりになったと聞いておるんですが、そこでは、政策評価の認知度が低いと。課長級以上の幹部職員ではある程度認識はあるけれども、すべての職員が政策評価の重要性を認知して、それで、それに向かって努力をしていくという姿勢も必要ではないかと思うんですけれども、そういうことに関してどういうふうな工夫をしたらよろしいというふうに考えていらっしゃるのかという点をお聞きしたいと思います。
○ 岩田政策評価広報課長
まず最初の、平成17年度から主要な政策を26に大くくり化したことでございますけれども、ここは重点化というよりも、政策をどういう単位で測ったほうがその次の企画に反映できるかという、パフォーマンスをどういうふうに捉えるかということです。従来は、課の単位というか、80ぐらいの細かい単位で施策がうまくいったかどうかということだったんですけど、むしろ局なり部なり、もう少し大きな単位で政策の進捗度を見ようということで、26という大くくりをして見てみようということです。
ただ、80単位の評価もすべてやめてしまったわけではなくて、実は26政策その下に76の主要な施策というものがありますけれども、この辺もあわせて見ていく。両にらみで見ていったという形でございます。
○ 森泉委員
すいません。そこでは評価ではなく、別の視点から、80から26にくくったということなんでしょうか。
○ 岩田政策評価広報課長
評価の考え方でございまして、今現在、オールジャパンでも多分大くくり化という方向で進んでいると思うんですけれども、それを先取りしたということなんですが、一個一個の施策、細かい施策ごとに評価をすることも重要だと思うんですけれども、もう少し大きなアウトカムを捉えるという意味で、26という大きなところで見てみるということです。ですから、イメージ的には局とか部とかの単位で、そこの仕事はうまくいっているかという観点から見ているということでございます。
それから、ビジネスモデルというのは、政策の見直しにどうつながっているかということかと存じます。総務省は、国あるいは地方公共団体を対象とします基幹的な制度の運営とか立案を担う、いわゆる制度官庁とか調整官庁という特徴を持っております。ですから、政策評価結果だけから次の企画立案が出てくるというよりは、政策評価の結果も一つの材料でございますし、いろいろな審議会の御議論、あるいは経済財政諮問会議の御議論、あるいは地方公共団体等との議論というようなものを踏まえて、政策を企画立案しています。
例えば、正式の政策評価、この政策評価書を作る意味での政策評価ではございませんけれども、先ほどちょっと例にも出しましたが、昨年、生活保護費の国庫負担を補助金から交付税に切り換えるべきかどうかという議論がございました。その過程で、実は厚生労働省、地方公共団体等々、学者の先生方も入れて様々な議論をする場がありましたが、その際に、生活保護費と生活保護行政の実施体制、あるいは生活保護行政の状態について、相関関係にとどまらず因果関係も含めまして詳細な分析をしました。結果的には、生活保護費の補助率の引き下げ、保護費の補助率引き下げという形ではなくて、最終的には児童手当の補助率の引き下げという形で決着がついたんですけれども、そういう政策決定の過程で、政策評価的な分析というのもやっています。
ただ、それが政策評価書の中にすべて書かれているかというと、現在ではそうなっておりません。それは経済財政諮問会議の議論の過程とか、あるいは、先ほどの例で言いますと、最終的には政治決着だったわけですけれども、そういう決着の過程で使われているということでございます。それに使いましたいろいろなデータは、政策評価とも共通的に収集活用しているということでございますし、また、政策評価書の中には、そういうバックデータとなったようなものも含まれているということでございます。
○ 金本分科会長
そのほか、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
では、かなり時間が超過しておりますので、岩田課長、どうも大変ありがとうございました。
あと、質問ができなかった方々から追加の質問が出るかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
○ 岩田政策評価広報課長
どうもありがとうございました。
○ 金本分科会長
続きまして、国土交通省の鈴木政策評価官から御説明をお願いいたします。よろしくお願いをいたします。
○ 鈴木政策評価官
国土交通省の政策評価官をしております鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、お手元に配付されております資料3−5というものを中心に説明をさせていただきたいと思います。
それでは、資料3−5の2ページ目を御覧いただきたいと思います。まず私どもの政策評価の制度の概要につきまして、簡単に御説明をしたいと思います。
私どもの政策評価の方式として、大きなものとして3つ方式を持っております。そのうちの1つが、政策アセスメントと呼んでおりますが、事前評価でございます。これは、新規施策の予算要求、税制改正要望、法令改正を行いますときに、その必要性、有効性、効率性というものが論理的に確保されておるかどうかをチェックをするというもので、新規の政策ごとに行うものでございます。
2番目が、政策チェックアップと呼んでおりますが、これは事後評価の実績評価方式でございます。これは、政策が国民生活をいかに改善するかという、いわゆるアウトカム目標というものを政策目標として設定いたしまして、政策目標の達成度を示す指標といたしまして、業績指標というものを設けるということにしております。その指標の状況を、毎年度達成度をチェックいたしまして、政策の見直しや改善につなげるものでございます。
具体的には、お手元の資料の6ページと7ページを御覧いただけますでしょうか。この中で、国土交通省の政策を大きく4つの分野に分けております。暮らし、安全、環境、活力と、この大きな4つの分野に分けまして、そのアウトカムの政策目標を1番、居住水準の向上、2番、バリアフリー社会の実現、3番、子育てしやすい社会の実現といった政策目標を27立てております。その27の政策目標のもとに施策目標を立て、その各施策の進捗状況等を把握するために、業績指標を掲げております。この業績指標が現在113ございますけれども、この113の業績指標の進捗状況をチェックしているということでございます。
そのチェックでございますが、初期値、実績値、目標値というものを掲げ、目標値に対して実績値がどのくらいまで進んでおるのかを毎年フォローアップしているというのが政策チェックアップでございます。
それでは、もう一度資料の3ページにお戻りいただきたいと思います。もう1つの政策評価の柱で事後評価の総合評価方式として政策レビューがあります。既存の施策につきまして、国民の関心の高いテーマを選びまして、大体2年ぐらいかけまして、その政策の実施とその効果との関連性、それから、外部要因を踏まえた政策の効果等を詳細に分析をいたしまして、それの課題の抽出、対応方針といったものを評価書としてまとめるというような形でやっておりまして、大体年に5〜6件ぐらいのペースでレビューをまとめているというような形でございます。
以上が、いわゆる政策評価の部分ですが、そのほかに、個別の事業評価といたしまして、4)で書いてございますが、個別公共事業評価をやっております。これは新規事業採択時の評価と、再評価、これは、いわゆる事業採択されてから5年間たってもまだ着手されていないものとか、10年たってもまだ事業継続中のものといったようなものについて再評価をいたしております。それから、完了後5年以内に、事業の結果について事後評価をするということになっております。これが個別公共事業評価でございます。
それから、5番目に、個別研究開発課題評価というのがございます。これは、国土交通省の研究機関等において実施します研究開発課題について、事前評価と中間評価と事後評価という3段階で評価を実施するものでございます。
以上のような5つの基本的な評価の仕組みを持っておるということでございます。
次の4ページを御覧いただきますと、国土交通省におきますこれまでの政策評価の取組について書いてございますが、平成13年の1月に国土交通省が発足いたしました。その前から政策評価を導入しようということで研究をしてきたわけですが、その結果、国土交通省発足に伴いまして、国土交通省政策評価実施要領というのを策定いたしまして、平成13年度から政策評価を実施したということでございます。いわゆる政策評価法ができる1年前からスタートしたというようなことでございます。この際、この実施要領の策定にあたっては、パブリックコメントを実施いたしました。それから実施要領を具体化しまして、先ほど御覧いただいた6ページ、7ページの27の政策目標、それから、当時は112でございましたが、業績指標の設定をいたしまして、これについてもパブリックコメントの募集をいたしました。それから、その後、平成15年の10月に、かつての国土交通省における5か年計画を一つにまとめたもので、アウトプット指標だったものをアウトカム指標に置き換えたものであります「社会資本整備重点計画」というものが策定されまして、その中で、社会資本整備重点計画に定める指標につきまして、政策チェックアップを行うことを法律で義務付けたというようなものがございます。そのときに大分大きな改正を行いまして、先ほどの6ページ、7ページの表を大分変えまして、またそのときにもパブリックコメントを実施いたしております。
そのような形で大体骨格ができ上がってきたということでございます。
次に、5ページを御覧いただきたいと思いますが、国土交通省におきましては、第三者機関といたしまして、国土交通省政策評価会というものを設けております。この政策評価会におかれましては、政策評価に関する重要な事項の決定に際して、いろいろ御意見、御知見をいただくというようなことでございまして、本日の金本分科会長に座長をお願いして、以下、ここに書いてある先生方でもって構成されているものでございます。
個別公共事業評価にあたりましては、その再評価、あるいは完了後の事後評価の実施にあたって、第三者から構成されます事業評価監視委員会というのをやりまして、各事業ごとにすべてそういう事業評価監視委員会にかけて、意見を伺って、その意見を尊重しているということでございます。
個別研究開発課題につきましても、第三者委員会を設けまして、その意見をお伺いしているということでございます。
それから、省におきます決定システムでございますけれども、政策評価に関する重要事項はすべて省議の決定ということにしております。省議と言いますのは、大臣以下、全局長が入りました国土交通省の最高意思決定機関でございますが、基本計画の策定、評価書の作成にあたりましては、すべて省議に諮っているということで、大臣が関与しているということになっているところでございます。
次に、いわゆる重要政策について、どのような評価をしているかということについて簡単に御報告したいと思いますが、6ページ、7ページの表をもう一度御覧いただきたいと思いますが、欄外の一番右に、非常に細かい字ですけれども、「閣議決定」とか、「閣決(重点)」とか書いた部分があろうかと思います。実は、私どものチェックアップの中におきまして、施政方針演説にかかるもの、閣議決定に関するもの、内閣における本部決定に関するもの、政府与党申し合わせに関するもの、こういったものを重要政策というふうに位置付けをしております。ここに書いております「閣議決定」とか「閣決(重点)」とか書いていますのが、それに該当するものでございます。これにつきましては、必ず漏れがないように、毎年チェックアップをする際に、そういうものがきちんとフォローされているかということを確認するとともに、評価書の中に、これは閣議決定に基づくものであるとか、あるいは施政方針演説に基づくものであるといったことを明示することによって、そういうチェックをしているところでございます。
「閣決(重点)」と書いていますのは、これは先ほど説明しました社会資本整備重点計画に位置付けられているものでございまして、その中でも黄色いハッチがかかっているものは、法律上、この指標についてチェックアップをしなければならないというふうに義務付けられているものでございます。
そういうような形で、まず実績評価方式でもって重要政策についての評価を行っているところでございます。
それから、総合評価方式の政策レビューにおきまして、例えば、バリアフリー社会の形成といった個別のテーマで特に重要なものにつきましては、政策レビューにかけて、2年間かけてじっくりと検証を行うというようなことも行っております。そのような形で、重要政策についての評価を行っているところでございます。
それから、最後に、8ページ以下に、どのような評価をやっているかというものの具体例を幾つか挙げさせていただきました。8ページの、「外国人旅行者の訪日を促進する」という評価対象の政策がございます。この政策は、平成15年1月の小泉総理大臣の頃ですけれども、国会の施政方針演説におきまして、訪日外国人旅行者を2010年までに1,000万人に倍増するという目標がうたわれたことによりまして、それに対応する形で指標化がされております。当面の指標といたしましては、平成18年を目標にいたしまして、平成18年に743万人の訪日外国人旅行者数というものを目標にしているということでございます。
これは昨年の評価結果でございますけれども、その業績指標を見ますと、対前年比で9.6%増えているということで、比較的順調にトレンドに乗っているということが言えるということで、実施施策は有効であっただろうというふうに位置付けております。
今後の方向性としまして、こういった施策をさらにビジット・ジャパン・キャンペーンというような日本への来訪者を呼びかけるキャンペーン活動がありますが、そういったものをさらに高度化していくというようなこと、それから、総合的な戦略の下に、地域の民間と行政が一体となった取組みについて、補助金を出すなどの支援をしていくということ、それからまた、公共交通機関等における外国語による表示や情報提供等を充実していくというようなこと、それからまた、通訳ガイドの育成・確保等に取り組んでいくというようなこと、こういったようなことが今後の方向性だということが、評価の結果で示しております。
それを受けまして、予算要求への反映内容というのがありますが、この評価結果を踏まえまして、ビジット・ジャパン・キャンペーン、それから観光ルネサンス事業、これが地域の民間と行政が一体となった取組みの支援というものですが、それから、訪日外国人旅行環境整備、観光基盤設備整備などに必要な経費を概算要求いたしまして、予算事情厳しい中で、19年度予算は、ほぼ18年度予算並みの額の概算決定をしていただいている、こういうような形で活用をしているというような1つの例でございます。
以下にも幾つか例をつけてございますが、時間の関係で、以上で省略させていただきます。
以上で説明を終わらせていただきます。
○ 金本分科会長
どうもありがとうございました。
それでは、意見交換に移りたいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
○ 新村委員
国交省は大分以前から評価に取り組んでおられて、きちっとしたシステムができているというふうに聞いておりますが、率直に考えて、評価と省内での政策決定というものが有機的に結びついているとお考えでしょうか。特に評価のサイドから御覧になって、例えば、政策決定はどこかでできて、それの正当化のために評価を使うというようなやり方もあり得るかと思うんですが、むしろPDCAのサイクルというのはちょっと違いますよね。それが省内にかなり根づいたというふうな感じをお持ちでございましょうか。
○ 鈴木政策評価官
正直言いまして、今、委員おっしゃられましたように、政策先にありきの場合もないとは言いません。ただ、やはりこの政策評価というのを開始しまして、もう既に5年以上、6年ぐらいになるんですけれども、それが政策決定プロセスの中に随分安定して落ち着いてきたなという印象は持っております。アセスメントとチェックアップというのはルーティン化が図られていまして、毎年そういった指標に基づくチェックをし、それに基づいて、そのうちの全部ではないですけれども、その中の幾つかの部分については、次のアセスメントにつながるという形でPDCAサイクルが回っているというような例もございますし、レビューの結果を次のアセスメントにつなげているというような例もございます。
そういった意味で、ある程度、職員の中にも成果主義という意識。この前、実は職員アンケートを別のレビューの関係でやったんですけれども、職員の中に成果主義というのをやっぱり意識していると答えた人が大半でございまして、建前上だけではなく、ある程度は根づいているのではないかなというふうに考えております。
○ 新村委員
ありがとうございます。
それで、それと関連してなんですけれど、具体的に、評価結果が登場する場面といいましょうか、そういうのはどういうところで使われているんでしょうか。
○ 鈴木政策評価官
例えば、毎年チェックアップ、毎年の実績評価をするわけですけれども、それは概算要求を決める以前に、その結果を出すわけです。それに基づいて、あるいはそれを踏まえて、概算要求としてどういうものを出すのか、また、そういったものを出してきた中で、新規性のあるものについてはアセスメントを行うというような形で、予算の概算要求が8月末に行われますけれども、その前の段階の中で、チェックアップとかアセスメント、それからレビューの結果、そういったものが使われているというふうに御理解いただきたいと思います。
○ 新村委員
それは、例えば省議、または局議、そういうレベルで資料として提供されるというふうに考えてよろしゅうございますか。
○ 鈴木政策評価官
はい。チェックアップをやりますときに、重点施策を定めるのと同時の省議にかけておりますし、それから、予算の概算要求省議、8月の末にやるんですが、そのときに政策アセスメントを同じ省議にかけておるというような形でやっております。
○ 新村委員
で、そちらに、例えばリファーすることがあるということでございましょうか。
○ 鈴木政策評価官
もちろんございます。
○ 新村委員
そうですか。ありがとうございました。
○ 金本分科会長
そのほか、何かございますでしょうか。
○ 富田委員
社会資本整備計画とこの政策評価との関係なんですけれども、ここで政策評価の体系のほうは、例えば、安全として、いろんな項目があって、その中に、例えば、道路交通事故をよくすると。そういうものと、例えば、道路整備の何カ年計画というのとの関係ですね。そういうのが、多分、この政策評価というふうな作業を通じて、関係してくると思うんですね。今までですと、何キロつくらなきゃあかんという議論があって、いろいろと国民的な関心を呼んでいたわけですけれども、そういう社会資本整備計画。下水道とかは、何となく入るのはわかるんですけれども、道路なんかどうだというのが聞きたいんですね。
15年ぐらい前かな、アメリカへ行ったら、バックアップ・アメリカと言って、要は、安全のためにシートベルトをつけなさいと言っているわけですよね。だから、道路の舗装延長を増やすよりも、シートベルトをつけることによって安全を高めることができるというふうな発想を御省でとられているかどうかということが第1点。
あと、もう1つお聞きしたいのは、この政策評価の仕組みが発足するのと同時に、省庁再編が行われたわけですけれども、この政策評価の体系の中で、これも大昔だけど、旧運輸省と旧建設省のものがうまく融合できている体系になっているかどうかというか、あるいは、いまだに、実はちょっと前に聞いた省は全く独立だったので、ここの場合はどうなっているのかなということをお聞きしたいんですけれども。
○ 鈴木政策評価官
まず社会資本整備重点計画の関係ですけれども、やっぱり基本的には、社会資本整備重点計画につきましては、社会資本をつくる、そういった意味で、ハードな計画が中心になっているということは、これは事実であります。ただ、今、実は改定の時期にもうじき差しかかろうとしているのですけれども、その中での御議論の中では、ハード面だけではなくて、ソフト面も含めた総合的な施策を社会資本整備の中にも打ち出していくべきではないかというような御議論があるやに聞いております。これは別の部署で直接はやっておりますけれども、そういった形での動きがあります。
ただ、今委員おっしゃいましたように、道路の関係で、シートベルトの着用率による交通安全の確保というような指標は、社会資本整備重点計画の中に直接的に入っているということはございません。社会資本整備重点計画の道路の関係で言うと、例えば、道路交通における死傷事故率チェックアップの指標の中にございますけれども、大体何億台キロに対して何件というような、そういうような形でのとらえ方をしているのが、今のお話の中身になるのかなという感じがいたしております。
それから、もう1点でございますけれども、旧運輸省と旧建設省の体系の話でございます。平成13年1月の統合にあたりまして、その当時の国土交通大臣、初代の国土交通大臣扇参議院議長が横断的な総合的な取組戦略というものを持てということを強力に指導されました。そういうこともありまして、この指標を御覧いただいても、割合横割り的な指標もかなり入っておるというふうに御覧いただけるかと思いますし、それからまた、例えば、活力のところで言いますと、指標番号で言いまして80番というようなところになりますけれども、拠点的な空港・港湾への道路アクセス率というようなものがありますが、これは、もともと空港・港湾というのは旧運輸省がつくるということになっていて、それに対するアクセス道路というのは、当然建設省の所管だったわけです。こういったものを同時につないでやらないと意味がないじゃないかというような話がありまして、こういった指標が生まれてきたというようなことがございます。
ただ、もちろん、そうは言いましても、それぞれの縦割りに沿った形での指標というのがかなりたくさんあるというのは、もちろん事実でありますけれども、ただそれだけではなくて、横断的な指標もできてきているということを言えるかと思います。
○ 金本分科会長
では、田中委員、どうぞ。
○ 田中専門委員
国土交通省はすごく上手に政策評価のパンフレットみたいなものをお作りになって、一般の人に説明をしていただいているんだというふうに思うんですが、先ほどの意見にもあったんですが、政策評価というよりも、むしろ説明をしているというような、いいとこ取りみたいなところがあるような感じは受けるなというふうに思うんですね。
一方で、いろんな政策について難しいところが、国土交通省は特にあるんだと思うんです。例えば、この政策評価を見て、空港整備に、国内のネットワークの充実という項目を見ると、やはり員数が増えたことについての効果は出しているけれど、一方で、日本中にあまり使われない空港が増えたんじゃないかなというふうに、一般の人は思っているわけですね。その辺はどういう評価でやっているんだろうというような疑問は当然あるように思うんです。それに加えて、国内航空のネットワークと同時に、国際とは一緒になっているように思うんですね。政策的にアジアのゲートウェイということを目指そうということは、国としてどういう政策をこれから考えるんだろうなんていうことも思っているような気がするんですね。
ですから、いろいろな評価を正直に出しちゃったほうがいいのではないかなと、私は個人的には思います。
○ 金本分科会長
なかなか答えにくいかと思いますが、よろしいでしょうか。
○ 鈴木政策評価官
私どもとしては、評価結果につきましては、基本的にすべてオープンにしているというつもりでございます。
あと、先ほどおっしゃいましたように、例えば、公共事業を実施した結果、あまり使われていないのではといった話があるかもしれませんが、そういったものについては、例えば、公共事業の事後評価というようなものを活用して、今後の施策の材料にするというようなこともあり得ると思います。
基本的にはそういうような格好で、私どもも必ずしも説明だけではなくて、評価も一応しているつもりでございます。
○ 金本分科会長
では森泉委員、どうぞ。
○ 森泉委員
今、正直に評価したらというので触発されたんですけれども、それと、あと、富田委員がおっしゃった、幾つかの統合があったのでこういうことが起きたんだなというのでわかったんですが、1点お聞きしたいんです。
政策評価をどのように使われたかというのをお聞きしたいんですが、首都機能移転という話があって、それで、私のところにもいまだに定期的にそのパンフレットが届くわけなんですね。それは、しかし、実績はどうかというと、首都機能移転というのは、一極集中を解消するという大きな目的があって、政策的にそういうことが言われたと記憶しているんですけれども、実績はどうかというと、逆になっておりまして、必ずしも解消されていないし、首都機能は移転していないわけですね。片や、こちらで道路行政などでは、道路を整備して、都心へのアクセスを非常にスムーズにするということをしているわけで、そこでちょっと2つほど気がついたんですけれども、その辺の首都機能に関しては、ここで全然、さっきから目を皿にして見ているんですけれども、どこにも載っていないんですが、そのようなちょっと現実から、むしろ私の印象では離れてきてしまったような施策の評価はどのようになさっていらっしゃるか。政策評価は、そこにこそ生かして、少し見直しをされるという方向に行くのかなというふうに思ったんですが、なかったということと、それから、やはりそういう観点をちょっと引き延ばしていくと、やっぱり統合による齟齬が生じていると。片方では、そういう首都機能移転で、一極集中を解消と言っていながら、片方では、昔のあるところの省からので、道路を整備していこうというようなことで、一つの国交省という中で、やはりまだ少し統合の縫い目がきちっとなっていないような、スムーズになっていないようなところがあるように思うんですが、その辺がやはり評価には影響しているのではないかというふうに思います。
○ 鈴木政策評価官
確かに、今委員おっしゃいましたように、首都機能移転について、直接的に触れておるような指標は、特に設けておりません。必ずしもすべての施策が全部網羅されているかというと、指標にも限りがございますので、そういうわけではないのが現実ではあります。
それから、指標の考え方、指標の設定、改廃等については、ある程度目的を達成したものとか、あるいは、全く目的が達成できなかったので別の指標に変えようとか、そういう見直しは毎年一応やっているというようなことになってございます。
それから、省庁統合によります政策的な齟齬みたいなものがあるのではないかという御指摘でございますが、全くそういうものがないとは言えないと思いますけれども、ただ、そういったものをなるべく解消するという方向で指標もできるだけ横断的な指標にしようとか、それから、行政構造の改革みたいな形で、局横断的な取組をやっていこうじゃないかというような運動をしているとか、そういったような形での取組をしているところでございまして、そういったものが一部まだきちんと働いていない部分があるのではないかとおっしゃられると、そういった部分があるのかもしれないと言わざるを得ないかと思います。
○ 金本分科会長
もう時間も実は超過して、あと議題も実は残っておるんですが、何か特にございましたらお願いします。よろしゅうございますか。
では、鈴木政策評価官、どうもありがとうございました。
まだ質問したい方が残っているようでありますので、後から質問が行くかもしれませんが、その節はよろしくお願いいたします。
○ 鈴木政策評価官
どうもありがとうございました。
○ 金本分科会長
続きまして、平成19年度行政評価等プログラムにおける政策評価テーマ等についてということで、前回分科会で御議論いただいたんですが、本日、最終的な審議ということになっておりますので、よろしくお願いいたします。若生総務課長からの御説明をお願いいたします。
○ 若生総務課長
時間もありませんので、簡潔に御説明いたします。お手元の資料4、「行政評価プログラムにおける政策評価テーマ等について」という資料でございます。
これについては、先般、3月1日の分科会で御審議をいただいた後、関係方面といろいろ調整をし、内容を詰めてきておりまして、本日までに大体固まってきているということでございます。今後、大臣の決裁をいただいて、3月30日に公表したいと、そういう予定にしてございます。
プログラムの中身、内容につきましては、前回御説明した内容とほとんど変わっておりませんので、中身の説明は省略をさせていただきたいと思います。
テーマの関係ですけれども、統一性・総合性確保評価として行うテーマにつきましては、先般御説明したものと中身は変わってございません。
それにも関連するということで、行政評価・監視のテーマの一覧を掲げてございます。これは、各省の業務の実施状況を調査して、その結果について勧告をするという、行政評価局で行っておりますもう1つの柱の評価・監視業務で取り上げるテーマということでございます。国民の安全・安心の確保、あるいは魅力ある地方の創出、あるいは行政運営の合理化・適正化、こうした観点から、19年度で8テーマ、それから、平成20年、21年度で13テーマを、現在このプログラムの中で掲げて、今後こういったものについて取り組んでまいりたいということでございます。
説明は以上でございます。
○ 金本分科会長
どうもありがとうございました。
それでは、何か特に御質問とか御意見ございますでしょうか。
よろしゅうございますか。それでは、これはこういうことでやっていただくようにということで、よろしくお願いいたします。
これで議題は本当に終わりですが、最後に、事務局から御連絡があるということです。よろしくお願いいたします。
○ 吉開政策評価官
政策評価分科会の日程につきましては、金本分科会長と御相談の上、御連絡を申し上げたいと思います。
以上でございます。
○ 金本分科会長
大分時間が超過して恐縮でございますが、これで閉会にさせていただきます。どうも長時間ありがとうございました。
(了)
|
ページトップへ戻る