会議資料・開催案内等


政策評価・独立行政法人評価委員会 (第6回) 議事録



  1. 日時 平成13年6月22日(金) 14時00分から16時30分

  2. 場所 中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

  3. 出席者
    (委員会)
     委員    村松岐夫委員長、丹羽宇一郎委員長代理・政策評価分科会長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫、竹内佐和子、永井多恵子
     臨時委員 田辺国昭、新村保子、雨宮肇、黒川行治、黒田玲子
     専門委員 翁百合、木村陽子、神野直彦、吉野直行、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山本清、山谷清志
    (総務省)
      塚本行政評価局長、熊谷官房審議官、鎌田行政評価局総務課長、新井政策評価官、高野評価監視官ほか

  4. 議 題
     (1)各府省の政策評価の取組状況(先行的分野)について
     (2)独立行政法人の中期目標、中期計画等について
     (3)その他


村松委員長
 それでは、第6回政策評価・独立行政法人評価委員会を開催したいと思います。
 まず最初に、行政評価法案が本日成立したということでございます。塚本局長から報告をお願いしたいと思います。
塚本行政評価局長
 行政評価局長、塚本でございます。今ほど委員長から御紹介がございましたように、今朝の参議院本会議におきまして、私どもが提出しておりました、いわゆる「行政評価法案」、正式な名称は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律案」でございますが、成立をいたしました。全会一致でございます。
 お手元に若干の流れをお示しします「法制化をめぐる動向」という紙、それから法律の要綱と法律そのものを議事次第の上に置かせていただきました。最終的な経緯でございますけれども、この「法制化をめぐる動向」というペーパーの一番下ののところに書いてございます。2つ目の「・」がございますが、衆議院総務委員会において、提案理由説明、質疑、一部修正の上、全会一致で可決となっております。
 この一部修正はどういうことかと申しますと、これは既にお手元にございます法律要綱、それから法律そのもののところにございますが、この法律の厚い方で17ページというのがございます。法律の方の17ページをお開きいただきますと、これは附則の部分でございますが、附則第2条検討という見出しのついた条文がございます。ここが与野党の多数の政党の共同修正という形で織り込まれた分でございます。政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。いわゆる3年後見直し条項というものがつけ加えられた、これが修正の内容でございます。参議院におきましては、この内容を入れたものとして可決し、法律としてもこの形で通ったということでございます。先生方には、いろいろとこの間、御指導、御助言、御支援を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。
 今後は、私どもの作業といたしましては、これが公布され、施行は来年の4月1日ということになりますけれども、その間、必要な作業が幾つかございます。1つは、事前評価の対象といたします政策について、政令でその内容を定めるという作業でございますし、それから法律に定められた手続として、政府が政策評価の基本方針を定めるということがございます。これらにつきましては、政令で定める審議会にお諮りする、御意見を伺うということが定められておりまして、その委員会は、当委員会でございますので、今後その手続、私ども、準備、立案、また各府省との調整等を行いながら、この委員会の御議論も賜るという手はずを秋口以降進めることになりますので、その節はまたよろしくお願いを申し上げます。
 以上、御報告でございます。
村松委員長
 どうもありがとうございました。何か御発言ありますか。
 これは略称「行政評価法」とも言っているみたいですけれども、政策評価法というふうに理解をしていたのですけれども、この略称はどういうふうに普及するものでしょうか。
塚本行政評価局長
 改めて検討いたしますけれども、この流れの中で法制化をめぐる動向というところで、一番上に附帯決議がついておりまして、そのときは、行政評価法(仮称)という国会からの指示でありましたので、国会審議の間につきましては、その他いろいろの経緯もございますけれども、行政評価法案と呼びならすことが審議の促進と言うと変ですが、理解に資するかなと。それから国会の立場から言いますと、国会の本来の機能として、行政に対する評価というものがあるというようなことの脈絡の中で、政府が自ら自己評価を行う仕組みというものを理解するということが容易であるという方々も国会議員の中には少なくなかったというようなこともあり、「行政評価法案」と言ってまいりました。一方において、しかし新聞等は「政策評価法案」ということを言っておられるところも相当ございまして、今後どうしていくか、いましばらくお時間をいただきたいと思います。
村松委員長
 どうもありがとうございました。本日でございますけれども、各府省の政策評価の取組状況、先行的分野ということでひとつお願いをしております。ヒアリングをするわけでございます。もう一つは、独立行政法人の中期目標、中期計画等について、この2つが議題でございます。
 まず各府省の政策評価の取組状況についてでありますが、本件につきましては、文部科学省、外務省からのヒアリングを入れ替え方式で行いたいというように考えております。当初は、公共事業に関する評価の取組状況について、国土交通省からのヒアリングを予定していたわけですが、国土交通省の資料の準備が整いませんでしたので、後日ということで次の機会に譲りたいというふうに考えている次第でございます。
 それでは、まず文部科学省科学技術・学術政策局の川上計画官に御出席いただきましたので、研究開発に関する評価の取組状況について説明を15分ほどしていただいた上で、前回のように質疑応答を行いたいと思います。
 それでは、川上計画官よろしくお願いいたします。
川上計画官(文部科学省科学技術・学術政策局)
 文部科学省の科学技術・学術政策局で計画官をしております川上でございます。
 今日は、研究開発の評価の状況ということで、15分間御説明させていただくという時間をとっていただくわけでございます。座って説明させていただきますが、私の方で用意しましたのは資料の1でございまして、クリップを外していただきますと、別添の1、2、3という4部構成の資料になってございます。研究開発が、いわゆる先行事例ということで3つのODA、それから公共事業と一緒にヒアリングということで承ったわけでございます。
 研究開発についてでございますけれども、資料をお開きいただきたいわけでございますが、平成9年8月に科学技術会議の答申を経まして、内閣総理大臣決定の大綱的指針というのがございまして、それに基づきまして実施をいたしてございます。
 大綱的指針についてというのは1でございますけれども、そこの上の2行あたりに研究開発評価というのは何で行っているのかという目的を書いておるわけでございますけれども、国費が投入された研究開発活動について厳正な評価を実施することによりまして、その結果を適切に活用するということによって、優れた成果を上げていくということを眼目にしているわけでございます。
 早速でございますけれども、その評価をどういうふうにやっているか若干御説明申し上げますが、まず基本的に明確な評価の実施方法を確立すること。それから外部評価を導入するということを基本とし、また評価結果、これを公表しまして開かれた評価とするということ、それから、評価が評価のためになってはいけませんので、それをいかに反映をするか、活用するかということ、こういうことを基本的に盛って実施をしているところでございます。
 評価の対象は、国費による研究開発であるわけでございますが、当然、いわゆる研究開発の規模に応じまして、評価のやり方をいろいろ工夫してやっていくという考え方で行ってございます。例えば、研究開発課題につきまして、大きく分けまして研究開発課題評価と研究機関の機関評価、私どもは課題評価、機関評価と言いますが、この2つのカテゴリーになるわけでございます。やはり特に大規模かつ重要なプロジェクト、これについては最も充実した評価を行うことになってございまして、例えば実施主体から独立した組織を設ける。そういうことによって特に厳正な評価を行う。国民の意見も評価に反映をしていく。それから大規模プロジェクトというのは、えてして非常に長い時間をかけて進めていくことになるものですから、3年程度の期間を区切りまして中間評価を入れていく。そしてその結果につきましては、プロジェクトの継続の是非ということも含め、またプロジェクトのやり方、そういうようなものにも反映をさせていくということでやってございます。
 この大規模かつ重要なプロジェクトが最も重要であるわけでございますけれども、それ以外にも、次に重点的資金による研究開発課題、これについてもその規模に応じて進めてございまして、例えばこの中の大規模なものについては定期的な評価、いわゆる中間評価、こういったようなものも含めて行っているところでございます。
 また、競争的資金というのが研究の場合には結構入ってくるわけでございます。これはどういうことになるのかというのは、評価の位置づけについてはいろいろな考えがあるかと思いますが、課題につきましても、それをセレクトするという観点から事前評価、それからその結果を評価するという観点から事後評価、そういったようなことも行っているところでございます。
 一方、研究開発機関に対するものでございますけれども、ここ数年間定期的な評価を組み入れるということでだんだん行われるようになってきてございます。ここにありますとおり、特殊法人それから国立試験研究機関、そういったものにつきましては、運営の全般につきまして評価を行うと。これは外部の人間の入った委員会を設けまして外部評価を行うという格好でやってございます。
 一方、大学でございますけれども、大学の運営というのは、いわゆる学問の自由に守られたものであるわけでございますので、特殊法人、国立試験研究機関とは若干違う考え方をとってございまして、自己点検、自己評価ということをまず基本にいたしてございます。これは一層充実するという方向でございますが、その上で12年度から大学評価・学位授与機構というものを設けまして大学評価事業を開始してございます。ただし試行的に行っている段階でございまして、今後だんだん拡大をしていくという状況にございます。
 評価者というのは非常に重要なものでございますけれども、ここにありますとおり、外部評価者、専門家をまず評価者といたします。いわゆるピアレビューをまず第一に考えてございます。ただし、大規模かつ重要なプロジェクトといったようなものにつきましては、それの波及及びそこへ使われる資金がいろいろ重要な問題になってまいりますので、国民の御理解を得るというような観点、それから単なる専門家だけではなくて、もっと広い視点で評価をしていただくという観点から、外部有識者と書いてありますけれども、いわゆる専門外の方々、例えば異なった専門の人、もしくはそれこそ科学技術を専門としないような方、そういった方も加えることによりまして、国民各般の意見の評価に反映をしつつ、進めるという考え方になってございます。
 評価の時期等は、先ほど御説明をしたことと大体重なりますので、ちょっと飛ばさせていただきますが、評価結果につきましては、6番でございますけれども、配分の見直し、適正化、改善、そういったことに反映をすることになってございます。また、評価結果を公表することによって国民に見やすい形でやるという、開かれた評価ということで先ほど基本的な考え方を申し上げてございますが、インターネットの活用などによりまして積極的に情報提供を行うということになってございます。
 こういうような方法で評価を平成9年、10年そういったところから始めてきておるところでございますが、平成11年度に私どもに元ありました旧科学技術庁におきまして、政府全体の研究開発評価の実施状況がどうなっているかということを調査いたしてございます。これによりましてどの程度行ってきているかということをごらんいただきたいわけでございますが、残念ながら、11年の終わりの時点で評価をした以降、1年ほど評価を休んでございまして、若干情報が古くなっていることはお詫び申し上げなければいけないところでございます。
 それが別添1でございますが、かいつまんで主要なところだけ御説明を申し上げますが、まず3ページに、どの程度その要領とか規程が定められてきているかという点でございます。上が10年度、下が11年度になってございますので、11年度のところをごらんいただきたいわけでございますが、15省庁関係する省庁がございますが、それのうちの9省庁において、省として規程類を定めているという状況がございました。
 機関については、71機関が対象になりますが、そのうちの70機関において要領等の策定がなされてございます。また、研究開発制度という、制度ごとに考えてまいりましても、44制度中全制度について、規程類は平成11年の12月現在の段階で策定をされてございます。では、それが規程に基づきましてどの程度実施されているかという点は5ページでございますが、課題につきましては、11年12月までの間に71機関中51機関において課題の評価がなされておりますし、機関評価につきましても、65機関中38機関までこの11年12月の段階で行われてきてございます。そのほか、それぞれもう少し細かく時期とか、それが事前であるか、中間であるか、事後であるかというようなことを調べてございますが、その辺はまた後でごらんいただければと思います。
 それから次の問題として、評価体制の問題になるわけでございますが、12ページにどういうふうな体制で評価が行われているかということを調べてございます。外部評価体制の導入状況というものでございますけれども、研究開発機関71中70機関において外部評価体制が導入をされ、1つ飛びますけれども、研究開発制度につきましては、44制度中43制度におきまして外部評価の体制が導入をされて実施が行われているという状況でございます。
 その次、14ページあたりには外部有識者をどの程度活用しているかということが書いてありまして、次に16ページに、次の観点といたしまして公表の問題でございます。こう見てまいりますと、公表の仕方でいろいろあるわけでございますけれども、最近はインターネットの発達によりましてインターネットを使っての公表が圧倒的になってございまして、インターネットを通じることによって一般の方々にお知らせをするという考え方が広く採用をされております。
 最後に、活用というのが重要であるわけでございます。18ページに評価結果の活用がどのようになされているかという点のアンケート調査の結果を載せてございます。若干見にくいグラフで申しわけございません。一番上の段が事前評価、2番目が中間評価、3番目が事後評価、4番目が機関評価でございます。当然のことながら、それぞれの評価によってその目的が異なると同時に、それの活用も異なるわけでございます。
 こう見てまいりますと、事前評価につきましては、これは当然であるわけでございますけれども、課題の選択、優先順位の決定、こういったことに幅広く使われてございますし、中間評価の結果につきましては、研究内容・計画への反映、内容の見直し等といったところに使われてございます。
 また事後評価は、これは例えば各期、第1期、第2期、第3期というふうに計画が分かれているような場合を指すわけでございますけれども、その場合には、研究内容・計画への反映、内容の見直しといったものに使いますし、最終的に終わったものにつきましては、下の方にまいりますけれども、今後の課題の採択・内容、そういったものに反映をさせるという考え方でなされてきてございます。
 最後に機関評価でございますけれども、機関評価につきましては、全52機関において行われているわけでございますけれども、36機関において予算配分の見直しとか改善、そういったことに使われているという結果になってございます。ある意味では、52あるうちの36しかそういう格好での反映がまだなされていないという状況であるというふうにも読めるかと思います。
 これが政府全体として、どの程度評価が広がってきているかということであるわけでございますが、ここから先、私ども文部科学省から参っておるものですから、文部科学省におきまして、評価の現状がどうなっているかということを次で御説明を申し上げます。
 別添2でございます。「文部科学省における研究開発の評価の実施状況」というものでございます。2枚の紙に分かれておりまして、1枚目は研究開発プロジェクトについての評価、2つ目は、最後のページは機関評価になるわけでございます。いわゆる大規模なプロジェクト及び重点的資金によって行うもの、この2つがここのところで主なものとしてまとめられてございます。恐らくこの中で一番大きなプロジェクトは国際宇宙ステーション計画でございまして、宇宙開発委員会に第三者から構成される評価委員会を設置いたしまして、平成11年6月の段階で中間評価を実施したというものがございます。
 先ほど外部の有識者、外部専門家というものを入れるというふうに申し上げましたけれども、言い忘れましたが、必ずしも日本人に限るということではなくて、外国人を多用いたしまして、単に国内の、場合によっては仲間うちと言われるようなものではなくて、外国人から非常に客観的に評価をされるという、こういうことも含めてやってございます。 15名のうち外国人が8名というのが国際宇宙ステーション計画の中間評価の状況でございました。
 計画はおおむね順調に進んでいるということで評価をされてございます。幾つか改善措置等も言われているわけでございますけれども、その辺は、後々の計画への反映ということで活用をするという方針になってございまして、そういうことで進められているところでございます。
 そのほか事前については、「深海地球ドリリング計画」を開始する前に、科学技術庁の諮問機関でございます航空・電子等技術審議会、こういったところに部会を設置をしました。それから事後につきましては、一番下でございますけれども、「分子レーザー法ウラン濃縮技術開発」、これを終了した後に、18名になる評価委員会を設けまして事後評価を実施してございます。事後評価につきましては、技術移転とか技術情報の公開、今後の新規事業の進め方、そういったことへの反映になるわけでございます。分子レーザー法というのは、今、国では手をつけておりませんので、そういう反映をいたしてございます。
 最後のページに機関評価の状況でございます。これは科学技術庁時代の取組になってございまして、旧科学技術庁には、13の研究開発関係の国立試験研究機関及び特殊法人等があったわけでございます。おおむね導入をされてございまして、平成8年の12月以来1回ずつ行われたという段階にきてございます。これも外部評価委員会をそれぞれ設けるという格好になってございまして、外国人もそれぞれ、全部ではございませんけれども、かなりのもので取り入れて国際的な視点で評価をするという格好でやってきてございます。
 以上のような状況になっております。
 最後に今後の課題でございますけれども、もともと研究開発評価につきましては、第1期の科学技術基本計画で大きく打ち出されまして、開始をされているわけでございますが、第2期の科学技術基本計画というのは今年の3月30日に閣議決定をされてございます。昨今の課題というのは、ちょうどこの第2期の科学技術基本計画にまとめられておりますので、これが最もコンプリヘンシブかと思いまして、本日別添3で用意をさせていただきました。
 これを見てまいりますと、この別添3の2ページの下のあたりに1つの点といたしまして、評価システムの改革ということがうたわれてございます。黒ドットになっておりますけれども、「評価における公正さと透明性の確保、評価結果の資源配分への反映」というのが1つの課題でございます。それからもう一つは、「評価に必要な資源の確保と評価体制の整備」ということであろうかと思います。公正さ、透明性の確保。公正さというのは一つやはり問題になりますのは、ピアレビューでやっているわけでございますけれども、そのレビューアーの人材というものが、日本はまだ評価が導入されて浅いものですからなかなかそろってこないというような点。それから、評価を受けた者に評価結果がちゃんと開示されるという、いわゆる透明性の問題。それと、その結果をいかに資源配分に反映させていくか。例えば業績等につきましては、研究者本人の処遇などというようなこともあるわけでございますけれども、そういうものにどう反映していくかという課題はまだ大きく残っておるということだろうかと思います。
 また、評価体制につきましても、評価を行うということになりますと、結構資金それから人出がかかるわけでございますが、なかなか政府の部内におきましてこういう体制を認めていただくことができないということがございまして、評価に携わる人間の量、質ともにまだ不十分であるというふうに認識をされているところでございます。
 今、ちょっと予算の点だけ申し上げましたけれども、質という問題も重要でございまして、評価部門を設置しまして研究経験のある人材、そういうプロフェッショナルを評価体制の中に組み入れていくとか、研修を通じて人材の養成に努める、そういったことが今後の課題になっているわけでございます。
 また、評価結果を今後に反映する、もしくは透明性を確保するという観点からデータベースづくりというものも今後の課題であるというふうに認識をされてございまして、4ページの真ん中あたりにあるわけでございますけれども、評価結果、そういったものをまとめたデータベースを整備すべきであるということをいってございます。これにつきましては、平成13年度から早速予算措置を行いまして、内閣府にあります総合科学技術会議、ここを中心にデータベースの整備に着手をしたところでございます。数年かけましてデータベースをつくることができればというふうに考えておる次第でございます。
 ということで、研究開発評価を始めたところでございますが、以上のような状況で進んでいるというところでございます。ちょっと時間を超過しまして申しわけございませんでした。
村松委員長
 どうもありがとうございました。どなたからでも御質問などございましたらどうぞ。
吉野専門委員
 御説明ありがとうございました。2、3お聞きしたいのですが、1つは、私は技術の専門ではないので的外れかもしれませんが、日本が今置かれているのは、国際競争力がつけられるような研究開発とかそういう技術が必要だと思うのですが、今日の御説明ですと、一たび課題がわかりますと、そこがどうかということがここでよく分かるんですが、国家戦略的に立ったときにどういう研究開発が必要かというのは、どこが考えられていらっしゃるのか。特に中国とかインドが随分追ってきている中で、日本がさらに新しい科学技術の開発ができないと恐らくこれから大変になると思いまして、その点が第1点です。それから第2点は、アメリカのITなどは、ペンタゴンで始めて、それが大学に行き、民間に行ってインターネットになったというようにスピルオーバー効果が非常に大きかったわけですけれども、研究のいろんな評価のときに、民間へのスピルオーバーとかいうところまで含めてどんなふうに考えられるのか。その2点をお聞きしたいと思います。
川上計画官
 いわゆる国の研究開発、どういうものが重要であるか、そういう戦略的な取組をしていかなければいけないということが強く言われてございます。そのために総合科学技術会議というのが内閣府に今度の1月に設置をされまして、そこにおきまして、まず政府全体として、科学技術基本計画という5年間の計画を定めた上で、それを具体化するための推進戦略というものを今総合科学技術会議で検討してございます。その推進戦略を受けて、各府省庁がこれから、いわゆる政策として何を実施していくのかということを企画していくわけですけれども、その状況につきましても、今後、総合科学技術会議が中心になっていろいろ評価をしていくということで、いってみれば今日御説明しましたのは、実施をされている現場における評価であるわけでございますけれども、それ以前の政策としてどういうものを採用するか、そういうものも評価と言うのかもしれませんけれども、そういうものについては、いわゆる政策づくりということで内閣府、総合科学技術会議が中心に行っているという状況であろうかと思います。
 それから、成果の反映というものを評価の中に組み入れていく、これは当然のことでございます。その辺はピアレビューの中で、そういう視点をもって行っていくということではないかと思います。先ほど御説明しました「分子レーザー法ウラン濃縮技術開発」におきましても、技術移転ということを反映させているということは、技術移転という観点でも評価をいたしまして、それを反映しているという状況であろうかと思います。現実の問題といたしまして、論文、特許、そういったものが評価の尺度に入ってまいります。研究のための研究ではなくて社会のための研究であるということになるように、この辺は引き続き深めていきたい点ではないかというふうに考えてございます。
村松委員長
 吉野委員、それでよろしいですか。どうぞ竹内委員。
竹内委員
 竹内でございます。幾つか今の研究にかかわる、いろいろ制度上のバリアですとか、インフラができていないような点について幾つかお伺いしたいと思います。
 まず、研究の目的の中に、この科学技術基本計画というのは研究者の育成というか、あるいはその評価、処遇みたいなものが非常に強く言われているのですけれども、研究者を育てるという目標と、まさに国家的な技術戦略を高めるということと、その2つがはっきりしない。つまり研究者を育てるということは、ずっと研究者が研究機関にいれば、それはそれで済むことですけれども、もう一つの問題というのは、研究成果がいかに民間部門に活用されるかということで考えますと、現状においては国家資金が多ければ多いほど民間資金からの流入を抑えてしまうと。国からお金をもらえば民間からのリクエストがなくてもやっていけるという部分がむしろ発生してしまう。つまりオーバーフローが発生してしまうというような問題もあって、金額を拡大すればするほど競争力が落っこってしまうというような、これも少しそういう前提のもとでしゃべっていますけれども、そういうふうな問題。
 それから、ミレニアム・プロジェクトとか幾つかの研究開発がありますけれども、これは民間でやった方がいいか、あるいは国立大学ないしは私立大学でやった方がいいかという評価ができないのです。つまり、最初から大学とか研究機関からの応募に任せているために、本当は民間研究機関の方がいい技術を持っているかもしれないけれども、競争力のない方にお金がいってしまうというような問題点をどのように評価するのか。
 それから最後に、現状では公的資金を大学が受け取る仕組みすらできていない。私の回りにも研究資金を受け取る制度で困っているケースがたくさんございます。まず自分で全部資金を用意してくださいと。研究の例えばミレニアムですとか、そういうのがきますと 1,000万の補助ができました。しかし、資金が払われるのは後になるので、その分自分で払ってくださいとか、銀行で借入れをしている研究者もいるというくらいですね、金利払いも発生しているとか、要するに研究機関はいいのかもしれませんけれども、大学の研究者がお金を受け取るインフラは全く存在していないわけで、そういう制度をそのままにしておいて、戦略とか大きいことを言っても現場のインフラは何もないと。それならば研究者個人が研究開発のために口座管理できるのだというような制度を、あるいは会計制度を使えるというような、そういうインフラをきちっとつくっていないのが1つ。
 それと関連して、逆に民間からの資金を受ける方法も現在大学にはございません。ということは、その大学が競争力を発揮できる方法を持っていないわけですね。現在のインフラとして考えると。あるいは研究者がもし本当にいい研究をしたのだとすれば、さっさと研究者は大学を辞めて戦略的な技術開発をしている部門に転職した方がいいわけです。長いこと研究者が研究室にいたって結局頭の中にあるだけのもので、それを本当に国家的に活用するという方法を持っていないわけですから、そういう最後の研究評価の部分でいけば処遇をよくするとか、次の研究プロジェクトにつなげるとか、そういうレベルでは億単位のお金、あるいは数十億、数百億のお金が無駄に使われる可能性があるように、私なんかは、ちょっとシビアで申しわけないのですけれども、そのように現場から見ると見えるので、ちょっとその辺、お答えがなくてもいいのですけれども、そう思います。
村松委員長
 いかがでしょうか。
川上計画官
 まず一番最初の、例えば重点配分をすることによって、ある分野に資金がどんどん増えてくるわけです。ところが、人間の数が変わらないために、結局、結果として研究の効率を落とすということ、これは私ども政策立案の立場からして課題であるというふうに思ってございます。例えば大学につきまして、人材をある分野からある分野へ移動させるということはなかなか難しい問題がありますし、それからアメリカのように流動的なところではなくて日本のように終身雇用ですと、研究者に辞めていただいて別の分野の研究者を雇う、これもなかなかできないということがあるので、そういう問題というのは私ども認識をしておるところでございます。
 それで、やはりそうならないようにするためにはどうするかということで、今、政策的に取り組んでいますのが、研究者の流動化を進めていくということでありまして、例えば任期付きの任用にしていく、それからその任期付きの任用にされた人間に対する評価をちゃんとして、それでその次につなげていくというような、そういうことによって流動性を増し、それで最新の分野に人が移っていくということを働きかけるという、及ばずながらかもしれませんけれども、そういうことで取り組んでおるところでございます。
 それから、研究評価をした結果、次につなげることで、むしろ資金が無駄遣いをされるということは、研究評価の話を外れて、いわゆる組織のシステムの問題になってこようかと思います。これにつきましても、大学からのベンチャーの育成、それから技術移転の促進というようなことを進めることによって、大学の中に成果が眠らないようにしていく。これも大きな政策課題だという認識で、まさに第2期の基本計画というのはその辺を重要な課題ということで打ち出したところでございますので、まだちょっと御満足をいただけないような状況かとも思いますけれども、今後そういう方向に持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
村松委員長
 よろしいですか。そのほかいかがでございましょうか。どうぞ。
富田分科会長
 各省の評価の体制についていろいろお調べになったのをお伺いしたんですけれども、そこで、各省がどういう評価項目で評価されているか、あるいは評価の基準が何なのかとか、そのウエートがどうだとか、そういうのをおまとめになられたとか、そういうのはございませんでしょうか。
川上計画官
 残念ながらございません。評価については、大綱的指針があって各省がまだ試行錯誤している段階であるということ。それから評価の基準というのは研究評価の場合にはなかなか一律のものにならない。先ほどピアレビューであるというふうに申し上げたとおり、専門家のある程度の判断ということに依拠することになりますので、余り具体化しているものはないのではないかというふうに思います。いずれにいたしましても、調査したことは残念ながらないものですから、しっかりしたお答えにならないことは御容赦いただきたいと思います。
村松委員長
 山本委員どうぞ。
山本専門委員
 簡潔にやりますが、先ほどの竹内委員の第3番目のことについては、ちょっと私の所属とも全く関係ないわけではないものですから申し上げておきますと、現在国立大学においては、民間からの資金は受けられる措置は制度的には保障されております。それはその受託研究なり、産学連携で国立学校特会に入れていただければ、民間から幾らでも奨学寄付金を受け取ることもできます。その後の処置については、各大学のオーバーヘッドをどのぐらいとるかとかそういうことはいろいろありますが、制度的にはされておる。それをさらに弾力化しようとか、あるいは借入金の問題については、もし独立行政法人化となれば、大学自らが借り入れをすることもできますから、場合によっては立て替えて借り入れて資金の融通をすることは可能になります。
 1点質問なのですが、基本計画の中で研究費の一部を評価の業務に充てるという文言があるのですが、これは具体的な基準があるのかどうかというのと、研究費の一部を評価に充てることによって、逆に言えば研究費の実額が減るわけですから、それについての議論がどうなっているのかということを簡単で結構でございますから。
川上計画官
 具体的にどれだけの費用を充てるかという数値目標等はございません。昨年、若干数値目標を設けたらどうだという議論が行われたところもございますけれども、やはりかける費用というのは一律ではないものですから、そういう基準は設けない方向になってございます。それから研究費を圧迫するのではないかという点、これは何とも申し上げられないところでございまして、全体の中で評価についての費用を組み入れていく、そういうことでやっていかざるを得ないと考えてございます。
村松委員長
 樫谷委員どうぞ。
樫谷委員
 非常に素朴な質問なのですが、宇宙開発事業団に出資をして、それで経費を使います。ロケットが上がる場合と上がらない場合があってなかなかうまく上がらないというときに大きな欠損が出るわけですね。欠損が出たから悪いというわけではないのですけれども、もちろん収益がないわけですから欠損が出るのは会計上当たり前なのですけれども、その言いわけ、言いわけかどうかわかりませんが、それは技術の蓄積もできているし、いろいろなところに波及効果があるので、それはそれだけのノウハウがたまっているのだという言いわけをよくされるわけです。それについて、いや、こうなのだというしっかりした説明ができるような評価ができる仕組みになっているのかどうかお聞きしたいと思いまして。
川上計画官
 それは現場の者に問い合わせをした方がいいようなことかもしれません。ちゃんとしたお答えにならないのですが、成果には有形・無形のものがあるものですから、無形のものをどこまで評価において把握することができるかというのは実際悩ましいところでございます。特に科学技術については、その成果が出てくるのに非常に時間がかかるわけですね。ロケットというのはまさに商業ベースになるものに今ようやくたどり着くところですので、これからどれだけのリターンが返ってくるかなかなか予想しにくいところでございますので、その辺は評価において非常に困難なものとして横たわっているというふうに感じているものだというふうに思ってございます。詳しいことは私、把握しておりませんので、もし必要であれば、書面ででもお答えをしたいと思います。
村松委員長
 そうしましたら竹内委員、山谷委員、そのあたりで時間かというふうに思いますので、よろしくお願いします。
竹内委員
 私の方は一言だけですけれども、先ほど企業からの寄付金、お金を受け取る方法があるとおっしゃったのは、現実にはありますが、委任経理金という寄付行為、つまり国庫にお金を出すという行為であって、開発のための資金の受け入れ窓口がないということについて私は申し上げたかったわけで、この問題は現場では相当苦労していると。私も結局最終的にはシンクタンクにお願いして、その資金を運用しなければならないというような状況があるということだけ申し上げたいと思います。
村松委員長
 山本委員、何か御発言ありますか。
山本専門委員
 後でまた。
村松委員長
 そうしたら、山谷委員お願いします。
山谷専門委員
 簡単な話なのですが、中身がかなり高度で専門的な議論ですから、説明しにくいのは当然だとは思うのですけれども、結局そのアカウンタビリティと言いますか、言いわけと言いますか、その辺のいろんなテクニックみたいなものはあると思うのですね。これとこれとこのチェックポイントをクリアしていれば、これは大丈夫だとか、やっていないからだめだとか、それはいろいろあるのだろうと思うのですけれども、そういうことはお考えになったことはございませんでしょうか。
川上計画官
 それぞれの評価においてはチェックポイント、何を押さえるべきであるかということは現場において行われておるというふうに思います。ただし、申しわけございません。そこのところは全体としては、研究開発評価もいろいろな1件1件の目的状況というのもいろいろ異にしておりますので、なかなか標準的にこれとこれとこれを押さえれば研究開発の評価ができるということは現在においてはまだ至っていないのではないかと思います。
村松委員長
 黒川委員どうぞ。
黒川臨時委員
 私はお金の分配の仕方について1つだけお聞きしたいのですけれども、普通、我々大学におりますと、プロジェクトごとに目論見書とか、期待される研究成果等々を書きまして、それでどのくらいお金がかかるということをいろいろ出して、それで上げて、いろんな研究者が競合いたしますので、その中で総額が決まっていて何とかを分配するというような形になっています。そこで今回、この問題も同じようなことだと思うのですけれども、各研究者あるいは上から下に下ろす場合もあるでしょうけれども、その資金の分配の仕方をちょっとお聞きしたいのです。もし仮に総額が決まっているとすると、各研究者が出してくる要求金額の方がキャップよりも大きいと、各研究者は自分のところの分配額を大きくしようとして、ちょっと多めに申請をしようとかそんなこともあり得るわけで、そこに無駄が出てくるかもしれないし、そこで、そういう分配の仕方、あるいは金額の配分をするとき、どういうふうに評価をして配分をしようとしていたのか、その辺をちょっと教えていただければと思います。
川上計画官
 そこはケース・バイ・ケースと言う以外言いようがないのではないかと思うのですが、私ども配分をする側としますと、まずやはり研究者の方々には必要額を誠実に御申告をいただく、それに応じて、結局予算に限りがありますから、優秀な課題から、優秀というより評価の高い課題から選んでいく、それで予算の額にくれば、やむを得ないというのが基本だと思うんですね。そこのところに、ある程度評価者の間で計画を見直して、この辺は少し研究を調整することによって、この程度の金額でやっていただいたらどうだろうかと、そういう判断も入ることはあると思います。例えば今の競争的資金に対するものだと思いますけれども、それが本来の競争的資金についての評価の仕方であろうと思います。
黒川臨時委員
 そうしますと、過去の実績とか、あるいは、そういうものが次のところに結びつくとかそういうこともあるわけですね。各研究者から総額の予算の方が少なかったという状況を今御説明されたわけですけれども、分配するときに各状況状況だろうということでございますけれども、過去の実績とかそういうものが次の予算配分に少しは反映しているということもあったということですね。
川上計画官
 次に反映させるというのは、例えば非常にいい研究成果を得られたものについては、それの延長を認めていくべきであるというような格好で次に反映をさせていくことだと思います。こと金額につきましては、行う研究に対して積算がされて、それに対してのお金でございますので、例えばいい研究をしている先生には、先生は 100万だと言っているけれども、 500万あげましょうと、そういう判断ではないと思います。
黒川臨時委員
 端的に言いまして、結局無駄遣いがあるのかないのかというところ、あるいは無駄遣いがもしあるとしたならば、どこでどういうような仕組みで削ることができるのかということを何か御示唆があればということでお聞きしているわけです。要するに進めている現状というものの中で、そこに何か問題点があるのかないのか、現在の行われていることが問題点がないのであれば、我々としてはどこも踏み込むことはできないのですけれども、やはり現場のところで、何かここのところを改善すれば、もしかしたら無駄なものは要らなくなるのではないだろうかということがあるのではないかということでお聞きしていたわけです。
川上計画官
 その辺はやはり個別に踏み込むものですから、大体事前の評価というのはある意味でピアに頼ることになると思うんですね。そうしますとピアレビューアーが積算も見まして、この研究を行うのにこの程度の資金が必要かどうかということの御判断にかなり委ねざるを得ないという面があると思います。
 それからあとは事後チェックだろうと思いまして、いわゆる国費でありますれば、例えば会計検査、それから資金の配分元のある程度の監査なり何なりというのが行われているはずですけれども、そういうことによって資金の無駄はあるかないかということのチェックをやるという仕組みになっていると思います。つぶさに調べきれているわけではございませんけれども、それで無駄が徹底的に排せられているかどうか。そこのことにつきましては、自信を持って全くシステムに問題がないということを言い切れるだけの情報は、ちょっと申しわけございませんが、持ち合わせておりません。改善の余地がある場合には改善していきたいというふうに思ってございます。
山本専門委員
 情報提供だけします。今、黒川委員がおっしゃったのは現実にはあると思います。イギリスの調査では、通商産業省の昔の政策評価のレポートにも多分私が紹介して書いてあると思うのですが、実際にデッド・ウェイト・ロスというのは、うまいぐあいにヒアリングをすれば、プロジェクトによっては本当は政府からのファンディングが二、三割低くていいというのは現実にあるのですが、日本人の特性からいって、正直な申告が期待できるかどうかという問題と、実績報告書としては収支均衡になっている問題をどうやって突破するかというのは、相当標準的な原価計算をチェックするようなシステムを導入しない限りにおいては難しいけれども、現実的には黒川委員がおっしゃっているような問題は私は日本においてもあり得ると思います。
村松委員長
 どうもありがとうございました。まだ我々は大学におる者が多くて幾らでも質問があると思うんですけれども、どうもありがとうございました。このあたりにさせていただきたいと思います。
 川上計画官におかれましては、御多忙の中を本当にありがとうございました。
川上計画官
 ありがとうございました。
村松委員長
 次に、外務省経済協力局評価室の罍室長に御出席いただいておりますので、ODAに関する評価の取組状況について説明を15分くらいいただいた上で、質疑応答ということにさせていただきたいと思います。
 それでは、罍室長よろしくお願いいたします。
罍評価室長(外務省経済協力局評価室)
 外務省経済協力局評価室長の罍でございます。今日は、ODA評価について御説明させていただくということで大変光栄に存じております。ひとつよろしくお願いいたします。
 お手元にございます資料について簡単に御説明をさせていただきたいと思いますが、まず、4種類の紙をお配りしてございます。
 最初の5ページ分でございますが、これはODA評価体制の改善に関する報告書というものでございまして、それの骨子でございます。これは経済協力局長の私的諮問機関である援助評価検討部会が昨年3月外務大臣に提出したものでございます。それの骨子でございます。それから「外務省の評価形態概要」という1枚紙がございます。それから「ODA『事業事前評価表』の公表について」という紙が、それの添付資料も含めまして十数ページございます。これはまさに5月30日に記者発表したものをこちらにリプロデュースしたものでございます。そうして、最後に「ODA評価体制の改善の動き、今後の課題」ということで1枚紙に簡単になぞってございます。
 このように資料としましては、若干量的にも多いのでございますけれども、時間も限られておりますので、基本的にはこの報告書に沿って簡単に御説明をさせていただきたいと思うのですが、恐らくそれでほとんど時間を費やしてしまうと思いますので、残りの事業事前評価表の公表、あるいは評価体制の改善の動き・今後の課題というのは駆け足でその辺のところは済まさせていただこうかというふうに考えております。
 皆様御案内のとおり、外務省では援助政策、あるいは援助方針を企画・立案そして作成をしております。それを受けまして、国際協力事業団(JICA)、国際協力銀行(JBIC)、これが実施機関として技術協力、無償資金協力、それから有償資金協力を行っております。いわば外務省とJICA、JBICの三位一体で経済協力を行っているわけでございます。
 したがいまして、これら三者がまた評価の方も当然のことながら行っているわけでございますが、実はこの評価の歴史は若干長いものがあるなという感じがしているのですけれども、1975年以来評価を行っております。実際にはそのJBIC、以前OECFというふうに呼んでおりました時代でございますけれども、1975年から行っております。外務省は1981年から開始しております。また、JICAはその翌年の1982年から開始しております。当初はプロジェクトを中心の評価でございましたが、その後、時代のニーズも反映いたしましてプログラム評価、そして国別評価というふうにカバレッジも増やしてきております。そして、これを当然のことながら毎年公表してきておりました。
 他方、この評価というのは、これはすべて事後評価であります。したがいまして、「2.」の評価の目的に書いてございますけれども、我が国のODA評価の目的というのは、これまでは実は3つございました。その1つは、第1番目の援助の効率的、あるいは効果的な実施でございます。第2番目が、3番目に書いてございますが、援助の成果の向上、あるいは援助の質的な向上を図ること、そして第3番目が最後に書いてございます援助の透明性の向上を目指すということでございました。
 しかしながら、この報告書にその後随所に出てまいりますけれども、評価の時期としまして、事後だけではなくて、事前あるいは中間の評価も行うべしということがございまして、その結果、こちらの(2) にございますが、モニタリングをすることによって援助の実施管理を支援するというのも4番目の目的に加わっております。したがいまして、現在、評価の目的は、私どもといたしましては、この4つあるというふうに考えております。
 なお、この関係で時々、若干私どもとしまして誤解される部分があるかなというふうに思いますのは、よく評価をしますと、それに点数付けをするような傾向があるなという感じがしています。あるいは、これはすぐ失敗案件だとか、あるいは成功案件だとか、あるいは、これはAだとかBだとか、あるいは◎、あるいは△だとか、そういうふうな感じで点数付けをするようなところがあるなという感じがしているのですが、私どもはこれはそういうふうな点数付けをするわけではなくて、あくまでも援助の質的向上をねらう、あるいは効率的な運用を確保するために学習的なものの一環として行っているのだというふうにとらえております。したがいまして、そこの点は、国会の先生などからも時々誤解した質問なども私どもになされるわけですけれども、そういうふうに御説明申し上げている次第でございます。ちょっと蛇足でございましたが。
 次に、評価の対象でございますけれども、この点はこの報告書の中で1つ大きいポイントだと思っているのですけれども、新たに政策レベルの評価を導入して、現在も一部行われているプログラムレベルの評価を拡充することによって、評価対象を政策レベル、プログラムレベル、それからプロジェクトレベルの3つのレベルに区分することを提案するというふうに言っております。これまで私が申し上げましたように、外務省としましては行っている評価はプロジェクト評価を行っております。また、プログラム評価も行っております。国別評価も行っております。しかし、この国別評価と政策レベル評価というのは若干の違いはあるのかなという感じがいたしております。その政策レベル評価というのは、援助政策あるいは援助戦略、そういったものを反映いたした形での評価になるのかなという形で、これまでの国別評価という、いわば当該国における各種プロジェクトの評価を総合したような形で行っているような評価とはそこが少し違ってくるのかなと。そういう意味でここの政策レベルの評価というものを導入するというのは、これはやはり私どもの評価活動の中において一つの大きい一歩を示すことになるのかなと、そういう意味でこの報告書においては大きい提言であるというふうに私どもは認識しております。
 次に、「4.」の評価の体系でございます。先ほど申し上げましたように、評価は私どもは外務省、それからJBIC、JICAと三者でそれぞれ評価活動を行っておりますが、JICAとJBICは実施機関としてお互いに重複することはないのですが、外務省が評価を行っている関係上、どうしても外務省とJICA、あるいは外務省とJBICとの間に時に評価案件について重複する可能性というのはあるわけです。そこで、そういうふうなことも念頭に入れまして、ここの評価の体系におきましては、いわば役割分担といったものをここでなされております。つまり、外務省は経済協力政策の企画・立案を行う役割を有しており、個々のプロジェクトよりも一段上のレベルの評価を重点的に行うと。つまり政策レベル、あるいはプログラムレベルの評価を中心に行うということでございます。それに対して、JICAやJBICは個別プロジェクトの評価を評価するということでございます。ただ、この場合、JICA、JBICは個々のプロジェクトを評価してもそこで止まっていては連携というのはできないわけでして、日本全体としてのODAの評価というためには、そしてまたそのODAの有効な実施というためにはこの評価結果が適切にフィードバックされて、将来の経済協力に生かされなければならない。そういう意味で個々のプロジェクトの評価は実施を担当するJICA、JBICが中心になって行うけれども、それを援助政策の企画・立案を行う外務省にフィードバックする体制を確立するというのがこれが提言の一つになっております。この点につきましては、また「9.」のところで簡単に述べさせていただきたいと思います。
 次に、「5.」の評価の体制でございます。それぞれ私ども評価の主体としてあるわけでございますけれども、評価の公平性あるいは客観性、それからまた評価の視点も一定のところからだけやっておりますとやはり偏りが生じるという可能性もございます。そういうふうなことからこの (2)の評価実施者の(2)にございますけれども、開発援助の分野で専門性を有する学識経験者、国際援助専門家をはじめ、会計監査法人、外国人有識者の活用等についても視野に含め、外部有識者の枠組みを拡大するとともに、シンクタンク、コンサルタント等を中心とした外部要員を積極的に活用すべしということを提言しております。これにつきましては、6ページに外務省の評価形態概要という一覧表がございますので、これは説明は省かせていただきますけれども、後でお時間があったらごらんになっていただければ大変幸いでございます。
 次に、恐縮でございますが、ページは次のページとその次のページが前後しております。「6.」の評価の人材でございます。今申し上げましたように、評価の実施者という者がその学識経験者とか外部有識者、こういうふうな人たちにお願いするということになってきた場合に、そういう人的リソースが十分に日本にあるかどうか、あるいは国際的にもそうでございますけれども、基本的に日本にあるかどうかとこれは非常に重要なポイントになるのだと思うのです。そういう意味におきまして、評価人材の育成というのはやはり私どもにとって中長期的にも非常に大きい問題として考えていかなければならないなというふうに思っております。ここの(4)に日本評価学会を設立したとございます。これは昨年の9月に設立したわけですが、今300人ほどメンバーになっておられます。これは学会、あるいは学識経験者あるいは国際協力に非常に関心を持っておられるジャーナリストの方々等いろんな方々がおられるわけですが、約300人ぐらいです。アメリカなんかでは今3,000人ぐらいはいるということでございます。ですから、そういうことを考えましても、私どもはこれからその人材の育成というものを力を入れて考えていかなければならないなというふうに思っております。
 次に、7番目の評価の時期でございます。これも私は今回の提言の中で非常に重要なポイントだと思っております。もちろん、どれもすべて重要なポイントでございますけれども、この評価の時期というのも非常に重要なポイントだなと思っております。なぜならば(1) にございますように、政策レベルの評価は事後評価のみでなく、政策実施中に数回の評価を行うと。つまり事後評価だけではなくて、事前あるいは中間の評価も行うということがここの評価の時期で示されているわけです。(3) のようにプロジェクトレベルの評価は事前、中間、事後と各段階を通じて一貫した評価を行うシステムを確立すべしということを述べているわけです。冒頭に申し上げましたように、これまで私どもが行ってきておりました評価というのは事後評価でございました。したがいまして、これは非常に大きいポイントであると私どもは考えております。
 次に、評価の手法でございますが、特に政策レベルの評価なのですけれども、実はこれにつきましては、先ほど私は援助政策あるいは援助戦略なども含んだものとして評価を行うということを申し上げましたが、実は政策レベルの評価というのは国際的にも、この必要性というのは最近DACの会合なんかにおきましても認識されてきているんですが、実は評価の視点、評価項目あるいは評価基準、先方政府の開発計画、開発政策との関連性、こういったようなものについて実は手法が未だ国際的にも確立されていないんです。ですから、私どももまずこの政策レベル評価を行うに当たりまして、早急に調査研究を進めて評価手法を確立していかなければならないなというふうに思っております。
 次に9番の評価のフィードバックでございます。先ほど「4.」のところで、フィードバックのお話を申し上げました。この「9.」の評価のフィードバックでは、まさに三者間でフィードバックのための連携体制を確立すべしというふうに述べているところでございます。現在、今年の1月に経済協力局長を委員長とするフィードバック委員会を経済協力局内に設置をいたしました。メンバーは、局内の全課長、それからJBIC、JICAの評価担当責任者で構成されております。経済協力局長を委員長といたしましたのは、事柄の性質上これを将来の経協政策に反映するという観点からは、できるだけ高いレベルでの関心を確保しておく必要があるということからこのようにしたものでございます。9番のフィードバックというのも、今回の提言の中で私ども非常に重要なポイントであるというふうに考えているわけでございます。
 それから、10番の評価の情報公開・広報でございます。私ども、先ほど申し上げましたように、評価結果につきましては常に公表してきております。ただ、年1回のいわば評価報告書というふうな形で行ってきておりましたので、どうしても若干タイムラグがあったりしておりました。その点、最近このように電子的情報伝達能力というのが非常に向上してきておりますので、私ども実は去年の7月からをはじめといたしまして、評価結果の概要をホームページに載せております。去年の7月、12月、今年もつい1月ほど前でございますが、5月にホームページに載せたところでございます。これによって、例えば今回5月に載せましたのは、1月から3月に実施した評価の結果をそのように載せているところでございます。
 以上が報告書に基づいたものでございまして、この報告書に書かれている提言の中でも実際には私ども既に行っているというのが非常に多くございます。したがって、そういうふうなものにつきましては、それをさらに評価・改善するということでございますが、先ほどの評価の対象、それから評価の時期、評価のフィードバックというのは、これはまさに新しいエレメントでございまして、これに対しては誠実にその実施に移していくべく現在内部でも作業を進めているところでございます。
 次に、7ページの「ODA『事業事前評価表』の公表について」、これは非常に駆け足で御説明をさせていただきたいと思いますが、5月30日にJICA、JBICがそれぞれ新聞発表いたしまして、外務省でも発表いたしました。これによりますと、ここで書かれておりますので、読んでいただければわかるのですけれども、一言で御説明いたしますと、13年度から案件として審査を開始したものについては、それが相手国政府と交換公文等が締結された段階ですべて公表するというものでございます。これにつきましては、具体的にどのような形になるのかというのは、例として10ページ以降に3つほど載せてございますので、これはまたそれで見ていただければと思います。
 それから最後に、22ページ目でございます。今後の課題です。今後の課題としまして、「2.」のところに8つほど書かれてございます。既に報告書の方の説明で大体カバーされているかと思いますけれども、政策プログラム評価の導入というものにつきましては私ども今調査をしているところでございまして、この結果を待って手法開発し、それに基づいて実施していこうと考えております。
 評価のフィードバック機能の強化につきまして先ほど申し上げたとおりです。ODA関係省庁間の連携のさらなる推進というものにつきましては、実は関係省庁に連絡をさせていただいておりまして、この7月の半ばぐらいにでもこの会議を立ち上げたいということで具体的に動かせていただいております。それから、事前から中間、事後に至る一貫した評価プロセスの確立というのは、これはまさに今申し上げました5月30日の記事資料で御理解いただけると思います。それからインターネットを利用した評価結果の公開、これにつきましては、昨年7月からホームページに載せてございます。
 以上こういうふうな形でずっとありますが、一番最後にございますが、評価人材の育成、これはやはりこれから私どもが真剣に考えていかなければならない問題だなと。ただ具体的にどのような手法があるのかなというところがまだ研究を進めているところでございまして回答が出ていない段階でございますが、大きい問題ではないかというふうにとらえているところでございます。
 以上をもちまして、私の方からの御説明とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
村松委員長
 どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして質問などがありましたら、どなたからでも御発言いただきたいと思います。
永井委員
 御説明ありがとうございました。ごく常識的なことなのですけれども、やはり、ODAというのは被援助国がそれを喜んでいるのかどうか。ODAの被援助国の評価というのは非常に大きなポイントだと思います。しかも、被援助先にかかわらない現地の被援助国の民間の方々の評価というのは非常に大事になると思うのですけれども、いろいろホームページなどを拝見すると、いろんな現地の方々の声も聞いているというふうなことになっているのですが、どのような形、どのような基準で評価者を選ぶかというようなことはお考えでいらっしゃるのでしょうか。評価をめぐっては、各省庁とも今途上ですので、いろいろお考えの最中かとは思うのですけれども、余り都合のよい評価にならないような工夫をどのようにされているのかお伺いしたいと思います。
罍評価室長
 まず、評価対象となっておりますのは、今までのところでは、すべて事後評価でございました。したがいまして、完了後数年経ったものについて順次評価を行っていくということでございます。地域的な分布、それから、その種類等を勘案いたしまして、評価対象国あるいは対象プロジェクトを考えていく、決めていく。その際、私どもにしてみれば、JICA、JBICとの間に重複がないようにということも念頭に入れながら選定を進めていくということでございます。
 それから、評価者につきましては、これは私ども一応データベースを作成いたしまして、評価者について登録をさせていただいております。そういう人たちの中から都合を伺いながら評価者になっていただくというふうなことを行っておりますし、また、国別評価とか、あるいはプログラム評価につきましては、コンサルタントに委託して行っております。このコンサルタントにつきましては、入札によりコンサルタントを決めております。
竹内委員
 2点ほどお伺いしたいのですけれども、援助という非常に高い目標は別としまして、これはローンの格好をとっておりますので、やはり償還計画というものがどのようにつくられていくのかということはだんだんと大きいテーマだと思います。こちらの事前評価の中に償還計画が出ておらないのでどうしてかという。お金を返していただかなきゃいけない。無償援助は別ですけれども、事業援助の場合は、一応政府が償還責任者ということになりますけれども、少なくともその評価があってしかるべきで、この点が1点と。
 もう一つは、日本は電力、エネルギー、水道とか、そういう基礎的なインフラに非常に多くのお金を貸してきているわけで、その点においては非常にすばらしくやってきたと思うのですけれども、現在のところ2つの問題がある。1つは、世銀などを中心にこういう分野では民間資金の導入が非常に進んできて、民間資金と同時に民間のオペレーターの能力が非常に上がってきて、民間資金と同時に水道のオペレーターとか、電力会社の経営能力が優れている会社とか、コンサルタントが世界の潮流を占めてきて、どちらかというと、国の資金を中心としてやってきたインフラ事業というか、そういうものしかノウハウを持っていない日本は根本的な競争力を失いつつあるという大きな問題がありまして、それはもともとODAのやり方ではなくて、国が持っている制度的な欠陥というか、そういうものに基づいているわけで、実は日本も地下鉄とか非常にいいノウハウがあるんですけれども、海外に輸出できないというような問題もございますので、2番目はオペレーターの不足、あるいは民間資金の導入に対してどういうふうに対応していくのかというようなこと。そういう大枠の問題についての評価がなされないのか、その点についてお願いしたいと思います。
罍評価室長
 第1点目の償還の点につきましては、これは実施機関別にいきますとJBICの方の担当になるわけですけれども、JBICの方としましては、候補案件が上がってきました際に、その時点で案件審査を行います。そして案件審査を行っていく過程で、その案件についての収益率も試算をし、そしてまた、その国の償還能力、経済的なパフォーマンス、そういうものも検討いたしまして、それで償還能力があるかどうかということを検討し、その案件についての是非を考えるという形で行っております。これは従来より事前評価とか、評価という言葉を使っておりませんでしたが、審査という形でその点は行ってきておりました。
 それから、2番目の点につきましては、これは現在のところ評価活動の中で、これは事後評価、そして有償案件なんかにつきましてもプロジェクト評価が中心になっておりましたものですから、そこのところは余り行われていないといって差し支えないかというふうに思います。ただ、借款事業として考えていった場合には、先生の御指摘のとおりなのですが、そこの点につきましては、やはり私ども経済協力の世界におきましても、資金の有効的な活用という観点から民間資金の活用というのも重要だということで、これは既に六、七年ぐらい前からでしょうか、例えばBOTベースでのインフラの整備というふうなことも行ってきておりまして、これは今いろいろな国でも進められているというふうに承知をしております。ただ、今おっしゃるとおり、評価の点につきましては、今後の問題であるというふうに思っております。
丹羽委員長代理
 私はこの新しいODAの評価制度の改善というのは、かなり外務省としては思い切った評価制度を構築されているのだなという印象を受けるわけですが、その中で一つこれから注意してやっていただかなきゃいけないのは、やはりこのODAというのは国のかなり大きな金額の金を使うわけですね。それで、その効率とか、援助の問題もいろいろあるでしょうけれども、相当程度定量化できる部分が多いですね。金を使うだけに、その援助目的が相当定量化できますので、評価は意外と公平性を保てるのではないかというふうに事後の評価としてはできるわけです。ただ、事前のODAを審査する場合においても、相当時間をかけて審査されるはずなのです。それなりに審査をされ、金をつけてやるわけですけれども、途中でほとんど完成のめどがないのにそのままになっているとか、あるいは、そういうことも環境の変化によって過去に幾つもあると思うんです。今回も評価制度のフィードバックというのは、外務省としては非常に新しい画期的なことだというような言い方をされていますが、JICAとかJBICにしても、これは一種の内輪のフィードバック制度でありまして、外務省、JICA、JBICというのは、内輪のフィードバックというのは、何とも我々から見ていると、これはぐあいが悪いんじゃないのか。できるだけ、ここにも書いてありますが、市民、NGO、いろいろなところの有識者を集めるとおっしゃっている一方で、外国の事業ですから専門家というのは意外と少ないですね。やはり外務省のOBとか、外務省関連の人とか、JICA関連の人がどうしても専門委員、あるいは外部の委員の中に多数入って行われる可能性があると自己評価に近いようなことになりがちだと思うのです。一方において定量面の公平性というものは保てると思いますが、もう一方において、総合評価の面において自己評価、内輪の評価に陥りがちの危険があるということで、今回の評価制度のフィードバックについても相当疑念がある。国民から見ると、この評価制度のフィードバックがうまく働かないかもしれない。そういう可能性がありますので、このフィードバックの制度については、極力外部の委員あるいは外部の専門家、評価委員会にこれは委ねるべきではないか。
 それからもう一つは、フィードバックした結果がやはり問われるべきではないのか。これは中途でギブアップしても、あるいはどんなすばらしい成果を出しても、外務省として何の結果も問われない。も×もつかない。ついたところで、それはどうしたということでは、やはり非常に無責任になりがちになってしまう。金額のかさの高い事業案件だけに、これは結果についてはある程度インセンティブをつけるなり、ディスインセンティブにするなり、いずれにしろ、そういうような仕組みを導入していかないと、これは何のために評価制度をやっているのだと。将来に対する教訓にするのだとか、そういうことではないだろうと思うのです。もちろん、それも大事なことですけれども、少なくとも相当の多額の金額を使いますから、やはりこの分についてはフィードバックの後の結果についてもフォローするなり、ある程度の±をやっている部局等々につけていくような仕組みを考えていくべきではないかというふうに思います。民間であれば当然のことなのですが、恐らく外務省あるいは官庁で、果たしてそういうことができるのかどうか私は甚だ疑問に思っておりますけれども、少なくとも、多額の国の金、税金を使う場合はそれぐらいのことを考えないと本格的な改革にならないというふうに思います。その点の御意見をお伺いしたい。
村松委員長
 いかがでございましょうか。
罍評価室長
 2つ、3つ私の方から申し上げたいと思うのですけれども、外務省のJICA、JBIC、そういうところのOBが専門家の中に入っているんじゃないかとか、あるいは委員会の中に入っているんじゃないか。したがって、それは内輪のものじゃないかというふうなことでございますけれども、例えば、この評価検討部会を経てつくりました評価研究会なるものでございますけれども、これも委員は大学の先生が何人かと、NGOの方々、経団連の方々、あるいはUNDP、世銀といった感じでございまして、私どの方は、メンバーとしては、例えば私の前任者が立場上そのメンバーに名前を連ねているというふうな程度のものでして、実はそのような形は極力とらないようにしております。評価を行っていただく人につきましては、この人たちも大学の先生とか、あるいは学識経験者、あるいは経済協力に非常に造詣の深いジャーナリストの方々とかというふうなことでございます。この方々も、私もまだ日が浅くて全員存じ上げているわけではございませんが、外務省、JBIC、JICAの方々はほとんどいないんじゃないかというふうに思うんです。そういう意味におきまして、評価の結果につきましては、内輪の評価であるとか、そういうふうな形にはなっていることはあまりないと思いますし、できるだけそのようなことのないように、そこは注意をしているつもりでございます。
 それから、フィードバックの委員会の構成員と、その結果の公表等についてでございますけれども、そこのところは若干その評価の目的との関係という、そのあたりで私どもが持っている認識との間の若干の開きがある可能性がございます。しかし、ここで私が強調しておきたいのは、評価の結果につきまして、その結果に中には当然重要な提言も含まれております。それらはすべてホームページに載せております。そして、それに対して外務省からの一言ということで、それを今後前向きに進めていきたい、あるいは、それについては若干の誤解があるのではないか、あるいは、それはごもっともですが、現状ですぐ対応することはちょっと困難かとかといったようなコメントをつけさせていただいたおりまして、フィードバック委員会そのものではございませんが、極力私どもの方といたしましては透明性を図っておりまして、卑しくも内輪で身内に甘いとかというふうな形にはならないように努力しているつもりでございます。しかし、今、委員御指摘の点につきましては、今後とも私どももそこの点は真剣に考えていきたいと思っております。
村松委員長
 翁委員と田辺委員。お二人からお願いします。
翁専門委員
 確かに今日拝見して、お話も伺いまして、ODAの評価体制も非常に複線的にいろいろ工夫されてきたということはよく理解することができました。ただ、先ほど竹内委員が質問されたことに関しまして感じたことなのですけれども、有償資金協力の件でございますが、事前の償還能力の審査につきましては、審査ということで政策評価という位置づけではなかったということでございました。しかし、やはりローンという有償資金というのは、まさに金融的なものでございます。今回援助のパフォーマンスのモニタリングについても考えるようにすることにしたとおっしゃっていましたが、援助のパフォーマンスを見るということは、そのローンのモニタリングをするということとイコールです。審査、モニタリング、万が一、不良債権化した場合には回収とか、そういった金融的な観点から、この事業は見ていく必要があると思っています。それで、いろいろ金融技術も変化してきていますし、そういう意味では、援助の専門家だけでなく、金融の専門の観点からも、政策評価というのを充実させていくことが非常に重要なのではないかと思っています。
村松委員長
 違う種類の質問かもしれませんけれども、田辺委員、お願いします。
田辺臨時委員
 ODAに関しまして、外務省の方が特にプロジェクトレベルの事前評価をやり始めたというところはかなり評価できるような気がいたします。あれだけ抵抗したのだろうけれども。ただ問題は、これを見ていますと、JICAとJBICのところと外務省の連携がどういうふうになっているのかというのが、いま一つ見えないというのが実際のところでです。評価書のフォーマット自体はかなりよくできているような気がいたします。初めに事業名があって、必要性が述べられて、その後でどういう指標ではかるのかという成果目標があり、そこから事後にどういう評価を入れていくのかという計画が入っている。それ自体はかなりいいものができているような気はするのですけれども、ただ問題は、ほかの事前評価のかかっているものですと一般的にはマニュアルがつくられているわけです。それで、評価を個々に実施するところと、それから評価を全体でまとめるところのある意味では対抗関係というのが、もしくはプロジェクトレベルの評価でうまくいったり、うまくいかなかったりというところの教訓がマニュアルの中に集約されるということを通じてフィードバックが働いているのだと思うのですけれども、このODAの場合にはその種のものを、つまり外務省の側でマニュアル等を作成して、それがどの程度バインニングされているのかをチェックし、プロジェクトが悪かったときには、もしくは、そのマニュアルの方式が悪かったときには、プロジェクトの評価フレームを変えていくというようなことが、普通は公共事業であれ、レギュレーションであれ行われていると思うのですけれども、このODAに関してはどうなっているのでしょうか。
村松委員長
 実は、もう15分遅れでやっているのですけれども、さらにそれが過ぎているので、種類が違うかもしれないのですが、もう二つ御質問をいただいてからお答えいただくというのでよろしゅうございますか。罍室長いいですか。
 そうしたら、吉野委員と武田委員と黒川委員から簡潔にお願いいたします。
吉野専門委員
 簡潔に質問させていただきますが、先ほどの政策プログラムレベルの評価というところで、私、これは非常に重要だと思いまして、マクロ的に、そして、いろいろなプログラムが横断的にどうなっているかということをぜひ評価していただきたいと思うのですが、そのときにやるべきことは、やはりミクロレベルでのデータ、それから地域とか産業別のデータがきちんとありませんとその評価ができないと思いますが、現在どれぐらいそういう情報を構築されていらっしゃるのか、それから今後どういうふうになされていくのか、それが質問です。
村松委員長
 黒川委員。
黒川臨時委員
 今度の評価委員の中に、会計監査法人というようなことも書いてありましたので、あるいはと思いまして、確認でございます。こちらからお金を流したものが、相手国において実際に事業を行うわけでございますけれども、そのときに当初の目論見どおりそのお金が全額使われているのかどうかまでもチェックをしようというような、あるいは既にチェックをしているのかもわかりませんけれども、そういうようなつもりがあって、会計監査人について評価書に言及されているのかどうか、その辺を教えていただきたいと思います。
村松委員長
 武田委員お願いします。
武田専門委員
 ODAの個別のプログラムの評価というのも非常に大切だと思うのですけれども、多くの国民は、こういった厳しい状況の中ですから、ODAの意義がどこにあるのかということで非常に納得したいというふうに思っていると思うのです。そういう意味で、ODAのビジョンといいますか、位置づけに対してどこまでできたのだ、できなかったんだといったような評価をお考えなのかどうか。そういったところをお聞かせ願えたらと思います。
村松委員長
 すみません。どうぞよろしくお願いいたします。
罍評価室長
 まず、翁委員からの御質問でございますが、ポイントは金融専門家も審査の過程で入れるべしというところかなというふうに思っております。私のその理解が正しければ、「金融専門家」という形で入っているかどうかはわかりませんが、しかし、国際協力銀行というところは、いわばそういう側面も十分担っているわけでございます。それでかつ開発業務に知悉しているということでございまして、そこがまた必要に応じて外部委託もすることは十分あると思うんです。金融ではございませんけれども、私が見聞した一例といたしましても、例えば、そういう案件の審査の過程におきまして、その国の産業構造などを調べる観点からコンサルタント会社に委託するというふうなこともやっていたケースも見ておりますので、それが金融につきましても、必要に応じてそこのところは行われているのではないかというふうに思っております。ただ、そこのところは、私はゲスに基づく回答にならざるを得ないという点は御了承いただきたいと思います。
 それから、田辺委員からの御質問でございますけれども、プロジェクトレベルの事前評価における外務省の役割というのはどうなっているのかということでございますが、確かにまさに御指摘のとおり、こちらにございますのは「事業事前評価表」がございまして、これは実施機関が行う事前評価、これを私どもは政府機関が行う事前評価と区別しまして、ここは事業事前評価という「事業」という言葉をつけさせていただいております。それでは、事業事前評価とそれから外務省が行う事前評価というのはどのように違うのかどうなのかという点は、当然お答えしなければならない部分だと思うのですけれども、いわゆる政策評価法にある事前評価というのは私どもが縛られるわけでございますが、それは基本的にODAの個別事業を対象として行われているという意味におきましては、この事業事前評価と同じでございますけれども、他方、その法律にあります政令で定める範囲の個別事業を対象とするという、それに縛られる外務省の事前評価というものと、それから実施機関が行う事業事前評価というのは、そこは範囲が違ってくるということがあると思います。
 それから、外務省が行う事前評価というのは、当該プロジェクトについて、JBIC、JICAが行った事業事前評価とどう違ってくるのかという点でございますが、私どもは、この事業事前評価表のプロジェクトの基本的な部分を参考といたしまして、それに外務省としての案件選定にいたる判断、これは二国間関係における意義とか、あるいは国別援助計画との整合性とかいったようなものを含めて、そうして、より政策的な側面を扱うものとするというふうに考えております。
 なお、御案内のとおり、私どももいろいろなところで御説明もさせていただいておりますけれども、実は、DAC(OECDの開発援助委員会)のメンバー国の中にいろいろ当たってみたところでございますけれども、ODAの個別の事業に対する事前評価を法律上義務づけている国はございません。また、ODAに関する事前評価の手法は必ずしも確立されていないのは御承知のとおりでございまして、したがいまして、外務省としては、外務省の行う事前評価の具体的な手法について、引き続き研究を進めて、具体的な事業に対する適用、試みを行うなどによっていろいろ準備を進めていきたいというふうに考えている次第でございます。
 それから、吉野委員からございましたミクロデータがどれだけ蓄積されているのかという点でございますが、この点につきましては、申しわけございません、私、答えを持ち合わせておりません。ただ、その辺のデータの蓄積、これが必要があるということは、これまで研究を進めている過程におきましても、そこのところは十分理解を深めてきておりまして、しかし問題は、このようなミクロデータは、私どものところにあるのではなくて、どうしても被援助国、受益国の側にある。そして、受益国における経済統計の整備というものは、どこの国において見ても同じレベルにあるものではない。場合によっては、そこのところは非常にうまくいっている部分もあれば、足りない部分、だから援助が必要なのだというふうな、この辺のところがかなり二律背反になるような部分があるのだと思いますけれども、そこのところが、それだけにまた私ども政策評価を行っていく上において乗り越えていかなければならない問題であるなというふうに思っております。
 それから、黒川委員から監査法人との関係できちっとお金が使われているかどうかの調査は行われているのかという点でございますが、整理の仕方にもよるかと思いますが、例えば有償資金協力につきまして、私どもはあるプロジェクトに「100 億円まで」という言葉を使っているわけです。それから、無償につきましても「まで」という言葉が行っているわけです。これは具体的にどういうことかと言いますと、100 億円までは事業費がかかっても、そこまではお貸しいたしましょうということでございまして、もし事業費がその中で70億円で済むのであれば、30億は余計な金でございますから、これはお貸しいたしません。70億円になるかどうかは、競争入札を経て決定されます。したがいまして、その時点で事業者との契約は70億円で済ませるのであれば、70億円のローンを行うという形になります。ただ、今の私の答えが若干、委員のお考えになっておられるのともしずれているとすれば、そこをクラリファイしていただければ、それなりにまたお答えさせていただけるかもしれませんが、とりあえずは、そういうふうなところでございます。
 それから、武田委員からいただきましたODAの意義がどこにあるかということを評価できないのかというところがございますが、そこの点につきましては、これはかなり難しい御指摘だなと、先ほど来頭を悩ませているところなのでございますけれども、恐らく今後の検討課題なのだろうなという感じがいたします。ただ実際、具体的に行っていく過程において、漠然とした形でODAの意義というのを評価をするというのも難しゅうございますから、やはりどうしてもプロジェクト、プログラム、それより上位構造に当たる政策レベルの評価を通して、いかにODAが有効に使われているか、そして受益国に喜ばれているのかといったようなことを国民の示すことによって、とりあえずは、意義を間接的にお知らせできるということになるのかなというふうにとりあえずは考えております。
村松委員長
 どうもありがとうございました。
 大体このあたりでよろしいでしょうか。
 罍室長におかれましては、御多忙のところを大変ありがとうございました。
 それでは、現在の時点で非常に遅れているのですけれども、遅れた分だけは全体として遅れざるを得ないということで、しかし5分は休むということにさせていただきたいと思います。時間が難しいのですけれども、今から5分間ということで休憩させていただきたいと思います。

(休憩)

村松委員長
 続きまして、独立行政法人の中期目標、中期計画等について事務局から説明願います。
高野評価監視官
 独立行政法人担当、高野です。
 関連資料は資料3となりますが、本日の御説明の本題に入ります前に、配布資料の一番下にあります参考資料を御紹介申し上げたいと思います。
 参考資料を3点ほど用意しております。
 参考資料のその一は、実は、前々回の第4回委員会で会計基準等について御説明をし、御審議をいただいた際に出された御質問についてです。時間の関係もあり、そのとき必ずしも十分お答えできませんでしたところ、本日比較的関連のある議題に戻ってまいりましたので、補足説明をメモとして整理して提出いたしております。内容としては、公務員型と非公務員型の独立行政法人は会計基準上はどのような違いがあるのか、また公務員型から非公務員型に移行誘導するようなインセンティブがあるのかという質問です。詳細は説明を省略させていただきます。
 参考資料のその二は、これも同じく4月の委員会におきまして、私ども事務局の方から御提案を申し上げ、この委員会から御指示をいただいた2件の案件についての御報告です。そのうち1件が、ホームページ等を通じての情報発信を評価すべきという内容でした。これにつきましては、資料にプリントアウトの形で付しておりますとおり、昨日付けで当委員会のトップページをこのような形で開設するとともに、同ページからそれぞれ各府省の独法評価委員会、各独立行政法人等のホームページへリンクを張るという形で、関連の情報を取り込んだ上で、当委員会としての情報発信の体制を整えることができました。これは結果の御報告です。
 御報告の2件目は、平成11年4月27日の中央省庁等改革推進本部決定において、この委員会として、独立行政法人についてのハンドブック、ブックレット等のようなものをつくるとされたことの関係です。これにつきましては、資料にありますとおり、「独法総覧(仮称)」ということで、お示ししたような全体構成イメージ、構成案の下に、現在事務的な作成・編集の作業を進めております。こちらは中間的な経過の御報告です。
 参考資料の最後は、特殊法人等改革の関係です。「特殊法人等改革基本法」が一昨日の6月20日に国会で可決、成立をし、本日付けで公布、施行されました。資料として、法案と要綱をお配りしていますが、そのうち要綱の2ページの左のところに、第二「特殊法人等整理合理化計画」という部分があります。その特殊法人等整理合理化計画の内容として、「廃止、民営化、独立行政法人への移行、その他各特殊法人等の組織形態について講ずべき措置」ということが挙げられております。このうち移行を想定する「独立行政法人」のタイプに関しては、「特定独立行政法人以外のものをいう」とされておりますので、つまり非公務員型の独立行政法人への移行を想定していることになります。こういう内容を柱とする特殊法人等整理合理化計画が、この法律に基づいて今後つくられていくことになります。今申し上げましたような意味で、独立行政法人に関連する要素がありますので、参考資料としてお配りする次第です。
 参考資料は以上です。
 では、本題の御説明に移ります。関連資料は、資料3ですが、その中でも資料3−1がいわば本体になります。そこに至るまでの作業に当たりました事務方としての頭の整理、作業の手順をまず簡単に御説明いたしたいと思います。
 本日の御説明の趣旨、目的ですが、私どもとしては、57の独立行政法人の中期目標、中期計画等の概要について、できる限り、法人の類型別等に即しながら、その全体像を把握していただくための資料をどのように作成したらよいかという点を心がけました。
 それにつきましては、まず「中期目標等に関する論点(検討素材)」という紙をお開きいただきたいと思います。資料3の表紙とともに、左右に開きながらお聞きいただければ幸いですが、中期目標、中期計画等に関連すると思われるこれまでの委員会での御発言等を基に整理したのがこの検討素材としての論点です。具体的には、評価指標としての扱いをどのように考えるか。独立行政法人の業務実績の評価に当たって、中期目標や中期計画に盛り込まれた事項などをどのように指標として扱うのか。例えば、(1)のように、財務諸表に表されるような「経営成績」と財務諸表に必ずしも表れない「業務の成果」をどのようにバランスをとって評価していくのかといった問題提起がなされましたし、(2)として、中期目標等に示された目標のすべての項目を等しく重要であると考えるのかどうか、あるいは中期目標等に盛り込まれたもの以外にもこの委員会が必要に応じて指標を設定して用いるということについてどのように考えるのか。いずれにしても、これらの目標等の重要度が必ずしも等しいとは限らないということであるならば、評価の観点にとってどのようなものを重要とし、どの程度の重みづけをしていくということなのかという論点が出てくることになると思います。
 以上の論点にも関連いたしまして、資料中では「参考」と書いてあるところに、これまでの委員会の議論における言及や論点提起をいくつか整理して掲げております。例えば、数量的目標などの客観的な目標としてどのようなものがあるのか。またそうした目標は目標全体の中でどの程度の率を占めているのか。あるいは国民志向・顧客志向の目標は重要な目標だと思うが、それらにはどのようなものがあるのか。さらに、いわゆるアウトプットよりは社会経済に対する実際の影響という意味における「アウトカム」志向の目標が重要だと思うけれども、それに当たるものとして実際にどのようなものがあるのかといったような言及、御質問等があったところです。
 また、(3)として、中期目標等に示された目標達成の難易性とその達成状況等についてどのようにバランスをとって考えるのかという論点もありました。特に、具体的には、4月の委員会の場でも議論がありましたとおり、(3)の2)のケースのように、仮に法人の努力によって目標以上の水準で実績を達成したということであったとしても、その場合に所定の費用を使い切ってしまった場合には、会計基準上あるいは独立行政法人通則法上、損益計算上の利益というものが出てこないことになりますけれども、そのことについてどのように理解し評価していくのかといった問題提起があったところです。ただ今の(1)と(3)に関連しまして、検討素材の附属資料の一つとして、「独立行政法人におけるインセンティブ制度(未定稿)」という資料を整理しております。実際には同資料の2において、模式図的に、費用・効果とそれから達成された成果との関係での効率の問題を4つのパターンに分けて整理しております。今、申し上げました(3)の2)は、いわばパターン3に該当するわけですけれども、こういったものをどのように見るのかというような問題提起が第4回の委員会等でなされました。
 この点についての一つの見方としては、割り切った見方になってしまうのかもしれませんけれども、そもそも独立行政法人とは、行政改革会議の最終報告で見ても、行政機能の減量、アウトソーシング、効率化等の文脈において構想された制度でありまして、その典型的な想定モデルとして、業務をなるべくスリムにやっていっていただくということを念頭において構想された制度であるというふうに推定できようかと思います。そういった前提を置いてみた場合に、中期目標の中では、実際にサービスその他の業務の質の向上に関する目標というものとともに、財務内容の改善に関する目標ですとか、業務運営の効率化に関する目標というのが定められることになっています。これを受けて、必ずしもすべての法人についてではありませんけれども、少なからぬ数の法人について、費用をなるべく節減していくといった趣旨の目標が設けられています。以上を合わせ考えますと、「費用はなるべく少なくかつ成果はより多く」達成していっていただきたいというのが独立行政法人に求められる一つの方向性となります。成果の面については、質または量の両面がありますけれども、いずれにしても、数値化可能という前提で考えました場合に、成果はなるべく大きく、費用はなるべく少なくというのが一つの典型的な独立行政法人の在り方のパターンではないかということではないかと思います。以上のような限定を置いた上でですが、求められる独立行政法人の在り方としては、パターン4ないしパターン2というものが一つ考え得るのではないかなと考えることができはしないか、ということになります。以上の内容は、必ずしもすべての法人について妥当するかどうかについては御議論があり得るところだろうと思いますが、一つの前提を置いた場合には、そういったことが言えるのではなかろうかという趣旨です。
 ちょっと戻っていただきまして、論点(検討素材)の2ページです。中期目標、中期計画等に関する別の論点として、そこに定められた目標等の在り方といったものについてこの委員会としてどのように関与していくことが可能であろうか、あるいは、それにふさわしい一番重要なタイミングというのはいつごろであろうかといった論点がまたあり得ようかと思います。
 (1)ですが、必要なときにいつでも改善のための意見を述べることは可能であろうか、どうなのか。しかしまた、そうすることが現実的であると考えるのかどうか。関連する別の論点としては、評価に関する何らかのガイドライン、私的指針的なものを設けるといったようなアイディアについてどう考えるかという問題提起もなされたところです。
 (2)については、独法の業績について、府省評価委員会の評価結果について必要な意見を述べるというのがこの委員会に与えられた通則法上の任務ですが、そういった活動を通じて、必要に応じて中期目標等における事項についても問題などを指摘していくということなのではないだろうかという考え方があり得るかと思われます。
 (3)はまた別な論点でして、タイミングの問題です。いずれにしても、中期目標というものが独立行政法人の運営上の基本的な枠組みを決めている文書ということになりますので、次の中期目標の定め方、それが実質的に策定作業が行える時期がいつかというのが非常に重要なタイミングであると考えますと、実は中期目標期間の最終年度において、この委員会が述べる意見というのが一つ重要なタイミングになり得るのではないだろうか。実際には、その年度には、中期目標期間の最終年度の1年前の年度の業務に対する評価が行われているということになりますが、その時点におけるこの委員会の活動というのは一つ重要なのではないかというのが3番目の論点です。
 以上が「中期目標等に関する論点(検討素材)」の御説明です。
 再び資料3の表紙に戻っていただきます。資料3の全体は、以上のようなこれまでに提起されました論点等を踏まえつつ、かつ事務的な作業の都合も考え合わせつつ、整理作成をいたしました。順に紹介いたしますと、まず、全体的な目標、中期目標、中期計画に盛り込まれております項目のうち、定量的なもの、定量的な要素ありと思われるものを抜き出して整理したものが資料3−2です。さらにそうして抜き出したもののうちから、アウトカム的な要素を含むもの又は顧客志向的な要素を含むとみられるものを抜き出して整理したものが資料3−3です。
 他方、そうした資料整理では、広い意味で定性的目標と言われるものが抜けてしまうことになります。ところが、これがボリュームとしては相当膨大なものとなりますので、各府省にお願いをいたしまして、現時点において、1つの独立行政法人当たり3つぐらいを目安として、特に重要と考えている定性的な目標等があれば、それをお示しいただきたいという作業依頼をいたしました。それを整理したものが資料3−4です。
 資料3−5はやや毛色が変わりまして、中期目標、中期計画、年度計画という3種理の文書の相互関係を把握しようとしたものです。主務大臣の定める中期目標に対応する形で各独立行政法人により中期計画が策定され、その中期計画に基づき今年度何をするのかということを年度計画で定めることになります。中期目標から始まり、中期計画及び各年度の年度計画という三類型の文書が各独立行政法人についての一連の経営計画ということになりますけれども、その三者の関係を一覧表的に整理して、三者の関係を御理解いただくための資料としてサンプル的につくりましたのが資料3−5です。実際には、総務省所管の法人であります消防研究所について、3つの文書を三段表に整理し、対比をしております。
 以上のようなことですが、インセンティブの資料のその次に、資料番号のない1枚紙として「独立行政法人の業務類型の一案」というものをおつけしています。今回のような御議論の際に、できる限り独立行政法人の類型別に即して把握をしていただくために、今回の資料につきましては、一つの試みとして、この一枚紙の類型案に整理した独立行政法人の順番に資料を並べて整理することとしました。このうち、A(試験研究の機関)、B(文教研修の機関)、C(その他の機関)とお示ししたのは、基本的には、これまでの委員会で何度かお示しをした三分類に則ったものですが、さらにそれぞれの分類の中のミシン目部分につきましても、ある程度のグルーピングが可能な部分もあるだろうと考えまして、言わば試行的にグルーピングをしたものです。
 それでは、資料3−2をお開きいただきたいと思います。これが中期目標及び中期計画における定量的目標の事項ということになります。恣意を排除するため、まずそれぞれの文書について機械的に総事項数を数えました。その際、本体と別に別紙として添付されている部分が相当数ありますけれども、これらについては事務作業の都合上割愛をしております。さらに本文につきましても、試験研究機関等の場合に、研究課題の内容について縷縷記述がされている事項が多々ありましたけれども、一つには別紙部分にそういったものが多く盛り込まれているということとのバランスをとる必要があるということと、それから法人の運営に主眼を置いてある程度整理をしていくという観点のときに、そうした項目についてはなかなか扱いが難しいということで、事務的には、本文中でありましても、研究課題そのものについて述べているような項目につきましては、とりあえず捨象させていただいております。そうした前提をおいて、中期目標及び中期計画の事項数を数えましたところ、中期目標については、57法人で計3,081 項目、中期計画については、57法人で計3,436 項目ほど事項数がありました。そうした中から更に作業をして、定量的なものを抜き出したものを資料化しています。中期目標においては、ある種の割り切りで作業をした結果277 項目、中期計画については488 項目、それぞれ総事項数との関係では約13%から14%程度のものがそれに該当しております。詳細につきましては、その2ページ後から計50ページほどにわたりまして、細かい字ですが、抜き出した事項そのものを列挙してあります。
 しかし、これではボリュームとしてはいささか多過ぎますので、この中から更に絞り込んだものとして資料3−3を御覧いただきたいと思います。資料3−3は、資料3−2で277項目及び488項目、それぞれ抜き出したものの中から、更にアウトカム指標的なもの又は顧客志向指標的な要素を含むとみられるものを、これはやや広めに拾い出したものです。その結果、表に書いてあるとおり、57法人のうち、中期目標及び中期計画の両方の中で何らか今申し上げたアウトカム、あるいはカスタマー志向的な要素を含むと見られる目標を持っているものが29法人、つまり約半分程度の法人に何らか該当する項目がみられました。また、中期目標、中期計画で左右を比べながら御覧いただきますと、アウトカム指標的な要素を含むとみられる項目は、それぞれ23、28ですから、母数の違いはありますが、絶対数ではそれほど数に差はありません。他方、顧客志向指標的な要素を含むとみられる項目については、中期目標の方は母数が少ないわけですから、母数の大小とは逆に、中期目標から抜き出されたカスタマー志向的な要素を含むと見られる目標の数は42ということで、中期目標から抜き出されたものの約2倍になっています。主務省が設定する中期目標の中では、むしろ独立行政法人とそのサービスの相手方たる顧客との関係についてより強く意識をしているという傾向が出ているのかなという結果になっております。
 実際の例については、資料の2ページ目以降をざっと見ていただければお分かりいただけるとおりです。若干の特徴について述べますと、まずアウトカム指標的な要素を含む目標の類型としまして一番多かったのが、独立行政法人の運営する施設等を利用する者又はそういった施設を訪問する者の数等について何らか書いている事項です。これらは、例えば中期目標の例でいえば23項目のうち13項目と半数以上を占めております。その次に多かったものが独立行政法人の開設しておりますホームページ又は対外的にオープンにしておりますデータベースへのアクセス件数、利用件数等を目標としているものです。これらが中期目標の場合、7項目で約3割程度を占めております。その他のものとしては、学校施設類型の独立行政法人において、卒業生の就職率、就業率といったものを目標中に決めている例がみられます。
 さらに、需要に対応した供給量を確保するといった目標も中に見られます。11ページをお開きいただきたいと思いますが、種苗管理センターという法人があります。そこで馬鈴薯の原原種、これが事実上この種苗管理センターの方から提供される原原種が全国的に使われておりますけれども、実際の社会における需要量に対応した供給量を確保するといった目標が書かれております。
 先ほどちょっと述べました就職率、就業率の関係は8ページから10ページぐらいにかけて学校施設類型の独立行政法人のところで載っております。その中では、例えば農業者大学校の例で言えば、卒業生、終了生の就農率が掲げられていたり、また海技大学校・海員学校等では、海事関係企業ないしは海事関連企業への就職率が入っております。さらには同じく海技大学校・海員学校の関係で、海技資格等の取得率、そういったもので目標が定められている例があります。
 以上、中期目標の事項を中心に御説明いたしましたが、基本的な構図は、中期計画におけるアウトカム指標的なものでも同じです。ただし、一点特徴的なものは、今申し上げました卒業生等の就職率、就業率、あるいは資格取得率といった類の目標は、中期計画の場合には、総数28に対して10項目ということで、中期目標より多目に規定されております。法人独自の言わば手段的な目標として定められている例が多いというのがこの就職率等の関連の目標です。
 次に、顧客志向指標的な要素を含む目標の類型ですが、これについては、大きく2つの類型があります。まず、サービス提供までの期間、つまり処理期間の短縮といったものを定めているのが、中期目標の場合で言えば3割程度、中期計画の場合では約半数弱を占めています。もう一つの類型としては、何らかの意味での顧客満足度調査でアンケートをするといったものがあります。これが中期目標の場合では約7割弱を占めています。以上が特徴的な内容です。
 以上が定量的な目標から絞り込んでいった非抽出の目標等ですが、資料3−4は、定性的な中期目標のうち各府省が現時点において特に重要と考えている目標です。御覧いただくとおりなのですが、独立行政法人のうち約半数を占めている研究機関の場合でいいますと、例えば重点研究領域、重点研究課題、あるいは戦略的企画、又は研究成果の公表・発表や提供など成果の発信についての目標、さらには研究交流の拡大など研究者の質の向上確保ですとか、研究活性化のための組織運営方針などについて重要と考えているという回答が非常に多くみられるところです。
 他方、計4省ですが一部の省は、回答に当たり留保を付しております。財務省からは、中期目標に記載された項目は等しく重要であって区別できないという回答がありましたし、また環境省、厚生労働省、国土交通省の3省からは、現時点において優劣をつけた上で3項目に絞ることは困難である、又は3項目といわず現時点においては優劣をつけることは困難であるという回答が寄せられました。以上が資料3−4の関係です。
 さて、資料3−5は、先ほど言ったような趣旨の資料ですが、これを見ていただきますと、中期目標に対応する中期計画におきまして、ある程度具体的な項目が列挙されておりますが、実際に13年度年度計画で何をするかということをみますと、中期計画に掲げられている項目のうち一部については、13年度年度計画では今年度該当する事項はないということで対応する記述がない部分もあります。このように、中期計画のうち当該年度、この場合で言えば平成13年度に何をするかという項目だけに絞って書かれているのが年度計画であるということになります。
 以上のようなことで、定量的な目標、定性的な目標について抽出するといった作業をずっとしていったわけですが、これを全体的に御覧いただくためにはいかにも分量が多いこともあり、また、その全体の代表性という意味では、何らか別途の処理をしなければいけないということで、整理をしたのが資料3−1です。ここでは中期目標の項目だけに限っていますが、中期目標の総事項数が計約2,000 ほどある中で、資料として目を通していただくことが可能な上限としては、約1割、200 項目ぐらいが限界ではないだろうかというふうに割り切りをしまして、各法人ごとに、乱数に従って0から9までの数字を割り振りまして無作為に項目を抽出いたしました。
 実際に抽出をした項目は2ページ以降に掲げてあるとおりですが、それと、今まで御説明したような定量的、定性的な目標についての拾い出しの作業とリンクをさせまして、定量的な目標の場合にはR番号の1、2、3、定性的な目標の場合にはS番号の1、2、3ということで割り振りをして備考欄に付記しております。ざっと言いますと、定性的な目標が全体215 のうち8割弱を占めており、定量的なものは2割ぐらいです。R1、R2といいますのは、冒頭に申し上げましたとおり、研究課題に係る目標を除くという前提の上で定量的なものの拾い出しをいたしました関係で、R1とR2が分かれております。R3は、それ自体としては分類が難しいのですが、前後の文脈において、定量的な目標の一部をなしていると考えられるものをR3としてRの方に拾っております。
 Sの方については、基本的には、各省が重要と考えているものをS1とし、区別はつけられないがいずれにしても重要であると言ってきたものをS2とし、それ以外のものをS3としています。そのような作業をしますと、抽出215 項目のうち約8割を占める定性的目標のグループのうち、その約6割強が現時点では各省としても特に重要であるとは必ずしも整理していないものであるという状況になっています。
 資料では、2ページ目以降に事項を一覧で掲載していますけれども、特に特徴的な傾向を要約するのがなかなか難しいものですから、詳細の御説明は省略いたします。
 なお1点、資料3−1の1枚目のところには整理しておりませんでしたが、R番号を付しているもの、つまり定量的目標のうち、先ほど御説明申し上げましたアウトカム指標的な要素を含むもの、あるいは顧客志向的要素を含むと思われるものが、47のうちどのぐらい該当するものがあるかということをみたところ、アウトカム的なものが4、顧客志向的なものが5で、計9、215 の母数に対しまして約4.2 %ぐらいがこの抽出結果の中にも出てきているところです。
 説明は以上とさせていただきます。
村松委員長
 どうもありがとうございました。今の御説明につきまして、御質問、御意見などがありましたら御発言いただきたいと思います。
山本専門委員
 確認ですけれども、今日は何について議論するのでしょうか。中期目標等に対する論点について議論せよということなのか。それとも、今の御説明についての質疑応答が今回のテーマだということなのか。それによって、各委員の御発言が違ってくるかと思うのですけれども。
村松委員長
 独立行政法人については、評価は多分1年後ということになります。ただ今現在は理解を深めようということで、事務局から様々な資料、材料を出してもらいながら、それについて段々と知識を深めていきたいということで議論を重ねてきております。例えば、今日の「中期目標等に関する論点(検討素材)」という資料でも、事務局としていろいろ整理している中で、評価指標としての扱い等ということで、例えば「経営成績」と財務諸表に必ずしも表れない「業務の成果」についてどのようにバランスをとりつつ評価するか、という論点が載せられています。これに対応するような材料が今、出ているというわけではないけれども、そのように様々な論点が出てきておりますので、これについて、出てきている情報から段々に我々も意見を固めていくというふうに、まだ到達点は先かもしれませんけれども、考えているということです。
山本専門委員
 分かりました。
村松委員長
 またさらに、どこの辺にウエートを置いて我々が意見を出すこととするのか、例えば会計基準以外の基準というものを考えるとしていかなければいけないという御意見もございましたけれども、そういうときにどういうふうにその基準を探していくかとか、いろんなことがあって、目標はいろいろあるのですけれども、他方で材料は出てきたものをとりあえずどんどん分析していく、そういう関係だというふうにお考えいただきたいと思います。
山本専門委員
 口火を切らせていただきます。事務局に1点お願いがあります。これは私の個人的な考えで、ほかの委員に御賛同いただかなければ、私が自らやろうと思っていることですが、実はこういう目標の達成に当たっては、当然予算というか、資源との関係が出てくるわけで、実は中期目標の中には、各独立行政法人に固有な予算措置方式があるわけです。その中で効率化目標というのも定まっているわけですから、それをカウントするかしないかによって、財務に関する目標が変わってくる。そこに書いていない文章中の収支を均衡させるとか、自己収入を増やすとかそういうことですが、これに関連して、実は中期目標の中の財源措置の中に、目標効率化指数とかいろいろ書かれているわけです。ところが、それが各独立行政法人によって微妙に違ってきている。少なくとも所管省庁によって大きく方式が違ってきているわけです。そしてまた公務員型と非公務員型とにおいて大きく違ってきているわけです。そうすると、我々は当然独立行政法人の評価をやるんですけれども、その成果を見る場合において、財源措置方式との絡みは当委員会の審議対象にしてもいいと思うわけです。問題があれば財務省に対して、予算措置の方についてももう少しここの措置方式を変えたらどうか、あるいはここはむしろ別方式がいいとか、そう勧告もあり得ると思いますので、できましたら、財源措置方式の分類をAタイプとか、Bタイプとか、私の考えではたしか5タイプぐらいに分かれると思うのですが、それぐらいに分けていただく作業を、もしほかの委員の方の御賛同を得られれば、お願いしたいというのが第1点です。
 それと、先ほどから議論があった点ですが、やはり財務についての効率化を見る場合には、当然収支も見なければいけないと思います。今の会計基準等で一番欠けているのは、活動別といいますか、サービス別のユニットコストを出すような体制にまだなっていないわけです。収支均衡したとしても、ユニットコストが逆に高くなっているということもあり得るわけですから、そういったことについて分科会の会長が当初おっしゃったような、もう少しこの委員会でベストプラクティスということで、必ずしも押しつけるわけではないのですが、こういう項目が評価指標として入っているのが望ましいのではないかといった点を、この場で各委員からもう少し積極的に御提案いただきたいと思います。
村松委員長
 事務局としては、準備状況、特に今の2点、財政措置とサービスのユニットコストのようなものの分析について準備状況はどうでしょうか。
高野評価監視官
 現段階で、実際の作業には現実には着手できておりません。やってみますと、どういうふうに分類したらよいのか難しいものも中には出てこようかと思います。御指導を得まして作業を試みてみたいと思いますが、いつごろまでにという作業見通しについては、場合により時間がかかる可能性があるかと思いますので、必要に応じて別途御相談をさせていただきたいと思います。
樫谷委員
 山本委員の関心とも関係するかもしれませんが、「独立行政法人におけるインセンティブ制度」の資料の2ページ目の「独立行政法人の損益計算と経営努力認定」の2として「運営交付金の会計処理」というのがあります。そこにもありますとおり、運営費交付金の収益化のパターンには、(1)、(2)、(3)という三つのパターンがあるわけです。このうち(3)の「支出額を限度として収益化」というやり方については、これは独立行政法人会計基準の策定に参画した立場から申し上げますと、小さな法人であって、それほど管理レベルが高くできないというようなところについては、やむを得ないのかなということでつくった選択肢でした。また、基本的には(1)のように、「業務の進行に応じて収益化」ということでプロジェクトごとにやる必要があるわけですけれども、期間的に把握したものも必要かもしれないということで、(2)「一定の期間経過に伴い収益化」というパターンを設けたわけですね。したがって、実は、(1)、(2)、(3)の三つのパターンは必ずしも並列的ではないのですね。基本的にはプロジェクトごとに評価していくことが必要であるわけであって、そうでなければ経営努力の成果というのはそもそも表れてこないわけです。
 しかしながらどうもいろいろ聞いてみますと、どうも(3)のパターンを採用するところが多いらしい。しかし、みんな(3)のパターンとなってしまったとしたら、支出額を限度として収益化するのだから、常に損益がゼロという、どこかの特殊法人のような損益計算書が出来て、経営努力の成果はゼロですというようなことになりかねないので、この収益化のパターンについて、それぞれどういうものを適用されようとしているのかということを是非お調べいただきたいと思います。つまり収益化のパターンを、どういう方法を各独立行政法人は採用されようとしているのかについて、状況を把握する必要があると思うわけです。
村松委員長
 事務局としては、いかがですか。
高野評価監視官
 各府省を通じましてアンケート的な調査をするということになるのかと思いますが、実施を検討してみたいと思います。
梶川専門委員
 今の問題に多少関連すると思うのですが、併せてそのようなアンケート等をおとりいただける場合には、いわゆる内部管理の管理会計的な、例えばセグメント的なものであるとか、中期目標等のプロジェクト単位でどの程度コストを集計しようとされているのかを併せて調べていただきたいと思うのです。また反対に、通常、例えば民間の場合であるならば、予算を決める際には、そういったセグメントであったり、部門であったり、当然プロジェクトであったりという単位での予算の積上げを意識することになります。おそらく独立行政法人ではまだそこまでは行かれていないだろうとは思うのですけれども、それにしても、どの程度まで用意が進んでいるか、という点が気になります。予算策定段階等においてそうしたある種の進行に対する指標が事前にありませんと、収益化する際の進行基準というようなものは多分採りようもないことになると思うわけです。つまり、基本的には、コストが進行に応じてある程度集計されなければ、そもそも収益化の基準の測定も難しいと思いますので、現段階での費用の実績集計及び前提としては予算での集計のイメージをお調べいただきたいと思うわけです。
村松委員長
 何か事務局から、特にありますか。
高野評価監視官
 今、梶川委員の言われた点のうち、前半の点、企業における管理会計的な面でのセグメント的な予算の積上げというのはどうなっているのかというのは、恐らく非常に難しい点だろうと思います。中期目標、中期計画の予算項目を見てもそうした点は出てこない。他方、数としては少数ながら、特別会計と一般会計から運営費交付金を受け入れるなどにより法定勘定が分かれている法人が、少数ですがあります。これは法定上のセグメントでして、これらについては、現在の中期計画等でも分かる部分がある程度あるということだと思います。実際にどのようなアンケートをするのかを含めまして、調査のやり方を検討する際にまた御相談をさせていただきたいと思います。
富田分科会長
 今、費用の話が随分出たわけですけれども、費用と成果あるいは効率化ということを評価する場合に、資料3−3で要約されました57の法人のうち、定量的なものの目標、あるいは計画、それが多いのか少ないのかという議論も重要ではないかと思います。つまり、各法人のパフォーマンスを評価する場合に、これぐらいの目標の策定状況でもって、そうした目標を具体の指標として、果たして、政府から独立して機能する仕組みとしてのエージェンシー、独立行政法人としてのガバナンスを確保していくことができるのかどうか。もう走り出してしまっているものはしょうがないということもあるかもしれませんが、他方、例えば、前回の委員会でイギリスのエージェンシーについての話があったわけですけれども、イギリスのエージェンジーの場合には、もっと定量的な指標の設定がなされていたように記憶しています。つまり文言における口約束的なものだけでガバナンスが効くのかどうか。会計的にいろんな仕組みを工夫するとしてもなかなか難しくて、先ほど樫谷委員がおっしゃったように、支出額を収益化するということであるならば常に形の上での収支均衡ということになってしまうということにならないとも言えない。中期目標及び中期計画における定量的な目標については、まだ中身をよくそれぞれ見ていないわけですけれども、それが果たして中期的な目標管理なんかにふさわしいのかどうかということについても、もっと具体的に見ておく必要があるような気がします。本日の資料のように改めて無作為抽出でやられてもなお非常に膨大な資料であって、これがさらに実際に各法人のパフォーマンスを評価する場合には、非常に膨大な作業にもなるわけでして、これをどう効率的にやっていくか。知恵の出しどころのような気もしますので、いろいろとこれから検討する必要もあるように思います。
丹羽委員長代理
 今いただいたばかりでこれからよく拝見しないといけませんが、とりあえずやはり定量面でずっと見させていただくと、例えば、経費削減毎年1%という目標が、定量面の目標としては圧倒的に多いみたいですけれども、毎年年1%も定量面の経費削減目標というのは我々の感覚からするとこれはいかがなものかなと思います。5年間毎年1%ずつ定量面の中期目標の経費削減をいたしますというのが目標になっていて、これをこの評価の1項目にほとんどの独立行政法人が掲げておられますよね。そういうのを、それは具合が悪いよ、毎年5%にしなさいとかいう根拠が余りありませんし、これはちょっともう少し勉強させていただかないとコメントができないかなという気がしています。そのほかに、先ほど梶川委員がおっしゃった効率というものと、費用と効果という面からもう少し定量化できるものはないのかということも少し考えさせていただきたいなと思いますし、また、先ほど山本委員がおっしゃったのはそういうことかなというように理解しております。こういう定量面の指標を、民間で言えばいろいろありますが、例えばROAとか、ROEとかあるでしょうけれども、それに類するような指標を少しセットしてもらう必要があるのではないかという気がします。中期計画等が実際に策定されてしまった後で、我々がそんなことを言うのも、果たしてそれが通るのかどうかわかりませんけれども、少しその辺も議論を次回かなんかにさせていただいたらどうかなという気がしますが、いかがでしょうか。
村松委員長
 そのほか何か御意見ございますか。
 永井委員どうぞ。
永井委員
 1%削減はできないことはないかもしれないとは思うのですが、つまり、私の財団は自治体に関係しているものですから、今まで毎年10%削減というのをやってきたわけですね。そのため、どこかにファンドレージング先を探さなければいけないわけですけれども、そのとき、実は結構国関連の財団等が頼りだったわけです。この調子でそういうところも削減されていくとなると、今、民間企業は非常に財務状態が良くないので、せいぜい年間100万ぐらいしかもらえないというようなことですとどうなるか。それでも1%なら可能だとは思うのですが、どういう状態になるのかちょっと予測がつかないなという感じがいたします。
 それから、定量的につかまえられるようなものならいいのですけれども、例えば教育とか、サービスソフトなんかは何を一体成果として見るのかというところは大変に難しいのではないか。そこで多分、私たちが評価するところも苦しむのではないか。そこをどういうふうにするか。つまり満足したかどうかというアンケートかなどで質の面での成果をつかまえるということになるのでしょうか。その辺のところをどういうふうにやったらいいのか。
 それから、さっきの御説明ですごくよくできていると感心したのですが、中期目標等に関する論点の資料で、パターン2と4がいいと。つまり費用がこの程度削減されれば、それで成果が同じ、あるいは突出すればいいという、それはそうなのですけれども、この費用の削減もどの程度まで削減することをよしとするか。元気がなくなってしまっても費用が掛からなくなればいいということになりはしないか、成果も下がれば、費用もかからないということにならないのかどうか。非常に難しいところに来ているなという感じがいたしました。私もどうしていいか、私のところは一応行政評価といいますか、それをシンクタンクでやってもらいまして、アンケートその他でソフトですからやってもらったところですけれども、なかなか難しいものがあるなというのが率直な感想でございます。
村松委員長
 武田委員と梶川委員、どうぞ。
武田専門委員
 先ほどの山本委員の意見に賛成なのですけれども、事務局の方でも、独立行政法人の業務類型の一案ということで分けていただいていまして、非常に分かり易いなというふうに思っております。今日の資料の多くは、出てきたものをベースに類型化なり、中身を見てみようというアプローチをされていらっしゃると思うのですけれども、今後は、それぞれの特性だとか、あるべき姿で考えたときに、どんな管理ポイントがあるのだろうかという点で類型化をしていくというのが、この委員会の役目の一つとして考えられるのかなと思います。そういう意味で、冒頭申しましたように、山本先生の考えに賛成です。
梶川専門委員
 私も中期目標案を見ていて、成果に関する客観的な指標性というのが難しいなと思います。それを前提で、逆にお聞きしていただければと思うのですが、多分各組織はそれなりに内部の組織単位というか、組織ユニットの効率性を客観的に評価をされて、組織全体をいい方向にパフォーマンスを上げていこうとされると思います。この際、人事的評価というか、個人ベースの評価等も考えられているところは当然あると思うのですが、個人での業績評価みたいなものが、集合的にはある組織ユニットの評価、課である、部であるとかそういったものにつながり、そしてそれが組織全体へのパフォーマンスの評価の参考になると思います。そういうユニット単位、ないしは極端に言えば個人別のパフォーマンスを評価をされる場合、何か具体的な手法みたいなものをそれなりに少し開発されているのか、今、苦悩されている部分があるのかなど。また、そういったものが少し全体の評価にも参考になるようなものはないのだろうか。例えばここで、研究テーマが幾つも研究法人なんか書かれていますけれども、これはたった一人の方の研究成果についても、それを客観的に評価されるというのはある意味では非常に難しいような気がしますし、個々の一番最小の単位についての客観的な評価がかなり難しいのではないか。全体としてのユニット等に集めてまた評価していくというのも、いろんな意味の難しさがあるのですが、逆にその辺に少し参考にさせていただけるような、客観性というか、具体性というか、そういったものについての参考がないかなと思います。特に人事的な評価というのは、ある意味ではお互い必死ですから、逆に言うと評価者と評価される方は非常に客観性のある論議というのが存在してくる可能性もあるかなと思いまして、私、研究分野とは全く畑違いなので、研究成果をどういうふうに、客観性のある評価を組織内でされるのかということもちょっと聞いてみたかったわけです。
村松委員長
 今後の在り方について随分御意見が出ているわけですけれども、富田分科会長、どういうふうにしていったらいいでしょうね。
富田分科会長
 この前には、政策評価について勉強会をやって、こんな大きな場所ではなくて、ある意味では気楽にいろんなことを意見交換したり、質問したりできたわけですけれども、独立行政法人についても、これまで独立行政法人通則法をやり、会計基準についても、また海外の事例についても勉強し、そして今日、中期の問題をまとめて御紹介いただいたわけです。そこでここらでひとつ次なるブレークスルーを目指して、合宿とは言いませんけれども、フランクな形で勉強会ができればお互いに良い知恵も出し合えるのではないかと思います。今日いろいろ出ました質問などをまた御用意いただくとともに、みんなで気楽に検討できる場があったらよいのではないかと思います。
村松委員長
 黒田委員、これで御質問があったらお答えいただいて、今日は終わりということにさせていただきたいと思います。どうぞ。
黒田臨時委員
 研究評価のことは、費用と投資と成果というのはものすごく難しいし、また、研究というのは、うまくいけばいくほど余計お金を使うという面が逆にありまして、お金を使わないのが研究成果なのかというのは全く逆のことがあるわけですね。研究というものは非常にタイムスパンが長いものが多くて、短期に見たら最初はペイしないけれども、長いこと見ていくと非常にいろんなところに発展する研究成果に結びつくことがあるわけです。その辺のことを考えないと、評価のためだけに器の小さい研究をやるようなことになってしまって、基礎的なブレークスルーをするような研究の芽を摘むようなことにならないように気をつけていかなくてはいけないのではないかと考えています。数値的な、定量的なということになると、例えば放射線医学総合研究所の目標を見ていたのですが、訪問者、研究書公開や講演会の訪問者が何人とか非常に簡単ですよね。でも、それは本当は、大きなお金を使ってこの研究所がやっている研究についての大きな目標ではなくて、重要ではありますけれども、アドホック的なことではないか。実はもっと重要な部分については、数値化することが難しくてできないから、それに代えて先ほどのような項目が上がってきているのは当然かなとは思うのですけれども、本当はそうなのかなということもこの次に考えるときにぜひ入れていただきたいと思います。ともかく研究というのは、うまくいったら余計お金を使うかもしれないのだという面もあるのだということです。
 以上です。
村松委員長
 どうもありがとうございました。違う視点からの御指摘だったと思います。
 それでは、本日の会議はこれまでとさせていただきまして、今、富田分科会長からの御提案もありましたけれども、その点も含めて次回以降の予定をお願いしたいと思います。
鎌田総務課長
 次回の委員会は7月27日、この場所で行わさせていただきます。次回の予定は、今日の御議論に引き続いて、独立行政法人についての中期目標及び年度計画の話を中心にやりたいと考えております。それから政策評価につきましても、テーマを設定してお願いしたいと思っております。
 それから富田分科会長から御提案のあった勉強会の件につきましては、詳細は委員長と御相談させていただきますが、開く方向で日程調整等に入らせていただきたいと思います。
村松委員長
 どうもありがとうございました。
 以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会の第6回の会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。
(了)

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