会議資料・開催案内等

政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(5月28日開催)議事録


  1.  日時  平成19年5月28日(月)15時30分から18時02分

  2.  場所  中央合同庁舎第2号館 総務省第1特別会議室

  3.  出席者
         (分科会所属委員)
    金本良嗣政策評価分科会長、新村保子政策評価分科会長代理、高木勇三臨時委員、高橋伸子臨時委員、田辺国昭臨時委員、牛尾陽子専門委員、田中常雅専門委員、吉野直行専門委員
    (オブザーバー)
    河野正男臨時委員
    (総務省)
    行政管理局企画調整課阪本企画官、自治税務局企画課寺ア理事官
    (財務省)
    大臣官房文書課政策評価室沖部室長、主計局司計課石田課長補佐、主税局総務課高宮課長補佐、関税局関税課伊藤鑑査専門官、理財局財政投融資総括課企画調整室齋藤室長
    (総務省行政評価局)
    熊谷行政評価局長、伊藤官房審議官、新井官房審議官、吉開政策評価官、横山評価監視官、吉田政策評価審議室長

  4.  議題
         (1)  行政評価局が行う政策評価について(PFI事業に関する政策評価について)
    (2)  平成19年度予算編成等への政策評価の活用状況について
    (3)  平成19年度機構・定員審査に当たっての政策評価結果の活用状況について
    (4)  平成19年度地方税制改正に当たっての政策評価結果の活用状況について
    (5)  政策評価機能の発揮に向けて(経済財政諮問会議報告)
    (6)  平成18年度政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告(案)について
    (7)  平成18年度における各府省の政策評価の取組状況について
    (8)  規制の事前評価について

  5. 資料
         資料1−1  「PFI事業に関する政策評価(総合性確保評価)」の方向性(骨子イメージ)(案)
    資料1−2  PFI事業に関する政策評価 制度の仕組みと事業の実施状況
    資料1−3  PFI事業に関する政策評価 効果の把握結果
    資料2−1  平成19年度予算編成等への政策評価の活用状況
    資料2−2  (参考資料)政策評価の活用状況
    資料2−3  (参考資料)予算のPDCAサイクルの強化
    資料3  平成19年度機構・定員審査に当たっての政策評価結果活用状況
    資料4  平成19年度税制改正(地方税)における政策評価の活用について
    資料5−1  政策評価機能の発揮に向けて 重要政策に関する評価の現状と課題
    資料5−2  政策評価機能の発揮に向けて 重要政策に関する評価の現状と課題 (参考資料)
    資料5−3  平成19年第12回経済財政諮問会議議事要旨(抄)
    資料6  平成18年度における各府省の政策評価の取組状況

  6. 会議経過
【金本分科会長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから開会をさせていただきます。
 まず、「行政評価局が行う政策評価について(PFI事業に関する政策評価について)」、横山評価監視官に20分ほど御説明をいただいた上で、質疑応答を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
【横山評価監視官】  資料1−1PFI事業に関する政策評価の方向性というA3の紙がございます。この資料に沿って説明をさせていただこうと思います。
 まず、先週、事前説明の時間をいただいた委員から御指摘やアドバイスをいただいたり、こういった点について詰めたらどうですかということで、いろいろ御示唆いただきましてありがとうございました。今回の資料1−1には、いただいた御提言については一部対応できたものもありますが、直ちに対応できないものもあります。いずれにしましても、御提言については、きちんと検討した上で、できる限り報告書に反映する方向で検討を進めたいと思います。
 まず、PFI事業に関する政策評価でありますが、昨年の4月から7月にかけまして管区と事務所を動員して行った調査であります。
 まず、評価の対象政策であります。一番上の箱でありますが、民間資金等の活用による公共施設等の整備の促進等に関する法律、これがPFI法であります。平成11年に施行された法律であります。これに基づくPFIの推進のための政策が対象であります。
 その2つ下の箱に、対象政策の効果とあります。1つ目として、国民に対して低廉かつ良質な公共サービスが提供されること。2つ目としまして、公共サービスの提供における行政の関わり方が改革されること。3つ目として、民間の事業機会を創出することであります。
 真ん中辺に、評価の観点を書いています。評価の観点としては、PFI法の目的や基本方針に定められている期待される効果に照らしてどの程度効果を上げているかなど、総合的な観点から評価をしたというものであります。
 右側の方に目を移していただいて、政策効果の把握結果とあります。そこに概要と書いてあります。まず、PFI事業については、一定のVFM――このVFMというのは、従来の公共事業をPFI事業で実施する場合に、従来の公共事業の負担と比べましてPFI事業で実施する場合にどれだけ負担が軽減されるかというもので、これをVFMと呼んでいます――仮にこれが事業終了まで継続すれば、効率的かつ効果的な事業の実施に関して一定効果が発現するものと考えられます。ちょっと回りくどい言い方なんですけれども、左下の方に事業プロセスと書いています。ここを見ていただくと、事業を終了したのは1件のみです。総事業数が245件で、この1件については、既に6.65%のVFMが確定しています。ただ、それ以外のものについては、事業が終了しない段階ではVFMが確定しないということで、そういった意味で、「仮に事前に出したVFMが継続するならば、効果があるだろう」という書き方にしております。
 また政策効果の把握結果の方に戻っていただいて、箱の下に説明と書いています。1に、PFI事業の実施状況と書いています。
 VFMにつきまして、我々の方で164事業について見たところであります。そうしたところ、事業を選定する際には平均6.3%のVFMが出ておりました。具体的に事業者を選定した際には、20.9%のVFMが出ていたということであります。
 2)でありますが、今度は平成17年度における国、地方公共団体における公共事業費に占めるPFI費の割合について見たところであります。フローベースでざっと見た数字でありますが、国の公共事業費のフローに占める割合ですと0.15%、地方公共団体ですと0.25%でありまして、まだ緒についたばかりという状況であります。
 3)としまして、PFI事業を行う事業主体について見たところであります。PFIの事業主体の場合には、地方公共団体、国、公共法人と3つのカテゴリーがありますが、ほとんどが地方公共団体であるという結果が出ています。
 4)でありますが、PFI事業を施設類型別に見てみますと、教育文化施設であるとか、庁舎・宿舎などいわゆる箱ものがほとんどです。道路、鉄道、河川については事業実績はないということです。
 これについて、紙には書いていませんが、ある委員からプロセスコストについて考えてみたらどうかという提言がありまして、1日、2日の検討で恐縮なんですけれども、お答えさせていただきます。従来型の公共事業であれば、官の場合には、設計、建設、運営、維持管理という段階がありますが、それぞれの段階で仕様書を作成して民に個々に発注すればよいということであります。それに対してPFIですと、設計から維持管理まで長期間にわたってリスク計算などをしなければいけないということで、かなり長期間にわたる将来予測、未来予測が必要になるということで、官の方にも手間がかかるのではないかということです。
 それから、具体的に我々が調べた事業者について、PFIの提案書の作成コストを見ますと、平均で3,410万円、最大5億円といった粗々の試算をしたところであります。そういう意味で、PFIについて提案をする場合に、かなりコストがかかっているという状況が見られたわけであります。
 2のVFMの算出と公表の状況に移ります。
 1)を見ていただきますと、PFI事業を選定する場合には、PFILCC、これはPFIのライフサイクルコストと言いまして、設計から維持管理、事業の終了までどれだけのお金がかかるかというものであります。こうしたものを算定する場合に、官が従来型の公共事業を行う場合に比べて一定のコスト削減率を乗じています。
 ただ、このコスト削減率はどういう根拠で示しているのかについて明確であったものというのは、調査対象事業の147件中2件でありました。そういった意味で、147件中145件についてはコスト削減率の明確な設定根拠を欠いていたというものであります。
 2)としまして、PFI事業の場合には非常に長期間、20年間ほどの事業を行うわけであります。そうした場合に、割引率を幾つにするかということが重要になってくるわけであります。実際に割引率については、大体1%から4%ぐらいの値で定められています。ただ、その設定根拠を明らかにしている事業というのは2件、全体の1.4%に過ぎませんでした。その2件についても、国土交通省の公共事業評価の指針がありまして、その指針で割引率が4%と定められています。その指針からこの4%という数字を置いたということでありまして、割引率の設定根拠についても苦慮している状況が見られております。
 2ページ目、めくっていただきまして、民間事業者選定時におけるVFMの公表状況というものがあります。先ほど、民間事業者の選定期におけるVFMについては20%ほどありますということを申し上げたんですが、実際にはこの中で非公表のものがあります。アンダーラインを引いているところを見ていただきますと、実際に民間事業者を選定した際のVFMに関する情報が公表されていないものが3割近くあったというものです。
 (3)として、独立採算型PFI事業の効率性等に関する評価の実施状況であります。独立採算型PFIというのは、公共部門の財政支出が生じないというPFI事業であります。しかし、ガイドラインの趣旨に鑑みますと、収益性の積算やその根拠を明らかにした上で定量的に実施すべきということが考えられます。しかしながら、具体的な事業を見てみますと、定性的な評価にとどまっているというものがあります。さらに、定量的な評価は実施しているんですけれども、需要予測が過大であったため、実績値が予想値を大きく下回っている事業があります。貨物の取扱量についての目標が、当初の目標に比べますと半分ぐらいしか実現できていないというものもあります。
 3として、官・民のリスク分担の状況であります。リスク分担につきましては、官民双方で適切にリスク分担することによって、適切なリスク管理が行われることとされています。その際の基準としては、官と民のどちらがそのリスクを最もよく管理することができるか。最もよくリスクを管理できる方がそのリスクを分担するという考え方によって取り決めるべきとされています。
 1)のところを見ていただきますと、不可抗力のリスクについて、民の分担とされたことについて、民が疑義を有しているものがあります。さらに、不可抗力リスクや物価変動のリスクなどについて横並びで見てみますと、官民の負担のあり方についてばらつきが見られるといった状況がありまして、官民双方でどうやってリスク分担をしたらいいかということについて苦慮している状況が見られます。
 4として、モニタリングの実施状況であります。「しかし」以下の1)でありますが、特殊な建築物というのは、プールの天井でありまして、その天井について耐震構造ということで揺れどめをつけるということになっていました。しかし、事業者が揺れどめをつけずにいまして、官の方でもきちんとモニタリング、検査をしませんでした。そのために、地震の際にプールで30人ほどの負傷者が発生したという事例があります。
 2)として、民間事業者の過大な需要予測があったために、経営悪化に適切に対応しなかった、できなかったという例があります。これは、温熱施設を利用しまして、温水プールでセラピーをやるといった施設でありますが、予想していた数ほどお客さんが来なかったということで、破綻をしてしまったという事例があります。
 5として、民間事業者の創意工夫の発揮ということであります。PFI事業の場合には、民間のノウハウを幅広く活用するということがポイントになっています。しかし、実際にそういったことで性能発注方式をすべきであるということで、細かく仕様を定めて行うということはできるだけ避けることとされています。しかし、発注者側は、性能発注のつもりであっても、細かく仕様を定めていて、民間の創意工夫が妨げられている例があったというものであります。
 それから、入札公告から実際の入札までの間には、事業者に十分な質問の機会を与えるということになっていますが、アンケートを見ると、2割ほどの事業者が質問の機会が短いと感じているという状況が見られたわけであります。
 6として、PFI事業の独立性の確保ということであります。PFI事業の場合には、特別目的会社、SPCを設立することが通例になっていますが、SPCが設立されていない場合が16事業あります。その場合であっても、きちんと区分経理をすることになっているのですが、こうした区分経理をしていないものが16事業中3事業ほど見られたというものであります。
 説明は、以上です。
【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、御質問等ございましたらお願いをいたします。
【吉野専門委員】  御説明ありがとうございました。これを見させていただきますと、やっぱりまだまだいろいろ問題があるようですが、1つは、需要予測が過剰だという場合に、2ページ目の4の真ん中の2)というのがありますが、これは民間事業者が過大な需要予測をしたというふうに書いてあるんですが、この需要予測というのは、官と民が一緒にやるのではないかと思ったんですが、そうなった場合には、需要予測で間違った部分がすべて民がリスクを負うというようなことになっているのでしょうか。それが1点目です。
 それから、さまざまなところで官と民のリスク分担がはっきりしていないというのがあるわけですが、これをもう少しきちんとして、現在ある245のところにしっかり言っていただくことが必要ではないかなと思いました。
 3番目、割引率は国債のインプライド・フォワードレートというのが多分一番いいのではないかと思うんですが、国債を何らかの形で用いた場合でも、PFIをやらなかった場合とPFIをやった場合のそれぞれの毎年のコストがどれくらい違うかということはわかると思いますので、2つあると思います。割引率を何に使うかということと、割引率が何であろうが毎年の比較というのはできるのではないかと思ったんですが、その3点です。
【金本分科会長】  では、お願いします。
【横山評価監視官】  まず、需要予測については、民の方で、これだけのお客さんが来ます、実際に温水プールにどれだけお客さんが来るという数を示していますので、そうした需要予測のリスクについては、通常は民が負うべきものとされています。ただし、実際にこうして破綻をしてしまいますと、官の方ではサービスが提供できなくなってしまいますので、その場合、別の事業者を探す必要があります。それで、この事例については、別の事業者を見つけて、その後にサービスを再開したという事例であります。
 それから、割引率なんですけれども、ガイドラインにも長期国債の利回りということが書かれていまして、大体1.7%ほどが調査した当時の長期国債の利回りであります。ただ、例えば、西野先生によると、長期国債の利回りだけではなくて、物価上昇率であるとか、その事業ごとのリスク率、どれだけその事業についてリスクがあるのか、そうしたリスクプレミアムを乗せることが適切であるということを書いておられました。
 2つ目のリスク分担については、御指摘のとおり、今後詰めていこうと思います。
 3つ目でありますが、実際に割引率をどう使うかによって影響を受ける場合と受けない場合がありました。我々が調べた中で割引率が4%であればVFMがプラスで出るのですが、割引率を1.9%にするとVFMがマイナスになるという事例がありました。割引率がそういった影響を受けるという点はあるのですが、そのほか実際にPFIをやった場合に削減できるコストというものがあります。それは、通常ですと建築なら建築だけを発注して、運営なら運営だけを発注するという、そういう個々に、ばらばらに事業者に委託する場合のコストと、設計から建築、運営までを含めてまとめてやる場合にどれだけのお金が節約できるかということがあります。
 それから、官がサービスについてモニタリングをすることによって、サービスレベル・アグリーメント、サービスがきちんと提供されていない場合には利用料金を払わないという契約によって費用を節約することも考えられます。それから、先ほど仕様発注や、性能発注という話をしましたが、民の力を最大限に活用することによって、技術力、技術革新によって、コストの削減が見込めます。例えば、道路であれば、これだけの材質で厚さ何センチのものを使うという定め方に比べて、1日スムーズに何台車が通れるようにしますという定め方をすることによって、民に自由度を与えることによって、いわば建設工事のコストの削減をすることも可能になるというものであります。
 また、PFIの場合には、競争ということが徹底されていますので、そういった点でのコストの削減も見込めるということもあります。そういった点で、割引率も影響を与えるんですけれども、PFIをやることによって、こういったPFIのやり方によるコストの削減も見込めるということであります。
【金本分科会長】  過大な需要予測で途中で倒れちゃったというのは、それ自体悪いことかといったたぐいの評価基準がしっかりしてないのではないかなと。当然、事業リスクがあって、それをどう分担するかと決めていますから、リスクを引き受けたSPCが倒産する可能性は当然あるはずで、倒産したからいけないということでは必ずしもないわけです。どういうふうにPFIのこれまでの進め方を評価するかというときの評価基準自体がまだちゃんとできていないのかなという気がします。その辺はどう考えればいいのかというのは私もはっきりしたものがあるわけではないんですが。評価書のまとめ方のところで何か気付いた、あるいは言われている問題点を列挙しただけというふうなのではまずいかなという気がいたします。
【牛尾専門委員】  性能発注と仕様発注の話があったんですけれども、発注側は性能発注のつもりでも、事業者は仕様発注ととらえると。事業者側からすれば、できるだけ手間をかけたくないので、ある意味で当然そういう結果になるんじゃかなという気もするんですけれども、ですから、発注側と事業者側とのすり合わせの問題がどういうふうになっているのかなというのがこの部分から見えてこなくて、もし差し支えなければ、ここの説明をしていただけるなら説明していただきたいんですけれども。
【横山評価監視官】  資料1−3PFI事業に関する政策評価の25ページを見ていただきますと、事例2と書いています。斎場についてのPFIであります。それで、6の「創意工夫の発揮が妨げられた例」というところを見ていただきますと、発注者側、官の方は要求水準書において、いわば市民福祉の向上であるとか、環境保全対策の充実であるとか、ライフサイクルコストの節減という、そういった最低限の水準を示したものであります。そういった水準以外のものについて制限するものではないという性能発注をしたわけであります。しかしながら、要求水準書の中身を見ますと、「施設の概要・仕様等」という項目がありまして、施設の各部屋単位で詳細な仕様を付与しています。さらに、ある特定のメーカーの火葬炉を使うよう指示をしています。
【牛尾専門委員】  ありがとうございました。
【金本分科会長】  この案件自体を知っているわけではないんですが、要求水準書をつくるときにどう書くかというのはなかなか大変でありまして、性能で書き切れるかということがあって、性能で全部ちゃんと書こうとすると過大な労力と。過大な労力というのは、基本的にコンサルのコストが非常に高くなるということですので、なかなか実態上は大変な面があるということです。そういうときに今までやっていたもの、今までばらばらでやっていましたから、それを使って仕様書にしてしまうというようなことは多分ありそうだなと思うんですが。でも、こういう指摘だけで済む問題かなという気がしていて、本来、性能発注のメリットを生かそうと思うと、それなりにいろんなプロセスを全部仕組まなきゃいけないというところがあって、単に仕様書を性能発注にしろという指摘だけだと間違えるかなという気もいたします。
 田中委員、どうぞ。
【田中専門委員】  PFIについて、先ほどからの話にずっとあるとおり、なかなかその評価をするのが難しいと感じます。1つ感じるのは、ライフサイクルコスト等を出したときに、仮定のコストでしかないのかなということで、それと比べて縮減コストを出すということは、ある一定の難しさがあると思います。
 一方では、PFIの本来の意味から言えば、一遍にたくさんのお金をそこに投資しないでサービスを受けられるというようなこともあるような気がするのです。ライフサイクルコストを見直すということ以外にも、幾つかPFIでやったことによるいいところも少し見直して、取り上げてもいいのかなと思います。
【横山評価監視官】  ありがとうございます。そういった点を踏まえて、よい事例も、PFIの場合で、確定したものが先ほどの1件しかないという状況ですが、順調に進んでいるものも含めて、よい事例も取り上げながら評価を取りまとめていきたいと思っております。
【田中専門委員】  地方公共団体がPFIを使って出すという意味というのは、全体コストを抑えようという意味以外にもいろいろな事情があるのだと思うんです。その理由が少し浮き彫りになれば、PFIの意味も浮き彫りになるような気がするのですが、その辺はちょっと思いつきですけれども、そういうことを思いました。
【金本分科会長】  田中委員のお話に付け加えますと、国のPFIは、かなりの部分は今年の予算を増やさないために支払いを繰り延べしているという面がかなりあります。これをどう評価するかといったところは難しいところですが、今の田中委員のおっしゃったことは、そういったことも含めてということですね。
【田中専門委員】  そういうことです。
【金本分科会長】  では、高木委員、どうぞ。
【高木臨時委員】  今の田中委員の御意見と重なるんですけれども、私は、PFIについて期待するのは、どちらかというと創意工夫の発揮、VFMの点はどこまで出るかなという感じはあるんですけれども、いずれにしましても、VFMなり、あるいは創意工夫の発揮というような観点からとらえたときに、こういったいい事例があるよというふうなところなどを取り上げていただくことが適当なんじゃないかなと思うんです。
 それからまた、PFIのあり方そのものというのは、最初からは絶対うまくいかないだろうと私も予想しておりまして、それにしてももう8年たったのかというのが改めての感慨なんですけれども、どこまで進展したのかなという、質的な意味でどこまで進展しているのかなというところがあるんです。我が国においてこれを導入して、そんなに劇的な効果を生みにくいというふうには思っておったんですが、トライ・アンド・エラーでいろいろ進めていく中でそれなりのいい方向が生まれればというようなことを感じておったんですが、いかがですか。それなりの件数をやっている自治体に絞ってPFIの実施について徐々に改良されていっているのかどうかというところなども把握されてみたらいかがかなと思います。もし改良されていないのでしたら、このまま続けることにどれだけの意味があるのかなというふうに思いますので。
 あと、昨年、PFIのところを検討するといったときに、指定管理者制度などもあるのではないかというようなことも申し上げたわけですけれども、VFMあるいは創意工夫の発揮という観点から、他の代替的な手法もあるかと思いますので、その辺との兼ね合いと申しますか、PFIだけに必ずしも絞るのではなくて、ほかのところにも視野を持つような形で評価書をまとめていただくのがよろしいかなと思っておるということを申し上げさせていただきます。
 あと、独立採算型の話については、実は最初から無理なところがあると私は思っているんですが、会計あるいは税務面から考えますと、独立採算型のところでBOT方式が挙げられるわけですけれども、BOT方式によりますと、会計的にも税務的にも、最後のトランスファーのところで譲渡損益が認識されてしまうということになりまして、最初はゼネコンサイドもそのことをあまり認識していなかったんです。それでBOT方式がそれなりの件数が行われたんですが、今申し上げたような問題点が認識された後、今はほとんど減っているということのようですけれども、BOT方式についてのそのような問題性も取り上げられた方がよろしいのではないかなというように思います。
 それからあと、資料1−1の説明1のPFI事業の実施状況の4)のところで、一番最後に道路、鉄道、河川については事業実績がないというふうに書かれているんですが、そもそもイギリスのPFI事業というのは、私がそく聞するところでは、日本の特殊法人を一生懸命研究してPFI方式をイギリスで作ったというふうなことを聞いておりまして、そのような経緯からしますと、日本においては劇的に道路、鉄道などがPFI方式で実施されるということは最初から期待できないのではないかと思うんですが。単に道路、鉄道、河川については事業実績がないというふうに指摘して、もっとあるべきだということを暗ににおわすのがいいのかどうか、私は少々疑問かなと思っております。
【横山評価監視官】  まず、道路事業についてですが、事業実績はないですが、昨年の10月末に、実際に国土交通省の近畿地方整備局の方で、淀川左岸など3つの路線についてPFI事業で行うことを検討しているというニュースがありました。そういった意味で、これはまだPFIでやるということが決まったわけではないのですが、そういった動きもございます。
 それから、最初の御質問ということで、実際に地方公共団体が財政以外にも期待するという点は、例えばサービスをよくするといった点もあります。例えば、神戸市の国民宿舎は、かつて赤字経営でしたが、PFIを導入して、例えば旅行会社やレストランのノウハウを導入することによって、非常に繁盛しているといった例も見られるわけであります。
 それから、実際にBOTBTOかということについては、御指摘のように、譲渡するときに、官に対して無償譲渡するのか、それとも有償で譲渡するのか、それをどうするかによって税額が実際に違ってきます。それを全く認識しないままでありますと、利益を過剰に申告せざるを得なくなってしまうという状況もあります。
 また、BOTBTOの問題として、BOTの場合ですと、民が所有するということなので、不動産取得税、都市計画税、固定資産税といった税金について、一定のものについて課税標準の2分の1しか減免にならないということがあります。BTOであれば、官が所有するということなので、全くそういった税金がかからないという面もあります。
 それから、指定管理者制度についても見てみました。指定管理者制度の場合ですと、まさに施設の運営だけを委託するというものであります。そういった指定管理者制度についてはかなり広がりが見られます。それは、地方公共団体について、既存の施設の管理について直営方式でやるのか、それとも指定管理者制度でするのかということをいつまでに決定しろという通達を出したということにより、この制度は非常に広がりを見せています。ただ、指定管理者制度の場合ですと、まさに施設の運営だけを委託するということなので、PFIのように建設から運営までという、そういった幅広い民の創意工夫を発揮するようなものにはなっていないのではないかという指摘もあります。委員から指摘していただいた点も調べまして、それを最終報告に加えたいということを考えております。
 【金本分科会長】  最後の点もそうですが、PFIは特定のスキームで、このスキームをどういう場合にどういうふうに使うのが一番メリットがあるかというところの検討がまず必要かなと。そういう位置付けが全くなくて、個別のところに入っちゃっているかなという気がいたします。例えば、イギリスの使われ方と日本の使われ方ですごく違いますがこれがいいのかといったような話もありまして、どうも日本ですと箱ものが多くて、これでPFIが成立しているというのはなかなか不思議なところがあるんですが、成立しているというか、PFIにすると安くなるというところがあったりするというところがありますが、そういったところも含めて検討しないと全体のインパクトがおかしくなるかなという気がいたします。
 そのほか、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 あと、私が気付いたところで、VFMの計算の仕方が、根拠がないという指摘がありますが、今さっき田中委員からもございましたけれども、やる前に試算をしているので根拠があるほうがおかしいわけです。きちんとした根拠があるほどに分かっていれば自分でやればいいという話ですので。基本的にそういう計算をする公共側だとよくわからないので、任せた方が安くなるだろうというところが出発点です。きっちりVFMが計算できる方がおかしいという面があろうかなと思います。そういったところをもうちょっと整理して、何が悪くて、何が悪くないのかという整理をした方がいいかなという気がいたします。
 何かございましたらお願いいたします。吉野委員、どうぞ。
【吉野専門委員】  先ほど、高木委員がおっしゃったことに関係するんですけれども、PFIによって事業が進まなければ進まないでいい事業もあると思うんです。ですから、民間が入った場合に、この事業はどうもうまくいきそうもないと。民間の金がつかなければ、事業が進まなくていいわけですから。先ほどのこれが進まないからほんとうによくないのかどうかというのは、じゃあ、トライしたけれども結局民間が来なかったという事業はどれくらいあったかというのはおわかりになるんでしょうか。これは始まった事業はわかるんですが、始めようとしてうまくいかなかった事業というのは、総務省の方ではつかんでいらっしゃるんでしょうか。
【横山評価監視官】  御質問については、我々は実際に動いているものについて主に調べてました。例えば、ある市の音楽ホールの事業が、結局議会から否決されてしまって動かなかったとか、そういう事例はつかんでいます。けれども、PFIの検討段階で動かなくなったという事例については、あまり調べていない状況なので、そういった点も改めて視野に入れたいと思っています。
 また、PFI事業を実施する前に、そもそも公共事業評価ということでB/Cが1を上回るかどうかという検討も必要になってきます。実際にPFIでやるかどうかという検討より前に、まず、そもそもこの公共事業について費用以上の効果が発現するかどうかという検証も必要になってきます。実際にそれが需要予測を下回るということは、客観性評価の活動の方で指摘させていただいています。そういった点からするとPFIが動かないということが必ずしも悪いわけではないというふうに考えています。
【金本分科会長】  PFIを募集して入札者がいなかったというのは聞いてないです。それまで猛烈に手間ひまがかかりますので、その段階で入札者がいないという事態は、当然やる側としても是が非でも避けるということかと思います。ただ、いろいろあるんだけれどもこういうのはつぶしたいなというときに、PFIでやるというのを打ち上げて検討して、それでそのプロセスでつぶしていくというふうなことを考えていた例はある県で聞いたことがございます。そういう使い方もないわけではないのかなと思いますが、表にでませんので統計をとるのはちょっと難しいかなという気がします。
 そのほか何かございますでしょうか。それでは、次の議題に入らせていただきたいと思います。
 次の議題は、「平成19年度予算編成等への政策評価の活用状況」についてということで、予算、国税、財政投融資への政策評価結果の活用状況や、政策評価を予算編成に活用する側から見た政策評価制度の課題につきまして、財務省の沖部政策評価室長から御説明をいただいて、その上で質疑応答をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
【沖部政策評価室長】  ただいま御紹介いただきました財務省政策評価室長の沖部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回は、平成19年度予算編成等への政策評価の活用状況等について、お手元に資料を3つ用意させていただいております。資料2−1といたしまして、平成19年度予算編成等への政策評価の活用状況がございます。このほかに資料2−2として、参考資料、政策評価の活用状況、資料2−3として予算のPDCAサイクルの強化、合わせて3種類の資料を配付させていただいております。基本的に資料2−1に沿って御説明いたしますが、適宜その他の資料を参照させていただきます。
 資料2−1の平成19年度予算編成等への政策評価の活用状況でございますが、表紙に記載しておりますように、前年度と同様、主計局資料、主税局資料、関税局資料及び理財局資料から構成されておりまして、それぞれ予算、税制改正、関税改正、財政投融資におけます政策評価の活用についてまとめております。
 それでは、主計局資料の説明に入りますが、資料2−1の2ページを御覧ください。主計局では、予算のさらなる効率化を図る観点から、予算のPDCAサイクルのチェック・アクションの機能の強化の一環としまして、予算がどのように使われ、どのような成果を上げたかを評価・検証し、その後の予算編成に活用すべくさまざまな取り組みを行っており、政策評価の結果についても予算編成過程の中で適切に活用すべく努めております。
 具体的には、概算要求時に各府省から施策ごとに成果目標と、その事後的な評価方法、施策の必要性、有効性、効率性等を記載しました政策評価調書を提出いただき、予算編成過程においてその内容も踏まえ、要求・要望の内容を精査し、予算の重点化・効率化に努めております。
 平成19年度概算要求に当たりましては、各府省から578件の政策評価調書を提出いただきました。具体的な活用事例として、大学知的財産本部整備事業の例をお示ししておりますが、さらに詳細につきましては、お手元の資料2−2、政策評価の活用状況を御参照いただければと思います。
 さらに、資料2−1の3ページ目の今後の方向性のところに記述がございますが、予算・決算と政策評価の連携を強化するため、予算書・決算書の見直しに取り組んでいるところでございます。具体的には、基本方針2006に沿いまして、政策ごとに予算・決算と成果を比較対照できるよう、各府省等の協力を得つつ、予算書・決算書の表示科目と政策評価の単位を原則として対応させる方向で検討を行っており、平成20年度予算を目途に新たな表示科目による概算要求編成作業を行えるよう、鋭意作業を進めているところでございます。
 このほか、資料2−3、予算のPDCAサイクル強化に記載のとおり、チェック・アクションの強化のため、予算執行調査や随意契約の見直し、国会の決議、会計検査院の決算検査報告などを予算に反映させる取り組みを行っているところであり、今後とも予算のさらなる効率化に取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、主税局資料の説明に入りますが、5ページ目を御覧ください。主税局においては、税制改正に当たり、各府省庁から提出されます税制改正要望書におきまして、要望事項の政策目的、必要性、手段としての適正性、これまでの効果等の記載を求めております。
 また、各府省庁からのヒアリング等におきましても、税制改正要望書において示されました各府省の政策評価を踏まえ、これまでの効果等をさらに吟味するなど、政策評価と租税特別措置の見直し等との連携を強化する観点から、各府省の政策評価結果の活用を図っております。
 平成19年度税制改正におきましては、例えば6ページを御覧いただきたいと存じますが、製造過程管理高度化設備等の特別償却につきまして延長の要望があったところですが、これまでの政策効果として示されました適用実績が低調であることを踏まえ、要望省庁と議論を行い、廃止いたしました。
 次に、9ページを御覧ください。租税特別措置は、項目数の増減のみに着目して評価を行うべきものではございませんが、企業関係租税特別措置につきましては、その整理、合理化の状況の累年比較を公表しておりまして、平成19年度におきましては7件の措置の廃止を行うとともに、13件の措置の縮減を行っており、平成元年度には81件であったものが、19年度では61件に減少しております。今後とも租税特別措置につきましては、その政策目的、手段としての適正性、これまでの効果等を十分に吟味し、整理、合理化を進める必要があると考えておりまして、引き続き各府省の政策評価の結果の活用を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、関税局資料の説明に入りますが、10ページを御覧ください。関税局におきましては、毎年度、国内外の経済情勢の変化等に対応するため、関係省庁から関税改正要望書の提出を受けてヒアリングを実施しつつ、関税率及び関税制度について見直しを行い、関税改正作業を行っております。
 平成19年度関税改正につきましては、昨年8月末に関係省庁より関税改正要望事項の提出を受け、関係省庁との協議等を経て、昨年12月に関税・外国為替等審議会の答申をいただき、本年2月に法案を国会に提出し、3月末に成立・公布され、4月1日から施行されております。関係省庁より提出されます関税改正要望書につきましては、政策評価制度の趣旨を踏まえ、従来より政策目的、施策の必要性、要望の措置の適正性等についての記載を求めてきたところでございます。具体的には、個々の関税改正要望書において、新規施策と既存措置の延長に分けて記載項目を設け、それぞれ御覧のような項目について説明を求めてきたところでございます。
 次に、政策評価の活用状況についてでございますが、関税改正の検討の際には、関税改正要望書において措置の必要性などの記載内容が客観的事実に基づき論理的に積み上げられているかといった点などを確認しつつ、措置によって実現される具体的な効果を重視するとともに、ヒアリング過程において追加資料の提出及び説明を求め、改正作業に活用してきたところでございます。
 なお、具体的事例といたしまして、沖縄型特定免税店制度の適用期限の延長を掲げておりますが、これは本制度の適用期限の到来に合わせて、今般の制度改正の中で措置したものでございます。延長要望における1)政策効果や、次のページでございますが、2)延長の必要性、3)延長を行わなかった場合の影響、4)当該制度の今後の延長可能性等について精査を行い、さらにはその後のヒアリング過程における協議、検討の結果といたしまして本制度の延長の必要性が十分認められたこと等から、適用期限を5年間延長したところでございます。
 最後に、11ページの今後の課題でございますが、各省庁から提出される関税改正要望書の記載内容につきましては、施策の目的、必要性等についての記述は充実したものとなってきております。今後とも施策の効果を客観的基準に基づいて検証するための指標等の提示を求めつつ、その積極的な活用を進めるとともに、毎年度の関税改正作業をより精緻なものにしていきたいと考えております。
 また、関税局におきましては、関係省庁から提出される関税改正要望書に加えて、利用者等の要望や諸外国の関税制度等も踏まえて関税改正作業を行っており、平成19年度関税改正においても、アジア・ゲートウェイ構想の推進に向け、我が国の国際競争力の強化と通関手続の一層の利便性の向上を図るため、コンプライアンスのすぐれた輸出入者に対する特例措置の拡充等を行ったところですが、今後ともこうした取り組みを着実に実施してまいります。
 最後に、理財局資料の説明に移りますが、12ページを御覧ください。理財局においては、財投計画編成に当たり、従来より要求時において各省庁から財投要求総額につきまして施策の意図・目的、施策の必要性等に関する政策評価を提出していただいておりましたが、17年度財投計画編成に当たっては、個別要求制度ごとに政策評価を実施するよう求め、18年度財投計画編成に当たっては、17年度において実施した個別要求制度ごとの政策評価をあらかじめ定型化したフォーマットにおいて統一的に実施することとしたところでございます。
 19年度財投計画編成に当たっては、これまでの取り組みを継続することとし、各省庁・機関からは相当数の政策評価が提出されました。
 2の政策評価の活用状況を御覧いただきますと、19年度財投計画においては、資産・債務改革において国の資産規模の対GDP比半減が目標とされていること等を踏まえまして、対象事業の一層の重点化・効率化に努めた結果、総額は14.2兆円と、前年度比5.6%減、ピーク時の約3分の1の規模にまで縮減しております。
 この19年度財投計画の編成過程における政策評価の主な活用例といたしましては、例えば国民生活金融公庫、中小企業金融公庫からは、倒産・廃業を経験した者の再起業のために必要な資金を融資する制度である再チャレンジ支援融資制度の要求がございました。各省庁・機関の政策評価の欄にございますように、民業補完性の観点から見ますと、一度事業に失敗した廃業者等は、民間金融機関にとっては貸付対象としてリスクが高く、民間金融機関では十分に対応できないことから、再チャレンジ支援をするために政府系金融機関が資金供給を補完することが必要であるとの評価になっております。これら各省庁・機関による評価を吟味いたしまして、施策の重要性とともに、民業補完性及び償還確実性を勘案し、廃業歴のある起業者を対象とした融資の枠組の創設を認めることといたしました。
 次に、13ページですが、独立行政法人福祉医療機構から、療養病床のケアハウス、介護老人保健施設等への転換に係る融資について、要調達額に占める融資の割合を引き上げる等の優遇措置の要求がございました。各省庁・機関の政策評価として、例えば民業補完性の観点からは、機構による長期・固定・低利の融資を行うことで民間金融機関を質的に補完することが必要であるとの評価がなされています。こうした要求省庁の政策評価を吟味いたしまして、独立行政法人の融資等業務の見直しにおいて、融資率の引き下げ等の見直しを行うこととされていることも踏まえつつ、今般の医療制度改革に対応した療養病床から介護老人保健施設等への転換の促進のための融資の政策的意義を勘案し、要求を認めることといたしました。
 さらに、14ページにありますように、地方公共団体の財政融資資金の地方債引き受けに係る要求につきましては、各省庁・機関の政策評価におきまして、地方債は地方公共団体の社会資本整備等を進めるために欠くことのできない重要な財源であり、地方債の原資として一定量の公的資金が必要である等の評価がなされております。こうした要求省庁の政策評価を踏まえた上で、地方公共団体ごとの資金調達能力及び資金使途に着目して重点化を図り、真に必要な資金需要には適切に対応いたしました。
 なお、財政状況が厳しい地方公共団体に対して、19年度から3年間の臨時特例措置として、新たな行政改革の実施等を条件に、補償金を免除した繰上償還を認めることとしております。
 最後に、15ページの3の財政融資資金貸付金残高の圧縮・証券化の実施でございます。昨年7月に閣議決定された基本方針2006におきまして、国の資産の大宗を占める財政融資資金貸付金残高について、130兆円超の圧縮を実現することとされていることを受けまして、平成19年度財投計画編成においては、対象事業の重点化・効率化等により、財政融資資金貸付金約23兆円の圧縮を図ったところでございます。こうした努力を継続すれば、27年度末までに110兆円程度の圧縮が見込まれております。残り20兆円程度の圧縮につきましては、財投対象事業の一層の重点化・効率化、財政融資資金貸付金の証券化の実施、政府保証の一段の活用により確実に実現する方針でございます。
 このうち、財政融資資金貸付金の証券化につきましては、19年度から実施できるよう本通常国会において法的手当てを行うとともに、19年度予算において2,000億円規模の証券化を実施し得るために必要な経費を確保いたしました。実際の証券化規模は、市場の状況等を見ながら適切に判断することとしております。
 以上でございますが、平成19年度予算編成等への政策評価の活用状況等について説明させていただきました。
【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。では、吉野委員、どうぞ。
【吉野専門委員】  2つ質問させていただきます。1つは、特別償却と、それからもう1つは沖縄の免税店の関税率の適用なんですが、これは個別のところではそれぞれ特別償却がいいということはわかるんですが、もう少し広いところで見た場合に、この業種に特別償却を与えることがほんとうに全体の政策として、個別に考えれば必ずそこはいいと思うんですけれども、全体的に考えたときに、ある特定のところにこういうことをすることがほんとうにいいのかどうか。それから、例えば沖縄の場合でもそうですけれども、沖縄にとってみれば、こういう制度があることによって旅行客がたくさん来ると。そうであれば、北海道だってこういうことをやりたいということが出てくるのではないかと思うんですが、政策評価でそれを対象とした場合の政策評価と、もう少しマクロで見たときの政策評価と二元的なところがあるような気がするんですけれども、その点はいかがでしょうか。
【高宮課長補佐】  主税局総務課の高宮と申します。
 今、特別償却、製造過程管理高度化設備等の特別償却について御質問がありました。こちらの特別償却については、今回廃止をしたわけでございます。租税特別措置については、税制の公平・中立・簡素という租税原則がございますので、これの例外に位置付けられるものだと考えられますので、租税特別措置の必要性ですとか有効性というのは常に吟味して、その必要性というのがなくなれば廃止するというようなことで見直しを行っているところです。
【伊藤鑑査専門官】  よろしいでしょうか。続きまして、関税局関税課の伊藤と申します。沖縄型特定免税店制度について御質問がございました。
 この制度につきましては、沖縄県の歴史等、その特殊事情を踏まえまして沖縄の総合的かつ計画的な振興を図ることを目的とする沖縄振興特別措置法に基づく沖縄振興策の1つとして、ほかの都道府県にはない特例的な施策として実施しているものでございます。
 そういった事情がございまして、このような特例的な施策を沖縄県以外の地域に適用することは制度の趣旨からして困難でございまして、極めて慎重な検討が必要であるというふうに考えておるところでございます。
【金本分科会長】  よろしいですか。田中委員、どうぞ。
【田中専門委員】  今の吉野委員も取り上げた特別償却ですが、5ページ目に延長の要望があったのだけれど、政策効果として、示された適用実績が低調であることを踏まえてやめたというのが、ちょっと何となく、果たしてそうなのだろうかと思うんです。
 適用実績が低調である理由は何なのかというのが明確でないし、この目的は設備をよくするという目的にあったのだと思うんですけれど、一方で、あまり使われていないから制度を廃止するというのはちょっと説得力が欠けるように思うのですけれども、いかがでしょうか。
【高宮課長補佐】  先ほど御説明しましたとおり、租税特別措置というのは租税原則の例外だというのが大きな考え方にございます。今回の廃止した特別償却制度ですけれども、平成12年度から4件、7件、7件、7件、5件、3件というような数字の適用件数でして、このまま今年度も続けても、製造過程管理の高度化というのに税制として例外を設けてまでやらなければいけない必要性は本当にあるのだろうかということで、要望官庁とも議論した結果、これは本年度延長するのはやめましょうという結論になったということでございます。
【田中専門委員】  説明にはあまりなっていないようには思うのですが。我々民間からすると、例えば償却率がもっと多くないとこの特別償却をする意味がなくて投資をしなかったのかもしれないし、またその状況が投資をできるような環境になかったのかもしれないし、いろいろな理由があると思うのですが、一方で設備を新しくいいものにしようという施策があって、この特別償却を一律定めたことがどう合わなかったのかという検証がなくてやめるというのは何かおかしいのではないかなと。利用率が低かったからという理由だけではなく。なぜ利用率が低かったのか、全体の設備が新しくなる目的を達成したのかどうかというような検証がないと十分ではないと感じます。
【金本分科会長】  よろしいでしょうか。ほかにございますか。
 政策評価の情報がプロセスで使われているということはあるかと思いますが、何でこれがだめなのかという評価が見えてこないところかと思います。それはやらないというふうな、主税局側の評価はやらないということですか。
【高宮課長補佐】  繰り返しになりますが、要求官庁との話し合いの中で、あまりこれまでも利用されていないし、これからも利用されないのではないかということで廃止という結論でございます。そこの要求官庁とのやりとりの中で、どの程度踏み込んだ分析がされているのかというのは、実際に調整した者ではありませんので、そこまでちょっとわからないのですが。そこは申し訳ありません。
【金本分科会長】  よろしゅうございますか。どっちかというと、プロセス、私が今お聞きした感じだと、要求官庁の側は政策評価等を持って要求に行くと。それを査定部局としては見ていろいろやるんだけれども、査定部局の方でこういう評価でこれはつぶしたんだという評価書が出てこない、そういう現状かなという気がいたしますが。それがいいことかどうかというのはまたいろんな議論があるかと思いますが、そういったことかなという感じがいたします。
 あとは、租税特別措置については基本的に非常に特段のものがなければ全部やめるという方向だと私は理解していますが、そんなことでよろしいですか。
【高宮課長補佐】  はい。
【金本分科会長】  では、河野委員、どうぞ。
【河野臨時委員】  基本的な質問なんですが、私はさる省の政策評価委員をしています。 この資料2−2の4枚目、2ページ目ですか、各省からの概算要求に当たっては、2)のようなことを出していると思うんですが、きょうの御説明では政策評価の活用状況ということで典型的な例かと思います。査定をするに当たってすべて政策評価に基づいて査定をしているのか、あるいは、よくわかりませんが従来どおり、例えば前年度比幾ら増減というようなことも含めてやっていて、将来的にはすべて政策評価の結果に基づいて査定するのか、その辺はどういうふうになっているんでしょうか。
【石田課長補佐】  主計局の石田と申します。よろしくお願いいたします。
 基本的に査定の段階で政策評価、あるいはほかの要素をどれぐらい見て査定をしているかということかと思うんですけれども、政策評価、基本的に各省がやっている評価でございますので、概算要求に反映していただいて、客観性等を重視するようにというお願いをしてはいるところですけれども、どうしても各省の要求を補強するための材料という点が否めない点もあります。予算自体は、政策評価の結果もそうですし、それから全体の予算の制約というのもありますので、そうした中で政策間の優先順位づけをどうしていくかとか、国民等の間でどういうようなニーズがあるかとか、ある意味いろんな要素を勘案しながらやっておりますので、将来的にも政策評価ですべてが決まるということにはならないとは思います。ただ、政策評価がよくなっていけば、より活用が進んでいくという関係にはあると思います。
【金本分科会長】  よろしゅうございましょうか。
 もともと政策評価で完璧に白黒つくというものではないと理解をしていますので、意思決定に有用な情報を出していく1つの手段かなと思います。あまり多くのものを政策評価に入れ込んでしまうとシステム自体がパンクしてしまうということになるかもしれないと思っています。
【河野臨時委員】  政策評価結果を活用するということですから、だんだん活用の幅が広がっていくのかな、どこまで広がっていくのかなと思ったわけです。ありがとうございました。
【金本分科会長】  そのほか、ございますでしょうか。よろしゅうございますか。田辺委員、どうぞ。
【田辺臨時委員】  今年度の予算編成当時の政策評価の活用状況の話ではございませんけれども、20年度でしたか、来年から一応予算決算書と政策評価の単位を原則として対応させるという方向で財務省、各省の側でいろいろテクニカルな問題を含めて検討が進んでいると思うんですけれども、1点お伺いしたいのは、基本的に政策評価の方の単位というのは施策レベルになっていて、決算書、予算書の方も施策レベルに合わすという形になるんだと思うんですけれども、そのときに、1つは、主計局の方で要求しております政策評価調書の形がどういう形になるのかなということでございます。つまり、施策レベルですから結構事業レベルよりも付ける、付けないの部分だけじゃない全体の部分が非常に大きく占めておりますので、ある意味では情報がすごく見づらくなって、それで出してきた調書自体も、査定側から見ると使いづらいものにならないのかなという心配はしているのでありますけれども、そういった点はどう対応をお考えでしょうか。
【石田課長補佐】  予算書、決算書の見直しのお話がありました。骨太の方針で平成20年度を目途に実施するということで、今年の夏の概算要求に間に合うように作業を進めているところです。
 それから、御質問は調書のスタイルというか、どれぐらいの固まりでやるのかということかと思うんですけれども、予算の項・事項に合わせるレベルは、お話あったように事務事業レベルというよりはもうちょっと大きな固まりで対応させることになりますので、おっしゃられるように調書だけでやると、予算査定で使いにくいという側面はあるんだと思います。そのあたりも含めて、今、どういったことで新たな予算書、決算書の表示科目のもとで予算編成をするのかというのを中で検討しているところです。方向としては、あまり細かい事務事業レベルまで全て調書をいただくということとなると、相当大変な作業になってしまいますので、調書自体は施策レベルぐらいのある程度の固まりでいただくことになると思います。あとは、その先、査定の中で個別に必要に応じて確認作業をしていくということになるのではないかと思います。
【田辺臨時委員】  ありがとうございます。
【金本分科会長】  よろしゅうございますか。そのほか、何かございますでしょうか。
 それでは、沖部室長をはじめ財務省の方々、お忙しい中どうもありがとうございました。今後の審議の参考にさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次は、「平成19年度機構・定員審査に当たっての政策評価結果の活用状況」についてということで、行政管理局の阪本企画官からお話をいただきます。御説明いただいた上で質疑応答を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【阪本企画官】  総務省の行政管理局の企画官をやっております阪本と申します。19年度機構・定員審査に当たっての政策評価結果の活用状況というのがお手元にございますが、それに沿って進めさせていただきます。
 お手元の資料を1枚おめくりいただきまして、「各府省の機構・定員要求に当たっての反映状況」と書いてございますが、まずこれに入ります前に、一応念のために機構・定員の要求、そしてその審査というものについての概略を説明させていただきます。ご存じのとおり、毎年8月末に予算と同時に総務省の行政管理局の方に機構と定員の要求というものが各省からなされます。そして、それにつきまして審査を行いまして、年末の予算のセットのときに機構と定員についてあわせて審査結果が出るという形になっておりまして、その機構と定員の審査につきましては、予算のように毎年毎年すべての予算についての要求があるとか、そういったものではなくて、いわゆる増員要求、あるいは機構の新設要求というふうに、新たに増やすところ、あるいは作るところについての要求が来るというふうなものでございます。
 そして、その機構の方でございましたら、新たにこういうふうな機構を作ると。それらについては、それを作るに当たって、国の組織全体が膨張しないように、既存の機構で不要なものはつぶしていきましょうと。スクラップ・アンド・ビルドとか、合理的再編成というふうに申しますが、例えば課長を作るなら課長を1個廃止するとか、そういうぴったりした1対1対応の場合もありますし、そうではなくて、少し弾力的な場合もございますが、いずれにしても新たなものをつくる場合には既存のものを当然見直して、不要なものをなくしていくということを同時にやっておるということでございます。
 次に、定員の方でございますが、定員の方は、まず各省に大体毎年2%程度なんですが、計画的な合理化というものをお願いしておりまして、要求のときに、各省は自分の省の業務を見直しまして、2%程度の計画削減、計画的な合理化というものをあらかじめ決めてまいります。そして、一応そういった形で大体各省から年間7,000人分ぐらいの合理化の人数が出てまいりますので、それを基本的に原資といたしまして、各省からあった増員要求に対応していくということで、各省間での定員の再配分ということで役に立っています。
 つまり、例えば農林水産省が出した合理化の分、あるいは経済産業省が出した合理化の分というのは、それがそのまま当該省に戻るのではなくて、政府全体として、例えば治安が必要であるといったら治安分野にというように、政府全体としての再配分をするという形で増員をつけていくということになります。それ以外に、例えば省内の振替とか、省庁間の振替とか、そういったものもございますが、一番大きいのは計画削減、あるいは合理化に対して省庁間の再配分という形でつけていくというのが一番大きな仕組みでございます。
 そして、そういった場合におきましての各府省の機構・定員の要求に当たっての反映状況というところでございますが、行政管理局は各府省に対して政策評価の結果を機構・定員要求に反映し、そして、要求の際に評価の結果が記載されている評価書を添付して、その該当箇所を明示しなさいという形でお願いをしております。
 その結果、昨年は、機構に関するものは77件、定員増に関するものは335件、あるいは定員の減に関するものは1件について政策評価の結果を反映しましたという形で評価書が添付されてきたというふうなことでございます。
 それで、その結果を政策評価の結果として活用しておりまして、さらにめくっていただくと、それが参考資料の後に、各省ごとに1例ぐらいずつ例示として載せてございます。1個1個は説明はいたしませんが、今後の課題というところで少し触れながら説明させていただきます。
 3番の今後の課題ということで、毎年同じような課題があるというふうに思われてしまうかもしれませんが、本年も政策評価の活用を通じまして、以下のような点が問題ではないかというふうに感じられたところでございます。まず1つ目の点でございますが、各省から提出されました政策評価の結果でございますが、機構・定員について触れられたものというのは少ないというのがまず1つでございます。そして、まさに政策の必要性といったものはよく書かれておるんですが、じゃあ、その目標を達成するために、既存の体制では不十分であるとか、あるいはほんとうに公務員を増員しなければできないのか。例えば、民間に委託はできないか、民間でできないか、地方でできないか、そういった公務員を増やすということにかわる手段との比較はなされていないということで、端的に言えば評価の結果と要求との間の関係というのは非常にわかりにくくなっておるということでございます。
 先ほど、後の方に載せた参考資料で、例えば警察庁とか、あるいは法務省のあたりでは、治安のためにこれこれが必要であるというのは非常に我々としても理解できて、かつそういったことを当然機構・定員の審査のときに使ってはおるんですが、しかし、それによって、どれだけの公務員を増やすかというふうなことと直接的にはリンクしない。まさに必要性というところまではわかるんですが、それ以上の情報というのはなかなか出てきていないという部分が一方でございます。
 2つ目でございますが、各府省の実績評価の単位というものは、ほとんどが施策レベルとなっております。ただ、要求の内容について非常に範囲が広過ぎまして、なかなか要求個別のものに対応する、活用するための情報というのがなかなかないというのが実情でございまして、例えば後の方、農林水産省のあたりをまた後ほど見ていただければいいと思うんですが、個別の定員要求は、マグロの陸揚げのときの検査の体制の強化というふうな形できておるんですが、検査の体制を強化するためにこれだけの人数が必要だというために必要なデータというのはなかなか出てきていない。もう一段階上の、施策全体としてのデータとか、あるいは評価というのは出てきてはおるんですが、そのうちの一部を構成しております定員の要求に直接絡むようなデータというのが出てきておりませんので、ここについては来年以降、もしこういうふうな要求があるのであれば、例えばマグロの陸揚げの検査率についてデータを加えてみてはどうかとか、そういったことを査定の中で御相談したりしたというふうなことはございます。
 いずれにしても、なかなか機構の定員の審査に直接活用できるような必要な情報というのが必ずしも十分に入っていないというところはございます。こういったのが例年課題として出てきてしまっておりますが、いずれにせよ、我々としてもできるだけこの評価結果というのを活用してもらいたいと思っておりますので、こういった毎年の審査の際のやりとりなどでもっとこういうふうなデータを集めたらというような話も含めて各省と御相談をさせていただいているというのが今の状況でございます。
 私からの説明は以上でございます。
【金本分科会長】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
【高木臨時委員】  今後の課題、例年同じような課題を記述されるというようなことなんですけど、特に2つ目の点は、こういう課題があるから、じゃあ、具体的にどのように対応するのが適当かというような話がなしに、ずっと今後もいくんですか。これですと、あんまり意味がないように思うんですけれども。
【阪本企画官】  そうですね。この辺は非常に我々も悩ましいと思っております。というのは、先ほども申しましたように、機構・定員の要求というのは、すべての案件についてやっているわけではなくて、新たな増員のもの、あるいは新たな機構の新設のものという部分部分についてやっているので、なかなか統一的にというのが難しいのかもしれませんが、各省の政策評価というのが必ずしも機構・定員の要求というのを直接念頭に置いてやられていないというところがございまして、要は、予算への反映とか、ほかのものも念頭に置いておるという中で、どうしても我々の欲しいデータというのと、各省が政策評価の中でまず集めて、それでそれを使っているデータというのが若干のずれが生じておると。
 しかも、毎年毎年各省が出してくる新設の要求の部分というのは、毎回同じ分が出てくれば前年に申し上げたことが直接的に次の年に反映されるのでしょうけれども、毎年毎年同じ状況が出てくるわけでもない部分がございますので、そういったところの継続性というのが問題になるということは想定されます。ただ、いずれにしても、今回も農水省のところにあえてつけておりますけれども、こういったデータを集めたらというようなことなどは、我々も審査のときには説明をさせていただいております。
 あと、もう1つあえて申し上げれば、要は必要性といったところまでは我々も非常によく各省の政策評価を見ながら理解できる部分というのは多々ございますけれども、やはりそれからもう一歩先の部分の、例えば体制の効率性とか、そういった部分のデータというのがもう少しあればというふうなことはございますが、なかなか今のところはそこまでのデータというのは集まっていないというのが今の状況かと思います。
【高木臨時委員】  問題は、かなり今のお話で明確なのではないかなというふうに思うんですけれども、1つは、機構・定員要求のところが1つの局面に限定した形で要求がされるという構図だということと、それから、政策評価のところで、実績評価を押しなべてやるというようなことにおととしのガイドラインでなりましたけれども、組織、あるいは人のフォーメーションとか人数とか、その辺のところについて何ら触れるような状況になっていないわけです。少なくとも各省内においてそういったことが検討されたという感じは持てないんですけれども、そういうようなところが大きな原因なのではないかなというふうに思うんですが、そうであるならば、じゃあ、その辺のところについてどういうふうに対応するかということなのではないかと思うんですが。
【阪本企画官】  活用させていただいている立場なものですから、これは私の方から言っていいのかどうかよくわかりませんが、まさにおっしゃっていただいたような論点というところはあろうかと思いますし、また、そういったところについてどういうふうな形が望ましいのか御検討いただく、あるいは我々としてもいろいろと御相談させていただくということはあろうかと思います。
【金本分科会長】  この政策評価結果の活用というところの政策評価というのが、評価法上の政策評価に限定するのかどうかというところがあろうかと思います。評価法上の政策評価というのはそれなりのもので、個別具体の査定にうまくフィットしないというふうなことは当然あろうかと思いますが、その場合に、査定側からいって、この手の資料を用意して出せというのは可能ではあるんだと思います。それは、行政評価局の問題では必ずしもなくて、査定部局の問題であるというような感じもあるんですが、いかがでしょうか。
【阪本企画官】  そこは、まさに我々、通常の、これはもう古典的に昔からやっておる査定の中で、ちょっとこういった部分がわからないのでもっと資料が欲しいとか、そういったことは当然毎回毎回の査定の際に1個1個の案件についてやっています。それは昔からのことでございます。むしろ、そういったものは当然といたしまして、さらにこの政策評価というものと査定の間のいわゆるリンクをどういうふうにつくっていくかということと認識しておりますので、まさにそういった個別案件ごとにこちらからこういうのが必要じゃないか、ああいうのが必要じゃないかというふうな形で問いかけて、それに対してお答えいただく、あるいはその場で資料を出していただくというような形をとるか、それともまず各省の中でこういった要求を出すに当たってどういうふうなデータを集めて、そしてこういった要求をさせる、あるいはさせた要求について、それを使って我々の方で説明をしていくというやり方と、旧来的なやり方の間でどういうふうに調和させていくかというふうなことかと思います。いずれにしても、必要なデータは査定の過程においては当然各省にお願いはしているという状況でございます。
【金本分科会長】  ちょっと私の申し上げたこととは少しお答えがずれているかなと思うんですが、要するに旧来型のものの中に政策評価的な考え方を入れていくと。政策評価法上の政策評価じゃないんだけれども、それの延長線上でもっと、実態としては細かいものを要求しておって、それがその場で言われたんだと、データがないとか言うから、その辺のガイドラインとかを用意して、こういう方向でみたいなのをやるというのは不可能ではないのではないかという気はしたということです。
 実際に私が関係している分野ですと、社会資本整備重点計画のための資料等というのはそれ用につくってあるんですが、ほとんどが政策評価法上の評価に流用されている。ただ、必ずしもぴったり合う必要はなくて、社会資本整備計画上のものが概算要求に使われるという方向でいきますので、財務省との関係で別のものをいろいろ用意するというのは当然可能かなという気がいたしますが。
【阪本企画官】  すみません、私も評価の方は必ずしも詳しくないもので、そこはどういうふうに両立するのかとか、あるいはどういうふうな関係になるのかというのははっきりとはしておりませんが、確かに要求に当たって一定の評価、あるいはデータを集めて、それを使って要求する、あるいは査定に応じて説明していくというのは当然いい形としてあり得る話だとは思います。
【金本分科会長】  そのほか、何か。
【牛尾専門委員】  ほんとうに素朴な疑問なんですけれども、政策評価の結果を反映したものとして要求がなされて、なぜ335件で2,644人も増員が結局出てきてしまうのか。定員の減に関してたった1件だけなのか。政策評価の役割って何なのかと素朴に疑問を感じざるを得ないような気がしてきてしまって。ですから、政策評価をしたら定員の増に関するような・・・・・・。
【田辺臨時委員】  削減の部分が定削でかかっているので、総数はまた別の話であると思います。
【牛尾専門委員】  になるんですか。でも、こちらの報告書になると、定員の増に関するものが毎年3,400人とか2,600人とかというふうに出てきちゃうわけですよね。
【阪本企画官】  これはその前のパラグラフに書いておりますように、その評価書が添付されて、要するに政策評価をこう活用しましたよという形でこちらの方に要求があったものに限定したものでございまして、昨年ですと、例えば増員全体として5,907、それで定員の合理化削減の方が8,036、差し引きですと2,129人の純減というふうになっております。その中で、こういった形で政策評価を活用いたしましたというふうな形で各省からの要求があったものというのがこの数字でございまして、定員の増に関するものが圧倒的に多くはございましたが、当然これはその一部の数字でございます。
【牛尾専門委員】  すみません。私、これの文言で読んでいてそういうふうに判断したので、今説明してくださったように書いていただいたほうがわかりやすいと思います。
【阪本企画官】  わかりました。
【金本分科会長】  田辺委員。
【田辺臨時委員】  私、この利用のところでこういう今後の課題として出てきたところはもっともだなと思うんですけれども、ただ、評価法の政策評価の中で解決できるかというと、これは無理だと思うんです。要するに、査定側としてほしいのは、例えば主計局ですと出した要求から幾ら削れるかという削れる金額の、ここ、削れるなというのが見たいんだと思うし、それから、定員要求、機構要求だと何人の定員をつければそもそもこれは対応できそうなのかというところなんだと思うので、それ自体を今のというか、特に施策レベルに落としてきたときの実績評価方式で出てくるかといったら、まず無理だというところはあらかじめわかっておいたほうがいいのではないかということが1点と、ただ、他方で、必要性みたいなところに関しては、やはり評価書の中でわりときちっと出せるようにしておいて、まだ熟度が足りないとか、ほんとうに必要かどうか・・・・・・。
 私が読んだ中で、例えば法務省なんかの入管関係のものであるとか、警務官の方はPFI対応でやったと思うんですけど、かなり深刻な人手不足の問題というのは評価書の中でもかなり訴えているので、それは読めば必要性のあるところはわかると。ただ、幾らという数字に関しては事実上無理なのではないのかなと思っています。
 他方で、それを前提にした上で、査定のために具体的にどういう情報が求められているのかというのを、やはり査定する側の方が、企画官がおっしゃられたように、こういうデータを持ってきてくださいというサジェスチョンをして、それは評価法の枠の中に入れても構いませんけれども、大枠として具体的に要求する側が証明しなきゃいけないデータとしてつけ加えておく。ただ、使うか使わないかわからないデータを要求されると、何となく負担が増えるだけという形になりますので、そこのところを精査して、こういう情報がというところの見取り図とは言いませんけれども、それをつくり上げていくことのほうがむしろ必要なのではないのかなという感じはしております。
 もちろん、政策評価を活用せよというところで政策評価のほうに期待が来るのはわかるんですけれども、何人という査定のところの情報というのを政策評価の中で書いていくとなると、各事業ごとに全部やっていかないと無理で、それを評価法でやった途端に評価疲れならぬ評価過労死が生じる可能性があるので、それはやっぱりある程度無理だということは共通的な認識として持っておいたほうがいいんじゃないのかなというのが私の考えです。
【金本分科会長】  よろしゅうございますか。
【阪本企画官】  そうですね。確かに必要性というところは非常に、これの括弧のところで書いてございますけれども、必要性というものについては、政策評価が必要性を理解する大きな1つの要素になっているというのは事実でございます。それで、確かに委員がおっしゃったように、1個1個、どれだけの人数が必要か、ましてやそのマンパワーを公務員がやるのか、あるいは公務員じゃない人がやるのかといった仕分けとか、そういったものは多分評価そのもので、データがといっても、確かにそれは厳しい部分があろうかと思います。いずれにしても、そういった政策評価を活用する、あるいはどういった資料を各省からとるか、あるいはそれを政策評価にどう乗せていくか、また引き続きその査定プロセスなどもとりながら、各省とも十分相談してまいりたいと思います。
【金本分科会長】  そのほか、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、阪本企画官には、御多用のところ、大変ありがとうございました。今後の審議の参考にさせていただきます。よろしくお願いします。
 それでは、続きまして、「平成19年度地方税制改正に当たっての政策評価結果の活用状況」について、総務省自治税務局の寺ア理事官から御説明をいただきたいと思います。御説明をいただいた上で質疑応答を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【寺ア理事官】  自治税務局の理事官をしております寺アでございます。お手元に資料を配付させていただいているかと思います。私ども、自治税務局では地方税制に関する仕事をさせていただいております。本日は、各省庁から出されました政策評価資料をどのように活用しているかという観点で、簡単に御説明申し上げます。
 お手元にもお配りしております様式がございますけれども、私どもは、予算編成とほぼ同じような作業で、8月末に各省庁から税制改正の要望をいただくということで、そこから年末に向けて作業をさせていただいております。主に非課税等特別措置、国税の方では租税特別措置と申しますが、地方税では非課税等特別措置の創設でございますとか、延長、拡充に関しまして、各省庁から資料をお出しいただいた上で税制改正の議論をさせていただいております。
 ここにありますように、お開きいただければ、これは自動車取得税に関する特例措置の要望事項の例をつけさせていただいておりますけれども、このような形で、減収見込額ですとか、要望の理由、さらには過去の経緯でありますとか、もう1枚おめくりいただきますと、これは既存の税制の政策効果ということで、この様式は平成16年の税制改正要望から、既存税制の政策効果はどのようなものがあったかということについて、なるべく具体的な数値も含めて各省庁からお出しをいただいているところでございます。
 なお、こういった要望書などにつきましては、透明性を図る観点から、平成17年より総務省のホームページのほうに要望書をいただいた段階で公表しているところでございます。現在、その活用状況でございますけれども、こういった要望書を踏まえまして、この附属でいろいろな参考資料もおつけいただくわけでございますが、それぞれの各省における政策評価というものをできる限り税制改正の中にも反映したいと考えております。
 ただ、若干難しゅうございますのが、税制改正に関しましては、政府内における税制改正の議論だけで完結するわけではございませんで、いわゆる与党における税制改正の作業というものと並行して、最終的には与党における議論が決着点になりまして、与党の税制改正大綱に盛り込まれるか否かということで税制改正の有無が決定されますので、私どもはある意味で、最終的には補助的な作業ということになってしまうということになります。ただ、その過程におきまして、こういった具体的な数値をもってさまざまな議論をすることは非常に有用であります。
 もう1つは、各省庁において、非常に政策効果が上がったと。例えばこの自動車取得税などのケースはその最たる例でございますが、低公害車の普及促進という観点から、非常に普及が進んでいるというような評価がこれでもなされておりますけれども、普及が進んでいるということは、裏返して申しますと自動車取得税の減収につながっているということでございます。ですから、政策効果が政策目的に合致したということは言えるんでございますが、税制のサイドから申しますと、ある意味過剰なインセンティブになっているのではないかというような見方もあり、毎年、税制改正の中では、要望書中における政策の目的と、私どもは地方税収をなるべく確保し、かつ公平、中立、簡素な税制をという観点からのニーズといろいろな意見を交換させていただいているというところでございます。
 お手元、もう1枚おめくりいただきますと、そういったいろいろな議論を経まして、ここ十数年にわたります非課税等特別措置の整理合理化の状況をお付けしております。廃止、縮減合理化というものが、いわゆる特例そのものをなくしたり、率を下げたりというもの。一方、あわせて新設・拡充というものもそのときそのときの政策課題に応じて出てまいります。
 私どもが各省にお願いしておりますのは、十分な政策効果の検証をしていただいた上で、基本的にこういったスクラップ・アンド・ビルドということを念頭に御要望をいただきたいということを強く要請しているところでございます。今後、税制の抜本改革も近づいております。納税者の関心も非常に高まっているさなか、やはり非課税等特別措置については、基本的には整理合理化する方向で議論していきたいと思っておりますが、その観点で、政策評価の活用についても、私どもは前向きに勉強してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【金本分科会長】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
【牛尾専門委員】  平成8年度にかなり大きな縮減、合理化があったんですけど、この背景を教えていただければ。
【寺ア理事官】  すみません、平成8年の中身を承知しておりません。111件、確かに数は多くなっておりますが、すみません、ちょっと調べさせてください。
【牛尾専門委員】  はい。
【金本分科会長】  そのほかございますでしょうか。
【田辺臨時委員】  お伺いしたいんですけれども、これ、国税の方と地方税の方があって、おそらく、各省からの要望が出てくるときというのは、国税の方でも何か特別措置をやってくれといって、これで地方税の方にも同じような措置を求めるという形の対応が多いと思うんですけれども、具体的に国税が認めて地方税で認めないとか、地方税だけで認めて、国税の方では認めないというようなケースというのはどのくらいあるんでしょうか。
【寺ア理事官】  端的に申しまして、基本的には国税に対する要望と地方税に関する要望は別物でございますので、それぞれの税目のあり方、例えば所得課税なのか、資産課税なのか、消費課税なのか、それぞれ税の特質に応じて、特に地方税に関しましては応益課税的側面が非常に強うございますので、私どもとしては、国税が認めたからといって、自動的に地方税が認めることのないように、そこは厳正に判断させていただいております。
 ただ、御指摘のように、国税で認められれば自動的に地方税が認められるケースが幾つかございまして、それは法人税並びに所得税におきます所得の計算に関するもの。端的には特別償却というようなものでございますが、こういったものは所得の計算方法そのものでございますので、法人税の方でお認めになりますと、その課税標準、基本的に計算法を同じにしております地方税はそれを遮断することが物理的にできません。そのために、自動的に連動する。例えば、今回減価償却制度の大幅な見直しを行いましたが、これにつきましては、法人所得課税では見直しましたので、国税における見直しがそのまま地方法人課税にも影響されます。
 一方、固定資産税における償却資産の評価のあり方も同時に議論になったわけですが、これにつきましては、同様の見直しを行わないという結論になりました。これは、法人の所得というものの計算のあり方と、地方の固定資産税の償却資産、これは応益負担の観点から、どのような資産の課税標準を求めるべきか。法人の所得はあくまでも損金算入にどの時期にどういうふうに入れるかという単なる費用の配分の問題でございますので、それとは意味が違うということで、与党における議論で結論が出まして、今回法人所得課税と固定資産税で結論が異なるということになったわけであります。
【金本分科会長】  よろしゅうございますか。そのほか、何かございますでしょうか。
【田中専門委員】  事業所税なんかについて、何かそういう議論がありますか。
【寺ア理事官】  そのようなとおっしゃると、国税と地方税の話ですか。
【田中専門委員】  いや、そうじゃなくて、事業所税そのものについていろいろと課題があるということで、意見があると思うのですが。
【寺ア理事官】  すみません、具体的な課題とおっしゃいますと、どういう。
【田中専門委員】  事業所税は廃止したほうがいいとか、二重取りじゃないかとか、見直しが必要じゃないかとかいったような意見はあるのではないかなと。
【寺ア理事官】  事業所税に限らず、すべての税目についていろんな御議論はいただいております。ただ、事業所税は大都市の需要を賄うためということでいただいておりますので、私ども、税制を預かっている身からいたしますと、単なる廃止論というのは乱暴じゃないかなというふうに考えておりますが、一方、さまざまな特例措置も多く講じられている税目であろうかと思います。
【金本分科会長】  そのほかございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、寺ア理事官には、御多忙のところおいでいただきまして、大変ありがとうございました。今後の審議の参考にさせていただきます。
 続きまして、残り、議題が「政策評価機能の発揮に向けて」と5、6、7、8とございますが、これらをあわせて吉開評価官の方から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【吉開政策評価官】  時間も限られておりますので、4点につきまして私の方からまとめて御報告を申し上げたいと思います。
 まず第1点目の、「政策評価の機能の発揮に向けて」でございますが、丹羽前委員長の問題意識でございます政策評価の機能を一層発揮させるべきであるということを踏まえまして、これまで政独委、それから当政評分科会におきまして、各府省に対するヒアリングも含めまして、これまで御審議いただいてきたところであります。
 その内容を踏まえまして、去る5月9日の経済財政諮問会議におきまして、菅大臣から報告を申し上げたということでございまして、その資料が資料5−1、それからその参考資料という位置付けの資料5−2でございます。5月9日の菅大臣からの報告のポイントと申しますのは2点、1点目が、諮問会議は重要政策に関するその審議に資するため、政策評価の重要対象分野、それから評価の視点等を提示するということでございます。
 2点目が、政独委に各府省の評価の実施状況に関する調査審議を行っていただき、総務大臣はその結果を踏まえて毎年諮問会議に対して重要対象分野の選定等について意見を述べ、併せて評価のチェック結果も報告するということでございます。
 この総務大臣からの報告に対しまして、丹羽議員から、この取り組みを骨太方針に盛り込むべきであるという提案がございました。
 議事録につきましては、資料5−3にございますので、後ほど御参照いただければと思います。
 今後でございますけれども、今回の取り組みを通じまして、各府省、それから総務省が重要政策に関して実効性のある評価を推進することができれば、政策評価制度を発展させる好機と考えられます。今後、この取り組みの進め方、審議の進め方、どういう体制で審議を進めるかということについて、当政評分科会にお諮りした上で、各府省の評価の実施状況、それから重要対象分野等について御審議をいただくことになります。
 スケジュールとしては、諮問会議に報告・意見というのを年内に行うのかなということを考えており、さらに重要対象分野というのを踏まえまして各府省が年度内に実施計画を改定するということになるわけですが、そういうスケジュールをにらみまして、内閣の重要政策を推進していくということで、前向きな報告、それから意見に結びつけられるように、委員各位に特段の御協力をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上が1番目でございまして、次に平成18年度政策評価の年次報告(案)でございます。これは評価法19条に基づいて毎年国会に報告しているものでございまして、今年は6月8日に閣議決定、それから国会報告を予定しております。
 今回の年次報告の位置付けでございますが、平成17年12月に政独委、政評分科会の御審議を踏まえまして政策評価制度の見直しを行ったわけでございますが、その後、各府省は基本計画等を改定したわけでございます。今回の年次報告は、その改定後の基本計画等に基づいて各府省が行った初めての評価を取りまとめて報告するという位置付けになっております。
 平成18年度の政策評価の特徴としまして4点挙げております。まずは、政策評価による政策の改善・見直しが進展をしているということを述べております。一般政策について申しますと、評価の結果、政策の改善・見直しを実施した割合というのが51.2%に達しているということで、前年度に比べて上昇しているということでございます。
 それから、2番目の内閣の重要政策に関する評価の取り組みの進展ということでございますが、例えば、環境省が内閣の重要政策でありますアスベスト対策を新たに取り上げて評価をしているというようなことが見られるわけでございます。
 それから、3番目の予算との連携強化に向けた取り組みの進展ということですが、先ほど財務省の沖部室長の方から御説明もありましたとおり、評価と予算との連携ということが、ことしの夏の概算要求から行われるべく見直しも進められているところでありますけれども、経済産業省等4府省におきまして、その動きを先取りして政策体系の見直し、それから評価単位の大くくり化ということをされておられるということでございます。
 それから、4点目の政策評価の対象の絞り込み、評価の重点化・効率化ということでございますが、これまで年間の政府全体としての評価件数の総数というのを1万件ですとか9,000件というふうに申しておったわけでございますが、18年度はこの件数が3,940件ということで、4,000件弱に減少したわけでございます。主な要因としましては、評価単位の大くくり化ということもあるわけでございますが、数の面で大きいのは、農林水産省が公共事業の評価対象を見直しまして、基本的に評価法令の義務づけ範囲内としたということで、5,000件程度の減が生じたということが大きいのかなと思います。
 それから、あわせまして行政評価局が行いました統一性確保評価、総合性確保評価の反映状況についても報告しております。
 1例だけ御紹介申し上げます。昨年の3月に取りまとめました大都市地域における大気環境の保全に関する政策評価がございましたけれども、これを踏まえまして、つい最近、自動車NOxPM法が改正されまして、この中で私どもが指摘申し上げました局地汚染対策というものが導入されたという形で反映が進んできているということを併せて報告申し上げる予定でございます。
 3番目はお手元に資料6ということで平成18年度における各府省の政策評価への取組状況というのがございます。これは、毎年この時期に各府省の政策評価の実施体制等を取りまとめて御報告を申し上げているものでございます。
 昨年に比べまして変わったところをかいつまんで御紹介申し上げますと、2ページ目でございますが、公害等調整委員会のところで、公害等調整委員会政策評価懇談会とございますけれども、今までなかった政策評価懇談会を公害等調整委員会が新たに設置をしたということが1つ挙げられるところでございます。
 それから、13ページでございますが、一番下の欄でございます。評価の際に用いたデータ(費用便益分析等のバックデータ等)でございますけれども、これをホームページに公開している府省というのが4府省増えまして、計12になったというのが昨年と比べての進展でございます。
 それから、次のページを御覧いただきますと、真ん中の欄でございます。基本計画、実施計画及び評価書に関するパブリックコメント等を実施する府省が2つ増えまして、9府省になったというのが進展でございます。
 簡単でございますが、資料6については以上でございます。
 それから、最後4点目でございますが、規制の事前評価についてでございます。既に御報告申し上げたとおり、規制の事前評価を義務付けるための評価法施行令の改正、それから政策評価の基本方針の一部変更につきましては3月30日に閣議決定されたところであります。
 評価法の施行令では、事前評価の対象とする規制につきまして定義を置きまして、「国民の権利を制限し、またはこれに義務を課する作用(総務省令で定めるものに係る作用を除く)」と定義しております。規制の事前評価になじまないものを総務省令で除外するという構成になっております。具体的に、政令では租税、裁判手続、補助金の交付の申請手続というものを除外すべきものとして例示しておるわけでございますが、現在、総務省令の策定作業を進めておりますけれども、これら租税、裁判手続、補助金交付の申請手続といった例示を含めまして、除外するものを具体的に列挙する作業を行っているところであります。 それから、省令とあわせまして規制の事前評価の実施に関するガイドラインにつきましても、省令と並行して検討を進めているところであります。金本分科会長を座長といたします規制の政策評価に関する研究会において、本ガイドラインにつきまして御審議をいただく予定となっております。
 この中で、評価の対象について、省令だけでは書ききれないこともございますので、各省に対しましてどういったことを評価すべきでどういったことは除外してもいいというような考え方を示していく予定でございます。
 私からは以上でございます。
【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見ございましたらお願いいたします。
【高木臨時委員】  菅大臣からの御提案による政策評価にかかわる諮問会議と各府省との連携ということに関してですけども、基本的な方向性としては、私はこの点に賛成するんですが、1つ前提というようなことで諮問会議の方に改めて御認識いただきたいなというふうに思っていますのは、重要政策を明示する際に、必ずしも定量的な目標が明示されていない。丹羽委員長に、先だって最後の分科会のときにそのようなことをお願いして、4月の諮問会議からの発表のときにそのようなことを取り上げていただいたかなと思われるような案件がありましたが、そのようなことがまず基本的に必要なのではないかというか、評価の効果を発揮させるためにはそのようなことが必要なのではないかなと思います。そのようなことを前提として置くことがまず1点でございます。
 それから、菅議員のペーパーの2ページのところでチャートが書かれているわけですけれども、全体構図の中での評価委員会の分科会は、具体的にはこの分科会だと思うんですが、この分科会のかかわりというのがいま一つ明示されていなくてわからないところがあるんです。私は、個人的な意見としましては、諮問会議の下請けみたいな位置付けにあるという形はあまり好ましくないのではないかなと。全体をモニタリングするような立場、位置付けの方が適当なのではないかなと思うということを申し上げたいと思います。
 もっとも、選定に関する意見、ここのところは分科会として意見を言うところは残しておいてもいいんじゃないかなと思うんですが、それ以下のところについてはモニタリングという機能という位置付けでいかがかなと思います。
 それからあと、どの程度の数のものをここでの対象とするかということ、あまり大きな数を持ち出しても、むしろ実効が上がらないということになりかねませんので、その辺の量的な感覚というのは最初からある程度きちっとやっておく必要があるかなと思います。
 それから、スケジュールは少々ゆっくりし過ぎているのではないかなと思うんです。私が思うに、6月の基本方針が出される段階で評価に当たって何が重要かというところも諮問会議から出る形の方がスピード感があってよろしいのではないかと。したがって、選定等に関する意見は、6月の前の4月とか3月のところで行うスケジュールを考える。そのようにすれば、6月に基本方針の骨太の方針が出るとともに、評価の対象及び量的な目標なども明確になったところで各省の取り組みというのが次年度に向けての本格的なものが開始されるといえますので、スピード感が、このスケジュールよりははるかに増すのかなと思いますので、そのようなスケジュールを意見として申し上げておきたいと思います。
 以上です。
【金本分科会長】  何か事務局の方からございますでしょうか。
【吉開政策評価官】  4点ほど御指摘いただいたかと思います。まず定量化ということにつきましては、重要政策に限らず、平成17年12月の見直しの際に質の向上ということで御指摘があったところだと思いますので、それについては制度官庁としても推進をしていかなければいけないのかなと思います。
 それから、分科会の役割についてですが、決して私どもも、諮問会議の事務局も、諮問会議の下請けというふうに位置付けているわけではございませんで、政独委にはこれまで果たしてきた役割を引き続き果たしていただくとともに、さらにそれを強化するということだと思いますが、さらにその活動成果を諮問会議の方に活用していただくということで新たな役割が、役割と申しますか活用の方途が開けてくるのかなと考えております。
 それから、重要対象分野として幾つぐらいをということでございますが、これはまさに御指摘のとおりかなり重要な問題でございまして、あまり多数の意見を申し上げましてもなかなかこなせないということもございますし、数もさることながら、どういうレベルで選定していくかということも非常に重要になってくると思いますので、その辺も含めて、今後、当分科会でも御審議をいただければと思います。
 それから、スケジュール感につきましては、御指摘のとおりゆっくりし過ぎだという御意見もあるわけでございますが、基本的には6月に骨太が出た後、8月の末にかけて各省の評価書が出てまいりますので、その評価の実施状況を見て意見を申し上げていくというのが、実施状況を踏まえて報告をするという総務大臣ペーパーの趣旨からすれば素直なやり方なのかなと思いますので、あくまでも各省の実施状況を踏まえて、それからそれをベースに考えた重要対象分野に関する意見というのが出てくるのかなということでございます。
【高木臨時委員】  1点だけですが、吉開さんがおっしゃった定量的というのは、各省が自発的に定量的な目標を設定するということであるわけですけれども、私が申し上げているのは、ある程度重要な政策は諮問会議なり閣議なりで定量的な目標をそもそも最初から設定すべきではないかと思っております。こういった形で運営されていくのであるならば、経済財政諮問会議なりでその辺のところを出していったらいかがかと。そちらの方がはるかに効果があるのではないかという意見でございます。
【吉開政策評価官】  このペーパーのポイントの一番目のところでございますけれども、政策評価の重要対象分野等を提示となっておりまして、「等」の中には、分野だけを示すわけではなくて、どういう切り口でやったらいいのかということも示さないと各省は評価できないわけでございますので、その「等」の中に今おっしゃったような政策効果の測定に当たっては定量的な目標を設定すべきであるとか、そういったことも当然入ってき得るものだと思っております。
【金本分科会長】  そのほか、何かございませんか。
【田辺臨時委員】  何点かあるんですが、1つは、こちらの政策評価の機能の発揮に向けてという経済財政諮問会議の議論と、それに対する対応ということなんですけれども、この政策評価分科会というのは、基本的には何を評価すべきかということに関しては何も、総務省では評価局が行うもの以外に関しては一切口を出してこなかった。その意味では、分科会というのは受け身な分科会だったわけですけれども、今度は、ここに書いてあるとおりにするといたしますと、何をやらなきゃいけないのかということに関して膨大な政府が行っている政策の中から、ある意味では、こっちがものを言うという意味で攻めのスタンスに変わるということなんだろうと思います。そのときに、こちらの今の体制でもって十分対応ができるかといった点に関しては、若干御検討いただきたいと思います。特に、ねらい撃ちするというのは簡単といえば簡単ですけれども、ねらい撃ちした途端に後からねらわれるということがしばしばありますので、まんべんなく見た上で一応ここだというところの作業をある程度やらなきゃいけないので、すべての分野に委員全員が通じてるわけではございませんので、そういったヒューマンリソース等も考えつつ、これに耐えられる体制を組んでいただければというのが1点であります。
 それから2点目は、この対象選定に関しまして、おそらく各省でやってもらうというやつとこちらにもう1回戻ってくるような、行政評価局が引き受けて統一性、総合性でやらざるを得ないものが出てくるんだろうと思います。それの仕分け、特に各省連携してやっているんだけれども、それをばらしてもう1回各省が連携するような形で評価するのか、それともこちらの評価局の方でくみ取ってやるのかみたいな部分は複数あろうかと思いますので、そういった点に関しても流れていくチャンネルが少し違うと思いますので御検討いただければと思います。
 スケジュールに関しては、私自身選定したものを基本方針に入れるというのはちょっと無理だと思っています。むしろこのぐらいのスケジュールでやって、来年度の実施計画の中に各省入れてもらい、それからこっちの評価プログラムの中にも、これがそれですよという形で入れ込むというのがある程度現実的なのではないかなと思っております。
【金本分科会長】  事務局の方から何かございますか。
【吉開政策評価官】  まず、体制につきましては、今、田辺委員からお話がありましたとおり、充実強化をお願いしないとなかなかこなしていけない課題だと思いますので、どういう体制が望ましいか、有効であるかということも含めまして、また御相談をしていきたいと思います。
 それから、重要政策分野として選定するものについて、各省にやっていただくのか統一総合で受けるのかということについて、両方の選択肢を総務大臣ペーパーの中でも示しておるわけでございますので、どういう観点で仕分けていったらいいのか、それをこなすための評価局の体制がどうであるのかというようなことも考えつつ検討していきたいと思います。
【金本分科会長】  何かございますでしょうか。
 私の方の、単なる御質問ですが、農水省の何千件か減ったということですが、ぱっと見ると公共事業等についてはある程度小さいものでもそれなりの評価をしたほうがいいように思えるんですが、その辺の経緯について御説明いただければと思います。
【吉開政策評価官】  農水省は、かなり自主的な評価の部分が大きかったわけでございまして、義務付け3分野でいいますと10億円以上の公共事業は義務付けであるわけですけれども、10億円未満の公共事業につきましても、今まで自主的に取り組んできていただいたわけなんですけれども、全体の流れとしまして、評価の重点化、効率化ということを基本方針の改定の中でも言ってきたわけでありますし、農水省としても義務付け分野に人的資源を投入して、評価の質を高めていきたいというようなことをおっしゃっておられます。
 ということで、義務付け分野、10億円以上につきましては今まで○×の2段階の評価だったんですが、それを多段階の評価にしていきたいということをおっしゃっておられます。
 一方、法令の義務づけ範囲外のものについては引き続き土地改良法等に基づき厳格な審査を実施するということで、採択に当たっての厳格な審査というのは引き続き行っていくんだということをおっしゃっておられるということでございます。
【金本分科会長】  10億円以下のものについてもちゃんと事業評価をするんだということでやられているのか、あるいは過去ずっと昔にやっていたぐらいのものに戻すというのか、その感じはいかがなものでしょう。
【吉開政策評価官】  10億円未満のものについては評価法上の評価ではなくなるということなんですけれども、土地改良法等の個別法に基づき、厳格な審査を実施していくんだという説明を聞いております。
【金本分科会長】  ちょっとよくわからない部分もあります。
 公共事業については、橋本内閣のときにすべての公共事業について政府のものについてやれというのがあったんだと思うんですが、それと政策評価上といろんなやつの絡みというのはどう整理されているんですか。
【吉開政策評価官】  橋本政権のときに言われていた評価というのは、その後政策評価法ができたわけでありますので、そのときすべての公共事業について政策評価法上の評価をするということが想定されていたわけではないと思いますので、それに反するということではないのかと思いますし、10億円未満のものについても、5年未着手、10年未了のものについては引き続き評価法上の評価が義務付けられておりますのでそれは当然やるということを補足として申し上げたいと思います。
【金本分科会長】  だれがどういうときに何をやっているか、ちょっとよくわからない面がございますが、とりあえず政策評価法上の評価はしないと。そうなると、チェックはだれもしなくていい、そういうことでいいということになるんですか。
【吉開政策評価官】  評価法上の評価ではなくなりますので、農水省の有識者会議がチェックするということはなくなるわけでございますが、農水省自身が厳格にチェックをするということであります。
【吉田政策評価審議室長】  ちょっと補足させていただきますと、金本分科会長がおっしゃられるように橋本内閣のときに始まった公共事業評価システムに基づけば、すべての公共事業の事前評価をやるということは変わりありません。したがいまして、補助事業については、各県に置かれているそれぞれの公共事業評価委員会のスクリーニングは通ることになると思います。
 ただ、評価法上の評価という位置付けのものは、今までやっていた10億未満の義務対象じゃなかったものについて出てこないということになると、いわゆる客観性担保評価活動の対象として見ていたものの対象外にはなると。事前評価の10億以下の任意の評価として処理されるものはそういう整理になってしまいます。
【金本分科会長】  現状は大体わかりました。いろんな議論があるところかと思いますが、時間もちょうど来たところでございます。
 何かほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、きょうの分科会はこれまでにしていただきたいと思いますが、次回以降について事務局の方からお願いいたします。
【吉開政策評価官】  次回以降、先ほど申しましたように今後の進め方ですとか体制について御相談申し上げなければいけないわけですけれども、現時点では日時は未定でございますので、また分科会長等と御相談申し上げて日程を御連絡申し上げたいと思います。
【金本分科会長】  それでは、本日の政策評価分科会、これで終わらせていただきます。
 どうもお忙しい中大変ありがとうございました。

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