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平成19年度第5回過疎問題懇談会議事概要

日時

平成20年3月31日(月)

場所

総務省9階 第3特別会議室

出席者(敬称略)

(座長)
宮口 とし廸 (早稲田大学教育・総合科学学術院教授)

(委員五十音順)
安藤 周治
(NPO法人ひろしまね理事長)
小田切徳美 (明治大学農学部教授)
上治 堂司 (高知県安芸郡馬路村長)
菊池 恵美 (西日本新聞取締役編集局長)
桑野 和泉 (由布院温泉観光協会長)
沼尾 波子 (日本大学経済学部准教授)
横道 清孝 (政策研究大学院大学教授)

(総務省)
岡崎 浩巳 (総務省大臣官房総括審議官)
津曲 俊英 (総務省大臣官房審議官)
青木 信之 (総務省自治財政局財務調査課長)
渡辺 秀樹 (総務省自治行政局地域振興課長)
室田 哲男 (総務省自治行政局合併推進課長)
佐藤啓太郎 (総務省自治行政局過疎対策室長)

(農林水産省)
永嶋 善隆 (農林水産省農村振興局企画部農村政策課長)

(国土交通省)
大矢 浩 (国土交通省都市・地域整備局地方整備課長)

議事概要

(1)説明事項等

1)これまでの議論の中間的整理について
配付資料に基づき過疎対策室から説明の後、意見交換を行った。
2)集落の現状等について(上治委員からの報告等)
配付資料に基づき過疎対策室から説明を行うとともに、上治委員から高知県馬路村の集落の現状、対策等について報告があった。その後、意見交換を行った。

(2)意見交換概要

これまでの議論の中間的整理について(資料1,2)
○ 地域活性化統合事務局と総務省とはどのような関係になっているか。また、デマンド交通については、国土交通省も足の確保として事業を行っており、各府省の連携を図るべきではないか。

(総務省から)
内閣官房地域活性化統合事務局とは相談しながら施策を進めており、統合事務局の統括のもとで、各府省の持つ支援ツールを用いて地方を支援していくことになる。例えば、"地方の元気再生事業"は、統合事務局で事業を選択し、実際の執行は各府省で行うというものである。

○ 資料1の24ページ(1)1)についてだが、“食料、水、エネルギー、CO2吸収源”の供給源となる過疎地域は、“国内戦略地域”とも言える。それを踏まえ、さらに強調できるのではないか。

○ 資料1の24ページの『人口減少社会の先駆的地域として都市のモデルとなることが求められる』という記述は“都市が過疎地域から学ぶべき”といった、より強調した位置付けも可能なのではないか。

○ 資料1の25ページの『ソフト面での支援が求められる』とあるが、新たな過疎対策をめぐっての論点となるだろう。とりわけ、人材確保への支援、“人への投資”をキーワードとしてもよいのではないか。

○ 資料1の27ページの『過疎地域と周辺地域との連携、広域的取り組み』について、総務省の定住自立圏構想研究会でも議論されているように、周辺地域なくして過疎地域はあり得ないものであり、重要なテーマである。関連して、みなし過疎(※)における、中心地と従前の過疎地域との連携の検証も必要。みなし過疎地域での成果は、強調することができるのではないか。
(※)過疎地域自立促進特別措置法第33条1項で過疎地域とみなされる市町村
○ 資料1の24ページの『過疎地域と都市との「共生」』について、過疎地域は食料供給や環境保全などの機能で都市を支えている、互いに支え合う関係であることを強調することが必要である。

○ 資料1の25ページの(2)1)に挙げられているような新しい課題(注:当該箇所には『身近な「足」(地域交通)の確保、情報通信基盤の整備と利活用の推進、医師不足対策、集落の維持・活性化対策、UJIターン対策など』と記載されている。)に対して、これまでの過疎対策を見直しつつ対応していくということが今後必要である。

○ 身近な「足」(生活交通)の確保は、各地域でいろいろな試みがなされる中で、どういった方法が有効なのか、国土交通省とも連携して検討する必要がある。また、情報通信基盤の整備・利活用については、住民が安心できる生活の構築に資するよう進めていく必要がある。なお、情報通信基盤は企業進出のためにも今や基礎的条件となっている。

○ 資料2の3ページの『3 ナショナルミニマムの確保と、地域の自立的発展・活性化の促進』において、『市場経済原理で成り立たない部分の補完が不可欠』という部分は、「全国どこでも標準的なサービスが確保されていることが必要である」というような表現に変更すべき。

○ 食の安全・安心や環境に関して、過疎地域の果たしている役割について国民に理解を求める必要がある。“なぜ過疎対策が必要なのか”という理念の部分をより強調してもよい。

○ みなし過疎についてであるが、市町村合併により新たに過疎地域を抱えた団体は、過疎地域へのまなざしが弱いと感じる。また、統計も大字単位でとらないと、地域の実態がつかめないということもある。NPO法人などが地域で頑張っているが、行政の理解が得られないという不満もある。合併団体の中の過疎地域の位置付けについても今後考慮すべき。

○ 補助金よりも補助人(人材)がほしい、と以前から言われてきた。アドバイザーのような人材の短期派遣だけではなく、日常的に業務に携わる人材の確保がどうしても必要になってきている。国から地域グループや地域団体へ補助金を直接交付するメニューもあるが、それを活用できる人材が地域に育っておらず、それが原因で、新たな地域間の格差を生じるおそれもある。

○ 県や市町村を経由せず、NPOなど地域の各種団体に直接委託料等を支出するスキームの国事業があるが、その受け手が十分に育っていない問題があり、市町村と十分な連携を図るなどの工夫が必要である。○ 国の支援は“人とカネのセット型支援”が標準となりつつある。地域活性化統合事務局の“地方の元気再生事業”はその典型的なものだが、“人の支援”である地域ブロック別担当参事官のまわりに集まるローカルパーソン、ローカルマネージャーが重要であって、その人材をコミュニティマネージャーとして育成できないか。そして、その育成の仕組みと制度を過疎地域で先進的に整えていくべきではないか。

○ 「過疎地域」には“食料・環境などの提供”、「都市」には“経済”といった役割がある。このように、過疎地域と都市が共存していることを互いに認め合うことが重要である。

○ 過疎地域への人材支援については、アドバイザーの派遣だけではなく、地域の人々が育っていくことを目指した支援を行うという考え方によるべきである。

集落の現状等について(資料3,4)
【上治委員からの報告】

  • 高知県馬路村について(資料3の4ページ参照)、大字馬路では行政区が6存在している。
  • 行政区には“区長”を置き、区内における行政関連の事項に携わる。年に1度、各区で総会を実施し、役場への要望を集約する。その後、区長会議を開き、役場と意見交換、事業の調整等を行うこととしている。
  • 集落の機能を維持するためには、集落に住民がいることが前提となるため、公営住宅の建設地が分散するよう、特定の集落ばかりにならないよう、配慮している。
  • 村の過疎対策の成果の1つとして、過疎対策事業債を活用した産業振興により、UIターン者が増加したことが挙げられる。
  • 今後の主な課題は、将来的な定住人口確保のための宅地分譲と地上デジタル放送化への全世帯での対応である。
  • 役場職員が地区に入り、区長とともに住民の意見を吸い上げていきたい。また、資料4の『地区力点検・創造の手引き』も材料にし、集落対策を進めていきたい。

○ 集落の定義は様々であり、加えてその扱いも市町村によって様々である。様々な調査では行政区イコール集落として割り切って行われていることが多いようである。

○ 集落は、住民生活の基本単位として生活扶助機能等を担っている。集落に対する行政の目配りを行政としてきちんと行うべきであるが、合併により大きな市の一部となったような場合、どう扱われているのかということも論点になるであろう。

○ 『地区力点検・創造の手引き』は、過疎地域自立促進特別措置法が施行されて、総務省が過疎地域の基礎研究をはじめた時期に作成されたもの。各市町村へ配付したものの、「地区力点検」や「話し合い」を実際に進めていく人材、"ファシリテーター"(まとめ役)がいないことが原因で、全ての過疎市町村では活用されていない。コミュニティマネージャーの1つの類型として、ファシリテーター育成というのは課題である。

○ 集落の範囲は柔軟に捉えるべき。集落よりも広域的な組織である、地域自治組織(手作り自治区)が急速に増加している。これは、既存の集落の「守り」の力を活かしつつ、広域的な「攻め」の組織を作っているものと言える。集落だけを見つめていると全体像が捉えられず、広域的にとらえることが必要である。そのため、最近では集落よりも広域を指す言葉として「地域コミュニティ」という括りをするような傾向にある。

○ 集落対策の基本は、集落・地区の担当制を設けるなど、行政による目配りであると考える。しかし、それが十分にはなされていない。過疎問題懇談会として、“行政が現場を見つめること”の推進へ、力強い呼びかけ、アピールが必要ではないか。
○ 市町村の職員と集落との日頃の「お付き合い」が肝心である。地域に密着した活動をしているNPO法人などに人材を求めることも必要かもしれない。

○ プライバシーの問題から困難はあるが、個々の世帯の詳細な調査まで行わないと集落全体が把握できないということもある。

○ 市町村合併の進展により、農業委員の定数が減少している。集落内の農地の管理を十分に行うため、対応策が必要である。

○ 管理が困難となった集落内の山林や農地などを預かり、集落の資源が失われないよう管理する新しい仕組み、仮称であるが例えば「ふるさと信託機構」といった機能を設ける必要があるのではないか。自分で扱えなくなった土地をどうやって適正に管理していくのか、ということは今後の大きな課題である。

○ 馬路村においては、管理が困難となった農地を農協が管理・運営し、後継者に引き継げるような制度がある。

(3)今後の予定等

資料1、2について、今回の意見交換を踏まえ、次回懇談会にて再度検討し、決定することとされた。
集落対策については、今後も過疎対策の重要な議題として、引き続き議論することとされた。

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