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平成20年度第4回過疎問題懇談会議事概要

日時

平成20年7月29日(火)

場所

総務省9階 第3特別会議室

出席者(敬称略)

(座長)
宮口 とし廸 (早稲田大学教育・総合科学学術院教授)

(委員五十音順)
安藤 周治 (NPO法人ひろしまね理事長)
飯盛 義徳 (慶應義塾大学総合政策部准教授)
小田切徳美 (明治大学農学部教授)
上治 堂司 (高知県安芸郡馬路村長)
菊池 恵美 (株式会社テレビ長崎常務取締役)
桑野 和泉 (由布院温泉観光協会長)
沼尾 波子 (日本大学経済学部教授)
本田 敏秋 (岩手県遠野市長)
横道 清孝 (政策研究大学院大学教授)

(総務省)
椎川 忍 (総務省大臣官房地域力創造審議官)
市橋 保彦 (総務省自治行政局地域政策課長)
さき 重孝 (総務省自治行政局地域自立応援課長)
奈良 俊哉 (総務省情報流通行政局地域通信振興課長)
佐藤啓太郎 (総務省自治行政局過疎対策室長)

(国土交通省)
橋本 拓哉 (国土交通省都市・地域整備局半島振興室長)

(農林水産省)
田野井雅彦 (農林水産省農村振興局農村政策課長)

議事概要

(1)説明事項等

過疎地域等における情報通信基盤の整備・利活用について、配付資料に基づき飯盛委員・情報流通行政局から説明を行い、その後、意見交換を行った。
 事務局から、過疎地域における地域交通の確保のための取組状況について報告を行った。

(2)意見交換概要

○ 本日の説明を受けて、過疎地域でも、情報通信の整備とともに、これをいかに活用していくかということが大事であるという認識をもった。

○ 過疎地域も含めて、現行の過疎法の期限でもある2010年までに光ファイバ等の整備を推進し、ブロードバンド・ゼロ地域も解消されるという理解でよいか。

(→総務省)
○ その目標に向けて、施策の改善、取り組み強化を行っている状況。現時点では、目標に向かって努力しているという段階である。

○ 地域の課題は様々であり、情報通信技術と絡めて解決していくという発想はとても重要である。

○ 情報通信技術を利用した高齢者安否確認について、市町村では事業展開がしにくいということもあり、NPOとして実験的に取り組んでいる。個別的に地域で抱える問題を情報通信技術の活用で解決していくことができそうであり、こうした小さな取組みをすくい上げ、サポートしていく、そうした支援も必要である。

(→総務省)
○ 情報通信技術の利活用に関して、効果的なモデルを掘り起こして構築し、全国に拡げていくことに取り組んでいる。NPOとの連携も考えていくべきであろうと思っている。

○ 地域における情報通信技術の利活用のノウハウを広め、共有する場というのは多くはないが、CANフォーラムiという地域情報化のための交流を図る非営利団体がある。こういう場での交流を通じ、各地の取り組みが広がっている。草の根的に情報交換を行いながら、人のつながりの中で広まっていくことも事実である。

○ 情報化に興味が無い人に興味を持たせる事ができる、地域に情報通信技術が必要だと思わせることができる、そういった人材が欲しい。地域によっては、情報通信技術に関心を持つ人が少なく、ブロードバンドの整備や情報通信技術の利活用についての必要性を感じる人が増えないという実情がある。

○ 東峰村元気プロジェクトでは、遠隔・高品質テレビ会議システムによる国際シンポジウムも行われたということであるが、FTTHを使ったのか。ブロードバンドサービスが提供されていない地域ということであるが、どのように対応したのか。

(→委員)
○ 遠隔4元中継を行ったが、FTTHが必要。商用としては使われていないが、村の役場の近くまで基線が来ていたので、これを一時利用することで対応した。

○ いずれは東峰村(過疎地域)でも、FTTHサービスが必要となるという理解か。

(→委員)
○ 映像のコンテンツ作成を中心に、村民が盛り上がってきている。FTTHが間違いなく必要になるだろう。

○ 国の施策としてブロードバンドの普及を目指す一方で、市町村ごとに取組みの温度差があると思われる。この点についてどう考えるか。

(→総務省)
○ 情報通信基盤の整備は昔と比べればかなり進んだと思われるが、情報通信基盤の整備・利活用についての意識が弱い地域もある。総合通信局による各種啓発や、地域情報化アドバイザーの活用などにより、取り組んでいきたい。

○ ブロードバンドの整備など情報通信基盤が確保されていることは、仮に高齢者ばかりの集落でそれが不要だと考える人が多いとしても、UJIターン者にとっては必要であるし、また、UJIターンのインセンティブともなりうる。したがって、国の施策としては、是非全国一律に進めていくというスタンスで強力に進めていただきたい。

○ ネットワークインフラは5年単位で更新していく必要があるため、5年スパンで生じる財政需要に如何に対応していくかが重要。一度インフラ整備したものを引き続き更新して活用していくためには、財源をコンスタントに確保できることが必要。

○ システム開発時に、地域独自の仕様としていたり、メーカーの特徴が出過ぎているなどの事情により、維持・更新時に他の業者が事実上参入できず、入札が成立しないという話はよく聞く。また、発注側の自治体職員の情報技術に関する知識が豊富だとは限らないため、受注側との間で、情報の非対称性が生じてしまう場合がある。先ほど標準化という説明があったが、実際にどの程度対応が可能なのか。

(→総務省)
○ 自治体の情報システムの基盤となるところや個別の業務システムの標準化を進めている。地域情報プラットフォームと呼んでいるが、基盤というのは、いわば、パソコンのOSのようなイメージ。また、自治部局とも連携しつつ、自治体CIOといった人材研修を進めている。まだ、数は少ないが、力を入れていかなければいけないと考えている。

○ 東峰村の場合、1ヶ月で積極的に地元の人が関心を持ち、動いたという話であったが、どのようにすれば地元の人の動きにつながるのだろうか。

(→委員)
○ 意図したわけではないが、村の方々が役場の方を含めて、非常に危機感を持ち、「この地域をなんとかしたい」と考えている人がいた。これが、一つの要因。熱心な方に取りまとめをお願いしたところ、活動を引っ張ってくれた。今でも、中心となって動いてくれている。

○ 東峰村の元気プロジェクトだが、一番の狙いは、住民の意識改革であったのか。また、効果は、具体的にどのような形で現れているのか。

(→委員)
○ 住民の意識改革が一番の狙いだったといえる。経済的な効果はまだこれからであるが、一番大事なことは、「村民が自分で考え、行動する」ということ。たとえば山開きの講座、甘酒造りといった交流人口を増やすためのコンテンツを村民が独自に考え、立ち上げるようになったところ。

○ 私の地元市では合併を経験したが、合併後の一番の事業として、CATVのネットワークを国の交付金を使いながら、拡大整備した。ケーブルテレビがつながったことにより、情報格差が解消され、地上放送デジタル化への対応もできるようになり、地域の一体感も生まれた。

○ 遠隔医療の取り組みについてであるが、インターネット・携帯電話を使って、助産師というマンパワーを活用しながら、県内の医療機関をネットワークで結んでいる。健診に行く負担が軽くなったということで、とても喜ばれている。情報というツールを活用して、医師不足をフォローすることも必要。

○ 私の地元では、岩手・宮城内陸地震の際には、住民の安否確認が最終的に終わるまで、6時間程度を要した。一人暮らし老人が増えている中で、情報ツールを使ってこういった方々をフォローすることは過疎地域にとって大きな課題と感じた。

○ 危機感を持っている村というのは、日本中どこにでもある。大事なのは、やる気がある人がいたり、そういったプロジェクト・先生に出会えた事ではないか。東峰村の1ヶ月というのは、奇跡的だと思う。

○ その1ヶ月は情報を常に共有できるスタイルをとっていたのか。ネット上で行っていたのか。また、地域の方が、サポーターの役割をしているということであったが、その中に都市の人はいたのか。

(→委員)
○ やりとりについては、メーリングリストを立ち上げて、全て情報共有するようにした。また、かなり早い段階で、遠隔会議システムを構築して、常にコミュニケーションがとれるようにした。

○ 「出会い」というのは、非常に大きい。東峰村の場合、担当室長が熱心に取り組み、よく議論にも参加いただいた。また、Iターン者にも熱心に参加いただいた。

○ 九州でも、引き続く人口減少や、例えば銀行支店の廃止など、非常に危機感を持った地域が多い。こういった地域が地域情報化アドバイザーなどの人材にアクセスしやすい仕組みを構築することが必要である。

○ 格差是正について、通信の分野では格差は確実に縮まってきている。格差が縮まってきた要因としては、コストと国民的合意の問題があると思うが、どう考えているか。情報通信については、医療や、地域交通の問題と異なり、国民的合意が得やすいのではないかと思う。

(→総務省)
○ 通信の格差問題については20年前から議論しているが、やはり、起爆剤となったのはインターネットの普及であろう。また、電気通信事業者のプロモート、国による普及啓発、報道などが複合的に相乗効果を発揮し、国民の合意形成につながっていったということではないか。

○ 情報通信技術を利活用したコミュニティ振興や活性化について、具体的な事例があれば紹介をお願いしたい。

(→総務省)
○ デジタル絵本を介して人々の交流を図る金沢市の取り組み、有形文化財・無形文化財をデジタル画像化してネットで公表し、これをもとに人々の交流を図る長野県木曽町の取り組みなどがある。

(3)今後の予定等

次回の懇談会は9月に開催することとされた。

i 全国各地の地域情報化に取り組む人たち、興味を持つ人たちが、交流・情報交換を行っている会員制の非営利団体。http://can.or.jp/

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