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電気通信事業者が取り扱う契約者情報などは、ほとんどがデータベース化されていることから「個人データ」に当たる。ただし、保存期間が6ヶ月を超えないものもあり、そのようなものは「保有個人データ」に当たらないであろう。 |
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短期間で消去される個人データであっても、印字されて利用者に交付されたものは、消えたとはいえないのではないか。 |
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その場合には、管理権はもはや電気通信事業者にあるとはいえないであろう。 |
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通信履歴は、法第18条第2項にいう、書面に記載された当該本人の個人情報に該当するのか。 |
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通信履歴は本人が作成するものではないから、それには当たらないのではないか。 |
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通信履歴については、通信の相手方に関する個人情報も含まれている点に特殊性がある。 |
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通信履歴については、課金のために利用するということが明らかであるから、利用目的を公表する必要はないのではないか。 |
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そうすると定額制の場合はどうなるのか。 |
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通信履歴については、課金目的以外にも、例えばアクセスポイントがダウンした際にその原因を究明するなど、トラブルに対応するためという目的がある。 |
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電話番号や電子メールアドレスが「個人情報」にあたるかは、何を基準に個人の識別可能性を判断するかという問題である。情報公開法の場合には、一般人を基準に判断しているが、ここでは一般人基準にはならないであろう。一般人には分からなくても、ある記号から特定の個人に結びついていると分かるものは識別可能性があるといえるのではないか。 |
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電子メールについては、個人の氏名がアカウントで、ドメインが特定の会社名等である場合には「個人情報」に該当するが、それ以外は該当しないだろう。電話番号については、それのみでは誰が使用しているかは通常は特定できないから、「個人情報」には該当しないのではないか。ここでは個別の情報が「個人情報」に該当するかを議論する実益はなく、どのようなデータベースの中に入っているか、どのようなデータが組み合わさっているかが重要である。例えば、電話帳は氏名情報と電話番号が結びついているので、「個人情報データベース等」に該当するであろう。 |
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EU指令においては、識別可能性はあまり問題とされていない。 |
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識別可能性については、誰から識別可能であるのかを問題とすべきである。一般人から識別可能かどうかを問題にすると、電子メールアドレスは「個人情報」とはいえないかもしれないが、事業者や行政から識別可能かどうかを問題にすると、電子メールアドレスは「個人情報」といえるのではないか。 |
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電気通信事業分野には、センシティブな情報があるのか。 |
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例えば、医療情報については情報の性質が特殊だが、電気通信分野においては、通信の中身は常にセンシティブということにはならないと思う。 |
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電気通信事業分野における通信の秘密を含む個人情報は、内容的にセンシティブなものではないが、他の情報と掛け合わせると非常にセンシティブなものになることもあるのではないか。 |