総務省トップ > 組織案内 > 研究会等 > ICTビジョン懇談会 > ICTビジョン懇談会(第3回)議事要旨

ICTビジョン懇談会(第3回)議事要旨

日時

平成21年3月16日(月)13:30〜15:30

場所

総務省地下2階講堂

出席者(50音順、敬称略)

・構成員: 岡素之(座長)、安藤真、内田勝也、岸博幸、黒川和美、國領二郎、嶌信彦、妹尾堅一郎、野原佐和子、原丈人、松原聡、村上輝康、米倉誠一郎、ロバート・A・フェルドマン (計14名)
・総務省: 鈴木総務審議官、山川情報流通行政局長、河内官房総括審議官、谷情報通信国際戦略局次長、山根情報通信国際戦略局参事官、戸塚政策統括官、久保田官房審議官、吉田電波部長、田中官房総括審議官
・事務局: 谷脇情報通信国際戦略局情報通信政策課長、竹村情報通信政策課調査官

議事

(1)ICTビジョン懇談会 中間報告(案)について
  1. ○ 事務局より、資料1及び資料2に基づいて説明を行った。
  2. ○ 資料の説明を踏まえた自由討議における、各構成員の発言概要は以下のとおり。
    • ・今後の進め方において、「関係省庁」のビジョンとの整合性が必要になる。
    • ・何をやりたいのかが全くわからない。総花的・羅列的リストに対して、総務省が持っているリソースや権限、総務省として実施できることをクロスセクションにかけて、クロスする分野を3年間で正確に実施しないといけないということを述べる必要がある。
    • ・「ソフトパワー」などの言葉が古い。日本が強いのは製造業とソフトを組み合わせた2.5次元と言われるような分野。現在、使用されているエネルギーを省エネルギー化する技術が日本は強く、そういうものを現在、保有しているポテンシャルの中でどのように解決できるのかが重要。世界では、送電線ネットワークをITを使ってどのように効果的な配電ができるか(スマートグリッド)や、最貧国のIT化を先進国と共同して行うバングラデシュのグラミン・フォンやブラックネットなど、全く新しい動きになっていることを考慮すれば、使われている言葉やコンセプトが古いのではないか。
    • ・世界では、送電線をどのようにITを使って効果的な配電ができるかや、バングラデシュのブラックネットなど、全く違う動きになっていることを考慮すれば、内容が古いのではないか。
    • ・もう少し切り口を変えてもいいのではないか。問題意識優先型で、それに対するアプローチについて、関係省庁と調整してやっていくというやり方もある。解決策、方向性ばかり打ち出されており、危機意識、問題意識の部分が見えないため内容が平坦になってしまっている。
    • ・アメリカ、イギリス、フランス、韓国などが出している内容とほぼ同じような内容が並んでいるだけであり、その中で特に日本として実施するものが何かということがわからない。
    • ・スタートの問題意識は分かりやすい。また、100兆円という数字を出していることは具体的でおもしろい。他方、具体的な最優先施策が電子政府になっており、総務省の管轄に絞り込まれてしまっている。そこで出てきている数字として、霞が関の電子政府化による700億円の削減効果となっており、100兆円とのギャップを感じる。
    • ・総務省からICT産業全体を俯瞰したときに、ICT産業の力やICTの利活用が遅れている点などについて、他の関係省庁の領域にまで踏み込んで言及しなければ、具体的施策に欠けた内容となる。
    • ・ICTの利活用が進んでいる分野(金融、物流、交通など)と利活用が遅れている分野(健康、医療、教育、農業)が挙げられているが、本当にそうなのか。ICT産業そのものも産業の競争環境を含めて、国際競争力を養っていかなければいけない時に、国内ですら競争環境になくて本当に大丈夫なのか。1次産業が1.5、2次産業が2.5のような形で本当に進んでいるのかも疑問。そういった観点から、電子政府は優先順位がもう少し低くなるのではないか。ICT産業についてどのように国際競争力をつけるか、ICTの利活用をどうするのかという点について、もう少し工夫した内容としてほしい。
    • ・ICTの利活用を推進することによって効率化、生産性の向上、合理化が進み、その結果コスト削減される側面も大きい。局地的には人員の削減も発生し、コストカットが起こることで、大きな抵抗勢力がそこに生まれるような動きにつながる。そういうことを乗り越えて新しい世界をつくろうというメッセージを、もっと強く打ち出してもいいのではないか。また、100兆円の新規需要創出の内訳をもう少し見えるような形にするといいのではないか。
    • ・重点的な分野の中に、官、行政、医療、教育、農業などが挙げられているが、ICTという観点から実施できそうなこと、取り組みたいことになっている。医療・教育・農業関係者などから見たときに、最も取り組んで欲しい分野となっているかが疑問。そういった意味において、各産業や領域について、きちんと課題分析を行った上でICTの利活用を進めることによって、全体的によくなるということをもっとはっきりわかるように明示すべきではないか。
    • ・肝になる部分、クリティカルな部分について、エッジの効いたことを言うことが重要ではないか。例えば、電波関連の新産業をどのように立ち上げていけるかというようなことを、どのくらい言い切れるか、且つ目標数値のようなものを掲げてメッセージを送ることが重要。
    • ・夢のあるような話として、例えば「デジタルシルクロード」が掲げられているが、このような施策が戦略的にどのような意味を持ち、何を目指して何を達成するのかというようなことが明示されていた方が良い。
    • ・電子政府については、電子行政がうまくいっていないために足を引っ張っているということははっきりしているような気がする。ここを何とかするということが、政府として直接貢献できる非常に大きなところだと考える。だからこそ、そのことを前提として、一気にデータ連携が可能となる環境整備を進め、国民側の選択する自由をきちんと確保、担保するから、一気に進めるという意志表明のような内容が入ると報告書に迫力が出るのではないか。
    • ・3カ年にやるべきことと、2015年に向けてやるべきことというのは少し違うレイヤーとして、分けて整理することが重要ではないか。現状、投資が起こっておらず、様々なアイデアは出てきているものの、プロアクティブな投資が起こっていない。この現実をベースとして2015年までを考える必要がある。
    • ・2015年に向けての観点では、コンセプトの過剰を感じる。先進的知価創造立国などのコンセプトは出されているが、それらがどのような関係にあるのか、何が肝なのかということがわかりにくい。どのようにレイヤー分けし、秩序立てていくかということが重要ではないか。
    • ・セキュリティなどについては、全て前向きな施策となっている。2015年までということを考えると、ネット社会の利活用分野で問題になっている影の部分のビジョンについて、どのようなスタンスをとるかということがなければ、全体のビジョンの深みが出てこないのではないか
    • ・セキュリティについて、ほとんど触れられていない。電子政府がなぜうまくいっていないかの最大の理由は、セキュリティに対しての考え方(安心・安全等がどの様に担保されているかと言った考え方)を説明していないからと考えている。
    • ・ぶつからない車を研究することは非常にいいことだとしているが、緊急時に全て対応できない事もあり、どの様な時に、人の方が優れているかを色々な実験を通して知見を得ることが大切だと言われている。高度な自動化システムが全て万能ではないことも考慮するべき。
    • ・クラウドコンピューティングは、集中型システムで、従来のクライアント・サーバ方式は分散型と言える。対策の重点が異なるだけで、セキュリティが不要と考えてはならない。集中型のコンピュータシステムでは、可用性への配慮がより重要になる。
    • ・グリーンPCについては、クライアントPCについても考える必要があるのではないか。
    • ・電子政府については、自治体も含めて、電子政府・電子自治体として考える必要がある。ICT化を全ての自治体に任せるより、政府あるいは、道州制程度の対応でICT化を考えることが大切。今の住基ネットは、3分の2から3分の1程度の経費で運用できるとの考えもある。中央官庁のクラウドコンピューティングを考えれば、当然、自治体のクラウドコンピューティングも視野にいれて考える必要がある。
    • ・人材教育に関しては、毎年1,500人の人材育成が必要だと言っているが、経験から言えば、仕組み、方法を十分に検討しないと目標達成は困難だと考える。
    • ・100兆円というのはいつまでに実現するのか。現状の日本における、内需ベースの世帯または個人当たりの消費増加として考えた場合、100兆円という数字は大変違和感のある数字。書かれている言葉を全部刷新してほしい。これまでの言葉でそのまま言うと、インパクトがない。ある程度内容をアウトスタンディングにするとありがたい。誰の視点でこの数字の話をするのかということについて、はっきりしておいたほうがいいのではないか。
    • ・プライオリティーがよく見えない。100兆円とういう数字は、日本のGNP(500兆円)からすると常識的に考えにくいため、具体的に書かなければ、総花的なことを書いていると見られる。
    • ・国民目線では、安全・安心や教育などに非常に関心がある。そういったことについて、プライオリティーを高くするべきではないか。他方、プライオリティーは1番だが、克服する障害が非常に難しいという問題もある。実現するプロセス、プライオリティー、克服する問題点の難しさ、これらを踏まえて、ビジョンとして国民にわかりやすいようなモデルケースを見つけ出せるかというような考え方をすることが重要。
    • 総務省の基本的なスタンスが、従来とは変わっても良いのではないか。グロース(成長)ではくディベロップメント(発展)と謳っているにもかかわらず、「経済成長」という言葉が連呼されており、政策の基本概念が理解されていない。
    • ・時代認識が他の省庁に比べて相当に甘い。今ある話ではなく、これから3年取り組む、これから10年取り組む話なのだから、せめて半歩先を見てはどうかという感じがする。
    • ・政策自体が、他の省庁とバッティングする関係としてたてられている。他省庁との競争関係になってしまう代替的政策ではなく、総務省が協力すればもっと強くなる相互補完的な関係として書くべき。相互補完から相乗関係になり、総務省の政策により他省庁の政策も生きるという書き方にしない限りは、他省庁から領空侵犯として捉えられる。省庁連携によるコラボレーティブイノベーションというニュアンスとして書く工夫が必要。
    • リスクヘッジ政策が全く入っていない。産業上のモジュラー化によるオープンイノベーションに伴う事業リスク、電子機器の誤動作を引き起こす雷害リスク、デジタルコミュニケーションに伴う子供たちの教育的リスク等について、真摯に検討する必要がある。
    • ・ICTの利活用など、なぜ進歩していないのかを詳しく説明した方が良いのではないか。電子レセプトや農業のIT化など、既得権益が妨害しているということが一番大きいのではないか。誰が妨害しているのかということを書かずに、将来がバラ色だということでは説得力がない。
    • ・米国で出されたオバマ政権の諸計画には、計画になる3条件(数値目標、締め切り、予算)が揃っており印象が良い。工程表を素案でもいいから書くべきではないか。
    • ・全体の文章の容量が多い。また、「検討する」という言葉を文章の中で使わない方が良い。
    • ・優先順位をしっかり決めることが非常に重要。
    • ・セキュリティ、安全のネットワーク、安心のネットワーク、コンテンツの利用に関しての著作権の問題など、技術とは関係ない分野において、総務省が交通整理をするべき点についてもしっかりと議論する必要がある。
    • ・現在の問題点はインターネットの持っているネットワークのトポロジー、これを完全に利用できるような技術が、現在、存在しない。このような分野に関して、世界に先駆ける研究開発体制を日本に構築することができれば、革新的な技術が日本で生まれ、世界に貢献できる。
    • ・現在のICT技術を使って、発展途上国に対して日本がどのように貢献していくのかが抜けている。民間のお金と民間の活力を使いながら、ガイドラインを日本の政府が作成し、技術が日本から世界に使われていくような仕組みと方向性を示すことが重要。
    • ・「クラウドコンピューティング」という新しい言葉と、「ソフトパワー」や「知価」のような古い概念の言葉が混在しているので、整理する必要がある。
    • ・ICTの国際競争力というような表現は不正確。ICTには3つのレイヤー(ICT基盤、ICT産業、ICT基盤その他の利活用)があり、それぞれに関して総務省が認識し、政策提言すべきところが甘い。具体的には、ICT基盤整備における日本の現水準確保の見通し、光ファイバーの敷設における効率的な体系の検証、ICT産業そのものについて通信・放送、約20兆円と言われる部分の国際競争力などに関して、現状分析と展望をもう少し具体的に書くべきではないか。
    • ・コンセプトメーキングとして、総花的なことを言うよりは、総務省がこれを打ち出せば日本の政府自体がこのように変わるということに絞るだけでも充分に価値がある。そのときに、免許書のネット更新や医薬品のネット販売など多くの人が便利だと思うことはまずやってみて、新しいムーブメントや産業を起こすという姿勢が大事。はじめから絶対に過ちがないといった無謬主義的な制度設計をせずに、もし悪いことをするやつが出てきた時は、後からどのように事後対処していくかという進め方が経済を大きく成長させると思う。
    • ・報告書の整理の仕方として、行を各トピックスとし、コラムとして反対勢力、既得権益、総務省の役割、他の省庁の役割、民間の役割などについて述べた後、数値目標、締め切り、予算、節約金額など、マトリックス化してまとめることによって整理されるのではなか。
    • ・構想の形成、企画の立案、計画の策定は分けた方が良い。構想をきちっと形成し、そのうちの幾つかを目玉として企画化し、更にサンプルを抽出して計画の策定を見せるという、この組み合わせが行政コストにおいてかなり有効。
    • ・他の省庁の政策のいいところをつまみ食いをしているというふうに見えてしまう。だから、そうではなくて、総務省はこういうふうにやるという観点から教育、農林、観光などを出しておくとわかりやすい。
    • ・無駄な事業の削減を徹底して実施すべき。
    • ・総務省と他省庁との役割分担について、他省庁の役割を言及する前提として、総務省自信の役割を明示するべきである。また、クリエイティブ産業を正しく捉えて欲しい。
    • ・総務省が他省庁にまたがる、ブリッジになるような踏み込んだ提案をしたい。
    • ・追加意見を3月18日までに集約し、最終的な内容は岡座長に一任する。

以上


 PDFファイルはこちらPDF

ページトップへ戻る

ICTビジョン懇談会
サイドナビここから
サイドナビここまで