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IPv6を用いた環境分野のクラウドサービスワーキンググループ(第5回会合)議事概要

日時

平成22年12月13日(月) 16:00〜17:30

場所

総務省10階 総務省第1会議室

出席者(敬称略)

(1) 主査
江ア 浩(東京大学)
(2) 副主査
中村 修(慶應義塾大学)
(3) 構成員
今井恵一(社団法人テレコムサービス協会)、今田正実(特定非営利活動法人ASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム)、内山昌洋(パナソニック システムネットワークス株式会社)、緒方 司郎(オムロン株式会社)、木下剛(代理:小野寺氏)(シスコシステムズ合同会社)、坂口肇(UQコミュニケーションズ株式会社)、紫関昭光(日本アイ・ビー・エム株式会社)、高瀬晶彦(代理:矢崎氏)(株式会社日立製作所)、立石聡明(代理:木村氏)(社団法人日本インターネットプロバイダー協会)、田中寛(KDDI株式会社)、出口幹雄(富士通株式会社)、萩原敦(三井情報株式会社)、馬場覚志(NTTコミュニケーションズ株式会社)、原田典明(日本電気株式会社)、松本佳宏(株式会社ケイ・オプティコム)、宮坂肇(株式会社NTTデータ)、三膳孝通(株式会社インターネットイニシアティブ)
(4) 総務省
原口電気通信事業部長、前川総合通信基盤局総務課長、泉データ通信課長、中沢データ通信課企画官、田邉データ通信課課長補佐

議題

  1. ワーキンググループのこれまでの議論の経緯等について
  2. 環境クラウドサービスの実証実験(「環境負荷軽減型地域ICTシステム基盤確立事業」)について
    (1) 環境クラウドサービスの実証実験全体概要について
    (2) モデルA(ビル群エネルギー管理システム)の実証実験の概要について
    (3) モデルB(都市型施設エネルギー管理システム)の実証実験の概要について
    (4) モデルC(地域内エネルギー供給管理システム)の実証実験の概要について
  3. 自由討議

議事要旨

【ワーキンググループのこれまでの議論の経緯等について】
   事務局より資料参考WG環5−2〜5−4について説明。
【構成員からのプレゼンテーション】
NTTコミュニケーションズ株式会社真田氏より資料WG環5−1及び5−2について説明。
三井情報株式会社菊地氏より資料WG環5−3及び5−4について説明。

○ 資料5−2の3ページを見ると、モデルAは、直接的に各機器を制御するというより、可視化した情報を提供して各機器を制御するオペレータを支援するという位置づけに見えるが、どちらを想定しているのか。
  また、資料5−2の6ページのセキュリティに関する記述は、単純にクラウド側の認証基盤の同期をとっているだけに見えるが、それと今回の実証実験の内容とは違うものなのかという点を教えてもらいたい。
○ モデルAは制御支援を想定している。オペレータに可視化した情報を返し、日々の運転計画に反映する。一部試行的に空調や照明の制御を直接制御するが、モデルAのシステム全体としては制御の支援を行う形態をとっている。
認証については、確かにアプリケーション間の認証連携は既存のシステムでも運用されているが、モデルAは、すでに既存の管理システムが存在しているビルを対象として、クラウド側のアプリケーションの認証ともシームレスに連携できるかを検証したいと考えている。
○ 制御の問題として、各サイトのセキュリティポリシーや、制御ポリシーとクラウド側からの認証等に関するポリシーがまだ一般的には確立されておらず、また、各BEMS自体が技術的には標準化が必ずしも整っていないという状況にある。その中で、クラウドを経由した制御のコントロールプロトコル等が今まさに標準化の土俵に乗りつつあるので、実証実験は非常に難しい環境にあるとは思うが、標準化に向けた問題点が本実証実験で明らかにされていくことになると思う。
同様に、セキュリティに関しても、BEMSの中での認証基盤はあまりでき上がっていないという実情があるので、それとインターネットで行われているシングルサインオンの認証方法との整合性をとることは、挑戦的な課題になっていると認識している。
○ モデルAは、既存のビル管理システムを利用するようだが、今回の実証実験の中では、どこまでIP化されたシステムを用いるのか。
また、今後の運用を想定しているモデルB、Cとは違って、既存のシステムを利用するモデルAは、IPv6の特徴をどこまで生かしたモデルになっているのか教えてほしい。
○ ビル管理システムのプロトコルはBACnetを前提にしているが、一部の末端のセンサーはIPに対応していないところもある。IPv6でもエンド・エンドで到達できるかを検証する。
○ モデルAでIPv6の特徴を生かすというのは難しいかもしれないが、BACnetは多地点接続でIPv6の仕様が入ることが決まっており、報告書にはそういった検証結果を盛り込んでもらえればよいのではないか。
○ 今回の実証実験で用いるBACnetはIPv6で通信しているので、その結果を含め、検証結果をフォローしたい。
○ モデルB、Cに関して、資料には、センサーの情報を所有者以外の方にも利用してもらう場合、どういう責任分界点で実施していくかという施策や方針の記載があるが、現時点で問題点等あれば教えてほしい。
○ センサーの情報を集約したデータベースについては、データ提供者が利用する1次データベースと設備管理者が利用する2次データベースに分離する方針にしている。ただし、2次データベースを作成する際にどこまで個人情報を落としていくか等については、これから実際のサイト側の事業者と調整していくこととなる。
○ どこまで具体的なデータを出していくかについては、データ通信課で行っているインターネットトラヒックのデータ公表と共通性があるだろうから、情報共有してみるとよいだろう。
○ モデルAは、環境クラウドという形で全体を統合して処理・制御できるよう実証実験をしているが、今後、それぞれ独立したビル管理システムを一括して環境クラウドにアウトソースするような方向性は見えてくるか教えてほしい。
○ 今回の実証実験に参加しているビル管理者からは、人間の知見を全く入れずに環境クラウドが完全にビル管理システムを制御することは難しいだろうという意見が出ている。したがって、今回の実証実験では、完全に環境クラウドへアウトソースできるビル管理システムの検証を行うことは難しいが、完全に制御できる部分はどこかという判断ができるような情報や、その情報の可視化について突き詰めていきたいと考えている。
○ モデルBの説明で用いている「エージェント」とモデルCの説明で用いている「ゲートウェイ」という言葉の違いは何か。
○ 「ゲートウェイ」は、ローカルに設置するデータ収集や制御を行う機器を示している。「エージェント」は、そのゲートウェイの内部で動く機能やソフトウェアを示している。ハードウェアとソフトウェアの違いだと捉えてもらいたい。
○ センサーの情報を集約したデータベースを2種類作成するということだが、個々のゲートウェイごとに2種類のデータベースを持っているのか。
○ 個々のゲートウェイはローカルに設置する機器であるため、その時点で公開できるデータベースは作っていない。
○ 公開できる情報にするためには、全ての情報をいったん集約し、調整する必要があるということでよいか。
○ その必要があると考えている。
○ 地域内の施設のデータを扱う場合は、家の中のデータ、ビルの中のデータ、市町村のデータ、県のデータ、国のデータ等、様々な種類のデータが考えられる。このデータを全て公開できるようにするためには日本全国のデータを1箇所に集めて調整することになってしまうのか。
○ 広域になることを想定するのであれば、少し小さい単位のサーバーで個々に公開できるデータを作成することになると思う。
○ 全ての情報をいったん集約するモデルだと、実際の社会にフィットしないのではないか。
○ 今回は、ある程度のエリアを定めた状況を想定して実証実験を進めている。例えば対象エリアを「広島市内」から「中国地域」に広げるということになると、取得した情報のデータベースを分割する等の方法で公開できる情報を扱っていくことになると考えているが、日本全体の情報をどのように扱うかというところまでエリアを拡張することは想定していない。
○ この実証実験は、センサーの情報を使った様々なビジネスが展開していくために、その基盤となる構造を検討することが目的だと認識している。個々のビジネスに応じて必要なセンサー情報があるため、様々な形で公開できる情報を用意できるようにすべきである。
また、ゲートウェイとエージェントがバンドルされているとのことだが、クローズドなネットワークでデータを安定させ、それからデータをクラウドシステムに集約するという手法では、旧態依然としたモデルに見えてしまう。
このワーキンググループのアウトプットは、環境クラウドを活用した様々なビジネスの可能性を明らかにすることだと考えている。極論を言えばクラウドシステムは、全てのセンサー情報に自由にアクセスできるモデルと、全センサー情報を中枢部に集約させて利用するモデルの2種類があると思うが、環境クラウドの利用モデルとしては、その中間を目指していくべきだと思う。したがって、例えばクローズドなネットワーク内にあるローカルの情報の管理をクラウドシステムにアウトソースする場合を考慮して、データの管理、蓄積の方法についての問題点や意見等を明らかにできたらよい。
○ 今回の実証実験において、既存のシステムではできないことに挑戦していけば、技術基準ができていないところや、運用モデルが明らかになっていないという問題点が浮き彫りなるだろう。そこで新しい環境クラウドのモデルを実現するために必要な課題等を指摘してもらえば、今後、非常に説得力のある研究開発や、その必要な要素が見いだせるだろう。
また、新しい環境クラウドのモデルの実現に当たって、国の方針等が整っていないところを指摘してもらえばありがたい。例えば、今回の実証実験で課題としては、多目的利用のためのプライバシーの問題が出ている。こうした問題は、基本的には個人情報保護法とも関連するし、どのようなガイドライン等があれば、個人情報を二次利用していけるかという点を指摘してもらえればありがたいと思う。
今回の実証実験を通じて、技術的な標準化の現状や、市場動向等が見えてくると思うので、そうした点も報告してもらえば総務省の施策にも反映していけるのではないかと思う。
【その他】
次回WGについては別途連絡。


以上

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