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ITS無線システムの高度化に関する研究会作業班(第5回)議事要旨

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日時

平成21年2月20日(金)10:00〜12:20

場所

総務省8階第1特別会議室

参加者

(1)構成員(順不同、敬称略)
唐沢 好男(主査)、秋山 由和、阿部 朋明、新井 浩治、岩本 敏孝、
小山 敏、柿原 正樹、鈴木 忠男、曽根 学、徳田 清仁、
原田 博司(代理:飯草 恭一)、三浦 龍、山田 雅也、
山本 武志(代理:古賀 敬一郎)、若宮 正洋
(2)オブザーバー(敬称略)
森實 克(警察庁)、縄田 俊之(経済産業省)、
澤 純平(代理:影井 敬義)(国土交通省道路局)、
鈴木 延昌(国土交通省自動車交通局)
(3)総務省移動通信課
竹内移動通信課長、坂中移動通信企画官、井出課長補佐、大塚国際係長
(4)アドホック構成員
松ヶ谷技術課題アドホックリーダー

議題

(1)ITS無線システムにおける海外動向等について
(2)アドホックグループからの報告について
(3)報告書目次案について

議事概要

○議題
(1)ITS無線システムにおける海外動向等について
・「ITS無線システムにおける海外動向等について」(資料5−1)について(株)日立製作所の小山構成員より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 作業班内での議論では、普及を考えると路車間通信と車車間通信を共用させて展開した方が良いのではとの結論になっているが、欧米でもそのような議論があるのか。
○ P11に示してある欧州のSIM−TDプロジェクトで検討がされており、
詳細はETSIのウェブサイトに詳細が紹介されている。今まで欧州では、自動車メーカーが中心でどちらかと言えば車車間通信のみを開発してきたが、近年、路車間通信抜きのシステムは現実的ではないとの声が高まっている。SIM−TDでは、フランクフルト郊外をテスト地域に指定し、インフラも含めた路車間通信と車車間通信の実用化に向けたFOT(Field Of Test)を行う計画である。米国ではかつてより路車間通信ありきで検討していたが、現在では車車間通信の検討を行っている。
○ 路車間通信と車車間通信の連携としてSIM−TDの例を紹介していただいたが、ECの中で実施されているCVISとSAFETYSPOTはそれぞれ路車間通信と車車間通信を中心に検討しているようだが、両プロジェクトの連携は行っていないのか。
○ 車車間通信を中心に行っているのはSAFESPOT、路車間通信の検討を行っているのはCOOPERS、CVISは路車間通信が中心だが車車間通信も検討している。実際は先に路車間通信が導入され、その後車車間通信が導入という方向に検討が進んでいる。
○ 路車間通信と車車間通信の共用を考えると、CVISとSAFESPOT間の連携は行われているのか。
○ 両プロジェクトは連携しており、COMeSafetyが各プロジェクト間の連携を担っている。このプロジェクト自体は技術開発等は行わず、全体の連携を図るプロジェクトとなっている。
○ 補足すると、CVISとSAFESPOTはほぼ同時期に開始され、プロジェクト開始当初はあまり連携が行われていなかった。CVISは、基本的に通信インフラの検討を行い、SAFESPOTは安全アプリの検討を主に行っていた。現在はCOMeSafetyにより両プロジェクト間の連携が進んでいる。SAFESPOTが自ら通信インフラを設置することはあまりないので、実験装置の一部はCVISから供給されている。路車間通信、車車間通信共用の必要性は、欧米とも共通認識となっている。

(2)アドホックグループからの報告について
・「700MHz帯を用いた安全運転支援システムの利用イメージ・通信要件」(資料5−2)について利用イメージアドホックリーダーの柿原構成員より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 短期的な最適解を目標とすると後で困るということは今までも経験している。ITSは長期にわたって路車間通信、車車間通信で使用するということを考えると長期的視点に立った最適解を求めていただきたい。
今後の検討課題として「我が国の交通事情に合わせた事故防止効果の確保を
前提に、可能な範囲で米国及び欧州で検討されている方式と調和を図る。」と記載されているが、我が国の交通事情が独特であるために欧米の方式では対応できないと思われる具体的な例を教えてほしい。
○ 特に米国では見通しの悪い交差点での出会い頭衝突事故は多くない。また、歩行者との事故は殆どないと聞いている。
○ 欧米で検討されている通信方式では、日本のような事故形態はカバー出来ないのか。
○ それは技術検討アドホックでの検討事項になると思うが、欧米の通信方式を700MHz帯でやっていく検討を行っていると聞いている。
○ 検討方針に「700MHz帯を優先して実用化の検討を進める」とあるが、サービス要件として700MHz帯だから出来るということなのか。
○ 700MHz帯を優先して検討することは、作業班で決定されたので記載している。
○ メディアを意識して通信要件を検討したのではないということか。
○ あえて言うのであれば、見通し外の通信を意識して検討を行った。一時停止交差点での出会い頭衝突防止は周波数による影響がないかもしれないが、それ以外の利用イメージについては使用する周波数の違いによって影響があると思われる。
○ 今までの作業班の議論では、700MHz帯だから可能、不可能ということではなく、5.8GHz帯と700MHz帯を比較したときに相対的に700MHz帯のほうが優位となる可能性があるので700MHz帯の検討を優先的に検討することになったと認識している。従って、あえて5.8GHz帯を優先して検討する必要はないのではないか。
○ 例えば、見通しの悪い交差点での車車間通信では電波が回り込む700MHz帯のほうが優位だが、見通しの悪くない交差点で路車間通信を行う場合は、5.8GHz帯のほうが有利な結果が出る可能性もある。
○ 長期的視点での最適解を目標とするとの話があったかと思うが、5.8GHz帯については既に通信方式が定まっており、近々にそれを見直すことが現実的ではないことを考えると、周波数的に700MHz帯のほうが回折するので安全運転支援に対するポテンシャルが高いことに加え、700MHz帯は通信仕様をこれから検討する段階であり、現時点での知見を導入して通信仕様を作成することが出来ることからも検討の優先度は高いと考えられる。
○ 700MHz帯はこれから技術仕様等の検討を行うので、使いやすいような検討をしていくことが出来ると思うが、5.8GHz帯は既に通信仕様が定まっている。そこに新たなシステムを導入する場合、5.8GHz帯も700MHz帯と同様に新しい通信方式等の検討を行うことは本作業班の中で出来るのか。
○ 前回の作業班でもご議論いただいたが、基本的には700MHz帯を優先して検討していただくものと理解している。5.8GHz帯については、アドホックグルー
プからの報告にあったように、スマートウェイでの実用化が予定されている合流時衝突防止や道路情報提供などのサービスが既存のDSRCシステムでも可能であることから優先度は中にされていると理解している。5.8GHz帯については近々に通信仕様の検討が必要ということではないが、前回の作業班でも議論していただいたとおり、将来に向けた課題としては見直しが考えられるのではと理解している。

・「700MHz帯を用いた安全運転支援システム実現に向けた技術課題」(資料5−3)について技術課題アドホックリーダーの松ヶ谷リーダーより説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 検討課題として、多数の情報が得られたときのドライバーに対する適切な情報提供の仕方というものもあったと思うがそれについての報告はないのか。
○ 確かにそのような課題があったが、アドホックの中でそれを通信機が判断してよいのかという議論があった。どれが必要でどれが不要な情報かを決定するのは通信機ではなくアプリの役割であるとの結論から、アドホックの検討からは除外した。但し、通信機メーカーの観点から言うと、情報の選択を行う機能は通信機に持たせて判断はアプリが行うようにし、情報の要不要の判断をする部分と、サービスを制御する部分のレイヤーを分けてサービス制御の部分は通信機がすべきと考える。
○ その議論はどのようなところで行っているのか。ASVで実施しているのか。
○ ASVの方では、事故の第2当事者には情報を与えない方向で検討が進められていると聞いている。
○ 現在ASVで検討が進められており、その結果を踏まえ通信仕様等を作成していただければと思う。
○ 資料にもあるように、隠れ端末問題が重要な課題になると思う。その対策として資料ではRTS/CTSも使用可能と記載されているが、ITSでRTS/CTSが可能か非常に疑問であり、欧米でも恐らく無理と考えている人が多いと思う。また、路車間区間と車車間区間を分けることで隠れ端末問題が軽減できるという説明があったかと思うが、IEEE11pを採用した通信では路車間通信と車車間通信に本質的な違いはなく、これらを分けることで隠れ端末問題が減少する理由を教えてほしい。
○ RTS/CTSについては指摘のとおり。対策がないわけではなく、やってやれないことはないという意味で記載している。後半の指摘については、例えば路側機のパケットを優先だとすると、スロット全体を優先スロットと非優先スロットにわけ、優先スロットの時には非優先の車は通信を行わないという考え方である。路側機から基準時刻と通信不可時間情報をFI(Frame
Information)に格納して配信すれば、それを受信した車載機は通信不可時間が分かるので、その間は通信を控える。さらに、FIをマルチホップ等で周囲の車に提供すれば、路車間区間の外にいる車も通信不可時間が分かるので、隠れ端末による干渉が回避されることになる。
○ つまり、優先区間に割当てられている送信可能な車の数が限られているので隠れ端末による衝突が減少するのであり、隠れ端末自体がなくなるのではないということか。優先区間は優先権を持つ路側機若しくは車両のみが配信できるようにすると、優先権を持たない車が緊急度の高いメッセージを発信したい場合、優先区間が長すぎると緊急度の高い通信が待たされることになると思うが、優先区間の長さはどれくらいが妥当と考えているのか。
○ それは路車間通信の提供する情報量や提供するアプリによるが、700MHz帯を車車間通信で使用するとした以上、半分以上の時間を路車間通信で占拠するのは現実的ではない。数十%か十数%かは議論があると思うが、あくまで一部の時間を割当てるという認識である。
○ 割合ではなく、優先区間が例えば200msで一般区間が800msだとした場合、運の悪い一般車両は緊急に送信する必要があるにもかかわらず200ms待たされることになるので、優先区間は極力短い方が良いのではないか。それを踏まえどれくらいの時間が必要と考えているのか。
○ 例えば、利用イメージから求められる通信頻度が100msに一度となっているので、100ms以下の時間とすればその通信要件は満足できる。
○ 路側機は常に優先とされているようだが、それより重要な車載機からの通信もあると思うが。
○ そのとおりだが、アドホックでの検討の前提として、路車間区間では必要に応じて路車間通信を優先することとしている。
○ 一般的に路車間通信を優先して良いかといった検討は行っているのか。
○ それについては議論があり、利用イメージも踏まえて検討する必要があるが、どちらを優先とした場合にも解決案を提示することは出来る。
○ 出会い頭衝突防止などのサービスイメージの基本課題についてはRC−006を策定する場で検討されているという位置づけでよいか。
○ そのとおり。
○ 隣接する他システムとの干渉に対する検討については、ITSだけでなく他システムのこともあるので、どのような解決策があるかも含め今後要検討という結論であるとの認識でよいか。
○ そのとおり。
○ 700MHz帯か5.8GHz帯かという議論が先ほどあったが、700MHz帯をITS用途に割当てられたとき、路車間通信と車車間通信を併せて20MHzが必要との提案があったが、ITSだけでなく他システムとの関係で10MHzになった。
そのような経緯を踏まえると、700MHz帯と5.8GHz帯の両方が使える状態で、どちらを使うかという議論をするのではなく、相対的な検討の優先順位を考えたとき、700MHz帯を優先してはどうかということになった。従って、700MHz帯で致命的なことがある場合には5.8GHz帯の検討をする必要がある。700MHz帯で最も致命的なことがあるとするとそれは他システムとの干渉であり、例えばガードバンドが現在想定している上下5MHzで足りるかなどは今後検討しないと分からないと聞いている。
○ 700MHz帯と5.8GHz帯の有効利用を考えると、自動車メーカーとしてはコストの面からもシンプルな通信機を搭載したい。今後検討が進められるコグニティブ無線やソフトウェア無線が商用化されると、2つの周波数帯域を使う無線機を低コストで搭載できる可能性も出てくる。普及を考えると700MHz帯の検討を優先して行うのは妥当であり、将来5.8GHz帯やその他の周波数も有効利用していくというのは新しい技術がより車に搭載されやすい環境を作ると認識している。

(3)報告書目次案について
・「ITS無線システムの高度化に関する研究会報告書目次(案)」(資料5−4)、「アドホックグループの開催について」(資料5−5)について事務局より説明があり、「普及方策アドホック」の設置が承認された。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 報告書の目標がどの程度なのか教えていただきたい。本日のアドホックグループからの資料でも利用イメージなどについては今後の課題として述べられているが、課題として例示するに留めるのか、もう少し検討したものを記載するのか。
○ 可能な限り課題については解決したいと考えているが、技術的な課題については課題解決のための検討を踏まえるべきであり、そのようなものは今後検討が必要な技術的課題として記載するに留めるべきだと思う。
○ 報告書にRC−006での検討結果を記載してはどうか。
○ アドホックでは既にRC−006をベースに検討していることから、RC−006の内容が盛り込まれている認識している。
○ 参考までに、RC−006は2月12日に既に発行されている。
○ 資料5−3のまとめを見ると、第1層、第2層や欧米方式との整合性など様々な検討がなされているが、ITSにおける通信システムの全体図に対する検討は本研究会の検討対象ではないのか。通信システムを構築しようとするとシステムの全体図が必要であり、またそれがあればやるべき作業が見えてくる。現時点ではそのような全体像がないままの気がする。
○ まず大きな目的があり、それをイメージしたものが報告書の第2章に記載され、それを実現するためのアーキテクチャが第3章に記載されるのだと思う。
○ 全体図というのは、資料5−3のP29にある図のようなものか。
○ P30に記載されている図がイメージに近い。これは欧州の通信システムのアーキテクチャ図だと思うが、このような図がないと通信システムを検討しているイメージがわかない。
○ この図の上に目的が入るイメージではないか。
○ システムアーキテクチャの話は、アプリからシステムまで広く対象としているものだと思う。その辺りはISOで検討されていると思うが、通信の専門家としてのご意見を頂きたい。
○ 米国WAVEもISOのCALMも欧州のCOMeSafetyの共通アーキテクチャもトップレベルビューで描くとほぼ同じもの。しかし、それにより通信的に何をしようとしているのかが分かる。逆にそれがないと個々の部分の検討はしているが全体像の検討は行っていないことになるのではないか。
○ 本研究会の目的は安全運転支援なので、P30のような図はそぐわないと思われる。
○ この図はあくまで例で言っただけであり、個々まで詳細に書き込むかは別。最上位の部分はアプリと記載するだけでも良いと思うが、下位の部分で例えばTransport層の有無などが無いと何をしようとしているのかが分からない。
○ 日本での自動車の作り方では、標準アーキテクチャを元にトップダウン的に設計することはしていない。欧米について詳しい方を中心に参考としてアーキテクチャを提案し、個社でそれを元に検討するのは有効だと思うが、この場でそれをオーソライズするものではないと思う。
○ 既存のものに対する検討を行っているのではなく、新しいITSの通信システムを作ろうとしているのであり、通信システムにはアーキテクチャが必要である。
○ 目次案で言うと、第1章にITSというものがあり、その中に安全運転支援があり、その中に無線を利用したものがあるというイメージか。
○ 通信機メーカーの視点からあってほしいと思うのが全体アーキテクチャである。新しいITSの通信システムを作り上げるための方向性を議論していると認識しており、そのためのたたき台があればと思った。
○ P29の図の中にある通信システムの中身を詳細に記載していけば良いのではないか。ITSシステムとして見るとP29の図は網羅されているが、図では通信システムとしか記載されていないのでその中身を詳細に記載してはという提言だと思う。

○ その他
・第3回親会は、3月11日(水)10時から総務省8階第1特別会議室で実施。
・第6回会合は、日程調整後改めて連絡。

○ 閉会

以上

連絡先

総務省総合通信基盤局電波部
移動通信課国際係、推進係
担当 : 井出課長補佐、大塚係長
E-mail : itsradio_atmark_ml.soumu.go.jp
※  スパムメール対策のため、
「@」を「_atmark_」と表示しております。
送信の際には、「@」に変更してください。
TEL : 03−5253−5896
FAX : 03−5253−5946

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