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ITS無線システムの高度化に関する研究会(第3回)議事要旨

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日時

平成21年3月11日(水)10:00〜11:30

場所

総務省8階 第1特別会議室

参加者

(1)構成員(順不同、敬称略)
川嶋 弘尚(座長)、唐沢 好男(座長代理)、伊藤 彰、
岩渕 英介(代理:新井 浩治)、大森 慎吾、関口 潔、高山 光雄、
豊増 俊一(代理:大石 賢治)、中島 豊平(代理:里村 昌史)、
中村 方士、中山 寛治、西川 幸男(代理:小迎森 一樹)、花井 利通、
柵木 充彦(代理:岩田 悟志)、松岡 孟 (代理:藤田 健二)、
マリ・クリスティーヌ、矢野 厚、山村 レイコ

(2)オブザーバー(敬称略)
橋本 晃(代理:岡本 努)(警察庁)、
山内 輝暢(代理:縄田 俊之)(経済産業省)、
奥谷 正(代理:影井 敬義)(国土交通省道路局)、
島 雅之(代理:鈴木 延昌)(国土交通省自動車交通局)

(3)総務省
桜井総合通信基盤局長、吉田電波部長、竹内移動通信課長、
坂中移動通信企画官、井出移動通信課課長補佐

議題

(1) 作業班における検討状況
(2) ITS−Safety2010公開デモンストレーションの結果(速報版)

議事概要

○議題
(1)作業班における検討状況
・「作業班における検討状況」(資料3−1)について唐沢主査及び事務局より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 700MHz帯と5.8GHz帯の周波数帯のうち、700MHz帯を優先して検討すると記載されていることについては、5.8GHz帯については検討を行わないということか、それとも700MHz帯とは別に今後検討を行っていくのか。
○ 5.8GHz帯については配布資料で「当面は現行の技術基準を維持し、路車間通信に利用するものの、引き続き将来の車車間通信への活用を念頭に、必要な研究開発や技術課題の検討を継続する。」と記載されているように、継続して検討を行う。検討結果やその後の状況等を含め、5.8GHz帯のITSにおける利用のあり方については再検討するものとご理解いただいている。
○ 路車間通信については、5.8GHz帯での運用が始まるということもあり、普及運用との兼ね合いで5.8GHz帯については検討を行わないのではなく、700MHz帯の後に引き続き検討を行うとのことで理解した。
○ 先々週に大規模実証実験の一環として行った公開デモンストレーションの内容が今後活用されていくと思うが、ITS Japanとしては、大規模実証実験においてITS推進協議会の中で効果評価を行った後、今年の4月以降に2010年以降の普及への筋道を関係各所とまとめていく必要があると認識している。特に技術課題では700MHz帯を優先して検討を行うとのことだが、一方で欧米方式との整合性を図ることも記載されている。日本だけで考えると安全運転支援が優先課題であり、そのためには700MHz帯が有効であると思うが、各企業が開発したシステムを海外展開することを考えると、欧米方式がどうなっているのか把握することが不可欠。欧米では5.9GHz帯を中心に検討を行っているので、その情報も取り込んで国際整合性やグローバルなビジネス展開についてもあわせた形で議論していく必要があると思う。
○ 技術課題について、これからやるべきことについて整理されており、必要なことが全て網羅されていると思う。700MHz帯では、ITS用途に割当てられた20MHz幅からガードバンドを除いた10MHz幅を利用することになると思うが、他システムとの干渉を受けずにこの10MHz全てを利用できるかが今後アプリ等の検討を行う上で重要になるため、できるだけ早い段階で干渉検討を行っていただきたい。干渉検討の相手が放送事業者等ITSとは全く異業種のため、総務省がイニシアティブを発揮して調整を行っていただきたい。また、干渉検討のための予算的措置についてもお願いしたい。米国では5.9GHz帯を10MHz幅で7ch、欧州では3chかそれ以上を割当てる計画も出ている。これに対して日本では700MHz帯は10MHzと限られた割り当てとなっているので、5.8GHz帯の利用についても積極的な検討を進めていただきたい。
○ 他システムとの干渉については、来年度に技術試験事務として行っていく予定であり、この研究会の報告書を取りまとめて頂き次第、最重要課題として取り組んでいきたい。700MHz帯の割当て周波数帯幅が10MHzで十分かという議論は作業班でもあったが、今後の利用状況を踏まえて検討を行う必要があるということで、まずは10MHz幅の中で十分な利活用を図ることが重要である。
○ 無線機のサプライヤーとしてはアプリケーションにまでなかなか考えが及んでいなかったが、お台場の大規模実証実験等を見ていると導入時点で様々な課題が出てくると再認識した。これらを一つずつしかも早急に解決していく必要があると考えている。例えば、導入当初は無線機を搭載している車と未搭載の車が同時に走行することになるし、路車間通信と車車間通信については電波の干渉や同期の問題だけでなく、矛盾した情報を受け取った場合の対処や、通信の優先順位をどうするかなども安全の観点からは非常に重要になってくると思う。また、安全運転支援のサービスとして各社が提供する機能や表示、操作法等についてもドライバーにとって違和感のないものにする必要がある。
○ 路側インフラ機器メーカーとしては、非常に短時間に多岐に渡る複雑な課題の整理をして頂き、また方向性をつけて頂いたことについては大変感謝している。日本の路側インフラは、住環境との関わりが大きく、電波の回り込みを利用した700MHz帯の利用は大変有効である。また、国際協調と競争という視点でもこのシステムの実現のための課題をいち早く解決していくことが重要である一方で、従来から検討されてきた5.8GHz帯について引き続き検討していくことも重要である。国際協調ということでは、700MHz帯と5.8GHz帯のそれぞれに特徴があることを各国に理解してもらう活動も必要なのではないか。また、近年ITSには従来からの安全安心という側面だけでなく、地球温暖化対策の側面も加わっている。今年に入って欧米で連携強化の動きが強まる中、今後5.9GHz帯を利用する動きが世界的に高まった場合に、日本では5.8GHz帯のままで良いのかということも中長期的な課題として検討して頂きたい。
○ 国際動向については、報告書にも記載させて頂く。また、国際整合性のあり方についても何らかの形で反映できるのではないかと思う。
○ 車載機の情報提供方法についても標準化を行わないと、各社ごとに表示方法が違うような使いにくいものを作ってもユーザには受け入れられない。
○ 電波に限らず広い意味での様々な課題についても、総務省に限らず広い枠組みの中で検討する必要がある旨、報告書には盛り込んでいきたい。
○ 国際整合性に関して、国際的な視点が重要。国内市場と海外市場を別の視点で見ていては国際的にも技術面で遅れをとってしまい、海外市場への展開が難しくなる。
○ ITSに関する様々な取組みが新聞等で報道されるようになってきたと思う。以前山道を歩いたとき、走行する車に対して危ない思いをした経験から、歩行者と車についても今後検討を行う必要があると思う。
○ 路車間通信と車車間通信に求められる通信要件が独立に決められているようだが、情報を扱うという視点では車車間通信と路車間通信は共通の通信要件があるのではないか。また、車車間通信では通信の相手数を500台程度としているが、車の長さを4mと考えると少なくとも2km先の車とも通信することになる。これだとマルチホップが必要になるのではないか。出会い頭で本当に500台も通信相手が必要となるのか、また都市内では信号機の間隔が500m程度であり、それを超えて通信を行う必要性も分からない。現時点では精緻な検討は出来ないのは分かるが、これでは大雑把過ぎるのではないか。

(2)ITS−Safety2010公開デモンストレーションの結果(速報版)
・「ITS−Safety2010公開デモンストレーションの結果(速報版)」(資料3−2)について事務局より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ ETSIのヘス氏は、元々デンマーク政府の方で、欧州における様々な標準化活動に長年従事している。彼の話では、欧州でも様々な規格が乱立し、それらを取りまとめていく必要があり、日本や米国の取組みを参考にしたいとのこと。2月の上旬にETSIでITSのワークショップを行ったが、来年も同じころに実施することが正式に発表されている。また、今年のITS世界会議では、セッションを設けて無線通信に関する標準化の関係者が集まり、路車間通信や車車間通信の議論をしたいとのことだった。その意味で、日本と欧州のフェーズは一致している部分もあるが、今年の5月、6月には通信規格のドラフトが作成する予定になっているなど欧州の標準化のロードマップを見ると、かなり先行している部分もあるので、日本も急いで作業を行っていく必要がある。
○ 公開デモンストレーションでは、一般試乗会、屋内展示会、屋外展示会、シンポジウムが行われ、それぞれの参加者数は現在集計中だが、4日間の開催期間で全体を通じて5,000人程度の来訪者があった。また、テレビ、新聞等の報道機関からもかなりの数の取材を受け、一部では既に報道されている。その意味では、広く一般に周知するという目標は達成されたと思う。
○ ITSについて広く知ってもらうという意味ではこのようなイベントも大事だが、日常的な周知についてもITS Japanにご協力頂きたい。
○ ITSを活用することで、車と路側インフラが面的に情報交換できるようになる。今はセンサーを利用して点ごとの交通流を把握しているが、それが面的に把握可能となるので交通速度が上がる。それにより加速減速が少なくなりCO2排出量も減ることになる。
○ そのようなことには、700MHz帯は非常に有効な周波数であり、実現の方向に向かって進んでいると思われる。

○その他
・第4回会合は、平成21年4月17日10時から開催予定。詳細については後日事務局より連絡。

○閉会

以上

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