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ITS無線システムの高度化に関する研究会作業班(第6回)議事要旨

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日時

平成21年3月23日(月)10:00〜12:07

場所

総務省11階第3特別会議室

参加者

(1)構成員(順不同、敬称略)
  唐沢 好男(主査)、秋山 由和、阿部 朋明、新井 浩治、岩本 敏孝、
  小山 敏、柿原 正樹、里村 昌史、鈴木 忠男、曽根 学、徳田 清仁、
  原田 博司(代理:飯草 恭一)、三浦 龍、山田 雅也、山本 武志、
  山本 雅史、若宮 正洋
(2)オブザーバー(敬称略)
  渋谷 秀悦(代理:中山 慎一)(警察庁)、縄田 俊之(経済産業省)、
  澤 純平(国土交通省道路局)、鈴木 延昌(国土交通省自動車交通局)
(3)総務省移動通信課
  竹内移動通信課長、坂中移動通信企画官、井出課長補佐、大塚国際係長
(4)その他
  神崎 洋(ITS情報通信システム推進会議運転支援通信システム実用化検討SIG主査)、
  勅使河原 元((株)野村総合研究所)

議題

(1)普及推進方策について
(2)導入に向けた課題について
(3)報告書骨子案について

議事概要

○議題
(1)普及推進方策について
 

 ・「700MHz帯を用いた無線システムの導入・普及推進方策」(資料6−1)について、普及方策アドホックリーダーの秋山構成員より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

 普及シナリオとして始めは高級車から普及との記載があるが、二輪車や大型車、あるいは高齢者ドライバーに早期に装着してもらうといった普及推進方策があれば、一般ドライバーも自分達が装着することで、それらを検知できるようにというストーリーの方が理解を得やすいのではないか。また、技術課題として重要なものに位置情報の精度があると考えるが、普及推進方策の中にも位置情報の精度を向上させる取組み等について記載した方が良いのではないか。通信してやり取りした位置情報の精度が悪いと逆に混乱をまねく。
 二輪車や大型車等についての意見はアドホックでもあった。また、位置精度の向上についても必要であるとの意見についてもアドホックで出た。
 基本的に700MHz帯については車車間通信、5.8GHz帯は路車間通信を利用するが、700MHz帯の割当ては10MHzとなっており、不足する可能性があることから、必要に応じて5.8GHz帯も車車間通信に利用する方向だと理解している。また、研究会での議論もそのようになっている。その場合、技術面の課題やサービスイメージからの視点も導入・普及シナリオに影響してくると思うので、その辺りも含めて議論して頂きたい。
 作業班の方針で、当初から車車間通信は700MHz帯、路車間通信は5.8GHz帯を利用するという方向性が出ていたので、利用イメージに関しては、齟齬は生じない。
 車載機の普及曲線のイメージ図で、小型車導入、高級車導入と記載されているが、これは台数を表しているのか、あるいは普及イメージなのか。台数を想定しているなら、小型車の方が多くなっていないと不自然ではないか。
 このグラフは毎年これくらい増加するという年間需要を想定したもの。数の上では導入当初は高級車の増加台数が上回っているが、徐々に中級車、小型車の増加台数が上回ることを示している。
 研究会であった意見だが、現在想定している通信容量は500台分とのことだが、交差点付近で停車している500台の自動車全てが車車間通信を行うと干渉等様々な課題が出てくる。その辺りの課題が導入に対して影響するのであれば、例えば受信は全車可能だが送信は必要な車両のみが行うなど、何らかの方策を考えて効率的なシステムにする必要があるのではないか。
 例えば、500台を並べたら2kmの距離になり、端にいる車同士はマルチホップ等を行わないと直接通信できないのではとの指摘があったが、ASVや国土交通省が検討している収容台数500台というのは、銀座モデルと呼ばれる2車線の道路が碁盤の目状に敷設された状況下で車を敷き詰めたとき、免許不要となる通信機で通信が可能な範囲に入る台数が500台程度なので、これだけの通信容量があれば十分だというもの。
 限られた10MHz幅で極力干渉を減らして効率よく通信できる方式として色々な方式が検討されているが、最終的な結論は出ておらず、2012年の実用化に向けた導入方策だけでなく、技術課題の解決に向けた検討を進めていくことが重要だと思う。システム内干渉や隣接システムとの干渉がどのような影響を与えるかも含め、解決すべき課題はまだある。
 技術課題やその方策にむけた検討の他にも、実際の環境でシステムが安定して動作するかの検証も実用化に向けて行う必要がある。
 資料のタイトルに700MHz帯と明記されているが、5.8GHz帯についても記載されている。これらは別々に記載されるべきものではないか。
 5.8GHz帯については参考として記載している。研究会において700MHz帯の普及に関係して5.8GHz帯を用いたITS無線システムについても検討するべきとの意見を頂いていたので、アドホックでも議論し記載している。
 700MHz帯の普及のために5.8GHz帯も重要であることは認識しているが、これでは700MHz帯の中に5.8GHz帯の普及推進方策があるように取れる。
 ここで示した普及シナリオは2012年を一つの目標としており、普及推進方策は700MHz帯に特化したものである。5.8GHz帯の普及推進方策については、例えば新しい通信方式の検討や欧米との国際調和等の観点も含めて検討する必要があるが、ここでは700MHz帯の普及推進方策を検討する上での5.8GHz帯の位置づけを示しているもの。
 

・「ITS無線システムの普及予測について」(資料6−2)について(株)野村総合研究所の勅使河原氏より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

 自動車工業会の方で、カーナビの普及率を計算しており、それによると減価償却期間を5年間としたときのVICS対応カーナビの普及率が25%程度となっている。一方、資料に示された普及率では8%となっているので、再度資料の見直しをして頂きたい。
 カーナビやVICSは、普及率が公表されていないので累計出荷台数から減価償却期間を6年として算出しているが、ご指摘の点は再度見直す。
 各普及率の成長曲線による近似のグラフでカーナビよりもVICSの普及率が高くなっているが、カーナビの方がVICSよりも普及しているはずである。
 このグラフはプロットの開始点をそろえているためにこうなっている。
 ITS無線システムの普及曲線をETC及びVICSの普及曲線を元に算出しているが、安全運転支援システムの検討を行っているので、エアバッグの普及曲線に近似させるべきではないか。
 安全運転支援システムという点では、確かにエアバッグの方がより近いものだと思うが、実際のサービスの性質を考えるとETCやVICSの方が近いと考えこれらを採用した。
 安全運転支援システムの普及を検討するなら、エアバッグやチャイルドシートのような普及曲線を参考とする必要がある。
 エアバッグは、安全基準を満たすために搭載が必須であるため普及が進んだと聞いている。一方、今回のシステムはそのようなインセンティブを考慮していないので、その意味ではETC等が近いと考える。
 今回普及曲線の近似を行うにあたって採用したETC等とエアバッグとの違いは、エアバッグは自律的なものであり、自分が搭載すればその恩恵を受けられるが、安全運転支援システムは路側機の普及や車載機の搭載率が影響するのでその辺りを考慮しているのではと思う。
 ITS無線システムの普及予測のグラフで、特に普及推進方策を行わなければ黄色の曲線となるが、車車間通信のようなものは相手も搭載して効果が得られるものであり、普及率が低迷しているといつまでたっても普及が進まないので、早い段階で国を挙げて普及を促進する方策を行う必要があるのではないか。
 普及予測の曲線がETCとVICSの間に位置しているが、この予測は感覚的に当てはまるのか。
 普及方策アドホックでも普及曲線についていくつか意見があったが、大方がETCとVICSの間になるとの意見だった。
 利用意向の調査で6%の人は利用したくないと考えており、それを元に普及率の上限を設定しているとのことだが、アドホックの中でも普及が飽和したときに普及推進方策を行うことで飽和点を上げることができるのではないかとの意見があった。その意味ではこの6%を減らすためにどのような普及推進方策を行えばよいか検討する必要がある。そのためには利用したくない理由を把握する必要があるのではないか。
 利用したくない理由についても利用意向の調査であわせて聞いている。
 安全運転支援システムは高齢者に対して特に効果があると期待されているので、年齢別にどのようなニーズがあるか把握してはどうか。
 今回の資料では、普及予測の曲線を作成するために必要な部分のみを記載しているが、それ以外の普及方策に活用できるような内容も聞いている。

(2)導入に向けた課題について
 

・「インフラ協調システムの実用化に向けた電波管理・運用主体等の環境整備について」(資料6−3)についてITS情報通信システム推進会議運転支援通信システム実用化検討SIGの神崎主査より説明があった。

  ・「ITS通信システムアーキテクチャの提案」(資料6−4)について(株)日本電気の山本構成員より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

 標準化や技術課題について検討するためにレイヤーを分けて整理する際には 非常に参考となるので、今後も議論を深めて欲しい。
 技術課題アドホックでもセキュリティの課題があったし、この発表でもシステム管理等とも関連した話だと思うので、各所で議論されていることがうまくまとまっていけばと思う。
 今回提示して頂いたのは、大体このような形という大枠のようなものを示し、必要に応じて個々の箇所の検討を行うものなのか、それとも今後システム全体を詳細に検討するためのたたき台のようなものなのか。
 各層の中身については個々に検討していくことになると思うが、最上位のシステム全体をどのように考えるかという点についてある程度方向性を示す必要があると考え提示した。

(3)報告書骨子案について
  ・「報告書骨子(案)」(資料6−5)について事務局より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

 報告書のイメージはこのようなスライド形式のものなのか、それとも文章で記載するのか。
 後者のイメージ。これは概要であり、これを元に報告書を作成することになる。
 今日議論したITS無線システムアーキテクチャの提案についても報告書の中に盛り込むとの説明だったが、そうなると資料に記載されているサービス管理センターやITSシステム管理センターといった用語の使い方やその定義等について合意を取る必要があるのではないか。また、報告書には、研究会で報告書を作成した後の活動についても記載した方が良いのではないか。
 システムアーキテクチャについては、国際調和を図る観点で日本としてどう考えていくかを示すためにも是非報告書に記載していただきたい。但し、用語の定義等については確かに議論が必要である。今回はイメージ例として提示したが、可能ならこの場で議論してもらい、ある程度のコンセンサスが取れるのであればそうしたい。なお、サービス管理センタとはコンテンツやサービスを管理するためのものであり、これらはネットワークや通信管理を行うITSシステム管理センタと分けるイメージである。
 ご提示頂いたアーキテクチャモデルの中身についてこの場や研究会でコンセンサスを取ったり議論をするのは難しいと思う。当初より無線システムの高度化ということでレイヤーの低いところを中心に議論してきた。前回の作業班では、確かに上位レイヤーも含めて無線システム全体としてアーキテクチャを整理することは有効であり、何らかの案を例示してはどうかとの話もあったと思うが、一方でモデルの妥当性を議論するには、提示されたモデルの用途や使い方を専門家で議論する必要があり、この場で合意を取るのは困難との結論になったと記憶している。従って、報告書には例示として掲載し、具体的な使い方等については別の場で議論を行った方が良いのではないか。
 アーキテクチャモデルを例示として示す方法と、アドホックグループで集中的に議論する方法があると思うが、期間的に考えて後者は難しい。
 アーキテクチャモデルの検討には大学教授含めた専門家で議論する必要があると思うが、検討期間を考えると難しい。ここでは例示として示し、報告書には今後議論すべき課題として記載した方が良いのではないか。
 例示という形であっても議論のきっかけとして示させて頂きたい。
 報告書の第6章では導入・普及シナリオと推進方策を記載することになっているが、先程の研究会で報告書を取りまとめた後の活動についても記載すべきとの意見とあわせて、今後議論すべき課題という形でどこかに記載してはどうか。
 恐らく第6章になると思うが、次回の作業班で報告書(案) を提出させていただく予定であり、その中で出来るだけそのような内容を盛り込む。
 骨子案では、現在の交通事故発生状況やその削減のために安全運転支援システムが効果的である旨の記載があるが、ITS無線システムが必要であることも明示した方が良いのではないか。
 700MHz帯と5.8GHz帯を用いた安全運転支援システムが同一のものであるような記述となっているので、言葉の使い方を工夫して欲しい。
 700MHz帯では、ITSに使用する周波数幅は10MHz幅とすることが適当と記載されているが、10MHzで適当な理由を示した方が良いのではないか。
 無線システムを欧米と比較した資料を見ると日本の周波数割り当てが少ないように見えるので、日本は安全安心のサービスに特化している等の記述が必要なのではないか。
 当初700MHz帯については20MHz幅を要求していた。見通しの悪い交差点での出会い頭事故防止に対して700MHz帯が有効であることはご理解いただいたが、周波数幅は10MHzで可能との理由で割当てられた。

 その他
  ・第7回会合は、4月8日(水)10時から開催予定。場所等詳細については後日事務局より連絡。

 閉会
以上

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