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ITS無線システムの高度化に関する研究会(第4回)議事概要

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日時

平成21年4月17日(金)10:00〜11:55

場所

総務省8階第1特別会議室

参加者

(1)構成員(順不同、敬称略)
  川嶋 弘尚(座長)、唐沢 好男(座長代理)、岩渕 英介、熊谷 博、
  関口 潔(代理:狩俣 恭太郎)、高山 光雄、
  豊増 俊一(代理:大石 賢治)、中島 豊平(代理:里村 昌史)、
  中村 方士、中山 寛治、西川 幸男、柵木 充彦(代理:樋口 正浩)、
  松岡 孟(代理:藤田 健二)、松下 政好(代理:徳田 清仁)、
  マリ・クリスティーヌ、矢野 厚(代理:山岡 伸一)、山村 レイコ、
  和田 雅夫(代理:古賀 敬一郎)
(2)オブザーバー(敬称略)
  橋本 晃(代理:渋谷 秀悦)(警察庁)、
  山内 輝暢(代理:縄田 俊之)(経済産業省)、
  奥谷 正(国土交通省道路局)、島 雅之(国土交通省自動車交通局)
(3)総務省移動通信課
  桜井総合通信基盤局長、吉田電波部長、坂中移動通信企画官、
  井出課長補佐
(4)その他
  勅使河原 元((株)野村総合研究所)、

議題

(1)ITS無線システムの利用シーンについて
(2)ITS無線システムの普及予測等について
(3)報告書案について

議事概要

・構成員の変更があり、(独)情報通信研究機構の熊谷博理事及び日本電気(株)の和田雅夫事業本部長が新たに構成員に就任する旨の連絡があった。

○議題
(1)ITS無線システムの利用シーンについて
・「ITS無線システムの利用シーンのラフイメージ(案)」(資料4−1)について、野村総合研究所の勅使河原氏より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 利用シーンのイメージに記載されている吹き出しについて、このシステムが動作しなければ前方を確認する必要がないと思わせるような誤解を与えるコメントは避けていただきたい。特に、出会い頭衝突防止と追突防止。
○ それぞれの利用イメージ毎に情報の表示箇所がバラバラになっている。ドライバーからすると、ガイド音が鳴った段階で音声の説明がされる前に表示を確認し、何が起きているのか把握したいと思うので、サービスごとに表示の有無や表示箇所が異なるのは避けたほうが良い。
○ これはあくまでイメージ例として示したものであり、実際のサービスの提供方法は各社毎に異なると思う。正確にやると様々なケースがあり、それらについて全て並べると一般の人にとっては逆に分かり難くなる。
○ 表示箇所や表示方法等を統一すれば良いのでは。ドライバーは短時間で状況を把握しなければならないので、例えば全てのサービスについて、表示箇所をヘッドアップディスプレイにし、サービス開始のガイド音を鳴らしてそれを聞いたドライバーがヘッドアップディスプレイを見ると何が起きているのか把握でき、その後に流れる音声で再確認して行動する流れにするなど、サービスの提供方法を統一すれば良いと思う。
○ 情報の表示箇所について、イメージではヘッドアップディスプレイに表示するようにしている。しかし、HMI的に考えてこれが最適な表示箇所とは限らないと思うが、このイメージを見た人が、このサービスを受けるためにヘッドアップディスプレイが不可欠であるとのイメージを持つ懸念がある。
○ それについては各社の考え方次第だと思うが、座長のご指摘のとおり、この絵を見てヘッドアップディスプレイがサービス提供の唯一の手段であると取られるのは困る。
○ 例えば緊急車両情報提供のイメージでは、カーナビに表示するようにしており、これは比較的よく想定されるパターンだと思う。もしこのような表示方法が良ければこの形に統一する方法もあるのではないか。
○ 表示方法等については、統一させた方が良いとの意見がある一方で、統一させることにより分かり難くなることもありえる。そのあたりは、自動車会社とも相談して決めていただきたい。また、この研究会では、ITS無線システムの利用イメージとして議論しており、必ずしも車車間通信だけに限ってはいないので、各サービスで用いられる通信システムを区別して表示しない方が良いのではないか。例えば今回示したイメージ全てが車車間通信で実現するものであると取られると困る。
○ この研究会では、車車間通信と路車間通信の共用についても議論しているが、今回提示されたイメージでは車車間通信に絞っている。路車間通信を使った利用シーンのイメージは入れないと判断したのか、それとも今は偶々入っていないだけなのか。
○ 今回示したイメージは、車車間通信と路車間通信で区別したものではなく、各場面で提供されるサービスイメージをドライバー視点で描いたもの。右上に示した鳥瞰図が、車車間通信のみを利用するような印象を与えるのであればその部分は工夫し、ドライバーから見れば車車間通信、路車間通信とも同様のサービスを受けられることが分かるようなイメージにしてはどうか。
○ このイメージは車車間通信と路車間通信の両方のケースを含んでいる旨のコメントをどこかに記載した方が良いのではないか。
○ 自車と他車の判別は色分けすることで出来るので、鳥瞰図に描かれている矢印を描かないようにすれば良いと思う。これがあるので車車間通信を想定しているように見える。
○ 矢印よりも他車とコミュニケーションできることが伝わるイメージの方が良い。
○ 今回提示されたイメージの中で、高速道路でのサービスを想定したものは追突防止以外ないのか。例えば、高速道路を走行中にトラックに囲まれて視界が阻害されると危険を感じるので、そのような状況に対するサービスがあるとありがたい。
○ 追突防止は、高速道路での見通しの悪いカーブでの追突防止を想定している。トラックに囲まれるようなケースについても作業班で議論したが、現在死傷事故が起きている割合からするとそのようなケースは少ない。今回は、多数の死傷事故が起きているケースを優先的に検討を行った。今後、このシステムの高度化について検討する中で、そのようなケースについても検討の必要があると考える。

(2)ITS無線システムの普及予測等について
・「ITS無線システムの普及予測等について(案)」(資料4−2)について野村総合研究所の勅使河原氏より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 基本的考え方として車車間通信等と記載されているが、この中には何が含まれているのか。また、どのようなメリットがあるのでユーザが購入するのか明確にせず、普及が進むといわれても疑問がある。特に、車車間通信については搭載率が低いと自分が買ってもメリットが低いので購入を躊躇い、普及が進まないことが懸念されており、車車間通信と路車間通信のサービスが共に受けられるようにすることで普及が進むと言われている。従って、車車間通信等と言ったときに路車間通信も想定しているのか、又提供されるサービスは安全以外も含まれるのかなどの前提条件により普及の仕方は変わる。普及予測のためにはシナリオを想定する必要があるが、本来であればいくつかのシナリオを作成し、このシナリオならこの普及曲線になるという示し方になると思う。
○ 普及予測を行う前に作業班で導入・普及のシナリオについてご議論頂き、資料4−4のP46でシステム導入時期は2012年から、高級車、中級車、小型車の順で導入が広がり、中級車、小型車に導入されるに従い普及が進むと想定。また、路側機については、交通事故多発地点から導入され、次第にエリアが拡大されるとしている。このシナリオを前提に普及曲線を計算した。
○ このシナリオでは、始めは路車間通信のみでかまわないようにも思える。また、車車間通信がどのように普及するかが明確でない。
○ 既に車内に様々な機器が装着されており、これ以上車内の装置が増えるのは好ましくない。例えば既存の装置に機能を追加することでサービスを受けられるようにはならないのか。
○ 今回示されたITS無線システムの費用は、既存装置に組み込まれる部品としての追加の値段と考えれば良いと思う。今回示された普及予測にネットワーク効果を表したモデルを導入すれば多少の説明がつくと思うが実際は難しい。
○ ご指摘のとおり、普及予測を詳細に検討するのであれば、複数のシナリオを想定し、シナリオ毎に普及曲線を描くべきだが、現時点では決まっていないことも多いため、前提条件を決めるのが難しい。従って、例えば最も普及が進む場合はETCに類似し、あまり普及が進まない場合はVICSに類似すると想定して計算したのが今回のもの。今回の結果が感覚的に大きく乖離していないのであれば今回の結果で進めたい。
○ もう少しシナリオを具体的に記載し、それを元に試算した結果として出していただきたい。
○ 今回算出した市場規模が適切か判断するのは難しい。また、作業班では市場規模を算出すること自体疑問があるとの意見もあった。
○ 市場規模については、特定の値を出すのではなく、いくつかのパターンが想定されることから、ある程度幅を持たせた数字を提示して欲しい。

(3)報告書案について
・「報告書骨子(案)」(資料7−4)及び「報告書(案)」資料(7−5)について唐沢主査及び事務局より説明があった。また、報告書(案)の最終的な修正は座長預かりとし、修正後の報告書(案)についてパブリックコメントを行う旨の説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 導入・普及シナリオで高級車から導入と記載されているが、同じ段階で中級車、小型車にも導入して欲しい。実際に事故に遭遇しやすい人を考えると、このシステムが特に必要なのは主婦や高齢者だと思うし、事故にあった際の被害の程度を考えると、高級車よりも小型車の方が大きいと考えられる。また、歩行者に対する対策として、夜間等に歩行者の存在を検知し、ドライバーに知らせるサービスがあれば良い。
○ 普及については各社の戦略があると思うが、様々な車載設備の普及を見ると今回の想定と同様に高級車から導入が始まるケースが多い。
○ 歩行者への対策については、資料4−4のP24、26に示した利用イメージで歩行者衝突防止というものがあり、車車間通信では技術的に困難な部分があるので優先度を中としているが、路車間通信では優先度を高としている。また、ITS無線システムの更なる高度化に向けて今後研究開発を行うべき課題の一つとして、歩行者への情報提供をあげている。又、高齢者については普及方策の中で高齢者支援の重要性について記載している。
○ 技術課題がいくつかあげられており、又国際調和を図るためにも相手のあることなので時間がかかる。また、更なる高度化についても図っていくと記載されているが、国として進める政策である以上、今後何度も装置を買い換える必要が生じることのないようにすべき。
○ P46の留意点のところで、インセンティブについての留意点の他に、普及についても複数システムの乱立を避けるとか、頻繁な買い替えの必要がないようにするといった具体的な留意点を記載すべきとの意見だと思う。
また、国際調和の方向性について、日本ではITS通信システムの第3層から第7層までの議論が進んでいないため、P19の図の該当部分が空欄となっている。欧米では現在、メッセージセットの議論が進んでおり、日本でもASVでの議論を踏まえ、SAEJ2735を参照しながら議論が始まりつつあると聞いている。従って、真ん中のレイヤーだけが議論が進んでいないことになるので、この部分について至急議論を開始する必要がある。
○ 経済産業省としては、国際標準化を積極的に推進していることから、報告書に上位プロトコルやシステムアーキテクチャ等の標準化活動について言及されているのは好ましい。ご指摘のメッセージセット等については、欧米でも議論が始まりつつあり、将来的に整合性を図る必要のあるものについては標準化を推進したい。
○ 今回のシステムを搭載することを想定しているのは自動車やバイク等に限られているが、自転車を始めとする乗り物一般にも搭載できるようにすれば社会に受け入れられやすいのではないか。
○ 報告書内で歩行者について言及しているが、自転車についても現在レーダーを使用してその存在を検知する技術の研究開発を進めており、それについても可能であれば盛り込みたい。
○ 普及方策について、最近のカーナビはテレビの視聴が可能だが、地上デジタル放送への移行に伴い、カーナビも地上デジタル放送対応のものへ買い換える必要がある。その際にITS無線システムも一緒に入れてもらうというシナリオも考えられるので、そのようなことについても検討して欲しい。
○ 報告書P62で、様々な推進方策が有効であることを踏まえ、これらの推進方策と併せ、「デジタル放送への移行に伴う車載用地上デジタルテレビ受信機の買い替え需要と相まって、さらに普及が加速すると考えられる。」と記載している。
○ 国際調和を考えると仲間作りが重要であり、例えば韓国等と共に進めていくことも考えられるのでは。そのための情報発信が不可欠である。
○ アジア各国との連携ということでは、ITSJapanの枠組みの中にあるアジア・太平洋ITSフォーラムなどを通じて日本の状況をPRする予定。
○ 700MHz帯を使える国がどこかという問題はあるが、ITS情報通信システムの全体像を共有するという方向で議論を進めれば、もし700MHz帯を使えるようになればその段階で日本の方式等を提案できるのではないか。
○ ETCを見ると、ETCは当初通勤車やタクシーでの搭載が進んでいたが、休日の割引サービスの実施で一般車への普及が爆発的に進んでいる。同様のことがITS無線システムでも起きることも考えられる。概略としては今回提示されたもので外れていないと思うが、例えば都市部と地方部や大型車、中型車、小型車でも普及の仕方は異なると思うので、そのような個別の普及モデルについては、今後関係者と議論したい。
○ 4,000箇所の事故多発地点を中心に設置を進めるという考え方は分かるが、ユーザがそこを通る確率を考えるとどの程度効果があるかの判断は難しい。様々なサービスを付加して販売しないと普及は厳しいと思うので、普及に向けた大枠の概念を提示して欲しいとの意見だと思う。

○その他
・今回の報告書(案)の修正については、川嶋座長、唐沢主査及び事務局で行い、1ヶ月程度、パブリックコメントを行うこととなった。
・次回の研究会第5会会合は、6月2日(火)10時から開催予定。場所等詳細については後日事務局より連絡。

○閉会

以上

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