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ITS無線システムの高度化に関する研究会作業班(第7回)議事概要

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日時

平成21年4月8日(水)10:00〜11:52

場所

金融庁12階1215会議室

参加者

(1)構成員(順不同、敬称略)
  唐沢 好男(主査)、秋山 由和、阿部 朋明、新井 浩治、岩本 敏孝、
  小山 敏、柿原 正樹、里村 昌史、鈴木 忠男、曽根 学(代理:藤本 浩)、
  徳田 清仁、原田 博司(代理:飯草 恭一)、三浦 龍、山田 雅也、
  山本 武志、山本 雅史、若宮 正洋
(2)オブザーバー(敬称略)
  縄田 俊之(経済産業省)、
  澤 純平(代理:影井 敬義)(国土交通省道路局)、
  鈴木 延昌(国土交通省自動車交通局)
(3)総務省移動通信課
  竹内移動通信課長、坂中移動通信企画官、井出課長補佐、大塚国際係長
(4)その他
  勅使河原 元((株)野村総合研究所)、
  松ヶ谷 和沖(技術課題アドホックリーダー)

議題

(1)普及予測について
(2)アーキテクチャについて
(3)報告書案について

議事概要

○議題
(1)普及予測について
・「ITS無線システムの普及予測について(090406修正版)」(資料7−2)について、野村総合研究所の勅使河原氏より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 今回算出されたITS無線システムの普及曲線が、VICSとETCの普及曲線の間に位置すると予測する根拠は何か。
○ 今回ITS無線システムの普及曲線を算出するために、カーナビ、VICS、ETC、エアバッグの4種類の普及曲線を比較対象とした。ITS無線システムは、そのメリットを受けるためにインフラが整備されるか、相手の車も同じシステムを搭載していることが必須条件であることから、インフラが存在して成り立つサービスであり、システムの利用可能なエリアの拡大がシステムの普及に必須な条件となっているであるVICSとETCを選定した。また、様々な普及施策がシステムの普及率向上をもたらしてきたETCの例から、ITS無線システムにおいても機器が普及することで様々なメリットが得られるようになり、それによりさらに普及率が向上する好循環が想定される。なお、ITS無線システムが安全系のサービスであることを考えるとエアバッグの普及率を参考にすることも考えられるが、インフラの有無及び自車以外の搭載率を考慮するとエアバッグのように単体でメリットを受けられるものとは異なると考えられる。
○ 市場規模について、当初ITS用途に700MHz帯の割当を要求したときは、今回算出されたような市場が期待できるために要求したのではなく、交通事故死傷者数を減らす目的で要求したはず。従って、いくらの市場が期待されるので700MHz帯をITSで利用すべきという話にはならないと思う。
○ カーナビの成長曲線による近似を示したグラフに対して違和感を感じる。Hz帯のITS無線システムが実用化されることにより上がるように思われるがこの数値に矛盾はないのか。
○ このグラフは各サービスの開始時点をそろえて描いていており、各サービスの開始年については凡例の括弧内に記載している。ご指摘のとおりこのグラフの横軸を西暦で表すと、途中でVICSの普及率がカーナビを抜いて現実と矛盾するため、どこかの段階でVICSの普及率がカーナビの普及率に近づくように修正する必要がある。但し、そのようなことは今回描いたグラフの範囲よりも先に発生するので、このグラフでは修正はしていない。
○ 市場規模を算出した理由は、700MHz帯の周波数がITS用途として利用できるようになったことによる事故削減効果を推計すると共に、地上デジタル放送への移行に伴う費用対効果を把握するためである。
○ 市場規模を公表することで、ITSよりも携帯電話のために割当てた方が経済効果があるという議論が出てくることが懸念される。ITSには経済効果以外の効果もあることを考慮した表現にしてほしい。
○ 確かに携帯電話についてはサービスも充実しており、大きな経済効果が得られるが、700MHz帯をITS用途として利用することで経済効果以外に交通事故死傷者数が減少させられるという社会的な意義があることについて報告書に盛り込みたい。
○ 調査の仕方から考えると、市場規模はユーザからの期待を表すひとつの指標という見方もあるのではないか。
○ ITS無線システムの市場規模を算出する際に使用したカーナビの出荷台数に海外販売分も入っていたかと思うが、それは入れたままで良いのか。
○ 市場規模の推計を行う際の前提条件は可能な限り妥当性のあるものにする必要がある。今回は、工場出荷額ベースの数値を採用しており、輸出分も含めて大量生産することでコストが低下するとの考え方から海外出荷分も含めて計算している。なお、販売店価格ベースで算出するのであれば、流通コストも考慮する必要があるので国内出荷分に限定して算出する必要がある。

(2)アーキテクチャについて
・「ITS無線システムアーキテクチャの提案」(資料7−3)について日本電気の山本構成員より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 今回提示された議論ポイント例について特段異論はないが、このポイント例の直後にITS通信システム全体アーキテクチャが提示されており、両者の間の議論がないのでアーキテクチャ図に記載された各部分が何を意味しているのか分かりにくい。特に、図中のサービス管理センタやITSシステム管理センタについて、これらが果たすべき機能が分からない。図に示されたのは物理的アーキテクチャだと思うが、その前段に論理的アーキテクチャがあり、そこに示された個々の論理的な機能を物理イメージに落としたものがこの図に示されるのではないか。
○ 機能の観点からはITS通信参照アーキテクチャ(案)として示してあるので、ITS通信システム全体アーキテクチャ(案)とITS通信参照アーキテクチャ(案)をセットでどのような機能が必要か議論していただきたい。
○ サービス管理センタやITSシステム管理センタについて、今回提示されたのは通信のアーキテクチャとしての図だと思うが、これと別に通信以外のシステムも考慮したITSの安全運転支援システム全体のアーキテクチャというものもあると思う。その中で通信に係わる部分が今回示された図だとするなら、例えばサービス管理センタやITSシステム管理センタが通信に係わる部分のみを管理するのか、それ以外の部分に対しても関与するのか名称だけからは分かりづらいので、通信の部分のみを管理するというのが分かるような記載にしたほうが良いのではないか。
○ この資料が、作業班の中でアーキテクチャについて深堀したほうが良いという趣旨で提示されたのであればそれは難しいと思う。資料の中で提示されている議論ポイントについては異論ないが、この議論のポイントのうちいくつかについて、既に研究会や作業班、アドホックの中で議論された内容を考えると、この作業班の場で議論するには厳しい内容がいくつかある。論理と物理のアーキテクチャの話については、前回の作業班でITS情報通信システム推進会議運転支援通信システム実用化検討SIGの神崎主査が発表された電波管理やシステム管理等についても配慮しながら、研究会以外の場で検討する必要があり、作業班としてアーキテクチャについて議論して報告書に掲載するのは違和感がある。
○ 全ての内容をこの場で議論するのは難しいと思うが、議論ポイント例としてあげた内容のうち、例えば欧米との整合性やマルチアプリケーションの観点などについては作業班の中で既に議論されており、議論の結果をアーキテクチャの中に書き込むことで、今後アーキテクチャについて議論をするための方向性を示せるのではと思う。特に、通信の観点から考えたときにどのような物理的つながりをするのかについては、それにより通信形態に影響を与えるのでぜひ早急にご議論頂きたい。この図は通信の観点で描いたが、例えば通信は路側機と車載機間のみでよいのか、それともその裏にネットワークがつながっているのかという点については、通信の専門家だけでは方向性を示すことは出来ないので、この場で議論が出来ないのであればどのような場でどのようなスケジュールで検討を行うのか方向性を示してもらう必要がある。なお、今回提示したシステムイメージ例に対して合意が取れないのであれば、ネットワークの観点ではなくサービスの観点でどのような構成要素が必要なのかのイメージを示してほしい。
○ ご指摘のとおりアーキテクチャについての検討を行う場は必要だと思う。但し、今回提示されたシステムイメージ例は、議論ポイント例に記載されたセキュリティ機能、システム管理機能、既存システムとの連携についての議論をしないと合意は出来ない。それを議論するのは時間的にもこの作業班では難しいので、議論の場として例えば神崎主査のSIGのようなところを活用してはどうか。ITS通信システム全体アーキテクチャ(案)として示された図のうち、路側機や車載機についてはサービスから要求される機能である程度検討できると思うが、それ以外についてはセキュリティ機能等の議論がされていないので、今回の報告書で記載するのは難しい。もし全体のアーキテクチャ図を示す必要があるなら、欧米で検討されているものを一例として載せることでどうか。
○ ITSシステム管理センタが何を意味するのか、サービス管理センタが管理するサービス範囲などについて現時点で明確でないので、この図を報告書に載せるのはどうかと思う。議論ポイント例として記載された内容については、今後どこかで議論する必要がある旨を報告書に記載するに留めるべきだと思う。
○ 今回提示されたものは、今後検討すべき課題として重要な指摘だと思うし、その趣旨も良く分かる。検討の対象範囲について資料ではITS通信システムアーキテクチャの提案とされているが、これだとテレマティクスや放送系なども検討対象となる印象を受けるが、これらについても今回提示されたアーキテクチャの中に含めて議論を行うのか明確にしないと議論が発散する恐れがある。また、資料7−4についてRC−006に規定と記載されているが、RC−006は既に車車間・路車間通信共用システムを対象システムに含めるための議論が始まっており、その結果によっては改定されることもありえるので、いつの段階のRC−006なのか明記する必要がある。さらに、アーキテクチャを検討する目的は、標準化と汎用性を持ったシステム設計に役立てるためだと思うが、検討に必要となるアプリの要求条件を明確にしないと議論できないので、最終的には運用主体がアプリの要求条件を提示すると思うが、それがある程度固まった段階で検討を始めるべきではないか。従って、報告書には今後の課題としてやるべきことを記載する形が良いのではないか。
○ 今までの意見を聞く限り、今後ネットワークやセキュリティ等についての議論が必要だが、それを行うにはその分野の専門家を加えて行う必要があると思う。また、現在作業班ではITS無線システムの全体を把握した上でレイヤー1、2を主な議論の対象としていることから、報告書には今後システム全体を検討する際に持つべき視点と、それを踏まえた検討すべき課題について記載できれば良いのではないか。

・「ITS安全運転支援無線システムアーキテクチャ(例)」(資料7−4)について技術課題アドホックの松ヶ谷リーダーより説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 今後どこまでをITSのサービス範囲とするか、またセンサー情報などの通信以外のシステムがアーキテクチャに含まれるのか、またそれらがどのようにつながり、通信システムとの関係がどうなるのかご議論頂きたい。それから、通信の検討をするうえでアプリからの要求条件が大きく影響すると思うので、アプリを提供する側と通信を検討する側が集まってアーキテクチャの検討をする必要がある。
○ 資料7-4で示されている図のネットワーク層の部分で括弧書きで記載されているFrame Informationについて、報告書案の中には特段記載されていないので、この絵を報告書に載せるとすると、唐突にFrame Informationの言葉がでることになる。従って、報告書でこれについて触れるか、若しくは図から削除して報告書に載せたほうが良いのではないか。
○ ご指摘のとおり、この図を報告書に載せるのであればFrame Informationについては削除すべきと考える。
○ 今後、何故日本だけがITS用途に700MHz帯を利用するのかという意見が海外から聞かれると思うので、そのときに海外と会話をするためにもアーキテクチャの整理が必要となる。その際、例えば米国では上位と下位のレイヤーは別々の場で議論されていることから、日本でもそれぞれどのようなところで議論するのか定める必要がある旨を今後の課題として記載する必要があるのではないか。
○ 先程より出ているシステムアーキテクチャの議論を今後行うような場所が既に決まっているのであれば教えてほしい。
○ 報告書案の中の推進方策の部分で、ある程度具体的に記載している。
○ 資料7-3にあるITS通信システムアーキテクチャ(案)について、報告書に載せるのは難しいとのことだったが、一方海外で行われている検討例として何かしら提示したほうが今後の参考になるという意見もあったので、例えば米国のVIIで示されたアーキテクチャなどを示すのではどうか。
○ 今回提示された図について言えば、例えば路側機という表現からは携帯電話の基地局のような中広域メディアは含まない印象を受ける。つまり、資料の中で想定しているシステムの要求条件がETCのような狭域通信のみを想定している印象を与えるので、誤解を招かない表現にする必要がある。
○ ITS通信システムでは、安全運転以外にテレマティクスなども含めるイメージになるのでこの図と一致しない。また、ITSシステム管理センタというのがどこまで管理するのか不明確なので違和感を覚えた。アーキテクチャ図のタイトルがITS通信システムとなっているために誤解するような印象を受けるので、図のタイトルを安全運転とすればどうか。
○ このアーキテクチャをどこまで適用するのか明確化することが重要だと思う。ITSとして考えられるサービスのうち、どれをこのアーキテクチャの範囲に入れるかを整理しないと、それぞれが個々のイメージで対象範囲として定めて描いたイメージ図では他の人が見ると違う印象を与える。
○ 資料7-3に参考として欧米のアーキテクチャを提示したが、これらはどちらかというと通信のアーキテクチャなので、システム全体の検討の参考になればと考えてITS通信システム全体アーキテクチャ(案)を提示した。
○ これについては報告書案に既に似たようなVIIのシステム概要が提示されている。
○ アーキテクチャの議論をする際に、垂直統合する部分と水平分業する部分のすり合せを行い、どのインターフェースを規格化し、どのレイヤーに何の機能を持たせるかについてコンセンサスを取らないと、絵の議論から入っても一致させる範囲やレイヤー等に関する個々の考えが異なるので一致しない。従って、この研究会の中では、国の強制規格とすべき部分、各社が民間規格として足並みをそろえる部分及び個社が独自に定める部分を明確化し、それぞれの部分ついていつまでにどこで議論するかを報告書で明確させていただきたい。
○ 報告書本体に今回提示していただいたアーキテクチャ(案)を掲載するのは色々なご意見があると思うが、一方で各国との協調や国際標準化を進める上ではアーキテクチャについて検討する必要もある。従って、アーキテクチャについては今後議論する出発点として使えるよう、報告書本体ではなく参考という形で、まとめさせていただきたい。

(3)報告書案について
・「ITS無線システムの高度化に関する研究会報告書(案)」(資料7−5)について事務局より説明があった。質疑応答における主な発言は以下のとおり。

○ 09年の2月にお台場で行われた実証実験の結果については報告書に記載されないのか。
○ お台場で行われた大規模実証実験について詳細には記載していないが1.2(3)IT新改革戦略のところで、その経緯も含めて記載している。具体的には「2009年2月下旬には、東京臨海副都心地区(お台場)において、安全運転支援システムの公開デモンストレーションが実施されたところである。」と記載している。
○ 官民が連携した取組みなので、もう少し大きく記載いただいても良いのではないか。
○ ご意見を踏まえ、参考という形で掲載させていただく。
○ 5.1.1で実用化に向けた技術課題について文章で記載されているが、最後に表としてまとめると見やすいのではないか。また、第6章の導入・普及シナリオと市場規模予測のところで、普及予測についての記載はあるが、具体的な市場規模についての記載はないようだが。
○ 市場規模は、現時点では記載していないが最終的には記載する予定。
○ 導入方策の図にある官民連携による推進の箇所で、「ITSフォーラムにおいて」と記載されているが、ITS推進協議会についても乗せた方が良いのではないか。
○ ITS推進協議会とITSフォーラムを記載させて頂く。

○その他
・作業班は、特段のことがなければ今回を最終回とする。
・次回の研究会第4回会合は、4月17日(金)10時から総務省8階第1特別会議室にて開催予定。
・作業班最終回にあたって竹内移動通信課長より挨拶があり、短時間で精力的にご議論していただいたことに対する感謝及び今後報告書を取りまとめた後に700MHz帯を用いたITS無線システムの技術基準策定に向けた作業を行う旨の発言があった。
・作業班最終回にあたって唐沢主査より挨拶があり、今回作成される報告書が今後新たな検討を行う際のベンチマークになることが期待される旨の発言があった。

○閉会

以上

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