会議資料・開催案内等


情報通信審議会総会(第14回)議事録




第1   開催日時及び場所
  平成17年7月29日(金) 13時00分〜14時26分
  於、総務省8階第1特別会議室

第2   出席した委員等(敬称略)
委員
   庄山 悦彦(会長)、宮原 秀夫(会長代理)、荒川 薫
大山 永昭、清原 慶子、古賀 伸明、後藤 滋樹、酒井 善則
坂内 正夫、佐々木かをり、清水 英一、関根 千佳、高橋 伸子
畑 文雄、竹中 ナミ、辻 正次、土居 範久、土井 美和子
東海 幹夫、中川 正雄、長田 三紀、根元 義章、平野 浩志
御手洗 顕、宮崎 久美子、村上 輝康、安田 雄典
臨時委員
   村井 純
(以上28名)

第3 出席した関係職員等
 (1)   総務大臣、大臣政務官、事務次官及び大臣官房
麻生 太郎(大臣)、山本 保(大臣政務官)
香山 充弘(事務次官)、松井 浩(総務審議官)
高原 耕三(総務審議官)、平井 正夫(官房長)
清水 英雄(政策統括官)、鬼頭 達男(技術総括審議官)
松井 英生(官房審議官)、小笠原 倫明(官房審議官)
山川 鉄郎(官房参事官)、田中 栄一(官房企画課長)

 (2) 情報通信政策局
堀江 正弘(情報通信政策局長)、武井 俊幸(技術政策課長)
南 俊行(地上放送課長)

 (3) 総合通信基盤局
有冨 寛一郎(総合通信基盤局長)、江嵜 正邦(電気通信事業部長)
石田 直裕(国際部長)、武内 信博(総合通信基盤局総務課長)

 (4) 事務局
福岡 徹(情報通信政策局総務課長)

第4 議題
本会議は、情報通信審議会議事規則第9条の規定により、公開にて行われた。

1   答申事項
  (1) 「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき 役割」について【平成16年1月28日 諮問第8号】
  (2) 「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」について
【平成16年7月28日諮問第9号】

2   報告事項
分科会及び部会の審議状況について
  ア 情報通信技術分科会の審議状況について
  イ 情報通信政策部会の審議状況について
  ウ 電気通信事業部会の審議状況について






  開会
  
庄山会長  時間になりましたので、まだおいでいただける方で少し遅れておられる方がおりますけれども、本日、大変お忙しいところ、また、お暑いところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
  ただいまより情報通信審議会総会(第14回)を開催したいと思います。
  本日、委員30名中、現状22名でいらっしゃいますが、27名のご出席をいただけるように聞いておりまして、臨時委員1名が出席されておりますので、いずれにいたしましても定足数を満たしておりますので、会を開かせていただきたいと思います。
  本日の会議は公開という形でやらせていただきます。それから、傍聴者の方々は、傍聴に当たりましては留意事項をお守りいただきますようにお願い申し上げます。また、本会議の模様はインターネットによりまして中継いたしておりますので、ご了承願います。
  それでは、お手元の議事次第に従いまして議事を進めてまいりたいと思います。

  議題

答申事項

 
  (1)  「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けての行政の果たすべき役割」について【平成16年1月28日 諮問第8号】

庄山会長  初めに、諮問第8号「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」について審議をいたしたいと思います。
  本件は平成16年1月28日に諮問されておりまして、幅広い分野における地上デジタル放送の今後の利活用の在り方や、その実現に向けた課題と解決方策につきまして、「情報通信政策部会」及び「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」において精力的に審議していただき、第2次中間答申案を取りまとめていただきました。
  それでは、第2次中間答申案につきまして、平野部会長からご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
平野情報通信政策部会長  情報通信政策部会部会長の平野でございます。
  「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」につきまして、第2次となります中間答申の案を取りまとめましたので、検討経緯もあわせましてご報告を申し上げ、ご審議いただきたいと思います。
  本件は、昨年1月に当審議会に諮問され、情報通信政策部会に地上デジタル放送推進に関する検討委員会を設置して審議が行われておりまして、昨年7月に第1次中間答申がまとめられました。その後、昨年末から審議が再開されまして、計9回の会合を開催いたしまして検討を行い、お手元の第2次中間答申案をまとめさせていただきました。ご覧いただきたいと思います。以下、中間答申案の骨格を申し上げます。
  本案でございますが、大きく2つに分かれます。1つは、前回の中間答申を受けまして、公共分野における利活用推進に関する提言の部分、もう1つが2011年までのデジタル全面移行に向けまして、特に重点的に取り組むべき事項に関する提言の部分、以上大きく2つに分かれます。
  まず、公共分野におけます利活用推進につきましては、携帯端末向けサービス、サーバー型放送など高度なサービスの活用、導入について課題を整理した上で、その解決に向けた実証実験の推進を提言いたしました。
  デジタル全面移行に向けた重点施策につきましては、中継局整備の全体像の明確化、それからアナログ受信機に関する視聴者への情報提供、いわゆるコピーワンスと著作権保護の仕組みの見直しなど、受信機の普及に向けた具体策、そして地上波の再送信におけるIP、衛星の活用など、いわゆる通信・放送融合を活用したデジタル放送の普及方策等について、できるだけ目標年次の明確化を図りながら具体策の提言を行っております。
  骨格は以上申し上げたとおりでございますが、詳細につきましては検討委員会の主査でございます村井臨時委員よりご報告をお願いしたいと思います。村井主査、よろしくお願い申し上げます。
村井臨時委員  村井でございます。お手元の資料1−1に従いまして、本件の第2次中間答申のご説明をさせていただきたいと思います。
  まず、1枚めくっていただきたいと思います。地上デジタル放送の普及に関しましては、第1次中間答申でもございましたように、デジタル化されるということ、メディアが発展をしていくということの中でデジタルコンテンツが流通し、使われるようになるということが始まっているわけですが、この視点で言いますと、我が国の水準は、ハイビジョン、そのクォリティの高さ、モバイル端末の普及度、いろいろなサーバー型通信、そしてブロードバンドの環境、その他を全部含めまして、各国に比べて非常にクォリティの高いマーケットを持っている。つまり、その中で物をつくっていく人たちにも非常に高度なことを期待でき、そして見ている人、視聴者もレベルが高い。こういうことが期待できるということを背景にしまして、今ご説明がありましたように、公共分野での利活用、そしてどのように我々の力でこれを普及させていくかということが大前提になっているかと思います。
  答申の骨格は、今ご説明がありましたように2部、つまり公共分野における利活用の推進と通信・放送融合の積極的活用における全面移行をいかに円滑に進めるかという点の2つになっております。公共分野に関して言えば、基本的にこのデジタル化の技術の非常に重要な視点は、人と社会にメトリックがあるということでございまして、つまりユーザーがメリットを感じるということ、それが何であるかということを調べるプロセスが大変重要になってまいります。このため、そういう意味での社会実験はとても大切になってまいりますが、本委員会では地方自治体のたくさんの方々のいろいろなご経験、そしてご提案をいただけたということで、地方自治体の関係者の知恵を結集した上での議論ができたのではないかと思います。そういった中で実証実験のあり方を整理し、その成果をきちんと公開することによって利用者、視聴者、国民の皆様のフィードバックを得るというメカニズムをうまく利用して普及を進めていくということが、一番重要な流れではないかと思います。
  そして、2番目の通信・放送融合という言葉でございますけれども、実際には委員会の中ではむしろ「ハーモニー」という言葉が何度も使われました。融合ということよりも、むしろデジタルコミュニケーションの基盤を全体的に見た中で、いろいろな特徴を生かし、どのようなすぐれたマーケットをつくっていくかということでございます。つまり、これは放送・通信、その他業界を問わずに、皆様の協力、ハーモニーが大事なのだという点でございます。
  それから、2011年停波というのは、ここではギブン、すなわちもう決まっていることということで考えておりますので、2011年の時点で国民の方々にとって、あるいは社会にとって悪いことが起こっては困る、あるいは後退しては困るということがございます。そういう意味では2011年に向けて、私どもの委員会ではなりふり構わず全面移行へのプロセスを進めていくということであります。2011年の時点できちんとコミットメントを果たすということはとても大事ですし、それから2011年以降に関しましても、さらに発展させていくことが必要になるだろうと。何といっても停波ですので、それに対応することはとても大事な、あるいは難しい課題ですので、総力をあげて取り組む必要があると考えております。
  2枚めくっていただきまして、第1部の公共分野の部分ですけれども、基本的には過去の様々な成果がございますので、これらの知見をモデル仕様書として取りまとめること、それからこの導入に対して先導的に取り組む自治体、そして先ほど申し上げました市民、国民へのフィードバックをつくっていくことが大事だということでございます。
  次のページを見ていただきまして、ご説明しましたように、これまでに沢山の検討事項があり、ここにある携帯端末向け、サーバー型放送、高度なデータ放送といった多様な新しい力があるわけですけれども、そういうことに対する地方公共団体の先導的な取り組みを進めていく必要があるだろうということでございます。
  めくっていただきまして、通信・放送融合による円滑なデジタル全面移行の実現でございますけれども、基本的には通信と放送が協調していく、この情報社会の中でみんなが力を合わせていくということは当然のことだろうということでございます。むしろその中で今のテレビジョンの規格等々を見ていただきましても、通信・放送両方の環境を上手に使って、利用者の利便性を上げていくことが本当に求めることであり、重要な鍵だという考えでございます。
  そして、全面移行を実現するためにはそのアドバンテージを、つまり日本の中で発展しているデジタル環境のメリットを最大限に利用していくことがとても大事なことであるということでございまして、端末、伝送路、事業体、コンテンツという中でのいろいろな協調、融合が、そこに書いてあるように検討されたということでございます。
  次のページを見ていただきますと、伝送路の融合ということでございますけれども、基本的には地上波中継局による伝送路を原則としつつも、今までもケーブルテレビの役割等がございましたが、特にデジタル化されると、伝送路に対する多様な可能性が出てくる。それから、2011年というのはこれから6年しかありません。その中でデジタルへの移行を完了するためには、既存のケーブルテレビの役割に加えて、いろいろな伝送路を伴う事業者間の公平な競争ということも考慮しなければいけません。また、今までの制度とのコンシステンシーについても考慮する必要があるでしょう。その中で、可能なあらゆる手段を検討するということが大事だということでございます。
  コンテンツの融合というのは、デジタル化された中で流通していくためにはさまざまな課題等がございますけれども、非常に大事な長期的な視点というのは、こういったコンテンツをつくっていく人にとって魅力ある最高のマーケットをつくり出すことではないかと思います。
  次のページをめくってください。全面移行の確実な実現ということの中では、停波が2011年でございますので、その瞬間に駆け込むということはとてもリスクがあり、こういうことはできませんので、停波の前に十分な時間的な余裕をもって、すべての人がデジタル放送を受信できる環境を整備することがとても大事になりますし、そのためのさまざまなインフラ整備も必要となります。
  そして、そのための中継局整備の全体像がどのようになっているのかということも、委員会の中で地方自治体の方からいろいろな質問があり、情報の流通に関する問題も出てまいりました。いわゆるハード・ソフトの一致ということを原則としつつ、可能な限りすべての中継局ロードマップを年内に公開することを目標にして、本当に見られるようになるのかということも含めたいろいろな声に応えていくことがとても大事になるだろうということでございます。
  めくっていただきましてこの表を見ていただきますと、黄色い部分がアナログ受信機、ブルーの部分がデジタル受信機でございまして、今後このアナログ受信機がどうなるのかということ。つまり、そのままではアナログ受信機は受信できるようにはなりません。STB等のアダプターがあって、使えるということもございます。そして、新しく購入する機器というのは、その区別をはっきりさせる必要がございます。この状況が多くの方に認知されているかというのは、そこに書かれているように十分ではないわけですが、これに対するエクスキューズはあまりありません。従いまして、周知を徹底していくこと、その状況に関する取り組みは正しく行わなければいけないということでございます。
  その次のページを見ていただきまして、共聴施設に対する対応ということでございますが、このことには正しい情報の提供を早急に実施することが重要でございます。つまり、どこに何があり、どういう設備をどういうふうに整備することにより、いつ何ができるのかということの実態をはっきりさせるということでございます。
  その中には施設の改修等を伴う場合がありますが、改修コストを軽減する対策手法を開発したり、それを実施することが必要になってまいります。そのことの進め方、その成果、結果、経過をきちんと透明にしていくことはとても大事なことだということでございます。
  次のページを見ていただきたいと思います。全面的な移行の中では受信環境を整備するということも必要でございまして、現在、デジタル放送ではコピーワンスなど著作権保護の新しい技術が導入されております。これに関しまして、著作権の保護、視聴者の利便性の向上、そして受信機の普及、これらを全部両立させることが必要になってまいります。ルールの動向や現段階での技術、さらに2011年を前にした、十分な余裕がある時点ですけれども、その時点での必要な技術の開発、こういうことも含めまして技術と制度の両方の面から著作権保護の運用の見直しをしていく必要があるだろうということでございます。
  そのために、本年9月を目途にメーカー・著作権団体・放送事業者の関係者による検討の場を設けて検討し、年内を目途に結論を得ることが必要だろうということでございます。
  さらに次のページを見ていただきまして、IPマルチキャストを用いた通信インフラということで、基本的にはインターネットで用いられるIP伝送を利用した効率のいい伝送が期待されるわけですけれども、一方では既に公衆通信網でのIP伝送への対応が進められているということがございます。いわゆるIPマルチキャスト方式の実用化で、大容量のデータを多数の相手に対して配信するということも実際にビジネス等で始まっております。そういったところを鑑みまして、条件不利地域に限らずこれらを積極的に活用して、伝送路の融合を進めることが必要になってまいります。
  そのためにはHDの品質を原則とするということが必要ですので、2008年にHDの品質によって全国で開始する。2006年にはそのためのさまざまな再送信の仕組みを確立するために、SDの品質によって開始するという目標設定が必要だろうということでございます。
  これにはさまざまな条件、競争のメカニズム等が必要になりますので、IPインフラの活用における条件を整理してそれを公表し、周知させることが重要になる。これは本年度中を目途にということになっております。そして、それに並行いたしまして平成17年度に行われる実証実験におきましても、ケーブルテレビ、そのほかの再送信メディアなどとのバランス、その関係に配慮しつつ、2006年の再送信のあり方についての検討や結論を得ていく必要があるだろうということであります。
  制度面に関しましても、IPマルチキャストを用いた役務利用放送法上の「放送」の著作権法における位置づけを明確化する必要が出てまいります。
  技術的には視聴者の利便性を確保するとともに、ほかの再送信メディアとのバランスを維持して、本年度中を目途に衛星やケーブル、そのほかのメディアとの技術の共用化の可能性を検討する場を設置して、18年度中を目途に結論を得る必要があるだろうということでございます。
  次のページをめくっていただきますと、今申し上げました条件というのが現在も議論の最中であり、たくさんのご意見が出されました。例えば当該放送対象地域内に限定されるという地域限定の原則を技術的に担保できるかどうかということがきちんと検証されなければいけないということがあります。つまり、同一性の保持や画質が落ちないというような、視聴者にとって同じクォリティのサービスが受けられるかということの担保でございます。
  地上デジタル放送の特徴はクォリティの高いハイビジョン、いわゆるHDTVの伝送ということが原則とされる必要がございます。その中でなぜ2006年にSDの実験を始める必要があるかという点でございますけれども、この中では今までの条件、例えば地域限定や同一性の保持に対する新しい技術の挑戦が出てまいりまして、それがスケーラブルな、つまり規模として耐えられるものにするということを進めるために、2008年開始の2年前をターゲットにしたという背景がございます。
  1枚飛ばしていただきまして、自治体が持つ既存の通信インフラの利用という中では、小規模な中継局を組み合わせた伝送方式を、地上デジタル放送を伝送する1つとして確立することが必要だということで、この絵に書いてあるように通信インフラを上手に活用して、この目標を推進しようということでございます。
  次のページに移っていただきます。伝送路の融合のコンセプトにおける衛星ということが、今回は大分議論されました。その結果、技術的検証、視聴者への情報提供を目的として、本年8月を目途に実証実験に着手して、2007年度中を目途に衛星による地上波再送信を開始することを目標としています。この中では、圧縮率の高いH.264方式を用いたHDの送信を技術的にも実証する必要があるということでございます。これは今のMPEGという方式よりも圧縮効率が少し高くなるが、衛星の中では上手に利用できるだろうと考えています。
  衛星は、また地域性の担保ということが基本的にできるのかという声もありました。このことがどのように技術的に実現できるかということも検証する必要がございます。
  それから、広い地域の中での有効性というのは理解されているわけですが、雪が多い地域などを考えますと、積雪に対して十分な力があるかといったことも検討の材料として必要だということが挙げられました。
  次のページを見ていただきまして、コンテンツの融合ということですけれども、基本的にはデジタル放送のコンテツ制作に関しまして、放送事業者がその創意工夫を最大限に発揮するということを可能にするためにも、放送コンテンツに関するアナログとのサイマル規制のあり方についての検討に着手して、本年内を目途に結論を得る必要があるだろうということでございます。
  また、通信放送に関する人材・ノウハウの共有を加速していく必要があるということで、放送コンテンツ制作にかかわるいろいろな外国の政策等もきちんと理解して、本年内を目途に結論を得る必要があるだろうということで議論されました。
  以上が第2次中間答申の内容の概要でございます。
庄山会長  以上、よろしいですか。どうもありがとうございました。
  それでは、ただいまのこの答申案のご報告につきまして、皆様方からのご意見、ご質問をお願いしたいと思います。
辻委員  簡潔にご説明いただきましてありがとうございました。
  ちょっと難しい言葉がいろいろ出てきましたものですから、わかりやすいイメージ像で少しお願いしたいのですけれども、例の伝送路の融合ですので、放送と通信の融合ということが起こってきますから、今ご説明の中でIPを使ったり、光ファイバーを使ったような、それは今まではどちらかというと通信が占用しておりましたインフラを、この地上デジタル放送を流すというイメージですけれども、それは具体的に、通信側から見たらインフラを持っている人がこういうものを事業として流せるようなイメージで融合が進んでいくのか、そこの具体的なイメージがよくわからなかったので、ご説明願えるとありがたいのですが。今の放送と通信の分離が、地上デジタルになればどういうふうに進んでいくのかですね。
村井臨時委員  基本的には、ここでお話をしているところというのは事業者間、産業としての変革というよりは、地上デジタルを2011年の停波に向けて、あるいはそこの準備の段階として、どういう役回りで地上デジタル放送、つまり放送事業者が主体となって、ここは変わらないという前提でございます。
  そのサービスをどのように本来のあり方で、国民の利便のために利用できるかというプロセスの中に、先ほどハーモニーと言いましたけれども、通信事業者の持っているインフラサービス等が協力をして放送事業者のサービスを支えていくことが、社会全体のモデルとして考えられているということだと思います。
辻委員  今の基本的な分離みたいなものが前提のようなお話ですね。
村井臨時委員  産業面の融合ということよりも、むしろ地上デジタルの放送事業者の役割をいかにスムーズに展開していくかという視点だと私は思っています。
土居委員  ただいまご報告いただきましたのは第2次中間答申と。内容にかかわらないことなのですが、中間答申ということですが、今後のご予定はどういうことになっているのでしょうか。2次中間ですので、最終に向けて。
庄山会長  じゃ、事務局のほうからご回答申し上げます。
南地上放送課長  地上放送課長でございます。
  今回、第2次中間答申の取りまとめをいただきまして、このご提言の中に年内にいろいろ結論を取りまとめなさい、あるいは年度内に取りまとめなさいという、ある程度目標を切っていただいた宿題も数多くいただいておりますので、その部分について引き続き検討していくものがあれば、さらに引き続き委員会のほうでご議論いただいて、さらに年内に結論を出すべきものにつきましては、年内に取りまとめをさせていただいて、ご報告させていただくという段取りになろうかと思っております。
土居委員  ということは、さっきのある意味において時間を切ってやるべきであるということは、この中間答申に基づいて直ちに実行にかかられるということだと理解すればよろしいのですか。
南地上放送課長  そういうご理解をいただきまして、ご提言を踏まえて、あとはそれを具体的にどう、例えば実証実験をする中でこの提言の趣旨を生かして、実証実験を進めさせていただくべきものは粛々と進めさせていただきたいと思っております。
長田委員  どういう形でそれぞれの日本全国の視聴者のところにデジタルが届いていくのかということがもう少し見えてこないとよくわからない、どういうふうに広報していいのかというところまでは話が進まないのかもしれないのですが、今回いただいている中間答申では、テレビの受像機の販売店の店舗での周知徹底とか、また新聞紙上での広告ということが書いてありますけれども、この方法だけでは個々の視聴者がどうすればいいのかというところまで、まだ具体的な実感としてわいてこない部分があると思うのです。停波するということと、この広告でもXデーというふうに書いてありますけれども、それは自分が何か行動を起こさなければいけないというところになかなか結びつきにくい。
  すべての人が11年までの間にテレビを買いかえるのかというと、それはいろんな年齢層の方もいらっしゃいますので、最終的な選択のところで、この日になってテレビが見られないという危機感をぎりぎりのところで起こすようなことがないように、極力丁寧な広報の仕方をご検討いただければと思います。
南地上放送課長  委員のご指摘はそのとおりだと私どもも思っておりまして、あと残された時間が6年しかないということで、先般初めて私どもも新聞広告を出させていただいておりまして、これ1回きりで十分周知できるかといったら、そういうことは当然ないだろうということで、当然、メーカー側、あるいは販売店側のほうにもこれからよくご協力をお願いいたしまして、2011年の持っている意味につきまして視聴者の皆さんに正しくご理解いただくために、国としても積極的な広報・周知はしてまいりたいと思っておりますけれども、それに加えまして、いわゆる2011年の問題を放送事業者の立場でも同じような問題意識を共有していただいていると思っておりますので、放送メディアを通じてどのような形で2011年の問題を知らしめていくのかということにつきましても、放送事業者のご協力も必要だろうと思っております。
村上委員  これは基本的な考え方を拝見しましても、通信・放送融合について明快な考え方が出ていまして、これが具体的に進んでいくイメージがこれで共有できるのではないかと思っておりまして、非常に期待をしております。このプロセスで実証実験をやると同時に、周りの問題についても十分議論を尽くして、これが通信・放送融合の1つのモデルになるような展開を期待しております。
  1つ細かいことなのですが、IPの伝送路というのはIPV6ですか、原則として。
村井臨時委員  今、この段階ではIPのバージョンに対してこだわっておりませんけれども、さまざまな技術、例えばマルチキャストの実用性、例えば同一性とか地域性というのをアイデンティファイしていかなければならないという、制御に関しては一般的にはIPV6の強い領域でございます。ただ、全国に普及という背景をかんがみて、この実証実験を通じてそのあたりも調整していくというのが現状だと思います。
庄山会長  どうもありがとうございました。ほか、どなたか。よろしいでしょうか。
  それでは、皆様方からもいろいろ活発なご意見を頂戴いたしましたし、先ほどの説明にもございましたように、これから後の年内に向けていろいろ相談し、関係の方々との打ち合わせ等々ありますので、ぜひそういうところでよくお打ち合わせをいただいて、最終的に利用者視点での便利なものということをぜひお願いしていきたいと思っております。
  それでは、一通り皆様方のご意見も頂戴いたしましたので、諮問第8号につきましては資料1−3のとおりに中間答申することにいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
庄山会長  どうもありがとうございました。それでは、本案をもって中間答申ということにさせていただきたいと思います。

  (2)  「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」について
   【平成16年7月28日 諮問第9号】

庄山会長  引き続きまして、諮問第9号「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」についてご審議をお願いしたいと思います。
  本件は平成16年7月28日に諮問されておりまして、我が国の情報通信分野の研究開発力を強化することを目的にして、今後のユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方や、その課題と解決方策について、情報通信技術分科会及び研究開発戦略委員会において精力的にご審議いただき、答申案を取りまとめていただいたものでございます。 では、答申案につきましては宮原分科会長からご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
宮原情報通信技術分科会長  ご報告いたします。宮原でございます。これより諮問第9号に対します答申案について報告させていただきます。
  私からは答申案の概要を説明させていただきまして、詳細につきましては本件の審議を行いました研究開発戦略委員会の主査を務めていただきました根元委員に説明をお願いしたいと思っております。
  なお、答申案の本体は資料2−2でございますが、非常に分厚い資料でございますので、ここでは概要を取りまとめました資料2−1に基づいて説明させていただきたいと思います。
  それでは、資料2−1の2ページ目の答申案の要旨と、3ページ目の答申状況をご覧いただきたいと思います。
  ICTは、1995年ごろから急速に普及いたしましたインターネットや携帯電話によりまして、今日の国民生活や社会経済活動を支える社会基盤として広く定着しております。産業面におきましても、情報通信産業は市場規模第1位にまで成長しておりまして、今後も日本経済をリードしていくことが期待されております。
  しかし、情報通信産業の市場構造の変化等によりまして、ICTの研究開発をめぐる環境は大きく変化してきておりまして、今後のICTの研究開発のあり方が大きな課題となってきております。
  政府におきましてもe−Japan戦略I1及びII2に基づきまして、また第2期科学技術基本計画の重点4分野の1つとして、重点的な取り組みがICTに対して行われてまいりましたが、今後も世界最先端であり続けるために、ユビキタスネット社会に向けて始動しております、いわゆるu−Japan政策を研究開発の側面からも積極的に推進していくことが必要であろうと思います。
  また、来年2006年度から始まります第3期の科学技術基本計画におきましても、ICTの研究開発に一層重点的に取り組むことが必要だろうと思います。
  一方、諸外国では、ICTを経済発展のための重要技術と位置づけまして、明確なビジョンのもとで国を挙げて研究開発を推進しております。技術的には、IP技術により通信インフラの再構築を目指します、いわゆる次世代のネットワーク、ネクストジェネレーションネットワーク(NGN)の開発や標準化が本格化しようとしています。
  このような背景の中で、我が国におきましても国際競争力を維持・強化するとともに、地球環境問題や少子高齢化などの社会課題を克服していくために、世界をリードするICTを創造して世界に貢献していくことが必要であり、ICT研究開発の今後のあり方が問われているところでございます。
  このような状況の中で、昨年7月28日に本総会に対しまして、「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」が諮問されたのを受けまして、情報通信技術分科会のもとに研究開発戦略委員会を設置いたしまして、審議を進めてまいりました。昨年の8月6日に第1回の委員会が開催され、1213日までに計4回の会合が開催された後に、1215日の第30回の分科会におきまして、それまでの審議状況を中間まとめという形で委員会から報告していただきました。今年に入りまして検討状況として残されていた課題につきまして、計5回の会合において審議が進められまして、先月27日の第35回分科会におきまして、委員会から最終的な報告を行っていただきました。
  分科会では委員会報告をもとに審議を行いまして、多少の修正を加えまして、答申案とさせていただきました。答申案では、ユビキタスネット社会に向けた社会の潮流を展開するとともに、諸外国におきます動向を踏まえまして、今後、産官学、さらに民と連携し、我が国を挙げて重点的に推進すべきICT研究開発の方向性と重点領域を整理いたしました。
  さらに、重点研究開発を推進しますために、UNS戦略プログラムといたしまして具体的にまとめました。UNS戦略プログラムと申しますのは、まず1番目に国際社会を先導する次世代ネットワーク技術戦略、2番目に安心・安全な社会が目指すICT安心・安全技術戦略、3番目に知的創発を促進するユニバーサル・コミュニケーション技術戦略であります。今後、産学官民の連携によりまして、重点的に取り組むべき10の研究開発プロジェクトから成り立っております。
  また、この3つの戦略プログラムを推進しますために、国等の担うべき役割と研究開発を進める上で必要不可欠となる体制や環境について取りまとめました。
  以上が答申の概要でございますが、以下答申案の詳細につきましては根元委員からご説明をお願いしたいと思います。根元委員、どうかよろしくお願いいたします。
根元委員  根元でございます。それでは、私から委員会での審議経過を追いながら、答申案の内容について説明をさせていただきたいと思います。
  なお、委員会の審議に当たりましては、笹瀬専門委員を主任とする作業班に事前に討議を行っていただきまして、委員会における審議の充実と円滑化に努めていただきました。ここに補足させて、報告させていただきます。
  それでは、恐縮ですが、資料2−1でございますが、4ページのA3・1枚の全体概要をご覧いただきたいと思います。
  ここには今回の答申案の構成や概要を1枚の絵としてまとめさせていただいているところでございます。絵の左側でございますが、ここではユビキタスネット社会への潮流ということで検討しておりますけれども、そこではアジア諸国の急成長といった厳しい国際競争の中で、我が国が今後も発展を続けるために必要となる国際競争力の維持・強化、国民が安心して日常生活を送れるための社会や生活の安心・安全の確保、少子高齢化社会を迎える中で明るい未来展望に向けて、国民一人一人が真の豊さを実感できるための個の活力の増進、この3つの観点からユビキタスネット社会の潮流を整理・分析させていただいております。
  そして、左側の下にありますように、米国、欧州、中国、韓国など諸外国においても、ICTを経済発展のための重要技術として位置づけまして、知の流通や活用等に重点を置いたICTの国家戦略を展望し、明確なビジョンのもとで国を挙げて研究開発を推進しているという状況や、世界的な通信インフラがIP化に向かう流れの中で、国際競争力の確保という観点からますます重要性が高まっている国際標準化について、国際機関であるITUや民間のフォーラムであるIETFIEEEにおける動向などからも、諸外国におけるICT研究開発の動向について整理・分析を行いました。
  これらの整理・分析を踏まえまして、絵の中段にございますけれども、研究開発の方向性やその方向性に基づき、重点化すべき研究開発領域を設定するとともに、ICT研究開発をめぐる課題を整理いたしております。
  さらに、重点化すべき研究開発分野を推進するために、絵の右側の中段にまとめておりますが、8つの研究プロジェクトに求められる視点を考慮しながら、絵の右側の上にありますUNS戦略プログラムを具体化し、新世代ネットワークアーキテクチャをはじめとする10個の研究開発プロジェクトに重点的に取り組むことが効果的であるということを提言させていただいております。
  加えまして、絵の右下にございますように、これらUNS戦略プログラムの推進に向けまして、絵の下の真ん中辺に書いてありますが、戦略プログラムの3つの推進方策と全部のプログラムに共通する2つの推進方策を国の役割として明確化するとともに、総合的に推進するために必要不可欠な標準化の推進、人材育成など環境整備、体制整備に関する5つの方策を提言させていただいているところでございます。
  それでは、今申し上げました概略でございますが、詳細について説明させていただきますけれども、説明時間の都合上、答申案のポイントについて説明させていただくことをお許しいただきたいと思います。
  それでは、恐縮ですが、資料の19ページをお開きいただきたいと思います。ここでは研究開発の方向性を述べております。
  今後、どのような方向でICTの研究開発を進めていくべきか、ということにつきまして、ユビキタスネット社会への潮流や、諸外国におけるICT研究開発の動向に対する整理・分析を踏まえまして議論を行いました。国際競争力の維持・強化、安心・安全な社会の確立とともに、将来の持続的発展に向けた知的活力の発現を新たに加えた3つの方向が重要であるといたしました。
  具体的に申し上げますと、今後も引き続きICTの国際競争力を維持・強化するためには、新たに世界をリードするようなパラダイムシフトを起こす新技術の研究開発と、その強いICT技術を利活用して、我が国の社会経済全体の国際競争力を維持・強化する研究開発が必要でございます。
  また、国民が安心して安全にICTを使い、ICTによって安心・安全な社会を実現するための研究開発も極めて重要となっております。
  さらに、天然資源が乏しく、少子高齢化が進む我が国がユビキタスネット社会で持続的に発展していくためには、いち早く変化に対応し、世界に先駆けて新しい価値を生み出していくしかありませんが、すべての人や物がつながるユビキタスネット社会は、新たな価値を創発するイノベーションを生み出す知的活力発現の環境を整えるのに大変適した社会でございます。
  そこで、知的活力の発現を促すための研究開発を進めることが、今後の我が国の発展に極めて重要であると整理しております。
  それでは、重点化すべき研究開発でございますが、恐れ入ります、20ページをお開きいただきたいと思います。
  以上のような研究開発の方向性に基づきまして、重点化すべきICT研究開発領域を3つに整理いたしました。
  1つは新世代ネットワーク技術でございますが、これは我が国が持つコア技術の国際的優位性を維持・強化できるネットワーク技術とともに、世界のICTの発展にリーダーシップを発揮し得る最先端基礎技術でございます。
  2つ目のICT安心・安全技術は、社会経済活動の基盤となるICTネットワークの安心・安全を確保する技術とともに、ICTにより広義の安全保障、例えば食や医療、環境などでございますが、などの安心・安全を確保し、安心・安全な社会環境を実現する技術でございます。
  3つ目のユニバーサル・コミュニケーション技術というのは、新しい言葉かもしれませんが、個の知的創造力を増進することのできるコンテンツ創造技術や、言語、文化、身体能力等の壁を超越することのできるコミュニケーション技術を総称して、このような技術名とさせていただいております。
  恐れ入りますが、21ページをお開きいただきたいと思います。21ページには我が国のICT研究開発をめぐる課題をまとめております。
  我が国のICT研究開発をめぐる課題といたしましては、長期的な研究開発や基礎研究の弱体化、システムやアーキテクチャの弱さ、社会的受容性の向上にかかわる取り組み不足、ICT研究開発を担う人材の不足などが指摘されておりまして、こういった観点からも研究開発のあり方を考えていかなければなりません。
  そこで、27ページを開いていただきたいと思いますが、27ページにはUNS戦略プログラムということで、ユビキタス重要研究課題プロジェクトによる対応ということでまとめさせていただいております。
  どのようにして重点化すべき研究開発領域の研究開発を推進するかということでございますが、限られたリソースを有効に活用するために重点化が必要との認識のもとで、当答申案では我が国として政策的に取り組むべき研究開発プロジェクトをユビキタス重要研究開発プロジェクトといたしまして設定し、産学官に加えまして民が企画や研究の初期段階から参画して、連携して推進することが効果的であるといたしております。
  29ページをお開きいただきますが、ここではユビキタス重要研究開発戦略を述べております。ユビキタス重要研究開発プロジェクトを構築するに当たりましては、まず我が国の研究開発をめぐる課題を踏まえたイノベーションやブレークスルーの促進など、重点3領域すべてに横断的に関係し、留意すべき事項として、絵の中央に列挙されておりますが、8つの視点が重要であると分析をいたしました。
  そこで、委員会の構成員の方々にご協力いただきまして、重点3領域における技術動向に関してアンケート形式による実態把握を行いまして、作業班や委員会での審議を経まして、今後、研究開発に取り組むべき重要技術について体系的な整理を行いました。
  その結果、ユビキタス重要研究開発プロジェクトといたしまして、3つの方向性に沿った3戦略プログラムを取りまとめました。すなわち知的創発プログラムとしてのUniversal Communications、国際先導プログラムとしてのNew Generation Networks、安心安全プログラムとしてのSecurity and Safetyでございます。このプログラムのアルファベットの頭文字をとりまして、UNS戦略プログラムと命名いたしました。
  また、このUNS戦略プログラムとして取り組むべきプロジェクトを委員会の構成員の方々からご提案をいただきまして、審議を行いました結果、そこに書いてあります10のプロジェクトとして取りまとめることとなりました。新世代ネットワークアーキテクチャから10個述べてありますが、具体的には30ページにあります、その10個のプロジェクトでございます。
  プロジェクト内容をイメージしていただくために、それぞれ簡単な説明が記述されておりますが、詳細については31ページ以降に記述されております。時間の都合上、詳細については省略をさせていただきたいと思います。
  それでは、このUNS戦略プログラム推進の方策でございますが、資料の52ページをお開きいただきたいと思います。このUNSプログラムを効果的に推進するための国の役割や環境整備はいかにあるべきか、ということで取りまとめております。
  国の役割としては、3戦略プログラムを意識した3つの推進方策と、3戦略プログラムに共通する2つ推進方策を挙げました。
  まず、国際先導プログラム推進方策では、産業競争力を強化するために実用化を見据えて研究開発を推進する必要があるため、デスバレーの克服やアジアなど、海外との国際連携の強化に取り組むべきと考えております。
  安心安全プログラム推進方策では、国民の安全を支えるために安定して継続的に研究開発を推進するとともに、中立性・公平性が求められる研究開発の取り組みが必要とされています。
  知的創発プログラム推進方策では、人文・社会科学との融合研究や大規模データベースの構築などを必要としております。
  共通の方策といたしましては、民間ではなかなか取り組みにくい長期的な萌芽的領域の研究開発や、将来に備えた幅広い対応とともに、大規模テストベッドやオープンラボなどの整備・運用を行うことによりまして、総合的に研究開発を進めていくべきであると考えております。
  さらに、プログラムの推進に向けた環境整備や体制整備といたしましては、標準化の推進、人材育成、発意を活かす研究開発の推進、研究評価の積極的活用、技術移転の促進に取り組むべきと考えております。標準化の推進等におきましては、総務省の独立行政法人として研究開発を行っているNICTに期待するところも大きいと考えられます。これらの各項目については、51ページ以降に示すとおりでございます。
  最後に、今回取りまとめましたUNS戦略プログラムが今後のICT研究開発のさらなる推進と、ユビキタスネット社会の実現に貢献することを期待したいと思います。
  以上、簡単ではございますが、答申案の説明とさせていただきます。
庄山会長  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの答申案のご報告につきまして、ご意見、ご質問をお願いいたします。
村上委員  全体としまして非常によくまとまったユビキタス戦略プログラムができたと思います。ひょっとしたらよくまとまり過ぎているかもしれないです。u−Japan政策のときもそうですけれども、これが自己完結しているということでは決してありません。他省庁、他の国、他の問題領域における取り組みと、この研究開発プログラム自体が常につながりうるオープンさを持っている、ということをきちんと出せるような取り組みがこれから行われていくことが望ましいと思います。
  もう1つはお願いなのですけれども、この分野に対しては海外、特にアジア諸国の関心が非常に強いと思います。ひょっとしたら日本国内よりも強いかもしれないという状況だと思うのですけれども、このでき上がったものをできるだけ速やかに英語でもお伝えできるような取り組みをぜひお願いしたいと思います。
  以上です。
武井技術政策課長  事務局をやっております技術政策課長でございます。
  海外との連携につきましては、既に日中韓の大臣会合の中でユビキタスデジタル技術の共同研究ということも、実務的な面も含めて進めているところでございまして、またそうした場などでもこうした戦略などについていろいろ紹介などもしていきたいと思っています。
  そうした観点で英語の表記についても、委員のご指摘を受けて検討していきたいと思っております。
庄山会長  どうもありがとうございました。ほかにどなたか。特によろしいようでございましたら、ただいまの諮問第9号につきまして資料2−3のとおりに答申いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
庄山会長  どうもありがとうございました。それでは、本案をもって答申することにいたしたいと思います。
  これよりカメラ撮りがございます。報道機関が入室いたしますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  
(報道関係者入室)
庄山会長  ただいまから麻生大臣と山本政務官と香山事務次官がいらっしゃいますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
 
 (麻生大臣、山本政務官、香山事務次官入室)
庄山会長  それでは、まず諮問第8号「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」につきまして、中間答申をいたしたいと思います。
  答申書。平成16年1月28日付け諮問第8号「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」をもって諮問された事案について、審議の結果、別添のとおり中間答申する。
  
(諮問第8号答申書手交)
庄山会長  続きまして、諮問第9号「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」について、同じく答申をいたしたいと思います。
  答申書。平成16年7月28日付け諮問第9号「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」をもって諮問された事案について、審議の結果、別添のとおり最終答申する。
 
 (諮問第9号答申書手交)
庄山会長  それでは、ただいま皆様方にご承認いただきました中間答申書をそれぞれ渡させていただきましたので、早速でございますが、麻生大臣よりごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
麻生総務大臣  委員の皆様には常日ごろ情報通信行政に何かとお力添えいただきまして、まことにありがたく心から厚く御礼を申し上げる次第です。
  今、2件の答申をいただきました。地上デジタル放送につきましては、これは昨年の第1次中間答申を受けて、総務省としては、携帯受信向けの放送、またデジタルならではのサービスということについて、あるいは公共分野における利活用を推進してきているところです。今回の答申では、いわゆる通信と放送の融合という、言ってみれば一種当然の流れといいますか、またIPとか、衛星とか、そういった新しい手段、あらゆる手段を使うなど、2011年のデジタル放送への全面移行を確実に実現してまいりますために、特に重点的に推進をすべき政策というものをパッケージにしてご進言をいただくということになりました。このいただきました施策をきっちりさせていかねばならぬと思っております。
  また、ユビキタスネット社会に向けての研究開発の在り方につきましても、いわゆるユビキタス社会に向けて特に取り組むべき重点的な領域として、Universal Communicationsとか、New Generation Networks、UNS、SはSecurityだと思いましたが、Security and Safetyというので、3つでUNSという表現になっていたのですが、戦略プログラムとして取りまとめていただきました。10項目にわたる研究開発プロジェクトを提言もしていただいたところです。
  また、標準化の推進など、国が担うべき役割についてもご提案をいただいております。
  この答申を、今後総務省の政策や、この年末に向けて今後始まります予算要求ということなどに反映してまいります。また、ここだけではなくて、科学技術基本計画、総合科学技術会議で庄山委員もご参加をいただいておりますけれども、この答申の内容を反映できるように努力いたしていきたいと思っておりますし、ユビキタスネット社会の実現に向けて、きちんと研究開発にもメリハリをつけたものにしていかねばならぬと思っております。
  最後になりましたけれども、庄山会長、また宮原分科会長、平野部会長、根元主査、村井主査等々委員の皆様には積極的かつ精力的にこの間ご審議をいただき、答申をいただきましたことに対しまして、心から改めて深く御礼を申し上げる次第であります。
  このユビキタスネットワークというものは、最初2年前に日本が言ったときに理解した人はほとんどゼロだったと思います。少なくとも日本から初めて出しましたラテン語の標語です。これがラテン語とわかったアメリカ人もほとんどいません。ユニバーサルならともかくユビキタスという、神は普遍的にどこでも遍在するという意味でユビキタスという言葉を使うのですけれども、そういった言葉を使い始めたときには、これがここまではやると思った人はまず1人もおられなかったと確信をしております。
  皆様方のおかげをもちまして、この2年弱の間にこれまでユビキタスという言葉は、大臣室を訪れられる各国の情報通信のプロと言われる方々はほぼ全員この言葉の意味を理解し、これはもしかしたら大きく化けるかもしらん、大きく育つかもしれんという期待を込めて言われるようになったということは、私どもとしては大変うれしく感じると同時に、責任も感じているところです。間違いなくやってくる、少子高齢化していく社会の中にあって、この日本という国はユビキタスというICTを使って活力ある高齢化社会を実現しているのだというそのバックになっているのは、このユビキタスを基準にした技術なのだという点を理解させるところまでぜひいきたいとものだというように夢を持っております。
  皆様方のお力添えに重ねて感謝を申し上げて、ごあいさつとさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。
庄山会長  どうもありがとうございました。それでは、ここで麻生大臣と山本政務官、香山事務次官は所用がございまして、ご退席となります。
  
(麻生大臣、山本政務官、香山事務次官、報道関係者退室)
 
報告事項

    ア 情報通信技術分科会の審議状況について

庄山会長  それでは、審議を再開いたしまして、今度、報告事項に移りたいと思います。
  まず、情報通信技術分科会の審議状況につきまして、宮原情報通信技術分科会長からご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
宮原情報通信技術分科会長  ご報告させていただきます。
  当分科会の審議状況につきましては、昨年7月の総会にご報告しておりますので、それ以後及び1年間の状況について、資料3に沿ってご報告させていただきます。
  まず、審議の体制でございますが、ITU−R及びITU−Tの2つの部会に加えまして、分科会の下に審議内容に応じた委員会を設置いたしまして、効率的な調査審議を行っているところでございます。平成17年7月29日現在、資料の10ページの別紙のとおり、10の委員会を設置しております。また、ITU−R部会、ITU−T部会にはITUのスタディグループに対応いたしました委員会を設置しております。
  次に、開催状況について、でございますが、当分科会の審議状況につきましては、昨年7月の総会にご報告しておりますので、それ以降の状況につきましてご報告させていただきます。
  分科会は原則毎月1回開催することとしておりまして、この間、8回開催しております。審議事項につきまして審議を行いました。また、ITU−R部会につきましては本年2月1日に、ITU−T部会につきましては昨年の12月3日に開催いたしまして、部会に属する各委員会から審議状況の報告をいただいたところでございます。各委員会につきましては随時開催されておりまして、それぞれ専門の事項について調査検討が行われているところでございます。
  資料の2ページ目から昨年7月以降に審議したものを載せております。答申案件の詳細につきましては、時間の関係もございますので、割愛させていただきますが、最近のものでは携帯電話等周波数有効利用方策のうち、2GHzギガヘルツ帯におきますITU−2000TDD方式の技術的条件及び1.7GHzギガヘルツ帯におきますIMT−2000FDD方式の技術的条件についての答申をはじめといたしまして、計9件について提言しております。
  続きまして報告案件でありますが、これも同じく昨年7月以降に報告を受けた資料7ページから7件掲載しておりますので、ご覧いただけたらと思います。
  以上でございます。
庄山会長  ありがとうございました。ただいまのご説明につきましてご意見、ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。特によろしゅうございましょうか。
  それでは、まだ審議が継続している事項につきましては、引き続きのご審議よろしくお願いしたいと思います。

  イ 情報通信政策部会の審議状況について

庄山会長  続きまして、情報通信政策部会の審議状況につきまして、平野情報通信政策部会長からご報告いただきたいと思います。
平野情報通信政策部会長  情報通信政策部会長の平野でございます。それでは、情報通信政策部会につきましてご報告をいたします。
  お手元の資料4をご覧いただきたいと思います。今回は昨年7月の総会以降の審議状況についてご報告をいたします。
  まず初めに、当部会の審議体制でございますけれども、資料の1ページにございますとおり、これまで昨年1月に「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」の諮問を受けまして、当部会におきまして設置をいたしました地上デジタル放送推進に関する検討委員会、ここにおきまして調査検討を行いまして、その結果を踏まえて当部会で審議をしてまいりました。本件につきましては先ほど中間答申されたところでございます。
  続きまして審議の開催状況について、でございますけれども、資料の1ページにございますとおり、前回の報告以降、情報通信政策部会は第16回から第19回までの計4回、地上デジタル放送推進に関する検討委員会は第7回から第15回までの計9回、それぞれ会議を開催いたしまして、諮問された事項について調査審議を行ってまいりました。
  また、会議の公開でございますが、原則公開の趣旨を踏まえまして原則公開として、審議の透明性が確保できるように運営をしてまいりました。
  最後に、部会の審議状況について、でございますけれども、資料の2ページにございますとおり、諮問第1134号「特定通信・放送開発事業実施円滑化法の実施指針の変更」、それから諮問第1135号「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律の基本方針の変更」について審議をいたしました結果、それぞれ諮問のとおり、変更することが適当である旨の答申を行いました。
  報告案件について、でございますけれども、資料3ページにございますとおり、先ほど中間答申いたしました「地上デジタル放送の利活用の在り方と行政の果たすべき役割」についての報告以外では、放送局に対する外資規制について総務省から報告がありまして、これを了承いたしました。
  以上、簡単ではございますが、情報通信政策部会の報告を終わります。
庄山会長  ありがとうございました。ただいまのご説明につきましてご質問、ご意見はございますでしょうか。特にないようでございましたら、進めさせていただきたいと思います。先ほど同様、審議の継続のものにつきましてはよろしくお願い申し上げたいと思います。

  ウ 電気通信事業部会の審議状況について

庄山会長  それでは、最後の議題でございますが、電気通信事業部会の審議状況につきまして、酒井電気通信事業部会長代理からご報告をお願いしたいと思います。
酒井電気通信事業部会長代理  電気通信事業部会長代理の酒井ですが、報告させていただきます。
  当部会の審議状況につきましては、昨年の7月の総会にご報告いたしましたので、それ以降につきましてお手元の資料5に沿って報告させていただきます。
  まず、審議体制でございますが、諮問された事項のうち、まず接続に関する事項につきましては接続委員会、ユニバーサルサービス基金制度に関する事項につきましてはユニバーサルサービス委員会、さらに基本料及び施設設置負担金、こういったものに関する事項につきましては基本料等委員会、ここで調査検討を行いまして、その結果を踏まえて部会で審議しております。
  続きまして会議の開催状況ですが、ここにございますように、前回の報告以降、事業部会は11回、接続委員会は12回、ユニバーサルサービス委員会は11回、基本料等委員会は計6回、さらに電気通信事業部会とユニバーサルサービス委員会の合同公開ヒアリングを計2回行いまして、接続委員会・基本料等委員会合同事業者ヒアリングを1回、さらには接続委員会・基本料等委員会合同会合を1回、これだけの会合を行いまして、諮問された事項について調査審議を行ってまいりました。
  会議につきましては原則公開の趣旨を踏まえまして、審議の透明性が確保できるよう原則公開という形で運営してまいりました。
  さらに審議に当たりましては、広く国民の意見を反映させるため、必要に応じて意見募集や関係者からの意見聴取、こういったものを実施しております。
  お手元の資料の2ページの3の部会の審議内容ですが、それ以降にずうっと昨年の7月以降に諮問がありましたもの、または報告がありましたものを載せております。およそ1年間で審議した諮問事項は16件でございます。そのうち14件につきまして、当部会で答申を行いました。また、審議中の案件が2件ございます。当部会で答申を行いました事項及び現在審議中の案件につきまして、主な項目ごとにその概略を説明いたします。
  最初に接続約款の変更の認可でございますが、これにつきましては実際費用方式に基づく平成16年度接続料の改定、平成16年度の接続料にかかわる見込み通信料による精算、こういった11件の接続約款の変更につきまして、意見聴取及び接続委員会での検討を踏まえまして審議した結果、資料のとおり、それぞれ認可することが適当といった答申を行いました。お手元の資料の2ページ目から4ページ目まで書かれてございます。
  続きまして、4ページ目のところにあります省令等の一部改正につきましては、平成13年総務省告示243号、電気通信事業法第33条第1項の規定に基づく指定に関する件の一部改正。これの中身は専らIP電話の役務の提供の用に供されるルーターにかかわる規定の見直しでございますが、こういったもの及び接続料規則の一部を改正する省令の制定につきまして意見募集を踏まえて審議した結果、それぞれ諮問のとおり改正することが適当であるといった旨の答申を行いました。
  続きまして、その他ということで5ページ目に書いてございますが、平成17年度以降の接続料算定の在り方について審議いたしまして、答申を行いました。
  報告案件といたしましては、平成16年7月28日以降、6件の報告がございました。これにつきましては報告案件ということで、資料の5ページから6ページの最後まで載っております。
  最後に審議中の案件でございますが、これはユニバーサルサービス基金の在り方をはじめとしまして、2件について審議中でございます。時間の関係もございますので、詳細については割愛させていただきますが、内容について資料の7ページをごらんいただくと、概要が書いてございます。いずれの案件につきましても、現在、意見募集中でございます。
  以上でございます。
庄山会長  ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして何かご意見、ご質問等はございますでしょうか。特にないようでございますので、ご報告を終わりにいたしたいと思いますが、各部会の各委員の皆様方には大変多岐にわたる調査審議事項を積極的、精力的にご審議いただいておりまして、重ねて厚く御礼申し上げる次第でございます。また、審議が継続している事項につきましては、引き続きご審議のほどよろしくお願いしたいと思います。
 
閉会

庄山会長  それでは、以上で本日予定されました議題は終了いたしましたが、委員の皆様から何かご意見はございますでしょうか。
  それでは、皆様からのご協力をいただきまして、本日の会議はこれにて終了といたしたいと思います。
  次回の総会の日程につきましては、別途確定になり次第事務局のほうからご連絡さしあげるということでございまして、引き続き皆様方のご支援のほどよろしくお願いしたいと思います。
  以上で閉会といたしたいと思います。どうもありがとうございました。
  ―― 了 ――



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  <配布資料
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