会議資料・開催案内等



地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究会(第3回)議事要旨

  1. 日時 平成20年9月8日(月)14時30分から17時00分

  2. 場所 中央合同庁舎第2号館 国地方係争処理委員会室


  3. 出席者(五十音順、敬称略)
    座長 部 正夫(地方職員共済組合理事長)
    構成員  稲継 裕昭(早稲田大学政治経済学術院教授)
      大谷 哲也(豊田市総務部人事課長)
      河田 祥則(多治見市企画部人事課長)
      清野 良一(埼玉県越生町副町長)
      阪口 克己(武田薬品工業株式会社総務人事センター所長兼研修所長)
      高尾 和彦(総務省自治行政局公務員部公務員課長)
      辻   琢也(一橋大学大学院法学研究科教授)
      西村 美香(成蹊大学法学部教授)
      二見 研一(神奈川県総務部人事課長)
    参考人 森永 耕造(人事院事務総局企画法制課長)

  4.  議題
    (1) 国家公務員における人事評価の活用等に関する取組について
    (2) 地方公共団体における人事評価の活用等に関する論点整理について

  5.  資料(PDF)
      資料1 評価結果の活用について
      資料2 地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究会(第3回)検討資料
      資料3 地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究会(第3回)検討資料(論点メモ)

  6.  会議経過
    (1)   高尾構成員からの就任のあいさつの後、人事院森永企画法制課長から、国家公務員における人事評価の活用等について説明があり、引き続き、質疑応答を行った。
    (2) 事務局より、地方公共団体の人事評価の活用等に関する論点整理について説明が行われ、引き続き、意見交換を行った。意見交換の主な概要は以下のとおり。

    (活用の重点について)
       以前は人事評価に対して抵抗感が大きく、人材育成のみのために人事評価を実施すると言わないと導入自体が困難な雰囲気現場にがあった。今はマネジメントの点で人事評価の必要性が高まるなど状況も異なっていることから、人材育成に加えて任用管理、給与上の処遇を加えて、広義の人材育成のために人事評価を実施していくことを強調していくべきではないか。
       分限については、他の分野と比べて、評価結果をストレートに活用しにくい部分があるので、まさに評価を「契機として」活用する点を明確にするべきではないか。
       データ上は、昇任・昇格と配置転換で活用が比較的進んでいるように見えるが、任用管理についても評価結果が必ずしも十分に活用されてきたとは言い難い点があるのではないか。

    (絶対評価と相対化)
       人事評価は絶対評価が基本となるが、活用の際には相対処理が不可欠。その意味で評語のみでなく評価結果を点数化していれば、項目へのウェイト付けなども容易。
       評価と活用枠の調和については、人事評価の手順を具体的に考えながら検討を進めるべきではないか。
       民間では、同じ会社でも職種によっては、処遇への反映も含めて評価結果の活用の仕方が異なるケースがある。例えば、ブルーカラーについては、ホワイトカラーに比べて緩やかな運用をしている。
       地方公共団体においては、団体規模にもよるが、部局ごとに複数の評価制度を運用することは困難。ただし、職種については、ある程度配意する必要があるかもしれない。
       日本では民間も公務部門もあまり職種による差をつけていなかったが、グローバルの流れではエクセレントカンパニーは成果主義を導入していると言ってよく、かつ一律ではなく職種別の運用を行っており、それが競争力に現れている。

    (人材育成の分野への活用)
       人材育成を理由に評価結果を給与や任用に活用しないケースや、人材育成基本方針の未策定を理由に人事評価の検討や試行期間を延期するケースも見受けられた。
       人事評価の実施は、人材育成のプロセスとしても重要であることから、人材育成基本方針においても、従前からの求められる職員像のほかに、人事評価をもっと体系的に位置づけるべきではないか。人材育成基本方針の策定団体は増えているが、中には職員研修計画のような内容のものもあり、人材育成の点で十分とは言えない。
       人材育成への活用については、フィードバック後のフォローアップが特に重要であることから、研修制度との連動についても、一律研修ではなく、フォローアップ研修の体系整備に言及すべきではないか。また、悪い結果をフィードバックする局面もあることから、評価制度に関する研修や評価者訓練による評価者の育成による評価に対する共通認識の浸透が重要。
       職種別に求められる職務遂行能力は一義的ではないが、職務遂行能力に即して、求められる人材像を人材育成基本方針に明示するのが望ましいのではないか。

    (評価と分限)
       評価と分限との関係については、評価結果が最下位だからといって即処分となるものではなく、配置転換、研修の実施等による状態の改善、警告書の交付等所要の措置を講じた上での処分となるもの。いずれにしてもきっちりと活用すべき。

    (活用分野に応じたウェイト配分)
       人事評価の活用は総合評価が基本であるが、勤勉手当については、国公では業績評価のみを活用する制度設計となった。勤勉手当を業績評価中心に考えることは手当の性格付けの点からも考える必要もある。
       きっちりと業績評価を実施した場合、勤勉手当に業績評価だけを反映させる場合、部局間格差が拡大する可能性もあるのではないか。
       処遇全体を考えた場合、昇格などには能力評価を活用し、勤勉手当には短期的な業績として業績評価を活用するなどメリハリをつけないといつも同じ結果になるのではないか。
       業績評価は、年間の回数や点数化の有無など方法により得られる評価結果の差のつき具合が変わってくるので、結果の活用の仕方も変わってくる。
       結果は出なかったけれどがんばった場合の評価を業績評価として受けとめるのか、能力評価とするのか、といったように業績評価に対し能力評価をどのように設計するなども考慮する必要があるのではないか。

    (職位に応じたウェイト配分)
       職位が上がるごとに業績評価のウェイトが上がることについては、18次公能研報告書の整理や地方での先行事例を見ても概ね理解できるが、評価のやり方や評価の活用場面に応じて整理した方がよい。

    (給与の反映へのメリハリ)
       昇給における評価結果に基づく下位区分への決定については、住民から見た公務員の人事管理制度に関する信頼性の点からも、いたずらに敬遠しないできっちりと行うべきではないか。
       あらかじめ判定基準を明示した査定昇給の実施により、昇給延伸等に対する給与上の決定と人事評価結果との整合性が厳格化されたので、評価の現場ではしっかり記録をつけることが重要だが苦労している。
       評価結果の活用において、分限の実施は特に基準等を明確に定めておくことで、厳格な運用が可能になる。
       評価結果の活用に関して、人事委員会はどのような関わりが期待されるのか。


    (3) 事務局より、次回研究会の日程は調整の上、改めて連絡するとの報告があった。

    以上

    (文責:総務省自治行政局公務員部給与能率推進室)

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