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人材力活性化研究会(第2回)議事概要

日時

平成22年7月30日 17:00〜19:00

場所

総務省10階 1002会議室

出席者(敬称略)

(1)構成員
飯盛 義徳(座長)、小澤 浩子、玉沖 仁美、舘  逸志、谷  和樹、富永 一夫、
豊重 哲郎、沼尾 波子、前神 有里、松原 朋子、宮城 治男
(2)オブザーバー
柏田 恆希(八王子市産業振興部産業政策課 主査)
(3)事務局
門山地域力創造審議官、澤田人材力活性化・連携交流室長

議事概要

(主な意見:事務局説明に対して)

  • 圏域調査について、日本の人口は政令市以上の規模の都市に集中しているので、そのような都市も対象とするべきではないか。
  • 調査項目のたたき台について、細分化され過ぎではないか。視点として追加したいのは以下の3点。1点目は、OJTとOffJTは、人材育成の内容ごとに分けるのではなく、実際には両者を掛け合わせながらやるというやり方で成功している事例がある。OffJTとOJTでは育成される部分が違うので、同時併行で行う必要がある。2点目は、成果物の作成、人材育成、組織の育成をすべて同時並行で行うことが重要なので、人材育成、OJT、組織というふうに切り分けられるものではないということ。3点目は、プロジェクトに取り組む際に、メインとなるもの(商品開発等)以外の項目(財務、経理、従業員の育成等)も含めて予見の整理を行うことで、人材育成が加速されるということがあるので、一見本題に関係なさそうな項目も含めて、幅広く柔軟に調査した方がよいのではないか。
  • どのような人材を育成したいのかを絞り込んだ上で、それに即して調査も行うべき。どこにでも通用する人材というのはなく、個性をはっきり発揮させて、その個性をいかに協力させるかが問題。そのように個性を重視しながら協力し合える個人を育成するのと、この協力を作り上げる事務局的な人材を育成するのとは違う。調査の内容が多すぎると表面的な調査結果しか得られないのではないか。
  • 圏域調査について、(案)の人口規模では、過疎型の地域について調査できないのではないか。
  • 圏域調査は、過疎型と都市郊外型の2つに分けて調査するのがよいのではないか。
  • 調査にはプロデューサーやリーダーを発掘するという意義もあると考えられる。そのためには、そのような人物に対する調査を行いリスト化するのがよいのではないか。
  • 構成員それぞれが調査対象となる人物を出し合いながら、人材を発掘しリスト化すれば、現場の人が困ったときに相談する相手を容易に見つけることができるようになる。分野から絞り込んで人を出すのではなく、まず人に着目すべき。
  • 他の研究会でスキルマップを作った際には網羅的なものを作成したが、事例集をセットにして、各事例において各スキルの状況がどうであったかを示したが、そのようなやり方もある。
  • カリキュラムの作成分野について、特に福祉分野においては、地域での人材育成ということであれば、縦割りをする必要はないのではないか。地域単位でやっているところは、高齢者の見守りができているところは子どもの見守りもできている。また見守りは、それだけでは成り立たず、サポートやサービスなどのバックアップ体制が必要なので、見守りというネットワークとバックアップはセットで調査しないと、地域で実際に機能しているかどうかはわからないのではないか。

(事例発表:松原構成員「マイクロソフトの企業市民活動〜地域での取り組み〜」)

  • マイクロソフトは、デジタルディバイドの解消に向け、日本では、高齢者、障碍者などITと比較的距離の遠い方々が、ITの恩恵を得て社会に参加できるようなプログラムに、政府、自治体、大学、NPOなどをパートナーとして取り組んでいる。
  • 徳島県上勝町で、ICTによる地域活性化に向け協働したが、UIターン人口の増加など、ICTを活用した情報発信の有効性が実証された。また、担当者が地域と一緒に根気強く、短期間に集中して取り組むことが非常に重要であることも分かった。
  • 上勝町の取組をきっかけに「地域活性化協働プログラム」が生まれた。ITベンチャーの支援、高度IT人材育成、NPO基盤強化、高齢者向けICT利活用、障碍者向け支援、セキュリティの啓発などの個別プログラムの中から、自治体が、地域の複合的な課題や分野横断的な人材の流動に応じて、課題別にプログラムを選択する。プログラムでは、自治体との連携の中で、ICTリーダー候補の発掘し、適宜他企業、他団体などの協力を得ながら1年間でリーダーを育成する。その後は当該リーダーによる自立的な運営、地域住民への伝播という形をとるため、リーダー候補の発掘には地域の実情を熟知している自治体の意見を重視する。
  • 講習は、必ずしもIT技術の講習に限らず、ITを活用して社会に参加していく方法や、社会に参加する必要性や重要性を伝える講座となっている。
  • 成功地域にみられるICTリーダーの3大要素として、課題設定/解決力、ネットワーク力、推進力が挙げられる。加えて、基礎的なリーダーの要素として、地域を活性化する、地域を大切にするマインドや、地域全体のことを考える大局的視点も必要。
  • プログラムのパートナーとしての自治体職員には、地域課題を多面的にとらえ、ゴールやアクションプランを設定できる課題設定/解決力、組織横断的な連携を取り、地域住民やNPOとの外部ネットワークを重要視できるネットワーク力、意志決定を迅速にし、異なるプレイヤーと協働連携をしようという推進力が重要。また、地域リーダーには、地域の課題を自分の課題としてとらえ、今後目指すべき姿を考えることができる課題設定/解決力、コミュニケーション力、リーダー・フォロワー関係をうまく保てるような人となり(ネットワーク力)、短期間で集中して推進し、活動を地域に広げていく推進力が重要。

(事例発表:柏田オブザーバー「八王子市の人材育成事業」)

  • 八王子市は、利益率の高い実力のある中小企業が多く、最先端技術を有する製造業に支えられた土地柄となっている。
  • 都心の企業などに勤めていた企業OBが、自らの経験、人脈、スキルなどを活かして、市内の中小企業を支援する「ビジネスお助け隊」(以下、「お助け隊」)が平成15年より活動をしている。
  • 「お助け隊」は、起業家を育成する「本気の創業塾」の講師。受講者には、「お助け隊」がマン・ツー・マンで付き、その受講生が無事創業するまで二人三脚で創業に導くというやり方によって、開業率は非常に高く、市外から来た人の創業の増加にもつながっている。また、民間企業から支援の要望があったときには、事務局が誰を派遣するか調整し、多面的な見方ができるように必ず複数で派遣する。
  • 「お助け隊」は、当初は全くのボランティアだったが、3年目以降は交通費だけ支給している。また、支援が発展してお助け隊の人が本格的に起業に支援に入る場合は、お助け隊の個人と企業の関係の中できちんと方針を決めてやるように言っている。
  • 「お助け隊」成功の秘訣は、官民が信頼関係を築き、ビジョンを共有できたことと、キーパーソンの存在。「お助け隊」はキーパーソンに賛同している人が集まる属人的な組織。行政の役割というのはその人とうまく連携をとること。
  • 地域、産業の活性化は人に起因する。平成13年にできたサイバーシルクロード八王子の人材育成プログラムは、人間だれもが持つといわれる何かに貢献したいという気持ち、成長したいという気持ちを活かし、そのような場を整えることで、その人を伸ばしていこうという、HP(ヒューレット・パッカード) WAYという考え方に基づく。
  • 八王子市では中間層のリーダー・起業家育成のための大学生のインターンシップや、小・中学校からITに親しんでもらうためのプログラムも行っている。
  • 「はちおうじ未来塾」は、事業継承者に‘社長としての自覚’、‘決断’、‘気づき’について学び、地元経営者とのローカルで深いネットワークをつくってもらうことが目的。地元経営者を掘り起こして講師としている。成果として、新しいネットワークが構築されるだけでなく、自分の会社にしか興味のなかった人が地域性を意識するようになり、八王子について真剣な議論がされるようになってきている。今後の八王子の産業を支える人々が、地域活性化を意識しながら、自分の会社を盛り立てていこうと頑張っているこのプログラムは、究極の産業振興ではないか。
  • 「リーダー育成塾」では、経営者の片腕となる経営マインドを持ったリーダーの育成を目指す。「お助け隊」から、リーダーシップ、課題解決、コミュニケーションなどを学ぶ。

(事例発表:谷構成員「TOSSの観光立国教育の取組について」)

  • TOSSは、一般の公立小・中・高等学校の職員による学校の授業を研究する団体であり、観光立国教育については観光立国推進法成立を契機にスタートした。
  • 昨年、第1回観光立国教育全国大会を静岡で開催し、模擬授業を行いながら、意見交換を行った。富士山をテーマにした模擬授業では、生徒を参加させながら、富士山に対するイメージ等を考える中で生徒の興味を喚起し、そこから調べ学習を進めていった。
  • TOSSでは、このような授業が展開できるように、すべての自治体でテキストを作り、それらをもとに、各地で先生方がその地域の授業を行っている。また、「子ども観光動画」では、子どもたちが、自分の地域のことを自分で調べ、YouTube上に発表している。
  • 団体では機関誌等を通して、教師が担う元気な地域づくり活動、まちづくり活動について、全国の先生方に取組への参加をアピールしており、それぞれのまちで行政と連携したまちづくり教育が既に始まっている。例えば、地域への愛着や親への感謝の気持ちを持たせるために、10歳で1/2成人式を行ったり、14歳で立志の式を行う活動が行われている。
  • 自分たちが育っているまちのことを子どもたちにもっと知ってもらい、子どもたちがそのまちを好きになり、成長してまちを離れてもまた戻ってきたいと思うような、なおかつ多くの人に自分のふるさとに来てほしいなと願うような子どもを育成するための活動を続けている。

(主な意見:構成員・オブザーバー発表に対して)

  • リーダーが育つ環境を考える場合、行政のあり方についての議論が、土台としてあっていいのではないか。行政には、縦割りの問題や議会への説明責任、平等の問題等の制約があるが、その中で、行政職員がどこまで柔軟に、ある程度リスクも抱えつつやれるような環境があるかということが、地域の人材力に大きく影響するのではないか。

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