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人材力活性化研究会(第5回)議事概要

日時

平成23年2月7日 14:00〜17:00

場所

総務省 6階会議室

出席者(敬称略)

(1)構成員
飯盛 義徳(座長)、 小澤 浩子、 舘  逸志、 谷  和樹、 富永 一夫、豊重 哲郎、 沼尾 波子、
前神 有里、 松原 朋子、宮城 治男
(2)事務局
門山地域力創造審議官、 澤田人材力活性化・連携交流室長

議事概要

(主な意見:事務局説明(「人材力活性化プログラム(仮)」について)に対して)

●「1.趣旨、2.基本的な考え方」について
  • 参考事例として掲載されている人材や活動等に関心を持った人が、その事例を更に詳しく知りたいと思った場合に、個人情報の問題に配慮しながら、当該人材等にアクセスする方法が分かるようにすれば、成果物がより有効なものになる。
  • 様々な主体により提供されている研修等を体系化し、分野横断的に学ぶことができるカリキュラムを提案できると良い。更にそのカリキュラムを履修した行政職員に対しては、資格のようなものを付与できると良い。
  • 本プログラムやカリキュラムをインターネット上で情報提供するだけでなく、現場に対して、このカリキュラムに地域で求められるものを加えて、座学と実践的学びの場に進化させて使うことができるよう推進する仕組みを構築する必要がある。地域人材を育成する必要性については、国だけでなく、自治体も認識しており、各自治体等において育成の場が生まれてきている。そこへ具体的なカリキュラムを投げるとともに、講師陣も提案してはどうか。また、行政ばかりがその推進力になるのではなく、研修事業等を専門に行っているNPOや大学にもカリキュラムを投げかけてはどうか。
  • 地域活動を行う主体について、自治会・町内会のような地縁つながりが「横糸」とすると、NPOはテーマ型が多いので「縦糸」。ここについて、人材育成をすると同時に、第三の人材として、「織り師」やその人の周りの「デザイナー」の育成も必要。この第三の人材群として、ニュートラルな地方自治体の職員の能力開発が必要。現状では、地域のことやビジネスマンが一般的に勉強していることを勉強していない自治体職員が多いので、大学等にも協力を得ながら、自治体職員を育成していく必要がある。
  • 本プログラムにどのような実質的な効果・効力を持たせるのかがポイント。カリキュラムには、学習内容と学習時間も必要。カリキュラムのつくり方は、学校教育のように一定時間履修すれば資格が得られる「履修型」と、自動車学校のように技能試験を受けて、その技能を確かに習得したと認める人にしか資格が付与されない「習得型」の2種類に大別される。人材力活性化のカリキュラムについては、「履修型」が想定されるが、学習内容と履修時間に応じて、レベルや習得された能力が、自己評価でも分かるような目安を示すことは可能ではないか。
  • 現在各大学で行われている「地域活性化システム論」は、大学によっては履修科目として単位認定されている。現在、それだけではなく、地域活性士という取得型の資格をつくることについて検討している。資格というのは、自由につくれるが、実効あるものにできるかどうかが非常に重要。コストをかけて資格を取得しようとする者にとっては、その資格が何に役に立つのかはっきりしていないと、研修を受ける意欲もわかない。
  • 自治体職員を地域リーダーとしてまず養成し、何らかの資格を与え、この人達を各地域の担当にして、民間の地域リーダーを育成する手法が効率的。また、自治体に地域人材の育成に関する担当部署があると良い。
  • 今年度の事例調査で挙がってきたような、既に活躍しているリーダーを対象として研修を行い、さらに能力を伸ばしていくことも重要。
  • 自治会・町内会で活動する人とNPOで活動する人との間には、かなり意識に差がある。例えば町内会・自治会の会長や役員が、自分の会を活性化したいと思っても、人材力活性化までは意識が及ばない場合もある。したがって、そういう人にも、会の活性化のために人材を育ててその力を生かすことが必要だということが、わかるようにすることが大切。また、本プログラムは、そのような人が、交流やネットワーク化について、項目ごとに調べられるようにする必要がある。
  • 地域活動について助言ができるような人材は民間人と公務員の2人セットで育成することが必要。「消防団員確保アドバイザー派遣制度」(消防庁)等のように、公を得意とする人と民を得意とする人がセットで、アドバイスを必要とする地域に無償で派遣されるシステムがあれば良い。
  • 本プログラムが、資格に直結したものになってしまうと、企業がその特技を生かした人材育成のプログラムを開発する際に参照しにくくなるので、ある程度緩やかなガイドラインであってほしい。本プログラムにおいて、人材や制度、参考文献、学ぶべきキーワードが参照できれば、それらを独自に再構成して、大学や地域との連携の中でカリキュラムを開発していくことができ、それが新しいイノベーションにつながる。
  • 趣旨について、「地域活性化をまさにミッションとする」というポジティブな話で始まっているが、全国の地域の中には、地区の存続や維持自体が困難なところもあり、その中で人材育成をどうするかという課題もある。ミッションは、地域づくりや地域の課題解決という表現の方が良い。
●「3.求められる人材像」について
  • リーダーは必ずしもトップに立つ1人ではない。人材像の呼称は、個人に帰着するような言葉の方がイメージしやすい。
  • 「リーダー」と言う言葉には、1人に限って、飛び抜けて掌握、統括ができる統率者という語感がある。しかし地域におけるリーダーは、多様な関係者をコーディネートし、住民の話を聞いて価値の高いコンセンサスにまとめ上げていく、「世話役」、「お世話係」である場合が多い。地域貢献したいというやる気はあるが、どのように地域に関われば良いか分からない人を伴走支援するのが重要な役割。
  • リーダーと呼ばれてしまうと、地域で動きづらいということもある。
  • リーダーという言葉が悪いわけではなく、図式等を使ってその役割を解説すればよい。その際は、ピラミッド型の組織図ではなく、真ん中にリーダー、その周りにサポーター、更にその周りに一般の人々というような同心円の図が相応しい。
  • 1人の人間が、そのときの状況に応じて、リーダー、それを支えるサポーター、その他参加者という3層の間を移動するが、その3層の機能や役割には違いを見出せる。その他参加者をサポーターにするというのは、リーダーの腕の見せどころ。
  • 地域活動の人間関係は、極めてインターネット的。パーソナルコンピューター的な現代人は一見ばらばらで相互のつながりがなさそうに見えるが、あるサーバーがあると、そこへ何となくつながりたがる。そして、つながっていろいろ勉強してその人自身が活性化すると、突然自分がサーバーを飛び越えて、プロバイダーくらいのリーダー的な機能を持ち始める人も出てくる。したがって、それぞれの階層の間には、常に動きがあり、あまり明確な切り分けができるものではない。また、このように緩やかにつながっている状態には、ICTが必要。
●「4.人材力の活性化に向けた三つの柱」について
  • 人材育成は座学と実践の二通りの手法を同時に行う必要がある。その際、座学と実践を切り離すのではなく、座学に基づいて実践を行っていくことが重要で、そのためには、一緒に伴走支援してくれる人が必要。そのような伴走支援者には、企業OB等で地域への関わり方を模索しているような人材が活用できる。現状では、座学に対する支援は多いが、実践を支援してくれる人が少ない。
  • 各省が運営しているアドバイザー派遣制度を、分野で縦割りにするのではなく、都道府県が一度にまとめて受け、地域に提供すれば、1つの地域がより深く学ぶことができ、課題の解決につなげることができる。ひいては、そこの地域の人材のレベルアップにつながっていく。
  • 「これまでの経験・知識・スキルを地域活動に活かしたい人」はたくさんいるので、このような人を活用している事例を紹介すると良い。
  • 地域においては、自分のスキルが地域活動のどのような場面で活かすことができるかを気づかせてあげられるリーダーが重要。地域はありとあらゆる人材を必要としているので、全ての人の能力を何らかの形で活かすことができる。これは、社会復帰をする人に対する自立支援プログラムに似ている。
  • 大学生は近年積極的に地域活動に参加しているが、地元の高校生があまり関心を持たず、地域への関わり方がわからないでいる。また、ほとんどの高校生が、高校を卒業したら地元を離れるような地域もある。したがって、それまでに地域のことを良く知り、関わっているのは非常に有効であるため、高校生の地域活動の契機になるようなプログラムにする必要がある。
  • 4の(1)、(2)、(3)は、相互に深く連関している。例えば、(1)「個々の人材力の育成強化」の手法の一つとして、相互交流や外部人材の活用が非常に重要。
  • 3、4については、課題が生まれるところから、事業が収束するまでの具体例があるとわかりやすい。
  • 外部人材を活用するためには、まずそれを必要だと認識できる内部人材が必要。外部の人には内部の課題は見えないので、内部人材が自分たちの課題等を外に向かって発信しないと、外部人材はやって来ない。情報発信なくして情報受信なし。その際、内部の情報を外へ伝える媒介として行政が機能すれば良い。
  • 自治会、町内会、NPO等の学びの入り口を行政が案内する必要がある。行政が、地域活性化を地域にやらせるのではなく、行政が多様な主体を効果的につなげながら、地域と一緒にやることが重要。
  • 4の(1)、(2)、(3)の関係を図示するとプログラムの構造がわかりやすくなる。
●「5.今後の展開」について
  • 例えば、自治大学校等で、本プログラムとカリキュラムを、軸として明確に位置づけて、多くの自治体職員に門戸を広げていくことができれば、1つの具体的なステップになるのではないか。
  • 内閣府で実施される「新しい公共支援事業」の各都道府県の窓口になっている職員は、まさに本プログラムで育成する対象といえる。「新しい公共支援事業」で取り組むべき課題の1つは、地域のソーシャルビジネス等の事業基盤整備だが、それには人材力が非常に重要。人材力の活性化に取り組まず事業を実施すると、必ずしも戦略的ではないお金の使われ方をして、事業期間が終わったら、取組が途絶えてしまうようなことになりがち。人を育てることは、未来につながる投資であることは間違いないので、人材育成の基盤をつくることが重要。したがって、例えば新しい公共支援事業に携わる部署の職員や関心を持つ人に対して、本プログラムの内容について伝える場があれば良い。
  • 自治大学校には、関心や業務分野の様々な自治体職員が集まってきているので、本プログラムに則った研修があれば、研修生にとっても新鮮ではないか。また、自治大学校で研修を受けた自治体職員が、それぞれの自治体の職員研修プログラムを考案する際に、そのような研修を受けたことが活きるのではないか。
  • 1,2年、地域活動団体等に修行に行くプログラムがあれば、確実に人材は育つ。そのような実践の現場に携われる機会を検討する必要がある。
  • 民間人に学ばせるばかりでなく、公務員みずからが学んで、その上で、民間のパートナーを見つけ、一緒に地域に関わっていく必要がある。公務員の地域に対するコミットメントが大事。
  • 柳谷の故郷創世塾には、毎年沢山の人が学びに来るが、柳谷で終わらせるのではなく、ほかの地域活動団体と連携して、多様な場での学びを1つのカリキュラムとしてリーダー養成ができるとよい。

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