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第29次地方制度調査会第23回専門小委員会

日時

平成21年3月11日(水) 10:00〜12:00

場所

東京グリーンパレス「ばらの間」(地下1階)

議事次第

  1. 開会
  2. 議題
    小規模市町村の状況、大都市部の市町村の課題等について
  3. 閉会

配付資料




○林小委員長 それでは、時間が参りましたので、第23回の専門小委員会を始めさせていただきたいと思います。
 本日は、小規模市町村の現状や大都市部の市町村の課題等につきまして意見交換を行いたいと思います。まず、事務局から資料について説明をしていただき、その上で意見交換を行いたいと思います。なお、資料9につきましては、2月6日に開催いたしました第21回(前々回)の専門小委員会の際に、小林委員から御質問のあった件に対して、全国知事会の石井委員より回答があったものでございます。
 また、全国町村会の山本委員より、先日行いましたヒアリングに述べた意見について補足等を行った文書が提出されておりますので、お手元にお配りいたしております。
 それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○市町村課長 市町村課長の丸山でざいます。資料1〜資料8までについて御説明を申し上げます。
 まず資料1「広域連携について」でございます。広域連携については、前回、御議論いただきましたが、その折の事務局の説明と委員からいただきました御議論を踏まえて検討の方向を整理させていただきました。ごらんいただきたいと存じます。
 広域連携については、多様な共同処理の方式が用意され、適切に活用されることが必要ではないか。
 法人の設立をもって行う一部事務組合や広域連合につきましては、執行機関と議会を持ち、施設や組織の安定的な管理・運営に資する仕組みである半面、機動的な意思決定が困難といった意見がある。これについては、自主的な運用面の見直しを促すことが必要ではないか。
 また、これまでの取組実績や地域の実情を踏まえつつ、特に市町村合併の進捗による関係市町村の減少などの実態を踏まえ、法人の設立を要しない簡便な方式に変更するなど、より効率的な処理方式を模索する必要もあるのではないか。前回、御説明いたしましたけれども、広域市町村圏の要綱につきましては、昨年末に、平成20年度いっぱいで廃止する旨、通知したところでございます。これまで、知事による広域市町村圏の圏域の設定を求め、また圏域の振興整備について広域行政機構を設置して行うといった内容を定めていたところですが、この要綱を廃止しまして、今、申し上げました関係市町村による共同処理方式の自主的な見直しの議論を推進することにもつながるものと考えてございます。
 法人の設立を要しない簡便な方式については、特に広く活用されておりますのが事務の委託という方式ですが、これについては、事務に関する権限が、委託元から委託先に移動するために、もともとの委託元の地方団体、あるいは住民が委託した事務について意見を表明する機会が失われるのは問題であるとする指摘もございます。こういった点も踏まえながら、簡便な共同処理方式のあり方について、地域の多様なニーズに対応して、より柔軟に活用されるよう見直しを検討できないかということでございます。
 また、今後の広域連携の取組に対しましては、定住自立圏構想の推進状況も踏まえつつ、今後、協定の具体的な姿がいろんな形で行われると考えておりますので、新たな共同処理の仕組みが必要かどうか検討しますとともに、地域の実情に応じた適切な地域づくの推進方策についても幅広く議論されることが必要ではないかと考えております。
 資料2でございます。前回、基礎自治体間の広域行政組織が広く活用されている事例として、フランス、ドイツ、イタリアの事例を御紹介いたしましたが、その中で、林小委員長から、特にフランスの事例について御質問がございました。その内容は、1990年代以降、コミューンレベルの広域行政が新たに設けられました共同体という形で急速に普及したが、その背景にはどんな事情があるのかということでした。
 フランスの行政システムですが、1ページにございますように、基礎自治体としてコミューンがあり、広域自治体としてレジオン、デパルトマンという3層制がとられてございます。
 その上で、2ページにございますように、コミューンレベルにおける広域行政組織が設けられておりますが、特にそのうちの(2)〜(4)にあります新しい形の共同体というものは1990年代以降、制度化され、あるいは大幅に改正されたものです。これが非常に広く活用されているということでございまして、現時点において既に8割以上のコミューンが共同体の構成員になっているということでございます。
 この普及の背景ということですが、1つには、よく言われることですが、フランス国民はコミューンに対しての愛着が強くて、コミューン自体の合併という選択肢はあまり考えてないということがございますが、それ以上に、そもそもコミューンは非常に小規模のものでございまして、5,800万人の人口のところに3万6,000余の団体がある。平均人口は1,600人、約9割が2,000人未満のコミューンということです。
 職員数は平均で5〜6名ということでございまして、行っている事務は基本的に窓口事務等。したがいまして、住民に身近な事務でありましても、事務の執行体制としては、コミューンがこれをすべて行うということではございませんで、そもそも広域自治体であるデパルトマンが相当部分を分担して行っているということでございます。1ページにありますように、デパルトマンの事務として、中学校、交通、福祉政策と掲げているとおりでございます。したがいまして、日本において基礎自治体である市町村が行っている事務についても、フランスにおいては広域自治体の力を借りて補完しながらやっている。あるいは新たな事務が出てまいりましたときには新たに広域行政組織である共同体を組織して行うという考え方があります。
 2つ目に、国の立場でございますが、EU加盟を背景にして地域間競争が激化する中で、パリ一極集中を是正して、地域発の地域主導の地域開発性を進めていきたいという国策がある。新たな共同体はいずれも義務的権限として地域整備、経済開発といった投資的な事業を与えられておりまして、また、それに充てるための固有の税源も付与されているものでございます。フランスにおける地域開発という新たな行政ニーズ、一定の大きさを持つ投資的な事業を行うために制度的な受け皿として共同体を設けるとともに、それを財政措置も含めて強力に推進した。広域自治体との連携、広域行政組織の活用というコミューンの事務処理の伝統的な考え方に加えて、国策としての新しい共同体の導入、普及促進があり、それが相まってこういうことになったものと存じます。
 最初に3層制と申し上げましたが、そういう意味では、現在フランスは事実上の4層制ということになっておりまして、これをもってコミューンの実質的な合併と評価している向きもあるようでございます。現在、この4層制につきましては、サルコジ大統領の下で、階層制のあり方について議論が行われているところでございます。バラデュールさんという元首相を座長とする委員会を構成して検討が行われておりましたが、つい先日3日5日に報告書が提出されました。大部なものでして、詳細をまだ分析しきれておりませんけれども、その中でいくつかの提案が行われておりまして、例えばレジオンやデパルトマンの自主的な合併を促進していく。レジオンについては15に減らすといった目標も設けられております。あるいは2014年までに全コミューンが共同体に加入することも提案されているようです。フランスにおいても今、さかんに議論が進められているということでございます。
 フランスのことでございまして、日本と直ちに類似することはありませんけれども、日本に引き直して言いますと、日本の小規模市町村の事務の処理に関して一定の事務を対象として広域自治体である都道府県との事務補完あるいは共同処理の仕組みを検討する際の重要なヒントになるのではないかと受けとめてございます。
 資料3でございます。ここからが、本日の議論の主題となる資料でございます。
 まず「小規模市町村に対する方策のあり方についてのこれまでの議論」を整理させていただきました。これまでの議論の整理ですので、詳細の説明は省略させていただきたいと思います。
 多様な広域連携の仕組みを活用し、市町村が総合行政主体として成り立っていくのではないか。
 具体的には、都道府県による市町村の補完や市町村同士の広域連携について議論する必要があるのではないか。
 小規模市町村に合わせた特別の条件整備が必要ではないか。
 離島など共同処理の恩恵を受けることができない地域をどうするのか。
 こういったことについて御議論いただいたと思いますし、事務の内容から見ますと小規模市町村では福祉・保健分野の事務負担が重荷となっているのではないかということもございました。
 資料4でございます。「小規模市町村の状況」について整理したものでございます。資料4の中では、団体数、人口、年齢構成、財政状況などについて整理させていただきました。
 1ページ、「市町村の人口段階別構成の状況」です。(1)で市町村計を示してございますが、人口1万人未満の市町村数が489団体、全体の27.4%、4分の1強を占めております。そのうち5,000人未満では232団体、1,000人未満では24団体でございます。
 2ページ、「人口段階別の市町村の人口・面積」を示したものでございます。
 人口3万人以上の団体で見てみますと、累計人口90.4%、累計面積が53.9%ということでございます。逆に言いますと、3万人未満の団体において、人口は1割弱ですが、面積としては半分近くを占めている、こういった地域につきましては、国土管理の面からも重要と思いますし、そこに人が安定的にお住まいになることによって管理が適切に行われるという面もあると思います。 こういった観点からも、小規模の団体の対応ということが重要であると考えるものでございます。
 3ページ、昭和25年〜平成20年までに至る「人口段階別市町村数の変遷」を記したものでございます。この間、数次にわたる市町村合併がございましたし、また、過疎過密の発生といった事情もございました。その結果、人口段階別の市町村数が増減しているわけでありますが、昭和25年と平成20年を比較してみますと、1万人未満の市町村の割合は激減しているといった状況が見てとれると思います。
 これが、これまでの動きですが、今後を見るとどうなるかが4ページでございます。
 2005年をもとにして、30年後2035年の動きを見ております。2035年は2005年と比べまして総人口が減ってまいります。1,700万人の減ということでございます。
 5ページをごらんいただきますと、人口規模別にこの状況の推移をとらえてございますが、5ページの一番上、人口5,000人未満の団体をごらんいただきますと、2005年228とありますのは、2035年で369と推計されておりまして、増減率61.8%といった大幅な伸びが見込まれているところでございます。また、老年人口の割合については、人口1万人未満の団体において4割を超え、30万人以上の団体においても3割以上になるといった推計でございます。これまでの実績と違いまして、今後については、小規模団体、特に5,000人未満のところが多くなってくるといったところも重要な点かと思います。
 6ページ、「人口1万人未満の小規模市町村の推移」でございます。その割合については、次第に増加することが見込まれておりまして、27.0%、平成20年の数値が平成47年には35.1%といった状況でございます。
 7ページ、人口1万人未満、あるいは5,000人未満といった小規模の市町村が多い都道府県を整理したものです。人口1万人未満の市町村の割合が6割を超える都道府県は1団体から3団体へと増加する。全国で見ましても34.7%に増加する見込み。県によりましては、増加率が42.9%となる団体も見受けられます。また、人口5,000人未満の市町村の割合についても3割を超える都道府県が3団体から9団体へ増加。5割を超える都道府県も2団体見込まれ、中には倍増といった団体も見受けられるところでございます。
 8ページでございますが、2008年〜2035年、平成20年〜平成47年までの小規模市町村の推移の推計について都道府県別に整理したものでございます。
 9ページ以降でございます。財政状況をもとに整理をさせていただきました。9ページは、住民一人当たりの歳出額を人口規模別に見たものでございます。人口規模が3万人〜5万人規模のところを見ますと、約40万円ということでございますけれども、それに対比しますと、4,000〜5,000人規模のところはその約2倍、1,000〜2,000人規模のところでは3.5倍といった状況が見てとれます。
 10ページ、ただいまのグラフを歳出の目的別に整理したものでございます。一番傾斜がきつくなっておりますのが、議会・総務費の部分でございまして、一定程度、規模に関わらず固定的な部分があることからこういった急のカーブが出てくるものと考えてございます。
 11ページ、人口規模別に財政力指数を見たものでございます。人口規模が2万人以上になりますと、財政力指数が0.5を超える。5,000人未満では0.26以下となっている。人口規模別に見た財政状況のちがいがわかるかと思います。
 12ページ、歳入の構成割合を見たものでございます。人口規模が4,000人未満では、地方税は歳入の1割程度、交付税の4分の1にとどまるということでございます。受益と負担という地方自治の理念からしますと、地方税が歳入の基本と考えられますが、小規模団体においてはその点も厳しい状況があるものと存じます。
 13ページ、人口規模が5,000人未満までの団体では半数以上で、地方税が歳入総額の10%未満となっている。そんな状況が見てとれるかと存じます。
 14ページ、人口規模別に市町村の一般行政部門での職員数を見たものでございます。職員数については、人口1万人当たりで換算した数値を掲げてございます。右のほう、30万〜50万というところについては、一般行政計で45.0人という数値ですが、左のほう、1千人未満というところを見ますと、359.6人といったことでございまして、大きな差があるといった状況でございます。
 それから、資料5でございます。小規模市町村の事務処理体制につきまして、人口規模別に代表的な例をもとにいたしまして、具体的な状況を整理させていただきました。御議論の参考としてごらんいただきたいと思います。
 まず1ページでございます。A村としておりますが、人口規模約1,000人、職員数45人の団体でございます。ここでは総務課以下、ごらんのとおり、課の編成を行っておりまして、表にありますとおりの職員配置を行っているものです。同程度の人口規模の町村において、平均的な職員数を有する団体の例であると考えてございます。
 ここでどんな事務分掌・事務分担で仕事を行っているかというのが2ページ、3ページ、4ページでございます。2ページをごらんいただきますと、例えば左側をごらんください。総務課と書いてございますが、職員数が課長以下6名でございます。それぞれの職員に番号を(1)〜(6)と振らせていただきまして、それぞれの分担されている事務数を記しました。また具体的な業務内容について、その右側に書いたものでございます。それぞれの業務内容ごとに主担当してご担当されている方を背番号として書かせていただいた。こんな格好でそれぞれの業務が分担されています。当然すべてを自前で職員がということではございませんで、可能な限り共同処理、民間委託といったことを活用されております。赤で色づけした部分がその該当業務でございます。そのように、共同処理や民間委託を行ったとしても、なお、当該委託元の団体として必要な事務がありますから、その部分について業務を行うものとして御理解をいただきたいと思います。
 こういった事務分担のもとで、このA村の事務処理体制の特徴を整理させていただきましたのが5ページでございます。1ページをごらんいただきながらお聞きいただきたいと思いますが、まず副村長についてございます。特別職としての副村長は置かれておらず、一般職の参事が事実上の副村長の役割を担っています。会計管理者については、会計課長がその役を兼務しています。具体的な住民サービスの関係で申しますと、住民課ですが、戸籍・住基台帳・課税徴収といった法定の基本的な事務について、一般的には担当者を指揮監督する立場にあると考えられる課長補佐が主担当として自ら処理している状況でございます。
 また、保健福祉課ですが、母子・成人・高齢者保健、介護予防・健康づくりなど、住民に身近なサービスを行う上で、直接の原動力となるのは専門職である保健師ですが、この保健師につきましては、1名配置という状況でございます。最近の法令によりまして、さまざまな保健福祉関係の事務が求められているところですが、それを実際にこなす職員の配置が非常に難しい状況ではないかと考えられるところでございます。
 産業建設課というところで、施設系、ハード系の事務を担当されるわけですが、道路・下水道の整備等を担当される専門職員、各種の施設の設計等に携われる専門職員、農業関係の施設整備を担当される専門職員については、専門職員として特別に採用されるという格好にはなっておりません。こういった一定の専門的知識・技術を要すると考えられる専門職員の確保の点でどう考えるかという問題であろうかと思います。
 ただいまA村の例を参考に詳細な事務分担を御説明申し上げましたが、6ページは、人口規模別に専門職員の配置状況を見たものでございます。専門職員が何名程度いれば適切であるのか、それについては事務量というものが基本になろうかと思いますけれども、一般的に考えましても、専門職員間で指導、助言を行うこと、あるいは人事のローテーションを考えますと、更に研修や出張の機会なども含めますと、1人というのはあまりにも無理が大きいのではないか。少なくとも2人、できることであれば、3人以上が基本的な配置の形ではないかと考えられます。
 ごらんいただきますと、専門職員といいましても、その職種によりまして、配置状況が相当違ってございます。一律にどこからが適正ということは言えないわけでございますけれども、例えば保健師の部分をごらんいただきますと、大体が3名以上の配置ということになりますと、人口5,000人以上、1万人以上といったところが1つの目安になっていると思います。
 次の7ページをごらんいただきますと、土木技師、建築技師といったハード系の専門職の配置状況でございますが、これにつきましても、複数、3人以上の配置ということになりますと、1万人以上、あるいは3万人以上といったあたりから体制が整ってくるといった状況が見てとれるかと感じます。
 8ページをごらんいただきたいと思います。B町と記してございますが、人口3,000人のほぼ平均的な団体をもとにいたしまして、課の編成と業務内容、また個々の職員の方がいくつの事務を担当し、それは県庁本課でいいますと、いくつの担当課になるのかということを整理させていただきました。細かいことは割愛させていただきますけれども、住民に身近なサービスの例として、住民福祉課をごらんいただきたいと存じます。全部で15人、うち保健師は4名ということで、ここでは4名の方が配置されておりますが、右のほうをごらんいただきますと、県庁との関係で申し上げますが、関係する県庁の課数は、1課とあるのが3名、3課とあるのが7名、5課とあるのが2名、7課とあるのが1名。先ほどの人口1,000人のA村と比較しますと、総じて体制は充実してきている傾向が見受けられますが、住民福祉課に、これだけの職員があっても、なお、県庁との関係で比較してみまして相当にハードな業務内容ではないかと感じるものでございます。
 9ページは、C町としてございますが、人口5,000人程度といった団体での平均的なものとして整理させていただきました。先ほどのB町と比較しましても、それぞれの業務ごとに徐々に事務内容、分担というものが体制として整備されてきていることがうかがえるところかと存じます。
 10ページをごらんいただきますと、より幅広く人口規模別に組織構成がどんなふうになっているのかということを記したものでございます。上のほうに傾向を整理させていただきましたが、人口8,000人程度を境として、税務、住民、保健福祉、産業振興や土木の担当課が設置される傾向が見られるかと思います。また、3,000人強を境として係制から課制に移行し始める傾向も見受けられるところでございます。市町村においては幅広い行政事務を分担していただいているわけですが、その中に専門的な事務が増えている中で、一定の組織が人口規模別にみてどのような格好で構成されているのか、参考になるかと存じます。
 資料6、小規模市町村が地理的にどんなふうに存在しているのかをごらんいただくために、試みでございますが、地図に落とし込んで作業をしてみたものです。1ページをごらんいただきますと、ここで考えている類型を3つに区分してございます。都市の周辺に点在するもの。2つ目に、各圏域の周辺部に連なっているもの。この意味は、各都道府県内におきまして、都市とは連たんしない一群を小規模市町村がまとまって構成しているものということでございます。3つ目に、離島など地理的に他の地域と隔たりのあるもの。これは先だって御議論いただきました際に、市町村の姿を類型別にとらえる必要があるという御指摘をいただきました。その折に事務局から「類型別の市町村の現状と課題」という資料をお出しいたしましたが、その際、小規模市町村の類型として考えましたものを基準として今回も作業をさせていただき、人口1万人未満の市町村を機械的に分類したものでございます。
 次のページをごらんいただきますと、具体的に作業した結果を色で表現してございますが、都市につきましては、5万人以上のものについて、ピンクで塗らせていただいています。今回の定住自立圏構想の中心市の要件が基本的に5万人という目安になっておりますので、これも参考とさせていただいて、5万人以上をピンクで塗らしていただいております。紫になっておりますのが、小規模市町村の目安として1万人未満の団体を仮に考えまして、ここで図示させていただきました。
 こういった作業をした結果として、1ページにありますような、3類型に機械的に分類してみますと、都市の周辺に点在するものが242ございまして、残りが各圏域の周辺部に連なっているもの187、離島など49といった結果でございました。都市の周辺に点在するものにつきましては、合併なり市町村の連携というものの可能性が高い、やりやすい地域かと思います。それに比して申し上げますと、都市とは連たんしない一群をなしているものについては、合併等の効果も限定的になってこようかと思いますし、また、専門性を確保するという意味でも検討を要する部分があるかと思います。更に離島などということになりますと、合併につきましても、市町村の連携についても相当の難しさがあるのではないかと考えておりまして、こういった部分につきましては、都道府県との連携、補完といったことのあり方について検討が必要ではないかと考えられるところでございます。御議論をいただきたいと思います。
 資料7でございます。これまでの議論の中で、委員の中から、市町村合併によって行政体制の整備が図られてきたと考えるが、それによって実際に担当する事務がどの程度変わってきたのか、その状況について報告していただきたいといった御指摘をいただいておりました。それに応えるものとして準備させていただいたものです。
 正直なところ、国からの事務移譲はそれほど多くが行われているわけではございませんで、であるからこそ現在の地方分権改革推進委員会におきましても御議論が進められているものと思いますが、これまで広く事務の移譲が行われておりますのが、ここに記載させていただきました地方自治法の規定によります県の条例による事務処理の特例によるものでございます。
 地域の主体的な判断によりまして、地域の実情に応じた市町村への事務配分を可能にするものとして、分権一括法の折に制度化されたものでございます。
 2ページをごらんいただきますと、その具体の状況を示してございます。左上のほうをごらんいただきたいと思いますが、いずれかの都道府県においてこの特例の対象としております法律の数が216法律。また、いずれかの都道府県において、該当する市町村のすべてに、権限の移譲がなされている事務が80法律、1,070条項ということでございます。具体的な事例はその下に掲載したとおりでございます。
 この事務移譲と合併の進捗との関係ですが、3ページをごらんいただきますと、合併による都道府県内の市町村数の減少率、合併進捗率と条例による移譲法律数の相関を見たものです。ここにお示ししましたとおり、相当程度の相関が見られまして、地域の主体的な判断の中で合併が進んでいる都道府県ほど市町村への権限の移譲も進んでいるといった傾向がある程度理解できるのではないかと存じます。
 それから、4ページ以降、参考として資料をつけさせていただきました。これは最近の法律によりまして、新たに市町村の事務とされたものの主な例です。比較的住民に身近な行政分野について、新たに市町村の事務とされたものを整理させていただきました。あくまで例示でございますが、これまでの事務に加えて、更に市町村の役割が期待されているという傾向が読み取れるかと思いますし、こういった新たな事務をこなすためには一定程度それにふさわしい専門職員の配置も必要になってくるものと存じます。以上、関連の資料として準備をさせていただきました。
ここまでが小規模市町村の議論いただく際の参考資料として準備させていただいたものでございます。
 次に資料8、大都市部の市町村の課題を整理させていただきました。
 1ページをごらんいただきたいと思います。下のほうに大都市部とその他の地域での比較をしております。ここで大都市部と言っておりますのは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の6都府県でございまして、ここに所在する市町村とその他の地域に所在する市町村で比較をしてみました。
 大都市部の特徴を申し上げますと、平均面積がまず小さい。
 平均人口は多く、結局、平均の人口密度が大都市部においては非常に高いということでございます。
 高齢化率については現在は低い状態にありますが、将来を見通しますと、ここでは30年後の姿ですが、むしろ高い率に推移することが見込まれております。
 2ページには、財政状況も含めて整理してございます。現在は大都市部は比較的財政状況もよい水準にあると考えられますが、今後を展望しますと、例えば高齢化1つをとっても、高齢化率の進捗ということが相当な相関を持って老人福祉に関係する経費の増をもたらすものですから、今後については楽観することはできないと存じます。
 いずれにいたしましても、面積が小さく、そこに大勢の人口がいるというのが大きな特徴でございまして、市街地が大都市部においては市町村の境界を越えて連なっており、住民の日常的な生活圏が行政区域を越えて広がっている、そういった特徴を持っている地域と考えてございます。
 3ページは、現在の指定都市、中核市、特例市の事務処理の特例ということでございまして、こういった一定の人口規模を有する団体においては、都道府県から一定の事務を受けまして、その組織に見合った仕事を担当しているということでございます。
 4ページは、具体的に全国でどのような都市が対象となっているのか。現に指定されている都市及び指定は受けていないが、客観的に30万、20万以上の人口を持っている都市を含めて整理させていただきました。色刷りしておりますのが、今回、対象とした6都府県に所在する都市でございます。
 5ページをごらんいただきたいと存じます。まず首都圏につきまして、指定都市、中核市、特例市及び30万、20万以上の人口を持っている都市について、色で枠囲みをさせていただきました。赤字で名称を表記しておりますのは、先ほど大都市圏の平均面積が67平方キロメートルと言いましたが、それより更に小さな面積50平方キロメートル未満の自治体でございます。
こういったことで、対象となります都市を首都圏でプロットしたものがこの5ページのものでございます。中心となる母都市の周辺に小さな面積の自治体がたくさん集中しているという状況が一見して明らかであろうかと存じます。
 こういった状況につきましては、6ページにありますとおり、愛知県、大阪府においても同様な傾向が見てとれるものでございます。
 7ページでございます。いずれにいたしましても、こういった状況を見ますと、日常生活圏が広くなっているのに比して、行政区域が狭小といった状況が共通してうかがえるところでございます。こういったことにはいろんな課題があると認識してございます。ここでは3点に整理してございます。
 1つは、効率的・効果的なサービス提供の阻害となるのではないか。市町村の境界があることによって、近い小学校へ通えない、あるいはごみ収集など日常的なサービスの効率性に問題が発生する。
 2つ目に、広域的なまちづくりへの支障ともなるということで、駅前の再開発などといった例を掲げてございます。
 更に、根本的な問題として、受益と負担の不一致ということがあろうかと思います。ここでは、横須賀市立の市民病院の利用者についてそれ以外の市町村の住居が相当割合占めているといった事例も紹介させていただきました。
 そもそも地方自治の理念といいますのは、申し上げるまでもありませんが、住民に身近な自治体が住民のニーズを的確に把握して、必要なサービスを提供していくところに大きな意味があるわけでございますが、日常生活圏と行政区域の不一致という問題はこのことについて大きな問題を提起するものと思います。また、受益と負担といったことも地方自治の理念の上で非常に大きな要素と思いますが、これが不一致であるということについても問題があると考えます。
 こういったことを解消する手段としては、例えば広域連携を図る、合併によって対応するといったことがあるわけですが、現時点におきましては、大都市部で必ずしも広域連携が他の地域と比較して活発に行われている状況にはございませんし、合併についてはむしろ非常に低調でございます。都市と周辺地域の一体性を確保する方策としての合併の推進方策についてどのように考えていくべきなのか、この点につきましても御議論をいただきたいと考えております。
 8ページでございます。大都市部の市町村の財政に関係する問題について資料を準備させていただきました。1つは高齢者人口の急増という問題でございます。ここでは、上のほうで、ニュータウンの代表といたしまして、東京都多摩市、千葉県八千代市を紹介させていただきました。2005年と2035年を比較してみますと、65歳以上人口で2倍以上、75歳以上人口では3倍以上といった大きな伸びが見込まれているところでございます。
 一方で地方圏と比較しますと、多摩市と同程度の人口を有する山形県鶴岡市につきましては、ほぼ横ばい、微増くらい。過疎地域の島根県大田市では若干減るか、横ばいといった状況でございます。大都市部の高齢者人口の伸びは、特に75歳以上の人口において今後顕著なものが見込まれるということでございます。
 9ページでございます。大都市部全体での高齢者人口の推計を左側のほうに掲げさせていただきました。その他地域と比較いたしますと、倍以上の伸びが見込まれています。また、高齢者人口につきましては、老人福祉費と非常に強い相関を持ってございます。これまでの実績から求めました相関式を用い、老人福祉費を推計した結果を右に掲げさせていただきました。これも大都市部においては、その他の地域に倍する伸びが見込まれるところでございます。
 10ページ、別の観点でございますけれども、老朽化した公共施設の更新に伴う財政負担の問題でございます。大都市部におきましては、人口急増期、昭和30年、40年代に集中的に公共施設が整備されておりますが、これが今後一斉に更新時期を迎えることとなります。このため、老朽化した公共施設の更新に伴う財政負担が急増することが見込まれるところでございます。ここでは東京都が試算しました東京都管理の社会資本の維持更新費が増大するという推計について掲載させていただいております。
 最初にお話申し上げましたように、大都市部の市町村の特徴として、人口稠密でございます。したがいまして、仮に合併が行われますと、それによる財政効率化効果は面積が大きくて人口密度が低い地域に比すれば非常に大きいものがあると一般的に見込まれるわけでございます。合併がこれまで進まなかったことにはいろんな要因があるかとは思いますが、こういった将来に向けての財政負担の急増といったことも考え合わせますと、財政効率化の面からも検討の必要が大きいのではないかと考えてございます。こういった点につきましても、御議論をいただければありがたいと存じます。
 事務局からの説明は、以上でございます。ありがとうございました。
○林小委員長 ありがとうございました。今日は意見交換でございますので、小規模市町村、大都市を区分して意見交換ではなくて、どこの方向からでも結構ですので、御質問なり御意見をいただければと思っております。それでは、残されました1時間余活発な御議論をお願いいたします。
 いかがでしょう。どうぞ、大山委員。
○大山委員 フランスの資料をいただいたのですが、ちょっと気がついたことがあるので申し上げたいと思いますけれども、今日の話とは直接関係ないですけど、フランスは大統領制ではないと思います。半大統領制なので、ベースは議院内閣制になるのではないかと思いますけれども、それはともかくとしまして、まずお話にもありましたとおり、広域行政組織というのはそもそも実態が全く違って3万以上のコミューンが全く合併しないで残っているので、あまり直接日本には参考にならないと思いますけれども、むしろ参考になるのは、ここには出てきてないのですけれども、契約化というのをずっと前から分権化始まったときからやっていまして、フランス語ではコントラクチュアリザシオンというんですけど、要するに自分のところだけでは処理しきれない事務を対等な関係で他の市町村、県、州と契約を結ぶことによって、個別契約で対処してほかのところに委託するということを随分やっています。定住自立圏の構想を見ましても協定ということが随分出てきているようなので、むしろそっちのほうがもしかした参考になるかもしれないと思いました。
 ただ、それもフランスでもいろいろ問題があって、全く対等な主体同士が契約することに建前としてはなっているのですけれども、実際は上の組織、例えば県とか、そういうところがパターンを押しつけてくるとか、そういうような問題はやはりあるようですけれども、参考になるとしたら、そちらのほうが、あるいはなるかなと思いましたので、ちょっと申し上げておきます。
○林小委員長 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。
○名和田委員 主として2つの分野について意見を言いたいのですけれども、大都市制度と小規模町村ですね。大都市制度は横浜市を中心に勉強してきた私にとっては、今期の地制調では、一応審議項目にはありましたけれども、扱われないのではないかと思っていたところに資料が出てまいりまして、あまり委員の仕事に私情を交えてはならないと思いますが、本当にうれしく思っております。それだけに発言内容を少し先生方の御議論を伺いながら組み立てたいと思いますので、まず最初に小規模町村のほうだけ発言させていただきたいと思います。
 今日はいろいろ資料でまた勉強させていただきまして、小規模町村という存在はいろんな意味で重要なんですね。日本の国土を保全するという意味でも非常に重要である。ただ、現状の制度では、そういうものがきちんと機能していくために難しい状況にあるということを非常に強く感じました。今日参考配付資料というのでしょうか、全国町村会長の山本委員の文書が配られておりまして、私、ちょっと早めに来ましたので目を通させていただきましたが、私の見るところ、全国の町村長の方々の山本委員に対する信望非常に厚いものがあると常々思っておりまして、それを踏まえてこういう御意見を出されているかと思いますけれども、非常に重く受けとめなければならないと思います。どうやってこういった町村がしかるべき機能を果たしながら、今後も誇りある自治を保っていけるかということを制度設計として考えなければいけないのではないかと思っております。
 かなり問題だと思ったのは、今日の事務局からの資料説明にもありましたけれども、専門職の配置という問題ですね。必置規制をなくそうなくそうという方向が一方であるわけですが、他方で現代人が納得できる、今の文明段階において人間の尊厳に値する生存を保持するための公共サービスの水準はかなり高いわけですね。そのためにはどうしても専門性というものが必要なので、専門性を持った働き手は必ずしも公務員だとは限りませんけれども、にも関わらず自治体や国が果たすべく役割は非常大きいと思います。そうなると、一定規模以上の自治体でなければ、専門職を一定数、先ほど1人ではちょっと問題があるという事務局の御説明でおっしゃった、なるほどなと思ったのですけど、確かに研修などを定期的に積んで自分の能力を高め、保っていかなければ専門職としては使い物にならない。大学教授も一緒だと思いますが、ですから1人ではなくて複数置くことができるには一定規模が必要であるという問題が非常に大きいなと思います。
 今日、小規模あるいは都市自治体についても、将来の見通しを考慮に入れたお話がございました。合併、合併としゃかりきになってやってみても、結局日本全体で人口が減って、かつ高齢化するわけですから、本質的な問題は解決されないで、むしろあまり性急な合併をすることによって問題が先送りないし糊塗されてしまうというようなことが今日非常に強く感じられました。
思い返すと、前回の御議論の中で、私の頭の中に非常に強い印象を残した御発言として、小田切委員は御欠席ですけれども、小田切委員の「スケルトン自治体」という言葉が非常印象に残っておりまして、実際には総合行政主体ということが求められているけれども、かなりいろんな事務を制度上の手法で出してしまって、組織自体の存立だけしかやっていない自治体と、そういうイメージのお言葉だと思うんですね、「スケルトン自治体」というのは。ただ実際に、本当にスケルトンになってしまっている自治体がどのくらいあるのかというのは私は現状はよくわからないのですが、多分全く骸骨のようになって、自分の組織の維持しかやってない、そういうことはないと思うんですね。ですからある種、印象的なお言葉として「スケルトン自治体」というふうにおっしゃったと思います。
 これも高度の専門性を要する行政サービスを提供するだけの人員を配置できないという、スケールメリットの関係で配置できないという問題が大きいのかと思うんですね。そうしますと、この問題を解消しながら誇りある自治を保っていくというような制度設計をどうしたらいいかということを我々は考えるべきではないか。
 まず、自治思想として、前もちょっと申し上げたことがあるのですが、日本の基礎自治体とか総合行政主体という概念は、権利よりも能力に比重を置いて考えられているんですね。これに対して、私はヨーロッパのと言ってもいいかと思うのですが、少なくとも私が若干知っているドイツの事例を見ると、実際の仕事とか能力よりも、全権限制の推定といいますか、権利に即して、すべての権利をまず持っているというふうに認証されて、しかる後にできないことはほかに頼んでいくという仕組みになっている。こういった発想を少し自治思想として、制度上のバックボーンに据えるべきではないかと思います。
 更にもうちょっと具体的な制度設計においてどうなのかというと、これも私が数年前にドイツで初めて農村に行ってみて強い印象を持ったのは、総合自治体制度、自治体の連携制度ですね。ちょっと誤解が多い言い方ですが、日本でいうと単位自治会町内会と連合自治会町内会のような関係に、ややミスリックな対比ですけれども、単位自治体というものがあって、構成自治体というものが、それが連携して連合自治体をつくっているという仕組みであります。恐らくこれは斎藤委員のほうがお詳しいと思うのですけれども、私が見たのはニーダーザクセン州のザムトゲマインデという仕組みでありましたけれども、これはいつぞや出てきて、割と不評を買いました特例団体とか内部団体とか、そういう話ではなくて、まず単位自治体の主体性があって、それが連合するという仕組みですね。こういったようなことも考慮に入れて、誇りある自治を保ちながら現代文明が要請する高度な行政サービスの提供体制をつくっていくということが考えられるのではないか。
 それから、今日の御説明で、更にもっと具体的でやや細かい話になりますと、この間、ずっと日本における連携制度や委託制度を資料で勉強させていただきましたけれども、今日の御説明にも出てきましたけれども、私の頭の中でひっかかってきたのは、委託という仕組みにおいては、一たん委託してしまうと、もう物が言えなくなるということになっているという点ですね。これはかなりネックなのではないかと思いますし、制度的な趣旨はわかりませんが、何となく民主主義の観点からも問題があるような気がいたしまして、非常に細かく、かつ小粒なところで言うと、委託制度をもう少し民主的なコントロールが委託した側からも聞くような仕組みにできないものかなというふうに思います。
 いずれにしましても、小規模町村の問題は、事実問題としてどのように合併をやれやれとけしかけてみても、これ以上進まないし、望ましくもないと私も思いますので、そしたら、今後の20〜30年先の日本を見通した小規模町村が生き残っていき、かつ誇りある自治を保っていけるような制度設計をもう一回フランクに議論すべきではないかというふうに感じます。
以上です。
○林小委員長 ありがとうございます。
○眞柄委員 大変重要な御意見だったと思うのですけれども、特に今の御意見との関連で、いただきました資料5は、大変重要な情報が載っていて、興味深かったのですけれど、資料5の1ページの典型的な小規模市町村として、約人口が1,000人で、ここで事務体制がどうなっているかという図をいただきました。私はこの図を拝見しまして、1,000人の団体で、職員数が45人というのは、約20人、21人か20人に1人が職員をなさっているということで、決して小さな職員の規模ではないと思いますね。20人に1人というのはかなりの数だと思うんですね。
 ところが先ほどの御指摘のように、専門職の方が、保健師さん、ブルーで囲んでありますね。それから、看護師さんグリーンで囲んであると思うんですけれども、そのほか、非常勤の医師の方がいらっしゃるということらないんですけど、ここでは医師の方がカウントされていませんので、非常に専門職員が足りないのではないかという御指摘があって、その後のほうのページのさまざまな資料でも専門職員の確保が非常に急務であるという、それは全くそのとおりだと思うのですが、ただ、この1ページの1,000人の1つのA村というところでは、職員数が足りないのではなくて、専門職員が足りないんですね。そういった専門的な知識、あるいは技能を有している方が足りないのであって、これはこのA村にそういう方がなかなかいらっしゃらないのか、そうするとB村という隣の町とか村と一緒になっても、やはり足りないものは足りないのか、あるいはもし規模を大きくしても問題が解決できないとしたら、これは人的資本の問題で、どうしたら1,000人くらいの規模の団体の中で専門的な技術を持っている職員を増やせるか。市町村を離れずに、そこにいて専門的な能力を発揮させる方がどういうふうに今後増えていくかという、それが私は非常重要なことだと思いまして、人的資本の育成ですとか、人材をどうやって確保していくのかというのは、ただ、規模の問題ではないような気もするんですけれども。
○林小委員長 ありがとうございます。いかがでしょうか。とにかく御意見をいただいて、それから、また相互に議論できればと思います。
○小幡委員 私も資料5というのが大変興味深かったのですけれども、例えば5ページのところの(A村の事務処理体制の特徴)というところで、今の専門分野の職員という話も勿論あるのですけれども、例えば5ページの総務課は、選挙管理委員会事務局を兼ね、監査委員事務局を兼ね、固定資産評価審査委員会事務局を兼ねているわけですが、監査委員制度を議論したときにも事務局体制として独立の事務を置かせるべきだ、あるいは共同設置でもよいからという議論もあったかと思います。専門職という問題とともに、いわば自治体としての民主主義的な装備としてのいろいろな委員会等があるのですが、そういうものについても結局なかなか独立させるということがそもそも職員の数からいって難しいということなのかと思います。ということになりますと、なかなかそのあたりも含めて難しい問題をらんでいるなというのがはっきり言って実感としてございます。
 そのほかに、いわゆる住民サービスの部分というのはいろいろな工夫も確かにあり得ると思いますし、今、名和田委員のほうから委託の問題もございましたが、ほかの自治体に委託する、例えば隣のところに委託するという、そういう委託制度と、それから、民間委託をどんどん進めるという場合もこの頃あるわけですけれども、私も官民競争入札でやっておりまして、片山先生も委員でいらっしゃいますが、窓口業務などの民間委託というような話をするのですが、例えば偽装請負にならないかとか、そういう問題もあったりして、結構、民間委託の場合も割と難しい問題を含んでいるというのが現状としてあります。
 サービスの部分というのは職員を抱えてやらなければいけないだけではなくて、やはり数が足りない部分は職員以外の方の力をかりるというほうが、本来サービスとしてはあり得るのかなという感じがしまして、そうしますと、自治体としての誇りといったお話ございましたけれども、民主主義的な自治体として、その存立のために絶対に職員でやらなければいけない部分と、職員でなくてもできるという部分とがあって、それを少ない職員数の中でどういうふうに配分していくかという話になってくるのではないかと思うのですが、ただ、現実問題として、後で出てきます大都市などと比べると、事務処理体制には大変な差があるという現状があるなと。
それで、ちょっとお伺いしたいのですが、補完性原理とか、身近なものはなるべく市町村にやらせたほうがよいだろうというときに、制度をつくるときに、これは市町村に任せても大丈夫かと、その判断をするときに、どのあたりの市町村を基準にするかということですよね。一番人口規模の少ない町村、いわゆる小規模町村のところを、ここができるかというふうなことで考えて、市町村の事務にするかどうかを決めていくとすれば、これはある意味、非常ハードルが高いということになります。
 ところが現実に、3万人以上は特例市になるとしても、特例市にならない市町村でもある程度大きいところは、結構まだまだできる事務処理があるのですから、どのレベルを見るかということだと思うのです。一番小規模な町村でできるものとしてみると、これは少々厳しすぎるので、そうすると、結局先ほどの町村会長の山本会長の御意見を私も拝読いたしまして、常々よくわかっているのでございますけれども、すべての小規模町村まで含めて、すべての市町村ができるものとしてセットの事務というふうに考えますと、制度としてかなり難しい部分があるのではないかと思います。逆に言うと、そもそも無理なものであれば、ここの町村ではやらないで済むというような、事務処理特例の逆ですけれども、このようなことを認めるほうがよいのではないか。今では勿論ほかの自治体への委託という共同処理とかありますけれども、これをもっと拡大していく方向で考えないと、制度としてはいびつになるのではないかという感じがいたします。
いろいろ申し上げて、もう終わりますが、資料7の事務処理特例の話ですが、これは私意外だと思うのは、普及状況の2ページのところで、全市町村に移譲というのが結構ございますね。これは都道府県の条例での判断なのですが、これは制度としては、別に全市町村に移す必要はないわけですよね。全市町村でなくて、規模に応じて移せばよい。
 その全市町村ではない移譲の場合というのは、どのぐらいあるかというデータはすぐおわかりですか。
○市町村課長 今、詳細のデータを準備しておりませんけれども、全団体でないのは、例えば市だけとか、あるいは一定の人口規模ということを条件にしてとか、それはそれぞれの条例の定めによります。
○小幡委員 かなりあるということですね。そうであれば、ここは、全市町村に移譲というところを多分取り出していらっしゃるのでしょうけれど、この制度を使うときに、必ずしも小規模町村まで含めて全部移譲という使い方でなく、様々なレベルでの移譲をもっとやればよいと思うのです。これは感想ですが、先ほどのどのあたりの市町村を標準としてここでできるからと移譲を決めるのかというあたりを考えると、この事務処理特例は、まさに個々の判断ができる制度ですよね。ですから必ずしも全市町村ではなく、いろいろなレベルでやっていただきたいと思います。
○林小委員長 石井知事が、前、意見聴取やったときに、すべてができてから移譲するのではなくて、できないところがあっても移譲するということをおっしゃっていて、だから恐らくそういう方向でこれから行くのではないか。そこで、どのレベルができればいいのという話なのですが、ちょっと大山委員に私のほうからお教えいただきたいのは、フランスのコミューンが、基礎自治体なのだから、すべてやるのだというぐあいに思っているのですか。
○大山委員 全然思ってないです。全くスケルトンだと思っています。
○林小委員長 それはそれでいいんだというふうに考えているわけですね。
○大山委員 さっき名和田先生がおっしゃったけれども、そもそも最初の分権化の法律が、「権利と自由法」というタイトルがついているぐらい、自治体の権利と自由ということなので、何も全部やるということではないんです、発想が。
○林小委員長 だから、全部義務づけられるという話と、それは権利なのだという話とが、これはきちんと分けて考えなければいけないと思うんですね。名和田委員が、権限はあるのだと言って、それはできなければというのは、要するに意思決定は基礎自治体に与えたほうがいい。処理は補完するという話なのでしょうか。ちょっとそのあたりを。
○名和田委員 そのあたりは是非、斎藤委員の御発言も伺いたいところなんですけれども、私が理解している限り、まずそもそも自治体はどちらかというと、国家体制の一部というよりは、人権の共有主体だという発想がもともとあって、だから1849年のドイツのフランクフルト憲法、施行されませんでしたけれども、ここでは地方自治は人権の章に書いてあるわけですね。ですから人権共有主体として、あるまとまった権利のセットをもともと持っていると。それをやれるかどうかはそれぞれの事情の問題で、やれないのだったら、上に委託するとか、横に委託するとか、そういった発想でもともと制度ができているのではないかと。
 ただ、推定される制度の中にどんなものがあるのか、非常に高度な行政サービスの提供ということまであるのかどうか。その辺になるといつも斎藤委員から私は怒られているので、ちょっと補足を願えればと思います。
○林小委員長 お願いします。
○斎藤委員 その点について1点、もう一点、広域連携について簡単に申し上げたいと思います。
 名和田委員は、全権限性というか、自治体に権限があることから出発すべきだ。そこへ交通整理だと言われるのですが、ヨーロッパでいうところの全権限性というのは、日本の市町村はとっくに達成しているのですね。つまりやろうと思えばやれると。個別の授権がなくてもいろんなことをやれますよというのは、包括的な条例制定権もありますから、ですから全権限性から考えましょうというのは対比として適切ではないと思います。それはもう達成している上で、地域に身近なことはより地域でやってもらいましょうというのでいろいろな事務が国なり都道府県からおりてきていると。だからそこも総合的にやりましょう。これが政策論的な総合性ですよね。
 それがあまねくどこにも要求されるのかどうかというのは、これは政策論の部分で、だからそこはあまり法的にそれにとらわれるべきじゃない。これはいろんな側でとらわれすぎていると思うのですけれども、全権限性は大事だというのは、それはそうですが、日本の自治制度は達成ししていますので、そこまで巻き戻して議論するのはいかがなものかと思います。
 それから、自治体が人権、共有主体の側、社会の側から出発した、それは歴史的にはそうですが、現在は自治体は統治機構ですから、他の私的団体とは違うので、そこは統治機構の一環として民主的なコントロールなどをどう考えるかという話なので、自治体を社会の側、人権共有主体まで巻き戻すのはどんなものかと思います。勿論、現在総合行政主体、総合行政主体といって要請されていることが法的な要求なのか、それとも政策論的なことで、そこはいろいろな制度設計があり得るのかという区別ははっきりさせたほうがいいとは思います。
 以上が名和田委員に対する私のコメントということになります。
 もう一点、広域連携のほうで申し上げたいことは、大都市部、小規模市町村共通の論点になろうかと思います。広域連携は時代、時代の要請によって自治法にいろいろな制度が入ってきた。これは山本会長のペーパーにも広域連合のことについての記述があるところです。それはその時代時代の要請と結びついた部分があって、それだけに例えば協議会や一部事務組合について広域上の必要があれは、都道府県はその設置を勧告できるなどいう規定もあって、これは恐らく当時の合併等の政策とのリンケージがあったのだと思うのです。
 ですから現在は、1点は、従来の一部事務組合なり協議会で問題ないのかというと、行政にとって問題がない、自治体行政が問題ないと感じているということと、住民にとってそれが本当にいいのかどうかは別問題です。それを考えなければならない。
 もう一つは、先ほどの小幡委員の指摘にもありましたが、事務、これから市町村に事務処理特例で市町村すべてにおろしているというようなものは、これはそもそも市町村に担ってもらうべきだろうという判断で分権改革委員会のほうではそれをベースに権限移譲を進めているのですね。そうすると、今までにない事務が市町村のほうに求められる、これは政策論的に、そういうことにもなる。
 そうだとすれば、従来の連携の仕組みで住民から見た場合、新しい事務を市町村に委ねるという場合にそれでは足りない、あるいは使い勝手が悪いものは運用だけで足りなければ、制度改正の必要が生じてくるのではないか。
 3点目は、民間への委託、これは先ほどのスケルトン自治体の指摘にも関わりますが、民間に委ねるという手法があるじゃないかという議論がありますが、これは民間に委ねれば、それで自治体は撤退してやせ細ればいいのかというと、それはそうじゃない。民間に委ねたとしてそれをきちんとコントロールするということは必要ですから、そうだとすれば、その場合も新しい連携なり何らかの仕組みを考えなければならないと考えております。
 長くなりました、以上です。
○名和田委員 斎藤先生のコメントありがとうございました。私は斎藤先生が、私へのコメントとしておっしゃった最後の点が重要なので、それを言いたいためにいろんなことを言っただけでありまして、総合行政主体だというのは、まさしく政策論的な理念として地方自治法に書かれているのではないかと思うんですね。つまりどんな市町村もこれを全部やれとかというふうには、そもそも法律自体がなってないわけですよね。これ以上の規模は自治体はこういうことをやりなさいというような階層づけがなされているので、総合行政主体ということで一律に、これもやれ、あれもやれというふうに要求されているわけではないので、もうちょっとそこのところをきちんと見据えて、こういう規模の自治体だったら、どんな方式で何ができるのかということをもう少し制度整備すべきではないかということが確認できれば、私は十分でございます。ありがとうございました。
○林小委員長 いかがでしょうか。江藤委員。
○江藤委員 いろいろ議論して、いろいろ興味深い点でした。私も言ってしまいますが、「小規模町村」と言ってしまうのですが、今日の資料はすべて「小規模市町村」になっているんですね。今までは小規模町村というのはあったと思うんですが、「市」を入れて、そういう今まで議論された中で、市と町村、それほど明確に分けるわけではなくて、人口規模でという議論を展開されようとしているという確認の意味で一言言わせていただきました。
 2点ほど、質問になるのでしょうか。1つは、今、議論されていた総合行政主体というところなんですが、この地制調でも自治法に書いてある総合的というのと、27次の地方制度調査会の総合的というのはこれは意味が違うのだという確認もある程度されていたのではないか。自治法についてはタテ割を総合的にという意味と、政策の形成から決定や執行へという意味を自治体でという意味の総合的で、27次の地方制度調査会だとか、今、盛んに議論されている総合行政主体というのは、この山本町村会長にもあるように、提供する行政サービスをまとめて基礎自治体で処理するというイメージで議論されていたと思うんですけれども、そこでもう一度確認なのですが、前もちょっとお話させていただいたところで、山本会長のところでは、基礎自治体ならば、1つの自治体でといったイメージで総合行政主体を使われていたのが、資料3、今までも出されていたと思うんですけれども、これまでの議論の中で、「多様な広域連携の仕組みを活用し、周辺の市町村又は都道府県と連携することにより、市町村が総合行政主体として成り立っていくのではないか」という。1つの自治体でさまざまな身近な業務をやっていくのが総合行政主体だと町村会長は言われているのですが、ここのところのイメージ違いますよね。
○林小委員長 はい。
○江藤委員 前もさまざまな総合行政主体というのは西尾委員が意味があり得るのだという話もされていたのですけれども、「総合行政主体」という言葉を使うのであれば、どちらでもいいと議論を展開するのでしょうか。それともどちらかのイメージを持って議論するのかをまず1つ確認をさせていただきたい。その上で、この言葉を使ったほうがいいのか、悪いのかも含めて、今後の広域連携のベースキャンプになるのでしょうか、そこのところの確認を1点させていただきたい。
 細かいところで言えば、今後、広域連携の議論がされてくるのでしょうけれども、前回も、斎藤委員からも、住民の意見を聞かないとわからないよというのがありましたけれども、自治体にアンケートをとったところでは、広域連携について、基本的には問題ないのだけれども、3割ぐらいが問題があると。事務組合と広域連合は機動的ではないと。今回の「広域連携について」、資料1については、「○」の2つ目、「機動的な意思決定が困難といった意見がある。しかし、法人の設立による共同処理を選択した以上やむを得ない面があり」、「やむを得ない」というふうに言い切ってますが、機動的ではない問題を、自主的な運用でどのように突破されるのかどうなのかという事例があれば、この点を教えていただきたいと思っております。
 質問については2点なのですが、今日の議論から逸脱することになりますけれども、今日資料いただいているのは、基本的に規模とか財政の議論がすごく多くて、私は基礎自治体というのであれば、住民コントロールの議論を落としてはいけないと思っているのですね。これについては、また別のときにお話しをさせていただきますけれども、今日のところの議論でいえば、この2点、質問させていただきます。
○林小委員長 単独の自治体で総合的な行政ができるようにするのか、あるいは補完をしながら、全体として総合的な行政体であればいいのかということなんですが、これも1つ論点だと思うんですね。恐らくやれるところがやればいい。やれないのだったら、それは補完してもらえばいいという考え方もあるでしょうし、いや、それはそうじゃない。すべてやるのだということ、これも恐らく意見が違っていて、ただ、山本会長の言われたように、財源さえあれば何でもできるのだという話には多分ならないだろうとは思います。そこは広域連携だとか、今、議論しているのは、今後の人口減少等も踏まえて、そして一方で、地方分権が進んでいる中で、やれるのだとか、やるべきなのだということを行政の側から言い切っていいのだろうかという気が私はするのですね。
 つまり行政サービスの水準が随分格差が出てきて、地方に行けば生活基盤すら危ぶまれている中で、一体住民がどのようなサービスを望み、それをどのような体制で供給してもらいたいと考えているのかという視点から考えないと、いや、それはやるんだとか、やれるんだとかということを行政が一方的に言うこと自体が、これはますます格差を広げていくことになるのではないかという気がするんですね。だから生活基盤が乏しくなってくると、また人口移動が起こって、この社会保障・人口問題研究所の将来予測というのは、自然動態と社会動態を両方考慮した形の将来推計になっているわけですね。ですから人口数百のところはほとんど高齢化していますからあまり人口減らないんですね。自然動態だけなんです。ところが人口数千のところはまだ若い人たちがいるので、その人たちがどんどん東京に出て行っているということの中で、人口がどんどん減っていく。それに輪をかけて、行政サービスに水準に差が出てくると、ますます子育てだって、地方ではやれないとかという問題が出てくると、このトレンドを更に格差を広げていくかもしれない。
 そういう中で自治体は一体どのように生活を維持していくようなサービスを提供していくべきなのかというような視点から考えていかないと、行政の側から見て、権限が要るのだとか、プライドとかというようなことでは、私は成り立っていかないのではないかという感じは個人的にしていますから、そういう意味は地方がやるべき仕事を、やるという言葉が非常にあいまいで申し訳ありませんけれども、連携をしながら全体で総合行政を実施できればいいのではないか、私は個人的にはそのように思っています。
○江藤委員 私も異論ありません。
○林小委員長 それから、「法人の設立による共同処理を選択した以上やむを得ない面があり」、これは出てきた御意見です。これはそのような意見もあるので、そうならないようにするためにはどうしたらいいかということを今後議論しましょうということであるというぐあいに御理解をいただければと思います。どうぞ金子委員。
○金子委員 ちょっといくつか今の点に関連してなんですけれども、まず、資料6に、小規模市町村の類型別分類というのがあって、地図がありまして、先ほど市町村課長のほうから、この地図について、赤いところは大体定住自立圏の中心市になるであろうというところで、それ以外のところは、周りを囲むような形になるのではないかというような御発言あったのですけれども、前回の引き続きで申し訳ないのですけれども、定住自立圏構想についてなのですが、これは各委員の方も触れられております山本会長の出された意見と照らし合わせてみると、定住自立圏が何かそれぞれが歴史や風土、人々の一体感を土台として形成されている基礎自治体の間に、差別というのか、区別をするような感じが私は非常しておりまして、自分のところは人口が多くて産業も盛んなので偉いんだみたいな、そうではなくて、周辺の人口が少ないような過疎のところは非常に価値観的に劣るんだみたいな、そういう価値判断かなんか背後に隠れているような気がちょっとしております。
 それで、この資料を出された中で、資料4、「小規模市町村の状況」で、今後、高齢化の進展の中でますます規模は縮小していくし、もう一方、大都市部についても今後の高齢化に伴い財政負担が大幅に増加するので、大都市部だって安閑としていられないということになってくると、それと住民自治を基礎とした基礎自治体はそういう効率性の論理だけで合併とか、そういう方向に行くのは本末転倒であるということを考え合わせると、小規模市町村にしろ大都市部にしろ効率的な自治体運営ということになってこようかと思うんですけれども、そこで私が申し上げたいのは、感銘を受けたのは、山本会長の紙の3ページ目ですね。真ん中のあたりですけれども、「小さな自治体では、職員が集落の中核になり、大事な行事には村中が総出で当たるなど、『行政と住民との協働』は日常的である。住民を含めた『地域力』を総合的に見ない限り、小規模自治体の能力を判断できるものではない」というところの、今日出された資料5「小規模市町村の事務処理体制の状況」ということを照らし合わせて考えますと、先ほど民間委託という話もありました。
 そのあたりを照らし合わせて考えてみると、今後の方向性としては、権利義務関係に係るような権限は執行部というんですか、市役所なり、町役場でやらなければいけないけれども、それ以外のものはどんどん外に出していこうと。それは民間委託ですけれども、その中で、特に小規模市町村では、先ほど住民自治の話もありましたので、住民にやってもらうというんですか、そういう制度的な仕組みを、もうちょっと、使いやすい制度的な仕組みを考えていくのも1つの方向性なのかなという感じがいたします。これは合併に伴っていろいろ導入されています合併特例区とか、地域自治区、こういう制度、今もありますけれども、もうちょっと踏み込んだ業務実施主体みたいな形もあり得るような制度も考えていってもいいのかなというような感じがちょっとしております。
以上でございます。
○林小委員長 武田委員。
○武田委員 先ほども「スケルトン自治体」というのは、私も非常におもしろいなと思いましたのですが、これは小規模自治体に限った問題ではないと思います。つまり大都市であっても、ドイツでは「コンツェルン都市」という言い方があって、都市によって業務をアウトソーシングしていって、行政の最終的な役割はいろいろな外に出した業務の契約を管理する業務に特化していく。言ってみれば、コンツェルンというか、持ち株会社のようなものを行政が担えばいいんだみたいな、そういう発想があるわけなんですね。
 これは民間委託が可能である都市部はそうでありましょうし、これを小規模自治体に当てはめていけばスケルトンといいますか、同じように役場なり、住民の意思決定主体が業務を決定することができれば、あるいはいろんな主体に委託した業務をコントロールすることができればいいのかなというふうにふと思いました。すなわち自治体がしょせんすべての業務を自ら直営でやっているというのは、これはもはや幻想であって、都市部であっても、下手したらそれをコントールする能力、専門性を役場内に持たないケースもあるわけですね。ですから、そのすべてを自治体がワンセットで持つという、これはどのレベルの自治体に関しても、これは幻想にすぎないと思うわけです。
 そこで、先ほど江藤委員が言われた総合行政主体の定義、ここがやはりかぎかなと思いました。すなわちワンセットでいろんな業務をやるということではなくて、意思決定と執行と票費用負担に関する決定というんですか、その一連の流れをセットで持つといいましょうか、総合的に持つという意味で総合行政主体と考えるべきなのではないかという御趣旨だったかなと。聞き間違いかもしれませんが、私はそのように受けとめたのですけれども、それで考えますと、つまりいろんな行政分野をすべてセットで、自前で持つということではなくて、住民が意思決定を行う行政に関して、それをどのようにやるか、どのように費用負担するかということを住民が決定できるかどうかという点で総合行政主体と考えればよいのではないかとふと思ったわけです。
その際、最初、私、名和田先生が言われた「全権限制の推定」という言葉で、ああすごいなと思ったわけですけど、斎藤先生の御説明聞いて、それはもうできているのだということで、それに乗っかって更に考えてみると、結局のところ、住民がどれをやるのかということを選択する。既に各自治体はどの規模であってもある程度の権限は持っているのであって、要は住民がそれを望むのか望まないかという決定の問題なのではないかと思ったわけです。
 例えば資料5、これも非常におもしろかったのですけど、資料5の5ページのA村の事例として挙げられていて、こういうところが問題だというふうに挙げられているものがあるのですが、例えば保健福祉課のところで言われている最近の特定健康診断が必要だとか、児童虐待やDVへの対応が必要だとか、これを小規模自治体ではできない。専門家がいない、というふうに御指摘されているわけですが、人口1,000人の自治体で、そういう専門家が果たして求められるだろうか。特定健康診断まで求めるのかという気もしたわけですね。つまり住民が求めるか求めないかというところまで、ここの事例で言うと、過剰に書かれてしまっているという印象があります。
要は、住民の中にも、例えば都市的な感覚、行政にはこのくらいの都市的なサービスもほしいという住民もいるかもしれませんし、場合によってはDVへの対応が必要な住民もいるかもしれないのですね。しかし、そういう問題が出てきたときに、それをどのように、だれがサービスをやるかを決定する権限が自治体にあれば、それでいいのではないかと。場合によって、人材が足りない、必要な専門性を持った人材が地域にいないのであれば、県なり、そこから人材交流という形で派遣を受ければよいのではないかというような気がしてまいりました。その辺が1点目です。
 もう一つは、専門性ということに対して、他方で小規模自治体の場合には、職員の総合性というのが逆に大きな意味を持ってきていると思います。資料5に出てきていますように、1人の職員が非常に多様な業務をやっていますし、小規模であっても、人事異動はありますから、1人の人は行政のあらゆる分野を一通り経験して、いろんな分野を熟知しながら、それぞれの職務を果たしていくわけですね。こういう小規模自治体ならではの総合性が持つメリットもあるわけでして、1人がいっぱいやっていて大変だという見方もあるかもしれないけれども、これはこれで別の観点でとらえることもできるのではないか。
 ちょっと感想めいた発言で恐縮ですけれども、そんなふうに思いました。
○林小委員長 ありがとうございました。片山委員。
○片山副会長 私は今日役所の説明聞いていまして非常に違和感持ったのですが、失礼ですが、ちょっと苦言を言わないといけないので。今回の説明を聞くと、ほとんど総務省の立場で小規模自治体の問題点を論じている。地方自治というのは、本来、どなたかも言われましたけれども、住民が基本であって、住民にとってどうであるかというのが一番大切にされるべきところが、総務省から見てどうか、効率性はどうか、非常に効率が悪いと、こういうトーンですね。
 ずっと説明を聞いていて、私の感想を申し上げると、これは国の零細不採算の視点の整理合理化を論ずるとしか思えないです。自治体は皆さんの出先ではありません。いみじくも、市町村課長が言われたけれども、市町村にはいろんな仕事を分担してもらっていますと、さっき説明されたけれども、そういう考え方ではいけないです。皆さんの仕事を分担してもらっているのではない。住民の仕事を共同でやるのが地方自治なので、それがやりやすいようにサポートするのが皆さんの仕事なんです。皆さんが主で自治体が従ではない。このことはよく肝に銘じておいてもらいたい。
 今回の資料を見ると、ミスリードするような資料がかなり多いです。例えば資料4、市町村規模別のいろんな財政状況の指標などを並べていますけれども、例えば10ページで、人口規模が3万人からどうだこうだとありますけれども、土木費が多いとか、こういう話になるのですけれども、これは自治体の人口規模によって決まることではなくて、地域の属性によって決まることだと思うんです。例えば人口密度とか、あと産業構造とか、大都市の周辺部で同じように、その周辺部の区域だけとったら非常に割高のところがあるはずですよ。だけど、人口が密集しているところとまぶしてしまうから、全体として大都市の平準化されたコストが下がるわけです。だけど、区分してとったら変わらないですよ。
 ところがあたかも自治体の人口が少なければ非常不採算だというようなことをこれは示したい資料なんですよ。こんなことをするんならば、大都市の周辺部、例えば私の実家である岡山市の周辺部なんてすごい不採算のところありますよ。そういうところをとってみたらいいですよ。ということは、全然これは意味がないということになるのです。こういうミスリードをするような資料は、皆さん意図的につくっておられるとは思わないけれども、やっぱりよくないですね。
それから、小規模自治体がなぜこんなふうに問題視されるかというのは、昔はそんなされなかったんですね。勿論高齢化でこれからどんどん人口がまた減っていくから問題だという、そういう問題意識を持たれるのはいいいと思いますけれども、しかし、どうして今日こんなにとやかく言われるようになったかというのはいくつかポイントがあると思うんです。1つは、最近地方分権の流れの中で、これは否定すべきではないと私も思いますけれども、いろんな住民に身近な事務というものが市町村の事務になったわけですね。しかも、その中には困難事務がかなり多いわけです。例えば介護保険などもそうですし、それから3障害、障害者福祉なんかも市町村の事務になったわけですね。大きな市町村だったら問題ないですけれども、小さな自治体で障害者の皆さんもそんなに数は多くない。
 そこで3障害、精神障害に至るまで全部やれという話になるわけですよね。そうすると、そこで専門家なんか置けるわけがないですよ。また置くことは、国の資源配分としても非常に不採算になります。だからそういうものは従来県が補完的にやっていたわけです。それすらも、理念は正しいのかもしれないけれども、強引に市町村の事務ですよ。だから小さいところも全部専門家置かなければいけないという理屈になると、それは途端に市町村は落第するしかないんですよね。今までつつがなくちゃんとやっていたのに、新しいタスクをどんどん課せられて、おまえは落第だと。これ全部国の都合なんですよ。市町村の住民の視点とか、住民の発意、イニシアチブではないんですよね。
 そこで、私はもう一つ、以前からも言っていたのは、ここに来て都道府県の役割をもう一回見直されるべきだと思うんですよ。都道府県の本来の任務というのは補完行政なんですよね。どうも今回の中にも都道府県の補完業務というのは欠落してしまっていて、基礎的自治体は総合的行政主体だからやれと。やれないんならば広域連携しなさいと、こういう話で、皆さん方の今一番頭に血がのぼっている定住自立圏のほうに、道路なんか向けさせるような印象すら受けるんですね。短期的にそういう皆さんがやりたいということを中心にして、長期的な問題を論ずることはやはり避けたほうがいいと思うんです。だから原点に返って、広域連携もいいけれども、原点に返って、都道府県の補完というものをもっと重視すべきではないかと思います。
 それから、もう一つは、自治体がこんなに力量不足だと言われるというのはほかにも原因があるわけですよ。例えば財政難になっている。これは税収が減ったとかいろいろありますけれども、それ以外に自治体で大盤振る舞いさせてきた歴史というものを皆さん方はよく反省しなければいけない。借金しろ、後で交付税で面倒見てやると、どんどん公共事業と単独事業、ハコモノ建設やらせておいて、すくっと橋を外した歴史があるわけですよ。それで個別の自治体も、マクロの地方財政もほとんど疲弊してしまっているわけです。そういう原因者であって責任者であるということを皆さんもやっぱりよく自覚をしておかなければいけない。何か自分たちは何もそれに対してギルティーではない。全くイノセントであって、悪いのは小規模自治体であるというような視点は許されないと、不道徳であると私は思います。
 そんなところですけど、ちょっと耳が痛いでしょうけど、率直に申し上げるのは私ぐらいですから。
○林小委員長 名和田委員どうぞ。
○名和田委員 やや時間前に退出しなければならないものですから、先ほどずっと考えておりまして、大都市制度について、せっかく資料が出てきたので何か言いたいなと思っていたことを申します。
 今、この資料の中で、先ほど金子委員からも、都市といえども安閑としておれないと。むしろこの資料を見ると都市のほうが大変だと。現に私も横浜市のある地域を20年来観察し続けておりますけれども、そこは本当に限界都市というふうに自称していらっしゃる非常に異様な人口構成を持って、人口ピラミッドを書きますとキノコ型をしていて、どうしてそうなるかは皆さんよく御存じのとおりで、新規開発市だからそうなるわけで、そうすると日本の大都市、高度成長期に人口が急増したところはほとんどそういうところばかりなわけですね。これは大変だと。自治制度を変えたらうまくいくというわけでもない面が多いとおもいますけれども、それに適応した都市ガバナンスのあり方を可能にする自治制度をつくらなければならないと思います。
 それに向けて、それに向けてというふうに言い切れるかどうかわかりませんが、最近、大都市の側でも動きが急でありまして、私も横浜市で若干関与しましたけれども、横浜市、大阪市や名古屋市で新しい大都市制度の設定を求める研究会の報告書などが出されております。それから、3つの大都市が共同してビックスリー研究会なんていうのも今やっていて、話題になっておりますよね。私はああいう動きの中で、微力ながら申し上げたのは、横浜市の提言もそうなっていますが、行政区に、ずっとこの間、政令指定都市は、住民に身近なといっても20万とか30万なんですけれども、それでも身近だということでがまんしろと、大都市の住民は言われてきているわけですよね。その身近な区役所に権限を移譲しよう、移譲しようというのをずっとやってこられているんですね。それはある限界に達しています。
 どういう限界かというと、これ以上おろしたら、民主主義の基本原則が成り立たない。つまり区に議会がないために一定以上の権限を区役所に移すことができない。これが限界で、そろそろその限界が大きく目の前に見えてきております。ですからそういった方向で大都市制度を少しバージョンアップする必要が客観的にはできていると思います。
 今日の資料は、しかし政令市の話はあまり出ていなくて、もうちょっと規模の普通の都市自治体のことが出ているわけですね。それについても、ノウハウを、何だかんだいって、大都市制度について蓄積してきたのは政令市じゃないのかなというふうに思いますので、政令市のことを考えるのは無意味ではないと思うんです。
 といいますのは、実はきのう、軽々にあまりにも規定されすぎているかもしれませんが、私、新宿区のいわゆる役所内のシンクタンクに関わっておりまして、そこでこういう話が出たんですね。新宿区はいわゆる地域自治区制度は避けまして、独自の条例もつくらずに、地区協議会というのを地区町連単位でつくっておられ、その1つひとつに特別出張所が配置されておられます。それにはいろいろ歴史的な背景もあるようですけれども、どうも地区協議会というのはなかなか地元の地域の理解を得られないで苦労しておられます。そこで研究会のメンバーがおっしゃったのは、むしろ出張所を核とした区のようなものを考えたほうがわかりやすい。その上で、特別出張所が核となっている区に住民代表的な地区協議会という組織がついていると、こういうふうに設計したほうがわかりやすいのだと言われたんですね。
 それで、私ははたと思ったのは、そういえば、行政区を置きなさいとなっているのは政令市だけである。ただ、一定規模以上の自治体であれば、私は横浜市民だから、あまりにも1区で20万なんていうひどい仕組みになれきっておりますが、人口30万、40万だって、やっぱりそれで1つの議会、1人の市長でがまんしろというのはあんまりなんで、結構役所分権をしていると思うんですね。出張所とか支所を設けていると思うんです。そこをむしろきちんと制度化して、区を置くとか、私はそこに何らかの選挙制の住民代表組織も置いたほうがよいと思っておりますけれども、そういったような新しい都市自治体の仕組みをもう少し考えて将来に備えるということを考えるべきではないかと。きのうの、軽々にも規定されすぎているかもわかりませんが、そういう思いをいたしております。政令市の要件も大分緩和されたことでもありますので、日本では政令市というもので培った大都市のガバナンスのノウハウをもう少し精査して、新しい仕組みの大都市制度を考えていただけないか。
 その上で、例えば埼玉県のほうに密集している、比較的面積の小さい都市自治体が、合併をなさるかどうかということは、これは制度的に決めることではなくて、どうも受益と負担の関係がおかしいから合併しようじゃないかという機運が自治体のほうで高まればされればよろしい。そのときに、それの受け皿となるような制度が設計されてあるというのが望ましいことではないかと思います。
 以上です。
○林小委員長 小林委員どうぞ。
○小林委員 お話をずっと伺っていて勉強になったなと思っています。その中で、3点ほど意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目ですが、事務の配分とか専門職を置くとか置かないとかといった話が出ていたかと思うんですけれども、既に何人かの先生が御指摘されているかと思うのですが、各自治体によっていろいろ状況が違いますし、また、そうした情報を持っているのは各自治体当事者だと思いますので、一番重要な視点というのは当事者間交渉に委ねて、県と市の間、あるいは市町村の横の連携のあり方というか、横の連携を探るというのは当事者同士でそういう話ができやすい方法というか、そういった仕組みを考える視点を忘れてはいけないのではないかと考えます。
 2点目なんですが、これは非常にラディカルな考え方なのかもしれませんが、小規模自治体についてなんですけれども、小規模自治体の中にはここの資料にあるような財政的に維持が難しいような自治体が現実には存在するのは確かだと思います。これを何とかしなくちゃいけないというふうなお話がずっとされていると思うんですけれども、それを何とかするという背景には、再分配といういうのが裏にあるかと思います。要するにそこの自治体を維持するためには、行政サービスを維持するためにはある程度の再分配政策は必要だと。そういった再分配とかかる費用と行政サービス維持、そこの自治体なり行政区域を維持するのにかかる費用と便益、そういったのをセットでもう少し考える必要があるのではないのか。あまりこういうことを申し上げると批判を受けるのかもしれませんが、どうしても費用という面は絶対に無視できないと思いますので、そういった再分配をしていかないと維持できないような地域についても、もうちょっと費用と便益とで考えていく必要があるのではないのかと思います。
 最後に、大都市の話なんですけれども、資料8の「日常生活圏と比較した行政区域の狭小さによる課題」といったお話が書いてあるかと思うんですが、私はこれはまさに経済学的な視点で書いてあるかなと考えていて、というのは、人と物流、サービスが圏域を非常に大きく越えて移動するような都市部においては、当然外部性が、要するにほかの自治体に与える影響が大きくなると。そういったものをどのように内部化していくかということが今までの合併の話にしても連携の話にしても欠けていたように感じますので、そうしたものを把握するのに1つヒントとなるのは国勢調査で通勤圏とか通学圏とか商圏の人の移動のデータがたしか入っていたと思いますので、そういった人の動き、物流の動きを見ながら、市町村同士で、そういった視点でどう連携していくかというのを十分話し合いが当事者同士でできるような仕組みを、合併も含め、合併がいいのか、連携がいいのかというのは、個々の自治体が話し合いが十分できるような、そういった仕組みを整えるといった視点が非常に重要ではないのか、ちょっと抽象的なんですけれども、以上3点。
○林小委員長 ありがとうございました。
○眞柄委員 今の小林委員の話し合いができる仕組みというのは私も非常に重要だと思いまして、今日の話でいろいろ出てきましたスケルトンでも広域連携でも、私は都道府県の補完でも結構なんですね、どういった形をとっても。ただ、実態として、今日の資料でいただいたいろいろ御批判もあったようですけど、資料6の1ページが、小規模市町村の実態であることは否定できず、1万人未満の市町村が478あって、その中で187が都市とは連たんしない。そして、また49が離島など非常に厳しい条件にあるわけですね。この実態を無視して、私たちは出発することはできないので、広域連携でもスケルトンでも、フランスのように窓口業務だけにしても、どういった形でもよろしいのですけれども、187、49のこういった小規模の市町村の実質的な生活が豊かになる制度づくり、それをやはり考えていかないと、単なる制度論だけで終わっては私はいけないと思うんですけれども。
○林小委員長 ありがとうございました。
○片山副会長 さっきはちょっと苦言ばかり言いましたけど、ちょっと前向きなことを言いますと、小規模自治体の問題を考えるときに、今までの発想は規模をどうしますかとか、小さい自治体をどういうふうに連携させますか、補完しますかという話で来ているんですけれども、もう一つ、タスクを解除してあげるという発想あっていいと思うんですよ。今、基礎自治体の1つの仕事になっているけれども、これを見直して義務づけしないというふうに解除してあげる、そういう視点があったらいいなと思うんですね。
 例えば、私なんか一番気になっていますのは国民健康保険、これはどう見ても市町村無理です、小さい市町村では、大都市は別にしまして。小さな自治体で国民健康保険維持できるはずがないのですね。当然ああいう医療保険制度続けるならば都道府県がやったらいいと思います。本当は、私なんかは地域単位で共済組合もほかのいろんな健康保険も全部一緒にして県単位でやったらいいと思うのですけれども、それは大問題だから、とりあえずは国保だけの論点でいうと県単位にしたらいいと思う。それをしないで、後期高齢者医療制度を市町村単位の国保の上に乗っけようと思うから、あんなふうな変な、広域連合にしてしまったんですよね。ああいうのを見ると明らかに都道府県単位でやるべきなんですね。そうなったら、今、小さな市町村がどれだけ楽になるか。
 そういうことを視点に置いて、制度改正を論ずるのが総務省の仕事でもあるし、当調査会の仕事でもあると思うんですね。ほかにもいろいろあります。例えば、さっき専門職員の中であまり論じられませんでしたが、税なんかでもすごく専門家が今はいるんです。特に固定資産税なんか、私も言いにくい面はありますけれども、物すごく複雑怪奇になっていてちょっとやそっとではわからないんです。本当は固定資産税というのは、土地があって、家屋があって動かないので、それを評価して、1.4%税率掛ければ出てくるという、ごくごく簡単な制度なのに、もうそれだけで全然済まない。本当に専門的な知識の経緯を知らなければいけないという、こういうのをシンプライズして、できるだけ元の固定資産税の簡単な仕組みに戻してあげるなんていうのはまさしく総務省の仕事だと思うんですね。そんなことをしてあげれば、今の小規模自治体があっぷあっぷしているものの解除につながると思うんです。お金も随分あると思いますから、1つの視点で複雑怪奇になったり、困難業務を解除してあげるという、こういう視点を是非入れてもらいたいなと思うんですけれど。
○林小委員長 ありがとうございます。もう時間も迫ってまいりました。先ほど小林委員が当事者間交渉とおっしゃって、眞柄委員もその辺が大事だと。これは大山委員がフランスで参考になるのは契約ではないかとおっしゃって、恐らくそのあたりですね。つまり今の事務の委託も当事者間交渉できなくなっているわけですよね。つまり意思が反映されなくなってしまっている。でも、そんなのはなしにしたら、当事者間できちんと契約結べるのではないかといったようなことを今後考えていくべきなのではないか。その中でフランスが参考になるのではないかというぐあいに期待はするのですけれども、3月の二十何日に日本におられないということもあるので、また、何か残しておいていただければと思うのですが、ちょっとそのあたり参考になりましたらと思います。
○大山委員 ちょっと離れるかもしれないのですけれども、私、日常生活圏と比較した行政区域の狭小さによる課題を抱えている調布市に住んでいるのですけど、はっきり言って、これ以上、合併されたら自治が遠くなるなというのがむしろ実感なんですね。今、考えていることは、だから合併で自治を遠くせずに、今、いろんな問題があるとしたらどういうふうにそれを処理をしていくかというのが今議論すべきことだと思うんですけれど、何かどうもまだそこのところが抜けきれてない。山本会長のお書きになっているので、5ページ目で、真ん中辺の、「一方、国は『平成の合併』の推進に際し、これまで拡充を図ってきた広域連携の仕組みを、批判的、消極的に扱い、行政体制の選択を合併一辺倒に狭めてしまった」、本当にそのとおりだと思うんですけど、まだそこから抜けきれてないような感じが全体的にします。
 日常生活圏の資料8ですか、7ページのところで、「市町村の境界があることによって、住宅に近い小学校へ通えない」とか、これはいくら大きくしたって、境界のところの人が近い学校に通えないケースが出てくるのは同じなので、何か合併したほうがいいんだということが払拭できてないがために議論がぐちゃぐちゃになっているような気がどうも全体としてはします。だから合併、これ以上できないというところをはっきり押さえて、その上で、ではどうするかという話になってこざるを得ないのではないか。そうじゃないと、いつも議論が拡散してしまうような感じがします。
 契約化については、もっとタスクを解除して県に上げるというようなことにも使える話なんだと思うんですけど、それを全く対等な主体同士の契約としてやるという理念なんですね。本当にうまくいっているかどうか、いろいろ問題あるんですけれども、そういうのは学ぶべきなのかという気がします。
○林小委員長 ありがとうございます。時間が参りましたので、これぐらいにさせていただきたいと思いますが、1点だけ、私、小規模自治体で仕事を兼務しているというか、これは実態として出てきているわけですね。ただ、それは住民に対して負担になっているのかどうかという問題があって、むしろ兼務できるからやっているのか、あるいは兼務することによって住民の日常のサービスに対して何か支障が起こっているのかどうかというところまで、もうちょっと調べないと、つまり大きなところは兼務できない。住民が多い、相手にする人が多いので、それは兼務なかなかできないけれども、小規模自治体だったら、そんなにたくさんのニーズがあるわけでもないので、兼務しようと思ったら兼務できて、それでもあまりそんなにサービスが悪くなっているわけではないのか、やっぱり物すごく無理をしているのか、そこはちょっとだけ調べておいていただかないと、兼務しているから問題だということにはどうもならないのかなという感じもしますので、ちょっと気になったところが1点です。
 あと、大都市の問題とかいろいろございます。これはビッグスリーというのは、それはそれなりに言いたくなるのも気持ちはわかるような気もちょっとしたものですから、大都市制度、今後どうあるべきかということは議論していかなければならないと思います。ただ、限られた期限の中で、そこまで入れるかどうかということはわかりませんので、今後、また事務局とも相談しながら、一定の答申をまとめるというところまで持っていかなければなりませんので、そのあたり、また専門小委員会でお諮りをしながら議論を進めてまいりたいと思っております。
 それでは、事務局から何かございましたらお願いをしたいと思います。
○事務局 次回の日程についてでございます。既に御案内させていただいておりますけれども、3月27日(金曜日)午後3時から午後5時まででございます。場所は、全国都市会館で開催する予定でございます。よろしくお願いいたします。
○林小委員長 それでは、これをもちまして、本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。

以上

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