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第29次地方制度調査会第24回専門小委員会

日時

平成21年3月27日(金)15:00〜17:00

場所

全国都市会館 第2会議室(3階)

議事要旨

1 開会
2 議題
  基礎自治体における住民自治の充実について
3 閉会

配付資料




○林小委員長 それでは、御出席予定の方が全員おそろいですので、第24回「専門小委員会」を始めさせていただきたいと思います。
 本日は、基礎自治体における住民自治の充実について意見交換を行いたいと思います。
 まず、事務局から、資料につきまして御説明をいただいて、その上で意見交換を行いたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。
○市町村課長 市町村課長の丸山でございます。資料1について御説明申し上げます。「小規模市町村に対する方策のあり方及び大都市部の市町村のあり方についてのこれまでの議論」という資料でございます。
 前回、小規模市町村及び大都市部の市町村につきまして資料を御説明させていただき、また、委員の皆様より御議論をいただきました。このテーマについてのこれまでの議論を整理したものでございますので、説明は簡単に申し上げたいと思います。
 まず、1ページ、小規模市町村に対する方策のあり方についてでございます。
 多様な広域連携の仕組みを活用し、周辺の市町村または都道府県と連携することにより、市町村は地域における行政を自主的、総合的に実施する総合行政主体として存立していくのではないか。
 単独での処理が困難な事務につきましては、まず市町村同士の水平補完により対応すべきではないか。
 とは言いながら、離島など、市町村間の共同処理が困難な地域をどうするのか。
 その場合、都道府県の本来的な役割としての市町村の補完事務をしっかりと考えるべきではないか。
 都道府県が市町村を補完する場合には、専門職員の活用などの人的支援により対応する役割があるのではないか。
 また、自治制度は多様なものであるべきであり、小規模市町村に合わせた特別の条件整備ができないのか。
 現在、市町村に義務づけられている一定の事務の義務づけを見直すという仕組みも考えられるのではないか。
 また、事務の内容といたしましては、小規模市町村において、福祉・保健分野の事務負担が重荷となっているのではないか。
 2ページでございます。前回、専門職員等の配置状況等についても、資料をもって御報告させていただきました。それに関連しての御意見でございます。
 基礎自治体に求められる高い水準の行政サービスを提供するためには、一定の専門職員が配置されていることが必要ではないか。また、その場合、管理、指導などの点から複数配置が望ましいのではないか。
 基礎自治体における事務処理に当たりましては、当然民間委託が重要なツールとなるわけでございますが、民間委託を行うことも可能であるが、その場合であっても、基礎自治体の存立目的の観点から、基礎自治体の職員が自ら行うべき事務があるのではないか。
 また、その場合、基礎自治体が最終的な責任を持ち、住民によるコントロールが及ぶ必要があるのではないか。以上のような御意見がございました。
 3ページ、2つ目のテーマといたしまして、大都市部の市町村のあり方についてでございます。
 大都市部における市町村合併の受け皿として、政令市における行政区のような仕組みが必要ではないか。
 また、大都市地域におきましては、母都市と周辺地域との間で公共サービスのスピルオーバーなど、外部経済性が発生しているので、これについて市町村合併や広域連携により解消する必要があるのではないか等の御議論があったところでございます。
 資料1につきましては、簡単でございますが、御説明に代えさせていただきたいと思います。
○行政課長 引き続きまして、資料2でございます。
 資料2は「地域自治区等のあり方についてのこれまでの議論」ということで、地域自治区あるいはコミュニティにつきましては、夏以前の第5回、11回、12回の何回かにわたり、制度あるいはいろんな資料の御説明を申し上げまして、先生方の方から大変いろんな意見をちょうだいいたしております。それを今回2ページにわたりまして、これまでの議論ということで整理させていただいております。
 1ページ「地域自治区等のあり方についてのこれまでの議論」でございます。
 まず、上の方の幾つかは、地域自治区なり住民自治についての基本的な考え方ということで、地域自治区については、現在ある程度うまくいっている地域もあるので、まずは既存の制度を利活用して、住民自治をより拡大していくことが重要ではないか。
 合併して大規模となった自治体では、住民自治が損なわれてきている。これをいかにして回復するかが重要な課題ではないか。
 住民自治や協働については、まずは地域で自主的にかつ多様に取り組んでもらうことが基本であり、制度としてこうすべきということはできる限り避けるべきではないか。
 住民自治を進める場合には、自ら考え、自ら判断して、自ら責任をとることを基本として考えるべきで、問題があるからといってすべて制度的に対応するという発想に立つのは適当ではないのではないかといった御意見。
 地域自治区は、単に住民自治のための制度というだけではなく、行政と住民の協働の仕組みとしても重要な機能を果たしつつある点に留意すべきではないかといった御意見。
 また、個々の地域自治区の制度についての御意見ということで、基礎自治体のある特定の地域だけの地域自治区を設置することを許容すべきではないか。
 これに対して、また一方では、住民自治という観点に立てば、同じ市町村なのに区域、地域によって民主主義の度合いに差があるのはおかしいのではないかといった御意見もございます。
 現行制度においては、地域自治区を市町村の議会が条例により設置する方式になっているが、その地域の住民の直接請求で地域自治区を創設するという途を開くべきではないか。
 地域の民主主義を厚くするという課題に対応するためには、地域協議会の構成員の選任について、公選の途も選べるようにすべきではないかという御意見。
 続きまして、2ページでございます。
 地域協議会の構成員を選挙で選ぶこととした場合、運用を誤ると、かえって地域自治区と住民の距離が開いてしまうことになる場合もあるのではないか。
 地域協議会の構成員を公選とすることが、即、地域協議会の権限の拡充につながるものではないのではないか。
 準公選により地域協議会の構成員を選出すると、政治色が非常に強くなる面もあり、今、地域、コミュニティの単位でこのような制度をつくることは適当か。
 現状では、合併特例法に基づく地域自治区や合併特例区について、地方自治法の特例が設けられているが、合併が落ち着いた後、本来どういう姿であるべきか議論する必要があるのではないか。
 地域自治区制度を考える場合には、地方議会とどのように補完し合うのかという視点が必要ではないか。
 地域自治区は、地方自治法の地域自治区制度によらず、必要に応じて独自に条例で定めることができるのだから、地方自治法で地域自治区制度を設ける必要性は乏しいのではないかという御意見もございました。
 地域コミュニティのあり方は、地域によって非常に多様であるから、そうした多様性を前提にした制度とすべきではないか。
 地域コミュニティに関する活動を行う団体が、経済活動を行っていることについて制度的な対応が必要なのではないか。
 こういったさまざま御意見をいただいているところでございます。
 次に、資料3でございます。
 地域自治区制度につきまして、これまで制度の中身とか実例とかを何回かにわたりまして御説明申し上げてまいりましたが、その辺りから主なものを再度ピックアップしてまとめさせていただいておりますので、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 1ページは、地域自治区制度そのもので、これは27次の政調の答申である平成16年の地方自治法改正により創設をしております。
 趣旨等としては、住民自治の充実の観点から、区を設けて、住民の意見をとりまとめる地域協議会と住民に身近な事務を処理する事務所ということで、市町村に地域自治区を置く場合には、当該市町村全域に置かなければならない。ただし、合併の場合は例外がございます。
 地域協議会の権限は、条例で定める地域自治区の区域に係る重要事項につきまして、市町村長が意見を聴取する。あるいは市町村長に対する意見具申権がございます。
 地域協議会の構成員につきましては、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから、市町村の長が選任することとなっております。選任の際には、多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならないこととされております。
 事務所につきましては、市町村の事務を分掌するとともに、地域協議会の事務を処理いたします。
 予算編成権につきましては、直接はございませんで、市町村におきまして地域自治区に係る予算を措置するという仕組みになってございます。
 2ページは、地域自治区の概況がございます。
 平成19年10月1日時点の調査で、17団体で123の地域自治区が置かれております。
 大半の団体で、設置期間は設けておりません。
 条例で定めます重要事項はどういうものがあるかということを幾つか掲げております。
 市町村の基本構想の作成辺りが一番多くなっておりまして、その他公的施設の管理、建設計画等々となってございます。
 3ページは、地域協議会の構成員の状況でございます。
 構成員の7割がいろんな公共的団体等を代表する者となっております。下に掲げておりますような、さまざまな団体の代表の方でございます。
 公募につきましても、全体の1割ぐらいが公募構成員となっているということでございます。
 4、5ページは、特色ある事例として御紹介しております。
 4ページは、愛知県豊田市でございます。
 一般制度の地域自治区を12置いております。これも元は合併をした市でございますが、合併した旧町村だけでなく、もともとの旧豊田市内にも6つ設置してあり、全市域に設置しております。
 ここにございますように、75%が公共的団体などを代表するもの、15%が公募となっておりまして、ここの特徴としては、住民が主体となって実施する「わくわく事業」といいます事業に対する補助金の交付に当たりまして、この地域協議会で審査を実施するといった特徴を持っておるところでございます。
 5ページは、岐阜県恵那市の事例でございます。
 同じように、旧町村と旧恵那市双方に地域自治区を合計13置いてございまして、この特徴としては、地域協議会が認定するまちづくり実行組織といったものを起きまして、この組織が行う事業に対しまして、助成が行われるといった仕組みでございます。
 6ページ以下が、地方自治法に定める地域自治区によらない、独自の協議会等でございまして、6ページは神奈川県川崎市の自治基本条例に基づきまして、区民会議というものが置かれております。この区民会議におきましては、区内に住所を有する人のほか、勤務、通学する人であるとか、区内で事業活動を行う人なども含まれているといった特徴がございます。
 7ページは、兵庫県神戸市でございます。
 まちづくりという視点に着目いたしまして、神戸市まちづくり条例というものに基づきまして、まちづくり協議会制度をつくっております。住民などが設置した協議会をまちづくり協議会として市が認定いたしまして、この協議会は、この地区のまちづくりの構想に係る提案を市長に提案することができる。市長がこの施策の策定に当たって、この提案に配慮をするといったまちづくりに関する協議会がつくられてございます。
 8ページは、条例によらない要項で置かれているものとして、静岡市がそれぞれの区に区民懇話会というものを置きまして、この地域の諸問題、区の魅力づくり事業等々に関しまして審議をし、区長に提案をするといった仕組みを独自で置かれているところでございます。
 9ページは、最初に申し上げました地域自治組織の制度をつくるときの基になりました第27次の答申の概要でございますので、説明は省略させていただきます。
 以上でございます。
○市町村課長 引き続きまして、資料4について御説明をさせていただきます。「地域自治組織と合併特例の概要」について整理させていただきました。
 1ページをごらんいただきたいと思います。
 今ほど、一般制度としての地域自治区についての御説明を申し上げましたけれども、これに関しまして、合併時の特例として幾つかのものが制度化されてございます。それを順次ごらんいただきたいと思います。右側の方に「合併時の特例」として記載してある部分でございます。
 まず、合併特例としての地域自治区でございます。
 これは一般制度の地域自治区と同じように、法人格についてはございません。
 ただ、事務所長に代えまして、区長を置くことができるようになっております。
 期限につきましては、市町村の協議で定める期間となってございます。
 また、地域自治区の名称につきましては、住居表示に冠するとなってございます。
 市街地の住居表示につきましては、都道府県、郡、市区町村、町、字名などによって表示することになってございますが、特例といたしまして、これに加えて地域自治区の名称を冠することにするという意味合いでございます。
 1つの例で申し上げますと、新潟県上越市の場合は、合併前は東頸城郡大島村については「東頸城郡大島村大字何々」と表示しておったところでございますが、上越市に編入合併後につきましては、この地域自治区の名称を住居表示に冠することになりまして「上越市大島区大字何々」となりまして、そういった手当てを行っているということでございます。
 この地域自治区につきましては、一般制度とは異なりまして、市町村の区域の一部のみに置くことが可能とされてございます。
 もう一つの仕組みでございますが、中段に記載の合併特例区というものでございます。
 これは特別地方公共団体と位置づけられてございまして、法人格があるものでございます。
 特別職の区長については、市町村長の被選挙権者のうちから首長が選任して、置くということでございます。
 期限につきましては、5年以内で規約で定める期間とされてございます。
 この合併特例区についても、その名称を住居表示に冠するということとされております。
 また、市町村の区域の一部のみに置くことが可能でございます。
 区の予算の作成あるいは公の施設の設置管理等を行うことになってございます。
 区の予算でございますけれども、これまでの運用の例を見ますと、歳出項目といたしましては、地域関係のイベントや施設の管理、あるいは地域の特色ある事業などが計上されているものが多いようでございます。また、公の施設につきましては、地域の公民館あるいは福祉・スポーツ施設等を行っている例が多いようでございます。
 もう一つ、一番下に記載してございますが、地域審議会というものがございます。旧市町村地域に係る事務につきまして審議し、意見具申を行うといった役割を果たしているものでございます。これも市町村の区域の一部のみに置くことが可能な仕組みとされてございます。
 合併時の特例として、地域自治組織について、このようなものが今、制度化されているということでございます。
 その具体的な設置状況でございますが、2ページをごらんいただきたいと思います。
 それぞれのタイプ別に、一番上の欄に設置数を記載させていただきました。
 地域自治区につきましては、一般制度は17団体、123地域自治区でございます。
 特例制度は38団体、104地域自治区でございます。
 合併特例区につきましては、6団体、16合併特例区でございます。
 地域審議会につきましては、217団体、775地域審議会ということでございます。
 一般的にいいますと、こういった地域自治組織を設けて、住民自治をより活性化させていきたいという自治体がある中で、もう一方では、せっかく合併を行ったときに、その一体性が損なわれることを懸念して、こういった仕組みをあえて導入することはしないといった考え方の自治体もあるところでございます。
 平成19年現在で合併団体数は564団体ございますけれども、今、御紹介いたしましたような、現時点での地域自治組織の設置状況をごらんいただきますと、合併団体の半分程度が何らかの形でそれぞれの地域の実情に合った地域自治組織を設けて活用されているということであります。
 3ページ以降に、合併特例区等の特色ある取組事例を紹介させていただいてございます。上の方から簡単にごらんいただきたいと思います。
 福島県喜多方市でございます。
 こちらは合併前に実施しておりましたそれぞれの地域特有の事業を合併特例区の事業として取り組んでいるということでございます。例えば地域密着型のコミュニティバスの運行、あるいは中学生の海外交流、小学生の県外交流などの人材育成事業について、それぞれの合併特例区で引き続きの事業として行っているものでございます。
 宮崎県宮崎市でございます。
 市としては、合併後に廃止することとされた区域内広報誌につきまして、合併特例区の事業として引き続き実施するということでございまして、総合支所や消防署等の地域限定版のお知らせを可能としているということでございます。
 北海道せたな町でございます。
 こちらにおきましては、合併特例区協議会の構成員の選任におきまして、一定部分、公募方式による選定を実施しているという取組みが行われてございます。
 4ページ、地域審議会について特色ある取組事例を御紹介させていただきました。
 まず、岐阜県関市でございます。
 関市内には、旧5町村に対応して、5か所の地域審議会が設けられておりますが、それぞれにおきまして、独自の勉強会、研修会を月1回程度実施されている。その開催のたびに、地域の課題や問題点をまとめ、行政に提起されているということでございます。
 福島県田村市でございます。
 地域の特色あるまちづくりのために造成されました基金の活用策につきまして、各地域審議会において協議されているということでございます。
 愛知県新城市でございます。
 住民組織によるまちづくり活動を支援するための補助金の事業採択の審査について、地域審議会が市長の諮問を受けて実施しているという取組みでございます。
 5ページをごらんいただきたいと思います。
 ここまでは、地域自治組織としての合併特例について御説明してまいりましたが、そのことを含めまして、合併特例の概要について整理させていただいた資料でございます。
 この整理表は、3つの欄に分けて整理してございますが、合併特例措置の概要につきまして、それが創設されました時期別に整理したものでございます。
 合併につきましては、これまで御議論もちょうだいしてございます。平成11年以降の、いわゆる合併推進運動につきましては、合併新法の期限である平成22年3月31日までで1つの区切りにすべきではないかという御議論をいただきました。
 また、同時に、その期限後については、引き続き進められる自主的な市町村合併に対応して、障害除去措置等を中心に、一定の事項を定めた合併特例法が必要ではないかといった御議論もちょうだいしているところと考えてございます。
 その場合、具体的にどんな措置が必要になるのかということが論点であろうかと思います。ここでは、今、申し上げましたように、それぞれの特例措置が設けられた創設の時期別に整理しているわけでございます。平成11年以前の記載事項につきましては、基本的に障害除去等を主なねらいとしたものであり、今後とも必要なものとして、議論の基礎になるものではないかと考えてございます。
 真ん中の平成11年以降の部分が、検討の必要な部分かと思います。中欄の上の方に記載しておりますのは、財政措置を中心としたものでございます。ただ、これにつきましては、※印を付してありますとおり、合併新法の時点で見ますと、既に段階的に廃止、あるいは廃止となっているものでございます。それ以外の内容といたしましては、中欄の一番下にあります地域審議会、あるいは合併新法の下段にありますような地域自治区、合併特例区といった、先ほど御説明した地域自治組織についての規定が定められておりまして、こういったものは住民自治の観点から見て、引き続き必要なものではないかと思います。こういったことを個別に検討しながら、今後必要な措置の内容を定めていく必要があるのではないかと受け止めているところでございます。
 6ページ以降につきましては、ただいま申し上げましたことについての細かな参考資料でございますので、個別の説明については割愛させていただきたいと思います。
 説明は、以上でございます。
○林小委員長 ありがとうございます。
 それでは、意見交換を行いたいと思いますけれども、本日御欠席の金子委員から、文書で御意見をいただいておりますので、まず、事務局から朗読をしていただけますでしょうか。
○行政課長 金子委員から、メールで事務局に御意見をいただきましたので、読ませていただきます。
 私の研究の一環として、市町村合併を契機に一般制度としての地域自治区を導入された市のうち、幾つかの市において住民アンケート調査を行いました。その調査事項の中に、地域協議会のメンバーの公選をすべきかどうかという項目を含めて実施いたしました。
 その結果、回答者の3割が地域協議会のメンバーを公選とすべきだとの回答でした。地域協議会は、まちづくりなど、住民に身近な施策が検討される場であり、そのメンバーにも一定の住民の代表性が求められると考えます。現在は、地域協議会のメンバーは、市町村長が選任するという規定ですが、公選の制度も導入できるように制度を変更することを検討すべきと考えますということでございます。
 以上でございます。
○林小委員長 ありがとうございます。
 それでは、御意見をいただきたいと思います。今日は、住民自治の充実ということで、特に地域自治区あるいは協議会等に絞って御議論をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 武田委員、どうぞ。
○武田委員 2点ほど申し上げたいと思います。
 1点は、質問も兼ねてでありますが、合併特例区ないし地域自治区についてですけれども、資料4の2ページにありました合併時の数字で、意外と少なかったという印象があります。特に合併特例区、地域自治区がこれだけしかないのかという印象です。
 御説明の中でも、合併時にこうした特例区の制度を活用することが、合併に対する異議申立てであるように受け止められかねないという配慮が働いたという御説明がありましたが、私が地元で聞いた事例でも、そのように言われております。
 すなわち、合併特例区をつくるということは、一方で合併に反対しているという立場としてとられかねないということで、全体の流れの中でこれは言い出せなかったところが多々あります。
 したがいまして、この合併特例区という制度を全域に置かなければならないという一般法に基づく制度に比べますと、若干弾力的に特定の地域のみに限定して置くことができるわけですけれども、これを合併直後に選択しなかった自治体に関しても、それもやはり必要だと認識した場合には、この設置を認めることも可能にした方がいいのではないかという点が主張としてあります。
 もう一つは、同じく資料4の後半にありました合併特例の話であります。合併特例において、特に平成11年以降の新法以前の旧法の制度の中で、交付税の算定替特例であるとか、合併特例債などの財政措置があります。実は前に少し発言を申し上げたところではありますが、合併した後に、やはりするべきではなかったという判断をしているところが多々あり、廃置分合というのは、地方自治法で示されている事項でありまして、その住民が結婚したけれどもやはりうまくいかなかったから離婚したいといった場合に、どのようにしてそれを可能にするかというところも、やはり制度上道を付けておく必要があるのではないかと思うんです。その際にネックになるのが、恐らく旧法に基づく各種の財政措置ではないかと思います。合併特例債を返せとか、合併特例債に付いている交付税措置を返せとか、合併算定替特例の分を返せとか、仮に分離したいという自治体が現れた場合に、国としてはこれをどうするつもりなんだろうかということを一遍聞いておきたいなと思った次第です。
 以上、その2点、質問と意見を申し上げました。
○林小委員長 後者の御質問に関しては、いかがでしょうか。
 今日は、どちらかというと住民自治というか、そういう観点から少し議論をしたいと思います。合併に関して、財政面だとかという話は、恐らくまた出てくると思いますが、もし可能でしたら、お答えいただければと思います。
○市町村課長 今、武田委員からいただいた御意見は2点ございましたが、最初の点についてでございます。合併特例区について、合併時ではなくて、合併後についても対応できるようなことも検討できないかといったお話であったかと思います。
 先ほど御説明の中でも少し御説明いたしましたけれども、合併特例区の制度的な意義といたしましては、合併後ではなくて、合併をするかどうか議論している段階において、合併関係市町村の協議によって設けられる仕組みです。その点が非常に重要な点でございまして、その点に合意ができて、こういった特別地方公共団体として法人格を持ち、一定の事務を行うようなものを設ける。これがまさしくこの制度の意義でございますから、その点を踏まえての検討というのが基本になると思います。
 御意見の2点目でございますけれども、私どもはまだその点について、具体的な事例や、具体的な相談もお聞きしたことがありませんものですから、正直言ってどうするかと詰めて議論しているところではございません。現在は、合併後それぞれ10年を基本とする新合併団体の建設計画に基づいて、こういった特例を活用しながら、新しいまちづくりを積極的に進められているものと受け止めてございます。
 以上でございます。
○林小委員長 いかがでしょうか。
○武田委員 わからないということですかね。
 今のことについて確認ですが、後者の方で10年を経てばということなんですね。つまり、まちづくり計画で期限としている10年を経てから検討するということになりますか。
○市町村課長 今、具体的な事案として、そういう御相談を受けたことがありませんので、詰めて答えを議論しているわけではありません。私どもの受け止め方としては、こういった制度を活用して、合併団体はまだ合併後数年の段階でありますけれども、新しいまちづくりをまさに取り組んでいらっしゃる。これをしっかりと応援していく必要があると受け止めています。
○武田委員 もう一つ、済みません。今、御回答を聞いていまして、1つ追加して聞くべきことを思い出しました。
 資料3の事例のところで、条例によって地域自治区を設置している事例があります。これらについて、例えばこれを全域以外、つまり一部の地域に条例によって置くことは可能であるかどうかという、その辺の制度的な理解も御説明いただきたいと思います。
○林小委員長 どうぞ。
○行政課長 今のお話は、地域自治区制度によらない協議会の方でございますね。
 後ろに川崎市とか神戸市とか幾つか御紹介しておりますけれども、これは全く独自でそれぞれの団体がやられておりますので、例えば兵庫県神戸市のまちづくり条例のまちづくり協議会は、多分全域至るところにまちづくり協議会があるということではないと思います。そういうまちづくりを自分たちで提案したいといったようなところでやられているといった事例だと思っております。
○林小委員長 いかがでしょうか。
 小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 今の武田委員の御質問とも関連するんですが、その前に、今日協議される住民自治につきましては、大変重要な論点だと思っております。第29次地方制度調査会が一体何をしたのかということが問われれば、チェック機能の強化と同時に、住民自治の制度について、あるいは今後のあり方について、ある種の展望を示したと後に評価されるようなことが必要な時期にきているのではないかと思っています。
 その点で、私も2つほど申し上げたいと思います。
 1つは、実態認識でございます。先ほども武田委員から、意外と数が少ないというお話が出たと思いますが、実は大変興味深い資料が、総務省の過疎対策室から出ておりまして、これはまだ係数整理ということもございまして、この場では公表されなかったのだろうと思います。委託研究の中で、私もその研究に参加しておりますので、少し大雑把な数字ですが、御披露させていただきたいと思います。
 全国の過疎対象市町村は七百数十でございますが、この中で何らかの地域自治措置の設置があるところは約48%ございます。この自治組織の中には、地域審議会も入っておりまして、それも含めた数字であります。
 興味深いのは次の点でございまして、この48%の中で法令、条例に基づかない地域自治組織が44%ある。そういう意味では、この制度に乗らない対応が、特に過疎地域では、それなりの厚みを持っていると認識するべきだろうと思います。
 しかし、この制度あるいはその実態は、将来的には、場合によったら市町村からのある種の権限移譲といいましょうか、それを受けるような仕組みも考えられるわけで、特に周辺化した地域においては、住民自治のパワーを発揮するという意味で、この枠組みをつくることは非常に重要だろうと思っています。
 それでは、なぜこの制度が言わば実態的に機能していないのか。そういうふうに断言してしまっては問題があると思いますが、不十分なのかと申しますと、私は3つに整理しております。
 1つは、まだまだ住民自治のノウハウがないという部分は、少なからずあるんだろうと思います。これは例えば先ほどの過疎対策室のアンケートの中では、この地域審議会や地域自治区の協議会の場が要望や陳情の場になってしまっているという回答もかなりありました。
 あるいはこれは大分前から私が強調していることでございますが、議会との調整がなかなかうまくいかない。あるいは議員の位置づけがこの中でうまくはまらないという実態がございます。しかし、これはあくまでもノウハウのところでございまして、恐らく経験を積み重なることによって、この問題はクリアーしていくのだろうと思います。 その点で、地域自治組織のある種の事例集のようなものをつくり出していく。そういう区分もまた意外と今後効果を持っていくのではないかと思います。
 2番目は、使い勝手が悪いという問題はやはりあるのだろうと思います。西尾先生が強調されておりますように、一般制度の地域自治区の方は全域でつくらなくてはいけないという問題があります。これはやはり熟度が高いものから、すなわちコミュニティ活動が盛んに行われて、熟度が高いものから設置できるような仕組みに変えるべきだろうと思っております。
 聞くところによると、内閣法制局との協議の中での結論だということで、これがどういう形で覆せるのかどうかということは、私はよくわかりませんが、これは是非突破していただきたいと思います。
 その点で言えば、是非質問をさせていただきたいのは、実は第5回の資料で、一斉につくらなくても段階的につくることは認められるという記述がございまして、ある種の解釈だと思いますが、現段階につくっているところはあるのかどうかです。質問も含めて、このところを少し教えていただければと思います。
 3番目は、使い勝手が悪いというよりも、むしろメリットがない。そういうものをつくったとしても、メリットがないから、わざわざそういう制度をつくらないのだという声も聞こえてきます。メリットをどういうふうに付けていくのかということは大きな課題だと思います。例えば、勿論仕組みとして詳細な検討が必要ですが、これもある種の予算編成権のようなものを地域自治区が持つような。現に予算編成を地域自治区とともに行っているという事例も出てきておりますので、これもあるいは運用で実現すべき課題かもしれませんが、そういうメリットをつくることによって、住民自治制度が充実していくのではないかと思っております。
○林小委員長 ありがとうございます。
 質問がございましたので、その点についてお願いいたします。
○行政課長 先ほどの段階的設置ですけれども、例えば先ほどの愛知県豊田市の事例ですが、平成17年10月に6つの旧町村に設置して、平成18年4月に旧豊田市内に6つ設置という形になってございまして、条例によって全域設置としておりますけれども、施行を段階的にしているといった事例はございます。
○林小委員長 いかがでしょうか。
 西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 1回で発言しようと思うと、かなりたくさんのことを言わなければいけないんですけれども、前回怪我をしまして、欠席いたしました。そのときの議事録は、まだ公式には各委員の点検を経ていないので、非公式の議事録のようなものを拝見させていただきました。
 そうしましたところ、小規模市町村の問題で片山副会長の発言だったと思いますけれども、市町村の事務で解除してあげるべきものもあるのではないかということで、国民健康保険の例を端的な例だといって挙げておられましたが、その点に私は賛成で、小規模市町村の限るのか、国保の問題になると、全市町村問題ではないかと私は思っておりますけれども、特に小規模市町村からは、1日も早く解放してあげるべき事務の代表例ではないかと思っています。
 国保に限らず、やはりこれを小規模市町村に義務づけてきたのは少し無理ではないかと思われるようなものは、ピックアップして検討すべきではないかという意味で、前回の片山副会長発言に賛成だということを申し上げておきたいと思います。
 それから、今回の議論についてですけれども、焦点は住民自治制度にあるのだろうと思いますが、まず合併特例の問題から先に入りたいと思います。
 今後、合併の促進運動は、平成22年4月以降はもう終わりにすべきであると私は思っていますが、その場合でも、やはり自発的に合併の機運が盛り上がってくることは起こり得るわけでありまして、そのときに最低限合併を阻害するようなものは取り払ってあげるという、かつてあった市町村合併特例法の障害になるようなものは解除するという平成11年以前の合併特例法にあったような措置は、今後とも定めておくべきではないかと思っていますが、今回は、それ以後に付け加えてきた措置の中で、今後も残していくべきものがあるかというのが、今回の資料で問われていることだと思います。
 そういうことで言いますと、資料4の5ページに平成11年以前からあった措置、平成11年以降合併新法以前に付け加えられた措置、合併新法によって付け加えられた措置が並んでいます。この平成11年以前からあった措置を基本的に継承すべきなのではないかと思うわけですが、それに加えまして、平成11年以降に加えられた3万市特例というものと地域審議会という制度は、今後も使おうと思えば使えるということにしておくべきなのではないかと思います。3万市特例というのも合併促進の措置であったことは間違いありませんが、それによって3万特例でどんどん市が生まれてしまっているわけで、今後は3万人では許さないよということも果たして合理的かどうか疑わしいので、3万市特例というのも今後続けてもいいのではないかと思っています。
 そして、合併新法で出てきた地域自治区、合併特例区といったような制度と言っておきますが、これは引き続き、今後合併するところにも使い得るとして差し支えない制度ではないか、むしろすべきではないかと考えているということを冒頭に申し上げておきたいと思います。
 念のためですけれども、真ん中にある平成11年以降、合併新法以前の中に住民投票というものがありますが、これは非常に論議になるところだと思います。やはりこれは合併促進のための手段だったのではないかというニュアンスが非常に強い制度なので、これは引き継がなくてもいいのではないかと思っております。
 以上のことを前提にしてなんですが、地域住民自治組織のあり方として、地域自治区なり合併新法による地域自治区、合併特例区、一般制度としての地域自治区の使い勝手が悪いという根本問題を考えますと、法制化するときに、やはり当時の地方制度調査会が考えたものとかなり違う結果が出てきてしまった。
 1つは、合併促進のための制度と考えていた面もありますけれども、当時の全国市長会が一般制度としてこういう制度をつくってほしいという要望を持ってこられまして、合併をするかしないかにかかわらず、一般制度としてそういう制度を許容することが必要ではないかということで、基本的には議論してきたと思うんです。
 しかし、法制化するときには、一般制度と合併のための特例制度を2つに分けてしまった。合併の方であっても、地域自治区と合併特例区という2つの制度をつくって、非常に複雑な組立てになってしまっているわけです。
 そして、合併のための地域自治区とか合併特例区については、5年という時限を付けた。これは5年間しか続けられないなら無意味だといいますか、やめるということになっているわけで、この年限制限というのは、本当に悪い制度ではないか。こういうものはやめるべきではないかと思います。
 もう一つ、法人格を与えるか与えないかというところが、一般制度と合併特例との違いになっているわけですけれども、私は一般制度として、法人格がない形でもいいし、法人格を持ってもいいという許容をすべきなんだと思っているわけです。そういうふうに考えていくと、要するに一般制度と合併特例制度と区分けする必要がないのではないか。全部を一緒にしてしまって、もう一遍選択の余地を拡大した方がいいのではないか。法人格を持つか持たないかも選択の余地があるし、あるいは協議会の構成員を公選にするかしないかも選択の余地があるとした方が、私はいいと思っているわけです。
 その他、もう既に前にも申し上げましたけれども、協議会をつくるなら、市内全区域につくらなければいけないという制限はやめて、特定の地域だけに協議会が生まれても差し支えないとすべきだと思うわけで、少し細かく制度が分解され過ぎている。もう一遍これを統一して、そしてさまざまなものが自由に組み合わせて選べる制度に切り替えるべきではないかということが、私の基本的な意見です。
 ちょっと細かい点で言い足りない点があるかと思いますけれども、差し当たりそう申し上げておきたいと思います。○林小委員長 ありがとうございます。とりあえず御意見を伺いたいと思いますので、いかがでしょうか。
 斎藤委員、どうぞ。
○斎藤委員 それでは、一般的な問題意識から、論点について、まず2つほどコメントさせていただきたいと思います。
 まず第1は、現在ある一般制度としての地域自治区についてです。
 こちらは、先ほどから幾つか御意見が出ていますが、全域で置かなければならないというのが1つネックになっている。この点については、全域設置という制度しかないということを法律で定めるのであれば、地域自治区に置くべき権限が、法律に置かなければこの権限は下ろせませんよといったもっと強い権限があれば、全域というのもある程度の説得性はあると思うんです。
 ところが、現状のものでは、先ほどの資料説明でありましたように、自治法上の地域自治区によらずに意見具申をするものを条例でもつくれる。ですから、非常にハードな制度で維持して、しかも何かメリットを持たせようとするのであれば、そういった法律に置かなければこういう権限は持てませんというもので、なおかつ地域自治区でも持ってしかるべきだということがあって、初めて全域ということになる。現状なら、全域でなくて良い。
 若干それにつながるのかなと思うのは、先ほどの西尾先生の御指摘で、法人格あるなしを選べてもいいのではないか。公選であるなしを選べてもいいのではないかという点です。これはそういったものを選べるという点で重要な御指摘だと思うんですが、もし法人格を持てて、なおかつ公選だという制度を考えたときに、これが一部地域にしかないというのは、恐らく内閣法制局の壁が厚いのかなと思います。それもできるんですというロジックを考える必要があろうかと思います。
 その点で、資料4の1ページがわかりやすいと思うんですが、右側で合併時の特例についてだけは、合併特例区と地域自治区の両方で、一部設置を現行法上可能としている。これが通った理屈は何なのかということですね。一方でこの場合も、住民参加なりの、地域の組織であれば全域でないと平等とか、民主主義の関係でおかしいというのは、恐らくあり得る反論だと思うんですが、ここは法制局審査をクリアーしている。
 先ほどの事務局の御説明ですと、合併前の市町村の合意があったんだというのが1つ重要だという指摘がありましたが、あともう一つ、暫定的なものだということがあろうかと思うんです。その2つの理由が絶対的なものなのかどうかということですね。そういう論点が一般制度についてはあろうかと考えます。
 それから、合併についての特別な制度を今後どう考えるかということですが、これもやや実務的というか、細かくなるかもしれませんが、資料2の2ページのところです。
 現在、少ないけれども合併特例区や地域自治区の特例制度を選んでいるところがありますから、これが協定の期間、5年という設置期限が切れると、現行法の下では一般制度に移行するか、それとも全くそれを解消してしまうかという選択肢しかない。しかも、行き先の一般制度としては、先ほど議論があったように、いろいろ使い勝手等の点で問題を抱えているということですと、やはりそういう非常に限られたオプションになってしまうのがいいのかどうか。合併後にも対応できる制度として、もう少し一般制度の方を改善する必要があるのではないかと。
 同様に今後、あくまでも自主的に合併を考えるという自治体にとっても、使い勝手のいい制度を考える必要もあるのではないかということです。
 以上です。
○林小委員長 ありがとうございます。
 少し論点が絞られてきたと思います。先ほど、武田委員が合併後どうなんだというお話で、今、斎藤委員がおっしゃったように、要するに合併後は一般制度に5年例えば移行せざるを得ない。ただ、その場合にスムーズに移行できるのかという問題もあるし、その辺り、一般制度と先ほど西尾委員もおっしゃったように、合併特例との間の整合性といいましょうか、余りにも分裂をしているという問題。
 ただ、この辺りは、制度としてどうすればいいのか。使い勝手がいいようなものにする。先ほど小田切委員がおっしゃった、メリットが余りないのではないかという場合に、メリットをどう付けるか。そのメリットというのは、結局権限をどの程度与えるかという話で、そうすると権限とやはり一部でもいいのか、全域なのかというのは、セットで考えなければいけないのではないかというお話でした。
 西尾先生、一部でもよいという場合に、その権限ですね。その辺りとのセットで、権限も自治体は考えればいいというお話なのか、それともやはり、そこは権限とは切り離して考えていくのか。こういう権限でも、一部でもいいという具合に考えるのか、その辺りをお教えいただけますか。
○西尾委員 前提として、今、一般制度と合併市町村の特例制度と分けてあるわけですが、なるべく一本化しようという前提で考えていますので、合併をする市町村の場合に、中心市に編入されることとなる周辺町村という問題があるわけですね。
 そうすると、従来は小規模ながら町村として独立でやってきたというところでは、さまざまな地域単位の公の施設というものを持っているわけですね。それが合併したら、すべて統一した新しい市の財産に切り替えられて、管理されるということよりも、従来から自分たちがつくって、維持管理してきたものを、引き続きここの自治区で管理を続けたいということは、十分あり得ると思っているわけでして、そういうことが全町村に満遍なく共通にあるかといったら、そうとも限らないんです。
 ですから、うちの場合はそういう施設があって、この施設だけは旧町村単位でずっとやり続けたいんだということがあったらば、そこは公の施設での管理という仕事をきちんと持つ。そうしたら、それなりの交付金が毎年毎年交付されて、その予算については、やはり予算編成するんだと思うんです。そういう権限は、当然与えられてしかるべきではないかと、持ち得ることにして当然ではないかと思います。
 それは財産ですから、やはり法人格は要るねということが起こるのではないかと思うんです。それは、そこを与える限り、全地区共通にする必要はないし、共通にしたらかえっておかしなことになるのではないかなと思っているわけです。
○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。
 武田委員、どうぞ。
○武田委員 今の西尾先生の御回答に質問です。
 つまり、公の施設を管理する、財産を管理するなどの必要がある場合に、旧村においてのみ自治区を置くことが認められたという御説明だったんですね。
○西尾委員 そうではなくて、そうする必要があると思うのが全域だということは限らないから、ある特定の旧町村だけでそういうことをしたいということは起こり得るのではないですかという例の1つとして申し上げたわけで、法人格を持つということは、そのケースしかあり得ないと思っていません。
 もっと一般的に、一番強力にすれば、自治区も課税権を持つということなんだろうと思うんですけれども、課税権を持つということまで踏み切れないのならば、通常の市町村が課す税金に更に上乗せして、自治区が課税権を持つかどうかというのは、相当に議論しなければいけない問題なんでしょうけれども、やはり地域住民から会費を徴収しますとか、寄附金を募集しますとかということはやってもいいのではないかと思っているんです。
 そういう意味で、もう少し自分自身で仕事ができるような体制を許容していくことが重要だと思っているということです。
○林小委員長 小幡委員、どうぞ。
○小幡委員 今のお話とも関連いたしますが、地域自治区という制度について、特に大都市部の住民自治について、とりあえず今、せっかく一般的な制度としてあるので、できるだけ使い勝手のいいような形にして、これを発展させていくという方向は1つあるようにと思うのです。資料の中にございますように、別にこの地域自治区という制度を使わずに条例でやっているところがあるという川崎市の例などがございましたが、結局のところ、法律できちんとした制度として定めておかなければ、絶対できないものは何かということを整理しておいた方がよいかなと思います。おそらく、法人格はそうですし、課税権もそうだと思いますけれども、行政権限自身は委任をして、都区など町でやっていますね。今もそういう状態なのですが、例えばその事務・仕事のやり方について、それぞれ区の住民の意見を聞いて、やり方を変えるということができるか?、仕事のやり方を決めるのに住民がある程度決定できるようにするか?など、そういう仕組みをつくるときに、これは単に条例だけで設置するということではできないというのが何なのかということをまずはっきりさせて、そこの部分であれば、やはり法律である程度仕組みをつくらなければいけないかもしれないと思うのです。
 基本的には、組織のあり方についてはあまりきっちり決め過ぎないで、各自治体で選択できた方がよいと思いますけれども、法律で決めなければできないところがあるとすれば、最低限そこの部分は定めなければならない。勿論、市町村の自治体の全領域について適応する必要性はないと思うので、それも選択できるようにすべきだと思いますが、ただいずれにしても、法人格や、必ずしも法人格まで認める必要があるかどうかということも多少疑問はありますが、少なくともやはり法律上に仕組みがないと、なかなか住民の声を直接的に反映できないということがあれば、それは法律に書いておいて、各自治体がそういう仕組みを選択する可能性を広げた方がよいのではないかという感じがしております。
 自治区については、今すべての地域に設置しなければいけないというのが、とりあえず一般的な制度としては地方自治法にありますが、行政区については、252条の20で今でも区ごとでよいのですね。たしか市のすべてについてではなくてよいと思うのですが、今、政令市の方で、行政区に地域自治区制度を使っている例がどのぐらいあるかということをお聞きしたいと思います。
 やはり今の政令市の行政区というのは、非常に中途半端だと思いますので、これをもっと住民自治的な組織として位置づけていった方がよいと思います。ただ、今も252条の20は一応ありますので、それで足りないのはどこかということをもう少しはっきりさせる必要があるようにと思います。
 それから、先ほど西尾先生が合併後で要らなくなるとおっしゃったことで、大体は賛成なのですが、住民投票については、基本的に言うと、やはり自治体の住民自身が自分の組織を合併するかどうかを決めるというのは大事なことで、確かに合併促進のために入れたのかもしれませんが、結果的にそうでもない使われ方もしているということもございまして、住民自身が決定できるという1つのツールだったので、必ずしもこれはなくさなくてもよいのではないかという感じがいたしました。
○林小委員長 西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 小幡さんがおっしゃったことは、住民投票の制度一般を否定しているのではなくて、私が申し上げたのは、平成14年改正で加えられた、合併に関連した住民投票のことを言っているんです。住民発言により、合併協議会設置について議会に付議されたものの、議会の審議において否決された場合には、市町村長による請求またはこれがなかった場合における有権者の6分の1以上の署名による請求によって云々という制度のことを言っているんです。
 住民投票一般論については、もっと議論をして、どこまで共有していくべきかは、本格的に議論をすべきだと思っていますが、合併促進のための合併協議会をめぐって云々ということを引き継ぐことはないのではないかと申し上げただけだということです。
○林小委員長 斎藤委員、どうぞ。
○斎藤委員 今までの御議論を伺って、住民投票の話ではなくて、先ほどの意見の補足ですが、法人格なり公選ということを考えると、全域設置という要素が出てくるのではないかと先ほど申しましたが、より正確に言うと、法人格については、既に財産区という制度があって、これは自治体の一部で財産を持っていたり、公の施設を管理している場合に、自治体の一部に財産区を設けることを現行法で認めていて、しかもこれはその自治体で議決をすれば、財産区の議会もつくれる。ですから、現行法でそういった財産の管理なりを公の施設については、一部に特別な法人格を置いて、しかもそこに議会を置くということを認めているのですから、全域設置でなければならぬという内閣法制局の見解の方がややおかしいというか、住民参加の制度で一部地域を手厚くするのは変だというような、ややナイーブと言ったら怒られるかもしれませんが、それに基づいているのではないかという感想を持ちますね。
 法人なり公選ということが出たからといって、それは直ちに一部設置を否定する理由にはならないのではないかということが補足です。
○林小委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 私も不勉強で、今、一般的に既知法によらないでやっているような権限だったら、これは余りメリットがないということなんですね。でも、それは別に一部でもやれし、運用次第でやれる。それを法という形でやっていたときに、より大きな権限を与える。そのときの権限次第で、これはやはり全域で設置しなければならないものもあるだろうし、これぐらいだったら一部でもいいのではないかという話なんですか。
 その辺り、どう考えればいいのかなというのがわからない。例えば全市的に関わるようなものに関しては、特定の地域自治区だけがそれに参加して、意思決定に加わるということが自治体の判断なんだということであれば、それはそのとおりなんでしょうけれども、その辺がどうなんだろうなという気もするし、小幡委員の選択というのが私はよくわからなかったです。
○小幡委員 すべての事項についてと言われますと多少自信はなくなりますが、基本的にはある大きな市の中で、AとBとCの区域についてはこれこれの仕事をABCの地域自治区なりがやるという形で、一定の事務・仕事について、そこのいくつかの地域自治区、という名前にしておきますが、そこに権限を付与する形は考えられると思います。それが多少混乱を招くということがあれば、それは大元の市の判断として、妥当でないという評価もでてくるかもしれませんが、やらせてみてもよいのではないかという感じがいたします。
○林小委員長 そのときのやらせるというのは、例えば予算が絡まってくるような場合に、要するに執行だけをやるんだという話と、予算全体の中でそこの地域の予算という話になってくると、これはやはり全市的な問題になってくる可能性がありますね。
 だから、やらせるあるいは権限を与えるといったときの権限の中身だと思うんです。だから、使い勝手が悪い、せっかく処理をしてあげよう、一生懸命やってやろうと言っているのに、全市的につくらなければならないので、せっかくの申し出が不利になってしまっているという話があって、それはそれで恐らくもっと柔軟にやればいいと思うんですね。
 ところが、そこに全市の予算が関わってくるとかとなったときに、どこまで一部の区域に権限を与えるかという話が出てくるだろうと思います。それはもう自治体が考えればいいことではないかという話なのか、やはりここまではきちっと法律で、つまり限定列挙的に、こういうものは全市的につくらないと、こういうものはできませんよという形にいくのか、その辺りがやはりポイントなのではないかという気がするんです。
 ですから、そこら辺をどう考えていけばいいのかなというのがあって、根本問題にまで関わってくる問題かもしれませんけれども、少し御意見をいただければと思います。
 西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 今、委員長が出された問題は、資料2の1ページ「地域自治区等のあり方についてのこれまでの議論」の下から2番目の○に「現行制度においては、地域自治区を市町村の議会が条例により設置する方式になっているが、その地域の住民の直接請求で地域自治区を創設するという途をひらくべきではないか」とありますが、これは前から私が主張していることです。
 特定の市内の全域であれ、特定の地域であれ、地域自治区という制度を認めるときは、やはりそこの市の議会が全体として議論をして、その全域なり、特定の地域なりにそういう自治権を認めてもいいねということを、やはり全体の市町村議会が決める。それを決めるという形式が最終的に条例の制定ということではないかと思っていますので、全域であろうと特定の市であろうと、やはり条例できちんと決めて、制度をスタートすべきだと。それを市町村が判断するということだと思います。そこは、全域であろうと特定の地域であろうと、市町村の判断に委ねていいのではないかと思っているわけです。
 そうすると、この文章を読んでいると条例で議会が定めるということが悪いと読めますが、そこは別に悪いわけではないと思っているんです。
 ところが、今、現行制度である条例制定改廃請求権というのは、そういう条例をつくってくれというときの請求権をやると、全市の市町村の有権者の何分の1以上という署名を集めて、成立させなければ、条例制定改廃請求は住民側からできませんね。しかし、こういう特定の地域だけについて自治区を認めてくれという請求ならば、その地域の住民の一定以上の比率の人が署名して、うちのこの地区について自治区をつくらせてくださいと市議会に出すということを認めるというのが、特定地域の住民の請求を認めるという趣旨だと思うんです。
 そうすると、今、地方自治法で認めている条例制定改廃請求という直接請求権は、全区域の住民の何分の1が署名運動をしなければいかぬという制度ですから、その特定の地域住民にだけ直接請求権を認めるという制度をつくらなければいけないという問題なんだと思うんです。私はそれを認めた方がいいのではないかと考えている。しかし、それを認めるか認めないかは、全体の市町村議会がきちんと議論をして、やはり特定の地域だけやるのはだめだという意向ならば、それは否定される。それで仕方がないと思います。
○林小委員長 どうぞ。
○自治行政局長 現行制度がどうしてこういうふうになっているのかということについての経緯を若干補足させていただきたいと思います。
 平成15年11月に第27次の答申で地域自治組織について提言をいただきましてから、平成16年までの短期間のうちに法制化の作業をいたしまして、与党と調整の上、国会に提出させていただいたわけです。
 そのときにはどういう状況だったのかと申しますと、ちょうど平成17年3月までの旧合併特例法の期限切れを向かえまして、西日本を中心に、多くの市町村で合併協議が最終段階、非常にホットな段階であったわけです。そういう中で多くの国会議員の先生方は、今、まさに多くのところで市町村合併の論議がまとまろうとしているときに、新しい合併特例区のような制度が新しく出てくるということは、もう一回合併の論議が振り出しに戻ったり、あるいは合併がまとまろうとしている話が壊れてしまうという懸念が強く出されました。
 実は、合併特例区そのものが制度化できるかどうかというのは、非常に予断を許さない状況だったわけです。当初、私どもが考えた案は、合併特例区の期限は無期限に設置するという案だったわけですけれども、どうしても通らなくて、次は10年にいたしました。しかし、それでもやはりこれがどうしても与党の了承を得られないで5年になったという経緯があります。つまり、そういう当時の状況の中で、そういう制度になったということが1つです。
 もう一つは、地域自治区につきましては、当時の私ども総務省は、一般制度としての地域自治区も一部の地域において認める制度にすべきであると非常に強く希望しておりましたけれども、残念ながら、私どもの力不足で内閣法制局を突破できなかった。
 ちなみに、やや言い訳じみた話になりますが、合併特例区は新しい特別地方公共団体をつくるという、非常に難しい制度設計でありまして、法制局との間の協議マターというものは、非常に多岐にわたっておりました。この非常に多岐にわたるテーマの中で、一部の地域に置くという議論が十分整理できないままに突破できなかったという経緯があるということを若干補足させていただきます。
○林小委員長 いかがでしょうか。
 武田委員、どうぞ。
○武田委員 この議論というのは、今日は名和田先生がいらっしゃらないのですけれども、大都市内の自治区といいましょうか、都市内分権の議論にも適用可能な議論になってくると思うんです。ですから、先ほど小幡委員が行政区のことを言われましたけれども、行政区は指定都市に限定されているということで、市長の権限に属する事務を分掌させるという表現がされているわけなんですが、ここにくるとかなりその権限が大きいですし、当然のことながら、これは法人格を持って、区の単位での予算というものも恐らくできるのだろうなと思うわけです。
 合併特例区といいますか、その合併特例区を一般制度に転換していく際に、どういうものをイメージしていくかというときに、私としては基本的には行政区に近いものをイメージしているんです。すなわち、そのためには予算権限を持つ、一部地域単位の予算編成というものも認めるようなものであった方がいいのではないかということが私のイメージとしてあるんです。そのためには、当然のことながら、法人格が必要になってくるだろうということなんです。
 問題は、そうした予算権限を持ち得るような組織が、全市的ではなくて、一部の地区に限定しておくことは、内閣法制局が問題視しているところなのだろうと思うんです。地区別予算というものを考えた場合に、特定の地区のみ予算を扱うということはどうやったら可能なのかという辺りは、もし斎藤委員でも何かいいアイデアがあれば、是非お聞かせいただきたいところなんですけれども、どうでしょうか。
○斎藤委員 直接お答えになるかどうかわかりませんが、一部設置が現行法で認められなかったものは、別に法人を持っていないのも内閣法制局は認めなかった。先ほどの表で言えば、左側です。ですから、そこは直接には聞いてこないのではないかと思うんです。聞いてこないのではないかというと、ちょっとわかりにくいですかね。
 先ほどの西尾先生の御発言とつなげますと、資料2で先ほど御指摘があった部分ですね。市町村の議決機関がそういう制度を認めることは重要だという御指摘が含まれていたと思うんですが、それに私は賛成でして、例えば一部地域について、ある組織なり権限を持たせるということについて、その全域の市として同意をしているんだと。その部分について、全体の権限を言わば自己制限しているといいますか、それは条例なり、議会の議決というものが正当化根拠になり得る。
 ですから、その上の論点の○で出ている住民自治という観点に立てば、民主主義の度合いに差があるのはおかしいのではないかという指摘に対しては、議会なり条例による決定によってある程度正当化できるということを指摘したいと思います。
 武田委員の御指摘で、一部設置で自分で予算を編成できるかということになると、それも幾つか類型を分けなければならないと思います。自分でお金を持つ、財産を持っているということであれば、それは法人になるということですね。その場合は、当然自分でそれを管理するという、財産区に認められている1つの権限と同じになる。
 もう一つは、それとは別に、自治体全体が作る予算について自治区が何を言えるのか。財産区については、それについても規定があって、地方公共団体が財産区の収入及び支出については、会計を分別しなければならない。財産区について特別の部分を設けなければなりませんよということがある。こういうことを地域自治区についても考えるのかどうかということになろうかと思います。
○林小委員長 小幡委員、どうぞ。
○小幡委員 今は、行政区は法人格を持っていないです。ですから、それについても持たせるべきとか、そういう議論もあるのかもしれませんが、先ほどからの地域ごとの選択という話は、要するに私が考えるのは、都道府県が市町村に仕事を移す条例による事務処理特例のようなものの市町村版をイメージすれば、仕事のやらせ方を市の中の一定区域に、そこの住民が求めればやらせてもよいという選択は、あり得るのかなと思います。
 ただ、そのときにやはり、少々大きな話になりますが、法人格だけの問題ではないと思うので、一般的な制度として書いておいた方がよいという感じにはなると思います。
○林小委員長 事務処理特例のようなものといったときに、今それはできないんですか。自治法によらなくて、そういう権限はないのですか。
○小幡委員 少なくとも、地域自治区という団体自体に権限を移すということではなく、国の法律でどこがやると決められている自治体が区域ごとに設置した自分の機関に仕事を委託してやらせるというイメージになってしまうので、とりあえずはできないと考えてよろしいですかね。
○行政課長 ちょっと補足させていただきます。
 今、林小委員長がおっしゃいました条例による事務処理特例というのは、都道府県と市町村の関係で利用できるということでございますから、地域自治区の場合には、地域自治区にまさに事務所を分けてございますので、地方自治法の202条の4の規定がございますが、市町村が市町村長の権限に属する事務を分掌させる。ですから、市町村長の事務の一部をそこに分掌させるという形で、条例による事務処理特例とは別に、市町村長の権限を分掌させるという形で、どこまで分掌させるかということは、それぞれ市町村長が判断をして決めるという形になろうかと思います。
○林小委員長 西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 マイクをこうやって運ばれると、たびたび発言することを控えたくなるんですけれども、ばたばたと歩き回らせて、済まないような感じがします。
 政令指定都市に置かれている行政区のことまでちょっと話題に出ましたので、私の意見を補足しておきたいと思います。
 一般制度として創設された地域自治区の制度は、政令指定都市の行政区単位でも使い得るということになっているわけですね。しかし、実際上どこも使わない。川崎や神戸は、まちづくり協議会等々とかいう別の形で、自らの条例でつくっているという現状になっているわけですけれども、いろいろ原因はあると思うんですが、地方自治法上の一般制度としての地域自治区制度では、事務所を置くということになっていて、そして事務所長に代えて区長を置くことはできないとなっているわけです。しかし、行政区には任命職の区長が必ずいるわけです。
 事務所長しか置けないというのは、やはり政令市指定都市の行政区では使えないねという話になってしまうのではないかと思うんです。ですから、これは区長のやっている分掌とは全く別に住民協議会をつくって、その事務所があるとかという形態をとらなければならないということだと思うんです。
 ですから、これもよけいな制限なのであって、区長を置いても置かなくてもいいということにしたら、行政区は行政区長という任命職を置きながら、それの諮問に預かる協議会というのがつくられる。
 この政令市の行政区になりますと、人口は20万、30万といるわけです。そこが市長が選任するメンバーという任命の協議会員が一番いいのか。やはりそれだけの規模になると、公選したい、選挙できちんと選びたいということだって、もっと切実に出てくるのではないかという気がするので、その協議会メンバーは公選で選んでも構わないという選択肢を残してあげないと、政令指定都市の行政区にこういう制度を使うということは使えないということになっているのではないかと思います。
 そこも含めて、かなり選択肢を自由化すべきではないかと思っていますということです。
○林小委員長 どうぞ。
○行政課長 先ほどから政令指定都市の話が随分出ておりますので、一応政令指定都市との関係での制度がどうなっているかということだけ、簡単に御説明申し上げます。
 指定都市の場合には、区がございますので、先ほど地域自治区の場合には、地域自治区ごとに地域協議会となっておりますが、指定都市の場合は、既に区がございますので、条例で区ごとに区地域協議会を置くことができるとなっております。
 更に、その区の区域内に地域自治区を分けて置くこともできますので、その場合は、その区よりも更に狭い単位での地域自治区があり、その狭い単位での地域協議会があるという選択ができるようになっているという仕組みです。
○西尾委員 そのときは、区よりももっと狭い分割した区域での自治区を置くときは、事務所しか置けないんですね。
○行政課長 その場合には、いわゆる地域自治区のです。
○西尾委員 ですから、区住民協議会の区自治区のときは、地域自治区か、行政区単位の地域自治区のときは、区長がそのまま事務所長の地位であり得るんですか。それは法律上、そうなっているんですか。
○行政課長 ですから、まさに区の事務所ですので、市長の権限を。
○西尾委員 区の区役所が事務所であるということは、ある行政区の区長は事務所長となるということですね。
○行政課長 そういう形でございます。
○林小委員長 小幡委員、どうぞ。
○小幡委員 そうしますと、私が先ほど質問したことでもあるのですが、どこが使いにくくてそんなに使われないのかという疑問があるのですが、現状は、余り使われていないということですか。
○行政課長 済みません、それから補足するのを忘れておりました。
 政令指定都市の中で、浜松市におきましては、今、申し上げましたような制度を使いまして、区を更に分けた細かい形で地域自治区を置き、区の協議会を置くといった形で、一般制度としての地域自治区制度を活用されてございます。
○小幡委員 その場合は、既にある行政区のある1つについてだけ、その地域自治区が置かれるということがなされているということでしょうか。
○行政課長 ちょっと変遷があるようですけれども、現在は区単位でも置いているということのようなんですが、合併がございましたので、合併前の地域を基礎にいたしまして、例えば西区とか北区とか天竜区とか幾つかあるんですが、その中を更に細かく分けた地域自治区を浜松市は置いておられます。
○林小委員長 篠崎委員、どうぞ。
○篠崎委員 私も大都市圏における自治組織ということで考えておりますと、法律に地区制度によらない協議会等の設置事例でも出していただきました例の中から、幾つか余り使われない理由は難だろうかということを考えてみたんですけれども、例えば川崎市の場合は、構成員が住所を有する人という法の規定ではなくて、通勤通学、事業者という大都市のコミュニティを構成している人たち、夜間の定住人口だけではないというところが1つあるのではないかなと思います。政令市の中でも、100万を超える古くからの政令指定都市の場合には、やはりこういった地域の実情に、例えば協議会委員の規定が合っていないのではないかという気がいたしますし、兵庫県神戸市は、まちづくり協議会制度がいつできたかということはあれなんですけれども、震災等で地域コミュニティの復興の中でのいろんな運動の中でまちづくり提案ができるようにということですので、やはりその地域地域の状況に合わせてやればいいということで、全域につくらず、機運の高まったところから主体的に、自主的につくっていくという考え方があるんだと思います。
 そういう意味では、政令市、その他大都市における状況の中では、むしろこの自治区制度が使いづらいし、メリットがないと考えておられるところも多いのではないかなと思っております。
 それで私は不案内なので御質問したかったのは、大都市圏で合併例というのは非常に少のうございますね。西東京市というのは、実際この制度で何か自治組織をおつくりになったのかどうか。その辺りの実態を教えていただいて、西東京市を少しトレースして、何か考えるヒントはないのかなということでお教えいただきたいと思っております。
○市町村課長 ちょっと調べさせてください。
○林小委員長 小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 少し発言させていただきたいと思います。
 制度的論点が詰まり始めていると思いますが、私がこの議論をするときの前提として押さえておきたいのは、住民自治の言わば熟度の差と団体自治の熟度といいましょうか、実力の差を比較したら、恐らく1桁、2桁ぐらいの格差がある。そういうところを押さえておきたいと思います。
 つまり、住民自治につきましては、まだまだその経験が浅いということもあって、住民自治間かなり大きな格差がある。そういう下において制度設計をどうするのかということを考えた場合、やはり一斉ないしは全域という考え方に無理があって、熟度の高いものから順番に、言わばモデル的につくって、そして住民自治の方式あるいは考え方の経験を広めていくという運動論的視点も必要ではないかと思います。
○林小委員長 いかがでしょうか。
 政所委員、どうぞ。
○政所委員 今、格差があるという話で、先ほど西尾委員が御指摘された結論と私も同じです。やはり各市町村によって、合併後もいろんな経済・社会事情の格差があるということと。合併をして、政令指定都市であっても、中心と周辺地域ではやはり大きな差があるということが、全国的にどの地域にもあるわけです。先ほど事務局から御説明があった、本来は無期限であった、あるいは本来は一部地域に限ってもよいと、最初にそういったミッションがあり、それが何らかの事情で変容してきた本論からもう一度立ち返って考えてみれば、先ほど小田切さんがおっしゃったように、使い勝手が悪い、メリットがないという話と、更に一番重要なのが、今後つくる準備をしたいところでもノウハウがないということは、やはり非常に大きな点なのではないかと思います。
 そのノウハウというのも、マニュアル化されて、実際に研修で取得できる質のものとは全く違うと思います。そういった問題を具体的にどうするのか。それから、実際に要望、陳情の場となっているという御指摘とかがあるわけですけれども、例えば過疎地域では、先ほどの小田切さんの数字を拝借しますと、法令外の組織が4割以上あるということですね。これなどは、まさに生活自治区としては、実際にファンドを自主的に割り、自治費とか万増費といったものを地域は担保にしながら、財産区の管理などを含めて事実上管理運営してやってきているようなことがあるわけです。
 一方、都市部では、先ほど御指摘があったように、構成員として各団体の人が出たとしても、その人たちは本当に色々兼職していて、実際に自治区の本来の問題を吸い上げるだけの時間と活動が現実的にできるのかということも様々疑問があります。
 一遍に申し上げて申し訳ないのですが、やはり市町村、自治体によっても大きな差があるということをまず1つ認識しなければいけない。
 その中でのこの法令が議論された原点に戻ってみると、やはり期限、地域数々の問題をどのようにとらえるかということを先ほど御指摘いただきましたので、そういうところの視点が大切と感じました。
○林小委員長 小幡委員、どうぞ。
○小幡委員 先ほどの小委員長からの御質問に十分答えていなかったと思うので、お答えいたします。
 都道府県から市町村の事務処理特例というのは、要するに都道府県の権限であるものが完全に市町村の権限になって、市町村がそこで当然自治事務であれば、自治事務として、今、分権委員会で自治事務の規律密度の話をしていますけれども、規律の及ばない範囲内で自由にいろいろ決定して仕事ができるという話になりますね。
 行政区の場合は、市長の権限の事務分掌という形になっています。市長の持っている権限を行政区ごとに事務分掌するということになるのですが、地方自治法では、地域自治区については、よく読むと202条の4で、「市町村長の権限が属する事務を分掌させ」というところは同じなのですが、「及び地域の住民の意見を反映させつつこれを処理させるため」というところまで一応書いてあるわけですね。そうすると、これを本気で生かす気になれば、地域自治区の地域の住民の意見を反映させて、処理の仕方を独自にこの地域内で、このような処理をさせようということまでできるというふうに読むことは可能なのです。
 ただ、法的には、そこは一応権限が市町村長にあることはあるので、事務処理特例とはそこは違います。ただ、市町村長の判断において、その地域自治区の自由にどの程度任せるかということを決めれば、本来はある程度できるような建付になっているような感じはいたします。
 ただ、それは実際にどれほど理解されていて、この条文どおりの生かし方がされているかというと、現実にはなかなか今、そうはなっていないのかもしれないと思います。
○林小委員長 最後にもう一つだけ教えていただきたいのは、地域自治区制度によらない制度だったら、そういうところまではできないのかという問題なんです。
 つまり、要するにそういう権限を与えられないのかどうか。例えば神戸市にしても、川崎市にしても、構成員はどうするかといったときも、これもその自治体が考え得ることですね。ですから、よらない制度だったら、十分に地域の組織か力を発揮できないというんだったら、それはむしろ自治区制度の問題というよりも、事務分掌の問題というか、そういう権限をどうするかという問題なのかなという気もするし、やはりそういう権限まで与えようと思ったら、この地域自治区制度によらないといけないんだということなのか、その辺りが非常によくわかりにくいんです。
 だから、神戸市だとか川崎市がこんなことをやっていますよということはあるんですけれども、これをもっと深めて、こういうところまでやりたいんだといったときに、それができるのか、できないのかというところがあって、もしできるんだったら、別にそんなに問題はないのではないか。ただやらないだけという話なのか、あるいは議会がそこまで決断できていない問題なのかなという気もするし、そこら辺を教えていただけると非常にありがたいです。どなたでも結構です。
 斎藤委員、どうぞ。
○斎藤委員 まず、市町村長が持っている事務を分掌するということは、自治法上の地域自治区でなくても、支所みたいなところを置いて、そこに権限を下ろすことはできますね。ただ、それは市町村長が持っている事務の一部を担っているにすぎません。そこを条例の事務処理特例みたいに全部移してしまうとか、そこがやったことが最終決定になる、あるいは市町村議会とか、長を地域自治区の協議会が言ったことを拘束するとか、尊重義務を課すとか、そうなってくると、法律上の根拠が必要かということが出てくると思うんです。例えば個別法で市町村長はこれこれすると書いてある場合に、そういった仕組みを入れる場合、自治法上の支えが何かないと、個別法との関係でできないようなことになろうかということです。
 あと、財産区については、その財産区についてだけ不均一課税をすることができるという規定があって、今もそんなことをやっているところがあるかどうかわかりませんけれども、それはやはりその法律の規定がないと、地域自治区についてだけ不均一課税をすることができるなどというのは、やはり自治法上の規定がないとできないのではないでしょうか。
○林小委員長 ということになると、全市的につくらなければならない権限と、やはり一部でもいいのではないかという権限とに分かれるのではないかという気もしますね。それは議会が考えればいいのではないかというところまでいくのか、私も混乱してきています。
○斎藤委員 より正確に言うと、地域自治区を一部においてもできる権限もあるのだけれども、それには法律の根拠が必要な場合があるということですね。
○林小委員長 はい。
 いかがでしょうか。武田委員、どうぞ。
○武田委員 1つ教えていただきたいんですけれども、資料3に出ています自治区制度によらない協議会等の設置事例と出ているのは、いずれも協議会にとどまっていて、何かここで事務を分掌するとかという事例にはなっていないんですが、自治区制度によらず、条例による場合には、ここまでしかできないものなのかどうかということを、斎藤先生か小幡先生にお聞きしたいと思います。
○斎藤委員 いわゆる行政区に類似したようなもので、事務を分掌させる何々区とか区長名の付いているものはあります。そこにお金を出したことが、違法な公金の支出ではないかと言われて、しかしそれはそうではなくて、適法である、そういう自治体の事務を分掌させるのにブロックを置いて、そこにお金を配分したというのは、違法ではないという判決があります。
 勿論、これは自治会の連合会のようなものにそのまま出していれば、これは自治会というのは公の世界とは切り離された私の世界で、実際には下請的にやっているところが多いと思いますが、法律では切り分けられていますので、それ自体に区という名称を与えて、事務を分掌させるのはだめということになります。この辺りは、名和田先生に判例解説を書いていただいたことがあるので、そちらの方が詳しいと思いますが、そういう条例による制度があります。
 もし何か訂正の議論があれば、また御指摘ください。
○林小委員長 小幡委員、どうぞ。
○小幡委員 ですから、わかりやすく言えば、地域自治区なり、内部的なものにどのぐらいの自由度を認めるかという制度設計だと思うのです。今の制度は、市町村長の権限の事務分掌であるとか、地域自治区の場合、先ほど条文を読み上げましたように、なるべくもう少し住民自治を組み込むという制度にはなっているのですが、それでも根本的には市町村長の権限ですから、どの程度地域自治区で自由にしてよいと容認するかというところは市町村長の判断で決まってきて、そこに議会なり条例も入りうることになります。
 ですから、そういう意味では、事務処理特例の話とはかなり違う。事務処理特例も確かに条例で移すのですが、移した後は、すべて市町村の権限になります。根本的に違うか、と言われて見ると多少微妙ですが、そこはそもそもが都道府県と市町村というのは、完全に独立した別個の自治体ですから、そういう団体間の話であって、市の中の地域自治区なり何なりも、今後自由度を高めていくと、法人格を認め、例えば予算ももっと独立的にもてるようになり、この区域ではもっと手厚いサービスをしたいから、区域の住民からもう少し余分にお金を取りたいということになってくると、しだいに本物の地方自治体のようになってくるという構図だと思います。
○林小委員長 恐らくそこのせめぎ合いがあるので、冒頭課長がおっしゃったように、やはりそうならないように、つまりせっかく合併したんだからという話と、合併によって住民自治が希薄になってしまっているというところのせめぎ合いのバランスをどこにとるかというところなんですね。ですから、ただ、やはり住民自治というのは非常に重要で、今後それを育てていくためにも、やれるところからやったらいいのではないかという答えもあるし、でも、その場合に、何がやれるのかというところまでまた入ってくるし、それは議会が決めればいいという話なのか、あるいはもう少しきちっと制度化すべきなのかという議論もあるだろうと思います。
 これはかなり難しい問題で、ただ、何か条件付きとかでもう少し使い勝手がいいとか、あるいは一般制度と合併特例との間の垣根みたいなものをどうやってなくしていくのかという話は、恐らくできるだろうという気もいたしますので、その辺は、今日御意見をいただいた部分も踏まえて、また改めて論点という形で提示をさせていただきたいという具合に思います。
 どうぞ。
○市町村課長 先ほど篠崎委員から御質問のあった件でございます。
 西東京市の事例でございますけれども、合併した時期が平成13年と、比較的前の時期でございまして、地域自治区等については設けられておりません。
 大都市圏全体を見てみますと、中には、例えば相模原市などにおきましては、合併特例としての地域自治区を設けられている例もございますが、概して余り合併も、合併特例も活用は豊富ではないと思います。
 そんなこともありまして、前回の御議論の中では、大都市部における合併の1つの受け皿として、障害除去のような立場からも政令市にはある行政区のような仕組みを別途考える必要があるのではないかといった御意見があったものと考えてございます。
 それから、林先生からお話があったと関連してございますけれども、ただいまの議論の中でも、一般制度としてのあり方と合併特例としてのあり方について、垣根を低くしていくべきではないかといった議論があるわけでございます。物事を大きくとらえますと、そもそも既存の市町村の中に住民自治を高めていく立場から、小さな自治を保障するような仕組みをどうつくっていくかという問題が一方であり、もう一方で、合併を行う促進材料という立場からも、旧町村部の自治をどう保障していくかという合併団体固有の仕組みの議論があり、問題提起としては、もともと2つあるわけです。これを1つの制度として構築することが適当なのか、あるいは一定の区別をしながら、次第にその運用状況を見ながら統一化というんでしょうか、垣根を低くして考えていくべきなのかという問題として受け止めておりまして、私どもは合併した団体のいろいろな動きですとか、大都市部についての自治の動きなども見ながら、制度のあり方について検討していく必要があるという問題意識を持ってございます。
 以上でございます。
○林小委員長 西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 1点だけ。先ほども言いましたように、合併をする市町村の相互間でやる場合にしろ、合併に無関係である場合にしろ、極力制度をなるべく統一した方がいいと申しましたけれども、合併市町村の場合には、唯一特例を認めなければならないことは、少なくとも1点はあるんです。というのは、合併協議をしていて、そしてそういう条件を認めてくれるのならば、我が村は中心市に編入されても結構ですといって、合併協議をしていて、そのときにこういうことは合併後の市町村においても、地域自治区を自分の区域に設けて、この範囲のことは自分たちでやらせてくださいと。それを認めてくれるのならば、合併に応じますというケースがあって、合併協議でそのことを保障してくれればというケースがありますね。それを今度は合併して、成立した市町村の市町村議会が条例制定して決めるというときに、それはだめだと否定されたら、なくなってしまうんですよ。そういう約束だったはずではないかと言っても認められないということになってしまうんです。そのときは、その村はただ1人しか議員を出していないかもしれませんし、そういう存在になるわけですから、成り立たないわけです。そのときは、合併協議で決めたらば、それが有効になるということを保障してあげないと使えないわけです。それはやはり合併時の特例なのではないかと思います。そこまで否定するつもりではないということを念のために申し上げます。
○林小委員長 小林委員、どうぞ。
○小林委員 全くの専門外なので、非常に勉強させていただいたのですが、お話を伺っていて、1つ気になったというか、心配になったことがありまして、地域自治区にいろいろな権限が移譲できるようにするとか、更には法人格を持たせるとか、課税権をちょっと与えるとか与えないという話にだんだんとなっていったときに、昨年もいろいろ監査の話とかが問題に上がっていたと思うんですけれども、いろいろ細かく分かれてしまって、かえってお金の動きが見えにくくなってしまったとか、自治のはずが、自治からかえって遠くなってしまうという、要するに住民監視というか、住民監査、住民のガバナンスといったものの目の届く範囲から、かえって遠くなってしまった、見えにくくなってしまったということが起きないように、権限を付与する、お金を付与するということが自由にできるようになるのと引換えに、やはり全市で議会なり市長なりが最終的には責任を負うわけですから、全市的にそういう責任を持てるように、監視というか、監査というか、そういった仕組みのところまで十分に考えて、こういった仕組みを充実させていく必要があるのではないかということが1つ気になりました。
○林小委員長 小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 もうお時間がないと思いますので、手短にお話ししたいと思います。
 今日、行政の制度としての地域自治組織に議論が集中したのですが、多分この課題は、一方で共助の仕組みとしてのコミュニティの強化ということと一体的でなければ動いていかないんだろうと思っています。そして、コミュニティということについて言えば、大都市部における町内会の加入率の急速の低下、そして山間部においては、いわゆる限界集落という問題がある一方で、新しいコミュニティが急速に生まれている。多分、地方の実態を見ていると、ここの部分が一番変化があるところではないかと思います。つまり、従来型の地縁型のコミュニティに少し機能的、あるいは地域の課題を直接解決するようなコミュニティ、言わばハイブリット型コミュニティといいましょうか、そういうものが農山村あるいは都市でも生まれている。そして、この最大の課題は、やはりこういったものが適当な法人格がないことだろうと思っております。多くのところでは、NPO法人をまとっているわけなんですが、これは残念ながら適当な法人格ではありません。そういう意味で、少しキーワード的に言えば、暮らし協同組合といいましょうか、これは生活協同組合というと別の言葉になってしまうので、暮らしを維持し、発展させるような協同組合制度が必要ではないかと思っておりまして、それとセットすることによって、今日の議論もより充実したものになっていくのであろうと思います。当然、これは地方自治法上の課題ではございませんが、どこかで議論することを意識した方がよろしいかと思いました。
○林小委員長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○市町村課長 小林委員からいただいた御指摘の点でございます。非常に重要な点だと思いまして、制度設計に当たって、私どもは留意していきたいと思いますが、例えば合併特例区について申し上げますと、説明が不足しておりますので、補足させていただきます。
 区の予算について作成する権能があるということを御説明いたしましたが、それとの兼ね合いで、合併特例区の長につきましては、その予算につきまして、合併市町村の長の承認を求めなければならないこととされておりますし、あるいは決算につきまして、合併市町村の監査委員の審査に付することが必要だということになっておりまして、合併特例区の予算について、あるいは決算について、合併市町村との関わりを関連づけているという仕組みをつくってございます。
 以上でございます。
○林小委員長 ありがとうございました。時間もまいりましたので、意見交換はこの程度にとどめたいと思います。
 それでは、事務局から、今後の日程等につきまして、説明をいただきたいと思います。
○行政管理理事官 次回の日程でございますけれども、4月14日火曜日午後3時〜5時まで、三田共用会議所で開催する予定としてございます。
 それから、本日の資料の中に、委員の皆様方の5〜7月までの日程を調整させていただく表を入れさせていただいておりますので、お手数でございますけれども、4月3日、来週の金曜日までに御回答いただきますよう、併せてお願い申し上げます。
 以上でございます。
○林小委員長 ありがとうございました。
 それでは、これで本日の「専門小委員会」を終了いたします。どうもありがとうございました。

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