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第29次地方制度調査会第25回専門小委員会

日時

平成21年4月14日(火)15:00〜17:00

場所

三田共用会議所 第4特別会議室(4階)

議事要旨

1 開会
2 議題
  基礎的自治体のあり方についての総括的議論
3 閉会

配付資料




○林小委員長 それでは、まだお見えでない方がいらっしゃいますけれども、時間がまいりましたので、第25回の「専門小委員会」を始めさせていただきたいと思います。
 本日は、基礎自治体における総括的議論の1回目ということで、意見交換を行いたいと思います。
 それでは、まず事務局から資料につきまして、御説明をいただいた上で、意見交換を行いたいと思います。よろしくお願いをいたします。
○市町村課長 市町村課長の丸山でございます。資料を御説明申し上げたいと存じます。 資料1と資料2の2つの資料を準備させていただきました。今回は基礎自治体のあり方総括的議論ということでございますので、これまで基礎自治体について御議論いただきました内容を項目別に整理した資料を準備させていただいております。
 資料1が今回、論点として整理しておりますものの総括的なものでございます。
 1ページをお開きいただきますと、大きな項目といたしまして、1つ目に「市町村合併をはじめとした基礎自治体についての現状認識」。
 2つ目に「これからの基礎自治体のあり方」。
 3つ目に「今後の対応方策」という3つの大きな項目を設定してございます。
 2つ目の大項目につきましては、3つの小項目として「あるべき基礎自治体像」「今後における市町村合併のあり方」「事務処理方策に関する基本的考え方」の項目でございます。
 また、3つ目の大項目につきましては「市町村合併に関する方策「広域連携の積極的な活用を促すための方策」「小規模市町村における事務執行の確保のための方策」「大都市部の課題への対応」「小さな自治への対応」と5つの小項目を設けてございます。
 資料2は、今ごらんいただきました論点、項目別にこれまでいただいた議論を整理させていただいたものでございます。
 資料1を言わば目次のようにごらんいただきながら、資料2をごらんいただきたいと存じます。
 それでは、資料2について、御説明を申し上げます。
 まず1ページでございます。市町村合併を始めとした基礎自治体についての現状認識でございます。それぞれの項目につきまして、「論点」と「考え方」に整理をさせていただいております。
 まず論点でございます。
 「市町村合併は十分進展したと考えられるか」。
 「合併市町村においては、行財政基盤が強化され、基礎自治体としての役割を果たすための安定した体制の整備が進んだと考えられるか」。
 「市町村合併の進捗状況には地域ごとに差異が見られることや小規模市町村が多数存在することについてどう考えるか」。
 「合併市町村について、行政と住民との距離拡大や周辺地域の寂れといった指摘についてどう考えるか」といった論点でございます。
 それについての考え方でございます。
 「人口減少・少子高齢化の進行等の社会状況の変化に対応して、地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤を確立することが強く求められ、平成11年以来、政府を挙げて、市町村合併を積極的に推進してきた。その結果、市町村数は3,232(平成11年3月31日現在)が1,760(平成22年3月23日見込み)となり、市町村合併は相当程度進捗したものと考えられるのではないか」。
 2ページでございます。
「市町村合併の本来の効果が発現するためには、市町村建設計画で定める10年程度の期間が必要である。また、三位一体改革、歳出・歳入一体改革が行われ、合併市町村の財政見通しにも一定の変化が生じている。こうした状況の下で、多くの合併市町村において、合併後3,4年の段階で、『地方分権の受け皿としての体制整備』、『人口減少・少子高齢社会への備え』、『広域的な行政需要への対応』、『効率的な行政運営の確保』といった成果が現れているところ。これらを踏まえれば、合併市町村においては、基礎自治体として必要となる行財政基盤の整備が進みつつあると考えられるのではないか」。
 「長時間にわたり取り組んできたにもかかわらず、市町村合併の進捗状況には地域ごとにかなりの差異が見られ、なお、小規模市町村における行財政基盤強化の必要性、将来的に合併の必要性を認識している市町村の存在、大都市部の市町村の抱える課題への対応といった課題が残されているのではないか」。
 「合併により市町村の規模が大きくなることによって、住民の声が届きにくくなる、周辺部が取り残されるのではないか、地域の伝統・文化が危うくなるのではないか等の懸念が示されている。こうした問題に対応するため、合併市町村においては、地域の実情を踏まえつつ、地域自治組織の活用や支所等の設置、住民の利便性の確保、コミュニティ振興や地域の伝統・文化の振興に向けた取組みを継続的に進めることが必要ではないか」ということでございます。
 それぞれの項目に関連の資料を添付させていただきましたが、添付した資料はこれまでの御議論の中でほとんどが提出済みでございますし、その折に事務局から御説明申し上げておりますので、資料の説明はごく簡単にとどめさせていただきたいと思います。
 3ページの資料でございます。3,232ございました市町村が、合併が進みまして1,760となってございます。ただ、日本地図の彩りをごらんいただいてわかるとおり、市町村数の減少率には地域によって相当大きな差があるということでございますし、また人口1万人未満の市町村もなお、471残っているといった状況でございます。
 4ページでございます。これは総務省に設けられました学識経験者、合併市町村、都道府県の合併担当職員の方をメンバーとした研究会の報告を整理したものでございます。
 (2)をごらんいただきますと、未合併市町村の要因を分析しております。地理的要因が合併の阻害要因となるのは一部の地域、4.6%ということでございます。合併をせずに単独運営を選択したのは約3割、積極的な単独運営の選択ではなく、意見集約の不調のため、未合併となっているものが3割強、合併を望んだが組み合わせの相手との関係によりまして、未合併となっているものも多いということでございます。こういうことから見ますと、将来的に合併の必要性を認識している市町村がなお相当数存在するということが言えるかと思います。
 5ページでございます。1つ目の○のところで、合併後数年の状況ではありますけれども、既に合併の目的に照らして相当の成果を上げているといった内容が整理されてございます。
 一方で、3つ目の○でございますけれども、合併に伴いさまざまな問題点が指摘され、またその問題に対して地域の実情に応じて、さまざまな対応がとられているといったことが整理されているところでございます。
 支所を設ける、あるいは支店長に一定の権限、予算枠を付与する。ICTの活用、サービス窓口の充実、あるいはコミュニティー振興といった取組みが列記されてございます。
 6ページ「合併のための特例法」でございます。現在、市町村合併が相当程度進展しております。この合併市町村に対しての着実な支援を行いますとともに、自主的な合併の取組みに対しまして、現行の合併特例法に基づいて、さらなる合併の推進が図られているところでございます。
 現行の合併特例法につきましては、その期限が法律上、平成22年3月31日とされているところから、その期限後の対応について御議論いただいているということでございます。
 7ページ。2つ目の大項目「これからの基礎自治体のあり方」についてでございます。
 まず「あるべき基礎自治体像」についてでございます。
 論点でございます。
 「人口減少、少子高齢化といった社会状況の変化の中で、今後、基礎自治体はどのような役割を果たしていくべきか」。
 考え方でございます。
 「第27次地方制度調査会答申(平成15年11月13日)においては、『今後の基礎自治体は、住民に最も身近な総合的な行政主体として、これまで以上に自立性の高い行政主体となることが必要であり、これにふさわしい十分な権限と財政基盤を有し、高度化する行政事務に的確に対処できる専門的な職種を含む職員集団を有するものとする必要がある』とされている」。こういったあるべき基礎自治体の姿は、今後も妥当するのではないか」。
 「基礎自治体は多様であり、基礎自治体の果たすべき役割も、人口規模等に応じて、より柔軟なものとしても良いのではないか」。
 「どのような事務であっても市町村に任せようとすることは、国と地方の役割分担の観点から考え直す必要があるのではないか」。
 「地方分権改革推進委員会において、各行政分野における国と地方の役割分担の見直しや法令による自治事務の義務付けの見直しについて勧告がなされており、その着実な実施が基礎自治体の自主性の確保や国と地方の適切な役割分担の観点から重要ではないか」ということでございます。
 8ページから資料でございます。第27次の地制調の答申を抜粋で掲げてございます。先ほど論点の中にも出てまいりましたけれども、市町村は基礎自治体として、地域において包括的な役割を果たしていくことがこれまで以上に期待され、補完性の原理の考え方に基づき、基礎自治体優先の原則をこれまで以上に実現していくことが必要であるという内容でございます。
 下に参考として、自治法の現行の規定を掲載させていただきました。市町村について、基礎自治体優先の原則が法文の中で規定されているということでございます。
 9ページは、地方分権改革推進委員会の基本的考え方、
 10ページは、第1次勧告の抜粋でございます。それぞれ基礎自治体について、さらなる体制の充実強化を求め、基礎自治体が分権型社会において中心的な役割を担うべきものであるといった基礎自治体についての役割の重視、期待というものが示されていると理解してございます。
 11ページ。「これからの基礎自治体のあり方」の2つ目の項目、 「今後における市町村合併のあり方」についてでございます。
 論点でございます。
 「今後の市町村の行財政基盤の強化についてどう考えるか」。
 「合併後の地域の振興をどのように図っていくか」。
 「平成11年からの合併推進運動についてどう考えるか」ということでございます。
 考え方でございます。
 「今後の少子高齢化の進展や厳しい財政状況を踏まえ、基礎自治体としての重要な役割や市町村が抱える課題に対応するためには、今後とも、市町村の行財政基盤を強化する必要があるのではないか」。
 「合併市町村の一体的な振興や周辺地域、限界集落の対応については、自治制度と振興施策の両面からの取り組みが必要ではないか」。
 「合併推進運動については、現行合併特例法の期限である平成22年3月末時点で、10年以上の期間を経過することになる。このような状況において、地方分権の進展、人口減少、少子高齢化の進行等の行政課題に落ち着いて取り組むことができずにいる市町村もあるのではないか」。
 「現在もなお未合併のままの市町村について、これまでと同様の手法により合併を促すことには限界があるのではないか」。
 「平成11年から行ってきた合併推進運動は、現行合併特例法期限の平成22年3月末までで一区切りにすべきではないか」ということでございます。
 12ページでございます。第25次の地制調の答申を掲げております。これは平成10年4月24日に出されたものでございまして、平成11年に法改正が行われて、合併推進の措置を強化した法律が成立しておりますけれども、その前提となる御議論をいただいた答申でございます。
 13ページでございます。平成12年12月1日の閣議決定を行いました行政改革大綱の抜粋でございます。この中で与党の「市町村合併後の自治体数を1,000を目標とする」という方針を踏まえて、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化するという旨の決定がなされてございます。
 14ページでございます。地方分権推進委員会第2次勧告を抜粋で掲げております。この末尾の部分でございます。「地方分権の主たる受け手であるべき市町村にあっては、このような行財政改革への取組みと併せ、自主的合併や広域行政を強力に推進し、その行財政能力の充実強化を図るべきである」といった内容になってございます。
 15ページでございます。「これからの基礎自治体のあり方」の3つ目の項目「事務処理方策に関する基本的考え方」でございます。
 論点でございます。
 「個々の基礎自治体を取り巻く状況はどのようなものか」。
 「今後、基礎自治体は、どのような事務処理の方策により行財政基盤を整備し、求められる役割を果たしていくのか」。
 考え方でございます。
 市町村合併の進捗には、地域ごとに差異がある。この地域ごとに市町村が置かれている状況には大きな違いが生じているといったことから考えを進めていくべきではないか。
 「今後の基礎自治体のあり方を考えるに当たっては、市町村の多様性を前提にして、それぞれの市町村が自らの置かれた現状の動向を踏まえた上で、適切に課題に対処できるよう柔軟で多様な選択肢を用意する必要があるのではないか」。
 「それぞれの市町村が、市町村合併や広域連携を始めとする様々な仕組みを自ら選択してその行財政基盤の強化を図っていくべきではないか。
 これまでの議論の中でも、広域連携の仕組みとして、共同処理についても議論いただきましたし、また新たな取組みとして、定住自立圏の構想についても御議論をいただいたところであると思います。
 16ページでございます。3つ目の大項目といたしまして「今後の対応方策」についてでございます。
 その1つ目「市町村合併に関する方策」についてでございます。
 まず論点です。
 「現行の合併特例法の期限後の自主的な市町村合併に対する支援措置についてどう考えるか」。
 考え方でございます。
 「現行合併特例法期限後においても、自らの判断により合併を進めようとする市町村について、合併の障害を除去するための措置や住民の意見を反映させるための措置等を定めた合併に係る特例法が必要ではないか。基本的には、平成11年改正前の合併特例法における特例措置のほか、地域審議会、合併特例の地域自治区及び合併特例区等をはじめとした内容とすることが考えられるのではないか」ということでございます。
 17ページ「合併特例の概要」をその特例が創設された時期別に整理させていただきました。
 ごらんいただきますと、左の方が平成11年以前に設けられた措置ということでございまして、これが今後も必要となる合併の特例として、基礎になるものではないか。それに加えて、その後、設けられた制度のうち、例えば中欄にあります地域審議会あるいは右の欄にございます地域自治区、合併特例区など、住民の意見を反映するための措置を始めとした内容とすることが考えられるのではないかという御議論であると理解してございます。
 18ページからは、合併特例の具体的な内容についての詳細でございますので、説明は省略させていただきます。
 21ページをごらんください。「今後の対応方策」の2つ目「広域連携の積極的な活用を促すための方策」ということでございます。
 論点といたしまして、「これまでの広域連携の課題はどのようなものか」。
 「地域の実情に対応して、多様な共同処理の活用が図られるために、どのような仕組みの改善が必要か」ということでございます。
 考え方をごらんいただきたいと存じます。
 1つ目の○ですが、一部事務組合や広域連合についてでございます。これは法人格を設けて行う共同所処理ということでございまして「執行機関と議会を有し、施設や組織の安定的な管理・運営に資する仕組みである一方で、機動的な意思決定が課題となっているのではないか」ということでございます。
 アンケート調査の結果を以前、御報告させていただきましたけれども、例えばそれぞれの市町村の議会を経る時間的なロスがあるということ。あるいは事務的な調整の手間が必要であるといったことが、この機動的な意思決定が課題といった問題意識の内容ということでございます。
 これについてでございますけれども、考え方の4つ目の○、5つ目の○をごらんいただきたいと思います。
 「一部事務組合や広域連合のこれまでの取組実績等を踏まえつつ、関係市町村の自主的な協議によって、事務処理の再点検や運用面の見直しを行う必要があるのではないか」。
 もう一つ「市町村合併の進捗による関係市町村の減少などの地域の実態等を踏まえて、法人の設立を要しない簡便な方式に変更するなど、関係市町村において、より効率的な処理方式を選択する必要があるのではないか」。
 現在、359の広域市町村圏等が全国に設けられておりますけれども、これを広域市町村圏を構成している市町村の数で分類してみますと、構成市町村数1〜3といった広域市町村圏が157といった現状でございます。
 359の広域市町村圏等のうち、構成する市町村数が1〜3というものが157。平均の市町村数は2.2といった状況でございまして、こういったものを考えますと、設立の当初は相当数の市町村数があって、それに対して法人格を設けて、事務を執行するといった取り組みの方法が合理的であったと思いますけれども、現状にかんがみますと、既に1対1のバイの関係として処理することが可能であるものが相当数ある。こういったものについては法人の設立を要しない簡便な方式に変更するといったことについても、検討の必要があるといった趣旨でございます。
 考え方の2つ目の○は、事務の委託についてでございます。
 「事務の委託については、バイの関係として広く活用されている共同処理の方式でございますが、これについては事務権限が委託元から受託先に完全に移行してしまうため、事務を引き受ける大きな市の立場からは、自分の事務を行うのと統一的に執行できるという意味で、効率的な事務執行ができるわけですけれども、逆に事務の出し手の小規模な団体の立場から見ますと、自分の権限が失われて、意見が言いにくくなるといった意味で、制度の活用にちゅうちょがあるのではないかといった御指摘もございました。
 22ページの1つ目の○でございます。「事務権限が他の団体に移動する事務の委託について、事務の出し手の地方公共団体から、事務処理の状況を把握し、意見を提出できるような仕組みを導入することが適当ではないか」。
 事務の引き受け手の大きな市町村の側から、定期的に事務処理状況の報告をいただいて、事務の出し手の団体の側からその報告に対応して意見を提出できるような仕組みを導入してはどうかといった趣旨です。
 考え方の3つ目の○は、「機関等の共同設置」でございます。地方公共団体の機関等を共同で設けるといった制度で、これも広く活用されている仕組みでございますが、地方公共団体のニーズを踏まえて、より使いやすい仕組みにできるのではないかといった問題意識でございます。
 これについては、事務局の方で現在の事務処理の実態を調査いたしまして、一定の方向を検討してまいりましたので、後ほど資料をごらんいただきたいと思います。
 23ページをごらんいただきたいと思います。これが現在の事務処理の仕組みと運用についての概要を記したものでございます。上3つが法人の設立を要しない簡便な仕組みでございまして、ただいまの論点の中にも出てまいりました機関等の共同設置、事務局の委託といった内容が含まれてございます。
 下の4つが法人の設立を要する仕組みということで、現在の論点に出てまいりました、一部事務組合、広域連合といった仕組みでございます。
 24ページからは、それぞれの制度の概要を記したものでございますので、説明は省略させていただきたいと思います。
 29ページをごらんいただきたいと思います。機関等の共同設置について、地方公共団体の実際のニーズというものを踏まえまして、どんな見直しができるのかといったことでまとめたものでございます。これは今回初めて提出させていただく資料でございます。
 機関等の共同設置の対象として、現在設けられておりますのは、機関及び職員といった内容でございまして、具体的には公平委員会や介護認定審査会といったものに多く利用されている仕組みでございます。今回これに加えまして、新たに共同設置の対象を拡充してはどうかといった内容でございます。
 具体的には地方公共団体の部や課といった内部組織、監査委員事務局といった事務局、更に保健所などの行政機関というものについても、共同設置することができるようにしてはどうかといったことでございます。
 下の方に活用例を2つ記載させていただきました。左の方が内部組織である課を共同設置した場合のイメージでございます。隣接する市町村で同様な目的の下に課を共同で設けて、仕事を共同的に行っていく場合、この共同設置というものが組織の運営の面でも経費の節減の面でも大きな効果を持つものと思っております。
 右の方の例でございます。保健所についてでございます。保健所につきましては、人口30万人以上を基準といたしまして、市が保健所を設置するということになってございます。全国的に合併が進んだ結果、従前、県の保健所の管轄エリアとされていたものの中に、この保健所設置市というものが登場いたしまして、またそのエリアを拡大することによりまして、県の保健所の管轄エリアが飛び地になる、あるいは虫食いになるといった問題が発生しております。
 この場合、その地域の保健を統一的に、また効率的に行うという立場からは、A県の保健所とB市の保健所を共同で設置することによって、全体としての行政運営の効率性、経費の節減にも資するといったものになるものと考えております。
 これについては、厚生労働省も同じような問題意識をもって検討されているわけですが、それについての一つの対応策になるのではないかと、事務局では受け止めているところでございます。
 30ページ「今後の対応方策」の3つ目の項目「小規模市町村における事務執行の確保のための方策」についてでございます。
 論点でございます。
 「小規模市町村における事務執行体制はどのような状況か」。
 「小規模市町村は、今後、どのような方法により、基礎自治体として求められる役割を果たしていくのか」。
 考え方でございます。
 「地方分権の進展、人口減少、少子高齢化の進行などの社会状況の変化の中で、小規模市町村に対して住民が期待する行政サービスの役割は大きいものがあるのではないか」。
 「高い水準の行政サービスを提供するためには、一定の専門職員の配置が必要ではないか」。
 特に福祉・保健分野における専門性の高い事務を担う専門職員の配置が重要ではないか。
 「単独での事務執行に困難があるのであれば、周辺市町村またはと都道府県と連携することによって、その役割を果たしていくことができるのではないか」。
 この場合、「離島や年都市と連担しない小規模市町村など、市町村間での共同処理が困難な地域についての事務処理の方策が必要ではないか」。
 31ページにまいります。
 「市町村に義務づけられている一定の事務の義務づけを見直す仕組みを検討する必要があるのではないか」。
 その場合、「都道府県の本来的な役割としての市町村の補完事務を適切に果たすべきではないか」。
 「自治制度は、それぞれの地域の実情に対応できるよう多様なものであるべきであり、市町村合併や広域連携に加えて、小規模市町村の置かれた状況に適合し、当該市町村の判断によって活用し得る事務の執行を確保するための特別の仕組みが求められるのではないか」といった御議論をいただいているものと受け止めております。
 32ページから資料でございます。人口1万人未満の市町村数は、現在471、全団体の26.8派
%といった状況でございます。
 33ページ 。この人口1万人未満の小規模市町村の割合は、今後の人口減少の中で高まっていくといった見込みを掲載してございます。
 34ページでございます。ここでは人口1万人未満、または人口5,000人未満の市町村数の動向をその割合が高い都道府県別に具体的に整理させていただきました。全国計の欄をごらんいただきますと、人口1万人未満につきましては、平成22年471団体とあるものが240年後、平成47年では609。その占める割合では34.6%、増加率では29.1%ということでございます。
 また、人口5,000人未満につきましては、223団体あるものが362団体になり、占める割合では20.6%、増加率では62.3%。特に人口が小さい市町村の今後の増加が著しいといったことがうかがえるかと存じます。
 35ページ。市町村の人口規模別の財政状況でございます。住民一人あたり歳出額でみますと、人口規模が3〜5万人規模で約40万円であるのに対し、4,000〜5,000人では約その2倍、1,000〜2,000人では3.5倍となっております。
 36ページ。人口規模別に市町村の職員数を比較したものでございます。この表の職員数は人口1万人当たりに換算してございますが、人口の規模の区分によって大きな開きがあることがわかるかと思います。右の方、30万人から50万人のところで一般行政計45.0人とありますけれども、左の方1,000人未満をごらんいただきますと、359.6人ということでございます。これを1,000人に換算し直せば三十数人ということでございまして、人口規模からいたしますと職員数は相当多いわけでありますけれども、なお専門職員の配置については困難があるということでございます。
 37〜38ページは「人口規模別の専門職員の配置状況」でございます。保健福祉等を担う保健師、助産師等からハードの公共事業、公共施設の整備を担う土木技師等まで、それぞれの専門職員の配置状況を記させていただきました。人口規模別によって相当程度、配置状況に違いがあるということで、全体として見ますと人口1万人という辺りを目安として、その配置の状況に違いが見えるということが言えるかと存じます。
 39ページ「小規模市町村の地域類型別分類」でございます。人口1万人未満の市町村471をその地域の類型によって分別したものでございます。実際に地図で作業いたしました結果が40ページにございます。ピンクのところが人口5万人以上の市でございまして、これは定住自立圏の中心市の要件も踏まえて5万人以上ということにしまして、作業をさせていただきました。
 39ページをごらんいただきますと、こうした人口5万人以上の都市の周辺に点在するもの。つまり5万人以上の都市と隣接しているものということでございます。これが471のうち236、約半数ということでございました。残り半数が5万人以上の都市と隣接しないというものでございまして、これを2つのタイプに分別しておりますが、各圏域の周辺部に連なっているもの。つまり各都道府県内において、都市とは連担しない一群をなしているものが186。また、離島など地理的に他の地域と隔たりのあるものが49ということでございます。
 離島などにつきましては、合併も市町村同士の水平的な補完も相当困難な実情にあると思います。また、2つ目の範疇の都市とは連担しない一群の市町村も合併や水平的な補完ができないということではありませんが、その効果には制約があるといったものであると思います。こういった市町村については、合併や広域連携に加えた新たな選択肢というものが必要ではないかといった御議論をいただいたものと理解してございます。
 41ページ。27次の地制調の答申の抜粋でございます。合併困難な市町村に対する特別な方策として、広域連携の方策による対応や都道府県の補完による特例的団体の導入の検討の必要性が示されているところでございます。
 今回の御議論の中では、合併や広域連携に加えて、更に新しい選択肢の1つとして、小規模市町村の判断によって活用し得る特別の仕組みといったものが御議論されているものとして受け止めておるところでございます。
 42ページ「今後の対応方策」の4つ目「大都市部の課題への対応」でございます。
 論点でございますが「大都市部の市町村が抱える特別の課題への対応をどう考えるか」。
 考え方でございます。大都市部では、現在は合併が進んでおりませんけれども、今後、急速な高齢化や公共施設の老朽化、それに伴う財政負担の急増が見込まれるのではないか。大都市部では市街地が市町村の境界を越えて連なっており、日常生活圏が行政区域を越えて大きく広がっている。これは地方自治の理念としての近接性の原理や受益と負担といった観念から見て問題があるのではないか。
 大都市地域においては、市町村合併や広域連携が模索されるべきではないか。
 大きくなる都市の内部に自治の構造が必要であり、地域自治組織や地域コミュニティーの在り方の検討が必要ではないか。
 大都市部における市町村合併の受け皿として、合併特例として、政令市の行政区のような仕組みの検討も必要ではないかといった御議論をいただいているところでございます。
 43ページでございます。大都市部の市町村の特徴を整理したものでございます。ここで大都市部と呼んでおりますのは、中ほどに書いてございます6都府県のことでございますが、これをその他の地域と比較してみますと、市町村の面積が小さく、人口が大きい。すなわち平均的な人口密度が高いといった特徴を持っております。市街地が連担しておって、日常的な生活圏が行政区域を越えて広がっているといったことが表されているものと思います。
 高齢化率は、その他の地域と比較すると、現在は低い状況にありますけれども、今後30年を展望いたしますと、むしろその他地域以上の割合になる。今後、急激に高まることが推定されているところでございます。
 45ページをごらんいただきたいと思います。これは東京都の多摩市と千葉県の八千代市。代表的なニュータウン、ベットタウンを取り上げまして、今後の高齢者人口の推移を推計したものでございます。多摩市の場合ですと、65歳以上の人口が2005〜2035年で2.1倍、75歳以上が3.5倍といった状況でございます。それに比較しますと、地方圏の都市はほぼ横ばい程度でございますので、今後、大都市圏における高齢化の伸びというのが著しいということがわかりますし、また老人福祉費は高齢者人口と強い相関を持っておりますものでから、こういった高齢者人口の伸びがすなわち老人福祉費の増をもたらすといったことでございまして、このことも大都市部の地域の課題として重要なことと存じます。
 46ページ「老朽化した公共施設の更新に伴う財政負担の増加」でございます。
 大都市部におきましては、人口急増期に集中的に整備しました公共施設が今後一斉に更新時期を迎え、その更新に伴う財政負担が急増することが見込まれてございます。ここでは東京都が推計した資料を掲載させていただきました。
 以上でございます。
○行政課長 引き続きまして、47ページ「今後の対応方策」の最後の「小さな自治への対応」でございます。
 まず論点といたしましては「住民自治や住民と行政の協働という観点から地域自治区制度についてどのように考えるか」ということが1点。また「地域コミュニティーの活動についてどのように考えるか」ということが第2点でございます。
 考え方でございます。まず住民自治や住民と行政の協働については、地域の自主的かつ多様な取組みが基本であり、すべて制度的に対応するのではなく、地域の実情に応じて対応されるという観点が重要ではないかという御議論がございました。
 地域の実情に応じまして、住民自治を拡充していくという観点からすれば、地域自治区制度につきましては、市町村のある特定の地域だけに設置できるということよついて、検討すべきではないか。現在はすべての地域におかなければならないという考え方でございますが、特定の地域だけに設置できるということについて、検討すべきではないかということでございます。
 地域協議会の構成員を公選により選任することにつきましては、さまざまな角度からの御意見がございました。ここでは庁の付属機関である地域協議会と直接選挙されました市長、または同じように選挙されました議会との関係の在り方といった点。
 それから、現行制度では地域協議会の構成員の選任につきまして、多様の意見が適切に反映されるよう、いろんな地域で活動されている団体の代表など、多様な意見が適切に反映されるようにする配慮するものとされていることなどから、慎重に検討すべきではないかといたしております。
 また、コミュニティーの関係で、地域における住民サービスを担うのは行政のみではないということが重要な視点であり、経済活動も含めた地域コミュニティーの活性化がはかられることが重要ではないかといたしております。
 48ページ以降は、前回の委員会でも御説明した資料を幾つか付けてございます。48ページが「地域自治区制度」の趣旨、地域協議会の権限等の概要でございます。
 49ページが「地域自治区の概況」ということで、現在の不設置段対数、どのような事項について意見を聞かなければならないとなっているかということでございます。
 50ページが地域協議会の構成員の状況」でございまして、多くが公共的な団体と代表するものとなっておりまして、参考として、ここに掲げてありますような、いろんな公共的団体の代表の方々が地域協議会の厚生委となっておられるということでございます。
 51ページは、地域自治区制度の創設の基となりました、27次の地方制度調査会の答申の抜粋を付けているところでございます。
 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○林小委員長 ありがとうございます。今日はこれまでに出ました論点及び出していただきました考え方につきまして、整理しつつ網羅的に提示をしていただいております。
 意見交換を行いたいと思いますが、区分しながらと思ったんですけれども、それぞれの論点が相互に関連しておりますので、対応策あるいは在り方、現状認識も考えないで御議論いただければと思っております。
 なお、今後の方向性に少しずつ集約をしていきたいと考えておりますので、勿論新たな論点がございましたら、御自由にお出しいただくのは当然でございますけれども、できれば方向性を示すという形に収束をしていくということを意識いただきながら、御発言をいただければ、非常に幸いでございます。
 それでは、意見交換を行いたいと思います。どなたからでも結構ですので、お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 小幡委員、どうぞ。
○小幡委員 早く退席をするので、最初に失礼いたします。いずれも大事なものばかりの論点でございますが、意見の集約化という中で法改正が必要なものはどれかということも認識しておいた方がよいように思います。つまり方向としてこのようにいくべきであるということで書いていくのか、あるいは地方自治法・合併特例法などいろいろあると思うのですが、具体的にどのような法改正をしていくのかという、そろそろそういう段階ではないかと思います。
 合併特例の方を除けば、今、御説明を伺った中で、例えばはっきりしているのは共同設置のところとか、あるいは地域自治区のところ、要する全体でなくて部分的に設置できることにするという点は、法改正が必要であるように思えます。事務の委託のところの仕組みは法改正まで必要かどうか。
 要する委託先の意見という話ですから、必ずしも法改正は要らないのかもしれませんが、何か明確にしておく必要があると思います。それから、大きなところは小規模町村のところで、41ページの27次地制調のところである議論ですが、義務づけの解除、市町村がやらなければいけないということになっているものについて事務をやらなくてもよいことにする、要するに市町村であればワンセット的にやるのではなくて、負担軽減町村を認めるというところまでいくと、何か法律が要るように思えますが、そこはかなり大きな話だと思います。
 事務委託でありますとか共同設置や協議会などは大変重要でして、要するに合併後、市町村の数は非常に少なくなったのですが、それにもかかわらず、小規模なところはありますし、あるいは小規模でなくても合併しなかったところがある中で、行政はこれからいかに効率性だけではなくて、それぞれの住民にとってよりよい行政を実現できるのかということを模索していく中で、様々なツールがあるというのは非常に大事だと思います。ここでの話は、必ずこれでやりなさいということでは全くないわけでして、それはさまざまな事務・サービスの性格にもよりますし、あるいは置かれている市町村の環境によるわけですから、あの手この手という手段、できるだけ使いやすい手段が選べるような選択の可能性をたくさん認めることが大切だと思います。
 そうすると、かなり既にいろいろ手段はあるわけなのですが、先ほどお話がございましたように共同設置というのはかなりやりやすいと思いますので、より可能性を広げるという法改正は必要になると思います。ですから、これということではなく、さまざまな可能性を使えるような形で法改正も含めて考えていただければと思います。
 ただ、方向としてはそれでよろしいのですが、そう言いましても、例えば共同設置の29ページのところの方策がありますが、課題としては例えば説明責任の果たし方をそれぞれどうするのか。それぞれの住民に対しての説明です。個人情報の共有について何か問題はないかとか、それぞれの住民ニーズの吸い上げ方をいかにうまくできるかとか、考え出すとそれなりにいろいろ難しい問題はあるのですけれども、結果的に効率性だけではなくて、この方が住民のためにもよいのだという帰結を説明できること。専門性などを含めて、このようなメリットがあるから形をとるという積極的意識が極めて大事ではないかと思っております。
○林小委員長 ありがとうございます。これまでの議論もそうなんですけれども、要するに制度改正が必要な場合と運用の問題というように両方あるわけですね。一つのあるべき姿を考えた場合でも、この部分は制度改正、この部分はやれるというのがありますので、今後そういうことを少し整理をしながら考えていかなければならないという御指摘。
 それから、制度改正の場合はとりわけ方向性をここで議論をすると。そうなりますとさまざまな課題というか、その法改正に伴う副作用もやはりあるということで、その辺りは具体的に制度設計をどうするかというところまでは、この地制調ではなかなか難しい。ただ、こういう問題には留意しなければいけないといったようなことは必要なのではないかという御指摘であったと理解をしておりますがよろしいですか。
○小幡委員 言い落としました。事務の委託ですけれども、委託先というのは当然費用的には委託先が今も支出して、例えば隣の市町村にお願いしているわけですから、ものを言えないシステムはそもそもおかしいはずなので、それは仕組み方だと思うのです。更にここにも出てきていますが、負担軽減等で例えばこの市町村がやらないとなった事務については、おそらく都道府県がやるのですけれが、その都道府県がA村のための事務をB町やC市にやらせるという形での事務委託の可能性というのはあると思います。少し書かれていますが、そういう方向もこれからはあるべきではないかと思います。
○林小委員長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
 西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 大筋において余り異論はないのですけれども、少し確認をしたい点があります。今後の対応方策の中の小規模市町村における事務執行の確保のための方策に関連しているところなんですが、本日提出されている資料の31ページの一番最後の○のところにかなり大事なことが書いてあるわけです。
 「自治制度はそれぞれの地域の実情に対応できるよう多様なものであるべきであり、市町村合併や広域連携に加えて、小規模市町村の置かれた状況に適合し、当該市町村の判断によって活用し得る事務の執行を確保するための特別の仕組みが求められるのではないか」と言っておられまして、これからどういうイメージで皆さんが考えられておられるのか、まだよくわからないんです。
 ここで「当該市町村の判断によって」という表現をしていらっしゃいますから、まずはある事務、権限の執行を小規模な市町村が自分では執行するのは難しいから、これは今後も執行し続けることは難しいから、例えば都道府県に代わってやってくださいと個別の事務ごとにそういうものを自分で選び出すというイメージで言っておられるのか。ある程度この種の領域の事務というふうに塊で考えようとしていらっしゃるのかということが第一の質問です。
 そして、そういう個別なり塊である事務を都道府県に委ねたいというのは、あくまでその当該市町村の意思によってだと。それが希望したときだというのがここの「当該市町村の判断によって」という表現ですかというのが第二の質問です。
 そうだとすると、私もこの問題はずっと考え続けているわけですけれども、個別の市町村のごとに、この事務は県にやってくださいとか、うちはこれは自分でやりますといって、全国の市町村がそれぞれ個別にばらばらに判断をして、都道府県に補完してくださいとやられると、日本の制度の中では、その経費を地方交付税で補てんする仕組みでやっておりますから、地方交付税の方の基準財政需要額の算定は極めて複雑な困難なことになってしまうのではないかと思うんです。
 その問題は小規模であるほど、その地方交付税に依存している度合いが極めて高いわけですから、その問題を考えていくと何かの塊で標準的な型を国としては考えざるを得ないのではないかと私自身は思っているんです。
 それで一塊、県に任せるという町村については、それに併せてこの経費は市町村ではなくて、これからは県に交付しますということになっていくのではないかというイメージなんですけれども、もしそういうイメージが正しいとしたら、それで押し付けてしまうのではなくて、もう一つ弾力化する方法はないですかというのが私の意見です。
 標準的にはそういう形で定めざるを得ないんでしょうけれども、その標準的な型どおりにはうちはやりたくない。もう少し広い範囲の事務を自分でやりたいという町村があってみたり、あるいは標準的なパターンで県に移すとすれば、一括で移しなさいといっているものにもう少し足して、この部分まで県にやってほしいと希望する町村とか、要するに標準的なパターンよりも上に出たり下にするでこぼこが希望としてはあり得ると思うんです。
 そうした希望にかなり柔軟に対応する手立てが必要なのではないか。つまり国の法令としては一応標準的なパターンを決めるけれども、あとはそれにはまりきらない微調整は、その関係の府県と市町村の協議で処理しなさいというような制度は考えられないんでしょうか。今、都道府県から事務処理特例条例で特定の事務を市町村におろすということは、自主的に可能になっているんですけれども、言わばその逆のケースですが、市町村側が特別にこれを県に補完してくださいといってあげるというのも都道府県と市町村の協議で可能であるという、何か最後の調整を残してあげた方が私はいいのではないかと思っているというのが1点目の意見です。
 このことは34ページの人口規模の問題と、私の頭の中では密接に絡んでいるんです。昔からこの小規模団体をどうしたらいいんだということは議論し続けているわけですけれども、小規模の市町村といった場合に一体どのくらいの規模のものを小規模と念頭に置いているのかというのは、終始議論を詰めないまま、ずっと今日まで来ているわけです。
 果たしてそれが人口1万という線が妥当な線なのか。人口5,000人くらいというのが妥当な線なのか。人口3,000人くらいというのが非常に意味のある線なのかということは、かなり大事な大問題だと私は思いますが、そういう観点で言うと、本当に何らかの措置を要しているのは、私は人口5,000人未満という町村なのではないかという気がします。
 ただ、そういう町村について、国が何かを決め付けるという制度ならば、なるべくそういう対象の範囲は厳密に、ここだけはとてもやっていけないでしょうねという範囲を限定的にとらえた方がいいんだと思うんです。逆にこの関係市町村の希望によって、そうしたいというところにはそうしますという制度なら、できるだけその選択肢は広い方がいいのかもしれないので、私はそれなら1万人未満というのにそういう制度を設けるという方が妥当かなという気はするんです。もし強制するのなら、もっと限定した方がいいのではないか。自主的な申し出があったときには、そういう対応をできるような仕組みにしますというのであれば、1万人未満でも妥当かなという気がするということだけ申し上げておきたいと思います。
○林小委員長 ありがとうございます。29次の地制調で一番大きな課題というのが、今、西尾先生が御指摘いただいた、要するに小規模なのかということもありますけれども、これはどうするかという議論ですね。多様性を認めるということで、言葉を変えれば義務づけを外すということとも関連してくるとか、表現はそういう表現になるかもしれませんけれども、パッケージでいくのか個別事務事業でいくのかということに関して、これもまたいろいろと考えなければいけないし、そういう場合に標準的なものでいくのか、そうでないのか。あるいはどこの規模だったらどうなんだというところも、これは全く今のところ議論もできていない部分もあるので、その辺りは何か先ほどの標準的なものなのか。あるいは個別なのかとについて、御意見がありましたら。
○市町村課長 ただいまの西尾委員からの御指摘に関連してでございます。今日お示しした論点や考え方は、これまで委員の皆様からの御議論の中でいただいた意見を事務局として整理させていただいたというものでございますけれども、事務局としての受け止め方、現在での問題意識として申し上げたいと存じます。
 31ページの3つ目の○にある特別の仕組みの考え方でございます。1つ目は小規模市町村に代わって都道府県が事務を担う特別の仕組みの対象事務をどうとらまえるかということであるかと思います。これにつきましては、個々、個別の事務ということではありませんで、ここの問題意識としては1つの塊、パッケージとして受け止めてございます。
その場合の対象事務となるパッケージの中身でございます。
 30ページの考え方の3つ目の○でございますけれども、小規模市町村で特に課題となっている分野は、福祉・保健分野において専門性の高い職員が本来必要なんだけれども、なかなか適切な人数を確保しにくい。これについては職員の配置状況ということで御議論をいただいたかと思います。特別な仕組みの対象事務はパッケージとしてとらえる。その場合、大きな課題となっておりますのは福祉・保健分野の事務ではないか。こんなふうに受け止めてございます。
 そのように受け止めた場合には、それに要する経費については、支障なく行政運営ができますように、交付税の基準財政需要額の算定の中で反映させる仕組みが求められるものと考えてございます。
 もう一つの点でございますが、当該市町村の判断によって活用できるという点についてどう考えるかということでございます。これにつきましては、一定の人口規模というものを前提にして、該当する市町村は必ず、強制的にこの仕組みを選ばなければいけないといったことは全く考えておりません。
 この31ページの3つ目の記述にありますとおり、合併や広域連携に加えて当該市町村が判断なされば活用できるものという意味で、新たな選択肢、多様な選択肢を準備するものと受け止めているところでございます。
 基本的にはこの制度の適用については、当該市町村の御判断というものが基本になるわけですが、その事務を引き受ける都道府県の立場もございますので、実際の制度を仕組む場合には、まず市町村の御判断が基本になりますけれども、それを包括する都道府県との一定の合意、さらにあるいは市町村の議会、都道府県の議会の御議論といったものがそれぞれ必要となって、全体として関係者の合意ができれば、その地方の総意として、こういった制度が動くような仕組みが考えられるのではないかと考えてございます。
 3つ目の点として、対象事務を1つの標準的な事務のパッケージとしてとらえるとした場合に、それについてオーダーメードのような事務のプラスαといったような弾力的な取扱いができないのかどうかということでございます。
 ここではまず31ページの1つ目の○にありますとおり、市町村に義務づけられている事務の義務づけを見直すといった問題意識を基本に持っているものですから、義務づけられている事務ということをベースに置いて対象事務を考えておりますけれども、実際の行政運営を考えますと、義務づけられている事務だけではなくて、義務づけられてはいないけれども、それと密接な関連をもって行なわれている事務も相当数あると考えております。
 また、地域の実情によって必要となる任意の事務もあろうかと思います。特別な仕組みの対象事務となる標準的なパッケージとしての事務に加えて、そういった部分についてどのような取扱いができるのか。可能な限り弾力的な仕組みも制度化においては考えていかなければならない。そういう問題意識を事務局としても持っているところでございます。
 以上でございます。
○林小委員長 西尾委員、いかがでしょうか。
○西尾委員 今の点については一応、私は了解しました。
○林小委員長 では、武田委員。
○武田委員 今の御説明について、確認のためのお伺いしたいんですけれども、基準財政需要額の算定の場合、先ほど福祉・保健の分野に関して、選択によって基準財政需要額に参入するという話をされたのですけれども、例えばこういうことでしょうか。
 現在、福祉事務所を設置する市にのみ義務づけられていて、それを基準財政需要額に算入するんですが、町村も設置は可能であるんだけれども、基準財政需要額には算入されない。ゆえに普通は設置しないということになっているわけですが、先ほどの御説明ですと、例えば町村が福祉事務所を設置するということをあえて選択している場合に、それを基準財政需要額に算入するような仕組みを考えるというような御説明として受け止めていいですか。
○市町村課長 まずはこの新たな特別の仕組みの対象となる事務をどう考えるかという点がポイントだと思いますけれども、事務局として申し上げましたのは、一定の市町村の事務について、この新たな仕組みの中ではその市町村が行なわずに、代わって都道府県が補完する事務として行なうということですが、そのときに当然財源の手当てが必要になります。その財源の手当てについては、その事務が市町村の事務ではなくて、引き受けた都道府県の事務になるという仕組みを前提として交付税の算定を行なう。そういった考え方で申し上げたものでございます。
 もし仮にこういったパッケージの事務を対象とした特別の仕組みではなく、相対の規約において行なう事務処理、例えば事務の委託ですと、これは当該団体の交付税の算定には影響がないので、規約に基づいて財源を相対で行なうことになりますけれども、特別の仕組みではそれとは異なって交付税の算定において反映させる必要があるだろう。そういう問題意識でお答えしたものでございます。
○武田委員 お尋ねしたかったのは、逆のパターンがあるかということです。市町村が都道府県に委ねるべき事務というパッケージという場合ではなくて、逆に市町村の側が逆に県の事務であるものを自らやりたいという選択肢を考えた場合にです。
○市町村課長 お尋ねの点は、地域の実情によりましては、現在においても県の条例による事務処理の特例の制度を活用して、一般的には都道府県が行なっている事務について、地方の判断によって市町村に処理を委ねるという仕組みは行なわれておりますし、相当程度幅広く活用されているかものと思います。この特別な仕組みの問題意識といいますのは、それとは異なって小規模市町村の事務処理体制などを勘案して、一定の事務を独自で実施するのではなく、都道府県の補完を期待する場合の仕組みが必要と考えて、御議論が行なわれているものと受け止めております。
○林小委員長 小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 今の点についてなんですが、前々回、片山副会長からタスクを解除する表現で問題提起があったかと思いますが、2つほど申し上げてみたいと思います。
 1つは非常に雑駁な感想なんですが、まさに今やりとりがあったように、随分議論がしづらい論点だなと思っています。こうした新しい仕組みにより交付税の算定の仕組みがどうなるのかということが確定しない限りは、果たして小規模市町村にとって重荷を下ろすことになるのか。あるいは事務を県に任せることにより交付税がディープカットをされてしまって、より重たくなってしまうのかというところは、その状況によっていろいろと出てくるのではないかと思います。そういう意味では、なかなか今のレベルは議論しづらい制度ではないかと思います。
 2つ目は今の点に関わって39ページの資料に注目してみたいと思います。これは再々出していただいている資料でございますが、小規模市町村はどういうところに存在しているのかという、そういうものをつくっていただきました。私個人としては、こうした形で具体的な姿が見えるようなものが必要だなと思っておりますので、大変有効な資料だと思います。
 例えば1番目の「都市の周辺に点在するもの」。こういうところはまさに定住自立圏構想が今般の対象として、新たな制度を導入しながら、新たな仕組みを導入しながら、農村と都市が連携をしながら、新しい地域発展を目指しているところと考えることができます。
 2番目のところは、例えばこれは長野県南部とか高知県中部をイメージすると、まさに私が歩いているところですが、大変わかりやすいところですけれども、ここはまさに広域連携を縦横無尽にたぐりながら、いろいろな形で小規模市町村が今、事務を行なっている。そして、今回御提案がありましたように、新しいタイプの広域連携の仕組みをつくろうとしているわけでございまして、その点でこういうところが果たして、先ほどから論点となっているようなタスクをおろすということが真に必要なのかどうかということは、まだまだわからない。恐らく今後の課題となるのではないかと思います。
 勿論、第3番目の離島の問題はありますが、これはいかなる仕組みをつくってみても、なかなか処理できない。ここで県の垂直的補完が導入されたとしても、私は問題が解決するはと思いませんし、あるいはむしろコストがより高くなるのではないかとさえ思っております。
 そういう意味で考えると、今般いろいろ議論されていることが実現されて、その上で今の議論の論点は考えても遅くないのではないか。そんなことを感じております。
○林小委員長 交付税との関係というのは非常に密接だと思うんです。ただ、町村会長がおっしゃったように、財源さえあればできるんだという話をやると、今後その交付税がどうなるかということがわからないので、この辺はなかなか難しいよというお話になるんだろうと思うんです。
 ただ、要するに仕事というか、それを受けるも受けないも地域の判断でやれるようにしようではないかという方向は考えていいのではないかと、私は思うんです。そのやり方も小幡委員がおっしゃったように、要するに事務の委託というか、市町村が県に委託するという方法もあれば、そういう制度的な仕組みの中で義務づけを外す、タスクを外すという面もあるし、いろんな多様なやり方があるんだと思うんです。
 そこで私は実は、義務づけが今後外されるようになって、分権改革が進んで、義務づけがほとんどなくなったという社会になった場合には、別にこんな制度は要らないのではないかとも逆に思ったり、その場合は交付税はひょっとするともう要らないのかもしれないということも踏まえると、そういうことはなかなか議論ができないので、今の重荷になっているんだったら、それは県がやれるように仕組みをつくったらどうだろうという、その場合はこちらだったら交付税措置をするけれども、委託だったらそうではないよというような仕組みを考えていくような時期に来ているのではないか。
 結果的にそれが県に行かないかもしれないけれども、そういう制度をつくるということは意味があるのではないかというぐらいに考えると、どうなんだろうないう具合に私は思っているんです。その辺りで、ここは非常に大きなポイントであろうかと思います。29次の地制調でこういう方向性が打ち出せるかどうかが1つの役割だと思っておりますので、もっといろんな議論をしていただければと思います。どうぞ。
○名和田委員 いろんな議論ということで、さして見識のあることを申し上げられる力が余りないのですけれども、先生方の議論を伺って、感想めくかもわかりませんが、言わせていただきたいと思います。
 確かに非常に議論しづらい事情がいろいろあって、市町村が自由に仕組みを選べるといっても、例えばお金の面とか交付税の算定の仕方とか、そういうところで一定の方向に誘導されるのではないか。そういうことを気にし出したら、制度設計とかは一切思考停止をしてしまうので、そこは自分としては除いて考えざるを得ないなという気がするんです。
 そうすると今般こうやって委員の御議論を踏まえて出された整理の仕方として、やはり重要だと思いますのは、市町村の判断で自らの自治体の公共サービスの在り方の全体像を決めていくことができるという基本的な考えに立った上で、自分でやり切れない事務をどうやって処理してもらうかということについて、既にある制度をもう少し現状に合ったものにバージョンアップしていこうということが示されたということが重要だなと感じております。
 1つは委託という仕組みですね。これは先ほど小幡委員もおっしゃいましたけれども、委託した方が受託した方にものが言えないというのは、民法上の委託を考えても変な感じがする。ただ、受託して行なった業務について、責任をだれがとるのかという問題が恐らく出てきて、例えば行政事件訴訟の被告にだれがなるのかといったような問題を考えると、やはり現行の整理の仕方もそれなりに理由があったのではないか。そこは私はよく存じませんので自信がありませんけれども、そうすると今回整理していただいたように、何らかの情報提供を求めるとか、そういった仕方で制度を委託した方も何か言えるようなものにしていくという第一歩が踏み出されるのはいいのではないか。
 一部事務組合等、これについては私も不勉強だったので、1〜3という分類の仕方を聞いて愕然としたんですけれども、1というところもあるわけですね。2というと、これは相対の関係と実質上異ならないわけで、それについてわざわざ法人格を持ち、議会というんでしょうか、そういった意思決定の本格的な仕組みを持つような仕組みを使っているという、いかにも鶏を割くのに牛刀を持ってするみたいな実情になっていて、一部事務組合とか、本格的な仕組みは本格的な仕組みで対応すべき事務について使うべきで、そういう方向に整理をしていく。そうすると委託とかいった仕組みをより使いやすく、かつ透明なものにしていく。
 もう一つは、その筋で今日の整理で調査までしていただいたようですけれども、共同設置という仕組みがまたバージョンアップされると、それは非常に好ましいことではないかと。機関と職員の共同設置というのが現行法の限定でしたでしょうか。
それは例えば保健所などはわかりやすい例で、保健師さんというのは地域保健法ができてから、やや変わりましたけれども、本当はすばらしいコミュニティーワーカーで、地域の中に連携をつくり出していく重要な地域の資源だと思うんです。これがこういった形で共同設置という仕組みを通じて、広域的に調整をされて、住民にとって利益の多いものになるとすれば、それは大変よい仕組み。こうやって事務をやってもらう仕組みを現状に合わせてバージョンアップしていくという制度改正を今次の地制調がしたということならば、交付税云々は我々はどうなるかはわからないので、制度を提言する調査会として、それなりの仕事をしたことになるのではないかと感じました。
 あとはいろいろと意見がありますが、とりあえずは以上です。
○林小委員長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 では、斎藤委員。
○斎藤委員 今の分権による地方に対する義務づけがどうなるのかというのと、この小規模市町村に特別な制度を設けるか。その点に関してだけ1点申し上げます。
 確かに分権の推進で今、義務づけ、枠づけの緩和で進めていますが、そうすると、その義務づけがなくなった場合はどうなるかというと、今度は市町村が独自の判断でいろんな計画や施策をつくることになります。つまり今までは国の規制で、ああいう計画をつくれ、こういう計画をつくれと。それがなくなると市町村が自らの判断で、専門判断能力を駆使して計画をつくることになりますから、これはある程度の専門能力は求められるということになります。
 もう一つ、いろんな法律による義務づけがゼロになってしまうのもあるかもしれませんけれども、そこまでいかなくて、条例による補正を認める。つまり法律での基準値は3%になっているけれども、そうでなくて5%とか2%にするというのを、これもまた自治体自信が自分の能力でやらなければならないですね。
 ですから、自治体にとってみれば、分権による義務づけ枠づけの緩和なり見直しが進めば、より専門判断能力が求められる。これは税財源がどうなろうが、ある程度見えていると思うんです。
 そうだとすれば、そういったものがどうも担い切れないと。御自身で判断された場合には、やはりこの31ページに出ているような特別な仕組み、自分が手を挙げて判断した上で単に委ねるという仕組みを考える必要があるのではないかと考えます。
 その具体的な在り方について、パッケージなのか、それともそれを更に補正するような個別の事務委託、逆の事務処理特例のようなものも用意するかということですが、これも現在進んでいる国から地方への義務づけの見直しがまさにそういったカスタマイズ的なものも用意して、やりやすくしようということですから、完全パッケージというだけではなくて、何らかの特別にカスタマイズできるような仕組みを考えてもいいのではないかと考える次第です。
○林小委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 江藤委員、どうぞ。
○江藤委員 今、共同処理の制度化の議論ということで、小幡委員が言われたように、運用と制度設計ということで、今までの議論を踏まえて、共同設置の新たなシステムを導入するのは大賛成なんですが、それ以外のシステムとして、今までの共同処理の制度化のところは性善説ではないんでしょうけれども、契約がうまく成り立ったら、それはそれでうまくいくよという議論だったと思うんですけれども、39ページのところで離島とか中心地と隣接していないところがかなりあるということで、これらが隣のところとうまく共同処理ができるかどうかとか、広域連合でうまく効率的な制度ができるかというと、問題が残るといったときに、新たな制度設計が私は必要だなと思っています。
 今、西尾委員が議論されているように、義務づけの解除を自主的にできる。そして、県の方に逆に義務づけていくわけですね。そういうような制度については、基本的には自分たちの事務を自分たちで判断できるんだという原則に立てば、これは私は基本的にそういう方向でいいのではないかとは思います。
 原則としては塊として、そして修正もあり得るんだよと。自発性が尊重されるんだよということであればです。ただ、そこに行く前に個別でできるかどうかという、小田切委員が言われた議論を少ししてから、私も最終的に判断を決めたいところもあるんですけれども、原則としてはそういうことが言えると。
 ただ、この間の自主的にというところがかなり引っかかっています。合併促進運動という規定を地制調で今やって、今までのは問題点あったと。自主的な合併といいながら、そうではない側面もあった。この自主的なというところの本当に自主的に判断できるような制度設計をしていかないで、またある程度人口が減っていったら、こうやるざるを得ないんだよというところの危惧は残っています。
 この間の合併のところを見ていきますと、特例団体がもう決まったかのように合併の動きが促進されているようなところも幾つか見かけています。したがいまして、原則としては今までの共同処理のほかにこのような制度設計といいますか、自分たちの事務を自分たちで判断していくという原則に基づくところは大賛成なんですけれども、幾つかの危惧や問題点があるので、そこのところを洗った上で、制度設計を進めていただければということです。
○林小委員長 江藤委員に、今の単独では難しいんだけれども、例えば合併すればできるようなものといったときに、合併をしようではないかという話は自主的だと考えていいんですか。
○江藤委員 勿論そうですね。合併も全部強制されているわけではなくて、もともと新しい自治体を自分たちでつくっていこうという合併もたくさんあるわけです。でも、それは進めていかざるを得ないような政治状況とか行政状況の中で、どうしても自主性の側面がそがれていったという現実がありますから、今回自主性を出すんでしたら、そこの制度設計も同時に考えていきたいと思っています。
○林小委員長 ありがとうございます。
○武田委員 今の御発言に関わってなんですけれども、自主的な選択というときに、やはり私は財政的な保障の問題を言わざるを得ないと思います。すなわち今の議論でほぼ合意できたところは、あくまでもどの事務を自らやり、どれを委ねるかというのは、それぞれの自治体の自主的な選択であるという、その原則はほぼ確認できたのではないかと思うんですが、その際に、自ら選択をする際に、その判断材料となるような財政的な保障がないと自主的な判断とは言いがたいと思うわけです。
 今回の論点整理の中で、なぜ書かれていないんだろうかとか、オミットされたんだろうかとか、被害妄想的に思ってしまうわけですけれども、交付税の段階補正を元に戻すべきだという発言をした覚えがあるのですが、それが論点整理からは落とされているので、それは問題外なんだろうかと疑問に思いました。
 しかしながら、その選択を保障するという意味では、そこの基本的な財源保障は避けて通れない問題であって、この間この点で問題が生じているのではないかという点は、私としては是非確認していただきたいと思うところです。
○林小委員長 義務づけが残っている限りにおいては、やはりそれはできないところは自分でやりなさいというわけには行かないので、当然これは財源は保障するという話だろうと思うんです。ただ、それがどの程度になるかという話はまた別だし、段階補正とその話とはちょっと切り離した方がいいのではないかという気が私はしているんです。
 つまり小規模でもできるようにするのか、あるいはそうではなくてという話は、また別の交付税論議の中でしなければいけないと思うんですが、少なくとも義務づけて、それを県がやるんだったら、それは財源は結局するというお答えになられたと私は思っております。それから、その段階補正はちょっと違うのではないかという感じはします。私の個人的な意見です。
○武田委員 例えば今日の資料の35ページにありますように、要するに町村村の規模が小さくなれば、1人当たりの歳出はどうしても大きくならざるを得ない。このカーブにのっとって段階補正というのが従来設定されてきたわけです。
 つまり分母が小さければ、その数字が大きく出てしまうというところを補正によって緩和しようというのが段階補正であったんです。それがこの間、削られてきた中で、小規模自治体において、よけいその影響額が大きかったがために、これ以上単独では事務処理はできないという判断が生じて、合併をしていったと。これをもって自主的な判断であるというのは、これは詭弁ではないかと思うんです。
 ですから、この間交付税を削ってきて、小規模が自治体が被ってきた不利益性というものをここでなぜ一旦立ち戻って考えないのかというところが私はむしろ不思議です。
○林小委員長 交付税の在り方はいろいろとが議論があるし、私自身はそれは一つの方向で、段階補正を縮減するというのは交付税改革の中の一つのやり方だと思っております。この議論は構成の議論になってしまって、つまり小さくてもやれるように財源保障をするのか。
 あるいは今この財政が悪くなったところで、やはり基礎自治体が力を付けて自分たちでやるということが求められている中で、どうするんだという議論を今しなければならないと私は思っておりますので、その中でまた段階やはり段階補正が必要だということであれば、それはそれで議論をすればいいと思いますので、そこは切り離した方がいい。
 ただ、やはり義務づけとどういう形で保障するかということについては、今後いろいろと具体的に考えていかなければなりませんが、義務づけている限りにおいては、これは県が受けるんだったら、やはり県に対して財源保障はするべきだろうと。ただ、県がやるんだから、場合によってはもっと少ない財源でできるかもしれないということになると、それは合わせて調整をするかもしれないということはあると思います。
 その辺は議論は構成論議ではないので御意見があろうかと思いますが、財源保障はその程度の財源保障だという具合に考えて、議論を進めていった方がいいのではないかと思います。それは勿論いろいろと御意見がおありだろうと思いますけれども、ほかの方はいかがでしょうか。
○西尾委員 今いろいろと議論があったことは、私が最初に火を付けてしまったので、一とおり議論が終わるまでと待っていたんですけれども、少し違うことに論点を移したいんですが「今後の対応方策」の4番目「大都市部への課題への対応」というのがあります。
 今回の平成の市町村合併で、ほとんど合併などどこ吹く風かという感じで、我が方は議論する気もありませんと言って、議論を全然しなかったのが大都市圏の市町村なんですけれども、それを改めて問題にしなければいけないのか、私は非常に疑問に思っていますが、問題にしていいことがあるのかという基本的な点で、総務省当局と私とは見解がずれているのかもしれませんけれども、それはともかく置いて、大都市部の市町村ということをもう一度問題にすると。大都市圏の市町村にもそれなりに課題が残っているのではないかということで、一連の資料が出されているわけですけれども、この43〜44ページに「大都市部の市町村の現状」についての資料が出ています。
 43ページの方で、大都市部とはというふうに定義がちゃんと書いてあって「埼玉県、千葉県、東京都(島嶼部除く)、神奈川県、愛知県、大阪府をいう」と定義づけられていて、次の44ページはまさにその都府県を対象にしてデータが出ているんですけれども、もし大都市圏の市町村を問題にするのならば、やはり東京大都市圏、中部大都市圏、近畿大都市圏、何と呼べば適切なのかわかりませんが、阪神大都市圏。
 ともかく東京圏については東京、神奈川、埼玉、千葉と一都三県をとれば、実質的な大東京圏をほぼカバーしているわけです。これはこれでちゃんとカバーされているわけですが、中部圏については愛知県というものだけとっているんですね。しかし、名古屋周辺の大都市圏は三重県から岐阜県にわたっているのではなでしょうか。そういうとらえ方で問題を立てているのではないのですかと。ここは愛知県となるんでしょうかということ。
 もっと極端に言えば、今度は近畿ですけれども、大阪府となっている。しかし、兵庫県、京都府、滋賀県あるいは奈良県も北部の方の奈良周辺の住宅地は、山を一個越えて大阪と連担しているんです。完全に大阪圏だと私は思うんですけれども、そういうとらえ方ではないんでしょうか。ほとんど合併が進んでいないのもその範囲なんです。別に大阪府だけが進んでいないわけではないし、愛知県だけが進んでいないわけではない。名古屋を中心にした都市圏で動かない。大阪中心の周辺一帯で動いていないわけです。
 だから、問題にするなら、そういう範囲なのではないかという素朴な疑問があって、なぜそこを愛知県、大阪府と限定しているんでしょうかという質問です。
○林小委員長 いかがでしょうか。
○市町村課長 御指摘の点はそのとおりかと思います。作業の便宜上、こういうふうに作業をさせていただきました。その意味では作業の便宜上の定義として、この六都府県と設定させていただいたものでございます。
○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。論点が違っても構いませんので、お願いをいたします。どうぞ。
○武田委員 全く別の論点についてなんですけれども、一番初めの論点「市町村合併をはじめとした基礎自治体についての現状認識」で、1〜2ページにかけての文章が非常にでき上がった文章になっていまして、かなり完成間近の文章になっているのかなという印象があるのですけれども、このトーンがここの委員会の中での議論と温度差があると私は思っていまして、特にこの合併に対するスタンスは、かなり偏っていませんかということを申し上げたいんです。
 すなわち全体のトーンとして、ここの論点の整理の仕方は、その合併がもっとなされるべきなのかどうかというようなトーンで貫かれている。本当はもっと合併を進捗させるべきなのにというトーンがどうも貫かれているようで、これはここの委員会のこれまでの議論はこんな感じだったのだろうかと、ふと疑問に思ったものですから。
○林小委員長 合併を更に進めるということではなくて、やはり広域連携等も視野に入れながら、今の合併が進んだけれども、それで十分なんだろうかというところだと思うんです。そういう読み方でなければ、これは合併を進めるというように読めるんだったら、文章の問題かもしれない。
○名和田委員 私は人が良過ぎるのか、武田先生とは逆の受け止め方をして、ここの議論の雰囲気は、西尾先生を始めとして、合併運動をここまで10年続けて、これでもかとまだやるのかという議論が支配的で、この辺で通常の体制に戻るべきではないか。まさしくそういうトーンで資料もつくられていると思ったんです。
 武田先生が危惧されているような書き方をされているのは、恐らく世の中一般に向かって説明をするときに、こういう理由でこうだからこうなんだというということをきちんと言わないと、世の中はまだ合併だ合併だと言っている人もたくさんいるわけでしょう。そのためにこういう論理立てになっているというのが私の受け止め方で、私は非常に見識のある書き方だと受け止めました。
○林小委員長 恐らく読み手によって大分違ってくると思いますので、基本的にはこの専門小委員会では、自主的合併は別にして、今後は合併を進めていくという方向ではないということは共通認識としてあると思います。
 これが表に出るとどうかという問題はありますので、少しその辺りは要検討かなと思います。名和田委員のように、これで十分だというお考えもありますので、まだそこは私も含めて、少し検討させていただきたいと思います。
○名和田委員 先ほど西尾委員がおっしゃったこととやや絡むのですけれども、大都市圏について、その自治制度の在り方をこういうふうに考えなければいけないのではないかということで資料を出されたわけですけれども、西尾委員のおっしゃったように、踏みとどまるものではないだろうということもあるかと思うんですけれども、やはり大都市固有の問題というのがあって、例えば今日出ている中では、今後急速に高齢化して、あっという間にいろんなことが問題になるというような点ですね。
 日本の都市の固有の問題がそこにあって、それに対応するような自治制度のバージョンアップをしてかなければならないという問題関心がこの地制調で出たことは、普段、横浜で仕事をしている人間としては非常に高く評価したいと思っておりますので、その点は是非何らかの形で答申の中に書き加えられるといいなと思っております。
 この論点整理の中に政令指定都市制度の問題が出ていないのは残念でありますけれども、委員の間では余り議論したわけでもないので、それはしようがないと思いますが、大都市制度の在り方について議論をされたということはやはり大きいことだなと。政令指定都市の方々もそこは随分気にしておられますので、それに応じることができたと思います。
 もう一点簡単に述べさせていただきたいのですけれども、小さな自治への対応ということで、今日配られた資料2の中で47ページに整理をさせておりますけれども、地域協議会の構成員を公選にするかどうかということについて、私自身も随分長いこと悩んできて、今でも悩んでおります。
 一方で、実際に地域自治制度を採用している、あるいはそれを断念したところにヒアリングに行ってみると、選挙で選ぶなんてとんでもないという反応もあります。他方では上越市のように、今回は成立しませんでしたけれども、投票で委員を選ぶという仕組みを大事に守っているところもあります。
 そんな中でどうするのか。あるいは前々回に申しましたように、横浜市の大都市制度検討委員会では、政令指定都市の区レベルでは選挙制の大域機関が欲しいけれども、コミュニティーレベルではそうではないというような整理の仕方をしております。そこはみんな悩んでいるところなんです。その悩んで、恐らく上越市にしてもああいう投票制度をしばらく続けてみて、その結果がどうだったのか。そこからどんな教訓が得られるのかということをまだ今後の懸賞課題ではないかと思います。
 そんな中で地制調として、この点にどんなとりあえずの答えを出すのかということについて、今回は慎重に検討をすべきではないかという書き方で、これは私も自身があるわけではないから、やむを得ないなと思うのですが、私はやはりこれだけ自治体の規模が大きくなっているところで、身近なところに選挙制の代表機関ができるような道を比較的大規模な自治体について開くことは、日本の民主主義の大きな課題だと私個人は思っております。
 その中でさっき言ったようなさまざまな考慮が悩ましく行われていて、現時点で選挙制の地域協議会の公選制というのを選択制にしても地方自治法の中に規定をするのかというと、慎重に検討すべきであるというふうになると。こういうまとめ方で委員の平均的な御意見だということで、私もそれで納得をいたしたいと思います。
 地域自治区制度が余り採用されないのは、必ずしもこれだけが理由ではなくて、例えば地域協議会の委員を当該区の中に住所を有するものから選任するとなっていますね。これが実際には協働の仕組みをつくりたい市町村では、在勤、在住、在学、在活動全部を入れて住民組織をつくりたいものですから、これはだめだなと。
 幾つかいろんな理由があって、地域自治区制度がさほど選ばれないという結果になっているので、必ずしも選挙制云々の問題に問題が収れんしているわけではありませんので、ともかく公選制という問題を日本の民主主義の課題として意識しているということが、こういったまとめ方によって示されていれば、私は結構でございます。もうちょっと積極的な書き方がちょっとだけでもされるとうれしいなと個人的には思いますが、委員の先生方の平均的な意向を反映した文章であれば、私はこれで構いません。
 以上でございます。
○林小委員長 これから対応策について議論していきますので、その辺りはまた御意見をいただければと思います。
 小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 今の論点のなんですが、その前に1〜2ページの書きぶりです。私自身も名和田先生と同様に人がいいんでしょうか、あるいはぼうっとしたでしょうか。比較的肯定的に書きぶりをとらえることができました。
 ただ、その中で2ページの最後の○です。ここは私は少し違うのではないかという思いを強めております。と申しますのは、ここでは懸念が示されているということですが、現に広域合併市町村の周辺部は大きな問題を抱えているという、その実態認識は大変重要なのだろうと思います。その意味でここは、より踏み込んで書いていただきたいと思うところであります。
 特に今般さまざまな形で、先ほど申し上げましたように、具体的なイメージができるような資料整理をしていただいて、やはり都市と中山間地域が合併したような、そういうところではいろいろな問題とそれに対抗するいろいろな対応が出てきていることは明らかでございますので、それを十分書き込んでよろしいのかと思います。
 ただ、そのときの問題は具体的な方策は、私にはやはりこの地域自治区の制度としての刷新が大きな一種のメッセージになるのだろうと思うところであります。その点で言えば、確かに名和田先生がおっしゃるように、47ページの公選制をめぐる議論は委員平均的なと言いましょうか、ある種の合意事項としてはこういうことなのかなと私自身も思うわけであります。
 しかし、一種の制度改正あるいは将来に向けたメッセージを込めるということでは、ここは公選という方向性を示すという手もあるのではないかと思っております。特にこの地域自治組織をめぐっては、行政制度がしっかりしなければ、共助の部分、コミュニティーもしっかりしない。つまりコミュニティーがそこに結集して、自分たちでこの地域を守っていくんだといったときには、やはり行政制度が使いやすい、なおかつメリットがあるということだと思いますが、そういうことが今回大胆に打ち出されることが、私自身としては必要ではないかというふうに考えております。
○斎藤委員 地域自治組織に若干関連しまして、それが1点目です。42ページの先ほどの「大都市部の課題への対応」で考え方の5つ目。大都市部の合併の受け皿として、行政区のような仕組みの検討も必要ではないか。そこの部分に関わります。現状というか、現在の法制度では大都市で自分で合併を考えた場合には、その合併特例区であるとか、合併対応の地域自治区という仕組みはすでにあります。
 なおかつ、それについてはこの項目の前半でそういった合併の障害除去の措置については、ある程度の存続が必要ではないかということで、一般に合併特例区等についても残すようなトーンで書かれていますから、大都市部においてはそれでは足りないんだと。そうではなくて、やはり政令市の行政区のようなものが必要なのかどうかということについては、もう一段、それではない制度も含めて議論をする必要がある。1つ上の大都市の中では地域自治組織やコミュニティーの在り方を検討する必要があるということで、それはその次に出てくる項目の地域自治区について、今後はどう考えるかということとも連動するので、ここは行政区だけに限らず、あるいは場合によっては、検討によってはもっと強力な何かの権限を持った組織が必要になるかもしれないということで、行政区とイコールで考えるのは、やや狭いのではないかというのが意見です。
 現在の政令市の行政区も独立の法人格を持っていないですし、たかだか事務所があってという分掌の話ですから、そこは少し幅広にした方がいいのではないかというのが1点です。
 もう一つは別の論点で、先ほど既に出た話ですが、機関の協働設置ですね。これについて、より使いやすいものを検討すべきではないか。私もそれには方向性としては賛成です。
 資料としては29ページです。現在の制度については25ページですが、それと両方を見ながらというのはなかなか大変ですが、今後検討する中で現在は委員会、付属機関について認められている。なおかつ職員についても現在でもいいと。29ページで出てくる○○市○○課とか、保健所のようなものだけ外されている。
 委員会や付属機関についてだけ認めているのであれば、それは市長部局から、そもそもある程度独立したものだし、共同設置してもいいのではないかという考え方があったのかもしれないですね。そうだとすると、市長部局に直結した補助機関というものについて、共同設置するのであれば、市長の行政責任との関係で何か新しい手当て、共同設置をする際の仕組みを考えなければならなくなるのではないかという点です。
 ですから、ここは御確認いただいて、現状では委員会、付属機関プラス職員ということになっていて、29ページに挙げられたようなものだけ抜けているのかを確認した上で、新しい仕組みを考えるということではないかと考えます。
○林小委員長 今のは質問ではないですね。今後を考えるというときにですね。
○斎藤委員 はい。
○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。西野委員、どうぞ。
○西野委員 1ページの論点の2番目には、ほとんど言及がございませんでしたので、私は2のところについて申し上げたいことがございます。
 ここはどう読むかということですが、合併市町村においては行財政基盤が強化されたので、基礎自治体としての役割を果たすための安定した体制の整備が進んだ。そういうふうにつながっていくわけだと思うんです。しかし、ちょっと切って考えると、行財政基盤が強化されたと考えていいのか。
 私はそこのところをそういうふうに解釈して、つまり合併市町村を含めた基礎自治体の財政基盤は現在強化されたか、あるいはされつつあるのかということに関して申し上げたいんです。
 小規模市町村の場合に、財政基盤が大いに問題になるわけでございますが、最近その行財政基盤を強化されたといっていいような一つの変化が起こっているということについて、お話し申し上げたいというわけでございます。
 それは何かと申しますと、地方公営企業等金融機構というのがございまして、これは公営企業に対しての融資を行ってきたわけでございます。これが6月から変わりました、公営企業だけに限らずに、地方の一般会計にも資金を投入できるようにした形の地方公共団体金融機構に変わりまして、例えば地方債を発行する際のいろいろなサポートをするということになりまして、根本的に変わった点は出資が政府出資でございましたのが、これが全部その出資を返しまして、地方自治体が負担をして、それぞれ出資をした完全な地方自治体の出資のものに変わったわけでございます。
 これはこの変わったことを見ておりますと、世界にこういう例が幾つかございますが、日本も分権化に沿った非常に大きな一歩を踏み出したと、この面では見られると思います。地方債はないに越したことはありませんけれども、どうしても必要な資金調達の際は、地方債の発行ということも非常に重要なわけでして、それができるかできないかというのは、よい財政運営ができるかどうかということにも大きく影響してくると思うのですが、そのときに小さな市町村にとっては非常に難しいことでございます。
 これを例えばこの機構は、共同地方債発行というような形とかグループとか、そういうような形でサポートをするとか。あるいは世界の市場に向けて、日本の地方債についてのインベスター・ジェネレーションといいますか、そういう一種の広告といいますか。そういうことを代表して行うとか、あるいは世界中の地方債に関してのいろいろなデータを集めてきて、日本の地方債の問題に寄与するような形のデータで研究を行っていくということがございます。
 このことは財政基盤を強化するために、やはり一つの方法としては合併だということはあったわけでございますけれども、そういった意味では、残された市町村にとっては、そういう道も一つあるのかなということは、合併問題を考えるときの一つの環境変化として、やはり留意すべきことではないかと考えております。その点を申し上げたかっただけでございます。
○林小委員長 ありがとうございます。
 では、西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 先ほど名和田委員から発言がありましたけれども、地域自治区を設けたときに、そこの住民協議会のメンバーに公選の余地を認めるか認めないかという問題ですけれども、私は選択肢の1つとして公選も許容した方がいいという主張者です。
 仮にそれは難しいんだ、慎重に考えなければいけないんだということになるとして、改めて考えてみると、協議会のメンバーはその地区に住所を有する住民から選任しなければならないということが書いてあります。
 これが実は大都市圏の自治体では使いにくくなっている、かなり大きな要素なのではないかということなんです。そして、最近いわゆる自治基本条例なるものを制定する市町村が徐々に増えてきていますけれども、特に大都市圏の市町村の場合には、自治基本条例の中で、その市政に参加し得る資格を持っている人として、住所を持っている住民は当然ですけれども、そこに勤務しに来ている通勤者、学校に通学している通学者等々も、その町の事柄にみんな参加できるんだと。あるいはそこの町の中で活動している人は誰でも参加できるんだと。
 そこで在活動者とか言い出して、更には日本国籍を持っていない外国人居住者もどうぞ参加してくださいというような規定をつくる自治体が増えてきているわけです。釈迦に説法ですけれども、大都市圏の住民は職住を分離してしまっているわけです。東京圏で言えば、働く場所というのは、多くの人が分離してしまっていると。そこで住所地でベッドタウンとして使っている人もいれば、そこに働きに来ている人もいるという町になっているわけです。
 そこの町をどうやって住民の活動を活発にしていこうかと考えると、住所地がそこにあって、いわゆる選挙権を持っている住民だけではなくて、そういうことにこだわらず、そこで関わっている人たちみんなが参加しようという動きになってきているんだと思うんです。
 ですから、公職選挙法を適用した直接公選をしようと思うと、建前上、今は選挙権は住所のある人でなければあり得ないわけです。日本国籍のない人は、今のところ認められていませんし、通勤してきている人に選挙権を認めようなんていうのは大問題で、これはなかなか簡単なことではないわけです。
 ですから、公選でやるということになったら、住所を持っている人が有権者ですよというのは、ある意味では当然そうならざるを得ないわけです。しかし、選挙をしないのなら、そこに住所のある人から選任しなさいと、あえて言わなくてはいけないのかどうか。それを取り払ってあげたらば、大都市圏の自治体は地域自治区をもっと使いやすいかもしれない。ここは検討の余地があるのではないかと思っています
○林小委員長 ありがとうございます。
 では、西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 先ほど名和田委員から発言がありましたけれども、地域自治区を設けたときに、そこの住民協議会のメンバーに公選の余地を認めるか認めないかという問題ですけれども、私は選択肢の1つとして公選も共用した方がいいという主張者です。
 仮にそれは難しいんだ、慎重に考えなければいけないんだということになるとして、改めて考えてみると、協議会のメンバーはその地区に住所を有する住民から選任しなければならないということが書いてあります。
 これが実は大都市圏の自治体では使いにくくなっている、かなり大きな要素なのではないかということなんです。そして、最近いわゆる自治基本条令なるものを制定する市町村が徐々に増えてきていますけれども、特に大都市圏の市町村の場合には、自治基本条令の中で、その市政に参加し得る資格を持っている人として、住所を持っている住民は当然ですけれども、そこに勤務しに来ている通勤者、学校に通学している通学者等々も、その町の事柄にみんな参加できるんだと。あるいはそこの町の中で活動している人は何でも参加できるんだと。
 そこで在活動者とか言い出して、更には日本国籍を持っていない外国人居住者もどうぞ参加してくださいというような規定をつくる自治体が増えてきているわけです。釈迦に説法ですけれども、大都市圏の住民は職住を分離してしまっているわけです。東京圏で言えば、働く場所というのは、多くの人が分離してしまっていると。そこで住所地でベッドタウンとして使っている人もいれば、そこに働きに来ている人もいるという町になっているわけです。
 そこの町をどうやって住民の活動を活発にしていこうかと考えると、住所地がそこにあって、いわゆる選挙権を持っている住民だけではなくて、そういうことにこだわらず、そこで関わっている人たちみんなが参加しようという動きになってきているんだと思うんです。
 ですから、公職選挙法を適用した直接公選をしようと思うと、建前上、今は選挙権は住所のある人でなければあり得ないわけです。日本国籍のない人は、今のところ認められていませんし、通勤してきている人に選挙権を認めようなんていうのは大問題で、これはなかなか簡単なことではないわけです。
 ですから、公選でやるということになったら、住所を持っている人が有権者ですよというのは、ある意味では当然そうならざるを得ないわけです。しかし、選任をしないのなら、そこに住所のある人から選任しなさいと、あえて言わなくてはいけないのかどうか。それを取り払ってあげたらば、大都市圏の自治体は地域自治区をもっと使いやすいかもしれない。ここは検討の余地があるのではないかと思っています
○林小委員長 ありがとうございます。もうそろそろ時間ですので、政所委員、どうぞ。
○政所委員 論点を集約させていくという上でのことで、1つお願いしたいことがあります。
 今日議論がありました事務処理のことですけれども、合併前と合併後で自治体の事務処理についてですが、やはり我々が認識しなければいけないと思うのは、制度改革に至らなくても、社会認識として現状起きていることや問題の事務処理を含めて考えていく上で、前提にしなければいけないということは、例をあげれば、先ほどの保健とか医療とか給付のことなども、各機関や支所が統合されればされるほど、小規模自治体などでは遠距離になった場合は、コスト、エネルギーは都市部と負担の比重が大分違うわけです。
 重みという言葉が先ほど出ましたけれども、都道府県と小規模自治体の比較においても、単純に地区割り、頭割り、時間割り、日当の形で処理し切れないことが現実に起きているとするならば、今後は解決のために自由度を考えていく上でも、自治体ごとの状況によっての評価など尊重して、十分裏づけをきちんとしてから標準化する必要があると思います。そこを前提とすべきことは文章の中に示されてはいますが、もっと強く、現状の課題が起きているということを認識しなければいけないのではないかと思います。
 それと同時に大都市部の話で、これは名和田先生の横浜市の例ですと三百何十万人の人口ですね。今度は地域自治区の問題、市議会との関係はどうなるのか。具体的なことで、できれば横浜市長に来ていただいて御説明いただくとか、名和田先生から具体的にそのことについて話していただくか。具体的な事例を掲げての情報収集と比較ができたら、ありがたいと思います。
 済みません。大局のことをいっぺんにお話ししました。
○林小委員長 ありがとうございます。時間がまいりましたので、今日の意見交換はこの程度にとどめたいと思います。次回につきましても、また本日に引き続き基礎自治体における総括的論議についての意見交換を行います。そして、考え方の整理を行いたいと思っていますから、またそのときに御発言をいただければと思います。
 また、昨年12月の第3回の総会におきまして、第28次地方制度調査会で引き続き検討すべきだという具合にされました公選職、あるいは議員の位置づけについて、検討していただきたいという御意見が第3回総会において出ております。
 この点につきましては、余り議論をしておりませんので、少しお時間をいただいて、次回議論をしてはどうかと考えております。
 それでは、事務局から今後の日程等につきまして、御説明をお願いいたします。
○行政企画官 次回の日程でございますけれども、4月24日金曜日でございます。同じく時間は午後3時から午後5時まででございます。場所は全国都市会館におきまして開催する予定でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○林小委員長 それでは、これをもちまして、本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。

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