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第29次地方制度調査会第28回専門小委員会

日時

平成21年5月26日(火)10:00〜12:00

場所

東京グリーンパレス ばらの間(地下1階)

議事要旨

1 開 会
2 議 題
   答申案について
3 閉 会

配付資料


 

○林小委員長 それでは、まだお見えでない委員もいらっしゃいますけれども、時間がまいりましたので、第28回の専門小委員会を始めさせていただきたいと思います。

 本日は、前回、意見交換をいただきまして、それを踏まえて、小委員会としての「答申案」をとりまとめてまいりたいと考えております。

 前回提出をいたしました「答申素案」に対して、さまざまな御意見をいただいたところでございますけれども、それを踏まえて必要な修正を加えて「答申案」を作成をいたしております。

 それでは、少々時間をいただきまして、まず「答申案」について、事務局から朗読をお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○行政課長 それでは、お手元の「答申案」に沿いまして朗読をさせていただきます。

今後の地方行政体制のあり方に関する答申(案)

目  次

前 文

第1 市町村合併を含めた基礎自治体のあり方

第2 監査機能の充実・強化

第3 議会制度のあり方

 

前 文

 平成7年に制定された地方分権推進法に基づき勧められた改革は、平成12年4月の地方分権一括法の施行として結実し、わが国の地方自治制度の姿を一新するための取組が行われた。残された諸課題に対応するため、平成1812月に地方分権改革推進法が制定され、現在、新たな改革が進められている。

 この間、市町村合併も急速に進展し、市町村の規模・能力の拡充が図られてきた。その一方で、地域ごとの合併の進捗状況には差異が見られ、また、合併した市町村における課題も指摘されている。

 基礎自治体である市町村は、住民に最も身近な地方公共団体として、さらにその自立性を高めていくことが期待される。これまで進められてきた市町村合併の評価・検証も踏まえ、基礎自治体である市町村の行財政基盤の充実強化を図っていく必要がある。

 本格的な地方分権時代を迎え、地方公共団体は自らの責任と判断でその任務を遂行し、住民の負託に応えていかなければならない。しかしながら、近年、一部の地方公共団体で不適正な財務処理等が指摘されるなど、地方公共団体におけるチェック機能のあり方が問われている。住民自治の根幹をなす地方議会の役割や地方公共団体における監査機能は、一層その重要性を増している。

 当調査会としては、このような基本的な認識に立ち、市町村合併を含めた自治体のあり方、監査機能の充実・強化等の最近の社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度のあり方について検討を行ってきたところである。その結果、「市町村合併を含めた基礎自治体のあり方」、「監査機能の充実・強化」及び「議会制度のあり方」について、以下の結論を得たのでここに答申する。

 

○市町村課長 第1 市町村合併を含めた基礎自治体のあり方

1市町村合併をはじめとした基礎自治体についての現状認識

(1)市町村合併の背景と進捗状況

 人口減少・少子高齢化の進行等の社会状況の変化に対応して、地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤を確立することが強く求められ、平成11年以来、全国的に市町村合併が積極的に推進されてきた。

 その結果、市町村数は3,232(平成11年3月31日現在)が1,760(平成21年5月15日現在における平成22年3月23日見込み)となり、全体として見た場合には、市町村合併は相当程度進捗したものと考えられる。

(2)市町村合併の評価・検証

 市町村合併の本来の効果が発現するためには、市町村建設計画で一般的に定められている10年程度の期間が必要であると考えられるが、多くの合併市町村において、合併後3年から4年の段階で、既に次のような成果が現れている。

(1) 地方分権の受け皿としての体制整備

 経営中枢部門の強化が図られ、行政評価の導入や法令遵守のための体制充実など、適切な行政運営のための条件が整備されつつある。また、保健福祉・産業振興などの分野において、組織の専門化や専門職員の配置などを通じて、サービス提供体制の充実が図られている。

(2) 人口減少・少子高齢社会への備え

 保健福祉の分野において体制の充実が図られているほか、強化された行財政基盤を活かし、住民ニーズが高く、地域の将来を左右する少子化対策・高齢化対策などの面で住民サービスの向上が図られている。

(3) 広域的な行政需要への対応

 日常生活圏の広がりに応じた住民サービスの提供、まちづくりや公共施設の効率的配置・ネットワーク化などを通じて、広域化が進む行政需要への対応が図られている。また、合併により地域の経営企画機能の強化が図られ、地域資源を戦略的に活用した広域的な地域活性化の新たな取組が生まれつつある。

(4) 効率的な行政運営の確保

 内部管理など重複部門を縮減するとともに、支所などのあり方を見直して、適切な職員配置を行うことにより、本庁機能の充実と住民サービスの水準の確保を図りつつ職員総数を削減するなど、行政の効率化に向けた取組が行われている。

 一方で、合併により市町村の規模が大きくなることによって、住民の声が届きにくくなっているのではないか、周辺部が取り残されるのではないか、地域の伝統・文化の継承・発展が危うくなるのではないか等の課題が生じている地域もある。

 こうした課題に対応するため、合併市町村においては、地域の実情を踏まえつつ、地域自治組織の活用や支所等の設置などにより、新しいまちづくりの中で、住民の利便性の確保、コミュニティ振興及び地域の伝統・文化の振興に向けた取組を継続的に進めている過程にある。

(3)基礎自治体に関する残された課題

 以上のように、全体的に見た場合には市町村合併は相当程度進捗したものの、市町村合併の進捗状況には地域ごとに大きな差異が見られ、なお、次のような課題が残されている。

(1) 小規模市町村における行財政基盤の強化

 人口1万未満の小規模市町村は依然として471団体(平成21年5月15日現在における平成22年3月23日見込み)存在し、特に市町村合併の進捗率が低い都道府県に数多く所在しており、その行財政基盤の強化が課題となっている。

(2) 将来的に合併の必要性を認識している市町村の存在

 合併が行われなかった市町村の中には、将来的な合併の必要性を認識しながらも、周辺市町村との間の協議の不調など、様々な理由や背景によって合併を実現できなかった市町村も多い。

 また、合併市町村についても、当初とは異なる枠組みで合併が行われたものもあり、市町村合併を経た後も、飛び地が生じた地域や行政運営の単位と日常生活圏が食い違ったままの地域が見られる。

(3) 大都市圏の市町村が抱える課題

 大都市圏においは、市町村合併の進捗率が低く、面積が小さな市町村が数多く存在しており、行政サービスの受益と負担が一致しておらず、公共施設の円滑な利活用や一体性のある広域的なまちづくりの観点から、合併や広域連携などを含めて、行政運営の単位のあり方が課題となっている。

2 これからの基礎自治体のあり方

(1)今後の基礎自治体像

 第27次地方制度調査会答申(平成151113日)においては、「今後の基礎自治体は、住民に最も身近な総合的な行政主体として、これまで以上に自立性の高い行政主体となることが必要であり、これにふさわしい十分な権限と財政基盤を有し、高度化する行政事務に的確に対処できる専門的な職種を含む職員集団を有するものとする必要がある」とされている。

 近年、市町村への権限移譲が進展し、また、法令により市町村に新たな事務が位置付けられるなど、市町村の役割が一層重要なものとなっていることを踏まえれば、上記の答申で示された基礎自治体の姿は、今後も妥当するものと考えられる。

 平成11年以来推進されてきた市町村合併により、多くの合併市町村において行財政基盤が強化されており、我が国の市町村は、全体として見た場合には、このような基礎自治体の姿に近づいたものと考えられる。

 一方で、それぞれの市町村について個別に見た場合には、市町村合併の進捗状況によって人口規模に大きな差が生じるなど、市町村の状況は多様なものとなっており、基礎自治体に求められる十分な行財政基盤を有していない市町村も見られるところである。

(2)今後における市町村合併の支援のあり方

 昭和40年に制定された旧合併特例法は、平成11年に財政支援措置が強化されるなどの改正が行われ、自主的な市町村の合併の推進に大きく舵が切られ、その後、第27次地方制度調査会の答申を踏まえて制定された現行合併特例法においては都道府県の役割が強化される等の措置が講じられ、市町村合併が推進されてきた。

 これまでの市町村合併の進捗状況やその評価・検証については、「1 市町村合併をはじめとした基礎自治体についての現状認識」で触れたとおりであるが、今後の人口減少・少子高齢化の進行や厳しい財政状況を踏まえ、基礎自治体としての重要な役割や市町村が抱える課題に対応するためには、今後とも、市町村の行財政基盤を強化していく必要がある。

 しかしながら、平成11年以来行ってきた合併推進運動も10年が経過し、これまでの経緯や市町村を取り巻く現下の状況を踏まえれば、従来と同様の手法を続けていくことには限界があると考えられる。

 したがって、平成11年以来の全国的な合併推進運動については、現行合併特例法の期限である平成22年3月末までで一区切りとすることが適当であると考えられる。

 その上で、平成22年4月以降は、自主的に合併を選択する市町村に対して必要な支援措置を講ずることが適当である。

 なお、旧合併特例法及び現行合併特例法の下で合併を実現した合併市町村については、その一体的な振興や周辺地域への対応を適切に行えるよう、国及び都道府県は、引き続き、これらの合併市町村に対する積極的な支援を行っていくべきである。

(3)事務処理方策に関する基本的考え方

 現在、市町村が置かれている状況や課題は多様であり、今後の市町村における事務処理のあり方を考えるに当たっては、このような市町村の多様性を前提にして、それぞれの市町村が自らの置かれた現状や今後の動向を踏まえた上で、その課題に適切に対処できるようにする必要がある。

 このため、市町村合併による行財政基盤の強化のほか、共同処理方式による周辺市町村間での広域連携や都道府県による補完などの多様な選択肢を用意した上で、それぞれの市町村がこれらの中から最も適した仕組みを自ら選択できるようにすべきである。

 なお、これらの地方自治制度上の仕組みに加え、市町村間の新たな連携の取組としての定住自立圏構想をはじめとする地域活性化施策を積極的に活用することで、それぞれの市町村が基礎自治体としての役割を適切に果たすことが求められる。

3 今後の対応方策

(1)市町村合併に関する方策

 市町村合併は、行財政基盤の強化の手法の一つとして、今後もなお有効であると考えられ、現行合併特例法期限後においても、自らの判断により合併を進めようとする市町村を対象とした合併に係る特例法が必要である。

 この法律においては、具体的には、合併の障害を除去するための措置や住民の意見を反映させるための措置(合併特例区、合併に係る地域自治区等)を定めることが適当である。

(2)広域連携の積極的な活用を促すための方策

 市町村間又は市町村と都道府県との間で広域に連携することにより、事務をより適切かつ効率的に処理するため、従来から、地方自治法においては、一部事務組合及び広域連合、協議会、機関等の共同設置並びに事務の委託など、多様な事務の共同処理の仕組みが設けられている。このような事務の共同処理の仕組みが一層活用されるよう、地方公共団体のニーズを踏まえた制度の見直しを行う必要がある。

 すなわち、事務の委託については、基本的には事務権限が委託団体から受託団体に移動する仕組みとなっているため、事務を委託しようとする団体が制度の活用に躊躇するとの指摘もある。このため、委託団体が事務処理の状況を把握し、受託団体に対して意見を提出しやすくなるよう、制度改正を含めた検討を行うことが適当である。

 また、機関等の共同設置については、現行の機関及び職員の共同設置に加え、効率的な行政運営や小規模市町村の事務の補完を可能とするため、内部組織、事務局及び行政機関についても共同設置が進められるよう、制度改正を含めた検討を行うことが適当である。

(3)小規模市町村における事務執行の確保のための方策

 小規模市町村においても、法令により処理しなければならない事務は増加しており、また、人口減少・少子高齢化の進行、人口の流出等による家族や地域の相互扶助機能の衰退が見られる中で、住民が期待する行政の役割は大きくなっている。

 市町村に求められる行政サービスを提供するためには、一定の行財政基盤を有している必要があるが、小規模市町村においては、組織や職員の配置などの事務処理体制や財政基盤が必ずしも十分でないとの指摘も多く、特に福祉・保健分野などにおける専門性の高い事務を担う専門職員を配置した事務執行体制の整備が課題となっている。

 こうした課題に対応する見地からは、市町村合併による行財政基盤の強化、また周辺市町村との広域連携による方法に加え、小規模市町村に対する新たな都道府県の補完のあり方について検討を行うことが適当である。

 具体的には、一定の人口未満の小規模市町村は、自らの判断により、都道府県の関わる手続を経て、法令上義務付けられた事務の中で事務処理体制等から見て小規模市町村が自ら実施することが困難と考えられる一定の範囲の事務を処理しないことができることとし、当該事務については、適切な財政措置の下に都道府県が処理することとする新たな仕組みについて多角的に検討を進める必要がある。

(4)大都市圏の課題への対応

 大都市圏においては、今後、地方圏に比べて急速な高齢化が進行し、また、昭和30年代から40年代にかけての人口急増期に集中的に整備した公共施設が一斉に更新時期を迎えるため、これらに伴う財政負担の急増が見込まれている。

 また、大都市圏においては、先に述べたとおり、面積が小さな市町村が数多く存在しており、行政サービスの受益と負担が一致しておらず、行政運営の単位のあり方が課題となっている。

 大都市圏の市町村は、他の地域に比して人口密度が高く市街地も連たんしており、市町村合併や広域連携による高い効率化効果が期待でき、広域連携の推進に加え、自らの判断による合併の可能性も視野に入れて将来の都市像を描いていくことも考えられる。

 大都市圏の市町村は一般的に人口が多く、合併によりさらに人口規模が拡大する場合には、住民自治の充実を図る観点からも、旧市町村単位でのまとまりを維持することができる仕組みについて幅広く検討を行うことが適当である。

(5)「小さな自治」への対応

 住民自治の強化や住民と行政との協働の推進などを目的として、第27次地方制度調査会の答申を踏まえ、地方自治法上の制度としての地域自治区や合併に際して設置される地域自治区等が制度化されたところである。

 住民自治や住民と行政との協働については、それぞれの地域の自主的かつ多様な取組を基本として展開が図られるべきものであり、今後、地方自治法に基づく地域自治区については、地域の実情に応じて住民自治等を推進する仕組みとして、一層の活用が図られることが期待される。

 現在、地方自治法に基づく地域自治区は、市町村の全域にわたって設置するものとされているが、地域自治区制度の一層の活用を促す観点からは、市町村の判断により当該市町村の一部の区域を単位として地域自治区を設置することもできるようにすることについて検討すべきである。

 また、地域自治区については、地域協議会の構成員について公選の手続きによる選任を認めるべきではないか、地域協議会に一定の決定権を付与してはどうか、地域協議会の構成員の要件を通勤・通学者や当該区域で一定の活動を行っている者にまで拡大すべきではないかなどの意見があったが、これらの点については、長の附属機関である地域協議会の構成員と公選された長との関係や公選された議員により構成される市町村の議会との関係をどう考えるか、さらには、地域自治区や地域協議会そのものについてどの程度の代表性と権限を持つものとするかなどの観点から、さらに慎重に検討すべきである。

 さらに、地域においては、コミュニティ組織、NPO等のさまざまな団体による活動が活発に展開されており、地域における住民サービスを担うのは行政のみではないということが重要な視点であり、地域コミュニティの活性化が図られることが期待される。

 この点、近年、地域のコミュニティ組織の活動において経済活動の重要性が高まっていることなどについて、実態面も含め、さらに必要な検討を行っていくべきである。

 

○行政課長 第2 監査機能の充実・強化

 地方行政に対する住民の信頼を確保し、透明性のあるものとしていくためには、地方公共団体自らのチェック機能を高めていくことが重要であり、地方分権が推進していく中、地方公共団体における監査機能の果たす役割はさらに増している。

 一方、自律的な地域経営や財政状況の健全化が求められている中で、一部の地方公共団体において、不適正な会計処理が行われるなどの問題が生じており、現行の監査委員制度や外部監査制度が十分に機能していないのではないかという指摘も見られる。

 このような状況を踏まえ、地方公共団体における監査機能の一層の充実・強化を図るため、監査委員制度及び外部監査制度について、以下のような方向で見直しを行うことが必要と考えられる。

1 監査委員制度の充実・強化

 監査委員制度については、これまでも独立性の強化や専門性の確保を図る観点から、識見を有する監査委員のうち当該地方公共団体の常勤職員であったいわゆるOB委員の就任制限や、条例により識見委員の定数を増加することができるものとするなどの改正が行われてきた。

 地方公共団体の自主性・自律性が拡大する中で、住民の信頼の下に地方行政の適正な運営を確保していくためには、さらなる監査委員制度の充実・強化が必要となるものであり、監査委員の独立性の強化や監査の透明性の確保等について、さらに必要な改善を図るべきである。

(1)監査委員の選任方法と構成

 監査委員の独立性を強化し、適正な監査を確保する観点から、監査委員の選任方法や、監査委員の構成について、以下のような検討を行った。

 現行制度においては、監査委員の選任方法は、長が議会の同意を得て、人格が高潔で、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者及び議員のうちから選任することとされており、また、監査委員の構成は、当該地方公共団体の常勤職員であった者は1人以内、議員のうちから選任される者は2人以内とされている。

 この点について、監査を受ける立場である長が監査委員を選任しているため、監査委員の独立性が十分に確保されていないのではないかといった指摘がある。

 また、議員のうちから選任されるいわゆる議選委員については、短期で交代する例が多いことや、当該地方公共団体の内部にある者であり、その監査が形式的になりがちではないかとの指摘がある。

 このため、監査委員の選任方法を、議会の選挙によることに改め、長からの監査委員の独立性を確保することが適当ではないかとの意見があった。さらに、議会の選挙の際の候補者の選考方法についても、地方公共団体の判断で公募ができるようにするなど選択の余地を設けるようにすべきとの意見があった。

 また、その際には、長とともに議会も監査委員の監査の対象となっており、監査委員は、長からだけでなく議会からも独立した存在とする必要があることから、議選委員を廃止し、議会は当該地方公共団体の行政全般にわたって幅広い見地から執行機関をチェックするという本来の機能を果たしていくべきとの意見があった。

 これらの意見に対し、特に議選委員の廃止について、適任者を選任するという観点から議員を含めて監査委員としての適性を判断した上で選任すべきという意見や、執行機関を監視するという議会の役割にかんがみると議選委員は維持されるべきとの意見、また、監査委員の選任について、議会の選挙とすることについては、慎重に検討すべきとの意見もあり、賛否両論があったところである。

 さらに、議選委員を廃止しないのであれば、監査委員の構成について、現在、都道府県及び政令で定める市における議選委員は2人以内とされているが、これを1人以内とすべきという意見や、公選による監査委員の選出を可能とすべきとの意見があったところである。

 公選により監査委員を選出することについては、監査委員に対する住民の意識が醸成される必要があるのではないか、監査委員として専門的な能力を有する人材の立候補が期待できるのかどうかなどの課題もある。

 このようなことから、監査委員の選任方法や構成については、各地方公共団体における今後の行政運営や監査機能の強化のための自主的な取組の状況を踏まえつつ、監査委員を公選による選出することも含めて引き続き検討を行う必要がある。

(2)監査能力の向上と実施体制の強化

 地方分権の進展等に伴い地方公共団体の処理すべき事務は今後さらに高度化・多様化するものと考えられる。また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の施行に伴い地方公共団体の財政状況に関する一定の指標の整備及び公表が義務付けられることとなり、この指標の議会報告及び公表に際しては、監査委員の審査に付すこととされている。これらを踏まえ、監査委員及び監査委員事務局の一層の能力向上が求められている。

 監査能力の向上を図るためには、監査委員の専門性を高めるという見地から、弁護士、公認会計士又は税理士の資格を有する者、会計検査や監査の実務に精通している者等の積極的な登用を促進していく必要がある。その際には、行政改革の観点にも配慮しつつ、条例により識見委員の定数を増加させることも考えられる。

 監査委員事務局については、現行制度上、都道府県においては設置が義務付けられており、市町村においては条例の定めるところにより置くことができることとされている。

 監査体制の強化を図るためには、監査委員事務局を共同設置することも有効であると考えられるが、現行制度上は、共同設置を可能とする規定がなく、事務局職員を共同設置することにより対応することとなる。今後、監査委員事務局の共同設置の促進を図るためには、事務局の共同設置を可能とする制度改正が検討されるべきである。

 なお、市町村に対し監査委員事務局の設置を義務付けることについては、地方公共団体の自主組織権に関する新たな制約となることから、地方分権推進委員会の議論において地方公共団体に対する義務付けの見直しが進められていることにも配慮し、慎重に考えるべきである。

 また、監査委員事務局の職員の大部分を、長部局からの出向による職員が占めることにより、監査委員事務局の長部局からの独立性の確保が不十分となるのではないか、監査事務に精通した職員の育成が困難となるのではないかといった指摘がある。

 この点については、監査委員事務局と他の執行機関との人事異動を制限するべきではないかといった意見もあったが、逆に優秀な人材の確保が困難となるのではないか、特に小規模団体において人事の硬直化が進むのではないかといった懸念も拭いえない。

 現行制度上、代表監査委員は事務局職員の任命権を有していることから、専門性を有する優秀な人材を確保するため、代表監査委員が外部登用を含め任命権を実質的に行使していくことが重要である。

 さらに、監査委員や事務局職員の資質の向上の観点から、専門性を高めるための研修を充実していくことが必要である。

(3)監査の実効性・透明性の確保

 監査結果の報告及びこれに添えて提出できる意見についての決定は、監査の慎重な実施を期するとともに監査の社会的信頼を確保するという趣旨から、監査委員の合議によることとされている。

 現行の合議による制度においては、監査結果の報告等の決定に当たっては全監査委員の意見が一致することが必要とされているため、全監査委員の意見が一致しないときには、監査結果の報告等が行われないこととなる。

 監査の実効性を高めるためには、監査結果の報告及びこれに添えて提出できる意見の決定については多数決によることができるものとし、少数意見を付して公表することとすることが適当である。このことによって、個々の監査委員の視点も明確となり、監査の透明性の確保にも資するものと考えられる。

 また、長等は、監査結果に基づき、又は監査結果を参考として措置を講じたときは、その措置状況を監査委員へ通知し、これを監査委員が公表することとなっているが、措置を講じない場合においては、その旨を通知することとはされていない。

 監査の実効性を高めるため、監査結果の報告等に対し何ら措置を講じなかった場合においても、その旨を監査委員へ理由を添えて通知することとすることが適当である。このことは、長等が、監査結果に対し説明責任を果たすことにもつながるものである。

2 外部監査制度のあり方

 外部監査制度は、第25次地方制度調査会の答申に基づき、平成9年の地方自治法の一部改正により創設されたものである。この制度は、従来の監査委員制度に加えて、地方公共団体に属さない一定の資格等を有する専門家が地方公共団体との契約に基づき監査を行うことによって監査の独立性・専門性を強化することを目的としている。

 制度の創設後10年が経過し、様々な実績が積み重ねられてきたところであるが、一方で、市町村において導入が進んでいないという実態もあり、外部監査の充実・導入促進の観点から、必要な改善を図るべきである。

(1)包括外部監査の監査方法

 包括外部監査は、監査の独立性・専門性を強化する観点から、監査対象の選定を包括外部監査人のイニシアティブに委ねることとされているが、これに加え、包括外部監査人の専門性にかんがみ、決算の財務書類の監査を必ず外部監査人が監査する事項としてはどうかとの指摘がある。

 株式会社の会計監査人は、貸借対照表、損益計算書等の財務諸表を監査することとされているが、地方公共団体においても、特に決算の財務書類の監査について専門性が要求されるところである。したがって、決算の財務書類を包括外部監査人の必要監査事項として義務付けることにより、監査の実効性を高めるということが考えられる。

 この点については、これらの監査を包括外部監査人が行うとした場合には、業務が膨大となることに伴う費用の増加や包括外部監査人となり得る資格者が限定されること等の課題があることから、引き続き検討を行う必要がある。

(2)外部監査の導入促進

(1) 包括外部監査

 包括外部監査については、都道府県、指定都市及び中核市に義務付けられ、その他の市町村においては、条例により導入することができることとされている。包括外部監査を導入した地方公共団体においては、毎会計年度包括外部監査契約を締結しなければならないものとされ、契約の期間内に少なくとも1回以上包括外部監査人による監査を受けなければならないものとされている。

 現在、包括外部監査は、義務付け対象団体以外の団体では導入が進んでおらず、義務付け対象団体の範囲を拡大するべきではないかとの指摘がある。

 一方、包括外部監査については、毎会計年度、必ず外部監査を受けなければならないため、財政面等で過大な負担が生じているとの意見が出されているところであり、このことが、包括外部監査の導入の支障となっているのではないかとの指摘もある。

 包括外部監査の導入を促進する観点から、毎会計年度外部監査を受ける方式に加え、条例により複数年度に1回包括外部監査を受ける方式を導入することが適当である。

 指定都市及び中核市以外の市町村への包括外部監査の義務付けの拡大については、今回の監査制度及び包括外部監査制度の見直しによる監査機能の充実・強化の状況や、人材の確保や財政負担等の課題も勘案し、引き続き検討を行うべきである。

(2) 個別外部監査

 個別外部監査については、各地方公共団体の条例により任意に導入することができるとされているが、包括外部監査と同様に導入が進んでおらず、監査機能の充実の観点からは、幅広く活用されていくことが求められる。

 個別外部監査には、事務監査請求、議会の請求、長の要求及び住民監査請求に基づく4種類のものがあるが、現行では、いずれも条例を定めなければ行うことができないこととされているため、住民が個別外部監査を請求しようとする場合、条例が制定されていなければ請求することができない。

 住民による監視機能の充実や個別外部監査の導入を促進する見地からは、いずれの個別外部監査においても導入の前提として必要とされている条例の制定を不要とすることが適当である。

(3) 小規模団体における外部監査の導入促進

 小規模団体における外部監査の導入については、コストや人材の確保の課題が指摘されているが、地方公共団体の共同の外部監査組織の設置や外部監査人の有資格者に関する情報提供など外部監査人となる人材の確保を支援する方策について、今後引き続き検討していく必要がある。

(4) 外部監査の実効性の確保

 外部監査の実効性を確保するためには、地方公共団体の事務の改善につながる有効な外部監査が実施されることが重要であり、外部監査人に対して外部監査の具体的事例の紹介により情報提供を図るなどの方策が必要である。

第3 議会制度のあり方

 地方分権の進展等に伴い、地方公共団体の処理する事務は今後さらに増大するとともに、事務の処理に当たっても、条例により自主的に定めることのできる範囲が拡大するなど、地方公共団体の責任領域が拡大するものと考えられ、議会機能のさらなる充実・強化が求められている。

 このような状況を踏まえ、近年、それぞれの議会において、議会の活動理念等を宣言した議会基本条例を制定するなど、従来の運用の見直しに向けた動きが見られるところであり、引き続きこのような自主的な取組が進められることが期待される。

 分権型社会における議会の役割が十分に発揮されるようにするためには、自己改革の取組に加え、以下のような方向での見直しを行うことが適当である。

1 議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策

 住民自治に根差した地方行政を実現するとともに、その適正な運営を確保するためには、議会の団体意思決定機能及び監視機能の向上の観点から、所要の見直しを行うべきである。

(1)議決事件

(1) 契約の締結及び財産の取得又は処分に係る議決

 契約の締結及び財産の取得又は処分については、本来、執行機関限りで処理するという考え方もあるが、現行制度においては、地方公共団体の財政運営に与える影響等にかんがみ、政令で定める基準に従い条例で定めるものについては、議会の議決を要するものとされている。

 議会の監視機能を充実・強化するためには、議決事件の対象について条例で定めることができる範囲を現行よりも合理的な範囲で拡大すべきである。

(2) 議決事件の追加

 議会の議決事件については、各地方公共団体の実情に応じ、条例で追加することができることとされている。

 各地方公共団体においては、中長期的な地域の課題を議会で議論するため、総合計画やその他の法定の計画を議決事件として追加するなどの取組が行われており、このような手法によって、一層議会の審議の活性化が図られることが期待される。

 また、現在法定受託事務は議会が条例により追加することができる議決事件から除外されているが、第28次地方制度調査会においても答申したとおり、法定受託事務も地方公共団体の事務であることからすれば、これを議決事件として追加できるようにすることが適当であるものと考えられる。この点については、法定受託事務のうち議決事件として追加することが適当でないと考えられるものについてどのような措置を講じていくべきかなどについて、検討していく必要がある。

(2)議会の監視機能

(1) 議会に経営状況の報告を要する法人の範囲の拡大

 長の調査権の対象となる法人及び長が議会に経営状況の報告を要する対象となる法人は、現行制度においては、当該地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人等とされている。

 この点については、現在、監査委員の監査が資本金等の4分の1以上を出資している法人にまで及んでいること等を踏まえ、議会の監視機能を高めるという観点から、長の調査権の対象となる法人及び長が議会に経営状況の報告を要する対象となる法人についても、当該地方公共団体が資本金等の4分の1以上を出資している法人のうち、条例で定めるものにまで拡大することとすべきである。

(2) 住民訴訟と議会の議決による権利放棄

 住民訴訟のうち、地方自治法第242条の2第1項第4号に基づくいわゆる4号訴訟は、住民が、違法な財務会計上の行為等を行った職員又はその相手方に対して損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを、当該地方公共団体の執行機関等に求める訴訟とされている。

 近年、議会が、4号訴訟の継続中に当該訴訟で紛争の対象となっている損害賠償請求権を放棄する議決を行い、そのことが訴訟の結果に影響を与えることとなった事例が幾つか見られるようになっている。

 4号訴訟で紛争の対象となっている損害賠償又は不当利得返還の請求権を当該訴訟の継続中に放棄することは、住民に対し裁判所への出訴を認めた住民訴訟制度の趣旨を損なうこととなりかねない。このため、4号訴訟の継続中は、当該訴訟で紛争の対象となっている阻害賠償又は不当利得返還の請求権の放棄を制限するような措置を講じるべきである。

(3) 議会における決算の認定

 地方公共団体の決算は、毎会計年度、議会の認定に付さなければならないこととされているが、仮に議会が決算を認定しない場合には、まずは、議会が、その審議等を通じ、長の予算執行や政策遂行上の問題点等決算を認定しない理由を長や住民に対して明らかにするよう努めるべきである。

 また、長は、議会から指摘された問題点等に関しては、決算の審議において、その原因や善後策等を十分に説明するとともに、決算が認定されなかった場合には、住民に対してもその善後策等を説明するよう努めるべきである。

(4) 議会の実地検査権等の監視機能

 議会の監視機能は、監査委員の監査とは異なり、住民の代表機関といった立場から、当該地方公共団体の行政全般にわたって果たされるべきである。

 議会は、執行機関に対する検査権、監査請求権や調査権等を有しているところであるが、今後さらにこれらの権能を活用していくべきである。また、議会が独自に執行機関を監視する機能を強化するため、議会に実地検査権を付与することについて、現在の検査権や調査権の行使の状況も踏まえつつ、検討していくべきである。

 また、議会の少数者による調査権等の行使を認めるべきであるとの意見があったが、この点については、議会の意思決定がなされるまでの過程において、少数者の意思をどのように汲み上げ実現していくか、それぞれの議会でさまざまな運用を工夫していくことが適当である。

(3)議会活動の透明性と議会事務局等

(1) 議会活動の透明性

 制度的な面だけでなく、実質的な面から議会の権能を高めていくためには、議会が、住民の意思を十分に反映し、充実した審議を行うことが重要である。

 そのためには、議員を選出した住民においても、議会における議論の内容や議員の活動の実態等について、積極的に関心を持つことが期待される。

 議会活動については、本会議のみならず、委員会等の活動も含め、住民に分かりやすいような形で情報公開に努めるべきである。この点については、議案に対する議員の賛否等の議論の経過や議案の情報について、インターネット等も活用して公開していくことが適当である。

(2) 議会事務局等

 地方公共団体の自主的な政策立案の範囲が拡大するとともに、その処理する事務も複雑化・高度化してきていることから、議会の政策形成機能や監視機能を補佐する体制が一層重要となる。政策立案や法制的な検討、調査等に優れた能力を有する事務局職員の育成や、議会図書室における文献・資料の充実など議会の担う機能を補佐・支援するための体制の整備・強化が図られるべきである。

2 議会制度の自由度の拡大

 議会制度のあり方については、できる限り選択の余地を認める方向で見直しを行うことも、議会の機能の充実・強化に資するものであることから、以下の点について検討を行った。

(1)議員定数等

 議会の議員定数については、現在、その上限を人口区分に応じて法定しているところであるが、議会制度の自由度を高めるため、定数の決定は各団体の自主的な判断に完全に委ねることとし、法定上限を撤廃すべきである。この場合において、各地方議会が議員定数を定めるに当たっては、住民の理解を得られるものとなるよう十分に配慮すべきである。

 なお、議会の議事定足数について緩和又は撤廃すべきであるとの意見があったが、一方で、議会は本来できるだけ多くの議員が出席して十分な議論がなされることが期待されるとの意見もあり、この点については、引き続き議論を重ねていくことが必要である。

(2)議会の招集と会期

 現行制度において、議会は、定例会と臨時会に分けられ、定例会は、毎年、条例で定める回数これを招集し、臨時会は、必要がある場合において、その事件に限りこれを招集することとされている。現在は、一年間に数回、一定の会期を定めて定例会を開催するとともに、その会期以外においては、必要に応じて、臨時会を開催するという形の議会運営が一般的となっている。

 議会運営の柔軟性を高めるとともに、議会活動の活性化を促す見地からは、議会運営のあり方についても、より弾力的な形態を考えていくことが求められる。

 例えば、諸外国の地方議会においては、毎週定期的に会議を開催するなどの運営も行われている。このような議会運営は、多様な人材が議会の議員として活動することを容易なものとするほか、住民にとっても傍聴の機会が拡大するなど、住民に身近な議会の実現に資するものと考えられる。我が国においても、特に、基礎自治体の議会においては、このような柔軟な議会運営を可能とする要請は高いものと考えられる。

 今後一層住民に身近な議会を実現し、柔軟な議会運営を可能とする観点から、長期間の会期を設定してその中で必要にお伺いして会議を開く方式を採用することや、現行制度との関係や議会に関する他の諸規定との整合性に留意しつつ、会期制を前提としない方式を可能とすることなど、より弾力的な議会の開催のあり方を促進するよう必要な措置を講じていくべきである。この場合、議場への出席を求められる執行機関について、その職務遂行に支障が生じないように配慮すべきである。

 このような方策を活用することを通じて、議会における議員同士の議論を行う機会を拡大させ、議会の審議の充実・活性化につなげていくべきである。

 議会の招集権については、長のみではなく議長にも付与すべきとの意見もあったが、この点については、平成18年の地方自治法の一部改正により、議長の臨時会招集請求権が認められたところであり、この招集請求権の運用状況も見ながら、なお引き続き検討していくべきである。

3 議会の議員に求められる役割等

 議会の機能の充実・強化に伴い、議会の議員が果たすべき役割はますます重要なものとなっている。

 議会が多様な民意を集約し、団体意思を決定していくためには、地方公共団体の多種多様な層から議員が選出され、議会を構成することが重要である。このことは、今後一層議会に求められる専門性を強化することにもつながるものと考えられる。

(1)議員の役割等

 議員の主な役割は、議会における審議・討論を通じて住民の意見を適切な形で地方公共団体の運営に反映させることであり、個別の利益の実現を図るため、行政に不当に介入し、その公正な執行を歪めるような議員の活動が見られるとすれば、住民の地方議会及び議員に対する信頼を著しく損なうものであって、このような活動を厳に慎むべきことは言うまでもない。

 なお、議員の活動に対しては、諸外国や戦前の地方議会に見られるように実費のみ支給し、原則として無報酬であるべきとの意見がある一方、現在我が国の議会が有する権能、求められる役割の大きさ等からすると、一定水準の議員報酬は保障されるべきとの意見もあったところである。

(2)勤労者等の立候補や議員活動を容易にするための環境整備

 現在、議会の運営としては、会期を一定期間に定め、平日昼間に集中して会議等を開催する例が一般的である。平日の朝から夕方にかけて仕事に従事している勤労者が議員としての活動することを容易にするため、例えば、夜間、休日等に議会を開催するなどの運用上の工夫を図ることが考えられる。

 また、勤労者について、立候補を容易にするため、これに伴う休暇を保障する制度や、議員活動を行うための休職制度、議員の任期満了後の復職制度等を導入することなどが考えられる。この点については、我が国における労働法制のあり方やその背景となる勤労者の意識、勤務実態等にも関わる課題であることから、まずは、議会の活動を社会全体で支えるべきであるという意識の醸成に努めつつ検討していくべきである。

 議員の構成については、女性の議員が男性の議員に比べて割合が低く、偏りが見られるとの指摘があり、女性の議員をさらに増やすための方策についても、諸外国の取組などを参考としつつ検討すべきである。

 公務員については、現行制度において、職務専念義務が課せられ、また、公務の中立性の観点からその政治的行為が制限されているほか、公職への立候補の制限、地方公務員については地方議会の議員との兼職の禁止等の規制がされている。

 公務員が地方議会の議員として活動することは、行政分野に通じた人材が議員として活動するとこととなり、有益な面があることから、公職への立候補制限の緩和や、地方公務員と当該地方公共団体以外の団体の議会の議員との兼職禁止の緩和などの方策が必要ではないかとの意見がある。

 この点については、公務員が政治的活動と密接不可分である議員活動を行うことについての社会的な理解が得られることが前提となることから、公務員の職務の公正な執行や職務専念義務のあり方等にも配慮しつつ、前記のような休暇制度、休職・復職制度等の導入に関する検討と併せて、引き続き検討の課題としていくべきである。

(3)議員の位置付け

 議員の活動は、議会における審議・討論にとどまるものではなく、政策形成のための調査研究活動や住民の意思を把握するための諸活動等、広範にわたることから、議員の位置付けやその職責・職務を法制化すべきであるとの意見がある。

 この点については、議会機能の充実・強化に伴う議員の活動の実態を踏まえ、政治活動と公務との関係、議員の活動についての住民への説明責任のあり方、職責・職務の法制化に伴う法的効果等を勘案しつつ、引き続き検討することが必要である。

 以上でございます。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 なお、「答申案」の名称でございますけれども、「基礎自治体のあり方」、それから「監査制度」「議会制度のあり方」このように非常に広範囲にわたっておりますので、これをどのような名称にするかということで、扉のところにありますように「今後の地方行政体制のあり方に関する答申」という形で名称をつけさせていただいております。

 それでは、今、朗読いただきました「答申案」につきまして、御意見等ございましたら、自由に御発言をいただきたいと思います。

 どうぞ、江藤委員。

 

○江藤委員 前回、余り議論されていない議会についても後ほど議論したいし、それから、前回、かなり時間を割いて、監査委員の選出とか、あとは、議会の実地検査権なども結構議論していたのが、こういうまとめ方でいいかどうか、これについても後ほど議論したいと思います。中身に入る前に、今、小委員長が言われたタイトルなんですけれども、前回も、市町村は行政主体ではなくてということ、これは修正は加えられている要するに、市町村とか基礎自治体は行政主体だけではなくて、政治の主体でもあって、自治組織ですね。だから、このタイトルというのは、やはりいかがなものかということで、まずは修正をお願いしたいと思います。

 具体的に言うと、せめて「地方自治体制」とか、あるいは、それぞれの章ごとにあるものを付け加えるというんですか、「今後の基礎自治体のあり方及び監査機能、議会機能の充実・強化に関する答申」とか、そういう形で直していただかないと、議会も含めて、地方行政ではないでしょう。

 

○林小委員長 行政体制は行政の執行だけではないということなんですね。だから、これもいろいろ考えたんですけれども。

 

○江藤委員 いえ、これは行政体制ではないと思います。

 

○林小委員長 わかりました。いかがでしょうか。どのようにタイトルをつければいいのかというのは、私自身はこれで十分ではないかと思っているんですけれども。

 

○江藤委員 いえ、議会は行政ではないですよ。

 

○林小委員長 そのとおりなんですが、今、江藤委員の御発言のように、それを踏まえてやりましょうか。ただ、今までどのような形で使っていたのかというところも1つあるのではないかというようにも思いますので、この辺り、事務局、いかがでしょうか。

 

○行政課長 これまで「行政体制」という言葉をどういう場面で使っておるかということでございますけれども、今、議会等のお話もございましたけれども、まずは、分権一括法の前にありました地方分権推進計画のときに、地方公共団体の行政体制ということで、その中には当然、地方議会の活性化ということで、議会の機能強化とか、あるいは議会の組織の問題、議会運営の問題、こういったもの全体を含めて行政体制というような形で、大きく呼ぶ形で含めていることがございます。

 それから、地方分権の推進に関する答申、平成6年の答申でございますが、このときにも地方行政体制の整備・確立ということで、当然、行政能力、それから、チェックの問題、住民の信頼の確保というようなことも含め、住民自治のこと、あるいは地方議会のこと、全体を含めてございますので、広い意味で地方行政体制というのはこれまで使ってきておるところでございます。

 

○林小委員長 非常に広範囲にわたっているということと、これをだらだらっと並べるのも非常に長いタイトルになるのではないかといったこともあって、こういう具合にしておりますけれども、今までそのように使っていたとしても、タイトルで中身がわかるというようなものにした方が、これで議論するのは余り効率的でないと思いますので、そのようにさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 名和田委員。

 

○名和田委員 蛇足ですけれども、賛成の意見をちょっとだけ述べさせていただくと、地方自治体を行政の部門だとするのは割と古い考え方で、ドイツでは今でもそうであります。ただ、議会は自主立法権を持つんだということが声高に今、言われているわけですので、やはり「行政」ではない言葉に、何か工夫していただくのがいいと思います。ここで「行政」とお使いになったのは、恐らく、議会の自主立法権を軽視する趣旨ではなくて、議会が監視機能を持っている、必ずしも条例制定権のことを主に論じているわけではなくて、行政の監視機能とか、そういったことを主に論じているので、それで行政体制でもよいかということであったかなと私は想像しているので、しかし、議会の持っている性質から考えて、やはり「行政」という言葉ではないものになるべくしていただきたいなと私も思います。

 

○林小委員長 という意見が出ておりますので、これは余りここで議論するのも得策ではありませんし、この答申から、むしろそういうことではないんだということも知っていただくという意味で、タイトルを少し検討させていただきたいと思います。

 それ以外に、前回議論いただけなかった部分もあろうかと思いますので、その辺りも含めて御議論いただければと思います。

 では、武田委員からどうぞ。

 

○武田委員 いろいろな論点はあるんですけれども、前回議論できなかった点について、ここは重要な点なので確認させていただきたいというのが1つあります。合併特例法の扱いなのですけれども、合併特例法は引き続き必要であるという書き方になっているかと思います。ただ、ここでの議論は、今後の自主的な合併のために、阻害要因になるようなものを排除するという議論であったかと思います。そこで必要とされたのは、現在の合併特例区であるとか、住民投票の制度というような辺りで、阻害要因を除くというような措置が必要であるというふうにまとまっていたのではないかと思うのですけれども、結果的に、合併特例法は引き続き必要であるというような書き方になっていたかと思います。その点はどうでしょうか。8ページの「今後の対応方策」の(1)のところで、合併に係る特例法が必要であるとありますけれども、前に議論されましたように、例えば、合併特例区のような制度が一般法の枠組みで可能であれば、特例法があえて必要なのかどうかという点は御議論いただきたいなと思いました。

 

○林小委員長 今の御質問は、特例法が必要なのかどうかという話ですか。それとも、特例法の中身をもう少しきちっと書き加えるということですか。

 

○武田委員 一般法でやるという話ではなかったかなというふうに思ったので。

 

○林小委員長 ただ、それだけの話ではないですね。

 

○名和田委員 私の理解では、合併特例区云々よりは、合併を自主的にしたい、すべきであると考える市町村が今後もあることが客観的にもわかっていて、そうだったら、それの障害を除去するような支援的措置等々を今後も置いておくべきではないか、そういう方向の話で、そのことは、今、私、見つからないんですが、どこかに書いてあって、だから、武田先生が問題にされた箇所で、一応、合併特例法はまだ必要であると言っておいて、その後の箇所で、では、具体的にどんなことが必要なのかということが書かれていて、そこは私は割とすとんと落ちたんです。今、具体的な箇所が指摘できなくて済みません。

 

○林小委員長 どうぞ。

 

○小幡委員 今との関連で、私も後で質問しようと思っていたのですが、8ページの(1)で「この法律においては、具体的には」云々で「住民の意見を反映させるための措置(合併特例区、合併に係る地域自治区等)」とありますが、今、武田委員からのご意見にありましたように、西尾先生と私でここは意見が合わなかったのかもしれませんが、住民投票をどのような意味に位置付けられているのか、というところですが。

 

○武田委員 住民投票を一般法でやっていくという方がいいのでは。

 

○小幡委員 方向としては、住民投票は非常に大事なので、そういう方向の方がよろしいかと思いますが、少なくとも今回の「等」のところに、合併について判断するのに住民投票にかけるというのが入っているのか、私は個人的には、そのこと自体は大変よい制度だと思っています。現在の仕組みについては、西尾先生から御反論がございましたように、確かに問題はありますが、ただ、それ自身はよいことだと思いますので、この「等」の中に、例えば、住民投票は入るという、理解としては、それでよろしいのですか。

 

○林小委員長 ですから、具体的な法律をどのようにするかということに関しては、今後きちっと詰めていかなければならない部分です。ただ、そういう必要性はなくなっていないということを、方向性をここで示しているという具合に御理解をいただければと思うんです。

 

○武田委員 少しこだわりたいのですが、特例法という枠組みでやっていくべきことなのかということです。例えば、今、言われましたように、住民投票制度というのはもっと一般的に、一般法の枠組みでなされるべきだというふうに私も思いますし、合併特例区の制度も、全域ではなくて、特定の地区に限って設置をするのを一般法でやろうではないかという議論をしていたかと思うのです。

 

○林小委員長 わかります。それは1つの御意見として出たと思います。ただ、その点に関して、ここで、一般法でやろうという議論もしておりませんし、それについての結論も得られていないという中で、では、合併に関して、特例法はつくらなくていいのかということになってしまうので、この答申の中では、それはそれでまた議論しなければいけないと思うんですが、合併を支援するという意味での特例法はやはり残しておく必要があるのではないかというように読んでいただいて、一般法か特例法かという話ではないんだという具合に御理解をいただければと思うんです。

 西尾委員。

 

○西尾委員 私の理解で補足させていただきたいと思うんですけれども、合併の障害を除去するための措置というのが、過去の市町村合併特例法にずっと書かれてきた代表的なことは、まず、議員定数の特例、それから、議員の在任期間の特例というようなこと。これをしませんと、合併したとき、その直前までいた各市町村の議員たちが全部失職しなければいけないのかどうかということとかかわるわけです。それなら合併は嫌だというふうになってしまうものだから、しばらくの間は人数が増えても仕方がないよとか、任期を暫定的に延長してもいいよというような措置がまず取られていたということ。

 それから、交付税の計算なんです。個別の市町村ごとに計算していたのが、合併したら、それを積算した金額になるかというと、新しい市町村の数値に従って計算し直すと、そういう額にならないということが多いわけですけれども、それだったら嫌だという動きが出てしまう。だから、合併後5年なら5年、一定期間は従前の計算方法でいきます、突然交付税額が減るというようなことはしませんということが、過去ずっと書かれてきた、障害を除去する措置ということです。これは今後も引き続き必要なんではないかという合意がほぼできていたと思います。

 それから、その次の住民の意見を反映させるための措置というところに「(合併特例区、合併に係る地域自治区等)」とありますが、この合併特例区と地域自治区の問題については、私は極力、一般的な地方自治制度と、合併に伴って生じることと、共通化していった方がいい、なるべく統一していった方がいいのではないかという意見をずっと述べてきました。しかし、完全に統一できるかというと、そうではないんです。合併の際に生じる合併特例区と、合併に係る地域自治区については、どうしても特殊なことが残らざるを得ないのです。

 それは何かというと、市町村間で合併をしようかと話し合ったところで、合併協議をずっと詰めていくわけですが、そのときに、合併後、旧市町村単位に地域自治区なり合併特例区なりをつくらせてくれるのならば、それを確約してくれるのならば合併に応じますという町村が出てくるということです。そうすると、この合併協定書の中にそれを書く。その後、新市町村が生じたときに確実にそれが履行される、守られるという法的効果を協定書に持たせなくてはいけないわけです。それは一般制度ではあり得ないんです。

 一般制度でできる地域自治区というのは、市町村の議会がそれを設定するかどうかを判断するわけで、合併のときも、誕生した合併後の市町村の議会がそれを認めるか認めないかと、そこで議論をしますと、認めないという結論になる可能性が高いわけです。だから、関係市町村は、それでは不安だから、この協定の中で約束したことは確実に履行してくださいという効果を持たせなければならない。それがどうしても残る合併特例の措置なんです。私はそれは否定できないと思うので、その限りで、ここにこういうことが書かれることは当然、理由のあることではないかと思います。

 ただ、最後に「等」と書いてあるのは、その前からあった旧市町村単位に地域審議会を設けることができるとか、そういったこともいいんではないのという意味で「等」になっているんではないかなと、私はそういうふうに理解しておりまして、今、お話に出た住民投票のことが想定されているとすると、私は余り賛成ではないわけです。そこはあえて聞きませんけれども、余り賛成ではありません。

 念のために申しますけれども、過去の市町村合併特例法の中に書き込まれてきた住民投票の特例というのは、合併が是か非かという住民投票ではないです。そんなことは決めたことはないです。過去やってきたことは、合併を協議する協議会を設置してくださいと住民が議会に請求してきた、そのときには議会は必ずこれを議論しなくてはならないという仕組みになっていて、しかし、議会が協議会設置、あるいは協議会に参加することは反対だと否決してしまうと、そこで終わることになったわけです。

 それだと、住民の方から一生懸命、協議会をつくって、まじめに議論すべきではないかと言ったのに、当の議会がノーと言うと、それで終わりというのでは十分ではないというので、議会が否決したときは住民の意見を聞かなくてはいけないということで、協議会をつくるか、つくらないかの住民投票なんです。過去、制度化してきたのはそのことだけなんです。

 私は、それはもう要らないんではないのということを言っているだけなんです。合併することについての住民投票というのは制度化したことはないんです。各市町村が勝手に条例をつくってやられた実例はたくさんありますけれども、市町村合併特例法でも地方自治法でもやったことはないわけで、協議会をつくるか、つくらないかに関する手続的な住民投票なんです。それは私は今回付け加える必要はないというふうに思っているということです。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。どうぞ。

 

○小幡委員 ちょっと1点。西尾先生のおっしゃる、今制度化されているのが不十分だからというのは私もそう思いますが、かといって、住民投票を一般法化するというのはすぐにはできない話であって、今後、議論が引き続きあるべき話だと思いますが、唯一、若干合併について今あるものまで取ってしまうのはどうかと思い、「等」の中に入り得るのですねという確認をしたかったということです。

 それから、合併特例区で法人格のあるような形でつくれるというのがありますね。それは恐らく地域自治区の一般法の方では法人格の話はしていないので、そういう意味でも残す必要はあるように思っております。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 答申ですので、これを具体的に中身まで議論をすると、恐らく1つのテーマで随分時間がかかるだろうと思います。したがいまして、検討するということも含めて、今後、具体的に仕組みについて議論をしていく、そういう必要性があるんだということで、この答申をお読みいただくとありがたいなと思います。

 ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。

 

○金子委員 時間も限られているようなので、まとめてお話しいたします。

 9ページと10ページのところにあります「小規模市町村における事務執行の確保のための方策」の小規模市町村に対する新たな都道府県の補完のあり方というところなのですが、ここは、県と市町村の事務の配分のあり方にかかわる基本的なところだと思うわけです。10ページの「具体的には」というところで「自らの判断により」というふうに書いてありますけれども、一度、ある市長なり町長なりのときに、町議会のメンバーなりにより自らの判断で県に全部というか、多くの事務を返上するみたいなことが一旦決められると、そのまま未来永劫みたいな形になっていきやすいなという感じで、固定化するようなことも考えられるし、こういうことは一旦決まってしまうと、そっちの方向にだんだん流れていくというような状況も想定されるので、ここは事務配分の根本に係るようなことなので、今回、この委員会では監査・監視機能の方が重要ということで、こちらにたくさんの審議の時間をかけましたけれども、この部分は1回とか2回ぐらいで、余り議論もされていないのにもかかわらず、ここまで書くのは書き過ぎなのかなと思います。

 あと、前回、全国町村会長の山本委員が出されたペーパーの中にも、要らぬお世話だからというようなこともございましたので、ここは表現をもうちょっと柔らかくして、これに賛成だという委員の方もいらっしゃると思いますが、私としては、十分議論がされていないので、この部分については表現を若干緩めて、こうした課題に対応する見地からは、市町村合併による行財政基盤の強化等々と、新たな都道府県の補完のあり方について検討を行うことが適当であるとまでは言い切れないと思うので、「考えられる」というような表現にして、次の具体的なところなんですけれども、当該事務については、適切な財政措置の下に都道府県が処理することとする新たな仕組みについて多角的に検討を進めるというより、多角的に研究を進めるとか、そういうような形にしないと、議論を反映したことにならないんではないかと思っております。

 もう一つ気になっているのが6ページ目の第2パラの上から7〜8行目の「市町村の状況は多様なものとなっており、基礎自治体に求められる十分な行財政基盤を有していない市町村も見られるところである」をこのまま読んでしまうと、十分な行財政基盤というのはどういうものなのかが余りイメージできないので、この答申を出して、例えば、国民の方が見ていただいて、これはどういう意味なんだと言われないように、ここは具体的な中身を書き込んだ方がよろしいのではないかと思っております。

 それがないと、4ページ目のところの、こは私が前回も申し上げたところなですけれども、「基礎自治体に関する残された課題」の「(1)小規模市町村における事業財政基盤の強化」の中で、行財政基盤の強化が課題となっている。強化するということであれば、現在はどういう状況になっているのか。それを強化するというんだったら、どの程度強化するか、その辺りが非常にあいまいもことしたままなので、6ページ目の十分な行財政基盤というのをきちんと書いていただければ、ここの(1)の部分のところも明確になってくるのではないかと考えました。

 あと、7ページ目の一番下の「なお、これらの地方自治制度上の仕組みに加え、市町村間の新たな連携の取組として定住自圏構想をはじめとする」という部分なんですが、これは前回も申し上げましたけれども、定住自圏構想というのは制度とは関係なくて、この委員会での審議においても否定的評価が高かったわけでしたが、斎藤委員の方から、この定住自圏構想というのは、新たな関係自治体の協定による連携の取組みということなので、挙げてもいいんではないかというお話があったので、ここは、新たな連携の取組みがどういうものかという辺りを、協定によるとか、お互いに納得ずくでやるとか、その辺りを書き込むことによって、何も定住自圏構想をここに入れて宣伝することはないと思うです。委員会において、みんな賛成だったらいいですよでも、私はその会に出席をしておりまして異論の方が多いように思いましたし、議事録でも明確だと思います。ここは、協定によるというような枠組みだけ書いていただく方がよろしいんではないかというふうに思います。

 あと、12ページの第2パラの「さらに」以下、コミュニティ云々かんぬんという文章が2つありますけれども、この点については、議論していないので、書く必要がないと思います。

 あと、「地域のコミュニティ組織の活動において経済活動の重要性が高まっていること」の意味がよくわからないというのがあります。

 最後ですが、地域協議会のメンバーや、地域自治区の権限の代表性のところの点なですが、12ページに「さらに慎重に」と書いてあるところは、役人的に見ると、あっ、これはやらないつもりだなというのが明確にわかってしまうので、これはちょっと落としていただけないかということでお願いいたしたいと思います。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 事務配分の話は、29次の地制調が立ち上がったときに、分権の話は分権改革推進委員会の方でやりましょう、地制調では、行政体制というか、そういうものについて議論しましょうと、要するに車の両輪だということで議論して、分権委員会の方で都道府県から市町村への権限移譲を議論なさって、提案もなさっているということもありますので、当然これは基礎自治体が基本だということは大前提だと思うんです。

 ただ、その場合に、これからどんどん増えてきたときに、実際、合併もできなかった、広域連携もなかなか難しいといったところが、どうやってサービスを提供していくんだろうといったことも考えていかなければならない部分もある。

 金子委員がおっしゃることはよくわかるんです。安易にこういうのを使ってしまうんではないかとか、あるいは一旦そうなってしまったら県がずっとやるんではないかという、それは、そうなってもらっては困るので、そこの部分はむしろ、何らかの形で基礎自治体が中心だということで、それでもやむを得ずできない場合はといったようなことを書き込むことで、基礎自治体、頑張ってくださいねと、しかしながら、できないところがやはりあるわけですから、行財政基盤の強化という話も、今までの小委員会の中で、例えば、専門スタッフの数だとか、こういったようなことが現実に小規模なところでは非常に手薄になっている。今後これが重要になってくる中で、一体どうすればいいんだろうといった説明も受けたわけです。

 ですから、行財政基盤というのは、これはものすごく定義が難しいんです。ですけれども、基本的には、住民の生活が今後維持できるということが非常に重要で、それができないときには、やはり自主的な判断によって県がやるという選択肢はつくっておかないといけないんではないか。

 

○金子委員 今でもできると思います。今の制度でも、町村が本当に困ったら県に委託するというのは今の制度でもできるので、それを自主的にお使いになればいいわけであって、ここに新たな制度として書き込むことにどれだけ意味があるのか。それこそ、ある一定の価値に従っている。要するに、国が全部決めるんだと、小さいところは行財政基盤もなくて大変でしょう、だから、国がこういう制度をつくって誘導してやるんだ、そういう意向が見え見えなんですね。

 

○林小委員長 どうぞ。

 

○武田委員 今、言われました点を2点に整理して私も発言させていただきたいんですけれども、義務的な事務といいましょうか、分権によって基礎自治体により多くの事務が移譲されるということが、例えば、9ページの(3)の最初のところに「法令により処理しなければならない事務は増加しており」というような記述が出てきます。

 その一方で、今、特定できませんが、義務付けに関しては慎重にやるべきであるというようなことが別の箇所でも出てきております。

 22ページの議会制度のところでは「事務の処理に当たっても、条例により自主的に定めることのできる範囲が拡大するなど」というような書き方がされています。

 ですから、分権化に伴って、義務的な事務、法令により義務付ける事務が増えていくということに関して、記述が一貫していないというところは、慎重に記述をされるべきであろうということです。

 もう一つ、加えて行財政基盤のところは、私は伝家の宝刀をどこで抜くかと考えていたんですけれども、両論併記をどこかで言いたいと思っていたのです。どこで両論併記を持っていくかというと、やはり「今後の対応方策」の(3)に、財政基盤云々ということに関しては両論あるんだということ、すなわち、ここの書き方は、合併していない小規模自治体において行財政基盤がないという書き方にはなっているのですが、他方で、それをちゃんと保障するような財政システムが必要であるという見解もあるという面も、できれば併記していただきたいというふうに思う次第です。

 

○林小委員長 1つは、義務付けに関しての一貫性なんですが、私は一貫性は保たれていると理解をしているんです。それは、分権改革推進委員会の方で、やはり義務付けはやめましょうということを議論している。しかしながら、地制調として、今後、仕事が増えてくる中で、これは義務として、どういう体制をつくるべきかということを考えなければいけない。ただ、地政調として、義務付けはやめましょう、これ以上増やすのはやめましょうということなのであって、調査会として、義務付けが全廃されたら、こういう問題が起こってこないのかもしれないので、それは分権改革推進委員会の今後の成果次第だということにもなるのかもしれません。

 つまり、ここで書かれているのは、要するに、義務付けているものが現にある、これがまた更に増えていくかもしれない、それはよくないんだということは当然のことなんです。ですけれども、もし仮にすべて義務付けがなくなってしまったら、やらなくていいわけですから、県がやるとか、やらないでいいとかという議論はしなくても済みますので、そういう社会がきてほしいと思います。しかしながら、現実に義務付けがあるということは前提として、では、それをどうやって受け止めていくのかということは、地政調としては考えていかなければならないということで、こういう選択肢をつくってはどうだろうか。

 金子委員がおっしゃった、今でもできるんですよということなんですが、今でもできるのかどうか、教えていただければありがたいんですけれども、どなたでも結構です。どうぞ。

 

○斎藤委員 今、委員長がおっしゃった点については私も賛成で、答申として一貫していないことはない、一貫していると思います。つまり、一方では分権改革推進委員会で一生懸命、義務付け、枠付けを外すということをやっていますが、現状の法令ベースで言えば、基礎自治体なり広域自治体に多くの事務なり義務があることは間違いない。それを前提にどういう議論をするかというのが1つあって、他方で、地政調で対象にしている事項が自主組織権の制約になる、新たな義務付けになるというんであれば、それはやめた方がいいんではないかというので、これは一貫していることだと考えます。

 それと、今の点ですが、都道府県が市町村のやっていることを現状ベースでやれるか、やれないかということについては、例えば、事務の委託で、水平の委託ではなくて、垂直の委託ということになりますと、現在の地方自治法上の事務の委託ということについては、都道府県自身が持っていない事務とか、権限については、法令の趣旨によっては委託することはできないのではないかという話はあります。

 その点と、それから、権限のあり方について、都道府県から市町村の方に柔軟におろすということは、条例による事務処理特例のような形で進めてきております。そうだとすれば、そうではない、逆の広域の方向に事務を特別に処理するという制度を検討するということ自体は、価値中立といいますか、従来の、より柔軟に考えましょうという方向の延長線上にあることではないか。更に、そういった制度を使う際に、一体だれが考えるのかということについては、それは市町村自身で考えてもらいましょうということで、これは前回ですか、議論にあったように自らの判断ということがここでも盛り込まれていますので、そこは明らかではないかと考えます。

 それから、そういうふうに一度広域団体事務にしたら、未来永劫そうなのかといえば、条例による事務処理特例にせよ、そのほかの最近の取組みにせよ、そうではないという考え方もあり得るところで、そこは恐らく、この10ページで言えば、多角的に検討を進めるというところに入ってくるんではないかと考えます。

 以上です。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○西尾委員 極めて大事な話なので、私がまた中途半端な、不正確な補足をするよりも、金子委員から出た、現行法の下でも市町村から都道府県に幾らでも事務を必要なら出せるんではないかというふうにおっしゃったんですが、今の地方自治法上の事務の委託というのではどこまでできるかとか、この関係でいくと、特に小規模町村ですから、過疎法とか山村法とか、いろいろ関連のものがありまして、この条件不利地域についての事務には、事務代行という手続がいろいろと決められているものがあります。その事務代行ではどこまでのことが可能か、そして、ここは、そういう事務の委託とか、事務代行とか、そういうものでは処理できないことを処理しようと、新しいことを提案していらっしゃるんだと思うんです。それがどこが新しいのか、どういうことが今の現行法でできて、現行法でできないことを新しくしようとしているのかということは、事務当局から正確に説明させた方がいいと思います。何か話が混乱していると思います。

 

○林小委員長 今、御指摘いただいたことですが、お願いいたします。

 

○市町村課長 それでは、ただいまの点につきまして、事務局から補足して御説明を申し上げたいと思います。

 これまでもこの委員会の中で、この議論については再三行われてきたと思いますし、その折にも御説明したことと重なるかと思いますけれども、斎藤委員から御発言があったことに補足して申し上げますと、ここで考えております方式の現行制度との違いということですが、例えば、現行制度、共同処理方式の1つとしての事務の委託でございますと、あくまでその当事者間での規約で対象事務も特定されますし、また、その処理に必要な財源の措置についても、その規約の中で相対の協議によって定まってくるというものでございます。

 それと対比いたしますと、ここで考えている方策といいますのは、9ページの(3)のところに、小規模市町村の事務処理体制から、特に福祉・保健分野などに課題があるということを述べた上で、そういった体制を補完するための仕組みとして考えているものでございまして、そこで想定している事務は、小規模市町村が自ら実施することは困難と考えられる一定の範囲の事務をパッケージとして考えるというものでございます。事務の委託と違いまして、個々、個別の事務ということではなくて、事務処理体制等から一定のパッケージの事務を想定した仕組みです

 その場合には、一定のパッケージの事務を引き受ける立場の都道府県には当然、その事務に要する経費についての財源措置が必要になります。これについては、事務の委託と違って、個別の相対の規約、協議によって定めるのではなくて、地方交付税の仕組みを活用して、制度上必要となる財源については、適切な財政措置を行った上で、この事務補完の関係を制度的に保障していくというものでございまして、そういった意味で、基本的な考え方において、現行の共同処理方式では隘路となっている部分を補完する新たな仕組みというふうに議論を進めているものであると理解しております。

 

○林小委員長 今の事務局の御説明に関しまして、何か御質問、御意見、どうぞ。

 

○幕田委員 ただいまの件について、具体的なことでお願いしたいんですが、東北で生活圏域の調査を行ったことがありまして、そのときに、東北地域には、人口が1万人以上の市町村でも、過疎地特措法,これは来年3月末までが期限ということですが,かなりの数の市町村が過疎地地域となっております。そのぐらい貧しいわけです。ただいまの9ページから10ページにかけてのところが,こうした市町村に対する仕組みに該当してくるんだと思っておりまして、以前よりも考え方がすっきりまとまっていて大変結構だと思います。ただ、9ページの一番初めに「小規模市町村」という言葉が出て,次の10ページの2行目には「一定の人口未満の小規模市町村」という表現で出てくるわけです。

 いずれにしろ、これは中身としては、人口何万人以下とか、何千人以下という小規模市町村については、県とか、あるいは隣接の大きい市なりが引き受けてくれると、こういうことだろうと思うんです。そのときに人口規模で一律に決められると、そこからはじかれた市町村は大変困るわけでございまして、そこは弾力的に、特に(3)の最後のところに、新たな仕組みについて多角的に検討を進めるということが書いてありますので、ここで救済されるのかなという感じはするわけですけれども、その辺は具体的に、ある条件を整えたら、隣接の市町村、県が引き受けるんだということをはっきりと書き込んでいただきたいというのがお願いでございます

 

○林小委員長 小田切委員、どうぞ。

 

○小田切委員 多分、余り時間がないと思いますので、今の論点も含めて、幾つかの論点をまとめてよろしいでしょうか。

 第1に、今の論点でございますが、新しい議論も起こっているようですが、問題は、この小委員会での過去の議論、今まで我々が行った議論の委員会平均的な議論がどこだったかということだろうと思います。小規模市町村における県の補完につきましては、私は時期尚早であるという議論をさせていただきました。むしろ新しい広域連携の仕組みも、定住自律圏という仕組みも提案されている、この将来像を、あるいは将来の実績を見極めてから対応しても遅くはないではないかというふうに考えております。

 そういう点で言えば、恐らく合意点というのは、高齢化、あるいは人口減少が激しく進む、そういった自治体についての自治の新しい仕組みが必要だという、その程度までが合意点ではないかと私は感じております。例えば、細かい論点で言えば、西尾先生がおっしゃっていただいた過疎代行との関係をどうするのかとか、当然、過疎法との関連、それも含めた、あるいは山村振興法との関連をどうするのか、そういうことも十分議論されていないということも申し上げたいと思います。

 以上が1点目でございます。

 それから、2点目は、これは具体的な修文ということでお願いしたいですが、4ページ目です。論点が変わって恐縮ですが、急いでお話をさせていただきますが、上から3行目、合併市町村の周辺部にさまざまな「課題が生じている」という表現がございます。これは、かつていただいた論点のところでは「懸念が生じている」という文言でありまして、それに対して、私は懸念ではなく現実だということを申し上げましたら「課題が生じている」というふうに修文いただいたと思うんですが、何々ではないかという課題が生じているという言い方は、やはりニュートラルであって、むしろ懸念が現実化していると、そういうふうにとらえるべきだと思います。小委員会での私たちの議論も、周辺部でそういう問題が起こっているということを前提にして、それではどうしたらいいのか、小さな自治の仕組みをどのように導入すべきか、そういうふうに展開していたとすれば、ここの修文は意外と重要かなというふうに思っております。

 それから、3番目でございますが、12ページ、先ほど金子委員がおっしゃったことなですが、小さな自治、あるいは地域自治区をめぐる課題です。上から4行目に「さらに慎重に検討すべきである」というふうにあります。これは地域協議会の構成員の公選の問題とか、あるいはある程度の権限付与の問題ですが、いただいた以前の論点では慎重に検討すべきということであったですが、「さらに」という表現が入っておりまして、この「さらに」というのは、霞が関文学で言うとどういう意味なのか。つまり、「さらに」が「検討すべきである」に係るのか、「慎重に」に係るのかによって、ポジティブ、ネガティブの両方のとらえ方ができてしまいます。この論点をめぐって、名和田先生も私も主張したのは、あるいは西尾先生もおっしゃっていたと思いますが、慎重というよりも、むしろ積極的に議論すべきではないか、実現すべきではないかということだったと思います。勿論、それに対する反対意見があって、こういうふうな平均的な落としどころになっているんだろうと思いますが、少なくとも「さらに」を加えたのが少し納得できません。

 以上でございます。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 先ほどの幕田委員の一定の人口未満というところですが、私が唯一気になるのはここなんです。ただ、ここでは、やはり何らかの形で書き込まないと、すべての小規模自治体といっても非常に抽象的だし、わかりにくいということもあるので、これはある一定の線引きをして、そこから上はどうで、下はどうだという形になるのかどうかということも含めて、これは検討しなければいけないということであるという具合に御理解いただければと思います。

 それと、小田切委員の時期尚早というのは、検討することも時期尚早ということですか。

 

○小田切委員 いえ、とんでもございません。そうはありません。

 

○林小委員長 それは違いますね。

 

○小田切委員 それは違います。

 

○林小委員長 ということは、ここに書かれているように、多角的に検討を進めるということに関しては。

 

○小田切委員 ただ、具体的な仕組みをここで書く必要があるのかどうか。

 

○金子委員 具体的なところは全部削除という感じですね。

 

○小田切委員 そういう意味で、具体的なところは削除するという手もありますし、具体的なところについては、もうちょっと緩めて書く、これは1つのオプションだ、選択肢だというふうに書くやり方もあると思うです。いずれにしても、この場で制度設計に踏み込んだ議論はされていないし、あるいは、そこについて私は明確にそういう時期ではないということを幾つかの論点を挙げて申し上げたということもあって、その点は御検討いただきたいと思います。

 

○金子委員 賛成です。具体的以下は書き過ぎている感じがします。

 

○林小委員長 私は、この具体的ということは、制度設計まで言っていないと思うんです。ただ「具体的に」と書かれているために、こういう制度設計であるという、これは1つの方向性と考えたということだと私は思います。

 

○金子委員 もうちょっと別の書きようがある。

 

○林小委員長 どうぞ、小幡委員。

 

○小幡委員 これはオプションの1つなのです。先ほど6ページのところで、基礎自治体に求められる十分な行財政基盤を有していないとは何かという話がございましたけれども、これは、今、基礎自治体に、法令上これをやりなさいと全部決まっている事務を、ここがやるという、そういうイメージをしたときに、十分な行財政基盤を有していないのではないかという意味だと思うのです。そういう基礎的自治体に対して、さまざまな広域連携でありますとか、隣の自治体に頼むとか、そういうことをいろいろやりやすくしましょう、そして、もう一つのオプションがこれですから、私はここで書いていただいてよろしいと思うのですが、あくまで自らの判断で選ぶのであって、義務付けているわけでは決してないのです。さまざまなオプションを広げていこうという1つの検討のステップだと考えれば、この程度は書いていただいてよろしいのではないか。やはりサービスの受け手の住民にとって一番よい方法を探るというのが考え方として必要だと思います。

 

○林小委員長 どうぞ、江藤委員。

 

○江藤委員 小田切委員の平均的、共通のところがどこだったか、まだわからないところなんですが、私自身は、2つの条件がクリアできれば、水平的な連携とともに、垂直的な補完も今後考えていくという方向の例示として、こういうような方向性はあり得るんではないかなと思っています。「具体的には」以下を削除という議論もありますけれども、自らの判断によりという、これはかなり重いと思うんです。自分たちの事務を自分たちで決めることができるんだという、自治というのを明確にしたという意味と、先ほど金子委員が危惧されていた、一回やれば終わりですかではなくて、今後検討の中では、解除もできるという仕掛けをちゃんと入れ込むわけです。それは文言の中にも入れた方がいいと思います。

 それから、多角的に検討ですから、こういうものを検討していきましょうよということですから、水平的連携の定住自律圏のような新しい仕組みと、垂直補完についての例示というのも少しあってもいいと思います。ただ、これは強制ではないというところは何度も強調された方がいいと思います。

 ただ、こうした視点から2つの条件を提案したい。制度設計上難しいと思いますけれども、一定の人口未満で切るというのは問題です。「一定の人口未満」は削除したい。これが1つです。

 それとの関連で言うと、4ページのところに、小規模市町村の例示というので、小規模市町村の定義ではないんでしょうけれども、1万人を例示して出しているんです。1万人で切るんではなくて、「小規模市町村は依然として多くて、例えば、1万人未満は」という例示を出すならまだわかるんですけれども、この辺りの書き方を注意してほしいというのが1点。こうした緩やかな書き方にしなければ、誤解を与えるので、「具体的」以下なところは削除した方がいいと思います。

 それから、何度も言いますが、総合的行政主体というところのニュアンスがずっと続いているわけです。フルセット主義的なニュアンスが続いているんですが、そうではないんだよという議論は何度も確認しています。いろんな連携をしながら、いろんな身近な仕事を自治体でできるんだ、市町村でできるんだというところも総合行政主体なんですよというところの確認です。フルセット主義のトーンがあるんで、いろんな危惧されるところがありますけれども、かなりそこのところは気をつけた方がいい。このトーンが緩められず、いろんな方が心配するんだったら、27の地制調の総合行政主体の引用は削除した方が逆にいいかもしれないなという気がします。いろんなオプションの、繰り返しますが、水平的な連携とか、垂直補完を今後考えていく制度設計は大事だと思いますけれども、そこのところの2点ほど、具体的には「一定の人口未満」を削除、それから、今、お話をした総合行政主体とのかかわりの中で明記をちゃんとしていくということがあれば「具体的」以下の段階は残してもよいと思うということで、一言言わせていただきました。

 

○林小委員長 総合の意味は、やはりそういうことだろうと思うんです。フルセットではないんだ、すべてやらなければいけないということではなくて。ただ、これは新しい制度として、パッケージで考えているというのは、例えば、子育て支援でも、ある事務だけではなくて、子育てを支援していく上で、パッケージとして県がやるということができないだろうかということで、そういう意味では、それも、ある1つのテーマに関して総合的に実施できるという意味も含まれている。

 

○江藤委員 是非そこは文章に入れていただきたいと思います。これだと、フルセット的な読み方ができる、具体的に例は出しませんけれども、何か所かあるんではないかなと思います。

 

○林小委員長 わかりました。

 名和田委員、どうぞ。

 

○名和田委員 先ほど金子委員が意味不明とおっしゃったのを意味不明のまま終わっては困ると思うので、その「小さな自治」のところについて私見を言わせていただきたいと思います。

 11ページの「小さな自治」への対応の第2パラグラフのところで「住民自治や住民と行政との協働については」というふうに2つのことが書かれているんです。今、自治基本条例などの取組みで、各自治体では「住民自治」はよく「参加」と言っています。「住民と行政との協働」は「協働」と言っているわけです。この2つは、自治基本条例の最近の様子を見ていると、だんだん境目がはっきりしなくなっているのですけれども、国の文書ではここは一貫してはっきりしていて、「住民自治」とは民主主義の問題であり、例えば、地域協議会の委員を公選して決定権を付与するとか、そういう文脈にある問題で、「住民と行政の協働」というのは、行政と市民社会の諸主体が連携して、どう公共サービスを確保していくかという問題なんです。それは第27次以来、ずっとそういうふうに文言が使い分けられてきたと思います。それで、ここの文章を論理的に読むと、最初、住民自治の話をしているわけです。次の12ページの「さらに」のところから協働の話が始まるわけです。だから、ここは削除すると非常にバランスが悪い。

 それから、もう一つ、最後の「この点、近年、地域のコミュニティ組織において経済活用の重要性」というのは、いわゆるコミュニティビジネスのことですね。私も多少発言した記憶があります。このコミュニティビジネスについて、地制調は総務省の審議会ではなくて内閣府の審議会ですけれども、事務局は総務省がやっていて、ほかの省庁はやっているのに、総務省はこの取組みが非常に遅れていると思うんです。私、地元でも活動していて、非常に重要だと思います。ですから、これは制度を主として扱う地制調においても、答申の中にこういう文言があってよいし、現状ではあるべきだと私は考えております。

 以上です。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 金子委員、どうぞ。

 

○金子委員 今の点については、住民自治については結構議論がありましたけれども、私は、この地制調で主な論点としてやっていないので、やっていないことをここに書くのと思ったです。経済活動の重要性が高まっていることだけだったら、名和田先生みたいによく御存じの方だったら、専門家だったら、これをちょっと見ればおわかりになるかもしれないけれども、これは国民に対して出すというか、そういう発信もしなければいけないわけですから、経済活動性の重要性が高まっているというようなことも、書くのであれば、もっとわかるように実態を書くべきであって、これでいいというのは私はとても許せないと思います。

 

○林小委員長 よくわかります。これは修文するか、ちょっと検討します。

 

○金子委員 もう一点、さっきの江藤委員の10ページのところの自らの判断でやれるからいいではないかというような話なんですけれども、この制度設計の中で。

 

○江藤委員 そういうのを明記する必要があると言った。

 

○金子委員 自らの判断でと書いていても、制度設計の中で適切な財政措置というような、いろんな財政措置で、誘導のことをいろいろ考えると、自らの判断と書きながらも、事実上は強制みたいな形になる可能性もある。これは一部の町村非常に危惧されておる点であるので、私としては、ここまで具体的でなくて、枠組みだけみたいな形にした方がよろしいではないかなと思っているわけでございます。

 

○林小委員長 政所委員、どうぞ。

 

○政所委員 皆さんと重なっている部分は省略いたします。語尾の表現について、やはり誤解が生じる点があると思います。

 2〜5ページ辺りに係るところで、先ほど委員長がおっしゃったように、分権改革推進委員会の方でされている部分と重なるところでは、むしろ誤解が生まれるところは表現を変えていただきたい点があります。

 合併に関する評価と検証という辺りで、2ページから3ページにかけて、地方分権の受け皿としての体制整備が、例えば「サービス提供等の充実が図られている。」、2番も同じように「図られている。」、3番も「活性化の新たな取組が生まれつつある。」、4番も「行政の効率化に向けた取組が行われている。」ということです。次に、課題のことになると、先ほど小田切さんからも出ました、「地域の伝統・文化の継承・発展が危うくなる」、比較対象の課題分野、扱っている部分が非常に狭いです。課題の面も、冒頭に評価されている1〜4に当たる部分についても相当課題がたくさんありますので、全体として、この委員会では、合併について評定を下す役割はないと思いますが、皆さんからもこれまでに出た意見を考えますと、この表記と比較の割合がどうかなという点が非常に気になります。

 課題があり、差異があるからこそ、議会のあり方、事務処理、あるべき方向、そういうことが今、議論されているわけです。改善の必要性がなくなってくるわけです。事務局がまとめられた表記の中で、語尾の使い方が気になる点がかなりございます。

 1点、そのことで代表例を言いますと、広い意味で多くの人が自治に参加する、それから、情報は住民に公開していく方向です。事務処理についても、それを伝えていくということは、皆さんの共通認識であったと思います27ページに出てくる、例えば「インターネット等で公開していくことが適当である。」は「適当」という言葉よりも、「責務である」とか、その辺の表記のメリハリと使い方が重要なポイントです。全部申し上げませんが、是非、議論があった部分で強調されるべきところは、修文していただければと思います。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 では、西野委員。

 

○西野委員 まず、4ページの「基礎自治体に関する残された課題」の(1)では、小規模市町村が依然としてたくさん残っています、その財政基盤の強化が課題ですということが書かれているわけです。つまり、もうこれ以上、合併というのを進めないかもしれない、あるいは進めても、もう余り大きくなれない、今までなれなかった、合併した上でもまだ小さいというところもあるわけですが、そういうところに関して、合併だけ強調している感じがするので、7ページにお書きになっていらっしゃる行財政基盤の合併による強化のほかに、共同処理方法による広域連携とか、都道府県等の補完とか、あるいは水平の補完とか、そういったようなことを後半に加えた方がよろしいというふうに思います。つまり、ここでは、合併をしていないともうだめだ、財政基盤の強化はできないんだという形に放り出された感じがしますので、ほかの方法について考えましょう、残された課題として、ほかにはどういうやり方があるのかということをもう少し入れた方がいいかと考えます。

 それから、12ページ前段でございますが、先ほど何度も問題になっておりますが、私も、「この点」というところから、前のパラグラフとの連絡がよくわからないという感じがいたしまして、突如、コミュニティ組織の経済活動の重要性という問題が指摘されている。前からの続きとして見ると、容易に理解しがたいという感じがいたしますので、ここのところはもう少しお書きいただきたいと思います。

 それから、細かいところでございますが、3ページの(4)なのですが、前発言者がおっしゃった、同じ箇所でございます。2ページの「(2)市町村合併の評価・検証」から始まりますが、(1)、(2)、(3)と現在進行形で小見出しが書かれております。受け皿の体制を整備しているとか、あるいは、高齢社会の備えとかいった形で、現在進行形の様子がわかるわけですが、(4)だけが効率的な行政運営を確保したという感じで完了形の感じがいたしまして、それは本当に完了形の形と理解されていいのかどうか。要は、そういうものに取り組んでいるんだということだろうと思いますので、つまらない、小さなところですが、小見出しを変えていただきたいという感じがいたします。

 それから、もう一つ、これも先ほど来出ていた問題ですが、5ページです。表現の仕方なんですが、(3)の(3)のところで「行政単位のあり方が課題となっている。」とあります。この「課題」というものの使い方が、これをお書きになっている方の癖かもしれませんが、あるいは霞が関文学とおっしゃったものかもしれませんけれども、ここでは、行政運営の単位のあり方がどうあるべきかということを検討しなければならないという意味だと思うんです。ですから、ここでは、むしろ行政運営の単位のあり方が問われているというような表現か、要するに「課題」という使い方がちょっと当たっていないような気がいたします。今、見つかりませんが、ほかにも同じ表現の方法で書かれていたところがございますので、御検討いただきたいと思います。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 では、武田委員。

 

○武田委員 先ほど議論したところが、議論が流れてしまったので、再確認ということと、新たな別の論点を1点、言わせていただきます。

 9ページの(3)の先ほど来問題になっています行財政基盤のところですけれども、義務付けと行財政基盤というものを、この場合はセットで論じているわけですので、義務付けを行う限りは、行財政基盤を国がちゃんと保障するという考え方が示されるべきだと、これは地方自治法上にもそのような規定があるわけですから、国が義務付ける以上は、財政基盤を国が支援をするなり、保障するというような文面が当然ここには含まれているはずなのだけれども、そうしたニュアンスが抜けてしまっているがために、合併するしかないんだというふうなニュアンスを感じてしまっているというところが残念なんです。

 したがって(3)の第1段落から第2段落にかけて、義務付けに関する国の財源保障責任というものもちゃんと言及をされるべきではないかと、ここのところは、もしそれが合意が得られなければという意見もあるというふうに是非ともお書きいただきたい点です。

 それから、もう一つ、別の点ですけれども、5ページ、10ページのところに出てきます大都市の市町村が抱える大都市圏の課題の関係のところですが、これは前回の文面になくて、今回挿入されているのですけれども、5ページの(3)のところでいきますと「面積が小さな市町村が数多く存在しており」という一文が挿入されています。10ページのところにも同様に(4)の4〜5行目、さきに述べたとおり面積が小さく云々というのがありまして、面積が小さいと何かいけないことがあるのか、なぜこの一文が挿入されたのかがよくわからない、これはなくてもいいんではないかというふうに思います。

 

○林小委員長 面積の話は、そのために受益と負担が一致しないということなんです。だから、面積が小さいから効率が悪いとか、そういう話ではなくて、「面積」という表現がいいかどうかは別ですけれども、意味としてはそういう意味です。

 それから、財源保障の話は、これは書き込めないと思います。どこまで財源保障するんだとか、あるいは補正はいいのかどうかとか、小規模のままで、お金さえあればできるんだということで、では、それは丸のまま、義務付けているから保障するのかという話も、やはりこれは議論していかなければならないことですから、財源保障があればやれるではないかという議論は、ちょっとここでは避けたいと思っているんです。

 

○武田委員 財源保障の細かいやり方ではなくてですね。

 

○林小委員長 だから、義務付けの場合には当然国が財源保障しなければならないというのはよくわかります。しかしながら、では、どういう形ですればいいのかといったときに、例えば、直営でやっているときと民間委託でやっている場合にコストが違う。それは直営で保障するのか、民間委託で保障するのかといったような議論とか。

 

○武田委員 いえ、そこまでは踏み込まなくてもいいんです。

 

○林小委員長 こういうこともあるので、義務付けている限りにおいて財源保障すべきだということを書き込むと、そこまで議論をしていかなければならないのではないか。つまり、誤解を生む可能性があるんではないかと思うんです。

 

○武田委員 であれば、抽象的でも構わないので、少なくとも地方自治法に書かれている文面に従って、義務付ける場合には財源保障するべきであるというような、今、その文面が見当たらないのですけれども、例えば、2条の13項ですか、地方公共団体が処理される事務云々ですか、違う文面かもしれませんね。ほかの条文を今、探していたんですけれども、見当たらないので。

 

○林小委員長 そう書いてあると思います。

 

○武田委員 そうした理念を踏まえて、原則的なところを書くべきだと思います。

 

○林小委員長 その点に関しては、仮に都道府県がやった場合は、財政措置をしますよということが書き込まれているので、これで、要するに財源措置という、つまり、小規模自治体でもやれるというところまで財源保障するかどうかというところに関しては、やはり議論があるんではないかという気がします。

 どうぞ、西野さん。

 

○西野委員 もう一つ追加したいことがございました。7ページの第2パラグラフの最初のところに「全国的な合併推進運動については」というくだりがございますが、ここは、特例法の期限である、これこれまでを区切りとするのが適切であるというふうになっているわけで、それはよろしいんですが、ここで使われている「合併推進運動」という言葉について若干抵抗を感じて、違和感を感じております。つまり、運動というのは、国レベルだけではなくて、それに参加しているメンバーも一緒になってするというような、そういう活動を行うというような意味も含めているとすると、ここで一区切りにするというふうに一方的に言っているということは、活動を支援している者が言っているという意味だと思うんです。私の理解では、国のイニシアティブでやっていたとしても、そういう支援活動というのを合併推進の支援活動、あるいは合併支援活動については一区切りとすると、こういうことではないかと思うんです。運動はまだ続けているところがあるかもしれません。ですから、この「運動」という言葉について、ちょっと抵抗を感ずるのですが、いかがでしょうか。私だけでしょうか。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○江藤委員 今の話は、「強力な支援運動」とかという話だろうと思うんですが、もう時間がないですよね。今日も議会についても、幾つか論点を持ってきていたんですが、前回出された資料2の監査委員の選出方法と、それから、資料3の議会の実地検査権は、前回、一応、確認を取ったのではないか。私の理解が違うのか、もう一度確認しますけれども、資料2の方は、後ほど説明していただきたいんですけれども、資料3の議会の実地検査権については、選任方法がどうであれ、議会に実地検査権を付与するという確認は取ったんではないかと思うんです。それが、26ページです。「検討していくべき」となっているんです。これは違うんではないでしょうかということです。前回の議論を踏まえると、付与していくということで、今の使い方では「適当である。」でしたか、そんなようなところだと思います。これが1点です。

 それから、あれだけ議論していて、いろいろ事情があると思いますが、その事情についても説明していただきたいと思うんですけれども、前回のペンディング部分について、時間の関係で繰り返しませんけれども、西尾委員が提起されたことで一応、着地したんではないかと思っているんです。これは今回の目玉です。だから、前回の議論に踏みとどまるべきではないか。しかも、これを読むと、西尾委員の出された、あれだけ確認されたのが1つの意見になってしまっているんです。この辺の確認は取っておきたい。もう時間がないので、これだけにします。

 

○林小委員長 実地検査権につきましては、ある一定の落としどころというか、この小委員会ででき上がりました。それはバーターではないんだということで、検討ということは、コンセンサスを踏まえていないのではないかという話なんですが、この辺りはもう確認するまでもないと思うんですが、前回、そういうところでいきましょうという話になりました。ただ、そういう形で書き込む、認めるというところまで思い切って言ってしまっていいのかどうかというところの検討はしなければいけないんではないかというようにもちょっと思ったものですから、こういう書きぶりになっているということです。

 

○江藤委員 具体的に何か不都合を生じるような話はなかったですよね。

 

○林小委員長 それによって何か不都合があるかどうかということですね。

 

○江藤委員 この書き方だと、むしろ監査委員のところの意味がわからないんです。

 

○林小委員長 それはあります。

 それから、議選委員に関しましては、これが今日一番の争点かなと私も思って、この場に参りました。今日の「答申案」になっておりますように、1人にするというところまで制度化することをためらったということでございます。その辺り、私も会長のお顔も浮かんだりしまして、ただ、次の総会に1人以内とするという形で出して、これは答申ですから、答申は小委員会としての意見ばかりがここに書かれているわけではなくて、当然、総会としての答申なので、そういう意見が多分出てくるだろうということを考えながら、落ち着くところはこういうところかなと思いました。

 ただ、これでは専門小委員会の意見から随分後退をしているということでもありますので、1つは、例えば、運用で、今、もう既に2人以内になっているので、それを1人にしているとかというところもあるんです。そういうことを強くアピールするというか、そういうメッセージを送るということで答申をまとめるというのも、随分後退ですけれども、1つかなというような気もしております。今日、私、これは、ちょっと気が重いなと思って来たところでございまして、この辺り、もう決まっていたことではないかという気もするんです。

 江藤委員、どうぞ。

 

○江藤委員 議選の人数の話というのはまたあると思いますが、議会の選挙というのは確認したというのでいいんですね。

 

○林小委員長 議会で選挙するということですね。

 

○江藤委員 西尾委員はそのほかに、公選制を許容するということも。前回はそういう話だったと思います。その上で議選の人数の話だと思います。

 

○林小委員長 意見があったという形になっているんですね。議会が選挙するということに関しても、これは意見になっているので、ちょっとどうかなという感じがいたします。

 それから、公選の余地ですね。公募ができるようにするなどという形になってはいるんですが、公選とは大分違うので。

 どうぞ。

 

○行政課長 いろいろな経緯があるものですから、いろいろなことを全部書かせていただきましたので、経緯だけ事務局の方から説明をさせていただきます。

 14ページの真ん中辺りにつきまして、監査委員の選任方法について、議会の選挙によるという部分は、最初のころに小委員会の方で議論をされて、議選の廃止と併せて議会の選挙という選任方法があるのではないかということでございます。これが12月の総会に報告をされたということでございます。

 その後、12月の総会で、14ページの下からでございますが、最初に議選委員の廃止についての意見がありますが、15ページの4行目ぐらいですが、監査委員の選任についても、議会の選挙という方法については、政治的なものが持ち込まれるのではないかなど、いろいろな御発言があって、慎重に検討すべきとの意見があったということで、これを書かせていただいてございます。

 更に、その下に、議選委員の1人以内という意見に加えて、先般、選出方法について、今度は公選による選出も可能とすべきという別の観点からの御意見もあったわけでございます。

 したがいまして、小委員会の中では、当初は議会の選挙という御意見、先般は公選という御意見もあり、そして総会では慎重に検討すべきという意見もあり、さまざまな意見が出されておりますことから、15ページの下から6行目ぐらいですか、選任方法については、公選により選出することを含めてという形で検討を行う必要があるという表現にしてあるということでございます。

 

○林小委員長 ということで、まず1つは、議会が選挙するんだから議選委員は外すべきであるというところとセットであったということもあるんです。ですから、議選委員をそのままにしておくということであれば、議会で選挙するかどうかということは考えなければいけないということになりますので、この辺り、議選委員を1人にするとかというところまで書き込まないということであれば、議会で選挙するということも含めて検討しようということになるということで、今後の検討課題という形になっているということでございます。

 どうぞ。

 

○江藤委員 これを見ると、こういう意見があったということで、議事録を読んでいるみたいですね。答申ですから、基本的な方向性を出された方がいいと思います。

 

○林小委員長 この点に関しては、小委員会の間では、今回の29次の大きな課題だし、目玉です。だから、出すべきだということで意見はまとまっていると思いますし、私、個人的にもそのように認識はしております。だから、これはどういう形でおさめればいいのかというのは、もう一度会長と御相談するしかないのではないかというように思うのですけれども、それでよろしいでしょうか。総会が16日で、それまでに開くということが非常に難しくなっている。総会の案内は行っているんでしょうか。

 

○行政課長 はい。本日、終了のときにお話を申し上げます。

 

○林小委員長 ということで、今日、例えば、小規模市町村の一定未満の人口のところとか、これは外していった方がいいのではないか。幕田委員も、これで切られるとちょっと困るところも出てくるということは、要するに、それ以上でも、やはり県にやってほしいと思っているところもあるということだと思いますので、これはもう少し具体的に考えようと思います。

 それから、行財政基盤、武田委員のおっしゃったことは私もよくわかります。義務付けているのに出さないのはおかしいというのはよくわかるんです。義務付けているから、出しているんだとは思います。ただ、それ以外のところで、補正を変えたりとかいったようなこともあって、交付税が削られているということもあるので、その辺り、もっときちっと議論しないといけないから、それがなくても、こういう形で、自治体の判断で県が仕事をやるということに関しては、そういう選択肢をつけるというのは、私は、これはもしつくらなければ、本当に住民生活が危うくなるということを、責任持ってどうやって担っていくんだろうというような気もするので、それは江藤委員おっしゃったように、住民の判断でというところが強調できれば、それも1つのオプションだということを明記するということで、これは外せないのではないかというような気もいたします。

 あと、監査委員の選出方法に関しましては、会長、副会長と相談をしながら、総会までに、こういう形でいくということを委員の皆様にお知らせをしてということで御一任をいただけますでしょうか。私自身も、議会のあり方、監査のあり方まで突っ込んだ議論をここでいたしましたので、その辺りは何か残したいという感じはあります。会長も恐らくそういう具合に感じておられると思います。ただ、総会にかけなければならないということもあります。

 どうぞ。

 

○西野委員 この小委員会で意見がかなり集約していたのに、すべて「意見もあった」ということで並列化されているところが非常に不満に思います。そこで、そういう表現を変えていただきたい。そういう意見が強かった、しかし、一方で反対意見もあったというような形にしていただいて、全部並列というのについては、むしろ真実でないという気がいたします。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 これだったら、少数意見だったというようにも読まれかねない部分もありますから、そうではなかったんだということが明らかになるようなことと、もう一つは、運用上、議会からの独立性ということをもうちょっと強調するというか、その辺りも何か書き込めれば、あるいは専門性を高めるとかといったようなことで、2人以内のところを、これはまだ書き込むかどうかわかりませんが、その辺りも含めて、この小委員会の意見が伝わるような答申に修正をするということで、会長との相談の結果、どのようになるかわかりませんけれども、そういうことも含めて御相談を申し上げたいと思います。

 どうぞ。

 

○江藤委員 基礎自治体のあり方と監査機能の充実・強化についてはある程度議論したと思うんだけれども、議会については、素案が出てからほとんど議論していないんですが、日ごろ考えていることを小委員長に文書で出すとかというのは可能なんでしょうか。

 

○林小委員長 そうしていただければと思います。

 

○江藤委員 ほかの委員の方々も、何かあったらということで。

 

○林小委員長 答申に盛り込めるかどうかということはわかりませんけれども、御意見ございましたら、それから、今日、御発言いただけなかった部分、あるいは後ほど気がつかれた部分も、最終答申案にするまでにお伝えをいただければ、こちらで検討させていただきたいと思います。

 どうぞ。

 

○幕田委員 全体のまとめ方については小委員長にお任せいたします。

 部分的なことなんですけれども、最後の31ページのところに女性議員が少ない理由を取り上げていただいたのは大変結構だと思います。ただ、書き方として、女性議員を増やすための方策としては、諸外国の取組みなどを参考にということで、外国のことだけ書いてあるんですけれども、これは日本でどうするかというのが問題なので、休日や夜間を利用して議会を開いた方が女性議員が増えるのかどうかとか、まず国内の調査が大事であって、外国の事情調査というのはそれに次ぐものであるということで書いていただければいいんではないかなと思います。意見でございます。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○政所委員 1点だけお願いしたいのは、先ほど並列的であるということもありましたけれども、本次検討期間は合併前、合併後と極めて課題が重なり合う複雑な状況下で議論されていますから、むしろ議論された課題点は明瞭にすべきです。法律にかなっているかだけでなく、理にかなっているか、これからの課題解決すべき方向にかなっているかが重要。これまでの意見の中にあった思想が盛り込まれれば必ずしも断定的でなくても盛り込むべきということで、最終は委員長にお任せします

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 斎藤委員。

 

○斎藤委員 とりまとめについては小委員長に一任するということで、私もそうですけれども、監査委員の議会選出と議選委員の廃止ということ、それから、住民訴訟に対する不適切な判断について、こういう対策を講じるべきだということが小委員会で出た、それから、議員の役割等についても、議会に対して厳しい目があるということを前提に議論がなされたということが、地方議会側にしっかり伝わるような案文なり手法というのを是非お願いしたい。そこは自覚を促すという必要性を非常に高く感じております。

 

○林小委員長 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

○江藤委員 斎藤委員が言われるように、議会が余り機能していないというのは重々わかっているんですけれども、分権改革以降、すごく頑張っている議会はたくさんあるんです。今後の方向提案としてここに書いてあることは当たり前にやっている、もっと進んでいる議会も増えてきました。それから、議会基本条例を高く評価していることは意識あることです。しかし、ちょっと笑われてしまうような議会基本条例をここでは出されていますけれども、議会の活動理念を宣言したと書かれているところがあるんです。議会基本条例というのは、基本的に住民、議会議員、執行機関との自治のルールをつくったという、住民の権利を明確にしているんです。だから、こういう書き方も改めながら、頑張っているところもあるんだぞということと、もう少し現状を踏まえながら、頑張っているところの意義は書かれるようにした方がいい。斎藤委員の意見を否定するわけではないんですが、同時に、分権改革以降、頑張っている議会もあるということも含めて明記してほしい。現実はこの水準ではないと思います。

 

○林小委員長 制度改革ではなくて、運用次第で随分やれるし、やっているところもあるんだというメッセージを込めるということで、そして、斎藤委員がおっしゃったように、にもかかわらず、まだ旧態依然としている議会に対しての、そういう意味では警告、両方読み取れるような、そういう文章、なかなか難しいと思いますけれども、そういうことで、小委員会は議会改革を議論するときに、そういうところから出発をしておりますので、そういうことを注意をしていきたいと思います。

 それでは、予定しております時間を過ぎております。先ほど申し上げましたように、6月16日に予定しております総会に「答申案」を諮らせていただきたいと思います。それまでに具体的な表現等も含めて、中村会長、片山副会長とも御相談をさせていただいて、そして総会に諮らせていただくことにさせていただきます。

 それでは、事務局から今後の日程につきまして説明をお願いをいたします。

 

○事務局 今、小委員長からお話ございましたが、今後の予定でございます。第4回総会につきましては、6月16日火曜日午前10時〜12時まで、グランドアーク半蔵門にて開催する予定でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○林小委員長 それでは、これをもちまして本日の専門小委員会を閉会をいたします。長時間どうもありがとうございました。

(了)

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