○片山副会長 おはようございます。
それでは、時間がまいりましたので、ただいまから地方制度調査会第4回総会を開催したいと思います。
まず、御報告申し上げますけれども、本日は、中村会長が急な御事情によりまして欠席をされることになりました。したがいまして、副会長の私が法令の定めるところによりまして会長代理を務めさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
委員の皆様方には、御多忙の中を御出席いただきまして、ありがとうございます。
初めに、本日は御多忙の中、倉田総務副大臣に御出席をいただいておりますので、ごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○倉田副大臣 皆さんおはようございます。第29次地方制度調査会第4回総会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
委員に皆様方におかれましては、一昨年7月の安倍総理からの諮問に応じて本調査会が発足して以来、熱心に御審議をいただき、本日、今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申案をお諮りいただくことに至りましたことに対し、心から敬意を表する次第であります。
地域の活力を呼び覚まし、それぞれの地域が誇りと活力を持つことが必要であり、そのためにも地方分権改革を推進することが重要であります。そして、地方分権改革を進めるに当たっては、地方自治体は今まで以上に国民から信頼される存在になることが求められているわけでございます。
このような中、このたび取りまとめていただきました答申において、今後における市町村合併など基礎自治体のあり方や地方自治体のチェック機能の充実・強化に関する方策について、具体的な御提言をいただけるものと考えております。委員の皆様方におかれましては、これらの案の取りまとめに当たりまして、その過程において大変な御苦労をいただいているものと存じております。総務省といたしましても、答申が取りまとめられた際には、この調査会の御議論を十分に踏まえ、その趣旨の実現に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
最後に、委員各位の並々ならぬ御尽力に対しまして、重ねて敬意を表しますとともに、皆様の御健勝と一層の御活躍を祈念いたしまして、私のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
平成21年6月16日、総務副大臣、倉田雅年。
今日は佐藤大臣が皆様にお目見えしたいとおっしゃっておりましたけれども、内閣委員会にごあいさつに上がることになりまして重なりましたため、失礼を申し上げた次第でございます。よろしくとのことでございました。
○片山副会長 ありがとうございました。
倉田副大臣におかれましては、この後公務がございますので退席をされます。ありがとうございました。
○片山副会長 それでは、議事に先立ちまして御報告をいたします。
昨年12月5日に開催いたしました第3回総会以降、3名の委員の異動がございましたので御紹介いたします。
まず、全国市議会議長会ですが、五本幸正委員が就任されました。
○五本委員 五本でございます。よろしくお願いいたします。
○片山副会長 ありがとうございます。
次に、全国町村議会議長会でございますが、野村弘委員が御就任になりました。
○野村委員 おはようございます。全国町村議会議長会副会長の野村でございます。どうぞよろしくお願いします。
○片山副会長 ありがとうございました。
なお、全国市長会は本日は御欠席ですが、森民夫委員が御就任になられております。
それでは、カメラの皆さん方、よろしいですか。
それでは、早速議事に入らせていただきますが、総会が始まります前に運営委員会が行われましたので、まず、その結果につきまして、私が運営委員会の委員長ですので御報告申し上げます。
運営委員会においては、本日の総会の運営等について相談いたしました。その結果、本日の総会におきましては「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申(案)」について御審議いただくことと決定いたしました。
それではまず、専門小委員会における審議状況につきまして、林委員長から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○林委員長 御報告申し上げます。
今次の地方制度調査会では、平成19年7月3日に開催されました第1回総会において、内閣総理大臣から市町村合併を含めた基礎自治体のあり方、監査機能の充実・強化等の最近の社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度のあり方について、地方自治の一層の推進を図る観点から調査審議を求めるとの諮問を受けたところでございます。
その後、第2回総会では、今後の審議事項について御決定をいただき、第3回総会ではチェック機能の充実に関する専門小委員会の調査審議状況及び市町村合併の評価・検証・分析について御報告をし、御審議をいただいたところでございます。
また、専門小委員会では28回にわたり審議を行ってきたところであり、今般「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申(案)」を本日の総会にお諮りすることとなった次第でございます。
それでは、専門小委員会で取りまとめました答申案につきまして、事務局より朗読をさせます。よろしくお願いいたします。
○合併推進課長・市町村課長 (以下、資料朗読)
前 文
平成7年に制定された地方分権推進法に基づき進められた改革は、平成12年4月の地方分権一括法の施行として結実し、我が国の地方自治制度の姿を一新するための取組が行われた。残された諸課題に対応するため、平成18年12月に地方分権改革推進法が制定され、現在、新たな改革が進められている。
この間、市町村合併も急速に進展し、市町村の規模・能力の拡充が図られてきた。その一方で、地域ごとの合併の進捗状況には差異が見られ、また、合併した市町村における課題も指摘されている。
基礎自治体である市町村は、住民に最も身近な地方公共団体として、さらにその自立性を高めていくことが期待される。これまで進められてきた市町村合併の評価・検証も踏まえ、基礎自治体である市町村の行財政基盤の充実強化を図っていく必要がある。
本格的な地方分権時代を迎え、地方公共団体は自らの責任と判断でその任務を遂行し、住民の負託に応えていかなければならない。しかしながら、近年、一部の地方公共団体で不適正な財務処理等が指摘されるなど、地方公共団体におけるチェック機能のあり方が問われている。住民自治の根幹をなす地方議会の役割や地方公共団体における監査機能は、一層その重要性を増している。
当調査会としては、このような基本的な認識に立ち、市町村合併を含めた基礎自治体のあり方、監査機能の充実・強化等の最近の社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度のあり方について検討を行ってきたところである。その結果、「市町村合併を含めた基礎自治体のあり方」、「監査機能の充実・強化」及び「議会制度のあり方」について、以下の結論を得たのでここに答申する。
○片山副会長 御苦労様でした。
それでは、ただいま読み上げられました答申案につきまして、皆様から御意見・御質問を賜りたいと思いますが、先ほど林委員長からお話がありましたように、この地方制度調査会は総会を基本としますが、専門小委員会でかなり綿密に議論してきた結果をまとめて随時総会に諮ることとしております。したがって、専門小委員会に出ておられるメンバーの皆さん方は常日ごろ意見を述べられる機会が多いんですけれども、専門小委員会のメンバーに入られていない方については総会でしか意見を述べられませんので、まず、その方々から優先的に御意見を賜ればと思っております。ということで、最初に、地方公共団体の代表の方々からもし御意見がありましたら、お述べいただければと思います。
では、大野委員。
○大野委員 御紹介をいただきました、全国都道府県議会議長会会長の大野でございます。
会長・副会長をはじめ、専門小委員会の委員の皆様には、広範にわたる諸問題について熱心に御協議をいただき、今回答申案としてまとめていただきましたことに対しまして、その御労苦に対し、心から感謝を申し上げる次第でございます。
今回の審議の中でいただいた地方議会の監視機能に対する厳しい指摘につきましては、真摯に受け止めて、議会活動・議員活動の活性化に一層努めることといたしたいと思っております。
せっかくの機会でございますので、地方制度調査会の今後の検討に向けて2点ばかり意見を述べさせていただきます。
まず、議会の招集権についてですが、現在の長が招集する制度から、議会の自立性を高めるため、議長に招集権を付与するよう要請してまいりました。この点について、答申においては引き続き検討することとされておりますが、議会の監視機能、政策立案機能を更に高め、真の二元代表制を実現するため、招集権のあり方について更なる検討が必要であると考えているところでございます。
次に、議員の位置付けについてですが、私どもが主張してきたとおり、議員活動は本会議・委員会への出席だけではなく、調査研究活動や住民の意見の把握など幅広いものであることについて御理解いただき、答申に明記されたことにつきましては感謝を申し上げる次第でございます。議会の監視機能、政策立案機能の強化のためには、議会を構成する個々の議員の職務・職責を法制化することにより明確にし、それにふさわしい活動基盤を整備する必要がありますので、議員活動と政治活動との関係などを含めて、更なる検討が必要であると考えます。
なお、議員の位置付けについての検討の前提として、広域自治体と基礎自治体という役割の違いを踏まえて、論点によっては都道府県議会と市町村議会、また、議会を構成する都道府県議会議員と市町村議会議員を分けて議論していただくことも必要であると考えるところでございます。
以上、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○片山副会長 ありがとうございました。
続きまして、五本委員、お願いします。
○五本委員 全国市議会議長会会長の五本でございます。この5月に就任いたしましたので、これから何とぞ御指導賜りますよう、まずよろしくお願い申し上げたいと思います。
本日は御欠席でございますが中村会長、片山副会長、そして、林委員長を初め、専門小委員会の皆様方には今日まで精力的に御審議をされ、答申案を取りまとめていただきましたことにつきましては心から敬意を表する次第です。感謝申し上げます。
私からは答申案につきまして、監査機能の充実・強化、議会制度のあり方について何点か意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、監査機能の充実・強化についてですが、専門小委員会におかれましては監査委員の独立・強化等の観点から、監査委員の選任方法を議会の選挙によることに改め、議選委員を廃止するという方向で御議論されたということは承知致しております。これに対しましては本会では、議会の選挙に変更することについては、監査委員の独立性の強化の観点から賛意を表しておりますが、議選委員の廃止につきましては事務局体制の強化なくして単に議選委員を廃止した場合、かえって監査が形骸化すること、議選委員を法律で一律に禁止するのではなく、議選委員を選任するかどうかについても議会の判断に委ねるべきなどを主張してまいりました。答申案では引き続き検討を行うとされておりますけれども、今後の検討に当たりましては、自治体の実情に即した実効性のある監査機能の充実について、更に御審議いただきますよう、お願い申し上げたいと思います。
なお、私ども地方行財政の適正な運営を確保していくためには、監査機能の充実・強化は不可欠であると考えております。議会の監視機関としての役割の充実に向け更に努力してまいりたいと考えております。
次に、議会制度のあり方についてでございますが、本会はこれまで地方分権時代における地方議会の役割は一層重要性を増すことから、今次の議会制度改革においては強い議会の構築と議会活動の自由化が極めて重要あり、そのためには、議会の自主性・自立性を高め、各議会が地域の実情に応じ、自らの判断により権能を行使できるように議会の活動を制約している関係法令上の諸規定を見直すべきであると主張してまいりました。
答申案においては、契約の締結及び財産の取得、処分にかかわる議決事件の拡大、議会に経営状況の報告を要する法人の範囲の拡大など、私どもが求めてきた事項が少なからず盛り込まれております。これにつきましては評価するものです。これらの事項につきましては、速やかな法令改正をお願いいたしたいと存じております。
一方、議長の議会招集権の付与については、答申案におきましては議長の臨時会招集請求権の運用状況を見ながら引き続き検討とされておりますが、私どもは二元代表制をとる我が国の地方自治制度のもとで、一方の住民代表機関である議会が自ら議会を開催できるよう、議長への招集権付与をこれまで強く主張してまいりました。これにつきましては、今後なるべく早く実現していただきますよう、改めてお願い申し上げます。
なお、地方自治法第96条に定める議決事件につきましては、本会は制限列挙主義を改め、議決事件は広く条例で定めることを原則とするよう求めてまいりました。この点に関しまして、昨年6月の第11回専門小委員会におきまして総務省より、これまでの制限列挙主義から第96条第1項は必要的議決事件、第2項は任意的議決事件であるとの考えが示されました。これは本会が主張いたします考え方と相通じるものであり、第96条第1項を必要的議決事件、第2項を任意的議決事件とする考え方を答申に明記するよう申し上げてまいりましたが、答申には盛り込まれておりませんので、総務省の公式な見解として早急にお示しいただきますよう心からお願いを申し上げ、以上で、答申に対する私の意見とさせていただきます。
ありがとうございました。
○片山副会長 ありがとうございました。
それでは、山本委員、お願いします。
○山本委員 全国町村会でございます。一言お願いを申し上げておきたいと思います。
私は、答申の案文についてとやかく言うつもりは全くありません。先ほど説明を受けましたが、入念な検討がされていると思います。したがいまして、委員の皆さんたちが熱心に努力されたことについて敬意を表したいと思いますし、これからも努力していただきたいと思います。
そこで私が申し上げたいことは、今度の諮問をした内容でございますけれども、私の聞き違えかどうか知りませんが、あの当時総理は、今度諮問するのは、まず1点目が地方の市町村のあり方、いわゆる基礎自治体のあり方と、もう一つはあの当時皆さん御存じのように、小中学校で大変事故が多く出ました。そういう事故が出た場合に、地方に責任を持つように法令で決めてあると。だから、もう少し地方がそういう点についての責任を持つような検討をすべきであるということを言っておられました。第1回目のときに私はそのように聞いたんですけれども、聞き違いかもしれませんが、そのことについては全く話が出ておりません。2年間皆さんたちは大変な御努力をしたのでしょうけれども、まず、ああいう事故が起こったあの制度そのものについて、何の検討をしたのか全くわからないと思っておりますので、どうぞこれからも地方の実態をよく認識されて、こういう審議をすることが大事ではないかと思います。
もう一つは、地方制度についていろいろと検討していただくわけですから、名前も地方制度調査会になっているわけでして、地方の人たちの意見を十分聞くことが大事です。先ほどから話を聞いておりますと、この委員会は30回以上回数を重ねたということですけれども、地方の人たちの意見を十分聞いたとは私は思いません。現実に地方でいろいろ苦労している人たちがたくさんいるんです。そういう皆さんたちの意見を聞いて、そして、どういうふうにしていったらいいのかということを考えていただくことが大事ではないかと思いますので、今後もし、この地方制度調査会が開かれていく場合は、地方の人たちがたくさん委員の中に入るように御配慮を願いたい。何も市町村長や議会議長にしろと言っているのではありません。地方で実際に実態のわかっている人たち、あるいは地方制度の中でこうしたらいいという意見を持った人が地方にはたくさんいると思います。ですから、そういう人たちを入れていくことが必要ではないかと思います。私はいまだかつて、地方代表としてこの人とこの人が委員になって検討したというのを聞いたことはありません。もし、しているのなら教えてください。確かないと思いますので、是非これから地方の意見をよく聞く、そういう機会を設けるような地方制度調査会になってほしいと思います。
それから、もう一つは市町村合併でございますけれども、先ほどからも話がありましたが、要するに、合併そのものは今後は自主的にやりたいところがやっていくべきであるというお考えを正確に出すことが必要ではないかと思うんですけれども、先ほどの報告で合併の成果はまだ先のことであるにもかかわらず、合併の成果が高いと聞きました。御承知のように、最後の市町村合併は県が指導力を発揮して合併を促進した、これは事実でございますので、県が合併を促進するならば、なぜ道州制に県は賛成しなのかと思うんです。我々市町村にそういうことをやってきた実績を残した県ですから、なぜ道州制のときに一番先に実施すべきだと言わないのでしょうか。この辺りが私はどうしても納得がいかないところでございます。もう少しこれらを真摯に考え、また、合併の成果というのは5年やそこらでわかるものではありません。少なくとも20年はかかるだろうと皆さんが言っております。だから、20年後に合併の成果はかくあったと言うのであればいいんですけれども、今回の答申案では合併の成果は高いということを言っております。ただし、少し悪いところもありますというような言い方です。文言は別として、そういう意味にとれました。合併の成果が3年や5年でわかるならば、こんな楽なことはありません。その辺りの認識が私にとってはよくわかりません。だから、これからも合併というのは地元の意見をよく聞いた上で、皆さんたちが自主的に合併ができるような手だてを講じていくことが必要ではないかと思いますので、その辺りも是非お考えをいただきたいと思います。
もう一つは、これから指導する強制的な合併はやめるべきだと思います。あとは自主的に合併をやりたい市町村が合併を進めていくということにした方がいいと思います。なぜ私がそういうことを申し上げるかといいますと、いわゆる道州制を実施する場合には必ず合併が起こってくると思います。道州制がいいのか悪いのか私どもはわかりません。なぜわからないかといいますと、経験がないからです。まだ日本人は誰も道州制を体験した人はおりません。ただ、自分たちの考え方でいろいろなことを言っているだけだと思いますので、こういう点についても是非十分な配慮を、もし今後、地方制度調査会を続けていくならば、そういうことも申し送っていただきたいと思いますので、お願いを申し上げておきます。
要するに、人々の暮らしが合併によっていろいろな面で阻害されてきているところもたくさんあるんです。その辺りをもう少し掘り起こして検討していただきたいと思いましたが、もう後の祭りでございます。次のときにはそれらについて皆さんたちから御配慮をいただきますよう、お願いを申し上げておきたいと思います。
以上、私が感じておりましたことを率直に申し上げました。この答申案については、私はとやかく言う気持ちは全くありません。皆さんたちの御労苦に敬意を表するだけです。
以上です。
○片山副会長 率直で貴重な御意見、ありがとうございました。
次に、野村委員、お願いします。
○野村委員 先ほどごあいさつを申し上げました、全国町村議会議長会副会長の野村でございます。このたびの調査会の専門委員会、総会も、30回を超える会議を重ねられ、中村会長、また林委員長のもと本日答申案を取りまとめられたことに、各委員の皆様方の御苦労に対し、感謝と敬意を表すところでございます。
私ども町村議会議長会では、これまでの皆様方の審議について深く関心を持ってきたところであり、前任の原会長からもその都度意見を述べてまいりました。本日はこの答申案に対し、思うところを簡潔に申し上げたいと存じます。
第1点目は、市町村合併についてであります。合併の評価等については様々な意見があろうと思いますが、おおよそ答申案の表現は少なくとも私どもの実感とはかけ離れておりまして、よい成果が強調され過ぎている感がございます。合併の宿命でありますが、不便な地域には人が住めなくなり、人がいないところには行政は手を出せません。山林や農地は荒れるに任せてしまうことになります。地方自治の原点に立ち返って、国としてあるべき地方の姿を是非とも考えていただきたいと存じます。
第2点目は、地方自治体のあり方についてですが、答申案では今後の基礎自治体像として第27次地方制度調査会の答申を引用し、このたびの合併により望ましい基礎自治体の姿が実現される一方で、基礎自治体としての能力を有していない市町村もあるとされています。合併は地域の自主性に任せると言っていながら、合併もしない、できないだめな基礎自治体があるという調査会の立場は、地域の多様性を認め、小さくても頑張っているところは生かしていくという地方自治の本旨を見失っているように感じられます。
申し上げるまでもなく、地域自治組織の提案を行った27次の答申には、住民自治の充実も同時に提言しておりまして、地域における住民サービスを担うには行政のみではないということが重要な視点であるとし、住民や重要なパートナーとして各種民間セクターとも協働し相互に連携して、新しい公共空間の形成を目指すべきとしています。
私のところでは木曽の山合いの人口6,000人足らずの小さな町で、県庁に出かけるには片道2時間半以上かかる過疎地にあります。そのため、私どもは住民同士、近隣の自治体同士が身を寄せ合い、道普請、用水路の管理、除雪などさまざまな地域の問題に関し助け合って生活してまいりました。そうでなければうまくいかないのです。
今後の基礎自治体のあり方にとって一番大事なことは、自分たちのことを他人任せにしない、郷土を愛する心の醸成であり、かつ、その実践です。規模・能力で基礎自治体を判断するのではなく、住民の視点に立って過疎・離島の自治体であっても、自立できる夢と希望をもたらす制度を構築すべきだと考えています。
更に今後、小規模市町村のあり方について検討される場合、大都市のあり方や市町村を包含する都道府県のあり方についても同時に検討し、全体としてバランスをとっていくことこそ我が国の地方自治の発展に必要なことであり、小規模市町村だけを何とかしなければという問題ではないと思われます。
第3点目は、監査機能の充実・強化についてです。監査委員の選任方法につきましては、私ども長年監査委員の独立性を高める観点から、議会で選任すべき旨、機関決定し主張してまいりました。専門小委員会での論議も二転三転したようですが、今回の検討結果はいささか残念です。また、町村の監査事務局については、平成9年の法改正までは事務局は置けないとされていました。現在ようやく35%程度まで置くようになりましたが、そのうち半数弱は議会事務局と兼務でございます。私どもは監査機能の充実・強化を図るということであれば、しっかりした事務局体制は不可欠だと考えておりますが、現実には行革の中ではなかなか組織を強化する話になりにくいものです。監査委員は都道府県、市町村、すべて必置ですが、何ゆえか事務局は都道府県のみが義務付け、市町村は任意設置です。住民といういわば株主に説明責任を果たすべき自治体が、民間の上場企業に劣る監査体制では恥ずかしい気がしてなりません。是非とも事務局体制の強化が図れるような環境をつくっていただきたいと思います。
次に、監査結果の報告の決定については多数決によることができるとされていますが、御案内のように、市町村を通じて監査委員が2人のところが全体の約9割と大多数であり、2人では多数決はできないと思います。また、監査は独任制との建前や現在の合議制との混乱が生ずることが懸念されますので、慎重に検討する必要があると思います。
第4点目は、議会制度のあり方についてです。議会制度の自由度の拡大や議会の監視機能の強化に関しては、私どもの主張が反映されており評価できますが、自治法の第96条第2項の括弧書きについては外すのが本来の姿ですので、答申案にはそのことのみを記述すればよいのではないかと考えております。
また、議会の招集権につきましては、かねて私ども3議会議長会がこぞって議長に付与すべきと強く主張してまいりましたので、先送りすることなく実現することを重ねてお願いいたします。
最後になりますが、今般私ども議長会が、今後の町村と町村議会のあり方について研究会を設置し、その報告書がこのたびでき上がりましたので、お手元に提出させていただきました。委員の皆さん方を初め、多くの皆様方に私どもの町村議会について、更なる御理解を賜りますようお願いを申し上げ、私の発言とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○片山副会長 ありがとうございました。
それでは、国会議員から選出されておられます委員の皆さん方、御意見ございますか。
では、太田先生から。
○太田委員 大変立派なものをまとめていただいたと思っておりますが、前回も取り上げたことですが、監査ということを議論する場合には、組織のガバナンスということをきちんと整理しておかなければいけない。組織のガバナンスは論理の話ですから、一人一人の思いつきであってはならないわけです。株式会社の場合には、はっきりしているのは一番上にあるのが株主であって株主総会、その下に取締役会があって、取締役会から代表取締役が選ばれて執行権を委ねられると。あとは、代表取締役が執行役員を選んで仕事をするということになるわけです。だから、ふだんの仕事は執行権の行使をしているわけであって、それが的確に行われているかどうか、それを超える大きな問題があるかどうかによって取締役会が役割を果たすというのが株式会社の世界です。
国はどうかといえば、一番上にあるのが国民であって、国民が選んだ次の段階が国会です。国会の中で互選で内閣総理大臣を選んで、内閣総理大臣がそれぞれ閣僚を任命して、行政各部が働くということになっているわけです。国会は取締役会に相当するものでございます。
では、地方自治体はどうなのかといえば、主権者である住民が一番上にいて、その次に首長がいて、首長と並列して地方議会があるわけです。行政権・執行権は首長に主権者が委ねているわけだから、行政権を除くと何が残るかといえば、議会に本来与えられている一番重要な機能は監査・監視機能ということになるわけです。
ここにも文章でちょっとおかしなことが書いてあるなと思うのは、議会と執行部は内部の人間だと、お互いに内輪の人間だというようなことが書かれてありますけれども、実態はそうかもしれないけれども、その実態が問題なのであって、本来住民から別々に選ばれていることこそ独立性を最もきちんと担保しているものでございますから、監査の主役は議会が担うべきであると思います。
もう一つは、「専門性」という言葉がたびたび出てきます。専門性などというのはほとんどの人は持っていないわけでして、国だって例えば、会計検査院に会計の専門家が何人いるか、会計士の資格を持った人はほとんどいないと思います。我が国はほとんど素人ばかりですから、地方でそんなことを求めることは無理。だから、委員にすることよりも、税理士や公認会計士などに委ねることです。専門家に委ねてお金を払うということをやる。そして、専門家の言っていることを十分教えてもらって、監査委員が役割を果たすということになるわけです。
会計以外の、お金の処理以外の監査というのは大した仕事はないわけでして、大半はお金の処理にかかわることですから、専門家を雇って専門家が効率的に役割を果たすということです。議会の中にあるいは役場の中に、立派な事務局をつくるということが果たして必要かどうかというのは怪しいところです。チェックをされる側の者がまたそこに入るわけですから、そこはどうかなと思います。
もう一つは、10ページ辺りに「旧市町村単位のまとまりを維持することができる仕組み」ということが出てまいります。これは前から時々出てきて、よいことを考えておられるなと思いますけれども、この場合にはもう一つの問題、国会では衆議院が10年ちょっと前に小選挙区制度になったわけです。参議院は違うけれども、それがいいか悪いかは別です。今から元に戻したいと言う人もたくさんいるんですが、そうなったときに当然、地方議会の方も小選挙区になってもらいたいというメッセージを発していたはずなんですね。一向に変わらない。どこも大選挙区になっているわけですけれども、小選挙区制にしてくれれば、それこそ旧市町村単位から1人ずつ出てくれば、はっきりまとまりが出るわけでございますから、地方自治体においても小選挙区制度になってもらいたい。このことを役所に言ったら、それはここの委員の方々が承知しないと。そこは地方自治体に対する干渉だと言うんです。そんなことを言っていたら、ほとんどの地方議会で同じことを思っていたとしても、誰かが発議をし、問題提起をしなければ、そもそも議論がスタートしないわけですから、それは国が音頭をとっても構わないことです。地方分権の話に反することは決してないということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○片山副会長 ありがとうございます。
では、中馬委員、お願いします。
○中馬委員 よく皆様方、熱心に答申案をまとめていただきました。今まで私たちで申し上げるのはなかなかしていなかった問題等も問題提起の形で結論ではございませんけれども、指摘されていることは私はよかったと思っております。
ここの問題でさっと申し上げさせていただきますが、山本さんもおっしゃいました市町村合併の成果といいますか、それなりの目的を持ってやったことについては、それなりの効果が出ていると思いますが、日本の国を運営する基礎自治体のあり方がどうなのかとい観点から見たときには、これもう少し長い目で見ないとこの評価は出てこないと思います。フランスのような形で数千のコミューンがある、自治体がある、私はこれはこれでいいと思うんです。しかし、それは勿論無報酬でございますから、日本の明治時代と一緒で、すべての自治体は無報酬だったわけですから、それが自立した形で、自分たちのコミューンを維持するなら私はいいと思うんですが、今のような形で役場の数も職員も多くて、高給を取っていて、年金までもらうといったものが今のような形で3,300もあったから、私はけしからんということを言いまして、これを3分の1にすべきだと提唱したのは私が自治省の政務次官のときでしたけれども、ともかくそういう意味では効果があったと思いますが、ここに指摘し始めておりますのが町村合併、これは平成22年3月までで今の促進制度はやめるというのは結構だと思います。そして、小規模自治体でも自立できるところは自立して、小さくてもいいじゃないかと、山本さんのおっしゃるとおりだと私は思っております。ただ、合併しなくて補助金よこせだけでは意に反すると思いますから、それは別の問題でございます。
それから、小さいところは府県が代行すべしというような文言がありますが、そういう指摘もあるということがありましたけれども、私は府県制度を前提とするならばそれも一つの方法かと思いますが、これから府県をなくしてしまって道州制に持っていこうとするときには、やはり府県に任すというのではなくて、小規模自治体で機能のところを広域行政的な、お互いが連携し合いながら少し広域的なこと、箱物をつくるとか、機能を持たせるといったことは府県に委ねるのではなくて、地域の近隣の自治体でやっていくべきだと思っております。
それから、地域の自治区は大都市も行政と一般住民との距離が非常に遠くなってしまっております。地域自治区は勿論、町村もそうですけれども、大きな大都市においては逆に必要だと私は思い始めております。それは町内会的なイメージよりももう少し自治的な機能を持たせるとか、あるいはNPOでやるとか、あるいは公益法人制度を変えまして、一般社団という形で町内会でも社団を持てることになりましたから、この形でつくりながら、自分たちで自分たちの地域は守っていこう、自分たちでいろいろなことをやっていこう、公園の掃除その他も含めてそういうことができる制度にしていただきたいと思います。
それから、監査につきましては、今、太田さんがおっしゃったとおりでございまして、議選委員というのは私は要らないんじゃないかと思います。それは議会が果たせばいい役割ですから、それには前提としまして勿論、監査事務局の機能は向上しなければいけないでしょうし、専門家に外部委託するのは大いに結構だと思っています。ただ、今はかなり監査委員も報酬が高いですよね。名誉職的なことであるとするならば、これは責任をはっきりして、行政に不祥事が起こったときそれを見逃していたとなれば、その監査委員は刑事罰でも受けるようなことでなかったら、報酬をもらっている意味がないと私は思います。
それから、地方議会でございますが、議会の公開・傍聴、これはどんどんやるべきだと思っておりますが、そういう形で住民の方も参考人として呼んで聞いたりすることも、私は議長招集でやればいいんじゃないかと思っております。
こうした傍聴につきましては、わざわざ来ていただかなくても、それこそ地デジではないですけれども、各地域でかなり細かいところまで放送している局がありますから、これが可能になってまいりますから、そういう形でテレビで流せばいいことではないかと思っています。
議会の監視範囲を3セクにつきまして2分の1出資を4分の1以上にした、これは大いに結構だと思います。
それから、議員定数の上限撤廃も大賛成です。議員を何人にするかは、それぞれの自治体で決めてもらったら結構だと思います。
何よりも先ほど冒頭で申しましたように、やはり私は基礎自治体の議員は原則無報酬だとはっきり書いていただきたいと思います。勿論、実費は払いますよ。欧米の基礎自治体はほとんどそうですから。大都市的なところは給料を渡しているところもありますが、それもハーフタイムということですからね。例えば、一般の市民の普通の給料が40万円であれば20万円ということです。ということは、ちゃんと自立した生活をしている一般市民が代表として議会に出てくるわけですから、当然ちゃんとした仕事を持っているんですね。ドイツの小さな町に行きまして、そこの議長さんは女性でした。家庭の主婦ですとおっしゃるから、それでは報酬はないんじゃないですかと聞きましたら、私の主人は立派な医者ですと逆になじられましたけれども、そのように自立した市民が代表として議員になるわけですから、生活保護の人やあるいはブラブラしている学生が議員になるなどということは考えられないことですから、ちゃんと自立した生活報酬を持っているはずですから、無報酬でいいわけです。そういう一つの戦前の日本であった、それから、欧米がそうやっているのだったら、余りにも戦後、地方自治法が少しおかしくしてしまった、国会の真似をして地方議員まで全部給料をもらって年金までもらっているというのは見直すべきだと私はかねてから主張しているところでございます。
いずれにしましても、自治というのはそれぞれ自分たちで自分たちの町をどう運営していくかということを自分たちの代表を出し合ってやっていく。それには、国に頼らずに大いに自立し、また、特色を出しながらやっていくわけですから、今度地方分権を一括法でやりますけれども、思い切って地方に権限を下ろす、財源を下ろし、責任を持ってもらう。その中で自由にやってもらったらいい、今後はそういう形の地方制度にしていただきたいと逆に思う次第でございます。
以上です。
○片山副会長 ありがとうございました。
それでは、中川委員、お願いします。
○中川委員 物事の土俵のつくり方というのはいろいろあるのだと思いますが、努力をしていただいたこの答申は、今ある体制というものを前提にしながらどう改革をしていくかという観点で努力をしていただいたのだと思います。そういう意味では、非常に努力を多とするところですが、1つ疑問に思うのは、それで本当にいいのかということだと思うんです。国政が大きな転換期を迎えていますけれども、恐らく分権とか地方自治に関しても大きなビジョンをしっかりした形で、根底から取り直して打ち出していくということをしないと、間に合っていかないんじゃないかという思いがしまして、そこを一つ指摘しておきたいと思います。
限られた時間ですので、今日は出していただいた漸進的なそういう意味での土俵の上によって余りドラスティックなことは言わずに、2点だけ指摘しておきたいと思います。
1つは合併なんですが、本音と建て前というのがあって、自主的にそれぞれの基礎市町村が判断をして、住民と相談しながら合併していくというシナリオに戻るというか、国がリーダーシップ、あるいは県がリーダーシップをとってやりましょうよという話と、それから、あめとむちと出してやっていくようなやり方はやめましょうよという形態だと思うんですけれども、中途半端にやめてしまっていいのかなと逆に思うんですよ。
取り残されたところが、それで生きていくという手はずが仕組みとしてつくられていくんだったらいいけれども、本音のところとしては、このままいってしまって、やはり合併しなければいけないんだ、生きていけないよという話になったときに、十分な支援とかあるいは方向性を国が用意していくということであればいいけれども、結局ここでまた話が中途半端になって、それは終わったことだから勝手にしなさいよという話になってしまったら、とんでもない状況になっていくのだろうと思うんです。だから、やりかけたことはそれが無理な部分があるとしても、あるいは矛盾があるとしても、やはり方向性というのは最後までやりますという話にして、それに基づくいろいろな理想、これは基本的には分権が本気でやられているかということと、住民自治がしっかり入っていくのかどうかという、そこだと思うんです。そこを見て集中して、これは本気でやるんですよという話を一つの国の方向としてリーダーシップとして、コンセンサスをつくっていくという努力を続けていくことが正しいのではないかという思いがしまして、こういう形で答申を書いたときに、そこのところが実際中途半端になるという確率の方が高いんじゃないかということを一つ指摘しておきたいと思います。
もう一つは条例の制定権、これはそれぞれ今話題になってきていますけれども、市町村とか県に対しての答申というより、国に対してはっきり言うべきだと思うんです。法律の枠組みの中で政省令を前提にした法律を組むのではなくて、条例でそれぞれが考えていけるところは法律の中にここは条例なんですよと、政令・省令ではなくて条例で制定していくんですよと。市町村の独自基準というのをここでつくっていくということが、この法律がもともと求めていることなんですよということまでいかないと、市町村のサイドから決められたものをそれに付加するとか、ゴシゴシと削っていきながら、これは条例ですよという話はなかなか難しいのではないかと思います。
この答申案で言うべきことは、国に対してあるいは国会に対して条例制定権というものをちゃんと確立させなさい、法律の中にそれを仕組みなさいというところまで是非言うべきだと思っています。
もう一つ。監査なんですが、誰に対して報告書を出すかということもはっきりさせるべきだと思います。知事あるいは市長に対しての報告ということだと思うんですが、これは議会に対して、我々が想定しているのはアメリカのGAOなんですけれども、そういう監査の報告というのは議会に対してやって、執行部からは独立した形の中身と課題というものをしっかりと組み立てながら、議会に対して報告して、議会がそれを使って調査権をしっかりつくっていくということ、そんなところの整理ももう一つ必要なんじゃないかと思います。
○片山副会長 ありがとうございました。
国会にもちゃんとものを言うべきではないかという御意見だったと思うんですが、もともと当調査会というのは政府の諮問機関ですから、政府にものを言うというのが使命なんですね。別途国会は自由ですから、法律の立法権があるわけですから、国会は国会で法律のあり方を論じられて、修正なり何なりされたらいいのではないかと思いましたけれども。
○片山副会長 それでは、西川委員。
○西川委員 取りまとめ御苦労様でした。私どももこのテーマにつきまして自民党の中でチームをつくって検討してきました。意見はたくさんあったんですが、今日は1点に絞ってお話し申し上げます。
住民訴訟と議会の議決による権利の放棄ですが、裁判である程度結論が出るまで放棄を制限するという措置を講ずるという文章になっておりますけれども、地方は地方独自で決めていく話ですから、それこそ地方分権の趣旨からいって、今度のこの形で制限することがない方がいいと考えています。
大体首長さんが住民訴訟を受けて、勝ったり負けたりを繰り返すということだと思います。数はそうないかもしれませんが、首長が土地を購入する、ほかのものを購入するときも議会の議決をいただいてやるというケースがほとんどだと思うんですね。ところが、訴訟されますと一審で、二審でという話になっていきますが、どの時点まで制限しようとしているかはこの文章ではわかりませんけれども、私は制限しないで議会独自の権利放棄、市に対して市長の損害賠償の問題は放棄するかどうかというのは議会に決めさせるということでして、途中でやるという宣言をするようなことはない方がいいと思っておりますので、御意見を申し上げておきます。
以上です。
○片山副会長 ありがとうございました。
それでは、芝委員、お願いします。
○芝委員 まず、私はいろいろな御意見を聞いていまして、先ほど地方5団体の方々からも御意見をいただきました。ただ、この中で地方制度という部分でくくってありますが、県・市・町・村で議会のあり方、監査委員会のあり方というのは、その規模とかいろいろな部分について大きく変わってくると思うんです。同じ部分で論じられている部分がありますから、いろいろな立場の違いが出てくるということは非常に懐疑に思いました。その辺は是非おまとめをいただけるとありがたいなと思います。
もう一点、ここにも御指摘をいただいていますけれども、今言いましたように、県・市・町・村それぞれの部分の規模やいろいろな条件が違いますから、その中で、それぞれ議会が是非とも議会制度のあり方として、全国で議会の基本条例等を制定する流れを推進していただきたい。これが意見です。
もう一点、今も言いましたように、県も市も町も村も議会事務局が十分に整備できているかというと、やはり人の問題、お金の問題等でできないと思うのですが、特に、その中で議会事務局を整備していく、充実していかなければならない、これは時代に合わせての部分ですけれども、ややもすると、市職員、県職員、町職員、村職員が議会事務局に来て2〜3年間働いたら、また現場に戻っていくわけですから、議員の皆さん方の意向を聞いた中で十分に力を発揮できるという部分は非常に難しい。すなわち、議会と行政側とのある意味では対立する部分、意見の違う部分がありますから、そこで力を発揮することも難しくなってくると思いますから、是非、議会事務局を整備するためには、議会にも当然ながら専門的な職員を配置すべきではないかと。その職員配置をするには費用がかかりますから、是非、例えば諮問機関であったり、審議会であったり、専門会という議会に、いろいろな分野での専門性を持った人たちが、諮問機関として、市議会委員として議会が使えるような部分を整備していく、その辺を是非これからも検討いただきたいというのが3点目の意見です。
以上です。
○片山副会長 ありがとうございました。
このほか、本日御都合で御欠席をされておられます石井委員と森委員からそれぞれ意見が提出されておりますが、もう時間もありませんので、配付しておりますから委員の皆さん方、お読みください。
それでは、御出席の他の委員の皆さんから御意見ございましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、本調査会としてお手元にあります先ほど朗読しました本案のとおり答申をまとめることとしてよろしいでしょうか。
○片山副会長 ありがとうございます。
それでは、そのように取り計らいたいと思います。また、本日の総会の席でも委員の皆さん方から貴重な御意見を賜りましたので、それは私ども会としても受け止めますし、今日、政府関係者の皆さんもおられますので、よく受け止めていただきたいと思います。
今、御決定いただきました答申につきましては、本日午後に麻生内閣総理大臣に提出する予定でございます。
それでは、本日の第4回総会が第29次地方制度調査会の最後の総会になりますので、私から一言お礼を申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、大変御熱心に御審議をいただきまして、ありがとうございました。平成19年7月3日に開催されました第1回総会において、安倍内閣総理大臣から諮問をお受けして以来、2年にわたる審議を進めてまいりましたけれども、皆様の御協力をもちまして総理大臣の諮問に対し答申を取りまとめることができました。第29次地方制度調査会として、地方分権改革の担い手となる地方自治体に対します国民の信頼をより高めるための見地から、一定の方向性を示せたのではないかと考える次第です。
本日取りまとめました答申は、先ほど申し上げましたように、これから内閣総理大臣にお渡しする予定となっておりますが、政府におかれてはこの答申の趣旨を踏まえ、着実に実行に移されるようお願いを申し上げたいと思います。
それでは、以上をもちまして、第29次地方制度調査会第4回総会を閉会いたします。熱心に御審議いただきまして、ありがとうございました。(拍手)