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第29次地方制度調査会第3回総会

日時

平成20年12月5日(金)13時00分〜15時00分

場所

東京グリーンパレス ふじ(地下1階)

議事次第

  1. 開会
  2. 議題

  3. (1)チェック機能の充実に関する専門小委員会の調査審議状況について
    (2)市町村合併の評価・検証・分析について
    (3)その他
  4. 閉会

配付資料


○中村会長 時間がまいりましたので、ただいまから「地方制度調査会第3回総会」を開会いたします。委員の皆様には、何かと御多用のところ御出席、誠にありがとうございます。
 まず初めに、本日は、公務多忙のところ、鳩山総務大臣に御出席いただきましたので、ごあいさつをいただきたいと思います。
 大臣、よろしくお願いいたします。
○総務大臣 本年9月に総務大臣及び地方分権改革担当の内閣府特命担当大臣を拝命し、合わせて地方再生・道州制・郵政民営化を担当することになりました、鳩山邦夫でございます。第29次地方制度調査会第3回総会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 中村邦夫会長始め、委員の諸先生方には、昨年7月の本調査会発足以来、熱心に御審議いただき、厚く御礼を申し上げます。
 中村会長は、名前の方は私と全く同じでございまして、法家・国家のためを考える人間に育ってほしいという思いで、親がそういう名前を付けたかどうは全くわかりませんけれども、会長にはパナソニックという超巨大企業を率いられながら、例えば経団連で道州制のことを努力されたり、また、こうした地方制度調査会の会長になっていただいて、本当にありがたく思っております。
 要するに、市町村合併というのも、平成の大合併を進めてまいったわけでございます。そういう中で、基礎的自治体あるいは都道府県というものが、住民からあるいは国民から信頼されるものでなければいけない。そういう観点から、例えば監査機能の問題もありましょうし、是非とも御審議をいただきたいと思うわけでございます。
 今、地方分権改革推進委員会が懸命に努力をしていただいて、今度の月曜日の12月8日に、第2次勧告を総理に対して示されるわけでございます。中身はもう詰まっておりますので、そんなことで若干私も歩き回ってみたりいたしますと、いくばくかの方々からは、分権するのは反対ではない。地方分権というのは間違った方向ではない。しかし、権限を受け取った側の自治体が本当に大丈夫だと、あなたは責任を持てるかね、こういうふうになかなか厳しい御指摘を受ける場合がございます。だからこそ、地方制度調査会の先生方に、より信頼される地方自治体の制度というものをおつくりいただきたい。当然議会制度の在り方もそこに含まれてくるわけでございますので、議会の権限とか、議員の位置づけ等につきましても、幅広い観点から御審議をいただきたいと存じます。
 また、これからの国と地方の役割分担の見直しという点と、地方自治体の制度の在り方というのは、密接不可分で切り離すことができない事柄であると思っております。
 中村会長が、経団連の中でお進めをいただいている道州制というのは、勿論、賛成の方、反対の方もおられますけれども、仮に究極の地方分権の姿であるとするならば、そのためにどのような制度が必要であるかという大議論がこれから必要になってくるんだろうと考えております。
 要は、地方公共団体が住民の信頼を得ることと、できる限り首長の皆様方が自らの権限と責任で地域経営を行うことができるように、地方分権改革を推進していく、そのためにも、諸先生方の御議論をお願いしたいと思っております。答申のとりまとめに向けて、是非とも引き続き御審議、また御努力をくださいますようにお願いをいたしまして、私のごあいさつとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○中村会長 ありがとうございました。なお、この後、大臣におかれましては、公務により退席されます。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

(総務大臣退室)

○中村会長 それでは、議事に先立ちまして、報告をいたします。昨年9月12日に開催いたしました、第2回総会以降、委員の異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 参議院議員の芝博一委員でございます。
○芝委員 芝でございます。よろしくお願いいたします。
○中村会長 全国都道府県議会議長会でありますが、会長の異動に伴い、現会長の大野忠右エ門委員が就任されました。
○大野委員 大野でございます。よろしくお願いいたします。
○中村会長 なお、西川公也委員につきましては、後ほど御到着の際に御紹介を申し上げます。
 それでは、早速議事に入らせていただきますが、総会が始まります前に運営委員会が行われましたので、まずその結果について運営委員会の方から御報告をお願いしたいと存じますが、本日は、片山運営委員長が御欠席のため、西尾委員からお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○西尾委員 承知いたしました。
 この総会に先立ちまして、先ほど運営委員会を別室において開催し、本日の総会の運営等について相談いたしました。
 その結果、本日の総会におきましては、チェック機能の充実に関する専門小委員会の調査審議状況について、専門小委員会から、そして市町村合併の評価・検証・分析について、事務局から説明を受け、それぞれの事項ごとに意見交換を行いたいと存じます。
 以上、御報告申し上げます。
○中村会長 ありがとうございました。それでは、運営委員会から御報告がございましたように、チェック機能の充実に関する専門小委員会の調査審議状況につきまして、専門小委員会から、また市町村合併の評価・検証・分析につきましては、事務局から説明を受けまして、それぞれの事項ごとに意見交換を行いたいと思います。
 それでは、まずチェック機能の充実に関する専門小委員会の調査審議状況につきまして、林委員長から御報告をお願いしたいと思います。
○林小委員会 報告をいたします。昨年9月に開催されました第2回総会におきまして、指示項目が出ましたことを受けまして、チェック機能の充実として、これまで専門小委員会において、監査機能の充実・強化のための方策や、議会制度の在り方について調査審議を進めてまいりました。
 本日は、これまでの審議経過をとりまとめたものをお手元に配付しております。
 それでは、資料1「『チェック機能の充実』に関する調査審議について」事務局から説明をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。
○行政課長 それでは、お手元横長の資料1「『チェック機能の充実』に関する調査審議について」という資料でございます。林委員長からの御指示でございますので、行政課長の佐々木でございますが、私の方から御説明をさせていただきます。
 1ページは、審議項目でございますので省略をさせていただきます。
 2ページに、これまでの調査審議の状況を簡単に記載しております。チェック機能の充実に関しては、監査制度の充実・強化、議会制度の在り方につきまして、これまで累次にわたる総会、そして専門小委員会において調査審議を進めてまいりました。この間、全国知事会、全国都道府県議会議長会、地方六団体の方々からの意見聴取もさせていただきまして、集中的に議論をいたしまして、調査審議におきましては、多岐にわたる意見が出されたところでございますが、監査、議会、それぞれにおいて一定の見直し等の方向性が示されているところでございます。
 3ページは、これまでのスケジュールでございますので詳細は省略をさせていただきます。
 4ページからが「監査機能の充実・強化」でございます。
 5ページが、具体的な内容でございます。
 「第1 監査委員制度」
 「1 監査委員の選任方法」
 監査委員の独立性を強化する観点から、現行制度では監査委員は議会の同意を得て長が選任となってございますが、方向性といたしまして、議会の選挙により選出という方向でございます。
 「2 委員の構成」
 現行制度で、当該地方公共団体職員OBは1人以内という制限がございます。方向性といたしまして、先ほどの議会の選挙による場合にも、このOB制限は維持する。また、弁護士・公認会計士・税理士といった資格を有する者の積極的登用を促進。
 議員のうちから選任される者が2人以内となってございますが、方向性といたしまして、議員は監査委員に選任できないこととするという方向性でございます。
 6ページ「3 監査委員の権限・責任等」
 現行制度で、長等が監査結果に基づいて措置を講じない場合に、現在は通知・公表等の義務がございませんが、方向性として措置を講じなかった場合にも、その旨を監査委員へ理由を添えて通知。
 また、監査結果の報告等の決定については、現在合議が必要でございますが、多数決によることを可能とする。
 「4 事務局体制」
 方向性といたしまして、監査事務局職員への外部登用の促進。あるいは共同設置の促進ということで、体制強化を促進してはどうかということでございます。
 7ページ「第2 外部監査制度」
 「1 包括外部監査の監査方法」
 現行制度で、包括外部監査人が、そのイニシアティブにより監査を行う特定の事件を選定することになってございます。
 方向性といたしまして、この外部監査人の必要的監査事項として、決算の財務書類の監査を義務付けるかどうかということでございますが、これにつきましては、引き続き検討ということでございます。
 「2 包括外部監査の義務付け対象団体等」
 現行制度では、都道府県、指定都市、中核市に義務付けとなってございます。方向性としては、監査委員制度の見直しを先行いたしまして、義務付け拡大は引き続き検討。毎会計年度、包括外部監査契約を締結する必要があるという現行制度があるわけですが、これについては、条例により複数年度に1回、包括外部監査を受けることができるようにするという方向性でございます。
 また、個別外部監査の導入促進でございますが、現行制度は、各地方公共団体が条例によりまして任意に導入ということでございますが、方向性として導入のための前提となっている条例の制定を不要とするという方向でございます。
 8ページ、小規模団体における外部監査の導入促進につきまして、方向性として人材確保を支援するなどの方策について検討。
 また、外部監査人の専門性の向上という点で、外部監査人に対し情報提供を図るなどの方策について検討ということになってございます。
 以上が監査制度でございます。
 9ページ以降が、議会制度の在り方でございまして、10ページからが具体的な内容でございます。
 「第1 議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策」
 「1 議決事件」
 契約の締結、あるいは財産の取得・処分の議決事件に関しまして、現在は政令の基準がありまして、現行制度では、その種類及び金額について、政令で定める基準に従い、条例で定めるものが議決事件となるとなってございます。
 方向性といたしましては、条例を制定するに当たっての裁量を、現行よりも合理的な範囲内で拡大するという方向でございます。
 次に、法定受託事務ですが、現行制度では、法定受託事務に係るものにつきましては、議会の議決すべき事件として、条例で追加することはできないとされているところでございまして、方向性としては法定受託事務につきましても、自治事務と同様、議決事件の追加を認めることが適当ではないかという方向でございます。
 11ページ「2 議会の監視機能」
 監査委員について、仮に議選委員を廃止するのであれば、議会の監視機能の向上のための方策が必要ではないかということでございまして、現行制度は、議会が実地検査することはできず。必要があるときには監査請求によることになってございますが、方向といたしまして、議会の監査機能を向上させるため、議会に実地検査権を付与する方向でございます。
 また、議会の調査権について、いわゆる少数者調査権というものを認めることをどう考えるかということにつきましては、議会の意思決定がなされるまでの仮定において、少数者の意思をどのように汲み上げ実現していくかについて、各地方議会でさまざまな運用を工夫していくべきではないかということでございます。
 12ページ「3 議会に経営状況の報告を要する法人の範囲の拡大」
 現行制度では、長は当該地方公共団体が2分の1以上出資している法人等の経営状況を調査する権限がございまして、これを前提といたしまして、長が議会に法人の経営状況を報告することになってございます。方向性といたしまして、この対象となる出資法人等の範囲を2分の1以上の出資法人等に加えまして、4分の1出資法人等のうち条例で定めるものにまで拡大という方向でございます。
 「4 住民訴訟と議会の議決による権利放棄」
 住民訴訟の係属中に、議会が、当該住民訴訟において問題となっている損害賠償請求権等を放棄する事例があるということで、そういった議決をすることは問題があるのではないかという問題意識からの論点でございまして、現行制度は、住民訴訟の係属中でありましても、当該訴訟に係る損害賠償等の請求権の放棄を制限する規定はございませんが、方向性として、住民訴訟の係属中は、当該訴訟に係る損害賠償等の請求権の放棄というものを、住民訴訟の係属中は制限するという方向でございます。
 13ページ「5 議会における財政統制、審議の活性化等」
 方向性の1つ目でございますが、決算不認定の場合、議会は審議を通じまして、長の予算執行や政策遂行上の問題点など、不認定の理由を長や住民に対して明らかにしていくべきである。
 一方で長は、議会から指摘された問題点等に関して、決算の審議におきまして、その原因や善後策等を十分に説明するとともに、不認定となった場合には、住民に対してもその善後策等を説明していくべきである。
 議会基本条例の制定でありますとか、総合計画、また自治事務に該当する法定計画を議決事件に追加するといった手法によりまして、議会における実質的な審議を促進する方向でございます。
 「6 議会事務局の体制、透明性の向上等」
 方向性として、議会活動については、委員会等の活動も含めまして、住民にわかりやすいような形で情報公開に努めるベである。また、議会事務局の機能の充実を図るべきではないかという方向でございます。
 14ページ「第2 議会制度の自由度の拡大」
 「1 議員定数等」
 1つ目の議員定数ですが、現行制度では、人口区分に応じまして、上限を団体の人口区分ごとに法律で定めてございます。その数を超えない範囲で条例で定数を定めるという現行制度でございますが、方向性といたしまして、この議員定数の法定上限、法律で定めている上限を撤廃する方向でございます。
 また、本会議の議事定足数が半数となっていることについての議論がございまして、現行制度では議員の定数の半数以上が出席しなければ会議を開くことができないわけでございますが、この方向性として議論がされましたが、議事定足数につきましては、本来多くの議員の出席の下、十分な議論がなされることが期待されることから、この定足数を廃止することについては慎重な議論が必要ではないかということでございます。
 15ページ「2 議会の招集及び会期」
 1つ目が会期制の在り方で、例えば、毎週決まった曜日の夜間に定期的に議会を開催することもできるようにするなど、検討ができないかという問題意識の下に、現行制度では、定例会は毎年条例で定める回数招集、そして臨時会は、必要がある場合において、その事件に限りこれを招集となっているわけでございますが、方向性として、会期制を採用せずに弾力的に開催できるようにしたいという団体につきましては、定例会・臨時会を前提とした会期制を採用しないことができるようにする。その場合、長の職務遂行に支障が出ないような対応が必要であるという方向でございます。
 また、2つ目の○の議長に招集権を与えることにつきまして、どのように考えるかという論点でございますが、現行制度では、議会は長は招集する。それに加えて、議長が議会運営委員会の議決を経て臨時会の招集を請求することができる。また、議員定数の4分の1以上の者は、臨時会の招集を請求することができるとなってございまして、こういった臨時会の招集の請求があった日から20日以内に長の方は臨時会を招集するという制度になってございます。議長に招集権を与えること自体につきましては、方向性といたしまして、議長の臨時会招集請求権の行使についての運用状況を見つつ、引き続き検討ということでございます。
 16ページ「第3 幅広い層が議員活動できるための環境整備」
 「1 議員の役割、あり方」
 議員の本来の職務につきまして、方向性のところで議会における審議・討論を充実させ、これを通じて住民の意見を適切な形で行政に反映させることが議員の重要な活動である。
 また、議員が個別の利益の実現を図るため、行政に不当に介入し、その公正な執行を歪めるようなことは、厳に慎むべきではないかということでございます。
 「2 勤労者や主婦等の立候補や議員活動を容易にするための環境整備」
 方向性といたしまして、限られた会期に集中して審議するような議会の開催の在り方は、勤労者等が議員として活動することの妨げとなっていないか。幅広い層が議員活動できるようにし、かつ、傍聴の機会を広めるため、夜間・休日議会を積極的に開催するよう工夫してはどうか。
 17ページに引き続き同様のテーマでございますが、勤労者、女性、公務員等多様な人材が議員として活動できるようにするため、立候補に伴う休暇、あるいは議員活動を行うための休職・復職等の制度の導入が考えられないか。また、そのためには、議員活動を社会全体で支えるという意識の醸成が必要であり、企業の側も一定の協力をしていくことが望まれるという社会的な合意の形成に努めていくべきであるということ。
 公務員が地方議会の議員として活動することにつきまして、特に、1)公務員の立候補制限を緩和できないか、また、2)地方公務員の場合、当該地方公共団体以外の団体の議会の議員との兼職制限を緩和できないか、こういうことについて社会的な理解を得ることにも配慮しつつ、公務員の職務の公正な執行、あるいは職務専念義務等との関係について、引き続き議論を進めていくべきである。
 また、女性の議員を更に増やすための方策について、運用面を含めて考えていくべきではないかということでございます。
 「3 小規模自治体における議会制度(町村総会の活用等)」
 これは、小規模基礎自治体の在り方そのものにも関わるテーマでございますので、今後議論する予定になっている基礎自治体の在り方等と合わせて検討するということでございます。
 以上、御説明とさせていただきます。
○林小委員会 ありがとうございます。以上で報告を終わります。
○中村会長 ありがとうございました。それでは、意見交換に入らせていただきますが、本日、都合により欠席しておられます岡山県知事の石井委員及び秋田市長の佐竹委員から意見提出がされておりますので、この意見についてさきにお手元に配付しておりますが、事務局から御紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。
○行政課理事官 それでは、まず岡山県知事の石井委員の意見書から朗読させていただきます。

「第29次地方制度調査会第3回総会における専門小委員会の審議状況報告に対する意見」
 議会制度の在り方につきましては、本年9月5日に開催されました、第14回専門小委員会における地方団体ヒアリングにおいて意見表明をさせていただいたところですが、本日は監査機能の充実強化に関するものを含めて、改めて意見として提出させていただきます。
 まず、議会制度の在り方についてでありますが、現在、政府の地方分権改革推進委員会において、第2次勧告に向け精力的な審議が進められており、議会制度の在り方の検討に当たっては、こうした地方分権改革推進委員会との連携を図りながら、議会の自主性・自立性の拡大、自治立法権の拡大への対応、住民自治の充実・拡充など、地方分権改革を協力に推進方向での議論を行う必要があると考えております。
 それでは、専門小委員会で審議されております個別論点のうち、主要な点について意見を述べさせていただきます。
 まず、契約締結及び財産の取得処分の議決事件に係る政令基準についてですが、専門小委員会では、条例を制定するに当たっての裁量を現行よりも合理的な範囲内で拡大するとの見直しの方向性が示されております。私としては、できる限り議会の自主性・自立性を拡大すべきとの立場から、政令基準については何らかの議決要件は必要ではありますが、全国一律的な規制を行う必要は必ずしもないものと考えております。
 また、議会への財政上の報告を要する法人等の範囲の拡大についても、4分の1以上出資法人のうち、条例で定めるものにまで拡大するとの方向性が示されておりますが、自治体と密接な関係を有する団体の設立状況等は、必ずしも全国一律ではなく、それぞれの実情を踏まえた上で各自治体が自主的に判断していくべきものと考えております。
 これらの点については、いずれもできる限り地方の自主性・自立性が拡大し、地方分権改革を推進していく方向で更に議論を進めていくべきものと考えており、この場において重ねて意見として述べさせていただきます。
 次に、法定受託事務の議決事件への追加についてですが、専門小委員会では、法定受託事務についても議決事件の追加を認めることが適当であるとの見直しの方向性が示されておりますが、法定受託事務の性質等にかんがみて、議決事件から除外する旨の規定が設けられていることから、この問題については引き続き慎重に検討していただくようお願いいたします。
 次に、会期制を廃止するなど、弾力的な議会運営を通じて、幅広い人材が議会活動に参加できるようにすべきとの点については、メリット・デメリットの双方が想定されますが、私としては会期制の取扱いについては、基本的に議会運営に係る事項であるものの、仮に会期制が廃止される場合には、事務負担の増加など、執行機関への影響も想定されることから、こうした点に留意しながら引き続き慎重な検討を行っていただきたいと考えております。
 いずれにしても、議会制度の在り方については、地方政治システムの根幹に関わる問題であることから、長と議会の権限配分、抑制、均衡の関係などにも十分留意しつつ、引き続き慎重な検討を進めていただきたいと考えております。
 次に、監査機能の充実・強化についてですが、議会制度の在り方と同様、よりよい自治体行政を実現し、また地方分権改革を推進するとの観点からも、その充実・強化の方策について議論いただくことは意義深いものと考えており、専門小委員会で審議されている主要論点のうち、特に次の点について意見を述べさせていただきます。
 まず、監査委員の選任方法についてですが、専門小委員会では、議会の選挙により選出するとの見直しの方向性が示されておりますが、候補者の選定方法や公募の採用を含め、その資格をどうするかなど、いまだ明らかとなっていない点も多く、引き続き慎重な検討を進めていただきたいと考えております。
 次に、議会選出の監査委員の廃止についてですが、議会選出の監査委員は、行政の実情を把握し、また議会としてのチェック機能をより発揮する上から設けられているものと考えており、その廃止については、議会制度の在り方と合わせ、幅広い観点から更に議論を深めていく必要があるのではないかと考えております。
 いずれにしても、議会制度の在り方や監査機能の充実・強化については、地方団体の中でもさまざまな意見が見られるテーマであり、我々地方の意見を十分に踏まえ、真の分権型社会の到来も見据えながら、必要な改革を議論していくことが望ましいものと考えております。
平成20年12月5日 岡山県知事 石井正弘


 以上でございます。
 続きまして、秋田市長の佐竹委員からの意見書について読み上げさせていただきます。


「チェック機能の充実に関する専門小委員会の調査審議状況についてに関する意見」
平成20年12月5日 全国市長会会長 佐竹敬久
 専門小委員会の委員各位におかれては、精力的に審議を重ねてこられましたことに対し、心より敬意を表します。本来であれば、直接出席の上、意見を申し上げるべきところでありますが、議会開会中のため出席できません。つきましては、下記の意見を提出いたします。地方自治行政に携わる都市自治体の市長としての意見でもありますことを十分汲み取りの上、検討いただきますよう、よろしくお願いします。

1.地方自治制度の全般的事項について
 地方公共団体の自己責任・自己決定の下、自由度が発揮できるように、地方自治行政の運営に関する事項は、大枠にとどめることを基本として検討されるよう要望する。
 地方自治行政は、地方の実情に応じ、地方自治体が自己責任・自己決定の下、自主的・自立的に判断して行うことを基本とすべきものであるので、住民自治の拡充に向け、地方自治体の運営に関する事項については、大枠にとどめることを基本として検討されるよう要望します。
 監査制度や議会制度の運営に関する事項については勿論、今後の基礎自治体の在り方等の審議に当たっては、この点を踏まえて検討されるよう要望します。
2.監査機能の充実・強化について
(1)委員の選任方法について
 監査委員の選任を議会の選挙とすることについては、適正な人材の確保及び政治的な公正さの担保等の観点から、更に慎重に検討されたい。監査委員の独立性を高めつつ、専門性を確保することは重要であるが、監査委員は政治的に公正・中立であるべきである。議会の選挙による場合、専門性を含め適正な人材の選任が行われるか、政治的な中立性の担保等の懸念があるので、更に慎重に検討すべきである。
3.議会制度の在り方
(1)議会への実地検査権の付与について
 議会への実地検査権の付与については、監査委員制度や100条調査権等との関係を含めて、整理すべき課題があると考えられるので、更に慎重に検討すべきである。
1)監査委員の議選委員を廃止する代わりに、議会に実地検査権を付与しようとされているが、これが直接的に結び付くか疑問である。
2)制度の沿革的に見た場合、実地検査については、市の行政の広範・複雑性から、専門的知識・経験を有する者でなければ、検査の実効性が期し難いとして、監査委員制度を設けたものとされているが、この改正がなされた市制・町村制化より、更に都市行政は広範・複雑になっていると思うが、このことについてどのように考えるか。
3)現行法においては、議会は法第98条第1項に基づき、事務に関する書類等の検閲等の検査権があるが、実地検査が必要な場合は、同条第2項に基づく監査委員に対する監査請求によることとされている。また、法第100条に基づく調査における実地検査についても同様である。これらの規定からして、議会の検査権や調査権と監査委員の監査権とは、制度上、監視機能における権能の違いがあるのではないか。議会に実地検査権を認めることは、事実上議会に監査機能そのものを付与することになり、第98条第2項の規定は、事実上空論規定と同然となり、監査委員制度を設けている制度の根幹にも関わることになるのではないか。
4)議会には、法第100条に基づき、団体の事務に関する調査を行い、実地調査も行うことができるとされているが、この100条調査権との関係は、どう整理するのか。また、この場合の実地調査と新たに付与しようとする実地検査は、どう異なるのか。
5)法第100条の調査を行う場合は、議会の議決が必要であるが、議会に付与しようとしている実地検査権の発動要件や手続等について、どのようにされようとしているのか。
(2)議会の招集権について
 議長への議会の招集権の付与については、第28次地方制度調査会答申及びこれに基づく法改正により、既に制度的な整理がなされていると思われる。この問題は、第28次調査会において議論され、当時の調査会では長に議会の招集権が付与されているのは、制度の沿革からして、少なくとも長の統括代表権との関連があることは理解されたものと承知している。このため、議長への招集権の付与はできないが、事実上同様の効果が果たせる議長への招集請求権の付与と、長の招集義務についての答申がなされ、平成18年に法律改正が行われたところである。当時と自治制度の根幹は変わっておらず、法的位置づけ、解釈も変わっていないものと考える。
(3)議決事件について
 法第96条第1項第5号及び第8号の議決事件に関する政令基準についての条例制定の裁量の拡大については、長の執行権の範疇であるので、限定的な方向とすべきものではないか。契約の締結及び財産の取得については、地方自治法上、財務の規定において、詳細な規定が設けられており、また議会には執行機関に関する説明要求、検査権、あるいは監査委員への監査請求等の権限が与えられているところである。
 契約の締結、財産の取得は、長の執行権の範疇であるので、重要案件に限定すべきものと考える。今回の検討は、自治体の自由度の拡大の観点からでなく、議会の権能の観点で行われている。
(4)会期制について
 会期制を採用しないことができるようにすることについては、各自治体の判断によることを基本とするとともに、長の職務執行に支障が出ないことを前提とし、この点の制度的工夫について考慮されたい。
 会期制を採用しないことについては、自治体の規模が千差万別であり、また自治体の担う事務はますます複雑多岐になっていること、及び議決案件の中には、予算や決算等、急務な案件もあること、更には執行期間の拘束、議会審議の効率性や経費面の問題等もあるので、各自治体の判断によることを基本とするとともに、長の職務執行に支障が出ないことが必要であり、この点についての対応を前提とし、この点の制度的工夫について考慮されたい。


 以上でございます。
○中村会長 ありがとうございました。それでは、皆様から御意見を賜りたいと思いますが、今回、六団体の委員から、いかがでしょうか。
 大野委員、どうぞ。
○大野委員 全国都道府県議会議長会会長の大野でございます。これまで、専門小委員会において、監査制度、議会制度について、熱心な議論を重ねてこられましたことに対しまして、御礼を申し上げたいと思います。
 その間、本会に対しましても、2度にわたり意見陳述の機会を与えてくださり、誠にありがとうございました。
 せっかくの機会でございますので、本会が申し上げてきたことに対し、まだ十分議論が尽くされていない幾つかの点について発言させていただきたいと思います。
 なお、今回の発言に当たりまして、各都道府県議会に意見の照会をいたしましたので、申し添えます。
 まず、「監査機能の充実・強化」についてであります。議選委員の廃止については、繰り返し意見を述べさせていただいているところでありますが、議員のような独立の地位にあるものがいなければ、徹底した監査が行えないという議選委員の存在意義を踏まえて、議選委員の廃止については、慎重に検討していただきたいと再度要望いたします。
 次に、監査委員の選任方法について、現行制度では長が議会の同意を得て選任することとされておりますが、それを変更し、監査委員の独立性を向上させるため、議会の選挙により選任される仕組みに変えるという方向が示されております。
 監査委員の独立性を高めるという考え方には異論はありませんが、幾つかの県議会から選挙に移行することが、監査委員の独立性を本当に高めることとなるのか。選挙の具体的方法も含めて、更に実務的な詰めを行う必要があるという意見が提出されております。
 この際、特にお願いしたいのは、監査委員はあくまで適任者を選任するという観点からすれば、議員を最初から除外するのではなく、議員も含めて監査委員としての適正を判断した上で選任すべきであろうということであります。
 なお、各議会への意見照会の結果として、地方分権の観点からは、監査委員制度について全国一律の仕組みではなく、委員の選任方法について、地方が選択できる仕組みも検討していただきたいという意見もありました。
 また、議選委員を廃止することを前提として、導入が検討されている実地検査権につきましては、検査の実施方法や実地体制、またどこまで強制力を持たせるのかなどについて、現場が混乱しないよう、具体的な検討を行っていただきたいと考えます。
 更に実地検査権を実効あるものとするためには、事務局を含めた補佐体制の充実が必要でありますので、この点についても検討していただくよう要請いたします。
 次に、「議会制度のあり方」についてであります。まず、議論の方法についてでありますが、地方議会について議論していただく際に、都道府県議会も市町村議会も一体として検討される傾向にあります。しかしながら、都道府県と市町村では、広域自治体と基礎自治体という役割の違いがあり、当然議会としての役割にも違いがあります。
 特に都道府県議会議員は、常勤化、専業化しているのが実態であることから、論点によっては都道府県議会と市町村議会、また議会を構成する都道府県議会議員と市町村議会議員を分けて議論していただくことも必要であると考えます。
 現状においても、例えば議員の資産公開については、都道府県と政令市の議員については公開が義務付けられておりますが、その他の市町村議員は任意となっており、都道府県議会議員と市町村議会議員は、その役割に違いがあることを前提とした制度となっております。
 繰り返しになりますが、都道府県議会及びそれを構成する議員の役割については、広域自治体としての都道府県の特性を踏まえた検討をお願いいたします。
 更に議会制度の検討に当たっては、地方分権及び議会の自律性の強化の観点から、制度や運営については、できるだけ条例により定めることとし、幅広い選択が可能となるよう、現行制度を見直していただきたく、よろしくお願いを申し上げます。
 具体的な例として、本会が要望しておりますことは、法定受託事務につきましては、現行制度では議会の議決事件とすることができないこととなっておりますが、法定受託事務も地方自治体の事務であることを踏まえ、議決事件の対象とすることができるようにすること、もう一つは、議会の議決に係らしめる事件について、契約の締結の基準などを政令で定めることとなっている現行制度を改め、地域の実情に合わせて条例で基準を定めることができるようにすることなどがございます。
 次に、議員の役割についてでございます。専門小委員会では、地方議会議員が住民の個別利害の調整や仲介、あっせんを中心に活動を行っているという認識の下で検討がなされているという印象を受けます。
 確かに個別利害に関する仲介・あっせんにより、行政を歪めることは許されるものではありませんが、住民の苦情や意見を吸い上げ、行政運営の改善や制度の改定につなげるのは、重要な議会の役割であり、そのために普段において住民と接触し、意見を聞くことは議員の重要な任務と考えます。
 議会審議を通じて、監視機能を十分に発揮し、更に政策立案に結び付けていくためには、住民との接触という普段の議員活動が非常に重要であることについて、十分認識していただきたく、よろしくお願い申し上げます。
 更に本会は、議員の位置付けの明確化を従来から要望しているところであります。さきの通常国会において、関係国会議員の御尽力によりまして、地方自治法の改正がなされ、この問題の解決に向け、大きな一歩を踏み出したところでありますが、政治活動と議員活動との違いなど、残された課題の解決のため、第28次地方制度調査会で今後の検討課題とされた「公選職」の具体的な内容について検討していただくよう、強く要請いたします。
 次に議会の監視機能の関係では、決算を不認定とした議会の議決を実効あるものとするため、違法支出等の再発防止、政策の変更、責任の所在の明確化など、議会が決算を不認定の理由としている諸点についての長の説明義務を、地方自治法に明文化すべきであると考えます。
 また、議会に経営状況の報告を要する法人の範囲拡大についても、よろしくお願いを申し上げる次第であります。
 最後にお願いしたいのは、議長に議会の招集権を与えていただきたいということであります。専門小委員会でも議員同士での議論を活発に行うべきであるという議論がなされたようでありますが、議員同士で議論を行う場合にも、長に対し、議会を招集するようお願いするという現行制度から、今後、議会が自分たちで議論をし、決定しようとする際は、招集について自ら決定するという仕組みに改めるべきと考えます。議会の自律性を高め、真の二元代表制を実現するため、議長の議会招集権を強く要望いたします。
 以上、長くなりましたが、御配慮のほどよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○中村会長 ありがとうございました。
 それでは、太田委員、どうぞ。
○太田委員 中村会長はよく御存じだと思いますが、ガバナンスという言葉があります。ガバナンスという言葉は、平成10年前後にやっと日本で使われるようになってきて、それは主として商法、会社法の改正をきっかけとしてガバナンスという言葉が日本に入ってきました。
 これは、組織あるいは機関の統治とはどういうことか。源までさかのぼってやる話でして、その結果、平成13年の会社法の改正でもって、抜本的に株式会社については変わったわけであります。
 それはちょうど地方自治体と住民との関係と相応して、取締役会と株主総会、あるいは代表取締役など、執行部と株主総会という関係を整理して、平成13年に改正されたわけであります。
 その後に、こういうガバナンスについて、何か制度改革しようとする以上、どうやってこの株式会社の制度のガバナンスの考え方が確立したのかということは、是非事務局においても、総務省においても、きちんと勉強してもらいたいと思います。
 この場合でいうと、株主総会に相当するのは住民そのものであって、株主総会の議決に相当するのは選挙であります。そして議会は、言ってみれば株主総会から直接選ばれる取締役会が議会になるんだと思っております。
 一方、執行部の方は、代表取締役は取締役会の互選で選ばれてまいりますので、地方自治体の場合は、執行部の長たる首長は直接住民から選ばれるという違いがある。違いがあるけれども、組織は何のためにあるのかということを、原点に返って考えれば、株式会社の場合は株主のためにあると見られるわけであります。それに対して、地方自治体の場合は、地方の住民のためにある、市民あるいは町村民のためにあるということが原則であります。
 そのアナロジーで考えていくと、そもそも取締役会というのは新しい商法では、過半数以上が取締役は外部の取締役でなければならないというのが新しいパターンになっているわけでして、それは地方自治体の場合に何に相当するかといえば、執行部とは独立に選ばれる議会が社外の取締役に相当するわけであります。
 だから、株式会社の場合には監査制度があるんです。監査委員を株式会社の中で選ぶのは、取締役会の互選で選ぶことになっていて、それは過半数が社外の取締役から選ばれるのは望ましいことになっているわけでありますから、そもそも取締役も議会も、外部性があって、独立性があって、そこでチェックするということが本来の使命なわけです。
 株式会社制度は、今は取締役会から、1つは監査小委員というものをつくることになっている。もう一つは、人事についてチェックする人事委員会をつくることになっている。もう一つは、役員報酬についての報酬を決める機能を持っている。会社法に全部書いてある。それにならって言えば、そもそも議会というのは監査という機能を持っている。それから、市長が余分な報酬を取らないようにチェックする機能もあれば、これはあるかどうか知らないけれども、主たる自治体執行部の役員をチェックする機能もあるということで、本来業務はですね。
 だから、この間、総務省から私のところに根回しに来たときに、そのことについて注意喚起をしておったんですけれども、何も反映されてない。議会が、さっき大野委員がおっしゃったように、議会から互選で監査委員を選ぶというのは当たり前のことなんです。ほかから持ってくる方がおかしい。では、どこから、だれが選ぶのかというと、事務局がどこかから引っ張ってくるんでしょう。だって住民が選んだ立派な議員がそこにいるんだから、その中の互選で選んで、専門的な知識とかは事務局を付ければいい、事務局に優れた専門性のある者を付けて、議会の、例えば与党から2人と野党から1人とか、要するに議会で選ぶ人を会派に偏らない人にしておいて、その事務局を公認会計士の資格のある人とか、監査のプロを事務局に付けて補佐してあげれば、それこそ独立性があって専門性のある機関になるはずでありますから、このとおり答申がまとまることには大反対であります。仮に通ったとしても、ほかの制度との整合性が何もなくておかしいから、これは我が党に出てきたときも反対せざるを得ない。
 最後に、公務員が議会に出る。公務員が議員になる。要するに、地方公務員が、例えば山本町長のところの役場の職員が添田町の議員になるという意味だろうと思いますが、それはどういうことかというと、町の役場の職員が議員になって、本来職員がちゃんと働いているかどうか、職員が正しくやっているかどうかをチェックするのが議会の役目なのに、チェックするところにチェックされる者がいるというのはおかしい。議会の独立性がなくなるわけです。議員が役場から給料をもらっていてはチェックにならないわけですから、これはもうとんでもない非常識だと思います。これはもっと反対だと思います。
 そういうことを、事務局が根回しに来たときに、そこまではちゃんと読んでなかったので言ってないけれども、一応問題提起をしたわけですから、何か答えてもらうとありがたいです。
○中村会長 ありがとうございます。
 藤田委員、どうぞ。
○藤田委員 全国市議会議長会の会長を務めております、広島市議会議長の藤田博之でございます。
○中村会長 藤田委員、済みません。今日は、2つの議事を意見交換することになっておりますので、大体2時10分までで第1議題を終了したいと思いますので、どうか御協力をよろしくお願いいたします。
○藤田委員 それでは5分ぐらいで。初めに、中村会長さん、林小委員長さんを始め、専門小委員会の皆様には、今日まで監査や議会制度について、精力的に御審議を賜り、一定の方向性をおとりまとめいただきましたことに対しまして、心から敬意と感謝の意を表する次第であります。
 私から、監査機能の充実と強化に関しましてと、議会制度の在り方について私見を交えながら意見を申し上げたいと存じます。
 まず監査委員の選任方法を議会の選挙に変更することにつきましては、監査委員の独立性の強化の観点から賛意を表します。
 次に、監査委員の構成に関し、議員を監査委員に選任できないこととすることについては、4月の専門小委員会でのヒアリングにおいて、私どもの会を代表して福岡市の川口議長から意見を申し上げたところであります。
 その際、川口議長から、監査委員事務局が町長部局に対して毅然として監査事務を遂行する上で、議選委員が後ろ盾となっている現状を踏まえ、事務局体制の強化なくして、単に議選委員を廃止した場合、かえって監査が形骸化することが危惧されると申し上げたところであります。
 しかし、今回示された方向性を拝見いたしますと、事務局の体制強化について触れられておりますが、これでは私どもの懸念が払拭されるには十分な事務局強化が図られているとは言えないものであろうと思います。このことからすれば、議選委員の選任を禁止することは、かえって監査の実効性を低下させてしまうのではないかと憂慮しているところであります。
 むしろそれぞれの自治体の実情に応じ、また、自主性・自律性を高めるという観点からも、議選委員を法律で一律に禁止するのではなく、議選委員を選任するかどうかについても、それぞれの議会の判断に委ねるべきではないかと考えているところであります。
 次に、議会制度の在り方についてでありますが、契約の締結及び財産の取得・処分の議決事件に関する政令基準の緩和、実地検査権の付与、議会に経営状況の報告を要する法人の範囲の拡大など、私どもが求めてきた事項が少なからず盛り込まれておりまして、一定の評価をするものであります。
 しかしながら、2、3意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、議長の議会招集権についてであります。私も専門小委員会の議事録を拝見させていただきましたが、議長に議会招集権を付与できない合理的な理由があるようには、どうしても感じられないのであります。片山副会長が、議長に招集権を付与して何か不都合があるのかと問いかけられた際も、はっきりした理由は示されておりません。さきの地方自治法改正では、議長に臨時会の招集請求権が付与されたところでありますが、これはこれで一歩前進でありますが、また現実問題として、定例会や臨時会の招集をめぐり、特段問題が生じているわけではありませんが、しかしながら、議会の招集権がどこにあるのかということは、制度の基本に関わる問題であろうと思います。
 二元代表制を採る現行の制度の下で、住民から選挙され、住民代表として地方公共団体の意思決定を行う機関である議会が、自ら集まり、議会を開くことができない、執行権を担い、議会のチェックの対象である長の招集の下でなければ議会を開くことができないということは、誠に不合理であります。二元代表制の趣旨からしても、議会の開催は議会自らが行う、すなわち議長が議会招集権を有すべきであることは、当然であろうかと思っているところであります。
 こうしたことから、議会の招集権の問題については、是非とも再度検討をされ、議長に議会招集権を付与する方向で明確な結論をお出しいただきますよう、お願いをいたします。
 次に議決事件の関係ですが、地方自治法第96条の議決権については、6月の専門小委員会において、総務省より同条第1項は必要的議決事件、第2項は任意的議決事件であるとの見解が示されました。
 この見解は、同条第1項を制限列挙主義とする従来の考えからすれば、一歩前進でありますが、7月の専門小委員会でのヒアリングにおいて、本会を代表して大阪市の多賀谷議長から申し上げましたように、私どもは地方公共団体の自主自律権を明確に打ち立てるためにも、地方公共団体の意思決定としての議会の議決事件は、広く条例で定めることができることを原則とし、その上で現在の96条1項の15項目は、例えば義務的議決事項として位置づけるべきではないかと考えております。
 こうしたことから、議決事件については、原則条例で定めるよう、法文上の明確にする方向で結論を出していただきたいと思うのであります。
 どうしてもこれがかなわない場合は、必要的議決事件、任意的議決事件という考え方を答申に明記をしていただきたいと考えておるところであります。
 また、議会における財政統制、審議の活性化等として、総合計画を議決事件に追加することが掲げられております。これは、かねてより予算の調製権及び執行権が長に専属すると規定されている中、複数年度の予算調製、執行を担保する総合計画を議会が議決し得るのかということから、私どもにとっても悩ましい問題でありました。このたび、見直しの方向性に総合計画の議決事件追加が明記されたことは、改革に取り組む議会を勇気づけるものであり、議会の単に監視にとどまらない、財政統制がどこまで及ぶのかは、すなわち長の予算編成権や執行権との関係をどう考えるかという問題にも関わるものであり、この点についてはより深い御議論をお願いいたしたいと思います。
 今後は、第2次地方分権改革を更に推進するとともに、本日の見直しの方向性に盛り込まれている地方議会の活性化方策を始め、地方の自主自律に向けた、各種提言について政府においては確実に法制化がなされますようお願い申し上げたいと思います。
 最後に、私ども地方議会といたしましても、住民代表としての責務の重さを自覚しつつ、議会の改革、自己改革に向けて更に取り組んでまいることを申し上げまして、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○中村会長 ありがとうございました。
 ここで、御意見の途中でございますが、このたび新たに委員に就任されました、衆議院議員の西川公也委員を御紹介いたします。
○西川委員 遅参いたしましたが、衆議院議員の西川公也でございます。2度目の委員就任でございますが、一緒に皆さんとともに地方の発展のために尽力させていただきたいと思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○中村会長 それでは、中川委員、どうぞ。
○中川委員 それぞれ監査委員制度と地方議会の在り方に対して、一つずつ時間の関係で意見を申し上げたいと思います。
 監査委員の議論ですが、二元代表制というか、大統領制と議院内閣制が混乱しているんではないかと思います。
 基本的には、二元制の場合は、監査というのは本来は、さっき太田さんのお話にも共通するんですが、本来は議会に対して報告して、その範疇の中でやっていく。かつ事務局も独立していなければいけないんです。今、私も県議会で監査委員をやったことがあるんですが、事務局が中身はほとんどなんです。それが執行部と人事的に、行ったり来たりして、お互い顔を見ながら監査をやっているという形であり、かつそれが報告は知事なり市長なりにまず一義的に上がっていくようなシステム、これは本来の在り方ではないと思っておりまして、そういう意味から、監査というのはアメリカのGAOが議会に属しているように、監査はそれに属していくべきだと。
 執行部の中は、執行権を持っている人たちのやらなければいけないことは、政策評価システムなんです。政策評価のシステムをその中にどう入れ込んでいくかということが、最大の課題だろうと私は思っております。それが1つです。
 それから、議会制度の在り方ですが、ここで議論されていることは、地方の議会に対してメッセージを発しているような気がするんですが、本来的には主体性を持って地方分権を進めていく、その裁量を大きくしていくときに、一番のネックになっているのは国なんです。国が法律をつくるときに、本来はフレームをつくって、その具体基準というのは、条例に託していかなければいけないのを、それではなくて、政令・省令で自分たちで一律であろうというような法令の組み込み方といいますか、そこをしっかりと改正していくというか、その考え方を根本的に変えていかない限り、具体的な個別の指摘はここに出ていますけれども、この個別の指摘だけにとどまらない。すべての分野について、それが日本の分権の基本になっていくだろうと思います。
 その上で提起をしたいのは、国が法律をつくるときに、それを政省令に落とすのか、それとも条例化を直接していくのかということについて、だれかがチェックしていかないと、国の役人は絶対にその権限は条例に落しません。そのチェックをしていくシステムを国の中につくっていくということ、そこから法律のつくり方を基本的に変えていくという議論まで是非深めていただきたいと思います。
○中村会長 ありがとうございました。
 山本委員、どうぞ。
○山本委員 お尋ね方々、御意見申し上げたいと思いますが、私ども資料が何もないんです。今日初めてこれをいただいた。それに意見を言えというのは、無理ではないでしょうか。頭のいい人やら、経験の深い人はわかるでしょう、一遍聞いたら10ぐらいわかるでしょうけれども、全然わからないんです。今日初めていただいたんです。どうして私どもにとっては、秘密的なことでやるんですか。今日、調査会をやるならば、せめて10日前ぐらいに委員のところに着くように資料を送ってくれないんですか。それをまずお聞きしたい。会長さん、教えてください。
○中村会長 事務局、どうぞ。
○行政課長 私どもも小委員会の状況につきまして、総会の開催をお願いする際に、それぞれ各団体の事務局の方には、これまでの審議の状況については御説明を申し上げているところでございます。私どもから会長には直接御説明を申し上げていないところでございます。恐縮でございます。
○山本委員 送ってくれたって余り骨折ることではないんじゃないですか。事前にこういう資料をいただいておれば、2日でも3日でも勉強してここへ出席します。ここへ来てぱっと説明を受けただけで、わかるようないい頭は持ってございませんから、それを最初に申し上げておきますから、これはそういうふうにしないようにしてください。
 ですから、今日は具体的にああしてください、こうしてくださいという意見を言うことができません。ただ、私がここで申し上げたいのは、例えば議会の制度、監査委員の制度、こういったものは今、特別に問題があるとは思いません。だから、何もそんなに極端に文句で書いているような、今日聞いたような状態ではないと思います。
 私どもも一生懸命に執行部として頑張って、そして納得していただく交渉を進めていると思います。ところが、この文章を見て御説明をお聞きしますと、執行部の方が少しだらっとしておいて、だから、議会の方にこういう権能を与えなければ、あるいは議会にこういう強化をしなければならぬという言い方を書いてあるんです。
 だから、非常に残念に思うんですけれども、私は一口に言うと、現行制度でいいと、悪いところは確かにある、制度の中には訂正した方がいいところがありますから、それはそれなりに修正してもらって結構ですけれども、全体として、今日の説明は、何か執行部側の方が不真面目で、ちゃんとやらないからこんなふうになるんだというような言葉に聞こえるんです。そんなもんじゃないと私は思いますので、例えば監査委員会を開かれて、私どもの説明というのは、それこそ微に入り細に入って説明をしていくんです。だから、十分やっているんです。だから、その都度、それでいいだろうという許可をいただくわけです。
 こういうのを読むと、執行部側は非常に怠け者ばかりで、何もやってないという言い方なんです。これに対して、非常に憤慨しておりますが、癪に障る話です。ですから、今日は具体的なお願いは申し上げませんけれども、現行制度で本当に悪いところはどこなのかということを出してもらった方がいいです。ほとんど同じことじゃないですか。全部やっていることを書いているだけじゃないですか。だれが書いたかしりませんけれども、この中で特別に、これは変わって、いいことが書いてあるのはほとんどないと思います。
 ですから、さっきの太田先生じゃないけれども、反対と言ったから、私もついでに反対です。賛成できません。それだけ申し上げておきますので、次回に具体的なことは私の方からの意見として出させていただきますから、会長さんとしてその点をおはからいくださいますよう、お願い申し上げておきます。
○中村会長 ありがとうございます。
 ちょうど2時10分になりましたので、手短にお願いいたします。
○芝委員 大事時間制約があるようですから、手短に。地方分権を推し進めなければなりません。その根底は、行政側と議会側のどちらがいいとか悪いではなしに、時代が変わっていると思うんです。ややもすると、行政で頑張っていただいても、地方議会の部分というのは、例えば予算、決算の承認、決議、議決、それから案件の議決の承認をする部分でありますけれども、私は各首長さんを始め行政側、そして議会の方も二元代表制で、住民から選ばれている形になってきますと、やはりお互いの部分で今までの考えを変えていかないと、ここで地方自治法をいじって変えていかないと地方分権は進まないという観点で問題を申し上げますと、基本的にいろいろ問題が出ておりますけれども、監査委員の議選の問題においても、例えば議会の招集権においても、また総合計画の議決権においても、会期の問題においても、基本的にはそれぞれの自治体の議会の中で議論するべきであって、そこにある意味では権限というか責任を持たせるべきだと。こういう流れで議論しないと、今のように立場が違うという形で議論のすれ違いが起こってくると思っています。
 そういう中で、今日は議会の制度の充実でありますからお話し申し上げますと、これまでいろんな事案が関わってきますと、地方自治体の中には附属機関の設置、例えば医療に関する専門、経済に関する専門、看護に関する専門のいろんな審議会や諮問機関の設置ができますけれども、議会には附属機関の設置が自由にできません。是非、時代に合わせて、議会も行政のいろんな法案とか条例をチェックするためにも、専門知識が必要になってまいります。
 それから、議会条例、これをするためにも、いろんな法律関係のみならず、医療にしても、福祉にしても、経済にしても、科学にしても、そういう審議会的なものも必要になってきますから、是非自由度の中で附属機関の設置ができるように改正をお願いしたいと思います。これが1つであります。
 もう一点、事務局体制の強化でありますけれども、今、監査委員の事務局の体制強化の話もありましたけれども、事務局も行政側から送られてくる職員によって運営されております。そうしますと、いつかは行政が戻るわけでありますから、例えば議会条例いろいろな形で検討しようと思っても、上司に対する配慮だったり、行政に対するいろんな部分が出てきますから、なかなかそこで落ち着いて法令等の部分を勉強、検討することができません。
 よって大事なことは、地方議会を活性化させるために、プロパー職員の採用をどのような形で認めていくか、専門職ですね。この部分が大事だろうと思っておりますので、提案をさせていただきたいと思います。
 以上、2点が提案です。
○中村会長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○原委員 私の方からは、手短に申し上げます。議選の監査委員を廃止することにつきましては、今、それぞれ県議会、市議会の方からも意見が出ておりますけれども、何でそこまで規制をかけるのかと思います。その町、その村で、この人が適当であるという人を選んだら、私はそれでいいと思います。
 招集権の議長への付与や事務局体制の強化等まだまだたくさん言いたいことがございますけれども、会長が2時10分までということでございますので、一言でいえば、地方のことは地方に任せていただきたいと思います。
○中村会長 ありがとうございました。
 それでは、以上で第1議題を終わります。
 続きまして、第2議題の市町村合併の評価・検証・分析につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○合併推進課長 御報告いたします。合併推進課長でございます。右肩に資料2と記載している「『平成の合併の評価・検証・分析』について」という資料をごらんいただきたいと存じます。この資料は、小西砂千夫関西学院大学教授を座長といたします、市町村の合併に関する研究会が、平成20年6月に出した報告書に基づくものでございまして、合併市町村、都道府県、報道機関が実施した住民に対するアンケート・聴き取り調査・合併市町村・未合併市町村に対するアンケート・実態調査等を踏まえまして、平成の合併の合併後数年の短期的な影響、行政側と住民側の両面から見た場合の影響につきまして検証を行ったものでございます。
 めくっていただきまして、1ページをごらんいただきたいと思います。平成の合併の進捗状況でございますが、市町村数は平成11年3月末の3,232団体から、平成22年2月1日見込みで1,773団体まで減少するということで、平成の合併は相当程度の進展を見せているところでございます。
 ただし、合併の進捗率は都道府県間で大きな差がございまして、面積が狭く、市街地が連単している大都市部における合併の進捗率が低い状況にございます。また、人口1万人未満の小規模市町村が現時点で478団体存在されてございます。
 右下の方に合併関係市町村の合併前のつながりを書いておりますが、一部事務組合や広域市町村圏などの日常生活権の全部または一部での合併事例が多うございまして、特に合併新法下では、日常生活圏の中心市が周辺町村を編入するというケースが3分の2を占めまして、また合併旧法下での協議会と同じ組合せが8割以上という状況でございます。
 2ページ、今回の合併の特色といたしまして、合併協議の仮定における住民参加がございます。合併に係る住民発議が385件、合併特例法に基づく合併協議会設置の住民投票が66件、条例に基づく住民投票が352件、住民アンケートは1,430市町村で実施をされております。
 次に下の方ですが、未合併市町村の要因といたしましては、地理的要因が合併の阻害要因となるのは、一部の地域にとどまっております。合併をせずに単独運営を選択したとされた団体が約3割、一方で積極的な単独運営の選択ではなくて、意見集約の不調なために未合併となった市町村が3割強ございます。また、合併を望みましたが、組合せの相手との関係で未合併となった市町村も多い状況にございます。
 3ページ〜6ページまでが、合併の目的に照らした合併市町村の状況ということでとりまとめております。
 まず3ページは、合併の目的の1番目ということで、地方分権の受け皿としての体制整備についてでございますが、約9割の合併市町村におきまして、本庁機能を強化し、組織の専門家や専門職員の配置等により、組織機構の充実を図ってございます。
 また、専門性の確保ですとか、行政評価の導入、モチベーション向上等々、行政運営のパフォーマンスの向上が図られているところでございます。
 右下の方に、移譲法律数と合併進捗率の相関関係の図を入れておりますが、合併による市町村の減少率と権限移譲された事務にかかる法律の数に相関性が見られ、合併が進んでいる都道府県ほど市町村への権限移譲が進んでいる実態がございます。
 4ページ、合併の目的の2点目といたしまして、人口減少、高齢社会の備えでございます。多くの合併市町村におきまし、少子・高齢化等に備えるための体制強化が進められてございます。加えまして、専門的なサービスの実施、合併前に一部の市町村で行われておりましたサービスの全域への拡大などによりまして、多くの市町村で少子・高齢化対策などの住民サービスが拡充されてございます。
 更に旧市町村が単独のままでいた場合には、廃止・縮小が避けられなかったような福祉分野における住民サービスが、合併により維持されているケースもございます。
 ただ、一方で、合併を契機に行財政改革の観点から、住民サービスの見直しが行われている状況でございます。
 5ページ、広域的な行政需要への対応ということでございます。行政運営の単位を日常生活圏の広がりに応じたまちづくりですとか、公共施設の効率的配置とネットワーク化が行われておりますほか、旧市町村の境界を越えた公共施設の広域的利用が可能になったり、あるいは地域資源をネットワーク化することによりまして、広域的な地域活性化に向けた新たな取組み事例も見られるところでございます。
 6ページ、合併の目的の4点目ということで、効率的な行政運営の確保、財政基盤の強化ということでございます。適切な職員配置や出先機関、外郭団体などの見直しなどによりまして、職員総数・人件費を削減する一方で、本庁機能を強化し、商工労働・民生部門等へ適切な職員配置がなされているということでございます。
 また、旧市町村の境界を越えた公共施設の広域的利用や重複整備の解消によりまして、効率的な住民サービスを提供されているところでございます。
 財政基盤の強化につきましては、合併の時期と財政状況悪化の時期が重なる一方で、合併による財政の効率化効果が表われるのは一定の期間を要するため、厳しい財政運営を強いられている状況にはございますが、短期的には規模拡大に伴い、財政基盤が強化され、特に小規模な市町村においては、都市等との合併によりまして、財政状況の改善が図られてございます。
 中期的には、内部管理等の重複部門の削減等の合併効果を活かしまして、積極的な行政効率化の取組みがなされており、今後、合併算定替の効果と相まって、財政運営の改善が期待されるところでございます。
 7ページ、住民からみた市町村合併ということでございます。合併市町村・都道府県・報道機関が実施した住民に対するアンケート・自治会等への聴き取り調査などの結果をとりまとめたものでございます。
 合併全般に関する評価といたしましては、合併してよかったか悪かったかにつきましては、わからない、どちらとも言えないという回答が多うございます。合併の効果を地域住民が実感し、合併全般について評価するまでには、もう少し時間が必要かということでございます。
 個別サービスの変化に関する評価でございますが、合併後も変わらないという回答が最も多いわけですが、それ以外では悪くなったがよくなったを上回っている回答が多い状況にございます。多くの市町村において、合併を契機に行財政改革の観点から、住民サービスの見直しが行われておりますが、こういったことが上記の評価につながっているものと考えられるところでございます。
 次に右側の方で、周辺部住民からみた市町村合併では、新たに設けられた支所等が、旧市町村役場と比較して縮小したことや、地域の経済活動への影響を不安視とする回答が目立つ傾向にございます。
 一方で、合併を契機に、地域でできることは地域で実施するというように、自助・自立の動きが高まる動きもございます。
 8ページ、市町村合併に伴い指摘される問題点ということで、行政と住民の距離が遠くなるのではないか、周辺地域が寂れるのではないかという声がございます。これへの対応といたしまして、下の方に書いてございますが、合併後の住民サービス維持のため、半数近くの市町村において総合支所方式、約3分の1の市町村において分庁方式が採用されてございます。
 また、支庁長に一定の権限・予算枠を付与する事例もございます。
 9ページ、ICTの活用やサービス窓口の維持・拡充によりまして、広域的なまちづくりと住民利便性との両立を図っているケースもございます。また、各市町村におきまして、コミュニティー振興、地域振興に向けまして、積極的な取組みがなされているところでございます。
 10ページ、このほかの合併市町村の課題、それに対する対応につきましてとりまとめた部分でございます。
 11ページは、合併パターン別の効果、課題等についてということで、都市同士の合併、平地・中山間同士での合併、都市と中山間等の広域的な合併につきまして、それぞれ効果、課題等についてまとめたものでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。
○中村会長 ありがとうございました。それでは、この件につきまして、御意見をいただきます。
 中馬委員、どうぞ。
○中馬委員 中馬です。先ほどからの御意見も含めて、ちょっと気になるところがあるんですが、地方自治とは何だという、自治体ということでくくられております。地方議会という話も出てまいっておりますけれども、私は府県の地方自治とは考えておりません。やはり地方自治体というのは、基礎的自治体であって、それは戦前の日本の町や村であったり、ヨーロッパの各コミューンというようなものが本当の基礎的な自治体であって、それがもう少し多くなった政令指定都市になってくると、ちょっと話が違ってくると思いますし、まして府県になりましたら、もう少し定義をはっきりさせないと、皆様方の意見を聞いておりまして、県議会の話なのか、村の議会の話なのかがわからないような御議論をしていてもだめだと思います。
 ですから、こうしたときの報告書にでも、府県の場合はこうだと、政令指定都市の場合はこうだ、市町村の場合にはこうだということがないと、議論が錯綜してしまって、先ほどの監査の話も、議会制度そのものについても、意見がかみ合わないケースが、先生方によってそれぞれ意味するところが違いますからね。
 私は、あえて言いますならば、やはり基礎的自治体というものを、日本の場合、戦後少しおかしくてしまいましたけれども、戦前はやはりボランティアで、議会というのは全部無報酬ですね。村長さんでも無報酬でしたけれども、ヨーロッパの私が言うところの基礎的自治体の議会は、ほとんどのところは、実費はありますけれども無報酬ですね。勿論、1つの仕事を持っていることが前提でして、仕事を持っているがゆえに、町内会と一緒で、自分たちで町の運営をしていく。ですから、必ずしも大統領制ではなくて、選ばれた議員の方々が、長老の方とか、また1つの会派、そういう方が村長なり町長になっておられまして、場合によっては議員が専門家、シティマネージャーを呼んできて、そこで市長・町長になってもらう。皆さんそうじゃないですか。それが本来の基礎的自治体の在り方であって、そのときには勿論制度そのものも、監査委員の方が議会から選ばれて当然だと思いますし、議員であってはいけないということは言う必要もないかもしれません。
 ところが、先ほどの話を聞いていて、私も太田さんと同じ意見ですが、議会事務局がもっとしっかりして、行政から独立した形になっていく、それは府県とか政令指定都市の場合の話であって、町村の場合と違うと思うんです。
 ですから、そういったようなことも含めて議論をもう少し分けて議論しないとおかしくなるんではないか、もう一度原点に返って市町村合併のこと申し上げますが、私は大きくなったらいいとは思っておりません。それぞれ小さくてもいいから、自立した形で独立できるということであれば、課税自主権も含めて、先ほど言いましたような大統領制でなくても、議院内閣制でもいいし、あるいはシティマネージャーを呼んできて行政をやってもらう、それをチェックするのが市町村の議会である。無報酬であってもいいと思います。
 そういうことが、自由に選べるような今後の地方自治体にしていかなければいけないと思っています。特にこれからは道州制になってまいりますから、府県がなくなるんですから、府県のことで余り議論する必要もないと思いますが、どうか基礎的自治体から積み上げた形で、これからの地方行政はどうあるべきかということをもう少し具体的に議論していただきたいと思います。
○中村会長 ありがとうございました。
 山本委員、どうぞ。
○山本委員 ただいま説明を受けましたけれども、本当にこのとおりですか。間違えていたらどうしますか。うそばかり並べているような感じがします。信用できませんね。
 私が実例をお話しします。私のところへ、ある村長さんや町長さんが来ました。私はだまされて合併しました、するようになりましたと、しなければもうお前は出て行けというぐらい強制的でしたと、仕方がないものですから、県に行ってどうなっているのか尋ねて、県に助力を願おうと思ったところが、県の方がもっと強行であったと、ですから、もう合併を避けることはできません。だから、是非一つお願いがありますと、何だと言ったら、敵討ちだけしてくださいというんですよ。
 私は福岡県でしょう。福岡県の人ではないんですよ。本土の人たちですよ。だから、さっき説明があったように、皆さんが喜んで、こういうふうにやったらと、それは数字の上では出てくるかもしれませんが、皆さんが喜んで合併したところばかりであることにはならないと思います。
 ですから、合併というのは、皆さんが、やろうじゃないか、それがいいなといって、心から話し合いをしてやっていくことが一番大事なことだと思うんです。ところが、合併しないとお前のところは取り上げるぞ、合併しないなら、お前のところはこれだけしか仕事をさせないぞということも、あの当時言われたんです。だから、あのころが一番合併が多かった。
 一方では、私どもがいただく交付税が、交付税で3兆円、財源債が2兆円、約5兆円を超える財源の削減があったんです。こうなるから、合併をしなければもうどうにもならないというのが町村のあのときの真実の声なんです。それが合併に引っ張っていく大きな口実をつくっていったんです。本当にさっきの説明のように喜んで皆さん合併をしましょう。パラダイスをつくりましょうという議論は全くなかったと思います。しかし、仕方ないから合併しましょうということではなかったかと思います。
 ですから、お願いしたいのは、もう合併をするところは、その町村の自主的な、喜びに満ちた判断によって合併することが必要だと思います。だから、もう国が干渉したり、促進したりすることなどはやめるべきだと思いますので、合併の担当の課長さん、大変恐れ入りますが、よく肝に銘じておいてください。
 これからの合併は、今、言われた中で私どもが一番賛成できないのは、道州制を実施するから合併をやれという。例えば私がその話に呼ばれまして行きますと、人口10万単位で合併をしろと言われたんです。それは無理じゃないですか。道州制にするなら30万ぐらいにしたらどうですかと言ったんです。なぜ30万と言ったかというと、日本の国は山が多過ぎるんです。ですから、もう大きいところは合併よりも何よりも大きな市になってしまっているんです。
 残っているところが合併するわけですから、山があって、それを乗り越えなければ40万という数字は出ません。30万なんて到底難しいんです。ですから、30万にしたらどうですかと言ったら、そのときに、30万なんてそんな膨大な数字で合併することはできませんと答えられたんです。ところが、最近では30万と言っていますね。山がなくなったんでしょうね。私はそう思います。
 ですから、もう道州制を実施するために行政は、出資してもいい、数は減らしてもいいという考え方は、間違えていると思います。行政とそういう意見があるようなところとは全然別個のものだと思います。ここで言うと怒られますから本当のことは言いませんが、道州制のために合併を促進するというやり方は避けるべきだと思います。
 さっき申し上げたように、みんなが合併をどうしてもやらなければならない。そして、合併はこうしてでき上がった、そこで道州制だということならわかりますけれども、道州制ありきで合併しろということについては、賛成ができませんので、その点はこれからはそういうふうに言わないようにしてください。
 一方、総務省の方では、今の住民居住権をつくり上げていくから、もうこれで合併のことは言いませんと言っていただきましたので、私どもは合併の話はもうないものだと判断しておりますので、どうぞそういうことで理解をいただきますようお願いを申し上げておきたいと思います。
 それから、合併をして喜んでいるところはありませんというふうに、私どもは調査をした結果をちゃんとまとめてあります。これは私どもの週報で発表もさせていただきましたが、要するに合併をした成果というのはない。出てくるはずがないんです。今、合併してよかったということは言えるはずがない。また、悪かったというのも早々だと思います。これは何年か時間を経た後、この合併がいいか悪いかを判断すべきだと思います。
 ですから、そういうことで促進するというようなやり方は、是非ひとつやめてほしいと思います。そういうことを言わないでほしいと思いますので、お願いを申し上げておきたいと思います。
  このことは資料がなくても、ずっと頭の中にありますから、合併のことに関しては資料は要りません。何でも話ができますので、今日は思ったとおり申し上げましたので、御理解ください。お願いします。
○中村会長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○藤田委員 この平成の合併の評価・検証・分析にも出てくるわけですが、平成11年に合併が始まるまで、平成11年3月31日現在で、市町村が3,232あったんです。それが今は1,773に間もなくなるんですが、あのとき市議会議員が全国でおおよそ1万9,000人おらのが、今はおおよそ2万2,000人になったんです。
 ところが、合併により、町村議会での退職年金受給者が市議会議員共済に入ってこられ、退職年金受給者が6万3,000人になったんです。市議会議員共済会では、2万2,000人の議員で6万3,000人の年金受給者を養わなければいけないことになったんです。今年決算したら200億赤字なんです。来年も恐らくそうなると思います。そうすると、平成11年の合併が始まるまでは、市議会議員共済会は1,000億円を超える積立金を持っていたんですが、それがどんどん減り、あと3年ほどで破たんすることになるんです。何とかしなければいけない。
 私どもの努力が足らないわけでも何でもないんですが、合併によりこのようなことになり、蓄えていたお金も何もなくなって、今、大変な状況になっているんです。
 それはどうにかしなければいけないと思うんですけれども、市町村合併により、このような問題も生じていることも御理解、御認識しておいていただきたいと思います。
  以上です。
○中村会長 ありがとうございました。
 太田委員、どうぞ。
○太田委員 私はずっと行政改革に関わってきているものですから、合併のことも、平成十何年か忘れましたけれども、与党の行革の協議会、幹事長や政調会長が、自民・公明の両方から出てくるんですけれども、そこで決定したわけです。私たちのリスクで決定した。
 そのときに、3,000を1,000にするという目標だったんです。
 当然そのときに、事務局は今日と同じ、旧自治省、総務省でありますから、当然事務局は案を出して、それを我々に諮って、我々が3,000を1,000にするという案が出ればいいというつもりでいたところ、はっきり書いてないんですね。3,000を1,000にするかどうかぐらいの書きぶりだったので、当時の局長か何かに、言わなければだめではないかと。はっきりしないとどちらかわからないという、私どもの立場としては、どれを書けとは言えない。3,000を1,000にしろとは言えない。ではだれが言うのかといったら、あなたが言ってくださいというわけです。
 だれもいないから、亀井静香さんが政調会長で、彼は堂々と反対だと。私が亀井さんに、あなたは自分の選挙のことを考えて反対しているのかもしれないけれども、これはやらなければだめなんですといって、亀井さんを抑えて、泥をかぶってこの3,000を1000ということを政府・与党として設定したわけです。
 しかし、今の山本委員のお話では、決していいことがなかったわけですから、そこはよく見て精査しないと、ひょっとしたら間違えたことを決めたのかもしれない。ちょっと心配になってまいりましたので、発言をいたしました。
○中村会長 ありがとうございました。
 中川委員、どうぞ。
○中川委員 私は方向性は合っているんだろうと思います。将来、基礎自治体をしっかりしたものにしていかなければならない、分権の受け皿としても、そういう意味合いでの合併の方向性は合っているんだと思うし、これからもまだそういう意味では進めていかなければいけないと思うんですが、やり方が間違えていた。特に金でつるというのは一番悪いです。さっき山本さんからお話があったように、合併しないと交付金が下りてこない。あるいは補助金が特別に下りるんですと。だから、合併しないとだめなんだと。ほかに合併しない。特に弱小町村では、このままでいったら交付税そのものも合併する方に取られてしまう。結果的にパイが同じですから、そちらを向いて厚くやるということは、合併しないところは取られてしまうということですから、そういう形で脅しすかしを、市町村長さんを中心にやったと、この手法でまとめたというのがそもそも間違いなんだと思います。だから、住民の方から満足感が出こない。
 本当は、ここに出ているようにコミュニティーの構築をどうしていくか。あるいは自治組織というのを基本的にどう考えていくかという構想をしっかり固めておいて、その上で住民の満足度がこれだけ、あるいは自分たちの住民自治というものが、これだけしっかりとしたものになっていくということを前提にした合併という、まともな説得をしていくというか、そういうものがあって初めて住民の満足度につながってくるんだろうと思うものですから、こんなだましをやったらだめですよ。
 それで全体のモラルが下がってしまって、今度合併しようと思っても住民が乗ってこない形になったんだと思います。
○中村会長 ありがとうございました。
 六団体の原委員、いかがですか。
○原委員 市町村合併というのは、そこに住んでいる住民が、合併することによって今まで、これだけしかできなかった住民サービスが、更に充実することができる。すなわち、住民の一人ひとりが、夢を語ることのでき得る合併でなければならないのに、今、中川先生が言われましたように、お金でつって、無理やり合併を進めるような形になりましたので、今日の報告とは違って、私どもの耳に入るのは、「合併をしなければよかった」、「合併するにしても、もう少し時間をかければよかった」と、こういう意見が圧倒的であるということを申し添えておきたいと思います。
 以上です。
○中村会長 ありがとうございました。
 大野委員、いかがですか。
○大野委員 私は、地方分権の受け皿ということで合併というのは進られてきたと考えます。しかし、この合併も、例えば権限移譲のことなんですが、権限移譲は、やはり移譲はするけれども、伴うものが何かないかということを考えると、お金の問題ですね。やはり権限は移譲するけれども、財源を伴わなければ何も意味がない。こういう問題を真剣に考えないと、合併の効果、要するにメリットはないのではないかと、そういうふうに思います。
 以上です。
○中村会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。専門委員の先生方、いかがでしょうか。
 大変、私の司会の進行がまずくて、7分間早く終了しそうでありますが、よろしゅうございますか。
 それでは、本日はここで締めくくりをさせていただきたいと思います。今後の審議につきまして、引き続き専門小委員会にお願いいたしたいと思いますが、今後の専門小委員会の中で、ただいまの御意見等について是非生かしていただきたいと思いますので、林小委員長から御発言をお願いします。
○林小委員会 それでは、今後の専門小委員会の運営につきまして、一言申し上げたいと思います。本日の総会でいただきました御意見等を踏まえて、チェック機能の充実に関する方策、あるいは市町村合併を含めた基礎自治体の在り方の諸課題につきまして、更に審議を進めてまいりたいと存じます。
 なお、12月16日に開催が予定されております次回の第19回専門小委員会より、当面市町村合併を含めた基礎自治体の在り方について調査審議を行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○中村会長 ありがとうございました。本日は、御熱心な御議論をいただきまして、またお忙しいのに御出席をいただきまして、ありがとうございました。
 以上をもちまして、第3回総会をさせていただきます。ありがとうございました。

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