会議資料・開催案内等


行政手続法検討会(第8回)議事要旨



1. 日時 平成16年11月17日(水)10時00分〜13時40分

2. 場所 総務省第1会議室

3.  出席者
(委 員)塩野宏座長、宇賀克也座長代理、青山佳世、岩渕正紀、小野邦久、菊池信男、木村裕士、近藤純五郎、堤富男、常岡孝好、平岡久、水谷克己(敬称略)
(総 務省(事務局))藤井昭夫政策統括官、白岩俊行政管理局行政手続室長

4.  議題
(1)   行政手続法検討会報告(案)の検討
(2)   今後の日程等

5. 会議概要
 
(1)   行政手続法検討会報告(案)の検討について、議論が行われた。主な内容は、以下のとおり。

(「2−ア−(ア) 行政立法」、「2−ア−(イ) 行政立法機関」)
  「行政立法」の定義を、「命令、規則又は訓令・通達その他の準則(準拠すべき定め、ルール)であって公にするもの」との定義がなされているが、講学上全く使われていないものだとすると混乱を招くと考えるが、特段の問題はないか。
  また、行政立法機関に職員を含めることとしているが、「機関」に職員を含めることが、学問的に見た場合、一般にありうるのか。
  前者については、「公にするもの」ということまで用いることはあまりない。通常、法規命令と行政規則に分かれるが、行政規則は法規命令以外のその他のものであり、そのフリンジの部分でどこまで含めるかは学者によって考え方が異なる。ここでは、行政立法手続の透明化という目的から、「公にするもの」という点も含め、対象範囲を明確にするものである。
  後者の職員については、行政手続法に定める行政指導については、職員が行うことが考えられ、これは機関に含まれている。常識的に考えて、係長がルールをつくることはなく、局長、課長クラスまででないか。
  3ページの(ア)行政立法の部分の括弧書「準拠すべき定め、ルール」の部分はどこにかかるのか。
  「訓令・通達その他の準則」とあり、これは、訓令・通達を例示とする準則という意味であり、「準拠すべき定め、ルール」は準則の意味である。

(「2−イ 規定すべき手続及び目的」)
  5〜6ページに、「行政立法機関は、国民からの行政立法に係る提案等に無関心であるべきではない」との記述があるが、この部分は評価できる。一方で、国民の側が、自らの権利利益に敏感であるべきとの考えは入っているか。
  国民の側についての記述は、13ページ3ア(イ)にあり、この部分も含めて考えていくべきものである。
  4ページのイの本文の3行には、〔説明〕部分に記されている目的が書かれていない。また、14ページの地方公共団体に係る行政立法についての記述があるが、この部分も「行政運営における公正の確保と透明性の向上」のみが記述されており、4ページの〔説明〕部分に記された3つの目的は記されておらず、これも記述した方がバランスの取れたものとなるのではないか。
  現行行政手続法第38条の規定を踏まえて記述したものである。38条を改正するか否かは、行政立法手続の規定ぶりと整合性をとりつつ検討していくべきものである。
  本文に目的に関する記述がない点には違和感を覚える。修文の検討をお願いしたい。ただし、今回の目的は複数あるものであり、簡潔には記述できず、説明が必要なものである点は理解できる。
  行政手続法の目的が変わらないとすれば、行政立法手続についても、国民の権利の保護が制度目的となるのではないか。

(「2−ウ 適用範囲」)
  改正行政手続法の制定という最大の目的を達するためには、どの辺りまでを適用範囲として要求すべきか、という視点や、また、将来の議論の可能性を閉ざすような内容の報告書を作成すべきではない、という考え方が重要である。
〔義務付け範囲〕
  「ワーキンググループにおける検討の概要について」の中には、形式と内容から適用の可否を判断するとしてa案とb案とがあった一方で、報告書案6ページ(イ)は、(1)(2)に分けられているが、両者の関係はどう考えるのか。
  (イ)は基本的にb案になじむが、a案とb案とはアプローチの仕方は違うものの最終的に義務付けすべき対象の範囲はさほど異ならないことから、いずれの案からも説明できると考えている。また、政省令や規則については、行政手続法の用例に合わせて「命令」とした上、「命令」以外のもので権利又は義務について定めるのは困難であるとの考えから、最終的に(1)(2)に分けた。「公にするもの」は、行政立法の定義に入っているので規準の定義からはずした。
  6ページウ(ア)に「必要性や合理性」という表現があるが、(イ)(ウ)ではそれらがバラバラに出てきているように思えるので、整理した方がよい。
  6ページ(イ)の(1)に「直接に」は入らないでよいか。(2)は、権利義務に関するもの以外ということか。また、「ルール作り」がエッセンスならば、その言葉を明記してはどうか。
  (1)の「直接に〜関する定め」は法制上適当な表現でないことから、これに変わるものとして「〜について定めるもの」とした。これは、権利を付与し、制限し、義務を課し、減免するものや、そのための手続を表すものである。国民の権利義務について定めるものではないが、これに関するものである場合には、(2)に該当し得る。「ルール作り」ということを確認的に書くことは考え得るが、「行政立法」の定義で明らかにしている以上、法制上は不要ではないか。
  「直接に〜関する」を「について」とした場合、限定されすぎないか。また、(2)は、「処分」「行政指導」は、行政手続法上、定義が明らかであり、権利義務に関するものとなるということか。そうすると、(1)(2)は、やや違ったものとならないか。(2)は、命令以外であって、という意味かと思っていたが、そうでないとすると読みにくいか。
  法制的に整理した部分は、法制局マターであり、問題とすべきはその前の部分であろう。そこで、検討会の提言が言い尽くされていればよい。
〔義務付け解除〕
  8ページ(ウ)(3)ii2の「30日以内」という要件は不要ではないかと考える。「30日以内」という要件には該当しないが、行政立法機関に裁量の余地がないものについても、意見提出手続の義務付けを解除すべきではないか。例えば、国会審議を経た歳入や歳出の額をそのまま命令等に規定するものなど、外形的に認め得るような場合について、義務付けを解除すべき場合として、追加すべきではないか。
  8ページ(3)ii2の「30日以内」というのは、あくまで例示的だと思う。30日以内でなくとも、行政庁に裁量のない場合はありうる。
  30日以内という要件をはずしたとしても、何らかの歯止めが必要だと思われるので、その点のご意見をいただけないか。
  弾力的な適用が可能なものにしておくべきだろう。
  予算の執行が10月からというものなどもあるが、これは30日以内でないからだめだということになると、その理由が分からない。
  数字を不変期間とせずに標準期間とする方法や、最初から不確定な概念で要件を立てるという方法などが考えられる。
  法律案よりも予算の方が問題は深刻である。予算でがっちりと決められている場合に、意見提出手続をする理由があるのかという疑問がある。
  予算の場合、翌日施行や半年後施行など幅がある。適用除外の要件も弾力的に解し得るものとすべきだし、法律案と予算とは区別した方がいいだろう。
  予算と法律をまとめている点は、確かに検討の必要がある。歳入と歳出のうち、たとえば補助金要綱など歳出に関するものの場合、弾力的にやっていると、行政庁の裁量の余地が残されていることにならないかという問題がある。どうやって切るかにつき良いアイディアがないか。なお、要綱が遅れて出来上がった後、4月1日から遡及適用されるものもあるが、こういうものは適用除外になるという理解であるが、それ以外をどうすべきか。
  目的や予算総額が決まっていても、誰に対して、いかなる要件で、ということになると裁量の余地があり、手続に付す必要性はあるのではないか。
  この問題は、一遍国会で審議したものについて改めて同じことをやらなければならないのは無駄だということであろう。そうだとしても、どこかで合理的期間を区切るべきだとは思う。
  行政立法手続の法制化の背景には、行政立法に伴う行政裁量の濫用の抑制の必要性というものある。税額や予算の歳出面などは、政治すなわち国会審議で決すべきものであり、行政裁量の問題ではなく、こういうものをパブコメに付す合理性があるのかどうか。国会の判断を尊重してその枠内でやるのが当然ではないか。そこで、30日以内という要件以外になにか適切な要件がないものかご意見がいただきたい。
  8ページ(ウ)(3)i1bは、公益委員もいるので、両当事者の合意という表現はいかがなものか。
  AとBという対立当事者がいて、その交渉結果による合意にしたがって決めるような場合に限定したいという趣旨である。
  地方と国との関係に関し、自治事務についての技術的助言はどう扱うのか。
  法定受託事務の処理基準の問題もある。
  8ページ(ウ)(1)は、「変更」に限っているように読めるが、新設の場合でも、軽微な内容を持つにすぎないものはあるだろう。
  8ページ(ウ)(2)ii2の「行政上特別の支障があるとき」は、いわゆる情報公開法にいう不開示情報の中の公安関係などに限定している趣旨か。
  限定していない。他にも該当するものがある可能性はある。
  「行政立法全体を通ずる一般原則」の(2)については、努力義務ではなく、義務にするべき。

(「2−エ 意見提出手続I1」、「2−オ 意見提出手続II1」)
  「意見提出手続I1」の「規準以外の定めを内容とする行政立法をしようとするときは、この手続によることができる。」との記述は不要ではないか。「できる」のは当たり前のことであり、法律事項ではないと考える。
  「意見提出手続I1」(1)の「広く国民の意見を求め」については、行政立法の前提となる法律自体に反対との意見も出てくる可能性があるので、「当該案について」などの文言を前に加えて、もともと扱えない意見を処理できるようにする必要があるのではないか。
  このカテゴリーでは、中身そのものに意見はない。しかし、「要綱」では、行政立法機関の文言がよく使われているが、意見提出手続の対象とされるのは行政立法のうち規準であることからみて、規準策定機関や行政規準制定機関とすべき。
  「行政立法時の公示」において、「提出意見を他の方法で公にしておくことを義務付けるべき」との記載があるが、提出意見はインターネットで公示しておくのか。
  公示はインターネットだが、他の方法は公示以外という意味で、インターネットや閲覧などのあらゆる方法を排除しているわけではない。
  提出意見を公示しておくことは、その期間内には行政に一定の事務量が生じるため、公示の義務付け内容に弾力性を持たせるか、行政の裁量に任せるべき。
  方法は行政機関に任せている。一方、公にする期間については、文書閲覧窓口による保管であれば、窓口での文書の保管期間の問題もあり、もう一度考えてみたい。

(「2−カ 趣旨の明示(理由の提示)」、「2−キ 公示の方法」)
  「任意に他の手段で情報提供」すべき場合として、マスコミの記者への説明を活用する旨を明記すべきことなどを考えてはどうか。
  「趣旨の明示」については、軽微・緊急を理由として意見提出手続を行わなかった規準の後始末的な要素あり。これらのものについて、後で理由をじっくり考えろといわれたのでは例外規定を設けた意味がないのではないので、8ページの(ウ)(2)ii2は「趣旨の明示」から除くべき。
  そうすると、「趣旨の明示」は、意見提出手続の補完措置として位置づけになり、項目として一本立ちできるかどうか。
  前段のご指摘については整理する。後段については、法制局とどのように整理するかの問題ではないか。
  国民の権利・義務に係るものでなくとも、「趣旨の明示」を行うべきではないか。訓令・通達類については、「根拠」をどう示すのかとの問題がある。「理由の提示」を「趣旨の明示」に変更した理由に、「行政立法の契機の説明が誤解を招く」と記載されているが誤解はまねかないので、「理由の提示」でよいのではないか。
  訓令・通達類の「根拠」との文言が適切でなければ、整理したい。根拠規定を指しているのではない。「理由」と書くと、現行の法令改正の「理由」と同義と誤解される可能性があるため、変更したもの。
  「趣旨の明示」を任意に行うとの方法もある、また、範囲をあまり広げると、行政機関に過度の負担が生じ、義務付けすべき事項自体の実施が困難になるのではないか。
  「趣旨の明示」については賛同。「公示の方法」の〔説明〕部分には、任意に情報提供できることが書いてあるが、その上部の本文部分にはこれを入れない理由は何か。
  公示の方法を限定していることを明示することが重要。あわせて他の方法で行うことも許容している。
  「公示の方法」については、基本原則はインターネット。ただし、マスコミも一般向けに資料を分かりやすくすることには長けているので、大いに活用すべき。また、要綱をみると、「公示の方法」の本文部分が記載されているので、可能であれば分かりやすく記載してほしい。
  要綱は一覧性が重要ではないか。

(「3 その他の事項について」)
  地方自治体の処理基準、地方自治法との関係など、次回には検討しなければならない。
  「原案の大幅修正」は、制度の予定するところであり、基本的には原案の修正にすぎないと位置づけることが適切であって、原案が大幅修正されたからといって、改めて意見提出手続を義務付けるのは適当ではないと考える。
  「検討会において指摘された他の課題について」には、もう一度整理してもらいたい。また、現行行政手続法が適用除外とされている事項の見直しを加えるべきではないか。
  よく相談させていただきたい。
  「規準」という文言は、法律を読みなれていれば分かるが、一般の人からみて遠い世界のような気がする。
  本検討会の報告は、我々の言葉で書くことが重要ではないか。
  意見提出手続が法定化されれば、行政機関の事務量が増大するので、体制整備が必要ではないか。
  今回の法制化により行政手続法が改正された後、同法施行令は意見提出手続にかけるのか。
  かける必要があるのではないか。
  「原案の大幅修正」の「同一性」については表現が厳しいので、何かうまい文言を考えてほしい。

(全般事項)
  報告(案)については各省から意見はあろうが、今の段階でこれを変えろとか要望はあるのか。
  本報告(案)は本日オープンになるものであり、今後反響があるものと思う。
  その反響によって次回議論すべきことが出てくるのではないか。

(2)   第9回検討会は、11月24日(水)10時から。

 
以上
   
    なお、以上の内容は、総務省行政管理局行政手続室の責任において作成した速報版であり、事後修正の可能性がある。

ページトップへ戻る