会議資料・開催案内等


行政手続法検討会(第6回)議事要旨



1. 日時 平成16年9月22日(水)10時00分〜13時30分

2. 場所 麹町会館2階・ルビー

3.  出席者
(委 員)塩野宏座長、宇賀克也座長代理、青山佳世、岩渕正紀、大森政輔、小野邦久、菊池信男、木村裕士、近藤純五郎、堤富男、常岡孝好、平岡久、水谷克己(敬称略)
(財 務省)野島透大臣官房文書課業務企画室長、金子明彦大臣官房文書課業務企画室課長補佐、菅谷祥生大臣官房文書課企画調整室課長補佐、永長正士主税局税制第一課長、青木孝徳主税局税制第一課審査室長、西村善嗣国税庁課税部法人課税課長、矢田公一国税庁課税部法人課税課企画専門官
(総 務省(事務局))藤井昭夫政策統括官、白岩俊行政管理局行政手続室長

4.  議題
(1)   財務省ヒアリング
(2)   行政立法手続に関する意見募集の結果
(3)   ワーキンググループにおける検討の概要
(4)   今後の日程等

5. 会議概要
 
(1)   野島透大臣官房文書課業務企画室長等から、財務省ヒアリング関係資料(行政立法手続の法制化について)の説明が行われた。引き続き、質疑応答が行われ、主な内容は、以下のとおり。
 
  資料中「国民の意見を受けて検討することが適当な分野は何か」という部分は、個別の行政作用の特徴と手続の必要性をどう考えるかの指摘と理解されるが、どのように考えるべきか。
  先生方で御議論するべき話と考えるが、税務関係法令をパブリック・コメントすれば、様々な意見が出て年末の予算プロセスにのせられるか疑問。行政立法の策定について意見募集することが全ての行政立法において適当という訳ではない。
  「国民各層から広く要望を受け、関係方面との意思疎通を図る」手続、「文書回答手続」について、それぞれの根拠は何か。
  前者については特に根拠がある訳ではないが、財務省設置法で税制の企画立案が規定されており、税制改正要望を受けている。後者については、通達が根拠である。
  文書回答手続で個別回答した内容が、誤っていたときはどうするのか。
  そのようなことはないように慎重に検討しているところである。
  法令解釈通達をパブリック・コメントにする気はないのか。
  資料に記載したとおり、税務の事情に御留意いただきたい。
  時間的な制約のあるもの以外のものを、パブリック・コメントの対象とすることに何の支障があるのか。法令解釈通達は行政内部を規律するものとしているが、国民に対して影響があるのではないか。
  税は、言わばほとんど全国民が利害関係者であり、例えば路線価などはそれぞれの利害に基づいた意見が出され、その意見が相反するであろうから、パブリック・コメントを行うと収拾がつかなくなる惧れがある。また、法令解釈通達は、課税の統一性を図るため国家行政組織法に基づき、国税庁長官が職員に指示をしているものであり、あくまで行政庁の内部規範であって法源性がないものである。
  税務行政に当たっての運営の方針を示したものの中には不服申立てや異議申立てなどの事項が記載されており、こうしたものはパブリック・コメントの対象とすべきではないか。
  同方針は、職務執行に当たっての職員向けの訓示のようなものである。
  なお、国税庁では従来からホームページや税務署の窓口などで国民からの意見・要望を広く受け付けており、適切に対応している。
  文書回答手続による回答で、法令解釈通達と異なる見解を示すことはないのか。
  法令、通達に則して回答している。
  酒税関係の通達はパブリック・コメントしているのか、しているとすれば、その他の税の通達はパブリック・コメントをしないことについての整合性がとられていないと思うがどう考えるか。また、新規又は変更の税関係の通達は毎年さほど出ていないと思うがどうか。
  酒については、酒税の執行の面と産業行政の面あり。酒税の執行関係については税は規制ではないとの見解のもとにパブリック・コメントを行っていない。法令解釈通達は国民を直接拘束するものではなく、法源性は持ち得ない。
  また、法令解釈通達の改正は、例えば法人税関係では、連結納税制度などの大きな改正に係るもの以外でも毎年200ページ程度の改正を行っており、税制改正後早期に周知する必要があるため、法令解釈通達の改正作業はタイト。
  今パブリック・コメントしていないのは、規制だからしていないのか、それとも、緊急性があるためしていないのか。
  従前は税は規制ではないとの見解であった。今回はパブリック・コメントの対象が広がるとの議論と理解。時間的な制約も大きいが、議院内閣制の下、大臣の責任で決定する事項について、そもそも直接民主的プロセスをどこまで入れるのが適当なのか、専門の先生方に御議論いただきたい。
  法令解釈通達については、最高裁判例、学説などを踏まえて、パブコメの対象とすべきかどうか検討しており、法源性だけでこの議論を終わりにするつもりはない。

(2)   行政立法手続に関する意見募集結果について事務局から説明が行われた。
 
(3)   ワーキンググループにおける検討の概要について事務局から説明が行われた。引き続き、議論が行われ、主な内容は、以下のとおり。
 
  ワーキンググループ(以下「WG」という。)における検討の概要の中では、二つの方針案が併記されていたり、なお書きが記載されていたりしているが、全体の検討会スケジュールにかんがみれば、次回(第7回)検討会あたりで、本検討会の報告書のイメージを示すことになるのではないか。

(1.制度創設の理念・目的)
  ここで挙げられた3つの目的については、アメリカ法も同様であり、特に異論はない。
 
(2.適用範囲)
  閣議決定に基づいて実施されているパブコメを立法化するに当たり、閣議決定の対象を画するメルクマールである「規制の設定又は改廃」という文言が、WGでの検討の過程で消された理由は何か。
  給付行政分野など、閣議決定の対象から更に拡大した部分について、何故、パブコメ手続に付す必要があるかについて本検討会でもっと議論する必要があるのではないか。
  中央省庁等改革基本法第50条第2項は、より対象を広げている。その後規制改革の過程で出来た現行閣議決定が、今回の立法化に当たっても「規制」に限定する趣旨と解することができず、今回のWGでの検討結果は、基本法で定める原点に戻ったものといえる。
  現行行政手続法は、「規制」と「給付」を区別していないし、他の諸外国の法制度も、「給付」を対象としている。
  国民の生活に与える影響からみると、「給付」においても公正性・透明性を確保する必要がある。改正行訴法でも給付行政分野の義務付け訴訟を創設したように、行政給付分野における実効的救済の確保は行政法の現代的課題である。
  骨太方針や本検討会への諮問事項も、対象を「規制」にとどめる趣旨ではない。
  給付行政分野が検討対象に入るのはやむを得ないが、多くは予算関連のものであって、これまで対象とするのは疑問である。時間的制約があるものもあり、これらの点を整理する必要があろう。
  〈考え方〉では、告示以下について対象となるのかどうかの判断が難しいので、行政側は苦労することになる。具体例を挙げて、対象内か外かを示していただきたい。
  〈考え方〉の案では、行手法や行訴法上の概念を用いており、明確であって、行政側にとって分かりにくいとは思われない。
  法制化する場合、その対象が明確である必要があるが、〈考え方〉では、この点に疑問がある。「権利義務に関する」とは、法律事項である「権利を制限し、義務を課す」と同義か、また、「権利義務に影響を与える」とは、権利義務に法的効果を及ぼすという意味なのか。いずれにしても、告示や訓令・通達がどうなるのかというのが一つの大きな課題であろう。
  「権利義務」による切り口には賛成である。中央省庁等改革基本法第50条第2項が既に存在している状況で、立法化にあたり、対象を「規制」に限るとした場合、国会や国民に対して説明がつかないだろう。形式面で広く対象に入れつつ、必要のないものや対象とすべきでないものを除外することによりバランスを図るということでやむを得ないのではないか。
  「一定の内容」について、最も狭くとると、伝統的な概念としての法規命令ということになる。法規命令の中には、給付行政に係るものもある。法規命令といった場合、コアの部分は一致しているが、例えば、組織に関するものも法規に含めるとの考えもあるなど、若干異なることがある。
  審査基準等が対象範囲に含まれる点は画期的。その際に審査基準等の範囲はどこまでか。審査基準等の中で「考慮すべき事項」に係る部分だけと考えていいのか。審査基準等の中で、実質的に国民の権利・義務に影響を与えるものという理解でいいのか。裁量基準、解釈基準と区分した場合に、解釈基準は落ちるという理解でいいのか。
  審査基準等の中で、全く関係のない部分までは含めないとの趣旨。解釈基準も入ると考えている。裁量基準と解釈基準は、明確に区分はできないのではないか。解釈基準が含まれないと、通達が全て対象外となってしまう。
  閣議決定の対象外案件についてもパブコメを実施しているものは結構ある。法制化する際に義務づけても、それ程大きな影響は与えないのではないか。補助金などの給付行政については、予算の作成そのものは対象ではなく、補助要綱は対象となる。訓令、通達を拾うかが問題。告示については、色々な性格があるが、実体をみながら対象としなければならない。政省令の中にも、法規範とは言えないようなものがある。
  1aにおける「一定の内容」には、具体的にはどのようなものが残るのか。政省令と「考慮すべき事項」に関する定め以外で、適用対象として具体的に考えているものは何か。
  形式的には、告示が明示されていない。「組織規程」などが入るかどうか、という議論もある。税の基本通達は、行政処分の際に考慮すべき事項なのではないか。現行行政手続法の手続を規律する処分に限定するとは考えていない。
  パブリック・コメント結果を見た場合、意見は案の公表などの部分に集中している。パブリック・コメントは、行政がやろうとしていることを知らせるバロメーターであり、できるだけ対象範囲は広げ、その上で行政事務の支障等を考えながら範囲を絞っていくことがいいのではないか。
  告示の一部、基本通達が対象であることは納得したが、告示は一つの行政形式であり、政省令等の中に告示も含めて、事実のお知らせのような告示は、除外事由の中で除いていくとの処理の方がいいのではないか。最後は通達をどのように整理するかがポイントとなり、更に考えてみたい。
  行政機関の負担は常に考えなければならないが、対象範囲は広く、負担は軽く、ということを狙っていくべき。この点からは、内容で区切って考えるべき。法制上不明確との考えもあるが、ここでは考えの筋道を示すべき。また、不明確であることは致命的な問題ではないと考えている。手続に従わないことが直ちに違法になるというものではなく、最終的には行政責任の問題であり、個別案件を対象とするかは行政機関が一義的な判断をすべき制度である。
  審査基準等で公にするものはパブコメをしなければならない、という制度にすると、公にしないというディスインセンティブを引き起こすのではないか。
  審査基準はできるだけ具体的なものとし、公にしなければならないことは行政手続法に規定されており、これが守れなければ手続法違反となる。実際上の問題としては、難しい問題はある。例えば、法科大学院の設置の審査基準は公にされなかったが、国民が声を上げなかった。国民が声を上げることが、現行手続法上、また、新たな行政立法手続においても重要である。外国人が提訴し、審査基準を公にしていなかったため、不許可処分を取り消すべきとした判例がある。
  上記のような懸念はあるが、現状を考えると、任意的なものを含め予想以上に各省はパブコメをやっているとの印象を受けた。現在では、パブコメをやらないことによる問題の方が大きいと考えられており、国民の声が出やすいようになると、実際上あまり心配しなくていいのではないか。
  6の「等」には何が含まれるのか。
  WGで議論があったのは、行政契約や即時強制。

  (3−(1) 案の公表)
  パブコメを行っていること、その内容が国民に届けなければ意味がない。公表されるものが難解なものや膨大な量のものであれば、読む気にならない。また、いつパブコメを行っていたか分からなかったということも困る。この点から、窓口の一本化は重要である。全ての案件を個別に新聞等を用いて周知することは費用の面から現実的には困難であり、e−Govという一本化された窓口の存在の周知を図るべき。
 
(3−(2) 意見等の提出期間)
  提出期間については、具体的な期間を下限として定める方法としたい。

  (3−(5) 審議会手続との関係)
  4の「なお書き」は、パブコメ手続よりも審議会手続の方が重要とのニュアンスが感じられる。審議会で作成した案を、パブコメにかけて、そのまま決定するとの考えもあるのではないか。
  審議会を重視するものではない。パブコメで得た情報については、審議会にも知らせることを述べているものであり、審議会の意見だけを尊重したり、審議会で収斂させるというものではない。
  3の「そのような扱いを明らかにする」とはどういうことか。
  案段階でどういうものとなるのかが明確でなければ、パブコメ手続はできない。公布と同時期に、理由の提示をすることとしているが、その際に、審議会が行ったパブコメ手続の際に示された審議会の考え方を受け入れた旨を明らかにする必要がある。

(4)   第7回検討会は、10月27日(水)午前から。

 
以上
   
    なお、以上の内容は、総務省行政管理局行政手続室の責任において作成した速報版であり、事後修正の可能性がある。

ページトップへ戻る