会議資料・開催案内等


行政手続法検討会(第7回)議事要旨



1. 日時 平成16年10月27日(水)10時00分〜13時30分

2. 場所 永田町合同庁舎共用第一会議室

3.  出席者
(委 員)塩野宏座長、宇賀克也座長代理、青山佳世、岩渕正紀、大森政輔、小野邦久、菊池信男、木村裕士、近藤純五郎、堤富男、常岡孝好、平岡久(敬称略)
(総 務省(事務局))藤井昭夫政策統括官、白岩俊行政管理局行政手続室長

4.  議題
(1)   ワーキンググループにおける検討の概要
(2)   行政手続法検討会報告書のイメージ
(3)   今後の日程等

5. 会議概要
 
(1)   ワーキンググループにおける検討の概要について、第6回会合に引き続き議論が行われた。主な内容は、以下のとおり。

(3−(8) その他)
  <適用対象外又は法定外のものへの対応>
  米国においては、法的効果をもつものはパブコメ手続を実施することが必須であるが、それ以外のものについては行政手続法(APA)には規定されていない。大統領令、個別法に基づきパブコメ手続を行っているものもあり、行政監理会議の勧告では、対象外のものについてもパブコメ手続を行うほうがいい旨指摘している。
  公益通報者保護法が成立し、現在、民間事業者に対する模範事例集のようなガイドラインが作られているが、これは対象に入るか否か分からないが、内閣府は、パブコメ手続を実施すると言っていた。パブコメ手続が浸透しているとの印象を受けており、このような取組が促進されるようなものとしていきたい。
  現在の案では、閣議決定は除外されるのではないかと考えるが、閣議決定の中にも多様なものがあり、単なる政策決定というのではない。「必要に応じ」という留保を付けるなど、柔軟に対応できる規定を設けてはどうか。
  条文化できるかは別にして、色々な案件でパブコメ手続を活用すべきという点は共通理解である。

  <原案の大幅な修正>
  米国においては、ロジカル・アウトグロースという考えがあり、論理的に考えた場合に、連続したものと判断できる場合は、再度のパブコメは必要ないとされている。
  同一性について、あまり厳しくすると、なかなか最初の案が作られなくなる。ある程度、幅広く認める必要がある。
  この部分の考え方については疑問がある。提出された意見を十分に斟酌した結果、変更されるのであれば、それは良いものになったと評価すべきである。

  <意見募集終了から公布までの期間>
  一律に規定しないとの考えでいいのではないか。
  公布から施行までの期間をどうするかを問題提起したい。
  法律についても同様の問題があり、現状は、各法律毎に決められていることを指摘したい。

  <法的効果>
  裁判所において判断される問題との現在の考えでいいのではないか。

  <行政立法の制定・改廃を国民が提案する仕組み>
  実務上は、各省が様々な形で国民からの意見は受け付けており、現在の請願法の仕組み以外に一般法として新たな仕組みを設ける必要はないということでいいのではないか。
  米国の場合、行政手続法(APA)に申出権の規定があり、行政側が申し出を拒否する場合は、その理由を示さなければならない。ただし、当該申し出を受けて対応するか拒否するかは、行政に広い裁量が認められている。そのため、行政が拒否したことに対し申出権の侵害として訴訟を起こしても、原告側が勝つことはほとんどない。

(4 理由の提示)
  行政機関が、行政作用を行う際には説明責任が生じるもので、行政処分、行政指導に関しては、既に行政手続法に規定があり、行政立法についても、その制定理由、趣旨を説明するような仕組みを設け、義務づけることが必要。パブコメ手続を実施するものは、その中で理由の説明がなされると思われるので、重複は必要なし。しかし、緊急を理由としてパブコメ手続を行わなかったものについては、理由の提示が必要。オランダの行政法典においては、行政立法についても、行政処分等と同様に、理由の提示義務が規定されている。
  理由の提示の法制化は、時期尚早ではないか。中央省庁の現状を踏まえ議論すると、行政にとって避けられる負担はできるだけ避け、行政が積極的にパブコメ手続を実施するようなものとすべき。法律についても理由の提示がなされているものではなく、策定の理由を調べる時は国会の議論を調べるもので、どうしても必要というのならば、まず法律について義務づけるべきではないか。パブコメの中で理由を説明すれば事足りるもので、別途法制化する必要はなく、また、仮に法制化すると、その対象範囲をどうするかとの問題も生じる。
  パブコメ手続を実施していないものは、説明がなされていない。法案については、委員会審議等が行われ、その議事録を見て後から調べることができるが、行政立法の場合は、このようなことはできない。それ程重い負担にはならないものを想定している。
  理由付記について基本的に賛成であるが、どのようなものまで対象とするかを整理する必要がある。審査基準はパブコメの対象であるが、このようなものまで理由付記を義務づける必要はあるのか。一方、委任立法の場合は、理由の提示だけではなく、根拠条項の明示が必要となるのではないか。
  行政に負担させる必要性があるのかとの点から議論すべき。また、一体どの程度のものが必要かにもよる。個々の条文の解釈を考えるために必要ということであれば、現在の法案の提案理由、国会での議事録、役所が書くコンメンタール等は判決を書くときあまり役に立ったという記憶はない。大した負担にならないものであっても、一体どれほどの意味があるのか、という問題が生じる。
  理由の提示としてどの程度のものが求められるのか。提案理由説明程度のものでは事務負担上問題ないが、コンメンタールのようなものであれば、大変となる。適用範囲がどのようになるのかとも関係する。また、どのような形で公表するのかも整理が必要。
  コンメンタール的なものを考えている訳ではない。制定趣旨等が明確にしめされていればよい。公表方法については、米国においては、官報に掲載されている。日本において同様にする必要はないと考えている。
  今回パブコメの対象とする行政立法はかなり広く、通達等も含まれる方向だが、通達などは、その内容自体が理由のようなものがある。委任政令については、説明責任から理由の提示が必要である。パブコメを行っているものについては、不要ということであれば、負担は大きくなく、負担という観点から消極ということにはならないのではないか。
  パブコメ手続の適用範囲と理由提示の適用範囲の整理が必要ではないか。パブコメ手続を行わなかったものでも、その理由が「緊急」と「軽微」では対応が異なるのではないか。
  軽微なものまで、理由の提示を求めることを考えているわけではない。
  簡略なものでもいいとしても、法制化すると混乱を招く恐れがある。適用範囲と併せて、議論すべきものである。
  緊急な行政立法が必要との理由により、パブコメ手続を行わなかったものについては、行わなかった理由を示さなければならない。したがって、制定理由の提示もそれと同時に行えるのではないか。
  委任命令については理由の提示は必要であり、それ以外にどこまで対象を広げるのか、また、どのような形で行うのかを整理する必要がある。

(5 公聴会手続)
  ワーキンググループ報告のとおりでよい。

(6 行政立法に対する不服申立て)
  2については、不服申立てだけではなく、行政訴訟も可能な場合もあることがわかるように修正した方がよい。3の「認められない」は言い過ぎで、「ほとんど認められない」という程度ではないか。
  国民からの行政立法の制定・改廃の申し出、苦情の問題もどこかで受け止める必要はある。現状の仕組みを肯定した上で、報告書ではしっかり書くことにとどめるか、更に一歩進めたシステムとするか。
  苦情の取扱いについては、行政立法の制定・改廃を提案する仕組みについての検討と関連づけて考える問題。後者と同じ結論(新たな仕組みを設ける必要はない。)でいいと考える。
  現行の閣議決定においては、総務省による実施状況の把握が規定されており、最近のものでは、不適切な事例についても紹介されている。訴訟、不服申立て等の制度をにわかに設けることは困難と考えるが、実施状況をフォローアップする仕組みはあったほうがいい。

(補論 意見提出手続の実施に当たって)
  今回の法制化により、行政側、特に企画を担当する一部の職員の負担が相当増加することが考えられる。行政立法手続に対する意見募集の結果も読んだが、100件程度の意見数でも大変な手間暇がかかったのではないか。案の作成、提出された意見の考慮、結果の公表は役所の仕事であるが、提出された意見の分類等は、個人情報の問題もあるが、外注できるようにすることも検討すべき。検討会として、体制の整備についても意見を言う必要があるのではないか。

  適用範囲については、第6回会合において様々な意見が出されたため、再度議論が行われた。主な内容は、以下のとおり。

(2 適用範囲)
  WGにおける検討の概要2頁のa案を支持。法規命令といわれるものと、法源性をもたないものとを分けて考えた方がよい。法規命令についてはすべてパブコメ手続を義務付ける。道路法に基づく道路構造令など、国民の権利義務に関するかどうかの判断が難しいものもあるので、一律に解した方がよい。告示については、多種多様なものがあるので、命令たる告示について、法規命令に含めた上で、適用対象とすると考えてはどうか。法源性を持たないものは、公にされるもので、かつ一定の内容を持つもののみをパブコメ手続の義務付け対象とする。
  このようにして網を掛けた上で、内部管理行政関係の政省令などパブコメ手続の必要性が認められないものを、別の形で除外すればいいのではないか。
  b案を支持。政省令・規則と告示以下を区別するのではなく、同じ規準で統一した方がよい。WGにおける検討の概要2頁の「一定の内容」については、ア「行政主体と私人の関係における権利又は義務に関する」について、「直接」という限定をかけるかどうか、イ「考慮すべき」について、提出意見の考慮義務でいう「考慮」と同じ文言を用いていることの適否、ウ「影響を与えるような」について、「ような」は不要ではないか、について考える必要があろう。2については、「判断の基準となる」などはどうか。
  本日は、a案かb案かではなく、実質について、すなわちどのようなものを対象とし、どのようなものを対象外とすべきか、を議論したい。
  給付行政関係など予算絡みのものは、「手続に付することにつき、行政上特別の支障があるもの」に該当すると考える。10月末ころに予算案が決まり、3〜4月ころに予算が通るが、その中身は閣議決定の段階で世間に公表され、3〜4か月に渡ってマスコミ等により公にされ、約2か月にわたる国会審議を経て成立する。このような審議を経てきたものについては、すでに国民の意見は聞いたものであり、適用除外とすべきであろう。補助要綱などは国会審議の段階でかなり公にされている。
  そういう問題は確かにある。どういう形で適用除外とするかは法律案の段階で考えてみたい。必要のない手続を義務付けるつもりはない。
  適用範囲とともに適用除外をどう立てるのかを併せて議論した方がよい。予算を踏まえた政省令などは、パブコメで反対意見を提出されてもどうしようもないから、適用除外とすべきだろう。また、通達一般を対象とするか、全てを対象外とするか、一定の基準で区別するかも問題であろう。施行通達や運用通達についてパブコメ手続を義務付ける必要があるのか疑問。解釈通達についても、国民の権利義務に関するものかどうか疑問。
  解釈通達といっても、裁判所が合理性の判断をしているものもあれば、全く相手にしない純粋な解釈通達もある。後者についてどうするかという問題はある。行政機関が、処分や行政指導に際して拠るべき基準、根拠とすべき基準に当たるようなものを対象とすることになろう。
  法規命令のほか、審査基準や処分基準といわれるものが対象となればよいと考える。いずれにしても、パブコメ手続の瑕疵が、当該行政立法を根拠とする処分の効力を左右するようなことはないと考えている。広く対象を捉えて、パブコメ手続を奨励することとし、そのうち一部のものについてパブコメ手続を義務付けるという構成がよいだろう。
  あらゆる政省令や告示についてパブコメ手続を義務づけると、行政の負担が重く、大変なことになるだろう。国民の権利義務に関係する政省令や告示を対象とすべきであり、お知らせ告示などは、条文で対象からはずれるようにしてもらいたい。
  告示以下の通達については、行政にとって過度の負担にならず、かつ、パブコメ手続の趣旨を損なわないような範囲のものにするということになろう。解釈で迷うようなところについては、はっきりと解釈を示す必要があろう。
  政省令は、外部的効果を有するもので、裁判所で裁判規範として扱われるものであり、組織令も含めてパブコメ手続に付す意味はあると考える。外部効果を持つ政省令や、合理性が認められることにより外部効果を持つのと同等に扱われる審査基準等を対象とするのがよい。
  「一定の内容」の中に、実質的に国民の権利義務に影響を与えるようなものが入ればよい。告示でも、たとえば学習指導要領などは入れて貰えればよい。ところで、WGにおける検討の概要3頁によれば、一般処分等については、「別に考慮すべき問題もある」とのことであるが、どんな問題か。
  一般処分、行政計画などは、多種多様なものがあり、性格に応じて個々に配慮しなければならない問題があると考えられること、今回の検討は、行政機関がルールを定める手続についての議論であり、それ以外のものまで一律に議論するのは難しいと考えられること、などを意味する。ただし、これらについてパブコメ手続をすべきでない、ということではない。
  対象範囲は広くしておいて、例外をきちんと設けてはどうか。
  行政主体と私人の関係における権利義務に関する一般的規律であり、かつ、処分や行政指導に際して考慮すべき事項に関するもので公にされるようなものが対象になればそれでよいと考える。
  「迅速、緊急、実行不能、軽微、不必要、不適当、公益違反」といった事情と報告との関係がよく分からない。整理を要するのではないか。

(2)   行政手続法検討会報告書のイメージについて事務局から説明が行われた。引き続き、議論が行われ、主な内容は、以下のとおり。
  ここまできたら、今まで検討会内で議論してきたものを報告書の文章に記述すればよいのではないか。

(3)   第8回検討会は、11月17日(水)10時から。

 
以上
   
    なお、以上の内容は、総務省行政管理局行政手続室の責任において作成した速報版であり、事後修正の可能性がある。

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