会議資料・開催案内等



  

全国都道府県知事会議
  議事録


  
  
  
  
  
  
  
平成16年11月12日

  

  
  

  
  
全国都道府県知事会議次第

平成16年11月12日(金)
於:総理大臣官邸

  
  
1 開会 12時00分
2 内閣総理大臣あいさつ  
3 全国知事会会長あいさつ  
    (昼食)
4 内閣総理大臣と知事との懇談 12時20分
  (休憩) (14時00分)
5 各閣僚と知事との懇談 14時15分
6 閉会 17時00分

  
  

  
○総務大臣 それでは、定刻を回っておりますので、これより全国知事会議を開催させていただきます。総務大臣をしております麻生太郎です。今から議事進行の都合上、座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
  まず初めに、内閣総理大臣の方からご挨拶をいただきます。
○内閣総理大臣 お忙しいところ、今日は官邸におこしいただきましてありがとうございます。
  知事の皆さん、全国それぞれ地域の事情は異なりますが、日ごろから住民の福祉の向上に尽力されていることに対しまして心から敬意を表します。特に、今年は台風が多く、台風で被害に遭われた地域、また、さきの新潟地震については、関係知事の皆さんにおかれましてはご辛労も多く、連日大変ご苦労のことと拝察しております。政府としても台風被害、地震被害、被災者の支援、今後の復興につきましては、関係地域の皆さん方とよく協議をしながら、お互い協力しながら、被災者の支援、復興に向けて努力をしていきたいと思います。
  また、私の内閣の方針として、地域が特色を持った発展をしていただくということから、一地域一観光的な見方をもって、それぞれの地域の特色を生かしてほしいと。まだまだ日本には眠っている観光資源がたくさんあるはずだ。パリだけで年間5,000 万人の観光客が訪れるのに比べて日本全国で年間500 万人しか外国人が来ていない。そういう点を考えますと、まだまだ日本には眠っている潜在力、資源がたくさんあるのではないかという点から、特区構想あるいは地域進展、稚内から石垣まで、それぞれ特色のあるよさがあるはずだと。そういう点も日本国民に発信すると同時に、世界に向けても発信して、この一地域一観光、これはどの地域もそういう点は歓迎するのではないか。また、観光というのは、お年寄りも若い者も男も女も大きな楽しみの一つですから、世界どこも変わらないと思います。そういう点について、かつて大分県で一村一品運動というのが、これは外国でも大分に学ぼうという、外国でもそういう動きがあるわけですが、一地域一観光的なものを皆さん方自身に考えていただきたいということで観光振興も挙げております。
  さらに、今皆さんが恐らく一番関心を持っているのが三位一体の改革だと思います。地方分権、それぞれ努力して地方六団体が賛否両論ある中、提言をまとめてこられたわけでありますから、政府としては、その地方の意見を真摯に受け止めて、いかに実現するか。国と地方は対立する存在ではありません。協力しながら国も地域の発展を考える。この日本というものを、さらによりよくしていこうという考えには変わりないと思います。そういう精神を持って、これからも皆さん方の出された提案を真摯に受け止めて、地方にできることは地方に、この地方分権の趣旨を生かすよう政府としても全力を挙げていきたいと思っております。
  被災された多くの方々、台風、地震によって今なお苦しんでいる方々が多い。そういう点につきまして、皆様いろいろ発言したい、意見を申したいということがたくさんあると思います。今日は、村田防災担当大臣は国会の都合で林田副大臣が見えておりますが、いずれ国会の用が終わり次第、村田防災大臣もこちらに見えると思います。
  限られた時間ではありますが、皆さん方の意見を伺いながら、今後、適切な対応を政府としてもとっていきたいと思いますので、よろしくご協力をお願いしたいと思います。お忙しいところ今日はありがとうございました。(拍手)
○総務大臣 ありがとうございました。
  それでは、全国知事会を代表して知事会会長・梶原岐阜県知事からご挨拶をお願い申し上げます。
○梶原全国知事会会長(岐阜) 全国知事会会長の梶原でございます。本日は私ども知事が待ちに待った知事会議でございまして、お招きいただきまして誠にありがとうございます。
  小泉総理におかれましては、現在、臨時国会開催中の政務極めてご多端の折りにもかかわらず、政府主催による全国都道府県知事会議を開催され、私どもが意見を述べる機会を設けていただきましたことに対しまして、全国知事を代表して厚くお礼申し上げます。本日は、総理と直接懇談できる貴重な機会でもございます。率直な意見交換を行わせていただきたいと思います。
  まず最初に、本年は、度重なる台風や豪雨災害、去る10月23日に発生した新潟県中越地震などにより多くの尊い人命が奪われ、住民生活や地域経済に甚大な被害がもたらされております。私どもも心を痛めているところであり、被災地の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。今後の一日も早い復旧と生活再建につきまして、総理はじめ、政府の格別のご支援をお願いする次第でございます。よろしくお願いを申し上げます。
  さて、総理におかれましては、就任以来、「国から地方へ」、「地方でできることは地方に」という方針の下、地方分権をはじめとする構造改革を強力に推進され、国と地方の「三位一体の改革」の実現に向けてご尽力を賜っております。そして今、「三位一体の改革」は重大な局面を迎えております。
  私どもが推進しようとする地方分権改革は、「国対地方」という単なる行政間の権限争いではなく、地方の自由度を高め、より住民に身近なところで政策決定や税金の使途を決定し、住民の意向に沿った政治行政を実現する「真の構造改革」でございます。また、地方分権を進めることこそが、全国一律・画一の無駄、縦割りによる非効率を排し、国と地方それぞれの「財政再建」につながるものと確信をいたしております。
  そして、この地方分権のための三位一体の改革を推進することが憲法で保障された地方自治の確立、地方の責任と権限で住民満足度の高い自主自立の地域社会構築の礎となるものでございます。
  私どもは、7月及び8月の全国知事会議において、この国を思い、この国の将来のためという大きな志で議論を尽くし、「小異を捨て大同につく」という同志的結束の下、政府から要請された「国庫補助負担金等に関する改革案」をとりまとめた上で、地方六団体の総意により「改革案」を総理に提出いたしました。改革案の提出に当たっては、政府が地方六団体の改革案を真摯に受け止め、国と地方の信頼関係を築いていくことを前提条件とし、総理からも「誠実に対応する」と、その旨のご回答をいただいております。現在、国と地方の協議の場を通じ意見交換をさせていただいておりますが、「国と地方の改革」を加速させるため、総理の強いリーダーシップとご英断により、私どもの改革案に沿った三位一体の改革の全体像を示されることをお願いする次第であります。
  地方自治の歴史を振り返りますと、明治維新、廃藩置県から百三十年余、この間、明治の自由民権運動、大正デモクラシー期を通じて、「地方分権」が大きな政治的テーマとなっておりました。大正デモクラシーの成果である昭和3年の第1回普通選挙における立憲政友会の「中央集権から地方分権へ」のスローガンでの闘いに代表される「地方分権」の流れは、今、地方の自主自立と住民主権を高める「国から地方へ」の地方分権改革として復活をいたしております。この国の将来のため、「平成維新」とも称されるべき「地方分権改革」をぜひとも実現することが私どもの使命と考え、地方も懸命に努力をいたしております。政府におかれましては、我々の改革に対する高い志をご理解いただき、ぜひとも地方分権改革を進められますよう、よろしくお願いをいたします。
  我々全国知事会をはじめ地方六団体では、11月17日に日本武道館において全国の知事、市町村長、議会議員、ほとんど本人が出席する会でございます。そうした大会を開催いたしますので、総理におかれましては、大会の趣旨と我々の熱意のあるところをおくみ取りいただき、ぜひともご臨席をいただきたいと思います。これが地方六団体の非常に熱い思いでございます。そのことをお伝えいたしたいと思います。
  終わりに、国政・外交に重要課題が山積する中、政治・経済・社会の構造改革に果断に取り組んでおられる総理のご健勝とご活躍を心からお祈り申し上げますとともに、今後とも、地方自治の発展と真の住民主権の確立のため、特段のご理解、ご尽力を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○総務大臣 では、カメラの退室をお願いします。

(プレス退場)


○総務大臣 それでは、食事の用意が整っておりますので、甚だ時間がないので恐縮ですけれども、食事の方を最初にお願い申し上げます。12時25分ぐらいをめどに再開をさせていただきます。

(休憩)

○総務大臣 食事中の方もいらっしゃろうかとは思いますが、ただいまから内閣総理大臣と知事の間で地方行政並びそれに関係の深い特定のテーマにつきまして意見交換を行いたいと存じます。
  なお、意見交換の円滑な進行のためにも、テーマとして大きく2つ、地方分権、三位一体につきましてが1つ、2つ、災害その他についてということで、2項目を設けてこの順にご発言をいただければと存じます。
  初めに、地方分権、三位一体につきましては、知事からのご発言をいただきました後、小泉総理大臣の方からお答えをいただき、次に、災害その他につきましても同様に知事の方々からご発言をいただき、再び総理大臣の方からお答えをいただく手順で進めさせていただきたいと存じます。
  議事の進行の都合上、知事さん方、ご発言につきましては挙手をしていただき、発言をお願いする知事さんを私の方から指名させていただきますので、あらかじめご了解をお願い申し上げます。できるだけ多くの知事さんにご発言をいただけますよう、発言される知事さん、なるべく、おっしゃりたいことはいっぱいおありでしょうけれども、簡潔にご発言をお願い申し上げ、ご発言は着席をされ、目の前にマイクがありますので、そのボタンを押していただきますと赤い電気がつきますので、それをしていただきますと議事録等々がきちんととれることになりますので、お願いを申し上げたいと存じます。
  それでは、最初のテーマは地方分権、三位一体の改革でございますので、ご発言のある知事さん方から順次挙手をお願い申し上げたいと存じます。
  一番最初に、珍しくご出席の石原知事からお願い申し上げます。
○梶原知事(岐阜) ちょっと私から総括的に話をさせていただきます。
○総務大臣 すみません。どうぞ。
○梶原知事(岐阜) こういう局面でございますし、総理もおいででございますので、若干の時間をいただいて総括的なお話をさせていただきたいと思います。
  まず第一に、三位一体改革に臨む地方六団体、今結束いたしておりますが、この六団体が立ち上がりましたのは、従来型の陳情要望団体から脱去いたしまして、三位一体改革を契機に、地方から日本を変える同志として結集しているということでございます。そして、我々が提案している改革案は、それぞれの立場における損得勘定を越えて、国のため小異を捨てて大同につく精神で一本化を図ったものでございます。全国3,000 ぐらいの自治体がございますが、この集合体というのは、そのまま日本でございまして、日本そのものが立ち上がったとご理解をいただきたいというふうに思います。
  我々が意図する地方分権改革は、既に申し上げておりますけれども、過度に中央に集中している権限・財源を、住民に近接し情報公開、住民参加を進めている地方自治体に移し、有権者・市民にとって透明で明朗な政治行政に変えるということ。そして国連の世界地方自治憲章案のようにグローバルスタンダードの地方自治に日本もするということでございます。
  それから、「地域の自由を、市民に権利を」というのが我々のスローガンでございますが、総理がかねがねおっしゃっておりますように、地域個人の潜在能力を顕在化して、生き生きとした日本列島にしていくということでございます。
  それから、画一、縦割り、過剰干渉の現体制から、地域ニーズに応じ、生活者の立場に立って多様で水平的・機動的な住民サービスを提供できる体制に変えていくということでございます。さらに現行の護送船団体制から日本全体を自己責任体制に変え、自治体相互間もいわゆる善政、いい政治をやる競争をしていくという競争原理を行政に導入すると、それによって全体として公的部門のスリム化を図るということでございます。
  それから、産業構造がどんどん変わっておりまして、集権型の工業社会から分権型の情報社会に移行していかなければいけない。そうしないと生産性は高まっていかないということでございます。
  こういうふうな高い次元から、我々が日本を改革していこうとしているので、目先の金欲しさにやっていると、こういうようなことを言う人がおりますが、もってのほかということでございます。我々自治体の首長、議員は、国会議員と同じ地盤の有権者から付託を受けまして、総理がおっしゃっておられましたように、国を思い、国をつくる気持ちは共通でございまして、官僚ベースではなく、国民に直接責任を負う政治家として共通の基盤に立って、この三位一体改革を議論し実現させていきたいと、このように考えております。
  我々も国家財政に重大な関心を持っておりまして、その再建に協力することはやぶさかではございません。地方六団体は政府に提出した改革案でも3兆円の税源移譲に対して、3.2 兆円の国庫補助負担金の廃止を提言している。これは一例でございますが、そのように当方からも行財政改革に取り組むという決意を明らかにしているところでございます。しかし、国と地方がお互いの信頼関係を確保することが大前提でございまして、国と地方の協議の場がお互いの信頼を築く場であると考えております。万一、国に対する地方の信頼を裏切るような行為があれば、すべて水の泡となってしまうわけでございます。政府与党において、地方の行財政に対する不信の念があるやに聞きますが、地方も懸命に改革努力を進めております。一方的なデータ、情報でお互いに争うというようなことは望ましくございません。必要があれば、客観的・公法で共同調査をしてもよいと考えております。結婚祝金を出したのはどうのこうの、そんなことを宣伝しているところもございますが、必要があれば共同調査をしてもよいと考えております。
  それから国と地方の財政は、地方自治の精神から区分して考えて相互に改革の努力を競い、その成果につき国民の判断を仰ぐことが望ましい。こうした観点からも地方の一方的な犠牲の上に立って国の財政再建を図るのではなく、双方がその財政責任を明確にして、切磋琢磨の上でこれに取り組むという形にすべきであると考えております。個々の事務事業が必要かどうかは、究極は有権者・国民が判断すべきことでございまして、各省庁の官僚が一方的に決めることではございません。自治体自身の合理化の限界を超えた財源のカットは、すなわち住民サービスのカットにつながります。国がそのような財源カットを強行されるということであれば、それは国政選挙において国民の審判を仰がなければならないと考えております。
  我々地方六団体は多くの困難を乗り越えて改革案をまとめました。政府においても、総理がいつもおっしゃっておられるように、真摯に受け止め、各省庁の目に余る既得権擁護の動きに動じることなく、後世に恥ずかしくない改革案を政府としてまとめていただきたいと願っております。
  次に、三位一体改革の全体像について、とりわけ地方六団体が改革案提出の前提条件とした事項について再度ご確認をいただきたいと思います。三位一体の全体像でございますが、政府に改革案を提出した以後、我々は国と地方の協議の場において、各府省大臣と協議を重ねてきたところでございますが、我々が意図する地方分権推進の改革はなお十分に理解されているとは言えません。政府は我々の改革案の趣旨を盛り込んだ全体像を速やかに決定し、特に次の事項の実現により平成17、18年度の第1期の改革を確実に実行するとともに、平成19年度以降の第2期改革を含め、全体として地方分権改革の推進につながる改革を着実に行うことを強く求めるものでございます。
  次に、補助金改革と税源移譲の一体的確実な実施ということでございまして、地方六団体の改革案を真摯に受け止め、国庫補助負担金の廃止と概ね3兆円規模の確実な税源移譲を一体的に実施すべきである。税源移譲は、第1期改革において基幹税である所得税から個人住民税への移譲により確実に実施すべきである。また、この3兆円規模の税源移譲は、平成16年度に措置された所得譲与税と税源移譲予定特例交付金の6,500 億円とは別枠が実施されるべきである。
  それから3番目に地方交付税による確実な財源措置、税源移譲が行われても移譲額が国庫補助負担金廃止に伴い、財源措置すべき額に満たない地方公共団体に対しては、地方交付税の算定等を通じて確実に財源措置を行うことが必要でございます。特に税源移譲に伴い財政力格差が拡大する財政力の弱い団体に対しては、地方交付税の財政調整、財源保障を強化しても対応する必要があることから、地方財政全体としても個別の地方公共団体においても、地方交付税の所要額は必ず確保すべきである。また、地方交付税は地方固有の財源でございまして、昨年のように、地方交付税等の不合理な削減は、国と地方の信頼関係を著しく損なうものであり、断じて容認できないものでございます。
  平成17、18年度において、財務大臣が一方的に提案されている7兆円ないし8兆円もの地方交付税削減が行われた場合、地方自治体はいかなる経費削減努力を行っても、予算編成不可能といった事態に陥ることが明らかでございます。言うまでもなく、個々の地方自治体の歳出は、選挙で選ばれた首長と議会が住民の意向に基づき決めているものでございます。財務大臣は地方財政計画と実態との乖離、それも単独投資事業に限ってのみ問題視されておられますが、大枠での計画と個々の団体の経費を積み上げた決算との間で、費目別に見れば乖離が生ずるのは当然のことでございます。地方財政計画によって国が地方の歳出を細かくチェックする必要があるという発想は、憲法で保障された地方自治を否定するものにほかならないと考えております。
  次に、理念なき負担転嫁の排除ということで、生活保護費や児童扶養手当等の給付に係る国庫負担率の引下げや国民健康保険関係の給付に係る国庫負担金を新たに都道府県に負担させるということは、地方分権の精神とは無関係な発想に基づくものであり絶対に行うべきではない。また、複数の補助金の統合や交付金化は、国に権限と財源を残し、税源移譲にもつながらないものでございまして、認められないということでございます。
  それから、課税自主権の問題でございますが、地方自治が歳入面で独自課税の努力をしていくことは行政目的と財政負担のあり方を明確にし、住民自治を推進する観点からも意義深いものと考えております。しかし三位一体の改革は、国民負担の点では増税でも減税でもなく、ニュートラルを前提とし、国と地方の税収の帰属、つまり税源配分を行政の責任分担に応じ適正にしていこうとするものでございまして、納税者に特別の負担を求めることも想定される課税自主権の発揮とは別次元の問題として議論すべきであると考えております。
  したがって、我々地方団体は、各団体の地域の実情に応じて、これまで以上に課税自主権の発揮について、納税者を含めた関係者の理解を得ながら取り組んでいきますが、地方における歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小する観点に立って、公平の原則に配慮しながら、税源の量的拡大を図るためには、国からの税源移譲により地方税の充実確保を図ることが不可欠でございます。地方六団体は、政府において地方が担うべき事務と責任に見合った税源配分の実現が図られるよう、三位一体の改革より確実な税源移譲がなされることを求めているものでございます。
  以上、時間を拝借しましたけれども、地方六団体の意向も含めて重大な局面でございますが、少し長くなりましたけれども、お話し申し上げた次第でございまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○総務大臣 ありがとうございました。東京都知事。
○石原知事(東京) 実は、この後、私が会長をしております都市基盤整備の大会が近くのホテルでありますので、会長として挨拶しなくちゃいけませんので、また行って戻って参りますが、発言の機会を与えていただきましてありがとうございました。
  生前親しくしておりました司馬遼太郎さんが、対談したり旅行したりする度にいつも同じことを言っていたのを実は知事になって改めて思い出しているんですが、それはまさに慨嘆して、「日本という国は変わらぬね、石原さん、太政官制度以来全く変わっていない」と慨嘆していました。それは、要するに中央集権の官僚統制ということが進んできて「知らしむべからずは、よらしむべし」ということでしょう。今、知事は選挙になりましたけど、かつては勅選というか、官選の知事が赴任していって中央の意向のままに地方を支配してきた。しかも現代では、それに国会議員が族議員ということで同調して、ますます状況が悪くなったという気がしますが、故に、昨日ある知事さんがうがった発言をしていましたが、今、中央集権どころじゃないと、中央分権だと。つまり、なかなか総理大臣といえども各省の異論というものを束ねることができない。
  特に僕は森君のときに、参議院の選挙はその前からやめましたがね、都市の大気汚染の問題について君やったらどうだということを言って、いろいろデータも出したんですけれども、結局あのときの環境庁、通産省、建設省の意見がなかなかまとまらないと。まとめるのが総理大臣だよと言ったんですが、いずれにしろ、省益が跋扈してばらばらでまさに中央分権で、端からながめていると中央政府に統一の指針というのがあるのかないのかよくわからぬと。しかし地方分権というものは、5年前の地方分権一括法で、一応、成文して仏つくったけど、魂が入っていないんですね。税財源の分与は中長期の問題だと。私も国会に長くいたから、大体中期というのはどんなに早くても5年、長期というのは半世紀かかってもできませんわな。それでだらだら来たわけですけれども、小泉内閣になって、とにかく手をつけようという形で少し流れが出てきた。
  しかし、どうも当事者に、まさに司馬さんが慨嘆した一向に変わらぬ政治のスキームが、ようやく変わらなくちゃいけないという歴史的な必然性というか、むしろ歴史的な蓋然性に対する正当な歴史が極めて欠如しているという気がしてならない。例えば、先般全国知事会で問題になった義務教育費の国庫負担の削除の問題にしたって、私は全面反対したんですけれども、その前を調べてみると、閣議でこれが、こんな大事な問題が議論になったというニュースがない。しかも党の中は何を考えているかさっぱりわからない。私はあそこに、レイジーボーイだけれども、とにかく2日間出席して自分の議論は主張しました。採決にいろいろ会長がご腐心されたんですけれども、ちょっと混乱があって誤解されたんで、私は改めて東京に帰ってきて長い記者会見をしたんですが、そしたら前の総理の文部大臣もやった森君から電話がかかってきて、「どうもありがとう、実は我々困っているんだ」と。聞いてみたら、党の調査会長の教育問題の保利耕輔君が飛んできていろいろ意見を聞きたいと。これはちょっとタイミングが違うんじゃないかと。こんな話だったら、もっと前にあってしかるべきなのに、今ごろになって政府なり与党が動く。しかも文部科学省の声が全然聞こえてこないから、私は文部科学大臣の何とかというのに、「君、これでいいのかね」と電話したら「困るんだ」と。困るんならペーパーを出せよ。本当なら審議会にでも送って、そこで主張したらどうだというけれども、そうもいかないので、最初来たのは変な役人の書いた文書だったので、突き返しましてね、彼の署名入りの文書をもって披瀝しましたが、これは全国知事会では歯牙にもかけられませんでしたな。
  その骨太なる三位一体改革というのは、言葉としてわかるようでわからないので、「骨太」というからには、先ほど申しましたように、司馬さんが慨嘆していた、この国の政治のスキームを本質的、根源的に変えるということでしょう。変えなかったら、骨太ということにはならないと思うんです。
  私は、物事を根源的に変えるというならば、3つの強い認識というものを作業の推進のために持っていただきたいと思います。いささか迂遠の策になるかも知れないが、第一は、本来あるべき議論がない。それはどういうことかというと、地方分権するのは、ここまでは国がやる、これから先は地方の能力によって地方がやる。そういう行政のアイテムの区分というものが一向にされないままに、とにかく地方分権、分権としきりに何か言われている。言ってみると、何をするかというカテゴリーの識別というのはきちっと行われるべきだと思います。両者の間で。それから、その意味で私は政府と地方自治体というのは本質的に対等だと思いますよ。どちらがお上で、どちらが下でもない。上下の関係などではなくて、私は対等な認識、対等な認め合いというものがあって、初めて議論というのが生産的になってくると思います。そして第3番目としては、その認識に沿った税制なり財政の改革が初めてあり得るんじゃないでしょうか。
  これは結果として、誰かが言ったように、まさに地方分権のていたらくになっている今、最後は総理のリーダーシップだと思います。あなたの単刀直入なあのやり方でいいと思う。それじゃなかったらこの問題は解決しない。私があなたを評価しているのは、ここで役所の悪口は言いたくないけれども、未だにレイジーな、なんかこういう問題に対してリラクタントな、外務省はさておいて、前日に連絡があって、明日テキサスでブッシュに会うから、あの話を出しますよ。大体、横田の基地を見たのはあなた一人で、三多摩で総合練習をやったときに私はあなたに申し上げた。こんなところで飯を食わなくていいから、さっさと官邸に帰ってください、忙しいんだから。その代わり、横田まで飛んでみてちょうだいよと言ったら、あなたが帰ってきて電話が来て、「でっかい飛行場だ、初めて見たよ」と。みんな初めてなんです。ブッシュにあなたが話していただいて、わかったと、この問題は日米間の首脳の問題として登録しようということで、これは最近、向こうと話し合いますと、向こうが何を言っているかというと、これは小泉とブッシュのベービーだと。横田の問題はそういう認識を持っているから、これは国務省マターじゃなしに、飛び越して国防省の問題になって、向こうの総合司令官が会いに来たりいろんな話をしていますよ。それはどうも外務省は余りお気に入らないみたいだからその話は別にしますがね、これは、やっぱりあなたの思い切った決断で、とにかく一刀両断でやっていただきたい。
  昔、私が非常に敬愛した賀屋興宣先生がよく、東京の彫刻家の平櫛田中さんの歌でしょうか、あの人の座右の銘を披瀝しておられましたが、まさに、これは今やらなければいつやれると、俺がやらなきゃ誰がやるでね、これはほんとに最後はあなたが単刀直入のリーダーシップでばさっとものを決めていただきたい。そうじゃないと、この地方分権というのはとてもじゃないけれども、この問題でまとまらない。それを私は強く熱願いたします。
○総務大臣 ありがとうございました。福島県知事。
○佐藤知事(福島) こういう機会を与えていただきましてありがとうございます。もう会長さんがおっしゃったとおりであり、また、都知事の石原さんがおっしゃったとおりでございます。私どもはそういう認識で決起大会を11月8日に六団体で開催いたしました。とにかく役割分担の問題とかいろいろありますが、総理のリーダーシップでここまで来ました。そして会長のこのプロセスの中では独断と偏見もあったかもしれませんが、ここまで来たんですから、ここでしっかりと私ども地方六団体は一致団結していこうということで何度も何度も意志の確認をしながら、実際にそういう動きをしておるわけです。
  私は今日は一つだけ、小規模町村とか離島の、あるいは過疎の町村の立場から、今度の七、八兆の地方交付税カットの問題についてちょっと申し上げてみたいと思います。
  ざっくばらんに言って、ほんとにそういうことをやられたら、地方は完全に維持できないという状況でございます。京都議定書は、温暖化の問題で6%のうち3.9 %は森林が受け持つということになっておるわけです。その森林を誰が守っているのかということも含めて、過疎地域というのは人材、食料、水、エネルギー、昨年も申し上げました只見町、まさに東京をここまで、戦後、浮揚するときに電源を供給した地域でお医者さんが一人もいない。非常に不安な気持ちで現在いるということでございます。大都市の皆さんも都道府県の中にはいらっしゃいますが、もう一度政治の立場で、学者に東京の問題とかを申し上げましたら、これは政治に言ってくれということであります。しかし、総合科学技術会議がアピールしたら、少しは政治家も考えてくれるんじゃないですかという問題提起をしたわけでございますが、経済性とか効率性ばかりが優先する政策がとられたら、地域社会の消滅、そういうことがすぐ来て、もう来ておるわけでございます。過疎地域をはじめ地方が崩壊すれば、国のいろんな財政健全化もそうでございますが、そういうことはあり得ないと私は思っております。
  このことを私が過疎の会長として今まで常に申し上げてきたことでございますが、実情を全然無視しているということで、一、二簡単に申し上げますが、1つは、先ほど申し上げました東京を支えた只見町が36億円の予算でございましたが、この3年経ちますと23億円になるわけです。これで成り立つのかどうか。合併してもいいんですが、合併しても高齢化率は40%か50%です。4町村合併しても、そういう状況です。それから結婚祝金の問題、それを前面に出して地方交付税はほんとに無駄ということを言っておりますが、今度の新潟の知事さんと次の日ですか、電話で話したとき、今55の集落が孤立しているという話でございました。すぐテレビをつけたら、お年寄りが歩いて孤立した村から線路をわたって来ておる姿を拝見しましたが、ほとんどお年寄りです。私の県にも一つだけ孤立した集落があるんですが、34人の村で、これは9戸でございますが、60歳以下の男子が4人でございます。花嫁候補が1人か2人いるんですが、そういうのの集まりが地方の村ですから、結婚でこの村をどう維持するかという意味で、結婚というのはどういうふうに重要だかということを、結婚の仲人の手数料というと語弊がありますが、5万円出すとかいろいろ俎上に上がっておりますが、どうにかして結婚させてこの村にいてもらうというのはどれぐらい、宝石以上に重要だということでございまして、そういうことを理解しないで、こんな手当ということを出してくる、私もこの手当そのものの善し悪しは別にして、そのような感じがするわけです。今日の朝、ある福島県の市長とお会いしましたら、合併するために今財政構造改革をやっていて、これは今日の会議とは関係なく、98%が91%、ラスパイレス指数がこの2年間でなりましたと。どれぐらい苦労しているか判断していただきたいと思います。
  というようなことも考えますと、やはり私は過疎とか離島とか地方を本気で考えていただく中央であってほしい。そのためにも中央から地方へという総理の大号令は大歓迎で聞いておりましたので、あとはどうやって実現するか、私ども地方六団体、会長のおっしゃるように一緒に団結して進んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  なお、只見のお医者さんの話で去年総理に申し上げました。ちょうど今ごろ一人もお医者さんがいないということで申し上げました。文科省さんも厚労省さんも、総務省さんは地方の立場で動いてくださっているのかわかりませんが、私が設置者である県立医大の定数が1年経っても全然動きがありません。命を守る責任を我々持っているんですから、そして県立医大まで持っているんです。それで卒業生は、全国の10万人当たりで考えますと、東北、北海道というのは非常に少ないということでございます。これは6割ぐらいですかね、人口当たりのお医者さんの卒業する割合ですね。ですから、その辺を含めて、命を守っている我々のそういう立場をほんとに中央は理解しているのかなということを、1年経ちましたのでもう一度申し上げますが、よろしくお願いしたいと思います。
○総務大臣 奈良県。
○柿本知事(奈良) 先ほど会長の方から総括的な発言をされましたが、これを補足する観点から、特に地方財源の現実的な規模を確保するという問題について意見を申し上げたいと思います。その焦点は地方財政計画と決算との乖離という話題でございます。
  恐縮でございますが、我が国の地方財政制度では全地方団体のほとんど、あらゆる歳入と歳出の総体は、いわゆる地方財政計画の見積りとその計画を国会に提出するという手続の中で大枠が決められる仕組みとなっています。ところで、平成16年度に地方財政計画の見積りの過程で、急激な規模、あるいは財源の圧縮が行われたために、ほとんどの地方団体が真っ青になって予算編成に取り組んだというのが実情であろうと思います。この悔いを再び起こさないため、要点を絞って意見を申し述べたいと思います。
  先ほども出ましたが、聞くところによると、財務大臣は来年度以降の地方財政計画の規模の問題で、投資単独事業という地方財政計画の中の個別事項を取り上げて、過去の地方財政計画と決算の乖離額を根拠に、来年度以降の地方財政計画の規模を七、八兆円削減すると主張されたようでございます。この点について、事の当否を論じる前に、まずそのような余裕が地方団体にあるならば、我々はこのように血相を変えて騒ぎません。この点、この現実の姿をまず率直に認識していただきたいなと希望する次第でございます。
  次に、この地方財政計画の中身の問題ですが,これはもともと地方団体がそのまま執行すべき予算となるような性格のものではございません。それぞれの団体が予算を組むものでございます。そして地方財政計画は、地方の財源と歳出を総括的にその概要と規模の見込額を予測するという手法で行われておりますが、もうおわかりのように、数十年この計画と決算をさかのぼって比較いたしましても、各項目事項ごとには、プラスまたはマイナスの乖離は常に存在しておったんです。すなわち、計画の方の額が多い事項も、決算の方の額が多い事項もともに存在したというのは沿革でございます。したがって、その一部のみを強調することは客観的な判断を曲げてしまうことになります。
  総理への質問でございますので、具体的な数字での発言は差し控えますが、1つは、過去の実態や経緯を客観的にながめて冷静に判断していただきたい。そこでもし中身を見直す必要があれば、各事項のプラスとマイナスの双方、すなわち、主張される乖離と反対の逆乖離の双方を同時一体的に是正するべきであると思います。これは当然の道理ではないかと思います。
  次に、中身にちょっと入りますが、投資的な経費と経常的な行政経費を単純に金額で比較するわけにはまいりません。これは我々がやっているように、通常施設をつくる場合には財源の一部の地方債、借金を使います。しかし、それに対して経常的な行政経費には、やはりその年の財源を充てるので普通でございます。この違いを無視して単純に額の比較はできないことはおわかりいただけると思います。さらに、先ほど申し上げました点でございますが、平成16年度の地方財政計画の圧縮の急激さでございます。これは恐縮ですが、例えば奈良県の例を出しますと、本年度の一般会計の当初予算は、3年前に比べますと額にして約800億円、率にして約14%の規模縮小を図るという努力をしてまいりました。しかし16年度の地方財政計画を見たら、やっぱり真っ青になりました。他の府県や、ましてや市町村の多くは非常な財政不安と国への不信感でいっぱいだろうと想像しております。
  先ほど会長から申し上げましたように、三位一体の改革の全体像の明確化、とりわけ、その根幹をなす税財源措置の具体化をしっかりと決めていただきたいと思います。しかし、それに乗じて一方的な地方財源の圧縮が進められないようにお願いしたい。そしてもう一つ申し上げますと、諸般の状況を判断すると、少なくとも平成17年度、来年度ですが、圧縮はお休みにした方がよいのではないかと私は思っています。理由は、行財政改革と財政健全化というのはぜひ進めなければならない課題ですが、そのためには国と地方の信頼関係を回復すること。その上で国と地方とが歩調を合わせて改革に取り組んでいく仕掛けが重要だと考える次第でございます。この点をよく留意いただきたいと思います。
  最後に、差し出がましい提言を一ついたします。それは個人所得課税の定率減税の問題でございます。平成11年度に実施されてから大変長くなりました。導入当初の効果はすっかり忘れられていると思います。そこで国・地方の通じる巨額の収支不足にある現状をよく国民の皆様にご理解をいただきまして、また経済動向等の各種の説得的な説明も必要ですが、定率減税の見直しや廃止をこの際積極的に実現していただきたい。こういうふうに提言を申し上げたいと思います。
  以上でございます。
○総務大臣 岡山県。
○石井知事(岡山) 地方制度調査委員会の委員長の立場で梶原会長、そして柿本副会長が述べられた点、少しダブる点があろうかと思いますが、数点意見を述べさせていただきたいと思います。
  まず、国庫補助負担金の引下げの問題であります。今回の省庁の回答を見ておりますと、単なる国庫補助の負担率の引下げを内容とする、そういう代案を示された省があります。これは省の権限の温存を図って国の関与を全面的に残したままの、いわゆる数字上のつじつま合わせにほかならない。到底、我々は受け入れることができないものであります。骨太の方針にございますとおり、地方の裁量を高め、自主性を大幅に拡大する改革を推進する、この趣旨に沿ったこの閣議決定を遵守する、そういう立場での改革案をお願いいたしたいと思っております。
  2つ目は公共事業関係の国庫補助負担金についてであります。ご承知のとおり、今現在、関係省庁、この公共事業の補助金等を通じまして、地方公共団体、その様々な事業の推進につきまして統一的な運営を行って、その結果、我々コスト高とか、あるいは手続の煩雑さ、非常に国の関与が強く残っておって効率性の問題がある、そういう現状にあります。これを我々が主張しておりますように、地方の公共事業を任せてもらう。そうすれば、地方の裁量度が格段に高まることになるわけでありまして、地域のニーズに応じました事業の展開ができるなど効率的・合理的な事業執行が可能となります。したがいまして、公共事業関係の国庫補助負担金こそ、地方分権を推進するための税源移譲の対象としてふさわしいものと考えております。しかしながら、この公共事業関係につきましては、財源が建設国債であることから税源移譲の対象とはならない。こういう主張が財務省等を中心にされているところでありますけれども、しかしながら、今の国庫の歳入の45%、それが赤字国債を含めた国債が占めておると。こういった現状からいたしますと、この公共事業関係につきましても、建設国債の償還は国税で行われているということでございます。移譲すべき財源がないと、こういう主張は当たらないと思います。
  また、公共事業に関しまして、交付金化・統合化の代案が示されているところでございますが、これはしかし国庫補助負担金という性格が残っております。代案とはなり得ないものであります。すなわち、国に権限、財源を残して陳情型行政というものを温存させるということでありまして、このことは骨太の方針によります閣議決定の趣旨にも反するものでありまして、我々受け入れることはできないと考えております。
  3番目、地方交付税関係でありますが、これにつきましては、骨太の方針の中にありまして、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保する等々を基本に進められるべきものであります。したがいまして、地方交付税等をこれ以上削減するということは、地方の予算編成を著しく困難にいたしまして、地方財政を破綻させるものであります。地方一般財源の総額確保は三位一体改革の根本的な前提条件である。こういうことでありまして、これに反する措置は絶対に認められないものであります。
  なお、所得税等の税源移譲に伴って地方交付税の原資が減少するという問題があるわけでございますが、地方交付税法の本来の考え方に基づきまして、法定率を再セットしていただき、地方交付税の所要総額を確保すべきであります。財務省だけがそういったことで得をすると、こういう改革にしてはならない、このように存じます。
  それから、地方財政のスリム化につきまして、我々も地方・国を上回る行革努力、全力で取り組んできております。我々も自ら率先して取り組む姿勢も示しているところであります。現在の示されております財務大臣の提案、地方交付税の更なる大幅削減案につきましては、これは国の財政運営上の失敗のツケをなりふり構わず地方へ負担転嫁をし、地方財政を根底から破壊するものでありまして断じて容認できない、このように我々は強く主張していきたいと思っております。
  最後に4番目、地方財政計画でありますけれども、先ほど来お話が出ておりますが、地方財政計画は投資から経常への需要構造の変化、こういうものが出てきているわけでありますので、これを的確に反映をさせた見直しを行っていただきたいと思います。そして地方財政の関する地方自治体の予見性を高めていくために、3年程度の中期地方財政ビジョンを策定すべきでありまして、そしてその上で、そのビジョンに基づいて地方交付税の法定率を再セットすべきであると存じます。地方交付税は地方固有の財源であるわけでございまして、様々な対策、計画、地方財政計画の作成に当たりましては、政府は的確かつ迅速に情報提供を行っていただきますとともに、地方公共団体の意見を反映していただきたい、このように存じます。
  以上4点ほど意見を述べさせていただきました。
○総務大臣 宮城県。
○浅野知事(宮城) 宮城県知事であります。全国知事会の社会文教調査委員長として発言をしたいと思います。
  今回の三位一体改革の具体的な論点で非常に大きいものを2つ私から申し上げます。義務教育国庫負担の問題、それから社会保障費の問題、これは額も大きいし、議論としても大変大きいということで、この2点について申し述べたいと思います。
  まず、義務教育費国庫負担制度でございますが、我々としては、これは廃止ということで言っています。中学校分の廃止ということで言っております。なお、この問題については、この知事会の中でも議論が一部ありました。反対意見を少数ございますということも申し添えておきたいと思いますが、多数意見として申し上げたいと思います。
  まず、我々は廃止ということで言っておりますけれども、義務教育ということの事務の性格ということを考えたいと思うんですが、これは形式的には地方の自治事務です。都道府県の事務、それから給与関係なり教職員の任命権は都道府県の事務、自治事務。それからその他の事務は市町村の自治事務なんです。国の事務ではありません。自治事務です。サービスの内容を考えても、義務教育ということをやるサービスというのは、例えば高速道路をつくるとか、国際貿易港をつくる、また通貨のコントロールをするというような国の事務とは違ってまさに地域の密着型の事務であります。住民は下手なことをやったら黙っていませんと、そういう内容の事務です。これを捉えておく必要があると思います。
  しかし、義務教育だからということで国家の責任ということが言われます。これはそうなんです。これはほかの事務と違って、普通の福祉の事務といったことについては、あんまり国家の責任ということは個別には言われませんが、義務教育は国家の責任ということを言われます。その手の部分があって、義務教育を地方で勝手に水準を上げ下げしてやるというものではないという意味では、国家の責任というものはあります。それはどうやって担保されているかといえば、義務教育の根幹をなすもの、例えば、教員の配置の基準みたいなものですね。これは義務教育標準法というもので決められています。それから学習指導要領、日本国民たる子弟は、どこで教育を受けても最低限小学校課程ではこういうことを学びなさいというようなことを決めている学習指導要領、その他六三制とか、そういった基本的なことは、国は当然、広範に網羅的に定めている。これはやるべきものです。しかし、そのことと財源、先生の給料の半分を持ちますというのは、これは直接関係ない話、別問題であります。
  それから、義務教育の国庫負担を国が半分持たないと実際シミュレーションして、何とか県、一部の県を除いては損をしますというキャンペーンがされています。税源移譲では、税源移譲が十分じゃなくて、義務教育の国庫負担がなくなるということになれば、宮城県も含め、高知県が一番大きいのかな、何百億損しますと。岩手県も損すると言っています。これは実は我々もこの議論をするときから知っている話なんですよ。聞いて「ええっ、損するんですか、じゃ、考え直しましょう」ではなくて、知っている話です。知っていて、ちゃんと地方交付税で措置をするということももちろん含めてですけれども、そんなことで水準が下がるというものではない。だから、我々から言い出しているわけです。知事側からこの国庫負担は廃止してくださいというふうに言っている。ここのところを、どう考えても我々が欲しいと言っているのではなくて、返上しますと言っているという部分ももう一回改めて認識すべきだと思います。
  なぜそんなことを言うかというと、地方で義務教育、財政も含めてやらせてほしいというのは、義務教育である程度一律の部分は確保しながらも、そこの中に創意工夫というものがあるわけです。それから競争もあるんですね。岩手県に負けたくないという競争もあるわけです。それぞれのところでそういう部分があって、しかもそれを住民はじっと見ています。宮城県知事手を抜くなよ、金をケチるなよということで見ています。そういうことで、財政は我々でやるというふうに言っても、手を抜けないというだけでなくて、むしろ我々の頭で考え、我々の足で動いて義務教育をよりよいものにしていこうと。これは必ず、むしろ国庫負担を廃止すれば、さらに義務教育の内容、中身、金をかけるかどうかということだけではなくてよくなると。それは我々の自負があって、そういうふうに言っております。
  一方でこの議論の中で、そんなに地方が言うのだったらばゼロ回答もできないだろうと。国庫負担率少し下げれば満足してもらえるんじゃないか。これはさっき岡山県知事がおっしゃったように、これは全く解決になりません。負担率を下げるということで、今言ったように我々の裁量の余地が増えるとか、そういったものには全く結びつかないので、これは本質的な地方分権を進めるということにはならないということを、そんなような動きがあるようなので、あえて申し上げたいと思います。
  憲法違反だと、国が国庫負担をしないというのは憲法違反だと。そうすると、昭和25年から昭和27年までそういう事態がありました。これは憲法違反をやっていたのかと言えば、歴史的に言っても憲法違反ではありません。実は25年から27年、平衡交付金でやられていたわけですね。一般財源で。28年度に国庫負担法ができたんですけれども、それは実は我々地方側が知事も一緒になって国庫負担を入れてくださいと頼んだんです。我々は。しかしそれから50年経って、我々もあの50年前の地方公共団体の状況ではありません。財源的にも、また行政能力的にも。それで50年経って今までありがとうございましたと、これはなくてもやれますというふうになっている。これは歴史の流れであります。水準が守れない守れないと言われるんですよ。義務教育の問題に関して。これは我々大きな声で、さっきもちょっと言いましたけれども、そんなことはないと。それは単なる知事の決意表明だけでは信用できないなと。おっしゃるとおりなんです。さっきも冒頭に言ったように、義務教育の問題というのは地域密着型の仕事ですね。学んでいる人は全部宮城県民の子女なんですよ。そういうような住民の非常に大きな関心事であります。身近な問題でありますし、わかりやすい問題です。手を抜いたら、しかも情報公開の時代ですから、情報公開の時代で各新聞も全国義務教育水準ランキングというのをすぐやるような時代に、これを、いや、全額県でやるようになったから、これはしめしめと言って下げようか。知事は政治的にももたないです。下げられますかというのが1つ。
  もう一つは、制度的な問題としても、仮にそんなものを無視して下げようとしたらば、それは交付税法において、交付税を返せと、そういうような義務教育ということの水準を守らない県は返せということも可能なので、これは現行規定にあるんです。現行規定においても、それは十分に担保されている。
  以上から言っても、我々は本当に義務教育の水準を県に全部費用も任せたら下げられるというのは、ニコニコ笑って聞いているわけにいかないと。今の義務教育の水準が守られているのは、文部科学省、官僚の、実は半分持ってもらっていない、3割しか持ってもらっていないんですが、それでも守られているのでしょうか。それとも住民の厳しい目で守られているのでしょうかというのがいずれ明らかになると思います。
  もう一点目が社会保障関係ですが、これは総理も厚生大臣経験者として土地勘がある問題ですが、とんでもない代案なるものが出されようとしています。生活保護、児童扶養手当の国庫負担率を下げようという話、これは言うのもあれなので、言わなくてもいいんですが、先ほどもあったように、補助率の負担率の引下げというのは全く我々の申していることとは違います。地方分権を進めようというものではなくて、裁量の余地は全く広がりません。ただ単に、国の負担している分を少し軽くしようということだけであって、今我々が言っている文脈の中には全くフィットしない。その反対の方向であるということを簡単に申し上げたいと思います。
  もう一つが国民健康保険制度です。実は国民健康保険制度に問題があるということは我々も認識をしています。今の制度の中で少し都道府県も責任を持つ、負担もするということ、この議論があるということも承知をしています。承知をしているのは、実は私はこれが議論されている社会保障審議会の医療保険部会の委員でもありますから、毎回毎回議論されています。今回ものすごく唐突なのは、これは平成20年度から実施をするという、これは閣議決定、基本方針で、そういうふうに決められていて、18年度の制度改正を目指してということで今着々と議論が積み上げられてきている中なんですね。それが突然この中で、しかも結論として、この財政負担の分は県にぼんと付与しますと、負担も負ってくださいという議論は、一言でいえば唐突極まりないという話と、それから唐突ということだけじゃなくて、その内容自体も、我々が進めている地方分権という方向性には全く合わないものだということです。これは非常に額が大きい問題ですので、これがこんなふうな簡単な方で出されて代案ですというのは、到底受け入れることができません。
  以上、義務教育国庫負担と社会保障関係の国庫負担です。
○総務大臣 ありがとうございました。時間のあれもありますので、一段落させていただくので、最後に滋賀県知事。
○國松知事(滋賀) 滋賀県知事です。知事会で国の過剰関与撤廃研究会というのをつくっておりまして、その座長を務めましたので、今までの議論とちょっと観点を変えて申し上げたいと思います。
  要は、地方自治を本格的に分権推進するために、平成12 年に分権一括法が施行されて機関委任事務が制度的に廃止されて、自治事務とか法定受託事務というふうに整理されたんですが、財源と併せて規制あるいは関与が続いておるということが今回私ども調査しましたらわかりました。全国の都道府県の実態なり、あるいはまたメンバーの県を中心に、離島等特殊なところも含めまして市町村も対象に調べたんですが、500件を超える事例が具体的に出てまいりました。要は、この国庫補助負担に伴うものがもちろん多いわけでありますが、その中で法令とか、あるいは通達とか、補助要綱とかというところでいろいろ基準が決められていて、地方はその地域の自主性、あるいは地域の実態というのは十分生かせないということでございまして、その代表的なものを今回の地方六団体がまとめました改革案の中に20項目として具体的に例示をさせていただきました。
  たとえて言えば、幼稚園の空き教室ができたということで、市町村が保育所に変えようという場合に、児童福祉施設のいろんな基準でそれがうまくできないとか、あるいは木造による社会福祉施設をつくりたいと思ったりしても、建築基準法には合うんですが、厚生労働省の基準ではだめだとか、あるいはまた今年度から公立保育所の運営費が一般財源化されたわけでありますが、依然として保育士の数とか、乳児室の面積とかといったようなことが全国基準で決められておりまして、なかなか地域で創意工夫が発揮できないというようなことがございます。さらに地方公共団体が土地利用計画とか、自然公園計画という各種計画をつくるわけですが、これは本来自治事務であります。にもかかわりませず、所管大臣の協議、あるいは同意が必要ということでたくさんの資料を要求されたり、あるいはまた時間がかかったりというようなこともありますし、またそれだけではなくて、やはり地域の自主性、自律性が阻害されるという事例がございます。
  例えば私ども滋賀県の場合、琵琶湖を抱えておりますので、一級河川をたくさん持っているわけですが、その一級河川の問題で住民代表で住民参加の川づくり委員会というのをつくっていろいろ議論をして計画をつくるわけでありますが、最終的には許認可権者である国の意向を聞かなきゃいけない。あるいはまた、それに沿うように修正を余儀なくされるというような話と、非常に地域の自主性が十分発揮できないというようなことがございます。そこで、三位一体の改革を目的としております地方分権の推進から言えば、地方の自主性の発揮のために財政面からの改革と併せて、国のこうした政省令等による地方自治への過剰な規制なり関与というのはぜひ見直していただきたい。そして行政面、法制面からも並行して改革を進めていただくことによって地方分権を進めていただきたいと思っております。
  特に3点大きくポイントがあるのだろうと思いますが、1つは、そもそも自治事務に関しては、原則的には必置規制だとか、いろんな基準なんていうのは国の方で決めない、そういうものはやらないというように原則を決めていただき、そしてそれを地方の条例等に委ねるなりしていただきたい。
  それからまた2つ目は、国庫補助負担金の廃止によりまして、一般財源化された場合に、その事務については必置規制とか基準とかということの義務づけは廃止していただきたい。さらに、これから地方の事務にかかります法令等をつくる場合には、きちんと国と地方が意見調整できるような仕組みをつくっていただきたい。このようなことを特に思う次第であります。
  政府も今回の地方自治の問題で骨太の方針で閣議決定の中に地方自治に対する国の規制・関与の改革についても触れていただいております。ぜひそういう意味で実行していただきたいと思う次第でございます。もう中央が地方をコントロールするという中での地方自治という時代は終わったんだと思います。私はそんな強い思いから一昨日の朝日新聞にも憲法改正も含めて国も地方もこの際意識を改める必要があるというように思い投稿したところでありますが、いずれにしましても、総理がいつもおっしゃっておられますように、地方にできることは地方でという、この考え方を中央も地方も徹底するという意味では、ぜひこの国の規制・関与というのを改めていただくように、そしてそのことを通して地方分権を進めていただくように、総理の強力なリーダーシップをお願い申し上げます。
  以上です。
○総務大臣 総じて今いろいろご意見を伺ったんですが、先ほど宮城県知事からもありましたように、反対意見が多分あったと思いますので、愛媛県知事、最後になりますので、よろしくお願いします。
○加戸知事(愛媛) ありがとうございます。この義務教育負担金の問題、地方六団体が出されました改革案とは違う意見を申し上げたいと思います。
  結果としては13の知事の反対消極の意見が付された形で採決に至りました。結論は方向は出ました。ただ、先ほどの宮城県知事のようにおっしゃっている方々は多数の意見かもしれませんが、こういった少数の意見もあるということをぜひ総理にも聞いていただいて、真摯に耳を傾けていただければありがたいと思います。
  基本的にこの問題は、三位一体改革が出たときに、義務教育負担金は、ある意味では国家の命運にかかわります義務教育のあり方、理念という議論が欠けていたことに問題があると思っております。税源移譲ということは、言うなれば国民が義務教育に関して国にこの分担はお願いしますよということで所得税を払った中から義務教育国庫負担金制度が成り立っています。税源移譲ということは、住民が今度は地方に対して義務教育はお願いしますよといって住民税を払うことによって成り立つのかどうか、これが今回の基本的な問題なんです。ですから、国の役割は何のか、0なのか、3なのか、5なのか、それは内容的に何なのかということの議論が全く欠如して、3兆円の税源移譲の中には、大口だから義務教育負担金がないと成り立たない、だから、リストアップするという考え方に私は大変矛盾があると思っております。
  例えば、義務教育は教科書無償制度があります。その分はささやかな所得税の中で面倒みれば、あとお金は全部住民が、地方に払ってください、それで義務教育をやるんですよという考え方に私は大変な理念の欠如というのを感じるものでございますし、多くの教育関係団体、ほとんどすべての教育関係団体並びに有識者がこの問題に大変危惧の念を抱いているということは現実問題として認識していただければ、そういう意味では全国民的な議論があってしかるべき事柄が、単なる三位一体の中で、これが短期間で本質的な議論をしないで決めることであったかということはございます。先ほどの宮城県知事のことに一々反論はいたしませんが、基本的に今何が困るのか。もし税源移譲をした場合には、これは現在の国庫負担制度は精算払いですから、現実に義務教育の経費に払われた2分の1は国が精算払いですから、現実に義務教育の経費に払われた2分の1は国が精算払いで後でツケを払うんです。ところが、一般財源化されますと、色がついていませんから、今のところは皆さん義務教育は大切と思われるかもしれない。でも、地方交付税の削減が進む、どんどんスリム化をやっても、限界にくれば義務教育も切り込まざるを得なくなると私は思っております。
  そんな意味で、色のつかない財源であるということは大変魅力的であるし、昭和25年から27年間3年間、負担金が交付税に切り換えられるときに、全国的に大混乱が起きました。それは背に腹がかえられないところは義務教育を切っちゃうんです。今、皆さん選挙があるから切らない切らないとおっしゃいますが、そんなことは口約束であって空手形で制度的な保障がない。最後の担保をするのが義務教育ではないのかと私は思っております。
  そういった点で、今の三位一体改革の中で義務教育負担金がメインスポットを当てられているというのは大変危機感を私も覚えております。唯一のメリットが将来の義務教育の人件費の削減が可能になる自由を手にしたことだけであってはならないと思っております。また本来、小中学校の設置は市町村ですから、都道府県じゃなくて、市町村に渡せという論ならまだわかります。国は信用ならないけど、都道府県なら信用すると。義務教育は国民は国にお願いしているのでしょうか、県にお願いしているのか、市町村にお願いしているのか、そこの理論とちゃんと理念、哲学を明らかにしてから最後に踏み切る事柄ではないんでしょう。そういった点で教育論の立場、今の話、議論が欠けていることを私は大変気にいたします。
  先ほど石原都知事は、今、「一刀両断にこの問題を」とお話しされました。一刀両断の中に義務教育負担金が入らないことを願っております。総理の英明なる判断を期待して、私の少数意見の開陳とさせていただきます。ありがとうございました。
○総務大臣 ありがとうございました。
  それでは、ほかにもまだ意見がおありになるんだと思いますが、総理の時間が2時と限られておりますので、この後、災害その他、防災服脱がずに、知事就任以来、背広着たことない知事さんもいらっしゃいますので、お話も伺う必要もあろうかと思いますので、大変恐縮ですけれども、今までのところまで総理の方からお答えなりいただければと存じます。
○内閣総理大臣 熱心なご意見ありがとうございます。 8 人の知事の皆さんからご意見を聞かせていただきました。それぞれのご意見を聞かせていただきましたけれども、三位一体の改革、これは「地方にできることは地方に、民間でできることは民間に」という小泉内閣の掲げる構造改革総論がいよいよ具体的になってきたと。総論賛成、各論反対、この三位一体も一つの典型です。
  そこで、今ご意見を聞いておりましても、賛否両論あるということは十分承知しております。今までのご意見というのも、党との協議の中におきましても、閣僚の意見を聞く中でも聞かせていただいた議論でもあります。この三位一体改革の中で国の役割、地方の役割、一番重要な問題ですが、さらにその大きな趣旨は、地方の裁量権を拡大するということであります。余り国が地方のやることに干渉しない方が地方が自由度を拡大、裁量権を拡大できるんじゃないか。そしてお互いの施策に対して国も責任はあるが、地方自治体におきましても、あるいは住民においても、権限と責任というのは裏腹であると、権利と義務、裏表である。そういう点から私は今まで、どれをとっても補助金、税源、さらには交付税、難しい問題を一緒にやろうという趣旨で各論に入ってきたわけであります。もとより強い反対があるのは、各論になれば、どの問題でも出てきているのは承知しております。
  そういう中で、私は基本的に再三言っているのが補助金20 兆円ほどある中で、3兆円削減しようと、4兆円削減しようと。昨年1兆円削減しました。あと2年で3兆円ということでありますが、そういう中で税源、交付税一緒にやろうというんですが、地方がまとめ切れないであろうと思っていたことを、この知事会、市長会、町村会はじめ六団体、まとめてきてくれました。大変ご苦労だったと思います。今の意見を聞いても、賛否両論の中をせっかくまとめていただいた。これを真摯に受け止めるという考えは最初から私は変わっておりません。与党内においても異論があるのは承知しております。実際与党内、各閣僚の意見もまとまっておりません。与党内においては、地方だって47都道府県提言をまとめてきたけれども、中身はみんなばらばらじゃないかという与党議員の批判もあるのも承知しております。しかし、今、自民党内もばらばらなんですよ。地方もばらばらと批判できる資格は自民党内はないんです。
  それで、私に対する批判は、独裁ファッショと一方で言われますが、一方では丸投げという両極端な批判があるわけでありますので、いずれは最終的に私が判断しなきゃならない、決断しなきゃならない場面がくると思いますが、できれば、官房長官、私のところに決断を促さないでいい結論を出してくださいよと言って関係大臣と与党の幹部が入って協議を進めております。今日も夜8時ごろから官房長官中心にして関係閣僚と与党の幹部に集まっていただきまして、じっくりと三位一体の改革を議論していただいて、今月中に案がまとまるように調整協議を進めていく手はずになっておりました。今、私がこの段階で皆さんが各論を提起されましたものについて、今から私の判断を言う時期ではないと思っておりますが、せっかくまとめてこられた地方六団体、これを真摯に受け止めるという方向で結論を出したいと思いますので、経過はともかく、結論が出ましたら、どうか地方も全部が同じ意見だとは思っておりませんが、国と地方が協力していく方向でこの三位一体の改革を進めていきたいと思いますので、よろしくご支援、ご協力をお願いしたいと思っております。(拍手)
○総務大臣 それでは、2番目のテーマの災害その他に移らせていただきます。
  これはまずは新潟県からいかなきゃいかんところだと思いますので、就任直前で地震ですから、大変だったと思いますし、また大変な状況が続いていると思いますので、まず新潟県からお願い申し上げます。
○泉田知事(新潟) ありがとうございます。まずこの度の中越大震災に対しまして、政府及び全国都道府県の皆様からのご支援、これに対しまして、県民を代表いたしまして深く感謝申し上げたいと思います。
  新潟は今年豪雨、台風の被害に加えまして、阪神・淡路以来の震度7という中山間地で起きました大震災により桁の違う大きな被害を受けることになりました。また、降雪も目前に迫っております。現在、交通を確保するために道路の応急修理、さらに冬に向けて消雪パイプの整備、こういったものを進めておりますが、道路が歪んでおっては除雪車を入れることができない、対応を誤れば、降雪期に再度孤立をする集落が出てくる。そういう可能性すら出ているような状況になっております。
  中山間地の被害の状況をご理解いただくために一例を申し上げたいと思います。中山間地では、農業を主体としまして、親子二、三世代、これが同居をしております。自宅に格納したコイバイン、トラクター、こういったものが倒壊した家屋の下敷きになって合計四、五千万円を失ってしまう。さらに建物の被害で二、三千万円を失ってしまう。合計7,000 万円もの損害を、農業収入、年間300 から700 万程度でどうやって埋めていくのか、こういう決断を迫られているという状況になっております。住宅を再建するか否か、冬に向けてするのか。これは道路、それからインフラ、水田といった社会基盤が復旧するという前提があって初めて決断をすることができるという状況になっております。ところが、新潟県は財産基盤が極めて脆弱である。阪神・淡路大震災のように、都会で起きた場合ですら、特別な財政措置を講じていただいて県に対する支援、市町村に対する支援をいただいているということでございます。中山間地では、危ないところに住んでいる方が悪いので、引っ越したらどうかという話があるようやにも聞いております。ただ暮らしは中山間地にあるわけで、山に住んでいる方が突然都会に引っ越すということは、やはり文化が失われる、それから生活のパターンが変わっていくということになるわけです。皆さんやはり村に帰って同じ場所に、危ない場所に住むというわけではありませんけれども、ちゃんとした今までの生活をしたいという思いを持っていらっしゃいます。国土の7割を占める中山間地、これをどのようにして震災が起きたときに復興していくのか。こういう観点で都会と中山間地を区別することなく、ぜひ地方で大震災が起きた場合にも温かい手を差し伸べていただきますよう、阪神・淡路大震災並みのご支援をいただけますよう、心からお願いしたいと思います。
  実際、現在の激甚災害法では、市立の学校、病院といったもの、これに対する助成措置には手が及ばない部分というのもございます。ぜひ都会と中山間地を区別することなくやっていただけますよう、重ねてお願いいたしまして、私からのお願いにさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○総務大臣 続いて被災に遭われました兵庫県、そのあと京都府、最初に兵庫県お願いします。
○井戸知事(兵庫) 今年は異常気象のせいで台風被害も非常に多くございました。総理にも見舞っていただきましたけれども、台風23号によります被害は全国土に及んでおります。本県を見ましても、床上浸水1万戸、死者が25人というような大被害でございました。この被害は、ただいま新潟県知事が触れましたように、山間地域につきましては土石流災害でありまして、田畑を含めました生活基盤をすべて失っております。また、淡路島におきましては、溜池の決壊被害が非常に多うございまして、溜池の決壊が河川の決壊氾濫に結びついて、それこそ河原状になってしまったという状況でございます。
  早速に全国の皆様や、政府の関係の皆様のご支援もいただきながら応急措置は終わっておりますが、これからの本格的な復旧でございます。この災害関連にいたしまして、私はまず激甚災の指定をぜひお急ぎいただきたいということをお願い申し上げますとともに、復旧復興に当たりまして、十分な財政措置の裏づけをつくっていただきますためにも、補正予算の編成をぜひお急ぎいただきたい。そして併せまして、災害査定を弾力化していただいて、事前着工等できるだけ早く復旧できるようにお認めいただきたい。そして住宅につきましては、居住安定支援制度をおつくりいただいたわけでありますが、本体への充当が認められておりません。これにつきましても、改正をぜひご検討いただきたいと存じております。これからの異常気象というのは今年だけの異常なのかどうかということを考えましたときに、総合的な農業施設や河川施設等を含めた治水対策がやはり肝要になっているのではないか、そのための対策につきましてもご支援をお願いしたいと存じております。
  併せまして、災害復旧事業等は別枠で予算措置がなされます。その上の堤防、堤体の補強ですとか、嵩上げですとかの災害復興事業につきましては、これは一般枠で措置されております。これら災害に関連します復旧復興事業は一体としてなされるわけでありますので、これは別枠で措置していただいて、一般枠の方は計画的に予防事業を進めていく、そのような制度を検討していただきますれば、都道府県に治山治水の補助金を渡してしまったら、整合性のとれる対策ができないんじゃないかと言われておりますけれども、計画的な部分は整合性をとって整備をさせていただくということで十分対応ができるのではないかと、このようにも考えておりますので、申し添えます。
  併せまして、新潟の地震に対しましては、阪神・淡路大震災、来年1月17日で10年を迎えようといたしております。そういう最中で起こりました地震でございましただけに、私どもの体験や経験をそのまま踏まえていただいて新潟にふさわしい対応をしていただきたいということもありまして、兵庫県からも応援を即時に出させていただいてお手伝いをさせていただいているところでございます。この10年を迎えようとしている中で、1月18日から国連の世界防災会議が5日間にわたって神戸で開かれます。これは政府挙げて応援をしていただいているわけでありますが、私はひとつ提案をいたしておりまして、国際的な復旧緊急避難対策は、国連の人道問題調整事務所が6か月間コーディネート役をいたしますが、6か月を過ぎますと、復興に当たりましてのコーディネート役が国際機関としてはございません。そのようなこともございまして、阪神・淡路の経験から鑑みてみましても、国際的な復興をコーディネートする、そのような機関をぜひ6か月以降の対策として、国連防災会議でご議論いただいて設置をしていただくということを私、兵庫戦略の一つだということで提案させていただいていますので、これも検討をぜひお願い申し上げる次第でございます。
  いずれにしましても、総理をはじめとして関係の皆様方、閣僚の皆様方から地震と水害、両面にわたりまして、いろんな意味でのご指導をいただいておりますことに、最後にお礼を申し上げまして発言とさせていただきます。
○総務大臣 京都府。
○山田知事(京都) 先日の台風23号では、京都でも過去最大の日雨量を記録するなど50年ぶりの大災害になりました。政府におかれましても、直ちに閣僚の皆さんのご視察をはじめ、有名になりましたバスの乗客の方の救助に自衛隊の力等をいただくなど、大変ご協力をいただいておりますことに対しまして心からお礼を申し上げたいと思います。
  災害復旧対策につきましては、今、新潟、兵庫の知事さんが述べられたとおりだと思いますので、重複は避けまして、一点だけ申し上げたいと思います。
  私ども一生懸命災害対策、復旧を進めておりますけれども、この地域、これはほかも同じだと思いますけれども、非常に過疎・高齢化が進んでいる地域でありまして、市町村はもともと非常に苦しい財政運営を行っております。そこに市町村によりましては、今回の場合には、標準財政規模の2倍を超えるような対策を講じなければならないという市町村が京都府内でも出てまいります。一方で、こういった地域でたださえ疲労が厳しいわけですから、まさに市町村を中心に地域の維持からこれからできるかという問題が私は生じてくると思います。
  市町村の財政対策としましては、一般的な財政対策としましては特別交付税がありますけれども、私は2点問題があると思っておりまして、1つは、特別交付税につきましては、この4年間で2割程度減っているという全体の額が減っております。それからもう一つは、特別交付税は地方公共団体の共有財源でして、一般的に5年とか、そのくらいのサイクルの災害ですと、私はこういった共有財源の中でやりくりができると思いますけれども、例えば新潟の地震のように、まさに国家的な規模になった、そういったときにも、この制度ですべて間に合うのであろうかという気がしております。京都府が頑張ればいいじゃないかというお話もあるかもしれませんけれども、だんだん忘れられてしまいましたけれども、京都も今年鳥インフルエンザがありまして、あれにつきましてもまだ今年の特交でいただくということになっておるんですが、どうも吹っ飛びそうじゃないかというぐらいに心配をしております。そういった面からしますと、このような国家的な規模で地方公共団体の財政規模、財政の存立の基盤が脅かされるような事態につきましては、一般的な事態につきましては、我々地域で自立して頑張ってまいりますけれども、もう少し財政的な基本的な制度がこれから創設されてもいいのではないかというふうなところを申し上げたいと思います。
  これからも政府の皆さん方のご協力を心からお願いしまして、今までのお力添えに対しましてお礼を申し上げて私からの意見とさせていただきます。ありがとうございます。
○総務大臣 今の点で災害関係でひとわたり、福井県、手短にお願いします。すみません、時間が押していますので。その後、神奈川県、それはその他でしょう。
○松沢知事(神奈川) はい。
○西川知事(福井) 原子力災害といますか、先般の8月の美浜事故につきましては、総理大臣はじめ、いつも原子力の問題で格別のご指導をいただいているところでございましてお礼申し上げます。
  5名の方が亡くなり、現在まだ残りの方が闘病中であります。この事故は、いわゆる原子炉が古くなってくる高経年化、これが大きな原因だと思います。立地が進まない中で、今ある原子炉を大事にして日本のエネルギーを支えるということが重要だと思います。ぜひこれは先ほどの関与のお話と逆になりますが、こうした国家的な事柄については、当たり前の関与を国がもっと強めていただき、いろんな基準をつくっていただいて、国のエネルギーをしっかり守ってほしいと思います。現在一部プラントがまだ停止中でございますが、ぜひそうした国の関与、指導を強化していただくようにお願いいたしたいと思います。ありがとうございます。
○総務大臣 はい、神奈川県。
○松沢知事(神奈川) 基地を抱える渉外知事会の会長という立場もありますので、現在行っております米軍再編、いわゆるトランスフォーメーションの議論に関係して一言総理にお願い申し上げたいと思います。
  まずもって外交安全保障というのは国の専権事項であり、この交渉は国が主導的にやってもらうというのは私たちもよく理解をしております。しかし基地の問題というのは、基地を抱えている地元自治体、自治体がそこで基地の皆さんとお付き合いをして抱えるわけですので、地元自治体の意向をよくくんでいただいて、それも踏まえてアメリカ側と交渉していただきたいと思います。
  しかるに、まことに残念ながら、私ども地元の自治体から外務省、防衛庁に今どういう交渉になっているんでしょうか、あるいはアメリカ側からはどういう提案が出ているのでしょうかと何度問い合わせても今、交渉中でアイディアの交換の段階ですと、正式な提案は来ておりません、ですから言えません、この繰り返しなんですね。実は私も自らアメリカにこの夏行きまして、国務省、国防省回ってきました。確かにエッセンスは教えていただけませんが、日本の自治体がどういう問題を抱えているのかぜひとも話してくれと真摯に相談に乗っていただきました。またアメリカ大使館にも何度も行っております。そして地元の基地の司令官もお会いして、実は司令官の方からかなり詳しい内容も聞いているんですね。そこで言われるのは、松沢知事、それを私たちに言っていただいても結構ですが、本来ならば、日本の政府が対応していただく問題じゃないでしょうかと強烈な皮肉を言われるわけです。今これからトランスフォーメーションの議論が進んでいく中で、最終的にほとんど決まった、物事は日米間で決まった状況で最後に地元自治体に、もうこう決まったから受け入れてくれ、よろしくと言われても、そう簡単にはいかないということをまずお伝えしなければいけないと思うんですね。ですから、総理は、関係閣僚に地元意向をよく把握して、交渉に臨むようにと指示したとマスコミ報道にありますけれども、それは本当なんでしょうか。ぜひとも関係閣僚に地元自治体の状況をよく把握して、その前に情報を提供して、そしてその意向もくんだ上で日米交渉を行うように指示を出していただきたいと思います。そうしなければ、最終段階で、決まったから受け入れろと言われも地元は収まらない。今マスコミ報道が先行していますから、地元は大変な不信感を持っております。それをお伝えしたいと思います。
  そして最後に、ちょっと東京都知事とも相談しまして一言、三位一体改革でこれだけはお伝えしなきゃいけないと思うのでお伝えしますが、昨日の全国知事会で、私たちは総理のリーダーシップによって三位一体改革が地方分権という形できちっと成就していただくということに大変期待しておりますし、そのために応援もしたいと思います。ただ、省庁の猛反発もあります。関係議員の方の猛反発もあります。そこで、私たち地方のきちんとした改革の方針、補助金削減、税源移譲、これが全く無視されるような状況になった場合には、地方としても対抗手段をとらざるを得ないという合意もしております。その第一は、法定受託事務を返上するということと、第二は、国直轄事業の特に維持管理費については、これは返上、こういう議論も出ておりまして、私たち地方としては、そういう意志を持ってきちんとこの改革をやっていただかなければいけないと考えておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
○総務大臣 鳥取県。
○片山知事(鳥取) ありがとうございます。私、簡単に総理に一つだけお願いを申し上げたいことがあるんです。それは特区制度にぜひハッパをかけていただきたいということであります。私は特区は草の根から改革を出すということで非常にいい仕組みだと思います。最初のときには、打率、認定の率が大体5割に近かったです。私のところも一生懸命いろんなものを提案してきました。そうしましたらだんだん、半年に1回ですけれども、シーズンごとに打率が下がっていまして、今や1割3歩2厘の打率ですから、野球で言いますとお払い箱になりそうな感じです。折衝していましても、各省が役人、お役人ですから当たり前ですけれども、理屈とこう薬はどこにでもつくというようなことでくたびれ果てるんです。ぜひいま一度総理から強力なリーダーシップでこの特区制度がうまく円滑に機能するようにお願いを申し上げます。
○総務大臣 徳島県。
○飯泉知事(徳島) 災害ということですので、もし台風6号で防災服を着られた知事さんがおられたら申し訳ないんですが、恐らく台風で防災服を最初に着たのは徳島知事でございますので。うちは台風6号から10号、11号、それから15、16、18、21、23と全部で8つの被災を受けまして、その意味で公共施設だけでも合計450 億の被災を受けております。そこで国、省庁をはじめ、各省の持っておられます災害、特に防災情報、これの一元化をぜひともしていただいて、これを県あるいは市町村にも伝達が速やかに行われるような、そうした体制をぜひともお願いをしたい。その一環で市町村の持っております避難勧告ですとか、避難指示、そうしたもののシステム化もぜひともお願いしたいと。これは実は三位一体改革、8月の18、19日に行われた知事会の決議でも緊急に決議をさせていただいている点でございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  それから今、災害復旧という観点では各知事さんからもありました。しかし人命が損なわれ、そして施設が損害を受けてから行うのではなくて、京都の知事も言われましたが、やはり計画的な災害予防という、この災害予防事業という新しい概念をもって、この点については我々地方公共団体もしっかりはやっていきますが、国の観点からもしっかりとやっていただいて、これについてはぜひともお考えをいただきたい。
  以上でございます。
○総務大臣 時間がありませんので、最後でひとつ恐縮ですけれども、元消防庁長官から知事になったばかり、関連があるところだと思いますので、これで質問を終わらせていただいて、総理の答弁をさせていただきます。手短にお願いします。
○石井知事(富山) 就任4日目でございます。ありがとうございます。今ほどいろいろ災害対策について話がありましたが、私は地方分権を大いにやってもらわなきゃいかんのですが、さっきもちょっと話に出ましたが、国の危機、国家の危機のときはきちんと国が責任をとるという仕組みをぜひお願いしたいと思います。今年も国民保護法制を通していただいて、私はよかったと思いますけれども、その各論、今度の例えば新潟なんかでも、防災行政無線、これは自治体が今やっているんですけれども、これが必ずしも十分にワークしなかったということが、やはり被害を大きくしているんですね。韓国とかいろんな国では、大災害とか大規模テロとかそういうときには、国が責任をもっていろんな施設整備をきちんとしている。地方分権ですから地方が自主性をもってやることはどんどん任せて、しかし国が責任を持つような大規模災害とか、あるいは国民保護とかそういうことは国がきちんとやると、こういう考え方を、どうもそういうところを各省ごとの、あるいは各部局ごとのシーリングがどうだとか、すごく細かな話になっていつの間にか雲散霧消する傾向がありますので、総理、ぜひ国民の安全に対することはきちんとやると、これをお願いしたいと思います。
○稲嶺知事(沖縄) すみません、ひとつお願いしたいんですが、沖縄ですが。
○総務大臣 時間を経過し過ぎておりますのですが、稲嶺知事、これで最後に終わらせいただきます。
○稲嶺知事(沖縄)簡単に言いますが、昨日、潜水艦の問題がございました。大変に憂慮しております。尖閣列島の問題等もありますので、ぜひ安全確保、それから特に今回、非常に混乱しましたのは、情報がなかなかオフィシャルに伝わらないということで、マスコミの情報が先行しましたので、愛媛丸みたいに、また下からぶち上げてくるんじゃないかということで大変憂慮しております。ぜひお願いをします。
  それから松沢さんに関連して総理の発言で、内閣としても最大の問題であると過重な基地の負担を国民全体で考えていただかなきゃならない。これは沖縄にとっても、県民にとっては大変重要に思って、総理に大変期待をしております。ここのところ、ヘリコプターの事故以降、戦闘射撃訓練場の移転問題とか、諸々の大きな問題がいっぱいあるところですから、ぜひ今回の米軍再編につきましては、総理としては指導力をもって進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
○総務大臣 ありがとうございました。それでは、その他大勢、質問の予告までいただいていた方々にも回りませず、大変段取りが悪くて恐縮なんですけれども、総理の時間もありますので、最後に総理の方から一括して答弁なりをお願いいたします。
○内閣総理大臣 熱心なご意見ありがとうございます。基地の問題では、東京、神奈川、沖縄それぞれ違う問題でありますが、基地という問題では共通した点であります。その種の問題は各自治体それぞれ感情が違います。いろいろ情報が報道されて、ここに基地が来るんじゃないか、あるいは米軍が来るんじゃないかという度に必ず反発が出ます。情報を制限することはできませんから、それは仕方ないんですが、確かに地元の自治体と米軍、あるいはアメリカ政府と話しても、これは日本の問題じゃないかと、そのとおりなんです。日本全体の問題なんです。だから、外務省にしても、防衛庁にしても日本の考えを持たなきゃだめだと。米軍から言われてどうだこうだと、自治体に言う問題じゃない。米軍が世界的な再編に向けて、それを踏まえながら日本の沖縄の基地の負担軽減も含めて、日本における米軍の基地縮小削減、整理統合に向けて、日本はこう考えているという案をはっきり持たなきゃだめだと。その際には当然、移転問題一つ考えるにしても、実際想像される自治体があるだろう、それに対して自治体の意見も聞かなきゃいかんと。反発が出るかもしれない、あるいは、こういうことならいいかもしれない、それぞれだろうと思います。新聞に報道されて、バーッと反発されるよりも、まず地元の意向というものを把握して、ある程度の感触を得て、日本はこういう考えを持っているからアメリカと相談しなさい、米軍と協議しなさいという方針でやっているんです。これは東京の横田の問題にも関連してきます。横田、これは民間使用、全体の米軍の再編だとは別だという意見も承知しております。また、米軍にとっては、やや、基地全体の在日米軍全体の関係だという意見もあるでしょう。そういう点も含めて、各地域によって実情は違いますから、この問題ははっきりと、ここに地元の自治体にこういう基地が来るからということでは相談できないのであります。まず全体の地元の意向というのを政府としてよく考えながら、日本の案をまとめて米軍と協議していく問題だと思っております。
  この場で個別の東京なり神奈川なり沖縄なりの協議の進展についてお話しする場ではありませんので、また申し上げるべきではありませんので話しませんが、そういう全体の姿勢をもってこれから米軍というのは、安保条約、日本にとっての安全を考える上で大事な抑止力であると、侵略を防ぐ抑止力になると同時に、日本国民の基地に対する負担軽減、特に沖縄の過重な負担、これを軽減する意味でどう考えたらいいのかという点も含めて協議を進めていきたいと思っております。
  災害、特に今年は多くて、新潟知事はまだ正式に就任する前に大きな地震が起こって、旧知事との交代式もあたふたと済ませて新知事になられて、きょうも防災服でみえられて、ご苦労は大変だと思います。また台風も何回も何回も襲撃も受けて、今までにない被害を受けているのも十分承知しております。この点につきまして、政府としても、これは国会の中でも議論になりましたように、災害復旧あるいは復興、被災者支援については、党派を超えて考えていこうという観点から、私はしっかりした対応をしなきゃいけないと思っておりますので、今後とも関係各自治体と政府関係各省、よく連携をとって今後の復興支援を考えていきたいと思いますので、遠慮なく担当省庁にご意見を寄せていただきたいと思います。
  いろいろ皆さんも発言したいことがたくさんあると思いますが、今日は2時間にわたりまして熱心な議論をいただきました。今日発言しない方の意見も、関係担当省を通じてどういう意見かというのは私の耳のところに必ず届くようになっておりますので、いろいろな機会を通じて担当省庁にお寄せいただきたいと思います。
  ともかく今まれにみる地方の問題について、これほど中央省庁と国会議員が関心を持った時期はないと言っていいぐらい大きく議論されております。まさに大事な改革でありますので、皆様方としっかりと協力関係を維持し、信頼関係が維持されるような改革に向かって邁進したいと思いますので、よろしくご支援、ご協力をお願いしたいと思います。(拍手)
○総務大臣 ありがとうございました。それでは、時間も参りましたので、これにて総理大臣との懇談を終わらせいただきます。
  続いて関係大臣との懇談会を開始させていただきますが、2時15分から開始させていただきます。10分間休ませていただきます。

(休憩)

○総務大臣 それでは、各閣僚と知事との懇談を始めさせていただきます。閣僚全部そろっていますね。それでは、引き続き座長を務めさせていただきます。
  この後半の会議につきましては、各省の大臣が出席をいたしておりますので、いろいろ大臣がしゃべると時間がかかりますので省略します。懇談は原則として一問一答というより、1つの質問に対してじゃなくて、関連する質問が出てくると思いますので、三位一体等々出てくると思いますので、それをまとめたところで関連のところから、大臣のところから答弁をさせていただくということで、なるべく多くの方々にご発言をいただきたいと存じますので、ぜひ、発言される知事さん方につきましては簡潔にお願いを申し上げる次第です。また、答弁につきましても、よろしくご協力のほどを各大臣にお願い申し上げておきます。
  大括りなテーマとして、今、三位一体、災害、そして高速道路、新幹線、また地域振興、その他、そんな分類に分けて進行させていただきたいと存じますので、まず、三位一体の話から最初にさせていただいて、これにつきましては、一通り知事から発言していただきました後で、まとめて関係大臣の方から答弁をさせていただきたいと存じますので、ご発言のある方は挙手をお願いを申し上げたいと存じます。山形県。
○高橋知事(山形) 早速、三位一体についてご質問も申し上げたいと思いますが、この度、国庫補助を一般財源化するというふうなことで3兆円の措置を講じていただきましたが、この点につきましては、六団体としては地方分権の推進上非常に重要であるというふうなことで、いろいろ議論した末に賛成いたしました。
  山形県の例を申し上げますと、三位一体で一般財源化される、それが具体的に山形県の基準なりに計算してみますと、三位一体で補助金よりも若干、二、三百億収入が下がるという実態がありますので、そういったことについて、ぜひ交付税の段階でよく勘案していただきたい、こう思います。交付税それ自体の算定につきましては、ややもすると一般にはわかりにくいという点がありますので、それが従来の交付税の計算の方法と、それから三位一体で一般財源化されたということがきちんと地方では財源的に保障されるというふうなことで、大臣、ひとつぜひご努力を賜りたいと思います。
  以上でございます。
○総務大臣 茨城県。
○橋本知事(茨城) 1つは義務教育の負担金に関して、昨年退職手当について予定という形になっておりますけれども、退職手当は給与の後払いでありますから、それと今度の分について3分の1とかいろいろなアイディアであるようでございますけれども、その調和ということについてどう考えておられるのか、同じ人件費について扱いを変えるつもりがあるのかどうかということが1つ。それからもう一つは、直轄事業の負担金の問題でありまして、先般、圏央道が1.6キロほどできました。この財源は9割は国税と地方税でありまして、1割5分ほど有料道路事業として道路公団の方から金が入っています。ところが、その料金たるや直轄事業でやって、1割ぐらいだけ有料道路の部分としてとっているのに全然下がっていない。ほかよりもまして高い。直轄事業で費用を出しているところが、余計ほかよりも高くなっているのはおかしいんじゃないかという感じを持っておりまして、いろいろ管理費にお金がかかるからとか名目はつけておるようでございますけれども、直轄事業で1割ぐらい出してもらうのだったら、そこを国と県で出してもらって無料で開放できた方がよっぽどいいという感じになっておりますので、その辺についての直轄事業負担金の扱いも含めて、今後できるだけそれを廃止していくべきじゃないかということについてご意見を伺いたいと思います。
  以上です。
○総務大臣 島根県。
○澄田知事(島根) 本県のように税源に非常に乏しく、財政基盤の脆弱な団体にとりまして、税源移譲に伴う財政力格差の拡大を是正する地方交付税というのは命綱でございます。必要な行政水準を維持するためには、地方交付税の総額が確保されていないと、単独事業はおろか、国の関与に係る事業の実際も危ういものとなりまして、地方の自由度拡大どころではございません。
  しかるに先月の経済財政諮問会議において、財務大臣から平成17、18年度の2か年で7.8 兆円もの巨額な交付税を削減する案が示されました。これは平成16年度の一方的かつ大幅な地方交付税、臨時財政対策税を含みますけれども、この削減額2.9兆円の実に2.7 倍に相当する規模でございます。よもやとは思いますけれども、仮にこのような削減が強行されますと、本県をはじめとして多くの自治体において、いかに経費削減に努めましても予算編成は不可能となりまして、行政機能がストップする事態に陥ることは間違いのないところではないかと思っております。
  さらに財務大臣の提出資料におきましては、何か地方不信を植えつけ、誤った世論誘導を行うような例示が多用されるなど、今、少子高齢化に悩む個別の地域の実情とか、地域住民の切実な思い、地方自治体の歳出削減努力を一切無視したものとなっておりまして、まさに三位一体改革の名をかりて地方に負担を転嫁し、国の財政再建のみを優先させたものしか思えない感じを持っております。
  本県をはじめとする財政基盤が特に脆弱な県、市町村にありましては、未曽有の財政危機に直面する中で、人件費の抑制、事務事業の抜本的な見直しによる歳出削減など、それこそ血のにじむような徹底した行財政改革に懸命に取り組んでおります。そういう状況を十分にご認識をいただきまして、真の三位一体改革の実現に向けて、私からは地方交付税の総額確保に関して3つ点をお願いしたいと思っております。
  その第1点は、三位一体の改革というのは、国庫補助負担金の改革と税源移譲とともに、地方交付税が正しく機能するということが極めて重要ではないかと思います。にもかかわらず、1人地方交付税については、他の改革の行方が未だ不透明な中で、平成16年度の削減額を上回るような大幅な削減が先行的に検討されていることはまことに遺憾ではないかと思っております。私どもは平成16年度の地方交付税の大幅削減は、既に三、四年分の削減に相当する規模ではないかと思っております。したがって、来年度の地方交付税の全国総額は、少なくとも平成16年度を上回るような水準をぜひ確保していただきたい、このことをいの一番に申し上げておきたいと思います。
  それから第2点でございますが、税源移譲による税収額が廃止される国庫補助負担金額に不足するような地方団体に対しましては、当該不足額に対し、地方交付税による確実な財政措置が行われるということが大前提ではないかと思います。このことが担保されませんと、三位一体改革はまさに瓦解してしまうと思います。対応をよろしくお願いしたいと思います。
  また、所得税から住民税への税源移譲により、地方交付税の原資が約1兆円減少することになるのではないかと思います。これにつきましては、三位一体改革が真の地方分権改革になるためにも、交付税率の引上げ等によりまして、きちんと総額を確保する対策を講じていただきたいと思います。
  それから第3点でございますが、税源移譲によって税源の豊かな都市部と、都市部の自治体を中心に地方交付税の不交付団体が増加することが予想されますけれども、これらの団体の財源のオーバーフロー分を調整する仕組みを検討していただきたいと思います。こうした仕組みを構築することで、地方交付税の財政調整機能がより有効に働くということになりまして、結果として必要総額少なくて済むのではないかと思います。
  この3点について、ぜひお願いをしたいと思います。
○総務大臣 ありがとうございました。鳥取県、その後高知県。
○片山知事(鳥取) 私、三位一体改革を進めるに当たっては、政府と地方団体の間の信頼関係が一番大切だと思うんです。お互いに国と地方を通じてスリムで自主的で責任のある行政にしなければいけない、そのための作業だと思います。ところが、どうもこの作業が始まって以来、信頼関係を保てないようなことが頻々と起こるのであります。そこで財務大臣に主としてお伺いをしたいんですが、今、島根県の知事さんもおっしゃいましたけれども、三位一体改革で税源移譲をしますと、交付税原資が自動的に減ることになるわけです。3兆円税源移譲をしますと、交付税原資が32%ですから9,600 億円ぐらい減るわけです。これは当然のこととして補てんをしなければ、こういう三位一体改革はできないわけですね。三位一体改革をしたら自動的に交付税が1兆円ほど減ってしまって、財務省の方に、国の方に1兆円不当利得が生じるというようなことだったら、絶対こんなことはできるわけがないわけです。ですから、こちらからお願いしなくても、こんなことは財務省と総務省で相談されてきちっと処理をされなければいけない。ところが、先般の予算委員会だったでしょうか、財務大臣の答弁を後で読んでみましたら、必ずしもそんなことはする必要はないんだと、地方の努力でとかという話があったように思うんですけれども、そういうご認識なんでしょうか。もしそうだったら本当に信頼関係はできないと思います。
  それからもう一つは、財務省、総務省両方なんですけれども、今、地方団体は借金まみれです。140 兆円の借金があります。これは地方がした借金なんですけれども、主として、どんなところで借金が生じているかというと、追加の公共事業、景気対策を10年やってきましたので、そのために地方は借金をしたわけです。その借金の返済は、心配ないよ、後で交付税を上乗せしてあげますよと政府が言われたんです。だから大船に乗ったつもりでみんな借金をしたんです。今、借金の返済のピークです。そのピークのときは、交付税の上乗せをピークにしてもらわなければいけないときに、こともあろうに大幅に去年から今年は削られましたし、さらにもっと削るぞというような脅しのようなことが出ているわけです。明らかに約束違反なんです。これも信頼関係を崩すことであります。政府のお役人の人は、自分たちが借金システムをつくっているということを一切政治家の皆さんに言われませんから、国会の議員の皆さんを回ってもみんな知らないんですね。地方団体が勝手にモラルハザードで借金したと思っているんです。ぜひ過去の政府の政策に乗っかって地方団体が借金した、しかも後で面倒を見てもらえるということだから借金したということをぜひご認識をいただきたい。
  国会議員の皆さんとお話ししますと、私、驚きますのは地方団体の悪口がものすごく蔓延しているんです。これは大変申し訳ないんですけれども、財務省のお役人の人が国会、議員会館をずっと回って、地方がいかに悪いか悪しざまに言うようなことなんですね。みんな一様に言われます。そのこと、私なんか行きますと。よくもよくもそんなに人員がおられるものだと思うんですね。忙しいはずなのに、余剰人員がおられるのではないかと思うんですね。そういうところの方をもっとメスを入れられたらいいのではないかと思うんですけれども、これは余分なことですけれども。
  以上、申し上げましたが、ぜひ信頼関係を損ねることのないようなやり方をやっていただきたいと思います。
○総務大臣 高知県。
○吉良副知事(高知) 高知県副知事の吉良でございます。今、高知県では、現在知事が不在でございまして、職務代理として、また私自身が中山間の村長をやらせていただいた経験から過疎の市町村の代表のつもりで一言を発言させていただきたいというふうに思います。
  高知県はここ10年、決算ベースで一般歳出は−17.3%、そして普通建設事業費は昭和50年代前半の水準にあるなど相当な行政財政改革に取り組んできました。また、2年間の県民との議論を経まして、全国発の森林環境税を創設するなど課税自主権の活用にも取り組んでまいりました。これで得られました税収というのは1億数千万でありますが、一方、16年の交付税削減によりまして、16年度予算では236億円の収入のマイナスが生じたところでございます。こういった財源不足のために、既に大規模事業はほとんど行っておりません。そして義務的経費が大半の高知県では解消は容易ではありません。職員の給与カットまで判断をせざるを得ない状況ですし、県内の多くの市町村も同じく財源不足に陥っておりまして同様の状態でございます。
  こうした状況にあるにもかかわりませず、報道されているような年間2兆円、そして2年間の交付税カットが行われた場合、県・市町村とも再来年には確実に予算が組めなくなると思いますし、来年度ですら危うい、危惧をいたすところでございます。交付税の財源調整、税源保障の機能は絶対に不可欠ですし、地方がモラルハザードを起こしているという議論は、私の村長時代からもごくごく一部であるというように断言できると思います。一部だけを見て、頑張っている大半の自治体にも大きな影響を及ぼすような市長こそ、見直しを強いる市長こそがモラルハザードではないかというふうに私は思います。
  今回この会に出席するに当たりまして、県内の各市長・村長さんから、「こじゃんと頑張って地方の思いを伝えてほしい」ということで言われました。どうか地方のこの思いを受け止めていただいて、中途半端に足して2で割るような交付税の削減は絶対にやめていただいて、地方案にあるように、地方財政全体としても、個別の地方公共団体としても、所要額を必ず確保するように重ねてお願いをいたしたいと思います。ありがとうございました。
○総務大臣 三重県。
○野呂知事(三重) 総理の時間に申し上げたかったのでありますけれども、簡単にちょっと申し上げたいと思います。「民間でできることは民間で、地方でできることは地方で」ということを総理は言われました。「私も地方六団体の意志を尊重してしっかりやる」と、こういうことも言われました。そこで、ぜひ皆さんに申し上げたいのは、地方分権の推進ということについて、これは総理の言われている「民間でできることは民間で、地方でできることは地方で」というよりも、もっと実は厳しいものでありまして、民間でできることに行政は口出ししてはいけない。地方でできることに国は口出ししてはいけない。おおよそ地方分権の時代に切り換えるということは、少なくとも一番小さな単位の個人、国民それぞれに自分でできることはしっかりやってくれということをベースにしながら、小さい単位でできることに対して、大きな単位から口出しをしないんだということが基本理念なのであります。したがって、国におかれて、今回の三位一体の改革でぜひお願いしたいのは、地方でできるはずのことに国が手出しをしないんだ、口出しをしないんだ、これが明治以来の中央集権社会から実は地方分権の時代に今切り換えるという、一番大事な考え方なのであります。
  福沢諭吉の「一身独立して一国独立する」とか、あるいは「立国は公にあらず私なり」というような、要するに今は国民の皆さんにしっかりやってくれということを言いながら、我々地方も自分たちでできることに国は手出しをしてもらっては困る。この考え方を政府の皆さんに持っていただかないと、本当の意味での地方分権というのはできないんだということでございます。財務大臣にぜひ申し上げたいのは、お札に福沢諭吉を肖像として使っているのでありますから、ぜひ国の財政改革に先走らずに、本来の諭吉の精神をぜひ肖像で使っている間にきちんとやっていただきたい。このことをお願いいたします。
○総務大臣 秋田県。
○寺田知事(秋田) 今、三位一体の改革によりまして、コスト縮減のことを一つ話させていただきますが、日本の国はこのとおり真っ赤っかな赤字の状況なんですね。それで今、中央集権ということで県行政がこのようになっています。それから道路一本つくる、幼稚園つくるのにも国の権限が入っておりまして、高さがコストだとすれば、こんなにコストがかかっています。このような形でこんなにコストが、職員から何から全部緊減の中でやらせられている。これが今、市町村合併ということで、権限をたくさんやるからコストを落としなさいということで、市町村合併で69市町村を21にすることにしました。そしてコスト3分の1ぐらい10年間かけて落とすようにということで進めています。
  ところが、こうなってくると、こういう自治体行政と国と地方の市町村とのこういうかかわりはもう無理な状態になってきた。やはり県にも権限を移譲していかなきゃならないし、そうなってくると日本国家はどうするのか、こんなやり方ではできないでしょうということなんです。ですから、日本国家はやはり内向き志向じゃなくて、グローバルにものを考えた国家になっていただかなきゃ、この日本の国は、この財政的には5年、10年で行き詰まっちゃうんじゃないのか。ですから、今、地方分権だとか障壁だとか言っている暇はないでしょうと、これは私の考えなんです。
  ですから、秋田県としては、今、県庁の職員5,000 人を3,500 人に平成23年までに実行すると。現在四千二、三百人。ただ、警察とか学校というのはなかなか、これは統合で合理化するしかないだろうということで、それも実行してきています。いずれにしましても、それは国家的な政治的な責任のもとに、地方分権とそれから三位一体は進めていただきたい。
  私からは以上です。
○総務大臣 北海道。
○高橋知事(北海道) 発言の機会を与えていただいてありがとうございます。
  東京都知事さんお帰りになられたんですが、先ほど総理との懇談のときにいいことをおっしゃいました。国と地方の三位一体の議論の中で忘れられていること、国と地方の役割分担の基本的議論が必要なのにやられていないというご指摘がございました。私なるほどと、そのとおりだと思ったわけでありますが、三位一体改革という財源面のいろんな議論、国から地方へという議論と、権限面でも国から地方へいかに権限を移譲していくかということは裏腹の議論でございます。そういった観点から、私ども道州制特区ということで総理からお話もございまして、いろんな提案をさせていただいている中で、国と地方の役割分担についての私どもの考え方も提示をさせていただいているところでございます。そしてその上で、竹中大臣はよくご存じのとおりでございますが、私どもの方から道州制特区の提案を4月と8月に2回に分けて内閣府の方に提案をさせていただいております。
  いろいろあるんですが、2つだけポイントを申し上げれば、1つは、国の出先機関と道との仕事の似通っているもの、すなわち権限が似通っているものに着目しての国の出先機関と道との統合、これは県合併が要らない北海道でございますので、いわば都道府県政の下でも、道州制の下でなくても先行的にでき得る唯一の地域であろうというふうに思って私どもこのような提案をさせていただいております。
  そしてもう一つのポイントは、法令面の地域主権の推進ということでございます。先ほど来三位一体改革の議論の中でも、国からの過剰な基準、あるいは介入、いろんなお話が出てきていて、そのことがお金の面でも財政の不効率な、要するに無駄遣いになっているというお話も多々あったわけでございます。すなわち、日本国全体の基準について、法令で一律に国が指定をしているということ自身のいろんな歪が今、出てきていると。そういったことに注目をして法令面で、いわば法令部分の、北海道に風穴を空けていただいて、そこを私どもの条例で埋めていくというような提案もさせていただいているところでございます。
  福島県の知事さんからお医者さまの話も出ておりました。こういった医療分野でも、例えば、全国一律に病院何百床以上あると、お医者さまはこれだけの数ということが決まっておりますが、それも過疎地中心に、これは北海道に限らないと思いますが、いろんな不都合が出てきております。医者が少なくて住民サービスできないんじゃないかということにつきましては、全くそういったことはなくて、高齢者の方が多いわけでありますので、反復継続的な、あんまり詳しくは言いませんけれども、業務ですので一回当たりの診察時間というのはそんなに長くなくていいわけで、詳しくは言いませんけれども、お医者さま、それなりに少なくてもいいという地方の病院というのもあるわけであります。これは一つの例でございますけれども、全国一律の法令で決まっている基準の見直し、法令面の地域主権の推進、これが私どもの道州制特区の提案の2つ目の柱でございまして、今、知事会の方でも研究会、和歌山県の知事さんをヘッドにして検討をさせていただいております。
  いろんなご議論がございますが、やはり国から地方に向けて権限移譲もしっかりとやっていかなければならないということは、我々のコンセンサスが得られるところでございますので、ぜひ来年度からでも国と地方の共同の組織を立ち上げて実現をしていただきたいと。竹中大臣よくご存じのとおりでございますが、関係大臣がおられるところで改めてお話をさせていただきました。ありがとうございます。
○総務大臣 基本的に三位一体でお願いします。よろしいですね。和歌山県。
○木村知事(和歌山) 今名前が出たのでやらせていただきますけれども、財務大臣に申し上げたんだけれども、交付税をほんとに7兆円減らしたら、和歌山県だと全部の市町村が1年か2年のうちに財政再建団体になります。これは田舎の県はほとんど同じような状況だと思いますし、県も財政再建団体になります。そうすると、これは鉛筆の一本一本、どこの長さまで使うというようなところまできっちりした再建計画を立ててやらないといかんので、国家公務員の数も、もっとそれをチェックする人の数が増えないといけないような形になるし、県の方も市町村を指導するために100人ぐらいの課をつくらないといかんかもしれないというようなことで、ある意味では現実性のない話だと。それはもっともっと、例えば市町村には議会はつくらないとか、そういうような大きな全然違うような仕組みを考えるのだったら、それは可能なことなんだけど、そうじゃなくて、今の都道府県、市町村制度というものを前提に考えたら自ずから削減できるところには限度がある。そういう中で7兆円、1兆円というような形で交付税を削っていったら、これは日本の国を引っくり返すようなことになるということの認識をまず持っていただいて、その上で一番賢いやり方ということを考えていかないと、これは大変なことになるんじゃないかというふうに思っております。地方の方も努力してきているけれども、これからも続けないといかんと思うのだけれども、そのレベルの話で解決できることではないということの認識を持たないといけないと。これは事情の違う県もあるかもしれませんけど、和歌山県の例ではそういうことですので申し上げておきたいと思います。
○総務大臣 富山県、その後神奈川県。三位一体は神奈川県で終わらせていただいて、次のほかのもありますので、よろしくお願いします。
○石井知事(富山) ありがとうございます。私、ついこの間、選挙をやりまして、4日前に就任しましたので、その実感を込めて申し上げたいんですが、さっきもお話がありましたように、私は日本の国の経営というのは、国と地方の信頼関係がないとだめだと思うんですよ。ところが、今その信頼関係が壊れかけている、これをひしひしと感じます。実際の私の個人演説会でも、応援してくれた市町村長が口々に、この三位一体というのはまやかしだと、誤魔化しだと、こういう話をするんです。どういうことかと言いますと、例えば去年、公立保育所の措置費が一般財源化されました。人口1.5万ぐらいのところですと、大体補助金が1億円減ると。来る所得譲与税は大体2,500 万ぐらい、4分の1ぐらい。3万5,000 ぐらいのところで2億円ぐらいの補助金のカットに対して、来るのが6,000 万ですから3割ぐらい。それで、その差は交付税の基準財政需要額で埋めることになっているんですが、実際には人口1万ぐらいのところだと、交付税はむしろ1 億5,000 万減っているんです。3万人ぐらいの市町村だと、交付税はむしろ2億ぐらい減っているんです。これはまやかしじゃないかと。そこで、何でそんなことが起こるかというと、それは地方財政計画の投資単独事業が、実際に対して決算の方が下回っているからだと、その差を適正化したんだとおっしゃるんですが、それは私は非常につまみ食い的な話だと思うんです。もし本当に地方財政計画と地方団体の実際の歳出を比較するなら、投資単独事業のところだけ見るんじゃなくて、一般行政経費も含めて総合的に見てほしいと。
  私は富山県と市町村の分を分析しました。決してそんな無駄遣いをしていません。投資単独事業というのは、本当はもっと市町村長はやりたいんです。私が選挙に出たとき、みんなこの道路をよくしてくれとかいろんなことが出てきます。しかし何で計画に達しないのか。もっと切実な、例えば保育所行政とか、老人福祉とか、あるいは、かつて公共投資430 兆、それから630 兆と国が旗を振られたから、いろんな道路や河川や砂防施設をつくったと、その維持管理がいっぱいかかるんですよ。それから治安をやれと。警察、これなんかも時間外手当は一切国から来ない。しかしやらざるを得ないから富山県でも何十億と金を出しています。
  だから、そういうことを考えますと、谷垣大臣は立派な方だと思いますが、財務省の事務方のお話だけをひょっとしてうのみにされているんじゃなんかと。もっと中身をきちんと見ていただければ、決して地方は無駄遣いしていません。むしろ投資単独事業を見直されるならセットで、一般行政経費もきちんと見てトータルでやっていかないと、これは完全に地方財政が破綻するし、まずだまされたというか、三位一体と言いながら、こんなばかなことがあるとみんな憤っているという状況をよく理解していただきたいと思います。
  ちなみに一つだけ。谷垣大臣のご指示じゃないかもしれないけれども、地方が無駄遣いしている例として、乳幼児の医療費助成なんか挙げられましたね。全部で4,000 億ぐらい挙げられた。4,000 億でもって2.9 兆みんな無駄遣いされているような印象の説明もされたように思うんですが、私はあの4,000 億を別にしても、ちゃんと2.5 兆円は真っ当な経費だと思いますが、もう一つ私が谷垣大臣にぜひ理解してほしいのは、乳幼児の医療費助成というのは、今の少子化時代、人口がどんどん減っている時代に、市町村がお金を出して何とか少しでも子どもをつくりやすくしようとやっていることが本当に無駄遣いと言えるのか。むしろ、これだけ人口が減っている時代に、子どもをどうやって健全に育てるか国家として考えなきゃいかんことでしょう。こういうことを国がきちんとやらないから、市町村はやむを得ず、県もやむを得ずやっている。それを何か無駄遣いの象徴のようなふうにおっしゃる。地方団体が全国で2,000 億円出しているんです。それを無駄遣いの象徴のようにおっしゃる。谷垣大臣には、残念だと思います。もっと大きな立場で国が何をすべきなのか。国と地方の信頼関係を維持するために、やっぱり見直すならトータルで見直さないと、つまみぐい的に都合のいいところだけやるのだったら、それは単なる国の赤字のつけ回しだと、こう言われても仕方ないと思います。ぜひよろしくお願いします。
○総務大臣 松沢知事。
○松沢知事(神奈川) 恐らく、三位一体の最後の質問なので、ちょっと大括りな質問をさせていただきますが、財務、文部科学、厚生労働、国土交通の4人の大臣の方にぜひとも見解を伺いたいんです。
  平成5年の6月に衆参両院で地方分権の推進に関する決議というのが行われています。恐らく皆さん、国会議員としてそれに賛成をしたはずなんですね。立派な決議でありまして、中央集権的行政のあり方を見直し、地方分権を推進することが大きな流れになっているという認識の下に国と地方の役割を見直し、国から地方への権限移譲、税財源移譲、地方税財源の充実強化等、地方公共団体の自主性・自立性の強化を図り、21世紀にふさわしい地方自治を確立することが現下の急務であると、こういう決議案です。
 それと、昨年の骨太の改革2003で、この小泉総理は、三位一体改革について、こういう方針を出しているんですね。三位一体改革は、官から民へ、国から地方への考え方のもと、地方が自らの創意工夫と責任で政策を決める、地方が自由に使える財源を増やす、地方が自立できるようにすることを目指すものであるということで、当時で言えば4兆円、2004年の骨太の改革で3兆円の税源移譲を目指して内閣はやると。これは宣言しているわけですね。
  ですから、皆さんは国会議員で地方分権決議に参加し、それに賛成し、そして内閣の一員としてこの骨太の方針に賛成しているというか、公約であります。ただ、残念ながら、私たち外から見ていますと、今回の三位一体の議論の中で、地方から補助金の削減案を出しました。それに対して国の方で、国はこういう考えでいくという対案を出しましたけれども、どう見ても、この両方の決議と骨太の方針は整合性がとれないんです。例えば、補助金から交付金化とか、あるいは補助率や負担率の削減、こんなのでは地方が自立できるわけないし、地方が自由にお金を集めて自由な発想で使っていくという地方分権の理念に何もつながらないんですね。ですから、大変失礼な言い方だけれども、今回の案を見る限り、この2つの公約に全く沿っていない。国民を裏切っているとしか言いようのない内容の補助金削減案しか出てきていないわけです。ですから、ぜひとも4人の大臣の方に、この2つの決議、あるいは骨太の方針と自らの省庁で出した補助金削減案がどう整合がつくのか、それをぜひとも多くの国民の皆さんに注視されていると思いますので、見解をお伺いたいと思います。
  以上です。
○総務大臣 ありがとうございました。
  それでは、一通りご発言もあったと思いますので、この三位一体に関する関係大臣のところを私の方から。いろいろありましたので、国土交通大臣だけは茨城の知事の質問のときにおられなかったので、すみませんけど、茨城県知事と質問内容だけをもう一回打ち合わせした上で答弁していただければ。橋本さん、あとは個別にやってください、この話。特別なところの話だろうから。
  それではまず最初に、一番大きなのが財務大臣の話に集中していましたので、これは一番最後にやっていただくとして、まず文部科学大臣に義務教育。それから病院の話が出ましたので厚生労働副大臣に。そして竹中大臣に関して北海道から話がありました。竹中大臣、その後財務大臣でお願い申し上げます。
○文部科学大臣 茨城県知事から退職手当の件が出ましたけれども、この16年度で約2,300 億、その前に15年度では共済関係を2,100 億ぐらいですけれども、補助金改革ということでやっているわけでございますが、これは特に大きな金額でございますし、特に財政力の弱いところは大変なご負担になっているのだろうなと、そういうふうな感じでおります。
  それから三位一体の改革、今、神奈川県知事の方から2つの決議をどう受け取っているのかという話がございました。まさに国会議員として決議をしっかり受け止めているわけでございますし、また小泉総理から地方の意見はしっかり真摯に受け止めて真面目に検討しろと、こう言われているわけでございまして、まさにそういった皆様方のご意向をくみまして真剣に議論しているところでございますが、ご承知のように教育改革ということで、中央教育審議会で様々な分科会を開きまして、義務教育のあり方等につきましても議論を重ねているところでございます。その中で義務教育のあり方、またその中で国と地方の役割分担をどうするかというふうな議論を重ねているところでございます。そういった議論を踏まえながら、私たちはできるだけ地方の皆さん方、特に市町村、そして学校の現場がそれぞれの創意工夫を重ねながら、自分たちの地区の子ども、自分たちの責任でこれからの日本を育てていくんだと、そういうふうなことができますように、例えば総額裁量制の問題とか、そういったことでできるだけ皆さん方の自主性が発揮できるように頑張っているところでございます。
 一方では、秋田の知事さんが言われましたけれども、やはり内向きでなくて、もっとグローバルに考えろと、こういう話もあるわけでございまして、まさに今、世界を見渡しますと、それぞれの国が国家戦略として教育を重視しておるわけでございます。どこの国もそういう意味では国の教育予算を増やそうと、これがまさに世界の潮流でございますから、その中で日本はどういう方針をとればいいのかということも踏まえまして、真剣に議論しているところだというふうにご理解いただきたいと思います。
○総務大臣 厚生労働副大臣。
○西厚生労働副大臣 今日は残念ながら委員会の関係で、尾辻厚生労働大臣、委員会の方に出席させていただいておりますので、私、副大臣の西でございますが、お答えを申し上げたいと思います。
  先ほど医師の不足に対する話がございました。私も和歌山県の田舎の出身で、いわば無医村でずっと長い間住んでおりましたので、特に過疎地における医師の確保が非常に困難であるということは十分認識しております。今年の2月に厚生労働省、それから育成をしていただく文科省、それから総務省、この連絡会議を持ちまして、そういう医師の確保が困難なところに医療供給体制をどうするかということで緊急的な取り組みをさせていただきました。結論から申し上げますと、一定の条件を満たしたところは、都道府県の知事さんの許可を受けまして標準を若干下げさせていただく。90%ということでございますけれども、暫定的に変更できるという特例措置をつくらせていただきましたことと、それから僻地の医療の拠点病院、この場合に許可があったところについては、医師の派遣を行っていただく場合にも、その経費、派遣に係る経費を拠点病院に対して補助できると、こういうことをとりあえず決めさせていただきました。今後、都道府県を主体とした過疎地の医師の確保の対策、これをいかに支援していくかということ、特に文部科学省をはじめとして十分連携をとりながら、この需給の見通し、または見直し等をやっていかなければならないということで今努力をしているところでございます。
○総務大臣 ありがとうございました。竹中大臣。
○経済財政担当大臣 三位一体に関連しまして、権限移譲に関して高橋知事の方から道州制特区のお話、ご指摘をいただきました。これは大変重要なことだというふうに、もちろん我々も思っております。そもそも将来の道州制を踏まえて、北海道、道というのはある意味で非常に特別な存在でありますので、そこで権限移譲の風穴をあけようではないかということで、これは国から北海道の方にお願いして働きかけて実現に向かっているところでございます。高橋知事にも、そして木村知事にも入っていただいて懇談会を内閣府の方につくっておりますので、知事のお尋ねは、これをさらに発展していこうではないかということだったと思います。これは我々非常に決意をもってご一緒にぜひやっていきたいと思っております。
  もう一点、多くの知事の皆様方が地方財政計画との関係で交付税の削減について、国と地方の信頼感の問題も含めて非常に厳しいご指摘があったというふうに承知をしております。昨年のいろんな経緯も踏まえまして、今年の基本方針2004におきましては、地方において必要な行政課題に対しては財源措置を行うこととし、これらにより地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源を確保するというふうに、これは骨太方針で私たちも今年明記をしております。これを基本にしながら同時に国と地方合わせてプライマリーバラスをいかに回復していくか。ご承知のように、総務大臣、財務大臣、それぞれの立場で今若干ニュアンスが、立場が違うわけですけれども、諮問会議において、そういったことも含めて今我々の中でも一生懸命調整を行っているところでございますので、この骨太方針の基本を踏まえて、これは必ずやりますので、その点はぜひいろいろご注文もいただきたいと思いますし、ご指示を賜りたいと思います。
○総務大臣 ありがとうございました。財務大臣お願いします。
○財務大臣 大勢の知事さんから、私の交付税改革に対する考え方についてご批判をいただきました。今日はたくさんご批判をいただくだろうと思って実は参ったわけでございますが、まず最初に、今、竹中大臣もおっしゃいましたけれども、必要なものはきちんと補てんをすると骨太の方針にも書いてある、これは私は当然のことだと思っております。先ほど鳥取の知事さんからも、島根の知事さんからも、地方交付税による確実な財政措置であるとか、あるいは3兆円所得税を地方住民税に持っていけば1兆円ぐらい減少があるではないかとか、あるいは、あるときに大変国の経済政策に協力して、公共事業等をやった、その負担をどうするのかというようなご発言がございましたけれども、これは当然、総務大臣がおつくりになる必要なものとして計上された地財計画の中には、釈迦に説法でございますが、公債費もみんな入っているわけでございますから、そのいわば歳出歳入の足らず米を埋めていくのは、これは当然のことであるというふうに私は思っております。
  所得税を3兆減らせば1兆ぐらいというのも、これも今の段階では正直言ってわかりません。今年どういう税制改革を行っていくかということによりましても随分変わってくると思いますが、しかし、その必ずその差額は埋めていく、これは地財計画というようなものの仕組み上、当然のことだと思っておりますから、この点は麻生大臣とも何ら見解は違わないと思っております。
  その上で、私が申し上げているのは、それは当然の前提としまして、今の地財計画と申しますか、地方交付税の問題点と私どもが問題点と思う点と、それについての私どもの対処方針を先ごろの経済財政諮問会議で提案させていただいたわけでありますが、その中身は具体的に申し上げると時間もございませんが、1つは、地財計画の不適切な過大計上の是正削減と、私どもの用語で言えばそういうことになりますが、先ほど実はそれは富山の知事さんからもそんな無駄なものではないんだと、きちっとやっておるという反論がございまして、私も全部無駄だなんて思っているわけではもちろんありませんが、私どもの立場からすると、必ずしも、それがどういうものに使われて、結局、標準的な行政サービスだとして、最後は補てんをするというものの中で何に使われているのかよくわからないというのが今までの実態であったわけです。よく、それは財務大臣も加わって麻生大臣と去年手を打ったものではないかと、それを今更おまえなんだと言われると、確かにそれはそのとおりでございますが、実は実態がどういうものなのかよくわからないというところがございまして、今までの過去の経験的なものにのっとってきたという面も私はあるのだろうと思いますが、そういうものの中には、私どもなりに見させていただくと、それはそれが無駄か不必要なものかというのは当然見解の相違あると思いますから、これは議論させていただかなきゃならないと思いますが、これはいかがかと思うものが散見したのも事実でございますから、私どもが一番これからお願いしたいのは、そういうところを透明化していって、アカウンタビリティといいますか、そういうところをはっきりさせて、先ほど富山の知事さんがおっしゃいましたように、投資的経費が過大だと、一般行政経費は多く使っていると、その両方を見なければ不適切だとおっしゃいましたけれども、両方見て、必要なものはちゃんとつけていく、不必要なものは削っていくということは、ぜひやらせていただきたいなと実は思っているわけであります。
  そのときにもう一つ、私このごろ痛感いたしますのは、この数年間、私も地方自治体の努力というものは私なりに見ておりまして、随分それぞれのところで力を入れて取り組んでいただいているというふうに私は感じております。ただ、これは私が申し上げると僣越ですが、非常に努力しておられるところと、非常に努力しているところまではまだ、違うんじゃないかと思うところもないわけではございません。多分、私のお出しした案をご覧になって、多くの方々が不信を招くと言ってお怒りになったことの中の一つには、俺たちが本当に財政を変えていくために努力しているのに、谷垣、おまえは知らないでそういう批判をしているんじゃないかという多分お怒りがあったんじゃないかというふうに私は思います。私、感じますのは、私の知り合いの中でも一生懸命やっておられる方がおっしゃるのは、俺たちはこれだけ努力したのに、まだこんなにやれと言うのかというご批判がありました。私、そのお気持ちはよくわかります。私がやらせていただきたいと思っておりますのは、そういうシステムをもう少し透明化していって、要するにちゃんとやっておられるところと、まだ無駄があるところ、そういうところを浮き彫りに出していかないと、地方の財政改革に本気になって取り組んでおられる方々とそうでない方のギャップがうやむやのままになってしまうようでは、地方の財政健全化、あるいは自己責任といいますか、そういうことも進んでいかないのではないかというふうに私は考えているわけでございまして、もちろん、この改革を進めていく上でのスピード感とかいろんなものについては、これからよくよく議論させていただかなければならないと思っておりますけれども、私どもの考え方はそういうところでございます。
  もちろんご批判もたくさんあると思いますので、ご批判は謙虚に聞かせていただいて、これから議論もさせていただき、最後は、結局、地財計画がきちんと組めませんと麻生大臣もお困りになるし、私もそれでは予算が組めないということになりますから、最後はきちんと議論して、麻生さんは嫌がるかもしれませんが、抱き合い心中でちゃんとやろうと言うつもりで私はいるわけでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○総務大臣 抱き合い心中の片割れのように言われております麻生太郎ですが、今のお話の中で幾つか私どものところに関係しているところもあるんですが、先ほどの総理の答弁というのが一番皆さん方のところと合致しておられるんだと思います。基本的に今言われておりますように、何となく7兆とか8兆とかという話が出てきて、出し方もちょっと唐突な感じがしましたので、いわゆる地方交付税というものの力、調整機能によって差額、いわゆる税源移譲が行われた後の地域間格差ができるのには埋めるという前提で話ができていたはずじゃなかったのかというところに、多分、一点集中したのだと思うんですね。僕はこれは財務省の高等戦術か、稚拙な戦術かは別にして、少なくとも、何となく話が違うじゃないかといって全部の話がそこだけに集中にするようになっちゃったのかなという疑いが半分、ただただ唐突に出してきたのかなと思うのが半分、正直これはよくわからないんですが、いずれにいたしましても、今の話が出ましたように、昨年の−12%を倍ぐらい上回る話というのは、物理的に不可能と先ほど和歌山の方も言っておられましたけれども、ほとんどの県において、これはまず不可能という数字が上がってきておるんだと思っております。このところは17年度、18年度につきましては、総務省が出した概算要求でも、この地方交付税につきましては前年並みということで、これ以上下げるというような概算要求は出していないということを見ていただいても、基本的姿勢はおわかりいただいているものだと思っております。
  それから一般行政経費と投資的経費の乖離という話がよく聞かれるところではありますけれども、これは先ほどどなたか言われましたように、これは一般行政経費というソフトと、投資的経費というハードというのに分ければ、ハードを削ってもソフトにせねばならないという事情というものが地方に多く存在するという現実を見た上で、多分、地方は判断して、勘定科目をこっちにつけかえてという形になっているんだと思いますので、よく見ていただいたらわかりますように、その数字の乖離、いわゆる一般行政経費と投資的経費と逆転しているじゃないかと言われるその差額というものは、トータルで見れば、ほとんど同じというのがそれを裏づけていると思っております。この点につきましても、時間をかけて、この部分をきちんとつけかえるなり何なりというのは、これは技術的な話だと思いますので、きちんと対応ができるものだと思っております。
  いずれにしても、国と地方との関係で、三位一体の話を先ほど松沢知事さんも言っておられましたし、石原知事も似たようなことを言っておられたと記憶しますが、これは明治4年廃藩置県をやって中央集権国家をやったとき以来の大改革をやろうとして、少なくとも平成12年に地方分権一括法というのをやったんですから、地方分権一括法は、あなたも議員をやっておられたはずだから、あのときにその法律を決めたんだから。そしてそれに基づいて金銭の裏づけはなかった、あのときにはね。細目のあれもなかった。それを今回4年後の今、まさに小泉内閣になって、これに手をつけておるということなので、文句言うなら平成12年に遡って文句を言ってもらわないと、今時言ったって遅いよと。多分、僕が地方の知事だったらそう言うのだと思うんですが。私に言わせると、そこらのところまだ遡らないと、この話はそもそも今の国のかたちを、ある程度地域も成熟し、地方にもそこそこ行き、まあ簡単なことを言えば、昭和39年に新幹線ができたころには、少なくとも駅はみな同じにしたわけです。東京と同じがよかったんだから。だから東京駅見たって、名古屋駅見たって、外側から見たらみんな同じような駅にしか見えないようにつくるのがよかったんだから。しかし今は青森県八戸の駅を見たら、どこの駅かと思うぐらいびっくりするよね。これはものすごい勢いで地方は自分の駅のデザインを自分でするようになった。私はこれはものすごい大きな変化だと思いますよ。だからそういった意味では、明らかに地方がそれだけ成熟して自分なりのということをやり始められているというのは、私はこの国の流れとしては決して悪くない。
  さっき司馬遼太郎の例を使われましたけれども、「この国のかたち」という話なんだと思いますが、私どもとしては、そういった流れをこの4年間やってきて今回になって具体的案が今できつつあるというところで、これは非常に大きな境目、潮目、いろんな表現があるんでしょうけと、エポックのときにいるんだと私はそう思っているんですけれども、いずれにしても、そういった流れの中にあって、私どもとしては、今、補助金とか、いわゆる地方税とかいろんな話が全部ここに集中してきておりますので、大事な流れだと思っております。基本は、先ほど総理の言われたとおりだと思っておりますので、その方向で総務省としては頑張らねばならぬ、また皆さん方もご自分の主張をきっちりして、別に我田引水だけを言っておられるわけじゃないと存じますので、ぜひそういった形で今後とも方向として進めさせていただきたいと存じます。
  それでは、ほかに災害の話もございますので、災害関係につきまして、これは国土交通省、村田大臣、それぞれ来ておられますので、災害に対してのご発言があると伺っておりますので、災害についてのご発言を伺いたいと存じます。今度は愛媛から行きます。愛媛県、香川県、これはいずれも災害のあったところだと思いますので、四国は先ほど徳島が言われましたので。愛媛県、香川県からお願いします。
○加戸知事(愛媛) 三位一体改革は既に小泉総理に義務教育負担金のことをお話し申し上げたので繰り返しません。
  今回の豪雨・台風災害について申し上げさせていただきたいと思います。新潟地震ほどの影響ではございませんけれども、本県におきましても、8月初旬から一連の台風で26名の尊い人命を失いましたし、現時点で被害総額800 億円に達しております。特に県内ずっと見ておりますと、まず当面大切なのは被災した河川・道路等の公共施設の災害復旧でございますけれども、再度災害を防止するための土砂災害や浸水被害に対する緊急の対策が必要であると考えております。先般、北側国土交通大臣、ご来県いただきまして、実情を把握していただいていると思いますけれども、そういった面で地域の治水安全対策の向上のためには、河川であるとか砂防関係の抜本的な災害防止対策を短期的、集中的、機動的に実施する必要があると考えてもおります。
  それからもう一つ、道路面に関しましても、このときにはちょうどJRも高速道路も国道も県道も愛媛県東部で遮断されまして、物流関係もしまなみ海道を経由して中国をわたって瀬戸大橋から逆戻りというような物資搬送ということもございましたので、災害に強い道路ネットワーク、代替手段とかというのが大変大切だなというのは実感させていただきました。そういう意味での災害に強い道路ネットワークの形成が不可欠と考えておりますので、そういった点での格別のご配慮もいただきたいと思います。いずれにいたしましても、必要となる事業の早期事業採択と必要な財源の確保、そして激甚災害の指定と、県側だけの言い分でございますけれども、格別のご理解とご協力をお願いしたいということでございます。ありがとうございました。
○総務大臣 香川県。
○真鍋知事(香川) 香川県も大体災害がないんですけれども、今年は例外的に8個ほど台風の影響を受けました。6個が四国に上陸したわけでございますが、8つの台風で被害を受けております。北側国土交通大臣はじめご来県いただいて、また政府調査団を派遣していただくなど大変ご支援をいただいている点をまず感謝したいと思います。ありがとうございます。
  それから災害対策、今、愛媛の知事さんからお話があった点については同じでございますので繰り返しません。応急救助とか被災者支援につきましては、災害救助法とか災害弔慰金の支給等に関する法律という法律がありましていろいろやっていただいているんですが、やってみまして、ちょっと時代に合わぬなというところが多々ありますので、二、三ご指摘をさせていただいて改善をお願いしたいと思います。
  1つは災害援護資金というのがございます。これは災害弔慰金の支給等に関する法律というのがございまして、市町村で条例を決めて実施するということになっているんですが、この貸付金利が3%、今時3%の金利というのは、災害に対して3%の金利というのは法律で決まっておるらしいんですが、ちょっと非常識じゃないかという感じがします。要するに実態に合わない。その分はそれぞれの市町村が負担をするとか、そういうふうな仕組みというか、そうせざるを得なくなってしまいますので、これはちょっとおかしいのでないかと思いますので、利用しづらい制度になっておりますので、ぜひ改善方をお願いしたいと思います。
  それから、災害救助法で応急救助の種類についていろいろ定められておるんですが、障害物の除去とか住宅の修繕というふうなことなんですが、被災の状況下において、実務上、自ら資力で対応できる人は対応しなさいと、こう言うんですが、この現状の被災状況の中、混乱しているところでは、なかなか判定が実務上難しいというふうな問題がありますので、これらは改善をしてもらいたいと思いますし、今回私どもは高潮でかなり災害ごみがたくさん出ました。搬出運搬が対象になっていないというふうなこともございまして、これはどうしてもごみを除去しないとなかなか交通、あるいは夏でございますと腐敗の問題とかいろいろ出まして、被災者の生活再建に円滑に移行できないというふうな問題がございますので、ぜひ災害ごみの搬出運搬も対象にしていただきたいということでございます。
  それからもう一点は、被災者生活再建支援法についても、被害の実態に合った十分な対応ができるように住宅の被害認定等に関する基準を改善して、住民にとって公平に扱われるようにお願いしたいというふうに思います。県内に災害救助法が適用された場合に、災害救助法が適用されていない同一県内の市町村にも、災害弔慰金の場合は県内でどこかそういう対象になったら、ほかの地域でも適用が可能なんですけれども、被災者生活再建支援法の住宅の方ではそれが適用にならないというふうな問題がございますので、その点、ぜひ改善をしていただきたいと思います。
  以上でございます。よろしくお願いいたします。
○総務大臣 ありがとうございました。
○飯泉知事(徳島) 今度は地震の関係で申し上げさせていただきたいと思います。実は徳島、高知、三重、和歌山と、これは南海地震のエリアでございます。実は3年前に中央におきまして、この南海地震、東南海・南海とセットでございますが、最初に発表されたときには、南海地震は向こう30年で40%の確率で起こるというふうに言われておりました。しかし今年の9月1日をもちまして、この確率が向こう30年で50%と、3年で10%も実は危険の確率が上がりました。ですから、今回の中越地震、これを見ていましても、はっきり申し上げて対岸の火事とはとても思えない。我がことのようにいつも思っているわけでございます。そうした中で、東南海・南海地震につきましては、実は議員立法で法律をつくっていただいております。そのまた推進地域ということで、徳島の場合には全47市町村がその推進地域に指定をされております。しかし、その指定地域に指定をされても、東海地震の場合はちゃんと東海地震用の十分な財政の支援措置があるわけですが、これは議員立法があっても、ほかの地域と同じで地震の緊急の防災5か年計画、ここに位置づけると同じということでございますので、ぜひとも東海地震並みの東南海地震、東南海・南海地震に対しても同じような支援をお願いしたいというのが1点。
  それから地震に対してやはり起こってしまっての復旧の前に、特に阪神・淡路の場合には、木造家屋、新耐震基準であります56年以前の家屋が多く倒壊をして多くの人命が失われました。幾ら公共施設、避難所を耐震化をしても、そこにたどりつけなければ全く意味がないということで、この木造住宅に対して耐震化の支援をぜひともお願いをしたい。その中で当然、耐震診断、耐震補強という財政支援、これは徳島県としても県単独でもやっておる、国の制度を耐震診断で入れる、こうしたものをやっておるわけですが、ぜひともここで木造住宅を補強、あるいは建替えをするときの促進税制、これをぜひともお願いしたい。これは徳島で話を持ち上げまして、近畿知事会そして四国知事会、最終的には全国知事会の平成17年度の税制改正要望の中にも入れさせていただいております。また、全国法人会の中でも税制要望として、この木造住宅の建替え、耐震補強、建替えの促進税制を入れさせていただいております。また先般の「日曜討論」、これを見ておりましたら、北側大臣と村田大臣がおいでの中で地震学者3人を相手にされている中で、北側大臣の方からも、こうした税制についてしっかりと考えているんだよという心強いご発言もありましたので、ぜひともこの点について促進をお願いしたい。
  以上でございます。
○総務大臣 新潟県。
○泉田知事(新潟) まずもってこの度の中越大震災に対しまして、政府及び関係機関からのご支援に県民を代表しまして深く御礼を申し上げます。総理の時間にも申し上げましたので、るる申しませんが、2点だけお願いしたいと思います。
  まず1点ですけれども、新潟は今年豪雨・台風に加えての地震ということでございます。災害規模で申しますと、阪神・淡路の際が10兆円、今回はまだ役所ベースの積み上げが終わっていませんけれども、経済界は3兆円規模になるのではないかという試算をしております。新潟県の財政規模1兆2,000 億でございますので、この3兆円の規模の被害を回復するのは極めて困難という状況でございます。ぜひ災害救助に対します地方財政措置をお願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
  もう一点でございますが、新幹線が止まったままで、今、経済が窒息をするというような状況になっております。道路の方は、幹線については無事トンネルも含めてほぼ開通ということになりました。新幹線の方は危ないからまだ調査ができないというようなことで、復旧のめどが全く立っていないわけでございます。ぜひこれも国家プロジェクトといたしまして新幹線開通をしていただけますよう、また、国の方からもご助力いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○総務大臣 ありがとうございました。それでは、京都、奈良、それで終わらせていただきます。
○山田知事(京都) ちょうど西厚生労働副大臣がいらっしゃいますのでお願いをしたいんですけれども、全体の財政状況は先ほど総理にお願いしたんですが、非常に水害の場合には、ごみがものすごい勢いで出まして、畳、ふとん、さらには家財というぐあいで、私どもの被災地の方の小学校はごみ置き場と化しているわけです。ごみ処理をしようにも、隣の福井も兵庫ももう既にそこもごみ置き場と化しているわけです。ということで、府内ではとても処理ができない。さらに隣県にお願いしようと思っても、そこも被害を受けている。こういう状況の中で、実はこの前お聞きしましたら、福井県もまだ3分の1からそのくらいのごみ処理しかこの前の水害からできていない状況がございます。そこに積み重なっておりますので、どうかやはり、厚生労働省の方で全国的な規模でこのごみ処理についての調整をぜひともお願いをしたいということだけ申し述べておきます。お願いいたします。
○柿本知事(奈良) 当面被災されている各県にはお見舞い申し上げたいと思うんですが、私の方は、文化財の震災対策についてご質問いたしたいと思います。
  もう時間がございませんので、奈良県もかなりの文化財を持っているということは、るるは申し上げたかったんですが、やめておきます。要するに文化財というのは、千年以上守られてきたようなものでございますので、大変お宝だと思います。これを重大な損失にならないような対策をとらなきゃならない、そういうことを全国的な課題としてお考えいただきたいと思います。その場合に実は震災と申し上げましたが、火災や風水害という場合もございます。とりわけ、震災対策は単に住宅とかと違いまして、いろんな工法が特殊でございますので、技術的にも難しい点がございますし、信仰その他の対象になっているという難しい点もございます。そういうことが現状では必ずしも十分整理されていないのではないかと、こういうふうに感じる次第でございまして、2点申し上げたいと思います。
  1つは、文化庁におかれて、こういった課題について、専門的な見地から研究・整理をしていただきまして、重要な文化財についての抜本的に総合的な方針を立てられるようにひとつ提言いたしたいと思います。2点目は、所有者が防災対策が進められるような機運を盛り上げるために、こういう国宝とか重要文化財に対する特別な支援制度の創設、そうした文化財の防災対策の総合的な確立、あるいは支援の充実、こういうことをご検討いただければ大変ありがたいと思います。
  以上でございます。
○山田知事(京都) 先ほどちょっと環境大臣と間違いまして大変申し訳ありませんでした。厚生労働省じゃなくて、環境省でございます。
○総務大臣 環境大臣ね。それでは、答弁をお願いしたいと存じます。最初に村田大臣からお願いします。
○防災担当大臣 皆様方からいろんなご意見をちょうだいいたしましたけれども、特に今回の新潟県中越地震に際しましては、とにかくいろんな人材の派遣もしていただきましたし、その他の物資両面にわたりましてご支援をちょうだいいたしまして、私からも心から皆さん方に御礼を申し上げたというふうに思います。特に消防、警察、もちろん自衛隊もありましたけれども、そうしたチームワークでもって、組織的な救援活動、あるいは支援活動ができたことは大変ありがたかったと思っておりますので、これからもチームワークの進め方などにつきましては、また、いろいろお知恵をかりてもっともっと改善していきたいと、こういうふうに思っております。
  関係大臣がいろいろありますから、私からまず答えろということですのでかいつまんで申し上げますが、愛媛県の知事からいただきましたご質問ですが、道路等のインフラ、あるいは防災等の緊急に復旧・復興活動をしてくれという話は国土交通大臣からされると思いますので、激甚災でございますが、これはできるだけ早いうちにということで、愛媛県の場合、最後の台風までかかわりになっていると思います。私どもは台風23号につきましても、今、被害額の把握をしているわけでございますが、できるだけ今月中に指定ができたらということで作業を急がせております。また、中央防災会議での作業もできる簡潔にやりたいというふうに考えておりますので、その点はご要望に応えたいと、こういうふうに思っております。
  香川県の知事から、具体的な改正要望等のご指摘がございました。援護資金については、また担当省からお答えがあると思いますが、それから災害救助法の対象のいろんな活動についても、ごみの運搬についても、対象にしてくれということについても、厚生労働省からのお答えがあるかと思います。
  私どもの所管します再建支援法でございますが、これについては、前回の通常国会、今年の通常国会で基本は災害救助法の適用地域が対象になるわけでございますが、その近隣のところでも5戸が全壊したとかというところまで広げまして、適用基準についてはかなり公平になるように努めたつもりでございますが、具体的なご要望を皆さんから吸い上げて、改善ところがあれば将来の課題として私ども検討させていただきたいと、こういうふうに思います。
  それから徳島県でございますが、これは特別法があるわけでございますが、50%に3年で10%地震発生の可能性が高まったということでございますが、法律がございますので、その中でどうやって優先順位をつけていくかという中で、私どもは真剣に検討していきたいと、こういうふうに思っております。
  それから、やはり今回のいろんな台風被害等を含めまして、せっかく避難所を指定して、そこまでたどりつけないという例がありました。特にお年寄り等につきましては、そういうことがあったわけでございまして、地震のケースでありますと耐震化を進めていくということなんでありまして、税制につきましては、今年も税制改正をやっておるわけでございまして、残念ながら、不幸にして新潟地震が起きまして、こうした機会に財政当局にも一生懸命、我々も努力して要求をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  それから文化財のことについては、文化庁から多分お答えがあろうかと思います。
  新潟県から、昨日も知事さんから切実に、特別法も含めまして財政支援をお願いしますということでございました。我々としては、どのような具体的な要望があるかということで損害の全体像を早く見たいというのが今の現時点でございます。地震の規模からいきまして、もちろん阪神・淡路大震災とは違うわけでございますが、私の方からも事務方に地元の被災地の公共団体の財政力というのが当時から大分違ってきているから、そういう意味で具体的の要望については真剣に取り上げて検討するようにという指示しているところでございます。
  以上でございます。
○総務大臣 厚生労働副大臣。
○西厚生労働副大臣 香川の知事さんから、災害援護資金のことについてお話がございました。今の時期3%というのはひどいじゃないかと、こういうことでございました。確かに法定利率ということで載っておりますが、これは今の時期、確かにそういう側面もございますので、すぐ持って帰りまして研究させていただくということにさせていただきたいと思います。
  それから、災害救助法につきまして、住宅の応急修理のことについての判定の問題、これはある程度判定していただかないと先に進まないことでございますが、今回の新潟県の地震におきまして、この災害救助法の住宅の応急修理ということを適用しまして、地域の実情、また災害の実態を踏まえて、半壊で、そして仮設住宅じゃなく、そのままお家に帰って住みたいという皆さん方のために、最終的には60万ということでございますが、応急修理をさせていただくための方向性を出しましたので、そういう方向性を、個別の問題はまた知事さんを中心に、内容についてはまた連携をとらせていただくことになりますが、今、実は兵庫県さんからもそういう要望がございまして、連携をとって相談をさせていただいているところでございます。
  ごみにつきましては、この災害救助法の中では住居並びその周辺のごみの応急の除去ということについての規定があるんですが、先ほどおっしゃられましたように、グランドとかそういうところの広域の除去ということになりますと、京都さんの方からありましたような、こんなところで省庁の間でどこがどこがということもおかしいんですが、環境省さんとも相談させていただくというか、環境省さんの領域のお話ではないかと思いますのでバトンタッチさせていただきます。
○総務大臣 環境大臣。
○環境大臣 廃棄物処理は環境省の担当でございますのでよろしくお願いいたします。
  災害ごみ、一般廃棄物とこういう一種の有事の際はなかなか分け切れないということで、災害ごみと一括りにさせていただいて、金目の話は、ご承知のように2分の1国が補助するとともに、近隣の市町村などからの自治体の職員の方にお手伝いに来ていただくということで、まずそこでスピード感が出てくると思いますが、そういった職員の方々がかかったお金などにつきましては、これも国が後ほど補助をするという形で、これもスピード感につながるものだと思います。それからまた同様にして、近隣のそれぞれの処理場においてご協力いただくということで、環境省の方がそういったことについてコーディネートさせていただけるようになっておりますので、また今回の円山川の水害などにつきましても、今後ともしっかり対応させていただきたいと思っておる次第でございます。
  ちなみに、私も兵庫県で阪神大震災のど真ん中におりましたもので、ごみの処理から始めなければ次が進まないということをよく存じ上げておりますので、しっかりスピード感をもって対応させていただきたいと思っております。今後ともよろしくお願いします。
○総務大臣 北側大臣。
○国土交通大臣 国土交通大臣でございます。
  まずライフラインの普及、特に道路でございますが、今その復旧に向けて全力で地方団体と連携とらせていただきながらやらせていただいております。それから二次災害の防止が非常に大事でございますので、特に河川、砂防でございますが、それも連携をとってやらせていただいております。ともかく応急復旧に全力を挙げると、査定前でも応急復旧については工事の着手をしていただいて結構ということで今進めさせていただているところでございます。
  それからあと中越地震につきましては、これは県管理の国道でございますが、国道291 号、それから例の天然ダム、これは天然ダムと言ってはいけないんですね。これについては直轄で今やらせていただいているところでございます。
  それから新幹線のお話がございましたが、新幹線は今全力でJR東日本を中心に復旧に向けてやっているところでございますが、トンネル内がなかなか厳しい状況でございまして、もう少し時間がかかるような状況でございます。もちろんJR東日本もできる限り早く復旧したいということで全力を挙げて取り組んでおりますし、国土交通省としても専門家を派遣させていただいて、技術的な支援についてもやらせていただいているところでございます。
  あと、先ほど住宅のお話がございましたが、住宅につきましても、耐震補修に向けて今、財務省の方に要求をしておりますが、例えば、住宅ローン減税につきまして、中古住宅について築年数要件をなしにすると、ただし耐震だけ要件とするというふうな形で税制上の支援措置をしっかりととらせていただきたいというふうに今お願いしているところでございます。あと、今年非常に災害が大変多かったので、改めまして、砂防とか治水とか国土交通省所管のところにつきまして、村田防災担当大臣とも連携をとりながら、防災のあり方について、今、全面的な点検見直しをぜひやらせていただきたいということで検討をしておるところでございます。
○総務大臣 では、奈良の件については中山大臣。
○文部科学大臣 特に今年は地震だけじゃなくて台風も多かったものですから、各地からたくさんの被害の報告もとれているわけでございます。特に我が国の場合は、建造物・美術工芸品、木造のものとか、非常に脆弱な材料を使ったものが多いものですから、その対策ということになりますときめ細かな対応が必要だと、このように考えておりまして、文化庁といたしましては、国宝や重要文化財に対する災害予防措置といたしまして、建造物と美術工芸品、それぞれに対する指針を作成いたしまして、手引きとか、あるいはマニュアルをつくりまして、具体的な管理の方法等を示しているところでございます。また、文化財の補助金ということでは、国指定の文化財を対象といたしまして、防災施設の設置とか、あるいは収蔵庫の建設に対する補助事業を実施したり、あるいは被災した文化財の保存とか、修理事業に対する補助事業も行っているところでございます。今ご指摘がありましたけれども、重要文化財については、抜本的・総合的な見地から対策をとってくれという話もございました。また、所有者に対する特別な支援対策も考えてくれと、こういうようなご要望がございましたので、引き続き検討させていただきたいと考えております。
○総務大臣 補足説明、村田大臣。
○防災担当大臣 今お答えいただいた奈良県のご要望、ご質問にもかかわるんですが、私どもとしては、来年度の予算に関してテーマとして要求しておるんですが、地震対策強化プロジェクト制度というものを要求しております。これは施設の耐震化とか津波対策、先ほど申しました地震防災対策特別措置法にプラスして、地方公共団体のイニシアチブでそうした計画をつくって、それに財政的な措置を講ずると、こういう内容になっておりまして、まだ具体的な話にはなっておりませんが、一応こういうものを要求しております。そういう中で奈良県のような大変文化財の多い地域で、この中に収蔵庫等の耐震化を特にやりたいということであれば、この制度というのは、地域の自らつくる計画を尊重するという、そういう形になっておりますので、そういうことも織り込めるのではないかというふうに思いますので、ご紹介をしておきます。
○総務大臣 それでは、一通りご発言をいただいたところだと思いますので、次のテーマに行かせていただきたいと存じます。高速道路、そして新幹線関係についてご発言のある方、挙手をお願い申し上げます。静岡県、福井県。
○鈴木副知事(静岡) ありがとうございます。静岡の副知事でございますが、私から第二東名自動車道をはじめとします高速道路の整備についてお願いを申し上げたいと思います。
  高速道路は申し上げるまでもなく、国民生活、国家経済を支える国の根幹的施設でございまして、救急医療や災害時にも必要不可欠な社会基盤と考えております。
  さて、現在の東名高速道路でございますが、我が国の大動脈であるにもかかわらず、慢性的な渋滞や交通事故等により閉塞寸前の状況になっております。このようなことから、第二東名自動車道の早期整備とともに、国が定めました第二東名自動車道をはじめとした高速道路整備計画の9,342 キロを早期に整備をお願いいたしますとともに、法定予定路線でございます1万1,520 キロの整備も着実に推進していただきたいというふうに思います。
  また、高速道路整備の新しい枠組みとなっております。道路関係4公団民営化法が今年6月に成立し、来年秋には新会社が発足することになっておりますことから、新会社への移行が円滑に行われ、新会社が整備する路線が遅滞なく決定されますとともに、速やかに高速道路の整備が開始されることが求められると考えております。また、新会社が行います有料道路事業と、国が行います新直轄事業を合わせまして、従来の整備スピードを落とすことなく、着実に整備を進めて一日も早い高速道路ネットワークの完成を図るべきと考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
  以上でございます。
○総務大臣 福井県。
○西川知事(福井) 福井県でございますが、新幹線の問題についてご要請を申し上げます。
  北側大臣には、いつも新幹線問題についてご支援いただいているところでありますが、ただいま災害の議論がございました。そして新潟中越地震で新幹線史上初めて脱線事故が発生するということで、今復旧を急いでいるところでありますが、先ほど東海地震、あるいは東南海・南海地震などの議論がございましたが、こうした地域で今回の地震を上回る強さと、あるいはスケールで地震が起きますと、これは脱線とか、そういう問題で済まないわけで、日本の大動脈がそこで切断をされるということでございます。特に日本海側の北陸新幹線導入については、大きなバックアップをいただいておりますが、依然として、見通しが十分立っていないところでございます。まだ新幹線が存在しないわけでございますから、災害という議論でもないということで、何とかして北陸新幹線整備を急いでほしいと思います。現在のJR北陸線、この在来線の交通量、これがある学者のご説明では、フランスの現在の新幹線、それくらいの交通量があるようなところで、こういうところにしっかりした大動脈ができていないということは、日本国家として問題だと私は思っております。国家資金をしかるべきところへしっかり国に投入していただくことが日本の国土軸、あるいは防災を守ることだと私は思っております。これから年末にかけていろんなご議論もあろうと思いますが、福井などは何もありませんので、ぜひ着工決定をお願いしたいと、このように思っております。
○総務大臣 宮崎県。
○安藤知事(宮崎) 直前の災害関係で一言触れさせていただきますが、お礼を申し上げたいと思います。激甚災害指定ありがとうございました。それから交付税の繰上償還の交付いただきましてありがとうございます。ただ本県も750 億ぐらいの被害を受けまして、ちょっと影が薄くなっておりますが、新潟県の方本当にお気の毒でございますけれども、そういう実態がございますので、ひとつ災害対策をよろしくお願いしたいと思っております。台風の4個が影響いたしまして、まだ750 億でございますが、まだ伸びると思います。23号がまだまとまっておりませんで、よろしく対応をお願いしたいと思います。
  そこで高速自動車道関係でのお願いでございますが、静岡県の方からお話がございましたが、東九州におきましては、第二の自動車道というのは夢でございまして、まだ基本のものの整備が進んでおりませんで、東九州高速自動車道等の整備についてお願いいたしたいところでございます。
  九州における高速交通基盤につきましては、ご承知いただいていると思いますが、九州縦貫自動車道、それから新幹線の部分開通がもう既に西九州の方では整備されておりますが、本県が位置します東九州地域は、高速交通網の空白地帯というふうに我々は言っているわけでございます。お隣の大分市に車で参りますと、宮崎市から4時間半かかるお隣でございまして、自動車道ができますと2時間で結ばれる位置にございます。
  先ほど三位一体改革でも知事さんたちに意見を言っていただきましたが、私も同じ思いでございますが、地域が真に自立し、自ら考え行動する、その基盤となるものが自動車道でもあると思っております。また東九州自動車道が整備されますと九州が一体となる。一体とした発展が望めますし、我が国の発展にもつながる問題だと思っております。東九州の高速道路につきましては、必要不可欠なナショナルミニマムであるというふうに言っておるところでございます。
  中越地震でも、私ども遠くにいながら痛感いたしたところでございますが、高速自動車道といいますのは、明らかに救急医療とか、緊急物質の緊急運搬といいますしょうか、ルートとして非常に必要性が高いということがわかったところでございます。現在おかげさまで東九州自動車道も整備されていただいておりますが、一日でも早く完成をお願いいたしたいということでございます。
  以上でございます。
○総務大臣 広島県。
○藤田知事 (広島) 自動車専用道路の新直轄方式による整備についてでございます。4分の1が地方負担ということになるわけでありますけれども、政府におかれましては、その4分の1の地方負担に対して、道路特定財源の地方への譲与割合の増加や地方交付税措置による全額補てんされると国会答弁をなさっておいでになります。
  この新直轄方式の整備について、地方負担が大体年間平均500 億円程度発生するわけでございます。平成15年度には道路特定財源から約450 億円が移譲をされました。しかしながら、これが交付税特会に組み込まれたことにより、本県の場合、15年には50億円措置をしましたけれども、実際に交付税措置されたのは22億5,000 万円、45%でありました。これは平成16年度につきましては、当初補正分がございまして多少上積みをしていただきましたけれども、47.2%、依然として中央負担分の半分にも満たない額しか財源措置がなされていないといった現状にございます。本来こういった自専道、高速道路、あるいは幹線道路といったものは、国が責任をもって整備すべきものでございまして、安易に地方の負担を求めるべきではないというふうに考えております。
  したがいまして、交付税特会に組み込んだ結果、こういうことになるのであれば、その道路特定財源から振り替えられた財源をうまく実際に事業をやっている都道府県にいかに還元するか、あるいは補てんするかという方法を別の観点から考え直さなければいけないのではないかというふうに考えておりまして、ぜひ再検討をお願いしたいというお願いでございます。
○総務大臣 最後北海道。
○高橋知事(北海道) 先ほど福井県知事さんから北陸新幹線についてのお話がございました。今日長崎県の知事さんがおられませんので、長崎県の知事さんの分も含めて一緒に申し上げたいと思います。福井県、長崎県、北海道は、新幹線については、常に共同で動いてきたところでございます。北から南まで、この大動脈をぜひ整備していただきたいという思いでございますので、北側大臣はじめ関係大臣がおられます。ぜひ新幹線の未整備部分についての早期着工に向けてご高配を賜ればと思います。ありがとうございました。
○総務大臣 今の新幹線?
○堂本知事(千葉) 新幹線じゃないことに移ってよろしければ。
○総務大臣 主に新幹線か高速道路。
○堂本知事(千葉) 以外です。
○総務大臣 何です?
○堂本知事(千葉) 硫酸ピッチなんですけれども。
○総務大臣 ちょっと待ってください。堂本さん、後にしてくれる、後の方で振りますから。今までのところで国土交通大臣。
○国土交通大臣 個々的にお話はちょうだいしているところでございますので詳しくはお話をいたしませんが、第二東名に関しましても、東九州自動車道につきましても、着実にしっかり進めさせていただきたいと思っております。
  それから今、広島県知事から新直轄方式に伴う地方負担の問題でお話がございました。これは総務大臣とちょっと調整をしないといけないんですが、実を言いますと、道路譲与税、それから地方交付税、これで他の県は十分賄っているので、広島県のみが不足をするという事態になっております。これは特殊な話でございまして、これは総務大臣と一度ご相談を申し上げないといけないなというふうに考えたところでございます。また、連携をとらせていただきたいと思います。
  それから新幹線につきましては、昨日も政府与党でワーキングチームを開かせていただきまして、昨日は採算性についてご議論いただいているところでございます。北海道も福井も、そして九州につきましても、長崎につきましても、財務大臣よろしくお願いいたします。
○総務大臣 それでは次に議題に移らさせていただきたいと存じます。地域振興関係について、石川県どうぞ。
○谷本知事(石川) 地域振興と言えるかどうかあれですけれども、私は森林整備法人の分収林事業について少し申し上げたいと思います。これは昭和33年に分収林特別措置法が制定されまして、それに基づいて、戦後の荒廃の復旧でありますとか、当時は大変木材需要が旺盛であったという、それに対応する、そして山村地域の雇用にもつなげていくという、こういう拡大造林政策の一環として実施をされてきたということでありますけれども、それからもう40年以上経つわけでありますけれども、ここへまいりまして、収支見込みの前提条件である木材価格、そして人件費、そして外国産材の輸入、こういった社会経済環境が大きく変化をしてまいりました。
  特に木材価格が当時から比べますと、4分の1ぐらいに下がっておりますし、逆に人件費は5倍以上に増大をしておるということでありますし、特に外国産材の輸入割合が当時は4割弱ぐらいであったのが、もう8割ということになっています。にもかかわらず、分収林事業の収入の前提にあります分収林比率、これが事業開始当時、国会とのやりとりがあったというふうにお聞きしておりますけれども、林野庁からのガイドラインでは、平均的な伐採収穫というのを前提にしますと6対4、6割が林業公社の収入、4割が土地所有者の収入という比率が決められて、それがまだずっと続いておるということでありますので、森林整備法人の収入と、育林に有するコストの間で大きなアンバランスが実は生じておるわけであります。
  加えまして、分収林事業というのは、初期投資から資金回収まで大臣ご承知のように、これは数十年もかかる長い期間を要するわけでありますし、そして木材の伐採収入を得るまでは収入を得る方途がない。しかも、この間の間伐を含めた維持管理はすべて公社が負担をするという仕組みになっていまして、事業費の大半を実は農林漁業金融公庫などの借入に依存しておるわけでありまして、ここへまいりまして、長期借入金の金利負担が大変増えてまいりました。大変この法人の経営を苦しいものにしておるわけでありまして、我々調べたところでは、全国の森林整備法人の借入金残高が約1兆円を超えておるということでもございます。
  今、私ども含めまして、各県では、この金利負担に対する助成とか、管理運営費に対する支援なども講じておりますけれども、この法人の経営の抜本的な改善というのはなかなか難しいという状況にあるんだというふうに私は認識をしておるわけであります。
  一部の県では、既に森林整備法人の借入金の整理に県が直接乗り出すという対策が示されたというふうにお聞きをしておりますけれども、私どももぜひ本年度中にはこの分収林比率の変更なども含めた改善計画をとりまとめていければという、こういう思いがあるわけでありますけれども、各県、積極的な経営改善を行っておりますけれども、各県独自の改善策では、自ずから限界があるのではないか。
  外国産材の輸入割合が大変高くなってまいりましたし、特にここ数年の間に木材価格が急激に低落をしておるという状況があります。これはどうも一時的なものではないのではないか。我々調べますと、外国産材がプレカットの状況で輸入をされてくる。だから、どんどんどん外国産の価格が低下をする。それに引きずられているという状況があるのではないか。こういった外国産材の対応とか、こういった社会経済環境の変化に即応した分収林事業に係る制度のスキームを抜本的に見直しをする、そういう時期に来ているのではないかというふうに思うわけであります。
  そういった意味で、これはガイドラインとして数十年前に分収林比率が6対4という形で示されたわけでありますけれども、この分収林比率の見直しのためのガイドラインというのを改めて示していただく必要があるのではないかというふうに思います。そして農林漁業金融公庫の融資についても、現状に合った制度への抜本的な改正をぜひやっていただきたいというふうに思うわけであります。
  例えば、法人の既借入金の金利の一部免除とか、低利への借り換えだとか、あるいは超伐木化ということがございます。これに対応した無利子制度の創設、こういったものを少し抜本的な対策を考えていく必要があるのではないか、こんな思いがしておりますので、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
○小寺知事(群馬) 大臣、関連しまして。群馬県でございますけれども、よろしゅうございますか。
○総務大臣 はい。
○小寺知事(群馬) 今、石川県知事がおっしゃったことと全く同じことが実は関東知事会でも決議がなされておりまして、緑の日本環境にすぐれた日本、治山治水を守るためにも、この林業公社を中心とした抜本的な国策の改善をお願いしたいと。全く同様の意見でございますので、よろしくお願いします。
○総務大臣 それでは森林だけ、農林水産大臣。
○農林水産大臣 今石川県の知事さん等からお話がありましたように、林業公社は確かに当初の目論見とは全く違った方向にありまして、社会経済環境の変化、その他によって、木材価格はむしろ極端な下落をしました。当初の目論見は完全に、いわば裏目に出ているのが現状であります。
  そういう意味で、それはそれはとして今日まで、この森林整備にご努力をいただいたという、皆さんのお努力はそれなりに大変な効果を生んでいるわけでありますから、これらを我々は見捨てるわけにはいかないというのが基本的な姿勢です。特に森林所有者による整備の難しい箇所を中心として42万ヘクタールに及ぶ森林を造成してきたわけでありますが、これからは公益的機能の発揮とか、あるいは地域の雇用創出などに果たしてきた役割に対して我々がどう対応し、またどう皆さんに先行きの展望を開いていただくかということが我々の大きな課せられている課題であります。従前は、やがて木材が育った段階でこれを売って、上げた利益をこれを賄うという基本構想であったわけですが、要するに木材価格の極端な下落は、これらの構想を完全に裏目に落としているというのが現状であります。
  さはさりながら、最近いろいろ議題になっておりますように、京都議定書の二酸化炭素の吸収その他を考えまして、国際的な責務を果たすとなりますと、やはり森林の整備というのは、これからもやっていかなきゃならないわけでありますから、国家目標としては十分名分を持つわけでありますので、内容の変更その他については、これから皆さんと協議をする中に新しい展望を開きたいとは思っておりますが、ぜひ、これらについてはこれから前向きな論議をする中に先行きの展望を開きたいと、こんなふうに思っているところであります。
  以上です。
○総務大臣 その他に入らせていただきますが、硫酸ピッチの話ですね。
○堂本知事(千葉) どうしても今日発言させていただきたかった理由は、この問題は各省庁の谷間に落ちているような問題でございます。ということでぜひとも今日と思っていたものですから、フライングをいたしましたけれども。これは不正に軽油を製造するときに出てくるのが硫酸ピッチなんですけれども、非常に毒性が強い。そして千葉県で今困っておりますのは、それをあちこちに捨てる。例えば清流、川などにも捨てられるものですから、魚がプカプカ浮いてくる、そしてそこのところに大きな被害が出る、これは自然の破壊、それから人体への影響も非常に高いものです。
  ところが、この不正にこれを持つことについては、環境省が廃掃法を改正してくださったので、この10月27日から禁止されたんですけれども、問題は、製造そのものが不正なんですね。これは脱税行為なんです。ですけれども、硫酸ピッチの処理基準については環境省、それから軽油取引税については総務省、それから危険物の取扱いについては総務省というか、消防法ですね。硫酸の流通については、これは毒劇物の取扱いということで厚生労働省、それから石油の流通に関しては石油備蓄法で経済産業省、廃棄物処理その他について、犯罪としての取締りは警察庁、これだけの省庁にまたがっているものですから、抜本的な解決が今のところついていない。
  出てきたものについては、持っていれば、これは犯罪になるということになりました。しかし、製造を止めない限りこれは困ります。千葉で港に置かれたり、倉庫に置かれたりいろいろなんですが、それが今度は青森に行って、そして青森でも大変困っていらっしゃる。そしてこの間は、ついに北海道へ行きました。ということで、これは全国的にどこかで、青森県が必死になって取締りをなさったんですよね。あとでもしその状況があればあれなんですが、北海道もご一緒にやらなければならないという状況ですが、そうやって青森や北海道が厳しくすれば、また全国次々とこれは派生してきます。脱税行為で大変儲かるそうですので、これは可及速やかに各省庁協力してやっていただきたい。これが1つです。
  次にもう一つ、これは総理大臣がおられるときに申し上げつもりでおりましたことですが、少子高齢化の問題で少子化対策ですけれども、今、次世代育成の支援について、いろいろ行動計画を各都道府県、市町村でつくっておりますが、これについて、全国知事会で調査をいたしました。その結果はっきりいたしましたことが、もちろん取り組みをしなければならない。先ほど高知の副知事さんからも出たように、千葉県でも大変過疎で高齢化しているところがあるわけなんですが、そういったところでは何が何でも、それこそ結婚して人口ができるだけ流出しないことが求められています。ところが、やはり現在は、国が全国の平均像をもとに政策を今まで展開してきました。この調査の結果わかったことは、もちろん意欲はある。これは全国同じです。しかし、例えば権限、財源、そういった政策の立案について地方に移譲されていない。そのことのために十分に力が出せないということがはっきり浮き彫りになってきました。
  例えば、今必要なのは若者の就職とか、そういうことがないと地方に定着できないわけですね。ところが、労働行政は未だに中央集権、地方に分権されていません。そういう意味で、梶原会長さんがよく使われる、最近使っておられるので、私は大変注目しているんですか、単に地方分権ではない、地方自立の責任のある社会の構築ということが私は三位一体の本当に核の部分だと思っています。いかにして地域の住民の立ち上がって単に行政に頼るだけではなくて、きちんと地方自立、そして責任を持つということが権限や財源の移譲の一方で必要なことだと私ども認識をしております。
  ということで、この点についても、ぜひ地方のそういった意味での徹底した個性を出す、先ほど大臣は青森の駅とおっしゃいましたけれども、駅に個性を出すのと同じぐらいに子育てについてはそれぞれの地域の個性がございますので、そういった地方の自由度を上げるためにも、三位一体の改革をぜひお願いしたい。
  以上2点、2番目は要望に近いことでございますけれども、発言させていただきました。ありがとうございました。
○総務大臣 それでは硫酸ピッチの件につきましては、環境大臣の方から答弁させていただく前に、総務省のところに関係したところでいきますと脱税という部分が、これは儲かるんですよ、今、特に石油の値段が上がっているから。さらに増えているということは容易に想像がつくところでもありますので、これは脱税の罰則強化というのは、今年やらせていただいたところなんですが、その他今言われるように、関係省庁いろいろありますので、これはそれぞれ皆ちょっと頭の痛いところなんですが、おっしゃるように、何となくみんな自分のところじゃないというところになりますが、取り急ぎ省ということになりましょうか。環境大臣の方から、今の問題点について答弁させます。
○環境大臣 硫酸ピッチの件ですが、今思い出しましたが、昨年京都の山田知事から同等のご質問があったかと思います。今、総務大臣からもお話がありましたように、脱税関連のところで法律の強化をされて、改正地方税法ということで、脱税犯の重罰化ということが行われました。そして知事も今おっしゃいましたように、この10月からは、つい最近ですけれども、今度は改正廃棄物処理法ということで、こちらの方も直罰がいくということで、今法律的にはかなり強くして、不正を行うと、そしてまたそれがばれると、わかると大変重い、儲からないというようなシステムに持っていくような努力をさせていただいております。
  また、その処理に大変お金がかかるということでありますので、産業界からも出捐も得て、産業廃棄物適正処理推進センターの基金からバックアップをさせていただくというようなことで、うべかりし利益が失われるわけでありますから、その意味でもいろいろと関係省庁は多岐にわたりますけれども、それぞれでシステム的なこと、それからお金の面のこと、それらをうまく連携をとらせていただいて、この硫酸ピッチの対応をしっかりやっていきたいと思っております。
○堂本知事(千葉) 大臣、それは今、大臣のおっしゃった廃掃法の改正というのは、所持並びに移送に関してのことだけでございまして、今私がお願い申し上げたのは、そこは環境省でできるんです。ところが、その前段の軽油を製造することを禁止するのは、これは環境省ではなくて、むしろ、今申し上げた全部のところがかかわる。特に経済産業省なんかが石油の担当ですから、そちらが非常に重いのではないかというふうに思いますけれども、今、そういった持って歩くことについては、環境省が独自にやっていただけるのでほんとに感謝しております。その環境省以前の問題をきちんととめない限り、つくること自体が不正なんです。そこについては全然禁止されておりません。
  ということで、問題は、環境省以前の問題で、禁止しない限り、また流通します。そうすると、その流通し始めたら、流通するところについては、確かに新しい改正廃掃法が適用されるんですけれども、例えば千葉へ持ってきて見つかると、直ちにそれを北海道へ持っていくとか、長野、青森へ持っていくとか、そういう形になっているわけなので、元を断っていただきたいというのが今日のお願いでございます。
○総務大臣 中川さんいいですか。多分、今の製造の話になると経産大臣の話になるんだと思いますけれども、これは経産大臣の省で、どこでやるの? つくることは、エネルギー庁。4つか5つか全部集めて一回やらぬとどうにもならんね、多分この話は。検討します。それで返事します。
○堂本知事(千葉) はい。よろしくお願いいたします。
○総務大臣 その他、岩手県。
○増田知事(岩手) 岩手県でございます。三位一体改革のことでないことで、総務大臣にお願いするのも恐縮なんですが、大事なテレビの地上波のデジタル化の問題についてお話をさせていただきたいと思います。
  現在のテレビの地上波のアナログ放送でございますけれども、2011年の7月24日に全部デジタル化になると、こういうスケジュールで今進められているわけでございますけれども、テレビがパソコンに比べても、大変高齢者も扱いやすい、そういう特質を持っておりますし、まさしく老若男女を問わず誰もが日常的に利用できるという意味で、家庭のIT基盤の確立がこれによって進められるということですから、こうした地域情報化に果たす意味も大変大きい。我々も大変期待をしているとこういうことがございます。
  ただ一方で、2011年といいましても、その間に全部今のテレビが見えなくなるということで、放送局の方ではあまねく電波を行き渡せるために中継局がいろいろ整備されるということで、2011年までと言いながらも、期間的にはほとんど余裕ないような形で今後考えていかなければならないということであります。当然、放送事業者の自助努力でそうしたことの整備が行われて、これが前提だとは思うんですが、特にNHKは多分やるのだろうと思いますけれども、民間の放送事業者ですね。民間の放送事業者がそうしたことを全部なし得るだろうかということで、必ずしも利益が出ているキー局、放送事業者の体力と、それから中継局の整備というのは、これは地形による制約が大変大きいものですから、放送事業者の体力と、それから整備しなければいけない中継局の整備料による費用負担能力というのがパラレルでないというのが大変大きな問題だというふうに思います。
  このことによって、地域間で大きな格差が生じないように、ぜひこの点について、国に適切な対策をお願いしたい。地上デジタル化がご承知のとおり、放送と通信の融合ということが大きな特徴になっていますので、いわゆる、ブロードバンド環境整備との施策の連携も強く望まれるわけでございますが、いずれにしても、こうした分野については、まさしくこれこそ国の役割が大変大きいのではないかというふうに思っております。
  最後、もう一つこの分野について言いますと、普及促進に当たって、我々公共分野での活用というのが大事な観点だろうと思います。先ほど来いろいろ出ています災害、地震や台風などの情報伝達手段としても、通信のように個別の個々の利用者に全部これが入っていきますから、非常に利用のメリットが大きいんだと思いますので、これから様々実証実験も数多く組み込んでいくことが大事ではないか。これについても放送ということで、電波を使うものですから、国の役割が大変大きいというふうに思うわけでございます。
  そうしたことがありますので、ぜひ国において、これは今のテレビが見えなくなるということが一般家庭にこれだけ根強く深く入っている問題だけに、大変大きな問題を後で生じますので、1件でも今見えているところは全部見えるように、施策を十分に検討を進めていただきたいと思うんですが、その際には、ぜひ地方公共団体の意見も十分に聞いていただきたい。地上デジタル全国推進会議という公共団体が入っておりますそういう場もございますけれども、そうした場を十二分に活用していただいて、ぜひ公共団体の意見も十二分に聞いた上で、その整備の内容と、それからスケジュールですね。そのあたりも十二分に考えていただいた上で進めていただきたいということでございます。
○総務大臣 今の件は昨年の12月1日にいわゆる地上デジタルという放送波が東京、東海、近畿で始まって、逐次その輪が広がって、昨日静岡県がさらに広まったり、県ごとに少しずつ少しずつ、格差はあるんですけれども、広がっていったりしているところです。
  これの利用というのは、単なるテレビがきれいに見えるというだけじゃなくて、そのコンテンツの内容が、例えば、災害が今回のように新潟県の小千谷やなら小千谷、山古志なら山古志で起きたときに、少なくとも、そこで夜老人が寝ているとすると、その寝ている老人の枕元なり、居間に置いてあるテレビがいきなりボンと音響を出して、いきなり山津波です。津波です。災害です。何とかですというのを、逆に切ってあっても知らせるということは技術的に可能というものがデジタルの持っている1つの特徴なんです。
  そういった意味では、このテレビにまさるぐらい普及している通信、放送手段というのはほかにありませんし、高齢者が少なくとも、いわゆる災害が起きる5秒前に知るか知らないかで死亡率はほぼ半減とよく言われますので、そういった意味では、この話は最初は大都市が非常にという話でスタートしたんですけれども、実は独居老人を含めて、山間部の方がむしろ利用価値なり何なりは、国民保護法の観点からも大きいんじゃないかというのは、去年より今年に入ってから言われるようになり始めております。総務省としても、今の話はなるべく早くやらなければいかんと思って、2011年までにあらかたいきたいと思っているんですけれども、確かに言われるように、あと山の上のところの岩手県に二戸だ何だ、あの辺までになってくれば、まだいいところでしょうけれども、もっといくと、かなり四国よりもでかいところですからね、おたくは。そういったところに行くと、10所帯ぐらいのところはどうするんだということになれば、それは多分、ファイバーを引いて、そこのところはつながるようにするとか、いろんなことでやらないととてもいかんだろうなという感じはするんですけれども、いずれにしても、これは格差ができると対応をきちんとしなければいかぬもんだと、私どももそう認識しておりますので、もう少し、普及のスピードやら時間やらを見た上で、改めてもう一回この問題を検討させていただきたいと存じます。
○財務大臣 四国より大きくありませんね。
○総務大臣 四国より大きくありません。すみません。
○増田知事(岩手) 四国よりちょっと小さいぐらいですが、ほぼ一緒でございます。
○総務大臣 山口県。その後、秋田県、福岡県。
○潮谷知事(熊本) 熊本もです。
○二井知事(山口) 私からは地球温暖化防止策についてお願いをさせていただきたいと思います。先ほどから話がありますように、今年は全国各地で台風や集中豪雨が発生をいたしております。山口県も影が薄くなりましたが、台風16号と18号で甚大な被害を受けております。
  それから、ここ数年、瀬戸内海にナルトビエイというエイが入ってきております。これは温かい海域にしかいなかったもので、アサリを食べているわけです。したがって、山口県だけの例を言いますと、アサリがエイによって絶滅をするというような危機に瀕しているという状況に今なっているわけです。
  こういう事象というのは、地球温暖化によるというふうには言い切れないとは思いますけれども、研究発表なんかによりますと、集中豪雨とか、洪水とかというのは地球温暖化による影響があるとか、そういうことも言われておりますし、エイの例から見ると、生態系に変化が出てきているのではないか。地球温暖化の影響ではないかというようなことも危惧をいたしております。
  京都議定書も来年の2月に発行の見込みということで、温室効果ガスの排出量6%削減が義務づけられておるわけでございますけれども、現在、むしろ逆に増加傾向というようなこともありますから、これは国と地方を挙げて、また官民を挙げて取り組まなければならない大きな課題であるというふうに認識をいたしております。
  山口県の例を申し上げますと、この地球温暖化対策を地域の特色を生かして進めなければならないということで、エネルギーの地産地消ということを山口県で進めております。例えて言いますと、周南地域にソーダ工場がかなりあるわけですけれども、ソーダをつくる過程で大量の水素が発生をしております。これは副生産というふうに言っているわけですけれども、全国で最大規模の水素が発生をする。したがって、水素を燃料電池の燃料として使う実証実験を今進めておりまして、家庭用の燃料電池のコージェネーレーションシステムの実証実験を具体的に用意しております。
  それから、山口県も森林の面積が7割を占めておりますから、この間伐材とか、あるいは竹材、こういうものを使ってエネルギーとして、活用できないかという実験も今しておりまして、我が国では初めてですけれども、これをガス化して発電とか、発熱に使えないかという実験も国と共同して今進めさせていただいておるわけです。
  ただ、問題点は、こういう新たな分野の取組ですから、例えば、水素でいいますと、水素の供給システムに係る安全対策をどうしたらいいのかという、その確立の問題があります。それから、森林バイオマスの価格競争力の確保というような問題もありまして、これは地方だけではなかなかやれないという問題があるもんですから、こういう分野については、国と地方が共同でいろんな研究開発をしていくというような取組も、この地球温暖化対策では必要ではないかというふうに思っておりますので、その辺の取組の強化について、ぜひお願いをしたいと思います。
○総務大臣 寺田さんちょっと待ってね。福岡県は多分同じ話だろう?水素エネルギー、福岡県どうぞ。
○麻生知事(福岡) 問題意識は全く同じでございまして、この膨大なCO2の排出量の削減をやらなければいかぬわけですが、私どもも地球温暖化防止行動計画というのを地方でつくっておりまして、それをやっております。しかし、量的にいいますと、見るべき量をやるというのは大変なことなんですね。それでいろんなことを考えておりますけれども、その中で量的に考えて、かつ技術的、あるいは時間的に考えて、非常に大きな分野は水素エネルギーであるというふうに考えております。私どもも北九州の工業地帯を中心に鉄鋼、あるいは科学のプロセスで非常に膨大な複製水素が発生をいたしております。これをうまく使いたい。
  それからもう一つは、文部科学省のCOEで、九州大学が水素のプロジェクトでこれをやるということになっていますし、また九州大学は移転しまして、そこの新しいキャンパスを水素キャンパスということで位置づけまして、新しい大学でいろんな実証実験がどんどんできるようにしていこうというようなことがございます。
  こういう条件をうまく使いまして、今、水素戦略会議というのをつくっております。全国的に企業も参加してもらって、産学官でやっておるわけでございますけれども、これをするに当たりまして、今、山口県の知事がおっしゃったように、なかなか我々の地域だけでやるというのは難しい点もございます。情報も必要でございますので、ぜひ、こういう地域的に新エネルギーを使っていきたいという試みに対しまして、国としても積極的に理解とご支援をお願いしたいということでございます。
○総務大臣 経済産業大臣。
○経済産業大臣 今、山口、福岡の両知事さんから水素エネルギーを中心とした、いわゆる新エネ、まず経済産業省としてはエネルギー政策として極めて重要であると。新エネ、バイオ、あるいは風力、太陽電池、そして究極のクリーンエネルギーと言えるCO2の発生しない水素エネルギーは極めて大事だと思っております。
  それから、もちろん環境と経済の両立という観点からも、今おっしゃられたことは当然のことだと思っておりますので、しかもそれを自治体、地元の企業、あるいは大学が研究をされておるということに、国も一体となってといいましょうか。むしろ、それぞれの自治体が進めていらっしゃることを我々としても、さらにご支援をしてバックアップさせていただきたい。
  今もいろいろな制度はございますけれども、そういう意味で一層、我々の産業戦略、エネルギー戦略、そしてまた広い意味での環境の面からも、それから地元のある意味では振興政策にもなっていくんだろうと思いますので、水素をはじめ、それから木質系の、あるいはまた、植物系のバイオエネルギー等々についても、我々は一層重要な位置づけとして後押しをさせていただきたいと思います。
  それから、1点総務大臣、先ほどの災害関係ですが、1つだけご報告させていただきたいと思いますが、新潟の中越地震、それから台風23号につきまして、地元から大変要望の強い中小企業のセーフティネット保障、これにつきまして、財務当局にもご協力をいただきまして、ちょっと時間のかかるのが通常でございましたけれども、来週いっぱい、一週間後の金曜日に官報告示をしてセーフティネット保障をスタートさせたいと思っておりますので、台風23号関係、それから新潟県の地震についても大いに活用していただければというふうに思っております。
  以上です。
○総務大臣 環境大臣。
○環境大臣 地球温暖化問題ということで、先ほどから出ております今回の台風が続出したことも、それから山の保全の問題、そして今、ご指摘がありました新エネの開発など、これは京都議定書によって、我が国が負っている責務など、全部大きなつながりがあるわけでございます。今、山口県の方でご研究いただいております、この実証事業も一緒に国と地方と組ませてやっている1つの例かなと思っております。それぞれ地域地域で特色があるわけでございますので、そういった新エネであり、かつ地球温暖化の防止に資することについては、これからもしっかり連携をもって、そしてそれぞれがまた特色を生かして、この地球温暖化に対応していただけるように、また後押しをやらせていただきたいと思っております。
○総務大臣 秋田県知事。
○寺田知事(秋田) 食糧自給率の件で島村農林水産大臣にお聞きしたいんですが、北海道、北東北3県、岩手県、青森県、秋田県の3県と連携しながら、安定的な食糧供給県になろう。それから、安全・安心な食糧供給しようということで必死に努力しております。日本の国を50%の食糧自給率にしようとか、今度は45%とかという話も出ていますけれども、ひとつ大臣の食糧自給率の向上の熱い熱い思いを一つお聞きしたいんですけれども。
○総務大臣 島村農林水産大臣。
○農林水産大臣 お答えいたします。日本の食糧の自給率は、カロリーベースで計算しますと昭和40年は73%でした。これが昭和50年代までドーンと落ちまして、54%まで落ちて、それから50年代の10年間は1%しか下がらないという状況だったんですが、それから10年後の昭和70年に当たる平成7年に向けて、これまたドーンと下がりまして、43%まで落ちて、それが現在、10年以降ずっと40%で推移している。こういう経過です。
  この食糧の自給率というのは生産量が及ばないのではなくて、むしろ、国民の食の変化、いわば洋風化ですよね、一言で言えば。お米の食事をやめて、肉とか、油脂類に走ったと。これが非常に極端に変わりましたために、いわば自給率がドーンと落ちる結果になっているわけです。
  それで我々は、やはり自給率をある程度高めなければいけないというので、平成22年を目途として45%まで上げ得ると。今、それを鋭意取り組んでいるところなんですが、これらはもっと可能なんだと私は思います。それは、今食育という言葉が生れてきていますがが、食に対する意識がもっとしっかりしてくれば、皆さん健康な日本食を楽しむことに中に、日本の食糧の自給率は上げることでできるし、やはり、自給率をある程度持ちませんと、これは石油以上の戦略物質ですから、国家が揺さぶられるということはいつあってもおかしくないし、例えば、1973年なんかは世界的に目茶苦茶な凶作だったんです。そうすると、あんなにきれいごと言っているような各国が、みんな自国の供給に全部集中してしまって、例えば日本の市場から豆腐が4か月以上消えて、値段も4倍以上上がったとありましたね。そういうことが起きますので、我々は今の段階から、この自給率を大いに高めようというふうに考えています。
  そういう意味では、秋田県もそういうことが言えますけれども、日本の米の最大の産地10県を見ますと、平均の半分がいわば水田整備に及んでいないんですよ。5割そこそこ。例えば新潟も宮城も、あるいは岩手も50%そこそこなんです。秋田がたしか50%ちょっとぐらいですよね。こんな状況で放っておいたのではいけませんので、適地適産の意味合いも含めて、これから皆さんの地域の整備に、さらに力を入れていきたいと思っております。
○総務大臣 滋賀県知事。
○國松知事(滋賀) 滋賀県知事ですが、農林水産大臣に環境農業の直接支払い制度で一つ提案をさせていただき、またお願いをしたいと思います。
  滋賀県は日本最大の湖、琵琶湖を抱えているわけですが、これは県民の飲料水源になっているだけではなくて、京都、大阪,兵庫など近畿1,400 万人の貴重な水源になっております。そうしたことで、これをいかに守るかという中に、やはり農業生産も琵琶湖の水質の負荷にかかわっているということから、私ども農薬や化学肥料をできるだけ使わない農業をすることによって、琵琶湖をはじめ自然環境と共生する農業をつくり出していきたいと思っておりますし、また近年消費者がより安全・安心な農産物をというように、ニーズが非常に鮮明になってきておりますので、そうしたことを受けまして、私ども3年前から環境こだわり農産物認証制度をつくりまして、かつそれを条例で県ときちっと協定を結んだものについて、直接支払い制度を今年度からやっております。
  その効果もきちっと調査をしながら、農業排水の高度循環利用や農地の景観保全も含めて、この農村を守り、農業振興をしながら、消費者にも、そして琵琶湖も守ろう。こんなことでやっているわけですが、国においても今年の夏に審議会で食糧、農業、農村基本計画の中間論点整理が行われ、その中で我が国の全体についても、環境保全を留意したものに展開することが不可欠であるというようなことが述べられていたと思いますが、ぜひ、こうした問題を考えていただきたい。
  お隣の韓国では国を挙げて、そういうことをやっておられるということのようでございますので、ぜひ農業生産を環境負荷を考えた農業に転換することや、農村を守ったり、あるいは生物の多様性を配慮した農業を育てるという意味で、一定の要件を当然伴うと思いますが、行政措置を講じるというようなことで、新しい制度を国の方でつくっていただくようにお願いを申し上げます。
○総務大臣 島村農林水産大臣。
○農林水産大臣 お答えいたします。本年8月に食糧、農業、農村政策審議会の企画部会で、中間論点の整理があったところであります。この中でも農業に対する国民の信頼を得ていくためには、農業全体について環境保全を重視したものに転換する必要がある。こんな指摘があったところであります。
  実は私、就任して間もないわけですが、この話はすぐ耳に入ってきましたので、ぜひ勉強させていただきたいと思っているわけですが、ここのところ災害対策の方に追われておりまして、滋賀県選出の私どもの岩永副大臣も新潟の本部長をやって飛び歩いている。こんな状況ですので、今度ぜひ、知事さん、直にあなたからいろいろお話を教えていただいて、我々の構想の中に入れるものなら積極的に入れていきたいと。非常に関心を、興味を持っておりますので、お教えいただきたいと思います。
  具体的な問題につきましては、今また検討段階にありますので、今日、ご発言になったご趣旨は、また伝えまして、さらに検討の中に入れたいと、こう思います。
○総務大臣 熊本県。その後佐賀県。
○潮谷知事(熊本) 実は、水俣病のことですが、水俣病が公式発表されまして、これは昭和31年の5月ですけれども、約半世紀が流れようとしています。その間に1万1,000 人以上の人たちが水俣病認定申請をいたしまして、2,265 人の方々が認定をされています。このうち、既に亡くなられた方々が1,525 人という状況にありまして、本当に未曽有の悲惨な公害実態、これを示しております。
  昭和52年に実は水俣病認定基準、俗に公健法というふうに言われておりますけれども、公害健康被害保障法ができました。その後、昭和50年代になりまして、企業のチッソ、それから国、県、これを相手取りまして、多数の損害賠償請求訴訟が提起されました。そこで平成7年に政府解決策が示されております。この政府解決策に同意をなさらなかった方々が関西訴訟という形で訴訟を続けられまして、去る10月15日、私ども国、県ともに国家賠償法上の責任が確定をしたところでございます。
  この中で示されたことは、水俣病の判断条件について、これは国の所管事業でございますけれども、1つは、この公健法によって示されたあり方、これは国によって示されたあり方、それから最高裁によって示された判断、2つのダブルスタンダードで基準が示されております。
  熊本県は法定受託事務ということで、実務に当たっております。こんな中で今年の10月の31日、この公健法に基づく診断をなさるドクターたちの任期が切れる。こういう状況が出てきております。公健法の中で、ドクターたちは診断をしても、それが却下というふうになれば、これはまた再び訴訟に持ち込まれる。そうすると、司法判断の中では判例が確定をしている。こういう状況がございます。虚しさがあるということが20人のドクターたちのうち、半数の方たちが言われておりまして、実際問題としては、この水俣病の認定業務にかかわる熊本県は、非常に苦慮をしているという状況の中にあります。
  これから、私どもは国家賠償法の責任という点で、国、県がどのように責任を果たしていくのかということが1点。それから、もう一つはこの2つのダブルスンダードの中で、実態として混乱している状況があるということが2つ目。今、国の方がマスコミに対して答えていらっしゃるのは、ダブルスタンダードについてのお答えが出ております。その一方の中で、半世紀に及ぼうとする水俣病の国家賠償法にどのように国は責任を果たしていくかという課題が残っております。
  今後とも、国、県はしっかりとパートナーシップを組んで、この問題に鋭意対応していかなければならないと思います。もちろん、これまで地域振興ということで、水俣芦北の地域振興政策が進められてきておりますので、また、水俣病に関してセースティネットということで、政策上のいろんな配慮も出てきておりますが、ここに来て新たな事態が起きてきているということをぜひ皆様方にご理解いただきたい。そのように思うところでございます。
  また、来年はちょうど水俣病が公式に発見されて50年という節目を迎えるときでございますので、熊本県の実情を十分ご理解いただき、皆様方から今後とも積極的な対応策、このことを連携の上で、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
  以上でございます。ありがとうございました。
○総務大臣 環境大臣。
○環境大臣 ただいま、熊本県知事よりのお話をちょうだいいたしました。これは熊本、そして水俣という土地で起こったものではありますけれども、改めまして経済最優先でやってきた結果、どのような地域のその被害をもたらすか、それぞれ国、県の責任ということが初めて問われたものだという判決でございまして、極めて厳しく、また私自身としても大変重く受け止めてまいりたいと思います。
  現時点で今回の関西訴訟原告団から出ております要望について、今月24日の日に直接、私ども国と原告団の方とお話をする機会を設けております。また、これまでの長い長い裁判や苦しみの中にあった方々に何ができるかということを、熊本県知事とそして私ども国の方としっかりとパートナーを組ませていただいて、今後とも対応させていただこうと思っております。
  よろしくお願いします。
○総務大臣 佐賀県。
○古川知事(佐賀) まず1点目がBSEに関しまして、厚生労働副大臣もしくは食品安全ということで、ひょっとしたら棚橋大臣のご所管になるのかもしれませんが、現在、政府においてBSE対策の見直しが行われておりますが、現在行われている全頭検査というものは、この成り立ちから見ますと、もともとは科学的には必要ないと言われたものについて、党の方で、これはむしろ国民の安心感を与えるためにやるべきだというふうなことでこうなったというふうに理解をしております。そうしたものについて、今回科学的な根拠というものを背景にして、その見直しが行われようとしているわけでありますけれども、もともと今やっている全頭検査というものは、科学的な安全というよりは国民に対して安心感を与えるために行われてきているものであるとするならば、果たして国民が全頭検査をやめても安心と思うかどうかという判断をせずに、今のやり方を変えようとしている
  ことについてはいささか手続が不足しているのではないかというふうに考えております。
  佐賀県では職員が手分けをして9月にスーパーに行って、県民の方にアンケートをして、どう考えるかということをニュートラルに聞いてみました。そういうふうなものの中でも、今、全頭検査をやめるということについて非常に不安に思う声が圧倒的でございました。私は科学的な根拠、そしてきちんと特定部位を除去するという措置がされれば、それは仮にBSEにかかった牛であっても食べる部分は安全なんだろうと思っております。そういうふうにきちんと理解している人もいないわけではないですけれども、現時点でいきなりやるということはいかがなものかと考えておりまして、ぜひとも、この政策を変更するに当たっては、もともと安心というものでスタートしたものの変更でありますので、国民はこういった検査をやめても安心なんだというふうなことをきちんとコミュニケーションをとっていただきたいということをお願いしたいと思います。それが1点でございます。
  あともう一つは、これはご答弁は不要でございますが、先ほど島村農水大臣の方から、和食をもっと本来食べなくてはいけないんだというようなお話がございました。例えば、我が県下のある認可保育所においては、地産地消で和食中心のメニューを行っているところがございます。しかしながら、その和食中心のメニューをずっと供給しておりますと、厚生労働省が定めた給食の給与基準というものが満たすことができません。揚げ物なんかを入れて油を使わなければ、きちんとした認可保育所としての給食にならないというのが実態でございます。そういうことについて監査に行くと指摘をせざるを得ないという事実があります。そういったことを見直して、地域ではこういったものはいいよというふうに決めさせていただけないかというのが、この三位一体の改革の原点でございまして、そういったものができるようにすることが私たちの目指していることだということをご理解いただきたいと思います。
  併せて変な言い方になりますが、財務大臣には感謝を申し上げなければならないと思っております。大臣の7.8 兆円の削減のご発言によりまして地方六団体は結束をいたしました。その意味では非常に感謝しないといけません。また、恐らく大臣も事務当局のご説明をお聞きになっておられて、六、七割は納得されたものの、あとの三、四割は本当かなと思われたと思います。大臣は大政治家でございます。その事務当局のお話はお話としても、大臣の政治家としてのご経験で、ぜひ本当かどうかということを地元に帰っていただいて、よくよくお話を聞いていただければと思います。大臣に大きく期待申し上げまして私の発言を終わります。
○総務大臣 厚生労働副大臣。
○西厚生労働副大臣 お答えを申し上げます。元気な佐賀県の方にお答えを申し上げたいと思います。
  BSE対策のことのご質問がございました。この検査対象の見直しにつきましては、食品安全委員会が科学的見地からとりまとめたものを、私どもがその報告書を踏まえて、今後検査対象を21か月齢以上のものとするというふうに一応決めまして、それをまた再度食品安全委員会にその結論を判定していただく、こういうところまでいっております。ちょうど始まりましたのは3年前、9月でして、10月から全頭検査だと思うんですが、丸3年経ちまして、350 万頭の全頭のBSE検査をやってまいりました。その結果を踏まえて、一応、科学的合理性を重視するという観点から、このような検査対象の月齢の見直しを行ったんですが、先ほどおっしゃられたように、さはさりながら不安に思っていらっしゃる皆さんもいるということは十分存じ上げておりまして、このために、まずは不安を解消するということ、それからもう一つは生産流通体制を今すぐ切り換えたからといって、すぐには、この体制にできないということもありまして、若干のタイムラグは、当然、必要だろう、こう思っております。そんな意味もありまして、全頭検査を継続する自治体に対しましては、当分の間、国庫補助を行うという予定にしております。そして併せて先ほどご提案のありました、やはり国民の皆様に、こういう検査体制の変更が安全なものであるということをいかに知っていただくかということが一番大事なことでして、そんな意味で意見交換会をこれから徹底して開かせていただこうということで、既に11月初めから始まっているんですが、年内に37か所全国で開催をさせていただくということにしております。佐賀県さんの方も11月15日、午前福岡会場、午後佐賀会場ということで早速お伺いいたしますが、ほとんどの都道府県の皆様にもそういう意味ではご協力いただいて、まず国民の皆さんの安心、それから徐々に普及と同時にこの体制に切り換えてきたいと、こういうふうに思っております。それぞれまた、各都道府県さん、自主的にいろんな事情でご判断なさる場合もあろうかと思いますが、私どもとしてはそのことについては対応させていただきたい、こういうことでございます。
○総務大臣 農林水産大臣。
○農林水産大臣 全頭検査、なかなかよくご理解いただいているので、むしろ敬服しましたが、まさに緊急避難的に全頭検査というものをやったんですね。マスコミはかなり大げさに宣伝したといえば宣伝しましたから、アメリカの肉を食べたら途端におかしくなるような恐怖を覚えている。これをどうやったらむしろ正常な形になるかと、一番早かったのが全頭検査という緊急避難的な措置だったと思います。ただ、ご高承のとおり、例えばヨーロッパ、EUなんかに行きますと、今30か月ですよね。フランスはついこの7月まで24か月だったものが、いわば30か月の水準に合わせる。今ドイツもそういう動きをしておられるようでありますが、大体そのぐらいの感覚でみんな検査をやっているのに、日本だけが20か月で抑えるのはちょっと行き過ぎといえば行き過ぎです。ということは、言い換えれば、海外に行ったら何を食べるんですかと聞きたいぐらい日本人は今神経質になっています。しかし、これは消費者の心理としてはやむを得ないことですから、これは一日も早く正常な形で、常識的な食の安全と安心というものがどういうものなのかということを知っていただくPRが今一番求められているところじゃないか、こんなふうに考えています。
  ただ、さはさりながら、先般、新聞情報その他でアメリカとの交渉で、日本は一方的に譲ったんじゃないか。とんでもない話で、実は21、22日、この10月にやったわけですが、そのいわば局長級の協議でも、本当は2日間で済む予定だったものを、こちらはあくまで、我が国に入れるものについては我が国と同等の措置をしてほしいと。科学的知見に基づいて、あくまで安全・安心を基本に置いている我国の姿勢に合わせるのがあんた方の礼儀だと突っ張って、最終的に一日延びましたけれども、結論を得たと。こういう経過もございまして、我々はあくまで安全・安心を最低限の基本にしておりますから、ぜひ知事さんからも、そういうお披露目をいただきたいと思います。
○総務大臣 BSEの食品安全担当をしておられる棚橋大臣。
○科学技術・食品安全担当大臣 食品安全行政担当の棚橋でございます。リスク管理機関が農林水産省及び厚生労働省でございますが、私どもリスク評価機関を管理しておりますので、古川知事さんの件についてちょっとだけご答弁したいと思います。
  科学的に安全かどうか、それから国民の皆様方、消費者の皆様方が信頼していただけるかどうか、この2つのハードルをきちんと乗り越えてくれというご趣旨の話じゃないかと思います。全くおっしゃるとおりだと思っています。今、私どもは厚生労働省並びに農林水産省から10月の15日に月齢の見直しだけではなくて、それも含めて特定危険部位の除去の対策の強化も含めた諮問を受けたところでございまして、食品安全委員会で今、議論をしているところでございます。特にプリオン専門調査会で専門的に議論しております。これにつきまして、まず安全・安心対策、特に消費者の皆様方が安心していただけるのではないかというご指摘に関しては、私どもとしても、今、厚生労働副大臣からもお話がございましたが、現在、各都道府県すべてにおいて、順次意見交換会を開催できるように努めているところでございます。それから、これまでの通例によりますれば、大体諮問を受けて答申をお返しするまでに約4週間程度のパブコメにかけておりますので、こういったことも含めて、きちんと理解していただくようにしていきたいと。
  そもそも諮問の中身に関してどのような答申が出るかは、これはご承知のように、食品安全委員会で中立公正、かつ専門的にお答えをしてまいりますので、科学的に判断してまいりたいと思います。ただ、一般的には20か月以下の月齢に関しては、これは検査対象としなくていいというふうになっていると報道されておりますが、これは一部誤解がございまして、BSEが国内で発症しておおよそ3年経った9月に食品安全委員会がBSE対策について中間とりまとめをいたしましたが、このときの中身のおおよその趣旨は、第一は355 万頭を超える全頭検査を国内でやった中で、20か月齢よりも若い牛からは1頭もプリオンは検出されていない。2つ目が一番若い牛が21か月齢と23か月齢であるけれども、両方とも通常の検出量の500 分の1から1000分の1のプリオンしか検出されていない。そして検出限界よりも若い牛に関して検査をすることの意味は非常に弱いと。ただ、一方で、何か月齢以下は検出限界かということに関しては明確に中間とりまとめにではまだ申し上げておりません。そういうことも含めて、現在、諮問に関して科学的に公正中立にやってまいります。それからその答申案に関して、答申の方向が出た段階できちんと国民の皆様方からご納得いただけるような努力を最大限、パブコメや各都道府県の意見交換会も含めてやってまいりますので、また古川知事さんのご趣旨の方向にも沿って努力してまいりたいと思っております。
○総務大臣 岡山県知事。5時になりますので、岡山知事で終わらせていただきます。
○石井知事(岡山) 発言の登録をさせていただいておりますので、ちょっとお時間をすみません。
  介護保険制度の改革でございますが、ぜひ、我々地方公共団体の意見を踏まえた改革をお願いをいたしたいということでございます。私どもも利用者の半数のアンケートをいたしまして、それを踏まえて提言をさせていただいておりますが、ぜひ、そういう方向で地方の声を反映をした改革にしていただきたいということであります。1つは介護保険財政のことも大変心配でありまして、ぜひとも総合的な介護予防システムですね。その大きな施設に高齢者の方が入られますと、介護の状態がどんどん度数が上がっていくんですね。痴呆性も進んでいきます。そういう実態に鑑み、ぜひともそういうことにならないように、予防の方に特にこれから力を入れていただく。要介護の1だとか、あるいは介護支援だとか、そういったレベルの方々に、特にそういう閉じこもりの予防であるとか、あるいは外に出て足腰の筋力のトレーニングアップとか、そういったところに特に力を入れていただく対策にこれから強化をしていただきたいと思います。
  2つ目は居宅サービスにより一層力を入れていただきたい。そして地域特性に応じたサービスを提供していただく、そのことに力を入れていただきたいと思います。具体的には小規模で多機能で地域の分散した、そういう形のグループホームのような、そういう形のものに力を入れてやっていただくというようなことで、地域特性もぜひ配慮していただきたいと思っております。
  そして痴呆性の高齢者の支援対策、さらにはいわゆる高齢者虐待、最近、非常に経済的な虐待も増えてきておりますが、そういったところにも力を入れていただきたいと思っております。そして地域全体でケアしていくシステムですね。今回、包括支援センターの構想網をお示しになっておりますけれども、親族・家族のみならず、町内会とか、あるいは地域のおられる民生委員だとか、様々な福祉委員、ボランティア、みんなで総ぐるみで高齢者が住み慣れた家庭、あるいは地域で生活を続ける、そのことの支援体制ですね。ぜひ、新しいそういうシステムを前向きに検討していただくというようなことで、介護保険制度全体の改革につきまして、ぜひ、そういう前向きな新しい政策にも力を入れていただきたい。要望させていただきたいと思います。
   以上です。
○総務大臣 厚生労働副大臣。
○西厚生労働副大臣 時間も迫っておりますので、簡単にご返答を申し上げたいと思います。今、岡山県の知事さんからご要望をいただいた、まさしく地元の実情を踏まえてのお話だというふうに承りました。指摘のように、高齢者が住み慣れたところで安心して介護を受けられるシステム、これが非常に大事だというふうに思っておりまして、しかも、いろんな皆さんが一つのところで小規模でありながら、いろんな機能回復、また介護の容体を含めて運営できる施設がぜひとも必要だというふうに私どもも考えております。
  もう一つは、先ほどお話がありましたように、実態としてはだんだんと介護の段階が上がっていくという、特に初期の段階でそういうことが往々に見られるものですから、機能回復を中心とした予防体制、これをぜひともに充実させていきたい。これはまさしくそのとおりでございます。全体としては、今後障害者の皆さんをどういうふうにこの介護という世界と密着させていくかということとか、それから支払っていただく皆さんの年齢の問題等も、今後、議論としてはまだまだ押えていかなければいけないところがあるんですけれども、いずれにしても、今、知事さんからご指摘のあったようなことを踏まえて、ぜひとも来年の通常国会で5年ぶりの改正をさせていただきたい。こう考えておりますので、またどうぞよろしくお願い申し上げます。
○総務大臣 それでは、ほかにもご発言もあろうかと思いますが、5時を既に回っておりますので、時間がまいりましたので、最後に梶原会長から一言いただいて終わらせていただきたいと存じます。
○梶原全国知事会会長(岐阜) 各大臣の皆様おつき合いいただきましたありがとうございます。代表して御礼申し上げます。
  1点だけ国の関与、規制の見直しですね。財務大臣も協議の場で、これはいいことだとおっしゃっておられますけれども、各省庁の反応はほとんどゼロです。例えば、そういう余分な関与、規制をやるということは、余分の定員とか金が要るんです。そういうところを今度の査定のときに、そういう役所の予算は削ってもらいたいと思うんです。そういうことでやらないとお役人は案を出してこないですから、ぜひそういうご指導をお願いしたいと。先ほど総理から丸投げのお話が出ましたけれども、お役人に任しておくと、その案をただ丸のみしている大臣もおられぬわけじゃないような気が私はするんですよ。だから、どうか小泉内閣が丸投げ、丸のみ内閣にならないように、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
○総務大臣 それでは長時間にわたりましてまことにありがとうございました。皆様方の積極的なご意見に心から感謝を申し上げて知事会を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  
閉会

  
  

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