(委 員) 神野 直彦(会長) 佐藤 信 木内 征司
中村 玲子 松本 克夫
(説明者) 自治税務局市町村税課 課長補佐 羽白 淳
標記の件について、説明を受け、質疑応答及び意見交換を行った。
(主な内容)
〇 行政の効率化の面が前面に出ていて、国民にとっての具体的なメリットが見えてこないように思われるがどうか。
→ 具体的にどのように利用していくかについては、各省庁で検討中である。国民にとってのメリットとして添付書類の省略や利用可能な行政サービスに関するプッシュ型の情報提供が考えられる。
〇 教会税から発展した欧州の番号制度と異なり、行政の効率化を強調しすぎると、国と国民の距離が遠くなることが心配である。納税意識にも影響が出る。また、東日本大震災により家庭では節電の方向に変わってきている中で、電子化を進めるのは矛盾があるのではないか。
〇 システム構築にはどの程度経費がかかるのか。それは国の予算で行うのか。
→ 昨年6月に公表された「中間とりまとめ」において、粗々だが6000億円という試算がされている。情報連携基盤を構築する費用以外にも、各情報保有機関の既存システムの改修や情報連携基盤を経由して情報提供する際のデータのフォーマットを整える仕組みなどが必要だが、費用負担についてはまだ整理されていない。
〇 外部からのサイバー攻撃や処理件数の想定容量オーバーによるシステム障害といった課題にどう対処するのか。
→ 情報漏えい対策のため、個々の情報は各情報保有機関による分散管理を前提としている。また、情報連携を行う事務はあらかじめ法令で規定され、その処理量を前提にシステムを構築することになる。
〇 番号制度が税務分野で価値のあるものにするには、税務当局が金銭の動きを追え、確実に所得を把握できるようにする必要である。
〇 スウェーデンでは番号制度により納税者の所得把握ができるので、これにより税務当局が税額を提示し、それを納税者が確認する方法をとっており、また、所得に応じて増加する所得比例年金を採用していることから、納税者側から税額を増額する修正がなされると聞いている。イタリアも同様の取組で増収しており、シャウプ勧告のように個々の制度を有機的に結びつけ十分に機能するよう設計することが必要と考える。