令和7年度地方財政審議会(8月29日)議事要旨
日時
令和7年8月29日(金)9時55分〜11時30分
場所
地方財政審議会室
出席者
(委 員) 小西 砂千夫(会長) 古谷 ひろみ 西野 範彦 内田 明憲 星野 菜穗子
(説明者) 長野県観光スポーツ部長 高橋 寿明 山岳高原観光課長 若林 憲彦 総務部税務課長 小川 浩幸
議題
長野県法定外目的税「宿泊税」の新設について(長野県からの意見聴取)
要旨
長野県から、長野県宿泊税条例第5条第2項(2)〜(4)に係る不均一課税の考え方や市町村との調整状況などについて、意見を聴取した。
(主な内容)
(1)市町村の課税自主権との関係について
○ 長野県宿泊税条例第5条第2項(2)及び(3)について、県からは、県内のどの市町村においても県税と市町村税合計の最低税率を300円とするものであり、この税率設定については独自に宿泊税を課税する市町村と協議して同意を得ていると説明されたが、委員からは、
・ 法定外税においては、制度上、そもそも各自治体によって異なる税率が設定されることが容認されているものであること、
・ その上で、県と市町村の間で税率を合わせて設定するためには、課税自主権は各自治体が持つものであるため、県と市町村の間での調整が前提となること、
・ 本件について、独自に宿泊税を課税する市町村との間では調整ができているが、その他の市町村との間では調整ができているわけではないこと、
などを勘案すると、現在の規定では、市町村が1人1泊につき150円という水準を下回る水準で税率を設定すること、及び長野県宿泊税の免税点(6,000円)よりも高い免税点を設定することを忌避してしまい、結果として、市町村の創意工夫による法定外税の制度設計を妨げてしまう可能性は否めず、市町村の課税自主権を侵害するおそれがあるのではないか、との指摘があった。
(2)不均一課税を行う公益上の事由について
長野県宿泊税条例第5条第2項(2)及び(3)について、県からは、県全体の納税者の負担の公平性の観点から、県内のどの市町村においても県税と市町村税合計の最低税率を300円とするものであると説明されたが、委員からは、
・ 地方税法第6条では、同一自治体内において地域により異なる税率を設定することについて、公益上その他の事由に因り必要がある場合に認められるものとされており、県が説明している県全体の納税者の負担の公平性というのは、県税の中で不均一の課税をするだけの公益性がある事由なのか、
・ 県税の中での公平性を確保することが大前提であり、県全体の納税者の負担の公平性については、その前提があった上で市町村と調整すべきものなのではないか、
といった観点から、不均一課税の妥当性について、引き続き疑問が残る、との指摘があった。
(3)県の財政需要との関係について
○県からは、長野県宿泊税条例第5条第2項(2)及び(3)について、県内のどの市町村においても最低税率を300円とするものであると説明された一方で、県分の財政需要に対応する税率は150円であるとの説明があり、委員からは、当該財政需要を超えて課税を行う理由があることについて、十分な説明が行われていないとの指摘があった。
(4)免税点と非課税規定の違いについて
○市町村独自の免税点を下回る宿泊料金の宿泊については、県税を300円とする一方、市町村独自の非課税対象となる宿泊については、県税を150円とする理由について、県は免税点と非課税の規定目的の違いを理由に説明するが、委員からは、市町村独自の免税点を下回る宿泊料金の宿泊について不均一課税を行う理由は、政策的な理由からであり、実質的に両者に違いはなく、異なる税率を設定する合理的な理由の提示が十分ではないのではないか、との指摘があった。
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