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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会委員懇談会(平成26年9月17日)議事録

日時

平成26年9月17日(水)14時30分から16時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第1特別会議室

出席者

(委員)
宮内忍独立行政法人評価分科会長、有信睦弘、齋藤真哉、園田智昭の各臨時委員
(総務省行政管理局)
上村進局長、讃岐建官房審議官、竹中一人管理官、坂井憲一郎企画官、平野誠調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する各府省ヒアリング(文部科学省)
  2. その他

配布資料

資料1−1PDF 文部科学省説明資料
資料1−2PDF 文部科学省所管法人の見直し当初案整理表等

会議経過


(宮内分科会長) それでは時間になりましたので始めたいと思います。本日はお集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから独立行政法人評価分科会を開催したいと思うのですが、残念ながら本日は会議の定足数が11名のところ、6名の御出席予定と聞いておりますので、懇談会という形で議事を進めることにしたいと思います。
 それでは審議に入ります。中期目標期間終了時における平成26年度の事務事業の見直しについて、3回に分けまして今年度の見直し対象となっている12法人の見直し当初案に関する各府省ヒアリングを行います。本日は文部科学省所管1法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。それでは文部科学省所管の日本原子力研究開発機構につきましてヒアリングを行います。本日は文部科学省の田中審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。日本原子力研究開発機構の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係もありますので、20分程度で御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
(田中審議官) 文部科学省の大臣官房審議官の田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。かけて説明させていただきます。
 それではお手元に資料1−1がございますでしょうか。原子力研究開発機構の見直し当初案概要について御説明させていただきます。表紙をめくっていただきまして、目次でございますが、今日は3点御説明させていただきたいと思います。最初に、そもそも原子力機構が現在どういうものであるかということであります。それから2点目が、この見直し当初案を作るにあたりまして、現在進めております原子力機構改革の状況について御説明をさせていただきます。その上で、それを踏まえて見直し当初案について御説明をさせていただきたいと思います。
 では次のページ、3ページ目でございます。原子力機構の概要について書いてございます。原子力機構は我が国におきます原子力に関する唯一の総合的な研究開発機関という位置づけがございます。ここに書いてございますのは、今原子力機構が進めております主な事業をグループ分けしたものでございます。一番上が、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応でございます。福島原子力発電所事故に対しましては、その廃炉に関する廃止措置、あるいは環境中に放出された放射性物質を、またもとの状況に戻すような様々な技術開発といったものを機構全体として最大限に人材・研究施設を活用して、総力をあげた取組を現在展開してございます。
 2番目の大きな枠が「長期的エネルギー安全保障、地球環境問題の解決、国際競争力のある科学技術を生み出す基盤」と書いてございます。左側にございます、まず核燃料サイクルがございます。高速増殖炉サイクル技術確立に向けた研究開発では、高速増殖原型炉である「もんじゅ」の研究開発を中心とした様々な研究について取り組んでおります。また、これからの非常に大きな課題でございますが、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術の研究開発を進めてございます。
 また、右側にございますように、将来のエネルギーとして期待されております核融合エネルギーの実現に向けた研究開発、特に国際熱核融合実験炉計画「ITER」の実現を目指して様々な活動を進めております。また、加速器を使った量子ビーム技術開発、及びそれを使った様々な応用研究も進めているところでございます。
 その下でございますが、原子力の安全と平和利用を確保するための活動ということでは、大きく安全研究、核不拡散技術開発を進めております。安全研究につきましては、特に原子力規制委員会が進めております規制行政の支援といったような大きな役割もございます。
 右側、共通的科学技術基盤でございます。原子力基礎工学研究でありますとか、先端原子力科学研究といったものを進めております。これは残念ながら現状では、なかなか大学では原子炉といったものが今や非常に持ちにくい環境になってございます。そういった中で、日本の最大であり、かつ総合的な研究開発機関である原子力機構が様々なこういう原子力関係の施設を利用して、人材育成であったり基礎研究を進めるということをやっております。
 その次は、自らの施設の廃止措置。放射性廃棄物の処理・処分、そのための技術開発、あるいは研究所から出てくるような放射性廃棄物の埋設事業というようなことがございます。
 最後は安全と基盤を支える人材育成等ということで、産学官との連携、原子力機構が様々に開発してまいりました成果を用いた産学官との連携。あるいは国際協力。国内・アジア諸国等の原子力人材育成、そして原子力情報の発信というものがございます。
 次のページでございます。4ページ目。これは原子力機構が現在国内に持っている様々な研究開発拠点を図示したものでございます。中心は本部のございます茨城県の東海地区。それからその周辺にございます大洗地区、この辺りに非常にたくさんの研究施設が集積しておりますが、それ以外にも日本全国に様々な特徴を持った研究所を構えているということでございます。
 その次、5ページ目でございます。原子力機構の人員及び予算の推移でございます。原子力機構は平成17年10月1日に、旧原子力研究所と旧核燃料サイクル機構が統合して発足したものでございまして、それ以前は、その両法人を足した数字となってございます。17年10月1日発足時は4,386人の人員を抱えておりましたが、現在は3,831人ということで、トータル555人の減。13%の減という、かなり人員については削減をしてございます。予算につきましては、一時期かなり減りましたけれども、少し最近、様々な対応もありましたので、少し増えてきているところがございます。
 続きまして6ページ目でございます。ここからが原子力機構改革について御説明をさせていただきます。1番目の原子力機構改革の経緯でございます。なぜ我々が原子力機構改革を進めるに至ったかということでございます。まず「もんじゅ」での保守管理不備がございます。これは平成24年の暮れに、「もんじゅ」におきまして、保守計画に基づいた計画がきちんと行われていないということが明らかになったところでございます。それから平成25年にJ−PARCで放射性物質の漏えい事故がございました。こういったことが契機となりまして、この原子力機構に対する非常に社会的な信頼が損なわれたということがございましたので、平成25年5月28日に文部科学省に大臣を本部長とした日本原子力開発機構改革本部というものを設置いたしました。この改革本部のメンバーについては2.に書いてございますようなメンバーでございます。本部長、大臣、有識者の方々5名も構成員として入っていただいています。
 1番の2番目の丸にございますように、この改革本部におきましては、平成25年8月8日に日本原子力機構の改革の基本的方向というものについて取りまとめたところでございます。その改革の基本的方向につきましては3.に書いてございますように、大きく3つの柱が書いてございます。安全を最優先とした業務運営の考え方。それから2番目が業務の重点化。特にこれは今後の中期目標の設定にも関係してまいりますけれども、原子力機構については、今後、「東電福島第一原発事故への対応」、「原子力の安全性向上に向けた研究開発」、「原子力の基礎基盤研究と、これを支える人材育成」、「核燃料サイクルの研究開発(「もんじゅ」を中心とした研究開発)」に重点化を図るべきである、という指摘をしてございます。
 また、それと併せて量子ビーム研究及び核融合研究については、国内の他の研究機関への移管も含め、原子力機構の業務からの切り離しを検討。その他の業務についても、廃止や移管を含め抜本的に見直しということでございます。
 3点目が「もんじゅ」の運転管理体制の抜本改革ということで、特にこの改革の契機となりました「もんじゅ」につきましては、大きく3つの柱を挙げてございまして、(1)トップマネジメントによる安全確保を第一とする自立した運転管理体制、(2)が電力会社の協力の強化による運転管理体制の構築。(3)がメーカ体制の見直しによる保守管理体制の強化、こういったような方向性を出したところでございます。
 1.の3番目の丸に戻っていただきますと、その基本的な方向性を原子力機構にお示しいたしまして、それに基づいて平成25年9月26日に、原子力機構自らが改革計画を策定されて、10月1日から1年間の集中改革期間を開始されたというところでございます。
 次の7ページ目を御覧いただきたいと思います。これが改革の現状の概要でございます。先ほど申し上げましたように、文科省の改革の基本的方向を踏まえて原子力機構自らが作りました改革計画に基づいて、昨年10月から、一応今年の9月までを集中改革期間として抜本的な改革を現在実施しているというところでございます。
 内容的にはそこに大きく丸が6つ書いてございます。1つが、強い経営の確立。2つ目が職員の意識向上・業務改革。3点目、事業の重点化・合理化。4番目、安全確保・安全文化の醸成。5番目がJ−PARCの改革。6番目が「もんじゅ」の改革ということでございます。詳しくはその次から、また申し上げていきたいと思います。
 続きまして8ページ目を御覧いただきたいと思います。改革全体の現状でございます。まず最初、強い経営の確立でございます。課題としましては経営を支援する本部機能、特に理事長を中心とするトップの経営を支援する本部機能の体制構築。それから機動的な組織運営を可能とするような組織体系への再編ということがございます。取組としましては、経営を支援する機能を強化という意味では、戦略企画室、安全・核セキュリティ統括部、あるいは法務監査部といったものを本部に設置してございます。
 また2点目。重点化した事業の目的別に6つの部門に再編をして、部門長が各々執行責任を持つということで、この6つの部門に原子力機構の組織を改編しております。これ以前は様々な事業所と、様々な研究部門がマトリックス組織を持っておりまして、非常に複雑な構造体系になっておりましたが、それを非常に簡素な6つの部門に再編をしたというところでございます。
 2つ目が職員の意識向上・業務改革ということで、職員一人ひとりが改革を自らの問題と捉え、ボトムアップ的に対策を実施したところでございます。これは特に「もんじゅ」の保守点検漏れの際に、原子力規制委員会から、原子力機構については、安全文化が劣化しているのではないか、という、かなり強い御指摘を受けたところでございまして、そういう意味では、単に経営層だけではなくて、原子力機構の職員一人ひとりが安全文化というものに対して強い意識を持ってもらうということが必要だということで、こういうことを実施しております。
 具体的には、役員と職員の意見交換会、これ、計131回で、参加者全部で1,265名というのが現在やっております。これは引き続きやっているところでございます。また、全ての課室長が全職場での業務改革を実施している。それからEメール等の利用の適正化、会議の効率化等の業務の合理化・標準化も実施している。メリハリをつけた人事評価といったようなものを取り組んでございます。
 続きまして9ページ目でございます。事業の重点化・合理化でございます。先ほど申し上げましたように、我が国唯一の原子力に関する総合的研究開発機関として、果たすべき役割を再確認し、抜本的に事業の重点化・合理化を実施するというところでございまして、具体的に機構の使命として挙げたものがそこにございます。そういった重要分野に対して、取組の中にございますように、重要分野へ経営資源を重点投入するという考え方でございます。
 一つは東電福島第一原発への対応でございます。福島研究開発部門を設置した上で、人的にも25年度250人であったものが410人という形で強化をしております。また、「もんじゅ」への経営資源の投入もございます。原子力機構の中からプロパー職員40名を更に「もんじゅ」に追加投入しておりますし、また、実務経験者を22名中途採用しております。また更に、電気事業者から技術者を14名追加で支援をしていただいたり、更に他の拠点の予算を合理化して安全強化に関する予算を「もんじゅ」に追加措置をするといったようなことも実施してございます。
 それから事業の分離・移管という意味では、核融合研究開発及び量子ビーム応用研究の一部を他法人に移管する方向で現在検討を進めているところでございます。それから事業の見直しの中では、例えば東海再処理施設につきましては、これも原子力規制委員会からの御指摘も受けて、高レベル廃液のガラス固化とプルトニウム溶液の粉体化処理、これはより安全な方向に廃棄物を、あるいは燃料を処理するということで御指摘を受けているものでございますが、それについて重点化をしていくということでございます。
 また、高レベル廃棄物の処分に関する、研究する施設として、岐阜県の瑞浪、それから北海道の幌延の深地層研究施設で行っているものがございますが、それらについても必須の研究課題に絞り込んでいくということがあります。また、先端基礎科学研究についても、原子力に重点化した2分野に集約をする。更にそれ以外にやっております6施設についても廃止措置計画を策定していくというようなことをやってございます。
 続きまして10ページ目でございます。安全確保・安全文化醸成ということでは、安全最優先の意識とルール遵守の徹底ということで、総点検を実施しまして、実効的な活動に集約。あるいは理事長安全提案箱を設置して、26件の提案に対して、既に21件に対応済みである。あるいは役員による安全遵守を全拠点で行う。また、緊急措置が必要と認められる設備に対しても予算を6億円捻出して充当したということでございます。
 それからJ−PARCの改革でございます。従来の加速器の性能や概念を超えた施設に対する異常事象の発生を想定した対策の実施でございます。当然、J−PARCの放射性物質の漏えい事故に対する様々なハード、それからソフトの対策を既にとっておりまして、J−PARCについては運転を再開しているところでございます。
 続きまして11ページでございます。ここからは「もんじゅ」に関しての改革の取組でございます。「もんじゅ」については、トップマネジメントの体制構築という意味で、理事長が改革を直接指揮するために、もんじゅ安全・改革本部会議を新たに設置いたしまして、昨年10月から計36回、これは現地で行っておりますが、毎週のように現在理事長が現地に行きまして、この、もんじゅ安全・改革本部会議を主催しております。また理事長−職員直接対話も実施しております。これは「もんじゅ」にいる職員でございますけれども、計28回、計213名の職員と直接理事長が対話をしております。また、先ほどと繰り返しになりますが、経営資源の追加投入という意味では、多拠点からの異動、実務経験者の中途採用により要員を追加的に増強しているということと、安全強化に関する予算も追加措置してございます。
 組織の再編につきましては、現在原子力規制庁に保安規定の変更認可を申請、8月4日付けでしておりまして、認可が得られ次第、新しい組織に移行する予定としております。基本的な考え方は、「もんじゅ」を理事長直轄の組織として、機構全体のトップガバナンスで運営をするということ。また「もんじゅ」をスリム化しまして、運転・保守、当面の課題解決に専念する組織へ再編したい。併せて「もんじゅ」専属の支援組織を新たに設置をする。更に「もんじゅ」内の保守管理や品質保証体制を強化し、必要に応じて人員補強を予定しているというところでございます。
 12ページ目でございます。更にこれは「もんじゅ」改革の継続でございますけれども、電力会社の運転管理資本の導入という意味では、新たに「もんじゅ」の安全担当理事として電力会社の出身者を受け入れてございます。また電力会社から指導的な役割を担う技術者14名を追加的に支援を、来て、出向いただいているところでございます。更に逆に、原子力機構の職員も、電力会社の原子力発電所に5名を派遣し、様々な研修を行っているところでございます。また、メーカ・協力会社との連携強化という意味では、保守管理業務を行う協力会社を強化するために、連携して現場技術力を更に強化している。また、メーカへの保守管理業務発注を複数年の随意契約化するということで、定期検査等において計画段階からメーカの協力が得られるように改善をしているところでございます。
 更に最後に、保守管理・品質保証体制の強化がございます。「もんじゅ」については、ここが一番の問題とされているところでございまして、先ほど申しました理事長の、もんじゅ安全・改革本部のもとに、もんじゅ安全・改革小委員会、これ、更に理事長が委員長をしておりますが、設置いたしまして、機器の補修・保全計画の徹底的な確認に向けた指導あるいは進捗管理を現在続けて実施しているところでございます。
 また、改革担当理事も、「もんじゅ」に常駐するということ。また、監事、これも昨年10月にJR東日本から技術系で、鉄道の保守であったり安全管理をやっていらっしゃった経験のある方を監事に任命いたしましたので、その監事による現地確認を実施しているところでございます。更に保守管理体制を強化するとして担当所長代理を、品質保証体制強化として担当副所長を各々配置しているところでございます。
 続きまして13ページから、見直し当初案について御説明させていただきます。まず見直しの主な背景でございます。大きく3つございます。1つが、今、ずっと説明してまいりました原子力機構改革、これを基本的に次の中期目標の中に取り込んでいくということがございます。大きくは、安全を最優先とした業務運営の考え方、それから業務の重点化、それから「もんじゅ」の運転管理体制の抜本改革でございます。
 それから2点目がエネルギー基本計画、今年の4月に閣議決定されましたけれども、その中に取り上げられている様々な重点課題について原子力機構として取り組んでいくということでございます。具体的には、福島の再生・復興に向けた取組。原子力技術・人材を維持・発展。放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発の推進。核燃料サイクルの推進。特に「もんじゅ」研究計画の成果の取りまとめなど。高温ガス炉、核融合などの研究開発の推進でございます。
 それから右側に独立行政法人改革もございます。独立行政法人につきましては、今年の通常国会で独立行政法人通則法の一部が改正されまして、国立研究開発法人という類型ができましたけれども、原子力研究機構につきましても、この国立研究開発法人の類型の中に位置づけられるものでございまして、主務大臣が定める中期目標に記載すべき事項として、研究開発成果の最大化に関することを追加していく。また、目標設定についても、課題解決型の目標設定も可能ということでございます。原子力機構については、この観点でいいますと、安全の絶えざる向上を求めつつ、原子力研究開発機関として課題解決を行う組織に改めるため、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転管理体制の改革、業務の重点化など、組織体制及び業務の抜本的な改革を進めたいと考えてございます。
 続きまして14ページでございます。基本的な見直しの基本理念でございます。先ほど申し上げたことが一番上の四角の中に書いてございまして、具体的には、まず最重要項目として安全確保の徹底というものがございます。第2期までの中期目標は、業務の効率化を重視しておりましたけれども、第3期におきましては、特に組織全体として、安全を最優先として効果的に業務運営を図るということにしたいと思ってございます。
 2番目が事業の重点化でございます。第2期までの中期目標は、従来からの業務に加えまして、東京電力福島第一原子力発電所事故への対処を優先して実施するなど、経営資源と事業規模が乖離していたという状況がございますので、私どもの改革の基本的方向のもと、原子力に関する唯一の総合的研究開発機関として実施すべき業務に重点化をしたいと思ってございまして、以下の5つを挙げてございます。
 1番目が福島第一原子力発電所事故への対処に関わる研究開発。2番目が原子力の安全に関する取組と核不拡散・核セキュリティに資する活動でございます。この点につきましては、恐縮でございますが、17ページの右下に、ちょっと小さな字で※印が振ってございますが、ちょっとそこについて触れさせていただきたいと思います。
 今日御説明させていただいておりますのは文部科学省、主務省でございます文部科学省の原案ということで示させていただいておりますが、ここにつきましては、共管の省でございます原子力規制庁のほうから意見がございます。この2.の原子力の安全に関する取組と核不拡散・核セキュリティに資する活動については、原子力規制庁より、中立性・透明性の確保の観点等から、中期目標の事務及び事業名レベルで「原子力安全規制行政等への技術的支援及びそのための安全研究」を独立して記載すべき、というような意見も出されてございますので、場合によりましたら「原子力安全規制行政への技術的支援及びそのための安全研究」、それと分けて、「自らの原子力の安全性向上のための研究開発等及び核不拡散・核セキュリティに資する活動」の2つに分離するという、もう一つの案もあり得るということは申し添えたいと思います。この点につきましては、また事務的に調査していただきたいと思ってございます。
 それから戻りまして14ページ目の(2)の(3)でございまして、原子力の基礎基盤研究の推進とそれを支える人材の育成。4番目が核燃料サイクルの研究開発ということで、「もんじゅ」を中心とした研究開発。5番目が放射線廃棄物の処理・処分の研究開発でございます。更にその下にございますように、核融合等の分離・移管の検討も併せて実施をするということです。
 3番目が組織体制の再構築ということでは、第2期までの中期目標は、研究開発部門、事業所ごとのマネジメント体制で実施しておりましたが、第3期におきましてはトップマネジメントによるガバナンスの強化ということを挙げていきたいと思ってございます。
 15ページ目でございます。見直しの方向性及び基本的な考え方でございます。基本認識につきましては、これまで申し上げたとおりでございまして、改革の基本的方向に基づいて業務の重点化を図るとともに、エネルギー基本計画等に示された政府の方針に貢献をするということでございまして、2.が次期目標策定にかかる基本方針ということで、1番目、事務・事業の見直しの中では、まず最重要事項として、安全確保の徹底や安全文化の醸成に取り組むという点がございます。2番目が、エネルギー基本計画あるいは改革の基本的方向等の政府の方針のもと、原子力に関する唯一の総合的研究開発機関として実施すべき業務に重点化を図る。今の1から5につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。3番目が、独法通則法の改正を受けまして、国立研究開発法人として、研究開発成果の最大化を目指すということでございます。
 (2)の組織の見直しでございますけれども、基本的方向を踏まえまして、組織体制の構築等の原子力機構改革を実施中でございまして、それらの改革の効果を検証して、更なる見直しの必要性を検討していくと。
 併せまして(3)でございます。運営の効率化及び自立化、事業の合理化、人件費・契約等の適正化、原子力安全規制支援に係る業務の中立性及び透明性の確保・実効性の向上も図っていきたいということでございます。
 続きまして16ページ目でございます。これは第1期、第2期、それから第3期というふうに、中期目標の書き方がどういうふうに章立てが変わったかということについて記載してございます。詳しく第2期から第3期への変遷につきましては、次の17ページで御説明したいと思います。
 17ページを御覧いただきたいと思います。まず第2期、平成22年4月から現行の27年3月までの第2期と、それから27年4月以降の第3期につきまして、特にこのIの、「国民に対して提供するサービスそのほかの業務の質の向上に関する事項」につきましては、先ほど申し上げた5つの柱立てという形で取組を書いてございます。左の第2期に書いてございましたものについては,そのまま移行したものもございますし、この5つの柱立てに再配分したものもございます。それから、特に第2期にございました、3番目の量子ビームの部分ですとか、あるいは2の(3)にございます核融合、こういったものについては事業の一部の分離、移管の検討を実施するということで考えたいと思ってございます。
 一応、私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
(宮内分科会長) ありがとうございました。それではただ今御説明をいただきました日本原子力研究開発機構の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたでも御発言願います。どうぞ。
(園田臨時委員) 今、説明いただいた資料の15ページにも最重要事項と書かれているんですけれども、安全確保の徹底、安全文化の醸成ということなんですが、昨日、原子力機構大洗で放射能漏れというようなことがニュースで出ておりますし、それから今日ですか、科学研に男性が迷い込んで警備員が気付かなかったといったようなことが公になっていますが、こういったことが続きますと、どうもここで最重要事項というふうに言われましても、どれぐらい対応をされているのか。特に文科省として、そこについてどういうふうに考えられて、具体的にどのような方向性というか、見直しの工程というか、そういったものを考えられているのかというのが、かなり疑問に思わざるを得ないんですが、その点についてはいかがでしょうか。
(田中審議官) 確かにおっしゃるとおりでございまして、まだ今日とか、あるいは、そういうように原子力機構の関係の施設でトラブルがあったというようなニュースが出てございまして、それに関しましては我々も非常に遺憾でございます。先ほど申し上げましたように、昨年、もともと原子力規制委員会のほうから、安全文化が組織全体として劣化をしているのではないかという厳しい御指摘を昨年受けたわけでございまして、「もんじゅ」については、まだ保安措置命令が解除されていないという状況については、我々としても非常に遺憾な状況であるというふうに考えてございます。その上で、先ほど申し上げましたように、昨年10月から一応1年間の集中改革期間ということで、現在、原子力機構全体としての改革を進めておりますし、もう当然、その中で特に一番中心になります「もんじゅ」については、「もんじゅ」に特化したような形でも、また改革も進めているという状況にございます。
 いずれにしましても一応今年の9月、今月ですね、今月の月末でとりあえず集中改革が1年終わりますので、我々としては、その段階で1回総括をするということになると思ってございます。その段階でどこまで何が進んでいるのか。もちろん、外形的にはいろんな部分は進んでいるのは事実でございます。例えば組織の改編については今年の4月1日時点で、いろんな形での組織の改編がなされておりますし、それから、例えばトップマネジメント、あるいは様々な対話、それは先ほど申し上げたように、一個一個のことについては、実際には外形的には進んでおりますけれども、それが本当に結果としてどう表れているのか。そういった点も含めて、きちっと我々としては今月末に1回総括をして、その上で10月以降、どういう形での対応をしていくのかということについては考えていきたいと思ってございます。
(伊藤理事) 原子力機構でございます。御指摘のようなトラブルとか、核物質防護に関する規制委員会からの指摘等を受けまして、御心配をおかけしていること、お詫び申し上げたいと思います。今、田中審議官からありましたように、今回の規制庁から「もんじゅ
」について指摘を受けた安全についての事柄は、決して「もんじゅ」だけに留まる話ではなくて、原子力機構全体に対する、安全に対する意識、安全文化についての御指摘だというふうに受け止めてございまして、これまで幾つかの対応をとってきたところでございます。具体的には、トップマネジメントによる安全への重要性の認識を、職員一人ひとりに今浸透させていくということで、先ほどもございましたように、全役職員が職員との対話を通じて、安全に対するいろんな考え方を浸透させてきてございます。
 それからこの4月からでございますが、安全統括機能を強化するということで、安全それからセーフティ、セキュリティ、セーフガード、こういうのを一体となった本部組織を立ち上げまして、従来現場任せであったところにつきまして、各事業所の安全文化の劣化が進んでないかとか、そういうモニタリングですとか、それから問題があれば出ていって強く指導する、あるいはそのために必要な財源も手当するということを、この4月から始めているところでございます。
 最近の火災とか、幾つかのトラブルについては、その背景について、いろいろではございますけれども、今朝も理事長から、これらについて今一度気を引き締めるように、あるいは、いわゆる安全総点検のようなものを検討するようにという御指示をいただいているところでございますので、早急にそういう対応を進めてまいりたいと思ってございます。
 それから何よりも大事なことは、そういった事故・トラブル、マイナーなことにつきましても、迅速に社会に対して情報提供していくということが基本だというふうに考えておりますので、更にその点を徹底してまいりたいというふうに考えてございます。
(園田臨時委員) 今の御返答なんですけども、ちょっと抽象的な気がするんですね。私が伺っているのは、2つの事案なんですけれども、例えば今、情報公開を迅速にというふうにおっしゃっていましたけれども、男性が迷い込んだのは今年の2月ですよね。それで、迅速にというのは、ちょっと当たらないんじゃないかと思うんですが。
(田中審議官) はい、よろしゅうございますか。実は男性が迷い込んだ件に関しましては、これは核物質防護上の問題がございます。要するに、本来入ってもらっては困るところに入っているということになりまして、これはもう新聞に出ておりますけれども、警備員の問題がございましたので、こういうものにつきましては、ちょっといわゆる普通の事故なんかに対する情報公開とは違っておりまして、ある意味で核物質防護上脆弱であるということを示してしまうことになりますので、基本的にはこれはきちっと対応がとられた後、これも当然規制庁、規制委員会のほうから御確認を受けるわけですけれども、そうやって規制庁、規制委員会のほうで御確認を受けて、規制庁、規制委員会のほうから発表されるという段取りになってございまして、ここについては一方的に事業者のほうから発表するという性格のものではございませんので、それで、核物質防護の観点で申し上げた男性の迷い込みについては、発生したのはだいぶ早いですけれども、実際外に情報が出るのは、そういう段階になったということでございます。
(園田臨時委員) じゃあ今はもう原因とか、どういう対応をとられたかというのは、お話しいただくことはできるわけでしょうか。
(田中審議官) はい、基本的には2名の、もともと2名の警備員がいて、本来その2名の警備員がきちっと各々確認をするという前提でやらなければいけなかったんですけれども、今回の侵入については、前の警備員が見ない、よく見ていなかった、極端に言えばよそ見をしていて、入って行ったのを、後ろの警備員が、前の警備員が確認したと勘違いして、そのまま入れてしまったというような原因でございますので、今後はきちんと前と後ろで両方確認をするというようなプロセスに改めているということで、規制庁のほうから御確認いただいて、対応がとれたということでございます。
(園田臨時委員) その通してしまった人たちというのは、まだ今もその警備に関わられているんでしょうか。
(田中審議官) すみません、そこは。
(伊藤理事) いわゆる核物質防護に関わる点でございますので、具体的な人数とかの言及については差し控えさせていただきたいと思いますけれども、当時、その見過ごしてしまった人については、勤務場所を変えて、あるいはその警備会社に対しては、原子力機構からも教育訓練の徹底を改めて求めまして、引き続き警備に当たっていただいておりますけれども、今回の事案は警備会社の責任もございますけれども、原子力機構の中におきまして、2年ほど前にありました法令改正についてしっかりと下部要領を含めた警備マニュアル的なものを整備すべきところを、その点も不十分だったという点も御指摘いただいております。そういった点を含めて、改善について規制庁並びに警備当局の確認をいただいたところでございます。
(園田臨時委員) その件に関しましては、他の場所の警備についても同じように、全部チェックはされたんでしょうか。
(伊藤理事) はい。2月の事案を受けまして、私ども中で、対象となる事業種が6つございますけれども、緊急の水平点検をいたしまして、私、安全のほうも担当でございますので、直接ヒアリング、現場確認をしながら、特段問題がないところ、あるいは、1か所につきましては、やや脆弱な点ございましたので、至急検討して対応するようにという指示をしたところでございます。
 なお原子力規制庁におきまして年1回、核物質防護規定に関する検査がございますので、そういった中で、他事業所についての問題点の有無については御確認していただくことになると思います。
(園田臨時委員) もう1件なんですけれども、これは、いつ発見して、またいつ発生したのかというようなことが報道では明らかにはなってないんですけれども、そういった点については、今、話していただくことはできないんですか。
(田中審議官) 今朝の新聞に出ていた事故でございますね。
(園田臨時委員) はい。
(田中審議官) 大洗の材料試験のJMTRの非管理区域で、水漏れのような形がありまして、それが実質、放射性物質があったと。コバルトですけれども。それについては規制庁にも速やかに報告して、プレスにもまいていますね。
(伊藤理事) はい。補足しますと、そのJMTRの事案が、大洗の件が発生したのは12日金曜日でございまして、即日関係方面に連絡をすると同時にプレスアップもしてございます。報道があったというのは、再処理工場における汚染の件かと思います。そこにつきましては、管理区域内で、管理された状態で、作業員の衣服に汚染が見つかったので、中で検査したところ、バルブだったと思いますけれども、そこからの液漏れというのが確認されたということでございまして、こちらのほうは定期的に再処理工場のほうの日報という形でホームページに公開をしておるところでございます。
(園田臨時委員) 私が今伺っているのは、水たまりがあったという件ですが。
(伊藤理事) じゃあ、JMTRという、大洗の件でございます。これは金曜日に発生した事案ですが。
(園田臨時委員) それとはまた別にあったわけですか。
(伊藤理事) はい。そこについては、大きな工場でございますので、割と頻繁に小さな汚染というのは見つかってございますが、それが管理された区域で見つかったものなのか、大洗の事案のように非管理区域ということで、本来汚染されてはいけない場所で見つかったかによって、事柄の大きさ・重さが違ってございまして、大洗の件は非管理区域での汚染でございますので、法令報告ということで規制庁のほうにも報告し、また、プレスにも即日発表したところでございます。
(園田臨時委員) それとまた、今の作業員の方の話とは、また違う話になっているんですか。
(伊藤理事) はい、そうです。
(園田臨時委員) そうすると何かますますこう、いろいろな事故というか、安全上の不備というのが続いているような気がするんですが、その点文科省のほうでは、そういう現状をどういうふうに考えられていらっしゃるのでしょうか。
(伊藤理事) ちょっとすみません、再処理の件につきましては、そういう意味では汚染されたエリアの中で作業をすることで、作業をする者が、その過程において衣服等が汚染されるということは想定されている範囲でございますので、それに対して速やかに情報の公開をしてございます。こう言っちゃ悪いですけど、たまたまそれを、昨日から今日にかけて報道されたということでございます。ちょっと事柄の性質が違うということを御理解いただければと思います。
(田中審議官) 文部科学省としましては、さっき申し上げたことになるんですけれども、基本的にもちろん原子力機構、かなり多くの事業所を抱えて、様々な施設を持っておりますので、いろんなトラブルが起こってしまうということが事実でございまして、それ自身遺憾ではございますけれどもですね、現実問題としてきちっとそれが改善されていく方向になっているのかどうか。そこを今、我々注視しているところであります。もちろん、そういう意味で、1年前の、昨年の5月には、非常に問題、そういう意味では一番悪い状態でございましたので、そこから改革を去年の10月から集中的に始めて、きちっと改革の方向ができているのか、それはさっきちょっと申し上げたように、組織の改正とか、あるいは人員の補強とか、そういう意味で外形的には進んでいるのは事実でございます。その上で、実際問題として、それが結果としてどういう形で表れてくるか。そういうトラブルの数が例えばきちんと確実に減ってきてるのかどうかとかですね、そういった点をよく見て、改革の方向をもっと加速しなければいけないのか、あるいは現状のまま進めていけば、ちゃんとゴールに到達できるのか、その辺をちゃんと見たいというふうに思っているところでございます。
(園田臨時委員) 集中改革期間が9月末までですよね。そうしますと、今後評価に入ると思いますし、その後どうするのかというようなことも考えられると思うのですが、かなり押し詰まっていますので、ある程度中間的な評価はもうされているんじゃないかと思うんですけれども、そういった点についてはいかがですか。
(田中審議官) まだ中間的な評価としてやっているわけではありませんので、その、特に原子力機構改革全体のですね、そこについてはまだここで申し上げられるものはないと。
(園田臨時委員) 集中改革期間に対する何か評価みたいなものは、持たれていないんですか。
(田中審議官) ええ。まず、原子力機構改革全体について言いますと、さっき申し上げたように、外形的なところについては我々見ております。そういう意味で、外形的なところはかなり進んでいる部分が多いというふうには理解しております。ただ他方で、それが本当に結果につながらないと最終的には意味がないというものがあると思いますので。それが外形的を変えてから、いきなり結果が出るのか、あるいはもう少しやっぱり時間を見ないといけないのか、そういう点はまずあると思います。
 それから、もう1点ですね。特に「もんじゅ」が我々の中心課題でございますので、「もんじゅ」については、これ、かなり常時ウオッチするという体制を現在もとってございます。具体的には、「もんじゅ」のサイトに、文部科学省から、もんじゅ改革官、あるいはそれをサポートするスタッフを現在常駐させてございます。それで、彼らの日々の、原子力機構の様々な活動、あるいはやっている改革のプランとか、そういったものについて日々もう見ると、あるいは監督するというような状況を作っているのが、まず第1点。その上で文科省自体も、副大臣ヘッドの、もんじゅ改革のための会議を持っておりまして、これもほぼ毎週に近い形でその状況を、もんじゅ改革官あるいは原子力機構から報告を受けて、我々は状況をよく見るということは進めているところでございます。
(園田臨時委員) 「もんじゅ」は後でまた伺いますけれども、安全確保全般について、効果については、具体的な効果は今後見られてということですが、大体どれくらいの期間でそれを検証しようと考えられているのかということと、それから国民に対して、やはり皆、安全性に対してすごく心配だと思うんですね。特にこういうニュースなんか出てしまいますと。そういったものに対する説明というのを、どのようにされようとしているのかということについて、伺いたいんですけれども。
(田中審議官) 具体的にいつまでにというのを、ちょっとここでは申し上げにくいですけれども、9月が終われば、我々としてはできるだけ速やかに原子力機構のほうから、まず機構としてどういう評価をしたのかと、あるいはどういう評価をしているのか、それはきちっと聞いた上で、それで我々としての、それに対する更なる指示なり、あるいは意見といったようなものをお示ししていきたいと思いますし、それは当然外に対しても、こういう形で報告があり、それに対してどういう指示をしたのかということについては、オープンにしていきたいと思います。
(園田臨時委員) 国民に対する説明というのは。
(田中審議官) もちろん、外に対して申し上げるという意味で、国民に対しても御説明するという意味でございます。
(園田臨時委員) じゃあ、「もんじゅ」について伺いたいんですが、平成22年に一時試運転はされているわけなんですけれども、基本的には止まったままですよね。重要な業務だと思うんですが、止まっていてはやはり研究開発も進まないと思いますけれども、その点につきまして、再稼働の予定、それから再稼働に向けた文科省の役割というものを、どのようにお考えなのか伺わせていただきたいと思います。
(田中審議官) まず、「もんじゅ」につきましては、先ほどまさに先生御指摘のとおり、もともとは平成7年にナトリウム漏えい事故が起き、その後、それの対策をとって、やっと平成22年に再開したにもかかわらず、またトラブルを起こしてしまったという状況は、非常に我々としても残念であり、大変遺憾という状況でございます。
 現在、更に一昨年の保守点検漏れを受けて、昨年原子力規制庁から保安措置命令を受けているという状況でございます。そういう意味で、再稼働にいくためには、幾つものハードルがあるわけでございますけれども、そのうちの一番大きなハードルが、まず保安措置命令を解除していただくと、これがまず第1点でございます。この保安措置命令の解除につきましては、いったんは、昨年の段階で、9月それから11月にかけて、原子力機構のほうから、もともとはまず点検漏れが起きていたということが契機になっておりますので、まず点検漏れが起きていた機器については、きちんとまず点検を全部こなすと。それから、その点検漏れを起こすに至った、そのもとになっている計画ですね、点検計画のようなものですが、保全計画。それもきちっと合理的なものに修正をすると。更にそういう点検漏れが起きてしまったような体制、品質保証体制を直すという意味での保安規定を変える、この、大きく3段階、やるべきことがあるわけですけれども、その一応3つともについて、原子力規制庁のほうに報告を返して、それで検査を受けるという段階に至ったわけなんですけれども、その保安検査を受けている段階で、まだまだ全然できていないというような御指摘を受けてしまいまして、そういう意味では、もう一度、特に保全計画、それから品質保証体制の見直しを、更に規制庁の御指摘を受けて、全面的に今見直している最中ということでございます。
 特にその前段となります根本原因分析も含めて、更にやっているというところで、この辺については、もちろん原子力機構として、今全力を挙げてやっておりますけれども、当然それについて報告を出した後、更にまた規制庁のほうで確認をしていただいて、了解という状況になりませんと、この措置命令解除までいきませんので、その措置命令解除について、いつの段階、いつの時点というのは、なかなか我々としては申し上げにくいということがございます。
 それと、あと並行して、再開に至りますには、あと2つほど大きなことがございます。1点は、これも原子力規制委員会あるいは規制庁のほうで、今審査、確認を受けることになっておりますけれども、破砕帯というものがございます。これは原子力の敷地の真下に活断層があった場合、そこに原子力施設を建ててはいけないというのがございますので。高速増殖炉「もんじゅ」の下には、いわゆる破砕帯といわれている、いわゆる地層の割れ目のようなものがございますけれども、これが活断層であるのかないのかということについて、確認を受けるという必要がございます。そういったことについては、既に昨年の段階で一度規制委員会のほうから調査を受けておりまして、更に、追加で調査も要請されまして、今年の3月に一応その調査報告書も規制庁のほうにお出ししておりますけれども、それについてはまだ御確認をいただいておりませんので、それは今後確認をいただく必要があると。そこが、まず、活断層ではないということについて確認をいただく必要がまずあるということでございます。
 それからもう1点は、軽水炉については、既に新規制基準が昨年の7月でしたかに発効しておりますけれども、高速増殖炉については、多分その上乗せ部分がございますので、この辺については今後、これについても、規制委員会のほうから原子力機構のほうに対して、自分なりの考え方をちゃんと持ってきなさいという要請が去年ございましたので、これも先月、8月に、一応原子力機構のほうで委員会の報告書を取りまとめて、一応提出してございます。今後多分、規制委員会のほうで、あるいは規制庁のほうで、そういったものも参考にしながら、高速増殖炉の部分についての新規制基準の追加部分といったことを議論されると思います。
 したがいまして我々としては、まず保安措置命令を解除していただくということが第1でございますけれども、併せて、それとともに活断層の問題、それから新規制基準の問題、両方ございますので、これらを全体クリアして、その上で新規制基準に対応した形での「もんじゅ」を、申請を改めて規制委員会のほうにお出しをすると。それがまた確認を受けて、最後は地元の御了解。区域、あるいは敦賀市の運転再開に向けての御了解、こういう、かなり大きないろんなハードルございますので、できるだけこういったハードルを一個一個きちんとこなしていくということが我々の今の使命だと思ってございます。
(園田臨時委員) 昨年の8月に改革の基本的方針出されていますよね。
(田中審議官) はい。
(園田臨時委員) で、フォローアップもされているとは思うんですけれども、今おっしゃられているように、保安措置がなかなか解除にならないということなんですが、その原因とか改善等に対して、機構側とコミュニケーションというか指導というか、具体的にはかなり細かくされているんでしょうか。
(田中審議官) はい。それも先ほど申し上げたとおり、まず現場レベルで、まずは今年の4月にさっき申し上げた、もんじゅ改革委員会を置きましたけれども、今年の実は1月の後半からは、私自身が毎週「もんじゅ」に行っておりまして、2月、3月。4月からは、もう常住の、もんじゅ改革官を置きましたので、4月からは、そのもんじゅ改革官が常時見て、コミュニケーションを取り、日々、どういう形で活動が行われているかということと、日々、どういう形での改善活動をやっているのか、それから今後のいろんな対応、方策についても、いろいろ話を聞きながら、その都度いろんな助言をしているというのが、まずございます。
 その上で、そのもんじゅ改革官自らも、ほぼ毎週のように、副大臣ヘッドで会議をやっておりますので、そこに報告に来ていただいて、副大臣からまた直接いろいろ指示をするというような形で、我々としてはできるだけルーティン的に、「もんじゅ」の改革についてはウオッチをし、必要な支援も与え、あるいは指導もするというような形をとっているところでございます。
(園田臨時委員) 保安措置が解除されない大きな理由、具体的な理由というのは何だとお考えですか。
(田中審議官) そこら辺については、基本的にはまだ残念ながら品質保証体制が十分追いついていないというところに、最後は行き着くのかなと思ってございます。当初考えていたのがある意味では甘かったということなのかもしれませんけれども、昨年の報告書を出す段階で、原子力機構としては、基本的には一応こなしたというつもりであったわけですけれども、実際保安検査を受けた段階で、やっぱり例えば保全計画の中に多くのミスが見つかったというような状況がございますので、そういう意味では、そういう、100%完璧ということを言うと、また安全神話みたいになってしまうので、それは言いにくいのですけれども、本当に自信を持って大丈夫だというようなものをきちっと作り上げると。それはやっぱり組織単体として作り上げるというところについての、まだ十分な体制がとれていなかったのかなという感じはいたします。
(園田臨時委員) 多くのミスがというふうにおっしゃられていますけれども、やはりそこでミスがあるようなものを出してしまうのは、内部的なチェックがされてなかったのではないかと思うのですが、その点はいかがなんですか。
(田中審議官) それはおっしゃるとおりでございまして、それはもちろん、その点については、もう既に原子力機構の中で反省されておりますけれども、当時出したときに、必ずしも出すということとリンクしてやっていたわけではないようなんですけれども、現場レベルで再チェックの作業をやっていたという状況でございまして、それとは関係なく報告書は出していたと。実際には再チェックをやる過程で、またミスが見つかってきたということもあって、結果から見ると、再チェックをやっているにもかかわらず出してしまったではないかというような形で見られたということになりますので、そういう意味では、トップ、あるいはマネジメント層ですね。マネジメント層と現場の間に、十分なコミュニケーションが取られていなかったということがまず大きな原因として挙げられると思います。
(園田臨時委員) 機構側としては、今のはどういうふうにお考えなんですか。
(伊藤理事) 昨年の報告書を出して以降、規制庁から、引き続きまだ組織管理体制、品質保証体制が改革の途上にあるという御指摘を受けたということでございますけれども、その報告書を出すにあたって、具体的に申し上げれば、最終的な点検結果を計画に反映する過程、あるいは未点検のものを途中で精査する過程において、チェックの過程が甘かったと。一般的には品質保証体制が十分機能してなかったという指摘を受けたところでございます。
 その点は我々も真摯に受け止めて、具体的に現在、過去の実績の再点検ですとか、ああいう構成評価の確認をして、必要なものは再点検すると。その過程においては、前回犯したような品質保証上の手続きの誤りとか、チェックの甘さとかがないように、あらかじめ、そういう作業要領書を入念に作りまして、あるいはその試し作業をしながら進めているところであります。
(有信臨時委員) じゃあ、「もんじゅ」の話が出てますので「もんじゅ」関連について質問させていただきますけれども。今の、再稼働できない理由ということで、一般的に考えると、要は高速炉の安全性が確認できているかできていないかという問題と、それから高速炉の運転管理をやっている人たちが、本当に運転管理ができるのかできないのかという点と、2つあると思うんですね。今出てる問題は、ほとんど後者の問題で、つまり、高速炉を運転管理する機構そのものの、いわば品質が問われているわけですよね。それに対して、個別個別に言われていることに対応して一生懸命努力しているのは分かるんだけど、努力すればするほど何かあちこちポロポロと問題が出てきて、それで大わらわということと、それから高速炉の安全性そのものに関して言うと、運転をしない限りは、今の実験炉としての役割が果たせないということがあるので、これは再稼働をできるだけ急ぐという方向に行かなきゃいけない。にもかかわらず、いろんなところで足を取られてますし、今の破砕帯の問題とか、それから新安全基準について言っても、これは多分、耐震基準をどうするかという問題がメインだろうと思います。今度の福島の地震に対応して安全基準を変えるとすると、従来の安全基準に対して多分そういうところがメインになる。そうするとこれは機構側である程度の対応もできて、具体的な逆提案もできるということもあるというような様々なことが考えられるわけです。その中で一番重要なのは、そもそも「もんじゅ」の実験炉としての役割をどう考えているのかということですよね。一方で核燃料サイクルとの関わりもあって、実際にはトータルとして核燃料サイクルをどうしていくのか、日本の将来のエネルギー確保をどうしていくのか、こういう視点から、きちんと国民に説明をする必要がある。高速炉の安全性の問題に対しても、最初のナトリウム事故の話は、技術的に言うとばかばかしい話で、2回目はもう技術的な問題とすら言えない。いわば機構のハンドリングの問題であるというぐらいの話ですから、その辺について、実は文科省から適切に説明されているようには見えないんですよね。
 一方で、再処理施設は再処理施設で別途問題にされたりとか、国としてのトータルなエネルギー政策の一環として今の高速炉があるということについて、文科省としては、どういうふうにこれを運用していこうとしているのか、それをぜひ説明してほしい。
(田中審議官) はい。まず第1点目の運転員の問題でございますけれども、この辺については、確かに原子力研究開発機構が研究開発の機関であると。実際運転しているのも実験炉である、あるいは研究段階の炉であるということで、今までどちらかというと、やっぱりいわゆる電力会社がやられているような、商業用で運転されているような軽水炉とは、また違うような形でどうも扱われていたというふうには思っております。それがいいか悪いか別にして、ともかく扱われていたと。ただ、「もんじゅ」のように、これは発電もやりますし、これぐらい大きな炉になってきますと、これまで軽水炉でいろいろ培われてきた、特に運転とか保守とか保守管理といった点についてのノウハウ、あるいは蓄積といったようなものを導入するのが非常に大事であるというふうに我々今回の「もんじゅ」改革の基本的方向性の中の議論でも出てまいりました。したがいまして、できるだけ電力会社の様々な経験とか知恵ですとか、あるいはマネジメントのやり方といったものを「もんじゅ」の中に移植していくということを今回の中で考えた次第です。
 そのために先ほども申し上げましたが、安全担当の理事に、新しく電力会社の方に来ていただき、この方も「もんじゅ」におりますし、それから「もんじゅ」の所長代理級あるいはその下の様々な管理職クラスのところにも、電力会社の経験のある方に入ってきていただいて、できるだけ電力会社の経験を移植するということが、あるいは電力会社のやり方といったものを、できるだけ「もんじゅ」の中に取り込んでいくと。それから併せて逆に原子力機構の人を向こうに研修に出していくというようなこともやっているところでございます。
 それからさっき申し上げましたように、ただ、電力だけではなくて、全く違う視点という意味で、鉄道会社なんかの保守であるとか。
(有信臨時委員) いや、その辺の話はもう伺ってて、よく理解したつもりでいます。
(田中審議官) はい。それで、我々としては、できるだけそういう考え方が定着していく中で、少しずつ運転員の意識も今変わってきているのではないかというふうに期待しているのが、第1点です。
 それから2つ目は、高速炉そのもののことについてのお話でございました。位置づけでございます。これは、今回のエネルギー基本計画を議論する中でも、かなり議論になったところでございます。我々としては昨年の段階で、「もんじゅ」についての研究計画というのを一応まとめました。それの中では、一応大きく3つの柱を「もんじゅ」の役割として挙げてございます。1つが、高速増殖原型炉としての技術をまとめるというのが1点。これはもともとの目標です。それから2点目が、核変換のための様々な基礎データを得ていくと。これは最近話題になっていますが、高レベル廃棄物の中でも、特に超半減期の物質を燃やしていくというような機能。それから3点目が、将来的に高速炉のいろんな安全研究ですとか、安全施工上のための様々なデータを取っていくと、この大きな3つの柱をやっていくということで、この「もんじゅ」についての「もんじゅ」研究がまとめたところでして、このエネルギー基本計画の議論の中では、もちろん非常に高速増殖炉路線に対して懐疑的な方々も多いわけですけれども、まずはやっぱり、この高速増殖炉の、これは実験炉ですから、研究炉でございますので、事実をきちっとまとめると。成果としてきちっとまとめる。それは将来、エネルギー政策をどういう方向に持っていくにしろ、その判断をするために必要なものであるということで一応合意を得て、この「もんじゅ」については、きちんと再稼働に持っていくということでまとめられたというふうに理解してございます。我々としては、できるだけそれを一般の方々にも理解していただくような活動をとらなければいけないと思ってございます。
(有信臨時委員) 実証炉にはつながらないと。
(田中審議官) つながらないと申し上げてるわけではなくて、「もんじゅ」の結果をまずまとめて、その上で、実証炉につなげるべきなのか、あるいは違う路線に行くのか、これは、次のエネルギー政策上の判断ということでございます。
(有信臨時委員) いやいや、だから、それをスコープに入れないといけない。核燃料サイクル等々を含めた全体の政策が実際に一気通貫になるのかならないのかという、そういうところでバラバラになっていると、どれもこれも何かみんなおかしくなってしまう。その辺はぜひ考えて進めてほしいなということです。そうしないと、高速炉の中で、もちろん核変換等々の実験もできるかもしれないけど、もともとそれが主流ではなかったわけですよね。もともとウランの238を変換して新しい燃料を生成する。それによって核燃料サイクルを確立していきましょうという話だったわけですから、そのシナリオをどういうふうに考えていくのかというのは、できるだけ批判を避けるというのは分かるんだけど、もう少し日本の将来のエネルギー政策をどう考えていくのかという観点で説明しないと、多分国民の理解も得られない。もちろん叩かれる部分を何とか一生懸命逃げようというのは分かるんだけど、それだけでは多分、いつまでたっても同じことだという気がしますので、ぜひよろしくお願いしたいと。
 それから、「もんじゅ」から話を変えますけれども、福島対応の話と安全研究ということがありますけれども、福島に関しては、いわば、今の原状復帰のための技術開発をやりますというのがメインになっていて、安全研究っていう位置づけは実は余り明確に見えない。これも日本のエネルギー政策に関わる話で、結局福島で事故が起きたときに、それに合わせて、例えば耐震基準は変えるという方向で動いて耐震基準が変わった。でも本当にそれだけでいいのかというか、今の軽水炉の安全性をトータルで、どこがどういうふうにきちんと見ていくのかという中で、機構の位置づけをどういうふうに持っていくかというのは、多分文部科学省の役割だと思うんですよね。ただ、今までの説明を伺う限りでは、その辺のシナリオが実は余りよく見えない。
 それからもう1つは、福島の原状復帰に関しても、原子力開発機構が担うべき役割というのは実は明示的には余りよく分からない。これはやっぱり文部科学省としては、きちんと整理をして示していかないと、みんな誰が何を言っているんだか分からない。突然悪い話ばっかり聞こえてきて、凍らせようと思ったら凍らないとか、そういう話ばかり聞こえてくるわけで、これはやっぱり、国としてはトータルにどういうふうにやっていくんだということを、例えば文部科学省の観点で言えば、安全性という視点で、きちんと機構の位置づけを明確にすべきではないかと思うんですけど、どうですかね。
(田中審議官) はい。特に今、福島の点については、ありがとうございます。福島につきましては、今回原子力損害賠償支援機構が原子力損害賠償廃炉支援機構という形で業務が追加されまして、そこが国全体の研究開発について、廃炉についてですけれども、福島の廃炉に向けての研究開発の全体のプランニングをやるということになってございます。そこは、経産省だけではなくて我々も入り、あるいは原子力機構も入り、委員会を設けて、国全体の中長期の計画づくりをやります。その計画は、研究開発の計画ですけれども、全体としては中長期ロードマップという形で国全体でオーソライズされる形になります。その中で当然原子力機構がやるべき部分も入ってくるわけですけれども、原子力機構については、特に今年5月に下村文部科学大臣が福島の第一原発を訪れた際に、東京電力の関係者からも、やはりなかなか廃炉については非常に中長期的な取組で、特に基礎から応用に至る段階も、かなり英知を結集してやっていかなきゃいけないと、そういう意味で、文科省あるいは原子力機構に対する期待感もかなり強いというようなことも直接言われたということでございます。そういう意味では、さっき申し上げました、廃炉支援機構の中の研究計画の中に今後位置づけていただくということになるんですけれどもう、我々としては、原子力機構の中でも、そういう廃炉に向けた、きちっと中核になるセンターを来年にも作って、そこに原子力機構の研究者だけではなくて、特に大学であったり産業界の人たちも一緒になって結集して、その廃炉に向けての、特に中長期的な基礎、応用とか、あるいは基盤研究的なものを長くやっていくという体制を作っていく必要があるだろうと思っております。
 その上で、あともう一つは、これは経産省のほうからお金をいただいておりますけれども、すぐやらなければいけないものとして、例えばモックアップ支援施設ですとか、あるいは放射能分析施設という形で、廃炉のための作業をやるための模擬施設ですとか、それから、第一の中で出てくるいろんなデブリとか、そういったものを分析するような施設、これは既に予算としては計上されておりますので。モックアップ施設については、多分近々着工するような感じになると思いますけれど、それは福島第一の近傍において、そこはまた、産業界の方たちが、実際のいろんな適用するために、施設で使う、そういうものをちゃんと運営していくという責任も合わせております。そういうことをきちっと原子力機構それから文科省としてもやっていくための取組は必要だという認識は、十分持っているつもりでございます。
(有信臨時委員) いや、だからそれはそれでやられてるのは我々も一部は理解、聞き及んでいますけれども、そういうのを全体として、本当は分かるようにしてほしいというのはありますね。それからもう1つは、さっき、安全研究は、今の軽水炉を今後どうしていくのかということに非常に関わってくるわけで、特に今、PWRですけど、川内原発の再稼働が認められたといって、批判派はまた騒いだりしているわけですよね。何で騒がれなければいけないのか、あるいは騒がれるべきなのかというようなことについて、やはり明快にすべきです。規制庁はこれで条件満たしているから認可してますということなんだけど、そういうところが本当は、何となくすれ違っているような気がするんですよね。そういう、安全性の研究について、機構の果たすべき役割は非常に大きいと思っているんですけど、そこが何となく余り明確に見えないという点については、明確にしていくつもりはあるんですか。
(田中審議官) 先生おっしゃってるのは、多分、規制を支援するためだけではなくてということですね。
(有信臨時委員) そうそう。もちろん規制庁の技術的なバックアップをやるというのは重要で、全体の安全シナリオをきちんと説明する責任は規制庁にはあるんだろうと思うんですけれども、それが明快に説明できるような役割をきちんと機構が果たすようにすべきではないかと思います。そのために文科省として具体的なガイドをしていく必要があるのではないかというふうに思うんですけど。
(田中審議官) おっしゃるとおりだと思います。確か、私、直接出ていませんが、確か原子力委員会でも同様な議論が行われたと私聞いておりますので、ちょっと我々も、もちろん規制庁の支援部隊としての役割もありますし、それから、そこはきちんと分けて、きちんと仕事をしていかなきゃいけないと思っておりますが、それ以外に、やっぱり、もうちょっと広い観点で、おっしゃったような意味で、より安全なものにしていく、あるいは国民のいろんな信頼を得るために、いろんな形での確認をしていくような、そういった部分の研究についても力を尽くしていきたいと思います。
(有信臨時委員) 何かあれやこれや聞いて申し訳ありませんが、研究の中で、実際にかなり絞り込みをやってるという中で、前にも申し上げたんだけど、高温ガス炉を研究している意味が、なかなかよく理解できない。これだけ研究内容絞りながら、もちろん思想的に明快ならいいんだけど、結局水素製造だとか、そういう話になるのであれば、別にここでやる必要はないのじゃないかという気もしますし、それは炉型の多様化だとか将来の安全なエネルギー確保だとかいう、本当に根本的な理由があってやるんだったら、多分違うやりようもあるかもしれない。これはどうですか。
(田中審議官) 高温ガス炉につきましては、今回のエネルギー基本計画に実は明記されたんですけれども、確かに利用形態として、今までのように発電だけではなくて、熱利用というような観点があるという意味の1つ、利用の多様化の部分と、それからいわゆる固有の安全性といわれているというような部分ですね。そういったものの利点というようなものを非常に評価をされたという点と、それから、幸いまだ高温ガス炉の分野は、いわゆる高温ガス炉も、いわゆる第4世代原子炉の1つだと思いますけれどもですね、日本が非常に進んでいるというふうに言われております。一方、高温ガス炉についても、例えば中国とかですね、そういった国々で、実は積極的にやろうというような取組がだんだん出てきていると我々は聞いております。
(有信臨時委員) それは多分そのとおりだけど。
(田中審議官) そういう意味で、我々としてはまず、残念ながら高温ガス炉も、御存じのように、福島の後、ずっと止まった状況になっておりまして、現実にはまだ高温ガス炉として、当初設定した研究計画どおりの成果はまだできていないというのがございます。そういう意味では、我々としてはまずはできるだけ早く、あれも運転を再開、新規制基準はもちろん対応するんですけれども、対応した上で、運転を再開して、きちっとした成果をまとめて、もちろんそれ以降どういうふうな方向へ進んでいくかというのは、もう1度大きな政策議論としてあると思います。
(有信臨時委員) それを考えるときに、日本は確かに進んでたんですよ。だけど今は進んでない。というのは、もう現実に中国では既に、あれ確か原型炉でしたかね、もう実験炉か原型炉、ちょっと今はっきりしませんが、その段階まで来てしまっているわけで、にもかかわらず国際協力の中でやるとすれば、日本の立ち位置がどうなのか、あるいは日本のエネルギー政策、その中で、協力しながらやっていく上で、どういう観点でやるのかということをちゃんと説明してもらわないと、いろいろ応用範囲があって大丈夫、アウトプットがありますからということだけでは、これだけ重要な研究項目があって、絞り込みをやろうとしている中で、なかなか説明が難しいような気がします。
(伊藤理事) ちょっとよろしゅうございますか。今、中国の話も出ましたけれども、確かに2017年ぐらいを目途に中国では既に原型炉で実証進んでいますけれども、彼らの出力、出口温度というんですかね、ヘリウムガスの。これ、750度ぐらいで、専ら発電に使うと。世界で950度の熱を実際に取り出して連続運転した高温ガス炉というのは日本だけでございまして、そこは一日の長がございます。ただ、それにあぐらをかいていてもしょうがないので、そういったのが国際標準とかになっていけるような形で、データを今後蓄積していきたいなと思ってございます。
(有信臨時委員) だから、そこの思想を明確にしてほしいということなんですよ。はっきりと。つまり、それぞれ特徴がある。700度でもやるというからには、それなりの考え方があってやっていると思うんですよね。だからそこは明快にしてほしい。もう1つ余り明快でないのは、核融合と、これ言うとまた嫌われるんだけど、J−PARCの話です。核融合とJ−PARCの移管の方針が、どうも余りすっきりしない。一部を移管するというのが今日の御説明だったと思うんですけど、具体的にはどう考えておられるかというのを聞かせていただけますか。
(田中審議官) 具体的な業務をどこまで移管するかというのは、実はまだ内部で十分、完全に合意ができておりませんので、ちょっと今日の段階でお示しできないんですけれども、基本的には核融合については全面的に移管するというつもりでございまして、量子ビームについては、具体的にただ加速器、加速器というよりは、むしろ、実際何に使うかというところで、例えばJ−PARCなんかについて言いますと、原子力機構が今後実はいろんな核変換なんかをやる上で非常に有効なツールだと考えている部分もありますので、加速器を全面的に移管するということを必ずしも申し上げているわけではなくて、原子力機構が今回重点化します分野に密接なものは、ある部分では原子力機構に残した上で、それ以外の部分を一緒に移すということで、今、基本的な方向は考えてございます。その上で個別の施設をどういうふうに切り分けていくかというのを検討している最中でございます。
(有信臨時委員) 文部科学省として考え方を明確にしてほしいんだけど、陽子加速器を残したら、ほとんど全部残すようなものじゃないかという気がします。陽子加速器をどこがどういうふうに管理するのかという、その管理主体を明確にして、あそこでやられてる研究は、やっぱり研究者の観点からすると、かなり基礎物理に近いことをやっているわけですよね。興味もどちらかというとそちらにある。もちろん付随的に核変換ということがあり得るんだけど。だったら核変換の実験だけ、陽子加速器を借りてやるという手だってあるわけですよね。
 だから別に何が何でも切り離せと言ってるわけではありませんけど、そこら辺が何となく分かりにくい。何でじゃあ核融合は全部移管しちゃうんですか。核融合は全部移管しながら陽子加速器は手元に置いておきますっていうのは、何となく、原子力っていう観点からすると理解がしにくいですね。
(田中審議官) もちろん量子ビームで、例えば今原子力機構でやっておりますのは、J−PARCもございますけれども、それ以外に、例えば高崎研究所でやっている様々な加速器もありますし、それから関西研究所でやっているレーザー絡みのいろんな加速器研究もあると。そういったものと、あと更に播磨でもやっているものがありますけれど、実際にはかなり多様にわたっておりますので、そういう意味で、その中で、どれが残すべきで、どれは残すべきではないか。それから、それはもちろん研究との関連。それからもう1つ、我々ちょっと気にしなきゃいけませんのは、規制とかの関係もございます。あるいは敷地の問題とかですね。そういったものをきちっと整理した上で、それでちゃんと移管できるものは移管するという考え方で整理をしたいと思います。ちょっと申し訳ありません、少し時間をいただいて、そこは結論を出していきたいと思っています。
(有信臨時委員) 別にそんなにゴリゴリ言うつもりはないんだけど。播磨は播磨で、基本的にあれは理研が管理運用しているわけですよね。それを多分原研が使っているという構図になっていると理解していますけど。そういうやり方だってあるわけなんですよね。だから、その辺も含めて考えてほしい。
 それから聞き損ねている話では、「もんじゅ」にちょっと戻るんですけど、「もんじゅ」の再稼働って、さっきも申し上げましたけれども、やっぱり遅れれば遅れるほど非常に損失は増えるし、かなり厳しい状況になってデータも取れない、そういう状況で、毎年6億を超えるお金がかかるということは、ぜひ避けたいと思うんだけど、これについて、トータルとして文部科学省として、何か目標っていうか、全体の流れの中で、きちんとした方針があるかどうか。相手次第というのは、いかにも機構に任せっぱなしで、機構ができるまで待ってましょうとか、破砕帯の判断が来るまで待ってましょうというのは、やっぱり何となく他人任せのような気がするんですけど、何かスコープはあるんですか。
(田中審議官) 申し訳ありません。おっしゃるとおりで、「もんじゅ」については、確かにこういう状態が続くということ自身は非常に大きな損失だという認識は我々も非常に強く持っております。そういう意味ではできるだけ早く再稼働していくというのが大事だといのも認識としては持っております。
 ただ他方、一方で、そういう、明らかな期限ありきでやることによって、きちっと今まで提起されてきた問題点がこなされないということも、また、これはまた大きな逆の問題になります。それから、もちろん原子力機構との関係でいうと、もちろん見守っているのではなくて、我々としては、できるだけ原子力機構がきちんと改革を加速化できるような形での、単に指導するだけではなくて、もちろん必要があればサポートもすると、我々としてやることはサポートもすると、そこはもちろんやっております。
 ただ他方、今度は申請を、したがって我々としてはできるだけ早く、様々なやるべき宿題についてはきちっとやって、それはきちっと規制委員会あるいは規制庁に出すと、そこまでは我々の責任としてやれるということですが、そこから後については、これはもちろん規制委員会の御判断ですので、そこはむしろ、時間はどれだけかかるのかというのはもう分かりません。
(有信臨時委員) それはもう相手の。
(田中審議官) に、なるかと思います。
(有信臨時委員) ただその、やるべきことをやってというのは非常によく理解できるんだけど、要するに成り行きで、できたものを出すという考え方はぜひやめてほしい。つまり期限を切って、しゃかりきで、そこまでに何とかするという形で全体の努力を集中するように。企業であればそういうやり方をとるわけですね。成り行きで、できたところで製品出してたら、絶対に儲からないから倒産してしまいますよね。倒産するような運営の仕方をやってたら、いつまでたっても会社としては成り立たないというのが常識なので、そこら辺はやっぱり、機構の理事の方も来られてますけど、機構運営上は、そういうところはかなり問題だというふうに認識はしています。
(田中審議官) そこももちろんおっしゃるとおりで、そういう意味で、1年間集中改革期間を設けているというのは、この1年間の間に、できるだけいろんな形での問題点を消していくというための努力の期間というのを1年間設けていたとは思っております。
(宮内分科会長) よろしいですか。平野審議官、先ほど。手短にお願いいたします。
(平野技術統括審議官) ありがとうございます。原子力規制庁技術統括審議官の平野でございます。冒頭、田中審議官のほうから言及していただきましたけれども、この資料につきまして、原子力規制委員会からコメントあるいは意見を出させていただいております。それについてごく簡単に触れたいと思います。
 17ページ。第3期の中期計画、右側でございます。第2番目の項目に、原子力の安全に関する取組と核不拡散・核セキュリティに資する活動というのがございます。現在の文科省案では、田中審議官のお話にもありましたけれども、この中に、原子力安全規制を支える安全研究と、それから自ら、即ち事業者としての安全性向上のための研究開発と、この2つの項目が混在しております。御承知のとおり原子力規制委員会は、昨年4月より、機構の中で規制支援活動を担っております安全研究、それから防災支援部分を共管しております。原子力規制委員会の設置法に謳われている原子力利用の推進と規制の分離の理念に基づきまして、中期目標では、この安全規制の支援活動と、それから事業者としての活動、これを明確に区分して進めるべきであるというふうに我々は考えております。ぜひそういうことで、1つの項目の中に、2つが、異なった種類の安全研究が混在するということではなくて、明確に区分して、それぞれ重要な項目ですので、進めていくという方針をとっていただきたいと考えているところでございます。以上です。
(宮内分科会長) 大体よろしいでしょうか。それでは時間の都合も。あ、土井審議官どうぞ。
(土井審議官) 申し訳ありません。経済産業省、G8の関係で高速炉の実用化でございますとか、実証炉の開発方針について関与しております。それで、先ほど来「もんじゅ」や高速炉研究開発の位置づけの問題、成果の取扱いの問題などもございましたが、今年の4月のエネルギー基本計画では、米国やフランス等と国際協力を進めつつ、高速炉の研究開発に取り組むとなっておりまして、その5月には、文科省さん、当方、それからフランスの原子力エネルギー機関と、次世代の高速炉開発の共同開発について合意をして調印をしております。この調印は、総理と向こうの大統領の前で行ったのでございますけれども、それからその後、かねがね我々、5つの関係者、文科省、経産省、JAEA、それから日本電機工業会と電事連と五者が、実証炉の研究開発の仕方などについてずっと議論しておりますけれども、この5月の合意を受けて、6月には、この五者で、ある合意文書を作りまして、その次世代高速炉開発の中心となるJAEAについては、国際協力体制の充実も含め、環境整備を検討するというふうになっておりまして、私ども、現在実証炉の開発というのを日仏で共同開発すると。その中核的なJAEAについても、「もんじゅ」の運転管理体制の改革をきっちりやっていただくとしても、せっかく動力炉核燃料開発時代からずっと蓄積したFBRの研究開発の成果は、この日仏協力の実証炉の共同開発の中で、ぜひ生かしていただきたいと思っておりまして、次の5年間の中期目標ということでございますと、そういう、実証炉への成果の反映ということについても明確にしていただければというふうなのが私の希望でございます。
(伊藤理事) 会長、1点、ちょっと修正というか補正、すみません、訂正させてください。園田委員からの御質問の中で、JMTRの水たまりというか水漏れについて、金曜日と私申し上げたんですけど、事象が発生したのは、すみません、先週の木曜日でございまして、木曜日のうちにプレス発表させていただきました。失礼しました。
(宮内分科会長) それでは時間の都合もございますので、日本原子力研究開発機構の評価を、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中御協力を賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、重要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には、御対応方、何卒よろしくお願いいたします。
 それでは文部科学省の皆様方は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
 以上で本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたします。最後に事務局から報告事項がありますので、説明をお願いいたします。
(竹中管理官) はい。次の分科会の日程でございます。9月25日木曜日、13時から18時まで、厚労省関係の独立行政法人の見直しでございます。場所は、合同庁舎4号館の共用220号会議室、2階のほうになります。以上です。
(宮内分科会長) ありがとうございました。それでは以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。

以上

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