会議資料・開催案内等



郵政行政審議会 日本郵政公社経営・評価分科会議事次第



開催日時     平成18年7月27日(木)
午後2時00分から午後4時20分まで

開催場所     総務省 第1特別会議室(8階)




議事次第


  1.  開会


  2.  郵政行政局長あいさつ


  3.  審議事項等
    (1)  日本郵政公社における中期経営目標の達成に向けた平成17年度の取組に対する評価について(日本郵政公社生田総裁説明)
    (2)  日本郵政公社の平成17年度財務諸表の承認について〔総務大臣諮問第262号〕
    (3)  日本郵政公社の平成17年度業績評価について〔総務大臣諮問第263号〕
    (4)  日本郵政公社の重要な財産の貸付け及び譲渡し〔総務大臣諮問第264号〕
    (5)  郵便の業務等に関する日本郵政公社に対する措置について〔総務大臣諮問第265号〕

  4.  閉会

    * 配布資料一覧

                   資料1−1 日本郵政公社の平成17年度の財務諸表の承認及び業績評価について
      資料1−2 日本郵政公社の平成17年度の財務諸表等の概要について
      資料1−3 諮問書(総務大臣諮問第262号)
      資料1−4 諮問書(総務大臣諮問第263号)
      資料2−1 日本郵政公社の重要な財産の貸付け及び譲渡しの認可の概要について
      資料2−2 諮問書(総務大臣諮問第264号)
      資料3−1 諮問書(総務大臣諮問第265号)
      資料3−2 郵便の業務等に関する日本郵政公社に対する措置
      資料3−3 審査結果
      資料3−4 日本郵政公社法第58条第1項の規定に基づいて行った郵便の業務の状況等に関する立入検査の結果及び同法第60条第1項の規定に基づく経営改善命令について(案)







出席委員の氏名及び出席委員数


分科会長

      樋口  公啓
分科会長代理

  若杉 敬明
委員

  梶川   融
委員

  斎藤 聖美
委員

  佐野 真理子
委員

  田尻 嗣夫
委員

  森下 洋一
委員

  吉野 直行
委員   米澤 康博


                           出席委員数 9名







出席した関係職員の所属・氏名


郵政行政局長

須田  和博
郵政行政局総務課総合企画室長

鈴木 信也
郵政行政局郵便企画課長

佐藤 克彦
郵政行政局郵便企画課国際企画室長

中野 正康
郵政行政局貯金企画課長(併)保険企画課長         

淵江   淳
郵政行政局保険企画課保険計理監理官

土屋 光弘
郵政行政局検査監理官



大高 光三
日本郵政公社総裁


生田 正治
( 事務局 )
郵政行政局総務課長

原口

亮介







審議内容


開会

○原口総務課長 審議に入ります前に事務局から2点ご報告がございます。
 1点目は、本日はテレビカメラが入っております。審議に入る前にはご退出いただくことになっておりますので、ご了承いただきたいと思います。
 2点目でございますが、去る7月21日、当省の人事異動がございました。この異動により交代した者につきまして、順次、自己紹介させていただきます。
○須田郵政行政局長 郵政行政局長を拝命いたしました須田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○大高検査監理官 このたび検査監理官を命ぜられました大高でございます。よろしくお願いいたします。
○原口総務課長 それでは、分科会長、よろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 樋口でございます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから郵政行政審議会第10回日本郵政公社経営・評価分科会を開催いたします。
 本日は、委員15名中9名がご出席でございますので定足数を満たしております。
 まず初めに、新しくご就任になりました須田郵政行政局長からごあいさつをいただきたいと思います。局長、よろしくお願いいたします。
○須田郵政行政局長 改めまして7月21日付で郵政行政局長を拝命いたしました須田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆様におかれましては、平素より郵政行政に対しまして、ご理解、ご支援いただきまして、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
 また、本日はお忙しい中、第10回日本郵政公社経営・評価分科会にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 郵政民営化でございますけれども、ご案内のように、この1月に準備企画会社が発足いたしまして、さらに今月末には承継計画に関します実施計画の骨格が提出されることになっているところでございます。そういった意味で、これからの1年有余か月は法律が目指しております来年10月の民営化に向けまして着実かつ円滑な準備を進めていく非常に大切な時期だと思っております。そうした意味で、私ども行政といたしましても、できるだけそうした円滑な民営化が進むよう、お手伝いできるものを一生懸命探していきたいと思っております。また、それによりまして、国民の皆様方がほんとうに喜んでいただけるような形での民営化が実現するように望んでいるところでございます。
 また、そういった意味で、民営化を成功させるためには、何よりも現在の日本郵政公社の経営基盤の強化とサービスの維持向上が大切だと思っておりますけれども、その意味で、この分科会におかれまして、まさにその核となる分野につきましてご審議をいただいているということを承知しております。ぜひ今後ともよろしく、ご支援、ご協力をお願いしたいと思います。
 簡単でございますけれども、私のごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。議事次第によりますと、本日の審議事項等は5件ございます。まず、日本郵政公社生田総裁から、公社における中期経営目標の達成に向けた平成17年度の取組みに対する評価につきまして説明を受けることといたしております。
 それでは、生田総裁、よろしくお願い申し上げます。
○生田日本郵政公社総裁 日本郵政公社の生田でございます。暑い中、委員の皆様方、郵政事業のためにお集まりいただきまして、いろいろご尽力いただくことにまず感謝申し上げます。
 大変率直に申しまして、3事業とも大変厳しい経営状況下にあると思います。民営化を控えまして、公社でやらなければならないことに取り組んでいるわけでありますが、大きく分けると2つあります。1つは、民営化しようがしまいが、公社としてやらなければならないことをやり遂げることがいい民営化にすなわちつながるわけでありますが、中期経営計画とかアクションプランといったものに照らしまして、やるべき改革と業績の改善というのをまず中心にやります。それと同時に、民営化が決まりましたので、民営化対応の準備をする、いい民営化につながるようにする。この2つをやっておりますのは実は限られた人数でございます。たくさん人数がいるように見えますけれども、こういうことをやる人間はそうたくさんいませんので、かなり過密なダイヤをこなしているということであります。
 あと、部門別に簡単に申し上げますと、郵便は5,800億の債務超過、それからP/L上は毎年赤字構造というところで公社化したわけでありますけれども、幸い初年度に263億、2年目で283億という黒字を辛うじて出したんです。それで債務超過を540億ぐらいは消したんですけれども、まだ5,200億を超える債務超過があります。17年度は実は26億しかプラスが出なかった。これはわかりやすくぞうきんに例えれば、まだかなり絞れる状態にあるのを2年続けて絞ったら、3年目はほとんど乾いてきているということを意味しているわけでありまして、入り口から取り組んではいるのでありますが、より本格的な構造改革をしていかなければならないと、まさにその瀬戸際にあるということを示していると思います。26億というのは、いわばゼロということです。2兆近い1兆9,000億の売り上げですから、こんなものではいけないとかたくいましめております。
 その1つは、いろいろな合理化をやりまして、商品の品質もアップし、大変改善をしてきているので、他の条件にして等しければ、もっともっと利益が出るはずなんですけど、一つは、労働マーケットの逼迫ですね。非常に労働集約的な産業になっていますから、約12万の、1人1日8時間換算で12万人の臨時雇用をしているわけでありますが、これがかなり上がっております。そういった意味で多少の改善というものは、そちらのほうに吸収されるというのが今の現状でございまして、大きな課題と考えております。郵便の収支関係は、紙の上に出ていると思いますので詳しくは申しません。
 課題は郵便の経営管理体制の強化ということで、JPSという言葉をおわかりいただけますでしょうか。前もご説明いたしましたが、これはトヨタのチームに入ってもらってやっている集配区分の生産性向上であります。これも数字的には生産性向上の効果は20%を超えて、1,000局以上で出てきているんですけれども、お金に換算すると何百億軽減できたというところにはなかなか結びつかないという現状でありまして、それをどうやって脱していくかということと就労体制管理ということをやっていこうと思っております。
 それから、商品別の採算性の検証、収支相償う商品性になっているのかということをダイレクトメール等、それぞれのところの商品につきましては、今の新しいコスティング、市場におけるコストの体制に照らしての商品性の再点検に入っているということでございます。
 黒字構造への転換、これは要するに非競争分野の通常郵便物のところは、どうしてもeメールに押されて、年間4〜5%減ります。これはどの国でも共通です。したがいまして、それ以外の競争分野でということはダイレクトメールとか、国際とか、ゆうパックで伸ばしていく以外はないわけでありまして、公社スタートまでは売り上げ比率が非競争分野9、競争分野1だったんですが、これを何とか大幅に変えていかない限り、売り上げは毎年大幅に減るわけですから将来がないということで努力をしておりまして、現在、8対2まで持ってきています。多分これが6対4ぐらいまでいけたときに本格的な黒字構造への転換が可能なのではないかなという感じでおりまして、これは民営化後の課題になると思います。
 その競争分野の1つとしてゆうパックがあるわけでありますが、5.7%のマーケットシェア。見るも無残に民間にシェアを持っていかれまして5.7%だったわけでありますが、今やっと8%を超えるところまで回復してきているということであります。
 付加価値をつけるということで、トータルサービスを提供しようということで大丸さんとジョイントベンチャーでJPロジサービスという会社をつくりまして、いろいろな配送の根っこからの仕事をお客様にかわってやる事業も始めておりますし、同じようにトータルサービスということで三菱UFJ信託とジョイントベンチャーでJPビズメールということで、ダイレクトメールの企画から印刷、封筒に入れる、配達、一貫性を全部やらせていただくということも立ち上げて収益の改善に努めております。
 この4月から、国際に関しては民営化前倒しで進出がやっと可能になりまして、外国勢にやらせっぱなしだった分野にできるようになりました。とりあえずは今、全日空と新たなジョイントベンチャーをつくりまして、うちが33.3%、3分の1のシェアを持ちましてジョイントベンチャーが立ち上がっております。とりあえずは3機でスタートいたしまして、上海直行便から始まるわけでありますが、次第に8機、9機、10機と二、三年のうちに充実していくつもりでおりまして、これは国際郵便及び国際パーセルに利用していこう、EMSに利用していこうと思っております。
 TNTと提携しようという話で交渉を2年間やっていたんですが、これは日本から出る、日本へ入るというものに限りまして高ブランド、共通ブランドを創造的につくる、クリエートしていく、5050の立場で物事を考えていくということで2年間きたのでありますが、最後のいよいよ調印をするという1か月前の3月に入りましてから、突如、先方が交渉の条件を変えてまいりまして、日本からだけじゃなくて、全アジアをカバーするという条件がついてまいりました。我々、まだ日本もできていないので、アジア全部と言われましても、要員も含めまして、これは対応能力がないということと、4大インテグレーターの中で、TNTだけが実はヨーロッパ大陸の中を飛ぶ小型飛行機2030機しかなくて、他のフェデックスとかUPSとかDHL600機〜700機持っているんです。
 いよいよ飛行機を持つ分野に出ていくので、それの割り勘要員になってくれというのが3月に入ってから突如出てまいりましたので、これは偏り過ぎるといいますか、不公正な交渉方法であると私は考えました。もとに戻せと言ったら、あなたは国会や政府にコミットしているから4月の第1週には調印して発表しなければいけないんでしょうという足元を見るような交渉をしてきましたので、それは私が政府にごめんなさいと言えば済むことで、そのために事業を犠牲にする気は毛頭ないということで、もとへ戻すことを迫ったんですけれども、正直、衣を脱いできた後は衣をもう一遍着ることは難しかったんだと思います。向こうの社長も来ましたけれども、その条件は撤回せずで御破算にしました。
 だけど、高ブランドでやるというのは、大きいやつが4つあって、一番最後のやつだから一応は考えたんだと思うんですけれども、上の3つは人さまと組んでジョイントベンチャーでというほどではないと思います。完全にでき上っていますからね。だから、今考え始めておりますのは、TNTも排除せずに加えながら、どこと組んで下駄がわりにそこのサービスを利用しながら、我々自身のビジネスを伸ばせるかということの比較検討に今入っているという状況でございます。
 それから、北京事務所を開設いたしました。これが郵便であります。
 貯金は資金がどんどん減っております。残高が17年度期首は214兆だったんですが、期末に200兆を切りまして、今、190兆に向かっています。これはたしか公社化のときは230兆ぐらいあったはずなんですが、これはあまりあわてることはないわけで、バブルの崩壊の後に市中の民間機関が足元が非常にぐらついて危険と見たんでしょう。お客様の預金が郵貯、簡保に集中しました。またたく間に倍ぐらいの資金になっていたのが、今は金融市場の正常化によって市場に戻っているという現象と考えておりますので、私は健全なうちであろうと思っております。それにしましても、想定よりは少し速いスピードで減っておりますが、まあ、これは大きく心配することはないと思っております。
 そういったスリム化が進む中で、1.9兆円の利益を計上いたしましたが、そのうち金銭信託運用益、株価に連動したものが1.2兆ありましたし、逆に民営化対応経費で、日本郵政株式会社の資本金3,000億は政府が出したことになっていますが、B/S上は私どものほうから出しておりますので、そういったものが費用計上といいますか、マイナスになっております。自己資本は7兆円でありました。
 こちらのほうは純利益を生みましても、この3年間、毎年1兆から1兆1,000億出ておりまして、順調と言えるわけなのでありますが、ただし、これも大手銀行なんかと比較しますと、利益率ということで言いますと2分の1から3分の1なんですよ。これは厳しい運用規制がありますから、民間の銀行のようには運用はできないわけでありまして、ほとんど90%ぐらいを国債、財投債、地方債、財務省への預託ということで官のほうに流れております。そういう仕組みになっているわけでありまして、必然的に利益率が下回っているということであります。ROAと対預貯金利益率を見ていただくと、今ざっと言いました2分の1から3分の1というのが特に対預貯金利益率で見ると見ていただけるわけでありますが、こういう格好にならざるを得ない。そういう前提のもとでは安定的に来ているということだろうと思います。
 投資信託を発売、去年の10月からやりまして、かなり順調に来ております。今年の6月末現在で2,334億円ということで、1件当たりの金額は113万円であります。市中の銀行がやっていらっしゃるのは250万ですから、私どもが投信をやらせてほしいと申し上げたときに民業圧迫という一部の方の合唱があったわけでありますけれども、それに対して、私はそうはならない、ゼロサムゲームの中で人さまのシェアをとりに行くんじゃなくて、今まで投資信託になじみのない、定額貯金をやっていらっしゃったお客様によく理解していただいて、多少のオウンリスクで市場にお金を直接出していただくことをやるのであってパイが膨らむのであると。だから、100のゼロサムゲームではなくて、100110120130、日本国全体で言えば200ぐらいになってもまだドイツ並みぐらいですから、アメリカ並みにしようとしたら400%ぐらいなければいけないわけでありまして、そういうことのお手伝いをするわけなのだと言っておったわけでありますが、その後の投信市場全体の残高とか、我々の1件当たりの金額が普通の市場の2分の1以下ということを見ますと、我々の言ってきたことは正しかったなという感じがしております。これはこれから拡大してまいります。
 次は保険にいきます。事業費の削減や株価の上昇による金銭の信託運用益の増加によりまして9,318億円の内部留保を確保いたしましたけれども、商品のほとんどが貯蓄型ということで、商品性が街では受けません。往年、新規契約保険料収入というのは1,000億あったんですけれども、中期経営計画で800億ぐらいでやれというのを政府からいただいているわけでありますが、たちどころに700億を割り、600億を割りということで、ここで2倍、5倍型の定期付終身保険を入れたわけでありますが、歯どめがかからずで、今は500億を切ってきている、往年の半分以下ぐらいになってきているということで、全体のファンドそのものは大きいですから、これは健全なスリム化をすることは、むしろマクロ経済から見るといいことだとは思っているんですが、激減現象というのは人間のダイエットと同じで事業経営にはかなりボディブローになりますので、早く民営化して、入り口からでも――減少はいいんですよ、同じ減少するのでも健全に減少するように早くやらないといけないなという感じがいたしております。
 死差、利差、費差という三利源、基礎利源ですね、これで生保会社はみんな利益を出すわけですね。生保会社は皆さん、当然ながら利益ですよ。我が方だけは、それが赤字になっているわけであります。あとほんの数年でもう少し改善してくるでしょうけれども、うまくいけば来年バランスするかわかりませんが、それにしても利差が大きく出るんですね。これはほかの生命保険会社はうまく利差がとれるようになったのに、簡保は下手なのかということではなくて、事業庁から公社化のときに、含んでいる利益を全部一挙にそこでとってしまったために、そのツケを今、毎年割り勘で払わされる仕組みで公社はスタートしておりますので、こういう逆ザヤになると。だけど、それも徐々に克服しつつあるというところであります。
 次に、民営化対応について多少お話しいたします。郵政事業は地域との共生、貢献、生活インフラを守る、こういうパブリックな使命と、民営化するのだから自律的に企業性、事業性をきちんと整備して事業として発展せよと、それで自前でそのパブリックな使命も果たせという一見非常に二律背反するような命題といいますか、使命を色濃く持っているわけでありまして、人によってはできないと言う方もいるわけでありますが、私は、これはきちっとした経営で、うまく経営をしていけば、逆にパブリックをきちっと果たしていくということによりまして、今でも手厚くいただいている国民といいますか、全国のお客様の信頼を博することによりまして事業にもそれが還元してきて、相乗効果が出ないわけではない、出ることもあるんじゃないかと、少なくとも出る可能性を徹底追求すべきであると考えております。
 そういったことも含めまして、私どもとしましては、今、内側でできる改革を一生懸命やっているわけでありますが、具体的には日本郵政株式会社は、西川さんが座った株式会社のほうは将来にわたっての新たな会社の企画ということを担当してもらうということで、私の公社のほうは、民営化後の会社が市場で競争していけるように実態面の準備を進めていく、両社が密接に連携して、それで効果を上げていくということをやっているわけであります。
 次に、民営化準備の中で幾つかをトピックス的に大きく取り扱っていることをお話ししたいと思います。正直言って、いっぱい問題があるんですけれども、ここ数年、私が頭を痛めているのはコンプライアンスの徹底であります。これも正直言いますと、のどかな郵便局だったわけですよ。これは責められないですよね。明治以来、のどかな郵便局であって、単式簿記で日締め主義で、いわば大福帳ですね。1万9,000の特定郵便局長の場合は、局長は転勤なしですから自分で金庫を預かっているということで、大福帳的に来ていたのが公社化によって企業会計基準に移りまして、コンプライアンスという言葉をみんなが始めて、そういうことなんだ、やらないかんということで今スタートしているというところでありまして、やればやるほど、いろいろな問題があるわけであります。
 公社化以来、ガバナンス・コンプライアンス委員会というのをつくりまして、團副総裁を委員長にしてやってきているんですけれども、なかなかそれだけではうまくいかないので、後ほど触れますが、この5月に内部統制強化本部という本部をつくりまして、現在、全役員挙げて取り組んでいるところであります。
 今、いろいろな大きなコンプライアンス違反がいっぱい出てきておりまして、27億円のいわばとりっぱぐれといいますか、不公正な取引、6億円だったか十何億円だとか出てきているんですけれども、上位をずっと見ていくと、5位、6位、入り口はほとんどが10年ぐらい前に起こっているんですよ。まだ郵政省時代です。中には、その当時の郵政局にお伺いを立てて、まあ、よかろうと言われているやつまであるんですね。それが事業庁に引き継がれて公社に来て、公社でこうやってコンプライアンスの徹底ということで全部洗っている中で今ポロポロいっぱい出てきているということでありまして、その意味では大変つらい、非常に長期にわたる負の遺産がいっぱいあるわけであります。この際、私としましては、とにかく情報開示しながら徹底して出して、それで民営化までに、今度はそういうのが引き続いて起こらないようにコンプライアンス体制を整備するということをとにかくやり遂げようと。これは中途半端では金融庁の了解をとれないでしょうから、とにかくやり遂げざるを得ないんだという覚悟で今やっているところであります。
 そういった意味で、過去さかのぼりますと、12年前とか10年前、8年前といっぱいあるんですけれども、そんなことを言っていたら、そのときの責任者がだれかもわかりませんから、現執行部でここのところはまとめて責任を明確化して責任をとる格好で、市場レベルへの改善を徹底するということでやっている。これが今、公社で横断的にやっている中で大変大きな問題であります。部内犯罪がある、不適正な取引をしている、事務ミスも結構多いといったことでありまして、民間企業レベルから見ますと、急速度で改善はしてきているんですけれども、まことに残念ながら、まだまだ民間レベルから見るとかなりの乖離があると思います。問題解決に対する、過去も含めまして、経営陣の関与と責任のとり方が不十分だったというように反省いたしまして、先ほど言いましたように、この5月に内部統制強化本部という本部をつくりまして、全社横断的な、抜本的な検討を進める、方策も具体的にあるということで、5月にスタートしていますから、今年の9月中に改善計画案として正式決定するつもりでおります。インプリメンテーション(実施)は、それプラスまた半年ぐらいかかるだろうと思います。
 それから、郵便局改革に取り組んでおります。郵便局会社、約2万4,700のうちの簡易郵便局を除くと約2万。2万のうちの1万9,000が特定郵便局ということになるわけですが、これは実は会社の中の会社みたいな格好になっているわけですね。人事の問題であったり、指揮命令の問題、いろいろあるわけで、詳しくお話していると、それだけで時間がかかりますから深くは申しませんが、今取り組んでいるのは、今度は郵便局だけを束ねる会社ができるわけですから、郵便局だけを束ねる会社の経営陣が、人事権も含め、きちんと経営ができるような体制にすること。制度疲労があって、いたずらに非生産的になっていること。あまりにも費用がかさむ仕組みになっているところは、この際、半世紀ぶりといいますか、1世紀ぶりといいますか、思い切って改善していきたいということです。ただし、納得ずくでやろうということで今進めている最中であります。
 また、郵便の集配体制につきましても、4,700か所でやっていたわけなんですが、これも半世紀ぐらい見直されていないんですね。徒歩と自転車で行ける体制がそのままになっているわけでありますけれども、その後の高速道路のネットワークとか、今、徒歩と自転車というのはあまり入らないわけで、自動車とバイクですから、それでやったら最も機能的で、品質も上げられる集配体制はどうなのかということで4,7001,100に、ちょっとハブを大きくする。それでもざっと割りますと1つの県で20か所あるわけですから、そういうことで切りかえようということで、これも春以来、努力を傾注しております。
 600ぐらいの関係する地方自治団体のうちの90%ぐらいのところはご理解をいただく、あるいは「イエス」とは言わないけれども、やるなら目をつぶりますというところまで来たんですが、約10%のところがやめてくれとまだおっしゃっている。ただし、理由を聞いていくと、集配区分して無集配になると、担当の局の局員が5人異動します、その分、過疎になるから嫌だという地方自治体がそうおっしゃるんです。その人数だけでも過疎になるから、我が町としては非常に致命的なんですという反対とか、隣の町は残すけれども、何といったって今回4,7001,100にするわけですから、自分のところはなくなる。隣の町のもやめてくれるなら自分の町もやめていいけど、隣を残すならこっちも残せ、これが結構多いんです。大体そういうところばかり回ってきているんですけれども、できるだけ人事は尽くすということで、まだ一、二か月ぐらいかけまして、残った10%のところに役員が今どんどん行っています。何とか理解してくださいというお話をしまして進めますが、これは大体やれるめどがついてきているということであります。
 それから、CSの徹底はビジネスをやる以上、原点でありますから、これからも推進してまいります。ESにも気をつけていこうと思っております。アンケートで職員から70%ぐらいが満足だと言ってくれるようなところまで持っていこうということで、この2年ぐらい取り組んでいるんですけれども、今のところまだ50%台なので、いたく反省をしているところであります。
 要員は常勤で言いますと282,000人でスタートしました。ゆうメイトという非常勤は12万でスタートしました。8時間で1人換算12万は変わっていません。常勤の282,000人は現在257,000人ぐらいで、そのバランスは組合とよく話し合って、完全な理解と了解、同意のもとにしてきております。来年の9月末ごろは多分25万ぐらいということで、スタートの時から比べますと3万人以上の合理化が進むだろうというところであります。
 最後に、評価のところで申し上げます。評価は私が評価するというよりも、いろいろな関係する人が集まって、しかるべきと言ったらしかられるかもわかりませんが、しかるべく評価を書いてもらっているわけでありますが、評価の方式もいろいろあると思います。
 1つは、過去はものすごく悪かった。それよりはだんだん改善してきている。それは努力だからプラスなんだという見方もあるかと思いますが、その読み方は全くしておりませんで、市場のレベルと人さまと比較してみてどうなのかという感じで評価をしております。要するにいたずらに甘くならないようにしております。
 もう一つは、各事業の実績、お金のほうですね、実績の関連では、今度は人さまと横に比較して、東京三菱と比較してどうのと言われたら、さっき申し上げたように2分の1か3分の1で、これは評価に値せずになってしまうんですけれども、それは横並びの評価では無理だと思いますので、公社法という厳しい規制があって、ビジネスモデルの徹底制約を受けているという中において、そういう予見のもとにおいてどうかという視点から見ているとご理解いただいていいんじゃないかと思います。
 なお、17年度実績に限って言いますと、減損会計による損金処理、それから民営化対応で、さっきも申しましたように資本金3,000億出したりやっております。これは資料の3ページの右肩に書いてありますけれども、5,323億円かかっているわけでありますが、これは別枠ということにしないで、それも全部払ったというベースで、特段そういうことをやっているということをハイライトしないで出ている数字だということだけお含み置きいただければと思います。
 引き続き、まず第1に、来年10月の民営・分社化を必ず成就させるということを大前提に、それまでやり得る改善、経営改革に最善を尽くしたいと思いますし、民営化準備も万全を期していこうと思いますので、引き続きよろしくご指導をいただきたいと思います。
 以上でございます。
○樋口分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問等ございましたら、お願いいたします。
○若杉分科会長代理 昨年も質問したんですけれども、同じようなことだと思いますが、1つは、運用ですけれども、公社になってから多分ニューマネーで株を買わないでやってきたと思うんですが、それが今になって大分オポチュニティーコストが発生していると思うんですが、それについてどう評価するか。ポートフォリオの中でぎりぎり株を買わないできたわけですね。旧ポートフォリオはもうちょっと持ってもよかったわけです。その点で今回の株式市場の回復に乗れなかったということで、私自身はもうちょっと株は買っておくべきだったという意見だったんです。
 第2点が、コンプライアンスは生田総裁が今の任についてからずっと強調されているわけですが、郵政の場合には郵政監察制度という強力な内部監査の仕組みがあるにもかかわらず、そうやっていろいろなことが蓄積されていたわけですね。ですから、相当抜本的な改革をしないと内部統制とか内部監査は回復しないと思うんですが、今まで内部監察制度が機能しなかったというのはどういうことだと分析されて、どこを変えたらよくなると今までのところの分析の結果どういうふうになっているかということを伺いたいんですが。民営化するに当たって内部統制は大きな課題なわけで、今までの反省というのは非常に重要だと思うんですが、そういうことでご意見を伺いたいんです。
○生田日本郵政公社総裁 まず、株なんですが、公社法で公社自身が市場に出て行って株を買うというのはできないんですね。信託銀行を通じての信託形式でしか買えないので、その意味では法的にできなかったということ。それにしても、例えば運用を信託銀行にお願いするほうがもっと多かったほうがいいんじゃないかというのは、そういう判断は多分にあったかと思います。僕自身もそう思ったことが実は随分あったんですよ。それでどうかなという問題提起をして、経営委員会で議論も何度かしたんですけれども、株価は出てみないとわからないですね。
 今振り返ると、確実に日本経済はファンダメンタルズがリフォームでよくなって、財政出動しないで根本を直したんだから上がると。今から見るとよく見えるんだけど、その時点、その時点では、とは思うけれども、どうかなというのもありまして、経営委員会の議論としては、第三者の方にも、プロにも入っていただいてのALMが決まっているわけだから、それを公社の勝手な意思で逸脱して増やしておくというのは、うまくいくだろうけれども、いかなかったときに、それはルール違反にもなるし、ここは決められたとおりやっていこうということでやりました。
 その意味では、おっしゃるとおり、もし買っていればという前提に立てば、ビジネスチャンスを逸していると思います。だけど、公社みたいな公の機関であって、第三者も入ってALMをやっている世界では、言いわけじゃありませんけれども、やむを得なかったのかなと思いますね。その辺は民営化によって、まさに経営者の判断でやっていけるようになりますから、改善していくのではないでしょうか。
 それから、監察制度のほうですけれども、コンプライアンスという認識が、大変正直言うと予防までは熟成していないというか、監察自身があまりなかった。警察権を持ったお巡りさんであって、起こった犯罪については積極果敢にいって、きちんと解決していくんだけれども、そういうことが起こらないようにするためのモラルとか、システムとか、制度上の欠陥とか、いわゆるコンプライアンスにまつわるデフォルトがないか、あるにもかかわらず徹底していないじゃないかという機能がなかったんですね。
 それは公社化と同時に、私がコンプライアンス委員会をつくると言ったら、若杉先生がガバナンスの火をつけたらどうかというので、あれは1つの委員会にしてガバナンスコンプライアンス委員会を火をつけたんだけれども、それ以来は徹底してそういうことをまずPRして理解してもらって機能するようにしたんですけれども、長年来た人たちが直ちに意識が翌日から変わって、合目的に監察機能を発揮するかといったらなかなかそうはいかないので、不徹底な面があったと思います。
 だけど、先ほど申し上げたように、最近、この1年ぐらいにどんどん出した事件というのは、10年ぐらい前に起こっているわけですから、その当時の郵政局で、まあ、いいかと言われているものまである。そういう感覚を変えていくというのは極めて時間のかかるしんどい仕事で、ようやく今、それが出始めてきている。そのためには情報開示をどんどんして、むしろみずからに火をつけながらやっていくという今最中です。ご指摘の重要性は非常によくわかるので、残された時間に、まずきちっと制度をやらなければいけないですけれども、コンプライアンスをやるのが当たり前だという認識に変えていこうと。そのためにほんとうに最善の努力をしようと思っています。
○吉野委員 2点お聞きしたいんですけれども、1つは、今、若杉先生が株のお話、運用がございましたけれども、それであれば、むしろいろいろな投信を郵便局の窓口を通じて、もっと販売していただきまして、株式に近い投信であれば、そのフィーを稼ぐのとご自分で運用するのと結局は同じようなことになるんじゃないかと思いますが、そういう意味では、ほかにいろいろな金融商品をさらに拡大されていくということがあるのかどうかが第1点です。
 2点目は、今後、民営化の中でネットワーク会社と貯金、保険、郵便会社の間でのフィーの決め方、取り扱いフィーとかがお互いに独占的なところがあるようなんですけれども、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。
○生田日本郵政公社総裁 まず、投信で申し上げますけど、今やっているのが575局でやっているんです。郵便局は簡易も入れますと2万4,700局、簡易を除くと約2万局、そのうちの575局、ほとんど普通郵便局で、一部、特定郵便局を交えてやっておりますが、これは平成18年6月、ちょうど今ごろやっているんだと思うんですが、まず605局まで今日現在で言いますと拡大するプロセスになります。今年の10月にはそれが1,155局になって、仕上がりとしまして平成19年に1,550局まで持っていきます。私の勘ですよ、別にシミュレーションをやらせたわけじゃないから違う数字が出るかもわからないけれども、私の経営している勘からいったら2,000局ぐらいがいいところだと思いますよ。背伸びしても3,000局ぐらい。それはある程度、一定規模の大きさの郵便局ではないと、信頼度、セキュリティーからいっても難しい面がありますし、売るのには説明責任を十二分に果たさないといけないし、コンプライアンスを徹底しなければいけないし、プロを当てなければいけないので、プロの配置ということから考えましても、約2万局の郵便局どこでも売るというのは全く危険なことであって、とりあえずは2,000局ぐらいをめどにやっていくということになると思います。
 これはフィービジネスとして、入ってくる収入そのものは多いんだけれども、公社が挙げている、例えば貯金で純利益で毎年1兆1,000億というのから見ると、せいぜい100億とか200億のオーダーですから、減るのに入れかわるという問題じゃないんですけれども、1つの小ぶりの柱になっていって、長くやっているうちに、その柱が少しずつ太くなるのかなという感じでおります。
 2番目に、ほかの金融商品をやらないのかというのは、これは新ビジネスモデルになりますので、日本郵政株式会社のほうが検討しましてやることになりますが、そういう前提で申し上げますけれども、私は当然やるべきだと思っている。これはあちこちで申し上げていますけれども、郵便局をファミリーバンクとして、お客様方に、あらゆる金融絡みの便宜を供与すると。コンサルタントもやるし、遺産や運用についての相談にも乗るということの一環としまして、他の金融機関の投信ももちろんだけれども、金融商品、あるいは損保、生保、何でも、他の会社の扱ってふさわしい金融商品は扱いましょうということで今日まで来ています。そういう思いとある程度具体的なアイデアをつけて、日本郵政株式会社のほうに回して今検討してもらっているということです。
 フィーの決め方は、これもまさに日本郵政株式会社のほうでやる問題になるので、今やっていると思いますけれども、私自身からのコメントは差し控えておきたいと思います。
○樋口分科会長 ほかにいかがでございますか。
○斎藤委員 制限のある中で大変立派な業績を上げていらっしゃると思っておりますけれども、問題というのは、一番最初におっしゃられたとおり、構造的な改革を考えるときが来ていて、それに対する対処というのが一番重要であるという点。まさにそのとおりだと思います。金融に関しましては、なくなる産業でもないし、工夫の仕方はいろいろあるかと思うんですが、衰退産業である郵便に対してどうやっていくのか。これから新しい民営化された組織のほうにバトンタッチをするに当たって、いろいろお考えがあるかと思うのですが、そのあたりを少しお聞かせいただけたらと思います。
○生田日本郵政公社総裁 大変核心をつくご意見をいただきまして、大変ありがたいと思うんですが、率直に言いまして、3事業とも、今天井感が出てきているんです。公社法の中でできるのは大体やってしまって、過去2年ぐらい見ると、公社法があって、まだやれるところがいっぱいあるのにやっていないことがいっぱいあったんです。それをほとんど目いっぱいやってきました。天井感が出てきて、したがって、利益のほうにも天井感が数字で出てくるというところになってきている。民営化というのは、お国の経済の活性化、金融市場の正常化、いろいろな国家の大義名分で終わりになってくるんですけれども、幸い、公社の郵政事業もこれで救われる。これは国会答弁で私は率直にそう言っていますけれども、天井に向けて構造改革をすることによって生きていく道が出てくるわけで、それで国民の生活インフラである3事業は維持されるということになるので、郵便だけではなくて、どれもこれも構造改革が必要だろうと思って、それぞれ勉強はいたしております。
 委員のお言葉の中で1つだけ私としてはあまりハッピーじゃないのは、衰退産業とはあまり言っていただきたくないので、それを何とか衰退しないように今努力しているところであります。それは通常郵便だけれども、1つの産業と考えると衰退産業です。eメールとの闘いです。だけど、それが今まで間違っていた。大きな物流事業の中の細い1つの流れなんですよ。だから、その固定概念を外して、郵便なんていうのはそうはないわけですから、物流事業と考えて、その中に郵便の流れがある。物流事業という視点から物を改革していくということに今取り組んでおります。だからといって、途端にコンテナかついではいきませんので、トータル物流ということ。ただ、ポストに入れてくださる、あるいは郵便局に持ってきてくださったのを相手のドアに入れたらおしまいということじゃなくて、その前段階のいろいろなもの、例で言えばダイレクトメールの企画から印刷から封筒に入れる作業から、とにかくすべてお客様のかわりにやりますよという事業等も新たに始めると。
 それで、通常郵便を超えた競争分野の物流分野においても応分のシェアをいただくということで、売り上げそのものが衰退しないように、売り上げそのものが上を向くように努力しておりまして、幸い、17年度に大体とめたんです。それまで通常郵便が減る分だけ売り上げは毎年4%ぐらい減っていたんですけれども、それを食いとめました。公社になってから最初3%、2%、去年ついにほぼ0%まで食いとめまして、これから伸ばしていかなければいけない。競争分野と非競争分野と両方合わせて売り上げを上げていくということがまず解決策になるのだろうと思います。それから、公社法で今まで禁じられていました国際的な郵便活動は4月から前倒しでやっていただくように去年国会でお願いして、そのとおりしていただいたので、その分野で、初めはほんのちょっとしか利益が出ないでしょうし、ひょっとすると先行投資のほうがかさんで費用になるかもわからないけれども、少なくとも中長期には1つの利益の柱にしていくということが大変重要なことだろうと思います。
 それから、競争分野の中でもう一つ言えば、ダイレクトメールは頑張っているんだけれども、ゆうパックは8%ではだめですね。どの産業も堂々としてやれるというのは、どの産業でも3つぐらいの世の中が来ているわけですから。そうすると、マーケットシェアというのは20%以上ぐらいになるようなことを自分でやるのか、あるいはどこかと統合しながらやるのかという大きな政策課題を実は抱えていると。決して放っているわけじゃないんですが、そういうこととか、全般の営業を前向きにアップすること。振り返ってJPSと申しましたけれども、集配部分のコストを合理化のために思い切った生産性向上をやる。これはかなりいいところまで来ています。郵便局改革なんです。これはあまりお話しすると差し障りもあるし、時間もかかりますから言いませんけれども、不必要なコストの塊に相当なっています。それをどうやって、市場で耐え得る仕組みに変えていくかというのが今度はコストという面からいきますと大きな問題だろうと思います。
○樋口分科会長 どうもありがとうございました。ほかに特にお聞きになりたい方がいらっしゃらなければ、生田総裁、本日はご多用のところ、大変どうもありがとうございました。昨年に引き続き総裁から直接お話を伺えましたことは当審議会の審議に大変役に立つものとなります。これから委員でやりますので、総裁にはご退出いただいて、よろしゅうございます。ありがとうございました。
○生田日本郵政公社総裁 どうもありがとうございました。
(生田日本郵政公社総裁退室)
○樋口分科会長 それでは、次に、諮問第262号、日本郵政公社の平成17年度財務諸表の承認と諮問第263号、日本郵政公社の平成17年度業績評価につきましては密接に関係があるものでございますので、2つの審議事項をまとめて審議することにしたいと存じます。また、この2つの審議事項につきましては、郵政行政審議会議事規則第10条第1項に基づきまして、当分科会でご審議をいただきました後、当分科会での審議の内容を踏まえまして、来月9日開催の総会におきましてご審議いただき、最終的に審議会としての答申とさせていただくという取り運びとなっているところでございます。
 それでは、鈴木総合企画室長より、まずご説明をお願いいたします。
○鈴木総合企画室長 総合企画室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料1によりまして、財務諸表の承認と業績評価の2件をあわせてご説明させていただきたいと思います。
 まず資料1、大部でございますので、その概要をご説明しますと、資料1−3が財務諸表承認の諮問書と財務諸表の本体でございます。資料1−4が業績評価の諮問書と業績評価書の本文でございます。諮問書の読み上げについては省略させていただきまして、お手元の資料1−1の説明資料によりましてご説明させていただきたいと思います。
 先ほど生田総裁からも17年度の決算とこれまでの取組みについてご説明がございましたので、ポイントを絞って説明させていただきたいと思います。
 まず、資料1−1の1ページをお開きいただきたいと思います。中期経営目標のスキームについての図でございます。今回の財務諸表の承認と業績評価につきましては、真ん中の 3)、 4)でございますけれども、公社法第30条、公社法第26条に基づきまして、事業年度の終了後に実施するものでございます。左のほうにございますけれども、公社法第66条に基づきまして審議会へ諮問させていただいているものでございます。この点について確認をいただきたいと思います。
 続きまして2ページをご覧いただきたいと思います。今回の17年度決算と中期経営目標の指標との比較でございます。利益積立金等で全般につきまして生田総裁から説明がございましたので補足的に郵便の積立金、左上のグラフのところだけご覧いただきたいと思います。郵便の積立金につきましては、この棒グラフは左から年度計画、決算、決算の累計値と並べておりますが、17年度のところでございますが、年度計画では208億円の利益を見込んでいたものが実際には26億円であったということでございます。4年間の中期経営目標としては、黒い太線でございますとおり500億円以上ということで、累計では17年度573億になってございますが、18年度は517億ということで、目標の500億円以上に対して目標達成に予断を許さない状況ということでございます。
 続きまして、3ページをご覧いただきたいと思います。17年度計画と17年度実績の比較の表でございます。こちらにつきましては、前回4月の分科会におきまして、株式運用ですとか、債券運用等の影響を分けて分析すべきというご指摘、ご指示をいただきましたので、そのような形で要因分析を行ったものでございます。
 まず、郵便から見てまいりますと、郵便の17年度計画は208億円の利益を予定しておりましたけれども、先ほど申し上げたとおり、実績として26億円でした。17年度計画策定時に見込んでいなかった事項といたしましては、右側にございますような8億円の民営・分社化経費、減損会計導入、ふみカード廃止に伴う特損というものがございました。ただ、これらの要因を仮にすべて除いたといたしましても百五十数億円程度の黒字ということでございますので、郵便について見ますと、やはり年度計画どおりに実施できたとは言えない状況ということが言えるかと思います。
 次に、郵便貯金の当期純利益のところでございます。17年度計画では1兆181億円、これに対して実績は1兆9,304億円でございました。再掲の下のほうに金銭の信託運用益ということで、こちらは債券運用は行っておらず、すべて株式運用でございますが、計画の中では355億円でございましたけれども、1兆2,402億円の実績でございました。この株式運用の部分を除きますと、金銭の信託運用益以外というところでご覧いただきますと、9,826億円に対して6,902億円という実績でございましたけれども、これにつきましては、民営・分社化経費、減損会計導入等の要素がございまして、特に3,020億円のうちの3,000億円は、先ほど生田総裁もお話しされていましたけれども、民営化法によりまして、日本郵政株式会社に公社から金銭出資を行いまして、政府に無償譲渡を行ったという結果、特損になったというものでございますので、この3,000億円等を加えますと、金銭の信託運用益以外の部分についても年度計画を超えた実績が上げられているということでございます。
 続いて、簡易保険の内部留保の積み増しのところでございます。三利源合計の基礎利益のところをご覧いただきたいと思います。計画におきましては2,800億円の赤字でございましたけれども、実績としては697億円の赤字ということで大きく改善してございます。また、下から2つ目のキャピタル損益のところでございますけれども、こちらは計画の中では500億円と見込んでおりましたけれども、実績としては8,459億円でした。これも株式と債券と分けて見てまいりますと、株式が8,399億円、債券が60億円ということで、このキャピタル損益の部分を除いてみましても、簡易保険全体として計画550億円が9,318億円になっておりますので、キャピタル損益を除いた利益で見ても、年度計画を上回る実績が上げられているということが言えるかと思います。
 続いて、4ページをご覧いただきたいと思います。計画策定、それから決算に当たりましての前提となりました外部環境のところでございます。17年度経営計画策定時、それから17年度末の実績値(18年3月)をご覧いただきたいと思います。ポイントといたしましては、下から2つ目の株価のところでございます。外国のところはそれほど大きな差は出ておりませんけれども、国内のTOPIXのポイントで見ますと、17年度計画策定時には1,149ポイントでございましたけれども、実績値では1,728ポイントということで、先ほどご説明しましたとおり、株式運用で計画以上に大きな利益が上がった要因となってございます。
 続きまして、5ページをご覧いただきたいと思います。民営・分社化経費につきまして支出ベースで見てございます。先ほどの生田総裁の資料には損益ベースで出ておりましたけれども、施策の支出ベースでこちらは見てございます。前回の4月の分科会におきまして、民営・分社化のための公社の費用というものを明らかにしておく必要があるということでご指摘をいただいておりましたので、公社に確認して作成したものでございます。17年度実績のところでございますが、これは黒い太線の下の大きな数字でございますけれども、17年度実績として3,148億円ということでございます。このうち、3,000億円がすぐ上のところでございますけれども、日本郵政株式会社への金銭の出資ということで、先ほどから何度かご説明しているものでございます。
 今後の計画といたしましては、18年度については2,376億円、19年度は9月末までですので半年ですけれども、1,437億円ということで、2年半の合計として6,962億円ということで、約7,000億円弱の支出を見込んでおります。7,000億円弱と申し上げましても、そのうちの3,000億円というのが日本郵政への金銭の出資に当たるものでございます。
 それでは、これらの支出、具体的な経費の内容につきましてですけれども、主なものとしましては、下の枠内のとおりとなってございます。郵便、貯金、保険、共通に分けてございます。大きく分けて申し上げますと、1点目としては、民営・分社化の中で業務の流れですとか、資金の流れが変わることになりますので、郵便、貯金、保険、共通ともに情報システムの設計や開発、訓練経費などが入ってございます。また、郵便局や本社、支社の建物にも分社化によりまして別々の会社が同居するということにもなりますので、郵便局のセキュリティー対策としての間仕切りですとか電気錠の設置、本社・支社の社屋の模様替え等を見込んでございます。
 続いて、6ページをご覧いただきたいと思います。郵便業務の関係の数値でございます。
 まず、左上の事業経費率のグラフでございます。これは中期経営目標に指標として定められているものでございます。4年間の目標については98.5%以下ということで黒い太線がございます。18年度末の見込みといたしましては98.6%ということで、このままでは目標を達成できない見通しになってございますので、取組みの一層の強化が必要と考えてございます。
 右上のほうでございますけれども、送達日数の達成率でございます。こちらは郵便の日数表に定められております配達日数どおりに届けられた割合でございます。4年間の目標として97.0%以上ということで定めております。毎年の計画には計画値はございませんけれども、過去3年、1517年度を見てまいりますと、いずれも97.0%以上を超えている状況になってございます。
 下の郵便物の種類別引き受け物数の推移でございます。これも先ほど総裁のご説明もございましたけれども、大きく見てまいりますと、手紙、はがきなどの通常郵便物は減少傾向が続いており、一方で小包は伸びてきているということでございます。
 7ページは省略させていただきます。
 8ページをご覧いただきたいと思います。貯金の業務関係の数値でございます。
 経費率についてでございますが、中期経営目標の4年間の目標が0.52%以下ということで、18年度末においても0.50%ということで、4年間の目標達成の見通しとなってございます。
 下のグラフは、今申し上げました経費率の算定の前提となります貯金の平均残高の推移でございます。こちらのほうはスリム化が図られているというお話もありましたけれども、棒グラフをご覧いただきますとおり、減少の傾向ということで、17年度末に206兆円ということになってございます。
 9ページは省略させていただきます。
 10ページ、保険業務関係の数値でございます。
 左上の事業費率についてでございます。17年度で4.89%、18年度で5.09%となっておりますので、4年間の目標であります5.1%以下となっております。
 右上のグラフでございますけれども、失効解約率につきましては、保険については3.6%以下、年金保険については2.3%以下の4年間の目標が定められておりますが、過去3年間を見ますと、いずれも目標達成できている状況にございます。
 下のグラフは保険の資金量の推移でございまして、17年度は115兆円という状況でございます。
 11ページをご覧いただきたいと思います。11ページは、下のグラフのところを保有契約(保険)(年金保険)とございますけれども、特に保険のところでございますけれども、契約数、契約金額ともに棒グラフ、折れ線グラフでご覧いただきますとおり、大きく減少しているという状況でございます。
 続きまして、12ページをご覧いただきたいと思います。人件費でございます。こちらは公社全体の人件費でございますけれども、棒グラフの17年度をご覧いただきたいと思います。網かけの棒グラフが決算値でございますけれども、これが計画値を上回っている状況でございます。貯金と保険につきましては計画以下に抑えられておりますけれども、右上の郵便については計画値を超えておりますために、公社全体としても増加したものでございます。左側のそれぞれ下の人件費抑制の主な取組みということで機械化、効率化等の取組みを進めたものの、右下に人件費増の主な要因とございますけれども、郵便業務におきまして、営業、集荷体制の強化、非常勤職員雇用単価の上昇ということで、超過勤務手当の増で年度計画比150億円増、非常勤職員の給与の増で計画比で283億円増といった人件費増が影響しているものでございます。
 続いて、13ページをご覧いただきたいと思います。物件費についてでございます。
 公社全体の物件費も17年度の年度計画の計画値を大きく超えて増えておりますけれども、この要因でございますけれども、右下の枠の中にございますとおり、日本郵政株式会社への出資3,000億円というものが影響しているもので、この影響で郵便貯金業務についても計画を超えてしまっている形になっているものでございます。これは計画策定時には見込んでいなかったもので、法律によって無償譲渡で定められたものでございますので、公社の経営努力がなかなか及ばない部分かという見方ができるかと思いますが、この部分を除きますと、物件費については計画どおりに抑制の取組みが進んでいると言えるかと思います。
 続いて、14ページをご覧いただきたいと思います。ここまでご説明いたしました中期経営目標に定められました各指標の達成見込みというものを1枚にまとめたものでございます。
 黒い太枠で囲んだ中に4年間の目標と18年度末の達成見込みを比較したものでございます。上から2段目、郵便の事業経費率のところでございますが、こちらの黒枠の中で塗りつぶされておりますけれども、郵便の事業経費率のみが中期経営目標の達成が厳しい見込みとなってございますが、その他については達成の見通しとなってございます。
 続いて、15ページをご覧いただきたいと思います。コンプライアンスの徹底についてでございます。昨年度の業績評価におきましても、コンプライアンスの徹底については厳しい評価を行ったところでございます。公社におきましても、先ほどの総裁の話にもございましたけれども、同様の問題意識を持って、過去1年間、部内犯罪のすべてについて、その要因を調査して、どうすれば犯罪を防げたのかということを徹底的に分析を昨年の秋に行ったということで、公社全体の取組みとしてありますとおり、実施すべき施策を実施しなかったために起きた犯罪が62%、また、追加して新規施策を策定すれば防止の可能性が高い犯罪が27%ということで、全部分析を行った上で、実施すべき施策については防犯職務指針、レッドシートというものを定め、また、新規施策については取りまとめて防犯アクションプランを策定し、実施したところでございます。17年度におきましては、こういった公社全体の取組み、それから下の郵便、貯金、保険、それぞれについて各事業ともコンプライアンスの徹底の取組みを行ってきたというところでございます。
 16ページをご覧いただきたいと思います。部内者犯罪でございます。左の棒グラフでございますけれども、部内者犯罪の件数の推移でございます。16年度は127件、17年度は134件ということで、先ほど申し上げたようなレッドシートですとか、防犯アクションプランといったような取組みの強化を行ったものの部内犯罪の件数は増えているという状況にございます。
 また、各業務別に見ましても、郵便の不適正収納ですとか、現金の過不足事故、保険の不適正営業等が依然として見られる状況ということで、もちろん過去に起きた犯罪等が発覚したという事例がございますが、公社化されてもう既に3年が経過しておりまして、昨年度の評価におきましても厳しい評価を行ったにもかかわらず、まだ依然としてこういった犯罪が見られる状況ということでございます。総裁の話にもあった、公社のほうでも18年度に入ってから内部統制強化本部を立ち上げておりますけれども、その取組みを一層強化していく必要があると認識しております。
 続いて、17ページをご覧いただきたいと思います。17ページの左上は過去の懲戒処分の件数の推移でございます。これは16年は2,669件だったのが17年は2,273件と件数は減少しておりますけれども、国家公務員全体に比べた比率は依然として非常に高く、また絶対数としての件数もかなりの件数に上っているということが言えると思います。
 続いて、18ページをご覧いただきたいと思います。国際的な協調・連携について、個別の課題についてでございます。これは16年度の総務省評価におきましては、国際的活動の実施について、課題として国際分野の役割や体制強化について具体的検討が不十分であり、公社の新たな国際分野での役割を積極的に検討することを期待するということを指摘し、また、活動体制の強化についても、海外事業体への職員の派遣については効果分析をしっかり行い、推進していくことが必要ということで、昨年は取組強化が必要という厳しい評価を行ったところでございます。
 右側でございますが、17年度の公社における取組み状況でございますが、昨年の厳しい評価の指摘を踏まえまして、公社としての国際戦略を検討したということで、総裁の話にもありましたANA等との共同出資、子会社の設立、それから中国事務所の開設準備ということで17年度は開設準備でしたが、18年4月に既に事務所が開設されております。こういった状況で一定の成果が見られておりますけれども、オランダのTNTとの提携については困難になったということで、新たな戦略が求められているという状況でございます。
 また、国際活動体制の強化につきましても、国際物流戦略の中で派遣先を民間物流企業に絞り込んだり、帰国後、国際物流部門を中心として業務において活用するなど、取組みが順調――完全に順調とまでは言えないにせよ、昨年の状況から比べられると改善が図られて、おおむね順調な状況になってきているというような見方ができるかと思います。
 以上が決算等の概要でございます。
 続きまして、財務諸表の承認につきましてのところでございます。19ページから22ページまでは、ご説明いたしました利益等の数値が入りましたP/L、B/Sを添付してございます。
 続きまして、23ページをご覧いただきたいと思います。財務諸表の承認に当たりまして法令上の提出書類、それから記載事項といたしましては、こちらの表にございますとおり、財務諸表についてはB/S、P/L等でございます。添付書類といたしましては 1)の事業報告書、 2)として監事、会計監査人の意見を提出することとしてございます。これらの書類につきまして、定められた様式によりまして必要な事項が記載されているかどうかが審査のポイントになるところでございます。
 続いて、24ページをご覧いただきたいと思います。審査結果と書いてあるところでございます。私ども事務方のほうで財務諸表をチェック、確認いたしまして、法令に定められた書類が省令で定められた様式により作成されていること、それから法令に定められた記載事項が記載された事業報告書が添付されていること、そして監事及び会計監査人の適正であるという意見が付されていることを確認してございますので、提出のあった財務諸表については承認することが適当であると考えてございます。
 続きまして、17年度の業績評価の概要についてご説明をいたしたいと思います。25ページをお開きいただきたいと思います。これは公社の中期目標管理のスキームの図でございます。17年度の業績評価につきましては4年間の中期経営目標期間の3年目に当たるということをご確認いただければと思います。
 続いて、26ページをご覧いただきたいと思います。17年度の業績評価の基本的考え方ということで、こちらにつきましては、今年4月の分科会におきましてご審議いただきまして、ご承認いただいたものでございます。
 ポイントを申し上げますと、枠の中にございます 1)のところでございますけれども、昨年同様、公社内部での自己評価を踏まえて実施するというのが1点目でございます。 2)のところでございます。今回、4年間の期間の3年目の評価であるということで、18年度に特に取組みの強化が必要と認められる項目が生じた場合には、18年度計画でどのように取り組むこととされているか確認し、中期経営目標の確実な達成に向け、具体的な取組みを促すということとしてございます。この観点から、先ほど4年間の目標達成の見通し、単年度だけでなくて4年間の見通しについてもあわせてご説明させていただいたものでございます。業績評価につきましても単年度、それから4年間の見通しという両方の観点で行ってございます。
 続いて、27ページをご覧いただきたいと思います。中期経営目標の評価結果の概要を1枚にまとめたものでございます。こちらは「B」「A」「B」と書いてございますけれども、こちらは15年度、16年度、17年度の評価結果を、「A」が「順調」、「B」が「おおむね順調」、「C」が「取組の強化が必要」ということで記載したものでございます。この中で黒塗りの矢印が16年度評価から17年度評価の推移でございますので、黒塗りの矢印を見ていただくと全体の傾向が見て取れるかと思いますけれども、全体的には、下に下がっている矢印が多うございますので、昨年に比べると、より厳しい評価となっているということが言えるかと思います。
 ポイントについて、3点に絞ってご説明したいと思います。
 1点目につきましては、郵便の経営の健全性の関係でございます。左から2列目の上から1番目と2番目のところでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、積立金500億円に対して517億円の見通しということで、4年間の目標達成に向けて予断を許さない状況であること。また、郵便の事業経費率についても、目標達成に向けては取組みの一層の強化が必要な状況ということで、どちらについても「A」から「C」へということで2段階下げた厳しい評価を行っております。
 2点目は、コンプライアンスの関係でございます。これは表で申し上げますと、下から2段目のところでございます。公社全体ではコンプライアンスと書いてございますけれども、郵便、貯金、保険はお客様満足とか、郵便サービスの維持のところに入っているものでございます。貯金、保険につきましては、昨年に引き続き「C」ということで、郵便につきましては、料金不適正収納等の件もございますので、「B」から「C」へ一段下げて評価をいたしております。また、公社全体についても「C」という評価をしております。
 3点目でございますけれども、一番右下の国際的な協調・連携でございます。これは全体の評価の中でも唯一、昨年の評価から評価が上がった項目ということで、「C」から「B」という評価をしております。先ほどご説明いたしましたとおり、昨年の総務省評価の指摘を受けまして、公社のほうでも国際戦略において検討を行い、一定の成果が出たことで「B」、おおむね順調という評価をしてございます。
 続きまして、28ページをご覧いただきたいと思います。過去3年の評価結果の推移でございます。15年度の評価は「A」が5項目、「B」が14個、16年度の評価については「A」が9項目、「B」が6項目、「C」が4項目でございました。17年度の評価でございますが、「A」が9項目から4項目に減って4項目になっております。一方、「C」は増えまして6項目になっております。この「C」の6項目ですけれども、先ほどのポイントでも申し上げましたとおり、郵便の経営の健全性の観点で2項目、コンプライアンスの徹底の部分で郵便、貯金、保険、公社全体が4項目ということで、計6項目について「C」ということで厳しい評価を行っているところでございます。
 続いて、29ページ以下でございますけれども、これはこれまでポイントを申し上げました業績評価結果につきまして、端的な評価結果と今後の課題について一覧にまとめまして記載しているものでございます。
 大変駆け足で恐縮でございましたが、以上でございます。財務諸表の承認と業績評価結果の概要について以上のとおりでございますので、よろしくご審議のほど、お願いいたします。
○樋口分科会長 どうもありがとうございました。
 ただいま2つの審議事項をまとめてご説明いただきました。委員の皆様から、ご意見、ご質問等ございましたら、どうぞご自由にお願いいたします。
○佐野委員 コンプライアンスのところで厳しい評価とおっしゃっているけれども、ちっとも厳しいと私には見えないんです。というのも、コンプライアンスとここ数年言われてきている中で、私は、1つの会社とか公社ではなくて、1人の人間としてルールをいかに守るかというところだと思うんです。それができていない。先ほど生田総裁も強化、強化とおっしゃったけれども、去年から今年にかけて、これだけいろいろな不祥事が起き、それでも5段階の中で真ん中ということは評価が厳しいと受け取れません。私はもう一つ下げてもいいんじゃないかなという気がします。さらに、それをもって今年度頑張っていただきたいと思います。何をするにもコンプライアンスが基本だと思います。法令遵守ができていなければ何もできないと私たちはとらえているので、ぜひそういうことを考えていただきたいと思います。
 もう一つお聞きしたいのが、18ページに国際活動体制の強化というのがあるんですが、15名の方を海外派遣しました。これはどのぐらいの期間いらして、その実績を帰ってきてどのように活用しているのか。長期の海外派遣というやり方もあるのかなと思いまして、実際はどうなのかお聞きしたいと思いました。
 もう一つ、最近言われていることが郵便物が減少しているということで、確かにそうだと思うんですが、ポストによってはあふれているんです。私、あれはどういう感覚で郵便物を集めているのかなというのがよくわからない。というのは、私ども四谷の駅前におりますけれども、四谷駅のところにあるポストは、私たちが帰るときにはあふれているんです、中に入らない。あんなことで、どういう事業をやっているのかなと。何通でも抜き取れる状況にあるわけですよ。ポストに入れられないから、わざわざうちの近くまで持っていって投函するという。減少しているとは言っても多いところ、少ないところがあります。現状をきちんと把握していただかないと、信頼性をすごく失うというか、こんな形でこれから民営化ができるのかなと疑問に思うような点もあるので、その辺も検討していただきたいなと思います。
○鈴木総合企画室長 コンプライアンスの徹底の関係でございます。先ほど委員からご指摘のとおり、厳しい見方もあろうかと思っております。ただ、コンプライアンスの徹底については、先ほど申し上げたとおり、公社としてもかなり問題意識を持って、総裁のご説明でもありましたけれども、防犯職務指針をつくって、すべでの犯罪を全部洗い出して、これはかなり大変な作業だったものと思いますが、その要因分析を行った。そういう中で取組みを進めたり、また内部統制の強化ということで、公社全体としてしっかり取り組んでいく必要があるという認識を持っているということ。
 また、件数だけで見ても、犯罪にしても事故にしても、これはゼロでなければならないですし、ゼロが望ましいということでございますけれども、残念ながら、まだ件数が昨年から減っていない状況が見られる。これは私どもとしても非常に問題という認識を持っておりますし、この件数の中には、その年に起こったもの、過去から継続していたもので発覚が今年度なり17年度になったものといろいろな状況がございますので、公社における今の取組みをしっかり進めていただく必要があるということで、審査の評価の基準の中で言うと、今のままの取組みでいいとは考えてございません。既に進めているこの取組みの強化をしていただく必要があるということで「C、取組の強化が必要」という形で評価をさせていただいております。
 また、評価書の中でも、その点については厳しく問題意識を持っておりまして、恐縮ですけれども、資料1−4の業績評価書の本文の8ページをご覧いただきたいと思います。公社でも同じような問題意識を持っておりまして、これら改善の成果を得られるために、本社において個別の問題が発生する都度、指示文書等を発出し、対策を示しているものの、モニタリングが不十分であるとか、支社においても本社からの指示どおりに郵便局を指導、モニタリングしていない。郵便局においても業務量がオーバーフロー、こういった現状が見受けられる。これに対して、18年度に入りまして、総裁の話にもありました内部統制強化本部ということで、徹底的に抜本的に経営の最重要課題として取り組むということでございますので、この取組みを強化していく必要があるということで、評価の基準にあります取組みの強化が必要ということで考えているところでございます。
 以上が1点目でございます。
 それから、国際関係でございますけれども、海外事業体への派遣の件でございます。こちらは、日本企業ですけれども、物流企業、航空会社の海外支店等に派遣を行っております。例えば航空会社のオーストラリア、中国の支店に9か月とか10か月、物流会社で中国ですとかアメリカ、香港等へやはり9か月とか10か月派遣して、帰国後については、16年度に派遣した者の活用状況としては、香港の物流企業に派遣した者については、郵便事業の事業開発部に所属させて、国際物流の提携関係業務に当たらせたり、その他、航空関係、商社関係に派遣した者を国際物流の提携関係、ロジスティクス関係等に当たらせるということで、1年近く、9か月、10か月派遣した者について、帰国後にその関連する部署で業務を行わせて活用しているという状況にあると報告を受けてございます。
 以上2点でございます。
○佐藤郵便企画課長 今、佐野委員が最後におっしゃられました郵便ポストがあふれているという件でございます。大変ご迷惑をおかけしていたと思います。公社になりかわりましてお詫び申し上げたいと思います。想像するに、郵便物の差し出され方は波動性が大変ありまして、月の中の一定の日にちとか、曜日とか、時間帯とかによって一遍にドーッと、みんなたくさん郵便ポストに入れに来る時間があって、多分そのために一時的に入り切らなくなったという状況になったのではないかと思います。郵政公社でも、毎日のオペレーションの中で、あふれてしまう郵便ポストがあれば、おそらくお客様からの苦情もいただいているでしょうし、そういったものを見ながら、例えば郵便ポストを増やすとか、取り集める回数を増やすという形で。おっしゃられたようにあふれていて、ほかの第三者が持っていきかねないというのは全く言語道断な状況ですので、対応しているかと思っています。おそらく、それがまだ不十分なのが四谷の郵便ポストだと思いますので、私どもからも公社に改めてご指摘の点を伝えた上で、指導してまいりたいと思っています。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 コンプライアンスの点で少し補足させていただきます。金融機関としまして、現金過不足をはじめ、コンプライアンスに違反する事項があるというのは問題だなとずっと認識しておりまして、公社に対して40に近い報告をもらっております。その中にあまりにも重大な問題もある。現金過不足であるとか、限度額管理であるとか、そういうものにつきましては、民営化するまでに全部ゼロに直すという報告をいただいておりまして、そういうことも踏まえまして、委員がおっしゃるとおり、中ではもう1ランク下げろという意見も随分あったんですけれども、厳しい意見を付すことによって、この1年間、公社の改善状況を見させていただこうかという判断で「C」にさせていただいた次第でございます。
○米澤委員 今日は評価ですので、ちょっと視点が違うのかもしれませんが、もう1年度あるということで、コンプライアンスなんですけれども、今、事務局のほうから説明していただきましたけれども、普通の金融機関ですと法令遵守です。今説明していただきましたようにオペレーショナルリスクみたいな広い意味でのリスク管理ですね。別に悪意があるわけではなくて事務リスクですとか、場合によっては、ここに書かれています個人情報が漏れてしまったとか、そういう点が今、民間の金融機関はものすごく多く発生していて、おそらくその要因の1つは人がものすごく減らされて、たくさんの仕事を少ない人数でやっているということがあると思うんです。ですから、同じようなことが、コンプライアンスのやや違った側面、言い方は違うんですけれども、非常に大きな事務リスクがあって、場合によっては、それは普通金融機関で言えば、BIS規制なんかのところでも問題になってくるかと思いますので、その辺も幅広く残りの期間で徹底的に体制を強化していただきたい。強化していただきたいというのは、言うは易し、人が減らされた中で大変だと思うんですけれども、ただ、これはどこでも今やっているようなことですので、やっていて、かつ、たくさん出てくる問題ですので、この辺のところも少し広げて体制を強化していただきたいと感じております。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 人も減らされているということもあると思うし、もう一つは、機械化が郵便局は非常に遅れておりまして、現金過不足も大きな問題として、普通の金融機関に当たり前に入っているオートキャッシャーが配備されていないということで、窓口での現金過不足が非常に多発していると。これにつきましても、これは精算の能力の問題もありますので民営化までは間に合わないんですけれども、年内までには全局に配備して、窓口での現金過不足がないようにしていきたいという報告も受けております。そういう意味で機械化を進めるなり、オペレーショナルリスクというんですか、事務リスクとか、そういうものについても、普段のヒアリングなり公社の状況を見ながら、民営化するに当たってゼロに近い状況に持っていきたいなと思っております。
○樋口分科会長 佐野委員、今のご回答についていかがでございますか。
○佐野委員 私はぜひこの1年間、もっと力を入れてコンプライアンスをやっていただくためには、評価が悪いほうが力が入るんじゃないかなというような気がするので、「D」だからバツでどうしようもないというのではなくて、まさに期待を込めた「D」にしていただきたいなと思います。
○樋口分科会長 ほかの委員の方々、どうぞ。
○吉野委員 27ページの先ほどのいろいろな評価のところなんですけれども、若杉先生のほうがお詳しいと思うんですが、財務の健全性という場合に、マーケットがよくいっている場合には、この指標というのは、失礼な話ですけれども、どなたがやられてもよく見えますし、マーケットが悪くいっているときは、皆さん、どんなに頑張っても悪く見える。ですから、この指標に関しては、ベンチマークと少し比較するとか、何らかの比較がないと、運がいい方、悪い方というのは相当出るような気が1ついたします。
 それから、いろいろな部内犯罪というのは、今後もし分かれば、例えば民間の宅配業者で、そういう方がどれぐらいおられるのか、あるいは民間の金融機関で、どれぐらい発生しているのか、それとの比較もぜひやっていただければと思います。
 2点です。
○鈴木総合企画室長 4月の分科会におきましても、利益が上がったときに、その利益が経営努力によるものなのか、あるいは株価とか債券価格の変動による外部的な要因によるものなのか、その辺も踏まえて、そういった要因を除いて分析するようにというご指示もいただきましたので、今回、そういった観点で、できるだけ経営努力が見えるような形で分析をさせていただいております。
 一方で、ご指摘いただいたとおり、指標の設定に当たりましては、民間企業で使っているような指標を定めると、比較がより容易になるという要素もあろうかと思いますので、第1期の目標については公社の設立時に定めておりますけれども、次の第2期の目標設定に当たりましては公社のほうで目標を定めますけれども、どういった指標が適当かということについては、その際に今のご指摘も踏まえて検討していただくようにしていきたいと思います。
 あと、部内犯罪のことでございますけれども、これも委員おっしゃったとおり、民間と比較できると、例えば同規模とか同業種で、どのぐらいの件数があって、何件であるから民間よりは頑張ってやっているという比較が容易にできると大変よろしいんですけれども、民間企業のほうで、その辺の数値が公表されていない部分ですとか、問い合わせてもお答えいただけない部分があって、そういった比較ができない中で、コンプライアンスについて業績評価をするというのが非常に難しい部分は確かにございます。そういう中ですので、常に絶対量としてのゼロを目指すべきという観点で評価を行っておりますので、もしかしたら、民間の数値があると、それとの比較でもうちょっと別の観点が見られるのかなと思いますが、残念ながら民間企業のそのあたりの数値を把握することがなかなか難しいという状況にあることをご理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○梶川委員 今、コンプライアンスが議論になっているんですが、最近、民間企業でも内部統制等、先ほどおっしゃられたオペレーショナルミスというんでしょうか、これは私はコンプライアンスのいわゆる一義的な犯罪的行為と、事務ミスを含む、内部統制的なものに対する不整備とはちょっと分けて、きちっとしたポリシーを持っていただきたいというような気がいたします。さっき簡単におっしゃられたんですが、現金過不足をほんとうにゼロにするというのは目標になるんだろうかと。それをやるためには、ものすごいコストがかかることなんですね。
 今、民間企業でも言われているのでございますが、内部統制の機能のアップというのは、明らかにある種の経営のポリシーに基づいて、ネガティブなリターンを低めるために、そのリスクとリターンのバランスをとって、費用対効果をメインに考えて、ある種、経営のジャッジメントなんだと、それと、犯罪行為を撲滅するということとはある種違うお話でございます。
 これはもちろんパブリックな組織でございますから、民間以上に裁量権は少なくて、かなりコストをかけても事務ミスをなくすんだということかもしれないんですけれども、これは、それなりの負担を、逆に言えばユーザーを含め、利用者を含め、コスト負担をしながら事務ミスをなくすということになりますので、そういう意味で言えば、そこを少しきちっと峻別した基本ポリシーをまず公社に持っていただき、特に民営化に向かって、そこはどこまでを許容するかということはディスカッションの中でご議論をいただく。その上での評価というものをきちっとしていただければなという気がいたします。意識的な犯罪というのはゼロでいいと思うんですけれども、内部統制的な欠陥というものをゼロにするということが、聞こえはいいんですけれども、ほんとうに経営の目標になるのかというのは私いろいろあると思いますので、ぜひその辺はご検討いただければと思います。
○若杉分科会長代理 その点が私も気になっていて、ミスがゼロというのはあり得ないわけで、ちょっと関係ない話をしますと、工場に行くと、よく「無事故何日」と書いてありますね。そういう目標を掲げると何が起こるかというと労災隠しが起こるんですね。つまり、けがなんかしても届けなくなってしまうんですね。所詮それは無理な目標なわけで、小さい数字の中に入っていればいいわけですから、あまりゼロ、ゼロと言わないほうがいい。それは犯罪も同じだと思います。悪いことをする人は必ずいるわけですから、ゼロという目標はいい目標じゃないんですね。かえって間違ったコンプライアンスになる。まあ、言葉のアヤだと思いますけど。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 確かに目標設定するに当たって、どういうポリシーでやるのかというのは非常に重要だと思います。今の段階は極端に数が多いものですから、順調に減ってきているわけですが、最後の少ない数字になったときには、経営者の方々の考え方を踏まえて、最後の目標設定の仕方をちょっと考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○樋口分科会長 ほかにどうぞ。
○斎藤委員 資料1−4の7ページに「郵便局あての苦情を十分把握できていない。そういう体制ができていない」というコメントが上のコラムの真ん中あたりに書いてございます。これは民間の企業で言えば、支店で起こったことが本店に報告される体制ができていないと読みかえていい、同じような中身だと思います。この体制ができていないというのは経営努力が足りないのではないかと感じます。
○鈴木総合企画室長 今の点でございますけれども、16年度の評価の中でお客様の苦情、ご意見等に対する処理として、16年度では本社のCS推進室で各業務ごとに集約した利用者の意見というのが把握できていないという状況にございまして、それを去年の評価で指摘をいたしました。それに対して、17年度では改善している部分があるんですけれども、それは基本的には利用者の方からのご意見というのがコールセンター等に入ります。コールセンター等に入ったものは、コールセンターまたは本社において全部受け付けた利用者の方の声を本社のCS推進室のほうで集約し、分析し、それをフィードバックして生かせるという体制ができたところは昨年に比べるとかなり進展した部分かと思います。
 今ここで次の課題として指摘をしております郵便局への利用者の声ということで、これは基本的にはコールセンターに入りますので、全部本社に入るんですけれども、それでも直接郵便局へのご意見も当然ございまして、郵便局でいただいた意見は、郵便局でのCS委員会、それから支社でのCS委員会がございまして、そこで課題として掲げられたものについて、問題があるとか、こういうことを改善したほうがいいというものは、郵便局に来たご意見についても局から支社に上がって本社に上がりますので、CS委員会で取り上げられたものは本社でも把握できております。ただ一方で、すべての利用者の声が本社に上がっていないという体制があるので、課題があるものは上がっていますけれども、全部が上がるようにさらに改善が必要ということで、郵便局のすべての声を上げるようにという指摘をしております。問題点があるものが全く上がっていないという状況ではなくて、課題があるものは本社まできちんと上がっているということでご理解いただきたいと思います。そういうふうに報告を受けております。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 公社のほうといろいろヒアリングして聞いている話、あるいは金融庁の検査でいろいろ話が上がってくるところを見ますと、まず、郵便局で上まで上げられるべき苦情といいますか、そういうものの判断基準はきちっとなっていないということと、それから、判断基準をきちっと郵便局が理解をしていない。そのために上まで上がるものが上がってきていないというのが、今、私たちが把握している問題だなと思っています。こういう基準のものは全部上に上げろということになれば、すべての情報が本社に上がってくるのではないかなと考えて、今、その是正をするように公社のほうに指導していくところでございます。
○樋口分科会長 この委員会の中で相変わらず残っている問題は、格付けをどうするかということですね、問題のあるものについて「C」まで下げてあるものに対して、佐野委員は将来の警告の意味も含めて「D」まで下げたほうがいいのではないかというご意見もありましたが、これは皆さんはいかがでございますか。気持ちの問題かもしれないし、「D」と「C」でどれほど差があるのか。今まで「D」というのはつけたことがありますか。
○鈴木総合企画室長 ございません。
○樋口分科会長 ないですね。それほどのものという意識でなければいかんのかもわからないけれども、「D」をつけることについて、私のような民間ではややためらうところもあるんですけれども、いかがでございましょうか。皆さんのご意見を集約しておきたいんですが。
○鈴木総合企画室長 もう1点補足してご説明させていただきたいと思いますのは、コンプライアンスでご説明した部分、先ほど貴重なご意見、事務リスクと犯罪を分けてということは、そのとおりで、そういうものも一緒くたに入っている面があるんですけれども、さらに、この部分は中期経営計画の項目に従って報告を受けて、それに対して評価を行っております。この部分については、サービス水準の維持、向上に関する事項ということでございまして、その中でコンプライアンス、部内犯罪も見ておりますし、事務リスクの内部統制も見ておりますけれども、指標として定められた一番大きいものといたしましては、中期経営目標の中で、例えば郵便ですと送達日数の達成率、保険ですと失効解約率というものを指標として数値で定めておりまして、それも含めた評価ということになるものでございます。それらの数値で定めた評価については、先ほどご説明したとおり、過去3年については計画目標以上に達成できているという状況もございまして、そういった諸々の要素を含めて、総合的にサービス水準の維持、向上に関する事項ということで、ここで評価をいただくという形になるものでございます。
 補足までに、ちょっとご説明させていただきました。
○若杉分科会長代理 この評価のイメージというのがありまして、「C」ですと、取組みが遅れているということで、取組みの強化が必要であるということですね。「D」ですと、取組みが遅れている、あるいは取組みをやっているけれども、不適切だから見直さなければいけないということですね。先ほど生田総裁も言っておられましたけれども、今、公社が一生懸命やっているけれども、効果が出るまでに多少時間はかかるということかもしれないので、取組みをしたけれども、減らないから、その取組みはおかしいんだということにはなかなかならないんじゃないかと思うんですね。その辺、佐野委員、どうお考えですか。効果がすぐに出ていないことは事実だと思うんですよ。だけど、取組みが間違っているのかどうかということが今大きな問題なわけですね。取組みは正しいけれども、まだ効果が出ていないんだったら、それは時間の経過を見るよりほかないと思うんですね。そこで「D」をつけたらかわいそうな気もするんですね。
○樋口分科会長 「取組に著しい遅れ」と書いてありますね。だから、著しく遅れているのかどうかというところがポイントのような気がするんです。さっきの話で一生懸命やっているんだけれども、今、若杉委員がおっしゃったように、一定時間かかるものであれば、著しく遅れているけれども、もうちょっと時間で見てあげてもいいのではないかというところが残ってくるんじゃないかと思うんですけれども。
○佐野委員 それはそうだと思いますけれども、今年4年目で最後です。それで、まだ遅れているから様子を見ましょうではなくて、最後の1年間というつもりで申し上げているんですが。
○鈴木総合企画室長 今回の評価は17年度の評価ですが、4年間の目標の3年目の評価でございまして、あくまでも自律、弾力的な経営ということで4年間で目標設定しておりまして、4年間で達成できたかどうか、4年間をまとめて評価するに当たりまして、年度ごとにどこまで進捗したかというのを見るのが、この年度ごとの業績評価の位置づけでございます。
○若杉分科会長代理 それなら「D」をつけて頑張ってもらってもいいですね。来年、「C」とか「B」になってもらいたい。
○樋口分科会長 今おっしゃったけれども、「C」にも計数的にきっちりした「C」というのもないんですよね。今のお話はもちろんあるんだけれども、「D」も計数的にきっちりした「D」というのもないんじゃないんですか。例えばお客様満足度を高めるサービスの充実、失効解約率とかの点はあれだけれども、そのほかのあれでは、サービスの充実ということになるとかなり抽象的になるから、これは計数化がなかなか難しいというところもあるような気もするんですけどね。
○鈴木総合企画室長 中期経営計画の目標を定める中でも、数値的な代表的なものは幾つかそれぞれに設定して、あと、定量的なもののほかに定性的なものもございますので、分科会長にご指摘いただきましたとおり、中期経営計画、それからそれを達成するための年度計画で定めた事項がどこまでできているかと。そのできている度合いというものは、どうしても数値ではなくて定性的にこういうことをやりました、ああいうことをやりましたということを公社にまず自己診断で報告をいただいております。その診断結果について、ほんとうにどのぐらいの取組みができたかということは我々事務的にもヒアリングをして詰めておりますし、また、責任ある公社の総裁代理、理事等から1つ1つ確認の上、定性的なものについてもできているものについてはできているという形で評価をしております。そういった方式をとっております。
○森下委員 いろいろ評価の問題はご意見が分かれていると思います。時系列に見ていくという点から見れば、「B」から「C」というのは相当きついと思うんですね。だから、ある程度時系列で上がったり下がったりするより、「B」から「D」となると2段階落とすことになります。2段階というだけのバックデータが果たして客観性があるかどうかというと、1年目、2年目、3年目の尺度というのを同一とするならば、2段階落とすということは相当きついという見方もできるんじゃないかと。これは一委員としての意見でございます。
○樋口分科会長 ありがとうございます。
 予定の時間を大分超過しているんですが、いずれにしても、これをクリアしないと前に進めませんので、何かありますか。
○斎藤委員 私は「C」を支持したいと思います。と申しますのは、取組みの方向性、ベクトルに間違いがあるとは認識しておりません。所期の効果がどのぐらい上がっているかというところの問題であり、抜本的にこれから方法論を考え直してくださいというメッセージではございませんので、「C」にするのが妥当ではないかと思っております。
○樋口分科会長 特にございませんようでしたら、ただいまのいろいろな議論をこの結果に附記していただくことにして、形としては当分科会としては諮問のとおり答申するということで、それが適当だということにしたい。その内容で総会にお諮りするということにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口分科会長 よろしければ、そのようにさせていただきます。いずれにしても、当分科会での本件についての議論の内容につきましては、事務局において整理していただきまして、総会において当分科会での結論とあわせて報告をすることにしたいと思います。
 次に、諮問第264号、日本郵政公社の重要な財産の貸付け及び譲渡しにつきましてご審議いただきたいと存じます。
○鈴木総合企画室長  引き続きまして、重要財産の貸付け及び譲渡しにつきまして資料2に基づきましてご説明させていただきます。
 資料2−2の諮問書の読み上げは省略させていただきまして、資料2−1のA3の一枚紙によりましてご説明させていただきたいと思います。
 重要財産の処分のスキームについては、これまでも何度かご審議いただいていますので省略させていただきます。
 2の申請の概要のところでございます。まず譲渡しでございますけれども、施設の廃止、利用計画の中止により未利用となる土地、建物は9件(5か所)でございまして、こちらの表の中にございますとおり、青森、町田、岐阜、山口の郵便貯金地域文化活動支援施設についてでございます。これはいわゆる「ぱるるプラザ」と呼ばれておりまして、多目的ホールや会議施設を備えました、地域住民の方々の学習文化活動を支援するための施設でございます。これらにつきましては、これまでの収支率を見て黒字化が見込めないということで平成1810月末で廃止するということで、昨年の10月に公社のほうで廃止について発表済みのものでございます。したがいまして、譲渡時期につきましては、右から3番目にございますような1811月以降の譲渡時期とされておりまして、価額については鑑定評価額以上ということでございます。相手方は未定となってございまして、公的性格の高いものは地元自治体の取得意向を確認して売却が可能ということになってございます。
 9のところにございます守山の簡易保険総合レクセンターの用地でございます。これは滋賀県の守山でございますけれども、スポーツですとかレクリエーションを通じまして、簡保加入者の健康増進を図るための施設でございますけれども、用地は取得したんですが、こちらの公社の経営判断といたしまして、採算性を勘案して、これから建物を建てて、施設を運営するということは経営判断として計画自体を中止したということでございます。地元の自治体のほうからは、周辺地域を含めました土地の利用構想があるということで、市のほうで募集して、応募した業者の中から構想に合致する業者を議会の同意を得た上で選定の予定ということで公社から聞いてございます。相手方については現段階では未定ということで、価格は不動産鑑定士による鑑定評価額以上で譲渡するというものでございます。
 以上が譲渡しの9件でございます。
 下の貸付けでございますけれども、これは2年前にも一度諮問させていただいた事務室の貸付けの継続でございまして、下にありますとおり、かんぽ浅草ビルの中の事務室スペースを民間法人に貸し付けているものでございまして、右から4つ目の貸付期間のところでございますが、1811月から2年間ということでございますが、認可の期間としましては公社の間ということでございますので、公社の解散の日の前日までということになってございます。対価としては有償で、貸付料については周辺相場と同等ということでございますので、譲渡し、貸付け、いずれについても、公社の財産を不当に逸失させるものではないと認められますので、認可することが適当と考えてございます。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○樋口分科会長 ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問等ございませんでしょうか。
○吉野委員 こういう地域の文化活動というのは、いろいろなところで赤字になっておりまして、国有財産も売るところが随分出てきているんですけれども、ただ、これを実際に売却しますと、結局、赤字がそのまま自治体に行くだけのような気がいたしまして、売却されるときには自治体に対してどういうところの経営が悪かったとか、それもくっつけていただいて、自治体がどういう改善をすればプラスになるような施設なのか、そういうところもぜひ入れていただきたいと思います。そうしませんと、ただ赤字のつけかえで、結局は我々国民の税金につながると思いますので、よろしくお願いいたします。
○鈴木総合企画室長 ごもっともなご指摘をいただきましたので、自治体との売却の交渉、それから売却成立に当たっては、これまで運営していた中で問題点とか課題があったら、自治体が引き続きその施設を運営するのであれば、必要に応じこういったところが課題であるということを売却時に報告、お知らせ、情報提供するような形でするようにということで公社のほうにも伝えてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
○樋口分科会長 吉野先生、よろしゅうございますか。
○吉野委員 結構です。よろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 それでは、ほかにございませんようでしたら、諮問第264号につきましては適当と認めて、諮問のとおり答申することとしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口分科会長 ありがとうございました。それでは、そのように決定させていただきます。ただいま決定いたしました答申書の取り扱いにつきましては、事務局で所定の手続に従って取り運んでいただくようお願いいたします。
 それでは、最後の議題でございますが、諮問第265号、郵便の業務等に関する日本郵政公社に対する措置につきましてご審議いただきたいと思います。また、本事項につきましては、郵政行政審議会議事規則第10条第1項に基づきまして、当分科会でご審議いただきました後、当分科会での審議の内容を踏まえまして、来月9日開催の総会におきましてご審議いただき、最終的に審議会としての総務大臣からの諮問に対する答申をさせていただくという取り運びとなっているところでございますので、ご承知おきいただきたいと思います。
 それでは、本件につきまして佐藤郵便企画課長よりご説明をお願いいたします。
○佐藤郵便企画課長 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
 資料3に基づきまして、ご説明させていただきます。本件は「郵便の業務等に関する日本郵政公社に対する措置」と題名がついておりますが、具体的に申し上げれば、日本郵政公社法第60条第1項の規定に基づきまして、日本郵政公社に対して経営改善命令を出すということについての諮問でございます。
 資料全体についてご説明いたします。資料3でございます。資料3−1の諮問書については読み上げは省略をさせていただきます。資料3−2が今回の措置の概要について取りまとめたものでございます。資料3−3は公社法の規定に基づく審査結果。資料3−4が命令案ということでございます。
 それでは、措置の概要について、ご説明を申し上げます。資料3−2、横長の紙をご覧いただきたいと思います。
 1枚めくっていただきまして、1ページでございます。先ほどから何度か話が出ていることでございますけれども、日本郵政公社において郵便の特に収入に関しての不適切な不祥事案が数多く発生いたしました。その左側に主な大きな額のものを挙げてございます。
 一番上は千葉BeeOne内郵便局という特定郵便局の局長が、お客様からもらった別納の郵便料金を受入経理しないで横領してしまったということで被害金額が12億円。これは大変長うございまして、10年以上にわたって犯行があって、16年5月に発覚したというものでございます。
 2つ目の長岡局事案、これは最近、新聞にも大きく報道されましたけれども、新潟県の長岡の郵便局において、大口の差し出される方からの郵便物の通数を引き受け時に適正な形で数をカウントしていなかったために、およそ19か月の間に本来であればいただけたであろう郵便料金と実際にいただいた郵便料金との差が27億円ということになって、27億円収納漏れになったという事案でございます。
 3つ目の福岡渡辺通郵便局事案というのは、福岡渡辺通という、これも特定郵便局の局長が発送代行業者の方に、もちろん郵便であれば、郵便料金表に基づいて、割引についてもその条件に沿って割り引かなければいけないんですけれども、自分で割引料金表を勝手につくってしまいまして、お客様に提示をして郵便物を差し出してもらっていたということで、本来であればいただけたであろう郵便料金との差が6億7,000万円に達したということです。これについては、この局長は既に退職しておりまして、この局長を相手どって、公社において損害賠償の請求訴訟を起こしているということでございます。
 ちなみに、長岡郵便局については、これも何らかの形で損害賠償請求訴訟をするという方向で公社が弁護士と相談をしている。BeeOneについては弁済されたと聞いております。
 このような不祥事案が起こりますたびに、公社においても再発防止策をとっておられます。実際の問題点、お客様から郵便物を差し出していただいたときに通数を適正な手続でカウントしてなかったというところが問題であるようなことが多くて、問題点が比較的共通しているというところはございます。下にございますけれども、防犯指導の徹底であるとか、引受郵便物の検査体制の改善、具体的にはマニュアルをつくって、そのマニュアルに沿って、きちんとやらせるように指導しておりますと公社から報告を受けておりますけれども、この辺は実際にどうなのかということを私どものほうで実際に検査をいたしました。その結果、法令違反とかマニュアルへの重大な違反は認められなかったんですけれども、一番右にございますようにチェックがどうも形骸化しているのではないかとか、本社からの指示が徹底してないのではないかというような内部管理態勢が不十分であるという点が認められたということで、今回、経営の改善を命ずることにしたいと考えております。これが概要でございます。
 2ページに参りまして、公社に対する措置はいろいろありますけれども、法令には違反してございませんので、一番上の法令違反是正命令の対象ではないかと思いますけれども、下のほうにございます一般的な行政指導というよりは、より重い措置が必要ではないかということで、上から2番目の公社法に基づく経営改善命令というのを実際に発動したいと思っております。
 3ページに参りまして、これについての少し中身でございます。黄色い枠の 1)でございますけれども、不祥事件の発生等を受けまして、料金の適正収納、さらに信書の秘密の確保といった郵便物の適正な取り扱いの徹底について要請をしておりまして、それについて公社からも報告を受けております。
 ちょっと飛んでいただきまして5ページを見ていただきますと、公社から具体的にどういう報告を受けたかということが書いております。不適正収納関係では、先ほど申し上げた千葉BeeOne局という事件を受けて、少し小さな字で書いてございます再発防止策というところにありますが、大口郵便物を引き受けたときの差出処理票、監査点検紙、非常に細かいことですけれども、そういったものをつけるという指示事項を徹底するとか、「料金適正収納マニュアル」をつくって、それに沿ってやらせますという報告を受けております。また、今までの中には出てきませんでしたけれども、これも今年になりましてから新聞報道されましたけれども、北海道の島松の郵便局で教育委員会が新しく入学する子供さんあてに入学通知はがきを出したんですが、その裏側をコピーをとってしまいまして簡易保険の営業のために使ってしまったという、まさに信書の秘密を重大侵害したという事案です。これに対しても、信書の秘密の重要性を職員に改めて徹底するようにという指示文書を本社は出したという報告を受けております。
 それについて、私ども総務省のほうでも、これがきちっとできているのかというのを実際に確認するために、公社法に基づきまして立ち入り検査を5月に行いました。
 3ページに戻っていただきまして、黄色の部分の残りですが、さらに公社からの報告によれば、長岡等での事件があって、対策を講じた後でも、先ほどから話がございますように、料金不適正の収納事案というのは根絶に至っておりません。
 6ページに飛んでいただきますと、その辺を書いてございます。公社発足後、平成15年、16年、17年の3年間で通数確認がきちんとできていないという不適正収納事案が9件、 2)にありますように不適正な割引率を適用してしまったという、これまた不適正事案が10件、そのほか、まだ調査中の件が9件ということで、依然、根絶には至っていないということでございます。
 そこで、3ページにまた戻っていただきまして、以上のことから、まだ別後納郵便物に関する不適正収納事案の再演防止、一般的にさらにコンプライアンス徹底の取組みが十分とは認められないと考えております。
 なお書きは国会からのお話でございますけれども、国会の参議院でこの件も取り上げられまして、7ページにちょっとつけてございますけれども、決算に関する決議において、本件について取り上げられまして、公社に対して法令遵守の徹底、内部監査のさらなる充実、この種の事案の再演防止に向けた具体的取組みを強く求めよと決議されております。
 以上から、公社に対して、公社の経営の健全性を確保する上で特に必要があると認められることに該当するのではないかと考えております。
 4ページが具体的に命令の内容でございます。
 1番として、別後納料金収納に係る二重チェック体制を実効あらしめるよう内部管理態勢を充実・強化させること。2番として、本社及び支社において、郵便局における業務運営の状況を的確に把握し、適切な対応指示を行い得るよう内部管理態勢を充実・強化させること。本社からの指示が徹底されるよう内部管理態勢を充実・強化させることを含む。3番として、検査の過程において判明した「料金適正収納マニュアル」等の不備について必要な見直しを行うこと。法令等遵守態勢の抜本的な見直し・改善を図ること。そして、1から4について講じた措置について1か月以内に報告をすることを命じたいと思います。
 以上が措置の概要でございます。
 次の資料3−3でございますけれども、これに基づきまして、日本郵政公社法第60条第1項の規定に該当するかということを審査した紙が資料3−3の1枚紙でございます。左側の審査事項の下線が付してある部分、まず、公社の経営の健全性の確保をする上で特に必要と認めるとき、該当するかでございますが、右側にございますように、総務省が行いました立入検査の結果、責任者によるチェックが形骸化していると疑われるなど、内部管理態勢が不十分であることなどが認められました。また、日本郵政公社からの報告によれば、長岡局において不適正事案が発生し、27億の収納漏れが生じ、それに対する対策が講じられた後も根絶には至っていないということでございまして、日本郵政公社において別後納郵便物に係る不適正収納事案の再演防止の取組み、法令等の遵守の取組みが十分であるとは認められないということで、公社の経営の健全性を確保するために特に必要があると認められると思います。
 その下のほうですが、経営の改善に必要な措置に該当するかということですが、命令の内容は別後納郵便物料金収納に係る二重チェック体制を実効あらしめるように内部管理態勢を充実・強化させること。本社・支社において郵便局における業務運営の状況を的確に把握し、適切な対応指示を行うように内部管理態勢を充実・強化させること。法令等遵守態勢の抜本的見直し改善を図る等、別後納の郵便物に係る料金の適正収納の確保など、郵便の適正取り扱いの確保を目的とするということでございまして、経営の改善に必要な措置であると認められると思います。
 以上の審査に基づきまして、いずれも該当するということで命ずることが必要であると認められると思います。
 次に、資料3−4が命令の案でございます。命令の内容については先ほど申し上げたとおりの5点を記の下に並べております。その上の部分については今まで申し上げたことの簡単な説明になっております。
 以上、命令をしたいということで諮問をさせていただきます。よろしくご審議をお願いいたします。
○樋口分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、皆様のほうから何かご質問、ご意見等はございませんでしょうか。
○田尻委員 ただいまのコンプライアンスサイドからの問題提起というよりもちょっと広がってしまうんですけれども、いよいよ民営化まであと1年少しになってまいりまして、その間のトランジションが円滑かつ正確かつ適正に行われるかどうかというところが問題になってくる段階だろうと思います。先般、この場でも申し上げた国有財産等の承継に関しては、別の機会にいろいろご回答もいただき、了解いたしておりますけれども、これからお役所がお考えになるべきことは、過去の公社が民営化されたとき、あるいはいろいろな事業を民間に承継したときに、加入者、利用者、預金者、あるいは地域社会の利益はどのように守られたのか、損なわれたのかということを、その観点から、いわゆるトランジションのプロセスをきちんといかにモニターしていくかということを当局としておやりになることが最大のこれからの課題じゃないかと思うんですね。
 今日はそのことを議論するつもりはございませんけれども、今問題になっております国民年金のさまざまな問題も、地方自治体から国が承継されるとき、さらには手書きの時代から電子化に送る時代に相当数の間違いやら、いろいろな問題が起きて、それが今日、非常に国民的な不満を高めている1つの理由になっているわけですね。そういう意味では、ぜひとも当局のほうで、NTTJRや社保庁等の当時の監督当局が何を見ていて、何を見ていなかったから、どういう問題が起きたのか。その辺の洗い出しをぜひお願いできないかなと思います。
 これまで郵政事業は国家の直営事業から事業庁、公社と目まぐるしく変わってきたわけですけれども、来年秋に起きますことは、事業体そのものが6つにばらばらになると。担当者も大きく入れかわってしまうということでございますので、資産の承継のみならず、事務帳票類から、債権債務はもちろんのことですが、地元とのいろいろなお約束事、あるいはサービス等々、相当数、過渡期にいろいろな混乱が予想されるわけですね。ですから、そういう意味で何を見なければならないのか、それをどのようにモニタリングしていくのかということについてのスキームを、ぜひきちんとしたものをまとめ上げていただけないか。いずれ、その内容については、この場でもご説明いただけないかなと思います。
 最大の関心事は、システム対応がうまくいくのかどうかということなんですけれども、そういう目に見える部分はいいんですが、後になってとんでもないことが起きていたという目に見えない経過期の問題が非常に大きな漏れを起こすかと思いますので、その辺も含めてご検討いただければという要望でございます。
○樋口分科会長 ありがとうございました。
 ほかにご意見はいかがでございますか。それでは、時間が押しておりますので、ほかに特にご意見がないようでございますから、本件諮問第265号、郵便の業務等に関する日本郵政公社に対する措置につきましては、当分科会としましては諮問のとおり答申することが適当ということで総会にお諮りすることとしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口分科会長 ありがとうございました。それでは、そのように決定させていただきます。
 また、当分科会での本件に関する議論の内容につきましては事務局において整理していただきまして、総会において、当分科会での結論とあわせて、私は当日欠席になっておりまして、若杉代理になると思いますが、からご報告することにしたいと思います。
 それでは、以上をもちまして本日予定いたしておりました議事はすべて終了いたしましたので、閉会とさせていただきたいと思います。
 なお、この後、私は記者会見を行いまして、本日の議事の模様を公表したいと存じます。
 委員の皆様方には、本日はお忙しいところをご出席いただき、また遅くまでおつきあいいただきまして、ありがとうございました。

閉会



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