会議資料・開催案内等



郵政行政審議会 日本郵政公社経営・評価分科会議事次第



開催日時     平成19年2月14日(水曜)
午後3時00分から午後4時50分まで

開催場所     総務省 第3特別会議室(9階)




議事次第


  1.  開会


  2.  日本郵政公社の第二期中期経営目標及び中期経営計画について
     (日本郵政公社生田総裁説明)


  3.  日本郵政公社の第二期中期経営目標及び中期経営計画の認可
     〔総務大臣諮問第273号〕


  4.  閉会

    * 配布資料一覧

    (日本郵政公社生田総裁説明関係)
      資料1 第1期中期経営目標期間(平成15年〜18年度)の経営状況
      資料2 第2期中期経営目標・計画について
      資料3 民営化準備の進捗状況
      資料4 内部統制の強化
      参考資料 三事業の利益等の状況
    (総務大臣諮問第273号関係)
      資料 日本郵政公社の第二期中期経営目標・計画の概要及び審査結果
          諮問書 総務大臣諮問第273
          日本郵政公社の第一期中期経営目標と第二期中期経営目標の比較







出席委員の氏名及び出席委員数


分科会長

      樋口  公啓
委員

  梶川   融
委員

  斎藤 聖美
委員

  佐野 真理子
委員

  柴田 昌治
委員

  田尻 嗣夫
委員

  村本
委員   米澤 康博


                           出席委員数 8名







出席した関係職員の所属・氏名


郵政行政局長

須田  和博
郵政行政局総務課総合企画室長

鈴木 信也
郵政行政局総務課郵政事業連絡調整室長

小方 憲治
郵政行政局郵便企画課長 佐藤 克彦
郵政行政局郵便企画課国際企画室長 玉田 康人
郵政行政局貯金企画課長(併)保険企画課長 淵江
郵政行政局保険企画課保険計理監理官 豊嶋 基暢
郵政行政局検査監理官 大高 光三
     
日本郵政公社総裁 生田 正治
     
( 事務局 )
郵政行政局総務課長
原口 亮介







審議内容


開会

○原口総務課長 審議の前に、マイクの使用方法でございますけれども、ご発言される際には、マイクの横にございますTALKボタンを押していただきますとランプが点灯し、マイクが入ります。なお、ご発言が終わられましたときには、もう一度TALKボタンを押していただいてランプを消していただければと思います。
 それでは、分科会長、よろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 それでは、ただいまから郵政行政審議会第12回日本郵政公社経営・評価分科会を開催いたします。
 本日は、委員15名中8名がご出席でありまして、定足数を満たしております。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日は、日本郵政公社の第二期中期経営目標及び中期経営計画の認可について審議を行いますが、それに先立ちまして、同公社生田総裁から同公社の第二期中期経営目標及び中期経営計画について説明をお受けすることにしたいと思います。
  それでは、生田総裁よりご説明をお願いいたします。
○生田日本郵政公社総裁 日本郵政公社の生田でございます。我が郵政事業のために、また、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 今、分科会長がおっしゃったように、第二期中期経営計画の内容についてということなんだけれども、たった半年のことでございまして、それだけ話してもあまり面白くないのではないかと思うので、第一期の総括的なことのほうをむしろお話しして、その次に、それを受けて二期をどうしようとしているかということを、たった半年分とはいえ、一応、きちっと整理をしていますので、そこを簡単に触れて、3番目に、民営化に向けての今、準備体制の中で、日々これでもう追われているわけですが、どういうことを主に考えながらやっているかということをかいつまんでお話しいたします。与えられているのが20分なので、大変難しいんですけれども、かなりはしょりますから、もしご疑問があれば、また質問のところでご案内したいと思います。
 まず、第一期中計の総括的なことを申し上げますと、公社がスタートしたのは2003年4月ですが、小泉総理からは「民間的手法でお願いします」という、たったワンフレーズでございまして、あとは自分の手探りでやってきているわけでありますが、ところが、公社法を見ましても、自律的・弾力的経営によって独立採算でやれと書いてあるわけでありますから、まさに普通の会社のように経営するのが総理のご下命でもあるし、法的なニーズであると私は考えてまいりました。
 したがって、キーワードは、官と全く異質のところに展開していくという意味で「創造」──想像たくましくする「想像」ではなくて、創造力豊かな「創造」のほうですけれども、「創造」というキーワードで参りまして、民間の会社と同じような経営手法で、まず経営していくのにフレームワークといいますか、土俵が必要だと思ったので、「経営理念」というものを4月1日スタートの初日に示しまして、それから「行動憲章」、それから「環境基本宣言」という3つを示して公社の今後の経営の土俵をつくりまして、その上に、同じく4月1日に公表したのが「経営ビジョン」、より具体的な経営をどうやっていくかという「経営ビジョン」と、経営戦略及び戦略体制とそれを達成していくための「アクションプラン(行動計画)」というものを出していくわけであります。その内容を触れておりますと時間がかかるから、パスしてまいります。
 経営のフレームワークは、理事会がありまして、これは19名で、今、運営しているわけでありますけれども、これは16名の理事プラス総裁、副総裁2名、合計19名ということなのでありますが、これは私は株式会社で言えば取締役会と位置づけまして、ガバナンスのための組織と位置づけました。したがいまして、19名中4名は全く外部から招聘いたしまして、慶應の池尾教授とか、一橋の石倉教授とか、アサヒビールの瀬戸さん、ホンダの宗国さんというふうなことで外部の独立理事に入っていただいてガバナンスを見ていただいているということで、実際の経営は、これは公社法上、そんなもののアイデアはありませんし、官には本来なじまないのですが、執行役員制をとりまして執行役員28名で経営をしている真っ最中であります。
 ガバナンスのためにも、また、経営ビジョンを実現していくためにも、戦略的取り組みが必要だと思いましたので、公社、3事業をやっていますけれども、銀行、保険、郵便と、それも横断で委員会制度を持ちまして、私が議長を務めております経営委員会、経営戦略委員会と毎週やっておりますが、その下にガバナンス・コンプライアンス委員会とか、調達委員会とか、地域ネットワーク戦略委員会とか、ヒューマン・リソーシズ、CS委員会、IT、環境、広報、危機管理、投資委員会みたいな10の委員会を持って、色々な経営課題をスクリーンにかけているというところであります。また、スタート以来、徹底した情報開示に努めております。したがいまして、経済界などの集まりに行きましても、おまえが入った瞬間に事故や犯罪が増えてどうなっているんだと聞かれるのですが、それは情報開示を徹底しましたので、細大漏らさず公表しておりますので、新聞だけで件数を拾っていただくと随分増えたのでありますが、実態はその逆をいっているというふうなことをしております。経営のデータについても、すべて発表しているということでございまして、概観といたしましては中計第一期4年につきましては、初期の数値目標は全部達成してきたというところであります。
 実は、中期経営計画は、これは政府からいただくものですから、もちろん大事にはしておりますけれども、それとともに実際の経営は、「アクションプラン」という行動計画をきめ細かくつくりまして、その数値目標を見ながら経営をしていると、こういうところでありまして、その「アクションプラン」も達成し、中期経営計画も達成したというのが概観であります。
  簡単に見ていきますと、郵便事業は年々取扱量が減るのです。これは、きのう、ドイチェ・ポストのツムヴィンゲル社長とも話したけれども、ドイツでも減っています。eメールがだんだん発達していますので、大体郵便は年率4%、日本でもドイツでも減るんですけれども、そういうものは減ってくるのを何とか食いとめないと、郵便事業はいわばろうそく病になると考えまして、競争分野であるダイレクトメールとかゆうパック等に注力するということで、やっと今、売上減少に歯止めがかかってきているということでございます。お手元の資料が、それを示していると思います。1段目の収益を見ていただいたらいいんですけれども、最初の2年目のところは、それまでの傾向をたどって、やっぱりどんどん減っていますけれども、3年目からは歯を食いしばって歯止めがかかっているのが見えるかと思います。
 公社化のときは5,800億円の債務超過、おまけに毎年の損益P/Lは赤字構造という、まさにもう破滅した状態で引き継いだわけでありますが、おかげさまで初年度から、売上高からすればほんの誤差の程度ですけれども黒字を出すことができまして、債務超過は、今は5,800億円から5,200億円ぐらいまで減少しているという段階であります。
 ただし、黒字はほんの端数程度出ると申しましたけれども、決して黒字構造になったわけではありませんで、まだ本質的にかなり大きな赤字構造にあると認識して、現在、努力中と。すなわち、郵便に関しましては短期策、できることは何でもやるということで、商品性の見直しとか、ゆうパックも、もう昔の公社化前のゆうパックとは全く別の商品になっていると思います。料金も容積どりにしていますしね。当時は重量どりでしたし、サービス品質も、二流だったんですけれども、今は大体一流の分野の末席には達したかというところまで来ております。
  それから、翌日配達のエリアを拡大するとか、コンビニさんが認めてくださって多くのコンビニさんが店頭に置いてくださるというようなこととか、百貨店物流に入れていただくというようなことで努力をしてきている、こういったことが短期策であります。
 長期策といたしましては、1つは、これは基本的な根本療法、構造改革になるわけでありますが、「ジャパンポストシステム」と言っておりますけれども、集配区分の作業体制というものを「ムリ・ムダ・ムラを廃する」という理念で全国的に大きくつくり変えてきております。既に稼働しておりまして、モデル局で一番進んだ局では、もう35%ぐらい生産性が改善しておりまして、その次の第二陣の1,000局で大体23、4%改善してきております。これは、あと1、2年かけまして、全体がおよそ30%、突出するやつも出てきますけれども、押しなべて30%ぐらい改善するようになっていくと思います。
  2番目に、集配再編を今やっております。これは約半世紀前に高速道路のない時代に、自転車と徒歩、このベースでできていた全国4,700ぐらいになる集配拠点を、やはり高速道路ネットワークがあって、今、歩く人はあまりいませんよね。バイクと自動車というベースで組みかえるということで、1,100程度の統括センターと2,600程度の配達センターに組みかえていくという作業をしておりまして、これはお客さまの利便性はいささかも落とさない、これはもう大前提です。その中で、内側の作業工程を合理化するということですから、本来は地方自治体のご了承をいただく問題ではないのでありますけれども、我々は地域と共生するという強い信念と今までの伝統がありますので、各地方自治体、約667の地方自治体が関連するんですけれども、そこのご了解をいただきながら進めるということをやっておりまして、大体667分の大ざっぱに言うと650ぐらいには住民説明会等を実施済みで、あと15、6か所となっています。ただし、その15、6か所のうちも、3か所を除いては、イエスとは言わないけれども、住民に説明してくださいとおっしゃっているので、今、進めています。3番目には「郵便局改革マスタープラン」ということで努力してまいったわけでありますが、郵便局の制度そのものをアップデートするというふうなこともやっておりますし、4番目に、現在、これはまだ大きく芽は吹いておりませんが、昨年の4月に法律を改正していただきまして国際物流に進出が可能になりましたから、それの助走をして、近い将来それをやっていこうというふうなことが根本療法であるということであります。
 そういった結果で、そこに表が出ていると思いますが、当期純利益の状況を見ますと、初年度が263億円、次年度283億円、17年度103億円と、民営・分社化経費等を除く利益ということで出ておりますね、一番下の段ですね。それで、18年度の見通しは91億円となっておりまして、それを全部足しますと741億円、一番右端ということでありまして、民営化などを除く利益ですね、741億円。これが中計をつくったときの前提ですから、中計で500億円以上出せというのは、一応、達成したことになるということになろうかと思います。
 ただし、実態は、民営化対応で随分投資を始めておりますし、減損会計も適用していますから、人工的に損を計上しているのが出ておりますから、当面の当期純利益は下から4番目の数字になる、こういうふうにお読みいただければいいわけであります。
 貯金の分野でありますが、これはよく新聞などに1兆1,000億円利益が出たとか、1兆2,000億円とか、「肥大化」とか「利益出過ぎ」なんて書かれるんだけれども、それはもう表面づらだけを見た非常に間違った見方であることは自明でございまして、実は利益率は非常に悪いわけです。民間の金融機関等に比べますと、大体、イメージ的には民間の2分の1の利益率と思ってください。200兆円のお金持ちながら、利益率が2分の1ないしはそれ以下だということは、公社、郵政事業としても非常にむだなお金の使い方をしているわけです。
 なぜ悪いかって、さぼっているわけではなくて、公社法による規制で民間並みの運用ができないから、やむを得ずそうなっているんですね。ほとんど国債、地方債を持っていますから、やむを得ずそうなっている。だから、それは、郵政事業としてもマイナスでありますし、日本国マクロから考えても、それだけ巨大な資金というものを生産性悪く持っているということは、日本国の富の喪失という面から見ても、大変大きな損を今出しているわけでありますけれども、それは民営化によって改善されていくと、こういうふうになるわけでございまして、そういうことを頭に入れながら見ていただきたいと思います。多分、1ページだと思います、当期純利益の状況というのがありますが、当期純利益、一番上の数字は2兆2,000億円とか、1兆9,000億円とか、飛びはねていますね。この飛びはねている理由は、金銭の信託運用利益、まあ株が上がったかどうかで随分振れるんですよ。そこで、民営化、それから、さらに加えて民営化対応の費用と減損損失があると。特に民営化対応では、17年度に3,020億円も使っている。これは日本郵政株式会社に出資したからです。あそこの資本金3,000億円は私どもの資金から出しているというところでドーンとあるんですが、こういう数字が入っている。したがいまして、民営化対応や減損を除く、民営化などを除く利益というのが下から三番目にあります2兆2,755億円。この欄が一番実力で、これが中期経営計画と比較すべき数字でありまして、第一期合計で6兆4,432億円ということでありまして、中期経営計画が3.9兆円以上ですから、十分これをクリアしているということになると思います。これが対比すべき数字であります。
 それで、その後、わざわざ2行を加えているのは、この事業というものはいかに株価に左右されるかということを視覚的に見ていただくために数字を置いたわけでありまして、下から2行目が、株価で利益が出たり、あるいは18年度に多少損すると、このぐらいの金額になります。それを差し引くと、丸裸の実力になるわけですよね。丸裸の実力。それを見ると、毎年大体1兆円で来ているんだけれども、1兆円から1兆2,000億円で今までは。だけれども、資金量はかなり減ってきていますからね。19年度からは資金量が減ってきた分だけ1兆円を切り始める、こういうコースに入ってくることを意味しているというふうにごらんいただければ結構だと思います。
 先ほど言いましたように、例えば経営指標で見ますと、対預金、預かっているお金ですね、それに対する利益率で見ると、17年度決算で見ると、郵貯が0.53%、三井住友が1.27%、三菱東京が1.08%というふうに生産性が悪いということが証明されるかと思います。
 片や、郵便貯金の部門でやっております投資信託は結構伸びておりまして、スタート時、1710月にスタートしたのでありますが、おととしの10月、575局で始めたのが、現在、1,153局になっておりまして、公社の間に1,550までもっていきます。約1万2、3千人のちゃんと資格を持ったスタッフがこれに当たっておりますし、あと2万人ぐらい予備軍がいます、必要となれば。今、販売金額がちょうど6,000億円ぐらいでありますが、扱っている商品は6社9商品ということで、もう数カ月でさらに商品を2、3加える予定でおります。残高見通しは、3年目で約2兆円、5年目で5兆円ぐらいかなと考えております。
 これは、非常に手がたく、販売促進などを一切厳禁しながら、CSR、コンプライアンス、説明責任を果たしながらしっかりやらせておりますが、それでもマーケットそのものがだんだんこれによって拡大してきまして、今までやっていらっしゃらなかったような定額貯金のお客さまが定額よりはこっちにしようかというような格好で、投資信託の市場そのものを創出している、拡大しているという、非常にいい形で、今、業績が伸びつつあるというところであります。
 ちなみに、他の皆さんのものを奪っているのではなくて、他の銀行その他お売りになっているところも伸びて、我々も伸びているというか、新しい市場を創造しつつあると。だけれども私どもはローリスク・ローリターンでやっていますから、だんだんそれになれて、もう少し多少のリスク、だけれどもベター・プロフィットをねらわれる方は銀行等にいらっしゃるということで、全体の市場に非常に良いインパクトを与えていると考えております。
 最後に簡保でありますが、簡保は金利上昇のいい影響を受けました。ちなみに郵貯は、金利が上がると難しくなるんですよ。要するに定額貯金を契約して6カ月過ぎたらいつでも預け入れかえしていいんですよ。定額と言いながら、10年契約ということですね。半年したら、何回入れかえてもいいわけで、金利が上がってくると、預け入れかえをされるわけで、現在、それが今、起こっている最中なんですけれども、そういった意味で、あまり急激な金利上昇は定額貯金のほうを通じて郵貯にはネガティブなインパクトなんですが、簡易保険はこれは非常にシンプルに、運用の面でそのいい影響を受けておりまして、三利源、死差・利差・費差というのが、生命保険会社の中で簡保だけが常に赤字だったのでありますが、2年ほど前倒しして、この中間期から三利源が黒字化いたしました。もちろん、利差部門は赤なんですけれども、死差、費差を加えますと、800億円の利益がこの3月期に出る見込みでおります。
 簡保のほうも、その内部留保積増の状況を見ていただいたらいいのでありますが、ここはちょっと会計基準といいますか、会計の手法が違って、利益という格好で出さないで、利益等に相当する部分は配当する、あと残りは内部留保の積み増しという格好で出ますので、内部留保積増というのは、すなわち当期利益と思っていただいたらいいわけでありますけれども、順調な利益を出しておりまして、民営化などの費用を除く積増額は、一番下の右側でありまして、2兆2,774億円ということで、中期経営計画、政府からいただいている目標値は3,000億円でありますから、10倍近くの実質利益を出させていただいた──10倍じゃないですね、7倍ですか、ということが言えるかと思います。
 そういったことで、今もご説明しましたように、3事業とも、一応、中期経営計画の数値目標は達成させていただいていて、多分といいますか、そうなると思います。最後締めた後で、1期4年で中期経営計画上は想定していなかった国庫納付という事態になるだろうと。我々は、本来、8兆円か10兆円ぐらいの資本金を持ってスタートすべき事業だったわけですが、1兆3,000億円だけ資本金を持たせていただいて──1兆2,000億だ、持たせていただいて、あとは事業税、法人税を払わなくていいから自分で積めと言われて、大体、それを今まで積んできたわけです。だけれども、中計では、必要とする限度まで達しないだろうという想定であったと思うのでありますけれども、したがって、予定されていないんですけれども、約6兆円かな、正確な数字が必要であれば後でお知らせしますが、今期はこの上限をかなり超えてまいります。本来その上限までは無税で自分で資本に積むわけで、それがとりもなおさず今度民営・分社化するときの各社の資本金になっていくわけですけれども、それを突き出た部分は50%国庫納付ということになります。民間の事業会社と比較しまして、民間は納税実効税率が約40%のはずですから、我々の場合は実効税率50%ということで、より高いパーセントで国庫に納付させていただくということになると思います。その数字が幾らかというのは、いろいろ思惑とかいろいろなものが入る可能性があるので、あまり公表しないことになっているので、ご遠慮させていただきます。
 というのが総括でございます。それを受けて第二期になるわけでありますが、実は第二期のところは、私が残っているのかどうか、まだ私の任期は今、3月末までなので、こういうことを申し上げる立場に本来ないわけでありますけれども、ほかにいませんから、私がかわりまして第二期の問題についてご説明させていただきます。
 第二期というのは、10月までの民営・分社化までの6カ月間の計画なので、その期間に特段何か思い切りビジネスモデルを変えたり、大型プロジェクトを組んで何かどーんとやろうというのは私はふさわしくないと思っております。むしろそれよりも、第一期の延長線上でとらえまして、課題としては健全でよい民営・分社化実現のために万全の準備を行うと同時に、与えられた要件の中で最善の経営をして実績も上げるということに尽きると思います。
 実は公社内では、「アクションプラン・フェーズ1」というのは平成1516年度2年をカバーしたアクションプランで、これは達成してきているのです。それから、1718年度、「アクションプラン・フェーズ2」、これを今、この3月期で終えようとしているのです。あと半年ですから、フェーズ2の2年間プラス6か月という感じで実践的に取り組みをしている真っ最中であります。
 第二期は、経営の健全性の確保、サービス水準の維持及び向上、内部統制の強化、新会社への円滑な移行、この4項目を柱といたしております。ここに紙が配られていると思います。
○原口総務課長 資料2をごらんください。
○生田日本郵政公社総裁 配られていますね。
 第一期に引き続きまして郵便局ネットワークを通じて事業を総合的かつ効率的に発展させていくとともに、民営・分社化を確実に実施するために、民間企業に求められる水準の業務品質・コンプライアンスの徹底、そういった内部統制の強化とか、情報システム対応、業務の移行準備など、とにかく民営・分社化を成功裏に導くために最善を尽くしたいと、こう思っております。
 特徴的に申し上げておくべきことは、民営化を控えておりまして、共済整理資源なんですが、これは厚生年金をやっていませんけれども、民間的に考えれば、厚生年金の原資みたいなものですね。これは今までは毎年費用処理していたんですけれども、民間の通常の会社は、今は全部引当金ベースでやっているはずなんですね。民営化になるのに備えまして、公社の間に一括負債計上して引当金にしてしまいたいと、こう考えております。19年度からは退職給付引当金に含めて計上すると。これらに伴いまして、1.3兆円特損を計上させていただくということであります。
 それから、3事業の経営見通しは、そういった共済整理資源や民営・分社化経費、減損損失などの特殊要因を除いて通常の自然体で見ますと、貯金の事業が今まで財務省にお預かりいただいて若干割り増しで金利を払ってもらっていた預託金が償還されますから、預託金利息の減少などによりまして、18年度中間決算と比較して1,000億円程度減少するというのが特徴的かなと思いますが、郵便事業の損益、保険事業の内部留保積増、実質利益ですね、これについては、出ている数字は18年度決算数字を多少上回る計画になっていますが、率直に言えば横ばいでいくということであります。民営・分社化が健全な経営基盤のもと、最善のスタートを切れるように、なお一層増収とコストの削減に努めたい、で、この数字は実現したいし、目いっぱいやれば実現できるだろうと、こう考えているところであります。
 最後に、民営化準備のための進捗状況について多少触れます。
 一昨年1014日に民営・分社化法案が通った後、私は全軍に民営化準備のための基本4原則を示しました。1は、法律上、もし作業が遅れたら6か月間ずらしてもいいことになっているんですけれども、それは使わないと。それはあくまでも天変地変のときのコンティンジェンジーとして備えてはおくけれども、10月1日に何が何でも実現しようと、そのためにあらゆる手を打とうということが1番。2番は、法律や附帯決議、国会審議での答弁、総理も、竹中さんも、随分お答えになりました。私も191回答弁に立たされております。そこでお約束したこと、こういったものは誠実に守っていくということであります。いろいろなことがカバーされていますけれども、象徴的にどんなことかと言われれば、ユニバーサルサービスを実質的に維持する。そのために必要な郵便局ネットワークは大切にしていくというふうなこととか、地域貢献もしていきます。それから、従業員を就労条件も含めまして適切に引き継いでいくというふうなことだとイメージしていただければアバウトカバーするかと思います。
 それから、3番目の原則は、郵便局会社というのは、ちょっとこれは世界にも類を見ない新しいビジネスモデルで、銀行や生命保険を真っ二つに製販分離してやっていけるのかと。郵便もそうなんですけれども、新しいビジネスモデルでありまして、疑念なしとはしないわけであります。ただし、これは小泉さんの強いご意思でそうなっているわけでありまして、やるからにはこれを絶対成功させなければいけないから、これが立派に経営できて、で、3事業の代理店として機能するように制度設計していこうということであります。
 4番目は、情報システムの整備でありまして、本格対応には約5年を要しまして、4,200万ステップスの作業が必要なんですが、どうしても07年に民営・分社化を実現したいという政府の強いご意思で、なかんずく総理の強いご意思でやることになったので、全部はできないので、逆に07年までにできる、この10月までにできるシステムでもう暫定対応でスタートしてほしいと、こういう取り決めになっています。私は、それでカバーし切れないところは、必要に応じて法的・行政的セーフガードを張っていただくという条件をつけまして、それは総理、竹中当時の担当大臣ともに、それは当然でしょうということで、そういう理解のもとにやっているのですが、1,700万ステップスあります。1,700万ステップスだけでも半端じゃない工程なんです。NTTの民営分社化が2、3年かかったと聞いていますが、そのときの工程は500万ステップスでありますから、我々は2年間で1,700万やろうとしているので、これを実現、とにかくやろうという、この4つの原則を示しております。
 こういった何か問題が出てくると、この4つの原則に照らして整理して、これはやろう、これはできない、というようなことで今整理してやってきておりまして、おおむね極めてきしみながら、大変苦労しながら、ほんとうに職員はよくがんばってくれると思います。涙ぐましい努力をしてくれています。その結果、おおよそ10月1日は可能になってきていると思います。
 民営・分社化まで大きなマイルストーンは3つあると思うんですが、1つは全職員に対する帰属会社の内定で、255,000人います、1月22日までに全職員に内定を通知しました。今、それで異論のある人の苦情を受け付け中ですけれども、1つの大きな山を越した。2つ目は、今まさに取りかかっている3月1日までに決定される延期、先ほど触れた6か月延期するかどうか。延期の要否判断に絡む作業でありまして、これは郵政民営化法の附則第3条にあるわけであります。もしシステム開発などが大きくおくれたら申し出なさいということになっているわけでありますが、それができるかできないかというのを政府に3月1日までに日本郵政株式会社が報告することになっておりまして、今の手順といたしましては、来週の我が社公社の経営委員会で最終審議いたしまして、それで来週水曜日、21日の公社理事会で社外役員の方も含めましてもう一遍検証していただいて、それでオーケーになれば、日本郵政株式会社に直ちにその内容を報告しまして、日本郵政株式会社は日本郵政株式会社の立場で約1週間それを検証した上、3月1日までに政府に提出する、こういうことになってきているわけであります。もう再三モニターし、議論し、検証しているわけでありますが、中抜きで申し上げますと、できるという報告を日本郵政の方にすることになると思います。外部のアドバイザリーメンバーという方にも5人入っていただいておりまして、東京大学教授の飯塚さん、日本品質管理学会の前会長でいらっしゃいますね。それから河合さん。これはプロジェクト・マネジメント学会の理事で、研究委員会の委員長をしておられますし、鶴保さんは元情報処理学会の会長で、独立行政法人である情報処理推進機構の主力メンバーでいらっしゃるとか、それから公認会計士協会・IT委員会委員長の中山さんとか、トヨタのCIOをやっていらっしゃる天野常務などに見ていただいていまして、先週見ていただいたんですけれどもね、彼らは極めて実質的に、実践的に見てくださるんですけれども、いけるという心象をくださっていますし、必ずできるとおおよそ断言できると思います。来週、そういう手順を踏んで出します。で、3月1日までに政府はそれを受けると、いよいよ10月1日に移管していくことが公的に決まるということになるわけであります。
 3つ目の節目とは、実施計画の作成でありまして、これは4月末までに認可申請が必要でありまして、職員の帰属、今、調整を一部しております、苦情申し立てがあった場合の調整をしております。それから、資産・負債などの帰属、業務委託契約、見なし免許、簡易局関係の手続など、これは日本郵政株式会社から政府に出すと。作業は私どもでほとんどやっていますが、日本郵政株式会社から出してもらうということになろうかと思います。これもイメージ的に申し上げますと、大型トラック約2台分だそうでございますので、大変な作業だと考えております。
 最後に、内部統制についてお話しいたします。
 民営化準備で最も重要なのは、内部統制の強化であると考えております。民営・分社化を展望すると、部内者犯罪、不適正事案、事務ミスなどが多発している公社のコンプライアンス、業務品質の現状は、まだまだ民間企業として求められる水準とは距離がある、こう認識しておりまして、この解決には、とにかく経営陣がほんとうに陣頭に立って自分が先駆けてやらなければいけないと、こういう認識でおりまして、昨年の5月に関係役員で構成する内部統制強化本部をつくりまして、山下総裁代理をそれにもう直接充てまして、日常業務として取り組み中であります。この計画達成のために経営資源を重点配分ということで、要員だけ見ましても、要員を2,100人、そのために増員しております。また投資額は、余分の投資額ですね、途中で決めた1,500億円投入するというふうなことで、特に部内者犯罪の防止、現金過不足事故の防止、郵便収入の適正管理、保険募集管理態勢の整備、この4項目については、現在、かなり問題があるわけでございまして、民営化までどうしても解決しなければならない最重要課題として集中的に取り組んでいるところであります。
 公社発足以来、コンプライアンス・業務品質に対する意識は確実に高まってきております。今日も、今、金融庁の検査が入っているんですけれども、主席の検査官から、彼らは2年前にも来ているんですけれども、もう別会社に来たようによくなっていますと、よくこれまでの期間でここまで民間水準に近いところまでもってこられましたね、これは非常に感銘を受けましたと、金融庁に帰っても幹部に報告いたします、というのがまず第一声でありまして、これはそこまでは感激したわけでありますが、だけれどもと。我々だけ見るとそうなんだけれども、市場と比べると、まだまだだよ、問題点はいっぱいあるので、これは何としても早く民間レベルにアップグレードしてもわらなければならない。だけれども、ここまで伸びてきているので、よくなってきているので、できると思うから、残された期間、ぜひがんばってください、というふうな総括的なリマークをいただきまして、私も全くそのとおりだと思っているので、残された期間、真正面から取り組んでがんばっていきたいと、こう思っております。
 ざっと申し上げると、わりあい簡単に作業しているように聞こえたかもわかりませんが、実は職員はものすごく苦労しておりまして、もう涙ぐましい努力をしてくれておりまして、ほんとうによくやってくれていると思うんですが、何とかやり遂げて、お国及び社会のご要請にきちんとこたえられるように努力をしなければならないと思っておりますが、実は先ほど申し上げたように私の立場は、マネジメント体制は4月以降も決まっていませんから、いずれにしましてもそういうふうなことでいくことになると申し上げておきたいと思います。
 どうも失礼しました。
○樋口分科会長 どうもありがとうございました。
 ただいまのご説明につきまして、皆様からご意見、ご質問等ありましたら、お願いいたします。どうぞご自由にご発言をお願いいたします。どうぞ。
○柴田委員 今、総裁から総括をお聞きしたんですけれども、最初からかなり困難な仕事にチャレンジされて、ちょうどたまたまちょっと私的なことになるのですが、きのう、奥田さんと会う機会が。
○生田日本郵政公社総裁 どなた?
○柴田委員 奥田碩さんと。前経団連会長と。あの人が生田さんを引っ張り出したご本人なものですから、結果としていろいろなことがありながら、大変難しいミッションをきちっとやっておられるということで、大分健康も心配しておられたけれども、最近見たら非常に顔色もよくなったということで、そんなことを言っておられました。まあ、そういうことは別といたしまして、今お伺いした内容が、それぞれの高いミッションを掲げて、仕事の達成度も高く、相当な評価を得ていることに、非常に感銘を受けておりますけれども、あと6カ月は、それぞれの今お話を聞いた内容で、これは予算というのはちょうどほかの年度と比べますと、初めのあれはお正月の切手の売上が入っていませんからちょっときついかもしれませんけれども、それなりに考えられた資料が提出されており、今の説明を聞いて、非常にすばらしい考課を受けられたと。最後に言っておられたコンプライアンスについては、いろいろなことを言っていますけれども、やはりこれだけ過去の歴史を引きずった大きな組織でございますから、最後の締めを、今おっしゃったようにぜひお願いしたいということで私の意見とさせていただきます。
 以上でございます。
○生田日本郵政公社総裁 ありがとうございます。
○樋口分科会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございますか。どうぞ。
○生田日本郵政公社総裁 今の、ちょっと1つだけコメントさせていただいていいですか。
○樋口分科会長 はい。
○生田日本郵政公社総裁 ありがとうございます。
 システム関係といいますか、コンプライアンス、とにかく公社へ入ってから郵政省時代のやつ、事業庁時代のやつも含めて総点検しまして、随分出てきて、大体、去年の正月ぐらいに全部洗い出した。やっぱり洗い出すのに2年ぐらいかかるんですね。根が深いですから。で、整理をして、それで去年の5月に内部統制強化本部をつくって、今、一生懸命仕切っているという段階なんですが、残念ながら古いやつを整理して、では新しいものは出ないのかと言われれば、新しいものもたくさん出ているんですよ。数が減ったり、昔のような非常に根の深い、大きいやつはもう出ない仕組みになっていますが、件数から言えば結構ありましてね、これはまだ改善しなければならない。
  そこで悩みは、システムがハードとしてのシステム、これはやっぱり民間対比で随分おくれているんですよ。やっぱり官でしたから、そんなもの、先行投資してお客さまとの関係をきちっとする、あるいは決算会計、あるいは日常の会計を的確にするなんていう発想はなかった。これはやむを得なかったと思うんです。したがって、非常に投資がおくれているので、今、後追い投資しているんですよね。
  ところが、例えば郵便局にオートキャッシャーを入れるといったって、2万4,000、仮に1局1台としても2万4,000でしょう。そんなのをつくれる会社はないわけですよ。入れ終わるのに3年か3年半かかる。だから、ものすごく時間がかかるわけです。今言ったオートキャッシャーでも、公社に入ってすぐ意思決定したんだけれども、ちょうど今ごろ入れ終わりつつあるぐらいで、3年半やっぱりかかっているんですね。
  そういったことなんですが、そういう現状を踏まえながら今努力しているのは、普通の、通常の人間が通常に仕事をして事故が起こらない、それから、犯罪を起こそうとも思わない、起こしたってすぐばれちゃう、というふうなハードとしてのシステムを民間なりに整備することである。それと同時に、そのハードとしてのシステムに乗っけて、今度は制度としてソフトとしてのシステムで、それはダブルチェックシステムとかいろいろあると思いますけれども、犯罪なり事故が起こらないようにすると、その2つのソフトとハード両面で受けるシステム整備ですね。精神訓話とか教訓を垂れていただけでは絶対になくならないので、そういうアプローチをしろという努力の真っ最中であるということをご参考に申し上げます。
○樋口分科会長 よろしいですか。皆様。何か。
  この後に第二期中期経営目標及び中期経営計画の認可のための審議を行いますけれども、今お伺いした説明のほかに、この際、総裁にお伺いしておきたいことは委員の皆さんにありませんですか。よろしいですか。
  特にないようでございますので、生田総裁にはご退室いただきまして、後の審議を続けたいと思います。
○生田日本郵政公社総裁 どうもありがとうございました。
○樋口分科会長 どうもありがとうございました。
(生田日本郵政公社総裁 退室)
○樋口分科会長 それでは、ただいま申し上げましたように、諮問第273号の日本郵政公社の第二期中期経営目標及び中期経営計画の認可につきましてご審議をいただきたいと思います。
  本審議事項につきましては、郵政行政審議会議事規則第10条第1項に基づきまして当分科会でご審議をいただきました後、当分科会での審議の内容を踏まえまして総会におきましてご審議をいただき、最終的に審議会としての答申とさせていただくという取り運びとなっているところでございます。
  それでは、まず鈴木総合企画室長よりご説明をお願いいたします。
○鈴木総合企画室長 総合企画室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
  お手元の資料に基づきましてご説明させていただきます。お手元にA4横の資料がございます。こちらが説明資料でございまして、これと別にA4の縦の資料がございますけれども、こちらには諮問書、そして、その後ろに中期経営目標、それから計画の本体をつけてございます。諮問書の読み上げは省略させていただきまして、A4の横の資料、これに基づきましてご説明させていただきます。
  先ほど生田総裁から概略のご説明もございましたので、ポイントを絞ってご説明させていただきたいと思います。まず、このA4横の資料の3ページをお開きいただきたいと思います。
  まず、「中期経営目標・計画に係るスキーム」についてでございますけれども、今回の中期経営目標・計画につきましては、この図の中の1)のとおり、公社法24条に基づきまして郵政公社が作成いたしまして、総務大臣に申請のあったものでございます。そして、左のところにございますとおり、公社法66条に基づきまして郵政行政審議会に諮問させていただいているものでございます。
  先ほど総裁のご説明の中で、第1期中期経営計画につきまして「政府からいただく」というご説明がございましたが、少し補足させていただきますと、公社自身が作成しまして、それを総務大臣に申請して、総務大臣が認可するというもので、4年前の第1期につきましては、まだ公社ができておりませんでしたので、設立委員が作成して、申請して、総務大臣が認可したということで、設立委員のメンバーの中には総裁(予定者)も入られてはいたのですが、正確に申し上げますと、設立委員が作成したというものでございます。
  続いて4ページをごらんいただきたいと思います。
  「中期経営目標・計画の法令上の記載事項」についてでございます。どういった内容を記載すべきかについては、公社法、それから省令に基づいて決められております。
  まず、目標につきましては、(1)「経営の健全性の確保に関する事項」としまして、財務内容の健全性の確保に関する事項、業務運営の効率化に関する事項、その他必要な事項、続きまして(2)「その他業務運営に関する重要事項」につきましては、サービス水準の維持及び向上に関する事項、その他必要な事項を記載することとされております。
  2の「中期経営計画の記載事項」でございますが、こちらは事業計画、予算、資金計画、貯金と保険の運用計画を記載することとされております。
  これらに加えまして3のところでございますが、添付書類といたしまして、ここの(1)(2)にありますとおり、P/L、B/S等を提出することとされているものでございます。
  続きまして、資料6ページをごらんいただきたいと思います。
  「目標・計画の全体構成」でございます。まず、今回の目標等につきましては、昨年、平成181227日に公社より第二期中期経営目標と中期経営計画の申請を受理しております。今回の第二期中期経営目標・計画の期間につきましては、1910月の郵政民営化の前までということで、4月から9月までの半年間の期間でございます。
  全体構成といたしましては、第一期と同様に経営の健全性の確保、サービス水準の維持・向上につきまして、公社全体、郵便業務、貯金業務、保険業務、それぞれ表にございますとおり目標を定めております。
  これらに加えまして、第二期におきまして新たに設定した事項としましては、「内部統制の強化」、それから「新会社への円滑な移行」が記載されてございます。
  続いて7ページをごらんいただきたいと思います。
  今回の中期経営目標・計画のポイントは3点ございます。3点のまず1点目としては新規項目の追加ということで、先ほどから総裁の説明でもございましたけれども、ここの表にございますとおり、第二期では新たに「内部統制の強化」と「新会社への円滑な移行」を新たに項目立てしております。
  これらは、昨年の審議会でもご議論いただいて、業績評価のコンプライアンスの徹底ですとか、郵便の経営改善命令を踏まえまして内部統制の強化、コンプライアンスの徹底について追加されておりますし、また、「新会社への円滑な移行」ということで1910月の民営化に向けて情報システムの開発や職員への訓練・研修の実施といった項目についても定めているものでございます。
  続いて8ページをごらんいただきたいと思います。
  ポイントの2点目でございます。積立金等の数値目標についてでございます。第一期の4年間に対しまして、第二期は半年間という期間でございますので、第一期の4年分と第二期の半年分の目標を直接なかなか比較しづらいということで、今回、第二期の目標の妥当性の分析に当たりましては、第一期の中の最終年であります18年の中間決算と比較してございます。
  一番左のところが郵便のグラフでございますけれども、網かけのグラフが18年の中間決算、それから塗りつぶした棒グラフが第二期の中期経営目標を示してございます。郵便につきましては、年度後半の年賀収入が大きく影響するために、通常から前半は赤字という構造にございまして、18年の中間決算ではマイナス714億円、そして19年の目標では、マイナス1,050億円というふうになっておりまして、これは18年の中間よりもこの数字だけ見ますと悪くなってございます。
  ただ、これは、19年は民営化直前の時期ということで民営化等経費の影響も大きいということで、この要素を除いて分析いたしますと、18年はマイナス670億円、これに対しまして19年はマイナス626億円と、おおむね同水準、または、やや高目の水準になってございます。
  次に、貯金につきましては、18年が3,092億円に対して、19年の目標が2,900億円となってございますけれども、これも民営化等経費を除きますと、3,339億円に対して3,697億円と高目の目標になってございます。
  保険につきましては、1,287億円に対して19年目標が1,400億円、また、民営化等経費を除きますと、1,691億円に対して1,822億円と、いずれも高目の目標設定になってございます。
  続いて、9ページは、今ご説明したグラフのバックデータでございますので、10ページについてご説明したいと思います。
  今、分析に当たって除きました民営化等経費でございます。こちらについても内容について分析してございまして、民営化等経費については、民営・分社化経費、それから内部統制経費がございます。民営・分社化経費につきましては、この上の表の「差引」という欄の総額のところにございますけれども、19年度の半年で合計として1,358億円、郵便業務で376億円、貯金業務で621億円、保険業務で361億円の費用を計上しております。
  この郵便のところの「差引」のすぐ上のところで48億円差し引いておりますのは、貯金や保険が民営化のお知らせを利用者・加入者に民営化前に郵送いたしますので、これによって19年度に郵便に入る臨時の収益を差し引いたものでございます。
  そして、具体的なこの民営・分社化経費の内容の主なものといたしましては、この右の枠の中のとおりでございます。分社化をすることによりまして、業務の流れですとか、資金の流れが変わりますので、郵便・貯金・保険、それから共通的な財務・人事ともに、それぞれの欄にございますけれども、情報システムの設計や開発、また、訓練の経費などが必要になってまいります。
  また、郵便局や本社、それから支社の建物に別々の会社が同居することになりますので、郵便局のセキュリティ対策としての間仕切りですとか電気錠設置、それから本社・支社の社屋の模様替等を見込んでおります。
  それから、2.の内部統制の経費でございます。こちらにつきましては、全体として173億円、郵便・貯金・保険業務でそれぞれ48億円、82億円、43億円を見込んでおります。これらにつきましては、先ほどの総裁の説明にもございましたような郵便収入の適正管理、それから、現金過不足事故の防止のためのオートキャッシャーの配備ですとか、保険募集管理体制の整備などに要する経費が見積もられております。
  続いて、11ページをご説明させていただきます。
  今回のポイント、3つのポイントの3点目でございます。共済整理資源の負債計上につきまして、先ほどご説明もございましたけれども、公社19年度に企業会計原則に基づきまして共済整理資源に係る将来負担を、約1.3兆円でございますが引当金として計上することを計画しております。
  共済整理資源についてでございますが、これは下の図を見ていただきたいと思います。昭和34年に現在の公務員の共済年金制度ができております。それ以前につきましては、恩給の制度がございまして、これは国庫負担により恩給が支払われていると。それ以後につきましては、公務員が掛金を積み立てて保険料財源から支給するという仕組みになっております。
  そして、昭和34年以前に公務員になって、34年以後に公務員を退職した職員につきましては、その昭和34年以前の部分につきましては積み立ての分がございませんけれども、この恩給期間相当分については国庫負担をするという制度になってございまして、郵政事業につきましては当時の事業主でありました郵政事業特別会計が負担することになって、郵政事業特別会計から引き継いで、現在では日本郵政公社が負担するとされているものでございます。今年度についていいますと、公社は約1,300億円を費用負担しております。これは19年度からこの共済整理資源の額の算定方法が変更される見通しとなってございまして、それに伴いまして将来の費用負担が見積もれるようになることから引当金として企業会計原則に則って負債計上するというものでございます。
  続いて12ページをご説明させていただきます。
  この共済整理資源の負債計上によります純利益等の影響でございます。先ほどご説明させていただきました19年度の郵便・貯金・保険の目標、これは実は共済整理資源の影響を除いた目標でございまして、この共済整理資源の影響を含めますと、その数字はマイナスの影響を及ぼすものでございます。例えば郵便ですと、先ほど19年度目標として1,050億円と申し上げましたけれども、共済整理資源の影響としてマイナス6,886億円ということでございますので、財務諸表上はマイナス7,936億円と。で、貯金につきましても、2,900億円の目標と申し上げましたが、財務諸表上は実際にはマイナス592億円。保険につきましては、1,418億円でしたが、これはキャピタル益を除いた目標を設定しておりまして、キャピタル益2,400億円を加えて、そこから共済整理資源の影響2,372億円を引きますと、1,446億円の実際の数字となります。
  このように負債計上によりまして19年度の損益にはマイナスの影響ということになりますけれども、これは実際の業務運営のほうが何か急に悪くなったということではございませんで、会計上の処理でございます。また、この会計上の処理につきましては、将来の費用負担を引当金として計上するということで、財務の透明性の確保に寄与するものでもございます。
  続いて13ページでございます。
  こういった共済整理資源の影響等も含めた19年半年のP/LとB/Sでございます。
  まず、P/Lにつきましては、公社全体として当期純損失としてマイナス8,527億円、郵便でマイナス7,936億円、郵便貯金でマイナス592億円となってございます。この結果、B/Sといたしまして、19年9月末、民営化直前のB/Sといたしましては、資本合計として公社全体で7.5兆円、郵便業務でマイナス1.3兆円、郵便貯金で7.3兆円、保険で1.5兆円という形になります。
  続いて14ページをご説明させていただきたいと思います。
  中期経営目標の具体的内容を公社全体と各業務ごとに順にご説明させていただきたいと思います。
  この表の中では、第二期の中期経営目標として第一期に引き続きまして、まず1のところでは財務内容の健全性の確保、業務運営の効率化、2としましてお客さま満足度の向上、郵便局ネットワークの有効活用、そして3のところですが、新たに項目立ていたしました「内部統制の強化」とし、コンプライアンスの徹底、リスク管理等の高度化、企業会計にのっとった体制の整備、内部監査体制の整備について記載がございます。
  さらに1910月の民営化に向けまして、「新会社への円滑な移行」として情報システム対応、それから業務等の移行準備が定められております。
  続いて15ページをごらんいただきたいと思います。
  先ほど総裁からもシステムの話がございましたけれども、民営・分社化のために最低限必要なシステムとしまして、暫定システムとして開発スケジュールを公社のほうでは組んで準備を進めているところでございます。システムの構築・開発も重要でございますけれども、それとあわせまして、実際に機能するかどうかということをシステムリハーサルを入念に行う、そして確認していくことが重要ということで、マスタースケジュールに加えましてシステムリハーサルのスケジュールも組んでいるところでございます。
  2007年の2月と3月の間の民営化延期申請期限の部分、ここについては、先ほど総裁から説明があったとおりでございます。
  続いて16ページでございます。
  郵便業務の中期経営目標でございます。
  まず、「財務内容の健全性の確保」につきましては、収益の確保と費用の抑制により、利益を上げる経営基盤を構築ということで、積立金マイナス1,050億円以上と定めており、また、業務運営の効率化ということでJPSの推進による生産性の向上などにより業務運営を効率化ということで、事業経費率109.5%以下。
  それから、「お客さま満足度の向上」ということで、郵便送達日数達成率、こちらは新郵便日数表に定められております配達日数どおりに届けられた割合につきまして97.0%以上ということで、第一期の経営目標と同じ水準の目標を設定しております。
  3番として、「内部統制の強化」で、コンプライアンスの徹底が記載されてございます。
  続いて17ページをごらんいただきたいと思います。
  今回の郵便の目標における民営化等経費が与える影響についてでございます。
  上のほうの純損益と民営化等経費の関連でございますが、こちらは先ほどもご説明いたしましたとおり、18年の中間では民営化等経費を除くと、マイナス670億円に対しまして、19年の上期はマイナス626億円となってございます。こちらにございますように、16年から中間決算を実施しておりますが、161718とやはり郵便は年度の前半が赤字という構造になってございます。
  それから、下の事業経費率でございますが、こちらも19年度上期のところですが、民営化等経費を含めますと109.5%ですけれども、民営化等経費を除くと107.0%と、これは18年度中間や17年度中間等と比べましても、その実績とおおむね同水準、やや抑えた水準になってございます。
  続いて18ページの貯金業務の目標でございます。
  まず、「財務内容の健全性の確保」でございますが、収益の確保と費用の抑制に努めるということで、積立金2,900億円以上、「業務運営の効率化」ということで経費率0.62%以下となってございます。
  また、お客さま満足度の向上、コンプライアンスの徹底、経営管理の高度化が定められております。
  続いて19ページをごらんいただきたいと思います。
  純損益と民営化等経費を除く損益でございますけれども、積立金については、収益面では、投資信託などの役務収益の増加、費用面ではICカード発行などによる営業経費の増加といった要因があるが、18年度中間期とおおむね同じ水準。19年度の民営化等経費の影響を除くと、18年度中間期を上回る水準となってございます。
  続いて、経費率の部分でございます。経費率の目標は0.62%以下と、これまでの中間期と比較して高い水準にございますけれども、これは営業経費が1,150億円増加、郵便貯金平均残高が約5.9兆円減少する見込みによるものでございます。
  これらにつきましては、これまでの審議会でご議論いただいた中でも、分母が急に減少しているところについては経費率がどうしても悪く見えてしまうので、分母、分子の両方を分析する必要があるというご指摘も受けております。
  そこで、ここをまず分子の営業経費につきましては、第二期については光熱水費などの経費の削減をしたものの、ICカード発行、防犯・警備の強化など民営化前にやるべき施策、これらの経費、さらに民営化等経費が追加的に必要となったものでございます。
  また、分母の郵便貯金の平均残高につきましては、16年の中間が225兆円、この表のとおりでございますが、18年度の中間期の196兆円に比べましても、19年度上期は3.0%、約5.9兆円の減少の見込みとなってございます。
  続いて20ページの保険業務の目標についてご説明いたします。
  「財務内容の健全性の確保」ということで、新契約の確保・保有契約の維持、運用収益の向上等に努めるということで、内部留保積増額を1,400億円以上。「業務運営の効率化」ということで、調達コスト等を削減等によりまして事業費率7.0%以下。
  また、「お客さま満足度の向上」ということで、CSの推進、業務品質の向上に努めてお客さま満足度を向上、失効解約率として保険を1.80%以下、年金保険を1.15%以下ということで、右側の点線の中に第一期の経営目標として保険3.6%、年金保険2.3%とございます。こちらは、第二期は半年ということもございますので、第一期の経営目標の半分になっておりますけれども、これは水準としては第一期と同水準でございます。
  このほか、コンプライアンスの徹底、リスク管理の高度化について定められております。
  続いて21ページでございます。
  保険の民営化等経費の影響についてでございます。内部留保積増額の目標については、これまでの中間期の内部留保積増額と比較しても上回る水準となってございます。左のグラフにもあるとおりでございます。
  また、事業費率の目標は7.0%以下と、これまでの中間期と比べて高い数値となってございます。これについては、貯金と同様に保険料収入が急激に減少しておりますので、分子と分母それぞれ分析しております。事業費については民営化等経費による増加、また、分母の保険料収入が既契約からの保険料収入の減少による影響が大きく、これらを除外いたしますと、事業費率は前年同期と同水準となっております。個別に事業費や保険料収入ともに分析しておりまして、事業費については、コールセンターの利便性アップ、それから簡易保険システムのシステムリスク低下等のための経費の増加、それから民営化等経費の影響がございまして、このあたりを除きますと、18年度中間期をやや上回る程度となってございます。
  続きまして22ページから25ページまで、ここは、これまで説明いたしました中期経営目標を達成するための取り組みといたしまして、事業計画に記載されている施策の対応関係を示したものでございます。
  26ページをごらんいただきたいと思います。
  予算と資金計画でございます。予算につきましては、公社全体で149,624億円となってございます。資金計画については、下の図のとおりでございます。
  続いて27ページをごらんいただきたいと思います。
  貯金の運用計画でございます。貯金の運用計画の基本方針としては、安全・確実性を重視した運用などということで、基本方針については第一期と同様のものとなってございます。
  それから、下の2のところの第二期の資産構成でございます。国内株式、おおむね1%以下、外国債券、おおむね2%以下、外国株式、おおむね1%以下、合算しておおむね3%以下ということで表のところにございます。
  そして、ここの括弧内のところは第一期の割合でございます。第二期は、第一期よりこの割合が小さくなってございますけれども、この理由といたしましては、第一期というのは4年間でございましたので、保有資産の価値上昇も想定いたしまして、余裕を持ってこの構成を設定したということでございます。第二期は6か月でございますので、保有資産の価値上昇分を上乗せしていないということで、第二期の運用資産の構成割合につきましては、18年9月末の実績がおさまる水準に策定ということで、これまでの運用実績については右下のところにありますとおりでございます。
  続いて28ページの保険の運用計画の基本方針でございます。
  保険の運用計画につきましては、基本方針、安全・確実性を重視した運用など、それから第二期の資産構成、どちらにつきましても、第一期と同様のものとなってございます。過去の運用実績につきましても、この資産の構成割合におさまっているものでございます。
  以上が今回の中期経営目標・計画のご説明でございまして、続いて30ページ、「中期経営目標の審査結果の概要」でございます。
  これは、第一期と同様の基準で審査を行っているものでございまして、目標選択の妥当性といたしまして、中期経営目標として法令上記載すべき事項がすべて記載されている、また、その他必要な事項として郵政民営化など公社を取り巻く経営環境等が踏まえられているということでございます。
  それから、指標の妥当性といたしましては、継続性の観点から第一期と同じ指標が用いられており、いずれも目標の達成度をはかるものとして適切なものが選択されている。また、定量的に定めることが可能なものは、可能な限り定量的に、また、定量的に定めることが困難なものについても、事後評価する際に必要な具体性があるということでございます。
  それから、目標内容の妥当性につきましては、公社全体としては第一期に引き続き経営の健全性の確保、サービス水準の維持・向上を目指すとともに、民営化の確実な実施が重要な課題になることから、新会社への円滑な移行、そして内部統制の強化を新たに加えた目標となってございます。
  それから、郵便につきましては、民営化等経費が必要なこと、年賀郵便の収入がない前半期でございますけれども、民営化等経費を除いた積立金、それから経費率は18年度中間期と同水準です。
  また、内部統制の強化、コンプライアンスの徹底等が記載されております。
  そして、郵便貯金については、積立金が18年度中間期と同水準、経費率につきましてはサービス水準や業務品質を向上させ、確実に民営・分社化を行うために必要な経費増であり、目標としてはやむを得ない水準であると認められる。さらに、サービス水準の維持・向上のための業務日数の改善、コンプライアンスの徹底等について記載されております。
  簡易保険については、内部留保積増額として18年度中間期と同水準、また、事業費率につきましても、コールセンターの利便性アップ等で経費が増加しているものの、一方で民営化等経費の増加と保険料収入の減少による影響が大きく、これらを除けば18年度中間期と同水準でございます。
  また、内部統制、コンプライアンスの徹底、業務品質の向上について記載がございます。
  以上のとおりでございますので、公社法その他の法令や取り巻く経営環境を踏まえて定められたもので審査した結果、19年4月1日以降の6カ月間についての経営に関する具体的な目標として妥当なものと認められるものでございます。
  31ページからあとが、この個別の項目ごとに具体的に妥当性を確認したものでございます。
  第二期の中期経営目標、それから第二期中期経営計画の概要、そして審査結果は以上のとおりでございます。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。
  以上でございます。
○樋口分科会長 ありがとうございました。
  それでは、ただいまのご説明につきまして、委員の皆様からご意見、ご質問等はありませんでしょうか。どうぞご自由にお願いいたします。
○柴田委員 鈴木さん、この審査結果の概要を見ていると、みんな「妥当」「妥当」と、この項目も全部「妥当」で、その審査の結果の項目を通じて、この辺はもう少しこうだというようなその議論があった上で最終的にこういう「妥当」ということになったんだと思うんですけれども、特に指摘があった事項、一、二点何かあるとすれば、どういう議論があったんですか。
○鈴木総合企画室長 ご説明させていただきます。
  今回の中期経営目標、「中期経営目標」と言いながら、4年間ではなく半年間ということで、その作成する公社の側でもいろいろ難しい点があったと思います。そういう中で、もう民営化を直前に控えた半年ということで、通常の経営の健全性の確保とか業務効率性を図りながら、一方で民営化等の経費あるいは内部統制の向上のための経費がかかってくると。そういう中で、今回の指標の中でも、それぞれ個別に施策ごとに全部分析しているのでございますけれども、先ほど私がご説明した中でも、例えば利益の積立金の部分については、18年の中間期と比べて半年で比べますと、おおむね同水準、あるいは民営化等経費を除けばそれ以上の数字が出ているんですけれども、業務の効率性の部分でございますこの経費率や事業経費率の部分、ここがもちろん半年の期間で業務の効率化を図りながら、経営、業務運営をしていただくのですが、そういう中でどうしても民営化に向けた必要な経費がかかるということで、この数字だけを見ると、また分母の貯金残高、保険料収入が下がっている中で、その事業経費率等の数字が上がっているということで、この辺はもちろん飲み込んで第一期よりも低い数字で設定できれば、それはそれに越したことがなかったと思うんですが、細かく分析していきますと、こういった数字でもやむを得ないかなという結論に至ったところでございます。
  ただ、こういう状況ではございますけれども、やはり公社としては、その事業運営に当たっては、少しでも業務運営の効率化を図ってこういった事業経費率等の数値を低下させて、一期目の目標の数字に近づけるような努力を続けていただくことが必要だと思っていますし、そのあたりは、この第一期の業績評価、それから第二期の業績評価の中でも見てまいりたいと思っております。
  以上でございます。
○柴田委員 もう一つ聞きたいんですけれども、こういう半年というのは非常に短い期間ですから、例えば過去の4年の経過と比較して、その延長線上に半年だけ見るものだから、もちろん民営化のための経費のトータルの金額をどうセットするかと、そういう点は別としまして、業務運営上は今までのさっき生田さんが説明したようにこうやってきたことを順調にそのまま民営化にきちっと移行させられるように資料をつくりましたと。したがいまして、ちょっと通常のときの審査とは違うことになるんでしょうね。
  例えば、郵便貯金残高も含めていろいろな資料が、相当な長期に低落傾向にあると、これについてどう考えるかという、そういう問題よりは、もうただ半年間のバジェットというものをつくって、これが正しいかどうか、あるいは妥当かどうかと、こういう審査と考えてよろしいのですか。
○鈴木総合企画室長 お答え申し上げます。
  おっしゃるとおりの点があると思いまして、本来でしたら、その4年間というある程度中期的な期間の中で、公社の経営努力で、例えば貯金残高についても、保険料収入についても、あるいは効率化・機械化等についても、その4年間の中で自律・弾力的に経営努力をしていただくと、そういった計画に対して認可をすると、そして審査をするという面、その4年間の期間の中での努力のプロセスも見ると、そういう部分があると思います。ですから、4年間の中でこういった効率化を新たに打つから、それによって数値がこれだけよくなっていきますと、そういったものも見込んで含めた上で審査をするということになると思いますが、今、柴田委員からご指摘のとおり、半年という期間の中ではもちろん半年だからといって効率化を全くしなくていいとか、経営努力をしなくていいということではないのですが、どうしてもそのあたりは、その4年間に比べますと、前期からの延長で業務運営を行っている部分と、それに加えて、やはりこの半年という短い期間でございますけれども、この半年という短いからといって重要でないということはございませんで、これは民営化の前の非常に重要な期間、いかにきちんと事業経営を行って民営化につなげていくかということで重要な期間でございますので、公社も同じ意識でその民営化への円滑な移行ですとか内部統制を定めていただいているということで、その意味では、最初申し上げたとおり、おっしゃった4年間と半年の違いということは、今回、審査の下作業、事務作業をさせていただいた私どもの立場でも、そういったものは感じております。
  以上でございます。
○柴田委員 ありがとうございました。
○樋口分科会長 よろしゅうございますか。
○柴田委員 はい、結構です。
○樋口分科会長 ほかにいかがでしょう。どうぞ、梶川委員。
○梶川委員 これ、質問としてはほとんど重複して今までもございますけれども、ちょっと具体的に郵便貯金事業で今ご説明があった経費の増加で、民営化経費とか、当然のことながら共済整理資源を除かれて、資料で例えば19ページで、今のご説明どおりなのでございますが、この4,800億円が5,500億円というのは、経費率で言えばコンマ幾つなんですけれども、実額ベースでは15%ぐらい増えておられるわけですよね。これ、一、二行、ICカードの発行とか、防犯とか、警備とかという、何となくその経常的にも増えられるであろうところがコメントが一、二行付されているのですが、実態、これが内容でいらっしゃるのか、それとも、まだ別の項目として何かおありになるのか。15%の経費増というのは、結構、通常運営上は大きいかなと思うのが1つ。
  それから、もう一つは、これを発射台にと言ってはおかしいのですが、郵便貯金会社に移られるときに、この経費構造の、もちろん郵便局会社と分けられるんですけれども、現実には民営化の事業計画のあらあらというのは、多分、今はもう皆さんそれなりにご計画の中で絵がかかれていると思うんですが、その辺との整合性みたいなものは今回の審査の中で、これは郵便貯金事業に限らないんですけれども、通されているのかなと。基本的にこの数字が発射台になられるのか、ないしは、また違う発射台というか、スキームが出てこられるのか、ちょっとその2つの点のご質問をさせていただきたいと思います。済みません、長くなってしまいました。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 貯金企画課長でございます。
  先ほど鈴木からお話がありましたこの経費率の問題とか、第一期経営目標からより悪化しているということに対して、私ども、非常に重要に思っておりまして、積み上げた結果、最終的にはやむを得ないかなという結論に達しました。
  具体的に積み上がった額としましては、資料に書いてあるものとしてはICカード発行のための経費が約183億円ございまして、それから防犯とかの関係ですと、局舎にカメラを備えたり、そういう費用が約100億円、それから、そのほかの部内犯罪の防止とか現金過不足事故防止のためにいろいろな内部統制の関係の費用が約80億円、そのほか、「民営化等の経費」と一括して書いていますが、この中には研修とかの経費もございますけれども、それから、預金・保険機構に今度加入することになりますもので、そのための個人情報というんですか、名寄せするための情報の不足している部分があるので、それをとらなければいけない費用が約60億円かかると、そんなことを積み上げていきますと、営業経費が結構1,000億円近く上がってきたというのが実態でございます。
○梶川委員 いや、民営化後はわかるのですが、民営化を抜きにしても七百幾つか増えられていたものですので、そこのちょっと細かくて非常に恐縮なんですけれども、いわゆる経常的な経費で15%ぐらい増えられるというところで、今おっしゃっていただいたので、ただ、カメラの設置とかはちょっと特別な事業であられるので、例えば経常的に増えられるのはICカードなどはもしかしたら今後もずっと経常的なベースなのかなという、その辺、ちょっと700億円というと、結構、経費の増率で言うと15%になって、通常の民間企業では突如15%増えるというのは大変な事業構成の変化になるものですから、ちょっとお聞きしたかったということだけでございます。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 それに伴いまして、いろいろな人件費とか、超過勤務手当がついているものですので。
○梶川委員 人件費増が多い?
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 はい、それも含めています。
○梶川委員 済みません、あまり細かいことをここで議論するあれではないんですが、ちょっと参考までにお聞きしたかったわけです。申しわけございません。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 あと1,150億円の中には、共済整理資源の143億円も含まれています。
○梶川委員 いや、これ、営業経費の部分で。19ページの4,800億円から5,000億円、済みません、細かくなっちゃって。もうちょっとよしますけれども、これは共済整理資源のない部分ですよね。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 ない部分ですね。そうですね、内部統制経費が82億円で、そのほか、ICカードとか局舎改装費用とかを伴う物件費・人件費が約500億円になります。
○梶川委員 ややはっきり言って済みません。かえって細かになっちゃいました。
○須田郵政行政局長 要するに民営化経費として計上している経費以外に、実際にはいろいろ民営化のためにいろいろなお金がかかっていますから、そういったものは数字的にちょっとあれですけれども、かなり出ているということでご理解いただきたいと思います。
○梶川委員 そういう意味じゃ……。
○鈴木総合企画室長 2点目の今回のこの例えば経費率等が、これが発射台になって民営化されていくのかということでございますけれども、梶川委員もご指摘のとおり、例えば貯金でも、郵便局会社と分かれていくということで、その業務の流れも変わっていきますし、また、郵便局会社の窓口の職員が貯金の取り扱いを行うのも、これまで一体でやっていたのから、委託契約の手数料ベースになっていくということで、この辺の経費とか効率性が、また今の公社一体でやっている状況とは随分変わってくるのかなと思いますし、また、システムとか、業務の流れ、資金の流れも変わってきますので、そのあたりは実際に日本郵政の側でも今後どういう形で業務を行っていくかというような検討をしていると思うんですが、1つここが発射台になるという点で申し上げますと、先ほど13ページのところでございますけれども、P/L、B/Sをご説明いたしました。そして、この中で公社全体として19年9月末の貸借対照表、資本合計が7.5兆円ということで、この部分については、今、公社が公社の閉鎖時について資本合計が7.5兆円と見積もったと、これを受けまして、日本郵政のほうでは、この見積もりを前提といたしまして、民営化後の承継計画の実施計画を、今、作成して、4月30日までに提出しますが、その中では、この公社が今回この計画を立てました公社の閉鎖時の決算を前提として計画を作成中でございます。
  ただ、この中で公社全体は7.5兆円ですけれども、郵便・貯金・保険につきましては、郵便・貯金・保険に加えて新たに郵便局会社もできますし、新旧の勘定の分離等もございますので、この業務ごとの資本合計を引き継ぐものではございませんけれども、発射台という形では、公社全体として今の段階で計画の策定はこの資本合計7.5兆円をベースに日本郵政が計画を作成するということになってございます。
  以上でございます。
○原口総務課長 1点よろしいでしょうか。
○樋口分科会長 どうぞ。
○原口総務課長 営業経費で民営化分以外でかなり増えているという、増えている要素としてもう1点ございますのは、いわゆるこれまでいろいろな改善、例えばこれで言えば警備などでもそうなんですけれども、少しずつ計画を立ててやっていたと。ただ、やはり今回、民営化するに当たって、公社としては公社自分たちの責任をきちんと果たすという意味で、自分たちが公社であるうちにできるだけのことをやっておこうと。例えばこれまでの例年少しずつその警備関係を整備していたのを、例えば額的に言えば何年か分ちょっと一気にちゃんとやって、きちんときれいな状況にしてあとに引き継ごうと、そのようなことでいろいろ強化をしてお金を多く使っている部分がございます。ですから、そういうような要素でも、いわゆる民営化経費以外のほかの営業経費が増えているという面がございます。ですから、発射台という、営業経費の発射台という意味では、逆に言いますと、公社が最後のときに多目のお金をつくってきちんと整備をしているという面がございますから、そういう意味では、本来、予定どおり、計画どおりであれば、新会社のほうの当初の負担は最後の年に公社がきちんと整備した分、多少やりやすくはなるのかなと。そこら辺、ちょっと発射台の関係と営業経費がちょっと増えている理由で、そういう要素もございます。
  補足でございます。
○梶川委員 お聞きしたかったことは、その辺のことでございます。この後はまた落ちるのか、落ちないのかという、フローでの引き継ぎの大きなビジネス・スキームがどうなられるのかというところでございます。どうもありがとうございました。
○樋口分科会長 よろしゅうございますか。
○梶川委員 はい。
○村本委員 今回の場合には共済整理資源の問題が出てきまして、かなり大きな要素になっているのですが、公社化するときにも、退職給与引当金の問題がかなり大きな問題になって、あるいは簡保のところでも、価格準備の引当金でしたか、あれを取り崩す旨の話があったと思うんですが、この手のことは今後まだ起こり得る可能性があるんですか。今まであまり見えていないものが、開始B/Sないし終了B/Sのところに出てくるとかということはあり得るんですか。
○鈴木総合企画室長 今、公社の間におきましても、また、民営化以降につきましても、できるだけ財務の透明性を確保・向上していくということを目的としていろいろ洗い出しておりまして、公社の間に引当金計上すべきものは引当金計上するということで、公社自身は今回の中では共済整理資源が1つございますし、もう一つございますのが、今、共済整理資源のお話でございましたけれども、恩給につきましても、恩給負担金を毎年支払っておりまして、これについては、まだ引当金計上するかどうかについては公社のほうで引当金計上になるかどうか検討を続けているということで、今回のこの計画の中には盛り込まれておりませんが、ただ、恩給の引当金の部分につきましては、共済整理資源に比べると、昭和34年より以前に退職された方が中心になりますので、額的には影響は非常に小さいものと聞いております。また、日本郵政のほうでも、民営化以降についても、やっぱりこれは今後上場ということを控えておりますので、財務透明性確保の観点で将来の費用負担について引当金計上できるものは引き当てをするという観点でいろいろ検討を行っていると聞いてございます。
  以上でございます。
○樋口分科会長 よろしゅうございますか。次いでご発言は?
○村本委員 いえ、結構でございます。
○樋口分科会長 どうぞ。
○田尻委員 資金計画、この諮問書の資金計画の1ページを見ますと、平成19年度の預託金償還による収入が133,850億円というふうに記載されておりますが──縦長のこの諮問書のつづりの中の平成19年度の資金計画というものがございますが、よろしゅうございますか──133,850億円返ってくるのを見込んでいらっしゃるわけですけれども、一方、郵便貯金の資金運用計画書を見ますと、9兆9,900億円の預託金を、原資のところですけれども、第二期中期経営計画に係る運用見込み額というのが2ページにございますが、そうしますと、この簡保のほうが、ところが次のつづりの簡保の資金運用計画の原資を見ますと、預託金の返ってくるのは原資の中に計上されていないんですね。そうしますと、133,850億円返ってくる預託金のうち、この郵貯のほうの運用に新たに回すのが9兆9,900億円ということになりますと、残りの差はどこへ行ってしまうことになるのか。つまり、預託金が返ってくるものをそのまま運用しているわけではなくて、どこかにこれ、投入なさっているのではないのかというのが質問の第1です。
  第2は、「資産及び負債の見通し」というつづりのところの1ページの「資産及び負債の見通し」のところで、預託金の資産のところを見ますと、388,585億円というのが預託金の残で──19年の9月30日時点で「資産及び負債の見通し」というつづりがございますが、それの1ページ、よろしゅうございますでしょうか──388,585億円、9月30日末で預託金の残というふうになっております。
  そういたしますと、今度、残高の問題なんですけれども、先ほどの平成19年度の資金計画では、これは通年の数字を掲げていらっしゃるのか、半期の数字を掲げていらっしゃるのでしょうか、この資金計画そのものは。それによって──質問の趣旨は、預託金残高は、いわゆる平成19年度末ですね、来年の3月末という意味ですが、ここで言う19年度というのは、末で預託金残高がどういうことになるのか。つまり、7年間の償還計画から言って19年度末に全部戻ってくるのか、20年度末までそれはかかるのかというところ、金額からいきますと、これは何か19年度末に返ってくるとすれば、何か非常に大きな金額が一遍に返ってくるような感じもするんですけれども。その辺の残高の見通しという点で、第2の質問はその辺のところをお伺いしたいのですが、どういう姿になるのか。
  以上でございます。
○樋口分科会長 済みません、もう1回、そのページ数をちょっと言っていただけますか。資料の番号としてどういう、資料の項目と。
○田尻委員 この諮問書という大きなつづりがございますが、それの、私が申し上げましたのは、まず「資金計画」という、これは中期経営計画、日本郵政公社、9月30日の「中期経営計画 日本郵政公社」という表紙のついたその中に「資金計画」の1ページになるんですけれど、預託金の償還による収入というのが133,850億円と予定されておりますが、上のほうのこのページ全体の表示が「平成19年度資金計画」となっているものですから、その確認をさせていただいている。これは半期の分だろうなと思うんですけれども、その辺の確認があるのと、2番目は残高の推移がどういうことになるのか。
○樋口分科会長 どうぞ、淵江さん。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 貯金企画課長ですけれども、19年度末で7年預託のものについては全部償還される予定になっております。
○田尻委員 そうでございますね。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 その額が239,900億円でございますので、ここに書いてある収入は半期のものになります。
○田尻委員 なるほど。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 それと、「郵便貯金資金運用計画」のところの2ページのところですが……。
○田尻委員 「郵便貯金の資金運用計画」という先ほどの「資金計画」の次の、そこの2ページの原資の部分。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 財政融資資金預託金というのが9兆9,900億円になっておりますが、これとの差がそこの注記の5にはございます10年預託の金融自由化対策資金借入金償還見合いの預託金の3.4兆円が先ほどの額から引かれたものになっております。
○田尻委員 ああ、なるほど。わかりました。どうもありがとうございました。
○樋口分科会長 よろしゅうございましょうか。
○田尻委員 はい、以上でございます。
○樋口分科会長 それでは、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 日ごろ郵便局を使っている者としては、今の数字よりか数字であらわれないところをちょっとお聞きしたいのですが、第一期のときにかなりコンプライアンスの話を申し上げました。やっと第二期において今度新しく内部統制が出てきたんですが、たった6か月で終わってしまうわけです。
  それで、新しい会社になったときに、それを引き継いでいかれるのか、もう全くこれは6か月で終わってしまうものなのかということを1つお聞きしたいのと、もう一つ、私たちが数字で見られるところが送達日達成率です。これはたしか公社の前から、郵政省の時代、総務省の時代から、ずっとこの調査を行ってきていらっしゃると思いますが、97.0%あたり、その上を大体同じような数字でずっときています。それで、また同じテストをなさるようなんですが、何か工夫はできないものですか。毎年毎年同じような調査をして、同じような結果が出ているわけですから、1年おきにするとか、かなりの支出なので何か工夫するなど今までお考えになったことがあるのか。この先、公社がおやりになるのか、それとも総務省が郵便事業を確かめていく上で行うのか、どなたがおやりになるのかということもお聞きしたいと思います。
○鈴木総合企画室長 1点目の内部統制の取り組みについて民営化後も引き継ぐかということでございますが、これはこの取り組みは引き継がれていくものと考えております。1つには、これは公社自身としても今までのこのコンプライアンスの徹底が足りなかった、それから改善すべきことがあるということで、その監査要員の増員ですとか、それから、さまざまな機器を投入しまして、より内部統制の強化を図っているということで、民営化以降はますます市場レベルの経営、それから消費者・利用者からの信頼にこたえられるような経営が求められますので、むしろこの公社が今取り組んでいる内部統制の強化、これの延長線上さらに強化していくことが必要と考えておりますし、そのような方向で日本郵政も取り組んでいかれるものと思っております。
  1点目は、以上でございます。
○佐藤郵便企画課長 郵便企画課長でございます。
  送達日数の件でございます。97%ちょっとというのは、確かにおっしゃったとおり郵政省時代からでございます。なかなか、もちろん100%がいいんですけれども、例えば大雨とか、いろいろ天変地異とかで影響される部分もあって、なかなか100%にまではいかないというのが実態のようでございますけれども、今後どうなるかということなんですけれども、おそらくこれは公社が自分で調べて97%とっております。もちろん公社が自分で調べたといっても、お手盛りで調べているわけではなくて、第三者機関に委託して、その機関の調査方法はちゃんとしているかというのもまた別の機関が監査をするという、かなり公正に調べた結果が97%ちょっとという数字でございます。これは新しい郵便事業会社が具体的にどうするかというのは、その郵便事業会社が決めることではあるんですけれども、やはりそのサービスレベルを落とさないという趣旨からしても、それは引き続き、言ってみればこういう調査はしてやっていくということは変わらないと思います。最終的には郵便事業会社が決めることでございます。
  それとは別に、私ども行政としても、これは郵政公社が調べて97%という数字を出してございますけれども、それはそれとして、我々としても何らかの形でその郵便サービス品質を我々自身のデータとして持っていかなければいけないという問題意識がございまして、それについては今ちょっといろいろ各方面からのご協力もいただきながら調べていこうということを始めたところでございます。これは、また引き続きずっとやっていくことになろうと思います。ですので、事業者自身がみずからのサービス品質をチェックするというものもありますし、我々がそういうように郵政行政を遂行していく中で、我々自身もいろいろな形でチェックしていくということをやっていかなければいけないということでございます。
○佐野委員 それは必要なことだと思います。100%いくとは思っていないわけで、何か違った形でやるということをしないと、何かいつもいつも十何年も同じことをやっていても進歩がないような気がします。その点の工夫をお願いしたいと思います。
○佐藤郵便企画課長 それはいろいろご議論がございまして、ずっと継続的に同じ調査をすることによってサービスレベルの上がり下がりを継続的にチェックできるという意味はあると思います。ただ、今、公社が普通郵便について全国的に調査している。では、そこだけ調べればいいのかとか、いろいろ調べ方もほかにも視点があるのではないかというあり方はあろうかと思います。それは我々自身も見なければいけませんし、公社自身も新しい郵便事業会社自身もそこは考えなければいけない要素はあるかと思いますけれども、少なくとも今までずっとやってきた、ずっと97.3、4ぐらいのところできているのは、やはりある程度継続的にやっていくこと自体は、それはそれで意味があることではあるかと思いますが、それだけですべていいかというと、そうではないという問題意識は我々も持っております。
○樋口分科会長 よろしいですか。
○佐野委員 はい。
○樋口分科会長 どうぞ、斎藤委員。
○斎藤委員 企業のステークホルダーとして通常出てくるのが、ここに出てこないものがあります。「株主」が出てこないというのはよくわかるのですが、「社員」があまり大きく出てこないのが何か違和感がございました。「新会社への円滑な移行」というところで、その業務の移行準備で職員への訓練・研修の実施というのがあります。この程度です。残業代も多くなるということを先ほど伺いました。かなり職員に対する負担が増えていると思うんですが、メンタルヘルスを含めて職員に対する何かやさしい言葉というか、彼らがハッピーに働いて新しい会社に移行するとか、そういうことが経営目標の中に1つ入ってもいいのではないかという気がしたのですが、いかがでございましょうか。
○樋口分科会長 これはどなたですか。
○須田郵政行政局長 ちょっとざっくばらんな話をさせていただきたいと思うんですけれども、私ども行政の立場から見ていますと、今、もう半年ちょっとになってきている期間の中で、先ほど生田総裁のお話がありましたけれども、ほんとうに民営化の準備のために皆さん苦労されていると。特に、その上でもう一つ、ちょっと私、見ていて思いますのが、今、どちらかというと10月以降の新しい会社の運営に非常にlooking forward的な、そういうものにつきましては会社のほうでやっていくと。それに対して、公社のほうがいかにきれいな形をつくっていくかということですごく苦労されているところがあると思うんですね。そういう中で職員の方が働いていますから、ご指摘のような形で職員の方の苦労とかということは、我々としては十分認識しているつもりでございますし、またそれは、同じような意味で生田総裁も十分認識されていらっしゃってずっとやってこられてきていると思いますし、また、そういうことも念頭に置きながら、今度は、実は先ほどありましたように、職員が新しい会社の中ではどういうふうな位置づけになっていくかということも今だんだん決まり始めてきております。そういう状況の中で、この4月の末に実施計画、これは先ほどの承継に関する計画になるわけですが、そこの中で詳細なものはすべて出てまいります。したがいまして、そこの承継に関する計画の中が非常に固まってきますと、そういう中でこれから将来どうなっていくんだということも非常に見える形の中でそれぞれ所属された職員の方たちが仕事をしやすいような非常に見えてくるような状況が出てくるのかなと思っているところでございます。
  いずれにしても、そういう状況につきましては、私どもも、また、経営者の方も、十分意識してやっているつもりでございますので、これからまた念頭に置きながら対応していきたいと思います。
○樋口分科会長 いかがですか。よろしいでしょうか。
  ほかにいかがでございますか。
○田尻委員 1つだけよろしゅうございますか。
○樋口分科会長 どうぞ。
○田尻委員 今、提起された問題に関連しまして、これ、行政のサイドからどのようなアプローチが可能なのかなと思うんですけれども、金融自由化前と金融自由化後、あるいは、10年前と今とを比べまして、いわゆる銀行の店舗におけるサービスは明確に必要メカニズムが働いているんですね。結果として今起きていることは、23区内の支店では、もう30分以上待つのは当たり前の状況になってきて、かつ、例の振り込み詐欺の問題が起きてからは窓口で手続できないものが増えたこともあって、大変な混雑状況にあるわけですね。そういう意味では、金融自由化とかいうことの具体的なメリットを大部分のカスタマーは感じられなくなってきているわけです。むしろ、店舗も減り、サービスも非常に悪化しているというのが今の状況なんですね。
  一方、カウンターの内部にいる行員たちはどういう状況かということで興味を持って私どもの卒業生などで金融機関に入っている連中の話をいろいろ聞いてやると、すさまじいばかりの変化なんですね。いわゆる合併前、メガバンクになる前とでは。いわゆる民間銀行としてずっとやって、そこで働いてきた人でも、もう悲鳴を上げているわけですね。
  今度、この公社が民営化されて、数値目標でもってがりがり締め上げていきますと、おそらくカウンターの内部では、今、メガバンクの現場の行員たちが抱えている問題以上の問題をおそらく抱え込むだろうな。そのことと、カウンターのこっち側にいるお客との関係は、相当ぎすぎすしたものになってしまって、民営化のいろいろなマクロ的なメリット・デメリットの比較以前のところで一体これは何だということになった場合に、その場合に、移行期間中の10年間、郵政行政のご当局としては、どういう立場に立つのか、その辺はよくこのホールディング・カンパニーの業績評価の問題だけではなくて、その4つの子会社の現場で起きていることについてのあれを相当フォローして、何らかの、これは難しい関係にお立ちになるだろうと思うんですが、直接介入できるのかどうかちょっとわかりませんけれども、ただ、国民の民営化後に対する評価は、おそらくそのあたりから決まってくるというか、そのあたりからさまざまの声が当局にも永田町にも寄せられるであろうと思うんですね。ですから、そのあたり、郵政行政局とその4つの子会社との関係をどうあるべきかというのは、今からご研究なさっておいたほうがいいのではないかと、ちょっと蛇足ながら申し上げました。
○樋口分科会長 どうぞ、局長、お願いします。
○須田郵政行政局長 今、田尻委員がご指摘いただいた点は、まさに私ども郵政行政の立場の中で一番大きな課題だと思っているところでございます。その点が、まさに民営化の議論のときに、国会の審議の中でいろいろな議員の方から多く指摘された問題だと思っていますので、基本的には、国会の中における附帯決議におきまして、サービス水準は維持すると。これはまさに民営化のときにサービス水準が非常に下がってきたのではないかといろいろなご議論がある中で、附帯決議で民営化水準を維持するということでございますので、それを1つの基本的な考え方、出発点として対応していきたいと思っております。
  まさに、現にいろいろな形での問題指摘があるわけでございます。これはもう委員会の中でもいろいろな形で出てきております。それは郵便であれば郵便の集配の再編についてサービスがダウンするのではないかとか、あるいは、これは民営化以前からずっとやってきていることですけれども、ATMの撤去問題というのがテレビで報道されたり、これも同じく委員会でも取り上げられてきております。
  しかし、他方で、その全体の金融の分野につきまして、全体の金融の中での整合性ということもございますので、そういう点から出てくる問題と、どのような形で整合性がとれるのだろうか。例えば具体的な例としてよく出てきますのは、地方の非常に人の少ないような郵便局の中で、もともと地域の人は顔見知りだと。しかし、何かをやるについても、運転免許証を出してくださいというようなことをやっていくためには、地域で非常にトラブルが生じるわけですね。何でもツーツーの仲なのに何でそんなことを一々かたいことをやらなきゃいけないんだと、そういうふうな問題とか、いろいろな点がございます。しかし、それも全体の中の整合性の中でどこまでが利用者の方に納得していただけるのか、そういうことを1つ1つこれから考えていくしかないなと思っているところでございます。
○樋口分科会長 いかがでございますか。よろしいですか。
○村本委員 1点だけよろしいですか。
○樋口分科会長 どうぞ。
○村本委員 こういうチャンスもあまりないので、これは研究者としてのお願いみたいなものなんですけれども、郵政公社には郵政研究所、今、総合研究所といいましたか、組織がおありだと思いますが、大変いい研究といい調査を今までやってこられておりまして、研究者としては大変ありがたいと。ほかの組織は、どんどんそういうのをなくなってきておりまして、研究にかなり支障が出てくるような状況もございますので、ぜひいい形で継続していただけると大変ありがたいなと思っているということだけ申し上げたいと思います。
○樋口分科会長 どうぞ。
○須田郵政行政局長 ご指摘のことを十分念頭に置いて考えていきたいと思います。1つは、私どもの情報通信政策研究所というのがありまして、これはどちらかというと、ICTのほうを中心にやっております。それに対して、従来の郵政研究所というのが今の郵政公社のほうが引き継ぐ形になってきておりますけれども、今後民営化になりましても、そういった基礎的なところの研究を、これは行政としての面で考えていかなければいけないと思っておりますので、その点は十分ご指摘を念頭に置いて対応していきたいと思います。
○樋口分科会長 そのほか、いかがでございますか。
  それでは、ご意見も出尽くしたようでございますので、ほかにご意見がございませんようでしたら、諮問第273号 日本郵政公社の第二期中期経営目標及び中期経営計画の認可につきましては、当分科会といたしましては諮問のとおり答申することが適当ということで総会にお諮りすることでよろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように決定させていただきます。
  なお、当分科会での本件に関する議論の内容につきましては、事務局におきまして整理をしていただきまして、総会において当分科会での結論とあわせて私から報告することにいたしたいと思います。よろしゅうございましょうか、ご了承いただいたということで。
  それでは、以上をもちまして本日に予定しておりました議事はすべて終了いたしましたので、閉会とさせていただきます。
  なお、この後、私は記者会見を行いまして、本日の議事の模様を公表いたしたいと存じます。
  委員の皆様、ほんとうに今日はご多忙のところをご出席いただきまして、どうもありがとうございました。

閉会



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