審議内容
開会
○原口総務課長 まず初めに事務局から2点お願いがございます。
1点目でございますが、ご発言される際は、お手元の大き目の四角いボタンを押してからご発言いただければと思います。
2点目でございますが、本日冒頭、カメラ撮りがございます。審議に入る前には退室いただくことになっておりますので、ご了承いただきたいと思います。
(カメラ入室)
○樋口分科会長 それでは、ただいまから郵政行政審議会の第14回日本郵政公社経営・評価分科会を開催させていただきます。
本日は、委員15名中9名がご出席の予定なのですけれども、ただいま2名、この場所が変わっておりますのでほかのところへいらっしゃった方がおられて、今こちらへ向かっておられますので、追っつき9名になると思います。実はそういうことで、ただいま現在では7名でございますが、間もなく定足数を満たすと思いますので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、議事次第によりますと審議事項等は5件ございます。
まず本日は、ご多忙の中、郵政公社の西川総裁においでいただいておりますので、まず公社における中期経営目標の達成に向けた取組に対する評価について説明をいただくことにしたいと思います。それではよろしくお願いいたします。
○西川日本郵政公社総裁 日本郵政公社総裁の西川でございます。
委員の皆様には日ごろから公社に対しまして格別のご指導、ご支援をいただいておりまして、まことにありがとうございます。10月の民営・分社化まで残すところ2か月ということになりました。7月からは準備作業の一環といたしまして、新しい業務運営の実効性を検証するために、本番に近い環境でシステム及び業務という2種類のリハーサルを実施しております。民営化に向けた準備がいよいよ最終段階に入ったということでございます。
また、7月10日には、中国郵政集団公司との間で国際郵便そして国際物流分野を中心とした業務について協力強化を合意させていただきました。これまでも日中両国は郵政事業において緊密な協力関係を構築してまいりましたが、双方の事業を取り巻く環境が大きく変化する中で、協力関係をさらに強化いたしまして、まずは国際商品の主力であります国際郵便の分野、EMSと申しておりますが、その分野のサービスの強化に向けた取組を展開していくということにしたものでございます。もちろん、民営・分社化後におきましても協力関係を継続するつもりでございます。
○原口総務課長 それでは、マスコミの方、恐縮ですが、ここでご退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○西川日本郵政公社総裁 さて、本題の公社第1期の中期経営目標についてでございますが、4年間の積立金は、目標でありました3.9兆円以上を大きく上回る6.4兆円を達成いたしました。これに伴いまして、当初予定されていなかった9,625億円の国庫納付を去る7月10日に行ったところでございます。
それでは、お手元の資料に沿いまして、第1期4年間の経営状況につきましてご説明をいたします。
まず、1ページの左側、郵便でございますが、第1期の積立金は592億円となりまして目標であります500億円以上を達成いたしました。計画との比較では、収益は4年間合計で3,276億円下回りましたが、費用面では効率化施策の推進でありますとか、経費削減に取組みました結果、4年間合計で3,344億円を削減しております。収益につきましては、企業の経費削減の動きなどによりまして、通常郵便物の引き受けが減少いたしましたが、小包郵便物は、民間企業との激しい競争という厳しい経営環境の中で、ゆうパックリニューアルをはじめとした差し出しやすさ、受け取りやすさの向上や、需要拡大に向けた積極的な営業活動に取組みました結果、4年間合計で引受物数は65億個と、計画比で192%の増加ということになりました。
年度別に見ますと、収益は17年度までは大幅な減少が続きまして、計画との差が拡大する傾向にありましたが、18年度は通常郵便物の減少の下げどまりということもありまして、前年度実績に比べて若干持ち直すなど、改善の傾向があらわれています。
一方、費用につきましては、郵便物処理の機械化の推進、非常勤職員の活用、JPSの推進、競争契約の拡大や契約内容の見直しなどに努めました結果、計画を上回る削減となりました。なお、中期経営目標として掲げました事業経費率98.5%以下、送達日数達成率97%以上、これらにつきましても4年間を通じてほぼ順調に推移をいたしております。しかしながら、郵便事業は決して安心できる利益水準とは言えず、営業力の強化など収益面の対策とともに、費用面におきましても非常勤賃金の単価アップなどの増加要素もありますことから、JPSやITのレベルアップなどによる効率化の推進が重要な課題であると認識をいたしております。
次に、1ページ中ほどの貯金でございます。第1期の積立金は約6.4兆円となりまして、目標であります3.9兆円以上を大幅に上回って達成することができました。この要因といたしましては、各年度におきまして株価が好調であったことによりまして、金銭の信託運用益を計上したということが挙げられますが、ほかにも適切なALM管理によります資金収支の安定的な確保、また経費の効率的使用によります営業経費の削減に取組みまして、毎年度の利益計画を着実に達成することができたと評価をいたしております。
また、17年10月から販売を開始いたしました投資信託につきましては、18年度は5,955億円を販売いたしまして、18年度末現在の販売残高は7,069億円と、順調に推移いたしております。しかしながら、中段のグラフにありますとおり、郵便貯金の残高は計画を大きく下回っておりまして、18年度末では187兆円となっております。このような状況の中、金利変動に基づく定額貯金の預払い動向を踏まえたALMを実施いたしまして、各年度とも計画を上回る当期純利益を計上したところでございます。
下段にありますその他の経営指標につきましては、中期経営目標に掲げた期間中の平均の経費率0.52%以下を達成いたしました。資金収支においても順調に推移しております。手数料収入であります役務取引等収益は、投資信託手数料などが着実に増加をしておりまして、15年度の850億円から18年度には1,200億円となっております。今後は残高確保に向けた取組を強化いたしますとともに、投資信託の販売などによる手数料収入の増加を図る必要があります。また、引き続き政策金利の引き上げが見込まれますことから、金利上昇局面におけるALM管理の厳格化を行う必要もあると認識をいたしております。
次に右端の保険でございます。第1期4年間の内部留保積増額は、約2.5兆円となりまして、目標であります3,000億円以上を大幅に上回って達成をいたしました。また、死差、利差、費差の三利源は、逆ざやの縮小によりまして改善いたしました。18年度の三利源合計は約1,200億円となりまして、公社化後初めて黒字に転じました。
保険料収入につきましては、新契約の減少等によりまして、4年間の合計で計画を5.7兆円下回る44.4兆円となりました。中ほどのグラフに新契約保険料の推移がありますが、お客様のニーズが死亡保障から医療保障などへ変化いたしまして、簡易保険の主力であります普通養老保険へのニーズも変化をいたしておりますことから、計画を相当下回って推移をいたしました。
このような状況の中、貯金事業と同様、堅調な株価に支えられたという面もありますが、長期安定的な運用の実施によるインカム収益の確保、経費の削減などに努めてまいりました結果、内部留保を着実に積み増すことができたものと評価をいたしております。
このほか、中期経営目標に掲げた事業費率、失効解約率につきましては、下段のその他の経営指標にあるとおりでございます。事業費率につきましては、分母である保険料収入の減少や、分子であります退職手当の一時的な増加によりまして18年度はかなり上昇をいたしました。一方、失効解約率につきましては、各年度とも順調に推移をいたしております。今後、新契約の確保に向けましては、営業体制の整備及び営業力強化を行うとともに、お客様のニーズに対応するため、職員のコンサルティング能力を高め、普通養老保険のほか、ながいきくん(ばらんす型)を中心にお客様のニーズに合わせたコンサルティングセールスを展開していく必要があると認識をいたしております。
次は2ページの公社全体にわたる取組についてでございます。
まず、職員数の推移でございますが、グラフの上の線は計画上の予定人員数でありますが、この4年間で1.7万人程度の削減を予定いたしておりました。実際にはそれを上回る削減を行いまして、公社発足時に28万人余りであった職員を3万人近く削減いたしまして、18年度末では25.4万人となっております。これは人件費抑制の取組として、郵便におきましては新型区分機の導入といった処理の機械化や、物数減少に伴う要員配置の見直し、JPSの推進による生産性向上などを進めたこと、貯金・保険におきましては、集金事務の効率化、非常勤化による職員の減員を進めたことによるものであります。
次に右側をごらんになっていただきたいのですが、調達コストの推移でございます。公社化前の14年度に8,340億円だったものが、18年度には5,818億円となっておりまして、コスト削減で成果を上げています。これは全社的な取組といたしまして、投資委員会、調達委員会におきまして案件を個別に審査いたしまして、競争契約の推進、契約内容の見直しなどに重点を置いた取組を行った結果でございます。
例えば自動窓口受付機の調達につきましては、新規業者の参入、リバースオークションの実施によりまして、調達単価が45万円から28万円へと38%減となりましたほか、領収証兼監査用紙につきましては、仕様の変更、複数年契約の採用によりまして調達単価が201円から120円へと40.2%減となりますなど、このような取組が重なったものでございます。
なお、民営化に当たりましてより一層の調達コストの縮減を図るための集中検討プロジェクトであります調達コスト削減プロジェクトや、コスト縮減とともにガバナンスの強化を図るという観点から、郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会を4月に立ち上げまして、鋭意検討を進めているところでございます。
次に、2ページ下段にあります中期経営目標の達成状況につきましてご説明をいたします。
右側の表は、目標期間中の実績を中期経営目標の項目ごとに一覧にまとめたものでございます。先ほどご説明をしましたとおり、財務内容の健全性の確保では、積立金や内部留保の経営目標を大幅に達成しているものと考えています。その他の目標につきましてもおおむね達成しているものと自己評価をいたしております。
次に、民営・分社化の準備状況につきましてご説明をいたします。3ページでございます。
民営化準備は、現在、10月1日まで残すところ2か月余りでございまして、プロジェクト全体としての最終フェーズに突入をいたしまして、業務リハーサル、最終移行確認など、準備作業の総仕上げの時期に入っております。3ページに民営化準備の主要スケジュール及び主要な作業の進捗状況をまとめていますので、ごらんになっていただきたいと思います。主要な作業の現在の取組状況について簡単にご説明いたします。お客様周知につきましては、商品サービスの変更点などをホームページ、リーフレットなどでお知らせしておりまして、今後も引き続いて新聞、テレビCM、全戸配布の冊子などを使いまして幅広くお知らせしていく予定でございます。
職員の帰属は、25万人の職員がどの会社に帰属するかを検討する作業でありますが、これまでのところ順調に進んでおります。今後の作業といたしましては、9月に職員へ帰属会社を正式に通知することといたしております。
マニュアル等の作成につきましては、郵便局等で日常的に活用する業務マニュアルは、既に作成を完了いたしております。郵便局に常備いたしますダイジェスト版の印刷段階に入っております。残りの規程マニュアルの整備につきましても取組中でございます。
システム構築では、民営化に対応して63本のシステムの改修を行ったところでございます。大半のシステムが開発を終えまして、本格的な試験を実施し、最終確認を行う段階に入っております。
研修・訓練は、郵便業務、銀行業務、保険業務などにかかわる大規模な8つの研修のうち6つが予定どおり終了したところでございます。残りの2つの研修も8月末までに計画どおり終了する見通しでございます。
また、会社間区画等工事は、主に複数の会社が入居する郵便局のセキュリティーを確保するために行っております。8月末終了を目指しまして、順次実施しているところでございます。
これら準備作業の集大成といたしまして、現在、先ほども申しましたように、全郵便局を対象にできる限り本番に近い環境、組織体制の中で、正確かつ円滑に事務処理を行えるか、なお適切なお客様対応が行えるかといったことを検証するためリハーサルを実施しておりまして、既に9割の郵便局でリハーサルを終えております。今後、民営化までの残りの2か月間は、10月1日の民営化を安心して迎えられるよう、リハーサルで明確になった課題の解決に取組んでまいります。
最後になりますが、民営化までに総務省から求められておりますレベル、あるいは市場レベルまでコンプライアンスのレベルを高めることを目的に、昨年9月、内部統制強化のための改善計画を作成いたしまして、現在、公社を挙げて取組んでいるところでございます。中でも最重要の4項目であります部内者犯罪の防止、現金過不足事故の防止、郵便収入の適正管理、保険募集管理態勢の整備には、これまでに650人を増配置、約600億円規模の予算措置を行いますなど、経営資源を重点的に投入し、取組んでまいりました。その結果、一定の成果が上がっていますが、まだまだ課題も残っておりまして、民営化に向けましてさらに取組を強化してまいりたいと考えております。
利用者の皆様にご迷惑をおかけしないよう、新会社の円滑な立ち上げ準備に全力で取組んでまいりますので、引き続きご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○樋口分科会長 西川総裁、どうもありがとうございました。
ただいまいただきましたご説明につきまして、委員の皆様のほうからご意見、ご質問等ありましたらお願いいたします。どうぞご自由にご発言をお願いいたします。
田尻委員、どうぞ。
○田尻委員 輝かしい業績をお持ちの経営者にお説教をするつもりは全くございませんので、素朴な国民感情としてお聞きいただければと思います。
これまで、日本郵政のトップとして、また公社総裁として率いてこられて、これまでの期間というのは体制整備に全力を挙げていらっしゃったと思うのですけれども、2か月後からは、いよいよ独立の会社としての活動に移られるわけでございまして、その場合のトップの役割というのは大きく変わってくるんじゃないかなと私どもは期待いたしております。率直に申し上げまして、300兆円を超える巨額の資金を持っていらっしゃる組織体として、4番目のメガバンクもしくは何番目かの保険会社が誕生するだけでは、国民経済的な意味合いは私は全くないと思います。そういう意味で130年間の国民的な共有資産を引き継がれただけの会社でございまして、これからそのお答えをお出しになる時期に入るわけでございます。
そういう観点から申し上げますと、既にもう国民は、民営・分社化だけで、今拝見しました数字だけでも六千八百数十億円を郵貯・簡保加入者のコストとして負担をしておるわけでございます。そういうところから申し上げますと、お願いのまず第1点でございますが、この新日本郵政グループというのは、通常の巨大企業であってはならない、一味も二味も違ったことをおそらくいろいろお考えではないかと思います。私ども研究者としての立場から申し上げますと、これは通常の巨大企業の成熟段階としての新しい経営理念と申しますか、本業の中に社会性、公共性というものをどう組み込んでいくかという意味で、社会的企業であり、かつ市場にリンクしている。市場にリンクした社会的企業としてのコンセプトがおそらくかぎになろうかと私は考えております。そういう意味で、2か月後からは、ぜひ国民に向かって、トップとしてご自身の経営理念なり目指す志を語っていただきたいというのが1番目のお願いでございます。
2番目のお願いは、これまでの資金運用のポリシーと今後どう変わるかということについてのご質問も兼ねておりますけれども、拝見しましたところ、4年間の積立金を大変目標を大きく上回られて、国庫納付金を1兆円近く納められた、これは私は非常にがっかりいたしました。つまり、新聞、メディアでほとんど注目されなかった。これはやはり宣伝不足ではないかと役所の方にも申し上げたわけですけれども、これはもう早速成果を上げておられるわけですから、こういうときには大胆にアピールしていく姿勢が一つ欲しいなと思います。
もう一つ、資金運用面でございますが、運用資産総額が302兆円の中で、金銭信託、いわゆるリスク運用をなさっている部分がわずか9.5兆円、3.1%に過ぎないのです。国債と比べますと、国債の20分の1でしかない。そういう意味で、今後できるだけ、効率経営というお話がございましたが、資金運用の効率も上げていただいて、それを国民に向かって還元をしていただきたい。その方策、プログラムについても、2か月後にはメッセージの中に加えていただければというのがお願いでございます。
長くなりまして恐縮でございます。
○樋口分科会長 ありがとうございました。西川総裁、何か。
○西川日本郵政公社総裁 大変ありがとうございました。社会性、公共性を理念に組み込みまして、それを市場にリンクさせていくという考え方、これは全く私も同感でございまして、全くこれまでの民間企業と同様に考えていくわけにはまいらない。やはりそこに社会性、公共性というものを強く打ち出さなければならないということ、これが経営理念であるということをしっかりとアピールしていく必要があると考えております。私ども、メッセージといたしまして、既に、「あたらしいふつう」をつくろうということを申しておりますが、これまでの郵便サービス、貯金のサービス、保険のサービスというのは国民の皆様には当たり前のことであったわけでございます。これをさらにレベルアップをしながら、これを「ふつう」のものにしていこう、「あたらしい」ものを「ふつう」のものにしていこう、こういう考え方でございます。
それから国庫納付につきましては、確かに私どもから声高に申し上げるのもいかがなものかということで静かにいたしておりましたが、これは国民の皆様にもよくご認識をいただきたいところでございます。当初は全く考えていなかったというものでございますので、これはよくご認識をしていただきたい。そういう機会もつくらなければいけないかなと思っております。
それから資金運用につきましては、まだまだ制約がございます。例えば貯金につきまして現在約180兆円でございますが、その中の定期性貯金は旧勘定といたしまして政府保証が満期まで継続するというものでございますので、管理機構のほうに移管をいたしまして、それは特別預金の形でゆうちょ銀行に還元されるわけでございますが、保証見合いといたしましては安全資産を保有するということが義務づけられておりますので、これについては、安全資産といえばやはり国債というものが第一に挙げられますので、これ中心のものが大きく残ってくる、これが10年程度かかって減少してくるということでございますが、その他の運用におきまして、運用対象をこれまでよりは多様化を認めていただき、あるいはまた現在、金利リスクのヘッジの手段もございませんので、スワップ等の形で、デリバティブではございますが、この手段もお認めを願って、利ざやの確保に努める。そして新しい運用で、国債運用よりは幾らかなりとも利ざやの厚いものにして、そしてできるだけ国民の皆様にも還元をさせていただく、こんなビジネスモデルでやってまいりたいと考えております。いろいろとまたご指導を賜りたいと存じます。
○樋口分科会長 何か関連して皆さんのほうから。田尻委員、よろしゅうございますか。
○田尻委員 ありがとうございました。
○樋口分科会長 どうぞ。
○若杉分科会長代理 きょうはわざわざ総裁にお出ましいただいてありがとうございます。
今、田尻委員は、利益とか剰余金が順調であるということを評価されたご意見があったわけですが、なぜ公社であったかというと、利益を上げることよりも国民の間に一定のサービスに対する需要があるので、したがって公社でやらなければいけないということでやってきたわけです。そういう意味でいいますと、利益は順調に上がっているわけですが、通常郵便は扱い量が下回っておりますし、また郵貯も残高がどんどん減っております。簡保のほうもそうなわけですが、これを達成できなかったということは、国民の需要を見間違えたということもあるのかもしれませんが、いずれにしろ、こういう一定のサービスを提供するために公社の形をとったにもかかわらず、そういうものが達成できなかったというのは、一つの大きな問題ではないかと私は思うわけです。ただもう一方で、こういうのはやむを得ないことで、だからこそ民営化が必要なんだという考え方もあり得るわけですが、その点を総裁としてどういうふうにお考えになっているのかを伺いたいのですが。
○樋口分科会長 総裁、よろしくお願いします。
○西川日本郵政公社総裁 まず、郵便貯金減少、それから簡易保険の保有契約の減少は相当なピッチで、早いペースで減少しておるということでございまして、このよって来るところと申しますのは、やはり公社スタートの時期に比べますと、貯金にいたしましても保険にいたしましても、適用金利、予定利率がマーケットに合わせてまいりますと大幅に下がってきた。下がってきたがゆえに、定額貯金といえども商品の魅力がなくなってきた、少なくなってきた。簡保のほうでの主力商品であります養老保険も予定利率の低下から魅力をなくしてきた、こんなことが大きな原因。またさらにさかのぼって考えますと、ちょうど公社化の以前に民間銀行では金融不安ということがありまして、かなり郵便貯金に個人の貯金がシフトしたということがございましたし、保険においても同様の問題があってそれがシフトしておったということ、それが落ちついてまいりまして、だんだんまたそのシフト分がはけてきたといったような事情があったかと思います。
ただ、それに対応いたしまして、我々公社としては、やはり新しいサービス、なかなかこれは認められないことでありますけれども、いろいろな形で新しいサービスに取組むことによって、もう少しマイルドな減少の仕方を目指すべきではなかったかなという反省はございます。
それから郵便物につきましては、やはり電子メール等の普及によりまして、手紙、はがきのたぐいが年率3%、4%の割合で減り続けてきた。ここにまいりまして少し減少の度合いが小さくなってきておるということで、若干愁眉を開いておるのですけれども、これは減ってきた。しかし一方、力を入れましたゆうパックでありますとか、あるいは冊子小包、カタログ、ダイレクトメールのたぐいでございますが、これは大幅に伸びております。これは民間との競争が最も激しい分野でございますが、これは大幅に伸びてきておりまして、力を入れた成果はその辺にあらわれてきているなと理解をいたしております。
今後とも先生のご指摘を踏まえまして、民営化後におきましても努力をしてまいりたいと考えております。
○若杉分科会長代理 もうちょっとだけよろしいですか。
西川総裁がおっしゃることはよく理解できますが、ただ、経営者の役割というのは、掲げた目標をできるまでやるというのが経営の神髄だと思うのです。そういう意味で言いますと、やはり中計を達成できなかったということは、もちろん環境のせいとかいろいろなこともあると思いますけれども、やはり今、一部反省しなきゃならないところがあるとおっしゃいましたけれども、それはきちんともう少し内部で総括しまして、今度民営化になりますと、まさにもっと環境が厳しくなるわけでして、今度の場合には利益ということが目標になると思いますが、それを厳しく達成していかなきゃいけないわけでして、ぜひこの中計を達成できなかったということをほんとうに深刻に受けとめて、民営化後の経営に生かしていただければというお願いでございます。
○樋口分科会長 何かほかに。どうぞ。
○吉野委員 きょうはご説明ありがとうございました。今、若杉先生は貯金とか保険が減ってきたことを非常にご指摘なさったのですが、やはりバブルのときとかさまざまな環境によりまして、こういう商品が売れるときと売れないときがありますので、それよりはむしろ、さまざまな商品を並べるということが重要じゃないかと思います。その中で投信が伸びているのは、まさに株なりその市場がよかったからだと思いますが、今後、そういう商品をこれまでのように代理店として販売するのか、独自でやっていかれるのかというのは、大きくいわゆる民間とのすみ分けということがあるように思います。
それから2番目は、ネットワークの2万4,700というのは、これはほかにない金融機関でありますので、ぜひこの2万4,700で国民の方にさまざまな商品を提供するということをやっていただきたいと思いますし、それから先週、実はこの郵政審議会のメンバーで郵便局を拝見させていただいたのですが、現場の方々で、まだどういう方向に行くんだろうということがおわかりになっていないといいますか、そういうところもございますので、ぜひ一番のトップとして、この民営化の中でどういう方向に行くのかということが末端までいくようにぜひお願いしたいと思います。
それから、その現場でお聞きしたところでは、貯金と保険の間とか郵便の間に今度壁ができるとか、せっかくこれまでの範囲の経済性という郵便局のネットワークのよさが、さまざまな制約によってなくなってしまうようなことがあるようでございます。しかし、それは制度の中ではウオール、壁がなくてはいけないかもしれませんけれども、これまでの範囲の経済性と規模の経済性というのはぜひ維持していただきたいと思っております。
それから最後は、日本の金融全体でございますが、やはり国際競争力というのがよく言われているわけですが、先ほど、日中の間での郵便の提携ということをおっしゃいましたが、金融面でも世界の中での日本の金融業、あるいは世界の中でやっていけるということもぜひ視野に入れていただければと思います。
以上でございます。
○西川日本郵政公社総裁 ありがとうございます。ご指摘の点、ごもっともでございまして、私どもも吉野先生がおっしゃるような方向で考えております。やはり2万4,000余りの郵便局ネットワークというのは我々にとりまして最大の強みでもありますので、この強みを生かしていく。また国民の皆様、利用者の皆様に利便性を感じていただけるというのもこの窓口においてのことでございますので、より一層利便性を高めるべく努力をしてまいりたいと考えております。
そして確かに郵便事業会社、そして郵便局会社、それからゆうちょ銀行、かんぽ生命と、4事業会社に分かれるわけでございますが、サービスを提供いたします窓口としては郵便局でございます。この郵便局において顧客接点の一元化ということを念頭に置いてやっていかなければならないと考えておりまして、完全に縦割りにするのではなくて、一体的に郵便局の窓口においてサービスを提供する。ほとんどの郵便局が代理店になりますので、代理店としてサービスを一体的に提供する、そういうビジネスモデルで進めてまいりたいと考えております。
○樋口分科会長 ありがとうございました。まだまだお伺いをしたいのですけれども、じゃあもうお一方だけ、簡単にお願いいたします。
○佐野委員 1点だけ。私はどちらかといいますと、数字のほうではなく、実際に利用者の方がどう受けとめるかという点で、今ある信頼性の確保をぜひ続けていっていただきたいと思っています。それから、いろいろな契約や貯金額が減ったとの説明がありましたが、郵便局の利点は地域と密着している部分です。やはり信頼が大切だと思います。
それから苦情や相談については、ぜひ一元的に処理していただきたい。同じような苦情が多分いろいろな地域であると思うのですが、同じことを繰り返さないようにしていただきたい。それから相談というのは、わからないから相談する、どうしていいか困っているので相談するのであって、何であなたは知らないのと言われてしまうと消費者のほうとしてはたまらないものです。そこのところはきちっと対応してください。先ほどコンサルティング能力を高めるとおっしゃいましたが、そういうところにもつながると思います。ぜひコンサルティングをしながら、苦情や相談を受けながらという形で、さらに信頼性確保、消費者の気持ちを受け止め、事業を進めていっていただきたいと思います。
以上です。
○西川日本郵政公社総裁 ありがとうございました。郵便局の窓口におきましては、先生のおっしゃることはごもっともでございます。そのように対応していかなければならないと考えておりますが、一方、コールセンターも、今、実は非常に数が多くございまして、若干まとまりを欠いているというところでございますので、コールセンターというのは、やはりお客様との接点として非常に重要な存在でありますので、このコールセンターの改革をできるだけ早く進めて、お客様の苦情あるいは相談といったものを的確にスピーディーにお受けし、対応できるようにしてまいりたいと考えております。これは今もう既にプロジェクトをスタートさせておるところでございます。
○樋口分科会長 どうもありがとうございました。まだ西川総裁にはいろいろと質問やご意見が皆さんからおありかと思いますけれども、今後、今日のうちに評価について審議をしなきゃいけないものですから、若干時間も押しておりますので、この辺でこちらのほうの部は終わりにさせていただきます。本日はご多用中のところをいろいろと直接お話をいただきまして誠にありがとうございました。当審議会の審議の充実に当然に資するものがございます。ほんとうにありがとうございました。重ねてお礼を申し上げます。
○西川日本郵政公社総裁 どうもありがとうございました。
○樋口分科会長 それではご退室していただきまして。
○原口総務課長 では、席の入れかえを行いますので、しばらくお待ちください。
(西川日本郵政公社総裁退室・出席者入れかえ)
○原口総務課長 既に審議に入っているところではございますけれども、去る7月6日、10日、17日と、私ども人事異動がございましたので、その異動により交代した者から順次自己紹介をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○橋口郵政行政局長 郵政行政局長を拝命いたしました橋口でございます。身の引き締まる思いでおります。どうぞよろしくお願いいたします。
○後藤郵便企画課長 7月10日付で郵便企画課長を拝命しました後藤でございます。いろいろお世話になりますが、ひとつよろしくお願いいたします。
○藤田郵政事業連絡調整室長 7月17日付で郵政事業連絡調整室長を拝命いたしました藤田と申します。よろしくお願いします。
○竹村貯金企画課調査官 同じく貯金企画課の調査官になりました竹村と申します。よろしくお願いいたします。
○原口総務課長 それでは、分科会長、引き続き進行のほどよろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 それでは審議を続行させていただきまして、まず、諮問第288号、日本郵政公社の平成18年度財務諸表の承認と諮問第289号の日本郵政公社の業績評価でございますが、この2つは密接にかかわるものでございますので、2つの審議事項はまとめて審議することにいたしたいと存じます。またこの2つの審議事項につきましては、郵政行政審議会議事規則第10条第1項に基づきまして、当分科会でご審議いただきました後、当分科会での審議の内容を踏まえまして、来週開催の総会におきましてご審議をいただきまして、最終的に審議会としての答申となるという取り運びとなっているところでございます。
それではまず、鈴木総合企画室長より説明をお願いいたします。
○鈴木総合企画室長 総合企画室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
財務諸表の承認と業績評価の2件をあわせまして、資料2、大部になってございますが、こちらでご説明させていただきたいと思います。
資料の概要をざっと申しますと、資料2−3が財務諸表の承認の諮問書、それから財務諸表の本体でございます。それから資料2−4が業績評価の諮問書と業績評価書の本文となってございます。諮問書の読み上げにつきましては省略させていただきまして、お手元のA4横の資料2−1の説明資料に基づきましてご説明させていただきたいと思います。先ほど、西川総裁からこれまでの4年間の公社の取組についてご説明がございましたので、ポイントを絞ってご説明させていただきたいと思います。
まずお手元の資料の1ページをごらんいただきたいと思います。中期経営目標等に係るスキームについてでございます。今回、ご審議いただく事項につきましては、3)のところでございますが、18年度の財務諸表の承認、それから4)18年度の業績評価、それから、6)のところでございますが、公社が平成15年度に設立されて4年間が経過しましたので、第1期中期経営目標期間4年間の業績評価、これら3つにつきまして公社法第66条に基づきまして審議会に諮問させていただいているものでございます。位置づけをご確認いただければと思います。
続いて3ページをごらんいただきたいと思います。決算に関する財務指標の概要でございます。先ほど総裁からもご説明がございましたので、ポイントだけ見てまいりますと、中期経営目標4年間の目標として、郵便については500億円以上という目標に対しまして、累計として、592億円ということで、4年間の郵便の目標を達成できたという状況でございます。ただし、郵便の積立金、15年度、16年度は263億円、283億円とまいっていたのですが、後半の2年間については26億円、18億円ということで、大きく落ち込んでいるような状況でございます。
続いて貯金の積立金でございます。貯金の積立金は3.9兆円以上に対しまして、累計で6兆3,562億円、それから保険も3,000億円以上の内部留保の積み増しの目標に対しまして、累計で2兆5,128億円ということで、大幅に目標を超えた状況でございます。
続いて4ページでございます。4ページにつきましては今申し上げました状況をグラフであらわしたもので、郵便につきましては、500億円以上の目標に対して、2年目で546億円と超えて、その後伸びが鈍化しましたけれども、最終的に4年間で592億円ということで、目標を達成したということでございます。貯金、それから保険についても、4年間の目標額を大幅に超えて達成したものでございます。
続いて5ページをごらんいただきたいと思います。中期経営計画と4年間の実績の比較についてでございます。こちらにつきましては、これまでの審議会の場におきましても何度もご指示をいただいております、三事業それぞれの利益についてそれが経営努力によるものなのか、あるいは株式市場の影響等外部要因によるものなのか、そういったものについて要因分析を行ったものでございます。
まず表の郵便からごらんいただきたいと思います。中期経営計画で4年間で500億円以上、それに対して、先ほど申し上げましたとおり592億円の実績でございました。4年前、この計画を策定するときに見込んでいなかった事項といたしましては、郵便について申し上げますと、民営・分社化経費で212億円、減損損失で123億円、ふみカード廃止に伴う特損ということで32億円ということで、合わせると約370億円という計画策定時に見込んでいなかった影響がございましたけれども、このマイナスの影響を含めた上でも目標の達成ができたということが言えるかと思います。
続いて郵便貯金でございます。郵便貯金については3.9兆円以上という目標に対して6兆3,562億円と、大幅に目標を超えているのでございますけれども、これは金銭の信託運用益、株式の運用の部分でございますが、再掲の下のほうでございますが、金銭の信託運用益については、計画では1,660億円見込んでいたのが2兆5,983億円ということで、この金銭の信託運用益の影響が非常に大きかったということは言えるかと思います。ただし、この部分を除いてみてどうであったかというと、金銭の信託運用益以外では3兆7,578億円の実績、これに当初見込んでいなかった民営・分社化経費3,163億円、このうち3,000億円は日本郵政株式会社のほうへ出資してその分を政府に無償譲渡したことによる特別損失も含まれております。それから減損損失として1,261億円ございましたので、これらの要素を織り込みますと、株価の影響を除いて実質的に見ても目標を超えて達成できているという状況にあるかと思います。
続いて保険の内部留保の積み増しの関係でございます。こちらは4年間の計画では3,000億円、これに対しまして4年間の累計で2兆5,128億円ということでございました。保険につきましても運用益の影響が大きいということで、それは再掲のキャピタル損益等から内部留保への繰入額のところでございますが、ここが1兆8,685億円キャピタル損益から繰り入れております。その影響を除きますと、6,442億円ということでございますので、当初の目標3,000億円に対してキャピタル損益の影響を除いても6,442億円ということで、目標が達成できたという形になっていようかと思います。
続いて6ページをごらんいただきたいと思います。ただいま4年間の目標と実績の比較でございました。今度は単年度の計画と実績の比較をしてございます。郵便については、当初の年度計画では56億円の赤字の計画でございました。これは要素としては、再掲にございますとおり、民営化を目前に控えて民営・分社化の経費が356億円ほどかかるということで、郵便の通常業務ベースでは300億円程度の黒字を見込んでいながら、民営・分社化経費がかかるということで、当初から56億円の赤字の計画になってございました。これに対しまして黒字の18億円の実績ということになっております。その間に、計画策定時に見込んでいなかった事項として、減損損失がマイナス54億円、一方、ふみカードにつきましては引当金の戻入金がございましてプラス23億円という影響がございました。この間で一番大きく影響が出ておりましたのが、民営・分社化経費が356億円かかると見込んでいたのが縮減・効率化等によりまして204億円の実績だったといった効果もありまして、18億円の黒字に至ったというものでございます。
続いて貯金の当期純利益のところ、6,522億円の計画に対して実績としては9,406億円ということでございました。これも金銭の信託運用益の影響を見てまいりますと、計画時242億円に対しまして実績としては560億円ということで、18年度中におきましては株価の変動がそれほど大きくなかったということもございまして、金銭の信託運用益自体は560億円ということで非常に小さいものになってございます。この運用益の影響を除きますと、もともとの年度計画では6,280億円を見込んでおりましたが、実績としては8,846億円ということで、運用益の影響を除いても年度計画を達成できたということが言えるかと思います。
続いて保険の内部留保の積み増しでございます。これも再掲のキャピタル損益等からの繰入額の部分でございます。計画では見込んでおりませんでしたけれども、実績の部分で6,836億円がキャピタル損益から繰り入れられております。この部分を除いてみますと、計画値であります2,259億円に対しまして実績として3,414億円ということですので、こちらも運用益の影響を除いても達成できたという分析ができるかと思います。
続いて7ページをごらんいただきたいと思います。この4年間の実施の中での前提とした外部環境ということで、環境変化についてでございます。公社ができる直前、平成15年3月の実績値のところでございます。特に大きく影響が出ておりますのが、株価でございます。国内のTOPIXのところをごらんいただきますと、788ポイントでございまして、日経平均でも7,900円程度でございましたけれども、それが実績値、18年度末の実績値ということで19年3月でございますが、TOPIXで1,713ポイント、日経平均でも1万7,000円程度になってございます。この4年間での株価の上昇が先ほどご説明しました株式運用によりまして計画以上に大きな利益が上がったという大きな要因であったかと思います。
続いて8ページをごらんいただきたいと思います。民営・分社化経費を支出額ベースで見ております。先ほど田尻先生からも6,800億円ということでご説明がございましたけれども、17年度、18年度と19年度の半年間を合わせまして、民営・分社化の経費ということで、公社においては6,859億円を見込んでおります。このうち、3,000億円が準備企画会社へ出資した分でございます。その分を除きますと、約4,000億円が民営・分社化のための施策に充てられる見込みとなっている経費でございまして、具体的な施策は下の枠の中に経費の内容の主なものを記載してございます。民営・分社化に伴いまして業務の流れや資金の流れが変わりますので、そのための情報システムの構築、業務研修のための費用、また設備についても直営店の設置関係、それから本社・支社社屋の模様がえとか、先ほど、間仕切りができるという話もございましたけれども、郵便局のセキュリティー対策としての間仕切りとか電気錠の設置、新ユニフォーム作成等、こういった関係の費用につきまして経費を見込んでおります。
続いて9ページをごらんいただきたいと思います。先程ご説明した利益関係の数値的な指標の他、効率性等の指標も設定しておりますので、その関係をご説明したいと思います。
まず郵便関係でございますが、事業経費率につきましては、98.5%以下という4年間の目標に対しまして、4年間累計で98.3%ということで、目標を達成できたという状況でございます。総裁からもお話がありましたが、分母となる営業収益については計画以上に落ち込んだものの、分子となる営業原価等について経費全般にわたる節減を行いまして、事業経費率について目標を達成できたというものでございます。送達日数達成率につきましては、4年間ともに目標を達成できた状況にございます。
続いて10ページでございます。利益関係、効率性の指標関係について目標の達成がすべて郵便についてはできているところでございますが、郵便物の種類別の引受物数の推移という点では、先ほどもご指摘がございましたけれども、手紙、はがきなどの通常郵便物については、表のところでも前年度比マイナスがずっと続いておりますし、また折れ線グラフも下がってきておりますように、減少傾向が続いている。一方、こういう中で小包が取組強化によって増加が続いているというような状況にございます。
続いて11ページをごらんいただきたいと思います。貯金の経費率の関係でございます。こちらについてはグラフのところ、4年間で0.52%以下という目標に対しまして、4年間累計で0.47%ということで、目標が達成できた状況にございます。これまでの審議会におきまして、また4月の審議会でも、分母、分子をよく分析するようにというご指示をいただいておりますので、参考の経費率の内訳の表のところで分析してございます。ごらんいただきたいと思います。分子の営業経費につきまして15年度は1兆538億円でございましたけれども、その削減を図りまして、18年度におきましては9,941億円と、分母の貯金の平均残高について230兆円から18年度には193兆円ということで、分母の貯金平均残高が大幅に減少している中で、分子の営業経費についても削減を図った結果、目標の達成ができたものでございます。
続いて12ページについては貯金残高の推移でございますが、こちらのほうは省略させていただきたいと思います。
13ページをお開きいただきたいと思います。保険の事業費率等の数値目標の達成状況でございます。保険につきましては4年間の目標を5.1%以下ということで設定しておりましたが、4年間累計で5.14%ということになりましたので、4年間の目標が達成できなかったという状況にございます。その大きな要因といたしましては、18年度単年度におきます事業費率でございますが、年度計画は5.74%と、この年度計画どおりにできれば4年間の目標も達成できたのでございますが、それを大幅に下回りまして6.1%でございましたので、この影響が出て4年間の目標も達成できなかったという状況でございます。表のところで分子、分母の分析を行っております。分子の事業費については15年度6,167億円から17年度まで5,461億円と削減を続けて、18年度はやや増加して5,635億円ということで、この4年間で一定の削減が図られたものの、分母の保険料収入のほうが大幅に減少した結果、事業費率の目標は達成できなかったものでございます。
失効解約率につきましては、保険、年金ともに、計画時に設定した目標を4年間とも達成できたという状況にございます。
続いて14ページをごらんいただきたいと思います。18年度の保険の契約状況でございますけれども、保険の新契約のところ、件数、金額ともに約20%減少しているということ、それから保険の保有契約を見ていただきましても、そういった新契約の減少に伴いまして保有契約の件数、金額ともにずっと減少傾向が続いているという状況にございます。
続いて15ページをごらんいただきたいと思います。人件費の支出額でございます。公社全体の人件費のグラフをごらんいただきたいと思います。人件費につきましては、公社化以前においては損益ベースでとらえることができなかったために、支出額ベースということで中期経営計画の中では数値的な目標ではなくて、参考値として記載されておりまして、その値が2兆5,809億円以下ということで、中期経営計画には参考値として記載されてございます。これに対しましてこの4年間の傾向を見てまいりますと、18年度が年度計画よりも大幅に超えているというような状況でございます。この人件費増の主な要因といたしましては、退職手当の増加ということで、団塊の世代の方々の退職等が影響したということもございまして、支出額ベースで見ますと、退職手当の増加によって支出が増えたというような状況でございます。この4年間の期間、一方では人件費抑制の取組ということで、総裁のお話もございましたけれども、(1)事務処理の機械化・効率化とか、(2)非常勤職員の活用等によりまして人員の削減を図りまして、参考のところにございますとおり、この4年間で28万789人から25万4,177人と、2万6,612人の削減が図られております。
16ページをごらんいただきたいと思います。今申し上げた常勤職員数の推移をグラフにあらわしたものでございまして、総裁からもございましたけれども、中期経営計画、この白い棒グラフに比べましてさらに実績の網目の棒グラフのほうにおきましては計画よりも加速して、右下の数字にございますとおり、第1期中期経営計画よりも9,523人多く削減が図られているものでございます。
続いて17ページの物件費の支出額をごらんいただきたいと思います。公社全体についてのグラフのところでございます。こちらについても同じように4年間の参考値として9,668億円以下ということで目安で定められておりますけれども、このグラフの中で17年度が年度計画に対しまして実績が大幅に超えてしまったという状況にございます。この要因についてでございますけれども、郵便貯金のところの17年度がやはり大きく超えている、この影響が出ているものでございますが、この理由としましては、物件費増の主な要因というところで、日本郵政株式会社への出資ということで、17年度に準備企画会社ができまして、そこに公社が出資を行いまして、これを政府へ無償譲渡して特別損失が立ちました、その3,000億円の影響でございますので、これを除けば物件費についても削減が図られているということが言えると思います。物件費抑制の主な取組としては、(1)競争契約の推進、それから(2)の、先ほどのご説明でもありましたような本社での一括契約や複数年契約に変更するなどによる契約内容の見直しなどの効果が出ているものでございます。
続いて18ページをごらんいただきたいと思います。これまでにご説明しました中期経営目標の中で数値で設定されております指標の達成状況についてでございます。9つの数値指標が設定されておりまして、その中でごらんいただきたいのが、保険の事業費率が唯一達成できなかったということでございまして、4年間について5.1%以下という目標に対して5.14%とやや超えてしまっておりますし、また18年度につきましては年度計画が5.74%に対しまして6.1%と大幅に超えてしまった状況にございます。
続いて19ページをごらんいただきたいと思います。コンプライアンスの徹底の関係でございます。こちらにつきましては毎回の審議会の場でもコンプライアンスの徹底の強化が必要であるということで、ずっとご議論、ご審議いただいているところでございます。公社に対しましても毎年の業績評価結果を伝えるとともに、取組の強化を促してまいりました。公社自身もコンプライアンスの強化については意識を持っておりまして、この公社全体の取組のところにございますような、この4年間でガバナンス/コンプライアンス委員会を設置し、各局所に責任者を配置したり、あるいは防犯職務指針としてチェックすべき項目を並べたレッドシートを作成したり、内部統制強化本部を設置いたしまして、改善計画を策定し、予算措置、要員措置を行ったり、個人情報保護シートの策定とその活用、それから行動憲章等の周知徹底といったさまざまな取組を行ってきたところでございます。こういった取組を行ってきたということに対しましては一定の評価ができようかと思いますが、結果、成果として見ますと、長期・計画的犯罪というものは確かに減少しているのでございますが、単純窃盗などの短絡的・衝動的な犯罪が増加している。後ほどその件数等はご説明したいと思います。そういった意味では、取組の強化は図っているものの、まだ成果が十分に出ていないということは言えると思います。
各業務別の取組としても、郵便の取組としては、18年度には、審議会でもご審議いただきまして、経営改善命令を発出しておりまして、おおむね当初予定に沿って施策が実施されているものの、その効果については今後も引き続き注視が必要と考えてございます。また、部内犯罪につきましては、平成16年度以降増加しているという状況にございます。貯金につきまして、部内者犯罪、預入限度額の超過、現金過不足事故等、依然として多発しているという状況、それから個人情報の適正管理を行うよう行政指導もしてございます。一方、保険については部内者犯罪が多数発生、多数の減給処分等にもかかわらず不適正募集が多数発生しているような実態の部分に加えまして、取組態勢という意味におきましても、無面接是正対策をほとんど未実施ということで厳重注意(行政指導)を受けるなど、公社の本社をはじめ態勢構築が不十分であること、またシステム障害を相次いで発生させ、10万件を超える契約に影響を与えたということで、保険につきましては成果が出ていないだけではなくて、取組態勢についても不十分ではないかと考えてございます。
続いて20ページをごらんいただきたいと思います。部内者犯罪についてでございます。昨年の審議会の場におきましても、コンプライアンスというものと事務ミス、オペレーションミスというものについては峻別してよく分析するようにというようなご指摘をいただいておりまして、そういった観点で、特に部内者犯罪が課題であると考えてございますので、部内者犯罪について分析したものでございます。1番の部内者犯罪の件数の推移ということで、部内者犯罪については数値的な目標というものは設定もしてございませんし、ゼロを目指すということであろうかと思いますけれども、ある程度過去からの推移を見て分析したいということで、過去10年にさかのぼってこちらのグラフにしてございます。平成15年度から公社化されておりますが、平成15年度以降133件から140件ということで、やや微増の傾向にございますが、14年度以前の水準についても114件から162件の間でございますので、公社化以前と以後を比べてもそれほど減少したという傾向はあまり見られないと受けとめております。この中で、特に後半、17年度、18年度は非常勤職員の部内者犯罪が少し増えているということが言えようかと思います。これについては、非常勤職員の業務の実施に当たって、例えば郵便局において現金書留を扱う場合には非常勤職員のコンプライアンスの習熟度等をチェックする等の取組も開始して、取組強化しているというふうには聞いてございます。
下のところでございますが、犯罪種目別の件数でございます。郵便、貯金、保険、共通と分けて見てございます。郵便については15年度の63件から18年度の69件、貯金も37件から45件、保険も12件から17件ということで、三事業とも件数が増えているという状況が見られます。
続いて21ページでございます。西川総裁のご説明にもございましたように、第1期4年間を終わりまして、国庫納付ということで、基準額を超えましたので、その超えた額の2分の1について国庫納付をしております。7月10日に公社は9,625億円を国庫納付しているところでございます。この国庫納付金につきましては、今ほどご説明した平成18年までの財務諸表には影響はございませんで、19年度に納付しておりますので、19年度の公社決算のキャッシュ・フロー計算書等に記載されることとなってございます。
続いて23ページから26ページまでにつきましては、今ほどご説明いたしました平成18年度の利益等の決算関係の数値が入りましたP/LとB/Sでございます。
27ページをごらんいただきたいと思います。財務諸表の承認に当たりましての法令上の提出書類及び記載事項についてでございます。具体的な内容としましては、まず財務諸表、B/S、P/L等でございます。それから添付書類といたしまして、1)の事業報告書、それから2)の監事及び会計監査人の意見をそれぞれ法令に従いまして記載して提出することとされております。これらにつきまして定められた様式によりまして必要な記載事項が記載されているかどうかということがこの財務諸表の承認に当たっての審査のポイントとなるものでございます。
続いて28ページをごらんいただきたいと思います。審査結果についてでございます。私ども事務方のほうにおきまして、財務諸表につきましてチェック、確認をいたしまして、法令に定められた書類が省令で定められた様式により作成されていること、それから法令に定められた記載事項が記載された事業報告書が添付されていること、そして監事及び会計監査人から適正という意見が付されていることを確認してございますので、提出のあった財務諸表につきましては、承認することが適当であると考えてございます。
続きまして次のページからが公社の第1期中期経営目標及び平成18年度の業績評価の概要についてでございまして、30ページをごらんいただきたいと思います。30ページについては、今回4年目の年度業績評価、それから4年間の第1期中期経営目標の評価、この2点を行うということを図にあらわしたものでございます。
続いて31ページでございます。今回の4年間の業績評価の基本的考え方についてでございます。こちらにつきましては、4月の分科会におきましてご審議そしてご承認いただいたペーパーと同じものでございます。これまでの年度評価と同様の考え方に沿って評価をするということでございますが、1点、特徴的な点を申し上げますと、32ページをごらんいただきたいと思います。今回4年間の計画期間が過ぎて実績が出たということもありますので、よりきめ細かな評価を行うという視点で、目標を達成できたというところについて、中期経営目標を大幅に上回って達成した場合を特Aと、十分達成した場合をA、おおむね達成した場合をBと分けて全部で6段階で評価を行うということで、4月の分科会の場でもご説明をさせていただいているところでございます。
続いて33ページでございます。18年度の年度評価につきましては、継続性を重視しまして、過去3年の年度評価と同様の手法により実施するということで、過去3年と同様、A、B、C、D、Eの5段階の評価を行っているところでございます。
続いて34ページをごらんいただきたいと思います。業績評価結果の概要についてでございます。まずこの表の見方についてご説明させていただきたいと思います。それぞれ枠の中に大きなアルファベットを書いたものがございます。こちらが4年間の評価結果でございます。そしてその横の矢印で並んだ4つのアルファベット、例えばB→A→B→Aと並んでおりますけれども、こちらは順に15、16、17、18年度の年度評価でございます。今回はこの矢印の中の4つ目の18年度の年度評価、それから枠で囲った大きなアルファベットである4年間の業績評価を行ったものでございます。
特徴的な点について3点ご説明いたしたいと思います。1点目といたしましては、利益関係の評価についてでございます。郵便業務関係については500億円以上に対しまして592億円ということで、目標に対しまして目標数値を超えておりますけれども、後半の2年間、利益が大幅に減少しているという状況でございましたので、4年間についてB、おおむね達成、年度評価もBという形にいたしております。続いてその隣の貯金でございますけれども、貯金は3.9兆円以上の目標に対して大幅に超えた。また株価の運用益を除いても目標を実質的にも超えていたという状況でございましたので、大幅に上回って達成ということで、特Aといたしております。保険についても同様に、内部留保積増額の目標3,000億円以上に対して大幅に上回って達成したということで、4年間で特A、単年度、18年度でAという評価をいたしておりまして、公社全体といたしましても4年間で十分達成をしたということでA、また18年度についても達成したというAという評価をいたしているところでございます。
続いて特徴的な点の2点目といたしましては、これまでもご議論いただいておりますコンプライアンス強化の関係でございます。公社全体それから郵便、貯金につきましては、先ほどもご説明申し上げましたけれども、公社も問題意識を持って取組の強化をいたしているところでございますが、なかなかそれが成果として実績として結びついていない。犯罪の件数もやや増加としている状況にあるということでございますので、昨年度に続いて年度評価がC、それから4年間全体としてもCという評価になってございます。一方、保険につきましては先ほどもご説明いたしましたが、成果が出ていないということだけではなく、取組態勢についても不十分であるということから、大幅に下回っているということで、18年度がD、それから4年間の評価としてもDということで、厳しく指摘をしているところでございます。
3点目の特徴でございます。保険の効率化の指標についてでございます。こちらは9つ設定した数値目標のうち唯一達成できなかったということで、その要因としましては、18年度が大幅に下回ったということにより4年間でも目標が達成できなかったということで、4年間の評価として下回っているということでC、また18年度の評価は大幅に下回っているということでDという評価をいたしたものでございます。
以上3点が今回の評価の特徴的な点でございます。
続いて35ページをごらんいただきたいと思います。評価結果の推移についてでございます。今回、4年間の評価につきましては円グラフにございますように、特Aの2項目について、これが貯金と保険の利益目標が大幅に上回ったということで特Aになっております。そしてAが3項目、Bが9項目ということで、Cの4項目、これは公社全体それから郵便、貯金のコンプライアンスの徹底の関係、それから保険の効率化の関係がCでございます。そしてDが保険のコンプライアンスの徹底ということでございました。年度別の年度評価の推移を右側の円グラフで見てまいりますと、15年度はAが5項目、Bが14項目ということで、Cがなかったのでございますが、16年度はAが9項目に増えるとともにコンプライアンス関係としてCが4項目と増えている。そして17年度もAが減ってCが増えたという状況で、18年度はDも出てきたということで、15年から18年の推移を見てまいりますと、年度評価についていえば、年々厳しい評価結果になっているという状況が言えようかと思います。
続いて37ページをごらんいただきたいと思います。先ほど特徴的な点をご説明いたしましたが、業績評価結果について、業績評価書の概要を37ページから43ページまでまとめたものでございます。こちらについては評価とともに課題等も指摘してございます。何点かポイントだけご紹介させていただきたいと思います。
37ページの公社全体の財務内容の健全性の確保の関係、Aと評価しておりますけれども、課題としましては、郵便取扱物数、保険契約数の継続的な減少等、依然として厳しい経営状況にあることから、今後の健全な事業運営に向け、恒常的に利益を生み出すことができる体質の確保に努めることが必要と指摘してございまして、さらに郵便、貯金、保険でそれぞれの業務において課題等を指摘しているところでございます。
もう1点ご紹介させていただきますと、39ページのコンプライアンスの徹底の部分でございます。公社全体としましてコンプライアンスの徹底、部内者犯罪、個人情報不適正事案の増加や簡易保険の無面接契約が散見されるなどのコンプライアンス違反事案が多発しており、コンプライアンスの徹底が不十分。各施策に対しPDCAサイクルが十分に機能する推進体制と職員へのコンプライアンス意識の浸透・徹底が必要と指摘してございます。
特に、保険業務につきましてはDということで、コンプライアンスについては依然として部内者犯罪や不適正募集、顧客情報の漏えい・紛失等の事例が多く発生、不詳事件等への対策の進捗管理態勢にあっては、無面接是正対策をほとんど未実施としたことにより厳重注意(行政指導)を受けたことなど、本社をはじめ態勢が不十分。経営陣を含む職員全体のコンプライアンス意識の徹底・浸透を万全なものとし、さらに改善するため、より一層の努力が必要と指摘してございます。
そのほか、以下は18年度業績結果も含めまして43ページまで業績評価結果の概要をまとめているところでございます。
大変駆け足になりまして恐縮でございましたが、財務諸表の承認と業績評価結果の概要について以上のとおりご説明させていただきました。ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 ありがとうございました。それでは審議に入りたいと思います。
どうぞ、ただいまの鈴木企画室長からの説明に対しまして皆さんからのご質問がありましたらお願いします。どうぞ。
○三村委員 質問というよりはコメントということでさせていただきます。
基本的に今回は厳しい評価をなされたということで、おそらくその評価をしなきゃいけない理由というのが非常にはっきりしていたと思いますので、姿勢としては、今まではどちらかというとなるべく頑張ってくださいというつもりで、あまり厳しい評価を出さないようにという感じで来たわけですけれども、今回はまさに民営化という非常に大きな節目の時期でありますので、そういう点についてこういった形で問題を問題であるということをきちんと示していただいたということに関して、私はいいというふうに思っております。
ただ、先ほどの西川総裁に対する皆様のいろいろなご意見の中にもございましたように、この4年間の推移を見ていますと明らかに悪化をしているのです。問題は、当然、公社でいくという事態が途中で民営化という話へと変わってきましたので、その流れの中で、おそらく公社の中にちょっと組織的な混乱があったのかもしれませんし、必ずしも全体の組織内の合意がきちんととれてないのかもしれないですし、またそのための特別の予算とか費用が発生しているところもあると思うのですが、いわゆる一般的な企業経営に対する評価からすると、実は先ほどのコスト削減と利益については特Aだと言ったとしても、むしろ実はこれは非常に怖い特Aで、いわゆる収益が伸びてないのにコストは削減している。おそらくその中に何が起こるかというと、さらに正社員の方がいなくなって、逆にいえば非常勤職員が増えているということは、先ほどのようにいろいろな形で問題、トラブルが発生しやすい状況が実は広がっているということでありますので、一般の企業経営からすると、実は決してよくない状況にあるというふうには思っております。
西川総裁みたいな大変なプロの経営者がおいででいらっしゃいますので、そのことについてそれ以上のことを申し上げるのは、ほんとうに外部の人間に言えることだけではないのですが、必ずしも決してほんとうにいい状況ではない中で民営化を2か月後に迎えるんだということについて、総務省としてもそれなりのきちんとしたある意味での対応というか、ある意味でのご指示というか、あるいはもしあるとしたら、例えば先ほどの流れの中でいろいろな規制が余りにも厳し過ぎて何もできないのですとおっしゃったことについての個別の問題については、やはりもう少し改善できる話があるかもしれません。
実は個別の話で聞いておりますのは、私は全体的に言えるかどうかちょっと自信がございませんので、申し上げにくいのですけれども、私の周辺の一般の、先ほど佐野委員がおっしゃったようなことにも関係いたしますが、非常に窓口が硬直的になって大変不親切になったというような言葉をおっしゃる方がちょっと出てきています。理由はなぜかというと、言いかえますと、コンプライアンスという概念がわーっと出過ぎると、今度は窓口がものすごく硬直的になって、はっきりと昔の言い方をすると、窓口できちんを責任を持って融通を持って対応していたのが、3日も4日もかかるし一月たっても返事がないというような、何かやたらにしゃくし定規になっているというような話も出たりいたしますので、先ほどのコンプライアンスの強化ということに関しましても、むしろそういった全体的な流れの中で体制を整備していただくというような形で改善をお願いしたほうがいいというふうに思います。
私の意見でございます。
○樋口分科会長 ありがとうございました。ただいまの件につきましては。どうぞ、お願いいたします。
○鈴木総合企画室長 三村先生、大変貴重なご意見どうもありがとうございました。
まず1点目としては、この4年間というものでございますが、中期経営計画をつくったときは民営化という事情がなかった、その中で4年間事業運営をする中で民営化が出てきたということで、実際に事業運営を行っている公社においても非常に大変だったと思いますし、ご努力をたくさんなされたんだと思います。そういう中で、民営化を2か月後に控えたという状況で、利用者、国民の皆様の期待というものもやはり高いものがありますし、市場の中できちんとやっていけるということが重要になってまいりますので、そういった期待にこたえられるように、私どもとしても、公社のこの業績評価のスキームの中で見られるところはきっちりと見させていただいたというものでございます。
それから2点目につきましては、収益が伸びてない中で費用の削減によって利益が上がっているという状況でございますが、これは私どもも、今回の評価作業を行う中で先生と同様の問題意識を持っておりまして、コストをカットできる部分、そちらももちろん取組んでいただくべきなのですけれども、伸ばすべきところ、例えば、郵便については郵便利用の拡大と、保険についても今、新規契約がなかなかとれない状況、こういった部分は大きな課題と思っておりますので、そういうところにもしっかり取組んでいただけるよう業績評価書の中でも指摘させていただいているところでございます。
それからコンプライアンスのところ、これはおっしゃるとおり、コンプライアンスの徹底が硬直的な対応に結びつきやすい面もあるとは思いますが、やはり一番大事なことは、利用者の方にとってよりよいサービスを提供するためにコンプライアンスの徹底というのもあるということでございますので、まさにご指摘のとおりだと思いますので、公社にも本日先生にいただいた貴重なご意見はしっかりと申し伝えたいと思います。どうもありがとうございます。
○樋口分科会長 どうぞ。
○米澤委員 評価の結果に関しては特段異論はありませんが、その中身に関して特に5ページあたりの利益といいますか財務面、ないしは積み上がったお金ですけれども、その5ページを見ますと、中期経営計画をどういうふうに立てるかという、実は私も何年か前に国立大学にいたので、中期経営計画というのは高いハードルを立てて頑張るのか、さもなければ低いハードルでほどほど頑張って高い成果を見せるのか、どっちにしたらいいんだろうかというので悩んだのですけれども、そういう点からいきますと、郵便、貯金、とりわけ簡易保険の利益、特段、株式からの収益のところは非常にハードルを低く設定してあるなという感じがします。この設定した時期は私も十分に存じ上げていますので、とても明るいシナリオが書ける時期じゃないとは思っておりますが、だからといって、株式からの収益をゼロないしはゼロ近傍に推定して計画を立てるというのは普通はちょっとあり得ないというか、やはりリスクフリーレートよりも高いリターンを見込めるつもりで計画する、ないしはそうでなければ株式を持たないというのが理屈ですので、そこから見ると、ほぼ両方ともゼロに置いてあって、その結果いろいろ、あとはほんとうに極めてラッキーだったわけですけれども、そこのところが入っていますので、結果は非常にいいのですけれども、要は計画を立てるときももう少しハードルを高くしてもよかったんじゃないだろうかということです。今後、中期計画を立てることはないのでしょうけれども、民営化になったときに、株式を含めてリスキー資産とのつき合い方にあまり慣れてないのではないだろうか、もう少しうまくそれとつき合っていけるようにしていく必要があるんじゃないかということをこの評価を見て感じました。もちろん、これからBIS規制でがんじがらめに縛られるのでしょうけれども、もう少しリスキー資産とうまくつき合っていく必要があるのではないかという感じがいたします。
以上です。
○樋口分科会長 ありがとうございました。関連して何かございますか。吉野先生、どうぞ。
○吉野委員 関連ですが、34ページの先ほどからご意見が出ているいろいろな業績評価のときに、やはり一種の政策評価だと思うのですが、どういうふうに目標を立てるかということと、それからこの評価が悪いところが、郵政の内部での非効率なり失敗の結果なのか、それとも外的な要因でいろいろなことができないためにこうであったのかということで大分違うと思います。例えば保険業務とか貯金業務で、お客様満足度を高めるサービスの充実というのは、これは新しい商品などが自由にできないわけですから、そうしますとこれは外生的な要因でこれが達成できなかったというようになると思います。ですから、この評価はこれで結構だと思いますが、ただ、例えば括弧づけで、こういう内部での理由なのか、それとも外的要因なのかというのは入れておいていただいたほうがコメントとしていいような気がいたします。
○樋口分科会長 いかがでございますか。事務局のほうから何かコメントございましたら。
○鈴木総合企画室長 まず、米澤先生からご指摘いただきました目標の設定に当たっての考え方でございますけれども、これももう4年前のこととなりますが、そのときの事情の中で、計画をつくったのは公社がまだできておりませんでしたので設立会議のほうでつくっていただいて、審議会の場でもご議論いただいて、認可をしたということで、当時の経済状況、それから公社になる前の郵政事業庁時代の経営状況を踏まえた目標設定ということでしたので、ではこれを事業体として見たときに、この目標値の水準がほんとうにその事業体が安定して運営するに当たって適切な水準かどうかという面におきましては、それよりも場合によっては低くなっているというものもあろうかと思います。例えば郵便業務について、三業務を分けて見たときに、資産負債差額がマイナスとなっている状況の中で、4年間で500億円以上という目標が安定した業務運営を行う利益水準として十分かどうかというのは議論があるところだと思いますけれども、一方で郵政事業庁時代までの郵便事業の運営を見ると、4年間で500億円というのは、かなり努力をしてようやく達成できるやや高目の目標設定を当時行っていただいたと理解してございます。その後の要因等についてはやはりできるだけ細かく分析する必要があると思いまして、その中で今回、キャピタル損益もその影響を除いた場合の分析をさせていただいております。また、第2期の公社の中期経営目標につきましては、これは先般、3月に認可に当たりましてご審議いただいておりますが、わずか半年ではございますけれども、保険については公社のほうでも、このあたりは今回は株式市場が4年前に比べたら大分変動があったということなので、2期目の中期経営目標については保険はキャピタル益を除いた形で目標設定をしております。民営化以降もどういった形で会社として独自に目標管理をやっていかれるのか、これまでの経験を活かして工夫をしていただけるものと考えてございます。
そして、そのほか今回指摘した中で、できるだけ私どものほうでも明確に外的要因、内的要因で分けられるもの、それから非常に微妙なものもあろうかと思いますけれども、はっきりとわかるものについてはできるだけ明示した形でお示しできるよう工夫をいたしました。また、はっきりと色分けするのが難しいものについても、公社に対して補足的に説明できるような事項がございましたら、そういったこともあわせて評価結果を通知する際にはお伝えしたいと考えてございます。
以上でございます。
○樋口分科会長 よろしゅうございますか。どうぞ。
○村本委員 おおむねについては、もう先生方がおっしゃいましたので、細かい点だけ2点だけ指摘しておきたいと思いますけれども、1点は、保険関係の13ページのところで事業費率が高騰したというのが去年の問題でありますけれども、事業費そのものがかなり高くなっているというのもかなり問題でありますので、その点と、それから保険料収入が下がったということの分析をきちっとしておかないと、今後の業務に非常に問題が発生するのではないかというのが一つでございます。お答えは特には要りません。
もう一つは、先ほど三村先生がご指摘になりましたが、正規職員が減って非常勤職員が増えている。その結果として、20ページにありますように、公社化以後、非常勤職員の犯罪件数が増えている。これに因果関係があるとすると、ここは非常に大きな問題になりますので、この辺はきちっと押さえておかれないと、おそらく金融庁から業務改善命令がばんばん出てくるという状況になるのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。お答えは特に結構でございます。
○樋口分科会長 ほかにはよろしゅうございますか。
それでは、ほかに意見がございませんようでしたら、時間の関係も若干ございますので、諮問第288号、日本郵政公社の平成18年度財務諸表の承認及び諮問第289号、日本郵政公社の業績評価につきましては、当分科会といたしまして、諮問のとおり答申するということが適当ということで総会にお諮りすることにしたいと思いますが、いかがでございますか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口分科会長 ありがとうございました。それではそのように決定させていただきます。
なお、当分科会での本件に関する議論の内容につきましては、事務局において整理していただきまして、総会において当分科会での結論とあわせて私から報告をさせていただくということにしたいと存じます。
引き続きまして、諮問第290号、簡易生命保険責任準備金の算出方法書の変更の認可につきましてご審議いただきたいと存じます。
それでは、鈴木保険計理監理官より説明をお願いいたします。
○鈴木保険計理監理官 保険計理監理官の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
資料はお手元の右上に資料3と書いてある資料でございます。クリップを外していただきますと、資料3−1から3−3までございまして、諮問書は3−1でございますが、読み上げは省略をさせていただきまして、資料3−2を使いましてご説明させていただきたいと思います。
3−2の1枚目をおめくりいただきまして、簡易生命保険責任準備金の算出方法書の変更認可の概要というページでございます。責任準備金の算出方法書と申しますのは、責任準備金、契約者配当準備金等の計算方法に関する事項を定める書類でございます。
(1)認可申請の理由というところでございます。郵政民営化関連法によりまして、日本郵政公社の最終事業年度は平成19年4月1日から9月30日までの6か月間になることになりまして、これに伴いまして算出方法書の記述の変更が必要になるということでございます。
変更の概要でございますが、3つにまとめてございます。まず1番目で、「平成18年度末の契約者配当準備金」ということでございますが、内容は字句の技術的な修正であります。平成18年度末における契約者配当準備金には、平成19年度配当に必要な原資を繰り入れる必要がありますが、現在の繰入れを定める規定におきまして、「当該事業年度の翌事業年度」という表現を使ってございます。これはそのままの意味ですと、公社の最終事業年度が9月30日までということになっていますので、9月30日までしか意味しないということになってしまいますので、これを「当該事業年度の末日の翌日から当該事業年度の末日の翌日以後最初に到来する3月31日まで」と変更いたしまして、平成19年4月1日から20年3月31日までという意味に直すようにするという非常に技術的な修正でございます。
それから2番目ですが、「最終事業年度末の契約者配当準備金」ということで、これは平成19年9月30日の決算におきまして、20年度の配当に必要な原資、その時点で必要な原資を繰り入れるというものでございます。その繰り入れる額といたしましては、そこに書いてございますアとイの合計額と定めているということでございまして、まずアの方でございますが、平成20年度に必要になる確定配当所要額の2分の1に相当する金額を繰り入れます。ここで確定配当と申しますのは、昭和59年8月以前の契約につきましては、約款で既に金額を決めている配当がございますので、その必要な額の上半期分ということで、2分の1に相当する金額をまず繰り入れたいということでございます。それからイの方でございますが、これは利益処分に関するものでございまして、最終事業年度末の時点での経常利益、これは危険準備金という内部留保の金額につきまして、積立基準額、法令で定められている最低額をまず繰り入れまして、それから上記アの額、すなわち平成20年度の確定配当所要額の2分の1の額、それからキャピタル益、価格変動準備金の積立基準額の合計額を差し引きまして、残った額の2割に相当する金額を契約者配当準備金に繰り入れたいということでありまして、この計算方法は、従来公社が契約者配当準備金に繰り入れていた方法と同じでございます。
これで9月30日時点で契約者配当準備金を公社の最後の金額として繰り入れまして、10月1日以降は旧契約、民営化前の簡易生命保険契約は、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が承継をいたしますが、平成20年3月31日の決算においてその下半期の利益に基づきましてまた繰り入れを行いまして、上半期分の額と下半期分の額の合計額をもとに平成20年度の配当をすることにしているということでございます。
それから3番目、「その他」の部分でございますが、これは決算を精緻化するための修正でございまして、具体的には、簡易保険は保険料の払込猶予期間は通常3か月が限度とされておりますが、天災等があったときには非常取扱いということで、3か月を超える払込猶予を認めることができることになっております。ただ、現在の算出方法書の記載はその3か月を超える払込猶予を想定していない形になってございまして、それを制度に合わせて3か月を超える払込猶予につきましても計算できる形に書き直すというような精緻化をしたいというような内容でございます。
これらの内容につきまして認可をしましたらその日から施行し、決算の日であります3月31日、それから最終事業年度末に関する規定については9月30日から適用することにしたいというものでございます。
資料を1枚めくっていただきまして2ページ目ですが、これは簡易保険が負債として積み立てております準備金の全体につきまして説明したものでございます。先ほどの説明の中にありました契約者配当準備金につきましても下から2段目のところに説明がございます。個別の説明については省略をさせていただきたいと思います。
それから3ページ目ですが、審査結果でございます。責任準備金の算出方法書につきましては、法令上の審査基準として、その表の左に書いてございますが、「記載された事項が、保険数理に基づき、合理的かつ妥当なものであること」という基準が定められておりますが、今回の変更につきましては、法律によりまして公社の最終事業年度が半年になるということに基づく技術的な改正でございまして、保険数理に基づいて合理的かつ妥当なものと認められるということでございますので、審査結果としては適と考えてございます。
以上のようなことを踏まえまして、申請されました責任準備金の算出方法書の変更については認可をすることが適当と考えてございます。
諮問第290号については、ご説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、何か皆様からご質問、ご意見等ございますでしょうか。
特にないようでしたら、諮問第290号につきましては適当と認めまして、諮問のとおり答申するということにしたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口分科会長 ありがとうございます。それではそのように決定させていただきます。
ただいま決定いたしました答申書の取扱いにつきましては、事務局で所定の手続に従って取り運んでいただくようお願いいたします。
次に、諮問事項ではありませんが、前回、4月24日の当分科会において審議いたしました重要財産、浦安簡易保険加入者ホームにつきまして、公社が譲渡した後の状況について手短に説明していただくことにしたいと存じます。
鈴木総合企画室長より説明をお願いいたします。
○鈴木総合企画室長 鈴木でございます。よろしくお願いいたします。お手元の資料4に基づきまして手短にその後の状況についてご説明させていただきたいと思います。
浦安簡易保険加入者ホームの概要の(2)でございますが、利用形態といたしましては、172名が入居いたしております介護付の終身利用型の有料高齢者ホームということで、終身利用ということでございますので、入居者の権利保護を図るために、4月の分科会におきましてご審議いただきまして、条件をつけた上で認可を行ったものでございます。審議会答申後の経緯の表をごらんいただきたいと思います。4月27日に、総務大臣認可に当たりまして、認可条件としまして、業務譲渡時及び譲渡後、入居者が現在と同等以上のサービスを継続して受けることができるよう担保すること、また、譲渡後においても入居者から相談があった場合には適切に対応すること。2つ目として、公社は入居者へ十分説明を行い、全入居者から合意を得ることを原則とすることという条件をつけております。それを受けて5月9日、社会福祉法人聖隷福祉事業団と公社の間で譲渡契約が締結され、6月15日までの間に全入居者169名が聖隷福祉事業団と入居契約の締結をいたしております。そして7月1日に公社から聖隷福祉事業団に譲渡されまして、聖隷福祉事業団による運営が開始されております。
次のページをごらんいただきたいと思います。利用者の保護施策ということで、認可条件への適合性について確認してございます。譲渡先につきましては、入居者の意見を聴取した上で、公募型プロポーザル方式によって聖隷福祉事業団に決定されておりまして、業務譲渡時に同等以上のサービスを継続して受けることができることについては契約の中身を確認しているところでございます。また、業務譲渡後においても、こういった契約内容が履行されるよう必要な措置を公社がとることとしているところでございます。
3)の相談受付体制でございますが、民営化後も含みまして譲渡後の相談窓口の体制を整備しまして、それについて入居者にきちんと周知していることを確認済みでございます。
入居者への説明状況につきましては、本年5月、2回にわたりまして公社と聖隷福祉事業団が同席した上で、譲渡条件、方法等を入居者の方へご説明をしております。そしてこの結果、全入居者169名の方から同意が得られたという報告を受けてございます。4月1日現在、172名の方がいらっしゃったのですが、1名の方はご自身のご希望ということで、        ということでご退去され、また2名の方がお亡くなりになられたため、169名全員から同意をいただいたという報告を受けております。
手短でございましたが、以上のとおりご報告させていただきます。
○樋口分科会長 ありがとうございました。皆様のほうから特に何か、よろしゅうございますか。
それでは、以上をもちまして本日予定しておりました議事はすべて終了いたしましたので、閉会とさせていただきます。なお、この後、私が記者会見を行いまして、本日の議事の模様を公表したいと存じます。
委員の皆様方、本日は大変ご多忙のところ、ありがとうございました。
閉会
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